本ドキュメントはCypress (サイプレス) 製品に関する情報が記載されております。 富士通マイクロエレクトロニクス DS04–27701–4a DATA SHEET ASSP 電源用 (2 次電池用 ) 充電用 DC/DC コンバータ IC MB3832A ■ 概 要 MB3832A は , 電流検出増幅器 , 誤差増幅器 (2 回路 ) を内蔵し出力電圧・電流を独立して制御できるパルス幅変調方式 (PWM 方式 ) の DC/DC コンバータ IC で , ダウンコンバージョンに適しています。 高精度な基準電圧源を内蔵しており , Li イオン電池 (1 セル∼ 3 セル ) の充電器などに最適です。 ■ 特 長 :2.5 V ± 0.5 % (+ 25 °C) :2.5 V ± 1.0 % ( − 10 °C ∼ + 85 °C) ・ 高周波動作が可能 :最大 500 kHz ・ 動作電源電圧範囲が広い:3.6 V ∼ 18 V ・ 同相入力電圧範囲の広い電流検出増幅器内蔵:0 V ∼ VCC ・ スタンバイ機能内蔵 ・ 外部同期動作が可能な三角波発振器を内蔵 ・ タイマ・ラッチ方式短絡保護回路を内蔵 ・ Pch MOS FET, PNP トランジスタ対応トーテムポール形式出力段内蔵 ・ 高精度基準電圧源 ■ パッケージ プラスチック・SSOP, 20 ピン (FPT-20P-M03) Copyright©2003-2008 FUJITSU MICROELECTRONICS LIMITED All rights reserved 2003.8 MB3832A ■ 端子配列図 (TOP VIEW) 20 : VE VREF : 1 RT : 2 19 : OUT CT : 3 18 : VCC SYNC : 4 17 : CTL CSCP : 5 16 : DTC FB1 : 6 15 : FB2 −IN1 : 7 14 : −IN2 +IN1 : 8 13 : +IN2 −INC : 9 12 : COUT +INC : 10 11 : GND (FPT-20P-M03) 2 MB3832A ■ 端子機能説明 端子番号 端子記号 I/O 端子名称および機能説明 1 VREF O 基準電圧出力端子です。 2 RT ⎯ 三角波周波数設定用抵抗の接続端子です。 3 CT ⎯ 三角波周波数設定用抵抗コンデンサの接続端子です。 4 SYNC I 5 CSCP ⎯ タイマ・ラッチ式短絡保護回路の時定数設定用コンデンサ 接続端子です。 6 FB1 O 誤差増幅器 1 の出力端子です。 7 − IN1 I 誤差増幅器 1 の反転入力端子です。 8 + IN1 I 誤差増幅器 1 の非反転入力端子です。 9 − INC I 電流検出増幅器の反転入力端子です。 10 + INC I 電流検出増幅器の非反転入力端子です。 11 GND ⎯ 接地端子です。 12 COUT O 電流検出増幅器の出力端子です。 13 + IN2 I 誤差増幅器 2 の非反転入力端子です。 14 − IN2 I 誤差増幅器 2 の反転入力端子です。 15 FB2 O 誤差増幅器 2 の出力端子です。 16 DTC I 休止期間 , ソフトスタート時間設定用抵抗・コンデンサ 接続端子です。 17 CTL I 電源コントロール入力端子です。 “H”レベル:動作状態 “L”レベル :スタンバイ状態 18 VCC ⎯ 電源端子です。 19 OUT O トーテムポール形式の出力端子です。 20 VE ⎯ 出力シンク電流設定用抵抗の接続端子です。 外部同期信号入力端子です。 I:入力端子 , O:出力端子 3 MB3832A ■ ブロックダイヤグラム −INC +INC 9 10 COUT 12 FB2 15 −IN2 14 − +IN2 13 + FB1 6 −IN1 7 − +IN1 8 + Current Amp. − × 25 + Error Amp.2 + + + − Error Amp.1 Out 100 kΩ PWM Comp. 19 OUT 1V DTC 16 SCP Comp. 1 µA − − + − 2.1 V 1.1 V 18 VCC 20 VE DTC Comp. 1.9 V + 1.3 V bias bias VCC Ref CTL CSCP 5 S R Latch UVLO OSC 2.5 V 4 2 SYNC RT 4 3 CT 1 VREF 11 GND 17 CTL MB3832A ■ 絶対最大定格 定 格 値 項 目 記 号 条 件 単 位 最 小 最 大 電源電圧 VCC ⎯ ⎯ 20 V コントロール入力電圧 VCTL ⎯ ⎯ 20 V 出力電流 IO OUT 端子 , DC ⎯ 50 mA ピーク出力電流 IO OUT 端子 , Duty ≦ 5 % ⎯ 600 mA 許容損失 PD Ta ≦+ 25 °C ⎯ 540 * mW 保存温度 Tstg − 55 + 125 °C ⎯ *:10 cm 角の両面エポキシ基板に実装時 <注意事項> 絶対最大定格を超えるストレス ( 電圧 , 電流 , 温度など ) の印加は , 半導体デバイスを破壊する可能性があ ります。したがって , 定格を一項目でも超えることのないようご注意ください。 ■ 推奨動作条件 規 格 値 項 目 記 号 条 件 単 位 最 小 標 準 最 大 電源電圧 VCC ⎯ 3.6 16 18 V 基準電圧出力電流 IOR ⎯ −1 ⎯ 0 mA 入力電圧 VIN + IN1, − IN1, + IN2, − IN2 端子 0 ⎯ VCC − 0.9 V + INC, − INC 端子 0 ⎯ VCC V コントロール入力電圧 VCTL CTL 端子 0 ⎯ 18 V SYNC 入力電圧 VSYNC SYNC 端子 0 ⎯ VCC V OUT 端子 , DC ⎯ ⎯ 30 mA 出力電流 IO 発振周波数 fOSC ⎯ 10 200 500 kHz タイミング容量 CT ⎯ 100 390 2200 pF タイミング抵抗 RT ⎯ 8.2 12 51 kΩ CSCP ⎯ ⎯ 0.1 1.0 µF Ta ⎯ − 30 + 25 + 85 °C ショート検出容量 動作温度 <注意事項> 推奨動作条件は , 半導体デバイスの正常な動作を保証する条件です。電気的特性の規格値は , すべてこの条 件の範囲内で保証されます。常に推奨動作条件下で使用してください。この条件を超えて使用すると , 信頼 性に悪影響を及ぼすことがあります。 データシートに記載されていない項目 , 使用条件 , 論理の組合せでの使用は , 保証していません。記載され ている以外の条件での使用をお考えの場合は , 必ず事前に当社営業担当部門までご相談ください。 5 MB3832A ■ 電気的特性 (VCC = 16 V, Ta =+ 25 °C) 項 目 出力電圧 基準電圧部 (Ref) 単 位 最 小 標 準 最 大 Ta =+ 25 °C 2.4875 2.50 2.5125 V Ta =− 10 °C ∼+ 85 °C 2.475 2.50 2.525 V Ta =+ 25 °C ∼+ 85 °C 2.480 2.50 2.520 V 1 VCC = 3.6 V ∼ 18 V ⎯ 1 10 mV 負荷安定度 Load 1 IREF = 0 mA ∼ − 1 mA ⎯ 3 10 mV IOS 1 VREF = 0 V − 36 − 16 −7 mA VTH 16 VCC 端子 ⎯ 2.8 3.1 V VTL 16 VCC 端子 2.3 2.6 ⎯ V VH 16 VCC 端子 80 200 ⎯ mV リセット電圧 VRST 19 VCC 端子 1.7 2.1 ⎯ V 検出電圧 VTH 5 FB 端子 2.0 2.1 2.2 V VTH 5 CSCP 端子 0.65 0.70 0.75 V VSTB 5 CSCP 端子 ⎯ 50 100 mV VI 5 CSCP 端子 ⎯ 50 100 mV 入力ソース電流 ICSCP 5 CSCP 端子 − 1.4 − 1.0 − 0.6 µA 発振周波数 fOSC 19 CT = 390 pF, RT = 12 kΩ 190 200 210 kHz 周波数入力安定度 ∆f/f 19 VCC = 3.6 ∼ 18 V ⎯ 1 5 % VIH 19 入力“H”レベル 2.0 ⎯ ⎯ V VIL 19 入力“L”レベル 0 ⎯ 0.8 V ISYNC 4 VSYNC = 5 V ⎯ 50 100 µA スレッショルド電圧 ヒステリシス幅 SYNC 入力条件 入力電流 VIO 8, 7, VFB = 1.6 V 13, 14 −3 ⎯ 3 mV 入力バイアス電流 IB 8, 7, VFB = 1.6 V 13, 14 − 200 − 50 ⎯ nA 同相入力電圧範囲 VCM 8, 7, 13, 14 ⎯ 0 ⎯ VCC − 0.9 V CMRR 6, 15 ⎯ 60 100 ⎯ dB 6, 15 DC 60 100 ⎯ dB 6, 15 AV = 0 dB ⎯ 750 ⎯ kHz 入力オフセット電圧 誤差増幅器 (Error Amp.1, 2) 1 条 件 Line ショート スレッショルド電圧 検出部 入力スタンバイ電圧 (SCP Comp, S-R Latch) 入力ラッチ電圧 三角波 発振器部 (OSC) VREF 規 格 値 測定 端子 入力安定度 短絡時出力電流 低入力時 誤動作 防止回路部 (UVLO) 記 号 同相信号除去比 電圧利得 周波数帯域幅 最大出力電圧幅 出力ソース電流 出力シンク電流 AV BW * VOM + 6, 15 ⎯ 2.5 2.7 ⎯ V VOM − 6, 15 ⎯ ⎯ 0.8 1.0 V IOM − 6, 15 VFB = 1.6 V ⎯ − 120 − 60 µA IOM + 6, 15 VFB = 1.6 V 0.6 2.0 ⎯ mA (続く) 6 MB3832A (続き) (VCC = 16 V, Ta =+ 25 °C) 項 目 入力オフセット電圧 記 号 測定 端子 最 大 −2 ⎯ 2 mV I + INC 10 V + INC = 12.7 V, V − INC = 12.6 V ⎯ 1 2 µA I − INC 9 V + INC = 0.1 V, V − INC = 0 V −2 −1 ⎯ µA VO1 12 V + INC = 12.7 V, V − INC = 12.6 V 2.25 2.5 2.75 V VO2 12 V + INC = 12.8 V, V − INC = 12.6 V 4.5 5.0 5.5 V VO3 12 V + INC = 0.1 V, V − INC = 0 V 2.25 2.5 2.75 V VO4 12 V + INC = 0.2 V, V − INC = 0 V 4.5 5.0 5.5 V 同相入力電圧埴 VCM 10, 9 ⎯ 0 ⎯ VCC V 同相信号除去比 CMRR 12 V + INC, V − INC = 2.4 ∼ 12.6 V 60 90 ⎯ dB AV 12 V − INC = 12.6 V 22.5 25 27.5 V/V ⎯ kHz ⎯ Ω 電圧利得 周波数帯域幅 出力抵抗 BW 12 AV = 0 dB ⎯ f = 10 kHz ⎯ 500 * * RO 12 VOM + 12 ⎯ VCC − 2.0 VCC − 1.6 ⎯ V VOM − 12 ⎯ ⎯ 50 200 mV 出力ソース電流 IOM − 12 VCOUT = 2.5 V ⎯ −7 −2 mA 出力シンク電流 IOM + 12 VCOUT = 2.5 V 60 170 ⎯ µA VT0 19 デューティサイクル= 0 % 1.2 1.3 ⎯ V VT100 19 デューティサイクル= 100 % ⎯ 1.9 2.0 V 入力バイアス電流 IDTC 16 VDTC = 0.4 V − 1.0 − 0.2 ⎯ µA ラッチモード 入力電流 IDTC 16 VDTC = 2.5 V 270 900 ⎯ µA ラッチ入力電圧 VDTC 16 IDTC = 100 µA ⎯ 0.15 0.3 V ON デューティ サイクル Dtr 19 VDTC = VREF / 1.56 43 48 53 % 出力オン抵抗 RON 19 IO =− 50 mA ⎯ 5 8 Ω IO 19 RE = 33 Ω 18 30 42 mA VOH 19 IO =− 300 mA 12.5 14 ⎯ V VOL 19 IO = 300 mA ⎯ 1.2 1.8 V ROUT1 19 VCTL = 0 V, VREF = 2.5 V, IO =− 50 mA ⎯ 5 8 Ω ROUT2 19 VCTL = 0 V, VREF = 0 V, IO =− 10 µA 70 100 130 kΩ 最大出力電圧幅 スレッショルド電圧 出力シンク電流 出力部 (OUT) 標 準 10, 9 出力電圧 PWM 比較器部 (PWM Comp.) V + INC, V − INC = 2.4 ∼ 12.6 V 単 位 最 小 VIO 入力バイアス電流 電流検出 増幅器部 (Current Amp.) 規 格 値 条 件 出力電圧 コントロールオフ時 出力抵抗 20 (続く) 7 MB3832A (続き) (VCC = 16 V, Ta =+ 25 °C) 項 目 コント ロール部 (CTL) 全デバイス 測定 端子 条 件 単 位 最 小 標 準 最 大 2.0 ⎯ 18 V VON 1 IC 動作状態 VOFF 1 IC スタンバイ状態 0 ⎯ 0.8 V IIH 17 VCTL = 5 V ⎯ 100 200 µA IIL 17 VCTL = 0 V −1 0 ⎯ µA スタンバイ電流 ICCS 18 VCTL = 0 V ⎯ ⎯ 10 µA 電源電流 ICC 18 OUT =“H”条件 ⎯ 4.6 7.0 mA CTL 入力条件 入力電流 *:標準設計値 8 記 号 規 格 値 MB3832A ■ 標準特性曲線 基準電圧−電源電圧特性 5 5 基準電圧 VREF (V) CTL = VCC Ta = +25 °C IREF = 0 mA 4 基準電圧 VREF (V) 基準電圧− VREF 負荷電流特性 3 2 1 VCC = 16 V CTL = 5 V Ta = +25 °C 4 3 2 1 0 0 0 5 10 15 20 0 10 電源電圧 VCC (V) 20 30 40 VREF 負荷電流 IREF (mA) 基準電圧−温度特性 2.0 VCC = 16 V CTL = 5 V 基準電圧 ∆VREF (%) 1.5 1.0 0.5 0.0 −0.5 −1.0 −1.5 −2.0 −40 −20 0 20 40 80 60 100 温度 Ta ( °C) コントロール電流−コントロール電圧特性 基準電圧−コントロール電圧特性 500 VCC = 16 V Ta = +25 °C IREF = 0 mA 4 コントロール電流 ICTL (µA) 基準電圧 VREF (V) 5 3 2 1 0 0 5 10 15 コントロール電圧 VCTL (V) 20 VCC = 16 V Ta = +25 °C 400 300 200 100 0 0 5 10 15 20 コントロール電圧 VCTL (V) (続く) 9 MB3832A (続き) 三角波発振周波数− RT 抵抗値特性 1M VCC = 16 V CTL = 5 V CT = 100 pF 100 k CT = 390 pF CT = 2200 pF 10 k VCC = 16 V CTL = 5 V 三角波発振周波数 fOSC (Hz) 三角波発振周波数 fOSC (Hz) 1M 三角波発振周波数− CT 容量特性 RT = 12 kΩ 100 k 10 k 1k 1k 1k 10 k 100 k 10 p 100 p RT 抵抗値 (Ω) 三角波発振周波数−温度特性 220 3.0 CTL = VCC 三角波発振周波数 fOSC (kHz) 三角波発振周波数変動率 ∆fOSC (%) 三角波発振周波数変動率−電源電圧特性 2.0 1.0 RT = 12 kΩ, CT = 390 pF 0.0 −1.0 −2.0 −3.0 10 n 1n CT 容量値 (F) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 電源電圧 VCC (V) VCC = 16 V CTL = 5 V 215 210 205 RT = 12 kΩ, CT = 390 pF 200 195 190 185 180 −40 −20 0 20 40 60 80 100 温度 Ta ( °C) 三角波上限下限電圧−三角波発振周波数特性 三角波上限下限電圧 (V) 2.5 VCC = 16 V CTL = 5 V 上限 2.0 1.5 下限 1.0 0.5 1k 10 k 100 k 1M 10 M 三角波発振周波数 fOSC (Hz) (続く) 10 MB3832A (続き) 誤差増幅器 利得 , 位相−周波数特性 VCC = 16 V 180 CTL = 5 V Ta = +25 °C 135 90 φ 45 AV 30 利得 AV (dB) 20 10 5V 位相 φ ( 度 ) 40 0 0 −10 −45 −20 −90 −30 −135 −40 −180 100 1k 10 k 100 k 1M 11 kΩ 240 kΩ 7 2.4 kΩ (14) 8 (13) − 1 µF IN 11 kΩ 2.5 V 6 (15) + Err Amp.1 (Err Amp.2) OUT 10 M 周波数 f (Hz) 電流検出増幅器 利得 , 位相−周波数特性 50 180 40 AV 20 90 10 45 0 0 −45 −10 −20 −90 φ −30 Current Amp. 135 位相 φ ( 度 ) 利得 AV (dB) 30 10 + IN 0.1 V ×2 9 − + × 12.5 12 OUT − 12.6 V −135 −180 −40 −50 100 1k 10 k 100 k 1M 10 M 周波数 f (Hz) 電流検出増幅器 出力電圧−入力電圧特性 VCC = 16 V V+INC = V−INC + 0.1 V Ta = +25 °C 出力電圧 VCOUT (V) 3.0 2.8 2.6 2.4 2.2 2.0 0 4 8 12 16 反転入力電圧 V−INC (V) (続く) 11 MB3832A (続き) 許容損失−周囲温度特性 600 許容損失 PD (mW) 540 500 400 300 200 100 0 −40 −20 0 20 40 60 周囲温度 Ta ( °C) 12 80 100 120 MB3832A ■ 機能説明 1. スイッチング・レギュレータ機能 (1) 基準電圧回路 (Ref) 基準電圧回路は , VCC 端子 (18 ピン ) より供給される電圧により温度補償された安定な電圧 ( 約 2.50 V) を発生し , IC 内 部回路の基準電源として使用します。 また , 基準電圧 VREF 端子 (1 ピン ) から最大 1 mA まで外部に取り出せます。 (2) 三角波発振器回路 (OSC) CT 端子 (3 ピン ) , RT 端子 (2 ピン ) にそれぞれタイミング用のコンデンサおよび抵抗を接続することにより , 三角波発 振波形を発生します。 三角波は , IC 内部の PWM コンパレータに入力されるとともに , CT 端子より外部に取り出すこともできます。 また , 外部同期対応が可能で , SYNC 端子 (4 ピン ) からの入力信号に同期した三角波を発生します。 (3) 誤差増幅器 (Error Amp. 1, 2) 誤差増幅器は , スイッチングレギュレータの出力電圧を検出し , PWM 制御信号を出力するアンプです。同相入力範囲が 0 V ∼ VCC − 0.9 V と広く , 誤差増幅器の FB1 端子 (6 ピン )〔FB2 端子 (15 ピン ) 〕から− IN1 端子 (7 ピン )〔− IN2 端子 (14 ピン ) 〕へ帰還抵抗およびコンデンサの接続により , 任意のループゲインが設定できるため , システムに対して安定し た位相補償ができます。 (4) 電流検出増幅器 (Current Amp.) 電流検出増幅器は , 充電電流によりスイッチングレギュレータの出力センス抵抗 (RS) の両端に発生する電圧降下を約 25 倍に増幅するとともに , GND 基準の電圧レベルに変換し , COUT 端子 (12 ピン ) から出力します。また , 誤差増幅器回路 と組み合わせる事で , 充電電流を制御できます。 (5) 電源コントロール回路 (CTL) CTL 端子 (17 ピン ) により電源 ON/OFF コントロールが可能です ( スタンバイ時の電源電流 約 0 µA) 。 VREF 端子にコンデンサを接続した状態で CTL をオフにした後 , VREF 電圧の放電中に PWM Comp. の入力端子の電圧状 態によっては OUT 端子 (19 ピン ) が‘L’レベルになる場合があります。CTL =‘L’, VREF =‘H’時に , 出力端子 OUT =‘H’ 固定にする機能を内蔵しており , CTL オフ後の不用意な‘L’レベルレベル出力を防止できます。 (6) PWM コンパレータ回路 (PWM Comp.) 誤差増幅器 (Error Amp. 1, 2) の出力電圧に応じて出力デューティをコントロールする電圧−パルス幅変換器です。 三角波電圧レベルが誤差増幅器出力端子 (FB1:6 ピン , FB2:15 ピン ) 電圧及び DTC 端子 (16 ピン ) 電圧のいずれよりも 低い期間に外付け出力トランジスタをオンします。 (7) 出力回路 (Out) 出力回路は , トーテムポール形式で構成しており , 外付け Pch MOS FET, PNP トランジスタを駆動できます。 また , VE 端子 (20 ピン ) − GND 端子 (11 ピン ) 間に抵抗を接続することにより , 出力シンク電流を制御できます。 2. 保護機能 (1) 低入力時誤動作防止回路 (UVLO) 電源投入時の過渡状態や電源電圧の瞬時低下は , コントロール IC の誤差を誘起し , システムの破壊もしくは劣化を生じ ます。低入力電圧時誤動作防止回路は電源電圧に従って内部基準電圧レベルを検出し , 外付け出力トランジスタをオフし , 休止期間を 100 %にします。電源電圧が低入力時誤動作防止回路のスレッショルド電圧以上になれば復帰します。 (2) タイマ・ラッチ式短絡保護回路 (SCP Comp., SR Latch) 誤差増幅器の出力電圧レベルを検出し , 2 つの誤差増幅器の出力電圧レベルが同時に約 2.1 V 以上になるとタイマ回路 が動作し , CSCP 端子 (5 ピン ) に外付けしたコンデンサを充電し始めます。このコンデンサの電圧が約 0.7 V に達するまで に誤差増幅器の出力が正常な電圧範囲に復帰しない時は , ラッチ回路が動作し出力端子 (OUT) を“H”レベルに固定しま す。保護回路が動作した時は , 電源を再投入すればリセットします。 13 MB3832A ■ 外部同期発振する場合の設定方法 外部同期発振の場合は , CT 端子にタイミング容量 (CT) , RT 端子にタイミング抵抗 (RT) を接続し , SYNC 端子に外部同 期信号を入力します。 このとき , CT, RT の選択は発振周波数の設定誤差を除いて外部同期信号の周波数よりも 5 %∼ 10 %程度低くなる条件を 選択してください。 外部同期信号のデューティサイクル (t1 / t) は 10 %∼ 90 %の範囲で設定してください。 《三角波発振部 (OSC) 等価回路》 VREF Latch1 + S 2I* Q − 1.9 V R CT 3 − CT + 1.3 V “H”レベル:ON 3I* SYNC 4 1.4 V + Latch2 − S Q R 《フリーラン発振動作》 《外部同期発振動作》 1.9 V 1.9 V VCT VCT 1.3 V 1.3 V 5.0 V 5.0 V VSYNC VSYNC 0V 0V t t1 t t * : I = VRT/RT, VRT(2 ピン端子電圧 ) = 1.0 V ( 標準 ) 14 MB3832A ■ CSCP 端子を使用しない場合の処理方法 タイマ・ラッチ式短絡保護回路を使用しない場合は , CSCP 端子 (5 ピン ) を最短距離で GND に短絡してください。 CSCP を使用しない場合の処理方法 5 CSCP GND 11 ■ 発振周波数設定方法 発振周波数は CT 端子 (17 ピン ) にタイミング容量 (CT), RT 端子 (16 ピン ) にタイミング抵抗 (RT) を接続することによ り設定できます。 発振周波数:fosc fosc (kHz) 936000 CT(pF) RT(kΩ) 15 MB3832A ■ 休止期間の設定方法 フライバック方式による昇圧・反転出力を設定する場合 , 電源起動時に出力トランジスタがフルオン (ON Duty = 100 % ) 固定の状態になります。これを防止するため , 図 a のように VREF 電圧から DTC 端子 (16 ピン ) 電圧を決定し , 出力トラ ンジスタの休止期間 (ON になる期間の最大値 ) を設定できます。 DTC 端子 (16 ピン ) 電圧が発振器からの三角波の出力電圧よりも高いとき , 出力トランジスタは , オフとなります。休止 期間の計算式は , 三角波振幅≒ 0.6 V, 三角波最低電圧≒ 1.3 V のとき次のようになります。 Duty (ON) ≒ Vdt − 1.3 0.6 V × 100[%], Vdt = R2 × VREF R1 + R2 また , DTC 端子を使用しない場合は , VREF に接続してください。 図 a 休止期間を設定する場合 図 b 休止期間を設定しない場合 1 VREF 1 VREF 16 DTC 16 DTC R1 Vdt 16 R2 MB3832A ■ ソフトスタート時間設定方法 電源起動時の突入電流を防止するために , DTC 端子 (16 ピン ) を利用して , ソフトスタートを設定することができます。 電源投入後 , DTC 端子に接続したコンデンサ (Cdt) に充電を開始します。PWM コンパレータにより DTC 端子電圧に比 例したソフトスタート設定電圧と三角波電圧を比較し , OUT 端子 (19 ピン ) の ON デューティを変化させソフトスタート 動作します。 ON デューティ≒ 50 %までのソフトスタート時間は次のようになります。 ・図 c の場合 ソフトスタート時間 ( 出力 ON ≒ 50 %になるまでの時間 ) 1.022 × Cdt (F) × Rdt (Ω) ts (s) = − Cdt (F) × Rdt (Ω) × ln (1 − 1.6 ) 2.5 ・図 d の場合 ソフトスタート時間 ( 出力 ON ≒ 50 %になるまでの時間 ) × ln (1 − 1.6 (R1 (Ω) + R2 (Ω)) ) ts (s) = − Cdt (F) × R1 (Ω) × R2 (Ω) R1 (Ω) + R2 (Ω) 2.5R2 (Ω) 図 c ソフトスタート設定法 図 d 休止期間とソフトスタートの設定法 1 VREF 1 VREF Rdt R1 16 DTC Cdt 16 DTC Cdt R2 17 MB3832A ■ CTL, SYNC 端子 等価回路図 ・CTL 端子 CTL 17 ・SYNC 端子 VCC SYNC 4 1.4 V 18 GND 5.1 kΩ 20.6 kΩ Vin FB2 FB1 DTC +IN1 0.22 µF +IN2 10 kΩ c* 10 kΩ 10 kΩ b* a* 2.1 V − − + Error Amp.1 Error Amp.2 SCP Comp. + − + − 充電電流設定 5 1 µA 16 8 7 6 13 14 15 CSCP 0.22 µF 470 kΩ 3.9 kΩ 0.033 µF −IN1 10 kΩ +IN2 0.1 µF −IN2 33 kΩ 5.1 kΩ 同期信号 S R Latch 5V 0V bias 1.1 V + − UVLO DTC Comp. ×25 4 9 SYNC + − −INC PWM Comp. Current Amp. + + + − 12 COUT 2 CT 1 11 CTL 0.1 µF VREF 2.5 V Ref VE 17 CTL 20 GND VCC OUT 19 18 100 kΩ VCC 1V 1.9 V 1.3 V bias 12kΩ 390pF RT 3 Out +INC OSC 10 2.2 µF 100 µF 5.1Ω ( 負荷用 ) GND 68 µF RS 0.033Ω VO (12.6 V) *: a は充電電流を 3 A に設定 b は充電電流を 2 A に設定 c は充電電流を 1 A に設定 MTD20P03HDL:モトローラ社製 MBRS130LT3:モトローラ社製 0.1 µF MBRS130 LT3 MTD20P03HDL 18 µH MB3832A ■ 応用回路例(ステップダウン方式) 19 MB3832A ■ 参考データ 出力電圧−出力電流特性 Vin = 16 V Ta = +25°C 14 12 V+IN2 = VREF/3 (+IN2→c) V+IN2 = VREF∗2/3 (+IN2→b) V+IN2 = VREF (+IN2→a) 出力電圧 VO (V) 10 8 6 4 2 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 出力電流 IO (A) ソフトスタート動作波形 20 Vin = 16 V CTL = 5 V RL = 5 Ω(2.52 A) 15 100 VO(V) 10 90 5 0 10 CTL(V) 5 10 0% 0 0 20 40 80 120 160 200 t(ms) 4 MB3832A ■ 使用上の注意 ・プリント基板のアースラインは,共通インピーダンスを考慮し設計してください。 ・静電気対策を行ってください。 ・半導体を入れる容器は,静電気対策を施した容器か,導電性の容器をご使用ください。 ・実装後のプリント基板を保管・運搬する場合は,導電性の袋か,容器に収納してください。 ・作業台,工具,測定機器は,アースを取ってください。 ・作業する人は,人体とアースの間に 250 kΩ ∼ 1 MΩ の抵抗を直列にいれたアースを使用してください。 ・負電圧を印加しないでください。 ・− 0.3 V 以下の負電圧を印加した場合, LSI に寄生トランジスタが発生し,誤動作を起こすことがあります。 ■ オーダ型格 型 格 MB3832APFV パッケージ 備 考 プラスチック・SSOP, 20 ピン (FPT-20P-M03) 21 MB3832A ■ 外形寸法図 注 1) * 1 印寸法のレジン残りは片側+ 0.15 (.006) MAX 注 2) * 2 印寸法はレジン残りを含まず。 注 3) 端子幅および端子厚さはメッキ厚を含む。 注 4) 端子幅はタイバ切断残りを含まず。 プラスチック・SSOP, 20 ピン (FPT-20P-M03) *1 6.50±0.10(.256±.004) 0.17±0.03 (.007±.001) 11 20 *24.40±0.10 6.40±0.20 (.173±.004) (.252±.008) INDEX Details of "A" part +0.20 1.25 –0.10 +.008 .049 –.004 LEAD No. 1 10 0.65(.026) "A" 0.24±0.08 (.009±.003) 0.10(.004) C (Mounting height) 0.13(.005) M 0~8˚ 0.50±0.20 (.020±.008) 0.60±0.15 (.024±.006) 0.10±0.10 (Stand off) (.004±.004) 0.25(.010) 2003 FUJITSU LIMITED F20012S-c-4-6 単位:mm (inches) 注意:括弧内の値は参考値です。 22 MB3832A MEMO 23 富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 〒 163-0722 東京都新宿区西新宿 2-7-1 新宿第一生命ビル http://jp.fujitsu.com/fml/ お問い合わせ先 富士通エレクトロニクス株式会社 〒 163-0731 東京都新宿区西新宿 2-7-1 新宿第一生命ビル http://jp.fujitsu.com/fei/ 電子デバイス製品に関するお問い合わせは , こちらまで , 0120-198-610 受付時間 : 平日 9 時~ 17 時 ( 土・日・祝日 , 年末年始を除きます ) 携帯電話・PHS からもお問い合わせができます。 ※電話番号はお間違えのないよう , お確かめのうえおかけください。 本資料の記載内容は , 予告なしに変更することがありますので , ご用命の際は営業部門にご確認ください。 本資料に記載された動作概要や応用回路例は , 半導体デバイスの標準的な動作や使い方を示したもので , 実際に使用する機器での動作を保証するも のではありません。従いまして , これらを使用するにあたってはお客様の責任において機器の設計を行ってください。これらの使用に起因する損害な どについては , 当社はその責任を負いません。 本資料に記載された動作概要・回路図を含む技術情報は , 当社もしくは第三者の特許権 , 著作権等の知的財産権やその他の権利の使用権または実施 権の許諾を意味するものではありません。また , これらの使用について , 第三者の知的財産権やその他の権利の実施ができることの保証を行うもので はありません。したがって , これらの使用に起因する第三者の知的財産権やその他の権利の侵害について , 当社はその責任を負いません。 本資料に記載された製品は , 通常の産業用 , 一般事務用 , パーソナル用 , 家庭用などの一般的用途に使用されることを意図して設計・製造されてい ます。極めて高度な安全性が要求され , 仮に当該安全性が確保されない場合 , 社会的に重大な影響を与えかつ直接生命・身体に対する重大な危険性を 伴う用途(原子力施設における核反応制御 , 航空機自動飛行制御 , 航空交通管制 , 大量輸送システムにおける運行制御 , 生命維持のための医療機器 , 兵 器システムにおけるミサイル発射制御をいう), ならびに極めて高い信頼性が要求される用途(海底中継器 , 宇宙衛星をいう)に使用されるよう設計・ 製造されたものではありません。したがって , これらの用途にご使用をお考えのお客様は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。ご相談なく使用 されたことにより発生した損害などについては , 責任を負いかねますのでご了承ください。 半導体デバイスはある確率で故障が発生します。当社半導体デバイスが故障しても , 結果的に人身事故 , 火災事故 , 社会的な損害を生じさせないよ う , お客様は , 装置の冗長設計 , 延焼対策設計 , 過電流防止対策設計 , 誤動作防止設計などの安全設計をお願いします。 本資料に記載された製品を輸出または提供する場合は , 外国為替及び外国貿易法および米国輸出管理関連法規等の規制をご確認の上 , 必要な手続き をおとりください。 本書に記載されている社名および製品名などの固有名詞は , 各社の商標または登録商標です。 編集 販売戦略部