LT3493 - 2mm × 3mm DFNの1.2A、750kHz降圧スイッチング

LT3493
2mm
3mm DFNの
1.2A、750kHz
降圧スイッチング・レギュレータ
特長
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
概要
広い入力範囲:3.6V∼36V動作、
最大40V
出力電流:1.2A
固定周波数動作:750kHz
出力は最小780mVまで調節可能
短絡耐性
小型のコンデンサとインダクタを使用
ソフトスタート
内部補償
低いシャットダウン電流:<2µA
低VCESATスイッチ:330mV/1A
熱特性が改善された高さの低いDFNパッケージ
LT ® 3493は電流モードPWM降圧DC/DCコンバータで、
1.75Aのパワー・スイッチを内蔵しています。動作入力範
囲が3.6V∼36V(最大40V)と広いので、安定化されていな
いACアダプタ・トランス、24V産業用電源、車載バッテリ
などの広範な電源を安定化するのに適しています。動作
周波数が高いので、小型で低コストのインダクタやセラ
ミック・コンデンサを使用することができ、出力リップル
が小さくなり、予測しやすくなります。
サイクルごとに電流が制限されるので出力の短絡に対し
て保護します。また、ソフトスタートにより起動時の入力
電流サージが抑えられます。低電流(<2µA)シャットダウ
ン・モードにより出力が切断されるので、バッテリ駆動型
システムの電源管理を簡素化することができます。
アプリケーション
■
■
■
■
■
車載バッテリ・レギュレーション
産業用制御装置の電源
ACアダプタ・トランスの安定化
分配型電源の安定化
バッテリ駆動機器
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。
他のすべての商標はそれぞれの所有者に所有権があります。
標準的応用例
効率
3.3V降圧コンバータ
90
ON OFF
VIN
VOUT
3.3V
1.2A, VIN > 12V
0.95A, VIN > 5V
BOOST
0.1µF 10µH
LT3493
SW
SHDN
32.4k
GND
1µF
FB
22pF
10µF
10k
85
80
EFFICIENCY (%)
VIN
4.2V TO 36V
75
70
65
60
VIN = 12V
VOUT = 3.3V
L = 10µH
3493 TA01a
55
50
0
0.2
0.8
0.4
0.6
LOAD CURRENT (A)
1.0
1.2
3493 TA01b
3493f
1
LT3493
絶対最大定格
パッケージ/発注情報
(Note 1)
入力電圧 (VIN) ..................................................................... 40V
BOOSTピン電圧 .................................................................. 50V
SWピンを超えるBOOSTピン電圧..................................... 25V
SHDNピン ............................................................................ 40V
FB電圧.................................................................................... 6V
動作温度範囲 (Note 2)
LT3493E ............................................................­40℃∼85℃
LT3493I ...........................................................­40℃∼125℃
最大接合部温度.............................................................. 125℃
保存温度範囲....................................................­65℃∼150℃
TOP VIEW
6 SHDN
FB 1
7
GND 2
5 VIN
4 SW
BOOST 3
DCB PACKAGE
6-LEAD (2mm × 3mm) PLASTIC DFN
TJMAX = 125°C, θJA = 64°C/ W
EXPOSED PAD (PIN 7) IS GND, MUST BE SOLDERED TO PCB
DCB PART MARKING
ORDER PART NUMBER
LT3493EDCB
LT3493IDCB
LCGG
LCGH
Order Options Tape and Reel: Add #TR Lead Free: Add #PBF
Lead Free Tape and Reel: Add #TRPBF
Lead Free Part Marking: http://www.linear.com/leadfree/
より広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社へお問い合わせください。
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。
それ以外はTA=25℃での値。
注記がない限り、
VIN = 12V、
VBOOST = 17V。
(Note 2)
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
VIN Operating Range
TYP
3.6
Undervoltage Lockout
Feedback Voltage
●
FB Pin Bias Current
VFB = Measured VREF + 10mV (Note 4)
Quiescent Current
Not Switching
Quiescent Current in Shutdown
Reference Line Regulation
Switching Frequency
VFB = 0.7V
MAX
36
UNITS
V
3.1
3.4
3.6
V
765
780
795
mV
50
150
nA
1.9
2.5
mA
VSHDN = 0V
0.01
2
VIN = 5V to 36V
0.007
●
685
VFB = 0V
Maximum Duty Cycle
●
TA = 25°C
750
µA
%/V
815
kHz
36
kHz
88
95
%
91
95
%
3493f
2
LT3493
電気的特性
●は全動作温度範囲の規格値を意味する。
それ以外はTA=25℃での値。
注記がない限り、
VIN = 12V、
VBOOST = 17V。
(Note 2)
PARAMETER
Switch Current Limit
CONDITIONS
(Note 3)
MIN
1.4
TYP
1.75
Switch VCESAT
ISW = 1A
330
2
µA
Minimum Boost Voltage Above Switch
ISW = 1A
1.85
2.2
V
BOOST Pin Current
ISW = 1A
30
50
mA
Switch Leakage Current
SHDN Input Voltage High
MAX
2.2
UNITS
A
mV
2.3
V
SHDN Input Voltage Low
SHDN Bias Current
VSHDN = 2.3V (Note 5)
VSHDN = 0V
Note 1: 絶対最大定格に記載された値を超すストレスはデバイスに永続的損傷を与える
可能性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、デバイスの信頼性と寿命に
悪影響を与える可能性がある。
Note 2: LT3493Eは0℃∼85℃の温度範囲で性能仕様に適合することが保証されている。
­40℃∼85℃の動作温度範囲での仕様は設計、特性評価および統計学的なプロセス・コン
トロールとの相関で確認されている。LT3493Iの仕様は­40℃∼125℃の温度範囲で保証
されている。
0.3
V
6
15
µA
0.01
0.1
µA
Note 3: 電流制限は設計および静的テストとの相関によって保証されている。
高いデュー
ティ・サイクルではスロープ補償により電流制限が低下する。
Note 4: 電流はピンから流れ出す。
Note 5: 電流はピンへ流れ込む。
標準的性能特性 注記がない限りTA = 25℃。
90
85
85
80
80
75
70
65
80
効率(VOUT = 1.8V、
L = 4.7µH)
75
75
70
65
70
65
60
60
60
VIN = 8V
VIN = 12V
VIN = 24V
55
50
効率(VOUT = 3.3V、
L = 10µH)
EFFICIENCY (%)
90
EFFICIENCY (%)
EFFICIENCY (%)
効率(VOUT = 5V、
L = 10µH)
95
0
0.2
0.4
0.6
0.8
LOAD CURRENT (A)
1.0
1.2
3493 G01
VIN = 8V
VIN = 12V
VIN = 24V
55
50
0
0.2
0.8
0.4
0.6
LOAD CURRENT (A)
1.0
1.2
3493 G02
55
50
VIN = 5V
VIN = 12V
0
0.2
0.8
0.4
0.6
LOAD CURRENT (A)
1.0
1.2
3493 G03
3493f
3
LT3493
標準的性能特性 注記がない限りTA = 25℃。
1.50
1.40
1.30
1.20
MINIMUM
1.10
1.60
1.40
1.30
1.10
8
12
16
20
VIN (V)
24
0.90
28
MINIMUM
1.10
12
16
20
VIN (V)
24
0.90
28
MINIMUM
1.20
1.10
1.00
5
10
15
20
25
TA = –40°C
250
200
3.20
50
3.10
0
600
–50 –25
3.00
–50 –25
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8
SWITCH CURRENT (A)
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3493 G09
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
3493 G08
ソフトスタート
2.0
1.8
700
600
500
400
300
200
100
620
3.40
3.30
SWITCH CURRENT LIMIT (A)
SWITCHING FREQUENCY (kHz)
640
3.50
100
周波数フォールドバック
660
3.60
150
800
680
低電圧ロックアウト
3493 G06
780
0
30
25
3.70
TA = 25°C
300
スイッチング周波数
700
20
3.80
TA = 85°C
3493 G21
720
15
3.90
VIN (V)
740
10
3493 G05
4.00
350
0
30
760
5
VIN (V)
スイッチの電圧降下
400
VCE(SW) (mV)
OUTPUT CURRENT (A)
8
450
TYPICAL
FREQUENCY (kHz)
1.20
500
1.40
800
1.30
3493 G22
550
1.30
TYPICAL
1.40
1.00
3493 G04
最大負荷電流、
VOUT = 3.3V、
L = 10µH
1.50
0.90
MINIMUM
1.20
最大負荷電流、
VOUT = 3.3V、
L = 4.7µH
1.50
TYPICAL
1.00
1.00
0.90
1.60
OUTPUT CURRENT (A)
TYPICAL
OUTPUT CURRENT (A)
OUTPUT CURRENT (A)
1.50
1.60
最大負荷電流、
VOUT = 5V、
L = 33µH
UVLO (V)
1.60
最大負荷電流、
VOUT = 5V、
L = 8.2µH
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0
100 200 300 400 500 600 700 800
FEEDBACK VOLTAGE (mV)
3493 G11
0
0
0.25 0.50 0.75 1 1.25 1.50 1.75
SHDN PIN VOLTAGE (V)
2
3493 G13
3493f
4
LT3493
標準的性能特性 注記がない限りTA = 25℃。
SHDNピンの電流
標準的最小入力電圧(VOUT = 5V)
50
45
5.3
TO START
40
5.1
7.0
4.9
25
20
6.5
VIN (V)
VIN (V)
30
6.0
TO RUN
15
10
TO START
4.7
4.5
4.3
4.1
TO RUN
3.9
5.5
3.7
5
2
4
6
8 10 12 14 16 18 20
VSHDN (V)
5.0
1
100
1000
2.0
1.9
1.8
1.8
1.6
1.6
1.5
1.4
1.3
1.2
1.1
1
10
100
1000
3493 G16
3493 G15
スイッチ電流制限
1.7
3.5
IOUT (mA)
IOUT (mA)
3493 G14
2.0
10
SWITCH CURRENT LIMIT (A)
0
SWITCH CURRENT LIMIT (A)
ISHDN (µA)
35
0
標準的最小入力電圧
(VOUT = 3.3V)
5.5
7.5
スイッチ電流制限
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
1.0
–50 –25
0
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
0
0
20
60
40
DUTY CYCLE (%)
3493 G17
100
3493 G18
動作波形
動作波形、不連続モード
VSW
5V/DIV
VSW
5V/DIV
IL
0.5A/DIV
0
VOUT
20mV/DIV
IL
0.5A/DIV
0
VOUT
20mV/DIV
VIN = 12V
VOUT = 3.3V
IOUT = 0.5A
L = 10µH
COUT = 10µF
80
1µs/DIV
3493 G19
VIN = 12V
VOUT = 3.3V
IOUT = 50mA
L = 10µH
COUT = 10µF
1µs/DIV
3493 G20
3493f
5
LT3493
ピン機能
FB( ピン 1 )
:LT3493はその帰還ピンを780mVに安定化し
ます。帰還抵抗分割器のタップをこのピンに接続します。
VOUT = 0.78V • (1+R1/R2)に従って出力電圧を設定しま
す。R2の適切な値は10kです。
GND(ピン 2 )
:GNDピンはLT3493および回路部品の下の
ローカル・グランド・プレーンに接続します。帰還分割器
からのリターンはこのピンに接続してください。
BOOST
(ピン3)
:BOOSTピンは入力電圧よりも高いドライ
ブ電圧を内蔵バイポーラNPNパワー・スイッチに与える
のに使います。
SW
(ピン4)
:SWピンは内部パワー・スイッチの出力です。
このピンは、インダクタ、キャッチ・ダイオード、および昇
圧コンデンサに接続します。
VIN
(ピン5)
:VINピンはLT3493の内部レギュレータおよび
内部パワー・スイッチに電流を供給します。このピンは
ローカルにバイパスする必要があります。
SHDN(ピン 6 )
:このピンを使ってLT3493をシャットダ
ウン・モードにします。グランドに接続するとLT3493が
シャットダウンします。通常動作時は2.3V以上の電圧に
接続します。シャットダウン機能を使用しない場合はVIN
に接続します。SHDNによりソフトスタート機能も提供
されます。
「アプリケーション情報」のセクションを参照
してください。
露出パッド(ピン7)
:露出パッドはPCBのグランドに半田
付けし、電気的にグランドに接続する必要があります。大
きなグランド・プレーンとサーマル・ビアを使って、熱性
能を最適化します。
ブロック図
5
VIN
VIN
C2
INT REG
AND
UVLO
ON OFF
SLOPE
COMP
R3
6
BOOST
Σ
R
Q
S
Q
D2
3
SHDN
C3
DRIVER
C4
Q1
SW
OSC
L1
VOUT
4
D1
FREQUENCY
FOLDBACK
VC
C1
gm
780mV
2
GND
R2
1
FB
R1
3493 BD
3493f
6
LT3493
動作 (ブロック図を参照)
LT3493は固定周波数の電流モード降圧レギュレータで
す。750kHz発振器がRSフリップフロップをイネーブル
し、内部の1.75Aパワー・スイッチQ1をオンします。アン
プおよびコンパレータはVINピンとSWピンのあいだを流
れる電流を検出し、この電流がVCの電圧によって決まる
レベルに達するとスイッチをオフします。誤差アンプは
FBピンに接続された外部抵抗分割器を通して出力電圧
を測定し、V Cノードをサーボ制御します。誤差アンプの
出力が増加すると出力に供給される電流が増加します。
誤差アンプの出力が減少すると供給される電流が減少
します。VCノードのアクティブ・クランプ(示されてはい
ない)によって電流制限がおこなわれます。V Cノードは
SHDNピンの電圧にもクランプされます。ソフトスター
トは外付けの抵抗とコンデンサを使ってSHDNピンに電
圧ランプを発生させて実現します。
内部レギュレータが制御回路に電力を供給します。この
レギュレータには、VINが約3.4Vより低くなるとスイッチ
ングを禁止する低電圧ロックアウトが備わっています。
SHDNピンはLT3493をシャットダウン状態にして出力を
切断し、入力電流を2µA未満に減らすのに使います。
スイッチ・ドライバは入力またはBOOSTピンのどちらか
で動作します。外付けのコンデンサとダイオードを使っ
て入力電源より高い電圧をBOOSTピンに発生させます。
これにより、ドライバは内部バイポーラNPNパワー・ス
イッチを完全に飽和させ、高い効率で動作させることが
できます。
FBピンの電圧が低いと発振器はLT3493の動作周波数を
下げます。この周波数フォールドバックは起動時および
過負荷時の出力電流を制御するのに役立ちます。
3493f
7
LT3493
アプリケーション情報
FB抵抗ネットワーク
出力電圧は出力とFBピンのあいだに接続した抵抗分割器
を使ってプログラムします。次式に従って1%抵抗を選択
します。
 V

R1 = R2  OUT – 1
 0.78 V 
バイアス電流誤差を避けるため、R2は20k以下にします。
参照名についてはブロック図を参照してください。
オプションの22pFの位相リード・コンデンサをVOUTとFB
のあいだに接続すると、軽負荷での出力リップルが減少
します。
入力電圧範囲
LT3493のアプリケーションの入力電圧範囲は出力電圧
およびVINピンとBOOSTピンの絶対最大定格に依存しま
す。
最小入力電圧はLT3493の約3.6Vの最小動作電圧またはそ
の最大デューティ・サイクルのどちらかによって決まり
ます。デューティ・サイクルは内部スイッチがオンしてい
る時間の割合であり、入力電圧と出力電圧によって決ま
ります。
VOUT + VD
DC =
VIN – VSW + VD
ここで、VDはキャッチ・ダイオードの順方向電圧降下(約
0.4V)、V SW は内部スイッチの電圧降下(最大負荷で約
0.4V)です。したがって、最小入力電圧は次のようになり
ます。
これは連続モード動作の動作入力電圧に対する制限で
あることに注意してください。回路はVINピンとBOOST
ピンの絶対最大定格までの過渡入力に耐えます。過負荷
状態(短絡や起動)のあいだ、入力電圧をV IN の動作範囲
(36V)
に制限します。
最小オン時間
デバイスはVIN(MAX)(最大40V)を超える入力電圧でも出
力を安定化しますが、入力電圧の増加に伴い、出力電圧
リップルが増加します。VIN(MAX) = 33Vに近い3V出力の
アプリケーションの連続モードのスイッチング波形を図
1に示します。
入力電圧が増加するにつれ、デバイスは短時間にスイッ
チングする必要があります。パワー・スイッチをオフする
のに伴う遅延により、デバイスの最小オン時間が支配さ
れます。LT3493の最小オン時間は約120nsです。入力電圧
をVIN = 35Vに上げたときのスイッチング波形を図2に示
します。
VSW
20V/DIV
IL
0.5A/DIV
VOUT
200mV/DIV
AC COUPLED
COUT = 10µF
VOUT = 3V
VIN = 30V
ILOAD = 0.75A
L = 10µH
最大入力電圧はVINピンとBOOSTピンの絶対最大定格に
よって決まります。連続モード動作では、最大入力電圧は
最小デューティ・サイクルDCMIN = 0.10によって次のよう
に決まります。
VIN(MAX ) =
8
VOUT + VD
– VD + VSW
DCMIN
3493 F01
図1
V
+V
VIN(MIN) = OUT D – VD + VSW
DCMAX
ここで、DCMAX = 0.91(全温度範囲で0.88)です。
2µs/DIV
VSW
20V/DIV
IL
0.5A/DIV
VOUT
200mV/DIV
AC COUPLED
COUT = 10µF
VOUT = 3V
VIN = 35V
ILOAD = 0.75A
L = 10µH
2µs/DIV
図2
3493 F02
3493f
LT3493
アプリケーション情報
ここで、必要なオン時間は120nsの最小オン時間より短く
なっています。もっと低いデューティ・サイクルの要求に
合わせるためスイッチのパルス幅を狭める代わりに、ス
イッチのパルス幅は120nsに固定されたままです。図2で、
インダクタ電流は負荷電流を超える値にまでランプアッ
プし、出力リップルは約200mVに増加します。その後、ス
イッチングを再開する前に、デバイスは出力電圧がプロ
グラムされた値の100%より下に下がるまでオフしたま
ま留まります。
負荷が増加した電圧リップルに耐えることができ、部品
が適切に選択されていれば、VIN(MAX)を超える動作は安
全で、デバイスを損傷することはありません。入力電圧を
その絶対最大定格の40Vに上げたときのスイッチング波
形を図3に示します。
入力電圧が増加するにつれ、インダクタ電流が速くラン
プアップし、スキップされるパルスの個数が増加し、出力
電圧リップルが大きくなります。VIN(MAX)を超える動作
の場合、部品に対する唯一の条件は、意図された電圧レベ
ルでの動作に対して適切に定格が規定されていることで
す。
ピーク・インダクタ電流が2.2Aを超えない限り、これらの
条件での長時間動作に耐え抜くだけ十分デバイスは堅牢
です。この動作方式では、インダクタ電流の飽和により性
能がさらに制限されることがあります。
VSW
20V/DIV
IL
0.5A/DIV
VOUT
200mV/DIV
AC COUPLED
COUT = 10µF
VOUT = 3V
VIN = 40V
ILOAD = 0.75A
L = 10µH
2µs/DIV
3493 F03
インダクタの選択と最大出力電流
最初に選択するインダクタの値としては次の値が良いで
しょう。
L = 1.6 (VOUT + VD)
こ こ で V D は キ ャ ッ チ・ダ イ オ ー ド の 電 圧 降 下 で( 約
0.4V)、Lの単位はµHです。この値では、デューティ・サイ
クルが50%以上のアプリケーションでは低調波発振は生
じません。インダクタのRMS電流定格は最大負荷電流よ
り大きくなければならず、その飽和電流は約30%大きく
なければなりません。フォールト状態で堅牢な動作を保
つには、飽和電流を約2.2Aより大きくします。効率を高く
保つには、直列抵抗(DCR)を0.1Ωより小さくします。適し
ているタイプと製造元のリストを表1に示します。
もちろん、このように簡単なデザイン・ガイドでは、個々
のアプリケーションに最適のインダクタを常に与えると
はかぎりません。値を大きくすると最大負荷電流が増加
し、出力電圧リップルが減少しますが、代償として過渡応
答が遅くなります。負荷が1.2Aより小さい場合、インダク
タの値を小さくして高いリップル電流で動作させること
ができます。この場合、物理的に小さなインダクタを使う
ことができます。あるいはDCRの小さなものを使って効
率を上げることができます。このデータシートの「標準的
性能特性」のセクションのいくつかのグラフには、いくつ
かのよく使われる出力電圧に対して、入力電圧とインダ
クタ値の関数としての最大負荷電流が示されています。
インダクタンスが低いと不連続モード動作になることが
あります。問題はありませんが最大負荷電流がさらに減
少します。最大出力電流と不連続モード動作については、
「アプリケーションノート44」を参照してください。
キャッチ・ダイオード
負荷電流に依存して、キャッチ・ダイオードD1には1A∼
2Aのショットキー・ダイオードを推奨します。ダイオー
ドの逆電圧定格は最大入力電圧以上なければなりませ
ん。ON SemiconductorのMBRM140は最適です。このダイ
オードの定格は連続順方向電流が1A、最大逆電圧が40V
です。
図3
3493f
9
LT3493
アプリケーション情報
表1.
インダクタの製造元
Vendor
URL
Sumida
www.sumida.com
Toko
www.toko.com
Würth Elektronik
www.we-online.com
Part Series
CDRH4D28
CDRH5D28
CDRH8D28
A916CY
D585LC
WE-TPC(M)
WE-PD2(M)
WE-PD(S)
入力コンデンサ
X7RまたはX5Rタイプの1µF以上のセラミック・コンデン
サを使ってLT3493回路の入力をバイパスします。Y5Vタ
イプは温度や印加される電圧が変化すると性能が低下
するので使用しないでください。1µFのセラミック・コン
デンサはLT3493をバイパスするのに適しており、容易に
リップル電流に対応できます。ただし、入力電源のイン
ピーダンスが高い場合、または長い配線やケーブルによ
る大きなインダクタンスが存在する場合、追加のバルク
容量が必要になることがあります。これには性能の高く
ない電解コンデンサを使うことができます。
降圧レギュレータには入力電源から高速の立上りと立
下りを伴うパルス電流が流れます。その結果LT3493に
生じる電圧リップルを減らし、非常に高い周波数のこの
スイッチング電流を狭いローカル・ループに閉じ込めて
EMIを抑えるために入力コンデンサが必要です。1µFの
コンデンサはこの役目を果たしますが、それがLT3493と
キャッチ・ダイオードの近くに配置される場合に限られ
ます。
「 PCBレイアウト」のセクションを参照してくださ
い。2番目の注意は、入力セラミック・コンデンサとLT3493
の最大入力電圧定格の関係に関するものです。入力のセ
ラミック・コンデンサはトレースやケーブルのインダク
タンスと結合して質の良い(減衰しにくい)共振タンク
回路を形成します。LT3493の回路を給電中の電源に差し
込むと、入力電圧に正常値の2倍のリンギングが生じて、
LT3493の電圧定格を超すおそれがあります。この状況は
容易に避けられます。
「安全な活線挿入」のセクションを
参照してください。
出力コンデンサ
出力コンデンサには2つの基本的な機能があります。イン
ダクタとともに、出力コンデンサはLT3493が生成する方
形波をフィルタ処理してDC出力を生成します。この機能
では出力コンデンサは出力リップルを決定するので、ス
10
Inductance Range (µH)
1.2 to 4.7
2.5 to 10
2.5 to 33
2 to 12
1.1 to 39
1 to 10
2.2 to 22
1 to 27
Size (mm)
4.5 × 4.5
5.5 × 5.5
8.3 × 8.3
6.3 × 6.2
8.1 × 8.0
4.8 × 4.8
5.2 × 5.8
7.3 × 7.3
イッチング周波数でのインピーダンスが低いことが重要
です。2番目の機能は、過渡負荷に電流を供給してLT3493
の制御ループを安定させるためにエネルギーを蓄積する
ことです。
セラミック・コンデンサの等価直列抵抗(ESR)は非常に
小さいので、最良のリップル性能を与えます。次の値が適
当です。
COUT = 65/VOUT
ここで、C OUTの単位はµFです。X5RまたはX7Rのタイプ
を使いますが、V OUTでバイアスされているセラミック・
コンデンサの容量は公称値よりも小さくなることを忘れ
ないでください。この選択により、出力リップルが小さく
なり、過渡応答が良くなります。値の大きなコンデンサを
使うと過渡性能を改善することができますが、利点を十
分引き出すには帰還抵抗R1の両端に位相リード・コンデ
ンサを接続する必要があるかもしれません(「周波数補
償」のセクションを参照)。
小さなサイズの場合、出力コンデンサは次のように選択
します。
COUT = 25/VOUT
ここで、COUTの単位はµFです。ただし、これぐらい小さい
出力コンデンサを使うと、ループのクロスオーバ周波数
が高くなり、ノイズに対して敏感になります。FBピンの
ノイズを除去して安定性を確保するには、VOUTとFBピン
のあいだに接続された22pFのコンデンサが必要です。
高性能電解コンデンサを出力コンデンサに使うことが
できます。ESRが小さいことが重要ですから、スイッチン
グ・レギュレータ用のものを選択します。製造元によって
ESRが規定されている必要があり、0.1Ω以下のものにし
ます。
3493f
LT3493
アプリケーション情報
表2.
コンデンサの製造元
Vendor
Phone
Panasonic
(714) 373-7366
URL
www.panasonic.com
Kemet
(864) 963-6300
www.kemet.com
Sanyo
(408) 749-9714
www.sanyovideo.com
Murata
AVX
(404) 436-1300
www.murata.com
www.avxcorp.com
Taiyo Yuden
(864) 963-6300
www.taiyo-yuden.com
この種のコンデンサはセラミック・コンデンサより大き
く、容量も大きくなります。これはESRを小さくするため
コンデンサを大きくする必要があるからです。コンデン
サの製造元のリストを表2に示します。
選択されたいくつかのコンデンサについて、LT3493の
過渡応答を図4に示します。出力は3.3Vです。負荷電流は
250mAから1Aにステップさせ、250mAに戻しています。
オシロスコープのトレースは出力電圧を示しています。
上の写真は推奨値を示しています。2番目の写真は、出力
コンデンサが大きくなり、位相リード・コンデンサが追加
された結果改善された応答(電圧低下が小さい)を示して
います。最後の写真は高性能電解コンデンサの場合の応
答を示しています。大きなコンデンサにより、過渡性能が
改善されます。
BOOSTピンに関する検討事項
入力電圧より高い電圧を発生させるため、コンデンサ
C3とダイオードD2が使われています。ほとんどの場
合、0.1µFのコンデンサと高速スイッチング・ダイオード
(1N4148 や1N914など)でうまくいきます。昇圧回路の構
成方法を5通り図2に示します。最高の効率を得るには、
BOOSTピンはSWピンより少なくとも2.3V高くなければ
なりません。3.3V以上の出力の場合、標準回路(図5a)が最
適です。3V∼3.3Vの出力には、0.22µFのコンデンサを使い
ます。2.5V∼3Vの出力の場合、0.47µFのコンデンサと小型
のショットキー・ダイオード(BAT-54など)を使います。
Part Series
Ceramic,
Polymer,
Tantalum
Ceramic,
Tantalum
Ceramic,
Polymer,
Tantalum
Ceramic
Ceramic,
Tantalum
Ceramic
Comments
EEF Series
T494, T495
POSCAP
TPS Series
さらに低い出力電圧の場合、ブースト・ダイオードは入力
に接続することができます(図5b)。電圧の低い方の電圧
源からBOOSTピンの電流が供給されるので、図5aの回路
の方が効率が高くなります。BOOSTピンの最大電圧定格
を決して超えないようにすることも必要です。
先に説明したとおり、LT3493 アプリケーションの最小動
作電圧は低電圧ロックアウト(3.6V )および最大デュー
ティ・サイクルによって制限されます。正しく起動するに
は、最小入力電圧は昇圧回路によっても制限されます。
入力電圧がゆっくりランプアップするか、出力が既に安
定化している状態でSHDNピンを使ってLT3493をオンす
る場合、昇圧コンデンサが十分充電されないことがあり
ます。昇圧コンデンサはインダクタに蓄えられたエネル
ギーによって充電されるので、昇圧回路を適切に動作さ
せるには、回路は何らかの最小負荷電流を必要とします。
この最小負荷は、入力電圧、出力電圧、および昇圧回路の
構成に依存します。回路が起動した後は最小負荷電流は
通常ゼロになります。起動および動作に必要な最小負荷
電流を入力電圧の関数としてプロットしたものを図6に
示します。多くの場合、放電した出力コンデンサがスイッ
チャの負荷となるので、スイッチャは起動できます。プ
ロットはVINが非常にゆっくりランプアップするワース
トケースの状態を示しています。もっと低い起動電圧の
場合、ブースト・ダイオードをVINに接続することができ
ます。ただし、この場合、入力範囲がBOOSTピンの絶対最
大定格の半分に制限されます。
3493f
11
LT3493
アプリケーション情報
ILOAD
2A/DIV
VOUT
IL
0.5A/DIV
32.4k
FB
10µF
10k
VOUT
0.1V/DIV
AC COUPLED
40µs/DIV
3493 F04a
40µs/DIV
3493 F04b
40µs/DIV
3493 F04c
ILOAD
2A/DIV
VOUT
32.4k
IL
0.5A/DIV
3.3nF
10µF
×2
FB
10k
VOUT
0.1V/DIV
AC COUPLED
ILOAD
2A/DIV
VOUT
32.4k
+
FB
10k
IL
0.5A/DIV
100µF
SANYO
4TPB100M
VOUT
0.1V/DIV
AC COUPLED
図4.
負荷電流を250mAから1Aにステップさせたときの異なった出力コンデンサを使った
LT3493の過渡負荷応答。
VIN = 12V、
VOUT = 3.3V、
L = 10µH
D2
D2
C3
BOOST
VIN
VIN
C3
BOOST
LT3493
LT3493
SW
VOUT
VIN
VIN
SW
GND
GND
3493 F05b
3493 F05a
VBOOST – VSW ≅ VOUT
MAX VBOOST ≅ VIN + VOUT
VBOOST – VSW ≅ VIN
MAX VBOOST ≅ 2VIN
(5b)
(5a)
図5.
昇圧電圧を発生させる2つの回路
12
VOUT
3493f
LT3493
アプリケーション情報
5.5
7.5
5.3
TO START
5.1
7.0
6.5
VIN (V)
VIN (V)
4.9
6.0
TO RUN
TO START
4.7
4.5
4.3
4.1
TO RUN
3.9
5.5
3.7
5.0
1
10
100
IOUT (mA)
3.5
1000
1
10
100
1000
IOUT (mA)
3493 G16
3493 G15
(6a)標準的最小入力電圧、
VOUT = 5V
(6b)標準的最小入力電圧、
VOUT = 3.3V
図6
軽負荷ではインダクタ電流は不連続になり、実効デュー
ティ・サイクルが非常に高くなることがあります。この
ため最小入力電圧がVOUTより約400mV高い電圧にまで
減少します。もっと大きな負荷電流ではインダクタ電流
は連続しており、デューティ・サイクルはLT3493の最大
デューティ・サイクルによって制限されるので、安定化を
維持するにはもっと高い入力電圧が必要です。
ソフトスタート
SHDNピンを使ってLT3493をソフトスタートさせること
ができますので、起動時の最大入力電流が減少します。
SHDNピンの電圧をランプアップするため、このピンは
外付けのRCフィルタを通してドライブされます。ソフト
スタート回路を使った場合と使わない場合の起動波形
を図7に示します。大きなRC時定数を使うと、オーバー
シュートなしに、ピーク起動電流を出力を安定化するの
に必要な電流まで減らすことができます。SHDNピンが
2.3Vに達したとき20µAを供給できるように抵抗の値を
選択します。
短絡入力と逆入力に対する保護
過度に飽和しないようにインダクタを選択すると、
LT 3493 降圧 レギュレータは 出力 の 短絡 に 耐 えます 。
LT3493に入力が加わっていないときに出力が高く保た
れるシステムで考慮すべき別の状況があります。それは
バッテリ充電アプリケーションまたはバッテリや他の電
源がLT3493の出力とダイオードOR結合されているバッ
テリ・バックアップ・システムで発生することがありま
す。VINピンがフロート状態で、SHDNピンが(ロジック信
号によって、あるいはV INに接続されていて) H に保持
されていると、SWピンを通してLT3493の内部回路に静止
電流が流れます。この状態で数mAの電流を許容できるシ
ステムであればこれは問題ありません。SHDNピンを接
地すればSWピンの電流は実質的にゼロに低下します。た
だし、出力を高く保持した状態でVINを接地すると、出力
からSWピンおよびV INピンを通ってLT3493内部の寄生
ダイオードに大きな電流が流れる可能性があります。入
力電圧が与えられているときだけ動作し、短絡入力や逆
入力に対して保護する回路を図8に示します。
安全な活線挿入
セラミック・コンデンサはサイズが小さく、堅牢でイン
ピーダンスが低いので、LT3493の回路の入力バイパス・コ
ンデンサに最適です。ただし、LT3493が給電中の電源に挿
入されると、これらのコンデンサは問題を生じることが
あります(詳細についてはリニアテクノロジー社の「アプ
リケーションノート88」を参照)。
3493f
13
LT3493
アプリケーション情報
VSW
10V/DIV
RUN
SHDN
IL
0.5A/DIV
GND
3493 F07a
VOUT
2V/DIV
VIN = 12V
VOUT = 3.3V
L = 10µH
COUT = 10µF
20µs/DIV
VIN = 12V
VOUT = 3.3V
L = 10µH
COUT = 10µF
20µs/DIV
VSW
10V/DIV
RUN
15k
SHDN
0.1µF
IL
0.5A/DIV
GND
3493 F07b
VOUT
2V/DIV
図7 .
LT3493をソフトスタートさせるには抵抗とコンデンサをSHDNピンに追加する。
VIN = 12V、
VOUT = 3.3V、
COUT = 10µF、
RLOAD = 5Ω
D4
VIN
VIN
BOOST
LT3493
SHDN
GND
VOUT
SW
FB
BACKUP
D4: MBR0540
3493 F08
図8.
ダイオードD4は出力に接続されたバックアップ用バッテ
リが短絡した入力によって放電するのを防ぐ。逆入力に対し
ても回路を保護する。LT3493は入力が与えられているときだ
け動作する
低損失のセラミック・コンデンサは電源に直列の浮遊イ
ンダクタンスと結合して減衰の小さなタンク回路を形成
し、LT3493のVINピンの電圧に公称入力電圧の2倍に達す
るリンギングを生じる可能性があり、このリンギングが
LT3493の定格を超してデバイスに損傷を与えるおそれが
あります。入力電源の制御が十分でなかったり、ユーザー
がLT3493を給電中の電源に差し込んだりする場合、この
ようなオーバーシュートを防ぐように入力ネットワーク
を設計する必要があります。
LT3493の回路が24Vの電源に9フィートの24番ゲージの
より対線で接続される場合に生じる波形を図6に示しま
す。最初のプロットは入力に2.2µFのセラミック・コンデ
ンサを使った場合の応答です。
3493f
14
LT3493
アプリケーション情報
入力電圧は35Vに達するリンギングを生じ、入力電圧の
ピークは20Aに達します。タンク回路を減衰させるひと
つの方法として、直列抵抗とともにコンデンサをもう1
個回路に追加します。図9bではアルミ電解コンデンサが
追加されています。このコンデンサは等価直列抵抗が大
きいので回路の過渡応答が減衰し、電圧オーバーシュー
トが抑えられます。追加コンデンサにより低周波リップ
ルのフィルタ機能が改善され、回路の効率がわずかに向
上しますが、このコンデンサはおそらく回路内で最大の
部品となるでしょう。代替ソリューションを図9cに示し
ます。電圧オーバーシュートを抑えるため1Ω抵抗が入力
に直列に追加されています(ピーク入力電流も下がりま
す)。0.1µFのコンデンサにより高周波フィルタ機能が改
善されています。このソリューションは電解コンデンサ
の場合よりもサイズが小さく安価です。高い入力電圧の
場合、効率に与える影響は小さく、24V電源で動作してい
るとき最大負荷の5V出力の効率低下は0.5%以下です。
周波数補償
LT3493は電流モード制御を使って出力を制御します。そ
のためループ補償が簡素化されます。特に、LT3493は安
定動作のために出力コンデンサのESRを必要としないの
で、セラミック・コンデンサを使用して出力リップルを下
げ、回路のサイズを小さくすることができます。
LT3493の制御ループの等価回路を図10に示します。誤差
アンプは出力インピーダンスが有限のトランスコンダク
タンス・アンプです。モジュレータ、パワー・スイッチ、お
よびインダクタで構成される電源部分はV C ノードの電
圧に比例した出力電流を発生するトランスコンダクタン
ス・アンプとしてモデル化されます。出力コンデンサはこ
の電流を積分し、VCノードのコンデンサ(CC)は誤差アン
プの出力電流を積分するのでループに2つのポールが生
じることに注意してください。RCはゼロを1つ生じます。
推奨出力コンデンサを使うとループのクロスオーバは
RCCCのゼロより上に生じます。
スイッチを閉じて
活線挿入をシミュレートする
���
���
�
給電中の
低インピーダンスの
24V電源
������
���
�������
�����
危険!
VINのリンギングは
LT3493の絶対最大定格を
超えるおそれがある
���
������
6フィート
(約2m)
の
より対線による
浮遊インダクタンス
��������
����
�
����
���
������
������
�
���
�������
�����
���
������
����
��
�
�����
������
��������
���
�������
�����
���
������
����
��������
��������
図9.
入力ネットワークを正しく選択すると、LT3493を給電中の電源に接続し
たとき入力電圧のオーバーシュートを防ぎ、信頼性の高い動作を保証する
3493f
15
LT3493
アプリケーション情報
この簡単なモデルはインダクタの値が大きすぎず、ルー
プのクロスオーバ周波数がスイッチング周波数よりはる
かに低いかぎり有効です。大きなセラミック・コンデンサ
(非常に低いESR)を使うとクロスオーバを下げることが
でき、帰還分割器の両端に位相リード・コンデンサ(CPL)
を使うと位相マージンと過渡応答を改善することができ
ます。大きな電解コンデンサのESRは追加のゼロを生じ
るのに十分なほど大きいことがあり、位相リード・コンデ
ンサは不要かもしれません。
出力コンデンサが推奨コンデンサと異なる場合、負荷電
流、入力電圧、温度などすべての動作条件にわたって安定
性をチェックします。
CURRENT MODE
POWER STAGE
SW
gm =
+1.6A/V
LT3493
–
0.7V
–
+
ERROR
AMPLIFIER
CPL
FB
gm =
300µA/V
VC
RC
60k
CC
100pF
OUT
R1
ESR
780mV
C1
1M
C1
+
R2
GND
LT1375のデータシートにはループ補償のさらに詳細な説
明が含まれており、過渡負荷を使った安定性のテスト方
法が説明されています。
PCBのレイアウト
動作を最適化し、EMIを最小にするには、プリント回路基
板のレイアウト時に注意が必要です。推奨部品配置とト
レース、グランド・プレーン、およびビアの位置を図11に
示します。大きなスイッチング電流がLT3493のV INピン
とSWピン、キャッチ・ダイオード(D1)および入力コンデ
ンサ(C2)を流れることに注意してください。これらの部
品が形成するループはできるだけ小さくし、1箇所でシス
テム・グランドに接続します。これらの部品とインダクタ
および出力コンデンサは回路基板の同じ側に配置し、そ
れらはその層で接続します。これらの部品の下には切れ
目のないローカル・グランド・プレーンを配置し、このグ
ランド・プレーンを1箇所でシステム・グランドに(理想的
には出力コンデンサC1のグランド端子に)接続します。
SWノードとBOOSTノードはできるだけ小さくします。
最後に、FBノードを小さくして、グランド・ピンとグラン
ド・トレースがFBノードをSWノードとBOOSTノードか
らシールドするようにします。LT3493のGNDパッドの近
くにビアを置き、LT3493からの熱がグランド・プレーンに
放散しやすくします。
3493 F10
図10.
ループ応答モデル
��
��
������
������
����
��
���
��������
��������
��ローカル・グランド・プレーンへのビア
��ローカル・グランド・プレーンのアウトライン
図11.
すぐれたPCBレイアウトによる適切な低EMI動作の保証
3493f
16
LT3493
アプリケーション情報
高温に関する検討事項
LT3493のダイ温度は125℃の最大定格より低くなければ
なりません。これは、周囲温度が85℃を超えないかぎり一
般に心配いりません。もっと高い温度では、回路のレイア
ウトに注意してLT3493に十分なヒートシンクを与えま
す。最大負荷電流は周囲温度が125℃に近づくにつれディ
レーティングします。ダイ温度はLT3493の消費電力に接
合部から周囲への熱抵抗を掛けて計算します。LT3493内
部の電力消費は効率測定から計算される総電力損失から
キャッチ・ダイオードの損失を差し引いて推測すること
ができます。その結果得られる最大負荷での温度上昇は
入力電圧にほとんど依存しません。熱抵抗は回路基板の
レイアウトに依存しますが、(2mm 3mm) DFN (DCB)の
場合、64℃/Wが標準的な値です。
6Vを超す出力
6Vを超す出力の場合、1k∼2.5kの抵抗をインダクタの両
端に追加し、SWノードの不連続リンギングを減衰させ
て、意図せぬSW電流を防ぎます。
「標準的アプリケーショ
ン」のセクションの12V降圧コンバータ回路にはこの抵
抗の場所が示されています。6Vを超す出力の場合、入力
電圧範囲がBOOSTピンの最大定格によって制限される
ことにも注意してください。追加のツェナー・ダイオード
を使ってこの制限を克服する方法が12V出力の回路に示
されています。
他のリニアテクノロジー社の出版物
アプリケーションノートAN19、AN35およびAN44には降
圧レギュレータと他のスイッチング・レギュレータの詳
細な説明と設計情報が含まれています。LT1376のデータ
シートには出力リップル、ループ補償および安定性のテ
ストに関するさらに広範な説明が与えられています。デ
ザインノートDN100には降圧レギュレータを使った両極
出力電圧を発生させる方法が示されています。
標準的応用例
0.78V降圧コンバータ
1N4148
VIN
3.6V TO 25V
ON OFF
VIN
BOOST
0.1µF 3.3µH
LT3493
VOUT
0.78V
1.2A
SW
SHDN
MBRM140
GND
FB
47µF
2.2µF
3493 TA02
1.8V降圧コンバータ
1N4148
VIN
3.6V TO 25V
ON OFF
VIN
BOOST
0.1µF
LT3493
5µH
SW
SHDN
MBRM140
GND
2.2µF
26.1k
FB
VOUT
1.8V
1.2A
22µF
20k
3493 TA03
3493f
17
LT3493
標準的応用例
2.5V降圧コンバータ
VIN
3.6V TO 28V
ON OFF
BAT54
VIN
VOUT
2.5V
1A, VIN > 5V
1.2A, VIN > 10V
BOOST
0.47µF 6.8µH
LT3493
SW
SHDN
MBRM140
GND
22.1k
FB
22µF
10k
1µF
3493 TA04
3.3V降圧コンバータ
VIN
4.2V TO 36V
ON OFF
1N4148
VIN
VOUT
3.3V
0.9A, VIN > 4.5V
1.2A, VIN > 12V
BOOST
0.1µF 8.2µH
LT3493
SW
SHDN
MBRM140
GND
32.4k
FB
10µF
10k
1µF
3493 TA05
5V降圧コンバータ
VIN
6.4V TO 36V
ON OFF
1N4148
VIN
0.1µF 10µH
LT3493
SW
SHDN
MBRM140
GND
1µF
VOUT
5V
0.9A, VIN > 7V
1.1A, VIN > 14V
BOOST
59k
FB
10µF
11k
3493 TA06
3493f
18
LT3493
パッケージ寸法
DCBパッケージ
6ピン・プラスチックDFN
(2mm 3mm)
(Reference LTC DWG # 05-08-1715)
0.70 ±0.05
3.55 ±0.05
1.65 ±0.05
(2 SIDES)
2.15 ±0.05
PACKAGE
パッケージの
OUTLINE
外形
0.25 ± 0.05
0.50 BSC
1.35 ±0.05
(2 SIDES)
RECOMMENDED
SOLDER PAD PITCH AND DIMENSIONS
推奨する半田パッドのピッチと寸法
R = 0.115
TYP
R = 0.05
TYP
2.00 ±0.10
(2 SIDES)
3.00 ±0.10
(2 SIDES)
0.40 ± 0.10
4
6
1.65 ± 0.10
(2 SIDES)
ピン1のノッチ
PIN 1 NOTCH
R0.20または0.25
R0.20 OR 0.25
×45
45°の面取り
CHAMFER
PIN 1 BAR
ピン1バーの
MARK
トップ・TOP
マーキング
(SEE 6を参照)
NOTE 6)
(NOTE
3
0.200 REF
0.75 ±0.05
1
(DCB6) DFN 0405
0.25 ± 0.05
0.50 BSC
1.35 ±0.10
(2 SIDES)
0.00 – 0.05
露出パッドの底面
BOTTOM
VIEW—EXPOSED PAD
NOTE:
NOTE:
1. DRAWING
TO BE MADE A JEDEC PACKAGE OUTLINE M0-229
VARIATION OF (TBD)
図はJEDECのパッケージ外形MO-229のバリエーション
(TBD)になる予定
2. 図は実寸とは異なる
DRAWING NOT TO SCALE
3. ALL
DIMENSIONS ARE IN MILLIMETERS
すべての寸法はミリメートル
4. DIMENSIONS
OF EXPOSED PAD ON BOTTOM OF PACKAGE DO NOT INCLUDE
パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。
MOLD
FLASH. MOLD
FLASH, IF PRESENT,
SHALL NOT EXCEED 0.15mm ON ANY SIDE
モールドのバリは
(もしあれば)
各サイドで0.15mmを超えないこと
5. EXPOSED
PAD SHALL BE SOLDER PLATED
露出パッドは半田メッキとする
6. SHADED
AREA IS ONLY A REFERENCE FOR PIN 1 LOCATION ON THE
網掛けの部分はパッケージのトップとボトムのピン1の位置の参考に過ぎない
TOP AND BOTTOM OF PACKAGE
3493f
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負い
ません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまでも参考資
料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
19
LT3493
標準的応用例
12V降圧コンバータ
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�����を超える連続動作では、
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�����抵抗を並列に使う。
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関連製品
製品番号
LT1766
説明
60V、
1.2A IOUT、200kHz高効率降圧DC/DCコンバータ
注釈
VIN:5.5V∼60V、
VOUT(MIN) = 1.2V、
IQ = 2.5mA、
ISD = 25µA、
TSSOP16/TSSOP16Eパッケージ
LT1933
36V、
600mA IOUT、500kHz高効率降圧DC/DCコンバータ
LT1936
36V、
1.4A IOUT、500kHz高効率降圧DC/DCコンバータ
LT1940
25V、
デュアル出力1.4A IOUT、1.1MHz高効率
VIN:3.6V∼25V、
VOUT(MIN) = 1.25V、
IQ = 3.8mA、
降圧DC/DCコンバータ
ISD = <30µA、
TSSOP16Eパッケージ
LT1976
LT3010
60V、
1.2A IOUT、Burst Mode®動作付き200kHz高効率
VIN:3.3V∼60V、
VOUT(MIN) = 1.2V、
IQ = 100µA、
ISD = <1µA、
降圧DC/DCコンバータ
TSSOP16Eパッケージ
80V、
50mA、
低ノイズ・リニア・レギュレータ
VIN:1.5V∼80V、
VOUT(MIN) = 1.28V、
IQ = 30µA、
ISD = <1µA、
MS8Eパッケージ
LTC3407
デュアル600mA IOUT、1.5MHz同期式
VIN:2.5V∼5.5V、
VOUT(MIN) = 0.6V、
IQ = 40µA、
ISD = <1µA、
降圧DC/DCコンバータ
MS10Eパッケージ
LT3430/LT3431 60V、
2.75A IOUT、200kHz/500kHz高効率
降圧DC/DCコンバータ
LT3470
VIN:5.5V∼60V、
VOUT(MIN) = 1.2V、
IQ = 2.5mA、
ISD = 30µA、
TSSOP16Eパッケージ
40V、
200mA IOUT、26µA IQ、降圧DC/DCコンバータ
Burst Modeはリニアテクノロジー社の登録商標です。
3493f
20
リニアテクノロジー株式会社
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6秀和紀尾井町パークビル8F
TEL 03-5226-7291 FAX 03-5226-0268 www.linear-tech.co.jp
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0206
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2006