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ゲイン5の
高精度計装アンプ
AD8225
特長
機能ブロック図
外付け部品不要
出荷時調整の高安定なゲイン=5
低消費電力: 最大電源電流 1.2 mA
広い電源範囲: ±1.7 V~±18 V
単電源動作または両電源動作が可能
優れたダイナミック性能
高い CMRR
DC で最小 86 dB
10 kHz まで最小 80 dB
広帯域幅
900 kHz
4 V~36 V の単電源
高速スルーレート:
最小 5 V/μs
優れた DC 高精度
低ゲイン・ドリフト
最大 5 ppm/°C
低入力オフセット電圧
最大 150 μV
低オフセット・ドリフト
最大 2 μV/°C
低入力バイアス電流
最大 1.2 nA
アプリケーション
図 1.代表的な CMRR の周波数特性
患者モニタ
電流トランスミッタ
マルチプレクスド・システム
4 mA から 20 mA のコンバータ
ブリッジ・トランスデューサ
センサー・シグナル・コンデショニング
概要
AD8225 は性能の新標準を制定する固定ゲイン 5 の計装アンプです。
AD8225 は優れた CMRR を持つため、高周波の同相モード電圧を
除去することができます(10 kHz で最小 80 dB)。このため、電源ラ
イン、工業用機器、その他の放射源からの高いレベルの環境ノイ
ズが除去されます。この製品は、広い CMV 範囲を持つため、電源
電圧が低い場合でも、高い同相モード DC 電圧レベルが存在する中
で低いレベルの差動信号を取り出すことができます。
電源ラインからの電気的な環境ノイズは、60 Hz とその高調波に存
在します。航空用機器内では 400 Hz で動作する電源システムから、
高い環境ノイズが発生します。
いる修理機器、スイッチング電源、医用機器からのノイズが除去
されます。AD8225 は、低い入力バイアス電流と 5 V/μs の高いスル
ーレートとの組み合わせを持つため、マルチプレク・アプリケー
ションに最適です。AD8225 は優れた DC 精度を提供し、最大入力
オフセット電圧は 150 μV で、ドリフトは 2 μV/°C です。ゲイン・
ドリフトは 5 ppm/°C 以下です。AD8225 は、単電源または両電源
で動作し、固定ゲイン 5 で広い入力同相モード電圧範囲を持つた
め、患者モニタ・アプリケーションにも適しています。
AD8225 は、8 ピン SOIC パッケージを採用し、–40°C~+85°C の標
準工業用温度範囲で仕様が規定されています。
電源システムから発生するノイズを除去する場合は、周波数に対
して優れた CMRR 性能が必要です。AD8225 の DC~10 kHz の
CMRR 性能により、電源システム、モーター、工場に設置されて
Rev. A
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に
関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、
アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様
は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、それぞれの所有者の財産です。
※日本語版資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
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本
社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル
電話 03(5402)8200
大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー
電話 06(6350)6868
AD8225
AD8225–仕様
(特に指定がない限り、TA = 25°C、VS = ±15 V、RL = 2 kΩ)
Parameter
GAIN
Gain
Gain Error
Nonlinearity
vs. Temperature
OFFSET VOLTAGE (RTI)
Offset Voltage
vs. Temperature
vs. Supply (PSRR)
INPUT
Input Operating Impedance
Differential
Conditions
Min
–0.1
90
+0.1
10
5
V/V
%
± ppm
± ppm/°C
50
0.3
100
–VS + 2.2
0.5
3
0.15
1.5
TA = TMIN to TMAX
f = 10 kHz*
RL = 2 kΩ
RL = 10 kΩ
VOUT = 20 V p-p
10 V Step
10 V Step
86
83
80
–VS + 1.4
–VS + 1.5
–VS + 1.0
–VS + 1.2
5
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 1 kHz
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 1 kHz
VIN+, VREF = 0
IIN
Voltage Range
Gain to Output
POWER SUPPLY
Operating Range
Quiescent Current
TEMPERATURE RANGE
For Specified Performance
–VS + 1.4
0.999
150
2
18
–40
仕様は予告なしに変更されることがあります。
- 2/16 -
±μV
±μV/°C
dB
GΩ 丨丨pF
GΩ丨丨pF
+VS – 1.0
V
+VS – 1.2
1.2
V
nA
0.5
pA/°C
nA
pA/°C
94
dB
dB
dB
+VS – 1.4
+VS – 1.6
+VS – 1.1
+VS – 1.0
V
V
V
V
mA
900
75
3.4
4.8
kHz
kHz
μs
μs
V/μs
1.5
45
4
50
μV p-p
nV/√Hz
pA p-p
fA/√Hz
18
60
kΩ
+VS – 1.4
μA
V
1
1.001
1.05
18
1.2
±V
mA
+85
°C
1.7
*ピン 1 はピン 4 に接続されます。アプリケーションのセクションを参照してください。
Rev. A
5
+0.05
2
1
10丨丨2
Input Offset Current
vs. Temperature
Common-Mode Rejection Ratio
REFERENCE INPUT
RIN
Unit
–VS + 1.6
(Common-Mode)
vs.Temperature
Input Bias Current
vs. Temperature
Current
Max
10丨丨2
Common Mode
Input Voltage Range
OUTPUT
Operating Voltage Range
vs. Temperature
Operating Voltage Range
vs. Temperature
Short Circuit Current
DYNAMIC RESPONSE
Small Signal –3 dB Bandwidth
Full Power Bandwidth
Settling Time (0.01%)
Settling Time (0.001%)
Slew Rate
NOISE (RTI)
Voltage
Typ
AD8225
仕様
(特に指定がない限り、TA = 25°C、VS = ±5 V、RL = 2 kΩ)
Parameter
GAIN
Gain
Gain Error
Nonlinearity
vs. Temperature
VOLTAGE OFFSET (RTI)
Offset Voltage
vs. Temperature
vs. Supply
INPUT
Input Operating Impedance
Differential
Conditions
–0.1
90
5
+0.05
2
1
+0.1
10
5
V/V
%
± ppm
± ppm/°C
100
–VS + 1.6
–VS + 2.1
0.5
3
0.15
1.5
TA = TMIN to TMAX
f = 10 kHz*
RL = 2 kΩ
RL = 10 kΩ
VOUT = 7.8 V p-p
7 V Step
7 V Step
86
83
80
–VS + 0.9
–VS + 1.0
–VS + 0.8
–VS + 0.9
5
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 1 kHz
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 1 kHz
VINT, VREF = 0
IIN
Voltage Range
Gain to Output
POWER SUPPLY
Operating Range
Quiescent Current
TEMPERATURE RANGE
For Specified Performance
–VS + 0.9
0.999
325
2
18
–40
仕様は予告なしに変更されることがあります。
- 3/16 -
±μV
±μV/°C
dB
GΩ 丨丨pF
GΩ丨丨pF
+VS – 1.0
+VS – 1.5
1.2
V
V
nA
0.5
pA/°C
nA
pA/°C
94
dB
dB
dB
+VS – 1.0
+VS – 1.2
+VS – 1.0
+VS – 1.0
V
V
V
V
mA
900
170
3
4.3
kHz
kHz
μs
μs
V/μs
1.5
45
4
50
μV p-p
nV/√Hz
pA p-p
fA/√Hz
18
60
kΩ
+VS – 1.0
μA
V
1
1.001
1.05
18
1.2
±V
mA
+85
°C
1.7
*ピン 1 はピン 4 に接続されます。アプリケーションのセクションを参照してください。
Rev. A
Unit
10丨丨2
Input Offset Current
vs. Temperature
Common-Mode Rejection Ratio
REFERENCE INPUT
RIN
Max
10丨丨2
vs.Temperature
Input Bias Current
vs. Temperature
Current
Typ
125
Common Mode
Input Operating Voltage Range
OUTPUT
Operating Voltage Range
vs. Temperature
Operating Voltage Range
vs. Temperature
Short Circuit Current
DYNAMIC RESPONSE
Small Signal –3 dB Bandwidth
Full Power Bandwidth
Settling Time (0.01%)
Settling Time (0.001%)
Slew Rate
NOISE (RTI)
Voltage
Min
AD8225
仕様
(特に指定がない限り、TA = 25°C、VS = 5 V、RL = 2 kΩ)
Parameter
GAIN
Gain
Gain Error
Nonlinearity
vs. Temperature
OFFSET VOLTAGE (RTI)
Offset Voltage
vs. Temperature
vs. Supply
INPUT
Input Operating Impedance
Differential
Conditions
–0.1
90
Unit
5
+0.05
2
1
+0.1
10
5
V/V
%
± ppm
± ppm/°C
100
375
2
1.6
1.7
0.5
3
0.15
1.5
TA = TMIN to TMAX
f = 10 kHz*
RL = 2 kΩ
RL = 10 kΩ
VOUT = 3.2V p-p
2 V Step
2 V Step
86
83
80
0.8
0.9
0.8
0.9
5
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 1 kHz
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 1 kHz
REFERENCE INPUT
RIN
IIN
Voltage Range
Gain to Output
POWER SUPPLY
Operating Range
Quiescent Current
TEMPERATURE RANGE
For Specified Performance
0.4
0.999
–40
仕様は予告なしに変更されることがあります。
- 4/16 -
V
VS – 1.0
1.2
V
nA
0.5
pA/°C
nA
pA/°C
dB
dB
dB
VS – 1.05
VS – 1.2
VS – 1.0
VS – 1.0
V
V
V
V
mA
900
420
3.3
5.1
kHz
kHz
μs
μs
V/μs
1.5
45
4
50
μV p-p
nV/√Hz
pA p-p
fA/√Hz
18
60
kΩ
VS – 0.9
μA
V
1
1.001
1.05
36
1.2
V
mA
+85
°C
3.4
*ピン 1 はピン 4 に接続されます。アプリケーションのセクションを参照してください。
VS – 1.05
94
18
±μV
±μV/°C
dB
GΩ 丨丨pF
GΩ丨丨pF
10丨丨2
Input Offset Current
vs. Temperature
Common-Mode Rejection Ratio
Rev. A
Max
10丨丨2
(Common-Mode)
vs.Temperature
Input Bias Current
vs. Temperature
Current
Typ
150
Common Mode
Input Voltage Range
OUTPUT
Operating Voltage Range
vs. Temperature
Operating Voltage Range
vs. Temperature
Short Circuit Current
DYNAMIC RESPONSE
Small Signal –3 dB Bandwidth
Full Power Bandwidth
Settling Time (0.01%)
Settling Time (0.001%)
Slew Rate
NOISE (RTI)
Voltage
Min
AD8225
絶対最大定格*
ピン機能の説明
電源電圧 ................................................................................. ± 18 V
ピン番号
記号
機能
内部消費電力......................................................................... 650 mW
1
NC
CINを平衡させるためにピン
4へ接続可能
2
–IN
反転入力
3
+IN
非反転入力
出力短絡時間....................................................................... 制限なし
4
–VS
負の電源電圧
保存温度 .................................................................... –65ºC~+125ºC
5
REF
所望出力CMVへの接続
動作温度範囲............................................................... –40ºC~+85ºC
6
VOUT
出力
7
+VS
正の電源電圧
8
NC
入力電圧(同相モード)................................................................. ± VS
差動入力電圧............................................................................ ± 25 V
ピン温度範囲(ハンダ処理、10 sec) ......................................... 300ºC
*
上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに恒久的な損傷を
与えることがあります。この規定はストレス定格の規定のみを目的とするもの
であり、この仕様の動作のセクションに記載する規定値以上でのデバイス動作
を定めたものではありません。デバイスを長時間絶対最大定格状態に置くとデ
バイスの信頼性に影響を与えます。
図 2.最大消費電力の温度特性
オーダー・ガイド
Model
AD8225AR
AD8225AR-REEL
AD8225AR-REEL7
AD8225-EVAL
Temperature Range
–40ºC to +85ºC
–40ºC to +85ºC
–40ºC to +85ºC
Package Description
8-Lead SOIC
8-Lead SOIC
8-Lead SOIC
Evaluation Board
ESDの注意
ESD (静電気放電)に敏感なデバイスです。4000 Vにもなる静電気は人体や装置に蓄積され、検
出されずに放電することがあります。AD8225は当社独自のESD保護回路を内蔵していますが、
高エネルギーの静電放電が発生すると、デバイスが永久的な損傷を受けることがあります。こ
のため、性能低下または機能損失を防止するために、ESDに対する適切な注意が必要です。
Rev. A
- 5/16 -
Package Options
RN-8
13" REEL
7" REEL
RN-8
AD8225
代表的性能特性
Rev. A
(特に指定がない限り、TA = 25°C、RL = 2 kΩ、VS = ±15 V)
特性 1.入力オフセット電圧の分布、VS = ±15 V
特性 4.バイアス電流の温度特性
特性 2.入力バイアス電流の分布、VS = ±15 V
特性 5.ウォームアップ時間対オフセット電圧変化
特性 3.入力オフセット電流の分布、VS = ±15 V
特性 6.電圧ノイズ・スペクトル密度の周波数特性(RTI)
- 6/16 -
AD8225
特性 7.入力電流ノイズ・スペクトル密度の周波数特性
特性 10. CMR の周波数特性、RTI
特性 8. 0.1 Hz~10 Hz での電圧ノイズ、RTI
特性 11. CMRR の温度特性
特性 9. 0.1 Hz~10 Hz での電流ノイズ
特性 12. VOUT 対 CMV 範囲、両電源
Rev. A
- 7/16 -
AD8225
Rev. A
特性 13. VOUT 対 CMV、単電源
特性 16.大信号周波数応答、VOUT = 4 V p-p
特性 14. PSRR の周波数特性、RTI
特性 17.電源電圧対入力同相モード電圧範囲
特性 15.小信号周波数応答、VOUT = 200 mV p-p
特性 18.電源電圧および負荷抵抗対出力電圧振幅
- 8/16 -
AD8225
特性 19.負荷抵抗対出力電圧振幅
特性 22.ステップ・サイズ対セトリング・タイム
特性 20.大信号パルス応答と 0.001%へのセトリング・タイム
特性 23.ゲインの非直線性
特性 21.小信号パルス応答、CL = 100 pF
特性 24.VSUPPLY および温度対 ISUPPLY
Rev. A
- 9/16 -
AD8225
テスト回路
テスト回路 1. 1 Hz~10 Hz での電圧ノイズ・テスト
Rev. A
テスト回路 2. 0.01%へのセトリング・タイム
- 10/16 -
AD8225
アプリケーション
高精度 V/I コンバータ
小さいアナログ電圧を長距離伝送する場合、環境電気ノイズ、漂
遊容量、または直列インピーダンス効果により誤差が発生します。
ただし、電圧を電流に変換すると、環境ノイズの影響は緩和され
ます。この場合に必要なことは、ソース側での電圧から電流への
変換と、処理を元へ戻すための他端での I から V への変換です。
図 5 に、AD8225 を電流ループ・システムでトランスミッタとレシ
ーバとして使用する方法を示します。フルスケール出力は 5 mA で
す。
図 3.簡略化した回路図
動作原理
AD8225 は 3 オペアンプ構成のモノリシック計装アンプです。
AD8225 では、レーザ・ウェハー・トリミング技術と当社独自の回
路技術により、現在提供中の計装アンプ(150 μV RTI)の中で最小の
出力オフセット電圧とドリフトを提供し、さらに広い同相モード
電圧範囲も提供します。
図 3 の入力バッファは、スーパー・ベータ NPN トランジスタ Q1
と Q2、およびオペアンプ A1 と A2 から構成されています。これら
のトランジスタは、バイアス電流が極めて小さい 100 pA (typ)以下
になるように補償されています。このため、
電流ノイズも 50 fA/√Hz
と低くなっています。ユニティ・ゲインの入力バッファは、ゲイ
ン 5 のディファレンス・アンプを駆動します。3 kΩ と 15 kΩ の抵
抗比が一致しているため、ゲインの安定性は仕様温度範囲で 5
ppm/°C より優れています。
また、AD8225 は代表的な計装アンプの 5 倍のゲイン帯域幅を持っ
ています。この広い GBW は固定ゲイン 5 での補償から得られたも
ので、アンプをユニティ・ゲインに対して補償する場合に必要と
される GBW の 1/5 です。
図 5.高精度な電圧/電流コンバータ
図 5 に示すように、コンバータを完成させるためには追加のオペ
アンプと 4 本の抵抗が必要です。送信部と受信部で使用される
AD8225 の高精度ゲイン 5 により、信号のインテグリティが保持さ
れると同時に、レシーバでの高周波同相モード性能により伝送線
上のノイズが除去されます。レシーバのリファレンスは、ローカ
ル・グラウンドまたは A/D コンバータ(ADC)のリファレンス・ピ
ンへ接続することができます。
図 6 に、図 5 の回路の入力電圧、出力電圧、出力電流のベンチ測
定値を示します。伝送媒体は、電流駆動とリターン・ライン用の
10 フィート絶縁型フックアップ・ワイヤーです。
高周波性能も AD8225 の技術革新的なピン配置により改善されて
います。ピン 1 とピン 8 は使用されていないため、ピン 1 とピン 4
を接続することができます。またピン 4 は AC コモンでもあるため、
ピン 2 とピン 3 の漂遊容量は平衡しています。
図 4.対称な入力浮遊容量を実現するピン配置
Rev. A
図 6.V/I コンバータ波形(CH1: VIN、CH2: VOUT、CH3: IOUT)
- 11/16 -
AD8225
高分解能 ADC の駆動
リファレンス入力の使用
大部分の高精度 ADC は、差動アナログ入力を持っています。差動
入力を使用すると、S/N 比とビット分解能に固有の 6 dB の改善が
得られます。これらの利点は、一対の AD8225 を使用して容易に実
現することができます。
図 7 の例で、ピン 5 のリファレンス入力が電圧源から駆動されて
いることに注意してください。これは、リファレンス・ピンが内
部で 15 kΩ の抵抗に接続されているためです。この 15 kΩ の抵抗
は、同相モード除去比を最適化するように慎重に調節されていま
す。このノードに追加抵抗を接続すると、2 本の 3 kΩ 抵抗と 2 本
の 15 kΩ 抵抗で構成されるブリッジ回路のバランスを崩すため、
入力ピンでの同相モード電圧により誤差電圧が発生します。
AD8225 へのシングルエンド入力または差動入力を使って、差動入
力を持つ ADC を駆動するように AD8225 を構成することができま
す。図 7 に、差動入力の回路接続を示します。シングルエンド入
力は、負入力端子をグラウンドへ接続することにより構成するこ
とができます。
AD8225 の EKG フロント・エンドとしての使用
この計装アンプ回路方式は、EKG やその他の低レベル生医学用ア
ンプ回路構成の優れた選択肢になっています。大きなレベルのノ
イズと DC オフセット電圧が存在する中で非常に小さい心電図電
圧レベルを検出する問題を解決する際に、計装アンプの CMRR と
同相モード電圧の利点として、これらを調整できることです。計
装アンプの減算回路は、DC と AC の高い同相モード電位の存在の
影に実質的に隠れてしまう低いレベルの信号を取り出して増幅し
ます。
図 8 に、EKG アンプの代表的な回路ブロック図を示します。計装
アンプ・ステージとゲイン・ステージでディスクリート・オペア
ンプを使用する場合、シグナル・チェーンには複数のフィルタ、
高電圧保護機能、端子選択回路、患者端子バッファ、ADC が含ま
れます。計装アンプを自作する場合は、高精度カスタム・トリム
抵抗回路と良くマッチングしたオペアンプを用意する必要があり
ます。
図 7.差動 ADC に対するドライバ
図 7 に示す AD7675 ADC は、SAR タイプのコンバータです。入力
をサンプルするとき、内部サンプル・アンド・ホールド・コンデ
ンサが入力電圧レベルまで充電されます。AD8225 の出力は瞬時電
流サージに追従できないため、電圧グリッチが発生します。一時
的な電流サージに電荷を供給するため、A/D 入力端子とグラウン
ドの間にコンデンサが接続されます。AD8225 は約 100 pF を超え
る出力容量を許容できないので、発振を防止するため各計装アン
プ出力に 75 Ω の直列抵抗が必要です。
AD8225 計装アンプは図 8 に強調表示したブロック内に示す全部品
を置き換えるだけでなく、EKG フロント・エンドで遭遇する多く
の困難なデザイン問題に対する解決策も提供します。これら問題
には、AC ノイズ源により患者に発生する誤差と電極電位の不一致
により発生する誤差が含まれます。これだけで、これらの誤差電
圧は必要とされる QRS コンプレックスを数桁も超えることがあり
ます。
図 8.ディスクリート部品を使った EKG モニタ・フロント・エンドのブロック図
Rev. A
- 12/16 -
AD8225
図 8 に示す従来型 3 オペアンプ構成の計装アンプ回路では、ゲイ
ンは 2 つの入力アンプ A1 と A2 の間で差動で実現されます。この
ため CMV (同相モード電圧)範囲が犠牲になってしまいます。計装
アンプのゲインは一般に 10 以下であるため、ゲイン・ステージを
追加して全体ゲインが約 1000 に増やされます。
入力ステージのゲインと、同相モード電圧範囲との間でのトレー
ドオフとなり、高い DC 電極誤差に耐えるアンプの能力に対する制
約になってしまいます。出力アンプでゲイン 5 を実現している
AD8225 は 3 アンプ・デザインであるため、入力での CMV 範囲が
向上しています。± 5V 電源を使う場合、AD8225 の CMV 範囲は–3.1
V~+3.8 V に対して–3.4 V~+4 V であり、同じゲインを持つ従来型
計装アンプより入力ヘッドルームが 7%向上しています。
図 10.図 9 の回路を使用した EKG 波形
高速スルーレートの利点
AD8225 の 5 V/μs のスルーレートは、多くのオペアンプ回路と同様
に高速です。これは、複数のセンサーを使用するシステム・アプ
リケーションでは利点になります。例えば、アナログ・マルチプ
レクサ(図 11)は複数のセンサーへ接続する端子対の選択に使用す
ることができます。AD8225 が ADC を駆動する場合、アクイジシ
ョン・タイムは新しい端子セットが選択された後に計装アンプが
安定レベルへ到達する能力により制約されます。高速なスルーレ
ートは、特に入力レベルの差が大きい場合に、有効です。
図 9.EKG モニタのフロント・エンド
図 11.ADG409 アナログ・マルチプレクサへの接続
図 9 に、AD8225 を EKG フロント・エンドに使用する方法を示し
ます。低価格システムでは、AD8225 を患者に接続することができ
ます。バッファが必要な場合は、AD8225 により高価な高精度抵抗
回路とオペアンプを置き換えることができます。
図 12 に、図 11 に示す回路の ADG409 アナログ・マルチプレクサ
に接続された AD8225 の、2 つの信号レベルでの応答を示します。
4 本の MUX 入力の内の 2 本が、DC レベルをテストするように接
続されています。残りの 2 本は、入力 A0 と A1 がアドレス指定さ
れたとき出力が変化するようにグラウンド電位に接続されていま
す。グラフに示すように、出力応答は入力されたレベルの 4 μs 以
内に安定しています。
図 10 に、図 9 の回路から得られたテスト波形を示します。
図 12.マルチプレクス選択後の電圧変化応答
Rev. A
- 13/16 -
AD8225
評価用ボード
図 13 に、AD8225 の評価用ボードの回路図を示します。このボー
ドは、AD8225 を実装してテストした後に出荷されます。測定を行
うためには電源と入力の接続だけが必要です。電源は両電源また
は単電源が可能で、入力は DC または AC 結合が可能です。ユーザ
ーが出力オフセットをゼロにできるようにボード上に回路が設け
てあります。必要に応じて、リファレンスを外部電圧源から供給
することができます。
図 13.評価用ボードの回路図
Rev. A
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AD8225
外形寸法
8 ピン標準スモール・アウトライン・パッケージ(SOIC)
(RN-8)
寸法: mm (インチ)
Rev. A
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AD8225
改訂履歴
Location
Page
2/03—Data Sheet changed from REV. 0 to REV. A.
Updated ORDERING GUIDE ....................................................................................................................................................................................... 5
Change to TPC 10 ......................................................................................................................................................................................................... 7
Change to TPC 20 caption ............................................................................................................................................................................................. 9
Edit to Precision V-to-I Converter section ................................................................................................................................................................. 11
OUTLINE DIMENSIONS updated ............................................................................................................................................................................. 15
Rev. A
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