富士時報 Vol.79 No.1 2006 電子デバイス・半導体 IC・パワー半導体 展 望 2005 年は半導体業界においては,薄型テレビに代表さ した。また,PDP 電源のサステイン出力整流用に従来の れるデジタル家電を中心に新規需要と設備投資の拡大に支 高速ダイオードより,より高速な 800 V LLD を開発した。 えられ堅調に推移した年であった。このような市況の下, 自動車電装用途向けには,ECU 搭載用としては初めて 富士電機の半導体は高耐圧,パワー技術を特徴として,顧 電流制限と過熱保護機能を内蔵した SMD 型ワンチップ 客の機器,システムの高機能化,省電力化,低コスト化な イグナイタや,サージ吸収機能を初めて内蔵した入力統 どのニーズに応える製品群を提供してきた。 合 IC の製品化を果たすとともに,オートマチックトラス 電源 IC 分野では,年々厳しくなる低待機電力の要求に ミッション用ソレノイドバルブの駆動素子として初めて 応えるため,高耐圧起動素子を内蔵し軽負荷時バースト動 チップサイズパッケージを採用した超小型インテリジェン 作機能を有する部分共振型制御 IC を開発した。また,電 トパワースイッチを開発し,ECU の小型化に貢献してい 源システムトータルでの小型・低コスト化に貢献できる高 る。電動パワーステアリング向けには,面積あたりのオ 機能スイッチング電源 IC の開発を行った。 ン抵抗を第一世代比で約 20%改善した第二世代トレンチ さらに携帯機器における小型化,高効率化の要求実現 MOSFET の第一弾として 60 V の製品系列を開発し,低 のため,インダクタとスイッチング電源制御 IC を一つの 損失化と低コスト化を進めている。圧力センサでは,従来 モジュールに組み込んだマイクロ電源を製品化した。ま からのエンジン制御用のマニホルド圧センサや大気圧セン た,デジタル化が進むテレビ用に高耐圧のカレントモード サに加えて,安全性向上のための法規制に伴って今後必要 DC-DC コンバータ IC を開発した。 となるガソリンタンク圧センサとして微差圧センサの開発 PDP テレビ市場は本格的な普及段階を迎えており,ま を進め,多様化する顧客要求への対応を図っている。 た,同時に大型化の波も押し寄せ,サイズ別のすみ分けも パワーデバイス分野では,第五世代 IGBT「U シリー 変化してきている。PDP テレビに対してはますます大画 ズ」の技術を基に帰還容量と入力容量のバランスを改善 面・高精細化の要求が強くなってきている。富士電機では することでさらに低損失で使いやすさを実現した「U4 シ これらの動向に対応して,PDP ドライバ IC のコストダウ リーズ」を開発し量産化を開始した。1,200 V,1,700 V 耐 ンや大画面・高精細化対応を積極的に推進している。2005 圧において 3,600 A までの電流定格品をさまざまな市場 年はコストダウンと大画面・高精細対応のためにアドレス ニーズに応えるパッケージで系列化している。特に大容量 ドライバ IC では 192 出力 / 256 出力,スキャン IC では 分野では 1,200 V 600 A から 1,200 A の 2 個組モジュール 64 出力 / 80 出力の多出力化を行い,それぞれ製品化した。 をスタンダードパッケージに搭載し,産業用インバータ用 ディスクリート分野では,PDP サステイン回路の低損 途への展開を図っている。 失化,同期整流回路に対応するパワー MOSFET として 小容量分野では装置の小型化に加え実装工程の容易性を 100 〜 200 V のトレンチ MOSFET を開発した。また,液 向上させる表面実装型モジュール(SMD)と同サイズで 晶テレビ分野を中心に使用され好評を得ているマルチチッ 従来端子型モジュール(TMD)の新パッケージを開発し プデバイス「M-Power2」の大容量品の開発・系列化を 製品化を進めている。 行い,42 インチ液晶テレビまでの適用を可能とした。一 また,IPM 分野では第五世代の技術を適用した IPM 用 方,スイッチング電源の二次側出力整流用にソフトリカバ チップを 1,200 V 25 A から 75 A に適用し,高周波化と低 リー性を有し,電源の高効率化と低ノイズ化が可能となる 損失化の要求に対応した。 300 V,400 V の低損失高速ダイオード(LLD)を開発・ 今後も引き続き富士電機の半導体製品は特徴ある技術を 系列化した。さらに小型・薄型化要求に対応するため,2 生かして,多様化する顧客ニーズに迅速に対応する所存で 端子 SMD パッケージの定格 2 〜 4 A の SBD を系列拡充 ある。 73 富士時報 電子デバイス・半導体 Vol.79 No.1 2006 IC・パワー半導体 80 ビット出力 PDP スキャンドライバ IC「FD3293F」 PDP(Plasma Display Panel)テレビの大画面化・高精 図1 80 ビット出力 PDP スキャンドライバ IC 細化・低価格化が進むにつれて,ドライバ IC には大電流 化や高耐圧化,コストダウンが要求されている。これらの 要求に応えるために,HD(High Definition)パネルにお いてその使用個数を従来の 12 個から 10 個に削減可能とし た 80 ビットスキャンドライバ IC「FD3293F」を開発した。 主な特徴は次のとおりである。 170 V 高耐圧 IGBT 出力 SOI 構造 ( 1) ドライブ電流:− 0.4 A/+ 1.2 A(ソース/シンク) ( 2) ダイオード電流:− 1.2 A/+ 1.2 A(ソース/シンク) ( 3) 出力動作電圧:30 〜 140 V ( 4) 80 ビット双方向シフトレジスタ(15 MHz) ( 5) 外形 : エクスポーズドパッド TQFP100 ピン ( 6) 大容量マルチチップデバイス「M-Power2」 富士電機では,スイッチング電源用に効率・ノイズ特性 図 M-Power2 に優れた独自の複合発振型電流共振電源技術を開発し,制 御 IC と二つの MOSFET を一つの小型パッケージ(高さ 10 mm)に搭載した「M-Power2」を製品化し好評を得て いる。近年,フラットパネルテレビ用電源の需要が増え, 大画面化に対応した大容量化の要求がある。そこで,同 パッケージに従来よりも低オン抵抗の MOSFET を搭載し, 約 350 W までの液晶テレビなどの大容量フラットパネル 用電源などにも対応可能な M-Power2 を開発した。電源 効率は 90%以上で,大容量・小型・薄型電源に最適である。 新製品は次のとおりである。 F9223L(500 V/0.5 Ω) ( 1) F9227L(500 V/0.38 Ω 開発中) ( 2) 小型広角モジュール「FM6272W90」 デジタルカメラのオートフォーカス(AF)用センサと 関連論文:富士時報 2005.4 p.307-311 図 開発品(FM6272W90)と従来品(FM6270W45) して,小型かつ高精度な AF モジュール「FM6272W90」 を開発した。 この製品は,すでに市場で十分な採用実績のある小型・ 高精度 AF モジュール「FM6270W45」に対し,同等の精 度でコストダウンを実現した(写真) 。 さらに,FM6270W45 に比べ, ) ™視野角:2.7 倍(14°/37.4° ™レンズ温度補正用温度センサを内蔵 (デジタルカメラ本体のトータルコストダウンに貢献) など,性能・機能を向上し,さらに使いやすいものとなっ ている。 74 FM6272W90 FM6270W45 富士時報 電子デバイス・半導体 Vol.79 No.1 2006 IC・パワー半導体 高耐圧出力 MOSFET 内蔵 1 チャネル DC-DC コンバータ制御 IC「FA7733N」 低消費電力で外部部品点数の少ない MOSFET 内蔵 1 図 FA7733N 図 部分共振型低待機電力電源 IC 図 FA5523 のブロック図 チャネルステップダウンコンバータ用 IC を開発した。高 入力電圧(〜 45 V)から任意の出力を得ることができ, 小型・高効率(> 85%)の DC-DC コンバータを実現で きる。この IC の主な特徴は次のとおりである。 高耐圧 CDMOS プロセスによる低消費電流 ( 1) 広い入力電圧範囲 10 〜 45 V(絶対最大定格 50 V) ( 2) 低 オ ン 抵 抗 p チ ャ ネ ル パ ワ ー MOSFET 内 蔵(Io = ( 3) 1.2 A) 各種保護回路内蔵(低電圧誤動作防止,ソフトスター ( 4) ト,過電流保護,タイマラッチ式短絡保護,過熱保護) スタンバイ機能(スタンバイ電流< 30 µA) ( 5) 発振周波数可変(f = 30 〜 400 kHz) ( 6) 小型パッケージ エクスポーズドパッド SOIC-8 ( 7) 部分共振型低待機電力電源 IC「FA5540」 スイッチング電源の高効率化のためスイッチング損失を 低減し,軽負荷時にはバースト制御により待機電力削減を 実現する部分共振型スイッチング電源制御 IC を開発した。 30 V 耐圧厚膜ゲート CMOS プロセスの採用により IC を低消費電流化し,高耐圧起動素子と起動回路を内蔵する ことにより電源の部品点数を削減することが可能である。 その他の特徴は次のとおりである。 ピーク電流制御方式電流モード部分共振制御 ( 1) 最大周波数制限機能内蔵(typ:60 kHz で制限) ( 2) 過負荷時遮断機能内蔵(オートリスタートモード) ( 3) ラッチモード過電圧遮断回路内蔵 ( 4) パワー MOSFET を直結可能なドライブ回路を内蔵 ( 5) DIP-8 または SOP-8 の 2 種類のパッケージ ( 6) 高機能スイッチング電源 IC「FA5523」 スイッチング電源の低待機電力対応のため,高耐圧の起 動素子を内蔵し,8 ピンパッケージのままで,従来外部部 品で構成していたノイズ低減のための周波数ジッタリング VH (8) 機能,AC 入力電圧を監視するブラウンアウト機能を IC に内蔵化し,外部部品点数を削減した高機能スイッチング 5V VCC (6) + − 28 V 30 V ラッチ 過熱保護 S − ジッタ 発振器 軽負荷時周波数低下機能内蔵(typ 1 kHz まで低下) ( 1) 過負荷時の保護機能をラッチ停止と自動復帰の 2 タイ ( 2) 1.05 V タイマ ブランキング プ用意(FA5523:自動復帰,FA5524:ラッチ停止) VCO JIN T1 Q FF QB + 発振器 Dmax 1_shot Q TRG CLR 5V 過負荷保護 出力 S Q FF QB GND (4) R 電源端子過電圧,電源端子低電圧入力に対する保護機 ( 4) − FB (2) AMP X (−1/3) + 1.5 V + + PWM − VCC 5V VCC 5 V基準電圧 ENB + 2.7 V 0.4 V − 4V OFF 100 kΩ OUT (5) ENB R RST T2 過熱保護サーミスタ用端子を装備 ( 3) DIP-8 または SOP-8 の 2 種類のパッケージ ( 5) 過電圧保護 enb bo ブラウンアウト 電源 IC を開発した。その他の特徴は次のとおりである。 能内蔵 起動 out 回路 UVLO ラッチ 70 A OTP (1) 内部バイアス UVLO − + 16.5 V/9 V 100 kΩ IS (3) 75 富士時報 電子デバイス・半導体 Vol.79 No.1 2006 IC・パワー半導体 マイクロ電源 携帯機器用途に,制御 IC とインダクタを一体化し,省 関連論文:富士時報 2005.4 p.286-289 図 マイクロ電源 図 300 V,400 V 低ノイズ高速ダイオード 図 自動車用燃料タンク漏れ検出圧力センサ スペースを実現するマイクロ電源「FB6800 シリーズ」を 開発,製品化した。 フェライト基板にめっき配線を施してインダクタを形成 し,超音波で制御 IC とフリップチップ接続してモジュー ル構造にする。主な特徴は次のとおりである。 外形:3.5 mm × 3.5 mm,厚さ 1 mm(max) ( 1) パッケージ:CSM(Chip Size Module)12 ピン ( 2) ,Rdc = 0.2 Ω インダクタ:L = 1.64 µH(300 mA) ( 3) 入力電圧:4.0 〜 8.4 V(Li イオン電池 2 セル対応) ( 4) スイッチング周波数:2 MHz ( 5) CPU とのシリアルインタフェースで各種設定可能 ( 6) ( 7) 低消費電流:スタンバイ時 1 µA,動作時 800 µA 300 V,400 V 低ノイズ高速ダイオード 高効率,低ノイズ化が要求されるスイッチング電源に おいて,富士電機では,従来から使用されている 300 〜 400 V の超高速低損失ダイオード(LLD)と比較し,低逆 漏れ電流特性でスイッチング時のソフトリカバリー性を有 し,電源の低損失化とスイッチング時の跳ね上がり逆電圧 が小さく,ノイズの低減により,ノイズ対策部品の削減を も可能とする 24 V 出力以上の電源二次側整流用に最適な 300 V,400 V の高速ダイオードを開発した。製品系列は 次のとおりである。 定格電圧:300 V,400 V ( 1) 定格電流:10 A,20 A ( 2) パッケージ:TO-220,TO-220 F,T-Pack ( 3) 自動車用燃料タンク漏れ検出圧力センサ 米 国 市 場 に 代 表 さ れ る OBD(On Board Diagnostic System)規制により,燃料タンクシステムのガソリン蒸 気漏れ検出の義務づけが広がりを見せてきている。今回, CMOS プロセスによるデジタルトリミング式自動車用燃 料タンク漏れ検出圧力センサを開発した。主な特徴は次の とおりである。 圧力レンジ:− 6.6 kPa.G 〜+ 6.6 kPa.G(ゲージ圧) ( 1) 出力電圧範囲:0.5 〜 4.5 V(Vcc = 5.0 V) ( 2) 圧力検出感度:300 mV/kPa ( 3) 出力誤差精度:2.5% F.S. ( 4) 消費電流:max 10 mA ( 5) EMI 耐性:100 V/m(1 〜 1,000 MHz) ( 6) EMC 検 証 済 み 規 格:JASOD00-87,ISO11452-2, ( 7) ISO7637 76 富士時報 電子デバイス・半導体 Vol.79 No.1 2006 IC・パワー半導体 自動車用ワンチップイグナイタ「F6010L」 ガソリンエンジン点火用ワンチップイグナイタとして 関連論文:富士時報 2005.4 p.273-276 図 自動車用ワンチップイグナイタ 図 自動車用超小型 IPS(F5054H) 「F6010L」を開発した。 イグナイタはエンジン駆動部の主要デバイスとして使用 されており,非常に高い信頼性が要求される。今回開発し た「F6010L」は,2002 年から量産している「F6007L」を 面実装用パッケージである T パック S に搭載したもので, 基板実装用に対応した製品である。 IGBT 式ワンチップイグナイタとして,従来の高サージ 耐量・電流制限機能に加えて,面実装用パッケージとして ECU(Electronic Control Unit)搭載用途に対しても安全 で信頼性の高いエンジンシステムを実現できるデバイスで ある。 自動車用超小型 IPS「F5054H」 富士電機では自動車電装システムの小型化に対応する ため,パワー半導体と従来システム側で付加していた周 辺保護回路・制御回路をワンチップ化し,そのパッケー ジ に ウ ェ ー ハ レ ベ ル パ ッ ケ ー ジ で あ る CSP(Chip Size Package) を 適 用 し た 超 小 型 IPS(Intelligent Power Switch) 「F5054H」を開発した。CSP を適用したことに より,実装面積は従 来の SOP-8 パ ッ ケ ー ジ IPS に比べ 70%ダウンの 8.4 mm2 を実現している。そのほかの特徴に ついて以下に示す。 過電流,過熱検出機能による負荷短絡保護機能内蔵 ( 1) 負荷状態・保護状態出力ステータス端子内蔵 ( 2) 電圧クランプ(L 負荷クランプ)回路内蔵 ( 3) マイクロコンピュータ直接駆動可能 ( 4) 自己分離型 CDMOS プロセス適用 ( 5) 自動車用低オン抵抗パワー MOSFET 60V シリーズ「2SK4047-01」 車載用 MOSFET としてトレンチ MOSFET の系列化を 図 2SK4047-01S 進めてきたが,近年の顧客要求(大電流化,低オン抵抗化, 小型化など)に対応するため,トレンチゲート構造と擬似 平面接合技術の改善によって低 RonQgd 化,低 Ron A 化を図 り,かつ従来の高信頼性(高ゲート耐圧など)を維持した トレンチ MOSFET を実現した。 主な特徴は次のとおりである。 ドレイン−ソース耐圧(60 V) ( 1) オン抵抗(5 mΩ typ) ( 2) ゲート−ソース耐圧(+ 30 V) ( 3) 高信頼性 ( 4) 77 富士時報 電子デバイス・半導体 Vol.79 No.1 2006 IC・パワー半導体 小容量 IGBT モジュール IGBT-PIM 近年,小容量電力変換装置に使用されるパワーモジュー 小容量 IGBT モジュール IGBT-PIM 図 ルには,低消費電力化・小型化・軽量化に加えて,顧客 装置の小型化,組立コストダウンに貢献できる製品設計 TMD型IGBT-PIM が求められている。このような要求に対し,顧客装置側 の多層プリント基板において,モジュールを実装する反 対面を他の電子部品搭載エリアとして有効に使用できる面 実装(SMD:Surface Mount Device)型 IGBT モジュー ルの製品化を進めている。また,従来端子タイプの TMD (Thorough hole Mount Device)型の製品も同時に開発を 行っている。 主な特徴は次のとおりである。 SMD型IGBTモジュール 定格電圧・電流:600 V/5 〜 30 A,1,200 V/5 〜 25 A ( 1) 環境規制への対応(オール鉛フリーパッケージ) ( 2) パッケージ:SMD,TMD タイプ(6 in 1,PIM) ( 3) 1,200 V U-IPM 電力変換装置の高周波数化に伴うパワーモジュールへの さらなる低損失化の要求に対応した 1,200 V U-IPM 図 1,200 V U-IPM の開 発を行った。低損失化のためにプレーナ構造とフィールド ストップ構造を組み合わせた IGBT チップと,表面構造の 改良によりソフトリカバリー化した FWD チップの開発を 行った。さらにドライブ条件の最適化を行い,放射ノイズ レベルを従来品と同等に維持しつつ,インバータ動作時の スイッチング損失において 26%,トータル損失において 。 19%の損失低減を実現した(fc = 10 kHz 時) 25,50,75 A/1,200 V 6 in 1 および 7 in 1 を系列化 ( 1) 過電流,短絡,チップ温度,ケース温度,不足電圧保 ( 2) 護を内蔵 パッケージは P610,611(R-IPM と同じ)を使用 ( 3) 大容量 IGBT モジュール(2 in1 モジュール 1,200 V) 電力変換装置に用いるパワーデバイスにおいては,大容 量・高性能・高信頼性を兼ね備えた製品の要求が高まって きている。これに対応するため,富士電機は大容量 IGBT モジュールの製品化を進めてきた。今回,1,200 V 耐圧を 有し,600 A,800 A,1,200 A の電 流 容 量を持つ 2 in 1 モ ジュールを開発し,系列化した。これらのモジュールは, 第五世代の FS(Field-Stop)トレンチ構造を適用し,か つ入力容量と帰還容量のバランスを最適化したチップ(U4 シリーズ)を搭載している。 主な特徴は次のとおりである。 スイッチング損失の低損失化 ( 1) 低電流時のターンオン di/dt の制御性をよくしたこと ( 2) による,逆回復時のサージ電圧の低減 78 図 関連論文:富士時報 2005.4 p.264-268 2 in1 モジュール(M248 パッケージ) *本誌に記載されている会社名および製品名は,それぞれの会社が所有する 商標または登録商標である場合があります。