回路ノート CN-0185 接続/参考にしたデバイス Circuits from the Lab™ 実用回路は今日のアナログ・ミ ックスド・シグナル、RF 回路設計上の課題の解決に 役立つ迅速で容易なシステム統合を行うために開 発、テストされました。さらに詳しい情報又は支援 は www.analog.com/jp/CN0185 をご覧ください AD7400A 絶縁型シグマ・デルタ変調器 ADuM5000 絶縁型 DC/DC コンバータ AD8646 デュアル、24MHz、レール to レール I/O オペアンプ ADP121 150 mA、低静止電流、 CMOS リニア・レギュレータ ADP3301 高精度、100 mA、低ドロップアウト、 リニア・レギュレータ 絶縁型 Σ-Δ 変調器、絶縁型 DC/DC コンバータとアクティブ・フィルタを使用した 画期的なアナログ to アナログ・アイソレータ 回路はデジタル的に絶縁された 1 ビット・データ・ストリーム を出力する 2 次 Σ-Δ 変調器の AD7400A を基本に構成されてい ます。絶縁された信号はデュアル、低ノイズ、レール to レー ル・オペアンプの AD8646 で構成された 4 次アクティブ・フィ ルタでアナログ信号に再生されます。絶縁した1次側の電源と して ADuM5000 を使用する事により、両側は完全に絶縁され、 システムとして一つの電源のみが使用されます。回路のリニア リティは 0.05%で、AD7400A 変調器によって提供されるノイ ズ・シェーピングとアナログ・フィルタの効果を得ています。 この回路のアプリケーションとしてはモータ・コントローラ、 シャント電流モニターがあり、光アイソレータを使用した絶縁 回路に対する優れた代替品になります。 評価と設計支援 回路評価基板 CN-0185 回路評価基板(EVAL-CN0185-EB1Z) 設計と統合ファイル 回路、レイアウト・ファイル 、部品表 回路の機能とその利点 図 1 に示す回路は低コストを実現した完全なアナログ入力アナ ログ出力アイソレータです。回路は 2500 V rms ( UL 1577 に基 づく 1 分間)のアイソレーションを提供します。 +5V_ISO +5V VISO GNDISO VSEL VISO GNDISO VDD1 GND1 POWER IN +5.5V TO +12V VOUT VIN GND RCIN RCOUT RCSEL VDD1 GND1 SD ADP3301-5 +3.3V ADuM5000 VOUT VIN GND_ISO GND EN ADP121-3.3 VIN+ 22Ω 1% 0.1µF VIN– 22Ω 1% VDD1 VDD2 VIN+ MDAT VIN– MCLKOUT GND1 100pF 5% 24kΩ 1% 24kΩ 1% GND2 1/2 AD8646 51kΩ 1% 51kΩ 1% 100pF 5% 1/2 AD8646 VOUT AD7400A GND_ISO 8.2pF 5% 22Ω 1% 22Ω 1% 09499-001 68pF 5% 図 1.AD7400A を使ったアナログ・アイソレータ(簡略化した回路:全ての接続及びデカップリングは示されていません。) アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用によって 生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示 的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属 します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 ©2010 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 CN-0185 回路説明 アナログ・アクティブ・フィルタの設計 図 1 に回路のブロック図を示します。アナログ入力は、Σ-Δ 変 調器 AD7400A によって 10MSPS でサンプリングされます。22 Ω 抵抗と 0.1 µF コンデンサはカットオフ周波数 145 kHz の差動 入力ノイズ低減フィルタを形成しています。AD7400A の出力は 絶縁された 1 ビットデータ・ストリームです。2 次 Σ-Δ 変調器 は量子化ノイズの分布を変え、ノイズをより高い周波数にシフ トします(Tutorial MT-022 を参照してください)。 ローバス・フィルタのカットオフ周波数はほとんど回路に要求 されるスペックの周波数帯域によって決まります。カットオフ 周波数とノイズ特性はトレードオフの関係にあり、フィルタの カットオフ周波数が高くなれば、ノイズが増大します。この事 は得にこの回路設計で明白です。なぜなら Σ-Δ 変調器がノイズ を整形し、ノイズの大部分を高周波に移すからです。この回路 設計のカットオフ周波数は 100 kHz になるように選択されてい ます。 アナログ入力信号を再生するために、データ・ストリームの後 に変調器の次数より大きな次数のフィルタを使用します。より 優れたノイズ減衰を得るために 4 次チェビシェフ・フィルタを 使用しています。他のフィルタ応答(バターワ―ス、ベッセル など)に比べチェビシェフ応答は与えられたフィルタの次数に 対してもっとも急勾配のロールオフを提供します。フィルタは デュアル、レール to レール入力/出力、低ノイズ、単電源オペ アンプの AD8646 を使って施行します。 ADuM5000 は、アナログ・デバイセズの iCoupler®技術に基づ いて開発された絶縁型 DC/DC 電源です。AduM5000 を AD7400A に含まれる回路の中の絶縁した部分の電源として使用 します。isoPower®技術では、チップ・スケール・トランスを介 して電力を転送するために、高周波スイッチング素子を使いま す。 この回路を大きな面積のグランドプレーンを持った多相 PC 基 板上に構築する必要があります。適正な性能を達成するために は正しいレイアウト、グラウンディング、デカップリング技術 が必要です。(チュートリアル MT-031「グラウンディング・ データコンバータと”AGND”と”DGND”の不可解さの解決」、 チュートリアル MT-101「デカップリング技術」、 ADuC7060/ADuC7061 Evaluation Board レイアウトを参照してく ださい)。 プリント回路ボード(PCB)のレイアウトは、放射規 格と 2 つの絶縁された部分の間の絶縁要求を満たすように特別 な注意が必要です。(Application Note AN-0971 を参照) AD8646 の入力信号はオーバードライブしないように、電源電 圧(5V)より小さくなければなりません。AD7400A の出力は"1" と"0"のストリームで、振幅は AD7400A の電源電圧 VDD2 に等 しくなります。ここでは、VDD2 デジタル電源は ADP121 リニ ア・レギュレータよって供給する 3.3 V です。代わりに、5 V 電 源を VDD2 に使用する場合は、アクティブ・フィルタに接続す る前に出力信号を減衰する必要があります。いずれの場合も、 最終的なアナログ出力は直接 VDD2 に比例するので電源は十分 にレギュレーションされていなければなりません。 図 1 の回路の 5 V 電源は入力電圧範囲が 5.5 V ~ 12 V の ADP3301 リニア・レギュレータから供給されます。 与えられたカットオフ周波数に対して、フィルタの遷移帯域が より狭ければフィルタを通過するノイズはより少なくなります。 すべてのフィルタ応答(バターワ―ス、チェビシェフ、ベッセ ルなど)の中で、この回路設計にはチェビシェフ・フィルタが 選ばれました。なぜならチェビシェフ・フィルタが与えられた フィルタの次数に対して遷移帯域がより狭いからです。ただこ の場合過度応答が多少悪くなります。 このフィルタは Sallen-Key 構造の 2 次フィルタを 2 段使った 4 次のフィルタになっています。フィルタを設計するために Analog Filter Wizard と Multisim が使用されました。次のパラメ ータはプログラムへの入力です:フィルタ・タイプ:ローパス、 0.01 dB リップルのチェビシェフ、次数=4、Fc = 100 kHz、 Sallen-Key。フィードバック抵抗(22 Ω に縮小しました)以外 は、プログラムで生じた推奨値を使用しました。 計測 AD7400A のゲインは 5.15 で、出力オフセット電圧は 1.65 V で す(3.3 V 電源での動作時)。0 V の差動信号は、"1"と"0"が 各々50%の時間で生じるデジタル・ビット・ストリームになり ます。デジタル出力の電源は 3.3 V です:従って、フィルタリン グの後は 1.65 V DC のオフセットが生じます。320 mV の差動入 力は理想的には全"1"のストリームになり、フィルタリング後は 3.3 VDC 出力を生じます。それ故、AD7400A の有効ゲインは次 のようになります: GAIN = (3.3 − 1.65)/0.32 = 5.15625 測定した結果、実際に測定されたオフセットは 1.641497 V で、 ゲインは 5.165 です。システムの DC 伝達関数を図 2 に示しま す。リニアリティの測定値は 0.0465%です。 DC オフセット電圧を除いた出力電圧対入力周波数の関係を図 3 に示します。入力信号電圧は 40 mV p-p です。 この入力信 号により 40 × 5.165 = 207 mV p-p の出力信号を生じます。周波 数応答関数に約 10mV のピーキング(約 0.42 dB に相当)があ る事に注目してください。 システムは優れたノイズ特性を示し、ノイズ密度は 1kHz で 2.50 μV/√Hz、10 kHz で 1.52 μV/√Hz です。 この回路ノートのための完全な設計支援パッケージは http://www.analog.com/CN0185-DesignSupport に載っております。 Rev. 0 | Page 2 of 4 CN-0185 3.0 セット・アップとテスト 図 4 に、リニアリティ測定セット・アップのブロック図を示し ます。EVAL-CN0185-EB1Z 電源端子に+6 V 電源を接続してく ださい。 2.6 DC 入力電圧は Fluke 5700A を使用して生成し、出力を測定する ために Agilent 3458A DVM を使用します。Fluke 5700A からの DC 出力はステップ状で、 から に増えます。 2.4 2.2 周波数応答の測定には、装置を図 5 に示すように接続してくだ さい。ファンクション・ジェネレータ 33250A の出力をオフセ ット 0 DC の 40mV ピーク to ピーク・サイン波に設定します。 次に、信号周波数を 100 Hz から 500 kHz まで掃引し、Agilent 4396B スペクトラム・アナライザを使いデータを記録します。 2.0 1.6 0 50 100 150 200 250 INPUT VOLTAGE (mV) 09499-002 1.8 DC POWER SUPPLY 図 2.システムの DC 伝達関数 +6V 240 DC SOURCE FLUKE 5700A P-P OUTPUT VOLTAGE (mV) 200 GND 1mV TO 250mV EVAL-CN0185-EB1Z DIGITAL MULTIMETER AGILENT 3458 09499-004 OUTPUT VOLTAGE (V) 2.8 160 図 4.リニアリティを測定するための CN-0185 回路 テスト・セット・アップ 120 80 DC POWER SUPPLY 40 1k 10k FREQUENCY (Hz) 100k 1M 図 3.入力信号 40 mV p-p の時の回路の周波数応答 SIGNAL GENERATOR AGILENT 33250A 回路は絶縁された電圧モニター、シャント抵抗両端の電圧をモ ニターして電流検出するアプリケーションに使用することがで きます。システムに対する入力信号の要求は AD7400A データ シートに記載されています。 ADuM5000 の代わりに ADuM6000 を使用すると、全体の回路は 5 kV に規定されます。 EVAL-CN0185-EB1Z SPECTRUM ANALYZER AGILENTY 4396B さらに詳しくは ● CN0185 Design Support Package:http://www.analog.com/CN0185-DesignSupport ● ADIsimPower™ オンライン設計支援ツール ● アナログ・フィルタ・ウィザード ● AN-0971:isoPower デバイスでの EMI 放射制御についての 推奨事項 回路評価とテスト 回路は+6 V 電源を供給した時、信号発振器とオシロスコープを 使って簡単に評価する事ができます。 必要な装置(同等の装置に変更可能) 100Hz TO 500kHz 図 5.周波数応答を測定するための CN-0185 回路 テスト・セット・アップ バリエーション回路 GND 09499-005 0 100 09499-003 +6V 多機能キャリブレータ(DC 電源ソース)、Fluke 5700A デジタル・マルチメータ、 Agilent 3458A, 8.5 digits スペクトラム・アナライザ、Agilent 4396B ファンクション・ジェネレータ、Agilent 33250A 電源(+6V) ● Chen, Baoxing, John Wynne, and Ronn Kliger.High Speed Digital Isolators Using Microscale On-Chip Transformers, Analog Devices, 2003. ● Chen, Baoxing.iCoupler® Products with isoPower™ Technology:Signal and Power Transfer Across Isolation Barrier Using Microtransformers, Analog Devices, 2006 ● Chen, Baoxing.“Microtransformer Isolation Benefits Digital Control.”Power Electronics Technology.October 2008. ● AN-825:iCoupler®アイソレーション製品での電源の考慮 事項 ● Krakauer, David.“Digital Isolation Offers Compact, Low-Cost Solutions to Challenging Design Problems.”Analog Dialogue.Volume 40, December 2006. ● MT-022 Tutorial, ADC Architectures III:Sigma-Delta ADC Basics, Analog Devices. Rev. 0 | Page 3 of 4 CN-0185 ● MT-023 Tutorial, ADC Architectures IV:Sigma-Delta ADC Advanced Concepts and Applications, Analog Devices. データシードと評価ボード ● AD7400A ● MT-031 Tutorial, Grounding Data Converters and Solving the Mystery of "AGND" and "DGND," Analog Devices. ● ADuM5000 ● AD8646 ● ADP121 ● ADP3301 ● MT-101 Tutorial, Decoupling Techniques, Analog Devices. ● USB 2.0 Specifications, USB Implementers Forum, Inc. ● Wayne, Scott.“iCoupler® Digital Isolators Protect RS-232, RS-485, and CAN Buses in Industrial, Instrumentation, and Computer Applications.”Analog Dialogue.Volume 39, October 2005. 改訂履歴 4/11—Revision 0:初版 ● Zumbahlen, Hank.Application Note AN-649, Using the Analog Devices Active Filter Design Tool, Analog Devices. 「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さ まは製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のも とでの暗示的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを 期しています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかな る種類の明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはそ の他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、そ れを行う義務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。 商標および登録商標は各社の所有に属します。 Rev. 0 | Page 4 of 4