SM6451 オーディオ音量調整用電子ボリューム Application Note ■概要 オーディオ用電子ボリューム SM6451 のご使用にあたり、オーディオ特性を十分に引き出してお使いいただく ための注意点と、部品の簡略化の際の注意点、FAQ (Frequently Asked Questions with Answers) についてまとめま した。 ■高特性を実現するために MDT 16 2 ADRS1 MCK 15 3 ADRS2 MLEN 14 4 DVDD + 10uF 5 LOUT 0.01uF 6 LIN 7 AVDD + 10uF 0.01uF 8 VRL + + 10uF 1uF SM6451 1 RSTN CPU DVSS 13 ROUT 12 RIN 11 AVSS 10 VRR 9 + 0.01uF 0.01uF 10uF + R ch. OUT L ch. OUT 1uF L ch. IN R ch. IN 図 1:応用回路例 1 ●デジタルとアナログの分離 デジタル雑音のアナログ系への混入はオーディオ特性劣化の原因となります。 • PCB におけるデジタル電源 (DVDDとDVSS)と、アナログ電源 (AVDDとAVSS)とのセパレーションは、十分に とるようにして下さい。 • 電源端子間 (DVDD と DVSS、 AVDD と AVSS) に、 10 µF 程度のデカップリングコンデンサを接続して下さい。 • また、デジタル信号による誤動作防止のため、電源端子間に 0.01µF 程度のバイパスコンデンサを接続して下 さい。 ●基準電圧端子 (VRL, VRR) の処理 • 電源端子と同様に、デカップリングコンデンサを VRL と AVSS、VRR と AVSS 端子間に接続して下さい。 • データ転送時のデジタル信号混入によるジップノイズ発生防止のため、電源端子間に 0.01µF 程度のバイパス コンデンサを接続して下さい。 NIPPON PRECISION CIRCUITS INC.—1 SM6451 ●入力カップリングコンデンサ SM6451 では、VDD /2 が内部基準電圧 ( アナロググラウンド ) となっています。 アナログ入力信号との DC オフセットをキャンセルしセルフバイアスをかけるために、LIN, RIN 端子にカッ プリングコンデンサを接続して下さい。 その場合の低域カットオフ周波数は、 fc = 1/(2πRC) [Hz] になります。( 内部抵抗:R = 50kΩ typ) ( 例 ) 図 1:応用回路例 1 の場合、 fc = 1/(2πRC) = 1/(2π × 50kΩ × 1µF) = 3.18 [Hz] ●入力信号振幅 SM6451 では 1.2Vrms (SM6451A)、0.8Vrms (SM6451B) を入力基準振幅としています。 そのため、信号振幅を入力基準振幅にあわせていただくことになります ( 図 2)。 R 3.3R 3.3R R L ch Input LIN 4Vrms LOUT L ch Output 1.2Vrms R SM6451 3.3R 3.3R R ch Input R RIN ROUT R ch Output 図 2:例 ) 4Vrms の場合 ●入力保護ダイオード 全ての入力端子には IC 内部に保護回路が入っており、静電破壊に対し耐性をもっていますが、電源電圧を 超える信号を入力される可能性がある場合には、入力保護ダイオードを接続してください ( 図 3)。 この場合、使用するダイオードにより特性が大きく変化しますので、選定にはご注意下さい。 AVDD L ch Input LIN LOUT L ch Output SM6451 R ch Input RIN ROUT R ch Output AVSS 図 3:入力保護ダイオード NIPPON PRECISION CIRCUITS INC.—2 SM6451 ■構成部品の簡略化 構成部品の簡略化を行う場合、アナログ特性に直ちに響いてきます。 特性への影響を念頭に入れた上で、ご検討いただくようにお願いいたします。 MDT 16 2 ADRS1 MCK 15 3 ADRS2 MLEN 14 4 DVDD 5 LOUT 6 LIN 7 AVDD + 1uF 8 VRL 0.01uF + 0.68uF + SM6451 1 RSTN CPU DVSS 13 ROUT 12 RIN 11 AVSS 10 VRR 9 + 0.68uF 1uF + R ch. OUT L ch. OUT 1uF L ch. IN R ch. IN 図 4:応用回路例 2 ●デジタル・アナログ電源の共通化 共通化することで動作に問題が出ることはありません。 ●デカップリングコンデンサの簡素化 デカップリングコンデンサは、1µF 程度でもかまいません。 ● VRL,VRR 端子の処理 デカップリングコンデンサは最低でも 0.33 µ ∼ 0.68µF を接続して下さい。 バイパスコンデンサは削除することはできますが、マイコンデータ転送時にジップノイズが発生する場合が あります。 ●入力信号振幅・入力保護ダイオード 電源電圧内に収まる信号振幅であれば、基準入力振幅にあわせる必要はありません。 また、電源電圧を超える可能性 がなければ、LIN, RIN 端子に入力保護ダイオー ドを接続する必要はありま せん。 NIPPON PRECISION CIRCUITS INC.—3 SM6451 ■ FAQ (Frequently Asked Questions with Answers:良くある質問と回答集 ) Q) 出力オペアンプは内蔵しているのか? A) SM6451 は入出力ともにオペアンプを内蔵しております。 LIN Input Buffer RIN Attenuation Control Q) 入出力間の位相関係は? A) 入力に対し、正相で出力されます。 LOUT Output Buffer ROUT 図 5:SM6451 入出力ブロック Q) 他社製品に比べて、消費電流が多いが? A) SM6451 は入出力にオペアンプを内蔵しているため、他社の非内蔵タイプに比べ、規定上の消費電流は多く なっています。 Q) IC 全体の消費電流は? A) 通常動作中の規定は、デジタル系 IDDD1 とアナログ系 IDDA を足した値になります。 CPU からデータを転送している間は、これにデジタル系 ( データ転送時 )I DDD2 を足した値になります。 Q) システムリセット後の状態は? A) アッテネーションレベルは MUTE となります。 Q) 電源投入時、システムリセットは必要か? A) 内部アッテネーションデコーダをリセットするため必要です。 RSTN 端子は電源安定後 100ns 以上 Low レベルを保持し、その後 High レベルとして下さい。 VDD RSTN MIN 100ns 図 6:リセットタイミング Q) マイコンインターフェース、チップアドレス設定端子の状態は? A) RSTN, ADRS1, ADRS2 端子は全て、プルアップ抵抗付入力端子です。 SM6451 を単一で使用する場合、消費電流削減のため、チップアドレス設定端子は High 設定 ( オープンま たは、DVDD に接続 ) を推奨します。 Low 設定の場合、1端子あたり入力電流 I IL (SM6451A:230µA typ, SM6451B:70µA typ) だけ電流を消費します。 Q) マイコンインターフェースの転送速度の制限は? A) 遅い (min) 場合については特に制限はありません。 速い (max) 場合は、MDT ( データ ) のセットアップ (t MDS = 50ns min)、ホールド (tMDH = 50ns min) の制限か ら、MCK が 10MHz 程度となります。 NIPPON PRECISION CIRCUITS INC.—4 SM6451 Q) いわゆる A カーブ、B カーブ、C カーブはできないのか? A) SM6451 は、アッテネーションレベルを 1dB ステップでコントロールが可能となっています。 送信するデータのステップ幅を変化させることにより、A, B, C カーブに近似させることは可能です。 Q) 入力基準振幅以外の入力振幅で使用できないのか? A) SM6451 は、入力基準振幅にあわせて回路を最適化しております。 入力振幅によりアナログ特性は変化しますが、振幅が小さいので動作しないということはありません。 逆に 入力振幅が大きい場 合、電源電圧に近づくに つれ信号波形にク リップ等が発生する ため、大幅に特性 が悪化します。 また、電源電圧を超える信号振幅が入力される可能性がある場合は、入力保護ダイオードが必要です。 1 1 f=1kHz ATT=0dB 20kHz LPF 0.1 THD+N(%) THD + N(%) f = 1kHz ATT = 0dB 20kHz LPF 0.01 0.001 0.1 1 1.2 2 VIN(Vrms) 図 7:THD + N vs. 入力振幅特性 (SM6451A) 0.1 VDD=3.3V VDD=3.0V VDD=2.7V 0.01 0.001 .1 .2 .5 1 1.2 VIN(Vrms) 図 8:THD + N vs. 入力振幅特性 (SM6451B) NIPPON PRECISION CIRCUITS INC.—5 SM6451 ※この資料に記載されている製品のご使用に際しては、次の点にご注意くださいますようお願い申し上げます。 1. この資料に記載されている製品は、 その故障または誤作動が直接人命に関わる製品に使用されることを意図しておりません。 このような使用をご検討の場合には、 必ず事前に当社営業部までご相談ください。 なお、 事前の ご相談なく使用され、そのことに よって発生した損害 等については、当社では一切責 任を負いかねますの でご了承 ください。 2. この資料に記載されている内容は、特性、 信頼性等の改善のため予告なしに変更されることがありますので予めご了承ください。 3. この資料に記載されている内容は、 第三者の知的財産権その他の権利を侵害していないことを保証するものではありません。 したがって、 その使用に起因する第三者の権利に対する侵害について当社は責任を負いかねますのでご了承ください。 4. この資料に記載されている回路等の定数は一例を示すものであり、 量産に際しての設計を保証するものではありません。 5. この資料に記載されている製品の全部または一部が、 外国為替及び外国貿易法その他の関係法令に定める物資に該当する場合は、 それらの法令に基づく輸出の承認、 許可が必要になりますので、お客様の方でその 申請手続きをお取 りくださるようお 願いいた します。 日 本プ レシジ ョン ・サー キッ ツ株式 会社 本 社 〒 135-8430 東京都江東区福住二丁目 4 番 3 号 TEL 03-3642-6663 FAX 03-3642-6698 塩 原テ クノ ロジ ー センター 〒 329-2811 栃木県那須郡塩原町下田野 531-1 TEL 0287-35-3111( 代 ) FAX 0287-35-3116 関 西 営 業 所 〒 550-0004 大阪市西区靭本町二丁目 3 番 2 号 大鰹・住友生命なにわ筋本町ビル 8F TEL 06-6444-6631( 代 ) FAX 06-6444-6680 http://www.npc.co.jp/ Email: [email protected] NK9903C 2003.12 NIPPON PRECISION CIRCUITS INC.—6