高精度、高効率、高信頼性の高電流電源レールを実現する デュアル出力降圧コントローラ – デザインノート478 Mike Shriver と Theo Phillips はじめに 電流が測定され、検出抵抗を追加した場合に生じる損失を除 去するので、導通電力損失の減少という利点があります。ト レードオフとして、DCR はデバイス間でばらつきがあり、温 度によって変化するので、DCR による検出は専用の検出抵 抗に比べて精度が劣ります。LTC3855 は革新的な方式を 使って、DCR の温度による変化を補償することにより DCR による検出の精度を改善します。 LTC®3855 は、最近の先端的なネットワーク、通信、サー バーなどのアプリケーションの厳しい要件のほとんどを満足さ せる精度と効率を備えた高電流電源レールの生成を可能にし ます。この 2 フェーズ、デュアル出力の同期整流式降圧コン トローラには強力なゲート・ドライバが備わっており、フェーズ 当たりの電流が 20A を超える動作をサポートします。0.6V ± 0.75% の高精度リファレンスと内蔵差動アンプにより、ク リモート検出と NTC で補償した DCR による検出を リティカルなレールの出力のリモート検出が可能になります。 使った 1.5V/20A および 1.2V/20A の降圧コンバータ このコントローラの出力電圧範囲は、差動アンプを使わない と 0.6V ~ 12.5V、差動アンプを使うと 0.6V ~ 3.3V です。 325kHz で動作する、DCR による検出を使った 1.5V/20A および 1.2V/20A の 2 フェーズ・コンバータを図 1 に示しま LTC3855 は信頼性の高いピーク電流モード・アーキテクチャ す。 強力なゲート・ドライバ、最適化されたデッドタイムおよ を使って、高速の高精度電流制限とリアルタイムの電流分担 び DCR による検出により、高い効率を達成します。 を実現しています。その電流検出コンパレータは、検出抵抗 またはインダクタの DCR のどちらかを使ってインダクタ電流 Mode、PolyPhase、Linear Technology および を検出するように設計されています。DCR による検出では、 L、LT、LTC、LTM、Burst Linear のロゴはリニアテクノロジー社の登録商標です。他の全ての商標はそれぞれ インダクタ自体に存在する DC 抵抗両端の電圧降下を使って の所有者に所有権があります。 17.4k 0.1µF 49.9k 82.5k 20k 150pF ITH1 BOOST1 VFB1 PGND1 SGND 150pF 20k VFB2 EXTVCC PGOOD2 4.42k COUT1 100µF 6.3V ×2 M2 RJK0330DPB ×2 0.1µF + COUT2 330µF 2.5V ×2 VOUT1 1.5V 20A L1, L2: VISHAY IHLP5050FD-01, 0.47µH COUT1, COUT3: MURATA GRM31CR60J107ME39l COUT2, COUT4: SANYO 2R5TPE330M9 RNTC1, RNTC2: MURATA NCP18WF104J03RB SW2 0.1µF CMDSH-3 DCR = 1.0mΩ TYP, 1.2mΩ MAX 100k 100k M4 RJK0330DPB ×2 L2 0.47µH 4.42k 34.0k COUT3 100µF 6.3V ×2 DN478 F01 図 1.fSW = 325kHz で動作する、1.5V/20A および 1.2V/20A のデュアル・コン バータ。基板の両側に部品が配置され、回路全体が 1.7 平方インチに収まる 05/10/478 VIN 4.5V TO 14V 180µF 16V L1 0.47µH DCR = 1.0mΩ TYP, 1.2mΩ MAX M3 RJK0305DPB PGOOD1 + BOOST2 NC PGOOD2 PGOOD1 ILIM2 ILIM1 RUN2 20k 4.7µF PGND2 DIFFOUT DIFFP 2.2Ω BG2 SENSE2– 0.1µF CMDSH-3 34.0k INTVCC SENSE2+ 0.1µF 0.1µF VIN LTC3855 ITH2 DIFFN 1.2nF M1 RJK0305DPB BG1 TK/SS2 5.23k SW1 CLKOUT FREQ ITEMP2 RUN1 PHSASMD TG1 TG2 1nF MODE/PLLIN TK/SS1 ITEMP1 30.1k 0.1µF 6.04k 325kHz 22µF ×3 SENSE1+ 49.9k RNTC1 100k NEXT TO L1 SENSE1– 17.4k RNTC2 100k NEXT TO L2 + COUT4 330µF 2.5V ×2 VOUT2 1.2V 20A 95 サイクルごとの高速電流分担能力を本来備えています。さら に、シングル出力の PolyPhase アプリケーションでは厳密 に DC 電流を分担します。 35 30 CURRENT LIMIT (A) 1.5V と 1.2V のレールの最大負荷での標準的効率はそれぞ れ 89.5% および 87.8% です(図 2 を参照)。1.2V 出力は 差動アンプでリモート検出されます。その結果、1.2V レール の出力精度は VOUT と GND のプレーン両端の電圧降下の 影響を受けません。負荷ステップに対する 1.2V レールの応 答を図 3 に示します。 6 EFFICIENCY 85 4 1.5V 1.2V 80 3 POWER LOSS 75 2 VIN = 12V fSW = 325kHz MODE = CCM 70 65 5 1.5V 1.2V 0 5 POWER LOSS (W) EFFICIENCY (%) 90 10 15 LOAD CURRENT (A) 10 0 100 40 60 80 20 INDUCTOR TEMPERATURE (°C) 120 DN478 F04 図 4.温度補償付きおよび温度補償なしの 1.2V レールの全温度範囲で測定された電流制限 0 DN478 F02 CLKOUT ピンと MODE/PLLIN ピンをデイジーチェーン接 続し、PHASMD ピンを使って位相差をプログラムすること により、最多 12 フェーズの動作を実現することができます。 PolyPhase 動作の主な利点は、リップル電流のキャンセル により、入力と出力に必要な容量が減少することです。また、 シングル出力の PolyPhase アプリケーションでは、クロック 遅延が減少するので、負荷ステップに対する応答が速くなり ます。 1.2VO(AC) 100mV/DIV 20A 10A 50µs/DIV DCR SENSING IMPLEMENTED WITH TEMPERATURE COMPENSATION WITHOUT TEMPERATURE COMPENSATION 15 図 2.1.5V/20A と 1.2V/20A のコンバータの 効率と電力損失 LOAD STEP 10A/DIV IOUT(MAX) 20 1 25 20 5A 25 DN478 F03 その他の重要な特長 図 3.50% から 100% への負荷ステップに対する、 1.2V レールの応答 (VIN = 12V) LTC3855 のスイッチング周波数は、FREQ ピンからグランド に抵抗を使って 250kHz ~ 770kHz の範囲にプログラムする LTC3855 は(ILIM ピンで選 択される)30mV、50mV お か、または内部で補償されたフェーズロック・ループを使ってこ よび 75mV の精密な電流制限スレッショルドを備えています。 の周波数範囲の外部クロックに同期させることができます。連 電流制限スレッショルドは ITEMP ピンを 500mV より下にバ 続導通動作ではなく、Burst Mode® 動作または不連続モード イアスすることによって上げることができます。ITEMP ピンは 動作のどちらかを選択することにより、軽負荷で高効率を達成 10μA の電流をソースするので、50k 未満の抵抗を ITEMP することができます。LTC3855 は最大 38V までの入力に使 ピンからグランドに接続することにより、ピーク電流検出電圧 うことができ、その最小オン時間が標準 100ns なので、高い を上げることができます。安価な NTC サーミスタをインダク 降圧比が可能です。LTC3855 は、プログラム可能なソフトス タに隣接させて配置し、このサーミスタを ITEMP ピンからグ タートまたはレール・トラッキングのための TK/SS ピンと、専 ランドの間の直線化ネットワークに接続することにより、電流 用の RUN ピンおよび PGOOD ピンを各チャネルに備えていま 制限の温度係数を大幅に減らすことができます。図 4 に示さ す。LTC3855 は 6mm × 6mm QFN パッケージまたは熱特 れているように、補償された電流制限は補償されていない電 性が改善された 38 ピン TSSOP パッケージで供給されます。 流制限に比べて 110℃で 20% 高くなります。ITEMP ピンの 別の用途として、普通の DCR による検出や RSENSE を使う まとめ アプリケーションの電流制限を増加させるのに使います。 LTC3855 は低出力電圧の高出力電流電源向けの高性能 デュアル出力降圧コンバータです。このデバイスは、0.6V の 0.75% 精密リファレンス、高精度電流制限および高効率 LTC3855 は、そのピーク電流モード・アーキテクチャにより、 の利点をユーザーに提供します。 PolyPhase® 動作 データシートのダウンロード:http://www.linear-tech.co.jp 東京エレクトロンデバイス 株式会社 本 社 TEL 045-474-5114 大 阪 東 京 水 戸 浜 松 福 岡 06-6399-1511 03-5908-2621 029-227-6552 053-459-2204 092-474-4121 名古屋 北関東 立 川 松 本 仙 台 052-562-0825 048-600-3880 042-548-0255 0263-36-8112 022-298-7184 株式会社 本 大 阪 宇都宮 社 アル テ ィマ TEL 045-476-2045 06-6397-1053 028-627-1071 リニアテクノロジー株式会社 名古屋 052-533-0252 102-0094 東京都千代田区紀尾井町 3-6紀尾井町パークビル 8F TEL(03)5226-7291 FAX(03)5226-0268 http://www.linear-tech.co.jp 三 共 社 東京電子販売株式会社 伊 藤 電 機 株 式 会 社 株 式 会 社 オ リ ナ ス 株 式 会 社 ジ ェ ピ コ 株 式 会 社 本 社 本 社 本 社 本 社 本 社 TEL 03-5298-6201 TEL 03-5350-6711 TEL 052-935-1746 TEL 06-6943-5131 TEL 03-6362-0411 dn478f LT/TP 0510 • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2010