決算経営方針および経営成績

経営方針および経営成績
1.経営方針
(1) 経営の基本方針
リコーグループは、グループビジョン「21 世紀の勝利者」を掲げ、お客様と社会から信頼され、常に新しい価値創
造を行うことでトップシェア事業を有し、業界に対する影響力を持ったグローバル優良企業を目指しております。
そのため、オフィスの生産性向上を目指す「Image Communication(イメージコミュニケーション)」を事業領域
に定め、お客様視点に立った新しい商品やサービスをグローバル規模で提供してまいりました。
1999 年 4 月から 2002 年 3 月までを期間とする「第 13 次中期経営計画」では、
①「企業価値の増大を目指したグループ経営の革新」
②「成長を目指した事業・収益構造の変革と技術力の強化」
③「キャッシュフローマネジメントの強化と低コスト体質の実現」
を経営の基本方針として掲げ、グループ全体でその実現に向けた取り組みを行っております。
(2) 利益配分に関する基本方針
リコーグループは、企業体質の強化および新たな事業展開のため、内部留保の充実を図りながら、常に収益の向上
を通して安定した配当を行うよう努めております。また、内部留保資金は、基盤となる事業の強化と中・長期的視野
に立った成長事業分野への投資を中心に充当してまいります。
(3) 中長期的な経営戦略と経営管理組織の整備に関する施策
リコーグループは、お客様満足度(CS)の向上こそが、企業価値の増大を図るうえで最初に取り組むべき経営課題
と考え、CS を経営の軸に据えて、戦略や重点施策を展開してまいりました。その結果、第三者によるお客様満足度
調査では6年連続第一位(国内複写機)を頂戴するなど、「CS のリコー」としての高い評価をいただき、それがこ
の間の好調な業績につながっているものと考えております。
またリコーグループは、激変する経営環境下においても継続的に企業価値の増大を図っていけるよう、経営機構の
改革に挑んでおります。この改革の目指すところは、「個の強化」に基づく「総合力の発揮」です。グループ各社・
各事業がそれぞれ自立した企業として競争力を強化し、その強者同士の協業によってグループ全体の企業価値を高め
てまいります。
この目標を達成するためにリコーグループはこの度、執行役員制導入による執行役員への大幅な権限委譲(個の強
化)や、社外取締役招聘による取締役会の強化(総合力の発揮)を実施いたしました。今後も、さまざまな改革を通
して、迅速で機動的に行動できるグループ経営への変革を推し進めてまいります。
事業展開においては、
− ネットワーク画像機器のマーケットシェア拡大
− プリンティング・ソリューションの展開
− 世界 5 極(日本、米州、欧州、アジア/オセアニア、中華圏)展開強化
を基本的戦略として、事業のさらなる成長を目指しております。
ネットワーク画像機器のマーケットシェア拡大およびプリンティング・ソリューションでは、市場におけるカラー
化ニーズの高まりに対応して、ビジネス向けで世界トップレベルの高速・高画質を達成したカラープリンター「IPSiO
Color 8000」を始め、環境対応を十分考慮し、2000 年度省エネ大賞「経済産業省大臣賞」を受賞したデジタルネッ
トワーク複合機「imagio Neo 350/450 シリーズ」、さらには、簡易にペーパーレスや業務効率化を図ることができ
る文書管理システム「Ridoc Document System」など、使いやすさと先進性を備えた競争力のある新しい商品やサ
ービスを提供してまいりました。
グローバル展開の強化では 2001 年 1 月、欧米市場を中心にオフィス向け画像機器などの販売・サービス事業を展
開しているレニエ・ワールドワイド社を買収いたしました。これによって、特に米国市場での直接販売網が強化され、
お客様により密着したソリューション事業の拡大が可能となりました。
1
さらにリコーグループは、昨今のデフレ環境に対応できる高効率の「低コスト経営」を目指して、さまざまな取り
組みを進めております。例えば、「お客様満足度の向上」と「利益創出(キャッシュ)の追究」を同時に実現する“新
たなサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)”を構築しているほか、開発、生産においても低コスト体質の実
現に向けた活動を展開しております。
(4) 対処すべき課題
リコーグループの成長を目指した事業の戦略は、着実に業績に結実しております。しかし一方で、競合各社のカラ
ー化やデジタルネットワーク化の進展、あるいは加速するインターネットの普及といった市場変化が起きており、そ
れに伴ってお客様ニーズも多様化の一途を辿っております。こうした新たな市場の変化に対応するうえで必要な技術
の開発や販売チャネルの開発を推し進めつつ、収益構造の強化を図っていくことがますます重要になってまいりまし
た。
このような課題認識の下、リコーグループは、今後も「お客様満足度の向上」と技術強化によって、戦略展開の一
層の加速・拡充を図ってまいります。
今や待ったなしの状態にある環境保全活動は、一過性ではなく継続して取り組まれるべき課題となっております。
リコーグループは今後も企業として継続的に活動していくために、「環境対応」や「環境保全」にとどまらず、環境
保全と利益創出の両立を図る「環境経営」の実践と定着を図ってまいります。
2
2.経営成績
(1)当期の概況
当期(平成 12 年度)
前期(平成 11 年度)
前期比増減
(国内)売上高
9,304 億円
8,731 億円
6.6%(増)
(海外)売上高
6,078 億円
5,739 億円
5.9%(増)
売上高合計
15,382 億円
14,471 億円
6.3%(増)
売上総利益
6,133 億円
5,800 億円
5.8%(増)
営業利益
1,051 億円
889 億円
18.2%(増)
税引前利益
977 億円
703 億円
38.9%(増)
当期純利益
532 億円
419 億円
27.0%(増)
1株当たり当期純利益
潜在株式調整後
1株当たり当期純利益
76 円 85 銭
60 円 61 銭
16 円 24 銭(増)
71 円 02 銭
56 円 06 銭
14 円 96 銭(増)
株主資本当期純利益率
9.7%
8.1%
1.6ポイ
ント(増)
総資本税引前利益率
6.0%
4.4%
1.6ポイ
ント(増)
売上高税引前利益率
6.4%
4.9%
1.5ポイ
ント(増)
17,047 億円
15,433 億円
1,614 億円(増)
株主資本
5,567 億円
5,415 億円
152 億円(増)
有利子負債
5,389 億円
5,151 億円
238 億円(増)
32.7%
35.1%
2.4ポイ
ント(減)
803 円 64 銭
782 円 43 銭
21 円 21 銭(増)
営業活動によるキャッシュ・フロー
1,027 億円
1,356 億円
329 億円(減)
投資活動によるキャッシュ・フロー
△ 627 億円
△ 284 億円
342 億円(減)
財務活動によるキャッシュ・フロー
△ 883 億円
△1,212 億円
328 億円(増)
644 億円
1,118 億円
473 億円(減)
為替レート(US$)
110 円 60 銭
111 円 52 銭
92 銭(円高)
為替レート(EURO)
100 円 41 銭
115 円 35 銭
14 円 94 銭(円高)
設備投資額
733 億円
583 億円
150 億円(増)
有形固定資産減価償却費
621 億円
619 億円
2 億円(増)
研究開発費
782 億円
665 億円
117 億円(増)
従業員数(国内)
40.5 千人
41.3 千人
0.8 千人(減)
従業員数(海外)
33.8 千人
26.0 千人
7.8 千人(増)
総資産
株主資本比率
1株当たり株主資本
現金及び現金等価物期末残高
3
○
全般の状況
−
当期のリコーグループにおける売上高は 1 兆 5,382 億円と前期に比べ 6.3%増加し、7 期連続の増収を達成し
ました。なお、為替の影響を除く実質伸び率は 9.2%です。
−
国内売上高は前期に比べ 6.6%増加し、海外売上高は為替の円高影響を吸収して前期に比べ 5.9%の増加とな
りました。なお、為替影響を除く実質の海外売上高伸び率は 13.2%と大きく増加しております。売上高の増加要
因としては、マルチ・ファンクション・プリンター(MFP)を中心としたプリンティング・システムの大幅な増
加や光ディスク事業・半導体事業などの拡大によるものです。
−
当期の営業利益は高付加価値商品であるマルチ・ファンクション・プリンター(MFP)の数量増やその他事業
の採算性の改善等により、前期に比べ 18.2%の増益となりました。また、営業外損益では金融収支の改善や為替
差損益の大幅な改善等により、税引前利益は前期に比べ 38.9%の増益となりました。
−
−
これらの結果、当期純利益は前期に比べ 27.0%の増益となり、9 期連続の増益を達成しました。
当期の配当金につきましては、期末配当として 1 株あたり 50 銭増配の 6 円 00 銭とし、既に実施済みの中間配
当金 6 円 00 銭と合わせて、年間配当金は 1 株あたり 12 円 00 銭とさせていただく予定です。
連結業績推移
1株当たり当期純利益
(
円)
株主資本当期純利益率
総資本税引前利益率
9.7
80
60
40
20
0
(
億円)
16,000
8.1
7.0
6.7
4.2
4.1
6.4
3.2
6.0
4.4
44.16
44.97
44.33
60.61
76.85
平成8年度
平成9年度
平成10年度
平成11年度
平成12年度
売上高
(
%)
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
(
億円)
600
当期純利益
532
12,000
419
400
15,382
8,000
289
306
301
14,033
4,000
14,471
14,259
200
13,160
0
0
平成8年度
平成9年度
平成10年度
4
平成11年度
平成12年度
○
連結分野別売上高(伸び率は為替の影響を除いたものです)
画像ソリューション
デジタル画像
デジタル PPC は新製品(imagio MF 105Pro、imagio color 3100、imagio Neo 350/450 シリーズ他)の投
入により商品構成の充実に努めました。その結果、国内外で順調に売上高を伸ばし前期に比べ 8.2%の増
加となりました。特に海外においては前期に比べ 12.5%の増加となるなど大きく拡大しました。
その他画像
アナログ PPC はデジタル PPC やマルチ・ファンクション・プリンター(MFP)への移行が進んでおり、前期
に比べ 13.2%の減少となりました。
ネットワークI/Oシステム
プリンティングシステム
リコーグループでは国内外におけるプリンティング機器の拡大とプリンティング・ソリューションの強化を
図っています。このような中、マルチ・ファンクション・プリンター(MFP)の新製品投入や、お客様のカラ
ー化ニーズの高まりにいち早く対応した高速・高画質なカラープリンター「IPSiO 8000」を商品化するなど
積極的な展開を行なってまいりました。その結果、売上高は前期に比べ 59.7%と大きく増加しております。
その他I/Oシステム
光ディスク事業は順調に推移しており、その他I/Oシステム全体で売上高は前期に比べ 44.2%の増加とな
りました。
ネットワークシステムソリューション
パソコン・ユースウエア・ドキュメントソリューション等、ネットワークに対応したソリューションビジネ
スを強化してまいりました。その結果、売上高は前期に比べ 15.2%の増加となるなど順調に拡大しておりま
す。
その他事業
半導体事業は、移動体通信機器用 LSI の需要拡大などにより売上高が拡大しました。その一方で、アナログ
カメラ事業の落ち込みや計量器事業の低需要期による影響で売上高が減少するなど、その他事業全体では
4.4%の増加にとどまりました。
分野別売上高
画像ソリューション
ネットワークシステムソリューション
(
億円)
16,000
1,998
1,940
12,000
2,095
1,819
ネットワークI/Oシステム
その他事業
2,026
2,096
1,731
2,618
2,715
8,980
8,670
8,963
平成11年度
平成12年度
8,000
4,000
0
5
平成12年度※
※ 前年と同じレートで換算した場合の売上高
○
地域別売上高(伸び率は為替の影響を除いたものです)
国内
マルチ・ファンクション・プリンター(MFP)を中心としたプリンティング・ソリューション及びネットワー
ク・ソリューションを強化してまいりました。加えて光ディスク事業や半導体事業も順調に推移し、国内全
体では 6.6%の増加となりました。
米州
北米地区を中心に、高速デジタル PPC とマルチ・ファンクション・プリンター(MFP)の拡大に取組んでまい
りました。その結果、特にプリンティングシステムは前期に比べ大幅に増加し、売上高拡大に大きく貢献し
ました。また、2001 年 1 月に買収したレニエ・ワールドワイド社の売上高も加わり、米州全体では 10.2%増
加しました。
欧州
この地域でトップシェアを有しているデジタル PPC とマルチ・ファンクション・プリンター(MFP)は継続し
て順調に推移し、売上高拡大に貢献しました。その結果、欧州全体では 8.4%の増加となりました。
その他
買収等による販売チャネル強化策の効果により、中華圏及びアジアパシフィック地域での売上高は、画像ソ
リューションを中心に順調に推移しました。また、光ディスク事業や半導体事業もアジア地区で増加したこ
ともあり、その他地域全体では 36.2%の増加となりました。
地域別売上高
(
億円)
16,000
日本
米州
欧州
その他
1,076
1,147
2,474
2,802
2,526
2,546
8,731
9,304
9,304
平成11年度
平成12年度
842
12,000
2,585
2,311
8,000
4,000
0
6
平成12年度※
※ 前年と同じレートで換算した場合の売上高
○
連結セグメント情報
ビジネスセグメント
事務機器事業
お客様のニーズにより対応したデジタル PPC の商品力強化やマルチ・ファンクション・プリンター(MFP)
によるプリンティング・ソリューションの積極的な展開等に取組み、その結果、売上高・営業利益ともに
大きく増加しました。設備投資面では、新製品の生産ライン増強や商品開発等、積極的な投資を行なった
ことで増加しております。なお、総資産の著しい増加は主にレニエ・ワールドワイド社の買収に伴うもの
です。
その他事業
半導体の売上高増加による生産効率の向上等により前年に比べ営業利益は増加しました。設備投資面にお
いても、半導体の増産への対応による投資で増加しております。
事務機器事業損益
(
億円)
(
%)
売上高
15,000
12,530
12,000
営業利益
営業利益率
13,383
10.2
12.0
10.7
8.0
9,000
6,000
4.0
3,000
1,425
1,283
0
0.0
平成11年度
平成12年度
その他事業損益
(
億円)
2,500
売上高
営業利益
2,050
1,974
2,000
(
%)
7.0
営業利益率
6.4
6.0
5.0
1,500
4.0
3.1
1,000
3.0
2.0
500
131
60
0
1.0
0.0
平成11年度
平成12年度
総資産・設備投資・減価償却費
当期(平成 12 年度)
前期(平成 11 年度)
前 期 比 増 減
総資産
事務機器事業
その他事業
11,794 億円
1,801 億円
9,653 億円
1,610 億円
2,141 億円(増)
191 億円(増)
618 億円
102 億円
518 億円
55 億円
100 億円(増)
46 億円(増)
529 億円
75 億円
540 億円
68 億円
11 億円(減)
7 億円(増)
設備投資
事務機器事業
その他事業
減価償却費
事務機器事業
その他事業
7
所在地別セグメント
日本
事務機器事業など主軸事業の収益向上に加え、光ディスク事業や半導体事業が好転したことにより営業
利益が大きく増加しました。
米州
画像機器事業は順調に推移し営業利益は増加しました。その一方で、2001 年 1 月に買収したレニエ・ワ
ールドワイド社の一時的なコストの発生や研究開発子会社(Ricoh Innovations,Inc)における研究開
発費の増加があり、米州全体での営業利益は減少となりました。
欧州
販売面ではこれまで販売チャネルの強化・整備を図ってまいりました。その結果、売上高は引続き好調
に推移し営業利益も増加しました。一方、生産面ではイギリスの生産会社において機種切替時の一時的
な操業度低下が発生し営業利益が減少しました。加えて為替のユーロ安影響もあり、欧州全体での営業
利益は減少となりました。
その他
買収等による販売チャネル強化策の効果が現れ、売上高は順調に増加し、営業利益も増加となりました。
所在地別セグメント営業利益
日本(
営業利益)
日本(
利益率)
米州(
営業利益)
米州(
利益率)
欧州(
営業利益)
欧州(
利益率)
その他(
営業利益)
その他(
利益率)
(
億円)
(
%)
1,200
900
8.8
8.1
61
7.1
112
52
8.0
89
6.0
132
102
600
9.0
5.0
4.4
4.5
3.6
300
3.0
835
625
0
0.0
平成11年度
平成12年度
8
(2)次期の見通し
○
経済の見通しとリコーグループの平成13年度施策
日本における景気の低迷やアメリカ経済の減速など、世界経済は不透明感が高まっております。このような状況
の中、リコーグループでは2001年度において以下のような施策を実施し、売上高及び利益の増大に努めてま
いります。
国内
・マルチ・ファンクション・プリンター(MFP)を主軸にしたプリンティングシステムの継続展開による一層
の拡大
・カラー機器(PPC・MFP・レーザープリンター)の商品ラインナップの充実と販売強化
・ソリューションビジネスの更なる強化による拡大
海外
・レニエ・ワールドワイド社等による新規チャネルを活かした大手への販売強化
・マルチ・ファンクション・プリンター(MFP)を主軸にしたプリンティングシステムの継続展開による一層
の拡大
・カラー機器(PPC・MFP・レーザープリンター)の商品ラインナップの充実と販売強化
○
為替レート
US$ 1= 115円(前年 110円60銭)
EURO 1= 105円(前年 100円41銭)
次期見通し
(平成 13 年度)
当 期
(平成 12 年度)
前期比増減
(国内)売上高
9,800 億円
9,304 億円
5.3%(増)
(海外)売上高
7,250 億円
6,078 億円
19.3%(増)
売上高合計
17,050 億円
15,382 億円
売上総利益
6,860 億円
6,133 億円
11.8%(増)
営業利益
1,300 億円
1,051 億円
23.7%(増)
税引前利益
1,170 億円
977 億円
19.7%(増)
当期純利益
640 億円
532 億円
20.2%(増) ※10 期連続増益
10.8%(増) ※8 期連続増収
上記の業績見通しは、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断した見通しであり、リスクや不確実性
を含んでいます。実際の業績は、さまざまな重要な要素により、これら業績見通しとは大きく異なる結果
となり得ることをご承知おきください。
(空白頁)
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