参考回路:日本語版

日本語参考資料
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回路ノート
CN-0314
使用したリファレンス・デバイス
テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共
通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム
統合のために製作されました。さらに詳しい情報
又は支援は http://www.analog.com/jp/CN0314 をご覧
ください。
AD8420
広い電源範囲、レール to レール出力計装
アンプ
ADR02
超小型、高精度、5.0 V 電圧リファレンス
マイクロパワー計装アンプを使用した設定可能な
4-20 mA ループ駆動トランスミッタ/レシーバ
評価と設計サポート環境
回路の機能とその利点
回路評価ボード
CN0314 評価用ボード(EVAL-CN0314-EB1Z)
設計と統合ファイル
回路図、レイアウト・ファイル 、部品表
図 1 に示す回路は業界をリードするマイクロパワー計装アン
プを使用した 4 mA to 20 mA ループ駆動トランスミッタです。
無調整合計誤差は 1%以下です。この回路は差動入力電圧を電
流出力に変換するトランスミッタ(図 1)として、あるいは 4
mA to 20 mA 電流入力を電圧出力に変換するレシーバ(図 5)
としてスイッチ1個で設定する事ができます。
P5-1
ICIRCUIT
ADR02
R4
22.6kΩ
P2-1
+VIN
0V TO 5V
OR
0V TO 10V
ICIRCUIT + IAMP
5V
R3
11.0kΩ
R1
5.05kΩ
195mV
TO
990mV
R2
20.5kΩ
ILOOP
4mA TO 20mA
100µA TO 200µA
IQ1
IAMP
0V TO 10V
330pF
20kΩ
P3
0V TO 5V
R5
1kΩ
+IN
+VS
+
AD8420
3.3nF
Q1
ZXT13N50DE6
VOUT
−
FB
LOOP
SUPPLY
12V TO 36V
REF
0V
−VS
–IN
250Ω
RLOOP
ICIRCUIT
330pF
100µA
TO
200µA
NOTE: R1, R2, R3, R4 AND R5 ARE 0.1%
IQ1
3.9mA
TO
19.8mA
+
VR9
–
R9
50Ω
0.1%
IAMP
P5-2
ILOOP
VR9: 195mV TO 990mV
LOOP
GROUND
11284-001
20kΩ
P2-2
−VIN
図 1. 堅牢で設定可能な 4 mA to 20 mA 出力のループ駆動トランスミッタ回路
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に
よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利
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Rev. 0
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本
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電話 03(5402)8200
大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー
電話 06(6350)6868
CN-0314
回路ノート
I LOOP = I AMP + I R9
回路設計は高精度、低ノイズ、低消費電力のプロセス・コン
トロール・アプリケーションに最適化されています。回路の
トランスミッタとしての入力範囲は 0 V ~ 5V 又は 0 V ~ 10
V です。回路のレシーバとしての出力範囲は 2.5 V 又は 5 V リ
ファレンスを使う ADC と互換性のある 0.2 V ~ 2.3 V 又は 0.2
V ~ 4.8 V です。トランスミッタとしての電源電圧の範囲は
12 V ~ 36 V で、レシーバとしては 7 V ~ 36 V です。
回路が適切に動作するためには、回路全体の電源電圧を 7 V
以上にし、電圧リファレンス ADR02 が十分なヘッドルームを
得られるようにする必要があります。
VLOOP SUPPLY > 7 V + RLoadILoop(max)
RLOOP が 250 Ω の場合,
回路構成は設定可能なので、1つのハードウェア設計を同時
にトランスミッタとレシーバそれぞれのバックアップとし使
用でき、在庫要求を最小限に抑える事ができます。
VLOOP SUPPLY > 7 V + (250 Ω)(20 mA)
したがって、
VLOOP SUPPLY > 12 V
回路の説明
ループ電源電圧も 36 V max に制限されます。
回路は間接的電流フィードバック・アーキテクチャを採用し
た計装アンプ AD8420 を特徴としています。AD8420 はこの
アーキテクチャにより、優れた入力/出力特性になっています。
従来の計装アンプとは異なり、AD8420 は両電源がなくても
グラウンドあるいはグラウンドより少し低い信号も簡単に増
幅する事ができます。AD8420 の出力はレール to レールで、
出力電圧振幅は入力同相電圧に対して完全に独立しておりま
す。 従って AD8420 は大部分の従来型計装アンプのアーキテ
クチャに伴う入力同相電圧と出力電圧間の相互作用によって
生ずる制限から開放されます。AD8420 の入力出力特性は柔
軟性あり、マイクロパワーレベルの消費電力(0 V 入力時 80
µA max)で、広い電源範囲になっているので低消費電力の工業
用アプリケーションに理想的です。
トランスミッタ回路
AD8420 の利点はその高インピーダンス・リファレンス・ピ
ンで、それを駆動する追加のオペアンプが必要ないので、ト
ランスミッタ回路の電力、コスト、スペースを削減できます。
適切なループ動作のためには、検出抵抗 R9(50 Ω)を除き、
回路ボードのグラウンドとループのグラウンドを接続しない
事が重要です。
スケーリング用抵抗の選択
AD8420の差動入力電圧範囲は最大±1Vに制限されています。
従って、工業用機器の高い入力電圧範囲を受信できるように、
回路ではスケーリング抵抗網を使用して、0 V ~ 5 V あるい
は 0 V ~ 10 V入力を0.195 V ~ 0.990 Vに変換します。次の式
では回路の中のR1、 R2、 R3、 R4の値を得るために節点解析
を使います。
VIN MIN – 0.195 V
図 1 は、4mA to 20mA トランスミッタ回路の簡略化した図で
す。 回路は約 1 mA しか電流を消費しないのでループ駆動の
アプリケーションに適しています。トランスミッタの入力範
囲には 0 V ~ 5 V と 0 V ~ 10 V があり、ジャンパ P3 を使用
して選択できます。しかし AD8420 の差動入力電圧は最大 1
V に制限されるので、入力電圧範囲は 0.195 V ~ 0.990 V の範
囲にスケールダウンされます。
V REF – 0.195 V
=
0.195 V
R2
R1
VIN MAX – 0.990 V
+
R5
V REF – 0.990 V
R1
(1)
=
0.990 V
R2
(2)
R5
ここで:
VREF = 5 V
R5 = 1 kΩ
AD8420 の入力には帯域幅 1.2 kHz の差動モード・ノイズ・フ
ィルタ(40 kΩ/3.3 nF)と帯域幅 24 kHz のコモン・モード・ノイ
ズ・フィルタ (20 kΩ/330 pF)が接続されています。
入力範囲0 V ~ 5 Vの場合、式1と式2はそれぞれ式3と式4とな
ります。
AD8420 の間接的電流フィードバック・アーキテクチャによ
り、アンプの差動入力電圧が FB ピンと REF ピンの間に現れ
ます。トランジスタ Q1 は 0.195 V ~ 0.990 V の電圧範囲を検
出抵抗 R9(50 Ω) を通して流れる電流 3.9 mA ~ 19.8 mA に
変換します。
0 V – 0.195 V
+
5 V – 0.195 V
R1
5 V – 0.990 V
=
0.195 V
R2
+
5 V – 0.990 V
R1
検出抵抗 R9 を通して流れる電流には回路の電流と Q1 電流が
含まれますが、AD8420 の電流(IAMP)は含まれません。
(3)
1 kΩ
=
0.990 V
R2
(4)
1 kΩ
式 3 と式 4 を使用して R1 と R2 について解きます:
R1 = 5044 Ω
AD8420 の独特なアーキテクチャは電源電流の予測を可能に
し、+IN と −IN の間に印加される電圧が 0.195 V ~ 0.990 V の
場合 100 µA ~ 200 µA です。この電源電流が R9 を通して流
れる電流に加算され、合計出力ループ電流 4 mA to 20 mA と
なります。従って、ループの合計電流は次の式で与えられま
す:
R2 = 20564 Ω
入力範囲0 V ~ 10 Vの場合、式1と式2はそれぞれ式5と式6と
なります。
0 V – 0.195 V
+
5 V – 0.195 V
R3
10 V – 0.990 V
R3
Rev. 0
+
-2/8 -
=
0.195 V
R4
+
5 V – 0.990 V
R4
(5)
1 kΩ
=
0.990 V
1 kΩ
(6)
CN-0314
回路ノート
同じように、相当するスケーリング抵抗について解きます:
トランスミッタ回路全体の精度
R3 =11088 Ω
抵抗の許容誤差の影響で生じる合計誤差の良い近似は影響を
及ぼす抵抗が合計誤差に均等に影響すると仮定する事です。4
個の影響を及ぼす抵抗は R1 又は R3、R2 又は R3 そして R5
と R9 です。許容誤差 0.1%抵抗の積み重ねによるワーストケ
ースは 0.4% max の合計抵抗誤差なります。二乗和平方根誤差
を想定すると、合計二乗和平方根誤差は 0.1√4 = 0.2%になり
ます。
R4 =22603 Ω
実際の回路では、EIA 標準 0.1%抵抗値の最も近い値を使用し
なければならないので一定のオフセット誤差を招く結果にな
ります:EVAL-CN0314-EB1Z ボードとともに供給される抵抗
を下に示します:
R1 = 5050 Ω と R2 = 20500 Ω
AD8420 の A グレードと ADR02 の B グレードを使用したシス
テムの能動部品による最大誤差と二乗和平方根誤差を下の表
に示します。
R3 = 11000 Ω と R4 = 22600 Ω
ボードとともに供給されるこれらの抵抗の値によるオフセッ
ト誤差は次の式を使って計算する事ができます:
0 V ~ 5 V 入力の場合、VREF = 5 V、 R1 = 5.05 kΩ、 R2 =
20.5 kΩ、R5 = 1 kΩ。
オフセット誤差(%FSR)=


 VIN VREF 

( R1 )( R2 )( R5 ) 
+



R2 
 R1


−
IQ1
(
ideal
)


 [( R1 )( R2 ) + ( R2 )( R5 ) + ( R1 )( R5 )] 50 Ω
 × 100%


16 mA








(7)
オフセット誤差 (%FSR) = 0.078% @ VIN = 0 V; IQ1 = 3.9
mA
表 1. 能動部品による誤差
Error Component
Error
AD8420-A
Offset
ADR02-B
Offset
RSS FS Error
Max FS Error
Error %FSR
0.03%
0.015%
0.034%
0.045%
能動部品のオフセットによるワーストケース誤差に 0.4%のワ
ーストケース抵抗許容誤差を加えると次の値になります:
Full Scale Error = 0.4% + 0.045% = 0.445%
これらの誤差は理想的な抵抗が選択され、誤差はそれらの許
容誤差の結果生じたものと想定します。
ループ電源= 25 V での回路の実際の誤差データを図 3 と図 4
に示します。合計出力誤差(%FSR)は実測出力電流と理想出力
電流の差をとり、FSR(16 mA)で除算し、結果に 100 を乗算す
る事により計算されます。
オフセット誤差 (%FSR) = -0.033% @ VIN = 5 V; IQ1 =
19.8 mA
すなわち 0 V ~ 10 V 入力の場合、VREF = 5 V、 R3 = 11 kΩ、
R4 = 22.6 kΩ、 R5 = 1 kΩ:
0.10
0.05
0
–0.05
–0.10
–0.15
–0.20
オフセット 誤差(%FSR) = −0.013% @ VIN = 0 V; IQ1 =
3.9 mA
0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
VOLTAGE INPUT (V)
4.0
4.5
図 2. 合計トランスミッタ誤差(% FSR) 対
入力電圧(範囲 0 V ~ 5 V )
オフセット誤差(%FSR) = 0.718% @ VIN = 10 V; IQ1 =
19.8 mA
このオフセット誤差を最小限にするために、計算された抵抗
値により近くなるように2個の0.1%抵抗値を組み合わせて使用
する事もできます。
-3/8 -
5.0
11284-002


 VIN VREF 

( R3 )( R4 )( R5 ) 
+





R4 
 R3
(
)
−
IQ1
ideal


 × 100%
 [( R3 )( R4 ) + ( R4 )( R5 ) + ( R3 )( R5 )] 50 Ω


16 mA








(8)
TOTAL ERROR (%FSR)
オフセット誤差(%FSR)=
Rev. 0
Error Value
250 µV
0.06%
CN-0314
回路ノート
TOTAL ERROR (%FSR)
0.7
0.6
レシーバ回路
0.5
図 4 に簡略化したレシーバ回路を示します。レシーバ回路は
電流信号を 2.5 V 又は 5 V リファレンスで動作する多くのシン
グル・エンド入力 ADC と互換性のある電圧レベルに変換しま
す。
0.4
0.3
0.2
0.1
–0.1
0
1
2
3
4
5
6
7
VOLTAGE INPUT (V)
8
9
10
11284-003
0
図 3. 合計トランスミッタ誤差(% FSR) 対
入力電圧(範囲 0 V ~ 10 V )
VCC
7V TO 36V
P5-1
J1
VOUT
P5-2
ADR02
R12
23.7kΩ
20kΩ
R13
4.53kΩ
R14
24.3kΩ
330pF
P1-1
IIN 0.2V TO 1V
R11
1.58kΩ
+IN
P4
+VS
0.2V TO 2.3V
0.2V TO 4.8V
4mA TO 20mA
P1-2
AD8420
3.3nF
20kΩ
0V
VOUT
FB
–IN
−VS
REF
R10
1kΩ
330pF
NOTE: R10, R11, R12, R13 AND R14 ARE 0.1%
図 4. 4 mA to 20 mA レシーバ回路の簡略化した回路
Rev. 0
J2
11284-004
R6
50Ω
0.1%
-4/8 -
CN-0314
回路ノート
抵抗 R6 を使用して 4 mA to 20 mA 信号を検出し、アンプへの
入力電圧 0.2 V ~ 1 V に変換します。アンプの FB ピンと REF
ピンの間の電圧は入力電圧に等しくなります。出力範囲が 1
V ~ 5 V のほとんどのダイレクト・ゲインのレシーバとは異
なり、この回路では ADR02 とともにゲイン抵抗とスケーリン
グ抵抗を使用して 0.2 V ~ 4.8 V を出力します。これは 5V リ
ファレンスを使用した ADC の入力ダイナミック・レンジを最
大限にします。ヘッドルームを追加する事により入力信号範
囲全体にわたり直線性が確実に得られます。レシーバ回路は、
2.5 V リファレンスを使用する ADC のために 0.2 V ~ 2.3 V が
出力するようにジャンパ P4 を使って設定する事もできます。
このアプリケーションに対する AD8420 の主な利点は入力範
囲を超える事無しに、あるいは多くの他の単電源計装アンプ
とは異なり、コモン・モードの制限に陥る事なしにグラウン
ド近くの電流を検出する事ができることです。さらに、
AD8420 にはゲインとレベルシフトの機能があるので、簡単
な抵抗分割を使った場合のように ADC の入力範囲を無駄にす
る事はありません。
+
R11
=
R10
VOUT MAX – 1 V VREF – 1 V 1 V
+
=
R11
R12
R10
5 V – 0.200 V
R11
2.3 V – 1 V
=
オフセット誤差 (%FSR) = 0.635% @ VFB = 1 V;
VOUT_IDEAL = 2.3 V
(9)
+
5V – 1 V
R11
=
R12
出力電圧 0.2 V ~ 4.8 V の場合、 VREF = 5 V、 R13 = 4530 Ω、
R14 = 24300 Ω、 R10 = 1 kΩ。
オフセット誤差(%FSR)=
(10)
0.200 V
R12



 × 100%



オフセット誤差 (%FSR) = −0.190% @ VFB = 0.2 V;
VOUT_IDEAL = 0.2 V
出力範囲が 0.2 V~2.3 V の場合:
+
R13 = 4530 Ω and R14 = 24300 Ω
ボードとともに供給されるこれらの抵抗の値によるオフセッ
ト誤差は次の式を使って計算する事ができます:
(15)
ここで:
VREF = 5 V
R10 = 1 kΩ
0.2 V – 0.200 V
R11 = 1580 Ω and R12 = 23700 Ω


 R11 
R11 R11 
 – VREF 
 – V OUT _ IDEAL
–
 VFB  1 +



R10 R12 

 R12 


V OUT _ MAX – V OUT _ MIN



0.200 V
R12
R14 = 24000 Ω
回路ボード上で供給される抵抗はサプライヤから入手可能で
市販されている EIA 標準 0.1%抵抗の最も近い値です。そこで、
ボード上に供給される抵抗の実際の値は次の通りです:
オフセット誤差(%FSR)=
AD8420のゲインは通常2個の抵抗 (R11 と R10)の比で設定さ
れます。しかし、ダイレクト・ゲインでは低電圧側で無駄に
なる余分の20%の範囲を利用するために回路ではADR02を使
用します。下の式は必要な出力電圧範囲に設定するためのゲ
イン用抵抗とスケーリング用抵抗の値を求める方法を示しま
す。
VREF – 0.200 V
R13 = 4560 Ω
出力範囲 0.2 V ~ 2.3 V の場合、VREF = 5 V、 R11 = 1580 kΩ、
R12 = 23700 kΩ、R10 = 1 kΩ。
ゲイン用抵抗とスケーリング用抵抗の選択
VOUT MIN – 0.200 V
従って、
(11)
1 kΩ
1V

 R13 

R13 R13 
 – V OUT _ IDEAL
 – VREF 
–
 VFB  1 +



R10 R14 

 R14 


V OUT _ MAX – V OUT _ MIN






 × 100%



(16)
オフセット誤差 (%FSR) = 0.243% @ VFB = 0.2 V;
VOUT_IDEAL = 0.2 V
オフセット誤差 (%FSR) = -0.341% @ VFB = 1 V;
VOUT_IDEAL = 4.8 V
1 kΩ
(12)
R11 = 1560 Ω
このオフセット誤差を最小限にするために、計算された抵抗
値により近くなるように2個の0.1%抵抗値を組み合わせて使用
する事もできます。
R12 = 24000 Ω
レシーバ回路全体の精度
この式より抵抗値は次の値になります。
出力範囲が 0.2 V~4.8 V の場合:
0.2 V – 0.200 V
+
5 V – 0.200 V
R13
4.8 V – 1 V
R13
Rev. 0
R14
+
5V – 1 V
R14
=
=
0.200 V
(13)
1 kΩ
1V
1 kΩ
(14)
-5/8 -
抵抗の許容誤差の影響で生じる合計誤差の良い近似は影響を
及ぼす抵抗が合計誤差に均等に影響すると仮定する事です。4
個の影響を及ぼす抵抗は R11 又は R13、R12 又は R14 そして
R6 と R10 です。許容誤差 0.1%抵抗の積み重ねによるワース
トケースは 0.4% max の合計抵抗誤差になります。二乗和平方
根誤差を想定すると、合計二乗和平方根誤差は 0.1√4 = 0.2%
になります。
CN-0314
回路ノート
0.2
AD8420 の A グレードと ADR02 の B グレードを使用したシス
テムの能動部品による最大誤差と二乗和平方根誤差を下の表
に示します。
0.1
Error
Offset
Offset
Gain
Error Value
0.06%
250 µV
0.05%
Error %
FSR
0.01%
0.01%
0.05%
0.014%
0.05%
0.064%
0.02%
0.05%
0.07%
–0.2
–0.3
–0.5
–0.6
0
2
4
6
8
10
12
14
CURRENT INPUT (mA)
16
18
20
図 6. 合計レシーバ誤差(%FSR) 対 入力電流
(範囲 4 mA to 20 mA)出力範囲 0.2 V ~ 4.8 V
回路図、部品表、レイアウト・ファイルを含むトランスミッ
タ/レシーバ・ボード EVAL-CN0314-EB1Z の設計支援パッケ
ージは http://www.analog.com/CN0314-DesignSupport に載って
おります。
フルスケール誤差= 0.4% + 0.07% = 0.47%
これらの誤差は理想的な抵抗が選択され、誤差はそれらの許
容誤差の結果生じたものと想定します。
バリエーション回路
VCC = 25 V でのレシーバ回路の実際の誤差データを図 5 と図 6
に示します。合計出力誤差(%FSR)は実測出力電流と理想出力
電流の差をとり、出力電圧の FSR で除算し、結果に 100 を乗
算する事により計算されます。
この回路は、図に示された部品の値で高い安定性と高精度で
動作する事が証明されています。この回路の他の各種アプリ
ケーション向けに他の電圧リファレンスと計装アンプをこの
回路構成の中で使用できます。
マイクロパワー、ゼロ・ドリフト、真のレール to レールの計
装アンプ AD8237 はこの回路構成の低電源電圧バージョンに
使用できます。
0.4
0.3
TOTAL ERROR (%FSR)
–0.1
–0.4
能動部品によるワーストケース誤差に 0.4%のワーストケース
抵抗許容誤差を加えると次の値になります:
低電圧電源のアプリケーションには ADR02 の代わりに高精度、
低消費電力、低ノイズの電圧リファレンス ADR4550 を使用す
ることができます。
0.2
0.1
0
–0.1
–0.3
0
2
4
6
8
10
12
14
CURRENT INPUT (mA)
16
18
20
11284-005
–0.2
図 5. 合計レシーバ誤差(%FSR) 対 入力電流
(範囲 4 mA to 20 mA)、出力範囲 0.2 V ~ 2.3 V
Rev. 0
0
11284-006
Error Component
ADR02-B
AD8420-A
AD8420-A
RSS FS Offset
RSS FS Gain
RSS FS Error
Max FS Offset
Max FS Gain
Max FS Error
TOTAL ERROR (%FSR)
表 2 . 能動部品による誤差
-6/8 -
CN-0314
回路ノート
回路の評価とテスト
評価に必要な装置
• EVAL-CN0314-EB1Z 評価ボード
• デュアル DC 電源 Agilent E3631 又は同等品
• 高精度 DC 電源 Yokogawa 2000 又は同等品
• 高精度マルチメータ アジデント 3458 又は同等品
テスト・セットアップの構成とテスト
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回路は図 7 と 図 8 に示したテスト・セットアップを使用して
テストしました。Agilent 3631A を 25 V に設定してボードの電
源として供給しました。評価ボードの実際の電流出力あるい
は電圧出力は Agilent3458 のマルチメータを使用して測定しま
した。EVAL-CN0314-EB1Z の写真を図 9 に示します。
トランスミッタ回路のテスト・セットアップ(図 8)のため
に、高精度 DC 源(Yokogawa 2000)を使用して 0 V ~ 5 V ある
いは 0 V ~ 10 V の差動入力を生成しました。回路をトランス
ミッタとして設定するためにスイッチ S1 を “V-I”の位置にす
る必要があります。
図 9. EVAL-CN0314-EB1Z ボードの写真
スイッチとジャンパの 4 mA to 20 mA トランスミ
ッタ向け設定
図 1 に示すトランスミッタ回路の場合、スイッチ S1 を“V-I”
の位置にする必要があります。入力範囲 0 V ~ 10 V の場合は
ジャンパ P3 を“0–10V”の位置に、そして入力範囲 0 V ~ 5 V
の場合は“0-5V”の位置にする必要があります。図 9 の評価ボ
ードの写真もご覧ください。
POWER SUPPLY
V+
P2-1
COM
P2-2
PRECISION
VOLTAGE
SOURCE
P5-1
VOUT
COM
EVAL-CN0314-EB1Z
スイッチとジャンパの 4 mA to 20 mA レシーバ向
け設定
CURRENT METER
P5-2
11284-007
COM
I
図 4 に示すレシーバ回路の場合、スイッチ S1 を“I-V”の位置
にする必要があります。出力範囲 0.2 V ~ 2.3 V の場合はジャ
ンパ P4 を“0.2-2.3V”の位置に、そして出力範囲 0.2 V ~ 4.8 V
の場合は“0.2-4.8V”の位置にする必要があります。図 9 の評価
ボードの写真もご覧ください。
図 7.トランスミッタのテスト・セットアップの
機能ブロック図
レシーバ回路のテストセットアップ(図 9)のために、2 番目
の EVAL-CN0314-EB1Z を使用して入力電流 4 mA to 20 mA を
生成しました。必要であれば高精度電流源を使用する事もで
きます。回路をレシーバとして設定するためにスイッチ S1 を
“I-V”の位置にする必要があります。
POWER SUPPLY
P5-1
VOUT
P5-2
COM
EVAL-CN0314-EB1Z
VOLTAGE METER
VOUT
P1-1
V
J1
P1-2
COM
COM
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CURRENT IOUT
SOURCE
COM
図 8. レシーバのテスト・セットアップの機能ブロック図
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回路ノート
さらに詳しい資料
CN-0314 Design Support Package:http://www.analog.com/CN0314DesignSupport
MT-031 Tutorial:データ・コンバータのグラウンディングと、
「AGND」および「DGND」に関する疑問の解消
MT-035 Tutorial:Op Amp Inputs, Outputs, Single-Supply, and
Rail-to-Rail Issues.Analog Devices.
MT-065 Tutorial:In-Amp Noise.Analog Devices.
MT-066 Tutorial:In-Amp Bridge Circuit Error Budget
Analysis.Analog Devices.
MT-087 Tutorial:Voltage References.Analog Devices.
MT-101 Tutorial:Decoupling Techniques.Analog Devices.
Voltage Reference Wizard Design Tool.
データシートと評価ボード
CN-0314 回路評価ボード(EVAL-CN0314-SB1Z)
AD8420 データシート
ADR02 データシート
改訂履歴
3/14—Revision 0:初版
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れを行う義務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。
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