日本語参考資料 最新版英語回路ノートはこちら 回路ノート CN-0326 使用したリファレンス・デバイス テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共 通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム 統合のために製作されました。さらに詳しい情報 又は支援は http://www.analog.com/jp/CN0326 をご覧 ください。 AD7793 3 チャンネル、低ノイズ、低消費電力の 24 ビット・シグマ・デルタ ADC ADuM54 01 DC/DC コンバータ内蔵の 4 チャンネ ル・アイソレータ AD8603 MicroPower RRIO 低ノイズ高精度シン グル CMOS オペアンプ 温度補償機能付き絶縁型低消費電力 pH モニタ この回路は精度 0.5%で 0~14 の pH 値の測定が可能で、14 ビッ トを超えるノイズフリー・コード分解能があり、化学物質、食 品加工、水、廃水などの分析といったさまざまな産業用アプリ ケーションに適しています。 評価および設計サポート環境 回路評価用ボード CN0326 評価用ボード(EVAL-CN0326-PMDZ) システム・デモンストレーション・プラットフォーム (EVAL-SDP-CB1Z) SDP PMOD インターポーザ・ボード(SDP-PMD-IB1Z) この回路は、1 MΩ から数 GΩ におよぶ非常に高い内部抵抗を 有する広範な pH センサーに対応しており、デジタル信号と電 源のアイソレーションにより過酷な産業環境の中のノイズや 過渡電圧に対する耐性があります。 設計および統合ファイル 回路図、レイアウト・ファイル、BOM 回路の機能と利点 図 1 に示す回路は、高精度の自動温度補償機能を持つ、完全絶 縁型の低消費電力 pH センサー・シグナル・コンディショナ/ デジタイザです。 3.3VISO FERRITE BEAD: MURATA BLM21PG331SN1D BEAD 3.3VISO 3.3V DVDD AVDD 210µA IOUT2 10kΩ P1 VDD1 pH SENSOR J1 CS VOA VIA CS SCLK VOB VIB SCLK DIN VOC VIC DIN AIN2(–) DOUT/ RDY RFIN(+)/AIN3(+) VID VOD RFIN(–)/AIN3(–) GNDISO 3.3VISO 1MΩ AD8603 AD7793 10kΩ AIN1(+) 1µF AIN1(–) 10kΩ 5kΩ 1µF GND DOUT/RDY GND1 ADUM5401 GNDISO 11821-001 TO Pt1000 RTD VISO AIN2(+) 1µF 図 1. pH センサー回路(簡略図:接続とデカップリングはすべて省略) アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の 使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、 各社の所有に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 Rev. 0 ©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 CN-0326 回路ノート 回路の説明 回路の詳細 pH 測定の基礎 この設計は、温度補償機能を持つ pH センサー用の完全な実装 となります。回路には 3 つの重要な処理段があります。図 1 に 示す pH プローブ・バッファ、ADC、デジタル電源アイソレー タです。 pH 値は、水溶液中の水素イオンと水酸化物イオンの相対量を 示す値です。モル濃度の場合、25°C の水には 1 × 10−7 mol/L の 水素イオンと、同量の水酸化物イオンが含まれています。中性 の溶液とは、水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度がまったく 同じ溶液です。pH は水素イオン濃度を表すもう 1 つの方法で、 以下のように定義できます。 AD8603 は、超低消費電力(最大 50 μA)、低ノイズ(22 nV/√Hz) の高精度 CMOS オペアンプで、AD7793 の 1 つのチャンネルの 入力バッファとして構成されています。AD8603 の代表的な入 力バイアス電流は 200 fA で、高い内部抵抗を持つ pH プローブ 用に優れたソリューションとなります。 pH = – log( H + ) したがって、水素イオン濃度が 1.0 × 10−2 mol/L の場合、pH は 2.00 です。 pH 電極は多くの産業で使われている電気化学センサーですが、 水および廃水処理産業では特に重要です。pH プローブはガラ ス製の測定電極と基準電極で構成されており、バッテリと似た 動作をします。溶液中にこのプローブを置くと、溶液中の水素 の挙動に応じて測定電極に電圧が発生します。その電圧を基準 電極の電位と比較します。溶液の酸性が強く(低 pH)なると 基準電極に対するガラス電極の正電位が高くなり(+mV)、塩 基性が強く(高 pH)なると基準電極に対するガラス電極の負 電位が高くなります(−mV)。これら 2 つの電極の差が測定電 位です。代表的な pH プローブは、理論的には 25oC で 59.154 mV/pH の単位電圧を生成します。これは、次のようにネルンス トの式で表すことができます。 E=a– 2.303 R ( T + 273.1 ) × ( pH – pH ISO ) pH 検出および温度補償システムは、24 ビット・シグマ・デル タ(ΣΔ)ADC の AD7793 がベースとなっています。このデバイ スは 3 つの差動アナログ入力を持ち、1 から 128 までの範囲で ゲインを設定できる低ノイズのプログラマブル・ゲイン・アン プ(PGA)を内蔵しています。AD7793 の消費電力は最大でも わずか 500 μA であるため、あらゆる低消費電力アプリケー ションに最適です。また、低ノイズ、低ドリフトの内部バンド ギャップ・リファレンスがあり、外部差動リファレンスも使用 できます。出力データレートはソフトウェアによりプログラム 可能で、4.17 Hz~470 Hz の範囲で調整できます。 DC/DC コンバータを内蔵した ADuM5401 4 チャンネル・デジ タル・アイソレータは、マイクロコントローラと AD7793 のデ ジタル・ライン間におけるデジタル信号と電源のアイソレー ションを提供します。DC/DC コンバータのロジック信号と電 源帰還経路のアイソレーションには、iCoupler チップスケール・ トランス技術が使われています。 nF pH センサー・インターフェース用バッファ ここで、 代表的な pH プローブの電極はガラス製で 1 MΩ~1 GΩ の極め て高い抵抗値を示し、図 2 に示すように pH 電圧源の直列抵抗 として機能します。 E = 動作状態が未知の水素電極の電圧 ɑ = ±30 mV、ゼロ点誤差範囲 T = 周囲温度(oC) n = 1 (25oC)、原子価(イオンの電荷数) F = 96485 C/mol、ファラデー定数 R = 8.314 J/(K mol)、アボガドロ数 pH = 未知の溶液中の水素イオン濃度 pHISO = 7、基準水素イオン濃度 210µA IOUT2 pH SENSOR 1GΩ 1MΩ AD8603 pH VOUT 10kΩ AIN1(+) 1µF AIN1(–) AIN2(–) 10kΩ +1.05V 5kΩ RFIN(+)/AIN3(+) 1µF RFIN(–)/AIN3(–) GND 図 2. pH センサーと ADC へのバッファ・インターフェース (簡略図:接続、RTD、デカップリングはすべて省略) この直列抵抗を流れるバッファ・アンプのバイアス電流が、シ ステムのオフセット誤差を発生させます。この高いソース抵抗 から回路を分離するために、アプリケーションには高入力イン ピーダンスで超低バイアス電流のバッファ・アンプが必要です。 図 2 に示すように、このアプリケーションでは AD8603 をバッ ファ・アンプとして使用します。AD8603 の入力電流は小さい ため、電極抵抗を流れるバイアス電流から生じる電圧誤差を最 小に抑えることができます。 pH 理論に関する優れた参考文献としては、「pH Theory and Practice 」 ( pH の 理 論 と 実 践 、 Radiometer Analytical SAS, Villeurbanne Cedex, France)があります。 -2/7 - 11821-002 この式は、生成される電圧が溶液の酸性度と塩基性度によって 決まること、水素イオンの活動に応じ一定の規則で変化するこ とを示しています。溶液の温度が変化すると、水素イオンの活 動も変化します。溶液を加熱すると水素イオンの活動が活発化 し、その結果 2 つの電極間の電位差は増大します。さらに、溶 液の温度が低下すると水素イオンの活動が不活発になり、電位 差は減少します。理論的には、pH 7 の緩衝液中に置かれた電極 に電圧は生じません。 Rev. 0 IBIAS J1 AD7793 3.3VISO CN-0326 回路ノート 代表的な入力電流が 200 fA の場合、25oC で 1 GΩ の直列抵抗 を持つ pH プローブのオフセット誤差は 0.2 mV(0.0037 pH) で 、 1 pA の最大入力バイアス電流時でも誤差はわずか 1 mV になり ます。 表 2. DIN-43760 の標準 RTD 精度 Class DIN 43760 Class A DIN 43760 Class B バッファ・アンプ出力用の 10 kΩ/1 µF のローパス・ノイズ・ フィルタのカットオフ周波数は f = 1/2πRC であり、値は 16 Hz になります。 表 3. ASTM E-1137 の標準 RTD 精度 Grade ASTM E-1137 Grade A ASTM E-1137 Grade B ガード、シールド、高絶縁抵抗スタンドオフ、その他同様の標 準的なピコアンペア法を使用して、AD8603 バッファの高イン ピーダンス入力のリークを最小限に抑える必要があります。 RTD Resistance = RTD 0 (1 + T α ) この段では、pH 電極によって生成される小電圧を測定します。 代表的な pH プローブの仕様を表 1 に示します。ネルンストの 式に基づき、プローブからの電圧範囲は、±414 mV(±59.14 mV/pH、25oC)から±490 mV(±70 mV/pH、80oC)です。 ここで、 RTD 抵抗 = T における抵抗値 RTD0 = 0°C における抵抗値 T = 周囲温度 α = 0.00385 Ω/Ω/°C、DIN 規格 43760-1980 と IEC 751-1983 に 定める温度係数 表 1. 代表的な pH プローブの仕様 Resolution Operating Temperature Reaction time pH 0 to pH 14 pH 7.00 ± 0.25 pH 0.05 in the range from 20°C to 25°C pH 0.01 0.1 mV Maximum 80°C ≤ 1 sec for 95% of final value RTD 抵抗は 0°C(1000 Ω)から 100°C(1385 Ω)まで変化し、210 µA の励起電流で 210 mV から 290 mV までの範囲の電圧信号を 生成します。 高精度 5 kΩ 抵抗は、外部リファレンスとして使われる 1.05 V の電圧を生成します。ゲイン 1 の場合のアナログ入力範囲は ±1.05 V(±VREF/G)です。このアーキテクチャは比例構成です。 励起電流の値が変化してもシステムの精度は変わりません。 RTD は 100 Ω の Pt 製が一般的ですが、別の抵抗値(200 Ω、500 Ω、1000 Ω など)や材質(ニッケル、銅、ニッケル鉄合金)を 指定することもできます。このアプリケーションでは、1 kΩ の DIN 43760 クラス A の RTD を使用して pH センサーの温度補 償を行います。1000 Ω の RTD の方が、100 Ω の RTD より配線 抵抗誤差の影響を受けにくくなります。 ADC は、pH プローブの出力電圧を読み取る際に外部 1.05 V リ ファレンスを使用し、ゲイン 1 に設定されています。フルス ケール入力範囲は±VREF/G = ±1.05 V で、pH プローブからの最 大信号は 80°C で±490 mV です。 センサーの出力はバイポーラであり、AD7793 は単電源で動作 するため、pH プローブによって生成される信号は、ADC が対 応できるコモンモード範囲に収まるようにグラウンドより高 い値にバイアスする必要があります。図 2 に示すように、5 kΩ、 0.1%の抵抗に 210 µA の IOUT2 電流を注入してバイアス電圧 を生成します。これによって 1.05 V のコモンモード・バイアス 電圧が生じ、これが ADC のリファレンス電圧にもなります。 接続には、図 3 に示すように 2 線接続を用います。RTD のリー ドに一定の電流を流して、RTD 自体の電圧を測定します。測定 デバイスは、高インピーダンス低入力電流の AD7793 です。こ の方法における誤差源は、リード抵抗、AD7793 によって生成 される定電流源の安定性、そして入力アンプの入力インピーダ ンスおよび/またはバイアス電流と、それに伴うドリフトです。 ADC チャンネル 2 の設定:RTD ADC の 2 番目のチャンネルは、AD7793 の電流出力ピン IOUT2 によって駆動される RTD の両端に発生する電圧を監視 します。210 μA の励起電流が、直列ペアの RTD と高精度抵 抗(5 kΩ、0.1%)を駆動します(図 1 を参照)。 純粋な白金の温度係数は 0.003926 Ω/Ω/°C です。DIN 規格 43760-1980 と IEC 751-1983 による産業用 RTD の標準的係数 は 0.00385 Ω/Ω/°C です。RTD の精度は、通常、0°C のときの 値で示されます。DIN 43760 規格には表 2 に示すように 2 つ のクラスがあり、ASTM E-1137 には表 3 に示すように 2 つの グレードがあります。 Rev. 0 Tolerance ±0.05% @ 0°C ±0.10% @ 0°C RTD 抵抗の値は次式で求めることができます。 ADC チャンネル 1 の設定:pH センサー Measurement Range pH at zero voltage Accuracy Tolerance ±0.06% @ 0°C ±0.12% @ 0°C -3/7 - CN-0326 回路ノート 210µA IOUT2 10kΩ AIN2(+) 1µF RLEAD Pt1000 RTD DIN 43760 CLASS A AD7793 P1 RLEAD AIN2(–) 10kΩ 210µA RFIN(+)/AIN3(+) 1µF GND 11821-003 5kΩ, 0.1% RFIN(–)/AIN3(–) 11821-004 図 3. Pt RTD の 2 線接続 (簡略図:接続とデカップリングはすべて省略) 配線抵抗誤差を抑制するもうひとつの方法は 3 線 RTD 構成で、 その詳細は回路ノート CN-0287 に示されています。 図 4. 評価用ソフトウェアのキャリブレーション設定画面 出力コーディング キャリブレーションには少なくとも 2 種類の緩衝液を使用す る必要があります。pH プローブとシステムによって生じるオ フセットを除去するには、pH 値 7 の中性 pH 緩衝液を使用し ます。中性緩衝液によって、キャリブレーションの最初の点を 設定します。もうひとつの緩衝液の pH は、測定対象液の pH に応じて決めます。塩基性溶液の測定には pH 10 の緩衝液を、 酸性溶液の測定には pH 4 の緩衝液を使用できます。さらに高 精度に測定する場合は、3 点キャリブレーションを行うことが できます。これには図 4 に示すように、ステップ 2 とステップ 3 で 2 組の異なる緩衝液のセットを使用します。この場合も、 pH 7 の溶液によってオフセットを除去します。 入力電圧に対する出力コードは、どのチャンネルでも次のとお りになります。 AIN × GAIN Code = 2 N –1 +1 V REF ここで、 AIN はアナログ入力電圧 GAIN は計装アンプのゲイン N = 24 EVAL-SDP-CB1Z システム評価ボードと PC が AD7793 からの データ出力を処理します。 デジタル信号と電源のアイソレーション ADuM5401 は、ADC デジタル信号の絶縁を行うほか、絶縁さ れた 3.3 V の安定化電源を回路に供給します。ADuM5401(VDD1) への入力は、3.0 V から 3.6 V の範囲とする必要があります。 EMI/RFI の問題を最小限に抑えるために、ADuM5401 のレイア ウトは慎重に行ってください。詳細については、アプリケー ション・ノート AN-1109「iCoupler デバイスでの放射制御に対 する推奨事項」を参照してください。 緩衝液は pH センサーのキャリブレーション用に市販されてい ます。キャリブレーションには、NIST の証明があるその他の pH リファレンスを使用することもできます。緩衝液にはさま ざまな種類があるため、図 4 に示すように希望の NIST 認定 pH リファレンスを使用してキャリブレーションを行うことがで きるように、ソフトウェアにはオプションが用意されています。 システム・キャリブレーション RTD の抵抗値を正確に測定するには、IOUT2 電流の±5%の変 動を考慮に入れる必要があります。AD7793 の AIN3(+)入力を 使用して、5 kΩ、0.1%の精密抵抗の電圧降下を測定します。こ の電圧を 5 kΩ で割ることによって、正確な IOUT2 電流を求め ます。さらに、RTD 電圧を正確な IOUT2 電流で割り、RTD の 抵抗を求めます。 このソフトウェアには他の RTD 抵抗値を使用できるオプショ ンもありますが、デフォルトでは 1000 Ω に設定されています。 EVAL-CN0326-PMDZ 評価用ソフトウェアの pH メーターの キャリブレーションには、図 4 に示す 2 点キャリブレーション 法を使用します。 Rev. 0 ソフトウェアには、NIST が推奨する緩衝液のリストが含まれ ています。リストに示されたそれぞれの緩衝液には 0°C から 95°C の固有の温度係数があり、これについては前述の「pH Theory and Practice」(Radiometer Analytical 社)に記載されて います。ソフトウェアはこの表を使用し、pH プローブからの mV 入力を RTD センサーの温度測定値に対応する正しい pH 値 に関連づけます。また、表のギャップは直線補間によって埋め ます。連続温度補償のためのオプションは、図 4 に示す緑のボ タンをクリックすることによって有効または無効にすること ができます。 -4/7 - CN-0326 回路ノート 6.6 × RMS Noise = 6.6 × 1.96 µV = 12.936 µV pH メーターの感度が 59 mV/pH の場合、その pH メーターで下 に示すノイズフリー分解能で pH レベルを測定できます。 12.936 μV / (59 mV/pH) = 0.000219 pH これに含まれるノイズ寄与分は AD7793 によるものだけです。 実際にこのシステムから得られる結果を次に示します。 テストのデータと結果 0.4 200MΩ 0.35 0.3 0.03 0.2 100MΩ 1MΩ 0.1 0.25 0.20 0 –0.1 0.15 –0.2 SIMULATED pH OUTPUT VOLTAGE 0.10 –0.3 0.05 –0.4 –0.5 14 0 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ADC OUTPUT pH READING (pH) すべてのデータの収集には、CN0326 評価用 LabVIEW ソフト ウェアを使用しました。また、横河 GS200 高精度電圧ソース を使用して pH センサーの入力をシミュレートしました。 図 6. pH センサー出力電圧のシミュレート値(および対応す る直線性誤差プロット)と ADC 出力 pH 値(プローブ 抵抗 1 MΩ、100 MΩ、200 MΩ のときの値) −420 mV から+420 mV までの高精度電圧を 1 mV 単位でスイー プすることにより、ユーザー定義キャリブレーション・オプ ションに従って EVAL-CN0326-PMDZ でデータを取得するこ とができました。 テスト・データは図 7 に示すボードを使用して収集しました。 このシステムに関する文書は、すべて CN-0326 設計支援パッ ケージに含まれています。 11821-007 入力 pH プローブの BNC コネクタを短絡して 1000 個のサンプ ルを集めることによって、実際のシステムの AD8603 バッファ および AD7793 のピーク to ピーク・ノイズを決定しました。図 5 のヒストグラムに示すように、コードの分布幅は約 500 コー ドです。これは 31.3 µV のピーク to ピーク・ノイズに相当し、 その等価 pH 値分布はピーク to ピークで 0.00053 pH です。 35 30 図 7. EVAL-CN0326-PMDZ ボード COUNTS 25 バリエーション回路 20 その他の適切な ADC として、AD7792 と AD7785 が使用でき ます。どちらのデバイスも AD7793 と同じ機能セットを提供し ます。ただし、AD7792 は 16 ビット ADC で、AD7785 は 20 ビッ ト ADC です。 15 10 AD8607 バッファ・アンプは 8 ピン MSOP パッケージを採用し ています。これはデュアル・マイクロパワー・レール to レール 入出力アンプで、AD8603 と同じファミリーです。 6FB900 6FB980 ADC CODE 6FBA00 6FBA58 11821-005 5 0 6FB864 こ れ と は 別 の ADuM5401 フ ァ ミ リ ー に は 、 ADuM5402/ ADuM5403/ADuM5404 などのさまざまなチャンネル構成があ り、やはり 4 つの独立したアイソレーション・チャンネルを提 供します。 図 5. 入力ピン短絡時の AD7793 の出力コード分布幅を示すヒ ストグラム 高インピーダンスのガラス電極のインピーダンスの違いをシ ミュレートするために、3 つの異なる抵抗を ADC 入力に直列 に接続してシステムのテストを実施しました。システムは 60 mV/pH にキャリブレーションされています。図 6 によれば、 直線性誤差は、ガラス電極インピーダンスのシミュレート値が 増加するに従って増加します。図 6 は、pH プローブのインピー ダンスが 200 MΩ の場合、シミュレートした pH 出力範囲全体 にわたって直線性誤差が 0.5%未満であることも示しています。 Rev. 0 LINEARITY ERROR (%) 出力データレートが 16.7 Hz でゲインが 1 の場合、AD7793 の RMS ノイズは 1.96 µV です(ノイズは AD7793 のデータシート に記載されている入力が基準)。ピーク to ピーク・ノイズは次 のとおりです。 0.40 0.5 11821-006 pH SENSOR SIMULATED OUTPUT VOLTAGE (mV) システム・ノイズの注意点 回路評価とテスト この回路は、EVAL-CN0326-PMDZ 回路ボード、EVAL-SDPCB1Z システム・デモンストレーション・プラットフォーム (SDP)評価用ボード、および SDP-PMD-IB1Z(EVAL-SDP-CB1Z 用の PMOD インターポーザ・ボード)を使用しています。SDP ボードと SDP-PMD-IB1Z ボードには 120 ピン・コネクタがあ り、設定と回路性能の評価を短時間で行うことができます。 SDP-PMD-IB1Z と SDP を使用して EVAL-CN0326-PMDZ ボー ドの評価を行うには、標準の 100 mil 間隔、25 mil×25 mil のラ イトアングル・ピンヘッダ・コネクタによって EVAL-CN0326PMDZ を SDP-PMD-IB1Z に接続します。 -5/7 - CN-0326 回路ノート 必要な装置 機能ブロック図 以下の装置が必要です。 テスト・セットアップの機能ブロック図を図 8 に示します。テ スト・セットアップは図に示すように接続してください。図 9 はソフトウェアのメイン画面のスクリーンショットです。 USB ポート付きの Windows XP および Windows Vista(32 ビット)、または Windows® 7(32 ビット)搭載 PC ® ® Pt1000 RTD EVAL-CN0326-PMDZ 回路評価用ボード EVAL-SDP-CB1Z 回路評価用ボード SDP-PMD-IB1Z SDP インターポーザ・ボード 1MΩ PRECISION VOLTAGE SOURCE 電源:6 V AC アダプタまたは同等品 横河 2000 高精度 DC 電源または同等品 PC SDP-PMD-IB1Z EVAL-SDP-CB1Z P1 EVAL-CN0326-PMDZ J1 11821-008 CN0326 評価用ソフトウェア 6V SUPPLY 図 8. pH センサーのテスト用セットアップのブロック図 測定の準備 CN-0326 評価用ソフトウェアのディスクを PC の CD ドライブ に挿入し、評価ソフトウェアをロードします。マイコンピュー タから評価用ソフトウェア CD があるドライブへ移動し、 Readme ファイルを開いてください。Readme ファイルの指示に 従って評価用ソフトウェアをインストールし、使用します。 セットアップ CN0326評価キットには、CDに書き込まれた自動インストー ル・ソフトウェアが含まれています。このソフトウェアは、 Windows® XP(SP2)およびVista(32ビット版と64ビット版) 上で実行できます。セットアップが自動的に開始されない場合 は、CDから直接setup.exeファイルを実行してください。 PCに接続したときに評価システムが正しく認識されるように、 評価用ソフトウェアをインストールしてから評価用ボードと SDPボードをPCのUSBポートに接続してください。 CD のインストールが完了したら、「電源設定」の説明に 従って SDP-PMD-IB1Z 評価用ボードの電源を入れます。 SDP ボードを SDP-PMD-IB1Z 評価用ボードに接続し(ど ちらかのコネクタ A を使用)、さらに付属のケーブルを 使って評価に使用する PC の USB ポートに接続します。 2. EVAL-CN0326-PMDZ のオスの 12 ピン・ライトアングル・ ピン・ヘッダを、SDP-PMD-IB1Z のメスの 12 ピン・ライ トアングル・ヘッダに接続します。 電源の設定 3. 図 9 に示すプログラムを実行する前に、BNC 端子の pH プ ローブと RTD センサーを EVAL-CN0326-PMDZ の端子 ジャックに接続します。 SDP-PMD-IB1Z には 6 V DC 電源を供給しなければなりません。 また、EVAL-CN0326-PMDZ に電源を供給するために、ジャン パ JP1 を 3.3 V に設定する必要があります。 4. すべての周辺装置と電源の接続が完了して電源を入れた ら、図 9 に示す GUI 上で Connect(接続)をクリックしま す。PC が評価システムを正常に検出すれば、図 9 に示す ソフトウェアを使用して EVAL-CN0326-PMDZ 回路ボー ドの評価を行うことができます。 Rev. 0 11821-009 1. 図 9. 評価用ソフトウェアのメイン画面 -6/7 - CN-0326 回路ノート テスト Kester, Walt. 1999. Temperature Sensors. Section 7. Analog Devices. センサー出力のシミュレーションには Agilent E3631A と横河 GS200 高精度電源、またはそれぞれの同等品を使用します。横 河の負端子は pH センサー用 ADC の負端子に接続します。正 端子は抵抗と直列にし、図 8 に示すように ADC の正端子に接 続します。横河の電源は±420 mV の電圧を生成し、この電圧で pH センサー出力をシミュレートします。次に、直列抵抗を変 化させ、図 8 に示す pH プローブのガラス電極のインピーダン スをシミュレートします。 Chen, Baoxing. 2006. iCoupler® Products with isoPower® Technology: Signal and Power Transfer Across Isolation Barrier Using Microtransformers. Analog Devices. Wayne, Scott. 2005. “iCoupler® Digital Isolators Protect RS-232, RS-485, and CAN Buses in Industrial, Instrumentation, and Computer Applications.” Analog Dialogue, Volume 39. Analog Devices (October). Application Note AN-1109:iCoupler デバイスでの放射制御に 対する推奨事項 CN-0326 評価用ソフトウェアを使用し、図 8 に示すセットアッ プにより EVAL-CN0326-PMDZ 回路ボードのデータを取得し ます。 pH Theory and Practice, Radiometer Analytical, SAS, Villeurbanne Cedex, France. ソフトウェア使用についての詳細は、 「CN-0326 ソフトウェア・ ユーザーガイド」に記載されています。 データシートと評価用ボード AD7793 データシート さらに詳しい資料 AD7793 評価用ボード CN-0326 Design Support Package: www.analog.com/CN0326-DesignSupport ADUM5401 データシート ADuM5401 評価用ボード MT-004 Tutorial:The Good, the Bad, and the Ugly Aspects of ADC Input Noise—Is No Noise Good Noise? Analog Devices. AD8603 データシート MT-022 Tutorial:ADC Architectures III: Sigma-Delta ADC Basics, Analog Devices. 改訂履歴 MT-023 Tutorial:ADC Architectures IV: Sigma-Delta ADC Advanced Concepts and Applications, Analog Devices. 9/13—Revision 0: 初版 MT-031 Tutorial:データ・コンバータのグラウンディング と、「AGND」および「DGND」に関する疑問の解消 MT-035 Tutorial:Op Amp Inputs, Outputs, Single-Supply, and Rail-to-Rail Issues. Analog Devices. MT-037 Tutorial:Op Amp Input Offset Voltage. MT-038 Tutorial:Op Amp Input Bias Current MT-040 Tutorial:Op Amp Input Impedance MT-095 Tutorial:EMI, RFI, and Shielding Concepts MT-101 Tutorial:Decoupling Techniques, Analog Devices Kester, Walt. 1999. High Impedance Sensors. Section 5. Analog Devices. 「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さま は製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のもとで の暗示的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを期して います。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかなる種類の 明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはその他の権利 の侵害に関して一切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、それを行う義務 はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。 ©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved. Rev. 0 商標および登録商標は各社の所有に属します。 -7/7 -