DN248 レール・トゥ・レールI/Oおよび2.4V動作により

レール・トゥ・レール入出力および2.4V動作により、
低電圧電源で
UltraFastコンパレータが使用可能に − デザインノート 248
Glen Brisebois
UltraFastTMコンパレータ・ファミリの新製品LT®1711∼
LT1714は、完全差動レール・トゥ・レール入力および出
力を備え、最小2.4Vで動作するので、低電源電圧で自由に
応用できます。LT1711(シングル)
およびLT1712(デュア
ル)
は、4.5nsの伝播遅延と100MHzのトグル周波数で仕様
が規定されています。低電力LT1713(シングル)および
LT1714
(デュアル)は、7nsの伝播遅延と65MHzのトグル
周波数で仕様が規定されています。これらのコンパレータ
はすべて多様な電源アプリケーションをサポート可能で、
ポピュラーなLT1016、LT1116、LT1671、LT1394と同
様にLatch Enable
(LE)
ピンと相補出力を備えています。こ
れらのデバイスはMSOPおよびSSOPパッケージで供給さ
れ、コマーシャルおよびインダストリアル温度範囲におい
て2.7V、5V、および±5V電源で完全に仕様が規定されて
います。
この回路は図中の抵抗値で良好に動作しますが、他の値も
使用できます。最初に、ツイストペア線の特性インピーダ
ンスZOから決定します。抵抗回路網の入力インピーダン
スが特性インピーダンスと一致する必要があり、これは次
式から求めることができます。
RIN = 2 • RO •
図中の値では120Ωとなります。テブナン等価ソース電圧
は次式で与えられます:
(R2 + R3 – R1)
(R2 + R3 + R1)
RO
•
RO + 2 • [R1||(R2 + R3)]
VTH = VS •
わずか2線による同時全二重75Mbaudインタフェース
図1の回路は、シンプルな完全双方向の差動2線式インタ
フェースで、低電力LT1714を使用し、75Mbaudまで良好
に動作します。単一方向および双方向通信条件でのアイ・
ダイアグラムを図2および図3に示します。図2の単一方向
での性能ほどきれいではありませんが、同時双方向動作で
も依然として優れた性能を示しています。LT1714の入力
電圧範囲は両電源レールを100mV超えるので、この回路は
最大±3V(つまり全±VS範囲)のグランド電位差で動作し
ます。
R1||(R2 + R3)
RO + 2 • [R1||(R2 + R3)]
図中の値の場合、これは0.0978の減衰率に相当します。
(ラインの実際の電圧は、120ΩのZOによって、再度半分に
分割されます。)
この減衰率が重要な理由は、これがレシー
バ経路内のR2-R3抵抗分割器の比率を決定する鍵であるこ
とです。この分割器により、レシーバはローカル・トラン
スミッタの大信号を除去し、代わりにリモート・トランス
ミッタの減衰信号を検知できるようになります。上記の式
では、R2とR3は和として含まれるだけなので、R2とR3は
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
UltraFastはリニアテクノロジー社の商標です。
3V
4
+
14
RxD
3V
1/2
LE LT1714
13 16
3
–
2
2
1
3V
3V
15
7
TxD
+
R2A
2.55k
5
1
3V
R1C
499Ω
R1A
499Ω
1/2
LT1714
8
– LE 10 12
6
9
R3A
124Ω
R3B
124Ω
R2B
255k
ROA
140Ω
R1B
499Ω
6-FEET
TWISTED PAIR
ZO ≈ 120Ω
DIODES: BAV99
×4
ROB
140Ω
R3C
124Ω
R1D
499Ω
R3D
124Ω
5
9
DN252 F01
01/01/248
+
7
1/2
LT1714
8
LE –
12 6
10
R2D
2.55k
図1. 2線の75Mbaud全二重インタフェース
–
3
11
11
14
1/2
LT1714 LE
3V
R2C
2.55k
4
+
TxD
15
16 13
RxD
C4
100pF
R5
7.5k
1MHz
AT-CUT R4
210Ω
VS
R1
1k
R2
1k
DN252 F02
図2. 片方向動作時の図1の回路の性能。
アイが広く開いている。
R6
162Ω
C3
100pF
VS
2
3
–
R9
2k
3
C2
0.1µF
R8
2k
1
+
7
LT1713
LE
5
VS
2
4
6
SQUARE
8
VS
R7
15.8k
7
–
6
LT1806
+
SINE
1
4
DN252 F04
R3
1k
C1
0.1µF
図4. LT1713コンパレータで構成した直列共振形
水晶発振器。LT1806オペアンプを、fC=1MHz
でQ=5のバンドパスに構成。
3V/DIV
DN252 F03
図3. 同時双方向(全二重)動作時の性能。クロス
トークがノイズとして現れる。アイはわずかに閉じ
ているが、依然として優れた性能を示している。
まだ完全には確定していないことに注意してください。この
ため、設計者がこれらの値にさらに制約を加えることがで
きます。R2-R3分割比は、次式のとおり前述の減衰率の半
分に等しくなるよう設定する必要があります。
R3/R2 = 1/2 • 0.09761
すでに、
(必要な120Ωが得られるよう、RO、R1、および
R2+R3に入力インピーダンスを割り当てることによって)
R2+R3が2.653kΩとなるように設計しているため、R2は
2529Ω、R3は123.5Ωとなります。R2の最も近い1%値は
2.55kΩであり、R3は124Ωです。
矩形波および正弦波出力の1MHz直列共振形水晶発振器
図4に、古典的な1MHz直列共振形水晶発振器を示します。
直列共振の場合、水晶は低インピーダンスであり、正帰還
接続によって直列共振周波数で発振が生じます。他の経路
周辺のRC帰還により、回路が安定したDC動作点を見つる
ことができず発振を起こすことがないようにしています。
コンパレータ出力は1MHzの矩形波
(図5の上側のトレース)
であり、5V電源で測定されたジッタは28psRMS、3V電源
では40psRMSです。コンパレータのピン2(水晶の反対側)
では、小さな高周波数グリッチがあることを除けばきれい
データシートのダウンロード
http://www.linear-tech.co.jp/ds/j1711i.htmlおよび/ds/j1712i.html
http://www.linear-tech.co.jp/ds/j1713i.htmlおよび/ds/j1714i.html
1V/DIV
1V/DIV
200ns/DIV
DN252 F05
図5. VS=3Vでの発振器の波形。上側はコンパレータ出
力。中央は、水晶からLT1713のピン2への帰還
(グリッ
チに着目)
。下側はLT1806によってバッファされ、反
転され、Q=5でバンドパス・フィルタされた波形。
な正弦波となっています(図5の中央のトレース)。このグ
リッチは、コンパレータ出力の高速エッジが水晶の容量を
通してフィードバックされるために発生します。正弦波の
振幅の安定性は、正弦波が基本的には矩形波をフィルタし
た信号であるという事実に基づいて維持されます。した
がって、正弦波発振器に伴う通常の振幅制御ループは必要
2 正弦波は、高速・低ノイズLT1806オペアン
ありません。
プによってフィルタされ、バッファされます。グリッチを
除去するには、LT1806を、Qが5、ユニティゲインの中心
周波数が1MHzのバンドパス・フィルタとして構成します
(バンドパス・フィルタの出力を図5の下側のトレースに示
します)。第2高調波で測定された歪みは−70dBcで、第3
高調波では−55dBcでした。
1 R2+R3には、実装値の2.55kΩ+124Ω=2.674kΩではなく、設計値の
2.653kΩを使用。
2 振幅はコンパレータ出力振幅の線形関数となり、コンパレータ出力振幅
は電源に依存するため調整が可能。ここでの重要な違いは、振幅の安定化ま
たは制御ループの追加を行っても、非発振対クリッピングの領域を回避する
従来の作業は必要ないことである。
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