NJW4108 リチウムイオン電池充電制御 IC (タイマー内蔵) ■概 要 NJW4108 は、1cell/2cell のリチウムイオン電池に対応した、 リチウムイオン電池充電制御 IC です。充電電流を任意に設定で きるため、電池容量に対して最適な充電が可能です。 また安全機能として、過電圧、過放電電池、温度検出、充電 オーバータイマーを設けており、アダプターなどの充電機能を 組み込む用途に最適です。 ■外 形 NJW4108V ■特 徴 ●電池電圧の任意設定 ●予備/急速充電電流の任意設定 ●温度検出の任意設定 ●充電オーバータイマー ●再充電機能内蔵 ●誤動作防止遅延回路内蔵 ●過放電電池対応(低電圧検出) ●過電圧保護機能 ●Bi-CMOS 構造 ●外形 NJW4108V : SSOP20 ■ピン配置 P-CHG 1 20 Q-CHG NFB 2 19 CS1 CNT 3 18 CS2 GND 4 17 VS NC 5 16 VREF F-CHG 6 15 V+ LED-G 7 14 TDET LED-R 8 13 TH C1 9 12 TL C2 10 11 CHG-SW NJW4108V Ver.2013-02-12 -1- NJW4108 ■絶対最大定格 (Ta=25°C) 項 目 記 号 電源電圧 C1 端子印加電圧 C2 端子印加電圧 TDET 端子印加電圧 CNT 端子電流 LED-G 端子電流 LED-R 端子電流 消費電力 動作温度範囲 保存温度範囲 定 + V VC1 VC2 VTDET 格 単 位 +15 +5 +5 +5 50 20 20 SSOP20 :300 -20∼+85 -40∼+125 ISINK-CNT ISINK-G ISINK-R PD Topr Tstg V V V V mA mA mA mW °C °C ■電気的特性 (V+=5V, Ta=25℃) 項 目 総合特性 動作電圧範囲 消費電流 記 号 VOP ICC 条 CHG-SW: OPEN 低電圧誤動作防止回路部 ON スレッシホールド電圧 OFF スレッシホールド電圧 ヒステリシス幅 VT-ON VT-OFF VHYS 基準電圧部 基準電圧 ロードレギュレーション VREF ⊿VREF IREF=0mA IREF=0mA∼1mA 急速充電検出電圧 VQ-CHG VS: L→H 再充電検出電圧 VR-CHG VS: H→L 過電圧検出電圧 VOV VS: L→H 件 最小 標準 最大 単位 − − − 2 14 3 V mA 2.2 2.0 100 2.4 2.2 200 2.6 2.4 300 V V mV 1.228 − 1.24 − 1.253 10 V mV 電圧検出部 充電制御部基準電圧 VS 端子入力電流 電池セット検出電圧 低電圧検出(2mA 充電)部 充電電流 低電圧検出電圧 -2- VREF-CV IVS VT-TDET ICHG1 VLV VS 端子 VS=4.2V TDET 端子 VS=1V VS: L→H VBAT VBAT VBAT x 0.71 x 0.73 x 0.75 VBAT VBAT VBAT x 0.94 x 0.95 x 0.96 VBAT VBAT VBAT x 1.015 x 1.025 x 1.035 4.17 4.2 4.23 − 50 500 − − 1.15 1 2 3 VBAT VBAT VBAT x 0.455 x 0.475 x 0.495 V V V V nA V mA V Ver.2013-02-12 NJW4108 ■電気的特性 (V+=5V, Ta=25℃) 項 目 電流検出部 予備/急速充電部電圧増幅率 満充電部電圧増幅率 F-CHG 端子入力電圧範囲 CS1 端子入力電流 CS2 端子入力電流 記 号 AV1 AV2 VF-CHG ICS1 ICS2 条 件 CS1=3.8V, CS2=3.6V CS2=VS=4.2V, VF-CHG=96mV CS2=VS=4.2V CS1=4.2V CS2=4.2V 最小 標準 最大 単位 11.5 15.5 48 − − 12 18 − 10 10 12.5 21 − 500 500 dB dB mV nA nA − − 0.2 − 0.5 1 V µA 0.512 1.024 2.048 ms 出力端子部 CNT 端子飽和電圧 CNT 端子リーク電流 VOL-CNT ILEAK-CNT I SINK=20mA V+=14V 温度検出部 温度異常時表示周期 TBLINK-G VTL>VTDET, VTDET<VTH ,T=4µs LED 駆動部 LED-G 端子飽和電圧 LED-G 端子リーク電流 LED-R 端子飽和電圧 LED-R 端子リーク電流 VOL-G ILEAK-G VOL-R ILEAK-R I SINK=10mA V+=14V I SINK=10mA V+=14V − − − − 0.2 − 0.2 − 0.5 1 0.5 1 V µA V µA タイマー回路部 OSC1 タイマー誤差時間 ⊿T1 -10 − +10 % OSC2 タイマー誤差時間 ⊿T2 C1=C2=0.01µF 接続時 外付けバラつきは含まず -10 − +10 % − 1 300 − − 500 0.25 − 700 V V kΩ CHG-SW 回路部 ON スレッシホールド電圧 OFF スレッシホールド電圧 プルアップ抵抗 Ver.2013-02-12 VSW-ON VSW-OFF RPULL-UP -3- NJW4108 ■アプリケーション回路例 入力 VREF CS2 RP1 RQ1 RP2 RQ2 + NFB Q-CHG 予備充電電流設定 P-CHG VREF 基準電圧 1 1.24V VREF1 基準電圧 2 4.2V VREF2 急速充電電流設定 V CNT 12dB CS1 Rcs CS2 CVCC-ON RB1 CVCC-ON CVCC-ON Charge ON/OFF CS1 端子 2mA Charge 6dB 満充電検出 急速充電検出 再充電検出 Battery Voltage Detection CLK C1 C2 OSC 1 予備充電 タイマー 過電圧検出 Start/Stop 急速充電 タイマー VREF RF1 VBAT x 0.73 RF2 VBAT x 0.95 VREF VBAT x 1.025 Time Out 低電圧検出 OSC 2 RB1:ショート RB2:オープン RB2 F-CHG Quick/ Pre-Charge GND 1セルの場合は、 VS VREF2 Start/Stop Time Out VBAT x 0.475 TDET 低温検出 Temp. Detection TH 高温検出 LED-G LED-G LED-R LED-R TL Charge -ON + 電池セット検出 V 制御 ロジック RPULL-UP 低電圧誤動作 防止回路 + V Lithium Ion Battery GND CHG-SW -4- Ver.2013-02-12 NJW4108 ■端子説明 端子番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 端子名称 P-CHG NFB CNT GND NC F-CHG LED-G LED-R C1 C2 CHG-SW TL TH TDET V+ VREF VS CS2 CS1 Q-CHG 機能 予備充電電流設定 定電流制御用位相補償端子 充電制御用出力端子(外付け PNP のベース) 接地 満充電電流設定 LED 駆動 LED 駆動 予備充電タイマー、2mA 充電タイマー、LED 点滅周期、遅延時間設定 急速充電タイマー設定 充電 ON/OFF 制御 電池温度(高温側)設定 電池温度(低温側)設定 電池温度検出、電池セット検出 電源入力 基準電圧出力 電池電圧検出 充電電流検出 2 充電電流検出 1 急速充電電流設定 ■充電電圧 / 電流用抵抗設定資料 項目 計算式 計算例 充電制御電圧 RB1 + RB2 x VREF-CV (4.2V) VBAT = RB2 4.2V 8.4V 低電圧検出電圧 急速充電開始電圧 再充電検出電圧 過電圧検出電圧 VLV = VBAT x 0.475 VQ-CHG = VBAT x 0.73 VR-CHG = VBAT x 0.95 VOV = VBAT x 1.025 2.00V 3.07V 3.99V 4.305V 3.99V 6.13V 7.98V 8.61V 予備充電電流 急速充電電流 満充電電流 Ver.2013-02-12 RP2 x VREF (1.24V) / 4) / RCS RP1 + RP2 (at. RP1:232kΩ, RP2:16kΩ, RCS=0.2Ω) RQ2 x VREF (1.24V) / 4) / RCS IQ-CHG = ( RQ1 + RQ2 (at. RQ1:128kΩ, RQ2:120kΩ, RCS=0.2Ω) RF2 x VREF (1.24V) / 8) / RCS IF-CHG = ( RF1 + RF2 (at. RF1:114.4kΩ, RF2:9.6kΩ, RCS=0.2Ω) IP-CHG = ( 100mA 750mA 60mA -5- NJW4108 ■特性例 充電制御部基準電圧温度特性例 基準電圧温度特性例 (V =5V, VS端子) 4.26 4.24 REF =0mA) 1.245 4.22 4.2 4.18 4.16 4.14 -50 -25 0 25 50 75 o 周囲温度 Ta ( C) 1.24 1.235 1.23 1.225 1.22 -50 100 125 予備/急速充電部電圧増幅率温度特性例 スレッシホールド電圧 12.2 12 11.8 11.6 -25 0 25 50 75 o 周囲温度 Ta ( C) 0 25 50 75 o 周囲温度 Ta ( C) 100 125 温度特性例 (V+=5V) 0.8 12.4 11.4 -50 -25 CHG-SW回路部スレッシホールド電圧 (V+=5V, CS1=3.8V, CS2=3.6V) (V) 12.6 予備/急速充電部電圧増幅率 AV1 (dB) (V+=5V, I 1.25 基準電圧 VREF (V) 充電制御部基準電圧 VREF-CV (V) + 100 125 0.7 VSW_OFF 0.6 0.5 0.4 VSW_ON 0.3 0.2 -50 -25 0 25 50 75 周囲温度 Ta (oC) 100 125 消費電流温度特性例 + 3 (V =5V, CHG-SW:OPEN) 消費電流 ICC (mA) 2.5 2 1.5 1 0.5 0 -50 -6- -25 0 25 50 75 周囲温度 Ta (oC) 100 125 Ver.2013-02-12 NJW4108 ■特性例 LED端子飽和電圧対シンク電流特性 CNT端子飽和電圧対シンク電流特性 (V =5V, Ta=25 C) 0.5 0.4 0.4 飽和電圧 VOL (V) 飽和電圧 VOL-CNT (V) 0.5 (V+=5V, Ta=25oC) o + 0.3 0.2 0.1 0.3 0.2 LED-R 0.1 LED-G 0 0 10 20 30 40 シンク電流 ISINK (mA) 0 50 0 5 10 15 シンク電流 ISINK (mA) 発振周期温度特性例 発振周期対コンデンサ容量特性 + 10 1 0.001 0.01 コンデンサ容量 C1, C2 (µF) Ver.2013-02-12 (V+=5V, C1=C2=0.01µF) 14 発振周期 OSC1, OSC2 (ms) 発振周期 OSC1, OSC2 (ms) o (V =5V, Ta=25 C) 100 20 0.1 13 12 11 10 9 8 7 6 -50 -25 0 25 50 75 o 周囲温度 Ta ( C) 100 125 -7- NJW4108 ■機能説明 1.電圧検出部(VS 端子) VS 端子では、充電電圧、低電圧、過電圧、再充電の判定を行い、常に電池の電圧状態を監視しております。(図1) 1−1.充電電圧(VS 端子) 充電電圧 VBAT は VS 端子の外付け抵抗 RB1、RB2 によ り、次式で設定できます。 VBAT = RB1 + RB2 x VREF-CV (4.2V) RB2 ここで1セルの場合 RB1=ショート・RB2=オープン、 2セルの場合にはRB1=RB2 となるように設定すること で、両アプリケーションに容易に対応が可能です。 抵抗値を大きくすると VS 端子のバイアス電流によっ て誤差が発生するため、抵抗値はなるべく小さく設定 します。 充電電圧制御 アンプ RB1 OR 回路へ VS VREF2 CVCC-ON RB2 制御ロジック 急速充電検出 Battery Voltage Detection 再充電検出 過電圧検出 低電圧検出 1−2.過電圧検出部(VS 端子) 過電圧検出部は、VS 端子の検出電圧が高くなった場 合、充電を停止します。 過電圧検出電圧は、次式で求められます。 VOV=VBAT × 1.025 (typ.) 1セルの場合は、 VBAT x 0.73 RB1:ショート RB2:オープン VBAT x 0.95 充電出力へ VBAT x 1.025 VBAT x 0.475 図1 電圧検出部構成 過電圧を検出した場合、充電を禁止しLED-Rを点滅させます。その後、電池電圧が低下し正常な電圧値となった後も、 充電禁止は維持されます。電源遮断によるUVLO解除、電池セット検出、CHG-SW 端子切り替えのいずれかにより 充電シーケンスの再スタートができます。 1−3.低電圧検出(2mA 充電)部(VS 端子、CS1 端子) 低電圧検出部は過放電電池や、電池の保護回路動作な どによるオープン電池を検出します。これにより予備 充電の前に、2mA 充電の判定を行います。 2mA 充電電流 低電圧検出電圧は、次式で求められます。 VLV=VBAT × 0.475 (typ.) 充電電流 制御アンプへ 12dB CS1 Rcs 2mA 充電 CS2 2mA 充電中は、CS1 端子から 2mA の定電流が出力す ると同時に、電池電圧の復帰を監視します。 (図2) タイマーによる一定時間で電圧が復帰しない場合は 2mA充電を禁止します。電源遮断によるUVLO解除、 電池セット検出、CHG-SW 端子切り替えのいずれか により充電シーケンスの再スタートができます。 低電圧検出 制御ロジック V BAT x 0.475 RB1 VS RB2 充電出力へ 図2 2mA充電部 1−4.再充電検出(VS 端子) 充電完了後の電池を長時間放置すると、自己放電により電池電圧が低下します。再充電検出部は電圧低下を検出し、 電池を再充電します。 再充電検出電圧は、次式で求められます。 VR-CHG=VBAT × 0.95 (typ.) -8- Ver.2013-02-12 NJW4108 ■機能説明(続き) 2.電流検出部(CS1 端子、CS2 端子) 電流検出抵抗 RCS を CS1 端子、CS2 端子間に挿入し、電池の充電電流を監視します。 CS1 端子、CS2 端子間の入力電圧は、電流検出用の 12dB アンプで増幅され、充電電流制御アンプへフィードバック されます。(図3) 2−1.予備充電電流、急速充電電流(P-CHG 端子、Q-CHG 端子) VS 端子より入力された電池電圧 VBAT のレベルにより、予備充電電流、急速充電電流を切り替えて充電します。 VBAT × 0.475 ∼ VBAT×0.73 VBAT×0.73 ∼ VBAT までの間・・・予備充電制御 までの間・・・急速充電制御 予備充電、急速充電電流値は、P-CHG 端子、Q-CHG 端子の電圧設定により決定します。 設定は次式により行います。 VREF CS2 RP2 x VREF (1.24V) / 4) / RCS RP1 + RP2 NFB 急速充電電流値 IQ-CHG = ( RQ2 x VREF (1.24V) / 4) / RCS RQ1 + RQ2 充電電流制御 アンプ RP2 RQ2 P-CHG Q-CHG 急速充電電流設定 IP-CHG = ( RQ1 予備充電電流設定 予備充電電流値 RP1 12dB OR 回路へ 2−2.満充電検出(F-CHG 端子) 充電の終了は、設定された満充電電流 IF-CHG に よって決まり、 F-CHG 端子の電圧設定により決 定します。 RF2 IF-CHG = ( x VREF (1.24V) / 8) / RCS RF1 + RF2 充電が終了すると LED-G を点灯し、再充電検 出動作へシーケンスが移行します。 CVCC-ON 充電電圧制御 アンプへ 予備/急速充電電流 切り替え CS1 Rcs CS2 RB1 VS RB2 Quick/ Pre-Charge F-CHG 満充電検出 6dB VREF RF1 急速充電検出 VBAT x 0.73 制御ロジック RF2 充電出力へ 図3 予備/急速充電制御部と満充電検出部 Ver.2013-02-12 -9- NJW4108 ■機能説明(続き) 3.充電制御出力部(CNT 端子) 電池充電に必要な電圧、電流制御を CNT 端子に接続される PNP トランジスタで行っています。 CHG-SW 端子、電池セット検出の両方が ON することで充電制御モードへ移行し、電池電圧、温度状況が適正な場 合、充電が開始します。2mA 充電時は、外付けの PNP トランジスタが OFF 状態になります。 4.温度検出部、電池セット検出部(TDET 端子、TH 端子、TL 端子) 充電温度範囲を、高温側は TL 端子、低温側は TH 端子で設定します。 温度検出用コンパレータのしきい値電圧を、外付け抵抗 RTHL, RTH, RTL で設定するため、サーミスタ(NTC)の種類 や充電温度範囲を任意で選べます。 (図 4) TDET 端子の電圧変化に対し TL 端子、TH 端子は、次の電位状態になるように設定します。 VTL(高温側)< 充電温度 < VTH(低温側) 各端子の電圧は、次式で求まります。 VREF TDET 端子(サーミスタ設定) VTDET = RT × VREF(1.24 V ) RTDET + RT Temp. Detection RTH + RTL × VREF(1.24 V ) RTHL + RTH + RTL RTDET RTHL TH 高温検出 TH 端子(低温側設定) VTH = TDET 低温検出 TL Charge -ON RTH RTL RT 電池セット検出 VT-TDET=1.15V TL 端子(高温側設定) VTL = R THL R TL × VREF(1.24 V ) + R TH + R TL CHG-SW へ UVLO へ Lithium Ion Battery 図4 温度検出部 温度検出が設定値より外れた場合、充電を停止し LED-G を遅い点滅、LED-R を消灯します。温度復帰後は、電池の 電圧状態にあわせて充電を再開します。 また TDET 端子は、電池セット検出機能を兼ねております。 電池セット検出機能は、TDET 端子電圧が 1.15V(typ.)以下で電池接続と判断し、充電を開始します。 - 10 - Ver.2013-02-12 NJW4108 ■機能説明(続き) 5.遅延回路部(各検出部) 各検出部は、ノイズや過渡的信号による誤動作を防止するために、遅延回路や付加機能を設けています。 表1 各検出部の遅延回路と付加機能 検出部 遅延回路 低電圧誤動作防止回路 CHG-SW 電池セット検出 温度検出 遅延Ⅰ 満充電検出 再充電検出 低電圧検出 過電圧検出 急速充電検出 遅延Ⅱ 付加機能 ヒステリシス ヒステリシス ヒステリシス ヒステリシス – – ヒステリシス ラッチ ヒステリシス 遅延回路部は、タイマー回路の信号を受け、遅延時間を決めています。 遅延時間とコンデンサの関係は、 「6.タイマー回路部」を参照にしてください。 6.タイマー回路部(C1 端子、C2 端子) OSC1 は、予備充電、2mA 充電などのタイマーに使われ、OSC2 は急速充電タイマーとなっています。外付けのコン デンサで、タイマー時間を変えることができます。コンデンサの容量と時間の関係を表2、3に示します。 表2 C1, C2 発振周期 t 一覧表 コンデンサ (C1 , C2) 発振周期 (OSC1 , OSC2) 4700pF t = 4.7ms t = 10ms 0.01µF t = 22ms 0.022µF t = 47ms 0.047µF 表3 各タイマーの時間 ブロック名 予備充電タイマー 急速充電タイマー 項目 2mA 充電タイマー 予備充電タイマー LED R 点滅周期 (タイムアウト、過電圧) LED G 点滅周期 (温度異常) 遅延Ⅰ 遅延Ⅱ 急速充電タイマー 計算式 t×210 t×217 計算例 10.2s 22min. t×27 1.28s t×28 2.56s t×25 t×24 t×220 0.32s 0.16s 2hours 55 min. C1=0.01µF C2=0.01µF OSC 部のコンデンサは温度特性の良いものを使用してください。 コンデンサのバラつきがタイマー誤差になります。 Ver.2013-02-12 - 11 - NJW4108 ■機能説明(続き) 各充電モードにおいてオーバータイマーとなった場合、充電を禁止させ LED-R を点滅させます。電源遮断による UVLO 解除、電池セット検出、CHG-SW 端子切り替えのいずれかにより充電シーケンスの再スタートができます。 NJW4108 は、 タイマーブロックのファンクション試験時間を1/150,000 に短縮するテストモードを内蔵しています。 テストモードで動作させるには TH 端子の電圧を、TL 端子の電圧以下に設定します。テストモードでは内部タイマー のクロック周波数が、外部のタイミングキャパシタ C1、C2 に関係なくおよそ 200kHz から 300kHz で動作します。 以下に発振周波数が 250kHz 時(4µs 周期)の計算値を示します。 表4 テストモード時の各タイマーの時間 ブロック名 項目 2mA 充電タイマー 予備充電タイマー 予備充電タイマー LED R 点滅周期 遅延Ⅰ 遅延Ⅱ 急速充電タイマー 急速充電タイマー 計算式 t×210 t×217 t×27 t×25 t×24 t×220 計算例 (t =約 4µs) 約 4ms 約 0.5s 約 0.5ms 約 0.13ms 約 64µs 約 4.2s TDET 端子の電圧が約 1.2V 以上で予備/急速充電タイマーは通常動作します。 更に試験時間を短縮したい場合、TDET 端子の電圧設定によりタイマー用のカウンタを半分ずつに分けて動作させる ことができます。TDET 端子の電圧が約 0.3V 以下でカウンタ前半がバイパスされ、約 0.4V を超え 1.1V 未満で、カウ ンタ後半がバイパスされます。 表5 テストモード時の短縮測定モード 項目 計算式 予備充電タイマー t×28 , t×28 急速充電タイマー t×29 , t×210 - 12 - 計算例 (t =約 4µs) 約 1ms , 約 1ms 約 2ms , 約 4ms Ver.2013-02-12 NJW4108 ■機能説明(続き) 7.基準電圧部(VREF 端子) 1.24V と 4.2V の基準電圧を発生しています。VREF 端子からは 1.24V が出力されており、IC 内部の基準電圧だけで はなく、充電電流設定、温度検出設定の基準電圧としても使用します。 VREF 端子へのコンデンサ接続は、お奨めしません。 コンデンサの容量が大きいと基準電圧の起動に時間がかかり、IC 内部のロジック、充電電圧・電流制御回路の起動に 影響を与え、誤動作の原因となります。 8.電源部、低電圧誤動作防止回路(UVLO)部(V+端子、GND 端子) 電源投入や電源遮断時に、IC の誤動作を防ぐ為、低電圧誤動作防止回路が内蔵されています。この回路はチャタリン グ防止のために 200mV のヒステリシス幅を持っています。 電源ラインにノイズが含まれている時や配線の引き回しが長い場合には、必要に応じて IC の V+端子近傍にバイパス コンデンサを挿入してください。 9.LED 部(LED-R 端子、LED-G 端子) 充電状態を2つの LED を用いて表示することができます。(図5) LED 駆動回路はオープンコレクタ出力構成になっております。 そのため抵抗値によって、LED の定電流駆動を容易に設定できます。 LED に流れる電流は次式で設定します。 ILED-G≒(Vcc - VF-LED - VOL-G) / RLED または、 ILED-R≒(Vcc - VF-LED - VOL-R) / RLED 入力 ILED RLED VF-LED LED-G LED-R 図5 LED 駆動回路 Ver.2013-02-12 - 13 - NJW4108 ■充電シーケンス スタート アダプタ電圧 チェック V+>2.4V NO 充電禁止 LED-G: 消灯 LED-R: 消灯 YES 電池セット チェック CHG-SW 端子=GND アダプタ電圧、電池セット、電池電圧は、 充電開始後もチェックされます。 NO YES 電池セット チェック VTDET<1.15V NO YES 電池温度 チェック VTL<VTDET<V TH NO 充電禁止 LED-G: 遅い点滅 LED-R: 消灯 YES 電池電圧 チェック VBAT<VOV 電池温度は、 充電開始後もチェックされます。 NO YES NO 電圧チェック VBAT>VQ-CHG YES 急速充電 タイマースタート 予備充電 タイマースタート LED-G: 消灯 LED-R: 点灯 2mA 充電: ON 急速充電開始 LED-G: 消灯 LED-R: 点灯 YES YES タイムアウト タイムアウト NO NO 電池電圧 チェック VBAT> VLV NO 満充電チェック IBAT<IF-CHG NO YES YES 予備充電開始 2mA 充電: OFF 充電終了 LED-G: 点灯 LED-R: 消灯 YES タイムアウト NO 電圧チェック VBAT<VR-CHG YES NO NO 充電禁止 LED-G: 消灯 LED-R: 点滅 電圧チェック VBAT>VQ-CHG YES 充電禁止後、電源抜き差し、 電池抜き差し、CHG-SW 端子 にて再スタート - 14 - Ver.2013-02-12 NJW4108 ■充電タイミングチャート 充電制御電圧 再充電検出電圧 急速充電検出電圧 電池電圧 0V 予備充電 急速充電 定電圧充電 充電完了 再充電 急速充電電流 充電電流 予備充電電流 満充電電流 CHG-SW OFF ON LED-R OFF ON OFF ON OFF ON OFF LED-G ■保護回路動作時のタイミングチャート 充電タイミングチャート以外に、電池の状態や、周囲環境によって IC 内蔵の保護回路が動作します。 下記に各種保護回路が動作した場合の、タイミングチャートを示します。 ●予備充電タイムアウト 電池電圧 ●急速充電タイムアウト 充電電圧 急速充電検出電圧 電池電圧 0V 0V 急速充電 ← 3h* → 予備充電 ← 22min* → 充電電流 充電電流 満充電検出 Inactive Active Inactive CNT CNT Inactive Active CHG-SW OFF ON CHG-SW OFF ON LED-R OFF ON LED-R OFF ON ON/OFF 1.28s* LED-G *C1=0.01µF 時 Ver.2013-02-12 ON/OFF LED-G OFF Inactive OFF *C2=0.01µF 時 - 15 - NJW4108 ■保護回路動作時のタイミングチャート(続き) ●過放電電池(復帰時) ●過放電電池(異常時) 電池電圧 電池電圧 低電圧 検出電圧 低電圧 検出電圧 0V 予備充電 充電電流 充電電流 2mA 充電 ← 10s* → 2mA 0V 2mA 充電 ← 10s* → 2mA Inactive Active CNT 充電停止 Inactive CNT CHG-SW OFF ON CHG-SW OFF ON LED-R OFF ON LED-R OFF ON ON/OFF 1.28s* OFF LED-G OFF LED-G *C1=0.01µF 時 ●過充電電池 *C1=0.01µF 時 ●温度異常時 過電圧検出 電池電圧 電池電圧 0V 0V 充電電流 充電電流 充電停止 充電停止 Inactive Inactive CNT CNT CHG-SW OFF LED-R OFF ON CHG-SW OFF LED-R ON OFF ON/OFF 1.28s* LED-G OFF LED-G ON/OFF 2.56s* *C1=0.01µF 時 温度検出 - 16 - OFF ON Ver.2013-02-12 NJW4108 ■動作状態一覧表 電池 未接続 消灯 消灯 OFF − − 停止 無視 無視 待機 待機 無視 項 目 LED-G LED-R Tr. 充電電流 充電復帰 タイマー 温度検出 過電圧検出 CHG-SW 電池セット 満充電検出 急速 充電 消灯 点灯 ON Q-CHG − 動作 動作 動作 動作 動作 動作 予備 充電 消灯 点灯 ON P-CHG − 動作 動作 動作 動作 動作 停止 2mA 充電 満充電 消灯 点灯 OFF 2mA − 動作 動作 動作 動作 動作 無視 点灯 消灯 OFF − 再充電 停止 動作 動作 動作 動作 − 温度 異常 遅い点滅 消灯 OFF − 自動 停止 − 動作 再スタート 再スタート 無視 過電圧 異常 消灯 点滅 OFF − ラッチ 停止 動作 − 再スタート 再スタート 無視 タイム アップ 消灯 点滅 OFF − ラッチ − 動作 動作 再スタート 再スタート 無視 無視:検出機能は働いているが、制御に反映されないことを意味します。 ■LED 点灯パターン 項 NJW4100 目 NJW4108 LED-R LED-G LED-R LED-G アダプタ電圧検出時 消灯 消灯 消灯 消灯 充 時 点灯 消灯 点灯 消灯 時 消灯 点灯 消灯 点灯 時 消灯 消灯 消灯 過 電 圧 検 出 時 “点滅” 消灯 “点滅” 消灯 タ イ ム ア ウ ト 時 “点滅” 消灯 “点滅” 消灯 満 温 電 充 度 Ver.2013-02-12 電 異 常 遅い ”点滅” - 17 - NJW4108 ■アプリケーション定数例 ●仕様 入力電圧 充電制御電圧 予備充電電流 急速充電電流 満充電電流 :5V 以上 :4.2V :100mA :750mA :60mA 充電温度範囲 :0℃∼45℃(サーミスタ:10kΩ、B 定数 3435 とした場合) 充電電池 急速充電開始電圧 再充電検出電圧 過電圧検出電圧 :リチウムイオン電池 1cell :3.07V :3.99V :4.305V ●回路例 VIN CIN 47µF Q1 COUT Option RCS 0.2Ω 1/2W SBD BATT+ REB 10kΩ GND RBC 390Ω CNF 1,000pF BATTVREF VREF IC NJW4108 RP1 110kΩ 1 P-CHG RP2 7.5kΩ VREF RR 2.2kΩ RG 910Ω RF1 110kΩ Q-CHG 20 2 NFB CS1 19 3 CNT CS2 18 4 GND VS 17 VREF 16 5 NC RF2 9.1kΩ LED1 Red LED2 Green RQ1 130kΩ 6 F-CHG V+ 15 7 LED-G TDET 14 8 LED-R TH 13 9 C1 TL 12 10 C2 CHG-SW 11 RQ2 120kΩ RB1 0Ω (Short) RB2 Open VIN C 0.1µF SW VREF RTHL 22kΩ RTDET 15kΩ TDET RTH 24kΩ RTL 15kΩ C2 C1 0.01µF 0.01µF Q1 SBD RCS CIN - 18 - :2SA1244 :EC30LA02 :RL1632R-R200-F :MVS16VC47MF46 (東芝) (日本インター) (進工業) (日本ケミコン) Ver.2013-02-12 NJW4108 MEMO <注意事項> このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。また、 工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴 うものではなく、第三者の権利を侵害しない ことを保証するものでもありません。 Ver.2013-02-12 - 19 -