高速光検出器 バイプラナ光電管 R12290Uシリーズ, R1328Uシリーズ 浜松ホトニクスのバイプラナ光電管は、高速なパルス波形を測定で きる光検出器です。真空紫外域∼赤外域まで用途に合わせて選ぶ ことができるように各種の光電面を用意しています。 ■R12290Uシリーズ 大きな受光面積をもつバイプラナ光電管で、上昇時間270 ps、 下降時間100 psという高速応答性をもっています。 ■R12290U-55 エキシマレーザのような高エネルギー光を直接測定するために 開発されたもので、従来の熱変換素子や半導体センサに比べ優 れた高速応答性を有し、高エネルギー光でも安定して測定がで きるという特長をもっています。 ■R1328Uシリーズ 上昇時間60 ps、下降時間90 psという高速応答性をもつバイプ ラナ光電管で、インピーダンス整合に優れていますので、リン ギングが少ない波形が得られます。 特 長 ▲左:R12290U 右:R1328U 用 途 ●高速応答性 ●外部回路との接続が容易 ●高入力光に対し優れたリニアリティ ●リンギングが少ない ●RoHS 適合 ●磁場中で使用可能 ●レーザ波形の観察 ●レーザ、ストリークカメラのトリガ用 ●サブナノ領域の時間校正 ●電気光学シャッタのトリガ用 仕 様 特性(at 25 °C) 絶対最大定格 型名 分光感度 特 性 (nm) 最 高 感 度 波 長 (nm) 光 電 陰 極 材 質 A 陽 極 形 状 陽極 供給 電圧 (V dc) ピーク 陰極 電流 (A) B 入射光 パワー 密度 (W/mm2) C D E 平均 陰極 電流 (µA) 陽極 供給 電圧 (V dc) ルーメン 感度 Typ. (µA/lm) ピーク 陰極 放射感度 (mA/W) 上昇 時間 Typ. (ps) 下降 時間 Typ. (ps) R12290Uシリーズ(大受光面積、立上り時間 270 ps) R12290U-51 300 ∼ 1100 750 R12290U-52 185 ∼ 650 340 R12290U-53 300 ∼ 850 400 R12290U-54 115 ∼ 320 200 Ag-O-Cs メッシュ 3000 1 0.125 50 2500 20 2.5 270 100 Sb-Cs メッシュ 3000 1 0.125 50 2500 50 80 270 100 Na-K-Sb-Cs メッシュ 3000 1 0.125 50 2500 80 50 270 100 25 270 100 Cs-Te メッシュ 3000 1 0.125 50 2500 15 mA/W (254 nm) 3000 2 1 × 102 (248 nm) 10 2500 15 µA/W (248 nm) 22 µA/W 270 130 R12290U-55(大光量パルス測定用) R12290U-55 180 ∼ 350 220 Ag メッシュ R1328Uシリーズ(立上り時間 60 ps) R1328U-51 300 ∼ 1100 750 Ag-O-Cs メッシュ 2500 0.3 0.125 5 2000 20 2.5 60 90 R1328U-52 185 ∼ 650 340 Sb-Cs メッシュ 2500 0.3 0.125 5 2000 50 80 60 90 R1328U-53 300 ∼ 850 400 Na-K-Sb-Cs メッシュ 2500 0.3 0.125 5 2000 80 50 60 90 R1328U-54 115 ∼ 320 200 メッシュ 2500 0.3 0.125 5 2000 15 mA/W (254 nm) 25 60 90 Cs-Te NOTE: Aパルス幅50 ns以下 B値は1 秒間の平均値。光電面全体に入射 C光源2856 K、負荷抵抗 1 MΩ、入射光量0.05 lmで測定 D上昇時間とは光電面全面にデルタ関数パルス光が入った時、出力波形がピーク値の10 %から90 %まで変化する時間です。 E下降時間とは光電面全面にデルタ関数パルス光が入った時、出力波形が90 %から10 %まで変化する時間です。 バイプラナ光電管 R12290Uシリーズ, R1328Uシリーズ 【分光感度特性】 バイプラナ光電管は、円板形の光電陰極とメッシュ形の陽極とを対 向させた形(bi-plane構造)をしています。そのため電極は平行平板 で近似でき、応答速度などの特性の数値的な取扱いが容易になるため、 必要な特性に設計することができます。また、高い耐電圧特性をも つため、これらの特性を高いレベルで満足させることができます。 ハウジング内部は図1に示すような電荷供給用のコンデンサCbと、 無誘導型の負荷抵抗RLが組込まれています。 図1:ハウジング内部の模式図 陽極 陰極 出力コネクタ 光 R12290UとR1328Uは図3(a)(b)の分光特性のものが用意されています。 図3(a):R12290UとR1328Uの分光感度特性 100 80 60 40 20 放射感度 (mA/W) 【構造】 R12290U-52 R1328U-52 R12290U-53 R1328U-53 R12290U-54 R1328U-54 10 8 6 4 2 1 0.8 0.6 0.4 R12290U-51 R1328U-51 0.2 RL 0.1 100 200 300 400 500 700 1000 1200 Nd: YAG レーザ 半導体レーザ Rb レーザ He-Ne レーザ バイプラナ光電管の電極間距離をd〔m〕 、印加電圧をE〔V〕 とすると、 電子走行時間τ〔s〕、パルスに対する上昇時間(10 %→90 %)t〔 r s〕は 次のように与えられ、印加電圧Eの平方根に反比例します。 Ar レーザ 【応答速度】 KrF エキシマレーザ ArF エキシマレーザ +HV N2 レーザ 波長 (nm) Cb: 300 pF RL : 50 Ω(無誘導型) XeCl エキシマレーザ Cb 図3(b):R12290U-55の分光感度特性 τ=d 2 m =3.37 × 10-6 × d 〔s〕 qE E . tr=0.8τ 〔s〕 . 10-2 ここでm〔kg〕、q〔c〕は各々電子の質量と電荷を示します 放射感度 (mA/W) 10-3 図2:上昇時間 1000 800 600 R12290U 上昇時間 (ps) 400 200 10-4 10-5 R1328U 100 80 60 ArF (193) 10-6 40 250 XeCl (308) 300 350 波長 (nm) 20 10 500 200 KrF (248) 1000 2000 3000 印加電圧 (V) 【暗電流】 バイプラナ光電管は高い電圧を印加するため、暗電流は一般の光電 管に比べて大きく、一般の光電管並みの値は望めません。 暗電流の原因としては光電面の熱電子やイオン電流の他に、絶縁材 を通って流れる漏洩電流が大きな割合を占めます。これは絶縁材の 表面の水分や汚れを通って流れる漏洩電流が主ですので、測定は湿 気を避けて行ってください。 【最大出力電流】 バイプラナ光電管の用途としてはレーザ波形のオシロスコープによ る観察、回路のトリガなどが考えられます。これらには50 mV以上の 高い入力信号を必要とします。しかし0.1 nsレベルの信号を電気的に 増幅するのは無理があるため、バイプラナ光電管は、入射光量に対 する出力電流の直線性が要求されます。たとえばピーク陰極電流 100 mAの時、負荷(光電管側から見た負荷抵抗で25 Ω)の両端には 2.5 Vの電圧があらわれ、オシロスコープやトリガ回路の駆動用には 充分な値となります。 バイプラナ光電管の電極は対向面積が大きく接近した構造になってお り、しかも高い電圧で動作させることができますので、大きな電流を 取出すことができます。このピーク陰極電流の最大定格を決める要因 としては、1)空間電荷、2)光電面の飽和、3)残留ガス、4)光電面の劣 化および損傷などが挙げられます。浜松ホトニクスではこれらを考慮 して、50 nsのパルスを用いた場合の最大電流を、R12290U-51 ∼ 54 では1 A、R12290U-55では2 A、R1328Uでは0.3 Aと定めています。 【R12290U-55のエキシマレーザ最大測定範囲】 【リンギング】 R12290U-55は、エキシマレーザのような大光量パルスの測定用に設 計されたバイプラナ光電管で、専用の減光フィルタ(E3331)と組 合わせることにより、特に高いパワーレベルまでエキシマレーザ光 を直接入射測定することができます。(図4参照) 高速のインパルスの信号波形歪は測定系による影響が大きく、例え ば測定系にインピーダンス・ミスマッチングが生じている場合、信 号の一部が反射波として光電管側に戻ってくることがあります。こ の反射波の一部がバイプラナ光電管から再びオシロスコープへ伝え られると、オシロスコープにはある周期を持った減衰振動を観察す ることになります。これをリンギングといいます。 ●エキシマレーザの最大測定範囲 項目 減光フィルタ(オプション)装着時 フィルタなし エキシマレーザ(波長) ArF (193 nm) KrF (248 nm) XeCl (308 nm) ArF (193 nm) KrF (248 nm) XeCl (308 nm) 入射エネルギー密度(W/mm2) 1 × 102 1 × 102 4 × 105 5 × 104 5 × 104 — ピークパワー*(W) 7 × 104 7 × 104 1 × 108 2.5 × 107 2.5 × 107 — 図5:リンギングによる波形の歪 * ピークパワー (W)= エキシマレーザのパルスエネルギー (J) エキシマレーザのパルスの半値幅 (s) 図4:光量飽和(光量リニアリティ)特性 10 ピーク出力電流 (A) KrF (248 nm) 1 ArF (193 nm) R12290U、R1328Uは電極の形状、ハウジングの形状、負荷抵抗出 力コネクタの広帯域化とインピーダンス整合に充分配慮をした専用 のメタル・ハウジングに納められ、そしてその出力は周波数特性の 優れたN-Rコネクタを通して出力されます。したがって出力ケーブル、 コネクタ、測定系の特性インピーダンスは必ず50 Ωをご使用くださ い。 XeCl (308 nm) 0.1 0.01 105 106 107 108 109 ピークパワー (W) * ArF, KrFエキシマレーザのデータは、減光フィルタE3331(オプション)を用いたものです。 ■外形寸法図(単位: mm) ●R12290U ●R1328U 87.5 69.5 30 ± 1 28 37 陰極 24 ± 2 +高電圧印加用コネクタ (SHV-R) 三脚用ネジ M6 P1.0 深さ 7.5 信号用コネクタ (N-R) 10 26 陰極 三脚用ネジ W1/4 × 1.27 信号用コネクタ (N-R) 63 63 38 59 フィルタ径 +高電圧印加用コネクタ (SHV-R) 30 フィルタ径 三脚用ネジ W1/4 P1.27 深さ 7.5 140 MAX. 陽極(メッシュ) 陰極(プレート) 10 TPT A0018JB TPT A0050JA ●陰極の径と面積 型名 陰極径 (mm) 陰極面積 (mm2) R12290U-51 ∼ -54 20 314 R12290U-55 29 660 R1328Uシリーズ 10 78 1.バイプラナ光電管は2000 V ∼2500 Vの高電圧を用います。作業者の安全・装置の保護や、感電防止・絶縁 に注意してください。 2.測定に際して信号ケーブルを接続する前に出力コネクタを短絡して電荷を放電してください。 3.出力インピーダンスが低い定電圧電源を使用される場合は、電源保護のため電源とバイプラナ光電管の間 に保護用のCRを接続してください。(右図参照) 4.光電管のガラスが割れて空気が入ると、使用不能になります。ショックなどを与えないよう注意してくだ さい。 5.過電流は光電管の特性を劣化させます。必要以上の光を入れたり、光電面の一部にスポット状の強い光を あてることはさけてください。特にスポット状の光が入る場合は、必ず拡散板を使用してください。 6.湿気や汚れはさけてください。保存中はデシケータ内に入れておいてください。 高圧注意 …電圧をかける時は絶縁に注意してください。 保護用CR回路 高圧定電圧電源 R1 R2 C1 .. R1=R2=100 kΩ C1=0.2 µF (4 kV以上) (C, Rは上記の値、 もしくはそれに近い ものを使用) 保護用CR回路は、 できる限り光電管に 近づけてください。 バイプラナ光電管 R12290Uシリーズ, R1328Uシリーズ ■専用高圧電源 C11668シリーズ(オプション) バイプラナ光電管を使用するためには高圧電源が必要となります。浜松ホトニクスでは、安価・小型の専用高圧電源を用意しています。 外形寸法図(単位: mm) 出力電圧………+1.5 kV dc / +2.0 kV dc / +2.5 kV dcの3段切替え 出力電流………最大0.3 mA 出力電圧変動…電源電圧の±10 %変化に対し1 %以下 出力電流の0 ∼ 100 %に対し1 %以下 リップル / ノイズ(p-p)…1 V以下 出力端子………SHVコネクタ(裏面) 入力電圧………12 V dc(ACケーブル*、ACアダプタ付属) 使用温度範囲…0 °C ∼ +40 °C 質量……………1130 g(C11668の場合。付属品を含む) POWER VOLTAGE SELECT 1.5KV 2.0KV HV ON / OFF OUTPUT +HV 2.5KV INPUT DC12V 50 仕様 HIGH VOLTAGE POWER SUPPLY C11668 * 出荷先に応じて、型名と付属のACケーブルの構成が変わります。 日本: C11668、北米: C11668-01、EU: C11668-02、 イギリス: C11668-03、中国: C11668-04 160 140 TPT A0051JA ■信号用ケーブル E1168-01, -02(オプション) バイプラナ光電管の信号出力をオシロスコープなどに接続する信号ケーブルです。 -01はN型コネクタ← →N型コネクタ、-02はN型コネクタ← →BNC型コネクタの2種類を用意しています。 (特性インピーダンス50 Ωの同軸ケーブル使用) 接続例 SHVコネクタ POWER VOLTAGE SELECT 1.5KV 2.0KV HV ON / OFF SHVコネクタ 2.5KV HIGH VOLTAGE POWER SUPPLY C11668 高圧電源 C11668 POWER VOLTAGE SELECT 1.5KV 2.0KV 高圧ケーブル E1168-19 (C11668に付属、 長さ: 1.5 m) N型コネクタ オシロスコープ等測定器 (入力インピーダンス 50 Ω) R1328U SHVコネクタ HIGH VOLTAGE POWER SUPPLY C11668 高圧電源 C11668 N型コネクタ (E1168-01 E1168-02 BNCコネクタ R12290U HV ON / OFF 2.5KV 信号用ケーブル E1168-01, -02 (長さ: 1.5 m) 高圧ケーブル E1168-19 (C11668に付属、 長さ: 1.5 m) N型コネクタ SHVコネクタ 信号用ケーブル E1168-01, -02 (長さ: 1.5 m) TPT C0026JA ■R12290U用減光フィルタ E3331(オプション) 浜松ホトニクスでは、R12290Uシリーズに簡単に取り付けられる減光フィルタを用意しています。このフィルタを用いることで、高入力光も直 接入射させ、測定することができます。 ※180 nm以上の波長でご使用ください。 減光率: 0.2 % (Typ.) 外形寸法図(単位: mm) 49 E3331を装着したR12290U 63 40 3 入射側 E3331 R12290Uシリーズ TPT A0052JA ●本資料の記載内容は平成26年8月現在のものです。製品の仕様は、改良等のため予告なく変更することがあります。 □仙台営業所 〒980-0011 □筑波営業所 〒305-0817 □東京営業所 〒105-0001 □中部営業所 〒430-8587 □大阪営業所 〒541-0052 □西日本営業所 〒812-0013 WEB SITE www.hamamatsu.com 仙台市青葉区上杉1-6-11(日本生命仙台勾当台ビル2階) TEL (022)267-0121 つくば市研究学園5-12-10(研究学園スクウェアビル7階) TEL (029)848-5080 東京都港区虎ノ門3-8-21(虎ノ門33森ビル5階) TEL (03)3436-0491 浜松市中区砂山町325-6(日本生命浜松駅前ビル4階) TEL (053)459-1112 大阪市中央区安土町2-3-13(大阪国際ビル10階) TEL (06)6271-0441 福岡市博多区博多駅東1-13-6(竹山博多ビル5階) TEL (092)482-0390 □電子管営業推進部 〒438-0193 静岡県磐田市下神増314-5 TEL (0539)62-5245 FAX (0539)62-2205 FAX (022)267-0135 FAX (029)855-1135 FAX (03)3433-6997 FAX (053)459-1114 FAX (06)6271-0450 FAX (092)482-0550 TPT 1028J02 AUG. 2014 IP