テクニカルガイド 2(672KB)

2015-01
主な使用事例
2
回路使用上の注意
1.
ラッシュ電流抑制方法の説明
3
2.
ラッシュ電流の抑制方法の例
4
3.
急速放電の電流抑制
5
4.
OS-CONとアルミ電解コンデンサ並列接続時の注意
6
応 用
7-15
1.
OS-CONのリプル電圧低減能力
2.
OS-CONの高速バックアップ能力(負荷変動用バックアップコンデンサ)
3.
スイッチング電源の出力リプルが実際の画像に与える影響
16-18
19
4.
OS-CONの等価回路モデル
20-22
5.
ローパス・フィルタ回路での応用
23-24
6.
スイッチング電源の平滑コンデンサへの応用
25-29
コンデンサ選定ヒアリングシート
30
ご使用にあたって
■本ノート記載の内容は定められた条件下において、記載製品単体の性能・特性・機能などを規定するものであり、お客様の製品(機器)での性能・特性・
機能などを保証するものではありません。記載製品単体の評価では予測できない不具合・事態を確認するためにも、納入仕様書を御請求、確認の上、お客
様の製品で必要とされる評価・試験を必ず行ってください。
■本掲載内容は、予告なく変更することがあります。
■弊社の承諾なしに、
本ノートの一部または全部を、転載または複製することを禁止します。
industrial.panasonic.com/jp/
主な使用事例
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
OS-CONの主な使用事例
Vout
Vin
回路設計におけるラインインピーダンスの低減のた
め 、O S - C O N を 含 め 各 種 コ ン デ ン サ は 、バ ック
電源回路における平滑用コンデンサ
アップ用途やバイパスコンデンサとして幅広く利用
されています。
特に超 低 E S RのO S - C O Nは 、電 解コンデンサを
より小さな実装面積で置き換えることができ、電源
回路で主流となっているスイッチング電源において
フィルタ回路におけるコンデンサ
リプルノイズを除去する平滑回路用に、また小型・
デジタル化によって発生しやすいノイズを除去する
フィルタ回路用に、
大きく貢献しています。
OS-CONは温度特性変化も小さく、幅広い環境の
中で安定した機器動作を実現しています。
バックアップ用コンデンサ
バイパスコンデンサ
IC
これらのことからO S - C O Nはノイズトラブルが
少なく、設計期間短縮や小型化設計を図ることが
できます。
回路使用上の注意
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
1. ラッシュ電流抑制方法の説明
図1の回路でOS-CONを使用した時、
ESRが極めて小さいため過大なラッシュ電流が流れる可能性があります。
ラッシュ電流は10A以下に抑制してください。
OS-CONの許容リプル電流値の10倍が、
10Aを超える場合は、許容リプル電流の10倍以下になるようにしてください。
1-1. DC-DCコンバータ入力回路の場合
(a) 通常、
DC-DCコンバータ回路は基板ブロックの形態であり高性能
小型化のため入力部に低ESRのコンデンサが用いられます。
(b) DC-DCコンバータの調整・検査時に設備から流れ込むラッシュ
*DC-DCコンバータの回路ブロックの電圧調整・検査時に調整・検査設備から供給される電源の
インピーダンスが極めて低い時、電流リミッタ等の電流抑制機能が装備されている場合でも、
OS-CONに極端に大きなラッシュ電流が流れる可能性があります。
(図1参照)
*DC-DCコンバータの調整・検査設備においてラッシュ電流抑制の対応が必要となります。
電流に対する配慮が必要となります。
(P13参照)
1-2. 充電電池で駆動される回路の場合
(a) 電池・充電電池を装備した回路の電源ラインに、
高性能化・
小型化のためOS-CONのような極めて低ESRのコンデンサが
*ニッケル・カドニウム充電電池等の内部抵抗の極めて小さな電池で駆動される回路において、
電源ラインに配備される低ESRコンデンサには電源ON時に極端に大きなラッシュ電流が流れる
可能性があります。
(図1参照)
用いられます。
インダクタンス・コイル
*充電電池のラッシュ電流の抑制方法として、左図のような保護回路が用いられます。
電流方向
*主な注意点
逆起電力吸収時のダイオードのピーク電流値。
逆起電力吸収用ダイオード
1-3. 保護抵抗が無い場合のラッシュ電流
図1においてZ
(保護抵抗)
が無い場合で電源がRe≒0Ωの時、OS-CONのラッシュ電流は概略次の通りです。
ラッシュ電 流(A )=
D C 供給電圧(E )
図1
Z
(保護抵抗)
E S R+R e+Z(Ω)
コンデンサ
( 例)2 5 S V P D 1 0 Mの場合
E S R=6 5 mΩ以下/D C供給電圧=2 0 Vの時
20V
0.065Ω以下
=3 0 0 A 以上となる。
電源内部
抵抗 Re
ESR
負荷抵抗
容量
電源電圧 E
回路使用上の注意
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
2. ラッシュ電流の抑制方法の例
2-1. 抵抗方式
2-2. 抵抗+リレー方式
リレー接点
R 電流抑制用抵抗
コンデンサ
電源内部
電源内部
ESR
抵抗 Re
抵抗 Re
容量
電源電圧 E
ESR
リレーの
コイル
容量
電源電圧 E
(a) ラッシュ電流は概略下記のようになります。
ラッシュ電流
(A)
=
コンデンサ
R
E
(V)
Re+ESR+R
(Ω)
(b) 通常、
ReとESRは小さいのでラッシュ電流は主にRで決まります。
(a) ラッシュ電流は抵抗方式と全く同じですが、
リレーの接点がONになって
からは抑制用抵抗による電圧降下はほとんどなくなります。
(b) 注意点はコンデンサが充電し終わってから、
リレー接点をONさせるように
時間、
または電圧設定が必要な点です。
(c) この方式の場合、
簡潔・明確に電流抑制を行えますが抑制用抵抗Rによる
電圧降下があります。
2-3. 抵抗+MOS-FET方式
2-4. パワーサーミスタ
R
パワーサーミスタ
コンデンサ
電源内部
ESR
抵抗 Re
電源電圧 E
MOS-FET
コンデンサ
電源内部
抵抗 Re
容量
電源電圧 E
ESR
容量
(a) 市販のパワーサーミスタの一例
では25℃において8Ωですが
130℃では0.62Ωとなります。
(a) 抵抗方式と同様に抑制抵抗Rを用いてラッシュ電流を抑制しますが、
(a) パワーサーミスタを上図のように接続するとSWを投入した時点では大きな
MOS-FETがONになってからは、
抑制抵抗Rによる電圧降下はほとんど
抵抗値によってラッシュ電流が抑制されます。
なくなります。
その後、
出力損失
(電圧降下)
を軽減していきます。
(b) 注意点は抵抗+リレー方式と同じく、
コンデンサが充電し終わってから、
MOS-FETをONさせるように時間、
または電圧設定が必要な点です。
(b) パワーサーミスタには熱定数がありSWを切った瞬間に初期状態の大きな
抵抗値には戻りません。
回路使用上の注意
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
3. 急速放電の電流抑制
OS-CONはESRが極めて小さいので、放電時に負荷のインピーダンスが極端に小さいと瞬間的に大きな放電電流が流れる可能性があります。
OS-CONに充電された電荷を短絡放電すると極端に大きな放電電流が流れる可能性があります。
保護抵抗
*放電の等価回路は左図のようになります。
Z1
*放電電流の概算式は次のようになります。
コンデンサ
ESR
容量
負荷
回路
放電電流(A)
=
充電電圧(V)
ESR+Z1+Z2
(Ω)
Z2
(例)25SVPD10Mの場合
・ESR=65mΩ以下
・充電電圧=20V の設定時
・Z1、
Z2=0Ω
放電電流(A)
=
充電電圧20V
ESR 0.065Ω以下
=300A以上
OS-CONを急速放電動作で使用する場合は上記の概算式を目安にして、
放電ピーク電流は10A以下で回路を構成してください。
ただし、
OS-CONの許容リプル電流値の10倍が
10Aを超える場合、
許容リプル電流の10倍以下としてください。
回路使用上の注意
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
4. OS-CONとアルミ電解コンデンサ並列接続時の注意
リプル吸収用コンデンサのスペースファクター及びコストパフォーマンス改善策として、
アルミ電解コンデンサとOS-CONを並列接続で使用する場合、
下記内容を参考に
してください。
図1
lr
lr1
lr2
(a)並列接続された各コンデンサに流れるリプル電流は図1の基本
C1
等価回路の値を入れて求めます。
(b)100kHz∼数MHzの周波数を対象として考えた時、図1の等価
C2
ESR1
ESR2
Zc1
Zc2
回路はおおむね図2のように簡素化できます。
(但し、
コンデンサの容量値を10μF以上と想定した場合)
Ir :総リプル電流
ESR:コンデンサの等価直列抵抗
Zc :コンデンサの容量成分の
インピーダンス
図1の各Zcは100kHz以上の周波数領域において10μF以上であればインピーダンスが極めて小さくなるので省略でき実際に流れるリプル電流値は図2のようになります。
図2
lr=1000mArms
lr1
lr2
OS-CON100μF
AI-E1000μF
ESR1
ESR2
30mΩ
80mΩ
(c)このようにOS-CONは容量値が1/10にもかかわらず総リプル電流の73%が
流れることになります。
(d)OS-CONとアルミ電解コンデンサの並列接続での使用は、OS-CONに
多くのリプル電流が流れますので定格リプル電流に十分余裕をもった
OS-CONを選定してください。
リプル電流値算出式
Ir1 = Ir×
ESR2
ESR1+ESR2
= 1000mA×
80mΩ
≒ 727mArms
30mΩ+80mΩ
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
1. OS-CONのリプル電圧低減能力
スイッチング電源は小型化指向ですが、コンデンサは基板内で大きな面積を占める部品のひとつです。
しかも、コンデンサは一般的に使用温度によって特性が大きく変化するため、使用温度範囲を考慮した選定が必要です。
そこで、広範囲な使用温度範囲でのOS-CONの高い周波数でのリプル電圧低減能力を以下の実験で説明します。
1-1. 同等リプル電圧におけるコンデンサ員数の違い
L
VOUT=3.3V, IOUT=3A
オシロスコープ
(a) 実験内容
一般的なチョッパ方式スイッチング電源を用いて、周囲温度が25℃、−20℃、
70℃の場合において、出力側平滑回路のコンデンサに、OS-CON・低インピー
+
VIN=
5V
SW IC
RL
C
200kHz
ダンスアルミ電解コンデンサ・低ESRタンタルコンデンサを接続し、出力リプル
電圧を比較します。
測定試料
(1)上図出力側平滑コンデンサ(C)にOS-CON・100μF/6.3V(6SVP100M・φ6.3㎜×6㎜)を使用して、各周囲温度でのリプル電圧を測定。(表3参照)
(2)OS-CON・100μF/6.3Vを使用した時と同等のリプル電圧となるように、各周囲温度にて、低インピーダンスアルミ電解コンデンサ・低ESRタンタルコンデンサを
選択し測定。(表3参照)
(3)25℃時の条件で同等数の出力側平滑コンデンサで、−20℃、70℃におけるリプル電圧を測定し、その変化量から平滑コンデンサのESR変化率を算出。(表2参照)
(b) 実験結果
表1 各温度におけるコンデンサ実装面積比
表2 25℃を基準としたESR変化率(※)
(リプル電圧を同一レベルとした時)
周囲温度
OS-CON
25℃
1
7.15
−20℃
1
70℃
1
アルミ電解コンデンサ タンタルコンデンサ
周囲温度
OS-CON
1.46
25℃
1
1
1
16.7 1.46
−20℃
1.14
3.03
1.27
4.77
1.46
70℃
0.952
0.587
0.85
アルミ電解コンデンサ タンタルコンデンサ
周囲温度時のリプル電圧×周囲温度時の発振周波数
※ESR変化率 = 25℃時のリプル電圧×25℃時の発振周波数
この結果からも、OS-CONがいかに温度特性に優れているかがわかります。
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
表3 25℃での各コンデンサ測定比較
周囲温度
25℃
コンデンサの種類
OS-CON
アルミ電解コンデンサ
タンタルコンデンサ
容量/電圧
100μF/6.3V
680μF/6.3V
100μF/10V
サイズ(※1)(㎜)
6.6×6.6
10.5×10.5
7.5×4.5
1
7.15
1.46
員 数
実装面積比
200kHz
発振周波数
22.8mV
リプル電圧
23.8mV
Fig1
24.8mV
Fig2
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
22.8mV
Fig3
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
24.8mV
23.8mV
Fig
200kHz
200kHz
200kHz
※1 Ta以外は素子径ではなく座板寸法が最大寸法。
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
表4 -20℃での各コンデンサ測定比較
周囲温度
-20℃
コンデンサの種類
OS-CON
アルミ電解コンデンサ
タンタルコンデンサ
容量/電圧
100μF/6.3V
680μF/6.3V
100μF/10V
サイズ(※1)(㎜)
6.6×6.6
10.5×10.5
7.5×4.5
1
16.7
1.46
員 数
実装面積比
発振周波数
250kHz
リプル電圧
20.8mV
24.4mV
Fig4
25.2mV
Fig5
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
Fig6
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
25.2mV
24.4mV
20.8mV
(2us/div)
CH1 = 20mV
AC 1:1
Fig
250kHz
250kHz
250kHz
※1 Ta以外は素子径ではなく座板寸法が最大寸法。
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
表5 70℃での各コンデンサ測定比較
周囲温度
70℃
コンデンサの種類
OS-CON
アルミ電解コンデンサ
タンタルコンデンサ
容量/電圧
100μF/6.3V
680μF/6.3V
100μF/10V
サイズ(※1)(㎜)
6.6×6.6
10.5×10.5
7.5×4.5
1
4.77
1.46
員 数
実装面積比
170kHz
発振周波数
25.6mV
リプル電圧
24.0mV
Fig7
24.8mV
Fig8
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
25.6mV
Fig9
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
(2us/div)
CH1=20mV
AC 1:1
24.8mV
24.0mV
Fig
170kHz
170kHz
170kHz
※1 Ta以外は素子径ではなく座板寸法が最大寸法。
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
1-2. 耐久性試験前後のリプル電圧の違い
(a) 実験内容
チョッパ方式のスイッチング電源を用いて、出力側平滑回路のコンデンサに、OS-CON・低インピーダンスアルミ電解コンデンサを接続し、それぞれ耐久性試験(125℃×
定格電圧印加×1,000h)
投入前後の出力リプル電圧を比較。
リプル電圧測定は25℃、
0℃、
−20℃の周囲温度の中で実施。
L
オシロスコープ
VOUT=3.3V, IOUT=1A
試 料:O S - C O Nは 5 6μF / 1 0 V( 1 0 S V P D 5 6 M・φ6 . 3 ㎜×L 6 ㎜ )、低 インピー
ダンスアルミ電解コンデンサは、
330μF /10V
(φ10㎜×L10㎜)
を使用。
+
VIN=
12V
SW IC
それぞれのESRが、OS-CON38mΩ(実力)、低インピーダンスアルミ電解コンデンサ
RL
C
180mΩ
(実力)であり、OS-CONと同等のリプル電圧とするために、低インピーダンス
200kHz
アルミ電解コンデンサを4個使用。
測定試料
出力リプル電圧
(概略) =
コイルに流れるリプル電流
コンデンサのESR
(1) 試料の規格
(2) 試料のESR変化
OS-CON
アルミ電解コンデンサ
容量/電圧
56μF/10V
330μF/10V
ESR
45mΩ
300mΩ
OS-CON
測定時の周囲温度
初期値
125℃×10V印加
アルミ電解コンデンサ
初期値
×1,000h後の値
125℃×10V印加
×1,000h後の値
カテゴリ温度範囲
−55℃∼+125℃
−40℃∼+125℃
25℃
38mΩ
40mΩ
180mΩ
231mΩ
耐久性
125℃×2,000h
125℃×2,000h
0℃
39mΩ
41mΩ
369mΩ
663mΩ
−20℃
38mΩ
40mΩ
907mΩ
2,212mΩ
サイズ(㎜)
φ6.3×L6
φ10×L10
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
(2) 耐久性(125℃×10V印加)
ESR (mΩ at 100kHz)
〔ESR〕
OS-CON(10SVPD56M)56μF/10V
アルミ電解コンデンサ 330μF/10V
100
25℃
100000
0℃
−20℃
10
0
200
500
1000
2000
−40℃
10000
Time (h)
1000
100
0
200
500
1000
2000
Time (h)
(% at 120Hz)
Capacitance Change
〔静電容量〕
OS-CON(10SVPD56M)56μF/10V
アルミ電解コンデンサ 330μF/10V
20
10
0
-10
-20
-30
-40
25℃
0℃
−20℃
−40℃
0
200
500
1000
Time (h)
2000
20
10
0
-10
-20
-30
-40
0
200
500
1000
2000
Time (h)
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
(b) 実験結果
(1) 25℃でのリプル電圧波形の比較
耐久試験後
(125℃×10V印加×1000h)
初期
OS-CON
(10SVPD56M)
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
56μF/10V×1個
31.0mV
31.0mV
→
耐久試験後
(125℃×10V印加×1000h)
初期
アルミ電解コンデンサ
330μF/10V×4個
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
51.0mV
42.0mV
→
結果
初期
耐久性試験後
OS-CON
31mVp-p
31mVp-p
アルミ電解コンデンサ
42mVp-p
51mVp-p
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
(2) 0℃でのリプル電圧波形の比較
耐久試験後
(125℃×10V印加×1000h)
初期
OS-CON
(10SVPD56M)
CH1=50mV
AC 1:1
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
(2us/div)
56μF/10V×1個
32.0mV
30.0mV
→
耐久試験後
(125℃×10V印加×1000h)
初期
アルミ電解コンデンサ
330μF/10V×4個
CH1=50mV
AC 1:1
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
(2us/div)
128.0mV
78.0mV
→
結果
初期
耐久性試験後
OS-CON
30mVp-p
32mVp-p
アルミ電解コンデンサ
78mVp-p
128mVp-p
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
(3) -20℃でのリプル電圧波形の比較
耐久試験後
(125℃×10V印加×1000h)
初期
OS-CON
(10SVPD56M)
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
56μF/10V×1個
30.0mV
31.0mV
→
耐久試験後
(125℃×10V印加×1000h)
初期
アルミ電解コンデンサ
330μF/10V×4個
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
CH1=50mV
AC 1:1
(2us/div)
167.0mV
→
399.0mV
結果
OS-CON
アルミ電解コンデンサ
初期
耐久性試験後
30mVp-p
31mVp-p
167mVp-p
399mVp-p
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
2. OS-CONの高速バックアップ能力(負荷変動用バックアップコンデンサ)
最近の電子機器に用いられるIC、特にMPUでは処理スピードの高速化が計られる一方、使用電圧を下げパターン間隔を狭めて集積度を高めています。低電圧化にともない
負荷電流は、新しいMPUが開発されるごとに増加しています。
高速で大きな負荷変動に伴う負荷電流の急変は、電源ラインの電圧変動を引き起こし、MPU誤動作の直接的原因となります。
高速負荷変動用には低ESRで大容量のコンデンサが求められています。
低ESRコンデンサの中でOS-CONが最も容量が出せ、この点でOS-CONはバックアップ用コンデンサとして最適です。
OS-CONの優れたバックアップ能力と、他のコンデンサとの比較評価結果を以下に説明します。
2-1. テスト条件
(a) 電子負荷スイッチング波形
テスト回路
1Ω
バックアップ波形
SW
Power
supply
CH3=2V
AC 10:1
負荷変動電流
2Ω
立ち上がり波形
全体波形
5us/div
CH3=2V
AC 10:1
20ns/div
V オシロスコープ
試料
負荷条件
内 容
条 件
負 荷 幅
5μs
周 期
12.5μs
立上り時間
20ns
負荷変動電流
2A
印 加 電 圧
4V
電源インピーダンス
1Ω
2V/div
5μs/div
2V/div
20ns/div
バックアップ用のコンデンサは次式で求められます。
V:ACノイズ(V)
V=
I× t
C
×
T− t
T
+ I×ESR
C:容量(F)
I:負荷変動電流(A)
ESR:等価直列抵抗(Ω)
t:負荷幅(s)
T:周期(s)
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
2-2. テスト結果
(a)同容量での比較
同容量で比較すると電源ラインの電圧変動はOS-CONの104mVに対し、低インピーダンス電解コンデンサでは548mV(OS-CONの約5.3倍)、低ESRタンタル
コンデンサでは212mV(OS-CONの約2倍)となります。
OS-CON
低Zアルミ電解コンデンサ
低ESRタンタルコンデンサ
16SVP100M,ESR:21mΩ
10V100μF,ESR:245mΩ
10V100μF,ESR:85mΩ
CH2=200mV
AC 1:1
V=104mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
CH2=200mV
AC 1 : 1
V=548mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
CH2=200mV
AC 1 : 1
V=212mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
(b)同程度の負荷変動となるコンデンサの選択
16SVP100Mと同程度の電圧変動とするためには、低インピーダンス電解コンデンサでは1,500μF以上、低ESRタンタルコンデンサでは220μF×2pcs以上が必要です。
OS-CON
低Zアルミ電解コンデンサ
低ESRタンタルコンデンサ
16SVP100M
10V1,500μF
10V220μF×2
CH2=200mV
AC 1:1
V=104mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
CH2=200mV
AC 1:1
V=128mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
CH2=200mV
AC 1:1
V=116mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
(c)(b)のコンデンサを低温(−20℃)で使用した場合の比較
低温で比較した場合OS-CONは変化がないのに対し、低インピーダンス電解コンデンサでは約3.2倍、低ESRタンタルコンデンサでは約1.2倍に電圧変動が増加します。
OS-CON
低Zアルミ電解コンデンサ
低ESRタンタルコンデンサ
16SVP100M
10V1,500μF
10V220μF×2
CH2=200mV
AC 1:1
V=104mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
CH2=200mV
AC 1:1
V=404mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
CH2=200mV
AC 1:1
V=144mV
5us/div
200mV/div
5μs/div
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
3. 電源ラインのノイズが実際の画像に与える影響
OS-CONの優れたノイズ低減効果が画像にどのような影響を与えるか、つまりデジタルノイズがアナログ信号にいかに影響を与えるかを下記に紹介します。
(a) 監視カメラの画像への影響
監視カメラの電源ラインのフィルタ回路のコンデンサにOS-CONと低インピーダンスアルミ電解コンデンサをそれぞれ接続し、温度を変化させ、実際の
画像に与える影響を比較しました。初期では共に変化しませんでしたので、耐久性試験後のコンデンサで比較しました。
耐久性試験後(105℃×16V印加×2000h) 写真の比較
OS-CON;SVPシリーズ
20V/22μF
サイズφ6.3×L6.0mm
初期ESR:42 mΩ(25℃)
42 mΩ (ー20℃)
耐久試験後ESR:45 mΩ (25℃)
45 mΩ (ー20℃)
→
写真1 25℃
写真3 −20℃
ガンマ値調整(3.0)
低インピーダンスアルミ電解コンデンサ
16V/100μF
サイズφ6.3×L6.0mm
初期ESR: 303 mΩ(25℃)
1,080 mΩ (ー20℃)
耐久試験後ESR: 418 mΩ (25℃)
1,640 mΩ (ー20℃)
→
写真2 25℃
写真4 −20℃
ガンマ値調整(3.0)
(b) 結果
(1) OS-CON搭載の画像:25℃から−20℃まで画像にまったく異常は見られませんでした。
(2) 低インピーダンスアルミ電解コンデンサ搭載の画像:ESRの影響により、ー20℃付近では全体が白くなり、画像に縦縞が入っています。通常写真では判り
づらいので、写真のガンマ値を調整したものを掲載しています。赤線枠内に縦縞を見ることができます。
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
4. OS-CONの等価回路モデル
近年では、回路設計の短縮のために回路シミュレーションを利用される場が増えてきていますが、電圧精度の厳しいCPU等においては、より正確さを求めるため、パターン
の抵抗成分やインダクタンス成分も考慮してシミュレーションを行っています。その中でバックアップアップ用のコンデンサについても、特性がより実測に近いかたちでの
シミュレーションモデルが求められています。
4-1. 従来の等価回路の問題点
従来の電源回路のシミュレーションでは、図1にあうような理想コンデンサの等価回路にてシミュレーションが行われていました。リプル電圧やリプル電流を確認する目的では
殆ど問題にはなりませんが、CPUの負荷変動等、より精度の高いシミュレーションを行うには物足りなく、実回路とシミュレーション結果の差が大きくなることがあります。
これはコンデンサのESRや容量の周波数特性が反映されてないからです。
4-2. より高度なシミュレーションのための等価回路
当社では等価回路を図2のように作成しました。これによりコンデンサが測定結果に近い周波数特性をもつようになり、回路の実動作に近いシミュレーションを行いたい場合
に利用できるようにしました。
図1 従来の等価回路
図2 より高度なシミュレーションのための等価回路
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
●実測とシミュレーションの周波数特性の比較
〔従来の等価回路〕
〔より高度なシミュレーションのための等価回路〕
10000
Measured Value Z
Simulated Value Z
Measured Value ESR
Simulated Value ESR
1000
100
→
10
lmpedance & ESR[mΩ]
lmpedance & ESR
[mΩ]
10000
Measured Value Z
Simulated Value Z
Measured Value ESR
Simulated Value ESR
1000
100
10
1
1
0.1
1
10
100
1000
10000
100000
0.1
1
10.0
10000
100000
10.0
→
ESL[nH]
1000
Measured Value C
Measured Value C
Simulated Value C
Simulated Value C
Measured Value L
Measured Value L
Simulated Value L
1
1000
C[μF]
C[μF]
ESL[nH]
1000
0.1
100
frequency[kHz]
frequency
[kHz]
100
10
1.0
10
100
1000
10000
10000
Simulated Value L
100
0.1
1
1.0
10
100
1000
10000
10000
frequency
[kHz]
frequency
[kHz]
Model:2SEPC560MW(2.5V-560μF)
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
4-3. 容量の周波数特性
コンデンサの測定において容量の周波数特性は、
共振点付近から正常な値が測定できません。
これはインピーダンスアナライザやLCRメータ等の測定器が電圧信号を印加し、電流との位相差から容量を算出しているからです。この位相差は容量のインピーダンスZcと
インダクタンスのインピーダンスZLの差分で決まります。周波数が低い時には
"Zc>>ZL"
となり、インダクタンスの影響は殆どありませんが、周波数が高くなるにつれて
ZLの影響を受けるようになり、共振点付近(Zc≒ZL)から位相差が少なくなったり、方向が変わったりして、容量の測定はできなくなります。
しかし、今回作成した等価回路により容量の周波数特性が推測可能となります。つまり、等価回路のインダクタンスを全て0にして計算すれば、容量の周波数特性を見る
ことができます。図7はその計算結果をグラフ化したものです。このコンデンサの共振点は190kHzで、その1/10の周波数付近からZLの影響を受けています。
Model:2SEPC560MW(2.5V-560μF)
1000
インピーダンス成分
C[μF]
j
ESR
ZL
ZC
ZC
ZL-ZC
[真実]
δ
θ
R
Z
Measured Value C
ZC
[測定器]
Simulated Value C
100
-j
ESR = Z × cosθ
ZC = Z × sinθ
0.1
1
10
100
1000
10000
10000
frequency[kHz]
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
5. ローパス・フィルタ回路での応用
電源ラインのノイズを取り除く手段として、下図のようなローパスフィルタを用いることがあります。
近年、電源で主流となっているスイッチング電源は、小型・高効率である反面、大きなノイズ源となっている場合が少なくありません。また、デジタル回路はノイズが発生
しやすく、ノイズに弱いアナログ回路が混在する装置では、ほとんど、アナログ回路の電源ラインに、これらのローパスフィルタを接続し、アナログ回路への高周波ノイズの
進入を防いでいます。
(a) フィルタの減衰効果は、コンデンサのESRが低いほど理想的な減衰率に近づきます。
図1 LCフィルタ
図2 RCフィルタ
(b) コンデンサの場合、静電容量とESR成分でゼロ点(fz)が発生するため、ゼロ点周波数よりも
高い周波数では、+20dB/decで減衰効果をキャンセルしてしまいます。
(c) LCフィルタの場合:−40dB/decが−20dB/decに。
RCフィルタの場合:−20dB/decが0に。(減衰効果なし)
(d) コンデンサの静電容量を増やしても、ノイズカット効果がでない現象は、このゼロ現象が
影響していることが少なくありません。
OS-CONはESRが非常に小さいため、このローパスフィルタにもっとも効果的です。
図3 実際の減衰率
fz
(ゼロ点周波数)
fc
周波数
fz
(ゼロ点周波数)
fc
0dB
周波数
c
ec
/d
de
dB
B/
20
0d
−
−4
0dB
実際の減衰率
実際の減衰率
減衰率
ec
/d
dB
20
−
減衰率
静電容量を
増やした場合
ESRが低い場合の
減衰率
ESRが低い場合の
減衰率
静電容量を
増やした場合
理想的な減衰率
(a)LCフィルタ
理想的な減衰率
(b)RCフィルタ
次頁で下記のOS-CONとアルミ電解コンデンサを使用して実際の減衰効果を比較します。
OS-CON(20SEP33M)
アルミ電解コンデンサ
20V/33uF,
ESR=37mΩ(実測値)
10V/33uF,ESR=1410mΩ(実測値)
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
5-1. LCフィルタ(L=10uH)
アルミ電解コンデンサ
80
60
60
40
40
Gain [dB]
Gain [dB]
OS-CON
80
20
0
20
0
−20
−20
−40
−40
−60
−60
−80
10
100
1k
10k 100k
Frequency [Hz]
−80
10
1M
100
1k
10k 100k
Frequency [Hz]
1M
どちらも減衰効果が大きくなっています。
今回は常温での測定結果ですが、低温下(0℃以下)では、アルミ
5-2. RCフィルタ(R=5.6Ω)
電解コンデンサの極端なESR増加と比べ、OS-CONのESRは変化が
80
80
60
60
40
40
0
0
−20
−40
−40
−60
−60
100
1k
10k
100k
Frequency [Hz]
1M
なります。
20
−20
−80
10
少く、フィルタの減衰効果に影響しないので、効果の差はさらに大きく
アルミ電解コンデンサ
Gain [dB]
Gain [dB]
OS-CON
20
アルミ電解コンデンサと比較し、OS-CONの方が高周波領域まで
−80
10
100
1k
10k
100k
1M
Frequency [Hz]
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
6. スイッチング電源の平滑コンデンサへの応用
スイッチング電源の出力平滑コンデンサには、出力リプル電圧を抑えるため、等価直列抵抗(ESR)の低いコンデンサが求められています。しかし、ESRが低いコンデンサは、
出力電圧の異常発振と呼ばれる現象が発生することがあります。
出力電圧の異常発振は、制御方式や降圧型、昇圧型などのトポロジーによっても変わります。出力電圧発振のメカニズムとその対処方法について、電圧制御モードで降圧型
スイッチングレギュレータの例を以下で説明します。
図1 スイッチング電源の概略制御ブロック
Q1
6-1. 出力電圧の異常発振
L
Vout
Vin
スイッチング電源は、出力電圧を安定化させるために通常負帰還回路を持っています。
Zi
Cin
出力電圧と基準電圧Vrefの誤差を誤差増幅器で増幅し、PWMコンパレータでデジタル信号に変換し、スイッチQ1
D
Cout
をオンオフします。
Zc
入力電圧Vinは、スイッチQ1で矩形波となり、それをコイルLとコンデンサCoutで平滑することで、直流の出力電圧
誤差増幅器
Voutを得て、LおよびCoutは2次のローパスフィルタを形成していることになります。
PWMコンパレータ
出力LCフィルタの周波数応答性は図2のボード線図で表されます。
Vref
誤差増幅器は負帰還回路であるため、もともと位相が180度遅れています。したがって、出力LCフィルタの位相遅れ
と誤差増幅器の位相遅れが重なり、360度位相遅れが発生すると、出力電圧が発振することになります。
三角波発生器
図2 LCフィルタの周波数特性
80
なります。
160
140
120
60
50
カットオフ周波数
100
80
40
30
Gain [dB]
すると、より高周波数帯域まで理想的なLCフィルタとなり、Phaseが180度近くまで遅れ発振しやすく
Gain
Phase
70
発振しますが、実際の周波数特性は実線のように、ある周波数以上でGainが−40dB/decから
−20dB/decの減衰率に、Phaseが90度遅れとなるまで進みます。これは、Coutの容量値と
1
ESRによって一次進み回路が形成されているためで、そのゼロ点周波数 以降で、
2π C o u t ES R
Gain減衰率が+20dB、+90度の位相進みが加わるからです。ところが、ESRが低いコンデンサを使用
180
90
ゼロ点周波数
60
20
40
10
20
0
0
−10
−20
−20
−40
−30
−60
一般的な負帰還回路で出力電圧の発振を防止するには、位相余裕が30度∼40度以上あることが必要
−40
と考えられています。位相余裕とは、Phaseの下限値が−180度からどれだけ離れているかを示す
−60
−80
大
−50
数値で、位相余裕が小さくなればなるほど、構成部品の特性バラツキや温度変化によって発振する
−70
可能性が高いと言えます。
−90
Phase [deg]
1
LCフィルタの減衰率は−40dB/dec、カットオフ周波数は で、図2の点線のような利得
2π LC
(Gain)と位相(Phase)になります。理想的なLCフィルタは位相が180度遅れ、そのままでは
−100
−120
ESR
−140
−80
−160
1
10
100
1000
小
10000
100000
−180
1000000
Frequency [Hz]
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
6-2. 発振の防止方法
誤差増幅器の帰還回路にて位相補償を行うことで、出力電圧の発振を防止することが
図3 電圧制御モードの位相補償回路
できます。
位相補償回路には様々な種類がありますが、電圧抑制モードのスイッチング電源に
②
①
おいて、下記のような位相補償回路を用いるのが最も効果的とされています。
④
図3:②および④で一次進み回路を形成。①および③で一次遅れ回路を形成。
これらの定数を調整することにより、出力LCフィルタの周波数特性でPhaseが最下限
Zc
③
Zi
Voutから
PWM
コンパレータへ
を示す周波数帯域で、位相進みが発生するような位相補償を行い、負帰還回路全体の
位相遅れを改善します。
誤差増幅器
Vref
図4:調整例。図2の出力LCフィルタの位相は約10kHz付近で最下点となるため、
図4 位相補償回路の周波数特性
その周波数で位相進みを約30度持たせてあります。このため、例えLCフィルタの位相
90
180
遅れが180度近くになっても約30度の位相余裕を確保でき、出力電圧の発振を防止
80
160
できます。
Gain
60
Phase
Gain[dB]
50
140
120
100
40
80
30
60
20
40
10
20
0
0
Phase[deg]
70
−10
−20
−20
−40
−30
−60
−40
−80
−50
−100
−60
−120
−70
−140
−80
−160
−90
1
10
100
1000
10000
100000
−180
1000000
Frequency[Hz]
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
6-3. 発振防止の具体的な設計事例
図5 降圧型DC-DCコンバータの具体的な設計例
Q1
10uH
Vin
Zi
Vout
C in
D
C out
Zc
-
DV
-
誤差増幅器
Vref
出力リプル電圧を20mVp-pとするために、必要な出力コンデンサのESRを以下で求め
+
+
PWMコンパレータ
三角波発生器
200kHz
[仕様]
・入力電圧(Vin) :5V
ます。
ESR<Vripple/((Vin−Vout)/L*Vout/Vin/fosc)=35.7mΩ
そこで、以下のコンデンサを選定。
(a) OS-CON
6SVP100M 1並列 φ6.3×L6mm ESR=32mΩ ※ESRは実測値です。
・出力電圧(Vout):3.3V
・出力電流(Iout) :3.2A
(b) アルミ電解コンデンサ
・出力リプル電圧(Vripple):20mVp-p
6V/680uF 3並列 φ10×L8mm ESR=128mΩ/個 トータルESR=43mΩ
写真1 上記コンデンサを使用した測定用評価基板
最適な位相補償回路を施せば、OS-CONを使用することにより、アルミ電解コンデンサに比べ、大幅に小型化できることを以下で説明します。
写真1 評価基板
OS-CON
アルミ電解コンデンサ
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
6-4. アルミ電解コンデンサ時の設計例
図6 AL-E時のLCフィルタ周波数特性
フィルタの周波数特性(図6)は、位相補償を
40
10
20
0
す。したがって、位相補償回路は図7の回路で
−10
Gain[dB]
行う必要がないほどに充分な位相余裕がありま
充分となります。
図7 AL-E時の位相補償回路
20
0
Gain
Phase
−20
−20
−40
−30
−60
−40
−80
−50
−100
−60
−120
−70
−140
−80
−160
−90
10
Phase[deg]
アルミ電解コンデンサを使用した場合、出力LC
Rin:20kΩ
Rc:33kΩ
Cc:10000pF
Rc
Zc
Cc
Zi
Rin
Vout
+
Vref
PWM
コンパレータへ
誤差増幅器
−180
100
1000
10000
100000
Frequency[Hz]
図8 AL-E時の総合周波数特性
図9 AL-E時の出力リプル電圧波形
180
60
いない)を用いることによって、図8のような総合
50
周波数特性になり、充分な位相余裕があります。
Phase
Gain[dB]
40
90
20
60
10
30
0
−10
−30
−20
−60
−30
−90
−40
−120
−50
−150
−60
100
(2us/div)
120
30
0
CH2=5mV
AC 1:1
150
Gain
Phase[deg]
図7の位相補償回路(正確には位相補償を行って
22m Vp-p
−180
1000
10000
100000
Frequency[Hz]
応用
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
6-5. OS-CON時の設計例
アルミ電解コンデンサを使用した電源回路から、位相補償回路を変更せずにOS-CONに置換えると、出力電圧は発振してしまいます(図10)。
これは、ESRの低いOS-CONに変更したことで、出力LCフィルタの周波数特性が、アルミ電解コンデンサを使用した図6から、図11のように変化しているにもかかわらず、
位相補償回路を変更しなかったために位相余裕がなくなったためです。
図12 OS-CON時の位相補償回路
40
20
(20us/div)
Gain[dB]
CH4=100mV
AC 10:1
図11 OS-CON時のLCフィルタ周波数特性
10
Gain
20
0
Phase
0
Rin1:20kΩ
Rin2:680Ω
−10
−20
−20
−40
−30
−60
−40
−80
−50
−100
−60
−120
−70
−140
−80
−160
−90
10
100
1000
Phase[deg]
図10 発振している出力電圧波形
Cc1:330pF
Cc2:33000pF
Cin:4700pF
Rc:3.3kΩ
Zc
Cc1
Zi
Rin2 Cin
Rc Cc2
Vout
Rin1
+
−180
10000
100000
PWM
コンパレータへ
誤差増幅器
Vref
Frequency[Hz]
図13 OS-CON時の総合周波数特性
図14 OS-CON時の出力リプル電圧波形
60
場合は、図12のような位相補償回路を用いることに
180
CH2=5mV
AC 1:1
Gain
50
より、適正な位相補正を行うことができます。
これは、位相遅れが深くなった分を、図12中のZi,Zcで
Gain[dB]
位相進みを形成させて、位相遅れを解消するためです。
Phase
150
40
120
30
90
20
60
10
30
0
0
Phase[deg]
図11のように、LCフィルタの位相余裕がほとんどない
−10
−30
これにより、総合周波数特性は図13のようになり、位相
−20
−60
余裕も充分であり、出力リプル電圧波形(図14)も
−30
−90
アルミ電解コンデンサの場合とほぼ同じになります。
−40
−120
−50
−150
−60
100
1000
10000
(2us/div)
19m Vp-p
−180
100000
Frequency[Hz]
コンデンサ選定ヒアリングシート
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ
会社名
用 途
部署名
電源/フィルタ/パスコン/カップリング/
その他( )
お名前
装 置
TEL
PC/PC周辺/オーディオ/通信機/車載/
その他( )
FAX
高さ制限
E-mail
mm
実装形態
リードタイプ 面実装
Option
必須項目
項 目
記号
単位
項 目
記号
スイッチング周波数
fosc
数値
kHz
電流変化
数値
単位
ΔI
A
入力電圧
Vin
V
電圧降下
ΔVdrop
mV
出力電圧
Vout
V
コントロールIC
出力電流
Iout
A
リプル電圧
ΔVripple
mVp-p
使用環境温度
Ta
℃
一次インダクタンス値
L1
μH
インダクタンス値
L
μH
巻き数比
n1 : n2
Iout
ΔI
0A
Vout
ΔVripple
ΔVdrop
:
0V
◆使用回路を○で囲んでください。
①降圧型
Vin>Vout
+
Vin
②昇圧型
Vin<Vout
Iout
L
+
fosc
④フォワード型
+
Vout
Vin
L
n1
L1
+
Vin
fosc
n2
Iout
fosc
③反転型
0>Vout
Iout
L
Iout
+
+
Vout
Vin
L
fosc
⑤フライバック型
Iout
+
Vout
+ Vout
n1
L1
+
Vin
n2
+
Vout
fosc
下記WEBから設計支援ツールをダウンロードいただけます。
http://industrial.panasonic.com/jp/