高コモン・モード電圧 プログラマブル・ゲイン計装アンプ AD628 特長 機能ブロック図 高コモン・モード入力電圧レンジ:±120V(VS = ±15V時) REXT2 REXT1 ゲインレンジ:+0.01∼+100 +VS 動作温度レンジ:−40℃∼+85℃ RG 電源電圧レンジ デュアル電源:±2.25V∼±18V 100kΩ –IN 単電源:+4.5V∼+36V 10kΩ G = +0.1 優れたACおよびDC性能 –IN オフセット温度安定性RTI:10μV/℃ (最大値) +IN A1 オフセット:±1.5mV(最大値) AD628 –IN OUT A2 10kΩ +IN 100kΩ +IN 10kΩ CMRR RTI:75dB(最小値) 、DC∼500Hz、G = 1 アプリケーション –VS 高電圧電流シャント・センシング プログラマブル・ロジック・コントローラ アナログ入力フロントエンド信号処理:+5V、+10V、±5V、 ±10Vおよび4mA∼20mA センサー信号調整 電源モニタリング 電気油圧制御 モータ制御 VREF CFILT 130 120 110 CMRR – dB 100 概要説明 AD628は優れたDC性能と幅広い周波数レンジでの高いコモン・モ ード除去性能を兼ね備えた、高精度の計装アンプです。高電圧のスケ ーリングに使用すると、単電源動作のA/Dコンバータ用プリアンプとして、 標準の制御電圧または電流を簡単に変換できます。広帯域フィードバッ ク・ループが採用されているので、Σ-Δ型A/Dコンバータのコンデンサ の充電によって発生する歪みの影響が最小限に抑えられます。 リファレンス・ピン (VREF) は、バイポーラ信号をシフトしたユニポーラ 信号に変換するのに必要なDCオフセットをかけます。AD628は+5V、 +10V、±5V、±10Vおよび4mA∼20mAの入力信号を、単電源動作の A/Dコンバータの入力レンジ内のシングルエンド出力に変換します。 AD628は、±120Vの入力コモン・モードおよび差動モードの動作レン ジに対応します。このデバイスはコモン・モード入力インピーダンスが高 いので、シャント抵抗にかかる高電圧の測定に最適です。バッファアン プの反転入力を利用して、 リモート・ケルビン接続を行うことができます。 高精度の10kΩ抵抗を外部ピンに接続すると、ローパス・フィルタが形 VS = ±15V 90 80 70 VS =±2.5V 60 50 40 30 10 100 図1. 1k 周波数-Hz 10k 100k AD628のCMRR対周波数特性 成されるか、 または大きな差動入力信号を分圧減衰させることができま す。また、1個のコンデンサを付加するだけで、ローパス・フィルタが構 成されます。 AD628は単電源およびデュアル電源で動作し、8ピンSOICパッケージ が用意されています。MSOPパッケージについては、弊社までお問い合 わせください。このデバイスは、−40℃∼+85℃の標準的な産業温度レ ンジで動作します。 アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、その情報の利用または利 用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害に関して、当社はいっさいの責任を負いません。 さらに、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 *日本語データシートは、REVISIONが古い場合があります。最新の内容については英語版をご参照ください。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03 (5402)8200 〒105-6891 ニューピア竹芝サウスタワービル (6350)6868 (代)〒532-0003 大阪営業所/大阪府大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06 新大阪MTビル2号 AD628―仕様 パラメータ 計装アンプ + 出力アンプ ゲイン計算式 ゲイン・レンジ ゲイン・ドリフト オフセット電圧 対温度ドリフト CMRR 対温度ドリフト(RTI) PSRR (RTI) 入力電圧レンジ コモン・モード 差動 ダイナミック応答特性 −3dB小信号帯域幅 フルパワー帯域幅 セトリング時間 スルーレート ノイズ(RTI) スペクトル密度 計装アンプ ゲイン 誤差 対温度ドリフト 非直線性 対温度ドリフト オフセット電圧(RTI) 対温度ドリフト 入力インピーダンス 差動 コモン・モード CMRR (RTI) 対温度ドリフト (特に注記のない限り、TA = +25℃、VS = ±15V、RL = 2kΩ、REXT1 = 10kΩ、REXT2 = ∞) 条件 Min G = 0.1[REXT4/(REXT4 + 10kΩ)] (1 + REXT1/REXT2) 図4参照 0.01* バイアス電流 オフセット電流 CMRR オープン・ループ・ゲイン Max 4 100 5 +1.5 8 −1.5 500Hz 75 75 VS = ±10V∼±18V 77 1 94 4 ±120 ±120 G = 0.1 600 5 −0.1 nV/√Hz μVp-p 0.1 +0.01 3 +0.1 5 5 10 +1.5 8 220 55 75 1 4 75 10 −0.1 +0.1 G = (1 + REXT1/REXT2) G = 1、VOUT = ±10V −0.15 RL = 2kΩ RL = 10kΩ −13.8 −14.2 1.5 0.2 VCM = ±13V VOUT = ±13V V V 300 15 −1.5 全温度範囲に対して 500Hz V/V V/V ppm/℃ mV μV/℃ dB dB (μV/V)/℃ dB 0.3 40 1kHz 0.1Hz∼10Hz 単位 kHz kHz μs V/μs G = 0.1、0.01%まで、100Vステップ 出力抵抗値 誤差 出力アンプ ゲイン計算式 非直線性 オフセット電圧 対温度ドリフト 出力電圧スイング Typ 0.5 +0.15 0.6 +13.6 +14.1 3 0.5 130 130 V/V % ppm/℃ ppm ppm mV μV/℃ kΩ kΩ dB (μV/V)/℃ dB kΩ % V/V ppm mV μV/℃ V V nA nA dB dB 電源 動作レンジ 無負荷時電源電流 ±2.25 ±18 1.6 V mA 温度範囲 −40 +85 ℃ 仕様は予告なく変更されることがあります。 2 REV.0 AD628 仕様 (特に注記のない限り、TA = +25℃、VS = 5V、RL = 2kΩ、REXT1 = 10kΩ、REXT2 = ∞) パラメータ 計装アンプ + 出力アンプ ゲイン計算式 ゲイン・レンジ オフセット電圧 対温度ドリフト CMRR 対温度ドリフト(RTI) PSRR (RTI) 入力電圧レンジ コモン・モード* 差動 ダイナミック応答特性 −3dB小信号帯域幅 フルパワー帯域幅 セトリング時間 スルーレート ノイズ(RTI) スペクトル密度 計装アンプ ゲイン 誤差 非直線性 対温度 オフセット電圧(RTI) 対温度 入力インピーダンス 差動 コモン・モード CMRR (RTI) 対温度ドリフト 条件 Min G = 0.1[REXT4/(REXT4 + 10kΩ)] (1 + REXT1/REXT2) 図4参照 VOCM = 2.25V 0.01* −3.0 500Hz 75 75 VS = 4.5V∼10V VREF = 2.5V 77 バイアス電流 オフセット電流 CMRR オープン・ループ・ゲイン Max 6 100 +3.0 15 1 94 −12 G = 0.1 G = 0.1、0.01%まで、30Vステップ 1kHz 0.1Hz∼10Hz −0.1 4 +17 440 30 15 0.3 kHz kHz μs V/μs 350 15 _ nV/√Hz μVp-p 0.1 +0.01 +0.1 3 10 2.5 10 75 1 4 75 10 −0.1 +0.1 G = (1 + REXT1/REXT2) G = 1、VOUT = 1V∼4V RL = 2kΩ RL = 10kΩ 1 0.9 1.5 0.2 VCM = 1V∼4V VOUT = 1V∼4V V/V V/V mV μV/℃ dB dB (μV/V)/℃ dB V V 220 55 全温度範囲に対して 500Hz 単位 ±15 3 出力抵抗値 誤差 出力アンプ ゲイン計算式 非直線性 オフセット電圧 対温度ドリフト 出力電圧スイング Typ 0.5 0.15 0.6 4 4.1 3 0.5 130 130 V/V % ppm ppm mV μV/℃ kΩ kΩ dB (μV/V)/℃ dB kΩ % V/V ppm mV μV/℃ V V nA nA dB dB 電源 動作レンジ 無負荷時電源電流 ±2.25 +36 1.6 V mA 温度範囲 −40 +85 ℃ * VREF値の増減に応じて、この電圧値をもっと大きくすることが可能です。 仕様は予告なく変更される場合があります。 REV.0 3 AD628 絶対最大定格* 電源電圧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・±18V 1.5 TJ = 150 C 内部電力損失 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・図2を参照 入力電圧(コモン・モード)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・±120V 8ピンSOICパッケージ 差動入力電圧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・±120V 1.0 ワット損 ― W 出力短絡持続時間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無制限 保管温度範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・−65℃∼+125℃ 動作温度範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・−40℃∼+85℃ リード端子温度範囲(10秒のハンダ付け)・・・・・・・・・・・・・・・300℃ 0.5 *上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに恒久的な損傷を与えることがあり ます。この規定はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作の節に記 載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを長時間絶対最大 定格状態に置くとデバイスの信頼性に影響を与えます。 0 –50 –40 –30 –20 –10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 周囲温度 ― ℃ 図2. 最大ワット損対温度特性 オーダー・ガイド モデル AD628ARN AD628ARM (弊社にお問い合わせください。) AD628AR-EVAL 温度レンジ パッケージ パッケージ・オプション −40℃∼+85℃ −40℃∼+85℃ 8ピンSOIC 8ピンMSOP RN-8 RM-8 評価用ボード 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vにおよぶ高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯 電し、検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高 エネルギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や 機能喪失を回避するために、適切なESD防止措置をとるようお奨めします。 –VS 2 VREF 3 CFILT 4 8 AD628 上面図 (実寸では ありません) ESD SENSITIVE DEVICE ピン機能説明 ピン配置 +IN 1 WARNING! –IN 7 +VS 6 RG 5 OUT 4 ピン番号 記号 機能 1 2 3 4 5 6 7 8 +IN −VS VREF CFILT OUT RG +VS −IN 非反転入力 負電源電圧 リファレンス電圧入力 フィルタ・コンデンサ接続ピン アンプ出力 出力アンプの反転入力 正電源電圧 反転入力 REV.0 代表的な性能特性―AD628 40 140 8440個 8440 UNITS G = +0.1 35 120 個数の割合(%) 30 100 PSRR – dB 25 20 15 80 –15V +15V 60 +2.5V 40 10 20 5 0 –1.6 –1.2 –0.4 –0.8 0 0.4 0 0.8 1.2 1.6 2.0 0.1 1 10 1k 10k 100k 1M 周波数―Hz 入力オフセット電圧―mV TPC 1. 100 入力オフセット電圧の代表的な分布、 VS = ±15V、SOICパッケージ TPC 4. PSRR対周波数特性、単電源およびデュアル電源 1000 25 – 電圧ノイズ・スペクトル密度― nV/ Hz 8440個 個数の割合(%) 20 15 10 5 0 –74 100 –78 –82 –86 –90 –94 –98 –102 –106 –110 1 10 CMRR – dB TPC 2. 100 1k 10k 100k 周波数―Hz コモン・モード除去比の代表的な分布、 SOICパッケージ TPC 5. 電圧ノイズ・スペクトル密度、RTI、VS = ±15V 1000 130 – 電圧ノイズ・スペクトル密度― nV/ Hz 120 110 CMRR – dB 100 VS =±15V 90 80 70 VS =± 2.5V 60 50 40 30 10 100 100 1k 10k 100k 1 周波数―Hz TPC 3. REV.0 10 100 1k 10k 100k 周波数―Hz CMRR対周波数特性 TPC 6. 5 電圧ノイズ・スペクトル密度、RTI、VS = ±2.5V AD628 40 9638個 8440 UNITS 35 1s 100 30 デバイス個数の割合(%) ノイズ - 5μV/1目盛 90 25 20 15 10 10 0 5 0 0 5 0 10 1 3 2 5 6 0.1Hz∼10Hz電圧ノイズ、RTI TPC 10. 60 9 10 150 CMVの上限 G = +100 100 コモン・モード電圧―V 30 ゲイン―dB 8 +1ゲイン誤差の代表的な分布 50 40 7 ゲイン誤差-ppm 時間―秒 TPC 7. 4 G = +10 20 10 G = +1 0 –10 –40℃ 50 0 +25℃ +25℃ –50 –40℃ +85℃ G = +0.1 –20 –100 –30 –40 100 1k 10k 100k 1M CMVの下限 –150 10M 5 0 TPC 8. 10 15 20 VS – ±V 周波数―Hz 小信号周波数応答特性、VOUT = 200mVp-p、 G = +0.1、+1、+10および+100 TPC 11. 3点の温度別のコモン・モード動作電圧レンジ 対電源電圧特性 60 50 40 500μV VS = ±15V G = +100 100 RL = 1kΩ 90 出力誤差―μV ゲイン―dB 30 G = +10 20 10 G = +1 0 RL = 2kΩ RL = 10kΩ –10 10 G = +0.1 –20 0 –30 –40 4.0V 10 100 1k 10k 100k 1M 出力電圧-V 周波数―Hz TPC 9. 大信号周波数応答性、VOUT = 20Vp-p、 G = +0.1、+1、+10および+100 TPC 12. 6 正規化ゲイン誤差対VOUT特性、VS = ±15V REV.0 AD628 VS = ±2.5V 100μV 500mV RL = 1kΩ 100 100 90 出力誤差―μV 90 RL = 2kΩ RL = 10kΩ 10 10 0 0 50mV 500mV 4μs 出力電圧―V TPC 13. TPC 16. 正規化ゲイン誤差対VOUT特性、VS = ±2.5V 小信号パルス応答特性、RL = 2kΩ、CL = 0pF、 上:入力、下:出力 4.0 500mV 100 バイアス電流―nA 3.0 90 2.0 10 1.0 0 50mV 0 –40 –20 0 20 40 60 80 100 温度―℃ TPC 14. TPC 17. –40o C –25o C 10 100 +85o C 90 10.0 V +25o C 5 出力電圧スイング―V 小信号パルス応答特性、RL = 2kΩ、CL = 1000pF、 上:入力、下:出力 バイアス電流対温度特性、バッファ 15 4μs 0 –5 –25o C –40o C 10.0 V 10 0 +25o C +85o C –10 40μs –15 0 5 10 15 20 25 出力電流―mA TPC 18. TPC 15. REV.0 出力電圧動作レンジ対出力電流特性 7 大信号パルス応答特性、RL = 2kΩ、CL = 1000pF、 上:入力、下:出力 AD628 100 100 90 90 5V 5V 10mV 10mV 10 10 0 0 100μs 100μs TPC 19. 0.01%までのセトリング時間、0V∼10Vステップ TPC 20. 8 0.01%までのセトリング時間、0V∼10Vステップ REV.0 AD628 テスト回路 HP3589A HP3561A スペクトラム・アナライザ スペクトラム・アナライザ +VS AD628 10kΩ –IN +IN OUT –IN –IN G = +0.1 +IN RG AD628 10kΩ 100kΩ +IN 10kΩ 100Ω +VS – AD829 + FET プローブ –IN 100kΩ 10kΩ +IN 100kΩ –IN G = +0.1 +IN G = +100 100kΩ –IN 10kΩ +IN 10kΩ CFILT VREF 10kΩ RG VREF –VS –VS テスト回路3. – AD707 + テスト回路1. CMRR対周波数特性 スコープ +VS 1 VAC AD628 –IN 10kΩ +15V G = +100 10kΩ +IN 100kΩ +IN –IN –IN G = +0.1 +IN 20Ω OUT + AD829 – G = +100 100kΩ 10kΩ VREF CFILT RG –VS テスト回路2. REV.0 CFILT PSRR対周波数特性 9 ノイズ・テスト OUT AD628 アプリケーション ゲイン調整 AD628のシステム・ゲインは、2個のアンプで構成されるアーキテクチャで –IN 100kΩ 10kΩ 設定されます。入力段のゲインは0.1固定ですが、出力バッファのゲインは G = +0.1 –IN –IN A1 以下のように変更可能です。 OUT A2 10kΩ +IN +IN +IN G =1+ 100kΩ 10kΩ REXT 1 REXT 2 したがって、 システム・ゲインは以下の式から求められます。 ( G = 0 .1 × 1 + VREF 図3. 簡略化回路図 REXT 1 REXT 2 ) バッファアンプの入力バイアス電流は、最大値が2nAという非常に低い 値であり、バイアス電流によってバッファアンプに生じるオフセット電圧は無 動作理論 視できるレベルです (2nA×10kΩ = 20μV) 。ただし、バイアス電流の影 AD628はユーザー設定が可能な出力アンプを備えた、高コモン・モード 響を最小限に抑えるために、R EXT1とR EXT2は並列接続抵抗値が10 電圧の計装アンプです (図3、4参照) 。入力に構成される高精度な11:1 kΩとなるような値を選択してください。実際にREXT1とREXT2の並列接続に 分圧器によって、150Vを超える差動モード電圧が正確にスケーリングされ 使用する抵抗値が10kΩより小さくなる場合には、その差を補償するため ます。3番ピンでリファレンス電圧入力が利用できます。計装アンプの出力 を追加することができます。表Iには、ゲイン設定値と対 に直列抵抗 (REXT3) コモン・モード電圧は、 リファレンス・ピンに加えられる任意の電圧となります。 応する抵抗値を記載しています。 特定用途向けに設定されていないアンプをゲイン用に構成する場合には、 表 I. 各ゲイン設定の為に1%標準抵抗値で最も近い値 3番ピンを外部ゲイン抵抗の一端に接続すると、5番ピンから出力されるコ (図3を参照) モン・モード電圧が設定されます。 計装アンプの出力は、±0.1%以上の絶対精度にトリミングされている10 kΩ抵抗に内部接続されます。この抵抗は出力アンプの非反転入力に接 続されており、4番ピンからアクセスできます。コンデンサを接続してローパ ス・フィルタを構成するか、抵抗を接続して出力電圧をさらに低減するか、 あるいはクランプ回路を構成して出力スイングを制限することが可能です。 汎用用途に使える出力アンプは、高いオープン・ループ・ゲイン、 ロー・ オフセット、 ロー・ドリフトのオペアンプで、その非反転入力は内部の10kΩ 抵抗に接続されています。両方の入力に外部からアクセスできます。 慎重な回路レイアウトによって、高い周波数で非常に優れたコモン・モー ド除去比性能が達成されています。電源ピンである2番ピンと7番ピンに隣 トータル A2の ・ゲイン ゲイン (V/V) (V/V) REXT1 (Ω) REXT2 (Ω) REXT3 (Ω) REXT4 (Ω) 0.01 0.02 0.05 0.1 0.2 0.25 0.5 1 2 5 10 1k 2k 4.99k 10 20k 25.9k 49.9k 100k 200k 499k 1M ∞ ∞ ∞ ∞ 20k 18.7k 12.4k 11k 10.5k 10.2k 10.2k 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1.1k 249k 10k ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ 0.1 0.2 0.5 1 2 2.5 5 10 20 50 100 接する1番ピンと8番ピンに入力が接続されます。電源ピンはACグラウンド 電圧レベル変換 電位に維持されるので、周波数が高くなっても入力インピーダンスの平衡、 つまりコモン・モード除去比性能が保持されます。 産業用の信号処理および制御アプリケーションでは一般的に、リモー ト・センサーまたはアンプと中央の制御モジュール間の適切な接続が必要 REXT2 REXT1 です。シグナル・コンディショナは最大±10Vフルスケールまでの出力電圧 を供給しますが、3.3V∼5Vロジック単電源で動作するA/Dコンバータまた REXT3 +VS –IN 100kΩ はマイクロプロセッサの使用が一般的になってきました。このため、コントロ RG ーラでも電圧の振幅とリファレンス電圧をさらに低減することが必要になり ます。 10kΩ AD628 G = +0.1 –IN –IN A1 OUT これに加えて、各実装場所間の電位の共通性を保持することが困難 A2 10kΩ +IN で、電源ラインのピークおよびサージが起因して、ユーティリティ・グリッド間 +IN +IN で破壊的なエネルギーが発生する可能性もあります。AD628は、この両 100kΩ 方の問題を解決する理想的なデバイスです。このアンプは信号電圧の破 10kΩ 壊的なピークおよびサージを1/10まで減衰し、差動入力信号を目的の出 –VS 力電圧にレベルシフトします。 VREF CFILT REXT4 電圧ドライブシステムまたは電流ループ・システムからの変換は、図5に 図4. 示す回路を利用して容易に実現できます。この図では、各種の極性およ 回路接続 び振幅の入力を単電源動作のA/Dコンバータの入力に変換する回路を 示しています。 10 REV.0 AD628 3番ピンと10kΩ抵抗の下端を接続することによって、 出力コモン・モード 表IIには、一般的な単電源動作A/Dコンバータの電源電圧に対応する 電圧を目的の電圧に調整できる点に注目してください。出力コモン・モード 抵抗およびリファレンスの値を記載しています。 電圧は、 リファレンス電圧と同じになります。 表 II. 電圧レベル変換アプリケーション用として 標準に最も近い1%抵抗値 このようなアプリケーションの設計は、以下の簡単なステップで実行でき ます。 1. 必要とするゲインを決定します。たとえば、入力電圧を±10Vから0V ∼+5Vに変換する必要がある場合には、ゲインは5/20、つまり0.25に なります。 2. 回路のコモン・モード電圧の変更が必要であるかどうかを決定しま す。この例として、A/DコンバータのAD7715-5を取り上げています。 5V電源動作時には、AD7715のコモン・モード電圧は電源電圧の 1/2、すなわち2.5Vになります。AD628のリファレンス・ピンと10kΩ抵 抗の下側の端子を2.5Vの電圧源に接続すると、出力コモン・モ ード電圧は2.5Vになります。ここでのコモンモード電圧とは、AD入 力信号の動作の中点電位と考えて下さい。 入力 電圧 (V) ADCの 電源電圧 (V) 目的の 出力電圧 (V) VREF (V) REXT1 (kΩ) ±10 ±5 +10 +5 ±10 ±5 +10 +5 5 5 5 5 3 3 3 3 2.5 2.5 2.5 2.5 1.25 1.25 1.25 1.25 2.5 2.5 2.5 2.5 1.25 1.25 1.25 1.25 15 40 40 90 AD7715-5 SERIAL CLOCK CLOCK NC +VS +5V AD628 –IN 100kΩ 10kΩ 10kΩ VIN A2 + 10 –IN MCLK OUT DVDD +5V DIN CS DOUT RESET DRDY AVDD AGND AIN(+) REF IN(–) –IN AIN(–) REF IN(+) A1 REXT1 +IN +IN MCLK IN DGND OUT +IN (表IIを 参照) SCLK 100kΩ +2.5V (表IIを 参照) 10kΩ VREF –VS AD680 RG CFILT 10kΩ (表IIを 参照) 図5. REV.0 レベル・シフト回路 11 +5V AD628 一般的に使用される電源電圧を上回る場合があるので、AD628はこのよ 電流ループ・レシーバ 図6に示すレシーバ回路を利用すると、4mA∼20mAの電流ループで送 うな機能に最適なアンプです。大きな値のシャント抵抗を使用する場合に 信されるアナログ・データを検出することが可能です。このアプリケーション は、非反転入力で発生する誤差を補償するために、値の等しい抵抗を反 では、ループを安定化させるうえで十分なコンプライアンス電圧を使用して 転入力と直列に接続することが必要である点に注意してください。 電流ループを駆動し、 しかも最終的に生成されるコモン・モード電圧が、 +15V +VS AD628 250Ω 100kΩ 10kΩ 10kΩ +IN A2 A1 –IN 250Ω 0V∼5V A/Dコンバータへ OUT –IN –IN +10 +IN 100kΩ REXT1 100kΩ +IN 10kΩ 4–20mA ソース –VS VREF –15V CFILT REXT2 11kΩ 図6. 2.5V REF 4mA∼20mA電流ループ用のレベル・シフト回路 抵抗分圧器の動作は、バッテリ充電器やそれと同様な装置で見 バッテリ電圧のモニタリング られるような、多くの電源の測定アプリケーションに非常に適し 図7には、AD628を使用してバッテリ充電器をモニターする方法 ています。 を示しています。損傷無しに、電源電圧の約8倍の電圧を入力に 印加することが可能です。 5V +VS nV BAT (V) –IN 100kΩ 10kΩ 10kΩ +IN –IN 充電回路 A1 A2 –IN +10 REXT1 10kΩ +IN +1.5V バッテリ 充電回路の その他の バッテリ 0V∼5V A/Dコンバータへ OUT 100kΩ AD628 +IN 10kΩ VREF –VS 図7. バッテリ電圧モニタリング回路 12 REV.0 AD628 フィルタ・コンデンサの値 ケルビン接続 コンデンサを4番ピンに接続して、 ローパス・フィルタを構成することが可 ある特定のアプリケーションでは、 アンプの反転入力を離れた場所の 能です。コンデンサの値は、以下の式に従って決定します。 基準ポイントに接続することが望ましい場合があります。この方法によっ て、相互接続配線での回路損失の原因となる誤差が除去されます。 C = 15 . 9 f t (μF ) AD628は、 このようなタイプの接続に特に適しています (図8を参照) 。 ここで、ftは目的の3dBカットオフ周波数です。 5V 表IIIには、いくつかのフィルタ周波数と、 これに必要な最も近い標準コ +VS ンデンサ値を記載しています。 –IN 表 III. 100kΩ フィルタ周波数に対応するコンデンサ値 周波数(Hz) コンデンサ値(μF) 10 50 60 100 400 1k 5k 10k 1.5 0.33 0.27 0.15 0.039 0.015 0.0033 0.0015 10kΩ +IN A2 –IN –IN A1 100kΩ AD628 +IN 10kΩ –VS VREF VS /2 13 OUT 回路損失 負荷 +10 +IN 図8. REV.0 10kΩ 250Ω ケルビン接続回路 AD628 外形寸法 8ピンMSOPパッケージ[MSOP] (RM-8) 寸法はミリメートルで示します。 3.00 BSC 8 5 4.90 BSC 3.00 BSC 1 4 1番ピン 0.65 BSC 1.10 MAX 0.15 0.00 0.38 0.22 平坦性 0.10 0.80 0.40 8° 0° 0.23 0.08 実装面 JEDEC標準MO-187AAに準拠 8ピン標準スモール・アウトライン・パッケージ[SOIC] ナロー・ボディー (RN-8) 寸法はミリメートルと(インチ)で示します。 5.00 (0.1968) 4.80 (0.1890) 4.00 (0.1574) 3.80 (0.1497) 8 5 1 4 6.20 (0.2440) 5.80 (0.2284) 1.27 (0.0500) BSC 0.25 (0.0098) 0.10 (0.0040) 平坦性 0.10 実装面 1.75 (0.0688) 1.35 (0.0532) 0.51 (0.0201) 0.33 (0.0130) 0.50 (0.0196) × 45° 0.25 (0.0099) 8° 0.25 (0.0098) 0° 1.27 (0.0500) 0.41 (0.0160) 0.19 (0.0075) JEDEC標準MS-012AAに準拠 管理寸法はミリメートル単位です。インチ単位の寸法(括弧内) は、 参考のためにミリメートル値を換算した値であり、設計には適していません。 14 REV.0 AD628 REV.0 15 PRINTED IN JAPAN TDS12/2003/700 AD628 このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。 16 REV.0