回路ノート CN-0233 Circuits from the Lab™ 実用回路は今日のアナロ グ・ミックスド・シグナル、RF 回路の設計上の課 題の解決に役立つ迅速で容易なシステム統合を行 うために作製、テストされました。詳しい情報と 支援については www.analog.com/jp/CN0233.をご 覧ください 接続/参考にしたデバイス ADuM3471 トランス・ドライバと PWM コントロー ラ内蔵のクワッド・アイソレータ AD5422 16 ビット電流源出力&電圧出力 DAC ADR445 高精度 5.0 V リファレンス 絶縁型 DC/DC 電源付き 16 ビット絶縁型工業向け電圧出力&電流出力 DAC 従来のソリューションは電源とデジタルの絶縁の両方にデスク リート IC を使用します。 評価と設計支援 設計と統合ファイル 回路図、レイアウト・ファイル 、BOM 回路の機能とその利点 プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLCs)、分散制御シ ステム(DCS)だけでなく工業用システムや計装システムでは出 力を頻繁にコントロールしなければなりませんが、それは電流 制御(4 mA ~ 20 mA)と電圧制御(±10 V まで)の両方になる可 能性があります。又一般的にそれらの設計はグラウンド・ルー プからの保護とさらに外部イベントから強固に守るため、ロー カルのシステム・コントローラから絶縁される必要があります。 D1 10µF + 0.1µF 47µF 47µF D2 47µF L2 –15V (AVSS) VDD1 3 X2 4 I/OA 5 I/OD 8 VDDA 0.1µF GND1 R2 90.9kΩ 19 I/OB 6 I/OC 7 9 10 VOUT 18 17 16 VFB 1.25V VREG GND2 VDD2 0.1µF ISO 0.1µF +5V ISO FB 10µF + 0.1µF 10µF 0.1µF 0.1µF + +5V ISO DVCC I/OA ISO ISO AVDD AVSS REFIN LATCH I/OB 15 I/OC 14 13 AVDD AVSS R3 10.5kΩ IOUT SCLK AD5422 SDIN I/OD OC 12 GND2 ROC 100kΩ 11 RL ISO VOUT FAULT CLR CURRENT OUTPUT +VSENSE SDO ISO VOLTAGE OUTPUT –VSENSE GND CLR SEL RSET CCOMP 15kΩ 0.1% 5ppm/°C ISO T1: COILTRONICS KA4976-AL 1:5 TURNS RATIO +10µF ISO R1 24.9kΩ 20 ADuM3471 ISO ISO D4 2 VIN 47µH D3 X1 1 GND1 ADR445 +15V (AVDD) L1 47µH D1 TO D4: MBR0540 ISO ISO ISO 4nF ISO 図 1.絶縁型電源付き絶縁型 16 ビット電流出力&電圧出力 DAC アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の 利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いま せん。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するもので もありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有 に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照くだ さい。 © Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 10126-001 1:5 T1 +5V IN 多チャンネルの絶縁が必要な場合、デスクリート回路にかかる 費用や面積が大きな欠点となります。光アイソレータを基本と したソリューションは一般的に合理的な出力レギュレーション ですが、追加の外付け部品が必要となるので、基板面積が増え ます。電源モジュールはほとんどの場合大きくなり、出力レギ ュレーションが不十分になる可能性があります。図 1 の回路は アイソレータ ADuM347x ファミリー(ADuM3470、 ADuM3471、 ADuM3472、 ADuM3473、 ADuM3474)をベースにしており、 デジタル・アイソレータと共に PWM 制御の電源レギュレーシ ョン回路と付随の絶縁帰還回路を内蔵しています 。 CN-0233 Circuit Note AD5422 は全機能内蔵、フル・プログラマブル 16 ビット電圧 出力&電流出力 DAC で、4 mA ~ 20 mA、 0 mA ~ 20 mA, 0 V ~ 5 V, 0 V ~ 10 V, ±5 V, ±10 V の範囲をプログラムできます。 電圧出力のヘッドルームは 1Vtyp ですが、電流出力は約 2.5V のヘッドルームが必要です。 これは電源 15 V で電流出力 20 mA が負荷約 600Ω を駆動でき る事を意味します。 デバイス ADuM347x は PWM コントローラと低インピーダン ス・トランス・ドライバ(X1 and X2)を内蔵する 4 チャンネ ル・デジタル・アイソレータです。絶縁型 DC/DC コンバータ に唯一必要な追加部品はトランスと簡単な全波整流ダイオー ドです。デバイスは、5.0 V または 3.3 V の電源入力で、レギ ュレーションされ、絶縁された最大 2 W の電力を供給します。 このデバイスを使用する事により別の絶縁型 DC/DC コンバー タが不要になります。 Coupler チップ・スケール・トランス技術を使ってロジック 信号を絶縁しています。そして内蔵トランス・ドライバと絶 縁した 2 次側制御回路により、絶縁型 DC/DC コンバータは高 効率になっています。内部発振周波数は 200 kHz ~ 1 MHz の 範囲で調整可能で、ROC の値で決まります。ROC = 100 kΩ の場 合、スイッチング周波数は 500 kHz です。 リニア電源と絶縁型 DC/DC スイッチング電源の両方を使って AD5422 の積分非直線性(INL)をテストし、スイッチング電 源によりシステム精度が悪化するかどうか確かめました。図 2 にリニア電源の INL を示し、図 3 にスイッチング電源の INL を示します。スイッチング電源を使用した場合、リニア 電源と比べて特に顕著な性能悪化はありません。 2.0 1.5 1.0 –0.5 –1.5 –2.0 0 32,768 CODE 65,535 図 2. リニア電源を使い回路を出力範囲±10V に設定して 測定した時の INL 2.0 1.5 1.0 INL (LSBs) この回路は 5 V、高精度、低ドリフト(B グレードで 3 ppm/°C max)の外部リファレンス ADR445 を使ってテストされました。 これにより総合システム誤差は工業温度範囲(−40°C ~ +85°C) 全体で 0.1%以下を達成できます。 0 –1.0 ADuM3471 は正の 15 V 電源をレギュレーションします。抵抗 分割回路 (R1, R2, R3)によりレギュレーションの帰還が行われ ます。出力電圧が 15 V の時、帰還電圧が 1.25 V になるように 抵抗を選びます。帰還電圧は ADuM3471 の内部帰還設定電圧 1.25 V と比較されます。 レギュレーションは外部トランス を駆動する PWM 信号のデューティ・サイクルを変える事に より実行されます。 負電源は軽くレギュレーションされ、軽い負荷の場合−23 V くらいの高さになります。 これは最大動作値の−26.3 V 以内 です。公称負荷が 1 kΩ 以上の場合、より大きな非レギュレー ション負電源電圧により追加になる消費電力は問題ではあり ません。高いコンプライアンス電圧を要求するアプリケーシ ョン又は超低消費電力が要求されるアプリケーションの場合 は異なる電源設計を検討する必要があります。 0.5 10126-002 回路説明 AD5422 はドリフトが 10ppm/℃(max)の高精度内部リファ レンスを内蔵しています。外部リファレンスを使用しないで 内部リファレンスを使用した場合、誤差は工業温度範囲全体 でわずか 0.065%増えるだけです。 INL (LSBs) .絶縁障壁を跨いで電源を転送するために外部トランスを使用 します。16 ビット DACAD5422 には電流出力と電圧出力があ ります。 0.5 0 –0.5 –1.0 10126-003 –1.5 –2.0 0 32,768 CODE 65,535 図 3. スイッチング電源を使い回路を出力範囲±10V に設定して 測定した時の INL 図 4 に示すようにリニア電源とスイッチング電源を使用した 場合について平均出力ノイズの時間変化をテストして比較し ました。出力ノイズの時間変化の実測値にわずかなオフセッ トがある事に注目してください。 Rev. 0 | Page 2 of 4 CN-0233 Circuit Note このオフセットは 2 つの測定間のリファレンスのドリフ トによる影響だけでなく、リニア負電源対非レギュレーシ ョン・スイッチング電源の差による DC PSRR との組み合わ バリエーション回路 この回路は、表示されている部品で優れた安定性と精度をも って問題なく動作する事が証明されています。4 mA ~ 20 mA の電流出力のみ必要なアプリケーションでは、単電源回路を 使用する事ができます。この場合、正 AVCC 電源を 26.4 V に 高くする事ができます。従って出力コンプライアンスは 26.4 V – 2.5 V = 23.9 V です。20mA の出力電流で、負荷抵抗の大 きさは 1 kΩ 程度まで可能です。 せが原因と考えられます。 –5.0022 –5.0023 16 ビット分解能を必要としないアプリケーションには 12 ビ ットの AD5412 があります。 LINEAR SUPPLY VOUT (V) –5.0024 アイソレータ ADuM347x(ADuM3470, ADuM3471, ADuM3472, ADuM3473, ADuM3474)は 4 つの独立したアイソレーション・ チャンネルをいろいろな入力/出力チャンネル構成で提供しま す。又これらのデバイスの最大データレートは 1 Mbps (A グ レード)又は 25 Mbps(C グレード)です。 –5.0025 –5.0026 SWITCHING SUPPLY 回路評価とテスト 10126-004 –5.0027 –5.0028 0 325 SAMPLES 650 図 4.DAC 出力を±10 V 出力範囲で−5 V に設定した時のリニア電源 とスイッチング電源の実測平均 DAC 出力ノイズ (1 LSB = 0.0003 V)、 650 サンプル この回路は図 5 に示すように回路基板 EVAL-AD5422EBZ と EVAL-ADuM3471EBZ を共に接続して使いテストされました。 絶縁経路を完璧にテストするために、グラウンド、電源、コ ントローラと AD5422 デバイス間のデータ・トラックを遮断 し、信号は ADuM3471 評価用ボードを通して配線しました。 図 5. 評価用ボードの接続を示したテスト・セットアップの機能ブロック図 AD5422 基板の評価ソフトウェア テスト・データの収集に使用する装置 USB ポート付き Windows® XP、Windows Vista®(32 ビット) 又は Windows 7 (32 ビット)対応の PC EVAL-AD5422EBZ (修正済み) EVAL-ADuM3471EBZ (修正済み) 電源電圧:+5 V 電源電圧:±15 V、アジレント E3630A 又は同等品 アジレント 3458A、 8.5 デジット・デジタル・マルチメータ 又は同等品 ナショナル・インスツルメント GPIB to USB-B インターフェ ースとケーブル Rev. 0 | Page 3 of 4 CN-0233 Circuit Note セット・アップとテスト Analog Dialogue 2005-10:Wayne, Scott.iCoupler® Digital Isolators Protect RS-232, RS-485, and CAN Buses in Industrial, Instrumentation, and Computer Applications. 図 5 に示すように評価用ボード ADuM3471 と評価用ボード AD5422 を接続して回路をテストし検証しました。 トランスを巻数比 1:5 のトランス(Coilcraft KA4976-AL)に変更し、 ADuM3471 評価用ボード上の正と負の電源として 2 電源構成に 設定しました。その他の変更として、R24、R22~R23、R21 か ら 0 Ω 抵抗を取り外しました。R24 の代わりに R23 を短絡する と、J6 の+7.5 V/6 V ピンが−15 V 電源になります。R22 の代わり に R21 を短絡すると、トランスのセンタ・タップは L3、C20、 C27 が接続されていたノードの代わりにグラウンド・プレーン に接続されます。 UG-197 の図 16 に、2 電源構成あるいは正/負電源構成にするた めにどの抵抗を短絡/オープンする必要があるかを示します。 注:これらのハードウェアの変更の詳細情報についてはユーザ・ ガイド UG-197 をご覧ください。 デジタル・コントロール信号が ADuM3471 評価用ボードを通過 するように AD5422 評価用ボードを修正しました。これにより AD5422 へのデータ絶縁経路全体を完全にテストする事ができ ます。 INL とノイズのデータは DAC データを PC から AD5422 評価用 ボードへ入力し、GPIB/USB インターフェースを使用してマル チメ―タ 3485A から結果を読み出す事により取得しました。 DAC へ入力するデータを生成するために AD5422 評価用ボード のソフトウェアを使用しました。 Analog Dialogue 29-09:A Practical Guide to High-Speed PrintedCircuit-Board Layout. MT-031 Tutorial:Grounding Data Converters and Solving the Mystery of “AGND” and “DGND”, Analog Devices. MT-101 Tutorial:Decoupling Techniques, Analog Devices. データシードと評価用ボード AD5422 データシート / 評価用ボード (EVAL-AD5422EBZ) ADuM3471 データシート / 評価用ボード (EVALADuM3471EBZ) ユーザ・ガイド UG-197:トランス・ドライバ内蔵の iCoupler 4 チャンネル・アイソレータ ADUM347X の評価用ボード ADR445 データシート 改訂履歴 10/11—Revision 0:初版 さらに詳しくは CN-0233 Design Support Package : http://www.analog.com/CN0233DesignSupport CN-0065 : シングルチップ、電圧/電流出力の D/A コンバータ AD5422 とデジタル・アイソレータ ADUM1401 を使った、 完全絶縁の 16 ビット電圧出力モジュール回路 アプリケーション・ノート(AN-0971):isoPower デバイス での EMI 放射制御についての推奨事項 iCoupler® Products with isoPowerTechnology:Signal and Power Transfer Across Isolation Barrier Using Microtransformers. MT-014 Tutorial: Basic DAC Architectures I:String DACs and Thermometer (Fully Decoded) DACs, Analog Devices. MT-015 Tutorial:Basic DAC Architectures II:Binary DACs, Analog Devices. MT-016 Tutorial: Basic DAC Architectures III:Segmented DACs, Analog Devices. Analog Dialogue 43:PLC 評価用ボードによる産業用プロセス制 御システムの容易な設計 「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さ まは製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のも とでの暗示的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを 期しています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかな る種類の明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはそ の他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、そ れを行う義務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。 ©2011 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 商標および登録商標は、それぞれの所有者の財産です。 Rev. 0 | Page 4 of 4