LT3470 ブーストおよび キャッチ・ダイオードを内蔵した マイクロパワー降圧レギュレータ 特長 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 概要 低消費電流:12VINから3.3VOUTへの変換で26μA 昇圧およびキャッチ・ダイオードを内蔵 入力範囲:4V∼40V 低い出力リップル:<10mV シャットダウン・モードで<1μA 出力電圧:1.25V~16V 出力電流:200mA ヒステリシス・モード制御 − 軽負荷での低リップル・Burst Mode動作 − より重負荷での連続動作 小さいソリューション・サイズ:50mm2 熱特性が改善された高さの低い (0.75mm)3mm×2mm 8ピンDDパッケージと1mm ThinSOTパッケージ アプリケーション LT®3470は、300mAパワースイッチ、 キャッチ・ダイオード、 ブー ストダイオードを高さの低い3mm 2mm DDおよびThinSOT™ パッケージに搭載したマイクロパワー降圧DC/DCコンバータ です。LT3470はBurst Mode動作と連続動作を組み合わせるこ とで、小型のインダクタやコンデンサを使用して最大200mAの 負荷に低リップル出力を供給できます。 LT3470は入力範囲が4V∼40Vと広いので、2セル・リチウムイ オン・バッテリから非安定化ACアダプタ・トランスや鉛蓄電池 に至る様々な電源を安定化できます。安定化時の消費電流は 標準アプリケーションでわずか26μA、ゼロ電流シャットダウ ン・モードでは負荷を入力ソースから切断するので、バッテリ 駆動システムでのパワーマネージメントを簡素化します。高速 電流制限とヒステリシス制御により、LT3470と外付け部品は 40V入力時でも短絡出力から保護されます。 L、LT、LTC、LTM、Linear TechnologyおよびLinearのロゴ、Burst Modeはリニアテクノロジー社 の登録商標です。ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。他の全ての商標はそれぞれの 所有者に所有権があります。 車載バッテリの安定化 ■ 携帯製品の電源 ■ 分配型電源の安定化 ■ 産業用電源 ■ ACアダプタ・ トランスの安定化 ■ 標準的応用例 効率および電力損失と負荷電流 90 VIN BOOST OFF ON SHDN 33µH SW BIAS 22pF 2.2µF VOUT 5V 200mA GND FB 604k 1% 200k 1% 22µF 70 100 60 50 10 40 POWER LOSS (mW) LT3470 1000 VIN = 12V 80 0.22µF EFFICIENCY (%) VIN 7V TO 40V 1 30 3470 TA01a 20 10 0.1 1 10 LOAD CURRENT (mA) 100 0.1 3470 TA02 3470fd 1 LT3470 絶対最大定格 (Note 1) VIN、SHDNの電圧 .................................................................40V BOOSTピンの電圧 ...............................................................47V SWピンを超えるBOOSTピンの電圧 ....................................25V FBの電圧 ................................................................................5V BIASの電圧 ..........................................................................25V SWの電圧 .............................................................................VIN 最大接合部温度 LT3470E、LT3470I .........................................................125°C LT3470H ........................................................................150°C 動作温度範囲(Note 2) LT3470E............................................................ −40°C~85°C LT3470I .......................................................... −40°C~125°C LT3470H ......................................................... −40°C~150°C 保存温度範囲.................................................... −65°C~150°C リード温度(半田付け、10秒)...........................................300°C ピン配置 TOP VIEW FB 1 BIAS 2 BOOST 3 SW 4 9 8 SHDN 7 NC 6 VIN 5 GND TOP VIEW SHDN 1 NC 2 VIN 3 GND 4 8 FB 7 BIAS 6 BOOST 5 SW TS8 PACKAGE 8-LEAD PLASTIC TSOT-23 θJA = 140°C/W DDB8 PACKAGE 8-LEAD (3mm × 2mm) PLASTIC DFN θJA = 180°C/W EXPOSED PAD (PIN 9) IS GROUND (MUST BE SOLDERED TO PCB_ 発注情報 鉛フリー仕様 テープアンドリール 製品マーキング パッケージ 温度範囲 LT3470EDDB#PBF LT3470EDDB#TRPBF LBPN 8-Lead (3mm × 2mm) Plastic DFN –40°C to 85°C LT3470IDDB#PBF LT3470IDDB#TRPBF LBPP 8-Lead (3mm × 2mm) Plastic DFN –40°C to 125°C LT3470HDDB#PBF LT3470HDDB#TRPBF LCNR 8-Lead (3mm × 2mm) Plastic DFN –40°C to 150°C LT3470ETS8#PBF LT3470ETS8#TRPBF LTBDM 8-Lead Plastic TSOT-23 –40°C to 85°C LT3470ITS8#PBF LT3470ITS8#TRPBF LTBPW 8-Lead Plastic TSOT-23 –40°C to 125°C LT3470HTS8#PBF LT3470HTS8#TRPBF LTCNQ 8-Lead Plastic TSOT-23 –40°C to 150°C 鉛ベース仕様 LT3470EDDB テープアンドリール LT3470EDDB#TR 製品マーキング LBPN パッケージ 8-Lead (3mm × 2mm) Plastic DFN 温度範囲 LT3470IDDB LT3470IDDB#TR LBPP 8-Lead (3mm × 2mm) Plastic DFN –40°C to 125°C LT3470HDDB LT3470HDDB#TR LCNR 8-Lead (3mm × 2mm) Plastic DFN –40°C to 150°C LT3470ETS8 LT3470ETS8#TR LTBDM 8-Lead Plastic TSOT-23 –40°C to 85°C LT3470ITS8 LT3470ITS8#TR LTBPW 8-Lead Plastic TSOT-23 –40°C to 125°C LT3470HTS8 LT3470HTS8#TR LTCNQ 8-Lead Plastic TSOT-23 –40°C to 150°C –40°C to 85°C さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 鉛フリー仕様の製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。 テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。 3470fd 2 LT3470 電気的特性 ●は全動作温度範囲の規格値を意味する。 それ以外はTA = 25 Cでの値。注記がない限り、VIN = 10V、VSHDN = 10V、VBOOST = 15V、VBIAS = 3V。 PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS 4 V Quiescent Current from VIN VSHDN = 0.2V VBIAS = 3V, Not Switching VBIAS = 0V, Not Switching ● 0.1 10 35 0.5 18 50 µA µA µA Quiescent Current from Bias VSHDN = 0.2V VBIAS = 3V, Not Switching VBIAS = 0V, Not Switching ● 0.1 25 0.1 0.5 60 1.5 µA µA µA FB Comparator Trip Voltage VFB Falling ● 1.250 1.265 V FB Pin Bias Current (Note 3) VFB = 1V, E and I-Grade ● 35 35 80 150 nA nA H-Grade ● 35 225 nA 0.0006 0.01 %/V Minimum Input Voltage FB Voltage Line Regulation ● 1.228 4V < VIN < 40V Minimum Switch Off-Time (Note 5) 500 Switch Leakage Current 0.7 1.5 µA 215 215 300 mV mV 325 435 mA Switch VCESAT ISW = 100mA (TS8 Package) ISW = 100mA (DD8 Package) Switch Top Current Limit VFB = 0V 250 ns Switch Bottom Current Limit VFB = 0V 225 Catch Schottky Drop ISH = 100mA (TS8 Package) ISH = 100mA (DD8 Package) 630 630 775 mV mV Catch Schottky Reverse Leakage VSW = 10V 0.2 2 µA Boost Schottky Drop ISH = 30mA 650 775 mV Boost Schottky Reverse Leakage VSW = 10V, VBIAS = 0V 0.2 2 µA 1.7 2.2 V Minimum Boost Voltage (Note 4) ● mA BOOST Pin Current ISW = 100mA 7 12 mA SHDN Pin Current VSHDN = 2.5V 1 5 µA SHDN Input Voltage High 2.5 SHDN Input Voltage Low Note 1:絶対最大定格に記載された値を超えるストレスはデバイスに永続的損傷を与える可 能性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、 デバイスの信頼性と寿命に悪影響 を与える可能性がある。 Note 2:LT3470Eは0°C~85°Cの温度範囲で性能仕様に適合することが保証されている。 −40°C~85°Cの動作温度範囲での仕様は設計、特性評価および統計学的なプロセス・コント ロールとの相関で確認されている。LT3470Iの仕様は−40°C~125°Cの温度範囲で保証されて いる。LT3470Hの仕様は−40°C~150°Cの温度範囲で保証されている。 V 0.2 V Note 3:バイアス電流はFBピンから流れ出す。 Note 4:これはスイッチを完全に飽和させるのに必要な、 昇圧コンデンサの両端の最小電圧で ある。 Note 5:このパラメータは設計および統計学的なプロセス・コントロールとの相関で確認され ている。 3470fd 3 LT3470 標準的性能特性 90 80 効率、VOUT = 3.3V 90 L = TOKO D52LC 47µH TA = 25°C VIN = 12V VIN = 7V 80 効率、VOUT = 5V VFBと温度 1.260 L = TOKO D52LC 47µH TA = 25°C VIN = 12V 60 50 70 VIN = 36V VIN = 24V VFB (V) EFFICIENCY (%) VIN = 36V VIN = 24V EFFICIENCY (%) 1.255 70 1.250 60 50 1.245 40 40 30 0.1 1 10 LOAD CURRENT (mA) 30 0.1 100 1 10 LOAD CURRENT (mA) 3470 G01 400 1.240 –50 100 3470 G02 トップ・スイッチおよびボトム・ スイッチの電流制限(VFB = 0V) と温度 50 30 150 100 30 20 10 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 15 10 5 0 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3470 G04 0 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3470 G06 3470 G05 FBのバイアス電流 (VFB = 1V) と SHDNのバイアス電流と温度 60 9 VSHDN = 36V 8 20 BIAS > 3V 50 0 –50 –25 温度 25 BIAS < 3V BIAS CURRENT (µA) VIN CURRENT (µA) CURRENT LIMIT (mA) 200 125 BIASの消費電流 (バイアス > 3V) と VINの消費電流と温度 40 300 100 3470 G03 350 250 75 0 25 50 TEMPERATURE (°C) –25 温度 50 6 FB CURRENT (nA) SHDN CURRENT (µA) 7 5 4 3 2 VSHDN = 2.5V 0 30 20 10 1 0 –50 –25 40 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3470 G07 0 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3470 G08 3470fd 4 LT3470 標準的性能特性 FBのバイアス電流 (VFB = 0V) と 300 80 60 40 20 0 0.6 200 150 100 0 –50 –25 60 0 700 CATCH BOOST 50 40 35 30 25 20 15 10 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 0 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3470 G12 14 500 400 300 200 0 0 100 200 300 SWITCH CURRENT (mA) BOOSTピンの電流 1.0 400 3470 G14 3470 G13 12 キャッチ・ダイオードの順方向電圧 0.8 10 8 6 4 0.6 0.4 0.2 2 0 スイッチのVCESAT 100 SCHOTTKY VF (V) 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 600 45 5 0 –50 –25 0 3470 G11 SWITCH VCESAT (mV) SCHOTTKY DIODE LEAKAGE (µA) 0.1 BOOST PIN CURRENT (mA) SCHOTTKY VF (V) 0.2 0 –50 –25 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) ダイオードの リーク電流(VR = 36V) と温度 55 0.3 0.3 3470 G10 キャッチ・ダイオードの と温度 V( F IF = 100mA) 0.4 0.4 0.1 3470 G09 0.5 0.5 0.2 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 0.6 ブーストダイオードの と温度 V( F IF = 50mA) 0.7 50 0 –50 –25 0.7 0.8 250 SWITCH VCESAT (mV) FB CURRENT (µA) 100 スイッチの (ISW = 100mA) と温度 VCESAT SCHOTTKY VF (V) 120 温度 0 100 200 300 SWITCH CURRENT (mA) 400 3470 G15 0 0 200 100 300 CATCH DIODE CURRENT (mA) 400 3470 G16 3470fd 5 LT3470 標準的性能特性 ブーストダイオードの順方向電圧 6.0 800 最小入力電圧、 VOUT = 5V TA = 25°C VIN TO START VIN TO START 7 INPUT VOLTAGE (V) SCHOTTKY VF (V) TA = 25°C 8 5.5 700 600 500 400 300 200 5.0 4.5 4.0 VIN TO RUN 6 VIN TO RUN 5 3.5 100 0 最小入力電圧、VOUT = 3.3V INPUT VOLTAGE (V) 900 0 100 50 150 BOOST DIODE CURRENT (mA) 200 3.0 0 50 100 150 LOAD CURRENT (mA) 3470 G17 200 3470 G18 4 0 100 150 50 LOAD CURRENT (mA) 200 3470 G19 ピン機能 (ThinSOT/DD) SHDN (ピン1/ピン8) :このピンを使ってLT3470をシャットダウ BOOST (ピン6/ピン3) :BOOSTピンは (入力電圧よりも高い) ド ン・モードにします。 グランドに接続するとLT3470はシャットダ ウンします。通常動作をさせるには2V以上の電圧を印加しま す。 シャットダウン機能を使用しない場合はVINに接続します。 ライブ電圧を内蔵バイポーラNPNパワースイッチに供給する のに使います。 NC (ピン2/ピン7) :このピンはフロートさせておくことも、VINに 接続することもできます。 と内部レギュレータに接続されています。VOUT > 2Vの場合、 VOUTに接続し、 それ以外の場合はVINに接続します。VBIAS > 3Vの場合、 BIASピンは内部レギュレータに電流を供給します。 VIN (ピン3/ピン6) :VINピンはLT3470の内部レギュレータおよ び内部パワースイッチに電流を供給します。 このピンはローカ ルにバイパスする必要があります。 GND (ピン4/ピン5) :GNDピンはLT3470および回路部品の下 のローカル・グランド・プレーンに接続します。帰還分割器から のリターンはこのピンに接続してください。 SW (ピン5/ピン4) :SWピンは内部パワースイッチの出力です。 BIAS(ピン7/ピン2):BIASピンは内部ショットキー・ダイオード FB (ピン8/ピン1) :LT3470はその帰還ピンを1.25Vに安定化し ます。帰還抵抗分割器のタップはこのピンに接続します。VOUT = 1.25V(1+R1/R2)、 つまりR1 = R2(VOUT/1.251) に従って 出力電圧を設定します。 露出パッド (DD、 ピン9) :グランド。 PCBに半田付けする必要が あります。 このピンは、 インダクタ、 キャッチ・ダイオード、 および昇圧コン デンサに接続します。 3470fd 6 LT3470 ブロック図 VIN VIN BIAS C1 + – BOOST 500ns ONE SHOT R Q′ S Q C3 SW – Burst Mode DETECT NC SHDN VREF 1.25V C2 gm GND FB R2 VOUT + ENABLE L1 R1 3470 BD 3470fd 7 LT3470 動作 LT3470にはBurst Mode動作とともにヒステリシス制御方式が 使われており、小型のインダクタやコンデンサを使いながら出 力リップルや消費電流を小さくすることができます。 「ブロック図」 を調べると動作をよく理解できます。 エラーアン プは、FBピンに接続された外付け抵抗分割器を介して、 出力 電圧を測定します。FBピンの電圧がVREFより高いと、 エラーア ンプはすべての高電力回路をシャットオフし、LT3470をマイク ロパワー状態にします。FBピンの電圧が下がると、 エラーアン プが電力回路をイネーブルするのでデバイスがスイッチングを 開始し、出力コンデンサを充電します。軽負荷の場合、 デバイ スはマイクロパワー状態とスイッチング状態のあいだで切り替 わり、 出力を安定状態に保ちます (図1aを参照)。負荷が大き い場合、 エラーアンプがトップとボトムの電流制限値をサーボ 制御する間デバイスは連続してスイッチングし、FBピンの電圧 (図1bを参照)。 を1.25Vに安定化します このスイッチング動作はRSラッチと2個の電流コンパレータに よって以下のように制御されます。 スイッチがオンし、 スイッチ を流れる電流がランプアップします。 ランプアップは、 トップ電 流コンパレータがトリップしてラッチをリセットし、 スイッチがオ フするまで続きます。 スイッチがオフしているあいだ、 インダクタ 電流はキャッチ・ダイオードによってランプダウンします。両方 のボトム電流コンパレータがトリップし、 ワンショットの最小オ フ時間が経過すると、 ラッチがスイッチを再度オンして、 フルサ イクルを完了します。 この制御方式ではヒステリシス動作を行 うので、 スイッチング周波数はインダクタの値、入力電圧および 出力電圧によって変動します。 スイッチはキャッチ・ダイオード の電流がスレッショルドを下回ったときだけオンするので、 デ バイスは自動的に低速でスイッチングして、起動時や短絡状 態でのインダクタ電流を抑制します。 スイッチ・ドライバは入力またはBOOSTピンのいずれかで動作 します。外付けのコンデンサと内蔵ダイオードを使って入力電 源より高い電圧をBOOSTピンに発生させます。 これにより、 ド ライバは内部バイポーラNPNパワースイッチを完全に飽和さ せ、高い効率で動作させることができます。 SHDNピンを接地するとすべての内部回路がオフし、VIN電流 はデバイスのリーク電流(標準で数nA) まで減少します。 200mA LOAD NO LOAD VOUT 20mV/DIV VOUT 20mV/DIV IL 100mA/DIV IL 100mA/DIV 1µs/DIV 1ms/DIV 150mA LOAD 10mA LOAD VOUT 20mV/DIV VOUT 20mV/DIV IL 100mA/DIV IL 100mA/DIV 5µs/DIV (1a) Burst Mode動作 3470 F01a 1µs/DIV 3470 F1b (1b) 連続動作 図1. 33μHのインダクタと10μFの出力コンデンサを使って12Vを5Vに変換するLT3470の動作波形 3470fd 8 LT3470 アプリケーション情報 入力電圧範囲 LT3470のアプリケーションで特定の出力電圧を発生させる のに必要な最小入力電圧は、4Vの低電圧ロックアウトまた は最大デューティ・サイクルのどちらかによって制限されます。 デューティ・サイクルは内部スイッチがオンしている時間の割 合であり、入力電圧と出力電圧によって決まります。 DC = VOUT + VD VIN – VSW + VD ここで、V D はキャッチ・ダイオードの順方向電圧降下(約 0.6V) で、V SWは最大負荷での内部スイッチの電圧降下(約 0.4V) です。 したがって、DCMAX = 0.90のとき、最小入力電圧 は次のようになります。 V + VD + VSW – VD VIN(MIN) = OUT DCMAX この分析では、BOOSTピンとSWピンのあいだに接続されたコ ンデンサが2V以上に充電されるようにデバイスが起動したと 仮定しています。正しく起動させるため、 「BOOSTピンに関する 検討事項」 で詳細に説明されているように、最小入力電圧は 昇圧回路によって制限されます。 最大入力電圧は、十分な値のインダクタが使用される場合、 VINの40Vの絶対最大定格によって制限されます。 インダクタの選択 LT3470の連続動作時のスイッチング動作によりSWピンに方 形波が発生し、 その結果、 インダクタに三角波の電流が発生し ます。 ヒステリシス・モード制御により、平均インダクタ電流が 負荷電流に等しくなるようにトップとボトムの電流制限値が制 御されます (「電気的特性」 を参照)。安全に動作させるため、 LT3470は約150nsに満たないとスイッチをオンさせることがで きないことに注意してください。 インダクタが小さく入力電圧が 高いと、 スイッチを流れる電流が (LT3470がオフ可能になる前 に)安全動作制限値を超えるおそれがあります。 これが起きな いようにするためのインダクタの最小値は次式により求められ ます。 LMIN = VIN(MAX) • tON-TIME(MIN) IMAX ここで、V I N ( M A X ) はアプリケーションの最 大 入力電 圧 、 tON-TIME(MIN)は約150ns、IMAXはスイッチの最小オン時間の あいだのスイッチ電流の最大許容増加量(150mA) です。 この 式から安全なインダクタ値が求められますが、 その結果得ら れるアプリケーション回路では、 スイッチング周波数が高すぎ て良い効率が得られない可能性があります。通常動作時のス イッチング周波数は1.2MHzより低くすることを推奨します。 f= (1– DC)( VD + VOUT ) L • ∆IL ここで、fはスイッチング周波数、ΔILはインダクタのリップル電 流(約150mA)、V Dはキャッチ・ダイオードの順方向電圧降 下、VOUTは所期の出力電圧です。 アプリケーション回路が高いデューティ・サイクルで動作する ことが意図されている場合(VINがVOUTに近い場合)、 スイッ チのオフ時間の計算値を確認しておくことが重要です。 tOFF-TIME = 1– DC f アプリケーション回路が全定格出力電流を供給できるよう に、tOFF-TIMEの計算値がLT3470の最小tOFF-TIME(「電気的 特性」 を参照) より大きくなるようにします。200mAの全出力電 流が必要なければ、t OFF-TIMEの計算値を最小tOFF-TIMEより 小さくすることができ、 より小さなインダクタを使用できる可能 性があります。 インダクタの値の選択のガイドラインとして表1 を参照してください。 表1. 200mAまでの負荷に対する推奨インダクタ VOUT VIN Up to 16V VIN Up to 40V 2.5V 10µH 33µH 3.3V 10µH 33µH 5V 15µH 33µH 12V 33µH 47µH 電源アプリケーション用のインダクタを選択してください。 イン ダクタの製造元および製品シリーズのリストを表2に示します。 高いVIN(最大40V) で堅牢な出力短絡保護を実現するには、 最小飽和電流が450mAの少なくとも33μHのインダクタを使用 します。 短絡に対する性能が要求されなければ、 ISATが300mA 以上のインダクタを使用することができます。 高い温度ではイン ダクタの飽和電流が減少することに注意してください (詳細に ついては、 インダクタの製造販売元に問い合わせてください) 。 3470fd 9 LT3470 アプリケーション情報 表2. インダクタの製造販売元 VENDOR URL PART SERIES INDUCTANCE RANGE (µH) SIZE (mm) Coilcraft www.coilcraft.com DO1605 ME3220 DO3314 10 to 47 10 to 47 10 to 47 1.8 × 5.4 × 4.2 2.0 × 3.2 × 2.5 1.4 × 3.3 × 3.3 Sumida www.sumida.com CR32 CDRH3D16/HP CDRH3D28 CDRH2D18/HP 10 to 47 10 to 33 10 to 47 10 to 15 3.0 × 3.8 × 4.1 1.8 × 4.0 × 4.0 3.0 × 4.0 × 4.0 2.0 × 3.2 × 3.2 Toko www.tokoam.com DB320C D52LC 10 to 27 10 to 47 2.0 × 3.8 × 3.8 2.0 × 5.0 × 5.0 Würth Elektronik www.we-online.com WE-PD2 Typ S WE-TPC Typ S 10 to 47 10 to 22 3.2 × 4.0 × 4.5 1.6 × 3.8 × 3.8 Coiltronics www.cooperet.com SD10 10 to 47 1.0 × 5.0 × 5.0 Murata www.murata.com LQH43C LQH32C 10 to 47 10 to 15 2.6 × 3.2 × 4.5 1.6 × 2.5 × 3.2 入力コンデンサ 降圧レギュレータには入力電源から立上りと立下りが非常に 高速なパルス電流が流れます。 その結果LT3470のVINピンに 生じる電圧リップルを減らすため、 またこのスイッチング電流を 狭いローカル・ループに閉じ込めてEMIを最小限に抑えるた めに入力コンデンサが必要です。 これを効果的に実現するに は、入力コンデンサのスイッチング周波数でのインピーダンス が小さくなければなりません。1μF∼2.2μFのセラミック・コンデ ンサはこれらの要件を満たします。 入力電源のインピーダンスが大きい場合、入力リップルを低 く抑えるためもっと大きな値のコンデンサが必要になる可能 性があります。 この場合、10μF以上の電解コンデンサと1μFの セラミック・コンデンサを並列に組み合わせるのが適切です。 LT3470の回路が低インピーダンスの電源に接続されると入 力コンデンサに大きなサージ電流が流れること、 また、電解コ ンデンサによっては (特にタンタル・コンデンサ) このような使 い方が規定されているものでなければならないことに注意して ください。 出力コンデンサと出力リップル 出力コンデンサはインダクタのリップル電流をフィルタ処理し、 エネルギーを蓄えてLT3470が静止状態のとき負荷電流を供 給します。出力電圧リップルを小さく抑えるため、 このコンデ ンサのインピーダンスはLT3470のスイッチング周波数のとこ ろで小さくなければなりません。 コンデンサの等価直列抵抗 (ESR) により、 このインピーダンスが決まります。 スイッチング・ レギュレータ用の低ESRのものを選択します。ESRによって出 力電圧リップルに反映される値はおよそILIM • ESRです。ESR は約150mΩより小さくなければなりません。 出力コンデンサの 値は、 出力電圧を大きく変化させずにインダクタに蓄えられた エネルギーを受け入れるのに十分なだけ大きくなければなり ません。 この電圧ステップを出力電圧の1%に等しく設定する と、 出力コンデンサは次の条件を満たす必要があります。 I COUT > 50 • L • LIM V OUT 2 ここで、ILIMはVFB = 0Vでのトップ電流制限値です (「電気的 特性」 を参照)。 たとえば、L = 33μHを使って3.3Vを発生する LT3470には22μFが必要です。 出力リップルを減らすより回路 のサイズを小さくする方が重要な場合、 この計算値を低減す ることができます。 Bケース・サイズの三洋電機のPOSCAPシリーズは、LT3470に 十分な性能を小型パッケージで提供します。 同様の性能を従 来のタンタル・コンデンサで得るには大きなパッケージ (Cケー ス)のものが必要です。 インダクタからのリップル電流を高品 質のコンデンサでフィルタ処理する場合、 出力電圧リップルは LT3470の帰還コンパレータの遅延によって決まります。 この リップルは出力と帰還ピンのあいだに小さな (標準22pF)位相 リード・コンデンサを追加してさらに減らすことができます。 3470fd 10 LT3470 アプリケーション情報 セラミック・コンデンサ セラミック・コンデンサは小さく堅牢で、ESRが非常に小さな 値になります。ただし、セラミック・コンデンサはLT3470に使 用すると問題を生じることがあります。 すべてのセラミック・コ ンデンサが適しているわけではありません。X5RとX7Rのタイ プは全温度範囲と印加電圧で安定しており、安心して使えま す。Y5VやZ5Uなど他のタイプは容量の温度係数と電圧係数 が非常に大きくなります。 アプリケーション回路ではそれらの 容量が公称値のわずか数分の一になることがあるため、電圧 リップルが予想値よりもはるかに大きくなることがあります。 セラミック・コンデンサには圧電特性があります。LT3470のス イッチング周波数は負荷電流によって変動するので、軽負荷 ではLT3470はセラミック・コンデンサを可聴周波数で励起し、 可聴ノイズを発生することがあります。LT3470はBurst Mode動 作では小さい電流制限値で動作するので、通常、普通に聴い ただけではノイズはほんのわずかです。 この可聴ノイズを許容 できない場合、高性能電解コンデンサを出力に使用します。入 力コンデンサは2.2μFのセラミック・コンデンサと低コストの電 解コンデンサを並列に組み合わせることができます。 BOOSTピンとBIASピンに関する検討事項 入力電圧より高い昇圧電圧を発生させるため、 コンデンサC3 と内部ショットキー・ダイオード (「ブロック図」 を参照)が使わ れています。 ほとんどの場合、0.22μFのコンデンサで良好に動 作します。昇圧回路の2つの構成方法を図2に示します。最高の 効率を得るには、BOOSTピンはSWピンより2.5V以上高くなけ ればなりません。3.3V以上の出力の場合、標準回路(図2a)が 最適です。2.5V∼3Vの出力には、0.47μFを使います。 さらに低 い出力電圧の場合、 ブーストダイオードは入力に接続すること ができます (図2b)。電圧の低い方の電圧源からBOOSTピン の電流とBIASピンの消費電流が供給されるので、図2aの回路 の方が効率が高くなります。BOOSTピンとBIASピンの最大電 圧定格を超えないようにすることも必要です。 セラミック・コンデンサに関する最後の注意点はLT3470の最 大入力電圧定格に関係します。入力のセラミック・コンデンサ はトレースやケーブルのインダクタンスと結合して質の良い (減衰しにくい) タンク回路を形成します。LT3470の回路を通 電中の電源に差し込むと、入力電圧に公称値の2倍のリンギ ングが生じて、LT3470の定格を超えるおそれがあります。 この 状況は容易に避けられます。 「安全な活線挿入」 を参照してく ださい。 VIN VIN BOOST C3 0.22µF LT3470 VOUT SW BIAS GND VBOOST – VSW ≅ VOUT MAX VBOOST ≅ VIN + VOUT (2a) VIN VIN BOOST C3 0.22µF LT3470 BIAS VOUT SW GND 3470 F02 VBOOST – VSW ≅ VIN MAX VBOOST ≅ 2VIN (2b) 図2. 昇圧電圧を発生させる2つの回路 表3. コンデンサの製造販売元 Vendor Phone URL Part Series Comments Panasonic (714) 373-7366 www.panasonic.com Ceramic, Polymer, Tantalum EEF Series Kemet (864) 963-6300 www.kemet.com Ceramic, Tantalum T494, T495 Sanyo (408) 749-9714 www.sanyovideo.com Ceramic, Polymer, Tantalum POSCAP Murata (404) 436-1300 AVX Taiyo Yuden (864) 963-6300 www.murata.com Ceramic www.avxcorp.com Ceramic, Tantalum www.taiyo-yuden.com Ceramic TPS Series 3470fd 11 LT3470 アプリケーション情報 LT3470のアプリケーションの最小動作電圧は、前のセクショ ンで説明されているように低電圧ロックアウト (4V) と最大 デューティ・サイクルによって制限されます。正しく起動するた めに、最小入力電圧は昇圧回路によっても制限されます。入 力電圧がゆっくりランプアップするか、 出力が既に安定化して いる状態でSHDNピンを使ってLT3470をオンする場合、昇圧 コンデンサが十分充電されないことがあります。図3のプロット は起動時と動作時の最小VINを示しています。軽負荷ではイ ンダクタ電流は不連続になり、実効デューティ・サイクルが非 VOUT = 3.3V 最小入力電圧、 6.0 TA = 25°C VIN TO START INPUT VOLTAGE (V) 5.5 5.0 4.5 4.0 VIN TO RUN 3.5 3.0 0 50 100 150 LOAD CURRENT (mA) 200 3470 G18 最小入力電圧、VOUT = 5V 8 常に高くなることがあります。 このため最小入力電圧がVOUTよ り約300mV高い電圧にまで低下します。 もっと大きな負荷電 流ではインダクタ電流は連続しており、 デューティ・サイクルは LT3470の最大デューティ・サイクルによって制限されるので、 安定化を維持するにはもっと高い入力電圧が必要です。 短絡入力保護 トップ・スイッチの最大電流制限値の450mAで過度に飽和し ないようにインダクタを選択すると、 たとえVIN = 40Vであって もLT3470降圧レギュレータは出力の短絡に耐えます。LT3470 に入力が印加されていないときに出力が高く保たれるシステ ムで考慮すべき別の状況があります。 それはバッテリ充電アプ リケーション、 またはバッテリや他の電源がLT3470の出力とダ イオードOR接続されているバッテリ・バックアップ・システムで 発生することがあります。VINピンがフロート状態で、SHDNピ ンが(ロジック信号によって、 あるいはVINに接続されているた め) H に保たれていると、SWピンを通してLT3470の内部回 路に静止時消費電流が流れます。 この状態で数mAの電流を 許容できるシステムであればこれは問題ありません。SHDNピ ンを接地すると、SWピンの電流は実質的にゼロまで減少しま す。 ただし、 出力を高く保った状態でVINピンを接地すると、 出 力からSWピンとVINピンを通ってLT3470内部の寄生ダイオー ドに大きな電流が流れる可能性があります。入力電圧が印加 されているときだけ動作し、短絡入力や逆入力に対して保護 する回路を図4に示します。 TA = 25°C VIN TO START D1 VIN INPUT VOLTAGE (V) 7 VIN 100k 6 BOOST LT3470 SOT-23 SHDN BIAS 1M 5 GND 4 0 100 150 50 LOAD CURRENT (mA) VOUT SW VIN TO RUN 200 3470 G19 図3. 最小入力電圧は出力電圧、 負荷電流 および昇圧回路によって異なる FB BACKUP 3470 F04 図4. ダイオードD1は出力に接続されたバックアップ用バッテリが 短絡された入力によって放電するのを防ぐ。逆入力に対しても回路 を保護する。LT3470は入力が印加されているときだけ動作し、安全 に活線挿入できる 3470fd 12 LT3470 アプリケーション情報 PCBのレイアウト 動作を最適化し、EMIを最小限に抑えるには、 プリント回路基 板のレイアウト時に注意が必要です。大きなスイッチング電流 がパワースイッチ、 内部キャッチ・ダイオードおよび入力コンデ ンサを流れることに注意してください。 これらの部品が形成す るループはできるだけ小さくします。 さらに、 システム・グランド をレギュレータのグランドに1点接続します。 こうするとスイッ チング電流によってシステム・グランドにノイズが注入される のを防ぎます。 これらの部品とインダクタおよび出力コンデン サは回路基板の同じ側に配置し、 それらはその層で接続しま す。 これらの部品の下には切れ目のないローカル・グランド・プ レーンを配置し、 このグランド・プレーンをシステム・グランド に (理想的には出力コンデンサC2のグランド端子に)1点接続 します。 さらに、SWノードとBOOSTノードはできるだけ小さく します。 シールドされていないインダクタは帰還パスにノイズを 誘起するので、動作が不安定になり、 出力リップルが増加する ことがあります。 この問題を避けるには、 (図5に示されているよ うに) ビアを使ってVOUTのトレースをグランド・プレーンの下 で帰還分割器まで配線します。最後に、 グランド・ピンとグラン ド・トレースがFBノードをSWノードとBOOSTノードからシー ルドするようにFBノードをできるだけ小さくします。部品配置 とトレース、 グランド・プレーンおよびビアの位置を図5に示し ます。LT3470のGNDピン (またはパッド) の近くにビアを置き、 LT3470からの熱がグランド・プレーンに放散しやすくします。 SHDN VIN SHDN VIN C1 GND GND C2 帰還分割器へのビア ローカル・グランド・プレーンへのビア ローカル・グランド・プレーンの外形 VOUT VOUT 3470 F05 (5a) (5b) 図5. すぐれたPCBレイアウトによる適切な低EMI動作の保証 3470fd 13 LT3470 アプリケーション情報 安全な活線挿入 セラミック・コンデンサは小型で、堅牢で低インピーダンスな ので、LT3470の回路の入力バイパス・コンデンサに最適です。 ただし、LT3470が通電中の電源に挿入されると、 これらのコン デンサが問題を生じることがあります (詳細については弊社の 「アプリケーションノート88」 を参照)。低損失のセラミック・コ ンデンサは電源に直列の浮遊インダクタンスと結合して減衰 の小さなタンク回路を形成し、LT3470のVINピンの電圧に公 称入力電圧の2倍に達するリンギングを生じる可能性があり、 LT3470の定格を超えてデバイスを傷めるおそれがあります。 入力電源の制御が十分でなかったり、 ユーザーがLT3470を 通電中の電源に差し込んだりする場合、 このようなオーバー シュートを防ぐように入力ネットワークを設計する必要があり ます。LT3470の回路が24Vの電源に6フィートの24番ゲージの より対線で接続される場合に生じる波形を図6に示します。最 初のプロットは入力に2.2μFのセラミック・コンデンサを使った 場合の応答です。入力電圧は35Vに達するリンギングを生じ、 入力電圧のピークは20Aに達します。 タンク回路を減衰させる 1つの方法として、直列抵抗とともにコンデンサをもう1個回路 に追加します。図6bではアルミ電解コンデンサが追加されてい ます。 このコンデンサは等価直列抵抗が大きいので回路の過 渡応答が減衰し、電圧オーバーシュートが抑えられます。 コン デンサの追加により低周波リップルのフィルタ機能が改善さ れ、 回路の効率がわずかに向上しますが、 このコンデンサは回 路内で最大の部品となる可能性があります。代替ソリューショ ンを図6cに示します。電圧オーバーシュートを抑えるため、1Ω 抵抗が入力に直列に追加されています (ピーク入力電流も減 少します)。0.1μFのコンデンサにより高周波フィルタ機能が改 善されています。 このソリューションは電解コンデンサの場合 よりもサイズが小さく安価です。高い入力電圧の場合、効率に 与える影響は小さく、24V電源で動作しているとき最大負荷の 5V出力の効率低下は0.5%以下です。 高温に関する検討事項 LT3470のダイの接合部温度は125 Cの最大定格(Hグレード では150 C) より低くなければなりません。 これは、 周囲温度が 85 Cを超えないかぎり通常は問題になりません。 もっと高い 温度では、回路のレイアウトに注意してLT3470に十分な放熱 を確保します。最大負荷電流は周囲温度が最大接合部温度 定格に近づくにつれディレーティングする必要があります。 ダ イ温度はLT3470の電力損失に接合部から周囲までの熱抵 抗を掛けて計算します。LT3470内部の電力損失は効率測定 から総電力損失を計算して推測することができます。熱抵抗 は回路基板のレイアウトとパッケージの選択によって異なりま す。露出パッド付きのDDパッケージの熱抵抗は約80 C/Wで、 ThinSOTパッケージでは約150 C/Wです。最後に、高い周囲 温度では内部ショットキー・ダイオードのリーク電流が非常に 大きくなり (「標準的性能特性」 を参照)、LT3470コンバータの 消費電流が増加するので注意してください。 3470fd 14 LT3470 アプリケーション情報 スイッチを閉じて 活線挿入をシミュレートする IIN VIN + 通電中の 低インピーダンスの 24V電源 LT3470 VIN 10V/DIV 2.2µF IIN 10A/DIV 6フィート(約2m)の より対線による 浮遊インダクタンス 10µs/DIV (6a) 10µF 35V AI.EI. LT3470 + 2.2µF (6b) 1Ω 0.1µF LT3470 2.2µF 3470 F06 (6c) 図6. 入力ネットワークを正しく選択すると、通電中の電源にLT3470を接続したとき 入力電圧のオーバーシュートを防ぎ、信頼性の高い動作を保証する 3470fd 15 LT3470 標準的応用例 3.3V降圧コンバータ VIN 5.5V TO 40V VIN BOOST LT3470 OFF ON SHDN 5V降圧コンバータ VIN R1 324k 22pF FB GND OFF ON SHDN C3 0.22µF, 6.3V L1 33µH 22pF C1 1µF FB GND C1: TDK C3216JB1H105M C2: CE JMK316 BJ226ML-T L1: TOKO A914BYW-330M=P3 2.5V降圧コンバータ VIN 4.7V TO 40V BOOST LT3470 SHDN 1.8V降圧コンバータ VIN 4V TO 23V C3 0.47µF, 6.3V L1 33µH VIN GND FB OFF ON SHDN C1 1µF C2 22µF R2 200k C3 0.22µF, 25V L1 22µH SW BIAS R1 200k 22pF BOOST LT3470 VOUT 2.5V 200mA SW BIAS C1 1µF C2 22µF 3470 TA04 C1: TDK C3216JB1H105M C2: CE JMK316 BJ226ML-T L1: TOKO A993AS-270M=P3 OFF ON R1 604k R2 200k 3470 TA03 VIN VOUT 5V 200mA SW BIAS C2 22µF R2 200k BOOST LT3470 VOUT 3.3V 200mA SW BIAS C1 1µF VIN 7V TO 40V C3 0.22µF, 6.3V L1 33µH 22pF GND FB 3470 TA07 R1 147k R2 332k VOUT 1.8V 200mA C2 22µF 3470 TA05 C1: TDK C3216JB1H105M C2: TDK C2012JB0J226M L1: MURATA LQH32CN150K53 C1: TDK C3216JB1H105M C2: TDK C2012JB0J226M L1: SUMIDA CDRH3D28 12V降圧コンバータ VIN 15V TO 34V VIN BOOST LT3470 OFF ON SHDN C3 0.22µF, 16V L1 33µH BIAS C1 1µF VOUT 12V 200mA SW 22pF GND FB R1 866k R2 100k C2 10µF 3470 TA06 C1: TDK C3216JB1H105M C2: TDK C3216JB1C106M L1: MURATA LQH32CN150K53 3470fd 16 LT3470 パッケージ 最新のパッケージ図面については、http://www.linear-tech.co.jp/designtools/packaging/ をご覧ください。 TS8パッケージ 8ピン・プラスチックTSOT-23 (Reference LTC DWG # 05-08-1637 Rev A) 0.40 MAX 2.90 BSC (NOTE 4) 0.65 REF 1.22 REF 1.4 MIN 3.85 MAX 2.62 REF 2.80 BSC 1.50 – 1.75 (NOTE 4) PIN ONE ID IPC CALCULATORを使った 推奨半田パッド・レイアウト 0.22 – 0.36 8 PLCS (NOTE 3) 0.65 BSC 0.80 – 0.90 0.20 BSC 0.01 – 0.10 1.00 MAX DATUM ‘A’ 0.30 – 0.50 REF NOTE: 1. 寸法はミリメートル 2. 図は実寸とは異なる 3. 寸法にはメッキを含む 4. 寸法にはモールドのバリやメタルのバリを含まない 5. モールドのバリは0.254mmを超えてはならない 6. JEDECパッケージ参照番号はMO-193 0.09 – 0.20 (NOTE 3) 1.95 BSC TS8 TSOT-23 0710 REV A 3470fd 17 LT3470 パッケージ 最新のパッケージ図面については、http://www.linear-tech.co.jp/designtools/packaging/ をご覧ください。 DDBパッケージ 8ピン・プラスチックDFN (3mm 2mm) (Reference LTC DWG # 05-08-1702 Rev B) 0.61 ±0.05 (2 SIDES) 3.00 ±0.10 (2 SIDES) R = 0.05 TYP 0.70 ±0.05 2.55 ±0.05 1.15 ±0.05 パッケージ の外形 0.25 ± 0.05 ピン1バーの トップ・マーキング (NOTE 6を参照) 0.50 BSC 2.20 ±0.05 (2 SIDES) 推奨する半田パッドのピッチと寸法 0.200 REF R = 0.115 TYP 5 0.40 ± 0.10 8 2.00 ±0.10 (2 SIDES) 0.56 ± 0.05 (2 SIDES) 0.75 ±0.05 0 – 0.05 4 0.25 ± 0.05 1 ピン1 R = 0.20または 0.25 45 の 面取り (DDB8) DFN 0905 REV B 0.50 BSC 2.15 ±0.05 (2 SIDES) 底面図̶露出パッド NOTE: 1. 図はJEDECパッケージ外形MO-229のバージョン (WECD-1) に適合 2. 図は実寸とは異なる 3. すべての寸法はミリメートル 4. パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。 モールドのバリは(もしあれば)各サイドで0.15mmを超えないこと 5. 露出パッドは半田メッキとする 6. 網掛けの部分はパッケージの上面と底面のピン1の位置の参考に過ぎない 3470fd 18 LT3470 改訂履歴 (改訂履歴はRev Dから開始) REV D 日付 概要 09/11 「発注情報」 セクションの、鉛ベース仕様のテープアンドリールの製品名を修正 ページ番号 2 3470fd リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負い ません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまでも参考資 料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。 19 LT3470 関連製品 製品番号 LT1616 説明 25V、500mA (IOUT)、1.4MHz高効率降圧 DC/DCコンバータ 注釈 LT1676 60V、440mA (IOUT)、100kHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:7.4V∼60V、VOUT = 1.24V、IQ = 3.2mA、ISD = 2.5μA、 S8パッケージ LT1765 25V、2.75A (IOUT)、1.25MHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:3V∼25V、VOUT = 1.2V、IQ = 1mA、ISD = 15μA、 S8およびTSSOP16Eパッケージ LT1766 60V、1.2A (IOUT)、200kHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:5.5V∼60V、VOUT = 1.2V、IQ = 2.5mA、ISD = 25μA、 TSSOP16/Eパッケージ LT1767 25V、1.2A (IOUT)、1.25MHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:3V∼25V、VOUT = 1.2V、IQ = 1mA、ISD = 6μA、 MS8/Eパッケージ LT1776 40V、550mA (IOUT)、200kHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:7.4V∼40V、VOUT = 1.24V、IQ = 3.2mA、ISD = 30μA、 N8およびS8パッケージ LTC®1877 600mA (IOUT)、550kHz同期整流式降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.7V∼10V、VOUT = 0.8V、IQ = 10μA、ISD = < 1μA、 MS8パッケージ LTC1879 1.2A (IOUT)、550kHz同期整流式降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.7V∼10V、VOUT = 0.8V、IQ = 15μA、ISD = < 1μA、 TSSOP16パッケージ LT1933 36V、600mA、500kHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:3.6V∼36V、VOUT = 1.25V、IQ = 2.5μA、ISD = < 1μA、 ThinSOTおよびDFNパッケージ LT1934 34V、250mA (IOUT)、 マイクロパワー降圧 DC/DCコンバータ VIN:3.2V∼34V、VOUT = 1.25V、IQ = 12μA、ISD = < 1μA、 ThinSOTおよびDFNパッケージ LT1956 60V、1.2A (IOUT)、500kHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:5.5V∼60V、VOUT = 1.2V、IQ = 2.5mA、ISD = 25μA、 TSSOP16/Eパッケージ LTC3405/LTC3405A 300mA (IOUT)、1.5MHz同期整流式降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.7V∼6V、VOUT = 0.8V、IQ = 20μA、ISD = < 1μA、 ThinSOTパッケージ LTC3406/LTC3406B 600mA (IOUT)、1.5MHz同期整流式降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.5V∼5.5V、VOUT = 0.6V、IQ = 20μA、ISD = < 1μA、 ThinSOTパッケージ LTC3411 1.25A (IOUT)、4MHz同期整流式降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.5V∼5.5V、VOUT = 0.8V、IQ = 60μA、ISD = < 1μA、 MSパッケージ LTC3412 2.5A (IOUT)、4MHz同期整流式降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.5V∼5.5V、VOUT = 0.8V、IQ = 60μA、ISD = < 1μA、 TSSOP16Eパッケージ LTC3430 60V、2.75A (IOUT)、200kHz高効率降圧 DC/DCコンバータ VIN:5.5V∼60V、VOUT = 1.2V、IQ = 2.5mA、ISD = 30μA、 TSSOP16Eパッケージ VIN:3.6V∼25V、VOUT = 1.25V、IQ = 1.9mA、ISD = < 1μA、 ThinSOTパッケージ 3470fd 20 リニアテクノロジー株式会社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F TEL 03-5226-7291 FAX 03-5226-0268 www.linear-tech.co.jp ● ● LT 0911 REV D • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2004