日本語参考資料 最新版英語回路ノートはこちら 回路ノート CN-0196 接続/参考にしたデバイス Circuits from the Lab™ 実用回路は今日のアナログ・ミック スド・シグナル、RF 回路の設計上の課題の解決に役立つ迅 速で容易なシステム統合を行うために作製、テストされま した。詳しい情報と支援については http://www.analog.com/jp/CN0196 をご覧ください。 実用回路集 ADuM7234 絶縁型、高精度のハーフ・ブリッジ 4 A ドライバ ADG787 2.5 Ω、CMOS、低消費電力のデュアル 2:1 ス イッチ ADuC7061 デュアル 24 ビット ΣΔ ADC 内蔵の ARM7 マ イクロコントローラ ADuM3100 デジタル・アイソレータ ADP1720 50 mA リニア・レギュレータ ADCMP350 0.6 V リファレンス内蔵のコンパレータ 絶縁型ハーフ・ブリッジ・ドライバを使用する H ブリッジ・ドライバ回路 ADuM7234 は、アナログ・デバイセズ(ADI)の iCoupler®技術を 使って絶縁された独立のハイサイド出力とローサイド出力を提 供し、N チャンネル MOSFET のみで H ブリッジ回路を構成でき るようにします。N チャンネル MOSFET の使用にはいくつか利 点があります。まず、N チャンネル MOSFET は一般に P チャン ネル MOSFET に比べてオン抵抗が 3 分の 1 であり、最大電流は 大きくなります。また、切替え速度が速いので、消費電力は小 さくなります。さらに、立上り時間と立下がり時間は対称とな ります。 ホ౯タィᨭ 回路評価用ボード CN-0196 回路評価用ボード(EVAL-CN0196-EB1Z) ADuC7061 MiniKit(EVAL-ADuC7061MKZ) 設計と統合ファイル 回路、レイアウト・ファイル、BOM 回路機能とその利点 図 1 の回路は H ブリッジと呼ばれるもので、低電圧ロジック信号 で制御されるハイ・パワー・スイッチング MOSFET で構成されて います。この回路は、ロジック信号とハイ・パワー・ブリッジと の間の便利なインターフェースとして機能します。ブリッジには、 H ブリッジのハイサイドとローサイドの両方に低価格の N チャン ネル・パワーMOSFET を使用します。また、この回路は、コント ロール・サイドとパワー・サイド間のガルバニック絶縁を実現す るインターフェースにもなります。この回路は、モータ制御、電 力変換(コントロール・インターフェースに組み込まれて)、照 明、オーディオ・アンプ、無停電電源装置(UPS)等に使用でき ます。 ADuM7234 のピーク駆動電流が 4 A のため、パワーMOSFET のオ ン/オフの切替えが非常に速く行え、H ブリッジ段での消費電力 を最小限に抑えることができます。この回路の H ブリッジの最大 駆動電流は 85 A となりますが、これは MOSFET の最大許容電流 による制限です。 最新のマイクロプロセッサやマイクロコンバータは、一般に消費 電力が小さく、低電源電圧で動作します。2.5 V CMOS ロジック 出力のソース/シンク電流は µA~mA の範囲です。ピーク電流 4 A で 12 V を切り替える H ブリッジを駆動する場合は、インター フェースとレベル変換デバイスを適正に選択して使用する必要 があります。低ジッタが必要な場合は特にそうです。 回路説明 ADG787 は、個別に設定できる 2 個の単極双投(SPDT)スイッチ で構成される低電圧 CMOS デバイスです。DC 電源 5 V で、2 V の最低電圧が有効な高入力ロジック電圧となります。したがっ て、ADG787 は 2.5 V の制御信号を、ハーフ・ブリッジ・ドライ バ ADuM7234 の駆動に必要な 5 V ロジック・レベルに適正に変換 することができます。 Rev. 0 ADuC7061 は ARM7 をベースにした低消費電力、高精度のアナロ グ・マイクロコントローラで、パルス幅変調(PWM)コントロー ラを内蔵しています。PWM コントローラの出力を設定すること により、適正なレベル変換とコンディショニングを行ったうえ で H ブリッジを駆動することができます。 2.5 V PWM 制御信号から 5 V へのレベル変換 EVAL-ADuC7061MKZ は 2.5 V ロジック・レベルの PWM 信号を 提供しますが、ADuM7234 の最小ハイレベル入力スレッショール ドは 5 V 電源で 3.5 V となります。これでは適正な処理ができな いため、 中間レベル変換器として ADG787 を使用します。ADG787 に入力される最小ハイレベル制御電圧は 2 V であるため、この電 圧は ADuC7061 からの 2.5 V レベルに適合します。ADG787 の出 力は 0 ~5 V の範囲で切り替わり、3.5 V のスレッショールドを持 つ ADuM7234 の入力を駆動するにはかなり余裕があります。制 御 PWM 信号の極性を簡単に設定できるように、2 個のジャンパ が用意されています。 アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利 の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標 は、各社の所有に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 ©2011 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 CN-0196 回路ノート 12V 5V 5V NC VIA ADG787 5V GND 2.5V PWM0 PWM 2 ADuM7234 ENCODE 16 DECODE 15 3 14 4 13 5 12 VDDA Z1 13V VOA C1 R5 330µF + 100kΩ 25V R2 D2 10Ω 10Ω Z2 13V C1 + 330µF R6 25V 100kΩ GNDA 5V VDD1 D1 PWM1 ADuC7061MKZ VIB S1A 1 D1 R1 S1B GND1 IN1 IN2 DISABLE S2A VDD1 D2 S2B 6 7 11 ENCODE DECODE 10 NC 9 8 NC NC 12V VDDB VOB R7 GNDB 15Ω GND NC VIA VIB 1 2 ADuM7234 ENCODE 16 DECODE 15 3 14 4 13 5 12 6 11 Q1 R9 Q2 15Ω D5 D6 VDDA VOA M GNDA 5V GND1 DISABLE VDD1 NC 7 ENCODE DECODE 10 9 8 NC Q3 Q4 R10 R8 NC 15Ω 12V D7 15Ω D8 VDDB R4 470Ω VOB GNDB R3 470Ω Q1, Q2, Q3, Q4: FDP5800 D1, D2: SSC54 D5, D6, D7, D8: 15ETH06FPPBF Z1, Z2: SMAZ5928B 09644-001 VDD1 図 1. 絶縁型のハーフ・ブリッジ・ドライバ ADuM7234 を使用する H ブリッジ (簡略回路図:すべての接続およびデカップリングが図示されているわけではありません) H ブリッジについて 図 1 に示す H ブリッジには、4 個のスイッチング素子があります (Q1、Q2、Q3、Q4)。スイッチは、左上側(Q1)と右下側(Q4) のペアか左下側(Q3)と右上側(Q2)のペアのいずれかがオン になります。ブリッジの同じ側にある 2 つのスイッチが同時に オンになることはありません。スイッチは、MOSFET または IGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)を使って実装 し、パルス幅変調(PWM)信号など、コントローラからの信号 を使ってスイッチをオン/オフして負荷電圧の極性を変更する ことができます。 ローサイド MOSFET(Q3、Q4)のソースはグラウンドに接続さ れるので、そのゲート駆動信号もグラウンドを基準とします。 一方、MOSFET ペアとしてのハイサイド MOSFET(Q1、Q2)ス イッチのソース電圧はオンまたはオフになります。したがって、 最適なゲート駆動信号はこのフローティング電圧を基準とし、 その電圧に「ブートストラップ」されることになります。 ADuM7234 からのゲート駆動信号は、各入力と各出力の間に真の 絶縁インターフェースが得られるという利点をもたらします。各 出力は入力に対して最大±350 V で動作することができるため、 負電圧までのローサイド・スイッチングをサポートできます。こ のため、ADuM7234 は広範囲の正または負のスイッチング電圧で、 さまざまな MOSFET 構成のスイッチング特性を確実に制御する ことができます。テストを安全かつ容易に行うために、この設計 の電源には 12 V DC 電源を選択しました。 ブートストラップ・ゲート駆動回路 ハイサイドとローサイドではゲート・ドライバの電源が異なり ます。ローサイドのゲート駆動電圧は、グラウンドを基準にし ているため、グラウンド基準の DC 電源から直接発生します。 しかし、ハイサイドはフローティングしているため、ブートス トラップ駆動回路が役に立ちます。これは次のように動作しま す。 Rev. 0 | Page 2 of 6 CN-0196 回路ノート ここで、図 1 に示す H ブリッジ回路の左側をご覧ください。ブー トストラップ駆動回路は、 コンデンサ C1、 抵抗 R1 と R3、 ダイオー ド D1 で構成されています。パワーオン後、PWM はすぐには入力 されず、MOSFET はすべて、全 DC 電圧がセトリングするまでハ イ・インピーダンス状態のままとなります。この間、コンデン サ C1は R1、D1、C1、R3経路を介して DC電源で充電されます。 充電されたコンデンサ C1 は、ハイサイド・ゲート駆動用の電圧 を供給します。C1 の充電の時定数は τ = (R1 + R3) C1 です。 PWM 信号によって MOSFET がスイッチングすると、ローサイ ドのスイッチ Q3 がオンになり、ハイサイドのスイッチ Q1 がオ フになります。ハイサイドの GNDA はグラウンドにプルダウン され、コンデンサ C1 が充電されます。Q1 がオンになり、Q3 が オフになると、GNDA は DC 電源電圧にプルアップされます。 ダイオード D1 は逆バイアスされ、C1 電圧によって ADuM7234 の VDDA 電圧が約 24 V となります。したがって、コンデンサ C1 は ADuM7234 の VDDA 端子と GNDA 端子間で約 12 V の電圧 を維持します。このように、ハイサイド MOSFET Q1 へのゲート 駆動電圧は常に Q1 のフローティング・ソース電圧を基準にしま す。 ブートストラップ電流制限抵抗(R1、R2) 直列抵抗 R1 は、ブートストラップ・コンデンサの充電時に電流 制限を行います。R1 が大きすぎると、ADuM7234 のハイサイド・ ドライバ電源からの無信号時 DC 消費電流によって R1 に過大な 電圧降下が発生し、ADuM7234 は低電圧ロックアウトになります。 ADuM7234 の最大 DC 電源電流は IMAX=30 mA です。この電流に よる R1 での降下電圧が VDROP=1 V に制限される場合、R1 は VDROP/IMAX、すなわち 33 Ω より小さい値にする必要があります。 したがって、ブートストラップ抵抗には 10 Ω の抵抗を選択しま した。 ブートストラップ・スタートアップ抵抗(R3、R4) 抵抗 R3 はブートストラップ回路を起動します。パワーオン直後 は DC 電圧は確立されず、MOSFET はオフになります。これら の条件下で、C1 は R1、R3、D1、VS の経路を介して充電されま す。充電電圧は次式で表されます。 v C ( t ) = (VS − VD )(1 − e − t / τ ) , (1) Q1 と Q4 がオンになると、負荷電流は Q1 から負荷経由で Q4 と グラウンドに流れます。Q1 と Q4 がオフになっても、電流はフ リーホイール・ダイオード D6、D7 経由で同じ方向に流れ、Q1 のソースに負のスパイクを発生させます。その結果、ほかのトポ ロジーを使用しているゲート・ドライバは損傷を受ける可能性が ありますが、負電圧へのローサイド・スイッチングをサポートし ている ADuM7234 にはいっさい影響ありません。 ここで、vC(t)はコンデンサ電圧、VS は電源電圧、VD はダイオー ド電圧降下、τ は時定数で、τ = (R1 + R3) C1 です。回路の値は R1=10 Ω、C1=330 µF、VD=0.5 V、VS=12 V です。前の式から、 R3=470 Ω の場合にコンデンサを最終値の 67%まで充電するに は 1 時定数(158 ms)かかります。抵抗値が大きくなるほど、コ ンデンサの充電時間は増大します。しかし、ハイサイドの MOSFET Q1 がオンになると抵抗 R1 にかかる電圧は 12 V になる ので、抵抗値が小さくなりすぎると消費電力が大幅に増大しま す。R3=470 Ω の場合、12 V における抵抗消費電力は 306 mW と なります。 ブートストラップ・コンデンサ(C1、C2) ブートストラップ・コンデンサ(Z1、Z2)の過電圧保護 ブートストラップ・コンデンサは、ローサイド・ドライバがオ ンになるたびに充電され、ハイサイド・スイッチがオンになっ たときだけ放電されます。したがって、ブートストラップ・コン デンサの値を選択する際に最初に考慮すべきパラメータは、ハイ サイド・スイッチがオンになってコンデンサがゲート・ドライバ ADuM7234 のハイサイド用 DC電源として使用されるときの最大 許容電圧降下です。ハイサイド・スイッチがオンになると、 ADuM7234 の DC 電源電流は一般に 22 mA になります。ここで、 ハ イ サ イ ド の オ ン 時 間 を 10 ms ( 50 Hz、 50 % デ ュ ー テ ィ サイクル)と仮定します。許容電圧降下 ΔV=1 V、I=22 mA、 ΔT=10 ms の場合は、式 C = I × ΔT/ΔV に基づき、コンデンサは 220 µF より大きな値にする必要があります。この設計では、 330 µF の値を選択しました。回路がパワーオフになって回路の スイッチング動作時に機能がいっさい提供されなくなると、抵抗 R5 によりブートストラップ・コンデンサは放電します。 上述したように、誘導負荷がある場合にハイサイド MOSFET が オフになると、電流はフリーホイール・ダイオードに流れます。 インダクタンスと寄生容量との共振により、ブートストラップ・ コンデンサへの充電エネルギーは ADuM7234 の消費エネルギー より大きくなる場合があり、またコンデンサ上の電圧が過電圧状 態になる場合があります。13 V ツェナー・ダイオードはコンデ ンサの電圧をクランプして、過電圧状態を防止します。 ハイサイド MOSFET のソース上の電圧スパイク ゲート駆動抵抗(R7、R8、R9、R10) ゲート抵抗(R7、R8、R9、R10)は、必要なスイッチング時間 tSW に基づいて選択します。スイッチング時間とは、Cgd と Cgs を充電してスイッチング MOSFET を必要な電荷量 Qgd、Qgs ま で充電するのに要する時間を指します。 Rev. 0 | Page 3 of 6 CN-0196 回路ノート FROM DC SOURCE OR BATTERY VDD +12V +5V_1 U4 4 1 VDD2 VDD1 1 4 GND2 VDD1 3 VI 2 1 GND2 2 5 VO 2 ADCMP350 3 OUT GND 4 R12 33kΩ 1% 2 0805 VIN 1 R13 2kΩ 1% 2 0805 1 GND UNDERVOLTAGE 2 ADuM3100 +12V +5V_1 U5 1 VCC U6 R15 470Ω TO +12V FIGURE 1 1 2 L1 22µh + C22 + C28 + C27 + C26 + C25 0.1µF 4700µF 4700µF 4700µF 4700µF 16V 25V 25V 25V 25V OUT 3 GND 8 1 GND GND 7 2 IN 4 EN 5 GND GND 6 ADP1720 09644-002 +5V_2 図 2. ADuM7234 の電源レール・フィルタリングと低電圧ロックアウト保護 ゲート駆動電流 Ig は次式で表すことができます。 Ig = Q gd + Q gs t SW = VDD − Vgs ( th ) R g + R DRV (2) ここで、VDD は電源電圧、RDRV はゲート・ドライバ ADuM7234 の 等価抵抗、Vgs(th)はスレッショールド電圧、Rg は外部ゲート駆動 抵抗、Qgd と Qgs は必要な MOSFET 電荷、tSW は必要なスイッチ ング時間です。 ADuM7234 ゲート・ドライバの等価抵抗は次式で計算することが できます。 R DRV = VDDA I OA (SC) (3) ADuM7234 のデータシートに従い、VDDA=15 V、出力短絡回路 パルス電流 IOA(SC)=4 A とします。この場合、式 3 から RDRV は約 4 Ω となります。 の回路を使って電源電圧が 10 V 未満のときに ADuM7234 への入 力をディスエーブルにします。回路は、ADuM7234 の DISABLE ピンにロジック・ハイを印加することでディスエーブルにできま す。 オープン・ドレインのアクティブ・ロー出力付きコンパレータ ADCMP350 を使用して、DC 電源電圧を監視します。抵抗分圧器 (R12、R13)の比は、電源電圧が 10.5 V のときに分圧器出力が 0.6 V となるよう選択します。これはコンパレータの 0.6 V オン チップ・リファレンスと同じ大きさです。電源電圧が 10.5 V を 下回ると、コンパレータの出力はハイになります。ADuM7234 の入力側と出力側はガルバニック絶縁されているため、出力側か らの DISABLE 信号をアイソレータ経由で入力側に転送する必要 があります。ADuM3100 は iCoupler 技術に基づくデジタル・アイ ソレータです。ADuM3100 は、3.3 V 動作と 5 V 動作に対応しま す。12 V のフィルタ処理済み電源が ADP1720 リニア・レギュレー タを駆動し、ADuM3100 の右側の絶縁側に 5 V(+5V_1)を供給 します(図 2 を参照)。 FDP5800 MOSFET のデータシートから、Qgd=18 nC、Qgs=23 nC、 負荷と PWM 信号 Vgs(th)=1 V です。 インダクタを負荷として使用した場合、一定の電圧が印加され るとインダクタを流れる電流は直線的に変化します。電圧 U が 12 V のとき、オン抵抗に起因する MOSFET 上の電圧降下を無視 すると次式が成り立ちます。 必要なスイッチング時間 tSW が 100 ns のとき、式 2 を Rg につい て解くと、Rg は約 22 Ω となります。実際の設計では、ある程度 余裕を持たせて 15 Ω 抵抗を選択しました。 U=L 電源レール・フィルタリングと低電圧保護 ピーク負荷電流が大きいため、DC ソース電圧(VDD)を適正に フィルタリングして、ADuM7234 が低電圧ロックアウトになるの を防ぐと同時に電源が損傷を受けないようにする必要がありま す。選択したフィルタは、22 µH パワー・インダクタに直列な 4 個の 4700 µF、25 V 並列コンデンサで構成されています(図 2 を 参照)。100 kHz でコンデンサの規定の最大 RMS リップル電流 は 3.68 A です。これらのコンデンサの 4 個は並列なので、最大 許容 RMS リップルは 14.72 Aです。したがって、IPEAK=2√2 × IRMS =41.63 A です。フィルタされた+12 V も、図 1 に示す回路を駆 動します。ADuM7234 の低電圧ロックアウトを防ぐには、図 2 di dt (4) 50 kHz、8%デューティサイクルの PWM 信号で 4 µH Coilcraft 製 パワー・インダクタ(SER2014-402)を負荷とする場合、負荷電 流の波形は図 3 のようになります。インダクタ電流は、電流プ ローブで測定しています。 12 V の電源電圧と 4 µH インダクタの場合、式 4 から 3 A/µs の傾 きが予想されますが、実際の測定値は 2.8 A/µs でした。測定値が 小さくなったのは、MOSFET の抵抗で電圧が降下したためです。 Rev. 0 | Page 4 of 6 CN-0196 回路ノート 20µs 1.6µs PWM0 PWM1 +4.4A SLOPE = 2.8A/µs LOAD CURRENT 0A 09644-003 –4.4A 図 3. 4 µH 負荷で PWM パルスの関数としての負荷電流 電流オフの直後には、波形に少量のリンギングが生じます。この 現象は、MOSFET およびフリーホイール・ダイオードの誘導負 荷と寄生容量との共振によるものです。 回路内ではインダクタの最大定格電流を超えないことが重要で す。そういったことが起きるとインダクタは飽和状態になり、電 流が急激に増大して、回路と電源に損傷を与える可能性がありま す。この回路で負荷として使用される Coilcraft 製の SER2014-402 インダクタは、定格飽和電流が 25 A です。 バリエーション回路 この回路は、デバイスをいくつか追加すれば 3 相制御アプリ ケーションに簡単に拡張できます。また、この回路は高い電源電 圧を必要とするアプリケーションにも使用できますが、 MOSFET とフィルタ・コンデンサの定格を超えないよう注意す る必要があります。 必要な装置 • DC 電源またはバッテリ:+12 V、10 A • Coilcraft SER2014-402 パワー・インダクタなどの負荷 • 電流プローブ付きのオシロスコープ 測定の準備 CN0196 評価用ソフトウエア・ディスクを PC の CD ドライブに 挿入して、評価用ソフトウェアをロードします。評価ソフトウエ ア・ディスクのあるドライブを探し、Readme ファイルを開きま す。Readme ファイルの指示に従って、評価ソフトウェアをイン ストールし、使用してください。 セットアップとテスト EVAL-ADuC7061MKZ にファームウェア・コードをダウンロード して、CN-0196 評価用ソフトウェアをインストールします。 Readme フ ァ イ ル の ジ ャ ン パ 設 定 に 従 っ て 、 EVAL-ADuC7061MKZ と EVAL-CN0196-EB1Z からの制御信号を 接続してください。 • PC:USB ポート、Windows XP/Windows Vista(32 ビッ ト)/Windows 7(32 ビット)を搭載 • EVAL-CN0196-EB1Z 回路評価用ボード • EVAL-ADuC7061MKZ 評価用ボード Rev. 0 | Page 5 of 6 CN-0196 回路ノート 12V DC SUPPLY OR BATTERY +12V GND PC MOTOR OR INDUCTOR EVAL-CN0196-EB1Z 2.5V LOGIC SIGNALS USB CN09644-0-9/11(0)-J EVAL-ADUC7061-MKZ CURRENT PROBE 09644-004 OSCILLOSCOPE 図 4. テスト・セットアップの機能ブロック図 ジャンパ LK1 を接続し、 +12 V 電源を CN2 に印加し、 ソフトウェ アを起動して、USB ケーブルで PC と EVAL-ADuC7061-MKZ ボー ド上の USB ミニコネクタを接続します。インダクタを負荷とし て使用し、ソフトウェアを実行して、電流プローブでインダク タの電流を測定します。 データシートと評価用ボード 評価用ソフトウェアを使用して適正な PWM 信号を得る方法に ついては、CN0196 評価用ソフトウェアの Readme ファイルをご 覧ください。 ADG787 データシート さらに詳しくは ADCMP350 データシート CN-0196 Design Support Package: www.analog.com/CN0196-DesignSupport 改訂履歴 Analog Dialogue 39: 高速プリント回路基板 レイアウトの実務ガイド CN-0196 回路評価用ボード(EVAL-CN0196-EB1Z) ADuM7234 データシート ADuC7061 データシート/評価用ボード ADuM3100 データシート ADP1720 データシート 9/11—Revision 0: 初版 MT-101 Tutorial : Decoupling Techniques 「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さまは 製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のもとでの暗示 的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを期しています。し かし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかなる種類の明示的、暗示的、 法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはその他の権利の侵害に関して一切の 責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、それを行う義務はありません。 商標および 登録商標は各社の所有に属します。 ©2011 Analog Devices, Inc. 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