AN 358 :FPGAの熱管理

FPGA の熱管理
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には、最新の英語版で内容をご確認ください。
2009 年 12 月
AN-358-2.0
概要
IC のプロセスの微細化および FPGA の集積度の向上につれて、消費電力の管理が重要に
なってきています。設計者は、市場が要求するすべての機能を低消費電力でどのように提
供するかという問題を抱えています。多くの FPGA デザインでは、電力は 3 番目または 4
番目に重要な問題とされてきましたが、今日の 90 nm 以下のデザインではとても重要な検
討事項です。デバイスの消費電力が増加するにつれて、発生する熱も増加します。この熱
を放逸させ、動作温度を最適な範囲内に維持する必要があります。
アルテラのデバイス・パッケージは、熱抵抗を最小限に抑えて最大の許容損失が得られる
ように設計されています。ただし、アプリケーションによってはさらに多く電力を放逸す
るものもあり、このようなアプリケーションにはヒート・シンクなどの外部熱対策が必要
です。このアプリケーション・ノートでは、熱伝導能力の管理についてガイドを提供しま
す。
熱放逸
デバイスから熱を放逸させる方法には、放射、伝導、および対流の 3 つがあります。PCB
デザインでは、ヒート・シンクを使用して熱放逸を改善しています。ヒート・シンクの熱
エネルギー伝送能力は、ヒート・シンクと周囲空気間の熱抵抗が小さいことに起因します。
熱抵抗は物質の熱放逸能力の尺度であり、熱放逸能力とは熱を異種媒体間の境界を越えて
伝達する能力のことです。表面積が大きく空気循環の良好なヒート・シンクから最良の熱
放逸が得られます。
ヒート・シンクは、デバイスの温度を規定推奨動作温度以下に維持するのに役立ちます。
ヒート・シンクを使用すると、デバイスからの熱がジャンクションからケースに、ケース
からヒート・シンクに流れ、最後にヒート・シンクから周囲に放出されます。目標は熱抵
抗を低減することです。設計者は熱回路モデルと計算式を使用して熱抵抗を算出すること
によって、デバイスの温度管理にヒート・シンクが必要かどうかを判断することができま
す。これらの熱回路モデルは、オームの法則を使用した抵抗回路に類似しています。
図 1 に、ヒート・シンク付きデバイスとヒート・シンクなしデバイスの熱回路モデル、お
よびパッケージの上部を通る熱伝導パスも示します。
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FPGAの熱管理
熱放逸
図 1. 熱回路モデル
電力
電力
熱源
熱源
ヒート・シンクなし
ヒート・シンク付き
表 1 は熱回路のパラメータを定義します。デバイスの熱抵抗は、図 1 に示す熱回路
モデルから算出された熱抵抗値の合計によって決まります。
表 1. 熱回路のパラメータ
パラメータ
名称
単位
JA
接合部から周囲空気まで
の熱抵抗
°C/W
JC
接合部からケースまでの
熱抵抗
°C/W
CS
ケースからヒート・シン
クまでの熱抵抗
°C/W
CA
ケースから周囲空気まで
の熱抵抗
°C/W
SA
ヒート・シンクから周囲
空気までの熱抵抗
°C/W
ヒート・シンク・メーカ
によって規定
°C
デバイスの推奨動作条件
に基づいて規定された接
合温度
°C
デバイスの推奨動作条件
に基づいて規定された最
大接合温度
°C
コンポーネント周辺の局
所周囲空気の温度
TJ
接合温度
TJMAX
最大接合温度
TA
周囲温度
TS
ヒート・シンクの温度
°C
TC
デバイス・ケースの温度
°C
P
W
消費電力
2
説明
データ・シートに規定
データ・シートに規定
サーマル・インタフェー
ス・マテリアルの熱抵抗
動作しているデバイスの
合計消費電力。この見積
り値を使用して、ヒー
ト・シンクを選択する。
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FPGA の熱管理
熱抵抗
表 2 に、ヒート・シンク付きデバイスとヒート・シンクなしデバイスの熱抵抗計算
式を示します。
表 2. デバイスの熱計算式
デバイス
計算式
ヒート・シンクなし
JA = JC + CA = (TJ – TA) / P
ヒート・シンク付き
JA = JC + CS + SA = (TJ – TA) / P
熱抵抗
かつては有限要素モデルを使用してパッケージされたデバイスの熱抵抗を予測して
いました。以下のリストに、このモデルを簡単に説明します。
■
三次元的
■
対称性のあるため、パッケージの 1/4 をモデルにする
■
ダイの活性表面に熱流束を均一に分布させる
■
複合材料に均一な熱伝導率を使用する
■
実験式を用いて、露出した外部表面に熱伝導係数を割り当てます。
モデリングによって得られた値は、アルテラ・ウェブサイト (www.altera.com) で提
供される熱抵抗値にほぼ一致します。図 2 に、モデリングと実際測定値の相関関係
を示します。平均差は 10%未満であり、JEDEC JESD51-X シリーズ基準
(www.JEDEC.org) に準拠します。
図 2. モデルによる予測値 Vs 実際測定値
25
実際値(°C/W)
20
15
θJA モデリング VS 実際値
理想値
実際値
10
5
0
0
5
10
15
20
25
モデリング (°C/W)
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3
FPGAの熱管理
プリント基板について
プリント基板について
応用の条件(例えば、ボードのサイズおよび構造)は JEDEC 規格と異なる可能性が
あります。したがって、アルテラでは、熱に厳しい実条件に基づいて熱抵抗の評価
を行うことを推奨しています。表 3 に、実際の応用におけるボードの例を示します。
このボードは JESD51-9 規格で規定された JEDEC 2s2p テスト・ボードと異なる特
性を持っています。
表 3. 実際の応用におけるボード・パラメータ
体積(mm)
200 × 200 × 1.6
レイヤ数
10
レイヤの厚さおよび銅 (Cu) の被覆率
25 µm 、50%
図 3 には、ボードの違いが熱抵抗に大きな影響を与えることを示します。JEDEC
2s2P ボードを使用する場合、672 ピン FineLine BGA® パッケージ内の EP2S15 デバ
イスは静止空気において 12.2 °C/W の JA を持っています。表 3 で説明するボード
例を使用すると、JA は静止空気において 8.6 °C/W となります。大きいボード・サ
イズおよび増加したレイヤによって、より小さい JA が得られます。
図 3. ボードの違いによる熱抵抗に対する影響
14
12
10
8
672ピンFineLine BGA
パッケージの
デバイスの熱抵抗 θJA °C/W 6
4
2
0
JEDEC 2s2pのボード
実際のボード
ヒート・シンク使用の判断
以下の計算式を使用して接合温度を算出することにより、ヒートシンクの必要性を
判断することができます。
TJ = TA + P × JA
算出された接合温度(TJ)が規定最大許容接合温度(TJmax)を超える場合に、ヒー
ト・シンクが必要です。
次の 2 つの式を使用してヒート・シンクを選択します。
JA = JC + CS + SA = (TJ – TA) / P
SA = (TJmax – TA) / P – JC – CS
ページ 2 の表 1 に、これらの式に使用される用語を定義します。
4
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FPGA の熱管理
ヒート・シンクの評価
ヒート・シンクの必要性の判断例
以下の手順は、ヒート・シンクが必要かどうかを判断するために使用できる方法を
示します。表 4 に、動作条件をリストします。
表 4. 動作条件
パラメータ
値
電力
20 W
最大 TA
50 °C
最大 TJ
85 °C
空気流量
400 feet/ 分
空気流量を 400 feet/ 分とした場合の JA
4.7 °C/W
JC
0.13 °C/W
1. 5 ページでの接合温度計算式を使用して、記載された動作条件での接合温度を計
算します。
TJ = TA + P × JA = 50 + 20 × 4.7 = 144 °C
接合温度 144 °C は規定最大接合温度 85 °C より高いため、ヒート・シンクが
必要です。
2. 5 ページでのヒート・シンクから周囲空気までの計算式および 0.1 °C/W の CS
(これは、選択された熱インターフェイス・マテリアルのデータシートに述べた
ように、熱抵抗の評価)を使用して、所要のヒート・シンクから周囲空気までの
熱抵抗を計算します。
SA = (TJmax – TA) / P – JC – CS = (85 – 50) / 20 – 0.13 – 0.1 =
1.52 °C/W
3. 熱抵抗要求値 1.52 °C/W に適合するヒート・シンクを選択します。ヒート・シ
ンクは物理的にもアプリケーションに適合するものでなければなりません。
ヒート・シンクを選択するには、アルテラはサプライヤ数社のヒート・シンクを
検討します。この例には Alpha Novatech 製ヒート・シンク(Z40-12.7B)を使
用しています。
400 feet / 分の空気流量での Z40-12.7B の熱抵抗は 1.35 °C/W です。したがっ
て、熱要件は要求値 1.52 °C/W 未満なので、このヒート・シンクは有効である
と考えられます。
このヒート・シンクを使用して、
TJ = TA + P × JA = TA + P × (JC + CS + SA) = 50 + 20 × (0.13 + 0.1
+ 1.35) = 81.6 °C
81.6 °C は指定された最高接合温度 85 °C より低いです。
ヒート・シンクの評価
ヒート・シンク・サプライヤから提供されるヒート・シンクの熱抵抗値が正確であ
ることが、適切なヒート・シンクを選択する際に重要です。有限要素モデルと実測
値の両方を使用して、サプライヤのデータが正確かどうかを検証しています。
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FPGAの熱管理
ヒート・シンクの評価
有限要素モデル
有限要素モデルは、ヒート・シンクをパッケージに含むアプリケーション例を示し
ます。
アルテラは、4 つのアルテラのデバイスを使用して、2 つの Alpha Novatech 製
ヒート・シンクについて熱抵抗値をテストしました。表 5 は、モデルで予測した熱
抵抗値と、サプライヤのデータシートから算出された熱抵抗値がほぼ一致すること
を示しています。
表 5. 400 feet/ 分の空気流量での JA
モデリングの JA
(°C/W)
データシートの JA
(°C/W)
1,020 ピン
FineLine BGA パッ
ケージのデバイス
2.6
2.2
Z35-12.7B
1,020 ピン
FineLine BGA パッ
ケージのデバイス
2.3
2.1
Z40-6.3B
1,020 ピン BGA パッ
ケージのデバイス
3.3
3.0
Z40-6.3B
1,020 ピンBGAパッ
ケージのデバイス
3.0
2.8
ヒート・シンク
パッケージ
Z35-12.7B
測定値
熱抵抗は JEDEC Standard JESD51-6 に準拠して測定されます。アルテラは、以下
の Alpha Novatech 製ヒート・シンク UB35-25B、UB35-20B、Z35-12.7B、
Z40-6.3B の熱抵抗値を測定しました。上記ヒート・シンクについて詳しくは、Alpha
Novatech Web サイト (www.alphanovatech.com) をご覧ください。上記ヒート・シン
クには、サーマル・テープ(Chomerics T412)があらかじめ貼付されています。
サーマル・インタフェース・マテリアルの評価は 7 ページの「サーマル・インタ
フェース・マテリアル」に記載されています。
ヒート・シンクを測定するには、表 6 に示すようにアルテラの 4 つのデバイスが使
用されます。表に実測値とサプライヤのデータシートに記載されている熱抵抗値の
間に高い相関性が見られました。
表 6. 400 feet/ 分の空気流量での JA
6
ヒート・シンク
実際の JA (°C/W)
データ・シートの JA
(°C/W)
UB35-25B
2.2
2.2
UB35-20B
2.5
2.4
Z35-12.7B
2.8
2.6
Z40-6.3B
3.8
3.4
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FPGA の熱管理
サーマル・インタフェース・マテリアル
図 4 に、空気流量が JA に与える影響を示します。
図 4. JA に空気流量の影響
10
UB35-25B
UB35-20B
Z35-12.7B
Z40-6.3B
9
8
7
Theta-JA
6
5
4
3
2
1
0
0
100
200
300
400
空気流量 (ft/分)
サーマル・インタフェース・マテリアル
サーマル・インタフェース・マテリアル(TIM)は、ヒート・シンクをパッケージ表
面に取り付けるのに使用される媒体です。TIM は、パッケージからヒート・シンク
まで、最小となる熱抵抗のパスを提供する働きをします。以下では、TIM について
説明します。
グリース
ヒート・シンクをパッケージに接着するのに使用されるグリースは、シリコン・オ
イルまたは炭化水素オイルで、各種充填剤を含有しています。グリースは、各種マ
テリアルのうち最も古くから使用されており、ヒート・シンクを取り付けるのに最
も広く使用されています。表 7 に、グリースを使用することで、長所と短所をリス
トします。
表 7. グリース
長所
熱抵抗が小さい
(0.2 ~
1 C cm2/W)。
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短所
扱いにくく、粘性が高いために塗りにくい。
機械的なクランピングが必要(300 kPa 以内の圧力をかける)。
電源のオン / オフ・サイクルが繰り返されるアプリケーション
では、シリコン・ダイが加熱、冷却されるたびに、ダイとヒー
ト・シンクの間からグリースが押し出される「ポンプアウト」が
起こります。その結果、時間が経過するにつれて熱伝導能力が低
下し、周辺のコンポーネントを汚染するおそれもあります。
7
FPGAの熱管理
伝熱性接着剤
ゲル
ゲルは、最近開発された TIM です。ゲルはグリースと同様に塗布されると、硬化して部分的
に架橋構造になります。このためポンプアウトの問題が解消されます。表 8 に、ゲルを使用
することで、長所と短所をリストします。
表 8. ゲル
長所
短所
熱抵抗が小さい (0.4 ~ 0.8 C cm
2/W)。
機械的なクランピングが必要。
伝熱性接着剤
一般的な伝熱性接着剤は、充填剤を含有し、エポキシまたはシリコン・ベースの調
合物で、優れた接着力を持っています。表 9 に、伝熱性接着剤を使用することで、
長所と短所をリストします。
表 9. 伝熱性接着剤
長所
熱抵抗が小さい (0.15 ~ 1 C cm
短所
2/W)。
再作業ができない。
機械的なクランピングが不要。
熱テープ
熱テープは、ポリイミド・フィルム、ファイバグラス・マット、アルミニウム箔な
どの支持基材上に充填剤入り感圧接着剤(PSA)を塗布してコーティングしたもの
です。表 10 に、熱テープを使用することで、長所と短所をリストします。
表 10. 熱テープ
長所
短所
アセンブリが容易。 熱抵抗が大きい (1 ~ 4 C cm /W)。
2
機械的なクランピ
ングが不要。
一般に、表面が平坦でないパッケージには適しません。
エラストマー・パッド
エラストマー・パッドは、扱いやすい固体状の重合シリコン・ゴムです。パッドの
標準的な厚さは 0.25 mm で、大部分のパッドにはガラス繊維織物が組み込まれてい
て扱いやすくなっています。さらにこのパッドは、グリースと同様に無機充填剤を
含有しています。エラストマー・パッドは、アプリケーションに必要な正確な形状
にダイ・カットされて供給されます。表 11 に、エラストマー・パッドを使用するこ
とで、長所と短所をリストします。
表 11. エラストマー・パッド
長所
短所
アセンブリが容易。 機械的なクランピングが必要。
適切なインタフェースを実現するために、高圧(最大 700 kPa)
が必要です。
熱抵抗が大きい (1 ~ 3 C cm2/W)。
8
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FPGA の熱管理
ヒート・シンクのアタッチメント
相変化物質
相変化物質は、通常 50 ~ 80 °C で融解し、低温熱可塑性接着剤(ワックスが主
流)です。動作温度が融点を超えると、相変化物質は接着剤としての効力を失い、
機械的なサポートが必要になります。このため、相変化物質は常に約 300 kPa を加
圧するクランプと一緒に使用されます。表 12 に、相変化物質を使用することで、長
所と短所をリストします。
表 12. 相変化物質
長所
熱抵抗 (0.3 ~
0.7 C cm2/W)。
短所
機械的なクランピングが必要(300 kPa 以内の圧力をかける)。
再作業が困難
ヒート・シンクのアタッチメント
ヒート・シンクのアタッチメントでは 3 つの基本種類があります。
■
機械のアタッチメント
■
サーマル・エポキシ
■
サーマル・テープ
■
機械のアタッチメントは、グリースまたは相変化物質などのサーマル・イン
タフェース材料を使用する能力と同様に優れた機械的信頼性を提供して、大
幅に低いサーマルのインピーダンスをイネーブルします。
■
困難な再編成で信頼性と安全な接着を作成しますので、サーマル・エポキシ
は、恒久的なアタッチメントの方法と考えられます。エポキシで接続された
ヒート・シンクを削除 / 再編成することができますが、デバイスが損傷する
可能性があります。
■
サーマル・テープは、エポキシより比較的安価で再編成しやすいです。しか
し、テープは低い信頼性および弱いヒート・シンクを提供します。特により
大きいヒート・シンクを使用するときです(それは機械のアタッチメントに
関連して使用されない場合)。
推奨されるヒート・シンクのアタッチメント方法
機械のアタッチメントは、アルテラの FPGA にヒート・シンクをアタッチすること
が強く推奨されます。狭い面積のため、熱伝導性のテープまたはエポキシはの使用
はもう有効なオプションではありません。これは、アルテラの蓋なしのパッケージ
には本当です。
機械のアタッチメントは、次の利点があります。
■
グリースや相変化物質のような高いパフォーマンスのサーマル・インタフェース
材料を使用することができます。
■
再編成はしやすくなります。
共通の機械アタッチメントの方法にはプッシュピン、Z-Clip、および Clip-On が含ま
れています。
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2009 年 12 月
9
FPGAの熱管理
ヒート・シンクのアタッチメント
機械アタッチメントの例
次の図に、機械アタッチメントの方法の例を示しています。
図 5 に、プッシュピン・アタッチメントの方法を示します。
図 5. プッシュピン・アタッチメント
図 6 に Z-Clip アタッチメントの例を示します。
図 6. Z-Clip アタッチメント
図 7 に Clip-On アタッチメントの例を示します。
図 7. Clip-On アタッチメント
10
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2009 年 12 月
FPGA の熱管理
ヒート・シンクのアタッチメント
蓋なしのパッケージ・ベンダはダイ・チッピングを防ぐために圧縮性泡パッドを使
用します。
サブストレート上のチップ・コンデンサーとヒート・シンクの接触の回避方法
ヒート・シンクはコンデンサーがパッケージの表に配置されている状態でヒート・
シンクが電気的短絡を発生するのを防ぐ方法を含める必要があります。
■
1 つの推奨した方法は、ヒート・シンクの上に小さい圧縮性泡パッドを使用する
ことです。これらのパッドは、ヒート・シンクのダイ上でのロッキングまたは傾
斜からを防止します。ヒート・シンクが傾いて、コンデンサーに接触することを
防ぐだけでなく、インストール時にヒート・シンクをやわらげて、ヒート・シン
クがダイの角を欠くか、または割る可能性を防ぎます。これらのパッドは、表面
実装コンポーネントのない表面でチップ・サブストレートに接触するように配置
される必要があります。
■
ヒート・シンクはよく陽極酸化されます(絶縁性の表面)。一部のケースでは、
顧客は EMI/ 接地の理由でむき出し仕上げまたは導電性仕上げを要求します。こ
の場合、パッドか絶縁体の使用は重要です。
■
レールまたは Z- 停止付きのヒート・シンクはチップ・サブストレートに接触する
ように、ヒート・シンクのベースに機械加工されます。レールは傾斜を最小に
し、そしてヒート・シンクがコンデンサーではなく、サブストレートに接触する
ことを確保します。
■
他の適当な方法では、ヒート・シンクのベースで電気的に絶縁されたガスケット
材を使用することが含まれています。もう 1 つの方法は、ヒート・シンクのベー
スにおいてダイとの接触を許すのにセンター切抜きのある絶縁体シートを使用す
ることです。
また、ヒート・シンク・サプライヤーと連携して、ヒート・シンク・アタッチメン
ト用の PCB 上のホールまたはスロットに対応するための説明に従いことが強く推奨
されます。ヒート・シンクのベンダのリストについては、13 ページの「ヒート・シ
ンクのベンダ」を参照してください。
パッケージ断面図(蓋なしのパッケージ)
蓋なしのパッケージのヒート・シンク・アタッチメントを設計する際に、サブスト
レートの上のダイおよびデカップリング・コンデンサ(あるデバイスで)のそれぞ
れの高さを考慮する必要があります。図 8 は蓋なしのパッケージの断面図です。
パッケージ情報について詳しくは、「Altera Device Package Information Data
Sheet」を参照してください。
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2009 年 12 月
11
FPGAの熱管理
パッケージ・ロードの仕様
図 8. 蓋なしのパッケージの断面図
パッケージ・ロードの仕様
表 13 に蓋のないパッケージの静荷重の仕様を提供します。ヒート・シンクの組み立
て、出荷の状態、または正常使用の状態には、この機械的な最大負荷限界を超えな
いようにする必要があります。また、機械システムまたはコンポーネントのテスト
では、最大限を超えてはなりません。
熱的および機械的な対策の場合、機械的なリファレンスまたは耐力の表面として
パッケージ・サブストレートを使用してはなりません。ヒート・シンク・クリップ
のプリロード計算にポスト・リフロー・パッケージの高さを使用することができま
す。
表 13. パッケージ・ロードの仕様
パラメータ
Max
説明
スタティック
700 Kpa
(1)、(2)、(3)
表 13 の注 :
(1) これらの仕様はパッケージに垂直な方向での均一の圧縮荷重に適用します。
(2) ヒート・シンク保持クリップから許容される最大ロード。熱伝導のために、ヒート・シンクから
パッケージに十分な力を確保するように、最小ロードも達成される必要があります。
(3) この情報はデザイン特性評価用であり有限なテストに基づいています。 ロードの制限は、パッケー
ジ用のみです。
12
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2009 年 12 月
FPGA の熱管理
ヒート・シンクのベンダ
ヒート・シンクのベンダ
以下はヒート・シンクのベンダのリストです。
■
Alpha Novatech (www.alphanovatech.com)
■
Malico Inc. (www.malico.com.tw)
■
Aavid Thermalloy (www.aavidthermalloy.com)
■
Wakefield Thermal Solutions (www.wakefield.com)
■
Radian Heatsinks (www.radianheatsinks.com)
■
Cool Innovations (www.coolinnovations.com)
■
Heat Technology, Inc. (www.heattechnology.com)
サーマル・インタフェース・マテリアルのベンダ
以下はインタフェース・マテリアルのベンダのリストです。
■
Shin-Etsu MicroSi (www.microsi.com)
■
Lord Corporation (www.lord.com)
■
Laird Technologies (www.lairdtech.com)
■
Chomerics (www.chomerics.com)
■
The Bergquist Company (www.bergquistcompany.com)
結論
90-nm 以下のデバイスは熱抵抗を最小限に抑えて最大の電源分配が得られるように
設計されますが、アプリケーションにはヒート・シンクなどの外部熱対策が要求さ
れる場合があります。このアプリケーション・ノートでは、アプリケーションに熱
要件を決定するために必要な情報を提供します。使用されるプリント基板の特性の
評価、ヒート・シンクの必要性の判断、ヒート・シンクの使用の判断、および最適
なサーマル・インタフェース材料の選択は考慮する必要がある要素です。
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2009 年 12 月
13
FPGA の熱管理
改訂履歴
表 14 に、本資料の改訂履歴を示します。
改訂履歴
表 14. 改訂履歴
日付
2009 年 12 月
バージョン
v2.0
変更内容
■
8-1/2 x 11 ページ・フォーマットに変換。
■ 「ヒート・シンクの必要性の判断例」
、「推奨されるヒート・シンクのア
タッチメント方法」、「機械アタッチメントの例」、「サブストレート上
のチップ・コンデンサーとヒート・シンクの接触の回避方法」、「パッ
ケージ断面図(蓋なしのパッケージ)」、および「パッケージ・ロードの
仕様」を追加。
2007 年 2 月
v1.1
「概要」、「熱抵抗」、および「ヒート・シンクの評価」を更新。
変更履歴を追加。
2004 年 9 月
101 Innovation Drive
San Jose, CA 95134
www.altera.com
Technical Support
www.altera.com/support
v1.0
初版
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