重水素ランプ L2D2 LAMPS L2D2ランプ(重水素ランプ) Long Life Deuterium Lamps L2D2ランプは、分析機器用に開発した 重水素ランプです。 分析機器用の光源に要求される長寿命・ 高安定・高出力を実現し、高い測定精度 を得ることができます。 用途 ●高速液体クロマトグラフ ●紫外-可視分光光度計 ●CE(キャピラリー電気泳動) ●原子吸光光度計 ●薄層クロマトグラフ ●膜厚計 ●光イオン化光源 ●半導体検査装置 ●水質、大気各種環境分析装置 ●紫外線による材料耐性評価 ●真空紫外光による静電気除去 TLSOF0138 長寿命:4000時間 ■寿命特性 L2-4000シリーズの保証寿命は4000 時間です。重水素ランプの中では、 最も長い保証寿命を実現しました。 光出力 (%) 100 50 L2D2ラン プ L2-2000 シリーズ L2D2ラン プ L2-4000 シリーズ 0 0 1000 2000 時間 (h ) 1 3000 4000 TLSOB0050JB フラツキ 0.005 % (p-p) Typ. (2×10-5 A.U.相当) ドリフト ±0.3 %/h 高安定: ■光出力安定性 セラミック電極の採用により、安定動作を得 るために最も重要な「均一で最適なバルブ内 温度分布」が得られます。 TLSOB0095JA 20 ABS (10-5 A.U.) 15 10 5 0 -5 -10 TLSOB0096JA -15 0 100 200 300 400 500 600 時間 (s) 0時間 2000時間 20 700 15 ABS (10-5 A.U.) -20 800 10 5 0 -5 -10 -15 -20 0 100 200 300 400 500 600 700 800 時間 (s) 温度安定性に優れたセラミック電極の採用 により、周囲温度の変動があっても安定し たランプ動作が可能です。 優れた温度特性 光強度のばらつきが小さい ■放射出力強度のばらつき 4 セラミック電極の採用により電極 間隔が一定に保たれるため、ラン プごとのばらつきが非常に小さく なっています。 TLSOB0053JC 3.5 3 相対光強度 構造 2.5 セラミック電極 (後部) 陽極 2 アパーチャ セラミック電極 (中央部) 1.5 陰極 一定 1 0.5 バルブ 0 190 210 230 250 270 290 310 330 350 370 390 光出力 TLSOC0030JB 波長 (nm) アーク発光点の 移動が少ない 熱膨張係数の小さいセラミック構造ですの で、動作中におけるアーク発光点の移動が ほとんどありません。 2 L2D2ランプ(重水素ランプ) 仕 様 セレクションガイド 消費電力 タイプ 陰極定格 シリーズ名 2.5 V/1.0 V 3.0 V/0 V ∼ 1 V 2.5 V/1.0 V 2.5 V/1.7 V 3.0 V/0 V ∼ 1 V 10 V/2.5 V ∼ 6.0 V 10 V/7.0 V 12 V ∼ 15 V/0 V L2-4000 標準タイプ L2-2000 30 W L2-2000 シースルータイプ 2.5 V/1.0 V 仕様 標準タイプ A シリーズ名 型名 外形 寸法図 B 窓材 放射波長範囲 (nm) L2-4000 L2-2000 q w q o q w e e t u r i y y !0 L6565 L6566 L6301 L6301-50 L6303 L6305 L6307 L6309 L7296 L7296-50 L6311 L6311-50 L7292 L7293 L7293-50 UVガラス 185 ∼ 400 UVガラス 185 ∼ 400 合成石英 160 ∼ 400 UVガラス 185 ∼ 400 MgF2 115 ∼ 400 出力安定性 at 230 nm D C アパー ドリフト フラツキ 保証寿命 放電開始電圧 陽極電流 (p-p) at 230 nm チャ径 Max. Max. Typ. (%) (mm) (%/ h) (h) (V dc) (mA dc) 1.0 ±0.3 0.005 4000 350 0.5 ±0.3 0.005 2000 400 1.0 — — E 2000 管電圧 Typ. (V dc) 300±30 80 300±30 80 350 シースルータイプ A シリーズ名 型名 外形 寸法図 B 窓材 放射波長範囲 (nm) L2-2000 L6999 L6999-50 L9030 L9030-50 q o t u UVガラス 185 ∼ 400 合成石英 160 ∼ 400 出力安定性 at 230 nm D C アパー ドリフト フラツキ 保証寿命 放電開始電圧 陽極電流 (p-p) チャ径 at 230 nm Max. Max. Typ. (%) (mm) (%/ h) (h) (V dc) (mA dc) 0.5 ±0.3 0.005 2000 400 NOTE AP5、P6参照 Bアパーチャ径0.5 mmのランプは、アパーチャ径1.0 mmのランプより放射強度が約1.4倍になります。(P8参照) C寿命の定義は、波長230 nmでの光出力が初期値の50 %に低下した時点、もしくはフラツキが0.05 % (p-p)を越えた時点としています。 D放電を確実に開始するために、この値以上のパルス電圧を供給してください。(P9 図5参照) E動作寿命は使用環境条件(真空雰囲気)によって異なります。これらのランプは、オイルフリー環境で使用することをお勧めします。 3 300±30 管電圧 Typ. (V dc) 80 シースルータイプの光学系の配置例 シースルータイプ シースルータイプ電極構造により、ハロゲンランプ、 40 ° 重水素ランプ、光学系の光路を同一直線上に配置する ことが可能です。これにより、紫外-可視分光光度計 などの光学設計を簡略化できるうえ、ハーフミラーの ハロゲンランプ 使用による光量ロスもありません。 レンズ シースルータイプ L2D2ランプ 適合電源 I フィラメント定格 予熱 電圧 F 動作 (V dc, ac) 2.5±0.25 3.0±0.3 電流 Typ. (A dc, ac) 4 5 2.5±0.25 4 3.0±0.3 5 0.8 10±1 TLSOC0011JF 時間 Min. (s) 20 AC入力タイプ DC入力タイプ ランプハウス (V dc) 1.0±0.1 0∼1 電流 Typ. (A dc) 1.8 0 ∼ 1.8 C9598-2510 C9598-3000 M9596-2510 M9596-3000 — 1.0±0.1 1.8 C9598-2510 M9596-2510 — E9522 3.3 0 ∼ 1.8 0.3 ∼ 0.6 C9598-2517 C9598-3000 C9598-1035 M9596-2517 M9596-3000 M9596-1035 1 C9598-1070 M9596-1070 電圧 1.7±0.2 0∼1 2.5 ∼ 6.0G 20 1.2 7.0±0.5 — E9558 12 ∼ 15 0.5 ∼ 0.55 10±1 0.8 2.5±0.25 4 0 H C9598-1555 M9596-1555 0.3 ∼ 0.6 C9598-1035 M9596-1035 1.8 C9598-2510 M9596-2510 0 2.5 ∼ 6.0G H 1.0±0.1 (V dc, ac) 2.5±0.25 F L6565 L6566 L6301 L6301-50 L6303 L6305 L6307 L6309 L7296 L7296-50 L6311 L6311-50 L7292 L7293 L7293-50 適合電源 I フィラメント定格 予熱 電圧 — 型名 動作 電流 Typ. (A dc, ac) 4 時間 Min. (s) 20 電圧 (V dc) 1.0±0.1 電流 Typ. (A dc) 1.8 AC入力タイプ C9598-2510 DC入力タイプ M9596-2510 ランプハウス 型名 — L6999 L6999-50 L9030 L9030-50 NOTE F予熱時のヒータ電流は非常に高いため、ランプと電源間のケーブルが長いとケーブルにおける電圧降下が大きくなり、ランプに十分な電圧が供給されない場合があります。 ヒータへの電源を設計する際は、ランプ入力端子部に所定の電圧が供給されるようにしてください。 G推奨動作電圧は3.5 V ± 0.5 V Hこれらのランプでは動作中に放電電流がフィラメントに流れますので、フィラメント温度を保つための外部電源入力は必要ありません。 I弊社重水素ランプの性能を十分に引き出すために、専用電源の使用をお勧めします。(P7、P9参照) 4 L2D2ランプ(重水素ランプ) 外形寸法図 (単位:mm) w L6305, L6566 7 MAX. 160±10 7 7 6 6 6 シースルータイプ 14±1 30±1 発光点 68±2 42±2 発光点 160±10 L7292 フィラメント :青 フィラメント・GND : 黒 陽極 :赤 TLSOA0039JF L9030 フィラメント フィラメント 陽極 7 7 6 6 TLSOA0017JG :青 :青 :赤 L7293 フィラメント フィラメント 陽極 20 接続 L7296 フィラメント :青 フィラメント・GND : 黒 陽極 :赤 20 接続 フィラメント :青 フィラメント・GND : 黒 陽極 :赤 20 接続 7 160±10 160±10 発光点 15.0±0.5 68±2 42±2 15.0±0.5 50±1 60±2 42±2 7 MAX. 7 MAX. 30±1 7 MAX. y L7292, L7293 t L7296, L9030 30±1 TLSOA0018JF TLSOA0041JE TLSOA0040JD r L6311 20 フィラメント :青 フィラメント・GND : 黒 陽極 :赤 20 接続 フィラメント : 青 フィラメント : 青 陽極 :赤 20 接続 L6303 フィラメント :青 フィラメント・GND : 黒 陽極 :赤 7 160±10 160±10 発光点 接続 L6301, L6565, L6999 フィラメント :青 フィラメント :青 陽極 :赤 68±2 42±2 42±2 42±2 発光点 発光点 5 30±1 80±2 7 MAX. 30±1 68±2 28±1 e L6307, L6309 7 MAX. シースルータイプ q L6301, L6565, L6303, L6999 6 TLSOA0011JE :青 :青 :赤 シースルータイプ u L7296-50, L9030-50 シースルータイプ o L6301-50, L6999-50 i L6311-50 - 0.05 - 0.05 30±1 発光点 +0.038 28±1 3 +0.02 7 MAX. 発光点 22.0±0.1 22.0±0.1 5.0±0.5 30±1 7 MAX. 7 MAX. 50±1 A 35.0 - 0.1 A 35.0 - 0.1 発光点 2- 3.3 23.0±0.05 3 +0.02 接続 68±2 +0 光出力 フィラメント : 青 フィラメント : 青 :赤 陽極 6 TLSOA0050JC TLSOA0051JD TLSOA0075JE シースルータイプの断面図 !0 L7293-50 L7293-50使用上の注意 40 ° 陽極 セラミック電極 (後部) - 0.05 35.0 - 0.1 30±1 GOOD ランプハウスと真空装置が 接触していない ランプハウス 50±1 7 MAX. A 発光点位置公差(中心) 軸線A基準: ±0.1 B面基準: ±0.1 +0.15 20 20 発光点位置公差(中心) 軸線A基準: ±0.1 B面基準: ±0.1 6 6 L9030-50 フィラメント :青 フィラメント :青 陽極 :赤 3 +0.05 接続 :青 フィラメント フィラメント・GND : 黒 :赤 陽極 7 20 7 発光点位置公差(中心) 軸線A基準: ±0.1 B面基準: ±0.1 160±10 発光点 7 160±5 光出力 光出力 接続 L7296-50 フィラメント :青 フィラメント・GND : 黒 陽極 :赤 22.0 - 0.1 15 37.0±0.1 2- 3.3 B 5 23±0.1 23±0.1 52.0±0.5 160±10 発光点 +0.038 A +0.15 3 +0.05 50±1 22.0±0.1 22.0±0.1 37 60±2 22 15 +0 15±0.5 5 15 B B 14±1 42 発光点 22.0 - 0.1 68±2 2- 3.3 セラミック電極 (中央部) 22.0±0.1 22.0±0.1 発光点 陰極 アパーチャ 0.5 2- 3.3 42 +0 TLSOA0052JC 50±1 フランジ BAD ランプハウスと真空装置が 接触している +0.15 3 +0.05 B 5 15 発光点 22.0 - 0.1 68±2 真空装置 光出力 真空装置への取り付け例 (L7292, L7293, L7293-50) 160±10 ランプハウス 15±0.5 1 2 3 4 5 光出力 a b 接続 7 20 フィラメント : 青 フィラメント : 青 陽極 :赤 発光点位置公差(中心) 軸線A基準: ±0.1 B面基準: ±0.1 フランジ 発光点 ネジ部 6 TLSOA0088JC 1真空側フランジ 2締め付けネジ 3ストッパ 4Oリング (JIS B2401) 呼び番号 V15 (内径15 mm、幅4 mm) 5スペーサ aMgF2窓 b段つなぎ封止 TLSOC0010JB L7293-50を安定動作させるためランプハウスを 使用する場合、ランプハウスを真空装置に接触 させないよう取り付けてください。また、ラン プの突起窓部が破損するのを避けるため、ラン プハウスを補助金具などで支え、ランプの突起 窓部にランプハウスの重さがかからないように してください。 TLSOC0045JA 6 L2D2ランプ(重水素ランプ) 専用電源 L2D2ランプは、その用途から極めて高い光出力安定度が要求されるため、 駆動には弊社専用電源のご使用をお勧めします。 定電流回路および定電圧回路を使用していますので、安定かつ確実な点灯 が行えます。 AC入力(100 V∼240 V)タイプのC9598とDC24 V入力タイプのM9596の2 種類ご用意しています。用途に合わせお選びください。 左:C9598、右:M9596 仕様(30分ウォームアップ後、室温(25 °C±1 °C)にて測定) 項目 入力電圧 入力 C9598 M9596 単位 AC 100 V ∼ 240 V (100 V/200 V自動切り替え) 単相 50 Hz / 60 Hz DC 24 V ± 2.4 V — 2 A V V mA % %/h 秒 V peak — °C °C % kg — — 入力電流 (Max.) 出力電圧 (DC) 0.9 動作時 (Typ.) 無負荷時 (Min.) 80 200 300 ± 30 0.005 ±0.02 約20 約600 出力電流 (DC) 電流フラツキ (p-p) (Typ.) 電流ドリフト at +25 °C (Typ.) ウォームアップ時間 トリガ電圧 出力 強制空冷 (0.3 m3/min) 0 ∼ +40 -10 ∼ +60 80以下(結露しないこと) 約1.8 約0.18 ○ ○ — ○ 冷却方法 動作周囲温度 保存温度 動作周囲・保存湿度 質量 EN(CEマーキング) 適応規格 UL(ファイルNo. E249677) — フィラメント定格 型名 電圧 (V dc) 予熱時 電流 (A dc) (Typ.) 電圧 (V dc) 動作時 電流 (A dc) (Typ.) C9598/M9596-2510 2.5 ± 0.2 4 1 ± 0.1 1.8 C9598/M9596-2517 C9598/M9596-3000 C9598/M9596-1035 C9598/M9596-1070 C9598/M9596-1555 2.5 ± 0.2 3 ± 0.2 10 ± 0.5 10 ± 0.5 13.5 ± 0.7 4 5 0.8 1.2 0.5 1.7 ± 0.2 0 3.5 ± 0.2 7 ± 0.4 5.25 ± 0.25 3.3 0 0.3 1 0.3 適合ランプ L6565, L7293, L6999, L6999-50, L7293-50 L6301, L6301-50, L9030, L9030-50 L6303 L6566, L6305 L6307, L7292 L7296, L6309, L7296-50 L6311, L6311-50 ランプハウス 取り付けフランジを備えた L2D2ランプ専用のランプハウスです。 安価で小型にもかかわらず、放熱に優れた筐体により、L2D2ランプを簡単 に安定動作させることができます。装置への組込みを容易にするため、ラン プハウスの窓部や取り付け面には加工仕上げとタップネジ穴を施しています。 L2D2ランプを使用した測光装置の開発に最適です。 E9522:L6301-50用 E9558:L7296-50用 左:E9522、右:E9558 * シースルータイプ(L6999-50, L9030-50)用の特注品にも対応いたします。 7 技術資料 ■放射スペクトル分布 ■重水素ランプの外観 400 nm 以下の紫外域で強いスペクトル光を放射します。短波長側 の放射スペクトルは、使用する窓材の透過率によって決まります。 ①非突起型(UVガラス) ②突起型(合成石英) ③長突起型(MgF2) 図1:放射スペクトル分布 放射強度 (µW·cm-2·nm-1 at 50 cm) 1.0 TLSOB0024JF 合成石英 (突起型窓:1 mm厚) 0.1 TLSOF0139 UVガラス 0.01 0.001 160 200 240 280 320 360 400 波長 (nm) ①非突起型は円筒形のガラス管の側面が光放射窓となります。 窓部の突起がないため省スペース化が図れ、指向性が広いため出 力光を有効に利用することができます。 ②突起型は突起部の先端に付けられている平面ガラスが窓部となり ます。 ③MgF2窓をもつ長突起型は、真空紫外域の用途に適しており、長 く突き出た窓部の先端を真空装置内に挿入して使用することがで きます。 ■窓材 ■配光特性 主に3種類の窓材が使われています。 ① UVガラス ② 合成石英 ③ MgF2 これらの窓材の分光透過率を図2に示します。190 nm以下の紫外線 は酸素の吸収により大幅に減衰します。この酸素による吸収を防ぎ、 窓材の透過率性能を十分に引き出すためには、光路内を窒素充填ま たは真空にすることをお勧めします。 ①非突起型(UVガラス) ②突起型(合成石英) 20° 20° 10° 0 0 0 -10° -10° -10° 10° -20° -30° -30° 30° 30° 20° 透過率 (%) 30° 20° 10° TLSOB0038JC 80 ③長突起型(MgF2) 30° -20° 図2:各種窓材の分光透過率 100 30° -20° -30° 30° 20° 20° 10° 10° 0 0 0 -10° -10° -10° 10° 60 MgF2 -20° 40 -20° -20° -30° 合成石英 -30° TLSOB0021JB -30° TLSOB0020JB TLSOB0077JB UVガラス 20 ■輝度分布特性 100 150 200 250 300 350 波長 (nm) ①UVガラス UVガラスは、一般に使用されている光学ガラス (硼珪酸ガラス) よ りも紫外線を透過します。カットオフ波長は185 nmで、合成石英 やMgF2より長波長側にあります。しかし、合成石英やMgF2の窓材 を使用した場合よりオゾンの発生が少ないため、特別なオゾン防止 対策などは必要ありません。 ②合成石英 重水素ランプの輝度はアパーチャ(光出射口)サイズによって決ま ります。図3に異なるアパーチャサイズでの輝度分布特性を示します。 入力電流と電圧が同じであれば、アパーチャ径0.5 mmのランプは、 アパーチャ径1.0 mmのランプより輝度が約1.4倍になります。また、 アパーチャサイズを小さくすると、輝度分布の半値幅も狭くなりま す。高い放射強度が必要な用途や、光を非常に小さい箇所に照射し たい場合アパーチャ径0.5 mmをお勧めします。 図3:輝度分布特性 アパーチャ径0.5 mm アパーチャ径1.0 mm 合成石英は人工的に成長させた石英結晶を溶融して製造されます。 カットオフ波長は160 nmです。溶融石英と比べ不純物が少なく、 200 nmでの透過率が50 %向上します。 ③MgF2 MgF2はハロゲン化アルカリメタルの結晶で紫外線透過率に非常に 優れ、潮解性も低いため、真空紫外域の用途に使用されます。カッ トオフ波長は115 nmです。 8 L2D2ランプ(重水素ランプ) 技術資料 ③光出力安定性 ■構造 図4に重水素ランプの外観と内部構造を示します。陽極は異常放電 を防ぐため、セラミックで覆われています。陰極は電極消耗が少な い長寿命タイプです。重水素ランプはアーク放電の陽光柱を利用し ているため、陰極は光軸より横にずれた位置にあります。陽極の正 面には、高輝度を得るためのアパーチャが設けられています。また、 陽極と陰極の間に設けられたアパーチャを、確実に点灯させるため の補助電極として使用できます。 ●ドリフト 長時間動作における光出力変動をドリフトと呼び、陰極から の熱電子放出特性の変化、バルブ内のガス圧変化、窓の汚れ などによって生じます。ドリフトは時間当たりの出力変動で 表されます。当社L2D2ランプの場合、放電を開始してからラ ンプ内が熱平衡状態に達するまでに最低でも10分∼15分かか りますので、20分∼30分程の予熱時間が必要です。 ●フラツキ 図4:外観と内部構造 外観 構造 セラミック電極 (後部) 電極 陽極 アパーチャ セラミック電極 (中央部) 陰極 バルブ ランプ動作中の短時間における光出力のPeak to Peakの変化 をフラツキと呼びます。当社L2D2ランプは、0.005 % (p-p) Typ.の安定性を実現しています。 フラツキは、陰極の劣化やその他要因に起因する陰極の電子 放出能力の変化により大きくなりますが、当社L2D2ランプの 場合、保証寿命末期においても、初期同様のフラツキ特性が 得られます。 ④寿命 ●光出力のフラツキ 光出力のフラツキが0.05 % (p-p)を越えた時点をランプの寿命 と定義しています。 リード線 バルブ 光出力 TLSOC0030JB ●光出力の低下 全放射エネルギーが初期値の50 %に低下した時点をランプの 寿命と定義しています。 ■用語説明 ■電源 ①ソーラリゼーション 一般に、重水素ランプ用の電源は、次の3つから構成されます。 ●定電流電源 ●トリガ電源 ●ヒータ用電源 また、陽極と陰極の間に設けられたアパーチャを、確実に点灯させ るための補助電極として使用できます。 UVガラスや溶融石英の光透過率は、長時間使用すると徐々に低 下します。バルブ内壁に付着する汚れや紫外線の影響により、 ガラスの透明度が低下するためです。最悪の場合、ガラスに曇 りが生じ、ランプの寿命を短くしてしまいます。紫外線による ガラスの失透現象はソーラリゼーションと呼ばれ、特に短波長 領域で顕著に起きます。合成石英では、このソーラリゼーショ ンはほとんど生じません。 さらに、MgF2窓のランプは強い紫外線を放射するため、空気中 で使用するとCVD(化学気相蒸着)により窓部に薄膜が生じ透 明度が失われることがあります。この問題を避けるためには、 ランプを真空あるいは窒素雰囲気の中で使用する必要があります。 ②放電開始電圧 陰極が十分に加熱されアーク放電の準備ができた状態で、パル ストリガ電圧を陽極と陰極の間に供給すると放電が開始します。 この放電を開始させる電圧は、30 Wタイプの重水素ランプでは 約350 V (400 V Max.)です。放電開始電圧はランプの使用時間と 共に上昇しますので、放電を確実に行わせるためにDC500 V∼ DC600 Vの電圧を供給することをお勧めします。放電開始電圧 はトリガ方式やトリガ定数によっても異なります。 図5:電源回路例 トリガスイッチ 重水素ランプ 2.2 nF トリガ電源 (DC500 V ∼DC600 V) トリガ抵抗 (1 kΩ ∼ 5 kΩ) トリガ コンデンサ (0.1 µF ∼ 0.5 µF) 補正抵抗 (100 Ω ∼ 150 Ω) 300 mA 定電流電源 (DC150 V Min.) 陽極 アパーチャ 陰極 ヒータ用電源 (約10 W) TLSOC0020JF アパーチャ径0.5 mmの重水素ランプを上記の回路で動作させる場合、 ランプ点灯を確実に開始させるために、CR定数としてトリガ抵抗 1 kΩ, トリガコンデンサ0.5 µF、補正抵抗150 Ωとすることをお勧 めします。 9 動作温度 使用上のご注意 高い安定性と長寿命を得るためには、ランプの動作温度を含 めた動作条件に十分な注意を払う必要があります。 周囲温度 (Ta) が上昇すると、バルブ壁温度 (Tb) も上昇しま す。周囲温度が+25 ℃の場合、バルブ壁温度は約+245 ℃∼ +290 ℃に上昇します。バルブ壁温度 (Tb) は、ランプタイプ、 ヒータ電圧、ランプハウスによっても変わります。当社L2D2 ランプは、通常の周囲温度でランプを点灯させたときに最適 な動作温度になるよう設計されています。長時間に渡り高い 安定性を維持するため、表1:許容動作温度範囲を守るよう にしてください。 表1:許容動作温度範囲 周囲温度 (Ta) バルブ壁温度 (Tb) 最大許容バルブ壁温度 (Tb) (Max.) +10 °C ∼ +50 °C (+20 °C ∼ +30 °C)* +245 °C ∼ +290 °C +300 °C * カッコ内の温度は最適周囲温度を示します。 Tb Ta 1.ランプからは、目や皮膚に有害な強い紫外線が出ていま すので、直視したり放射光を直接皮膚に当てないでくだ さい。取扱作業中は保護メガネや保護具を使用してくだ さい。(JIS T 8141参照) 2.点灯中はバルブ壁が高温(200 ℃以上)となっています ので、素手で触れたり燃えやすいものを近づけないでく ださい。 3.機械的な振動・衝撃を与えないでください。光出力の安 定性が低下します。 4.合成石英窓またはMgF2窓の段つなぎについて 合成石英窓またはMgF2窓使用のバルブについては、膨 張率が少しずつ異なる数種のガラスをつなぎ合わせて窓 部をつくる、いわゆる段つなぎが採用されています。こ の段つなぎ部分は機械的強度が弱いため、使用にあたっ ては段つなぎ部分に力のかかる固定方法は行わない等の 注意が必要です。 5.本製品のガラス(窓)部分は素手で触れないでください。 手垢やほこりなどがついたまま点灯しますと汚れが焼き 付いたり失透が生じ、放射出力強度が低下します。 万一、手垢などで汚れた場合には、上質のアルコールか アセトンをつけて硬く絞ったガーゼか脱脂綿を用いて点 灯前に汚れを拭き取ってください。 6.ランプ動作には高電圧を使用します。感電事故等に十分 ご注意ください。 7.常温、常湿にて保管し、高温多湿を避けるようお願いし ます。また、長期に使用しない場合には、不活性ガスで 置換されたデシケータ内に保管する事をお奨めいたしま す。 2.5 cm (1インチ) Ta:バルブ壁から2.5 cm 離れた位置での温度 Tb:バルブ壁の温度 (陰極側) 周囲温度(Ta)が上昇すると、それに伴って陰極温度も上昇し、 陰極の蒸発が起きます。一方、周囲温度(Ta)が下がると、ラ ンプ内のガス圧が低下してガスとイオンの運動エネルギーが 上昇します。これにより、陰極の電子放出材のスパッタが生 じます。いずれの場合も、バルブ内のガスが急速に消費され、 ランプの安定性と放射強度が低下し、動作寿命が著しく短く なります。 L2D2ランプを安定して動作させるため、バルブ壁温度(Tb) が+300 ℃を超えないよう、ランプの設置方法にも注意を払 うようにしてください。 保 証 ランプの保証は出荷後1年間とし、保証の範囲は製品の代替 納入を限度といたします。ただし、1年以内でも、ランプの 使用時間が保証寿命時間を超えた場合はご容赦願います。ま た、天災、使用上のミス、改造などによるトラブルも保証の 対象外とさせていただきます。 廃棄方法 本製品を廃棄する場合は、廃棄物処理法に則り、自ら適正に 処理していただくか、もしくは許認可を受けた適正な産業廃 棄物処理業者へ委託して処理してくださるようにお願いしま す。国外で使用し、その国で廃棄する場合は、それぞれの国、 州の廃棄物処理に関する法令に従って適正に処理をしてくだ さるようにお願いします。 10 L2D2ランプ(重水素ランプ) 関連製品 (詳細は、各製品カタログをご覧ください。) X2D2ランプ L2D2 ランプに比べ輝度が 2 倍になりました。各種装置の高感度化と高スループットを実現します。 高輝度 2倍 X2D2ランプ TLSOF0197 L2D2ランプ 高出力紫外–可視(UV-VIS)ファイバ光源 L10290 高輝度真空紫外(VUV)光源ユニット L10366 シリーズ X2D2 ランプを採用し、 200 nm ∼ 1100 nm の光を ライトガイド(別売)から 出力します。 コンパクトで持ち運べる手 軽さに使い易さを追求し、 各種ポータブル装置に応用 できます。 X2D2 ランプを採用し、 115 nm ∼ 400 nm と高い真 空紫外線強度を有しています。 空冷式と、真空フランジ取 り付け部を採用し、使用場 所・取り付け角度の制限が 少なく、手軽にご使用いた だけます。 ライトガイドは別売です TLSXF0181 左:電源、右:光源 小型紫外-可視(UV-VIS) S2D2ファイバ光源 L10671 S2D2真空紫外(VUV)光源ユニット L10706 小型重水素ランプ(S2D2 ランプ)を採用しています。 小型でありながら高出力、 高安定も実現した光源です。 小型 MgF 2 窓付き重水素ラ ンプ (S2D2 ランプ ) を採用 しています。 照射対象物への近接照射や 減圧下への設置及び点灯が 可能です。 ライトガイドは別売です TLSXF0192 左:光源部、右:電源部 TLSOF0184 TLSOF0194 水冷式150 W重水素ランプ L1314, L1835 常用標準重水素ランプ光源 L7820/-02(受注生産品) L2D2 ランプに比べ、3 ∼ 4 倍の放射強度をもつ高出力 なランプです。窓材には、 合成石英 (L1314) と MgF 2 (L1835) の 2 種類をご用意 しています。 放射強度が値付けされた高 安定な光源です。 当社は、ASNITE 校正認定 事業者として、200 nm ∼ 400 nm (L7820-02) の分光 放射照度を値付けしていま す。 左:L1835、右:L1314 TLSOF0140 左:ランプハウス、右:電源 TLSXF0159 ※特許:米国 5552669, 5646487 他10件, 欧州 0685874B, 0700072B 他7件, 日本 2740738, 2769436 他7件 特許出願中:欧州 3件, 日本 6件 ※この資料の内容は、平成22年3月現在のものです。仕様・性能は改良のため予告なく変更することがあります。 ご注文の際には、最新の内容をご確認下さい。 □仙台営業所 〒980-0011 □筑波営業所 〒305-0817 □東京営業所 〒105-0001 □中部営業所 〒430-8587 □大阪営業所 〒541-0052 □西日本営業所 〒812-0013 WEB SITE jp.hamamatsu.com 仙台市青葉区上杉1-6-11(日本生命仙台勾当台ビル2階) TEL 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