低ノイズ、低歪みの 18 ビット1.6Msps ADC の駆動 デザインノート494 Guy Hoover はじめに 単一電源ドライバ LTC 2379-18 は、SNR が 101dB と非 常 に 高く、THD が –120dB の 18 ビット1.6Msps SAR ADC です。ユニー クなデジタル利得圧縮機能を備えており、ADCドライバ回 路の負電源を不要にします。 ® 図 3 の回路では、LTC2379-18 のデジタル利得圧縮機能 を使用しており、ADC のフルスケール入力振幅をリファレン ス電圧の 10% ~ 90% に圧縮します。つまり、5Vリファレ ンスの場合、フルスケール振幅は 0.5V ~ 4.5V になります。 これは LT6350 にとって十分余裕があるので、負電源は不 LTC2379-18 から最良の性能を引き出すドライバ回路を 要です。これにより、負電源のコストを節約でき、回路が簡 設計するのは難しくありません。ここに示す 2 つの回路は、 単になるだけでなく、回路の ADCドライバ部分の全体の電 両電源と単一電源を使う、差動およびシングルエンドのソ 力消費が半分に減少します。 リューション例です。ここで使用されている部品は、ADC の精度とデータ収集時間を考慮して注意深く選択してありま L、LT、LTC、LTM、Linear Technology および Linear のロゴはリニアテク ノロジー社の登録商標です。他の全ての商標はそれぞれの所有者に所有権があり すので、変更する場合は十分テストする必要があります。 ます。 完全差動ドライバ 0 図 1 の回路は、±5V の完全差動信号を LTC2379-18 の 通常の入力範囲である 0V ~ 5V の完全差動信号に変換し ます。この回路は、完全差動信号を出力するセンサに使え ます。 SNR = 101.2dB THD = –120dB SINAD = 101.1dB SFDR = 121dB fS = 1.6Msps fIN = 2kHz –20 AMPLITUDE (dBFS) –40 フィルタ・ネットワークの R3、R5、C6、および R4、R6、 C7 は、入力の帯域幅を約 100kHz に制限します。これら のネットワークの整合は、歪みを最小にするのに重要です。 遅延が整合していないと、同相信号が生じます。R1、R2、 C1、C2、および C3 で構成されるフィルタ・ネットワーク ® は、LT 6203 のノイズの影響を最小にし、サンプリングの 過渡変動によって LT6203 に反射される乱れを最小に抑え ます。 図 2 の 32k ポイントの FFT は、図 1 の回路による LTC2379-18 の性能を示しています。 –60 –80 –100 –120 –140 –160 –180 0 100 200 300 400 500 600 700 800 DN494 F02 FREQUENCY (kHz) 図 2.図 1 の回路を使った 32k ポイントの FFT C5 0.1µF + = 8V V 5V 5V 0V –5V R3 1k VIN R5 1k 2 C6 3300pF NPO 5V 5V 0V –5V R4 1k VIN C7 3300pF NPO 3 6 R6 1k 5 + – 8 5V V+ 0V 1 LT6203 – + 7 – V 4 V– = –3.6V R1 15Ω R2 15Ω 5V 0V C3 3300pF NPO C1 3300pF NPO C2 3300pF NPO 5V C4 47µF + REF REF/DGC LTC2379-18 – DN494 F01 図 1.LT 6203 を使った、LTC2379-18 の完全差動 ±5V ドライバ ® 09/11/494 V+ = 5.5V C11 0.1µF R18 1k 4.5V R9 6.04k 8 +IN1 C42 10µF VIN ±10V 10V 0V –10V R37 1k R15 4.32k 7 3 1 –IN1 R35 15k V+ SHDN + – 0.5V R32 20Ω OUT1 4 R45 3.01k LT6350 C56 0.1µF C20 47µF C39 3300pF NPO C19 3300pF NPO 415Ω 2 +IN2 C45 10µF – + R36 20Ω OUT2 5 V– 6 4.5V 0.5V C40 3300pF NPO VIN LTC6655-5 VO_F VO_S GND 5V REF REF/DGC R7 1k + CHAIN CNV SCK SDO LTC2379-18 BUSY RD VDD – GND OVDD 2.5V C10 0.1µF C9 10µF 3.3V C7 0.1µF C6 10µF DN494 F03 図 3.LT6350 を使った、LTC2379-18 の単一電源 ±10V のシングルエンド・ドライバ 出力より0.5V 高い電源しか必要としない低ノイズ精密リファ レンス LTC6655-5 を使うと、回路全体を単一 5.5V 電源 で動作させることができます。 この回路は、±10V のシングルエンド入力電圧を受け、そ れを 0.5V ~ 4.5V の完全差動信号に変換します。 この 回路の SNR は、入力信号が減少するので 99dB ですが、 THD は –95dB と非常に良好です。 レイアウトに関する検討事項 高速の 18 ビット ADC を扱うときは、PC ボードのレイアウ トを注意深く検討する必要があります。常にグランド・プレー ンを使います。できるだけトレースを短くします。バイパス・ コンデンサは電源ピンにできるだけ近づけます。各バイパス・ コンデンサは、個別に低インピーダンスのリターンでグラン ドに接続します。アナログ入力のトレースは、グランドを使っ てシールドします。ADC のアナログ入力に関係したレイアウ 図 4.LTC2379-18 のレイアウト例 トはできるだけ対称にして、寄生素子の影響を相互にキャン セルします。リファレンスの出力と REF ピンのバイパス・コ まとめ ンデンサは、できるだけ REF ピンに近づけます。 LTC2379-18 を駆動するのは難しくありません。ここで説 LTC2379-18 のレイアウトの一例を図 4に示します。図 4は、 明されている簡単な回路を使うと、完全差動またはシングル トップ、グランド、ボトム、およびシルクスクリーンの各層を エンドの様々な入力電圧範囲で LTC2379-18 を駆動する 合成したものです。図 3 の回路で使用されている部品番号 ことができます。LTC2379-18 は、そのユニークなデジタ が、図 4 のレイアウトに対応しています。LTC2379-18 の ル利得圧縮機能を使って単一電源でドライブすることができ 完全なレイアウト例については、www.linear-tech.co.jp で るので、電力を節約し、コストを下げ、回路を簡単にします。 DC1783A デモボードのマニュアルを参照してください。 データシートのダウンロード:http://www.linear-tech.co.jp リニアテクノロジー株式会社 102-0094 東京都千代田区紀尾井町 3-6 紀尾井町パークビル 8F TEL(03)5226-7291 FAX(03)5226-0268 http://www.linear-tech.co.jp dn494f LT/AP 0911 • PRINTED IN JAPAN © LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2011