混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 概 要 外形図 M57160AL−01は、RTC回路内蔵のトレンチゲー 単位:mm 47.0 以下 ト構造IGBTモジュール駆動に最適な混成集積回路です。 フォトカプラによって入力−出力間が電気的に絶縁されており、 2電源により駆動可能です。 20.5 以下 また、内蔵の保護回路により、過電流・短絡検出後、一定時 間の逆バイアスを持続するため、時間的に余裕のある保護動作 が可能です。過電流・短絡検出はIGBTのRTC回路の動作 によるゲート電圧降下を検知して行うため、IGBTのゲート 端子に当ハイブリッドICの検出端子を直接接続するだけでよ く、従来のIGBTコレクタ電圧を監視する方式で必要とした 4.5 以下 7.5 以下 5.5 以下 11.5 以下 高耐圧・高速ダイオード・保護ツェナーダイオードが不要とな 9.5 以下 ります。 2.54×13=33.02 ① 特 長 ⑭ ●高CMRフォトカプラ内蔵 ●過電流・短絡保護回路内蔵(タイマ及びリセット回路付) ●過電流・短絡検出抑制時間調節可能 ●入力−出力間絶縁耐圧:2500Vrms 1分間保証 用 途 インバータ、ACサーボ、P.C.等に使用されるIGBTモジュール駆動用 推奨モジュール 三菱IGBTモジュールFシリーズ、RTC回路内蔵タイプ ブロック図 4 ラッチ 14 タイマ及び 検出回路 2 VCC 短絡検出抑制時間 調整端子 1 ゲート電圧監視端子 5 VO 8 短絡検出出力端子 6 VEE リセット回路 インター フェース回路 13 フォトカプラ ゲート 遮断回路 混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 最大定格(指定のない場合は、Ta=25℃) 記 項 号 VCC 目 電源電圧 条 件 定格値 18 DC VEE 入力電圧 端子⑬−⑭間 VO 出力電圧 出力が“H”の時 IOHP 出力電流 パルス幅2μs、f≦20kHz −1∼+7 V VCC V -5 IOLP Tc V -15 VI Viso 単位 A 5 入力−出力間絶縁耐圧 正弦波電圧60Hz、1分間、RH≦50% 2500 Vrms − 85 ℃ ケース温度 Topr 動作温度 結露無きこと −20∼+60 ℃ Tstg 保存温度 結露無きこと -25∼+100 ℃ IFO エラー出力電流 端子⑧流入電流 20 mA VR 端子①印可電圧 VCC V − 電気的特性(指定のない場合は、Ta=25℃,VCC=15V,VEE=-5V,RG=2Ω) 記 号 項 目 規格値 測定条件 単位 最小 標準 最大 14 15 − -3 -5 -10 推奨範囲 4.75 5 5.25 推奨範囲 15.2 16 19 VIN=5V − 16 − スイッチング周波数 推奨範囲(※注 1) − − 20 KHz RG ゲート抵抗 推奨範囲 2 − − Ω VOH “H“出力電圧 − 13 14 − V VOL “L“出力電圧 − -3 -4 − V tPLH “L-H“伝搬時間 IIH=16mA − 0.4 1 μs “L-H“立ち上がり時間 IIH=16mA − 0.5 1 μs “H-L“伝搬時間 IIH=16mA − 0.8 1.3 μs “H-L“立ち下がり時間 IIH=16mA − 0.4 1 μs 1 − 2 ms − 5 − mA − 3.2 − μs − 5.1 − μs 3 − 4 V VCC 電源電圧 推奨範囲 V VEE VIN 一次側プルアップ電源電圧 IIH “H“入力電流 f tr tPHL tf ttimer IFO タイマ時間 エラー出力電流 保護動作開始から解除まで (入力信号は“L”であること) 端子⑧流入電流 R=3.9Ω 出力立ち上がり時、端子①:11V ttrip1 過電流検出制御時間1 ttrip2 過電流検出制御時間2 出力立ち上がり時、端子①:11V (※注2) 端子②-④間:22pFの容量接続 Vsc ※ 過電流検出電圧 端子②:オープン IGBT内のRTC回路による ゲート電圧降下 V mA 注1:IGBTモジュール直接駆動時にはIGBTの容量により推奨スイッチング周波数が 20kHz 以下となる場合があります。 注2:過電流検出抑制時間変更用コンデンサの配線長は、端子②−④間で往復 5cm 以内として下さい。 2 混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 特性曲線 消費電流−電源電圧特性(④−⑥間) 入力信号“L”(代表例) 内部消費電力−周囲温度特性 (最大定格) 5 Ta=25℃ 20 消費電流 (mA) 内部消費電力 PD(W) 4 3 2 10 1 0 0 0 20 40 60 80 0 100 周囲温度 Ta(℃) tPLH、tPHL−VI特性 (代表例) t PLH、t PHL- Ta 特性 (代表例) 1.6 VCC=15V VEE=-5V RG=2.2Ω VIN=5V 負荷:CM150DU-24F 1.2 1.0 出力"L-H"伝搬時間 tPLH(μs) 出力"H-L"伝搬時間 tPHL(μs) 出力"L-H"伝搬時間 t PLH(μs) 出力"H-L"伝搬時間 t PHL(μs) 1.6 1.4 t PHL 0.8 t PLH 0.6 0.4 0.2 0.0 −20 20 40 周囲温度 Ta(℃) 60 1.2 1.0 t PHL 0.8 0.6 t PLH 0.4 0.2 3.0 9 短絡検出抑制時間 ttrip(μs) VCC=15V VEE=-5V RG=2.2Ω Ta=25℃ 負荷:CM150DU-24F 1.4 0.0 0 ttrip−Ctrip特性 (代表例) 8 7 6 5 4 3 Ta=25℃ VCC=15V VEE=-5V 端子①電圧:11.0V 2 1 0 0 10 20 30 40 電源電圧 (端子④−⑥間) (V) 10 20 30 40 50 60 端子②−④間接続容量 Ctrip(pF) 3 4.0 5.0 6.0 入力信号電圧 VI(V) 7.0 混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 保護回路動作説明 (1) 応用回路例 本ハイブリッドICの保護回路は、過電流・短絡電流に よりIGBT内のRTC回路が動作してゲート電圧を低下 3.9kΩ させ、ゲート電圧がRTC回路動作前のゲート電圧より3 V低下すると、ゆるやかに出力電圧を降下させます。 8 また、出力の降下と同時に、保護回路が動作していること を知らせるエラー信号を端子⑧より出力( “L”レベル)しま 1 す。 (2) Ctrip 上記の保護動作は、ある一定(1∼2ms)以上の時間が VIN 2 経過した時点で、入力信号が“L”であればリセットされ、 M57160AL 通常スイッチング動作に戻ります。(“L”期間は、5μS 以上必要です。 ) 14 短絡検出時動作フロー 開 -01 13 RG 5 RTC 4 100μF 100μF + + 6 VCC 回路 VEE 始 TTLetc. 短絡状態の検知 VCC=15V f=20kHz VEE=-5V D.F.=50% RG=2.1Ω VIN=5V Ctrip=0∼56pF 御使用上の注意 (1) ゲート遮断回路動作 タイマ動作開始 短絡検出出力 端子③、⑦、⑩はテスト用端子です。外部との電気的 接触はお避けください。 (2) 電圧補償用コンデンサは極力ハイブリッドICの近く に実装してください。 (3) 端子②を使用する場合、Ctrip の配線は端子②,④よ 1∼2ms り極力短く配線してください。 (目安:往復5cm 以下) タイマ終了 (4) 電源オン・オフ時は誤出力防止のため入力信号を”L” NO 電圧に保持してください。 (5) RTC回路を内蔵していないIGBTを駆動するときなど、 保護機能を利用しない場合は端子①を端子⑤に接続 してください。また、ゲート振動により保護回路が YES 動作する場合は、端子①−⑤間に 1kΩ、端子①−⑥ 入力信号は NO 間に 470pF程度のコンデンサを接続し、端子①への “L”レベルか 振動ノイズが重畳されないよう対策してください。 (6) IGBTターンオン時、ゲート電圧がVCC−2Vに達す る前に過電流・短絡電流によりIGBT内のRTC回路が YES 動作し、RTC回路によるゲート電圧の降下が3V(標 準)未満であった場合、保護回路が動作するまでに一 リセット 定時間(短絡検出抑制時間:標準 3.2μs)を要しま す。なお、この時間より前に過電流・短絡電流状態が なくなりRTC回路が解除された場合には保護回路は 動作しません。なお、RTC回路によりクランプされた 短絡保護動作時の出力電圧の大きさは、−|VEE|+2V程度で ゲート電圧が低い程、短絡検出抑制時間は短くなりま す。 す。 4 混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 特性定義図 (1) 単電源使用回路 通常スイッチング動作 3.9kΩ VI 8 Vo tr tf 1 5V RG 90% 5 M57160AL 50% 14 -01 4 10% + 13 Dz1 (2) RTC 回路 + 100μF 6 tPHL tPLH VCC R1 Crev VCC=20V 過電流・短絡保護回路動作時 R1=3.3kΩ Dz1 のツェナー電圧:5.1V ∼ ∼ 電源投入後、R1×Crev(s)の時定数以上の時間が VI 0V 経過するまでオン信号を入力しないでください。 Vo 0V 大容量素子の駆動回路例 ∼ ∼ -3V ttrip1,2 ttimer 10V 3.9kΩ 10V 端子⑧出力 8 0V ∼ ∼ 1 2 4 M57160AL VCC −01 5V Ctrip C1 + RG 5 RTC 回路 14 VEE 13 . + C2 6 VCC=15V VEE=-5V Ctrip=0∼56pF C1,C2≧220μF(低インピーダンス品) 5 混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 製品取扱い上の注意事項 ハイブリッドIC(以下単に素子という)の開発・生産には、品質とりわけ信頼性には最大限の注意を払い、生産活動して おります。しかし素子の信頼性は素子固有の要因だけでなく、使用条件によっても大きく影響されます。 当社の素子を取り扱う際には、次の注意事項を読まれて、正しく御使用ください。 注 梱包・包装 意 事 項 当社から出荷される素子の梱包箱、内装材は一定の環境条件に耐えられるようになって いますが、外部からの衝撃、雨水、汚染等に曝されますと、梱包箱が破れたり内装材が壊れ て素子が露出する場合がありますので、取り扱いには十分注意してください。 1) 梱包箱を高く積み上げたり、梱包箱の上に重い物を乗せないでください。梱包箱が壊れ、 運 搬 荷崩れする危険があります。 2) 運送中は梱包箱を正しい向きに置いてください。逆さにしたり、立てかけたりすると 不自然な力が加わり、壊れる恐れがあります。 3)投げたり落したりすると、素子が壊れる恐れがあります。 4)水に濡らさないよう降雨、降雪時の運搬には注意してください。 5)その他運搬時には、できるだけ機械的振動や衝撃が少なくなるよう留意してください。 素子を保管するに当っては次の注意点を守ってください。これらが守れない場合は、特性の 保 管 劣化、半田付け性・外観不良等の発生原因にもなります。 1)直射日光を避け、できるだけ温度、湿度の変化の少ない室内に保管してください。 (5∼30℃,40∼60%RHが望ましい条件) 2)室内は、有毒ガスの発生がなく、塵埃の少ない状態にしてください。 3)保管容器は静電気の帯びにくいものにしてください。 4)保管中は素子に、過大な荷重がかからないようにしてください。 長期間の保管が必要な場合は、未加工の状態で保管してください。長期的に保管したり、 長期保管 悪い環境に置かれた素子を使用する際は、外観に傷、汚れ、錆等がないか確認の上、使用 してください。 最大定格とは、半導体メーカによって、指定される「半導体素子能力」または「使用できる 定格・特性 条件の限界値」のことで、半導体素子は通常この最大定格方式により規定されています。 したがってこれを超えて使用した場合、素子は劣化又は破壊を起こします。 素子劣化及び破壊を未然に防ぎ、機器における高信頼度を実現するために、また素子を特性上 及び経済性の面から最も有効に動作されるために、記載の定格値内及び規格値内で使用ください。 誤挿入による素子の破壊、劣化を防ぐため、外形図に記載しています端子配置を十分確認の上 取り付けて下さい。方向を間違えて通電しますと短絡事故を起こす恐れがありますので、十分 端子配置 注意してください。 6 混成集積回路 M57160AL-01 IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC 営業本部営業企画部 〒854-0065 長崎県諌早市津久葉町 6-41 安全設計に関するお願い ・弊社は品質、信頼性の向上に努めておりますが、半導体製品は故障が発生したり、誤動作する場合があります。弊社製品 の故障または誤動作によって、結果として人身事故、火災事故、社会的損害などを生じさせないような安全性を考慮した 冗長設計、延焼対策設計、誤動作防止設計などの安全設計に十分ご留意ください。 本資料ご利用に際しての留意事項 ・本資料は、お客様が用途に応じた適切なイサハヤ電子製品をご購入いただくための参考資料であり、本資料中に記載の 技術情報についてイサハヤ電子が所有する知的財産権その他の権利の実施、使用を許諾するものではありません。 ・本資料に記載の製品データ、図、表その他応用回路例の使用に起因する損害、第三者所有の権利に対する侵害に関し、イサ ハヤ電子は責任を負いません。 ・本資料に記載の製品データ、図、表その他全ての情報は、本資料発行時点のものであり、特性改良などにより予告なしに 変更することがあります。製品の購入に当たりましては、事前にイサハヤ電子へ最新の情報をご確認ください。 ・本資料に記載された製品は、人命に関わるような状況の下で使用される機器、あるいはシステムに用いられることを目的 として設計、製造されたものではありません。本資料の製品を運輸、移動体用、医療用、航空宇宙用、原子力制御用、海底 中継機器あるいはシステムなど、特殊用途へのご利用をご検討の際には、イサハヤ電子へ御照会ください。 ・本資料の転載、複製については、文書によるイサハヤ電子の事前の承諾が必要です。 ・本資料に関し詳細についてのお問合せ、その他お気付きの点がございましたら、イサハヤ電子まで御照会ください。 7 2004 年 4 月作成