AN200291 I2C nvSRAM から I2C F-RAM™への置き換え 著者: Harsha Medu 関連製品ファミリ: I 2 C F-RAM 関連サンプル コード: なし 関連アプリケーション ノート: AN96578 本アプリケーション ノートの最新版を入手するには、http://www.cypress.com/go/AN200291 へ アクセスしてください。 本アプリケーション ノート (AN200291) は I2C nvSRAM から I2C F-RAM™への置き換えのガイドラインを提供します。それは 等価の F-RAM デバイスを推奨し、パッケージと機能の相違点、および置き換えを首尾よく行うためのハードウェアとファーム ウェアの修正点を説明します。 目次 1 はじめに .................................................................... 1 3.7 ステータス レジスタおよびブロック保護 ............. 11 2 概要 .......................................................................... 2 3.8 タイミング パラメーター .................................... 11 2.1 パッケージの互換性 .......................................... 2 3.9 Vcc ランプ レート .............................................. 11 2.2 ピンの互換性 .................................................... 2 3.10 ファームウェアの変更 ...................................... 11 2.3 命令/機能セット............................................... 3 4 2.4 3 1 まとめ ...................................................................... 11 パラメーター ...................................................... 4 改訂履歴 .......................................................................... 12 重要な注意事項 ......................................................... 8 ワールドワイド販売と設計サポート .................................... 13 3.1 ピンの差異 ........................................................ 8 製品 ................................................................................. 13 3.2 I2C 速度 ............................................................ 9 PSoC®ソリューション ........................................................ 13 3.3 nvSRAM の特別な機能 ..................................... 9 サイプレス開発者コミュニティ ............................................ 13 3.4 スリープ モード .................................................. 9 テクニカルサポート ........................................................... 13 3.5 デバイス ID ..................................................... 10 3.6 シリアル番号 ................................................... 10 はじめに F-RAM (強誘電体ランダム アクセス メモリ) は強誘電体コンデンサを使ってデータを格納する不揮発性メモリです。F-RAM に書き込まれるデータは瞬時に不揮発性になります。EEPROM およびフラッシュと違って、F-RAM はバス速度でデータを 不揮発性メモリに書き込みます。 nvSRAM は、各メモリ セルに不揮発性素子を組み込んだ SRAM メモリです。組み込んだ不揮発性素子は SONOS 量子トラップ 技術を利用します。SRAM が回数に制限のない読み出しと書き込みサイクルをもたらす一方、量子トラップセルが高い信頼性 の不揮発性データ記憶を実現します。SRAM から不揮発性要素へのデータ転送 (STORE 動作) は、パワーダウン時に自動 的に実行されます。電源投入時には、不揮発性メモリから SRAM にデータが再 STORE されます(RECALL 動作)。 サイプレスは CY14MB064J2A、 CY14ME064J2A、および CY14B101J2 という新しい設計には推奨されない (NRND) 3 つ の nvSRAM デバイスを製造しました。サイプレスは F-RAM 製品によりこれらのデバイスの置き換えオプションを提供します。 本アプリケーション ノートは I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換えに際しての詳細な情報を提供します。それは、 パッケージ、機能およびタイミングの相違点、および置き換えを首尾よく行うためのハードウェアとファームウェアに求められる 修正点を説明しています。 NRND (新しい設計に推奨されない) である nvSRAM デバイスに対して、表 1 に推奨する置き換えの F-RAM 製品を示します。 www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 1 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 表 1. 置き換えオプション SI 番号 nvSRAM (または元の) 製品番号 F-RAM (または置き換え) 製品番号 説明 2 1 CY14MB064J2A FM24CL64B 64Kb、3.0V I C デバイス 2 CY14ME064J2A FM24C64B 64Kb、5.0V I C デバイス 3 CY14B101J2 FM24V10 / FM24VN10 1Mb、3.0V I C デバイス 2 2 これらのことは、F-RAM 製品は読み出し/書き込みプロトコル (I2C) および容量が nvSRAM 製品と同じあることを示唆しますが、 これらは同一ではありません。nvSRAM 製品を置き換える際に、それらの相違点を知る必要があります。以下のセクションは 類似点および相違点について説明します。 2 概要 2.1 パッケージの互換性 表 2 に示すように、すべての nvSRAM パッケージ オプションが F-RAM でサポートされています。さらに、3.0V の 64Kb F-RAM デバイスも 8 ピン DFN パッケージで提供されています。 表 2. パッケージの比較 置き換えオプション パッケージ 1 2 CY14MB064J2A FM24CL64B CY14ME064J2A 8 ピン SOIC 使用可能 使用可能 使用可能 8 ピン DFN 使用不可 使用可能 使用不可 3 FM24C64B CY14B101J2 FM24V10/ FM24VN10 使用可能 使用可能 使用可能 使用不可 使用不可 使用不可 ピンの互換性 2.2 表 3 に示すように、nvSRAM と F-RAM は、ピン 1 を除いてすべての I/O ピンが一致します。F-RAM ではピン 1 はデバイス 選択ピン A0 です。F-RAM で A0 には内部プルダウン抵抗があるため、F-RAM への置き換えの際は、フローティングのまま にすることが可能です。 表 3. ピンの相違点 SI 番号 製品番号 CY14MB064J2A 対 1 FM24CL64B CY14ME064J2A 対 2 FM24C64B www.cypress.com ピンの説明 ピン 1 を除いて、すべてのピンは互換性がある。 ピン 1 は CY14MB064J2A では VCAP であり、FM24CL64B では A0。FM24CL64B には VCAP ピンが不要なので、更に 1 本のデバイス選択ピン (A0) が提供され、このピンを 2 介して最大 8 個の F-RAM デバイスを同じ I C バスに接続することができる A0 ピンを使用するには、既存のアプリケーションでファームウェアの変更が必要。メモリ スレーブ ID のビット 1 は nvSRAM で「ドントケア」であるが、F-RAM で「0」でなければならない (F-RAM で A0 ピンを未接続のま まにするか、または VSS に接続すると想定) ピン 1 を除いて、すべてのピンは互換性がある。 ピン 1 は CY14ME064J2A で VCAP であり、FM24C64B で A0。 FM24C64B には VCAP ピンが不要なので、更に 1 本のデバイス選択ピン (A0) が提供され、このピンを介して 2 最大 8 個の F-RAM デバイスを同じ I C バスに接続することができる A0 ピンを使用するには、既存のアプリケーションでファームウェアの変更が必要。メモリ スレーブ ID のビット 1 は nvSRAM で「ドントケア」であるが、F-RAM では「0」でなければならない (F-RAM では A0 ピンを未接続の ままにするか、または VSS に接続すると想定) 文書番号: 002-10302 Rev. ** 2 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え SI 番号 製品番号 ピンの説明 CY14B101J2 対 3 すべてのピンは互換性がある。F-RAM には VCAP が不要なため、ピン 1 が NC (未接続)。 FM24V10 / FM24VN10 2.3 命令/機能セット 表 4 に、nvSRAM と F-RAM のすべての機能の比較を示します。ハイライトしたセルは、nvSRAM に比べて F-RAM の機能 が劣っていることを示します。 表 4. 機能セット比較 置き換えオプション 1 機能セット 2 3 備考 CY14MB0 64J2A FM24CL64B CY14ME064J2A FM24C64B CY14B101J2 FM24V10/ FM24VN10 シングルバイト書き込み 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 マルチバイト書き込み 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 2 ハイスピード モード (Hs モード) でのシング ルバイト書き込み 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用可能 Hs モードでのマルチバ イト書き込み 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用可能 現時点アドレス シング ルバイト読み出し 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 現時点アドレス マルチ バイト読み出し 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 Hs モードの現時点アド レス シングルバイト読み 出し I C Hs モードは 64Kb F-RAM でサポートされない 2 I C Hs モードは 64Kb F-RAM でサポートされない 2 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用可能 I C Hs モードは 64Kb F-RAM でサポートされない I C Hs モードは 64Kb F-RAM でサポートされない 2 Hs モードの現時点アド レス マルチバイト読み 出し 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用可能 選択的 (ランダム) シン グルバイト読み出し 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 選択的 (ランダム) マル チバイト読み出し 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 スリープ モード 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用可能 64Kb F-RAM は非常に低い スタンバイ電流を消費するた め、スリープ モードはサポート されない デバイス ID 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用可能 デバイス ID は 64Kb F-RAM ではサポートされない シリアル番号 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 FM24VN10 で使用可能 シリアル番号は 64Kb F-RAM でサポートされない AutoStore 使用可能 – 使用可能 – 使用可能 – 不揮発性書き込みが瞬間的 で あ る た め 、 AutoStore は F-RAM に適用されない www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 3 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 置き換えオプション 1 機能セット CY14MB0 64J2A 2 FM24CL64B CY14ME064J2A 3 FM24C64B 備考 FM24V10/ FM24VN10 CY14B101J2 ソフトウェア STORE 使用可能 – 使用可能 – 使用可能 – 不揮発性書き込みが瞬間的 であるため、ソフトウェア STORE は F-RAM に適用さ れない AutoStore イネーブル/ ディセーブル 使用可能 – 使用可能 – 使用可能 – AutoStore は F-RAM に適用 されない ソフトウェア RECALL 使用可能 – 使用可能 – 使用可能 – 個別の NV メモリ セルがない ため、ソフトウェア RECALL は F-RAM に適用されない ステータス レジスタ/ ブロック保護 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 使用可能 使用不可 ステータス レジスタもブロック 保護も F-RAM で使用不可 速度 3.4MHz、 1MHz、 400kHz 1MHz、 400kHz 3.4MHz、1MHz、 400kHz 1MHz、 400kHz 3.4MHz、 1MHz、 400kHz 3.4MHz、 1MHz、 400kHz アクセス可能回数 10 不揮発 性サイクル 10 20 年 10 年 6 データ保持 o (85 C) 6 14 6 10 不揮発性 サイクル 10 20 年 10 年 14 10 不揮発性 サイクル 10 20 年 10 年 ハイ スピード モードは 64Kb F-RAM でサポートされない nvSRAM と F-RAM の両方に 対し、耐久性は実用上無制限 14 F-RAM のデータ保持時間は nvSRAM より短い パラメーター 2.4 表 5 に、64Kb nvSRAM と F-RAM 間の DC と AC パラメーターの比較を示します。ハイ スピード モードを除けば、パラメーターは 互換性があります。ハイライトしたセルは、nvSRAM に比べて F-RAM の機能が劣っていることを示します。 表 5. 64Kb nvSRAM と F-RAM のパラメーター比較 パラメーター CY14MB064J2A/ CY14ME064J2A 説明 Min FM24CL64B / FM24C64B Max Min 単位 Max DC パラメーター VCC/VDD ICC1 電源電圧 3V (Typ) 2.7 3.6 2.7 3.65 5V (Typ) 4.5 5.5 4.5 5.5 fSCL = 3.4MHz – 1 非対応 平均 Vcc 電流 fSCL = 1MHz – 400 – V mA 300 (FM24CL64B) µA 400 (FM24C64B) ICC2 STORE 中の平均 Vcc 電流 – 3 該当なし mA ICC4 AutoStore サイクル中の平均 VVCAP 電流 – 3 該当なし mA 6 120 (CY14MB064J2A) ISB Vcc スタンバイ電流 – 150 (CY14ME064J2A) www.cypress.com (FM24CL64B) - 文書番号: 002-10302 Rev. ** µA 10 (FM24C64B) 4 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え パラメーター CY14MB064J2A/ CY14ME064J2A 説明 Min FM24CL64B / FM24C64B Max Min 単位 Max IZZ スリープ モード電流 – 8 非対応 IIX I/O ピンの入力電流 –1 +1 –1 +1 µA IOZ 出力リーク電流 –1 +1 –1 +1 µA Ci / CO 出力ピン静電容量 – 7 – 8 pF Ci / CI 入力ピン静電容量 – 7 – 6 pF VIH 入力 HIGH 電圧 0.7 x VCC VCC + 0.5 0.7 x VCC VCC + 0.3 V VIL 入力 LOW 電圧 –0.5 0.3 x VCC –0.3 0.3 x VCC V 出力 LOW 電圧 IOL = 3mA – 0.4 – 0.4 V VOL IOL = 6mA – 0.6 非対応 VIN = VIL(Max) 50 – 40 – kΩ VIN = VIH(Min) 1 – 1 – MΩ Vhys シュミット トリガー入力のヒステリシス 0.05 x VCC – 0.05 x VCC – V VCAP ストレージ コンデンサ 42 180 該当なし µF VVCAP デバイスにより VCAP ピン上に駆動され た最大電圧 – VCC 該当なし V – 3.4 非対応 MHz – 1 – 1 MHz – 400 – 400 kHz Rin µA V クロック周波数 fSCL クロック周波数、SCL fSCL = 1MHz 時の AC スイッチング パラメーター tSU; STA 反復 START 条件のセットアップ時間 250 – 250 – ns tHD;STA START 条件のホールド時間 250 – 250 – ns tLOW SCL の LOW 時間 500 – 600 – ns tHIGH SCL の HIGH 時間 260 – 400 – ns tSU;DATA データ入力セットアップ時間 100 – 100 – ns tHD;DATA データ ホールド時間 (入力/出力) 0 – 0 – ns tDH データ出力ホールド時間 0 – 0 – ns tr SDA と SCL の立ち上がり時間 – 120 – 300 ns tf SDA と SCL の立ち下がり時間 – 120 – 100 ns tSU;STO STOP 条件のセットアップ時間 250 – 250 – ns tVD;DATA データ出力有効時間 – 400 – 550 ns tVD;ACK ACK 出力有効時間 – 400 未指定 ns tOF VIH(min)から VIL(max)までの出力立ち 下がり時間 – 120 未指定 ns tBUF STOP 条件と次の START 条件間の バス空き時間 500 – 500 www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** – ns 5 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え パラメーター CY14MB064J2A/ CY14ME064J2A 説明 Min 入力フィルターで抑制する必要がある スパイクのパルス幅 tSP FM24CL64B / FM24C64B Max – Min – 50 単位 Max 50 ns – ms 30 – µs/V 30 – µs/V タイミング 1 (FM24CL64B) 電源投入時から最初のアクセスまで tFA (tPU) – 20 10 (FM24C64B) – tVCCRISE (tVR) VCC 電源投入時ランプ レート 50 tVF VCC 電源切断時ランプ レート 未指定 tSLEEP SLEEP 命令が発行されてから低消費 電力モードに入るまでの時間 – 8 該当なし ms tWAKE (tREC) スリープ モードからの復帰時間 – 20 該当なし ms tSB STOP 条件が発行されてからスタンバイ モードに入るまでの時間 – 100 未指定 µs 表 6 に、1Mb nvSRAM と F-RAM 間の DC と AC パラメーターの比較を示します。すべてのパラメーターは互換性があります。 ハイライトしたセルは、nvSRAM に比べて F-RAM の機能が劣っていることを示します。 表 6. 1Mb nvSRAM と F-RAM のパラメーター比較 パラメーター CY14B101J2 説明 Min FM24V10 / FM24VN10 Max Min 単位 Max DC パラメーター VCC/VDD 電源電圧 ICC1 平均 Vcc 電流 2.7 3.6 2.0 fSCL = 3.4MHz – 1 1 fSCL = 1MHz – 400 – 3.6 V mA 400 µA ICC2 STORE 中の平均 Vcc 電流 – 3 該当なし mA ICC4 AutoStore サイクル中の平均 VVCAP 電流 – 3 該当なし mA ISB Vcc スタンバイ電流 – 150 – 150 µA IZZ スリープ モード電流 – 8 – 8 µA IIX I/O ピンの入力電流 –1 +1 –1 +1 µA IOZ 出力リーク電流 –1 +1 –1 +1 µA Ci 各 I/O ピンの静電容量 – 7 – – pF CO 出力ピン静電容量 (SDA) – – – 8 pF CI 入力ピン静電容量 – – – 6 pF VIH 入力 HIGH 電圧 0.7 x VCC VCC + 0.5 0.7 x VCC VCC + 0.3 V VIL 入力 LOW 電圧 –0.5 0.3 x VCC –0.3 0.3 x VCC V VOL 出力 LOW 電圧 – 0.4 – 0.4 V www.cypress.com IOL = 3mA 文書番号: 002-10302 Rev. ** 6 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え パラメーター CY14B101J2 説明 Min FM24V10 / FM24VN10 Max Min 単位 Max – 0.6 未指定 VIN = VIL(Max) 50 – 50 – kΩ VIN = VIH(Min) 1 – 1 – MΩ シュミット トリガー入力のヒステリシス 0.05 x VCC – 0.05 x VCC – V VCAP ストレージ コンデンサ 42 180 該当なし µF VVCAP デバイスにより VCAP ピン上に駆動された最大電圧 – VCC 該当なし V – 3.4 – 3.4 MHz – 1 – 1 MHz – 400 – 400 kHz IOL = 6mA Rin Vhys V クロック周波数 fSCL クロック周波数、SCL fSCL = 1MHz 時の AC スイッチング パラメーター tSU;STA 反復 START 条件のセットアップ時間 250 – 260 – ns tHD;STA START 条件のホールド時間 250 – 260 – ns tLOW SCL の LOW 時間 500 – 500 – ns tHIGH SCL の HIGH 時間 260 – 260 – ns tSU;DATA データ入力セットアップ時間 100 – 50 – ns tHD;DATA データ ホールド時間 (入力/出力) 0 – 0 – ns tDH データ出力ホールド時間 0 – 0 – ns tr SDA と SCL の立ち上がり時間 – 120 – 120 ns tf SDA と SCL の立ち下がり時間 – 120 – 120 ns tSU;STO STOP 条件のセットアップ時間 250 – 260 – ns tVD;DATA データ出力有効時間 – 400 – 450 ns tVD;ACK ACK 出力有効時間 – 400 未指定 ns tOF VIH(min)から VIL(max)までの出力立ち下がり時間 – 120 未指定 ns tBUF STOP 条件と次の START 条件間のバス空き時間 500 – 500 – ns tSP 入力フィルターで抑制する必要があるスパイクの パルス幅 – 50 – 50 ns tFA (tPU) 電源投入時から最初のアクセスまで 20 – 0.25 – ms tVCCRISE (tVR) VCC 電源投入時ランプ レート 50 – 50 – µs/V tVF VCC 電源切断時ランプ レート 制限がない 100 – µs/V tSLEEP SLEEP 命令が発行されてから低消費電力 モードに入るまでの時間 – 8 未指定 tWAKE (tREC) スリープ モードからの復帰時間 – 20 – tSB STOP 条件が発行されてからスタンバイ モードに入る までの時間 – 100 未指定 タイミング www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** ms 0.4 ms µs 7 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 重要な注意事項 3 表 7 に、nvSRAM から F-RAM への置き換え際に注意すべきの各オプションの重要な注意事項をまとめています。 表 7. 重要な注意事項のまとめ SI 番号 製品番号 重要な相違点 ピン: ピン 1 は nvSRAM で VCAP であり、F-RAM で A0。 CY14MB064J2A 対 1 FM24CL64B 速度: 3.4MHz は F-RAM でサポートされない。F-RAM は 1MHz、400kHz および 100kHz をサポート。 必須でない機能: AutoStore、ソフトウェア STORE、ソフトウェア RECALL、AutoStore イネーブル、および AutoStore ディスエーブルは F-RAM に適用されない。 サポートされない機能: スリープ モード、デバイス ID、シリアル番号、ブロック保護およびステータス レジスタは F-RAM でサポートされない ピン: ピン 1 は nvSRAM で VCAP であり、F-RAM で A0。 CY14ME064J2A 対 2 FM24C64B 速度: 3.4MHz は F-RAM でサポートされない。F-RAM は 1MHz、400kHz および 100kHz をサポート。 必須でない機能: AutoStore、ソフトウェア STORE、ソフトウェア RECALL、AutoStore イネーブル、および AutoStore ディスエーブルは F-RAM に適用されない。 サポートされない機能: スリープ モード、デバイス ID、シリアル番号、ブロック保護およびステータス レジスタは F-RAM でサポートされない ピン: ピン 1 は nvSRAM で VCAP であり、F-RAM で A0。 CY14B101J2 対 3 FM24V10/ FM24VN10 3.1 必須でない機能: AutoStore、ソフトウェア STORE、ソフトウェア RECALL、AutoStore イネーブル、および AutoStore ディスエーブルは F-RAM に適用されない。 サポートされない機能: ブロック保護およびステータス レジスタは F-RAM でサポートされない。 実装が異なる機能: スリープ モード、デバイス ID およびシリアル番号がサポートされるが、nvSRAM と F-RAM では命令が異なる ピンの差異 ピン 1 は nvSRAM では VCAP です。図 1 および図 2 に示すように、このピンは、64Kb F-RAM では A0 であり、1Mb F-RAM では NC です。そのため、nvSRAM から F-RAM への置き換えの際、ピン 1 を開放にしてください。F-RAM はピン A0 を LOW に維持する内部プルダウン抵抗を備えています。 図 1. 64Kb nvSRAM と F-RAM のパッケージ比較 FM24CL64B / FM24C64 Top View not to scale 図 2. 1Mb nvSRAM と F-RAM のパッケージ比較 FM24V10 / FM24VN10 Top View not to scale www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 8 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 3.2 I2C 速度 I2C Hs モードは大容量 (128Kb 以上) の F-RAM のみでサポートされます。そのため、1Mb nvSRAM から 1Mb F-RAM への 置き換えの際、I2C 速度は問題となりません。 1MHz 以下の I2C アクセスの場合、64Kb nvSRAM (CY14MB064J2A) から 64Kb F-RAM (FM24CL64B) への置き換えの 際に、I2C 速度も問題ではありません。ただし、Hs モード アクセスが必要な場合は、CY14MB064J2A を、同じフットプリントで Hs モードをサポートするより大きい容量の F-RAM (128Kb、FM24V01) に置き換えることができます。CY14ME064J2A (5V nvSRAM) に対しては、Hs モードをサポートする F-RAM の置き換えオプションはありません。 3.3 nvSRAM の特別な機能 AutoStore、AutoStore イネーブル、AutoStore ディスエーブル、ソフトウェア STORE やソフトウェアなどの nvSRAM の特別 な機能は F-RAM に適用不可です。nvSRAM では、データはまず SRAM に書き込まれ、そのあとで AutoStore またはソフト ウェア STORE の処理中に不揮発性セルに転送されます。F-RAM では、データは瞬時に不揮発性になるため、これらの機 能は無意味です。 3.4 スリープ モード より小さい容量の F-RAM デバイス (FM24CL64B または FM24C64B) では、スタンバイ電流は nvSRAM のスリープ モード 電流と等価です。そのため、スリープ モードは小さい容量の F-RAM で不要です。1Mb F-RAM の FM24V10/FM24VN10 で は、スリープ モードは nvSRAM CY14B101J2 と同様にサポートされます。ただし、図 3 および図 4 に示すように、スリープ モードへの移行の命令は異なります。 図 3. nvSRAM (CY14B101J2) でのスリープ モード 図 4. F-RAM (FM24V10) でのスリープ モード www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 9 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 3.5 デバイス ID nvSRAM と違って、すべての F-RAM デバイスではデバイス ID が使用不可です。FM24V10/FM24VN10 は、nvSRAM カウンターパートである CY14B101J2 と同じデバイス ID を持っています。ただし、図 5 および図 6 に示すように、デバイス ID を読み出す命令は異なります。より小さい容量の F-RAM デバイス (FM24CL64B および FM24C64B) では、デバイス ID は 使用不可です。ただし、デバイス ID が必要な場合、FM24CL64B をより大きい容量の F-RAM (128Kb FM24V01) に置き 換えることができます。 図 5. nvSRAM (CY14B101J2) でのデバイス ID 読み出し 図 6. F-RAM (FM24V10) でのデバイス ID 読み出し 3.6 シリアル番号 nvSRAM と違って、シリアル番号は 1Mb F-RAM デバイスにのみあります。標準の 1Mb FM24V10 はシリアル番号を持って いない一方、FM24VN10 という別の F-RAM 製品はシリアル番号を持っています。シリアル番号は nvSRAM ではユーザー により設定可能ですが、F-RAM では、工場出荷時にプログラム済みの読み出し専用番号です。さらに、図 7 および図 8 に 示すように、シリアル番号を読み出す命令は両者で異なります。より小さい容量の F-RAM デバイス (FM24CL64B および FM24C64B) には、シリアル番号はありません。 図 7. nvSRAM (CY14B101J2)でのシリアル番号読み出し 図 8. F-RAM (FM24VN10) でのシリアル番号読み出し www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 10 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 3.7 ステータス レジスタおよびブロック保護 nvSRAM と違って、F-RAM はステータス レジスタを備えていません。そのため、ブロック保護機能もサポートされません。 ユーザーが nvSRAM でブロック保護機能を使用している場合、F-RAM に置き換える際、この機能は使用不可です。ただし、 メモリ全体を保護する書き込み保護 (WP) ピンの機能は nvSRAM と F-RAM で同じです。 3.8 タイミング パラメーター AC パラメーター (tLOW および tHIGH) は SCL クロックの LOW および HIGH タイミングを表します。これらは 1Mb CY14B101J2 と FM24V10 で同じです。64Kb nvSRAM と F-RAM では、これらは 1MHz の場合を除いて同じです。ユーザーの アプリケーションが 1MHz で動作している場合、F-RAM に置き換える際、tLOW が最小値 (600ns) で、tHIGH が最小値 (400ns) であることを確認してください。 SDA および SCL ラインの立ち下がり時間 (tf) は、64Kb nvSRAM では 120ns (最大値) で、64Kb F-RAM では 100ns (最大値) です。 反復 START と STOP のセットアップ時間 (それぞれ tSU;STA および tSU;STO) および START のホールド時間 (tHD;STA) はわずかに 異なります。これは、1Mb FM24V10 では 260ns で、CY14B101J2 では 250ns です。 F-RAM 仕様の残りのパラメーターは nvSRAM のパラメーターと同じであるか、またはより良いです。比較については、表 5 と 表 6 をご参照ください。 3.9 Vcc ランプ レート F-RAM は nvSRAM に比べて、同じまたはより良い Vcc 電源投入ランプ レート仕様を持っています。ただし、電源切断ランプ レート仕様が F-RAM に追加されます。ユーザーのシステムで電源切断ランプ レートが 30µs/V より遅いことを確認してください。 3.10 ファームウェアの変更 nvSRAM 用のファームウェアは AutoStore、ソフトウェア STORE、ソフトウェア RECALL、AutoStore イネーブルや AutoStore ディスエーブルなどの nvSRAM 特有の機能により追加の論理を含むことがあります。F-RAM ではこの論理を除 去できます。スリープ モード、デバイス ID およびシリアル番号の命令は F-RAM で異なるため、ファームウェアを変更する必 要があります。 電源投入から最初のアクセスまでの時間、スリープ モードへの移行時間およびウェイクアップ時間は F-RAM でより短いです。 そのため、待機時間を短縮するために、ファームウェアを更新できます。詳細については、表 5 および表 6 をご参照ください。 4 まとめ 本アプリケーション ノートでは、I2C nvSRAM から I2C F-RAM デバイスへの置き換え用のオプションについて説明しました。 両方のデバイスの間で、パッケージ、機能とパラメーターに関して考慮すべきのいくつかの相違点があります。指定した nvSRAM デバイスを使用するデザインの大部分は最小限の変更だけで F-RAM に置き換えることができます。 www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 11 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え 改訂履歴 文書名: AN200291 - I2C nvSRAM から I2C F-RAM™への置き換え 文書番号: 002-10302 版 ECN 変更者 発行日 ** 5045489 HZEN 12/24/2015 www.cypress.com 変更内容 これは英語版 002-00291 Rev. **を翻訳した日本語版 002-10302 Rev. **です。 文書番号: 002-10302 Rev. ** 12 I2C nvSRAM から I2C F-RAM への置き換え ワールドワイド販売と設計サポート サイプレスは、事業所、ソリューション センター、メーカー代理店および販売代理店の世界的なネットワークを保持しています。お客様 の最寄りのオフィスについては、サイプレスのロケーション ページをご覧ください。 PSoC®ソリューション 製品 車載用 cypress.com/go/automotive psoc.cypress.com/solutions クロック & バッファ cypress.com/go/clocks PSoC 1 PSoC 3 |PSoC 4 PSoC 5LP インターフェース cypress.com/go/interface サイプレス開発者コミュニティ 照明 & 電源管理 cypress.com/go/powerpsoc コミュニティ | フォーラム | ブログ | ビデオ | トレーニング メモリ cypress.com/go/memory テクニカルサポート PSoC cypress.com/go/psoc タッチ センシング cypress.com/go/touch USB コントローラー cypress.com/go/usb ワイヤレス/RF cypress.com/go/wireless cypress.com/go/support PSoC はサイプレス セミコンダクタ社の登録商標であり、F-RAM は同社の商標です。本書で言及するその他のすべての商標または登録商標は各社の所有物で す。 Cypress Semiconductor 198 Champion Court San Jose, CA 95134-1709 Phone Fax Website : 408-943-2600 : 408-943-4730 : www.cypress.com © Cypress Semiconductor Corporation, 2015. 本文書に記載される情報は、予告なく変更される場合があります。Cypress Semiconductor Corporation (サイ プレス セミコンダクタ社) は、サイプレス製品に組み込まれた回路以外のいかなる回路を使用することに対して一切の責任を負いません。サイプレス セミコンダク タ社は、特許またはその他の権利に基づくライセンスを譲渡することも、または含意することもありません。サイプレス製品は、サイプレスとの書面による合意に基 づくものでない限り、医療、生命維持、救命、重要な管理、または安全の用途のために使用することを保証するものではなく、また使用することを意図したものでも ありません。さらにサイプレスは、誤動作や故障によって使用者に重大な傷害をもたらすことが合理的に予想される生命維持システムの重要なコンポーネントとし てサイプレス製品を使用することを許可していません。生命維持システムの用途にサイプレス製品を供することは、製造者がそのような使用におけるあらゆるリス クを負うことを意味し、その結果サイプレスはあらゆる責任を免除されることを意味します。 このソースコード (ソフトウェアおよび/またはファームウェア) はサイプレス セミコンダクタ社 (以下「サイプレス」) が所有し、全世界の特許権保護 (米国およびそ の他の国)、米国の著作権法ならびに国際協定の条項により保護され、かつそれらに従います。サイプレスが本書面によりライセンシーに付与するライセンスは、 個人的、非独占的かつ譲渡不能のライセンスであり、適用される契約で指定されたサイプレスの集積回路と併用されるライセンシーの製品のみをサポートするカ スタム ソフトウェアおよび/またはカスタム ファームウェアを作成する目的に限って、サイプレスのソース コードの派生著作物をコピー、使用、変更そして作成す るためのライセンス、ならびにサイプレスのソース コードおよび派生著作物をコンパイルするためのライセンスです。上記で指定された場合を除き、サイプレスの 書面による明示的な許可なくして本ソース コードを複製、変更、変換、コンパイル、または表示することはすべて禁止します。 免責条項: サイプレスは、明示的または黙示的を問わず、本資料に関するいかなる種類の保証も行いません。これには、商品性または特定目的への適合性の黙 示的な保証が含まれますが、これに限定されません。サイプレスは、本文書に記載される資料に対して今後予告なく変更を加える権利を留保します。サイプレス は、本文書に記載されるいかなる製品または回路を適用または使用したことによって生ずるいかなる責任も負いません。サイプレスは、誤作動や故障によって使 用者に重大な傷害をもたらすことが合理的に予想される生命維持システムの重要なコンポーネントとしてサイプレス製品を使用することを許可していません。生命 維持システムの用途にサイプレス製品を供することは、製造者がそのような使用におけるあらゆるリスクを負うことを意味し、その結果サイプレスはあらゆる責任 を免除されることを意味します。 ソフトウェアの使用は、適用されるサイプレス ソフトウェア ライセンス契約によって制限され、かつ制約される場合があります。 www.cypress.com 文書番号: 002-10302 Rev. ** 13