日本語版

210MSPS、10ビット
A/Dコンバータ AD9410
特長
99MHzのアナログ入力でS/N比=54dB
機能ブロック図
アナログ帯域幅: 500MHz
REFIN
リファレンスとトラック/ホールドを内蔵
REFOUT
AGND DGND VD VDD VCC
差動アナログ入力範囲: 1.5V p-p
AD9410
リファレンス
電源電圧: 5.0Vまたは3.3V
ポート
A
3.3VのCMOS/TTL出力
消費電力:210MSPSで2.1W(typ)
A IN
105MSPSで各出力をディマルチプレクス
A IN
10ビット
ADCコア
T/H
出力データ・フォーマットの各種オプション
データ同期入力およびデータ・クロック出力を用意
インターリーブまたはパラレル・データ出力を選択可能
DS
DS
ENCODE
ENCODE
10
ORA
D9AーD0A
10
ポート
B
10
ORB
D9BーD0B
タイミングおよび
同期
DCO
アプリケーション
DCO
通信およびレーダー
DFS
ローカル・マルチポイント・ディストリビューション・
I/P
サービス(LMDS)
ハイエンド画像処理システム、プロジェクタ
ケーブル・リバース・パス
ポイントtoポイントの無線リンク
概要
製品のハイライト
AD9410は、
トラック/ホールド回路を内蔵する65MSPSのモノリシッ
高速かつ高分解能―210MSPSまでの変換に対応する、優れ
ク10ビット・サンプリングA/Dコンバータであり、高速変換と使い易さ
たダイナミック特性を実現するように、特別に設計されたア
の点で最適化されています。このデバイスは変換レート210MSPSで
ーキテクチャを採用。
動作し、全動作範囲で優れたダイナミック特性を実現します。
ディマルチプレクス出力―出力データは1/2にデシメーショ
AD9410 ADCは、5.0Vまたは3.3V電源で、最大210MHzの差動ク
ンされて2つのデータ・ポートに出力されるため、データ転
ロック入力で、フル性能での動作が可能です。ほとんどのアプリケー
送が容易です。
ションで、外部リファレンス、またはドライバが不要です。デジタル出
力はTTL/CMOS互換であり、分離した出力電源ピンも、3.3Vロジッ
クとのインターフェースに対応しています。
クロック入力は、差動でありTTL/CMOS互換です。10ビットのデジタ
ル出力は、3.3V電源
(2.5∼3.6V)
で動作できます。2本の出力バス
は、105MSPSレートまでのディマルチプレクスされたデータに対応し、
バイナリ・フォーマットまたは2の補数の出力コーディング・フォーマット
出力データ・クロック―AD9410は出力データに同期したデ
ータ・クロックを出力するため、データと他の回路との間の
タイミングが単純になります。
データの同期―システム内にある複数のAD9410を同期化す
るため、または1つのAD9410システム内でデータを特定の出
力ポートに同期化するために、DS入力が用意されています。
を使用できます。タイミング依存のアプリケーションのために、データ
同期機能が用意されています。出力クロックが用意されているので、
外部ロジックへのインターフェースが容易です。出力データ・バスの
タイミングは、パラレル・モードまたはインターリーブ・モードが選択可
能で、出力データのラッチ機能に柔軟性があります。
AD9410は最新のBiCMOSプロセスで製造され、80ピン表面実装
プラスチック・パッケージ
(PowerQuad®2)
を採用しており、工業用温
度範囲
(−40∼+85℃)
で仕様規定されています。
PowerQuadはAmkor Electronics, Incの登録商標です。
アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、そ
の情報の利用または利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害
に関して、当社はいっさいの責任を負いません。さらに、アナログ・デバイセズ社の特
許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。
REV.0
アナログ・デバイセズ株式会社
本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03
(5402)8400 〒105-6891
ニューピア竹芝サウスタワービル
大阪営業所/大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868(代) 〒532-0003
新大阪第二森ビル
AD9410―仕様
DC特性
(特に指定のない限り、VDD=3.3V、VD=3.3V、VCC=5.0V、2.5V外部リファレンス、AIN=−0.5dBFS、
クロック入力=210MSPS、TA=25℃)
パラメータ
温度
テスト・レベル
Min
全範囲
25℃
全範囲
25℃
全範囲
25℃
全範囲
IV
I
VI
I
VI
I
V
−1.0
−1.0
−2.5
−3.0
−6.0
アナログ入力
入力電圧範囲(AINを基準とする) 全範囲
コモン・モード電圧
全範囲
入力オフセット電圧
25℃
全範囲
リファレンス
全範囲
リファレンス温度係数
全範囲
入力抵抗
全範囲
入力容量
25℃
アナログ帯域幅、フルパワー
25℃
V
V
I
VI
VI
V
VI
V
V
電源
AC消費電力2
DC消費電力3
IVCC 3
IVD 3
電源変動除去比PSRR
V
VI
VI
VI
I
Typ
Max
単位
+1.25
+1.5
+2.5
+3.0
+6.0
LSB
LSB
LSB
LSB
%FS
ppm/℃
分解能
DC精度
ノーミス・コード1
微分非直線性
積分非直線性
ゲイン誤差
ゲイン温度係数
25℃
全範囲
全範囲
全範囲
25℃
−15
−20
2.4
610
−7.5
保証済み
±0.5
±1.65
0
130
±768
3.0
+3
2.5
50
875
3
500
2.1
2.0
128
401
+0.5
+15
+20
2.6
1250
2.4
145
480
+7.5
mVp-p
V
mV
mV
V
ppm/℃
Ω
pF
MHz
W
W
mA
mA
mV/V
注
1 70℃を超える周辺温度で動作させる場合は、パッケージ・ヒート・スラグの装着が必要です。
2 Encode=210MSPS、AIN=−0.5dBFSの10MHzサイン波、IVDD=31mA(typ)
、CLOAD=5pF。
3 Encode=210MSPS、AIN=DC、出力スイッチングなし。
仕様は予告なく変更されることがあります。
スイッチング特性
(特に指定のない限り、VDD=3.3V、VD=3.3V、VCC=5.0V、2.5V外部リファレンス、
AIN=−0.5dBFS、クロック入力=210MSPS、 TA=25℃)
パラメータ
温度
テスト・レベル
Min
スイッチング性能
最大変換レート
最小変換レート
Encodeパルス幅ハイ(tEH)
Encodeパルス幅ロー(tEL)
アパーチャ遅延(tA)
アパーチャ不確定性(ジッター)
出力有効時間(tV)
出力伝播遅延(tPD)
出力立ち上がり時間(tR)
出力立ち下がり時間(tF)
CLKOUT伝播遅延1(tCPD)
データからDCOまでのスキュー
(tPD-tCPD)
DSセットアップ時間(tSDS)
DSホールド時間(tHDS)
インターリーブ・モード
(A、Bレイテンシ)
パラレル・モード
(A、Bレイテンシ)
全範囲
全範囲
25℃
25℃
25℃
25℃
全範囲
全範囲
25℃
25℃
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
VI
IV
IV
IV
V
V
VI
VI
V
V
VI
IV
IV
IV
VI
VI
210
Typ
Max
100
1.2
1.2
2.4
2.4
1.0
0.65
3.0
7.4
2.6
0
1.5
0
1.8
1.4
4.8
1
A=6,B=6
A=7,B=6
6.4
2
単位
MSPS
MSPS
ns
ns
ns
ps rms
ns
ns
ns
ns
ns
ns
ns
ns
周期
周期
注
1 CLOAD=5pF
仕様は予告なく変更されることがあります。
2
REV.0
AD9410
デジタル特性
(特に指定のない限り、VDD=3.3V、VD=3.3V、VCC=5.0V、2.5V外部リファレンス、
AIN=−0.5dBFS、クロック入力=210MSPS、TA=25℃)
パラメータ
温度
テスト・レベル
Min
デジタル入力
DFS、入力ロジック“1”電圧
DFS、入力ロジック“0”電圧
DFS、入力ロジック“1”電流
DFS、入力ロジック“0”電流
I/P入力ロジック“1”電流1
I/P入力ロジック“0”電流1
ENCODE、ENCODE差動入力電圧
ENCODE、ENCODE差動入力抵抗
ENCODE、ENCODEコモン・モード電圧2
DS、DS差動入力電圧
DS、DSコモン・モード電圧
デジタル入力ピン容量
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
25℃
IV
IV
V
V
V
V
IV
V
V
IV
V
V
4
全範囲
全範囲
VI
VI
デジタル出力
ロジック“1”電圧(VDD=3.3V)
ロジック“0”電圧(VDD=3.3V)
出力コーディング
Typ
Max
1
50
50
400
1
0.4
1.6
1.5
0.4
1.5
3
VDD−0.05
0.05
単位
V
V
μA
μA
μA
μA
V
kΩ
V
V
V
pF
V
V
バイナリまたは2の補数
注
1 I/Pピンのロジック“1”=5V、ロジック“0”=GND。ロジック“1”を設定する際、入力電流を制限するために、2.5kΩ(10%)の直列抵抗を介してVDDに接続することを推奨します。
2 「アプリケーション」の節の「Encode入力」項目を参照してください。
仕様は予告なく変更されることがあります。
AC特性
(特に指定のない限り、VDD=3.3V、VD=3.3V、VCC=5.0V、 2.5V外部リファレンス、AIN=−0.5dBFS、
クロック入力=210MSPS、TA=25℃)
パラメータ
ダイナミック性能
過渡応答
過電圧回復時間
S/N比(SNR)
(高調波なし)
fIN=10.3MHz
fIN=82MHz
fIN=160MHz
S/N比(SINAD)
(高調波あり)
fIN=10.3MHz
fIN=82MHz
fIN=160MHz
実効ビット数
fIN=10.3MHz
fIN=82MHz
fIN=160MHz
2次高調波歪み
fIN=10.3MHz
fIN=82MHz
fIN=160MHz
3次高調波歪み
fIN=10.3MHz
fIN=82MHz
fIN=160MHz
スプリアス・フリー・ダイナミックレンジ(SFDR)
fIN=10.3MHz
fIN=82MHz
fIN=160MHz
2周波間相互変調歪みIMD1
fIN1=80.3MHz、fIN2=81.3MHz
温度
テスト・レベル
25℃
25℃
V
V
25℃
25℃
25℃
I
I
V
25℃
25℃
25℃
Typ
Max
単位
2
2
ns
ns
52.5
52
55
54
53
dB
dB
dB
I
I
V
51
50
54
53
52
dB
dB
dB
25℃
25℃
25℃
I
I
V
8.3
8.1
8.8
8.6
8.4
ビット
ビット
ビット
25℃
25℃
25℃
I
I
V
−56
−55
−65
−63
−65
dBc
dBc
dBc
25℃
25℃
25℃
I
I
V
−58
−57
−69
−67
−62
dBc
dBc
dBc
25℃
25℃
25℃
I
I
V
56
54
61
60
58
dBc
dBc
dBc
25℃
V
58
DBFS
注
1 IN1、IN2レベル=−7dBFS。
仕様は予告なく変更されることがあります。
REV.0
Min
3
4
DCO
静止
静止
ポート B
D7– D0
DCO
静止
静止
静止
t HDS
サンプル N –2
ポートA
D7– D0
ポート B
D7– D0
ポート A
D7– D0
DS
DS
ENCODE
ENCODE
AIN
t EH
サンプル N –1
t EL
tA
サンプル N+1
無効
無効
無効
パラレル・データ出力
無効
無効
無効
無効
サンプル N+3
サンプル N+2
インターリーブ・データ出力
t SDS
1/f S
サンプル N
無効
サンプル N+4
無効
無効
無効
t CPD
無効
t PD
サンプル N+6
サンプル N+5
データ N
無効
データ N
データN+1
データ N+2
データN+1
データ N+2
データ N+3
tV
AD9410
図1 タイミング図
REV.0
AD9410
絶対最大定格1
VD、VCC、VDD ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6V
テスト・レベルの説明
アナログ入力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0V∼VCC+0.5V
テスト・レベル
I.
100%の出荷テストを実施。
デジタル入力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0V∼VDD+0.5V
II.
25℃で100%の出荷テスト、および指定温度でのサン
プル・テストを実施。
VREF IN ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0V∼VD+0.5V
デジタル出力電流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20mA
III.
サンプル・テストのみを実施。
動作温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・−55∼+125℃
IV.
パラメータは、設計およびキャラクタライゼーショ
ン・テストにより保証。
保管温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・−65∼+150℃
最大接合温度2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150℃
V.
パラメータは、typ値のみ。
VI.
25℃で100%の出荷テスト、さらに設計およびキャラ
注
クタライゼーション・テストにより工業用温度範囲を
1 絶対最大定格は独立して適用される限界値であり、この値を超えると、回路動作が損なわれ
るという値であり、必ずしも機能的な動作を意味するものではありません。デバイスを長時
間絶対最大定格状態に置くとデバイスの信頼性に影響を与えます。上記の絶対最大定格を超
えるストレスを加えるとデバイスに恒久的な損傷を与えることがあります。この規定はスト
レス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セクションに記載する規定値
以上でのデバイス動作を定めたものではありません。
2 自然空冷の厚いグラウンド・プレーンを持つ多層ボードで、θ JA(typ)=22℃/W(ヒー
ト・スラグなし)、θJA(typ)=16℃/W(ヒート・スラグをハンダ付け)
。
保証。
オーダー・ガイド
パッケージ
パッケージ・
モデル
温度範囲
説明
オプション
AD9410BSQ
AD9410/PCB
−40∼+85℃
25℃
PowerQuad 2
評価ボード
SQ-80
注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、
検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネル
ギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や機能喪
失を回避するために、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。
REV.0
5
WARNING!
ESD SENSITIVE DEVICE
AD9410
ピン機能の説明
ピン番号
記号
機能
1, 2, 8, 9, 12, 13, 16, 17, 20, 21, 24,
27, 28, 29, 30, 71, 72, 73, 74, 77, 78
3, 7, 14, 15
4
5
6
10
11
18
19
22
23
AGND
アナログ・グラウンド。
VCC
REF OUT
REF IN
DNC
AIN
AIN
ENCODE
ENCODE
DS
DS
25, 26, 31, 32, 69, 70, 75, 76
33, 40, 49, 52, 59, 68
34, 41, 48, 53, 60, 67
35∼39
42∼46
47
50
51
54∼58
61∼65
66
79
80
VD
DGND
VDD
D B0 –D B4
D B5 –D B9
OR B
DCO
DCO
D A0 ∼D A4
D A5 ∼D A9
OR A
DFS
I/P
5V電源
(±5%以内にレギュレーション)
。
内部リファレンス出力。
内部リファレンス入力。
接続なし
アナログ入力―非反転。
アナログ入力―反転。
クロック入力―非反転。
クロック入力―反転。
データ同期
(入力)
―非反転。未使用時はローに接続。
データ同期
(入力)
―反転。未使用時は、開放または0.1μFのコンデン
サでデカップリング。
3.3Vのアナログ電源
(±5%以内にレギュレーション)
。
デジタル・グラウンド。
3.3Vのデジタル出力電源
(2.5∼3.6V)
。
。
チャンネルBのデジタル・データ出力
(LSB=DB0)
チャンネルBのデジタル・データ出力
(MSB=DB9)
。
チャンネルBでデータ範囲外。
クロック出力―反転。
クロック出力―非反転。
。
チャンネルAのデジタル・データ出力
(LSB=DA0)
。
チャンネルAのデジタル・データ出力
(MSB=DA9)
チャンネルAでデータ範囲外。
データ・フォーマットの選択。ハイ=2の補数、ロー=バイナリ。
インターリーブ・モードまたはパラレル出力モードの選択。ロー=パラレル・
モード、ハイ=インターリーブ・モード。ハイに接続する場合は、電流制限
直列抵抗
(2.5kΩ)
を経由して5V電源に接続してください。
6
REV.0
AD9410
AGND
AGND
AGND
AGND
VD
VD
DGND
VDD
75
74
73
72
71
70
69
68
67
DA5
VD
76
DA6
VD
77
DA7
AGND
78
DA8
AGND
79
ORA
DFS
80
DA9 (MSB)
I/P
ピン配置
66
65
64
63
62
61
60
VDD
59
DGND
VCC 3
58
DA4
REFOUT 4
57
DA3
REFIN 5
56
DA2
55
DA1
VCC 7
54
DA0 (LSB)
AGND 8
53
VDD
AGND 9
52
DGND
51
DCO
50
DCO
49
DGND
AGND 1
AGND 2
ピン1
目印
DNC 6
AD9410
A IN 10
上面図
80ピンPowerQuad 2
(縮尺は異なります)
A IN 11
AGND 12
AGND 13
48
VDD
VCC 14
47
ORB
VCC 15
46
DB9 (MSB)
AGND 16
45
DB8
AGND 17
44
DB7
ENCODE 18
43
DB6
42
DB5
41
VDD
ENCODE 19
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
AGND
DS
DS
AGND
VD
VD
AGND
AGND
AGND
AGND
VD
VD
DGND
VDD
(LSB) D B0
DB1
DB2
DB3
DB4
DGND
AGND 20
DNC=接続なし
REV.0
7
AD9410
仕様の定義
最小変換レート
保証された規定値より、最小周波数のアナログ信号のS/N比が3dB
低下するENCODEレートをいいます。
アナログ帯域幅
基本周波数(FFT解析により決定)
の電力スペクトルが3dB低下す
るアナログ入力周波数。
最大変換レート
パラメータ・テストが実施されるENCODEレート。
アパーチャ遅延
ENCODEコマンドの立ち上がりエッジの50%ポイントと、アナログ入
力がサンプルされるタイミングとの間の遅延。
出力伝播遅延
差動のENCODEとENCODEの交差する点と、全出力データ・ビッ
トが有効ロジック・レベルになるタイミングとの間の遅延をいいます。
アパーチャ不確定性(ジッター)
アパーチャ遅延のサンプル間における変化。
帯域外からの回復時間
帯域外からの回復時間とは、正側フルスケールの10%上から負側
フル・スケールの10%上までの変化の後、または負側フルスケール
の10%下から正側フルスケールの10%下までの変化の後に、ADC
がアナログ入力を再度取り込むために要する時間をいいます。
差動アナログ入力抵抗、差動アナログ入力容量、差動アナ
ログ入力インピーダンス
各アナログ入力ポートで測定される実インピーダンスと複合インピー
ダンス。抵抗は静的に測定。容量および差動入力インピーダンス
はネットワーク・アナライザを使って測定。
ノイズ(ADC内の任意の範囲)
差動アナログ入力電圧範囲
コンバータに入力したときにフルスケール応答を発生するピークto
ピーク差動電圧。ピーク差動電圧は、あるピンの電圧から、そのピ
ンと180度位相がずれている他のピンの電圧を減算して求められ
ます。ピークtoピーク差動は、ピーク値を測定し、次に入力位相を
180度回転してピーク値を再度測定して、その両ピーク値の差から
求められます。
ここで、Zは入力インピーダンス、FSは注目周波数に対するデバイ
スのフルスケール、S/N比は特定の入力レベルに対する値、SIGNALはdBで表したフルスケールより小さいADC内の信号レベル。
この値には、熱ノイズと量子化ノイズが含まれます。
微分非直線性
理論的な1 LSBステップと実際のコード幅との偏差。
電源変動除去比
入力オフセット電圧変化の、電源電圧変動に対する比をいいます。
実効ビット数
実効ビット数(ENOB)
は測定されたSINADから、次式を使って計
算できます。
信号対ノイズ+歪み比(SINAD)
rms信号振幅値(フル・スケールの下0.5dBに設定)
の、DC以外の
全高調波成分スペクトルの和のrms値に対する比を表します。
SINAD MEASURED – 1 .7 6 dB+ 20 log
ENOB=
VNOISE =
Encodeパルス幅/デューティ・サイクル
パルス幅ハイは、定格性能を達成するために、ENCODEパルスが
ロジック
“1”状態を維持するしなければならない、最小時間幅です。
パルス幅ローは、ENCODEパルスがロー状態を維持する必要があ
の説明を参
る最小時間幅です。
「tENCHの変化によるタイミング変化」
照してください。これらの仕様は、与えられたクロック・レートに対する、
許容できるENCODEのデューティ・サイクルを定めます。
スプリアス・フリー・ダイナミックレンジ(SFDR)
ピーク高調波成分のrms値に対する、信号振幅rms値の比をいい
ます。ピーク・スプリアス成分は、高調波のどれかである場合とそう
でない場合とがあります。dBc(信号レベルを小さくした場合の劣
化)
またはdBFS(コンバータのフル・スケールに換算)
で表されます。
過渡応答時間
過渡応答時間とは、正側フルスケールの10%上から負側フルスケ
ールの10%下までの変化の後に、ADCがアナログ入力を再度取
り込むために要する時間をいいます。
フルスケール入力電力
dBm値で表し、次式で計算します。
SCALE
= 10 log
FS dBm– SIGNAL dBFS
10
S/N比(高調波なし)
rms信号振幅値(フル・スケールの下0.5dBに設定)
の、DCおよび
5次までの高調波を除く全高調波成分スペクトルの和のrms値に対
する比をいいます。
フルスケール振幅
入力振幅
6.02
POWER FULL
Z ×0 . 001 ×10
2周波間相互変調歪み除去比
いずれかの入力周波rms値の、最悪3次相互変調積rms値に対す
る比。
V 2 FULL SCALE rms
Z INPUT
0 . 001
2次高調波歪み
2次高調波成分のrms値に対する、信号振幅rms値の比であり、dBc
値で表します。
2周波SFDR
いずれかの入力周波のrms値の、ピーク・スプリアス成分のrms値
に対する比。ピーク・スプリアス成分は、IMD積である場合とそうで
ない場合があります。dBc
(信号レベルを小さくした場合の劣化)
ま
たはdBFS
(コンバータのフル・スケールに換算)
で表されます。
3次高調波歪み
3次高調波成分のrms値に対する、信号振幅rms値の比であり、dBc
値で表します。
その他の最悪スプリアス
2次および3次高調波を除く、最悪高調波成分のrms値に対する信
号振幅rms値の比であり、dBcで表します。
積分非直線性
最小二乗近似による
“最適直線”
を基準とした、1LSB以下の単位
で表した伝達関数の偏差を表します。
8
REV.0
AD9410
表I
出力コーディング(VREF=2.5V)
デジタル出力
デジタル出力
AIN−AIN
オフセット・バイナリ
2の補数
ORA、ORB
1023
> 0.768
0.768
11 1111 1111
11 1111 1111
01 1111 1111
01 1111 1111
1
0
513
512
511
0.0015
0.0
– 0.0015
10 0000 0001
10 0000 0000
01 1111 1111
00 0000 0001
00 0000 0000
11 1111 1111
0
0
0
0
– 0.768
<– 0.768
00 0000 0000
00 0000 0000
10 0000 0000
10 0000 0000
0
1
ステップ
VCC
VCC
1.5kΩ
1.5kΩ
A IN
A IN
2.25kΩ
VREFOUT
2.25kΩ
図6 リファレンス出力の等価回路
図2 アナログ入力の等価回路
VCC
VCC
DFS
100kΩ
VREFIN
図7 DFS入力の等価回路
図3 リファレンス入力の等価回路
VCC
17.5k Ω
VCC
300Ω
DS
17k Ω
450Ω
450Ω
300Ω
17kΩ
ENCODE
7.5k Ω
ENCODE
100Ω
DS
100Ω
8kΩ
8k Ω
図8 DS入力の等価回路
図4 Encode入力の等価回路
VCC
17.5kΩ
VDD
300Ω
I/P
デジタル
出力
7.5kΩ
図9 I/P入力の等価回路
図5 デジタル出力の等価回路
REV.0
9
AD9410―代表的な性能特性
55
0
ENCODE = 210MSPS
A IN = 40MHz @ –0.5dBFS
S/N比 = 54.5dB
SINAD = 53.5dB
–20
54
53
S/N比
52
– 40
dB
dB
51
–60
50
49
–80
48
SINAD
47
–100
46
45
–120
50
0
105
0
100
MHz
特性1 40MHzシングルトーン、Encode=210MSPS
150
A IN – MHz
200
250
特性4 SNR/SINAD 対 AINの関係(Encode=210MSPS)
0
55.0
ENCODE = 210MSPS
A IN = 100MHz @ –0.5dBFS
S/N比 = 53.5dB
SINAD = 52.5dB
–20
54.5
S/N比
54.0
53.5
–40
dB
dB
53.0
–60
52.5
SINAD
52.0
–80
51.5
51.0
–100
50.5
–120
50.0
100
105
0
120
140
160
MHz
220
240
特性5 S/N比/SINAD 対 FS(AIN=70MHz)
特性2 100MHzシングルトーン、Encode=210MSPS
60
0
ENCODE = 210MSPS
A IN = 160MHz @ –0.5dBFS
S/N比 = 53dB
SINAD = 52dB
–20
55
S/N比
– 40
SINAD
50
dB
dB
200
180
MHz
– 60
45
–80
40
–100
35
–120
30
105
0
MHz
0
0.5
1.0
1.5
2.0
ns
2.5
3.0
3.5
4.0
特性6 S/N比/SINAD 対 Encode正極性パルス幅
(FS=210MSPS、AIN=70MHz)
特性3 160MHzシングルトーン、Encode=210MSPS
10
REV.0
AD9410
0
–20
2.51
–40
2.50
–60
2.49
V
dB
2.52
ENCODE = 210MSPS
A IN1, A IN2 = –7dBFS
SFDR = 62dBFS
–80
2.48
–100
2.47
–120
2.46
4.0
105
0
4.2
4.4
4.6
MHz
5.0
5.2
5.4
5.6
特性10 VREFOUT 対 アナログ5V電源
特性7 2周波テスト(AIN1=80.3MHz、AIN2=81.3MHz)
55.5
460
55.0
410
IAhi3
360
54.5
310
54.0
S/N比
260
mA
dB
4.8
アナログ電源
53.5
53.0
210
160
52.5
IAhi5
110
SINAD
52.0
60
51.5
–40
10
100
Ivdd
–20
0
20
40
60
温度 –℃
80
100
120
120
140
180
160
200
220
MSPS
特性8 S/N比/SINAD 対 温度
(Encode=210MSPS、AIN=70MHz)
特性11 電源電流 対 Encode
74
2.55
72
2.50
H2
70
2.45
66
V
dB
68
2.40
H3
64
2.35
62
2.30
60
58
–40
2.25
–20
0
20
40
60
80
100
120
0
1.0
1.5
特性12 VREFOUT 対 ILOAD
特性9 2次および3次高調波 対 温度
(AIN=70MHz、Encode=210MSPS)
REV.0
0.5
mA
温度 –℃
11
2.0
2.5
AD9410
2.503
5.1
2.502
4.9
TPD
TV
2.501
4.7
V
ns
2.500
4.5
2.499
TCPD
4.3
2.498
4.1
2.497
2.496
–40
–20
0
20
温度 –℃
40
60
3.9
–40
80
–20
0
20
40
60
80
温度 –℃
特性13 VREFOUT 対 温度
特性14 TPD、TV、TCPD 対 温度
12
REV.0
AD9410
アプリケーション・ノート
アナログ入力
AD9410へのアナログ入力は差動バッファになっています。最適な
ダイナミック性能を得るためには、AINとAINのインピーダンスがマッ
チしている必要があります。AD9410のアナログ入力は、優れた広
帯域性能を得るように最適化されていますが、アナログ入力を差動
で駆動することが必要です。アナログ入力をシングル・エンド信号
で駆動すると、S/N比性能とSINAD性能は大幅に低下します。シ
ングル・エンドから差動への変換を必要とするアプリケーションに対
しては、Minicircuits社のADT1-1WTのような広帯域トランスを使っ
て差動アナログ入力を用意できます。両アナログ入力は、内蔵の抵
抗分割器により公称3Vにバイアスされています
(等価回路参照)
。
AD9410のアナログ入力部の設計では、入力が過駆動された際の
損傷とデータの破壊を防止するために特別な注意が払われていま
す。公称入力範囲は差動1.5V p-pです。
公称差動入力範囲は768mV p-p×2です。
動作原理
AD9410のアーキテクチャは、高速動作と使い易さを実現するよう
最適化されています。アナログ入力は、内蔵の広帯域トラック/ホ
ールド回路を駆動し、このトラック/ホールド回路が入力信号をサ
ンプリングした後に、フラッシュ10ビット・コアにより量子化します。
AD9410は、リファレンスとTTL、CMOS、PECLの各レベルを入力
できる入力ロジックを内蔵しているため、使い易くなっています。
AD9410の使用に関して
Encode入力
高速・高分解能のA/Dコンバータは、ユーザーが用意するクロッ
ク入力の品質に敏感です。トラック/ホールド回路は本来ミキサー
であるため、クロックのノイズ、歪み、タイミング・ジッターがADCの
出力信号に混入してしまいます。このため、設計ではAD9410の
Encode入力には多くの注意が払われており、ユーザーもクロック・
ソースに相当の注意を払うことが望まれます。S/N比の低下を1dB
以内に抑えるため、ナイキスト・レートのサンプリングに対するクロッ
ク・ソースのジッターを1.25ps rms以下に抑えてください(例:
Valpey FisherVF561などを使用して)
。必要なジッター精度は、入
力周波数と振幅の関数であることに注意してください。詳細につ
いては、アナログ・デバイセズのアプリケーション・ノートAN-501
『Aperture Uncer-tainty andADC System Performance』を参照し
てください。
Encode入力はTTL/CMOS互換です。クロック入力は、差動信号
またはシングル・エンド信号で駆動できます。最適性能は、クロッ
クを差動で駆動したときに得られます。両Encode入力は、高イン
ピーダンスの抵抗分割器により1/3×VCCに自己バイアスされてい
ます(等価回路を参照)
。低周波アプリケーションに適したシング
ル・エンド・クロック駆動は、Encodeピンに0.1μFのコンデンサを接
続して、Encode入力を直接駆動して実現できます。
TTL/CMOS
ゲート
ENCODE
V
3.384
デジタル出力
デジタル出力は、低消費電力のTTL/CMOS互換です。出力は分
離した電源(VDD)
を使ってバイアスされており、外部ロジックとのイ
ンターフェースが容易です。出力は、グラウンドからVDDまでの振幅
(DC負荷なし)
を可能にするCMOSデバイスです。出力パターンを
短くして
(合計CLOADを5pF以下にするため1インチ以下)
、ADCが駆
動する容量負荷を抑えることを推奨します。小さい値(20Ω)
の直
列ダンピング抵抗をデータ・ラインに接続して、スイッチング過渡電圧
による性能への影響を抑えることも望まれます。
ENCODE
図10 シングル・エンドEncode入力の
TTL/CMOSレベルによる駆動
クロック出力
(DCO、DCO)
Encode入力は2分周されて、DCOとDCOからチップ外に出力され
ます。これらのクロックを使うと、チップ外でのラッチが可能になり、ス
キューの小さいクロック・ソリューションが得られます
(タイミング図参
照)
。これらのクロックを使うと、複数のAD9410システム内で複数
のADCの同期化可能です。アプリケーションに応じてDCOまたは
DCOをバッファし、これを使って2個目のAD9410のDS入力を駆動
して、確実な同期化が可能です。性能に対するスイッチング過渡電
圧の影響を抑えるため、内蔵のクロック・バッファは5∼7pFを超える
容量を駆動しないようにしてください。
図11に、PECLドライバからクロックを得る場合の例を示します。入
力電流負荷を小さくするために、PECLドライバがEncode入力に
AC結合されていることに注意してください。AD9410をPECLロジ
ック・レベルにDC結合すると、Encode入力電流が約8mA(typ)
に
増えることがあります。これはEncode入力とPECLドライバとの間
のDCバイアスの差に起因します
(等価回路を参照してください)
。
ENCODE
AD9410
リファレンス
AD9410は、安定した高精度の2.5Vリファレンスを内蔵しています
(VREF OUT)
。入力範囲は、
リファレンスを変化させて調整できます。
リファレンスを±5%以内で調整しても、顕著な性能低下はありませ
ん。ADCのフル・スケール範囲は、±5%の許容偏差でリファレン
ス変化に比例します。
ENCODE
510Ω 0.1μF
510Ω
GND
図11 Encode入力の差動駆動
REV.0
A IN
図12 アナログ入力レベル(typ)
AD9410
0.1μF
3.000
2.616
0.1μF
PECL
ゲート
A IN
13
AD9410
タイミング
AD9410は、インターリーブ・モードで6段のパイプライン遅延を持
つラッチされたデータを出力します(図1参照)
。パラレル・モード
では、Aポートにデータ・ポートの変化に対してさらに1サイクルの
レイテンシが追加されます。したがって、Aポートではレイテンシ
が7サイクルになります。出力データ・ラインの長さと、それらに接
続された負荷を最小にしてAD9410内部での過渡電圧を抑える
必要があります。これらの過渡電圧はコンバータのダイナミック性
能を低下させることがあります。
AD9410の最小保証変換レートは100MSPSです。100MSPSより
低い内部クロック・レートでは、ダイナミック性能が低下することが
あります。低い実効サンプリング・レートは、1つの出力ポートだけ
をサンプリングして、簡単に実現できます。すなわち、出力の1/2
デシメーションを行います。クロックのハイパルス幅を最大の5ns
になるようにして、クロックのデューティ・サイクルを制限しても、低
いサンプリング周波数を実現できます。
データ同期(DS)
ポートAまたはポートBの、どちらか特定の出力ポートにサンプル
を出力する必要があるアプリケーションでは、データ同期入力DS
を使用できます。DSがハイになると、ADCデータ出力とクロック
がスイッチしなくなり、静止状態になります。同期化は、Encodeの
立ち上がりエッジを基準とするタイミング制約条件TSDSおよびTHDS
内に、DSをアサートすること
(立ち下がりエッジ)
によって実現しま
す(初期同期化では、THDSは無関係です)
。DSの立ち下がりが、
Encodeの適用された立ち上がりエッジN以前の必要なセットアッ
プ時間(TSDS)内に発生すると、その時点のアナログ値がデジタ
ル化されて、6サイクル後にポートBに出力されます(インターリー
ブ・モード)
。その直後のサンプルN+1は次の立ち上がりエッジ
でサンプルされて、そのEncodeエッジの6サイクル後にポートAに
出力されます(インターリーブ・モード)
。デュアル・パラレル・モー
ドでは、ポートAのレイテンシは7サイクル、ポートBのレイテンシは
6サイクルとなりますが、データは同時に出力されます。
リファレンス
AD9410には2.5Vのリファレンスが内蔵されており、REFOUT(ピン
4)
から出力されています。多くのアプリケーションでは、この出力
をREFIN入力(ピン5)
に接続するだけで済みます。ジャンパをE1、
E6に配置すると、この接続が行われます。ジャンパをE1、E3に配
置すると、外部リファレンスを使用できます。
評価ボード
AD9410評価ボードを使うと、AD9410のテストが容易に行えます。
このボードには、アナログ入力、クロック、3V/5V電源が必要です。
デジタル出力と出力クロックは、標準の80ピン・ヘッダーP2、P3に
出力されます。このボードは複数の動作モードを備えており、次の
設定で出荷されています。
・出力タイミング=パラレル・モード
・出力フォーマット=オフセット・バイナリ
・内部リファレンス使用
出力タイミング
AD9410には2種類のタイミング・モードがあります(タイミング図参
照)
。ジャンパをE11、E7に配置すると、インターリーブ・モードが選
択されます。ジャンパをE11、E14に配置すると、パラレル・モード
が選択されます。
電源コネクタ
電源は、取り外し可能な4ピンの電源ストリップP1、P4、P5を使っ
てボードに供給します。
VDAC―オプションのDAC電源入力(3.3V)
EXT REF―オプションの外部VREF入力(2.5V)
VDD―ロジック電源(3.3V)
3.3VA―アナログ電源(3.3V)
5V―アナログ電源(5V)
データ・フォーマットの選択
(DFS)
ADC出力の出力データ・フォーマットは、DFSピンを使って設定し
ます。E12、E10でDFS(ピン79)
をローに設定すると、出力フォーマ
ットはオフセット・バイナリに設定されます。E12、E16でDFSをハイ
に設定すると、出力フォーマットは2の補数に設定されます。
DSピン
DS入力とDS入力は、SMBコネクタのJ9XおよびJ10Xにあります。
ボードは、R26によりDSをグラウンドにプルダウンした状態で出荷
されています。DSは開放のままです(R25Xは実装されていませ
ん)
。
アナログ入力
評価ボードのSMB J8には、グラウンド・レベルを中心とする1.5V
p-pのアナログ入力信号を接続します。この入力はボード上のトラ
ンス2次側で50Ω終端されていますが、別の終端が必要な場合
は、SMBで終端することもできます。この入力はAC結合された後
にトランスに入力されます。トランスは約1∼400MHzの周波数範
囲に帯域制限されています。
DAC出力
デバッグを支援するために、各チャンネル出力は内蔵のデュアル・
チャンネルDAC AD9751を使ってアナログ信号に戻されています。
DACの性能は最適化されていないため、ADCのフル性能を正確
に測定できないことがあります。ボード上に50Ωの終端抵抗を持
つ電流出力DACを使用しており、これらの出力はJ3とJ4にありま
す。
Encode
ボードへのEncode入力はSMBコネクタJ1にあります。この入力は、
グラウンドに接続された50Ωによりボード上で終端されています。
この入力(0.5V p-p以上)
はAC結合された後に、高速差動ライ
ン・レシーバ(MC10EL16)
を駆動します。このレシーバは、ns以下
の高速な立ち上がり時間を持つ波形を出力します。これは最適性
能を得るためにADCクロック入力に必要となる条件です。EL16出
力はPECLレベルであり、AD9410のEncode入力におけるコモン・
モードDCレベルの条件を満たすためにAC結合されています。
14
REV.0
AD9410
GND
GND
C1
μ
+ 10 F
C4
μ
+ 10 F
5V
GND
2
GND
3
EXT REF
4
GND
1
GND
2
GND
E10
67
66
65
64
63
62
61
DA9
DA8
DA7
DA6
DA5
AGND
68
VDD
AGND
69
GND
C12
0.1μF
AGND
VDD 60
VDD
AGND
DGND 59
GND
3
VCC
DA4 58
DA4
4
REFOUT
DA3 57
DA3
5
REFIN
DA2 56
DA2
6
DNC
DA1 55
DA1
7
VCC
DA0 54
DA0
GND
R27
50Ω
GND GND
C24
0.1μF
GND
5V
GND
8
AGND
9
AGND
10
A IN
11
A IN
12
AGND
13
AGND
14
VCC
15
VCC
DB9 46
DB9
16
AGND
DB8 45
DB8
DB7
VDD 53
DGND 52
AD9410
U3
DCO 51
DCOT
DCO 50
DCOC
DGND 49
GND
GND
VDD 48
DB1
DB2
DB3
DB4
DGND
VDD 41
DB0
AGND
VDD
20
DGND
GND
VD
DB5
VD
DB5 42
AGND
ENCODE
AGND
19
AGND
DB6
ENCC
AGND
DB6 43
VD
DB7 44
ENCODE
VD
AGND
18
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
GND
3.3VA
GND
R26
50Ω
DB0
DB1
J10X
GND
3.3VA
3.3VA
C16
0.1μF
図13a PCB回路図
15
DB3
C19
0.1μF
VDD
GND
GND
DB2
3.3VA
C15
0.1μF
R25X
50Ω
GND
GND
DB4
GND
VDD
C22
0.1μF
DBOR
ORB 47
17
GND
VDD
C21
μ
0.1 F
GND
ENCT
J9X
REV.0
70
2
GND
GND
71
AGND
C25
0.1μF
72
1
C26
0.1μF
1:1
R23
50Ω
73
DS
3
74
GND
6
5
4
75
DS
2
76
AGND
77
AGND
78
VD
79
DA6
DA5
DAOR
AGND
GND
T1
GND
GND
5V
GND
DA7
3.3VA
GND
VD
80
AGND
E14
注:
R3、R6、R7、R24はオプション
(ゼロも可能)
DA8
GND
AGND
GND
GND
DA9
GND
3.3VA
I/P
R3
100Ω
C14
0.1μF
3.3VA
C11
0.1μF
R7
100Ω
E7
E11
E3 E1
AIN
C8
0.1μF
R15
330Ω
GND
GND
GND
E12
5V
5V
J8
C10
0.1μF
E16
R24
100Ω
C28
0.1μF
1
ENCC
VEE 5
VDD
GND
GND
GND
C7
0.1μF
VBB
ENCT
Q 6
3.3VA
R4
2.5kΩ
R6
100Ω
C27
0.1μF
EXT
REF
4
Q 7
U1
GND GND
GND
E6
D
ORA
3.3VA
GND
D
DGND
1
4
2
3
R11
C7
330Ω 0.1μF
5V
VCC 8
VD
GND
5V
NC
VD
VDD/3.3V
3
R9
24kΩ
1
GND
5V
3
GND
R14
8.2kΩ
R18
24kΩ
C40
0.1μF
MC10EL16
GND
4
2
C6
0.1μF
R8
50Ω
GND
5V
R19
8.2kΩ
J1
VDAC
EXT REF
DFS
P5
C5
μ
+10 F
VDAC
1
P1
C3
μ
+10 F
VDD
3.3VA
5V
P4
C2
μ
+ 10 F
GND
VDD
C18
0.1μF
GND
16
GND
VDD
GND
VDD
GND
VDD
GND
VDD
R17
00Ω
R16
00Ω
E23 R43
100Ω
E25
XORD
E22
R42
E20 100Ω
E19
XORC
E21
R37
E26 100Ω
E27
XORB
E28
E24 R2
100Ω
E17
XORA
E18
DCOC
DCOT
GND
C32
0.1μF
VDD
DCOTA
XORD
DCOCA
XORC
XORB
DCOTA
DCOTA
XORA
DCOCA
DCOTA
U9
U9
U9
74AC86
9
10
74AC86
12
13
74AC86
4
5
U9
6
CLKA
DRA
R44
3 00Ω
CLKB
8
DRB
R45
11 00Ω
74AC86
2
1
3 3A
4 4A
5 5A
6 6A
7 7A
DA8
DA7
DA6
DA5
DA4
R32
8B 9
7B 10
8B 9
7 7A
8 8A
4B 13
4 4A
DB0
DB1
8 8A
7 7A
6 6A
5 5A
DB3
3 3A
2 2A
1 1A
4 4A
DB2
8B 9
7B 10
6B 11
R39
8B 9
7B 10
6B 11
5B 12
4B 13
3B 14
2B 15
1B 16
RPACK
8 8A
7 7A
6 6A
5B 12
3B 14
3 3A
5 5A
2B 15
2 2A
R29
1B 16
1 1A
DB4
DB5
DB6
DB7
DB8
DB9
DBOR
6B 11
6 6A
RPACK
5B 12
4 4A
R40
3B 14
4B 13
3 3A
DA0
5 5A
2B 15
2 2A
DA1
1B 16
1 1A
DA2
DY0
DY1
DY2
DY3
DY4
DY5
DY6
DY7
DY8
DY9
DYOR
DX0
DX1
DX2
DX3
DX4
DX6
5B 12
7B 10
DX7
4B 13
DX5
DX8
3B 14
6B 11
DX9
DXOR
2B 15
1B 16
RPACK
8 8A
2 2A
DA9
DA3
1 1A
DAOR
RPACK
DX0
GND
DY0
DY1
DY2
DY3
DY4
DY5
DY6
DY7
DY8
DY9
GND
GND
CLK 13
Y9 14
Y8 15
Y7 16
Y6 17
Y5 18
Y4 19
Y3 20
Y2 21
Y1 22
Y0 23
VCC 24
U5
12 GND
11 X9
10 X8
9 X7
8 X6
7 X5
6 X4
5 X3
4 X2
3 X1
2 X0
1 DE
CLKA
D0A
D1A
D2A
D3A
CLKB
D0B
D1B
D2B
D3B
D4B
D5B
D6B
D7B
D8B
D9B
VDD
C39
0.1μF
GND
CLK 13
Y9 14
74LCXB21
12 GND
11 X9
Y8 15
DX1
Y7 16
9 X7
10 X8
DX2
Y6 17
8 X6
DX3
D4A
7 X5
DX4
Y5 18
D5A
Y4 19
6 X4
DX5
U4
D6A
D7A
D8A
D9A
Y3 20
Y2 21
Y1 22
Y0 23
VCC 24
5 X3
4 X2
3 X1
2 X0
1 DE
C37
0.1μF
VDD
DX6
DX7
DX8
DX9
GND
74LCXB21
GND
4 4A
5 5A
6 6A
D7A
D6A
D5A
8 8A
NC
6 6A
D2B
D0B
8 8A
7 7A
5 5A
4 4A
D4B
D3B
3 3A
2 2A
D6B
D5B
1 1A
D1B
R36
8B 9
7B 10
6B 11
5B 12
4B 13
3B 14
2B 15
1B 16
R28
8B 9
7B 10
6B 11
5B 12
4B 13
3B 14
2B 15
1B 16
R38
8B 9
7B 10
6B 11
5B 12
4B 13
3B 14
2B 15
1B 16
RPACK
8 8A
7 7A
6 6A
5 5A
4 4A
3 3A
2 2A
1 1A
D7B
D8B
D9B
NC
NC
NC
NC
NC
8B 9
7B 10
6B 11
5B 12
RPACK
7 7A
6 6A
5 5A
NC
NC
NC
4 4A
3 3A
D0A
1 1A
2 2A
NC
R34
4B 13
3B 14
2B 15
1B 16
RPACK
8 8A
D1A
D2A
D3A
7 7A
3 3A
D8A
D4A
2 2A
D9A
1 1A
RPACK
DN0
DN1
DN2
DN3
DN4
DN5
DN6
DN7
DN8
DN9
NC
NC
NC
NC
NC
NC
NC
NC
NC
NC
DM0
DM1
DM2
DM3
DM4
DM5
DM6
DM7
DM8
DM9
GND
GND
40
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
32
34
36
38
40
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
32
34
36
38
ヘッダー40
P3
ヘッダー40
P2
39
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
27
29
31
33
35
37
39
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
27
29
31
33
35
37
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
DN0
DN1
DN2
DN3
DN4
DN5
DN6
DN7
DN8
DN9
GND
DRB
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
DM0
DM1
DM2
DM3
DM4
DM5
DM6
DM7
DM8
DM9
GND
DRA
GND
AD9410
図13b PCB回路図(続き)
REV.0
AD9410
J3
GND
C3
0.1μF
R1
50Ω
GND
J4
VDAC
GND
R12
50Ω
VDAC
GND
C23
0.1μF
GND
R5
392Ω
GND
GND
C33
1μF
C20
0.1μF
VDAC
E2
E4
R13
392Ω
VDAC
R10
2kΩ
GND GND
E5
GND
E31
VDAC
E29
GND
E30
GND
48
46
47
45
44
43
42
41
40
38
39
37
E32
VDAC
1
36
DCOCA
2
35
DCOTA
3
34
GND
4
33
5
32
DN0
E35
6
31
DN1
DM9
7
30
DN2
DM8
8
29
DN3
DM7
9
28
DN4
DM6
10
27
DN5
DM5
11
26
DN6
DM4
12
25
DN7
E34
E33
GND
VDAC
C13
0.1μF
GND
AD9751
U2
13
DM3
14
15
16
17
18
19
20
DM1
DM0
21
23
22
GND
DM2
24
DN8
DN9
C17
0.1μF
GND
VDAC
図13c PCB回路図(続き)
トラブルシューティング
ボードが正常に動作しない場合は、以下のことを実行してみ
てください。
・ ICピンで電源を確認します。
・すべてのジャンパが、選択した動作モードに対して正しい
位置に配置されているかを確認します。
・VREFが2.5Vであることを確認します。
REV.0
・Encodeクロックとアナログ入力を低速(10MSPS/1MHz)で
調整し、ラッチ出力、DAC出力、ADC出力がトグルするこ
とを調べます。
AD9410評価ボードは、設計例としてアナログ・デバイセズ
のお客様に用意されたものです。当社が、特定の用途に対す
る商品性と適合性の保証を、明確に、法定上、または暗黙に
行っているものではありません。
17
AD9410
評価ボードのレイアウト
図14 表面のシルクスクリーン印刷
図17 裏面の部品と配線
図15 電源プレーンの分割
図18 裏面のシルクスクリーン印刷
図16 グラウンド・プレーン
図19 表面の部品と配線
18
REV.0
AD9410
AD9410評価ボードの部品表
数量
部品番号
5
29
1
31
6
3
C1–C5
C6–C30, C32, C37, C39, C40
C33
E1–E7, E10 –E12, E14, E16 –E35
J1, J3, J4, J8, J9X, J10X
P1, P4, P5
デバイス
パッケージ
部品定数
10μF
0.1μF
1μF
25.531.3425.0
25.602.5453.0
Wieland
P2, P3
R1, R8, R12, R23* R25X, R26, R27
R2, R3, R4, R6, R24, R37, R42, R43
R13
R7
R9, R18
R10
R11, R15
R14, R19
R5, R16, R17, R44, R45
R28, R29, R32, R34, R36, R38 –R40
コンデンサ
コンデンサ
コンデンサ
Ehole
SMB
4ピン電源
コネクタ
40ピン・ヘッダー
抵抗
抵抗
抵抗
抵抗
抵抗
抵抗
抵抗
抵抗
抵抗
RPACK
TAJD
603
1206
2
7
8
1
1
2
1
2
2
5
8
50Ω
100Ω
392Ω
100Ω
24 kΩ
2 kΩ
330Ω
8.2 kΩ
0Ω
CTS
T1
U1
U2
U3
U4, U5
U9
トランス(1:1)
MC10EL16
AD9751
AD9410
74LCX821
74AC86
1206
1206
1206
1206
1206
1206
1206
1206
1206
766163220G
22Ω
ADT1-1WT
SOIC8
LQFP48
LQFP80
SOIC24
SOIC14
1
1
1
1
2
1
*オプションのR23(50Ωの終端抵抗)は、ボードに実装されていません。
REV.0
19
Minicircuits
AD9410
外形寸法
TDS11/2000/1000
サイズはインチと(mm)で示します。
80ピンPowerQuad 2(LQFP_ED)
(SQ-80)
0.063 (1.60)
MAX
0.030 (0.75)
0.024 (0.60)
0.018 (0.45)
0.630 (16.00) SQ
0.551 (14.00) SQ
80
61
実装面
80
61
60
1
60
0.120(3.04)×45℃の
ミゾが4箇所にあります。
1
ピン1
0.413 (10.50)
0.394 (10.00) REF
0.374 (9.50)
底面図
上面図
(ピンは下部)
ニッケル・プレート
XX
平坦性
0.004 (0.10)
MAX
20
41
21
40
0.006 (0.15)
0.002 (0.05)
0.008 (0.20)
0.004 (0.09)
0.0256 (0.65)
BSC
0.057 (1.45)
0.055 (1.40)
0.053 (1.35)
。
7
。
0
0.015 (0.38)
0.013 (0.32)
0.009 (0.22)
20
41
40
21
0.413 (10.50)
0.394 (10.00) REF
0.374 (9.50)
寸法はミリメーター単位で管理しています。
特に指定のない限り、中心値は代表値です
注
PRINTED IN JAPAN
AD9410は熱放散を助ける伝導性ヒート・スラグを使用して、工業用温度範囲の全域でデバイ
スの高信頼動作を保証しています。このスラグは、パッケージの底面に露出しています。スラ
グに接触するようなPCBパターンまたはバイアスは、パッケージの真下に配置しないことを推
奨します。ほとんどのアプリケーションでは不要なことですが、スラグをグラウンド・プレー
ンに接触させると、デバイスの接合温度を下げるのに役立つので、高温環境では有益です。
このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。
20
REV.0