LTC4362-1/LTC4362-2 - 1.2A 過電圧/過電流保護

LTC4362-1/LTC4362-2
1.2A 過電圧 /
過電流保護デバイス
特長
n
n
n
n
n
n
n
n
n
n
n
n
n
概要
2.5V∼5.5Vで動作
28Vまでの過電圧保護
40mΩのNチャネルMOSFETと31mΩのRSENSEを内蔵
アバランシェ定格のMOSFETにより、ほとんどのアプリ
ケーションで入力コンデンサやTVSが不要
過電圧発生時に1µs以内でオフ、ソフトなシャットダウン
2%精度の5.8V過電圧スレッショルド
20%精度の1.5A過電流スレッショルド
1µFの出力容量で入力において最大±25kV(人体モデル)
のESD耐性
制御されたパワーアップdV/dtにより、突入電流を制限
逆電圧保護ドライバ
低電流シャットダウン
過電流発生後のラッチオフ(LTC4362-1)または自動リト
ライ(LTC4362-2)
2mm×3mmの8ピンDFNパッケージ
アプリケーション
n
n
n
n
n
USBの保護
ハンドヘルド・コンピュータ
携帯電話/スマートフォン
MP3/MP4プレーヤ
デジタルカメラ
LTC®4362モノリシック過電圧/過電流保護デバイスは、2.5V
∼5.5Vのシステムを電源の過電圧から保護します。このデバイ
スは、ACアダプタ、カーバッテリ・アダプタ、USBポートなどの
複数の電源オプションを備えた携帯機器向けに設計されてい
ます。
LTC4362は入力電源に直列に接続された内蔵の40mΩNチャ
ネルMOSFETを制御します。過渡電圧が生じると、LTC4362
は1µs以内にMOSFETをオフして、下流の部品を入力電源から
切断します。ほとんどのアプリケーションで、LTC4362は過渡
電圧サプレッサなどの外付け部品を追加しなくても、誘導性
のケーブルの過渡電圧に耐えることができます。また、内蔵の
電流検出抵抗を使用して、過電流保護を実現しています。
LTC4362はプラグイン時の遅延付きの起動制御と、突入電流
を制限するための制御されたdV/dtランプアップ機能を備えて
います。PWRGDピンは、V I Nのパワーグッド・モニタを行いま
す。LTC4362はONピンによって制御されるソフトなシャットダ
ウン機能を備えており、負電圧保護のためのオプションの外
付けPチャネルMOSFETをドライブします。過電圧状態の後、
LTC4362は130msの遅延をともなって自動的に再起動します。
過電流フォールトの発生後、LTC4362-1はオフのままですが、
LTC4362-2は130msの遅延の後に自動的に再起動します。
L、LT、LTC、LTM、Linear Technology、および Linear のロゴはリニアテクノロジー社の
登録商標です。ThinSOT、PowerPath および Hot Swap はリニアテクノロジー社の商標です。
他の全ての商標はそれぞれの所有者に所有権があります。
標準的応用例
過電圧と過電流に対する保護
VIN
5V
IN
OUT
LTC4362
ON
COUT
入力の過電圧に対して保護された出力
VOUT
5V
0.5A
VIN
PWRGD
GND
VOUT
436212 TA01a
VIN, VOUT
5V/DIV
0.2µs/DIV
436212 TA01b
COUT = 10µF
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
絶対最大定格
ピン配置
(Note 1、2)
バイアス電源電圧
INからOUT(Note 3).....................................................–0.3V~28V
入力電圧
SENSEからOUT(Note 3、4)......................................... –0.3V~28V
ON............................................................................. –0.3V~9V
出力電圧
OUT、PWRGD ............................................................ –0.3V~9V
INからGATEP .......................................................... –0.3V~10V
動作温度範囲
LTC4362C .................................................................. 0°C~70°C
LTC4362I .............................................................. –40°C~85°C
保存温度範囲.......................................................... –65°C~150°C
TOP VIEW
8 OUT
GATEP 1
IN 2
GND 3
SENSE 4
9
SENSE
7 OUT
6 ON
5 PWRGD
DCB PACKAGE
8-LEAD (2mm s 3mm) PLASTIC DFN
TJMAX = 125°C, θJA = 64°C/W
発注情報
鉛フリー仕様
テープアンドリール(ミニ) テープアンドリール
製品マーキング*
パッケージ
温度範囲
LTC4362CDCB-1#TRMPBF
LTC4362CDCB-1#TRPBF
LFNC
8-Lead Plastic DFN
0°C to 70°C
LTC4362CDCB-2#TRMPBF
LTC4362CDCB-2#TRPBF
LFJN
8-Lead Plastic DFN
0°C to 70°C
LTC4362IDCB-1#TRMPBF
LTC4362IDCB-1#TRPBF
LFNC
8-Lead Plastic DFN
–40°C to 85°C
LTC4362IDCB-2#TRMPBF
LTC4362IDCB-2#TRPBF
LFJN
8-Lead Plastic DFN
–40°C to 85°C
TRM = 500 個。* 温度等級は出荷時のコンテナのラベルで識別されます。
より広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社へお問い合わせください。
鉛ベース仕様の製品の詳細については、弊社へお問い合わせください。
鉛フリー製品のマーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。
テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
電気的特性
l は全動作温度範囲の規格値を意味する。
それ以外はTA=25℃での値。注記がない限り、VIN = 5V、VON = 0V。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
MAX
UNITS
28
V
2.1
2.45
V
220
1.5
400
10
µA
µA
V
電源
VIN
Input Voltage Range
VIN(UVL)
Input Undervoltage Lockout
IIN
Input Supply Current
スレッショルド
l
2.5
VIN Rising
l
1.8
VON = 0V
VON = 2.5V
l
l
VIN Rising
l
5.684
5.8
5.916
100
200
VIN(OV)
IN Pin Overvoltage Threshold
∆VOV
Overvoltage Hysteresis
l
25
VON(TH)
ON Input Threshold
l
0.4
1.5
V
ION
ON Pull-Down Current
VON = 2.5V
l
2.5
5
10
µA
VOUT(UP)
OUT Turn-On Ramp-Rate
VOUT = 0.5V to 4V
l
1.5
3
4.5
V/ms
IOUT
OUT Leakage Current
VON = 2.5V, VOUT = 5V
l
0
±3
µA
VGATEP(CLP)
IN to GATEP Clamp Voltage
RGATEP
GATEP Pull-Down Resistance
VPWRGD(OL)
RPWRGD
mV
入力ピン
出力ピン
l
5
5.8
7.5
V
VGATEP = 3V
l
0.8
2
3.2
MΩ
PWRGD Output Low Voltage
VIN = 5V, IPWRGD = 3mA
l
0.23
0.4
V
PWRGD Pull-Up Resistance to OUT
VIN = 6.5V, VPWRGD = 1V
l
250
500
800
kΩ
IOUT = 0.5A
l
40
70
mΩ
1.2
1.5
1.8
A
内部NチャネルMOSFET
RON
On Resistance
ITRIP
Overcurrent Threshold
IAS
Peak Avalanche Current
L = 0.1mH (Note 5)
10
A
EAS
Single Pulse Avalanche Energy
IAS = 10A, L = 0.1mH (Note 5)
10
mJ
tON
Turn-On Delay
VIN High to VOUT = 0.5V, ROUT = 1kΩ
l
tOFF(OV)
Turn-Off Delay for Overvoltage
VIN = 5V
l
tOFF(OC)
Turn-Off Delay for Overcurrent
IOUT = 0.5A
tPWRGD(LH)
PWRGD Rising Delay
VIN = 5V
tPWRGD(HL)
PWRGD Falling Delay
VIN = 0V 5V, VOUT = 0.5V to PWRGD Pull
Low, ROUT = 1kΩ
l
tON(OFF)
ON High to N-channel MOSFET Off
VON = 0V
l
ESD Protection for IN to GND
COUT = 1µF, Human Body Model
l
遅延
6.5V to VOUT = 4.5V, ROUT = 1kΩ
3A to VOUT = 4.5V
6.5V
l
50
5
l
2.5V
25
130
200
ms
0.45
1
µs
10
20
µs
0.3
1
µs
65
100
ms
40
100
µs
ESD保護
Note 1:絶対最大定格に記載された値を超えるストレスはデバイスに永続的損傷を与える可
能性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、デバイスの信頼性と寿命に悪影
響を与える可能性がある。
Note 2:デバイスのピンに流れ込む電流は全て正。デバイスのピンから流れ出す電流は全て
負。注記がない限り、全ての電圧は GND を基準にしている。
±25
kV
Note 3:内部 MOSFET のドレイン - ソース間の最小ブレークダウン電圧は 28V。IN ピンと
SENSE ピンを OUT の 28V 上より高くドライブして、MOSFET の E AS 能力を超えるとデバイス
に損傷を与えることがある。
Note 4:内部の電流検出抵抗は IN と SENSE を接続している。IN を基準にして SENSE をドラ
イブすると抵抗を損傷することがある。
Note 5:IAS と EAS の標準値は特性評価に基づいており、製造時にはテストされない。
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
標準的性能特性
注記がない限り、TA = 25℃、VIN = 5V、VON = 0Vでの規定値。
1000
入力消費電流と入力電圧
過電圧スレッショルドと温度
PWRGD電圧とPWRGD電流
500
5.84
VON = 0V
100
400
5.82
10
1
0.1
5.80
5.78
1
10
VIN (V)
–25
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
75
436212 G01
200
0
100
内部RSENSEと温度
35
1.55
VIN = 5V
20
–50
–25
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
75
ITRIP (A)
50
INTERNAL RSENSE (mΩ)
1.60
VIN = 3V
30
25
20
–50
100
14
VIN = STEP 5V TO 6.5V
0.8
–25
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
75
0
–50
1.40
–50
100
8
IOUT = STEP 0.5A TO 3A
75
100
436212 G07
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
75
10
6
–50
100
VIN = STEP 5V TO (VIN(OV) + VOVDRV)
6
tOFF(OV) (µs)
tOFF(OC) (µs)
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
–25
過電圧ターンオフ遅延とオーバー
ドライブ
(VOVDRV)
8
–25
436212 G03
436212 G06
12
0.2
5
1.50
過電流ターンオフ遅延と温度
0.4
4
436212 G05
過電圧ターンオフ遅延と温度
0.6
2
3
IPWRGD (mA)
1.45
436212 G04
1.0
1
過電流スレッショルドと温度
40
40
0
436212 G02
60
30
tOFF(OV) (µs)
300
100
5.76
–50
100
内部MOSFETのオン抵抗と温度
RON (mΩ)
VPWRGD(OL) (mV)
VIN(0V) (V)
IIN (µA)
VON = 2.5V
4
2
–25
0
25
50
TEMPERATURE (°C)
75
100
436212 G08
0
0
0.5
1
1.5
VOVDRV (V)
2
2.5
436212 G09
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
標準的性能特性
注記がない限り、TA = 25℃、VIN = 5V、VON = 0Vでの規定値。
通常のスタートアップ・シーケンス
ターンオン・ランプアップ
VIN
5V/DIV
VIN
5V/DIV
VOUT
5V/DIV
VOUT
5V/DIV
ICABLE
0.5A/DIV
ICABLE
0.5A/DIV
20ms/DIV
FIGURE 4 CIRCUIT
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω, COUT = 10µF
スリープ・モードへの移行
VIN
5V/DIV
VOUT
5V/DIV
VON
5V/DIV
ICABLE
0.5A/DIV
436212 G10
1ms/DIV
FIGURE 4 CIRCUIT
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω, COUT = 10µF
436212 G11
50µs/DIV
436212 G12
FIGURE 4 CIRCUIT
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω, COUT = 10µF
ピン機能
GATEP:外部PチャネルMOSFETのゲート・ドライブ。GATEP
はオプションの外部PチャネルMOSFETのゲートに接続され、
INの負電圧に対して保護します。内部でV INの5.8V下にクラン
プされています。内部の2M抵抗がこのピンをグランドに接続
しています。使用しない場合、INに接続します。
GND:デバイスのグランド。
I N:電源電圧入力。このピンは入力電源に接続します。この
ピンには5.8Vの過電圧スレッショルドが備わっています。過
電圧が発生した後、このピンがV IN(OV) ­ ΔVOVより下になら
ないと過電圧ロックアウトは解除されません。ロックアウトの
間、内部NチャネルMOSFETはオフしたままで、PWRGDのプ
ルダウンが解除されます。
OUT:内部NチャネルMOSFETのソース。負荷に接続します。
PWRGD:パワーグッド状態。OUTへの内部500kプルアップ抵
抗を備えたオープン・ドレイン出力。MOSFETのゲートがその
内部ゲート H スレッショルドを超えてランプした後65m sで
L になります。
S E NS E、露出パッド:電流検出ノードおよび内部Nチャネル
MOSFETのドレイン。I NとSENSEの間に内部センス抵抗が
使われて、1.5Aの過電流スレッショルドが実現されています。
露出パッドはSENSEに接続されており、パッケージから熱を
十分逃がすため、電気的に絶縁されたプリント回路基板のト
レースに半田付けする必要があります。過電流機能をディス
エーブルするには、SENSEと露出パッドをINに接続します。
ON:オン制御入力。ONをロジック L にするとLTC4362をイ
ネーブルします。ONが H になると内部NチャネルMOSFET
のゲートの低電流プルダウンがアクティブになり、LTC4362は
低電流スリープ・モードに入ります。内部5µA電流がONをグラ
ンドに引き下げます。使用しない場合、グランドに接続するか
オープンのままにします。
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
ブロック図
SENSE
RESISTOR
31mΩ
IN
GATEP 200k
1V
5µA
OUT
5.8V
CHARGE
PUMP
5.8V
10µA
1.8M
ON
SENSE
+
–
+
–
CONTROL
+
–
+
–
GATE HIGH
COMPARATOR
500k
GATE HIGH
THRESHOLD
PWRGD
OVERCURRENT
COMPARATOR
+–
47mV
OVERVOLTAGE
COMPARATOR
5.8V
5.7V
GND
436212 BD
動作
携帯電話やM P3/M P4プレーヤのようなモバイル機器は、
ディープサブミクロンCMOSプロセスで製造されたサブシステ
ムを高度に一体化しています。フォームファクタが小さいと絶
対最大電圧定格が低くなり、敏感な電子回路は電源による過
渡やDCの過電圧状態による損傷を受けやすくなります。
ACアダプタの故障や不具合により過電圧が生じることがあ
ります。モバイル機器の電源入力にACアダプタを活栓挿入す
る場合もそうなることがあります(「アプリケーションノート88
を参照」)。最近のモバイル機器は、ACアダプタ、カーバッテ
リーアダプタ、USBポートなど複数の代替入力から電源を得て
おり、また内部バッテリをリチャージします。ユーザーが知ら
ずに間違ったアダプタを差し込んで、高い電源電圧や負の電
源電圧で機器を損傷することがあります。
LTC4362は、パス・トランジスタとして構成された内部Nチャ
ネルMOSFETを制御することにより、低電圧電子回路をこれ
らの過電圧状態から保護します。起動時に(V I N > 2.1V)、
起動遅延サイクルが開始されます。どんな過電圧状態でも、
安全な電圧になるまで遅延サイクルが継続します。遅延サイ
クルが完了すると、内部のハイサイド・スイッチ・ドライバが
MOSFETのゲートをゆっくりとランプアップさせ、制御された
レートで出力をパワーアップし、出力コンデンサへの突入電流
を制限します。
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
動作
I Nピンの電圧が5.8V(V I N(OV))を超えると、内部Nチャネル
MOSF ETが直ちにオフして負荷を保護します。OU Tのラン
プアップを再開するには、スタートアップ遅延が持続する間
5.7V (VOUT(OV) ­ ΔVOV)より下に入力電源が留まる必要があ
ります。
1.5Aの電流トリップ・スレッショルドと10µsのグリッチ・フィル
タによる過電圧保護を実装するのに内部センス抵抗が使わ
れています。過電流の発生後、LTC4362-1はラッチオフします
が、LTC4362-2は130msの遅延の後に再起動します。
LTC4362はCMOS互換のON入力を備えています。このピン
が L にドライブされると、デバイスがイネーブルされます。
H にドライブされると、内部NチャネルMOSFETがオフし、
LTC4362の消費電流が1.5µAに減少します。この低電流スリー
プ・モード、U V LO、過電圧、過電流またはサーマル・シャッ
トダウンおよびそれに続く130msのスタートアップ遅延の間、
PWRGDのプルダウンがリリースされます。スタートアップ遅延
後、内部MOSFETのゲートが3V/msでランプアップを開始し
ます。それは内部ゲートの H のスレッショルドをトリップして
65msの遅延をトリガします。それが完了するとPWRGDが L
になります。この出力のプルダウン・デバイスは最大3m Aをシ
ンクする能力があるので、オプションのLEDをドライブするこ
とができます。LTC4362にはGATEPピンが備わっており、オ
プションの外部PチャネルMOSFETをドライブしてINの負電圧
に対して保護します。
アプリケーション情報
LTC4362の標準的アプリケーションは、携帯機器の2.5V∼
5.5Vのシステムを電源の過電圧から保護します。基本的な応
用回路を図1に示します。デバイスの動作と外付け部品の選択
については以下のセクションで詳細に説明します。
VIN
5V
IN
OUT
LTC4362
5V
VIO
VOUT
5V
COUT 0.5A
10µF
R1
1k
ON
PWRGD
GND
D1
LN1351CTR
436212 F01
図1.過電圧と過電流に対する保護
スタートアップ
2.1Vの低電圧ロックアウト・レベルよりV I Nが低いとき、内部N
チャネルMOSFETはオフに保たれ、PWRGDプルダウンは高
インピーダンスになります。V I Nが2.1Vより上になり、ONが L
に保たれていると、130msの遅延サイクルがスタートします。
INにどんな低電圧または過電圧が発生しても(VIN < 2.1Vま
たはV I N > 5.7V)、遅延サイクルが再度スタートします。この
遅延により、MOSFETはスタートアップ時に生じるどんな入力
過渡からも出力を遮断することができます。遅延サイクルが
完了するとMOSFETがオンし、OUTがゆっくりランプアップし
始めます。
OUT の制御
内部チャージポンプは、3V/msに制限されたOUTのランプ・レー
トで内部NチャネルMOSFETをエンハンスします。このため、負
荷コンデンサCOUTへの突入電流は次のようになります。
IINRUSH = COUT •
dVOUT
= COUT • 3[mA/µF ]
dt
過電圧
電源が最初に与えられたとき、出力がオンする前に130m sよ
り長くVINは5.7V(VIN(OV) ­ ΔVOV)より下に留まる必要があ
ります。V I Nがその後5.8V(V I N(OV))より上になると、過電圧
コンパレータが1µs以内に内部MOSF ETをオフします。過電
圧状態の後、V I Nが再度5.7Vより下に130m sの間留まるまで
MOSFETはオフに保たれます。
過電流
過電流コンパレータは内部MOSFETを過度の電流から保護し
ます。これは10µsより長くIOUT > 1.5Aとなるとトリップします。
過電流コンパレータがトリップすると、内部MOSFETが直ちに
オフし、PWRGDのプルダウンがリリースされます。LTC4362-2
は、130msのスタートアップ遅延後、自動的に電力を再度供給
しようと試みます。LTC4362-1は内部ラッチを備えており、リ
セットされるまでこのオフ状態を維持します。このラッチをリ
セットするには、500µsより長くINを2.1V(V I N(U VL))より下に
サイクルさせるか、またはONを1.5V(VON(TH))より上にサイク
ルさせます。
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
アプリケーション情報
ON 入力
ON 入力
リセット後、LTC4362-1はスタートアップ・サイクルを遂行しま
す。過電流保護が不要なアプリケーションでは、SENSEおよ
び露出パッドをINピンに接続します。
ONはC MOS互換のアクティブ L のイネーブル入力です。こ
のピンにはデフォルトでグランドへの5µ Aのプルダウンが備
わっています。通常のデバイス動作をイネーブルするには、
このピンをグランドに接続するかオープンのままにします。
MOSFETがONしているときにこのピンが H にドライブされ
ると、MOSFETは内部40µAのゲート・プルダウンによって徐々
にオフし、入力電圧の過渡を最小に抑えます。LTC4362は次
いで低電流スリープ・モードに入り、INに流れる電流はわずか
1.5µAになります。ONが再び L に戻ると、デバイスは130msの
遅延サイクルの後再度スタートします。
PWRGD 出力
PWRGDはアクティブ L の出力で、グランドへのMOSFETプ
ルダウンおよびOU Tへの500kプルアップ抵抗を備えていま
す。低電流スリープ・モード(ONを H にすると作動します)、
U VLO、過電圧、過電流またはサーマル・シャットダウンおよ
びそれに続く130msのスタートアップ遅延の間、PWRGDピン
のプルダウンはリリースされます。スタートアップ遅延後、内部
MOSFETのゲートが3V/msでランプアップを開始し、PWRGD
のプルダウンの制御が内部のゲート H コンパレータに渡さ
れます。内部ゲートが65msより長くゲートの H スレッショル
ドを上回ると、PWRGDが L にアサートします。内部ゲートが
ゲートの H スレッショルドより下になると、PWRGDのプルダ
ウンがリリースされます。PW RGDのプルダウン・デバイスは
最大3m Aの電流をシンクする能力があるので、オプションの
LEDをドライブすることができます。PW RGDを別のI/Oレー
ルにインタフェースするには、OUTへの内部500kプルアップを
オーバーライドするだけ十分値の小さな抵抗をPWERGDから
そのI/Oレールに接続します。PWRGDから5Vへ1kのプルアッ
プを接続したLTC4362-2のPW RGDの振る舞いの詳細を図2
に示します。
UVLOからの
起動
OV
OVからの
再起動
GATEP の制御
GAT EPには、グランドへの2Mのプルダウン抵抗と、I Nへの
200k抵抗に直列な5.8Vツェナー・ダイオード・クランプが備
わっています。これはオプションの外部PチャネルMOSFETの
ゲートを制御して、負電圧に対して保護します。V I NがPチャネ
ルMOSFETのゲート・スレッショルド電圧より高くなると、2M
のプルダウンが外部PチャネルMOSFETをオンします。INから
GATEPに接続されているツェナー・ダイオードは、V I Nが高く
なると外部PチャネルMOSFETのVGSを5.8Vにクランプするこ
とにより、そのMOSFETのゲートを過電圧から保護します。
ON
OC OCからの
再起動
ONからの
再起動
OC
スレッショルド
ICABLE
VIN(OV)
VIN(OV) – ∆VOV
VIN(UVL)
IN
OUT
内部 ゲートの“H”
MOSFETの スレッショルド
ゲート
ゲートの“H”
スレッショルド
ゲートの“H”
スレッショルド
ゲートの“H”
スレッショルド
ゲートの“H”
スレッショルド
ON
PWRGD
130ms 65ms
130ms
65ms
130ms 65ms
10µs
(NOT TO SCALE)
130ms 65ms
図2.PWRGD動作
436212 F02
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
アプリケーション情報
WALL ADAPTOR
AC/DC
RIN
LIN
+
MOBILE DEVICE
IN
ICABLE
VIN
10V/DIV
COUT
CABLE
LOAD
ICABLE
20A/DIV
436212 F03a
5µs/DIV
436212 F03b
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω, COUT = 10µF
図3.10µFのコンデンサへの20Vの活線挿入
WALL ADAPTOR
AC/DC
+
RIN
LIN
ICABLE
IN
IN OUT
LT4362
CABLE
OUT
MOBILE DEVICE
COUT
LOAD
VIN
10V/DIV
GND
436212 F04a
VOUT
1V/DIV
ICABLE
1A/DIV
5µs/DIV
436212 F04b
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω, COUT = 10µF
図4.LTC4362への20Vの活線挿入
サーマル・シャットダウン
内部NチャネルMOSFETはサーマル・シャットダウン回路に
よって保護されています。その温度が150℃に達すると直ちに
オフし、PW RGDのプルダウンがリリースされます。その温度
が140℃より下になると再度オンします。
入力過渡
ACアダプタからモバイル機器を充電するときの標準的セット
アップを図3に示します。インダクタL I NはケーブルとACアダプ
タにときどき見られるEMIフィルタをひとまとめにした等価イン
ダクタンスを表します。R I Nは、ケーブル、ACアダプタの出力コ
ンデンサのESRおよびコネクタの接触抵抗をひとまとめにした
等価抵抗です。
L I NとR I Nは、I Nの容量とともにLCタンク回路を形成します。
ACアダプタが先にパワーアップしている場合、そのACアダプ
タの出力をI Nへ差し込むことは、このLC回路へ電圧ステップ
を印加することに相当します。その結果生じるI Nの電圧オー
バーシュートは、図3に示されているように、ACアダプタのDC
出力電圧の2倍(電圧係数の大きなセラミック・コンデンサが
使用される場合にはさらに上)に上昇することがあります。
LTC4362に与えられた20VのACアダプタの出力を図4に示しま
す。I Nピンの容量が低いため、差し込み時の過渡は制御可能
なレベルに下げられています。
ケーブルのインダクタンスを流れる電流が突然変化するときも
入力過渡が発生します。これは、過電圧または過電流の発生
時に、LTC4362がそのNチャネルMOSFETを急速にオフする
とき起きることがあります。
436212f
LTC4362-1/LTC4362-2
アプリケーション情報
過電流発生後の入力過渡を図5に示します。L I Nの電流によ
り、V I Nがオーバーシュートし、内部NチャネルMO SF ETが
COUTにアバランシェを生じます。
TURN-OFF
VIN
10V/DIV
VOUT
5V/DIV
USB入力に既に電力が供給されている5Vデバイスに20Vの
ACアダプタが誤って差し込まれます。図7に示されているよう
に、C OU Tを充電するため、大きな電流がLI Nに生じることが
あります。内部MOSFETがオフすると、この電流はC OUTにダ
ンプされ、40Vの大きな過渡が生じます。LTC4362はこれを出
力電圧で1Vの上昇に制限します。
ICABLE
10A/DIV
OVERCURRENT
ICABLE
2A/DIV
VOUT
2V/DIV
436212 F05
2µs/DIV
FIGURE 4 CIRCUIT
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω, COUT = 10µF
VIN
10V/DIV
図5.過電流発生後の入力過渡
1µs/DIV
一般に、I NはVOU T+1.3•(内部MOSFETの30V BV DSS)=
45Vの電圧にクランプされます。ピーク電流がIASのこのアバラ
ンシェ・ブレークダウンの間にMOSFETによって吸収される1
個の(繰り返さない)エネルギーパルス(E AS)は次式によって
近似されます。
1
E AS = • LIN •IAS 2
2
LIN = 0.7µHおよびIAS = 3Aの場合、EAS = 3.15µJです。これは
内部MOSFETのI ASおよびE ASの能力内です。したがって、ほ
とんどの場合、バイパス・コンデンサ、過渡電圧サプレッサ、そ
の他の外付け部品がINに接続されていなくても、LTC4362は
このような過渡を乗り切ることができます。
デュアル電源入力を備えたモバイル機器で生じることがある
特に悪い状態を図6に示します。
RIN
20V
WALL
ADAPTOR
+
–
ICABLE
図7.5Vシステムに20Vが差し込まれたときの
過電圧保護の波形
L IN内のエネルギーのC OUTへの放電によるVOUTの電圧上昇
が受け入れられない場合、またはMOSFETのアバランシェ能
力を超える場合、SM A J24Aのような外部クランプZ1をI Nと
GN Dの間に追加することができます。その場合の波形を図8
に示します。
ICABLE
10A/DIV
VOUT
2V/DIV
VIN
10V/DIV
IN
+
–
RIN = 150mΩ, LIN = 2µH
LOAD = 10Ω
COUT = 10µF (16V, SIZE 1210)
LIN
B160
5V
USB
436212 F07
IN OUT
LT4362
OUT
1µs/DIV
COUT
LOAD
GND
436212 F06
436212 F08
RIN = 150mΩ, LIN = 0.7µH
LOAD = 10Ω
COUT = 10µF (16V, SIZE 1210)
図8.5Vシステムに20Vが差し込まれたときの、
外部INクランプを使った過電圧保護の波形
図6.5Vシステムに差し込まれた20Vをテストするためのセットアップ
436212f
10
LTC4362-1/LTC4362-2
アプリケーション情報
C OU Tは保護される回路のデカップリング・コンデンサで、そ
の値は主に回路要件によって決まります。L I Nとともに大き
なC OU Tを使用するとOU TのdV/dtが遅くなるので、V OU Tが
危険な電圧までオーバーシュートする前に、LTC4362がその
MOSFETをオフする時間が与えられます。また、C OUTが大き
いと、MOSFETのBV DSSが入力クランプとして使用される場
合、LIN内のエネルギーの放電によるΔVOUTを下げるのにも役
立ちます。
内部NチャネルMOSFETを通る電力経路に関連したPCBト
レースは抵抗を小さくします。
SUPPLY
6
5
4
1
Si1471DH
8
LTC4362
2
7
9
3
6
5
4
レイアウトに関する検討事項
1
負電 圧保 護のために外部PチャネルM O S F E Tを使った
LT C4362のP C Bレイアウトの一例を図9に示します。内部N
チャネルMOSFETへのトレースは幅を広く、長さを短くします。
2
OUT
3
GND
436212 F08
図9.外部PチャネルMOSFETの構成設定のレイアウト
パッケージ
DC パッケージ
8 ピン・プラスチック DFN(2mm
3mm)
(Reference LTC DWG # 05-08-1718 Rev A)
R = 0.115
TYP
R = 0.05
5
TYP
2.00 p0.10
(2 SIDES)
0.70 p0.05
3.50 p0.05
2.10 p0.05
0.40 p 0.10
8
1.35 p0.10
1.35 p0.05
1.65 p 0.05
1.65 p 0.10
3.00 p0.10
(2 SIDES)
ピン1のノッチ
R = 0.20または
0.25×45°の面取り
パッケージ ピン1バーの
トップ・
の外形
マーキング
(NOTE 6を参照)
0.25 p 0.05
0.45 BSC
(DCB8) DFN 0106 REV A
4
0.200 REF
0.23 p 0.05
0.45 BSC
0.75 p0.05
1.35 REF
1.35 REF
推奨する半田パッドのピッチと寸法
半田付けされない領域には半田マスクを使用する
1
0.00 – 0.05
露出パッドの底面
注記:
1. 図はJEDECのパッケージ外形ではない
2. 図は実寸とは異なる
3. 全ての寸法はミリメートル
4. パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。
モールドのバリは(もしあれば)各サイドで0.15mmを超えないこと
5. 露出パッドは半田メッキとする
6. 網掛けの部分はパッケージのトップとボトムのピン1の位置の参考に過ぎない
436212f
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提 供する情 報は正 確かつ信 頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責 務は
一切負いません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料は
あくまでも参考資料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
11
LTC4362-1/LTC4362-2
標準的応用例
24V電源および過電流から保護されている5Vシステム
VIN
5V
M1
Si1471DH
IN
Z1
OPTIONAL
Z1: SMAJ24A
OUT
COUT
10µF
LTC4362
VOUT
5V
0.5A
5V
VIO
GATEP
R1
1k
D1
LN1351CTR
PWRGD
ON
GND
436212 TA02
関連製品
製品番号
説明
注釈
LTC2935
8種類のスレッショルドをピンで選択可能な超低消費電力 消費電流:500nA、2mm 2mm 8ピンDFNおよびTSOT-23パッケージ
スーパーバイザ
LT3008
20mA、45V、3µA IQマイクロパワーLDO
損失電圧:280mV、低IQ:3µA、VIN = 2.0V∼45V、VOUT = 0.6V∼39.5V;
ThinSOT™および2mm 2mm DFN-6パッケージ
LT3009
20mA、3µA IQ、
マイクロパワーLDO
損失電圧:280mV、低IQ:3µA、VIN = 1.6V∼20V、VOUT = 0.6V∼19.5V;
ThinSOTおよびSC-70パッケージ
LTC3576/
LTC3576-1
USB OTGおよびトリプル降圧DC/DC付きスイッチング
USBパワーマネージャ
完全な多機能PMIC:双方向スイッチング・パワーマネージャ+3つの降圧
レギュレータ+LDO
LTC4090/
LTC4090-5
理想ダイオード・コントローラと高効率リチウムイオン・
バッテリ・チャージャ付き高電圧USBパワーマネージャ
6V∼38V(最大60V)
の入力で動作する高効率1.2AチャージャがUSB
ポートから1セル・リチウムイオン・バッテリを直接充電
LTC4098
OVP付きUSB互換スイッチ・モード・パワーマネージャ
高いVIN:38V動作、60V過渡、66VのOVP、ACアダプタから最大1.5Aの
充電電流、USBから600mAの充電電流
LTC4210
シングル・チャネル・低電圧Hot Swap™コントローラ
2.7V∼16.5Vで動作、
アクティブ電流制限、SOT23-6
LTC4213
No RSENSE電子回路ブレーカ
0V∼6Vの負荷電圧を制御。選択可能な3つの回路ブレーカ・スレッショ
ルド。
デュアル・レベルの過電流フォールト保護
LT4356
サージ・ストッパ過電圧/過電流保護レギュレータ
広い動作範囲:4V∼80V、–60Vまでの逆入力保護、調整可能な出力
クランプ電圧
LTC4411
SOT-23の理想ダイオード
順方向電流:2.6A、安定化順方向電圧:28mV
LTC4412
ThinSOTパッケージの2.5V∼28V低損失PowerPath™
コントローラ
ダイオードOR接続より高い効率、DCソース間の自動切り替え、
簡素化された負荷分担
LTC4413-1/
LTC4413-2
3mm 3mm DFNパッケージのデュアル2.6A、
2.5V∼5.5V高速理想ダイオード
オン抵抗:130mΩ、低逆リーク電流、安定化順方向電圧:18mV
(LTC4413-2は過電圧保護センサ付き)
436212f
12
リニアテクノロジー株式会社
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F
TEL 03- 5226-7291 ● FAX 03-5226-0268 ● www.linear-tech.co.jp
LT 0610 • PRINTED IN JAPAN
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2010