NJU7600/01/02 Application Manual ■概 要 NJU7600/01/02 は、低電圧電源動作で高速発振できる昇圧/フライバック型スイッチングレギュレータ用 IC です。 出力にトーテムポール出力形式を採用しており、MOSFET のドライブが容易です。 またソフトスタート、デットタイムコントロール、タイマーラッチ短絡保護機能を内蔵しており、外部可変が容易で す。電池アプリケーションや低電圧ロジックから電圧を昇圧生成用途に最適です。 小型/薄型パッケージである TVSP タイプの採用により、面積、高さに制約のあるアプリケーションにも容易にご検 討いただけます。 NJU7601 は PWM/PFM 切り替えの自動制御機能を搭載しており、軽負荷時の効率を改善します。 アプリケーション回路における損失の多くは、スイッチング素子の立ち上がり/立ち下がり時に発生します。 そのため軽負荷時はスイッチングパルスをスキップし、不必要なスイッチング損失を最小限に抑えます。 NJU7602 は、NJU7600 にスタンバイ機能を搭載し、スタンバイ時の消費電流を低減する事が可能です。 ■特 徴 ●NJU7600/02:PWM 方式スイッチング電源制御 ●NJU7601 :PWM/PFM 切り替え自動制御 ●低電圧動作 2.2V∼8V ●広発振周波数 300kHz∼1MHz ●最大デューティー比 90% typ. ●消費電流 動作時 :800µA typ. スタンバイ時:1µA max. (NJU7602 のみ) ●ソフトスタート機能内蔵 16ms typ. または外部設定 ●デットタイムコントロール機能 ●短絡保護機能 ●C-MOS 構造 ●外形 NJU7600M / NJU7601M / NJU7602M : DMP8 NJU7600RB1 / NJU7601RB1 / NJU7602RB1 : TVSP8 ■プロダクトバリエーション NJU7608 NJU7606 小型 PKG 化 NJU7606 ロード SW 機能 スタンバイ端子対応 NJU7602 PWM 制御+ スタンバイ機能 NJU760x** PWM/PFM+ スタンバイ機能 NJU7620 定電流制御 NJU7600 NJU7601 NJU7610 PWM 制御 PWM/PFM 軽負荷対応 過電流検出機能 **企画中 Ver.2006-07-13 -1- NJU7600/01/02 Application Manual ■ブロック図 + V NJU7600 PWM 制御 FB 0.8V ER⋅AMP IN1V 0.2V Vref Soft Start UVLO Latch PWM 2uA SCP Buffer OUT Buffer OUT Buffer OUT SCP OSC 2kΩ 0.5V 0.5 1V RT 0.74V A 1V DTC RT GND + V NJU7601 PWM/PFM 切り替え 0.8V FB ER・AMP IN- 0.2V 1V Vref PW M/PFM Control Soft Start UVLO Latch PWM 2µA SCP SCP OSC 2kΩ 0.5V 0.5 1V RT 0.74V A 1V DTC RT GND V+ NJU7602 PWM 制御 スタンバイ機能付き FB 0.8V ER・AMP IN1V 0.2V Vref Soft Start UVLO Latch PWM 2µA SCP SCP OSC 2kΩ 0.5V 0.5 1V RT Standby ON/OFF 1V DTC -2- 0.74V A RT GND Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■各ブロックの機能説明 1.スイッチングレギュレータ基本機能 ●エラーアンプ部 (ER⋅AMP) エラーアンプ部の非反転入力は、1.0V±1.5%の高精度基準電圧が接続されています。アンプの反転入力(IN-端子) に、抵抗分割されたコンバータ出力を入力することで出力電圧を設定します。 アンプ部は高利得のゲインを持ち、フィードバック(FB 端子)が外部に出ております。FB 端子−IN-端子間にフィー ドバック抵抗・コンデンサを設けることが容易なため、各種アプリケーションにおける最適なループ補償を設定でき ます。 ●発振回路部 (OSC) 発振周波数は、RT 端子に、抵抗を GND 間に挿入することで発振周波数が設定できます。データ−シートの「タイ ミング抵抗対発振周波数」特性例を参考に 300kHz∼1MHz の間で設定してください。 発振回路における三角波は、0.2V∼0.8V の振幅を IC 内部で生成しております。 ●PWM 比較器部 (PWM) エラーアンプと三角波の信号を受け、スイッチングのデューティー比をコントロールします。 さらにソフトスタート、デットタイムコントロールの信号も組み合わせる事で、電源起動時から最大負荷時まで、 アプリケーションに合わせた外部設定を可能にしています。 ●PWM/PFM 切り替え機能 (PWM/PFM control: NJU7601 のみ) PWM 比較器部のデューティーが 25% typ.以下ではスイッチング出力を停止し、次以降の周期でスイッチングを行 います。昇圧アプリケーションのデューティー比は、次式で表されます。 duty = 1 − VIN VOUT (但し、電流連続モードの場合、回路上の損失は含みません。 ) 昇圧率が低いアプリケーションでは、定常動作時のデューティーが 25%以下となる場合があります。この様な条件 では、常に PWM/PFM 切り替え機能が働くため、PWM 制御タイプの NJU7600/02 をご使用ください。 ●出力段 (Buffer) 出力段には、高速で電流を流せるトーテムポール形式の Buffer を組 み込んでします。そのためスイッチング素子の N-ch MOSFET を効率 よく駆動する事が可能です。 ゲート容量のチャージ/ディスチャージには急激な電流変化を伴う ため、寄生インダクタンス成分等によりスパイクノイズが出ることが あります。ゲート容量が小さい場合は、OUT 端子−ゲート間に抵抗を 挿入し適度に電流を制限してください(図1参照) 。抵抗が大きすぎ ると波形がなまってしまい効率を低下させますので、実機評価のうえ 最適値を決定してください。 また低電圧誤動作防止回路、短絡保護回路からの信号を受け、スイ ッチング動作を最優先で停止できるようになっています。 UVLO, SCP からの スイッチング停止信号 OUT PWM より FET Buffer ゲート抵抗 図1 出力段とゲート抵抗 ●電源、GND 端子 (V+, GND) スイッチング素子の駆動に伴い、周波数に応じた電流が IC に流れます。電源ラインのインピーダンスが高いと電源 供給が不安定になり、IC の性能を十分に引き出せません。V+端子−GND 端子間の近傍にバイパスコンデンサを挿入 し、高周波インピーダンスを下げてください。 Ver.2006-07-13 -3- NJU7600/01/02 Application Manual ■各ブロックの機能説明(続き) 2.保護機能、付加機能 ●低電圧誤動作防止回路 (UVLO) IC の電源電圧が低い場合、低電圧誤動作防止回路によって出力を OFF させます。本回路には、電源電圧の立ち上 がりと立ち下がりにヒステリシス電圧幅を持たせています。これは低電圧誤動作防止回路が ON/OFF して、IC 動作 のばたつきを防止するためです。 ●スタンバイ機能 (Standby ON/OFF: NJU7602 のみ) タイミング抵抗 RT-GND 間を MOSFET 等でハイインピーダ ンスにする事で、IC をスタンバイ状態にできます(図2参照) 。 スタンバイに移行するための RT 端子抵抗値は 2MΩ typ.で す。MOSFET のリーク電流を補償するため、プルアップ抵抗 RP を挿入してください。MOSFET のリーク電流を ILEAK=1µA とした場合、プルアップ抵抗 RP は次式で表されます。 RP < 0 .3 ILEAK = PWM へ OSC 0.5V Standby ON/OFF RT 0 .3 = 300 [kΩ] 1µA + V RT ON/OFF control High: ON Low : OFF (Standby) RP ILEAK 図2 スタンバイ機能の構成 -4- Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■各ブロックの機能説明(続き) ●ソフトスタート機能 (Soft Start) 16ms typ.のソフトスタート機能を内蔵しており、UVLO 解除、NJU7602はスタンバイからの復帰後、動作を開始し ます。PWMコンパレーターで制御される最大デューティ ーが徐々に上昇し、最終的に90% typ.出力が可能となりま す。 またDTC端子にコンデンサをつけることで、ソフトスタ ート時間を長くすることも可能です(図3参照) 。この場合 のソフトスタートは、DTC端子電圧をCSコンデンサで遅延 させる事により、徐々にデューティーが開く制御になって おります。 充電電流IDTC、ソフトスタート時間TSSは、下記計算式で 表す事ができます。 IDTC = 0.5 / RT [A] TSS = CS×0.74V / IDTC [s] 起動時のタイミングチャートについては、 図4を参考にしてください。 Soft Start PWM ER⋅AMP より Latch へ 保護回路より OSC 0.5V 0.5 RT A DTC CS 0.74V RT RDTC RT 図3 ソフトスタート、デットタイム機能 ●デットタイムコントロール機能 (DTC) IC 内部では、スイッチング出力が ON し続けないように、最大デューティー90% typ.に設定されています。 最大デューティーを下げて使用する場合には、DTC 端子に抵抗をつけることでコントロールが可能です。 この時の最大デューティー比は、下記計算式で表す事ができます。 MAXDUTY = (VDTC−0.2) / 0.6×100 [%] RDTC= VDTC/IDTC [Ω] VREF= 1.0V ER⋅AMP IN+ ER⋅AMP INSCP 電圧 FB 電圧 0.8V 0.74V 休止期間設定電圧 0.2V OUT OSC ←UVLO :ON V+=2V SoftStart 時間 Tss=16ms(typ.)* UVLO:ON から Duty=80%まで 通常動作 SoftStart 効果期間 Duty=90%(typ.)*まで *:IC 内部で設定されたソフトスタート時間、最大デューティーとした場合。 DTC 端子使用時は、外付けのコンデンサ Cs、抵抗 RDTC で設定された値に応じて変化します。 図4 起動時のタイミングチャート Ver.2006-07-13 -5- NJU7600/01/02 Application Manual ■各ブロックの機能説明(続き) ●短絡保護回路 (SCP, Latch) 出力の過負荷や短絡、入力電圧不足等により、出力電圧が低下した場合、短絡保護回路が動作しスイッチン グ出力を停止します。停止するメカニズムは次の様になります。 (図5参照) ①エラーアンプ入力が低下し、エラーアンプ出力: High レベル ②スレッシホールド電圧を超えると、アンプ1出力: Low レベル ③FET が OFF となり、CSCP コンデンサに ICHG=2µA で充電が開始 ④SCP のスレッシホールド電圧を超えると、SCP 出力: High レベル ⑤スイッチング出力が停止し、ラッチモードへ移行 FB 短絡保護回路が動作するまでのタイミングチャートに ① ER⋅AMP 出力 Low→High ついては、図6を参考にしてください。 IN- 出力低下からラッチモードに移行するまでのディレ イ時間は、SCP 端子に接続されるコンデンサにより設 定可能です。 電源投入時は、出力電圧が立ち上がっていないため、 短絡保護回路が動作します。 ディレイ時間 td の設定は、ソフトスタート期間より も長くする必要があります。 td =VT_LA×CSCP / ICHG [s] 1V Vref Soft Start へ UVLO Latch ⑤ 出力停止 Low→High ③ ICHG により SCP 端子電圧 Low→High CSCP セットされたラッチ回路は、次の方法でリセットがで きます。 ・電源再投入(電源電圧:UVLO 検出電圧以下) ・SCP 端子を GND レベルにする。 ・スタンバイ機能による RT 端子開放(NJU7602 のみ) SCP 2uA ② AMP1 出力 High→Low ④ SCP 出力 Low→High 2kΩ 1V 1V ③ FET ON→OFF 図5 短絡保護回路 また短絡保護回路を使用しない場合は、SCP 端子を GND に接続してください。 VREF= 1.0V ER⋅AMP IN+ SCP=1V :ON SCP ER⋅AMP IN- 休止期間設定電圧 Soft Start 電圧 FB 電圧 0.8V 0.74V 0.2V OSC Max Duty DTC 端子未使用時: 90%(typ.) DTC 端子使用時 :設定デューティー OUT 通常動作 ディレイ時間 ラッチモード 図6 短絡保護回路動作時のタイミングチャート -6- Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■アプリケーション情報 NJU7600/01/02 を使用したアプリケーションにおける部品選定について記します。 各条件下において、アプリケーションの最適化ができるよう示します。 ●発振周波数 発振周波数の高速化により、インダクタンス、コンデンサ等の部品を小型化にすることが出来ます。 しかしスイッチング損失が発生することから、変換効率が低下しやすい欠点があります。その結果、熱を放出する のが難しくなり、一概に高速化が有効な手段には結びつきません。 アプリケーションの環境、外付け部品の性能、コスト等を考慮しながら設定する必要があります。 電流値 ピーク電流 Ipk ●インダクタ インダクタンスには大電流が流れるため、飽和し インダクタ ①連続モード ない電流能力を持たせる必要があります。 電流 ΔIL L値を小さくするとインダクタンスのサイズも 小さくなります。しかし、ピーク電流が大きくなり ②臨界モード 効率が悪化します。 ③断続モード 0 反面、L値が大きくなると、スイッチング時のピ NJU7601 は、 ーク電流は低下します。よって変換効率の改善、出 tON tOFF デューティー25% 力リップル電圧の低下につながります。あるレベル 周波数 f OSC 以下でパルススキップ 以上では、インダクタンスの巻数増加により、抵抗 成分による損失(銅損)が大きくなります。 図7 インダクタ電流の状態偏移 理想的には、インダクタンス電流が連続モードになる様にL値を設定します。しかし負荷電流が小さくなる程、① 連続モード → ②臨界モード → ③断続モードと電流波形が変化(図7)していきます。 断続モードにおいては、出力電流に対するピーク電流が大きくなり、変換効率が低下しやすくなります。場合によ ってはL値を大きくし、連続モードの維持できる負荷電流領域を広げます。 NJU7601 の場合は、③断続モードでデューティーが 25% typ.以下になるとパルスをスキップします。 ●キャッチ・ダイオード スイッチング素子が OFF サイクルの時は、インダクタンスに蓄えられた電力がキャッチ・ダイオードを経由して 出力コンデンサに流れます。そのためダイオードにはサイクル毎に、負荷電流に応じた電流が流れます。ダイオード の順方向飽和電圧と電流の積が電力損失となるため、順方向飽和電圧の低い SBD (Schottky Barrier Diode)が最適です。 また SBD は、逆回復時間が短い特徴を併せて持っています。逆回復時間が長くなると、スイッチングトランジス タが OFF から ON サイクルに移行した時、貫通電流が流れてしまいます。この電流によって効率の低下、ノイズの 発生等に影響を及ぼす可能性が有ります。 スイッチング素子が ON サイクルの時は、ダイオードに逆電圧が印可された状態になります。ダイオードの耐圧に は、最大出力電圧以上の余裕を持たせてください。 ●スイッチング素子 スイッチング素子には、スイッチング用途に指定されたものをお奨めいたします。 MOSFET の選定には、ゲートの閾値電圧を考慮する必要があります。特に入力電圧が低くなると、OUT 端子から 出力されるゲート駆動電圧も低下します。そのため MOSFET の閾値電圧が高いと、ドレイン・ソース間が十分に ON し切れず、最適な効率が望めない事があります。 またゲート容量が大きいのも効率を低下させる要因につながります。ゲート容量への充放電により、スイッチング の立ち上がり/立ち下がり時間が遅れ、スイッチング損失が発生します。その他にスイッチングのピーク電流、耐圧、 パッケージの許容損失、安全動作領域等を考慮し決めてください。 Ver.2006-07-13 -7- NJU7600/01/02 Application Manual ■アプリケーション情報(続き) ●入力コンデンサ スイッチングレギュレータの入力部には、周波数に応じた過渡的な電流が流れます。電源回路に供給される電源イ ンピーダンスが大きいと入力電圧の変動につながり、NJU7600/01/02 の性能を十分に引き出せません。よって入力コ ンデンサは、できる限りインダクタンスの近くに挿入してください。 また MOSFET の高速駆動を行う IC の電源ラインも重要です。IC の V+端子-GND 端子間にセラミックコンデンサ を挿入することで、高周波インピーダンスを十分に下げることをお奨めいたします。 ●出力コンデンサ 出力コンデンサは、インダクタンスからの電力を蓄え、出力への供給電圧を安定させる役割をします。 出力コンデンサの選定には、ESR(等価直列抵抗:Equivalent Series Resistance)の特性、リップル電流、耐圧を考 慮に入れる必要が有ります。 特にリップル電流、耐圧は、入力コンデンサ同様、コンデンサの定格以下で使用しなければいけません。 また周囲温度によっては、コンデンサの容量低下、ESR の増加(低温時) 、寿命(高温時)へ影響を与えます。出 力コンデンサの定格には、十分なディレーティングを持たせるのが望ましい使い方です。 出力コンデンサの ESR 特性は、出力リップルノイズへ大きな影響を与えます。低 ESR タイプのコンデンサであれ ば、更にリップル電圧を下げることが出来ます。また、コンデンサの ESR を下げる方法として、出力コンデンサを 並列接続する方法が有ります。この場合、1個の大容量コンデンサよりも高周波インピーダンスを下げられる場合が 有ります。ただし同じ特性のコンデンサを使用しないと、温度特性、ばらつきによっては、リップル電流の流れる割 合が大きくずれてしまう可能性があります。 ●基板レイアウト 大電流のスイッチングにより、GND ラインの 不安定化、輻射ノイズの発生を抑えるため、基板 のレイアウトは重要な項目です。大電流の流れる ラインは太く、短くし、ループ面積を最小限にし てください。 (図8参照) tOFF 時 SBD L VIN VOUT tON 時 CIN COUT FET GND ラインは、パワー系と信号系を分離した 上で1点アースをとるのが望ましい接続です。 また電圧検出のフィードバックラインは、でき るだけインダクタンスから離します。本ラインは インピーダンスが高いため、インダクタンスから の漏れ磁束でノイズの影響を避けるように配線 します。 -8- NJU7600/01/02 図8 基板配線例 Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■アプリケーション設計 昇圧アプリケーション回路例 ●設計条件 入力電圧 出力電圧 出力電流 :VIN=3.3V :VOUT=9V (typ.) :IOUT=150mA (typ.) 出力リップル電圧 変換効率 部品の高さ :Vripple(P-P)=30mV 以下 :η=80%以上 :1.2mm 以下 SBD L 4.7µH/0.8A + V VOUT CIN 15µF/12.5V C 0.1µF CNF 2,200pF RNF 22kΩ R2 120kΩ NJU7600/01 + FET 1 V OUT 8 2 FB GND 7 3 IN- RT 6 SCP DTC 5 COUT 15µF/12.5V R1 15kΩ RT 47kΩ 4 CSCP 0.1µF GND RDTC Open CS Open L :Sumida CLS4D11-4R7J :Sanyo CPH3417 FET :Nihon Inter EP10QY03 SBD CIN ,COUT :Panasonic EEFFD1B150R ●発振周波数の設定 アプリケーションの小型化を図るため、発振周波数を 700kHz に設定します。 発振周波数の特性例より、RT=47 [kΩ]、t=1.43[µs]となります。 スイッチングの ON/OFF (tON/tOFF)時間は、 VOUT = t ON + t OFF × VIN t OFF より、 t ON = VOUT − VIN 9 − 3.3 = = 0.9 [µs] VOUT × fOSC 9 × 700k tON=0.9 [µs], tOFF=0.53 [µs], duty=63[%] で動作します。 Ver.2006-07-13 -9- NJU7600/01/02 Application Manual ■アプリケーション設計例(続き) ●インダクタンスの決定 連続モードとなる条件においてインダクタンス L は、下記計算式より求めます。 VIN L= 2 2 × VOUT × IOUT × t ON = 3.3 2 × 0.9µ = 3.63µ ⇒ 4.7 [µH] 2 × 9 × 0.15 ピーク電流 Ipk 連続動作条件となる負荷電流を確認します。 2 IOUT VIN 3.3 2 ≥ × t ON = × 0.9µ = 115 [mA ] 2 × L × VOUT 2 × 4.7µ × 9 インダクタ電流 ΔIL 0 スイッチング時のピーク電流 Ipk を求めます。 IPK ×I V V = OUT OUT + IN × t ON VIN 2×L = 9 × 0.15 3.3 + × 0.9µ = 725 [mA ] 3.3 2 × 4.7µ リップル電流⊿IL を求めます。 ∆IL = VIN 3.3 × t ON = × 0.9µ = 631 [mA ] L 4.7µ tON tOFF 周波数 fOSC ON スイッチ出力 OFF 図9 インダクタ電流波形 インダクタンスに流せる電流は、スイッチング時のピーク電流に対して十分な余裕を持たせます。 アプリケーション回路では、次の様なアイテムを選択します。 :4.7µH/0.8A(Sumida) CLS4D11-4R7 :4.7µH/1.1A(TDK) VLF4012AT-4R7 インダクタンス L は、理論上の値であり、アプリケーションの仕様、部品等によって最適な値は異なりますので、 最終的には実機で微調整を行います。 ●出力コンデンサの決定 出力コンデンサは、出力のリップルノイズを決める重要な部品です。出力コンデンサは、ESR(等価直列抵抗) 、 リップル電流、コンデンサ耐圧に重点をおいて決定します。 出力リップル電圧 Vripple(P-P)=30mV 以下としたいため、出力コンデンサの ESR を下記式にて求めます。 ESR = Vripple( p −p ) ∆ IL = 30m = 48 [m Ω] 631m また出力容量の選定には、十分なリップル電流を許容できる物を選びます。 コンデンサに流れるリップル電流の実効値(Irms)は、下記計算式より求められます。 Irms = ∆ IL 2 3 × ton 631m 0.9µ = × = 112 [mArms ] t 2 3 1.47 µ ここでは十分なマージンをふまえて、上記スペックを満たせるコンデンサを使用します。アプリケーション回路で は、機能性高分子タイプの低ESRコンデンサCOUT=15µF/12.5V, Panasonic EEFFD1B150Rを使用します。 - 10 - Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■アプリケーション設計例(続き) ●電圧検出回路部の決定 出力電圧 VOUT は、R1,R2 の抵抗比で決まります。R1,R2 に流れる電流は、ER・AMP に流れるバイアス電流を無視 できるような値とします。 一般的に R1,R2 に流れる電流は、IB(max.)に対して 100 倍以上になるように抵抗を選定します。 R2 120k + 1 × VREF = + 1 × 1 = 9 [ V ] VOUT = R1 15k 本アプリケーションでは、R1=15kΩ、R2=120kΩで出力電圧=9V に設定します。 NJU7600/01/02 のエラーアンプ出力は、FB 端子に接続されているため、フィードバックを容易にかけることが出 来ます。エラーアンプにおける電圧検出は、DC 成分を重視します。AC 成分は、スイッチングノイズ、商用リップル ノイズ等の成分が多いため、ゲインを大きくするとスイッチングレギュレータの安定性に影響を与えます。 エラーアンプ出力の帰還方法は、抵抗とコンデンサの並列接続や、直列接続など様々な方法があります。 フィルタを構成し DC 成分のゲインを十分に上げ、AC 成分のゲインを下げる接続方法をとります。 本アプリケーションでは、帰還抵抗 RNF=22kΩとコンデンサ CNF=2,200pF を直列接続します。 ただし AC 成分のゲインを下げ過ぎますと、急激な負荷変動に追従できなくなる可能性があります。アプリケーシ ョンの部品、レイアウト、環境などによって異なる為、カットアンドトライで最適化することをお奨めします。 また、帰還抵抗がエラーアンプの入出力に直結される場合、フィードバック電流も考慮する必要があります。帰還 抵抗値が小さいとエラーアンプの電流能力や、電圧検出抵抗 R1 に電流が流れ込み、出力電圧誤差が大きくなります。 帰還抵抗を 100kΩ以上に設定することで、これらの影響は最小限に抑えられます。 ●付加機能、保護機能の設定 5、6ページ目に記載されている「各ブロックの説明」を参考にしながら決定してください。 ・ソフトスタート機能 IC 内蔵のソフトスタート時間 Tss=16ms とします。そのため、コンデンサ Cs は接続しません。 外部設定する場合は、下記計算式より求めます。 IDTC = 0.5 / RT [A] TSS = CS×0.74V / IDTC [s] ・デットタイムコントロール機能 IC で設定されている DUTYMAX=90%とします。そのため、抵抗 RDTC は接続しません。 外部設定する場合は、下記計算式より求めます。 MAXDUTY = (VDTC−0.2) / 0.6×100 [%] RDTC= VDTC/IDTC [Ω] ・短絡保護機能 SCP 端子にコンデンサ CSCP を接続する事で、ラッチモードに移行するまでのタイマー時間 td を設定します。 td=50ms とすると CSCP は、下記計算式で求められます。 CSCP = td×ICHG /VT_LA = 50ms×2µ /1 = 0.1 [µF] Ver.2006-07-13 - 11 - NJU7600/01/02 Application Manual ■NJU7600/02 アプリケーション特性例 ●VOUT=3.3V 設定時(R1=13kΩ, R2=30kΩ) Output Voltage vs. Output Current =3.3V, Ta=25oC) OUT (V) f=700kHz L=4.7µH V =2.5V IN 1 10 100 Output Current IOUT (mA) (Ta=25oC) 3.4 OUT 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (V Output Voltage V Efficiency η (%) Efficiency vs. Output Current 3.35 3.3 3.25 IN 3.2 1000 f=700kHz L=4.7µH V =2.5V 1 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 ●VOUT=5.0V 設定時(R1=7.5kΩ, R2=30kΩ) Output Voltage vs. Output Current Efficiency vs. Output Current (V) VIN=2.5V f=700kHz L=4.7µH V =3.3V IN 1 10 100 Output Current IOUT (mA) (Ta=25oC) 5.1 OUT 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (VOUT=5.0V, Ta=25 C) Output Voltage V Efficiency η (%) o 5.05 5 4.95 f=700kHz L=4.7µH V =2.5V IN V =3.3V IN 4.9 1000 1 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 ●VOUT=9V 設定時(R1=15kΩ, R2=120kΩ) Output Voltage vs. Output Current - 12 - =9.0V, Ta=25 C) V =2.5V IN V =3.3V IN VIN=5.0V 1 (Ta=25oC) 9.2 OUT (V) (V OUT 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 o f=700kHz L=4.7µH 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 Output Voltage V Efficiency η (%) Efficiency vs. Output Current 9.15 9.1 9.05 9 8.95 V =2.5V 8.9 IN V =3.3V IN 8.85 8.8 VIN=5.0V 1 f=700kHz L=4.7µH 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■NJU7601 アプリケーション特性例 ●VOUT=3.3V 設定時(R1=13kΩ, R2=30kΩ) Output Voltage vs. Output Current Efficiency vs. Output Current =3.3V, Ta=25 C) (V) OUT f=700kHz L=4.7µH V =2.5V IN 1 (Ta=25oC) 3.4 OUT 10 100 Output Current IOUT (mA) Output Voltage V Efficiency η (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (V o 3.35 3.3 3.25 IN 3.2 1000 f=700kHz L=4.7µH V =2.5V 1 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 ●VOUT=5.0V 設定時(R1=7.5kΩ, R2=30kΩ) Output Voltage vs. Output Current Efficiency vs. Output Current =5.0V, Ta=25 C) OUT VIN=2.5V f=700kHz L=4.7µH V =3.3V IN 1 10 100 Output Current IOUT (mA) (Ta=25oC) 5.1 OUT (V) (V Output Voltage V Efficiency η (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 o 5.05 5 4.95 f=700kHz L=4.7µH V =2.5V IN V =3.3V IN 4.9 1000 1 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 ●VOUT=9V 設定時(R1=15kΩ, R2=120kΩ) Output Voltage vs. Output Current Ver.2006-07-13 =9.0V, Ta=25 C) (V) V =2.5V IN V =3.3V IN VIN=5.0V 1 (Ta=25oC) 9.2 OUT OUT 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (V o f=700kHz L=4.7µH 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 Output Voltage V Efficiency η (%) Efficiency vs. Output Current 9.15 9.1 9.05 9 8.95 V =2.5V 8.9 IN VIN=3.3V 8.85 8.8 V =5.0V IN 1 f=700kHz L=4.7µH 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 - 13 - NJU7600/01/02 Application Manual ■応用回路 多出力昇圧回路例 (9V,18V,-9V) VOUT2 18V/20mA C1 0.1µF C2 1µF SBD L 4.7µH/0.8A + V VOUT1 9V/100mA CIN 15µF C 0.1µF R2 120kΩ NJU7600 1 + V FET COUT 15µF 8 OUT To 3pin CNF 2,200pF RNF 22kΩ 2 FB GND 7 3 IN- RT 6 DTC 5 RT 47kΩ 4 To R1,R2 SCP CSCP 0.1µF RDTC Open C3 0.1µF R1 15kΩ VOUT3 -9V/20mA C4 1µF CS Open GND :Sumida CLS4D11-4R7J L FET :Sanyo CPH3417 :Nihon Inter EP10QY03 SBD CIN ,COUT :Panasonic EEFFD1B150R ●アプリケーション特性例 電源起動波形 (Ta=25°C) Output Voltage vs. Output Current (VOUT1=9V/100mA, Ta=25oC) (V) 30 Output Voltage V OUT 20 VOUT1= 9V/100mA VOUT2 10 0 VOUT3 -10 f=700kHz L=4.7µH -20 -30 - 14 - VOUT2= 18V/20mA 0 5 10 15 20 25 Output Current IOUT (mA) 30 5V/div 1ms/div VOUT3= -9V/20mA Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual ■応用回路 昇降圧コンバータ(SEPIC)回路例 C1 2.2µF/16V + V SBD VOUT 3.3V L 6.8µH CIN 15µF/12.5V C 0.1µF COUT 15µF/12.5V NJU7600 CNF 2,200pF RNF 22kΩ + R2 30kΩ FET 1 V OUT 8 2 FB GND 7 3 IN- RT 6 4 SCP DTC 5 R1 15kΩ RT 47kΩ CSCP 0.1µF GND RDTC Open CS Open :Sumida CLS6D28 L :Sanyo CPH3417 FET :Nihon Inter EP10LA03 SBD CIN ,COUT :Panasonic EEFFD1B150R :Murata GRM32MD11C225KC01B C1 ●VOUT=3.3V 設定時(R1=15kΩ, R2=30kΩ) Efficiency vs. Output Current Output Voltage vs. Output Current (VOUT=3.3V, Ta=25 C) (V) V =2.5V IN V =3.0V IN VIN=5.0V 1 f=700kHz L=6.8µH 10 100 Output Current IOUT (mA) (Ta=25oC) 3.4 OUT 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Output Voltage V Efficiency η (%) o 3.35 3.3 IN f=700kHz L=6.8µH VIN=3.0V V =5.0V 3.2 1000 V =2.5V 3.25 IN 1 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 ●VOUT=5.0V 設定時(R1=7.5kΩ, R2=30kΩ) Ver.2006-07-13 (V) V =3.0V IN VIN=6.0V V =8.0V IN 1 f=700kHz L=6.8µH 10 100 Output Current IOUT (mA) (Ta=25oC) 5.1 OUT 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 Output Voltage vs. Output Current (VOUT=5.0V, Ta=25oC) 1000 Output Voltage V Efficiency η (%) Efficiency vs. Output Current 5.05 5 V =3.0V 4.95 IN VIN=6.0V V =8.0V 4.9 IN 1 f=700kHz L=6.8µH 10 100 Output Current IOUT (mA) 1000 - 15 - NJU7600/01/02 Application Manual ■応用回路 フライバック多出力回路例 T + V CNF RNF D2 NJU7600 + V OUT 8 2 FB GND 7 VO=5V CO2 FET 1 VO=12V CO1 CIN C D1 D3 VO=-12V RT 3 IN- RT 6 4 SCP DTC 5 CSCP RDTC CO3 R2 CS R1 - 16 - Ver.2006-07-13 NJU7600/01/02 Application Manual MEMO <注意事項> このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。また、 工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴 うものではなく、第三者の権利を侵害しない ことを保証するものでもありません。 Ver.2006-07-13 - 17 -