BA8274 / F オーディオ IC I2CバスラインバッファIC BA8274 / F BA8274, BA8274Fは、I2Cバスシステムのすべての動作モードや特長を保持しながら、バスラインの距離を長くすること ができるバッファICです。データ及びクロックラインに対してこのバッファを入れることにより、ケーブルの容量が見 かけ上減少し、低コストの汎用配線を用いてバスラインの長さを伸ばすことができるようになります。 !用途 ミニコンポ、マイクロコンポ、CDラジカセ、TV、カーオーディオ用 !特長 1) 二重、双方向バッファ。 2) I2Cバス互換。 3) 1 : 10のインピーダンス変換。 4) 論理信号は電源電圧とグランドにて設定できる。 5) 電源電圧範囲が広い。 !絶対最大定格 (Ta=25℃) Parameter Symbol Limits 電源電圧 VCC 13.0 許容損失 Pd ∗ Unit V ∗ 動作温度範囲 Topr 800 / 550 −40~+85 保存温度範囲 Tstg −55~+125 mW °C °C ∗ Ta=25°C以上で使用する場合は、1°Cにつき5.5mW(SOP), 8.0mW (DIP)を減じる。 !推奨動作条件 (Ta=25℃) Parameter 電源電圧 Symbol VCC Min. Typ. Max. Unit 4.5 − 12 V ∗ I2C バスはフィリップ社の登録商標です。 1/8 BA8274 / F オーディオ IC !ブロックダイアグラム VCC LY SY N.C. 8 7 6 5 Buffer Buffer 1 2 3 4 N.C. LX SX GND !端子説明及び入出力回路図 Pin No. 等価回路 Pin Name 端子説明 VCC 2 7 LX LY バッファの出力端子です。 35.7 GND VCC 3 6 SX SY バッファの入力端子です。 35.7 GND 4 GND − グランド端子です。 8 VCC − 電源端子です。 2/8 BA8274 / F オーディオ IC !電気的特性 (特に指定のない限り Ta=25℃, VCC=5V) Parameter Symbol Min. Typ. Max. Unit 回路電流1 IQ1 − 16 30 mA 回路電流2 IQ2 − 17 30 mA VCC=12V 回路電流3 IQ3 − 30 40 mA Both I2C inputs LOW, both buffered outputs sinking 30mA. 駆動電流1 ISX, ISY 2.0 2.7 − mA ISX, ISY LOW=0.4V VLX, VLY LOW on buffered bus=0.3V. 駆動電流2 ILX, ILY 20 27 − mA 入力電流1 ISX, ISY − 2.8 3.5 mA ILX, ILY sink on buffered bus=30mA. 入力電流2 ILX, ILY − 3.0 3.3 mA ISX, ISY LOW on I2C bus=3mA. VLX, VLY=VCC and VSX, VSY=VCC. ILX, ILY − − 200 µA ZIN / ZOUT 8 10 13 − リーク電流 入出力インピーダンス比 Conditions ILX, ISY LOW=0.4V VSX, VSY LOW on I2C bus=0.3V. !測定回路図 VCC VCC N.C. N.C. E4 I4 F VCC A A V A2 0 1 2 E3 I3 150 A V B2 C2 3 0 1 SW4 2 3 SW3 8 7 VCC 6 LY N.C. 5 SY LX 1 N.C. SX 2 GND 3 4 SW2 SW1 0 1 2 3 0 A1 V 2 3 A V 150 I2 1 C1 B1 A N.C. 150 D2 I1 E2 N.C. D1 150 E1 VCC VCC Fig.1 3/8 BA8274 / F オーディオ IC !動作説明 BA8274 / F は、システムパフォーマンスを低下させることなく、また特殊なケーブルを用いることなく、I2C および 同種のバスシステムを遠距離にわたって延長することができるまったく同じ二つのバッファ回路を持っています。 このバッファは、I2C バスからバッファ後のバスまで、約 10 倍の電流利得を持っています。電流が I2C バス側から流 れると、その約 10 倍の電流がバッファ後のバス側から流れます(Fig.2 を参照) 。 これにより、システムはバッファ後のバス側で標準値の約 10 倍までの容量性負荷を駆動することができます。この 電流ベースのバッファリング方法は、I2C SDA / SCL ラインの双方向、オープンコレクタ/オープンドレーン特性を持 っています。干渉を最小限に抑えて安定性を確保するために、電流の増加・降下率が内部で制御されています。 VCC I I2C BUS SX 10×I CURRENT SENSE BUFFERED BUS LX GND Fig.2 !応用例 VCC 150 µ-COM 8 7 6 5 3 4 Buffer Buffer 1 2 150 µ-COM Fig.3 4/8 BA8274 / F オーディオ IC !外付け部品の説明 1. 外付部品の決め方 (1) プルアップ抵抗の計算 実際のシステムでは、プルアップ抵抗は、I2C システムに対する立ち上がり時間によって決まります。システム 全体の時定数(抵抗と静電容量の積)が 1 マイクロ秒に設定されていれば、近似的にこの値を満たします。 各ノードの時定数を 1 マイクロ秒とするために、各バスノードを個別に判断し(すなわち、I2C ノードと バッファ後のバスノード) 、プルアップ抵抗を選択することで、全体の時定数を設定することができます。また、 バッファ後のバス上の等価容量性負荷と静電容量を考慮することにより、 あるいはこの等価静電容量が必要とする バッファ後のバスのプルアップ抵抗を計算することによっても、全時定数を設定することができます。 それぞれ個別のバスの場合、プルアップ抵抗は以下のように計算することができます。 R= 1µsec Cdevice + Cwiring 条件 : Cdevice = 各バスに接続するデバイス静電容量の合計 Cwiring = 各バスに接続するデバイス浮遊容量の合計 上記の静電容量が不明のときは、近似的に各デバイスが 10pF の負荷静電容量と 10pF の配線静電容量を持つと して算出して下さい。 それぞれの I2C バスノードに対する静電容量はバッファによって約 10 倍され、バッファ後のバスの静電容量に 加算されます。新しいバッファ後のバスのプルアップ抵抗を計算することにより、組み込まれた I2C バスノードと バッファ後のバスの両方をこの一つのプルアップ抵抗で動作させることが可能になります。したがって、これらの 個別のプルアップ抵抗をバッファ後のバス上に組み入れることはできません (バッファ後のバス上の算出された静 電容量の合計から計算される値) 。バッファをシステムに永久に接続する場合は、それぞれのプルアップ抵抗をす べて組み合わせなければなりません。しかし、それを既存のシステムに追加することによって接続する場合は、オ リジナルのシステムが独立で動作するだけでよいのであれば、追加した I2C バスシステム上の抵抗をバッファ後の バスに組み込んで下さい。 LOW バスによる最大プルアップ電流がバッファ後のバス上で最大 3mA または 30mA の I2C バス規格を超えな いようにして下さい。計算式は以下の通りです。 30mA > VCC-0.4 Rp 条件 : Rp = すべてのプルアップ抵抗の並列組み合わせ この条件が満たされると、立ち下がり時間の規格も満たされます。 5/8 BA8274 / F オーディオ IC 2. 拡張 I2C バスに対する負荷計算 EXISTING PROPOSED BUS EXPANSION VCC 5V R1 BA8274/F BA8274/F SDA 2 R3 R2 LDA SDA IC 2 IC 3000pF GND 0V Fig.4 有効静電容量 近接のI2Cデバイス 有効静電容量 バッファ後のライン 有効静電容量 遠隔のI2Cデバイス 2 × I2C Devices 20pF 1 × I2C Devices 10pF Strays 20pF Strays 10pF BA8274 Buffer 10pF Wiring Cap. 3000pF BA8274 Buffer 10pF Total Cap. 50pF Total Cap. 3000pF Total Cap. 30pF I2Cプルアップ R1 = 1µsec 50pF バッファ後のバスのプルアップ = 20kΩ R2 = 1µsec 3000pF = 333kΩ I2Cプルアップ R3 = 1µsec 30pF = 33kΩ 既存のシステムに追加する場合 R1 = 20kΩ R2 = R2 × 0.1R3 R2 + 0.1R3 = 300Ω 常にバッファが接続されているためR3は不要 永久的なシステムの場合 R2 = 1 = 262Ω 1 1 1 + + 0.1R1 0.1R2 0.1R3 常にバッファが接続されているためR1とR3は不要 6/8 BA8274 / F オーディオ IC 注) R1、R2 および R3 は、各バスノード上の容量性負荷および 1µsec の時定数から計算されます。既存のシステム に追加する場合、R2 と基準値 R3 の並列組み合わせから計算される R2’(R2 に対する新しい値)が求められま す。それに対し、永久的なシステム R2 の場合は R1 および基準値 R3 が用いられます。この例は基準抵抗の値を 使用し、ノードとケーブルの静電容量を組み合わせたということに留意してください。 最大プルアップ電流のチェック (5−0.4)V 260Ω = 17.6mA < 30mA !使用上の注意 1. 動作電源電圧範囲について 動作電源電圧範囲であれば動作周囲温度の範囲で基本の回路機能動作が保証されていますが、ご使用の際はよく ご確認の上、定数と素子の設定、電圧設定、温度設定をお願いします。 2. 動作温度範囲について 推奨動作電圧範囲内であれば、動作温度の範囲内で一応の回路機能動作が保証されています。 許容損失の条件も温度と関連しますのでご注意下さい。 また、この範囲内において電気的特性で定められている条件以外では、その電気的特性の規格値を保証できませ んが、本来の機能は維持しています。 3. SX、SY、I2C バス、SDA または SCL BA8274 / F 内の二つのバッファ回路はまったく同一ですので、入力ピンを I2C バス、SDA データライン、あるい は SCL クロックラインとして使用することができます。 4. LX.LY,、バッファ後のバス、LDA または LCL バッファ後の低インピーダンスライン側では、対応する出力が LDA および LCL になります。 !電気的特性曲線 0.1 0.09 駆動電流ILX, ILY : (A) 0.08 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0 0 0.05 0.1 0.15 0.2 S端子電圧VSX, 0.25 0.3 VSY : (V) 0.35 0.4 Fig.5 S端子電圧−駆動電流ILX, ILY 7/8 BA8274 / F オーディオ IC !外形寸法図 (Units : mm) BA8274 BA8274F 9.3±0.3 5.0±0.2 3.2±0.2 5 1 4 6.2±0.3 4.4±0.2 4 1.5±0.1 0.11 7.62 0.51Min. 3.4±0.3 1 8 0.3Min. 5 6.5±0.3 8 1.27 0.4±0.1 0.15±0.1 0.1 0.3±0.1 2.54 0.5±0.1 DIP8 0° ~ 15° SOP8 8/8