本ドキュメントはCypress (サイプレス) 製品に関する情報が記載されております。 FUJITSU SEMICONDUCTOR DATA SHEET DS04–27204–6 ASSP 電源用 BIPOLAR スイッチングレギュレータコントローラ (2ch,低電圧動作可能,固定利得形式 ) MB3775 ■ 概 要 MB3775 は PWM 方式スイッチングレギュレータ電源のコントロールに必要な基本回路を 2 チャネル有し , それぞれ同 一の発振出力波形により , 完全同期動作が可能なデュアルスイッチングレギュレータコントローラです。 本 IC は , ステップ・ダウン / ステップ・アップ / インバーティングなどの任意の二通りの出力電圧を得ることができます。 また , 消費電流が少なく動作電圧も低いため , 高効率のポータブル機器の電源に最適です。 ■ 特 長 ・ 電源電圧範囲が広い (3.6 V ∼ 18 V) ・ 消費電流が少ない (1.3 mA : 標準 ) ・ 動作発振周波数範囲が広く , 高周波発振が可能 (1 kHz ∼ 500 kHz) ・ タイマ・ラッチ式短絡保護回路内蔵 ・ 低入力電圧時誤動作防止回路内蔵 ・ 1.28 V 基準電圧回路内蔵 ・ 休止期間調整が全デューティ範囲で可能 ・ パッケージは SOP 16 ピンが 1 種類 , SSOP 16 ピンが 1 種類 ■ アプリケーション ・ LCD モニタ / パネル ・ 監視カメラ など Copyright©1989-2010 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED All rights reserved 2010.9 MB3775 ■ 端子配列図 (TOP VIEW) CT 1 16 VREF RT 2 15 SCP +IN1 3 14 -IN1 4 13 +IN2 -IN2 FB1 5 12 FB2 D.T.C.1 6 11 D.T.C.2 OUT1 7 10 E/GND 8 9 OUT2 VCC (FPT-16P-M06) (FPT-16P-M05) ■ 端子機能説明 2 端子番号 端子記号 機能説明 1 CT 発振器のタイミング容量接続端子です。 容量値は 150 pF ∼ 15000 pF の範囲でご使用ください。 2 RT 発振器のタイミング抵抗接続端子です。 抵抗値は 5.1 kΩ ∼ 100 kΩ の範囲でご使用ください。 3 + IN1 誤差増幅器 1 の非反転入力端子です。 4 − IN1 誤差増幅器 1 の反転入力端子です。 5 FB1 6 DTC1 OUT1 の休止期間の設定を行う端子です。 VREF 電圧を外付け抵抗で分圧した電圧を印加して休止期間を設定します。 また , 本端子と GND 間に容量を接続してソフトスタート動作を行わせることも可能です。 7 OUT1 エミッタ共通 GND のオープンコレクタ出力端子です。 出力電流は 50 mA まで流すことができます。 8 E/GND 接地端子です。 9 VCC 10 OUT2 エミッタ共通 GND のオープンコレクタ出力端子です。 出力電流は OUT1 と同様に 50 mA まで流すことができます。 11 DTC2 OUT2 の休止期間の設定を行う端子です。 本端子の使用方法は DTC1 と同じです。 12 FB2 13 − IN2 誤差増幅器 2 の反転入力端子です。 14 + IN2 誤差増幅器 2 の非反転入力端子です。 15 SCP タイマ・ラッチ式短絡保護回路の時定数設定コンデンサ接続端子です。 本端子と GND 間に容量を接続してご使用ください。 詳細な内容は「■機能説明」の「4.タイマ・ラッチ式短絡保護回路部」を参照してください。 16 VREF 1.28 V ( 標準 ) の電圧出力端子で , 1 mA までの負荷電流を取り出すことが可能です。 誤差増幅器の基準入力および休止期間の設定に使用します。 誤差増幅器 1 の出力端子です。 本端子と− IN1 端子間に抵抗および容量を接続してゲイン設定や周波数特性の調整を行います。 電源電圧端子です。 電源電圧は 3.6 V ∼ 18 V の範囲でご使用ください。 誤差増幅器 2 の出力端子です。 本端子と− IN2 端子間に抵抗および容量を接続してゲイン設定や周波数特性の調整を行います。 DS04–27204–6 MB3775 ■ ブロックダイヤグラム 9 16 VREF = 1.28 V 1 VCC 2 1.9 V 基準電圧源 三角波発信器 1.3 V 7 + 2.5 V - Error Amp 1 3 4 5 12 PWM Comp.1 S.C.P.Comp. + + OUT 2 - + + - OUT 1 - 10 PWM Comp.2 1.1 V Error Amp 2 14 13 + - 2.5 V 15 1.28 V 1 µA S R Latch 0.9 V 0.9 V R U.V.L.O. + + D.T.C. Comp. GND - 8 1.8 V 6 DS04–27204–6 11 3 MB3775 ■ 機能説明 1. 基準電圧部 基準電圧部は VCC 端子 (9 ピン ) より供給される電圧により温度補償された基準電圧 ( ≒ 2.5 V ) を発生し , IC 内部回路 の動作電源として使用されます。 また , 外部には VREF 端子 (16 ピン ) より基準電圧の約 1 / 2 の温度補償された電圧を取り出すことができます。 2. 三角波発振器部 CT 端子 (1 ピン ) , RT 端子 (2 ピン ) にそれぞれタイミング用のコンデンサおよび抵抗を接続することにより , 任意な周 波数の三角波発振波形を発生できます。 この波形の振幅は 1.3 V ∼ 1.9 V で , IC 内部の PWM 比較器の非反転入力に接続されるとともに CT 端子 (1 ピン ) より外 部に取り出すことができます。 3. 誤差増幅器部 (Error Amp) 誤差増幅器はスイッチング・レギュレータの出力電圧を検出するための増幅器です。 同相入力電圧範囲が −0.2 V ∼ 1.45 V と広いため基準入力電圧を VREF 端子 (16 ピン ) および GND 端子レベルに設定で き反転 , 非反転増幅器として容易に使用できます。 また , 誤差増幅器の電圧利得も固定な上 , 誤差増幅器の FB 端子 (5 ピン , 12 ピン ) にそれぞれ位相補償用の容量を接続することにより位相補償ができます。 誤差増幅器の出力は , IC 内部の PWM 比較器の反転入力へ接続されると同時に短絡保護回路の検出回路へ接続されてい ます。 4. タイマ・ラッチ式短絡保護回路部 タイマ・ラッチ式短絡保護回路は各々の誤差増幅器の出力レベルを検出し , 双方あるいはどちらか一方の誤差増幅器の 出力レベルが約 1.1 V 以下になるとタイマ回路が動作し , 外付けされたプロテクション・イネーブル用コンデンサを充電し 始めます。 このコンデンサの電圧がトランジスタのベース・エミッタ接合電圧:VBE ( ≒ 0.65 V) に達するまでに誤差増幅器の出力が 正常な電圧範囲に復帰しないとき, ラッチ回路が動作し出力ドライブ・トランジスタをオフすると同時に休止期間を100% にします。 5. 低入力電圧時誤動作防止回路部 (Under Voltage Lock-Out 機能 ) 電源投入時の過渡状態や電源ラインの瞬時低下はコントロール IC の誤動作を誘起し , システムの破壊もしくは劣化を 生じさせます。低入力時誤動作防止回路は電源電圧レベルに従って内部基準電圧レベルを検出し , ラッチ回路をリセット することにより出力ドライブ・トランジスタをオフし休止期間を 100 % にするとともにプロテクション・イネーブル端子 (15 ピン ) を “Low” に保ちます。 6. PWM 比較器部 PWM 比較器は各々二つの反転入力と一つの非反転入力を持つ電圧比較器で , 入力電圧に応じて出力パルスのオン時間 をコントロールする電圧 - パルス幅変換器です。 発振器からの三角波が誤差増幅器出力とデッド・タイム・コントロール端子電圧のいずれよりも高い期間に出力ドライ ブ・トランジスタをオンさせます。 7. 出力ドライブ・トランジスタ 出力ドライブ・トランジスタは 18 V の耐圧を持ったエミッタ共通 GND のオープン・コレクタで出力されており , スイッ チング用パワー・トランジスタのドライブ電流は 50 mA まで流すことができます。 4 DS04–27204–6 MB3775 ■ 絶対最大定格 項目 記号 条件 VCC 誤差増幅器入力電圧 定格値 単位 最小 最大 ⎯ ⎯ 20 V VI ⎯ −0.3 +10 V コレクタ出力電圧 VO ⎯ ⎯ 20 V コレクタ出力電流 IO ⎯ ⎯ 75 mA PD Ta ≦+ 25°C (SOP 品 ) ⎯ 620* mW 許容損失 Ta ≦+ 25°C (SSOP 品 ) ⎯ 430* mW 保存温度 Tstg −55 +125 °C 電源電圧 ⎯ *:4 cm 角の両面エポキシ基板に実装時 <注意事項> 絶対最大定格を超えるストレス ( 電圧 , 電流 , 温度など ) の印加は , 半導体デバイスを破壊する可能性があ ります。したがって , 定格を一項目でも超えることのないようご注意ください。 ■ 推奨動作条件 項目 記号 条件 VCC 誤差増幅器入力電圧 規格値 単位 最小 標準 最大 ⎯ 3.6 6.0 18 V VI ⎯ −0.2 ⎯ +1.45 V コレクタ出力電圧 VO ⎯ ⎯ ⎯ 18 V コレクタ出力電流 IO ⎯ 0.3 ⎯ 50 mA 位相補償容量 CP ⎯ ⎯ 0.1 ⎯ μF タイミング容量 CT ⎯ 150 ⎯ 15000 pF タイミング抵抗 RT ⎯ 5.1 ⎯ 100 kΩ 発振周波数 fOSC ⎯ 1 ⎯ 500 kHz 基準電圧出力電流 IREF ⎯ −3 −1 ⎯ mA 動作周囲温度 Ta ⎯ −30 +25 +85 °C 電源電圧 <注意事項> 推奨動作条件は , 半導体デバイスの正常な動作を保証する条件です。電気的特性の規格値は , すべてこの条 件の範囲内で保証されます。常に推奨動作条件下で使用してください。この条件を超えて使用すると , 信頼 性に悪影響を及ぼすことがあります。 データシートに記載されていない項目 , 使用条件 , 論理の組合せでの使用は , 保証していません。記載され ている以外の条件での使用をお考えの場合は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。 DS04–27204–6 5 MB3775 ■ 電気的特性 (T a = +25 °C, VCC = 6 V) 項目 基 準 電 圧 部 記号 条件 規格値 単位 最小 標準 最大 1.26 1.28 1.30 V 出力電圧 VREF IOR = −1 mA 出力電圧温度変動 VRTC Ta = −30 °C ∼ +85 °C −2 ±0.2 +2 % 入力安定度 Line VCC = 3.6 V ∼ 18 V ⎯ 2 10 mV 負荷安定度 Load IOR = −0.1 mA ∼ −1 mA ⎯ 1 7.5 mV 短絡時出力電流 IOS VREF = 0 V ⎯ −30 −10 mA 誤低 動 入 スレッショルド電圧 作力 入電 力圧 回 時 ヒステリシス幅 路 リセット電圧 (VCC) 部 VtH IOR = −0.1 mA ⎯ 2.72 ⎯ V VtL IOR = −0.1 mA ⎯ 2.60 ⎯ V VHYS IOR = −0.1 mA 80 120 ⎯ mV 保 護 回 路 部 三 角 波 発 振 器 部 休 止 期 間 調 整 回 路 部 VR ⎯ 1.5 1.9 ⎯ V 入力スレッショルド電圧 VtPC ⎯ 0.60 0.65 0.70 V 入力スタンバイ電圧 VSTB プルアップなし ⎯ 50 100 mV 入力ラッチ電圧 VI プルアップなし ⎯ 50 100 mV 入力ソース電流 Ibpc ⎯ −1.4 −1.0 −0.6 μA 比較器スレッショルド 電圧 VtC 5 ピン , 12 ピン ⎯ 1.1 ⎯ V 発振周波数 fOSC CT = 330 pF, RT = 15 kΩ ⎯ 200 ⎯ kHz 周波数設定バラツキ fdev CT = 330 pF, RT = 15 kΩ ⎯ 10 ⎯ % 周波数変動 (VCC) fdV VCC = 3.6 V ∼ 18 V ⎯ 1 ⎯ % 周波数変動 (Ta) fdT Ta = −30 °C ∼ +85 °C −4 ⎯ +4 % 入力スレッショルド電圧 (fOSC = 10 kHz) Vt0 デューティサイクル = 0 % ⎯ 1.0 VREF − 0.15 V Vt100 デューティサイクル = 100 % 0.2 0.4 ⎯ V 入力バイアス電流 Ibdt ⎯ ⎯ −0.2 −1 μA ラッチ・モード・ソース 電流 Idt Vdt = 0.7 V ⎯ −150 −80 μA ラッチ入力電圧 Vdt Idt = −40 μA VREF − 0.1 ⎯ ⎯ V (続く) 6 DS04–27204–6 MB3775 (続き) (Ta = +25 °C, VCC = 6 V) 項目 誤 差 増 幅 器 部 P W M 比 較 部 記号 条件 規格値 単位 最小 標準 最大 入力オフセット電圧 VIO VO = 1.6 V −10 ⎯ +10 mV 入力オフセット電流 IIO VO = 1.6 V −100 ⎯ +100 nA 入力バイアス電流 IB VO = 1.6 V −500 −100 ⎯ nA 同相入力電圧範囲 VICR VCC = 3.6 V ∼ 18 V −0.2 ⎯ +1.45 V 84 120 ⎯ V/V ⎯ 3 ⎯ MHz 電圧利得 AV 周波数帯域幅 BW 同相信号除去比 最大出力電圧幅 ⎯ AV = −3 dB CMRR ⎯ 60 80 ⎯ dB VOM+ ⎯ 2.2 2.4 ⎯ V VOM− ⎯ ⎯ 0.7 0.9 V 出力シンク電流 IOM+ VO = 1.6 V 24 50 ⎯ μA 出力ソース電流 IOM− VO = 1.6 V ⎯ −1.2 −0.7 mA デューティサイクル= 0 % ⎯ 1.9 2.1 V 1.05 1.3 ⎯ V Vt0 入力スレッショルド電圧 (fOSC = 10 kHz) Vt100 デューティサイクル= 100 % 入力シンク電流 IIN+ 5 ピン , 12 ピン= 1.6 V 24 50 ⎯ μA 入力ソース電流 IIN− 5 ピン , 12 ピン= 1.6 V ⎯ −1.2 −0.7 mA 出力リーク電流 Leak VO = 18 V ⎯ ― 10 μA 出力飽和電圧 VSAT IO = 50 mA ⎯ 1.1 1.4 V スタンバイ電流 ICCS 出力 “OFF” 状態 ⎯ 1.3 1.8 mA 平均供給電流 ICCa RT = 15 kΩ ⎯ 1.7 2.4 mA 出 力 部 DS04–27204–6 7 MB3775 ■ 測定回路 VCC = 6 V INPUT TEST SW 4.7 kΩ CPE OUTPUT 1 4.7 kΩ OUTPUT 2 16 15 14 13 12 11 10 9 6 7 8 MB3775 1 2 3 4 5 0.1 μF 330 pF 15 kΩ TEST INPUT ■ タイミングチャート ( 内部波形 ) 誤差増幅器出力 発振器三角波出力 1.9 V V デッド・タイム.PWM 入力電圧 1.5 1.3 V 1.1 V 短絡保護比較器基準入力 “High” PWM 比較器出力 出力トランジスタ・ コレクタ波形 “Low” “High” ロック・アウト動作中 デッド・タイム 100% “Low” 0.6 V SCP 端子波形 0V tPE “High” 短絡保護比較器出力 “Low” ロック・アウト解除 電源電圧 3.6 V (VCC:最小値 ) 0V 2.8 V ( 標準値 ) プロテクション・イネーブルタイム tPE ≒ 0.6 × 106 × CPE (s) 8 DS04–27204–6 MB3775 ■ 応用回路例 1. チョッパ方式ステップ・ダウン / インバーティング型 VIN (10 V) 820 pF 1 16 2 15 3 14 0.1 μF 10 kΩ 2.3 kΩ 13 4 MB3775 56 μH 1.9 kΩ 0.1 μF 5 12 6 11 0.1 μF + − − + 33 kΩ 33 kΩ 220 μF 33 kΩ 1 μF 7 10 8 9 33 kΩ 5.6 kΩ + − 1 μF 330 Ω 330 Ω 470 Ω 470 Ω 120 μH 120 μH − + − + 220 μF 9.1 kΩ − V O (−5 V) DS04–27204–6 220 μF GND + V O (+5 V) 9 MB3775 2. チョッパ方式ステップ・アップ / インバーティング型 VIN (5 V) 820 pF 1 16 2 15 3 14 0.1 μF 10 kΩ 56 μH 2.3 kΩ 1.9 kΩ 13 4 MB3775 0.1 μF 5 12 6 11 0.1 μF + − − + 33 kΩ 33 kΩ 220 μF 33 kΩ 1 μF 7 10 8 9 33 kΩ 16 kΩ + − 1 μF 330 Ω 3.9 kΩ 330 Ω 120 μH 9.1 kΩ V O− (−5 V) 10 120 μH 100 Ω − + − + 220 μF 220 μF GND V O+ (+12 V) DS04–27204–6 MB3775 3. チョッパ方式ステップ・アップ / インバーティング型 ( 高速用 ) VIN (5 V) 820 pF 1 16 2 15 3 14 0.1 μF 10 kΩ 2.3 kΩ 13 4 MB3775 56 μH 1.9 kΩ 0.1 μF 5 12 6 11 0.1 μF 33 kΩ 33 kΩ + − 220 μF 33 kΩ 1 μF 7 10 33 kΩ 8 9 + − − + 16 kΩ 470 Ω 1 μF 220 Ω 470 Ω 150 Ω 120 μH 470 Ω − 1 μF + 470 Ω 33 kΩ 120 μH 9.1 kΩ 330 pF 33 kΩ − + − + 220 μF VO− (− 5 V) DS04–27204–6 220 μF GND V O+ (+12 V) 11 MB3775 4. トランス使用多出力型 VIN (10 V) 820 pF 1 16 2 15 3 14 4 13 0.1 μF 10 kΩ 56 μH 5.6 kΩ 1.9 kΩ MB3775 5 0.1 μF 0.1 μF − + 12 220 μF 1.8 kΩ 1 μF 33 kΩ 11 6 33 kΩ 7 10 8 9 − + − + − + − + 220 μF 220 μF 220 μF 220 μF V O2− (−12 V) 12 220 Ω V O1− (−5 V) GND V O2+ (+5 V) V O1+ (+12 V) DS04–27204–6 MB3775 ■ 出力電圧の設定方法 出力電圧の設定は図 1 および図 2 に示すような接続により行います。 誤差増幅器の電源はほかの内部回路と同様に基準電圧回路より供給されており , 同相入力電圧範囲が −0.2 V ∼ +1.45 V に設定されています。 基準入力電圧は , 非反転接続時は VREF ( ≒ 1.28 V) , 反転接続時は GND に設定して使用してください。 R2 V0 + [V0 += VREF × (1 + R2 / R1) ] + 5 ピンまたは 12 ピン - R1 VREF 図 1 誤差増幅器の接続方法:出力電圧 VO が正の場合 R2 V0 − [V0 −=− VREF × (R2 / R1) ] 5 ピンまたは 12 ピン R1 + VREF 図 2 誤差増幅器の接続方法:出力電圧 VO が負の場合 DS04–27204–6 13 MB3775 ■ タイマ・ラッチ式短絡保護回路の時定数設定方法 図 3 にプロテクション・ラッチ回路の構成図を示します。 誤差増幅器の出力はそれぞれ短絡保護コンパレータの非反転入力に接続され , 反転入力に接続された約 1.1 V の基準電 圧と常に比較動作を行っています。 スイッチング・レギュレータの負荷条件が安定している場合は誤差増幅器の出力変動もないため , 短絡保護コントロー ルも平衡を保ちます。このとき , プロテクション・イネーブル端子 (15 ピン ) 電圧は約 50 mV に保持されています。 負荷条件が負荷短絡などで急激に変化し , 短絡保護コンパレータの非反転入力に誤差増幅器から低レベルの信号 (1.1 V 以下 ) が入力されると短絡保護コンパレータは “Low” レベルを出力し , トランジスタ Q1 をオフすることによりプロテク ション・イネーブル端子電圧はリリースされ外付けされたプロテクション・イネーブル・コンデンサ CPE を次式で充電しま す。 VPE = 50 mV + tPE × 10−6 / CPE 0.65 = 50 mV + tPE × 10−6 / CPE CPE = tPE / 0.6 (μF) プロテクション・イネーブル・コンデンサが約 0.65 V に充電されるとプロテクション・ラッチをセットし , 低入力時誤動 作防止回路をイネーブルすることにより出力ドライブ・トランジスタをオフさせます。このとき , 同時に休止期間を 100% にします。 低入力時誤動作防止回路が一度イネーブルされるとプロテクション・イネーブルは解除されますが , プロテクション・ ラッチは電源を切らないとリセットしません。 D.T.C. コンパレータの非反転入力は約 0.9 V の電源を介してそれぞれの D.T.C. 端子 (6, 11 ピン ) に接続され , 反転入力 に接続された約 1.8 V の基準電圧と常に比較動作を行っています。 D.T.C. 端子を使用してソフトスタート動作を行わせる際に短絡保護回路の誤動作を防止するため , D.T.C. 端子 (6, 11 ピ ン ) が約 0.9 V に下がる間 D.T.C. コンパレータは “High” レベルを出力し , トランジスタ Q2 をオンすることによりプロテク ション・イネーブル端子 (15 ピン ) をクローズします。 2.5 V 1 A S.C.P. Comp. SCP 15 R1 Error Amp 1 Error Amp 2 + + 1.1 V CPE Q1 Q2 Q3 S R Latch U.V.L.O. + + 0.9 V D.T.C. Comp. 0.9 V 1.8 V 6 D.T.C.1 11 D.T.C.2 図 3 プロテクション・ラッチ回路 14 DS04–27204–6 MB3775 ■ 休止期間の設定方法 昇圧 , フライバック方式による昇圧 , 反転出力を設定する場合 , 負荷変動等により FB 端子電圧が三角波電圧以下になる 可能性があります。このとき , 出力トランジスタがフルオン (ON Duty = 100%) 固定の状態になります。これを防止するた めに出力トランジスタの最大デューティを設定します。そのために , 下図のように VREF 電圧より抵抗分圧にて DTC1 端子 (6 ピン ) 電圧を設定してください。 DTC1端子電圧が三角波電圧よりも低いとき, 出力トランジスタはオンとなります。最大デューティの計算式は三角波振 幅≒ 0.6 V, 三角波下限電圧≒ 1.3 V, オフセット電圧 0.9 V のとき次のようになります ( 他チャネルも同様です ) 。 Rb 1.9 V − (Vdt + 0.9 V) 1.0 V − Vdt × VREF Duty (ON) Max (%) ≒ × 100 ≒ × 100, Vdt (V) = 0.6 V 0.6 V Ra + Rb また , 最大デューティ設定を必要としない場合は三角波下限電圧≒ 1.3 V (Vdt = 0.4 V) 以下の電圧設定にしてください。 VREF 16 Ra DTC1 6 Rb Vdt DTC1 で休止期間を設定する場合 (DTC2 も同様 ) ・VCC と VO の関係より VO × 100 Vcc VO − Vcc ・昇圧時 ( ステップアップ ) のデューティ[%] = × 100 VO VO ・極性が異なる時 ( インバーティング ) のデューティ[%] = × 100 VO − Vcc このデューティが最大デューティ以下になるように , 下図 Duty Max-Vdt 特性より , DTC 電圧を設定してください。 ・降圧時 ( ステップダウン ) のデューティ[%] = Duty Max [%] 100 80 60 40 20 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Vdt [V] Duty Max − Vdt 特性 (Vdt 1, Vdt 2 共通 ) DS04–27204–6 15 MB3775 ■ ソフトスタート時間設定方法 電源投入後 , DTC1 端子 (6 ピン ) に接続したコンデンサ (CDTC1) に充電を開始します。PWM コンパレータにより DTC1 端子電圧に比例したソフトスタート設定電圧と三角波電圧を比較し , OUT1 端子 (7 ピン ) の ON デューティを変化させソ フトスタート動作します。 ON デューティ≒ 50%までのソフトスタート時間は次式で求められます。 ソフトスタート時間 ( 出力 ON デューティ≒ 50%になるまでの時間 ) ts (s) ≒− CDTC1 × Ra × Rb / (Ra + Rb) × In (1 − 0.7 (Ra + Rb) / (1.28 Ra) ) 例えば , Ra = 10 kΩ, Rb = 4.7 kΩ の場合は次式のようになります。 ts (s) ≒ 0.005 × CDTC1 (μF) VREF 16 Ra DTC1 CDTC1 6 Rb DTC1 端子でソフトスタートをする場合 (DTC2 も同様 ) 16 DS04–27204–6 MB3775 ■ 複数個の IC の同期動作 複数個の MB3775 を用いて同期動作をさせる場合は , マスタとなる IC の CT, RT 端子 (1, 2 ピン ) に所定のコンデンサ , 抵抗を挿入し自励発振させます。さらに , スレーブとなる IC の RT 端子 (2 ピン ) を 2 V に設定し三角波発振のための充放 電回路を停止させ , マスタと各スレーブの CT 端子 (1 ピン ) 間を接続することにより実現できます。 また RT 端子 (2 ピン ) に VRT を印加する代わりに , RT 端子 (2 ピン ) を抵抗でプルアップする方法も可能です ( 図 4 破線 の抵抗 ) 。この場合プルアップ抵抗 Rpull は下式を満たす条件で設定してください。 Rpull :プルアップ抵抗〔kΩ〕 VCC :電源電圧〔V〕 N :スレーブとなる IC の個数 VCC 0.5 × N ≧ Rpull MB3775 VCC ( マスタ ) Rpull CT RT MB3775 ( スレーブ ) VRT 2V MB3775 ( スレーブ ) 図 4 マスタ・スレーブ動作時の接続図 DS04–27204–6 17 MB3775 ■ 標準特性曲線 基準電圧−電源電圧特性 平均供給電流−電源電圧特性 2.0 平均供給電流 I CCa (mA) 2.0 基準電圧 VREF (V) 1.5 1.0 0.5 5 10 15 1.0 0.5 0 20 15 スタンバイ電流−電源電圧特性 基準電圧−動作周囲温度特性 1.29 1.5 1.28 1.0 20 1.27 1.26 0.5 0 5 10 15 1.25 -30 20 0 +30 +60 +90 動作周囲温度 Ta ( °C) 電源電圧 VCC (V) コレクタ飽和電圧−シンク電流特性 誤差増幅器最大出力電圧幅−周波数特性 3.0 誤差増幅器最大出力電圧幅 VOM (V) 3.5 3.0 コレクタ飽和電圧 VSAT (V) 10 電源電圧 VCC (V) 2.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 5 電源電圧 VCC (V) 基準電圧 VREF (V) スタンバイ電流 lccs (mA) 0 1.5 50 100 150 200 250 300 350 シンク電流 IO (mA) 2.0 1.0 0 100 1k 10 k 100 k 1M 周波数 f (Hz) (続く) 18 DS04–27204–6 MB3775 三角波周期−タイミング容量特性 103 100 k 102 三角波周期 (μs) 発振周波数 f OSC (Hz) 発振周波数−タイミング抵抗特性 1M CT = 150 pF 10 k CT = 1500 pF 1k 101 タイミング抵抗= 15 kΩ VCC = 6 V 100 CT = 15000 pF 100 1k 10 k 100 k 1M 10−1 1 10 10 M タイミング抵抗 R T (Ω) 102 103 104 105 タイミング容量 C T (pF) 三角波最大振幅電圧−タイミング容量特性 利得および位相−周波数特性 60 2.2 40 1.8 20 1.6 1.4 180 AV 0 0 −20 102 103 104 −180 −60 1k 105 10 k 0 40 90 20 0 φ -20 -90 -40 -180 101 102 103 104 周波数 f (Hz) 105 106 107 利得 AV(dB) AV 180 位相 φ (deg) 20 利得 AV (dB) 60 CFB = 1 μF 40 1M 10 M 利得および位相−周波数特性 ( 実験データ ) 利得および位相−周波数特性 ( 実験データ ) 60 100 k 周波数 f (Hz) タイミング容量 C T (pF) CFB = 0.1 μF 180 90 AV 0 0 φ −20 −90 −40 −60 100 位相 φ (deg) 1.0 101 100 −90 φ −30 1.2 -60 90 位相 φ (deg) 2.0 利得 AV (dB) 三角波最大振幅電圧 (V) タイミング抵抗= 15 kΩ VCC=6V −180 101 102 103 104 105 106 107 周波数 f (Hz) (続く) DS04–27204–6 19 MB3775 (続き) 利得および位相−周波数特性 ( 実験データ ) 60 CFB = 0.01 μF 180 40 90 AV 0 0 φ -20 -90 -40 -60 100 位相 φ (deg) 利得 AV (dB) 20 -180 101 102 103 104 105 106 107 周波数 f (Hz) 20 DS04–27204–6 MB3775 ■ 誤差増幅器周波数特性の設定方法 誤差増幅器の等価回路は , 図 5 で示すとおりです。 誤差増幅器の周波数特性は R1, R2, CP により設定されており , IC 内部の抵抗 R1, R2 の比により高周波側の利得を設定し ています ( 設定値 ≅ 0 dB) 。 CP = 0.1 μF では 20 kHz ≦ f ≦ 5 MHz での利得が約 0 dB となりますが , 外付け位相補償容量 CP を変更することにより ロールオフ周波数を可変できます ( グラフ 1-1 を参照してください ) 。 なお , 高周波側での利得が必要な場合や位相を低い周波数で進めたい場合などには , 図 6 で示すように FB 端子 (5, 12 ピ ン ) と CP 間に直列に抵抗 RP を入れることにより調整してください ( グラフ 1- 2 を参照してください ) 。 誤差増幅器 [-IN] - R1 ≅ 38Ω × 120 [+IN] PWM COMP へ R2 ≅ 470Ω + [FB] CP 図 5 誤差増幅器等価回路 誤差増幅器 [-IN] - R1 ≅ 38Ω × 120 [+IN] PWM COMP へ R2 ≅ 470Ω + [FB] RP CP 図 6 誤差増幅器等価回路 (RP 挿入 ) (注意事項)このように , 誤差増幅器の周波数特性は外付け位相補償容量 CP により設定されております。 システムの小型化などの要求によりセラミックチップコンデンサを使用する場合は温度特性に十分ご注意 ください ( 周波数特性では −30°C ≅ 1 / 5, +80°C ≅ 1 / 3 の値となりますので , 常温で充分な位相マージンを確保 する必要があります ) 。なお , セラミックチップコンデンサは温度特性の小さな B 特性のもの , またはフィル ムコンデンサなどのご使用を推奨いたします ( グラフ 1-3 ~ 1-5 を参照してください ) 。 DS04–27204–6 21 MB3775 グラフ 1-1 誤差増幅器周波数特性 60 CP = 0.1 μF AV 40 180 (小) (大) 利得 AV(dB) 0 φ 0 (小) (大) -20 位相 φ (deg) 90 20 -90 CP = 0.1 μF -40 -180 -60 10 100 1k 10k 100k 1M 10M 100M 周波数 f (Hz) グラフ 1-2 誤差増幅器周波数特性 60 CP = 0.1 μF 180 20 90 0 φ RP = 0 Ω (大) 0 (大) -20 -90 CP = 0 Ω -40 -60 10 位相 φ (deg) 利得 AV(dB) AV 40 -180 100 1k 10k 100k 1M 10M 100M 周波数 f (Hz) 22 DS04–27204–6 MB3775 グラフ 1-3 セラミックチップコンデンサ (f 特:0.1 μF) ◆温度特性 温度:比率 − 30 °C :0.19 + 25 °C :1.0 + 80 °C :0.32 利得 AV (dB) 10 90 -30°C 0 0 AV +80°C -10 位相 φ (deg) 20 -30°C +25°C φ -90 +25°C +80°C -20 1k 10k 100k 1M 周波数 f (Hz) グラフ 1-4 タンタルコンデンサ (0.33 μF) ◆温度特性 温度:比率 − 30 °C :0.95 ∼ 1.05 + 25 °C :1.0 + 80 °C :0.95 ∼ 1.05 10 90 AV 0 0 -30°C 位相 φ (deg) 利得 AV (dB) 20 +25°C -10 φ +80°C -90 -30°C -20 +80°C 1k 10k +25°C 100k 1M 周波数 f (Hz) グラフ 1-5 フィルムコンデンサ (0.1 μF) 利得 AV (dB) 10 AV ◆温度特性 温度:比率 − 30 °C :0.9 ∼ 1.1 + 25 °C :1.0 + 80 °C :0.9 ∼ 1.1 0 0 -30°C, +25°C, +80°C -10 φ -30°C -20 1k 90 +25°C +80°C 100k 10k 位相 φ (deg) 20 -90 1M 周波数 f (Hz) DS04–27204–6 23 MB3775 ■ 平滑コンデンサの等価直列抵抗と安定性について DC/DC コンバータにおいて平滑コンデンサの等価直列抵抗 (ESR) の値は , ループの位相特性に大きな影響を与えます。 ESR により , 位相特性は高周波領域において理想コンデンサに対し位相を進ませるため ( グラフ 2-1 を参照してくださ い ) , システムの安定性を改善します。一方 , 低 ESR の平滑コンデンサの使用はシステムの安定性を減少させますので , 低 ESR 品の半導体電解コンデンサ (OS-CONTM) , タンタルコンデンサを使用する際には十分注意が必要です。 (注意事項)OS-CON は , 三洋電機株式会社の商標です。 降圧形 DC/DC コンバータの基本回路 L Tr RC VIN D RL C グラフ 2-1 ゲイン−周波数特性 位相−周波数特性 0 0 -20 -40 (2) (1) : RC = 0 Ω (2) : RC = 31 mΩ 100 (1) 1k 周波数 f (Hz) 24 10k (2) -90 (1) : RC = 0 Ω (2) : RC = 31 mΩ (1) -180 -60 10 位相 φ (deg) 利得 AV (dB) 20 100k 10 100 1k 10k 100k 周波数 f (Hz) DS04–27204–6 MB3775 参考データ 平滑用のコンデンサをアルミ電解コンデンサ (RC ≅ 1.0 Ω) から ESR の小さい半導体電解コンデンサ (OS-CONTM:RC ≅ 0.2 Ω) に 変更することにより位相余裕は半減します ( グラフ 2-2, 2-3 を参照してください ) 。 DC/DC コンバータ AV- φ 特性測定図 VOUT VO + この間の AV − φ 特性 +IN + FB - 0.1 μF VIN -IN R2 R1 VREF 誤差増幅器 グラフ 2-2 DC/DC コンバータ+ 5 V 出力 ゲイン / 位相−周波数特性 60 利得 AV (dB) AV φ 20 0 -20 VO 100 1k 電解コンデンサ 220 μF (16 V) RC ≅ 1.0 Ω:fOSC = 1 kHz + A - -90 -40 10 + 90 62° 0 180 位相 φ (deg) VCC = 10 V RL = 25 Ω CP = 0.1 μF 40 GND -180 100k 10k 周波数 f (Hz) グラフ 2-3 VCC = 10 V RL = 25 Ω CP = 0.1 μF AV 利得 AV(dB) 40 20 180 + 90 φ 0 27° -20 -90 VO + - OS-CONTM 22 μF (16 V) RC ≅ 0.2 Ω:fOSC = 1 kHz GND -180 -40 10 0 位相 φ (deg) 60 DC/DC コンバータ+ 5 V 出力 ゲイン / 位相−周波数特性 100 1k 10k 100k 周波数 f (Hz) DS04–27204–6 25 MB3775 ■ 低 ESR 平滑コンデンサ使用時のシステム安定化対策 DC/DC コンバータにおいて , 低 ESR の平滑コンデンサを使用すると十分高周波領域まで平滑部が L と C だけに見え , 位相が 180 度近くまで遅れます。その結果 , システムの位相余裕が少なくなり安定性が悪くなります。一方 , 出力のリップ ル量を少なくするためには , 低 ESR の容量が必要で上記システムの安定性とは相反しています。 この解決方法として進み位相補償方法があります。これは , 低 ESR コンデンサのため位相余裕の少なくなった周波数に 対し , 進み位相を持たせ位相余裕をかせぐ方法です。 MB3775 を使用した DC/DC コンバータについては以下の三案を推奨します。 (1) 図 7 に示すように出力からの帰還抵抗に並列にコンデンサを入れることにより位相を進めます。 コンデンサの値は下記計算式を目安としてください。 ~ C1 = 1 2πfR 2 不安定となる周波数 ( グラフ 3-1 を参照してください ) C1 VO + R2 +IN + FB -IN R1 CP VREF 図 7 位相を進める外付け案 1 グラフ 3-1 DC/DC コンバータ + 5 V 出力 ゲイン / 位相−周波数特性 60 20 0 -20 -40 10 180 AV VCC = 10 V RL = 25 Ω CP = 0.1 μF 平滑コンデンサ 22 μF ( 半導体電解コンデンサ ) C1 = 4700 pF R1 = 1.8 kΩ R2 = 5.6 kΩ 100 φ 位相 φ (deg) 利得 AV (dB) 40 90 66° 0 -90 1k 10k -180 100k 周波数 f (Hz) 26 DS04–27204–6 MB3775 (2) 図 8 に示すように誤差増幅器の FB 端子 (5, 12 ピン ) と CP 間に直列に抵抗 RP を入れることにより位相を進めます。 RP を大きくするほど位相は早く進みますが , 高周波領域での利得が上がり不安定要因となりますので , セットにて 最適点を選んでください ( グラフ 3-2 を参照してください ) 。 VO + R2 +IN + FB -IN R1 RP CP VREF 図 8 位相を進める外付け案 2 グラフ 3-2 DC/DC コンバータ + 5 V 出力 ゲイン / 位相−周波数特性 60 利得 AV(dB) 20 0 -20 180 AV VCC = 10 V RL = 25 CP = 0.1 F 平滑コンデンサ 22μF ( 半導体電解コンデンサ ) RP = 470 R1 = 1.8 k R2 = 5.6 k -40 10 90 φ 45 0 位相 φ (deg) 40 -90 100 1k -180 10k 100k 周波数 f (Hz) (3) 図 9 に示すように , 案 1, 案 2 を併用することにより位相を進めます。 C1 VO + R2 +IN + -IN FB - R1 RP CP VREF 図 9 位相を進める外付け案 3 DS04–27204–6 27 MB3775 ■ 誤差増幅器入力リップル電圧について 誤差増幅器には , 電源立上り時の出力電圧オーバシュート対策のため図 10 で示すような位相補償容量 CP の充電用ブー スト回路が接続されています。 ブースト回路は , 電源立上り時以外は動作しないようにマイナス入力側に ≅ 15 mV のオフセット電圧をもたせています。 しかし , 出力リップルが大きい場合や進み位相補償のために出力からの帰還抵抗に並列にコンデンサを入れる場合 , 誤差 増幅器の差動入力電圧が ≅ 15 mV を超えるとブースト回路が動作を始め , レギュレーションを悪化させる恐れがあります ので誤差増幅器の差動入力電圧値にはご注意ください。 VCC VO + + 進み位相 補償容量 ブースト回路 R4 ≅ 15 mV [+IN] R1 ∼ 38 kΩ + [-IN] ×120 - 誤差増幅器 R2 ≅ 470Ω R3 [FB] CP VREF 図 10 誤差増幅器ブースト回路部等価回路 28 DS04–27204–6 MB3775 ■ 使用上の注意 ・プリント基板のアースラインは,共通インピーダンスを考慮し設計してください。 ・静電気対策を行ってください。 ・ 半導体を入れる容器は , 静電気対策を施した容器か , 導電性の容器をご使用ください。 ・ 実装後のプリント基板を保管・運搬する場合は , 導電性の袋か , 容器に収納してください。 ・ 作業台 , 工具 , 測定機器は , アースを取ってください。 ・ 作業する人は , 人体とアースの間に 250 kΩ ∼ 1 MΩ の抵抗を直列にいれたアースを使用してください。 ・負電圧を印加しないでください。 ・ − 0.3 V 以下の負電圧を印加した場合 , LSI に寄生トランジスタが発生し , 誤動作を起こすことがあります。 DS04–27204–6 29 MB3775 ■ オーダ型格 型格 パッケージ MB3775PF プラスチック・SOP, 16 ピン (FPT-16P-M06) MB3775PFV プラスチック・SSOP, 16 ピン (FPT-16P-M05) 30 備考 DS04–27204–6 MB3775 ■ RoHS 指令に対応した品質管理 ( 鉛フリー品の場合 ) 富士通セミコンダクターの LSI 製品は , RoHS 指令に対応し , 鉛・カドミウム・水銀・六価クロムと , 特定臭素系難燃剤 PBB と PBDE の基準を遵守して生ます。 この基準に適合している製品は , 型格に “E1” を付加しています。 ■ 製品捺印 ( 鉛フリーの場合 ) MB3775 XXXX XXX SOP-16 E1 INDEX 鉛フリー表示 3775 鉛フリー表示 E1XXXX SSOP-16 XXX INDEX DS04–27204–6 31 MB3775 ■ 製品ラベル ( 鉛フリーの場合の例 ) 鉛フリー表示 JEITA 規格 MB123456P - 789 - GE1 (3N) 1MB123456P-789-GE1 1000 (3N)2 1561190005 107210 JEDEC 規格 G Pb QC PASS PCS 1,000 MB123456P - 789 - GE1 2006/03/01 ASSEMBLED IN JAPAN MB123456P - 789 - GE1 1/1 0605 - Z01A 1000 1561190005 鉛フリー型格は末尾に「E1」あり。 32 中国で組立てられた製品のラベルには 「ASSEMBLED IN CHINA」と表記されています。 DS04–27204–6 MB3775 ■ MB3775PF, MB3775PFV 推奨実装条件 【弊社推奨実装条件】 項目 内容 実装方法 実装回数 IR ( 赤外線リフロー ), 温風リフロー 2回 開梱前 製造後 2 年以内にご使用ください。 開梱 ∼ 2 回目リフロー迄の保管期間 8 日以内 ベーキング (125 °C ± 3 °C, 24 h + 2H / -0H) を 開梱後の保管期間を超えた場合 実施の上 , 8 日以内に処理願います。 ベーキングは最大 2 回まで可能です。 5 °C ∼ 30 °C, 70%RH 以下 ( できるだけ低湿度 ) 保管期間 保管条件 【実装方法の各条件】 IR ( 赤外線リフロー ) 260°C 255°C 本加熱 170 °C ~ 190 °C (b) RT (c) (d’) 本加熱 (e) 冷却 (e) (d') (a) H ランク:260 °C Max (a) 温度上昇勾配 (b) 予備加熱 (c) 温度上昇勾配 (d) ピーク温度 (d) :平均 1 °C/s ∼ 4 °C/s :温度 170 °C ∼ 190 °C, 60s ∼ 180s :平均 1 °C/s ∼ 4 °C/s :温度 260 °C Max 255 °C up 10s 以内 :温度 230 °C up 40s 以内 or 温度 225 °C up 60s 以内 or 温度 220 °C up 80s 以内 :自然空冷または強制空冷 (注意事項)パッケージボディ上面温度を記載 手半田付け ( 部分加熱法 ) 項目 保管期間 保管条件 実装条件 内容 開梱前 製造後 2 年以内 開梱後∼実装までの 製造後 2 年以内 保管期間 ( 部分加熱のため , 保管期間の吸湿管理不要 ) 5 °C ∼ 30 °C, 70%RH 以下 ( できるだけ低湿度 ) コテ先温度:Max. 400 °C 時間:5 s 以内 / ピン * *:パッケージボディにコテ先が触れないこと DS04–27204–6 33 MB3775 ■ パッケージ・外形寸法図 プラスチック・SOP, 16ピン (FPT-16P-M06) プラスチック・SOP, 16ピン (FPT-16P-M06) +0.25 リードピッチ 1.27 mm パッケージ幅× パッケージ長さ 5.3 × 10.15 mm リード形状 ガルウィング 封止方法 プラスチックモールド 取付け高さ 2.25 mm MAX 質量 0.20 g コード(参考) P-SOP16-5.3×10.15-1.27 注1)*1印寸法はレジン残りを含む。 注2)*2印寸法はレジン残りを含まず。 注3)端子幅および端子厚さはメッキ厚を含む。 注4)端子幅はタイバ切断残りを含まず。 +.010 +0.03 *110.15 –0.20 .400 –.008 0.17 –0.04 +.001 16 .007 –.002 9 *2 5.30±0.30 7.80±0.40 (.209±.012) (.307±.016) INDEX Details of "A" part +0.25 2.00 –0.15 +.010 .079 –.006 1 "A" 8 1.27(.050) 0.47±0.08 (.019±.003) 0.13(.005) (Mounting height) 0.25(.010) 0~8° M 0.50±0.20 (.020±.008) 0.60±0.15 (.024±.006) +0.10 0.10 –0.05 +.004 .004 –.002 (Stand off) 0.10(.004) C 2002-2010 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED F16015S-c-4-9 単位:mm(inches) 注意:括弧内の値は参考値です。 最新の外形寸法図については , 下記 URL にてご確認ください。 http://edevice.fujitsu.com/package/jp-search/ (続く) 34 DS04–27204–6 MB3775 (続き) プラスチック・SSOP, 16 ピン (FPT-16P-M05) プラスチック・SSOP, 16 ピン (FPT-16P-M05) リードピッチ 0.65mm パッケージ幅× パッケージ長さ 4.40 × 5.00mm リード形状 ガルウィング 封止方法 プラスチックモールド 取付け高さ 1.45mm MAX 質量 0.07g コード(参考) P-SSOP16-4.4×5.0-0.65 注 1)*1 印寸法のレジン残りは片側 +0.15(.006)MAX 注 2)*2 印寸法はレジン残りを含まず。 注 3)端子幅および端子厚さはメッキ厚を含む。 注 4)端子幅はタイバ切断残りを含まず。 *1 5.00±0.10(.197±.004) 0.17±0.03 (.007±.001) 9 16 *2 4.40±0.10 6.40±0.20 (.173±.004) (.252±.008) INDEX Details of "A" part +0.20 1.25 –0.10 +.008 .049 –.004 LEAD No. 1 8 0.65(.026) "A" 0.24±0.08 (.009±.003) 0.10(.004) C 2003-2010 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED F16013S-c-4-8 DS04–27204–6 (Mounting height) 0.13(.005) M 0~8° 0.50±0.20 (.020±.008) 0.60±0.15 (.024±.006) 0.10±0.10 (Stand off) (.004±.004) 0.25(.010) 単位:mm (inches) 注意:括弧内の値は参考値です。 35 MB3775 富士通セミコンダクター株式会社 〒 222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜 2-10-23 野村不動産新横浜ビル http://jp.fujitsu.com/fsl/ 電子デバイス製品に関するお問い合わせ先 0120-198-610 受付時間 : 平日 9 時∼ 17 時 ( 土・日・祝日 , 年末年始を除きます ) 携帯電話・PHS からもお問い合わせができます。 ※電話番号はお間違えのないよう , お確かめのうえおかけください。 本資料の記載内容は , 予告なしに変更することがありますので , ご用命の際は営業部門にご確認ください。 本資料に記載された動作概要や応用回路例は , 半導体デバイスの標準的な動作や使い方を示したもので , 実際に使用する機器での動作を保証するも のではありません。従いまして , これらを使用するにあたってはお客様の責任において機器の設計を行ってください。これらの使用に起因する損害な どについては , 当社はその責任を負いません。 本資料に記載された動作概要・回路図を含む技術情報は , 当社もしくは第三者の特許権 , 著作権等の知的財産権やその他の権利の使用権または実施 権の許諾を意味するものではありません。また , これらの使用について , 第三者の知的財産権やその他の権利の実施ができることの保証を行うもので はありません。したがって , これらの使用に起因する第三者の知的財産権やその他の権利の侵害について , 当社はその責任を負いません。 本資料に記載された製品は , 通常の産業用 , 一般事務用 , パーソナル用 , 家庭用などの一般的用途に使用されることを意図して設計・製造されてい ます。極めて高度な安全性が要求され , 仮に当該安全性が確保されない場合 , 社会的に重大な影響を与えかつ直接生命・身体に対する重大な危険性を 伴う用途(原子力施設における核反応制御 , 航空機自動飛行制御 , 航空交通管制 , 大量輸送システムにおける運行制御 , 生命維持のための医療機器 , 兵 器システムにおけるミサイル発射制御をいう), ならびに極めて高い信頼性が要求される用途(海底中継器 , 宇宙衛星をいう)に使用されるよう設計・ 製造されたものではありません。したがって , これらの用途にご使用をお考えのお客様は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。ご相談なく使用 されたことにより発生した損害などについては , 責任を負いかねますのでご了承ください。 半導体デバイスはある確率で故障が発生します。当社半導体デバイスが故障しても , 結果的に人身事故 , 火災事故 , 社会的な損害を生じさせないよ う , お客様は , 装置の冗長設計 , 延焼対策設計 , 過電流防止対策設計 , 誤動作防止設計などの安全設計をお願いします。 本資料に記載された製品を輸出または提供する場合は , 外国為替及び外国貿易法および米国輸出管理関連法規等の規制をご確認の上 , 必要な手続き をおとりください。 本書に記載されている社名および製品名などの固有名詞は , 各社の商標または登録商標です。 編集 プロモーション推進部