クワッド150 MHz レール to レール・オペアンプ AD8044 特長 接続図 シングル・タイプのAD8041とデュアル・タイプのAD8042も供給可能 14ピン・プラスチック・ミニDIPおよびSOIC +3 V、+5 Vおよび±5 V電源で仕様を規定 両電源電圧の25 mV内まで信号を出力可能 入力電圧範囲をGNDから200 mV下まで拡張 入力が電源より1 V以上になっても位相反転無し 低消費電力(2.75 mA/アンプ) +5 Vでも高速動作および高速セトリング −3 dB帯域幅が150 MHz(G=+1) 170 V/μsのスルーレート 0.1%までの40 nsのセトリング時間 優れたビデオ特性(RL=150Ω、G=+2) 12 MHzまで0.1 dBのゲイン平坦性 0.06%の微分ゲイン誤差 出力電圧振幅は、両電源から25 mV以内まで拡張されています。 0.15°の微分位相誤差 これにより、大きな出力ダイナミック範囲を得ています。さらに12 低歪み MHzまでの0.1 dBのゲイン平坦性を備え、 +5 V単電源で0.04%と0.22 最悪値−75 dBc(高調波:@5 MHz) °の微分ゲイン誤差と微分位相誤差も備えています。したがって、 優れた負荷駆動能力 AD8044はカメラ、ビデオ・スイッチ等の放送局用のビデオ機器、ま 電源から0.5Vまで30mA出力で駆動 たは高速携帯装置に理想的な製品です。またAD8044の低歪み特性 と高速セトリング特性は、アクティブ・フィルタ等の応用に最適で アプリケーション アクティブ・フィルタ す。 AD8044の消費電流は、13.1 mA(max)です。また+3.3 V単電源で ビデオ・スイッチ 動作できます。したがって、実装面積と消費電力が非常に重要な携 分配用のアンプ 帯型の電池駆動装置に理想的な製品といえます。 A/Dコンバータ・ドライバ さらにAD8044は、 +5 V単電源で150 MHzの広い帯域幅と170 V/μ 放送局用カメラ sのスルーレートを備えていますので、 最高±6 Vのデュアル電源お CCD画像システム よび+3 Vから+12 Vまでの単電源を使用する高速システムに最適 超音波装置(マルチチャンネル) です。AD8044のパッケージは、14ピン・プラスチックDIPおよび SOICです。 概要 AD8044は、+3 V、+5 Vおよび±5 Vで動作するように設計された クワッド・タイプの低消費電力電圧帰還型の高速オペアンプです。 単電源で動作し、 入力電圧範囲は負電源電位より200 mV下から正電 源の1 V下まで拡張されています。 図2. 周波数応答:ゲイン=+1、VS=+5 V 図1. 出力振幅:ゲイン=−1、RL=2 kΩ アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、 当社はその情報の利用、また利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権 利の侵害に関して一切の責任を負いません。さらにアナログ・デバイセズ社の特許また は特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1 - 1 6 - 1 電話03(5402)8200 〒105−6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3 - 5 - 3 6 電話06(6350)6868㈹ 〒532−0003 新大阪第2森ビル AD8044―仕様 (特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+5 V;2.5 Vに対してRL=2kΩ) AD8044A パラメータ 条件 Min Typ Max 単位 −3dB小信号帯域幅、 Vo<0.5Vp−p G=+1 80 150 MHz 0.1dB平坦性の帯域幅 G=+2、RL=150Ω 12 MHz スルーレート G=−1、Vo=4Vステップ 170 V/μs フルパワー応答 Vo=2Vp−p 26 MHz 1%までのセトリング時間 G=−1、Vo=2Vステップ 30 ns 40 ns ダイナミック性能 140 0.1%までのセトリング時間 ノイズ/高調波性能 全高調波歪み fc=5 MHz、Vo=2 Vp−p、G=+2、RL=1 kΩ −75 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 16 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz 850 fA/√Hz 微分ゲイン誤差(NTSC) G=+2、2.5 Vに対してRL=150Ω 0.04 % 微分位相誤差(NTSC) G=+2、2.5 Vに対してRL=150Ω 0.22 Degrees クロストーク f=5 MHz、RL=1 kΩ、G=+2 −60 dB DC性能 入力オフセット電圧 1.0 TMIN−TMAX 6 mV 8 mV オフセット・ドリフト 8 入力バイアス電流 2 4.5 μA 4.5 μA 0.2 1.2 μA TMIN−TMAX 入力オフセット電流 94 dB 88 dB 入力抵抗 225 kΩ 入力容量 1.6 pF 入力同相電圧範囲 −0.2 ∼ 4 V 90 dB 0.03∼4.975 V オープンループ・ゲイン RL=1 kΩ 82 μV/℃ TMIN−TMAX 入力特性 同相除去比 VCM=0 V ∼ 3.5 V 80 出力特性 出力電圧振幅 2.5 Vに対してRL=10 kΩ 2.5 Vに対してRL=1 kΩ 0.25 ∼ 4.75 0.075 ∼ 4.91 V 2.5 Vに対してRL=150Ω 0.55 ∼ 4.4 0.25 ∼ 4.65 V 出力電流 TMIN ∼ TMAX、VOUT=0.5 V ∼4.5 V 30 mA 短絡回路電流 ソース 45 mA シンク 85 mA G=+2 40 pF 容量負荷ドライブ 電源 動作範囲 3 無負荷時電源電流 電源変動除去比 11 VS=0、+5 V、±1 V 70 動作温度範囲 −40 12 V 13.1 mA 80 dB +85 ℃ 仕様は予告なしに変更する場合があります。 −2− REV.0 AD8044 仕様(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+3 V;1.5 Vに対してRL=2 kΩ) AD8044A パラメータ 条件 Min Typ MaX 単位 −3dB小信号帯域幅、 Vo<0.5Vp−p G=+1 80 135 MHz 0.1dB平坦性の帯域幅 G=+2、RL=150Ω 10 MHz スルーレート G=−1、Vo=2 Vステップ 150 V/μs フルパワー応答 Vo=2 Vp−p 22 MHz 1%までのセトリング時間 G=−1、Vo=2 Vステップ 35 ns 55 ns ダイナミック性能 110 0.1%までのセトリング時間 ノイズ/高調波性能 全高調波歪み fc=5 MHz、Vo=2 Vp−p、G=−1、RL=100Ω −54 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 16 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz 600 fA/√Hz 微分ゲイン誤差(NTSC) G=+2、1.5 Vに対してRL=150Ω、入力VCM=0.5 V 0.13 % 微分位相誤差(NTSC) G=+2、1.5Vに対してRL=150Ω、入力VCM=0.5 V 0.3 Degrees クロストーク f=5 MHz、RL=1 kΩ、G=+2 −60 dB DC性能 入力オフセット電圧 1.5 TMIN−TMAX オフセット・ドリフト 8 入力バイアス電流 2 TMIN−TMAX 入力オフセット電流 0.2 80 mV 7.5 mV μV/℃ 4.5 μA 4.5 μA 1.2 μA 92 dB 88 dB 入力抵抗 225 kΩ 入力容量 1.6 pF 入力同相電圧範囲 −0.2 ∼ 2 V 90 dB 0.025 ∼ 2.98 V オープンループ・ゲイン RL=1 kΩ 5.5 TMIN−TMAX 入力特性 同相変動除去比 VCM=0 V ∼ 1.5 V 76 出力特性 出力電圧振幅 1.5 Vに対してRL=10 kΩ 1.5 Vに対してRL=1 kΩ 0.17 ∼ 2.82 0.06 ∼ 2.93 V 1.5 Vに対してRL=150Ω 0.35 ∼ 2.55 0.15 ∼ 2.75 V 出力電流 TMIN ∼ TMAX、VOUT=0.5 V ∼ 2.5 V 25 mA 短絡回路電流 ソース 30 mA シンク 50 mA G=+2 35 pF 容量負荷ドライブ 電源 動作範囲 3 無負荷時電源電流 電源変動除去比 10.5 VS=0、+3 V、±0.5 V 動作温度範囲 0 仕様は予告なしに変更する場合があります。 REV.0 70 −3− 12 V 12.5 mA 80 dB +70 ℃ AD8044―仕様 (特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=±5 V;0 Vに対してRL=2 kΩ) AD8044A パラメータ 条件 Min Typ Max 単位 −3dB小信号帯域幅、 Vo<0.5Vp−p G=+1 85 160 MHz 0.1dB平坦性の帯域幅 G=+2、RL=150Ω 15 MHz スルーレート G=−1、Vo=8 Vステップ 190 V/μs フルパワー応答 Vo=2 Vp−p 29 MHz 0.1%までのセトリング時間 G=−1、Vo=2 Vステップ ダイナミック性能 150 0.01%までのセトリング時間 30 ns 40 ns ノイズ/高調波性能 全高調波歪み fc=5 MHz、Vo=2 Vp−p、G=+2、 RL=1 kΩ −77 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 16 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz 900 fA/√Hz 微分ゲイン誤差(NTSC) G=+2、RL=150Ω 0.06 % 微分位相誤差(NTSC) G=+2、RL=150Ω 0.15 Degrees クロストーク f=5 MHz、RL=1 kΩ、G=+2 −60 dB DC性能 入力オフセット電圧 1.4 TMIN−TMAX オフセット・ドリフト 10 入力バイアス電流 2 TMIN−TMAX 入力オフセット電流 0.2 82 mV 9 mV μV/℃ 4.5 μA 4.5 μA 1.2 μA 96 dB 92 dB 入力抵抗 225 kΩ 入力容量 1.6 pF 入力同相電圧範囲 −5.2∼4 V 90 dB −4.97∼+4.97 V RL=1 kΩ −4.6∼+4.6 −4.85∼+4.85 V RL=150Ω −4.0∼+3.8 −4.5∼+4.5 V オープンループ・ゲイン RL=1 kΩ 65 TMIN−TMAX 入力特性 同相除去比 VCM=−5 V ∼ 3.5 V 76 出力特性 出力電圧振幅 RL=10 kΩ 出力電流 TMIN ∼ TMAX、VOUT=−4.5 V ∼ +4.5 V 30 mA 短絡回路電流 ソース 60 mA シンク 100 mA G=+1 40 pF 容量負荷ドライブ 電源 動作範囲 3 無負荷時電源電流 電源変動除去比 11.5 VS=−5、+5 V、±1 V 動作温度範囲 70 −40 12 V 13.6 mA 80 dB +85 ℃ 仕様は予告なしに変更する場合があります。 −4− REV.0 AD8044 絶対最大定格1 最大消費電力 電源電圧 …………………………………………………… +12.6 V AD8044が安全に消費できる最大電力は、 接合温度の制約を受けま 内部消費電力2 す。プラスチックに実装されたデバイスの最大安全接合温度は、プ プラスチックDIPパッケージ(N)………………………… 1.6 W ラスチックの融点温度によって決まります。 これは約+150℃です。 SOパッケージ(R) ………………………………………… 1.0 W この限度を一時的に超えた場合、 パッケージ内のチップ上に掛かる 入力電圧(同相) ……………………………………… ストレスの変動によってパラメトリック性能が変化します。 またか 差動入力電圧 ±VS±0.5 V ……………………………………………… 出力短絡回路期間 ±3.4 V ………… 電力ディレーティング曲線を参照 なり長い時間接合温度が+175℃を超えた場合、デバイスの機能が 損なわれます。 保管温度範囲(N,R) …………………………… −65℃ ∼ +125℃ AD8044は、内部で短絡回路保護を施していますが、 これだけでは リード温度範囲(ハンダ付け、10秒) …………………… +300℃ すべての条件下で最大接合温度(+150℃) を超えない保証となりま 注 1 “絶対最大定格”を超えるストレスはデバイスに永久破壊をもたらすことがあります。こ の定格はデバイスの単なるストレスの度合いであり、基本的な動作あるいは動作の項に示 す他の条件においてこの定格は考慮されていません。デバイスをある項目についての絶 対最大定格の状態に長時間さらすとデバイスの信頼性に影響を与えます。 2 仕様は空冷の無い状態; 14ピン・プラスチックDIPパッケージ:θJA=75℃/W 14ピンSOICパッケージ:θJA=120℃/W せん。適切に動作させるために、最大電力ディレーティング曲線を 参照する必要があります。 オーダー・ガイド モデル 電源電圧 温度範囲 AD8044AN +5、±5 パッケージ説明 −40℃ ∼ +85℃ 14ピン・プラスチックDIP (N−14) AD8044AN +3 0℃ ∼ +70℃ 14ピン・プラスチックDIP (N−14) AD8044AR +5、±5 −40℃ ∼ +85℃ 14ピン・プラスチックSOIC (R−14) AD8044AR +3 0℃ ∼ +70℃ 14ピン・プラスチックSOIC (R−14) AD8044AR−REEL 図3. 最大消費電力vs.温度のプロット図 リールSOIC(R−14) (電力ディレーティング曲線) 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000 Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、検知さ れることなく放電されることもあります。このAD8044には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネルギーの静 電放電にさらされたデバイスには回復不能な損傷が残ることもあります。したがって、性能低下や機能喪失を避けるため に、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。 REV.0 −5− WARNING! ESD SENSITIVE DEVICE AD8044―代表的特性 図4. Vosの代表的分布 図7. オープンループ・ゲインとRL(+2.5 Vに対して) 図5. −40℃から+85℃の範囲のVosドリフト 図8. オープンループ・ゲインの温度特性 図6. IBの温度特性 図9. オープンループ・ゲインと出力電圧 −6− REV.0 AD8044 REV.0 図10. 入力電圧ノイズの周波数特性 図13. 微分ゲイン誤差と微分位相誤差 図11. 全高調波歪み 図14. 0.1dBゲイン平坦性 図12. 高調波(最悪値)と出力電圧 図15. オープンループ・ゲインと位相の周波数特性 −7− AD8044―代表的特性 図16. クローズドループ周波数特性と温度 図19. ステップ入力のセトリング時間 図17. クローズドループ周波数特性と電源 図20. CMRRの周波数特性 図18. 出力抵抗の周波数特性 図21. 出力飽和電圧と負荷電流 −8− REV.0 AD8044 REV.0 図22. 電源電流の温度特性 図25. オーバーシュート(%)と容量負荷 図23. PSRRの周波数特性 図26. 周波数特性とクローズドループ・ゲイン 図24. 出力電圧振幅の周波数特性 図27. クロストーク(出力間)の周波数特性 −9− AD8044 a. 図30. 100 mVステップ・パルス応答、VS=+5 V、G=+1 b 図31. 出力振幅特性、VS=+3 V 図28. a.、b.出力振幅と負荷リファレンス VS=+5 V、G=−1 図29. 1 Vステップ・パルス応答、VS=+5 V、G=+2 図32. ステップ・パルス応答、G=+1、VIN=100 mV − 10 − REV.0 AD8044 オーバードライブからの回復 容量負荷の駆動 出力範囲または入力範囲が限度を超えたときに、オペアンプは 負荷と直列に小さな値の抵抗を付け加えることによって、 オーバードライブ状態になります。オペアンプは、このオーバード AD8044の容量負荷駆動能力を高めることができます。図35は、直列 ライブ状態から回復しなければなりません。図33に示すように、 抵抗による容量負荷駆動能力の変化を示したものです。 この負荷駆 AD8044は負のオーバードライブから50 ns未満で回復します。また 動能力は、電圧ゲインによっても変化します。クローズドループ・ 正のオーバードライブから25 ns未満で回復します。 ゲインを大きくした場合、大きな容量負荷を駆動できますし、また より位相余裕度も高くなりますので、 オーバーシュートも小さくな ります。クローズドループ・ゲインが小さい場合、直列抵抗を付け 加えることによってより大きな容量負荷を駆動できます。 さらに大 きな容量負荷を駆動する場合、 このアンプの周波数特性は直列抵抗 と容量負荷によるロールオフで決まります。 図33. オーバードライブから回復 回路の説明 AD8044は、アナログ・デバイセズ社独自のXFCBプロセスで製造 されました。このプロセスによって、PNPトランジスタとNPNトラ ンジスタのfTを同じ2 GHz−4 GHz領域にできます。またこのプロセ 図34. AD8044の簡略化した回路図 スは、 寄生容量と接合面の絶縁によって生じるラッチアップの問題 を抑えるために電気的に絶縁されています。この特性により、低消 費電流ながら低歪みの性能を持つ高周波数アンプを作成できまし た。また帯域幅を高め、余裕度を上げるために、入力段を差動出力 にしています(図34を参照)。この1段目の出力(ノードS1P、S1N)上 での信号振幅を小さくすることによって、 接合容量による非直線的 な特性を持つ電流の影響を抑えて、 歪みに対する性能も改善してい ます。これによって、高調波歪み性能は−85 dBを超えます(5 V単 電源、@1 MHz、VOUT=2 Vp−p、ゲイン=+2、負荷100Ω)。 コンプリメンタリ・コモン・エミッタ構造の出力段によって、 AD8044のレイルtoレイル出力特性が可能になります。 また出力デバ イスQ8とQ36のベースにすべての出力段ドライバ電流を流し込んで いますので、大きな出力駆動性能を得ています。さらに同相フィー ドバック・ループ(図示していません)と共に、I8とI5によってQ8と Q36のバイアス処理を行っています。AD8044のこの回路で、出力は 電源の0.5 V以内まで50 mAの電流を駆動できます。 図35. 容量負荷ドライブ能力と閉ループ・ゲイン またこのデバイスの入力段は、 負電源の0.2 V下から正電源の+1.2 V下までの電圧を扱うことができます。この値を超えても位相反転 は起こりません。しかし入力電圧が電源より0.5 V以上になると、入 力ESD回路が動作し始めます。 REV.0 − 11 − AD8044 応用 RGBバッファ AD8044は、単+3 Vまたは+5 V電源で動作させて、グラウンド電 位を含むRGB信号のバッファ処理を行うことができます。 RGBビデオ信号源が2台のモニターをドライブする場合、終端が 2個(2台のモニターを並列に接続)にならないようにドライバを追 加します。ビデオ・ドライバが出力する信号の水平ブランクの際は 常にグラウンド電位ですので、 通常デュアル電源のオペアンプが必 要でした。単電源システムでは、ここが大きな問題になり、負電源 を追加しなければならなくなります。 AD8044は、 負電源を使用しなくてもこの応用で要求される駆動能 力を保ちます。図36は、AD8044の3個のアンプを使用して2台目のモ ニターのバッファ処理を行う回路です。 単電源で動作するグラフィックIC内の3個の電流出力DACがそれ ぞれRGB信号を出力します。このような回路構成は、プルDACをス タンドアローン方式で使用、 あるいはDACを内蔵したグラフィック ICを使用した現在の多くのパソコンやワークステーションでは標準 的なものです。 水平ブランク中、DACの電流出力は0になります。そしてRGB信 号は、終端抵抗を通じてグラウンド電圧になります。RGB信号に電 圧源を使用する場合、 終端抵抗はグラフィックICの近くに直列に配 置します。しかし変更はこの箇所だけで、他の回路は同じです。こ れは電圧源がAC短絡回路であって、 ラインのドライブ側を75Ωを通 じてACグラウンド電位にするために直列抵抗が必要です。しかし 信号に電流源を使用する場合、 電流源が非常に高い出力インピーダ ンスを持っていますので、 ラインのドライブ側をACグラウンド電位 にするためにシャント抵抗が必要です。 またいずれの場合でもモニ ター側も75Ωの抵抗でラインを終端しなければなりません。 AD8044を使用し単電源で図36の回路を動作させても、 信号の特性 の劣化はわずかです。またこの回路は、+3 Vまたは+5 V、いずれ 図36. 単電源RGBビデオ・ドライバ の電源電圧でも正常に動作します。 図37は、図36の回路を+3 V電源で動作させて、カラー・バーのB 信号で駆動した際のオシロスコープ写真です。水平ブランク中、入 力と出力はグラウンドであることに注意して下さい。 またRGB信号 は、最高700 mVピークの信号を出力するように規定されています。 AD8044は1.4 Vを出力し、終端抵抗で電圧を半分に分周します。R信 号とG信号も、それぞれ同様の回路でバッファします。 図37. +3 V、RGBバッファ − 12 − REV.0 AD8044 アクティブ・フィルタ レイアウト上の考察 高周波成分を扱うアクティブ・フィルタを適切に動作させるに AD8044の高速特性を使用する上で、 基板レイアウトと部品選択に は、幅広い帯域幅特性を持つオペアンプが必要です。低周波数の信 注意を払うことが重要です。適切なRF設計技術と低い寄生容量の 号しか扱えないオペアンプでは、大きな位相シフトが生じ、アク 部品を選択することが基本です。 ティブ・フィルタの性能に悪い影響を与えます。 プリント回路基板は、低インピーダンスのグラウンド面を実現す 図38は、AD8044の4個のオペアンプの内の3個を使った、バイク るために基板の部品側の使用しない部分はすべてグラウンド面で覆 ワッド型の2 MHzの帯域幅を持つフィルタ例です。 このような回路 うべきです。また浮遊容量を減らすために、グラウンド面は入力端 は、医療用の超音波システムで使用されることがあります。この場 子から離して下さい。 合、A/D変換の前にアナログ信号のノイズ帯域幅を狭くするため に使用します。 電源バイパス用にチップ・コンデンサを使用して下さい。一方 の端子はグラウンド面に接続し、もう一方を各電源端子に接続(3 mm以内)して下さい。また大きな値(0.47μF∼10μF)のタンタル 電解コンデンサを並列に接続して下さい。 しかし出力上で大きな信 号が高速に変動する場合、 電流を供給しなければならないために余 り近づけないで下さい。 フィードバック抵抗は、反転入力端子上の浮遊容量を抑えるため にこの端子の近くに配置して下さい。反転入力上での容量変動を 1 pF内に抑えれば、優れた高速性能を維持できます。 信号ラインが長い時(2.5 cm以上)は、ストリップ・ライン設計技 術を使用します。 この設計では50Ω∼75Ωのインピーダンスを利用 し、また各々終端します。 図38. AD8044を使用したバイクワッド型の2 MHzバンドパス・フィルタ 図39は、この回路の周波数特性です。 図39. バイクワッド型の2 MHzバンドパス・フィルタの周波数特性 REV.0 − 13 − AD8044 外形寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 14ピン・プラスチックDIP (N−14) 14ピンSOIC (R−14) − 14 − REV.0 AD8044 REV.0 − 15 − うにやさ ゅ い し ちき PRINTED IN JAPAN AD7376 み る 「この取扱説明書はエコマーク認定の再生紙を使用しています。 」 ど りをまも − 16 − REV.0