日本語版

160 MHzレールtoレール
ディスエーブル機能オペアンプ
AD8041
特長
接続図
+3 V、+5 Vおよび±5 V電源で仕様を規定
8ピン・プラスチック・ミニDIPおよびSOIC
レール to レールの出力振幅
入力電圧範囲がグラウンドより200 mV下まで拡張
入力が電源より1 V以上になっても位相反転無し
ディスエーブル/パワーダウン機能
5.2 mAの低消費電力(+5 Vで26 mW)
+5 Vで高速動作および高速セトリング
−3 dB帯域幅:160 MHz(G=+1)
スルーレート:160 V/μs
セトリング時間:30 ns(0.1%)
優れたビデオ特性(RL=150Ω、G=+2)
出力電圧振幅は、両電源電位から50 mV以内まで拡張されていま
す。これにより、大きな出力ダイナミック範囲を得ています。さら
に30 MHzまで0.1 dBのゲイン平坦性を備え、+5 V単電源で0.03%と
30 MHzまで0.1 dBのゲイン平坦性
0.03°の微分ゲイン誤差と微分位相誤差も備えています。したがっ
0.03%の微分ゲイン誤差
て、AD8041はカメラ、ビデオ・スイッチ等の放送局用のビデオ機
0.03°の微分位相誤差
器、
または高速携帯装置に理想的な製品です。AD8041の低歪み特性
と高速セトリング特性は、高速A/Dコンバータのバッファ処理に
低歪み
最悪で−69 dBcの高調波歪み(10 MHz)
優れた負荷駆動能力
電源電位から0.5 Vまでの電圧で50 mA出力電流
45 pFの容量負荷を駆動
最適です。
またAD8041は、マルチプレクサ処理あるいは消費電力を抑える
(1.5 mA)のための、高速ディスエーブル機能を備えています。ディ
スエーブル・ロジック・インタフェースは、CMOSまたはオープン・
コレクタ回路と互換性があります。AD8041の消費電流は、5.8 mA
アプリケーション
(max)です。また+3 V単電源で動作できます。したがって、実装面
低消費電力が要求される高速システム
積と消費電力が非常に重要な携帯型の電池駆動装置に理想的な製品
ビデオ・スイッチ
といえます。
分配用のアンプ
さらにAD8041は、+5 V単電源で160 MHzの広い帯域幅と160 V/
A/Dコンバータ・ドライバ
μsのスルーレートを備えていますので、
最高±6 Vのデュアル電源
放送局用カメラ
および+3 Vから+12 Vの単電源を使用する高速システムに最適で
CCD画像システム
す。AD8041のパッケージは、8ピン・プラスチックDIPおよびSOIC
超音波装置(マルチチャンネル)
で、温度範囲は−40℃から+85℃(産業温度範囲)です。
単電源マルチプレクサ
概要
AD8041は、+3 V、+5 Vおよび±5 Vで動作するように設計された
低消費電力電圧帰還型の高速オペアンプです。この製品は、単電源
で動作し、入力電圧範囲は負電源電位より200 mV下から正電源の1
V下まで拡張されています。
図2. 周波数応答:ゲイン=+2、VS=+5 V
図1. 出力振幅:ゲイン=−1、VS=+5 V
REV.0
アナログ・デバイセズ株式会社
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新大阪第2森ビル
AD8041―仕様
(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+5 V;2.5 Vに対してRL=2 kΩ)
AD8041A
パラメータ
条件
Min
−3dB小信号帯域幅、
VO<0.5 VP−P
G=+1
130
0.1dB平坦性の帯域幅
G=+2、RL=150Ω
Typ
Max
単位
ダイナミック性能
160
MHz
30
MHz
スルーレート
G=−1、VO=2 Vステップ
160
V/μs
フルパワー応答
VO=2 VP−P
24
MHz
0.1%までのセトリング時間
G=−1、VO=2 Vステップ
35
ns
55
ns
130
0.01%までのセトリング時間
ノイズ/高調波性能
全高調波歪み
fC=5 MHz、VO=2 VP−P、G=+2、RL=1 kΩ
−72
dB
入力電圧ノイズ
f=10 kHz
16
nV/√Hz
入力電流ノイズ
f=10 kHz
600
fA/√Hz
微分ゲイン誤差(NTSC)
G=+2、2.5 Vに対してRL=150Ω
0.03
%
Degrees
微分位相誤差(NTSC)
G=+2、2.5 Vに対してRL=150Ω
0.03
G=+2、2.5 Vに対してRL=75Ω
0.01
%
G=+2、2.5 Vに対してRL=75Ω
0.19
Degrees
DC性能
入力オフセット電圧
2
TMIN−TMAX
7
mV
8
mV
μA
オフセット・ドリフト
10
入力バイアス電流
1.2
2
3
μA
0.2
0.5
μA
TMIN−TMAX
入力オフセット電流
オープンループ・ゲイン
RL=1 kΩ
86
μV/℃
95
dB
90
dB
入力抵抗
160
kΩ
入力容量
1.8
pF
入力同相電圧範囲
−0.2 ∼ 4
V
80
dB
0.05 ∼ 4.95
V
TMIN−TMAX
入力特性
同相除去比
VCM=0 V ∼ 3.5 V
74
出力特性
出力電圧振幅:RL=10 kΩ
RL=1 kΩ
0.35 ∼ 4.75 0.1 ∼ 4.9
V
RL=50Ω
0.4 ∼ 4.4
0.3 ∼ 4.5
V
出力電流
VOUT=0.5 V ∼ 4.5 V
50
mA
短絡回路電流
ソース
90
mA
シンク
150
mA
G=+1
45
pF
容量負荷駆動
電源
動作範囲
3
無負荷時電源電流
無負荷時電源電流(ディスエーブル状態)
電源変動除去比
VS=0、+5 V、±1 V
72
12
V
5.2
5.8
mA
1.4
1.7
mA
80
dB
ディスエーブル特性
VO=2VP−P@10 MHz、G=+2
OFF時間
RF=RL=2 kΩ
120
ns
ON時間
RF=RL=2 kΩ
230
ns
OFF絶縁(ピン8を−VSに接続)
RL=100Ω、f=5 MHz、G=+2、RF=1 kΩ
70
dB
OFF電圧(ディスエーブル状態)
<+VS−0.25
V
ON電圧(イネーブル状態)
オープンまたは+VS
V
仕様は予告なしに変更する場合があります。
−2−
REV.0
AD8041
仕様(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+3 V;1.5 Vに対してRL=2 kΩ)
AD8041A
パラメータ
条件
Min
−3dB小信号帯域幅、VO<0.5 VP−P
G=+1
120
0.1 dB平坦性の帯域幅
G=+2、RL=150Ω
Typ
Max
単位
ダイナミック性能
150
MHz
25
MHz
スルーレート
G=−1、VO=2 Vステップ
150
V/μs
フルパワー応答
VO=2 VP−P
20
MHz
0.1%までのセトリング時間
G=−1、VO=2 Vステップ
40
ns
55
ns
dB
120
0.01%までのセトリング時間
ノイズ/高調波性能
全高調波歪み
fC=5 MHz、VO=2 VP−P、G=−1、RL=100Ω
−55
入力電圧ノイズ
f=10 kHz
16
nV/√Hz
入力電流ノイズ
f=10 kHz
600
fA/√Hz
微分ゲイン誤差(NTSC)
G=+2、RL=1.5 Vに対して150Ω、入力
0.07
%
0.05
Degrees
VCM=1 V
微分位相誤差(NTSC)
G=+2、RL=2.5 Vに対して150Ω、入力
VCM=1 V
DC性能
入力オフセット電圧
2
TMIN−TMAX
7
mV
8
mV
μA
オフセット・ドリフト
10
入力バイアス電流
1.2
2.3
3
μA
0.2
0.6
μA
TMIN−TMAX
入力オフセット電流
オープンループ・ゲイン
RL=1 kΩ
85
μV/℃
94
dB
89
dB
入力抵抗
160
kΩ
入力容量
1.8
pF
入力同相電圧範囲
−0.2 ∼ 2
V
80
dB
0.05 ∼ 2.95
V
TMIN−TMAX
入力特性
同相除去比
VCM=0 V ∼ 1.5 V
72
出力特性
出力電圧振幅: RL=10kΩ
RL=1kΩ
0.45 ∼ 2.7
0.1 ∼ 2.9
V
RL=50Ω
0.5 ∼ 2.6
0.25 ∼ 2.75
V
50
mA
出力電流
短絡回路電流
容量負荷駆動
VOUT=0.5 V ∼ 2.5 V
ソース
70
mA
シンク
120
mA
G=+1
40
pF
電源
動作範囲
3
無負荷時電源電流
無負荷時電源電流(ディスエーブル状態)
電源変動除去比
VS=0、+3 V、±0.5 V
ディスエーブル特性
VO=2 VP−P@10 MHz、
G=+2
68
12
V
5.0
5.6
mA
1.3
1.5
mA
80
dB
OFF時間
RF=RL=2 kΩ
90
ns
ON時間
RF=RL=2 kΩ
170
ns
OFF絶縁(ピン8を−VSに接続)
RL=100Ω、f=5 MHz、G=+2、RF=1 kΩ
70
dB
OFF電圧(ディスエーブル状態)
<+VS−0.25
V
ON電圧(イネーブル状態)
オープンまたは+VS
V
仕様は予告なしに変更する場合があります。
REV.0
−3−
AD8041―仕様
(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=±5 V;0 Vに対してRL=2 kΩ)
AD8041A
パラメータ
条件
Min
−3 dB小信号帯域幅、VO<0.5 VP−P
G=+1
140
0.1 dB平坦性の帯域幅
G=+2、RL=150Ω
Typ
Max
単位
ダイナミック性能
170
MHz
32
MHz
スルーレート
G=−1、VO=2 Vステップ
170
V/μs
フルパワー応答
VO=2 VP−P
26
MHz
0.1%までのセトリング時間
G=−1、VO=2 Vステップ
30
ns
50
ns
140
0.01%までのセトリング時間
ノイズ/高調波性能
全高調波歪み
fC=5 MHz、VO=2P−P、G=+2、RL=1 kΩ
−77
dB
入力電圧ノイズ
f=10 kHz
16
nV/√Hz
入力電流ノイズ
f=10 kHz
600
fA/√Hz
微分ゲイン誤差(NTSC)
G=+2、RL=150Ω
0.02
%
Degrees
微分位相誤差(NTSC)
G=+2、RL=150Ω
0.03
G=+2、RL=75Ω
0.02
%
G=+2、RL=75Ω
0.10
Degrees
DC性能
入力オフセット電圧
2
TMIN−TMAX
オフセット・ドリフト
10
入力バイアス電流
1.2
TMIN−TMAX
入力オフセット電流
オープンループ・ゲイン
0.6
RL=1 kΩ
90
7
mV
8
mV
2.3
μA
3
μA
0.6
μA
μV/℃
99
dB
95
dB
入力抵抗
160
kΩ
入力容量
1.8
pF
入力同相電圧範囲
−5.2 ∼ 4
V
80
dB
−4.95 ∼ +4.95
V
TMIN−TMAX
入力特性
同相除去比
VCM=−5 V ∼ 3.5 V
72
出力特性
出力電圧振幅:RL=10 kΩ
RL=1 kΩ
RL=50Ω
−4.45 ∼ +4.6−4.8 ∼ +4.8
V
−4.3 ∼ +3.2 −4.5 ∼ +3.8
V
出力電流
VOUT=−4.5 V ∼ 4.5 V
50
mA
短絡回路電流
ソース
100
mA
シンク
160
mA
G=+1
50
pF
容量負荷駆動
電源
動作範囲
3
無負荷時電源電流
無負荷時電源電流(ディスエーブル状態)
電源変動除去比
VS=−5 、+5 V、±1 V
ディスエーブル特性
VO=2 VP−P@10 MHz、G=+2
68
12
V
5.8
6.5
mA
1.6
2.2
mA
80
dB
ns
OFF時間
RF=2 kΩ
120
ON時間
RF=2 kΩ
320
ns
OFF絶縁(ピン8を−VSに接続)
RL=100Ω、f=5 MHz、G=+2、RF=1kΩ
70
dB
OFF電圧(ディスエーブル状態)
<+VS−0.25 V
ON電圧(イネーブル状態)
オープンまたは+VS
仕様は予告なしに変更する場合があります。
−4−
REV.0
AD8041
絶対最大定格1
最大消費電力
電源電圧 …………………………………………………… +12.6 V
安全に消費できる最大電力は、接合温度の制約を受けます。プラ
内部消費電力2
スチックに実装されたデバイスの最大安全接合温度は、
プラスチッ
プラスチック・パッケージ(N) ………………………… 1.3 W
クの融点温度によって決まります。これは約+150℃です。この限
SOパッケージ(R) ………………………………………… 0.9 W
度を一時的に超えた場合、
パッケージ内のチップ上に掛かるストレ
入力電圧(同相) ………………………………………………
±VS
スの変動によってパラメトリック性能が変化します。
またかなり長
±3.4 V
い時間、
接合温度が+175℃を超えた場合、
デバイスの機能が損なわ
差動入力電圧
………………………………………………
れます。
出力短絡回路期間
電力デレーティング曲線を参照
AD8041は、内部で短絡回路保護を施していますが、
これだけでは
保管温度範囲(N、R) …………………………… −65℃ ∼ +125℃
すべての条件下で最大接合温度(+150℃)
を超えない保証となりま
動作温度範囲(Aグレード)……………………… −40℃ ∼ +85℃
せん。適切に動作させるために、最大電力デレーティング曲線を参
リード温度範囲(ハンダ付け、10秒) …………………… +300℃
照する必要があります。
…………………………………
注
1
“絶対最大定格”を超えるストレスはデバイスに永久破壊をもたらすことがあります。こ
の定格はデバイスの単なるストレスの度合いであり、基本的な動作あるいは動作の項に示す
他の条件においてこの定格は考慮されていません。デバイスをある項目についての絶対最
大定格の状態に長時間さらすとデバイスの信頼性に影響を与えます。
2
仕様は空冷の無い状態;
8ピン・プラスチック・パッケージ:θJA=90℃/W
8ピンSOICパッケージ:θJA=160℃/W
オーダー・ガイド
パッケージ
モデル
温度範囲
AD8041AN
−40℃ ∼ +85℃ 8ピン・プラスチックDIP
オプション
AD8041AR
−40℃ ∼ +85℃ 8ピン・プラスチックSOIC
AD8041AR-REEL
リール(2500個巻き)
AD8041-EB
評価ボード
図3. 最大消費電力の温度の特性図
(電力ディレーティング曲線)
注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000 Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、検知さ
れることなく放電されることもあります。このAD8041には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネルギーの静
電放電にさらされたデバイスには回復不能な損傷が残ることもあります。したがって、性能低下や機能喪失を避けるため
に、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。
REV.0
−5−
WARNING!
ESD SENSITIVE DEVICE
AD8041―代表的特性
図4. VOSの代表的分布
図7. オープンループ・ゲインとRL(+25℃)
図5. −40℃から+85℃におけるVOSドリフト
図8. オープンループ・ゲインの温度特性
図6. IBの温度特性
図9. オープンループ・ゲインと出力電圧
−6−
REV.0
AD8041
REV.0
図10. 入力電圧ノイズの周波数特性
図13. 微分ゲイン誤差と微分位相誤差
図11. 全高調波歪み
図14. 0.1 dBゲイン平坦性
図12. 高調波(最悪値)と出力電圧
図15. オープンループ・ゲインと位相余裕度の周波数特性
−7−
AD8041―代表的性能特性
図16. クローズドループ周波数特性と温度
図19. セトリング時間と入力ステップ
図17. クローズドループ周波数特性と電源
図20. CMRRの周波数特性
図18. 出力抵抗の周波数特性
図21. 出力飽和電圧と負荷電流
−8−
REV.0
AD8041
REV.0
図22. 電源電流の温度特性
図25. 容量負荷と直列抵抗成分
図23. PSRRの周波数特性
図26. 周波数特性とクローズドループ・ゲイン
図24. 出力電圧振幅の周波数特性
図27. パルス応答、VS=+3 V
−9−
AD8041―代表的性能特性
図28a.
図30. 100 mVステップ応答、VS=+5 V、G=+1
図28b.
図31. 出力振幅、VS=+3 V、VIN=3 VP−P
図28a-b. 出力振幅と負荷リファレンス電圧、VS=+5 V、G=−1
図29. 1 Vステップ応答、VS=+5 V、G=+2
図32. 出力振幅、VS=+3 V、VIN=2.8 VP−P
− 10 −
REV.0
AD8041
オーバードライブからの回復
出力範囲または入力範囲が限度を超えたときに、オペアンプは
オーバードライブ状態になります。オペアンプは、このオーバード
ライブ状態から回復しなければなりません。図33に示すように、
伝達関数は:
VOUT
A0
―――=――――――――――――――――――
gm2
Vi
(sR1[C9(A2+1)]+1)× s ――
+1
C3
([ ] )
AD8041は負のオーバードライブから50 ns未満で回復します。また
ここでA0=gmgm2R2R1(オペアンプのオープンループ・ゲイン)
正のオーバードライブから25 ns未満で回復します。
A2=gm2R2 (出力段のオープンループ・ゲイン)
上式の分母の1番目の極は、このアンプの最も重要な極で、約180
Hzです。これは、入力段の出力インピーダンスR1とミラーの値を乗
じたC9の値を乗算したものと同じです。また2番目の極は、出力段
のユニティ・ゲイン帯域幅で生じ、約250 MHzです。この回路構成
により、標準的な2段の回路構成のものと比べて、オープンループ・
ゲインを大きく、またより大きな出力駆動能力が得られました。
出力インピーダンス
この回路で使用しているコモン・エミッタ出力段の低周波数開
ループ出力インピーダンスは、約6.5 kΩです。これは通常のエミッ
タ・フォロワ出力段より非常に高いものですので、フィードバック
構成にしたときの出力インピーダンスは、
このオペアンプのオープ
図33. オーバードライブから回復
ンループ・ゲイン分減少します。オープンループ・ゲインが110 dB
回路の説明
の場合、出力インピーダンスは0.1Ω未満になります。周波数が高く
AD8041は、アナログ・デバイセズ社独特のXFCBプロセスで製造
なると、オペアンプの開ループ・ゲインが低下しますので、出力イ
されました。このプロセスによって、PNPトランジスタとNPNトラ
ンピーダンスは大きくなります。しかし積分器のコンデンサC9と
ンジスタのfTを同じ2 GHz−4 GHz領域にできます。またこのプロセ
C3により、出力は容量成分が大きくなります。これにより、出力イ
スは、寄生容量と接合面の絶縁によって生じるラッチ・アップの問
ンピーダンスが急激に大きくなり
(図18参照)、
容量負荷を直接駆動
題を抑えるために電気的に絶縁されています。この特性により、低
するときに発生する安定性の問題を防ぐことができます。つまり
消費電流ながら低歪みの性能を持つ高周波数オペアンプを設計でき
AD8041は、優れた容量負荷駆動能力を持つ高周波オペアンプです。
ました。また帯域幅を高め、余裕度を上げるために、入力段を差動
図25は、
AD8041が20 pFの容量負荷を駆動しても45度の位相余裕度を
出力にしています(図34)。この1段目の出力(ノードS1P、S1N)上
持つことを示しています。さらにより高いゲインで動作させると、
で信号振幅を小さくすることによって、
接合容量による非直線的な
オペアンプの容量負荷駆動能力を改善できます。
電流の影響を抑え、歪みに対する性能も改善しています。これに
よって、高調波歪み性能は−85 dBを超えます(5 V単電源、@1 MHz
、VOUT=2 VP−P、ゲイン=+2、負荷100Ω)。
出力段が、コンプリメンタリ・コモン・エミッタ構造となってい
ますので、エミッタ・フォロワを使用せずに優れた負荷駆動性能を
得ています。つまり従来のオペアンプと比べて、優れた出力段を備
えています。
出力デバイスQ8とQ36のベースにすべての出力段ドラ
イバ電流を流し込んでいますので、
大きな出力駆動性能を得ていま
す。同相フィードバック・ループ(図示していません)と共に、I8と
I5によってQ8とQ36のバイアス処理を行っています。AD8041のこの
回路で、出力が電源の0.5 V以内まで50 mAの電流を駆動できます。
また入力段は、負電源の0.2 V下から正電源の+1 V下までの電圧
を扱うことができます。この値を超えても位相反転は起こりませ
ん。しかし入力電圧が電源より0.5 V以上になると、入力ESD回路が
動作し始めます。
AD8041は、積分回路技術を採用しています
(図35に示す小信号回
路図を参照)。また出力段は、トランス・コンダクタンスgm2とコン
デンサC9で決まる1極の応答特性およびユニティ・ゲイン周波数特
性を持つ理想的なオペアンプとモデル化できます。
R1は入力段の出
力抵抗成分です。またgmは入力トランス・コンダクタンスです。さ
らにC7とC9によって、オペアンプ全体のミラー補償を行っていま
す。ユニティ・ゲイン周波数は、gm/C9で発生します。この回路の
REV.0
− 11 −
図34. AD8041の簡略化した回路図
AD8041
図35. 小信号回路図
図37. 2:1マルチプレクサの性能
単電源A/D変換
ディスエーブル動作
AD8041は、アクティブLOのディスエーブル・ピンを備えていま
図38は、シングル・エンドのDCカップリング信号をAD9050のア
す。このピンによって、出力を3ステート状態にし、電源電流を小さ
ナログ入力に入力するシステムです。AD8041がこの信号を駆動し
く抑えることができます。このディスエーブル・ピンをフローティ
ます。各製品は、すべて+5 V単電源で動作します。またグラウンド
ング状態にすると、製品はイネーブル状態となり、通常の動作をし
をリファレンス・ポイントとしている入力信号を、
AD9050が要求す
ます。このディスエーブル・ピンを正電源の2.5 V以下にすると、
るレベルに調節するためにAD820を使用しています。したがって
AD8041の出力はディスエーブル状態になり、
定格電源電流は1.6 mA
AD8041は、
グラウンドをリファレンスとする入力信号にオフセット
未満に低下します。最適な性能を得るために、このディスエーブ
を加え、信号をバッファ処理し、AD9050に入力します。
ル・ピンをできる限り低い電圧にしてください。理想的には、負の
電源電圧が適当です。
AD8041のディスエーブル・ピンを使用して、
図36のように高周波
信号をスイッチする2:1のマルチプレクサ構成にできます。さらに
高次のマルチプレクサを構築することもできます。
またスイッチの
切り換え時間は、出力をディスエーブルする場合で約50 ns、また出
力をイネーブルする場合で約300 nsです。
図38. 10ビット、40MSPSのA/D変換
AD9050の定格入力範囲は、+2.8 Vから+3.8V(+3.3 Vを中心に
1 VP−P)です。この回路は、わずか330 mWしか電力を消費しません。
しかし40MSPSで10ビットのA/D変換を行います。
図36. 2:1マルチプレクサ
図39. 図38の回路のFFT出力
− 12 −
REV.0
AD8041
応用
RGBバッファ
単電源コンポジット・ビデオ・ライン・ドライバ
図42は、単電源で動作するゲイン2のコンポジット・ビデオ・ラ
AD8041は、+3 Vまたは+5 V単電源で動作させて、グラウンド電
イン・ドライバです。コンポジット・ビデオ信号のsync部はグラウ
ンド電位未満になりますので、
入力のACカップリングと信号振幅の
位を含むRGB信号のバッファ処理を行うことができます。
RGBモニターを駆動する信号は、通常+5 V電源で動作する電流
出力DACが供給します。アナログ・デバイセズ社のADV7120や
正方向へのシフトをしなければなりません。
これにより単電源動作
でも負方向の振幅を可能にします。
入力は、
75Ωで終端され、
入力にDCバイアス点を提供する電圧分
ADV7122等のトリプルDAC、または多くのパソコンで使用されてい
圧回路に対してCINを通じてACカップリングされます。最適なバイ
るグラフィック・コントローラIC内のDAC等がこの例です。
水平ブランク中、DACの電流出力は0になります。そしてRGB信
号は、終端抵抗を通じてグラウンド電圧になります。複数のRGBモ
アス点を設定するには、コンポジット・ビデオ信号とAD8041のビデ
オ信号について理解する必要があります。
ニターを接続しようとしても、
終端が増えるので並列に接続するこ
デューティ比が変化するピークからピークまで振幅が変動する
とはできません。したがって、2台目のモニターを接続する場合、
信号は、
ACカップリング後の最大振幅より大きなダイナミック振幅
バッファ処理を施さなければなりません。
駆動能力が必要です。最悪の場合で、最大振幅の2倍のダイナミッ
RGB信号は出力範囲にグラウンド電位を含んでいるので、今まで
はバッファ処理を行うためにデュアル電源のオペアンプが必要でし
ク振幅駆動能力が必要となります。
これらはデューティサイクルが
小さいときと逆に大きいとき重要です。
た。つまりシステム内で唯一負電源が必要な部品だったので、設計
の手間がかかりました。
コンポジット・ビデオ信号の場合、上記に関しては余り大きな問
題となりません。1番目の問題は、フレーム信号のほとんどがブ
図40は、2台目のRGBモニターを駆動する、単電源動作のゲイン2
ラックで、1点がホワイト(最大輝度)のときに生じるものです。
のバッファです。アンプ出力がグラウンドの場合、電流は必要あり
2番目の問題は、すべてホワイトのときに生じるものです。この
ません。そしてモニターの終端抵抗は、出力を低電圧レベルにプル
ような信号のブランク間とsync部は、コンポジット・ビデオ信号に
ダウンします。
応じて、負の部分を持ちます。水平ブランク部と垂直ブランク部の
間隔によって、信号の最大レベル(ホワイト)は最高75%のデュー
ティに制限します。
したがって、
オペアンプが歪み無しで任意のデューティ比のコン
ポジット・ビデオ信号を入力するには、ゲイン2で乗じた1 VP−Pのコ
ンポジット・ビデオ信号の場合で約3.2 VP−Pのダイナミック電圧振
幅能力が必要です。
ダイナミック信号振幅を小さくするために、ACカップリングと
sync部のクランプを使用してsync部を比較的一定なレベルにしてい
る回路もあります。しかしこのような回路では、非常に小さな出力
インピーダンス源で駆動しない限り、
sync部が圧縮される等の影響
があります。
図40. 単電源RGBバッファ
図41は、図40の回路を+3 V電源で動作させて、カラー・バーのB
信号で駆動した際のオシロスコープ写真です。水平ブランク中、入
力と出力はグラウンドであることに注意して下さい。
またRGB信号
は、最高700 mV ピークの信号を出力するように規定されています。
AD8041は1.4 Vを出力し、終端抵抗で電圧を半分に分圧します。R信
号とG信号も。それぞれ同様の回路でバッファします。
図42. 単電源コンポジット・ビデオ・ライン・ドライバ
AD8041は、sync部のクランプ回路を使用しなくとも、優れたダイ
ナミック信号振幅駆動能力を発揮します。さらにACカップリング
構成で信号をバッファしたときの微分ゲイン特性や微分位相特性の
ように、優れたビデオ性能を示します。
図41. +3 V、RGBバッファ
REV.0
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AD8041
このことをチェックするために、
電源を変化させて、AD8041の微
図44を見て下さい。G信号とsync信号は、単電源トリプル・ビデ
分ゲインと微分位相を測定します。
低い電源電圧をビデオ信号に近
オDACのADV7120から出力されたものです。このDACは単電源です
づけるように上げると、微分ゲインと微分位相が影響を受ける前
ので、sync信号のレベルはグラウンドまたはそれより若干上です。
に、sync部が圧縮されることが分かります。つまりsync部が圧縮さ
またAD8041は、
出力終端で半分に分圧するためにゲイン2に設定し
れないために、負領域は適切な振幅を持たなければなりません。
ています。
また高い電源電圧をビデオ信号に近づけるように下げる場合、
ピーク・ビデオ出力と電源の差が0.6 V未満になると、微分ゲインと
微分位相が大きな影響を受けます。つまりビデオ・レベルの最大値
は、正電源電位の0.6 V未満になるようにします。
上記のことを考慮すると、
非反転入力にバイアスをかける最適な
ポイントは2.2 V DCということが分かります。このポイントで動作
させた場合、微分ゲインの最悪値は0.06%です。また微分位相の最
悪値は、0.06°です。
この回路で使用するACカップリング用のコンデンサの値は大き
なものです。またコンポジット・ビデオ信号には、30 Hzの周波数帯
域エッジ(低い方)があります。このACカップリング点の抵抗成分
(特に出力上)は、非常に小さなものです。位相シフトを抑えるため
図44. 単電源sync除去処理
に、大きな値のコンデンサが必要です。高品質を要求されないビデ
R1用のリファレンス電圧は、G信号のDCブランク・レベルの2倍
オ・システムでは、このコンデンサの値を1/5にすることができま
にして下さい。デュアル電源システムのように、ブランク・レベル
す。値を変えても、画質に大きな影響は現れません。
がグラウンドで、
sync部が負の場合はR1をグラウンドに接続して下
さい。いずれにせよ、出力ではsyncが除去され、ブランク・レベル
Sync除去処理
がグラウンドになります。
3本のケーブルだけを使用するRGBモニター・システムもありま
す。この場合、G信号用のケーブルに同期信号も転送します。sync
レイアウト上の考察
信号は、G信号のブランク・レベルから負の方向へのパルスです。
AD8041の高速特性を使用する上で、
基板レイアウトと部品選択に
A/Dコンバータでコンポジット・ビデオ信号をディジタル化す
注意を払うことが重要です。適切なRF設計技術と低い寄生容量の
る応用では、デジタル化の前段でG信号からsync信号を除去する必
部品を選択することが基本です。
要があります。図43は、AD8041を+5 V単電源で動作させて、この機
能を実行する回路です。
プリント回路基板は、
低インピーダンスのグラウンド面を実現す
るために基板の部品側の使用しない部分はすべてグラウンド面で覆
うべきです。また浮遊容量を減らすために、グラウンド面は入力端
子から離して下さい。
電源バイパス用にチップ・コンデンサを使用して下さい(図45参
照)。一方の端子はグラウンド面に接続し、もう一方を各電源端子
に接続(3mm以内)して下さい。また大きな値(4.7μF∼10μF)の
タンタル電解コンデンサを並列に接続して下さい。
しかし出力上で
大きな信号が高速に変動する場合、
電流を供給しなければならない
ために余り近づけないで下さい。
フィードバック抵抗は、
反転入力端子上の浮遊容量を抑えるため
にこの端子の近くに配置して下さい。反転入力上での容量変動を
1 pF内に抑えれば、優れた高速性能を維持できます。
信号ラインが長い時(2.5 cm以上)は、ストリップ・ライン設計技
術を使用します。
この設計では50Ω∼75Ωのインピーダンスを使用
し、また各々終端します。
図43. 単電源同期信号除去処理
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REV.0
AD8041
評価ボード
表1. 推奨する部品の値
AD8041評価ボードは、
規定されたデバイスの高速性能を評価する
AD8041A
ボードです。このボードの製品番号はオーダー・ガイド(P.5)に示
しています。
この評価ボードの基板レイアウトを設計の参照に利用できます。
ゲイン
部品
+1
+2
+2
+5
+10
RF
0Ω
2kΩ
400Ω
2kΩ
2kΩ
2kΩ
400Ω
500Ω 220Ω
R(定格)
O
75Ω
75Ω
75Ω
75Ω
75Ω
R(定格)
T
75Ω
75Ω
75Ω
75Ω
75Ω
160
67
72
20
9
7
32
RG
小信号帯域幅(MHz)
VS=+5 V
0.1dB帯域幅(MHz)
VS=+5 V
図45. 非反転構成の評価ボード
図47. ボードのレイアウト(部品面)
図46. 評価ボード・シルクスクリーン(上面図)
図48. ボードのレイアウト(裏面)
REV.0
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AD7376
AD8041
外形寸法
サイズはインチと(mm)で示します。
8ピン・プラスチックDIP
(N-8)
8ピン・プラスチックSOIC
うにやさ
ゅ
い
し
ちき
PRINTED IN JAPAN
(SO-8)
み
る
「この取扱説明書はエコマーク認定の再生紙を使用しています。
」
ど
りをまも
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REV.0