データシート - サンケン電気

LC5901S データシート
Rev.1.5
LC5901S
データシート
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サンケン電気株式会社
SANKEN ELECTRIC CO., LTD.
http://www.sanken-ele.co.jp
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目次
概要------------------------------------------------------------------------------------------------ 3
1.絶対最大定格 --------------------------------------------------------------------------------- 4
2.推奨動作条件 --------------------------------------------------------------------------------- 4
3.電気的特性 ------------------------------------------------------------------------------------ 5
4.ブロックダイアグラム -------------------------------------------------------------------------- 6
5.各端子機能 ------------------------------------------------------------------------------------ 6
6.基本接続 --------------------------------------------------------------------------------------- 7
7.外形寸法 --------------------------------------------------------------------------------------- 8
8.動作説明 --------------------------------------------------------------------------------------- 9
9.設計フローチャート --------------------------------------------------------------------------25
10.パッケージング ------------------------------------------------------------------------------26
11.代表特性例 ----------------------------------------------------------------------------------27
注意書き -----------------------------------------------------------------------------------------29
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概要
パッケージ
LC5901S は、オフ期間外部設定によるパルス・レシ
オ・コントロール(PRC)の平均電流制御を採用した、降
圧タイプ 1ch 出力 LED バックライト用コントロール IC
で、外付けの MOSFET と組み合わせて使用します。本
製品の制御方式の利点として、インダクタ電流のピーク
を検出するカレントモードとは異なり、スロープ補正や
外部位相補償が不要になるなどのメリットが有ります。
このため尐ない外付け部品点数で高効率、高精度な
LED 駆動を実現しています。充実した保護機能を備
え、幅広い LED 構成に対応し、アナログ/PWM 調光
に対応しております。本 IC は、薄型小型の SOP8 面実
装パッケージで供給されます。
SOP8
主要スペック
特長
電源電圧範囲
7V (MIN) ~ 18V(MAX)
オン時間調整範囲 1.0~9.0usec
コンバータ部
 動作タイプ:平均電流モード PRC 制御
外部位相補償回路不要
 オフ時間調整範囲 1.0~9.0usec
LED 制御部
 PWM 調光
 アナログ調光
 電流基準精度±2%
保護機能
 LED 出力短絡保護
パルス・バイ・パルス
 電流検知短絡保護
オートリスタート
 入力電圧低下保護
オートリスタート
 過熱保護(TSD)
オートリスタート
 パッケージ SOP8
アプリケーション
 LED バックライト
 LED 照明機器
 LED 電球
現品表示について
製品名
LC5901S
SK YMW
XXXX
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ロットナンバー
Y=西暦年号下一桁(0~9)
M=製造月(1~9,O=”10”,N=”11”,D=”12”)
W=製造週(1~5)
弊社管理番号
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1. 絶対最大定格
 詳細内容は、仕様書を参照願います
 電流値の極性は、IC を基準としてシンクを“+”、ソースを“−”と規定します
 特記なき場合の条件 Ta=25°C
表1
項 目
V
C
C
S
O
U
R
T
P
W
端 子
記 号
規 格 値
単 位
圧
2−3
VCC
−0.3~+18.0
V
圧
1−3
VCS
−0.3~+18.0
V
圧
4−3
VOUT
−0.3~+18.0
V
圧
5−3
VRT
−0.3~+3.6
V
圧
6−3
VPWM
−0.3~+3.6
V
端 子 電 圧
7−3
VUVLO
−0.3~+3.6
V
圧
8−3
VREF
−0.3~+3.6
V
端 子 流 出 電 流
5-3
IRT
±500
μA
8-3
IREF
±500
μA
―
PD
1.2
W
―
θj- Pin
65
°C /W
―
―
θj-a
95
°C /W
Tj
150
°C
―
Top
−40~+125
°C
―
Tstg
−40~+150
°C
端
C
端
子
端
T
端
E
R E F
電
電
子
端
F
R T
子
端
M
電
電
子
U V L O
R
子
子
電
電
端 子 流 出 電 流
備 考
(1)
許
容
損
失
(2)
熱抵抗(接合-リード(3 ピン))
熱抵抗(接合-周囲間)
(2)
ジ ャ ン ク シ ョ ン 温 度
(3)
動
(1)
作
保
(1)
(2)
(3)
周
囲
存
温
温
度
度
但し、ジャンクション温度により制限。
ガラスエポキシ基板 40×40mm(銅箔エリア 25×25mm)実装時
但し、過熱保護検出温度は約 150°C となる。
2. 推奨動作条件
 推奨動作条件とは、電気的特性に示す正常な回路機能を維持するために必要とする動作条件です。実使用は
当条件内にする必要があります
 電流値の極性は、IC を基準としてシンクを“+”、ソースを“−”と規定します
 特記なき場合の条件 Ta=25°C
表2
項目
記号
入力電圧範囲
動作周囲温度範囲
(4)
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規格
単位
MIN
MAX
VIN
8
17
V
TOP
40
85
°C
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条件
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3.
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電気的特性
 詳細内容は、仕様書を参照願います
 電流値の極性は、IC を基準としてシンクを“+”、ソースを“−”と規定します
3.1 制御部電気的特性
特記なき場合の条件 Ta=25°C、VIN=12V
表3
項 目
端 子
規 格 値
記 号
単 位
MIN
TYP
MAX
備考
動
作
開
始
電
源
電
圧
2−3
VCC(ON)
6.5
7.0
7.5
V
動
作
停
止
電
源
電
圧
2−3
VCC(OFF)
6.0
6.5
7.0
V
動作開始停止ヒステリ シス
2−3
VCC(HYS)
-
0.5
-
V
動
作
時
回
路
電
流
2−3
ICC(ON)
-
1.2
2.0
mA
停
止
時
回
路
電
流
2−3
ICC(OFF)
-
0.32
0.5
mA
VUVLO=0V
オ
フ
時
間
1
4-3
TOFF1
6.9
8.4
9.8
usec
RRT=80kΩ
オ
フ
時
間
2
4-3
TOFF2
0.85
1.0
1.2
usec
RRT=10kΩ
最
大
オ
ン
時
間
4-3
tONMAX
170
220
280
usec
最
小
オ
ン
時
間
4-3
tONMIN
-
-
1.3
usec
R
E
F
端
子
電
圧
1
8-3
VREF1
0.980
1.0
1.020
V
R
E
F
端
子
電
圧
2
8-3
VREF2
1.764
1.8
1.836
V
P WM 端子オンし きい電圧
6-3
VPWM(ON)
1.7
2.0
2.5
V
P W M 端子オフ し きい電圧
6-3
VPWM(OFF)
0.8
1.1
1.9
V
PWM 端子プルダウン抵抗
6-3
RPWM
128
200
280
kΩ
OUT 端 子 出 力 抵 抗 (ソース側 )
(5)
4-3
Ron_H
-
17
-
Ω
OUT 端子出力抵抗(シンク側)
(5)
4-3
Ron_L
-
14
-
Ω
UVLO 端子オンしきい電圧
7-3
VUVLO(ON)
0.75
1.00
1.3
V
UVLO 端子オフしきい電圧
7-3
VUVLO(OFF)
0.65
0.85
1.1
V
UVLO 端子ヒステリシス電圧
7-3
VUVLO(HYS)
0.05
0.15
0.25
V
端 子 放 電 抵 抗
7-3
RUVLO
0.5
1.0
1.5
kΩ
UVLO 端子放電停止しきい電圧
7-3
VUVLO(RST)
180
250
320
mV
U V L O
過 電 流 保 護 し き い 電 圧
1-3
VOCP
2.3
2.5
2.7
V
CS 端子ブランキング時間
(5)
1-3
tLEB
-
200
-
nsec
過
度
(5)
-
TSD
-
150
-
°C
過熱保護温度ヒステリ シス
(5)
-
TSD(HYS)
-
30
-
°C
熱
保
護
動
作
温
(5)
設計保証値です。
*電流の規定は IC を基準として、シンクが+、ソースが-とします。
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RRT=12kΩ
RREF=10kΩ
RRT=10kΩ
RREF=15kΩ
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3.2 ブロックダイアグラム
図 1. ブロックダイアグラム
4. 各端子機能
表4
1
8
CS
REF
VCC
UVLO
GND
PWM
OUT
RT
端子番号
記号
1
CS
機能
電流検出端子
電源入力端子
・8V~17V の電圧を本端子に供給します
2
VCC
・IC に電流を供給するためコンデンサを VCC と GND 端子間
に接続します
図 2. 端子配置
3
GND
4
OUT
5
RT
グランド端子
MOSFET ゲート駆動端子
オフ時間可変端子です。
調整用抵抗器 RRT を GND 間に接続します
6
PWM
PWM 調光信号入力端子
・PWM 信号を入力すると、LED ストリングの調光が可能です。
7
UVLO
入力電圧検出端子
8
REF
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LED 電流制御基準設定端子です
調整用抵抗器 RREF を GND 間に接続します
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5. 基本接続
5.1 LC5901S の基本接続
LC5901S
上記は LC5901S の基本接続を示しています。デモボードの回路図は図 21 を参照してください
図 3. LC5901S 基本接続図
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6. 外形寸法
SOP8 パッケージ
Top view
8
1
7
2
6
5
3
4
side view1
side view2
NOTES:
1)単位:mm
2)図は一定の縮尺で描かれていません
図 4. SOP8(SOIC8)パッケージ外観
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7. 動作説明
電流値の極性を、IC を基準としてシンクを“+”、ソースを“−”で規定します。
特記なき場合の特性数値は、TYP 値を表記します。
7.1 PRC(Pulse Ratio Control)制御
本 IC の制御は、PRC 制御を採用しております。本 IC の RPC 制御はオフ時間を一定時間に固定した状態でオン
時間を制御することで LED 電流が所定の電流値となるように制御します。PRC 制御を採用することにより、位相
補償が必要なくなるため安価にシステムを構成することが可能となります。
オフ時間は RT 端子に接続する抵抗値によって任意の時間に設定頂くことが可能となります。
オン時間は、CS 端子から検出したスイッチング電流信号を基に推測した平均 LED 電流信号が、別途設定した REF
端子電圧信号に比例した値となるように動作します。
7.2 オフ時間設定
LC5901S のオフ時間設定は RT 端子(5 ピン)~GND 端子(3 ピン)間に接続した設定抵抗RRTの値によって設定さ
れます。オフ時間 tOFF は式1にて計算することができます。RRTの抵抗値に対するオフ時間の相関は図 5 のようにな
ります。
Ω
図 5. RRT vs. tOFF の関係
尚、RRT の抵抗値の設定は、LED 電流 ILED を決める際の重要な要素となります。
7.2.1 周波数設定
接続する LED ストリングの直列数により、出力電圧 VLED は LED 単体の VF×個数+CS 端子電圧(V)とな
ります。
Duty D=VLED/VIN
・・・(2)
TON=TOFF×D/(1-D)
・・・(3)
T=TON+TOFF ・・・(4)
FOSC=1/T ・・・(5)
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RRT=100kΩとします。(1)式より TOFF=10μS。LED の VF を 3.5V(Max)とし、14 個直列とします。この時必要
な出力電圧 VLED は(3.5V×14 個)+VCS≒50V。LED ドライバの入力電圧 VIN=110V の場合、
D=49V/110V=0.445
TON=10μsec×0.445/(1-0.445)=8μsec
T=10μsec+8μsec=18μsec →FOSC=1/18μsec=55.55kHz
これをグラフにすると図 6~図 8 のようになります。
図 6. RRT=100kΩ,VIN=110VDC 時の LED 灯数 vs. Ton & 周波数
図 7. RRT=82kΩ,VIN=110VDC 時の LED 灯数 vs. Ton & 周波数
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図 8. RRT=47kΩ,VIN=110VDC 時の LED 灯数 vs. Ton & 周波数
このように、TOFF 期間を短く設定すると相対的に SW 周波数は上昇します。また、LED の個数が多く、VLED が高い
場合は TON が開きますので、周波数が下がる特性になります。
7.3 基準電圧(VREF)設定
基準電圧は REF 端子(8 ピン)~GND 端子(3 ピン)間に接続した設定抵抗 RREF と、RT 端子(5 ピン)~GND 端子(3
ピン)間に接続した設定抵抗 RRT の値によって設定されます。基準電圧 VREF は式 6 にて計算することができます。
RREF の抵抗値にたいする基準電圧 VREF の相関は図 9 のようになります。
基準電圧の設定上限電圧は 2.5V になります。
Ω
Ω
図 9. RREF vs. VREF の関係
図 9 は、RRT と RREF の 2 本の抵抗より設定される基準電圧 VREF の関係になります。LED ストリングに流れる電流の
平均値を図 3 の検出抵抗 RCS で電圧変換して検出し、検出した値が基準電圧 VREF と一致するように予測制御し
ます。
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7.4 LED 電流設定
LED 電流制御は、Q1 がオンした時の LED 電流 ILED を出力電流検出抵抗 RCS で検出し、検出した LED 電流信
号の平均値が、予め設定した基準電圧 VREF 電圧と等しくなるように制御します。
LED 電流 ILED の設定は式 7 にて計算することができます。
LED 電流値を変更したい場合には、REF 端子に接続された基準電圧設定抵抗 RREF の値を変化させることで任
意の電流値に変更いただくことができます。(RCS の抵抗値を固定した状態で、RREF で LED 電流を可変できます。)
Ω
これをグラフ化すると図 10 のようになります。
図 10. VIN=110VDC、RREF vs. ILED
RCS=2.2Ω VREF≦2.5V
尚、以上の関係から、調整する際の分解能は、RRT が大きく、周波数設定が遅い場合の方が広くなります。図 10 の
計算例は RCS=2.2Ωで固定しておりますが、これを 1Ωにすると、LED 電流は 2.2 倍になります。必ず外付けのパ
ワーMOSFET の仕様、発熱状況も加味して、RRT および RREF により ILED を実働確認~調整をお願いします。
7.5 調光機能
7.5.1 PWM 調光
PWM 端子は PWM 調光信号の入力端子となります。PWM 端子にオン閾値電圧 VPWM(ON)=2V、オフ閾値電圧
VPWM(OFF)=1.0V を満足する PWM 調光信号を入力します。(駆動パルスのピーク電圧:2.5V~3.3V 推奨)
PWM 端子には GND 端子との間にプルダウン抵抗 200kΩ(typ)が接続されております。
図 11. PWM 調光パルスの条件
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7.5.2 アナログ調光
アナログ調光の場合は PWM 端子に DC2.5V 以上を印加しておき、REF 端子に接続された RREF を可変して
行ってください。
図 12. アナログ調光の手段
図 12(A)は RREF をいわゆるボリューム(可変抵抗)を用いて可変する方法です。図 12(B)は RREF0 で最大調光、Q1、
Q2 を順次 ON にして RREF1、RREF2 が並列に入ることで合成抵抗値を下げ、ILED を 3 段階に可変する方法です。
図 10 のように、RREF を小さくすることで LED 電流を小さくすることができます。
7.6 外付け MOSFET ゲート駆動
図 13 に OUT 端子の周辺回路を示します。OUT 端子は外付けパワーMOSFET のゲート駆動用端子です。
・パワーMOSFET は、ゲート~ソース間しきい電圧 VGS(th)が全使用温度範囲で VGS(th)<VOUT を満足するも
のを選定願います。
・OUT 端子とパワー MOSFET のゲート間に抵抗、ダイオード等を接続いただくことで EMI ノイズを調整頂くことができま
す。
・パワーMOSFET のドレインの急峻な dv/dt 印加による誤動作を防止のため、パワーMOSFET のゲート~グランド
間に 10kΩ~100kΩの放電抵抗を接続ねがいます。
SBD
図 13. 外付けパワーMOSFET のゲート駆動回路
設定例としては、図 13 の Turn ON Speed Adjust の抵抗を 100Ω程度、Turn OFF Speed Adjust の抵抗を 10Ω程
度、Turn OFF Speed Adjust の抵抗には外付けパワーMOSFET のゲート耐圧と同じ耐圧のショットキーバリアダイ
オードを直列接続してください。
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尚、ゲートを駆動する電圧は一定では有りません。VCC 端子電圧と連動するシステムになっております。このため
VCC が 17V の場合、ゲート駆動電圧もおよそ 17V になります。外付けパワーMOSFET のゲート耐圧は±20V 或
いは±30V のものを選定してください。また、LC5901S のチップ内蔵ドライブ段の回路抵抗は、
・ソース側:17Ω(Typ)
・シンク側:14Ω(Typ)
となっております。この抵抗成分は変更できません。したがって、スイッチングスピードの外部調整は、図 13 の様に
LC5901S の OUT 端子~外付けパワーMOSFET のゲート間に抵抗を挿入して行ってください。
7.7 入力電圧低下保護(UVLO)
LED 電源電圧低下保護、LED 駆動用電源(主回路の VIN 電圧)を抵抗分圧した UVLO 信号を UVLO 端子に
接続します。UVLO 端子に UVLO オン閾値電圧 VUVLO(ON)=1.0V 以上の電圧が印加されると IC が動作し、UVLO
オフ閾値電圧 VUVLO(OFF)=0.985V を下回ると PWM 端子に High 信号が入力された状態でも IC は動作しません。
また、OCP 保護、tOMMAX 保護が動作すると、UVLO 端子リセットスイッチがオンとなり、UVLO 端子電圧を 250mV
以下に放電します。
UVLO 分圧抵抗と UVLOCAP の充電時定数により、UVLO 端子電圧が UVLO オン閾値電圧 VUVLO(ON)以上に
充電されるまでの期間動作が停止します。
図 14. UVLO 端子の入力
UVLO は IC 内部で VCC を検出している VCCUVLO が有ります。IC 内部の VCCUVLO と、UVLO 端子の
UVLO は AND 条件になります。双方が解除されないと発振開始しません。
主回路の VIN 電圧が高い場合、UVLO の検出抵抗が損失になるため抵抗値の選定にはご注意ください。図 15
は、図 14 における RUVLO2 を 100kΩにした場合に、分圧抵抗の RUVLO1 の抵抗値を振った場合の UVLO 解除電
圧のグラフになります。
尚、UVLO 端子~GND に入っているコンデンサ CUVLO は、SKIP 動作における時定数用として使用します。
また、UVLO を利用した保護では、最大 ON 時間=220μsec の保護が有ります。たとえば LED 負荷がオープン
になるなどの状態が発生した場合、CS 端子の電圧が目標となる制御上の基準電圧に達しないため、ON 期間は
最大 ON 時間まで開きます。この時点で UVLO 端子を強制放電して SKIP 動作へ移行する保護となります。
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図 15. UVLO 解除電圧の設定例
図 15 において、
・全 Typ 値・・・VUVLO(ON)=1.00V,分圧(下)=Typ 値,分圧(上)=Typ 値
・高めばらつき・・・VUVLO(ON)=1.05V,分圧(下)抵抗-1%,分圧(上)抵抗+1%
・低めばらつき・・・VUVLO(ON)=0.95V,分圧(下)抵抗+1%,分圧(上)抵抗-1%
※抵抗は便宜上許容差 F 品(±1%)とした場合です。通常品(許容差 J:±5%)では設定抵抗の値が大きくなるに
つれて、ばらつき幅が更に大きくなります。
※ただし LC5901S の VCC は、主回路 VIN 電圧とは別の系統から給電され、VIN(ON)=7V 以上あるものとします。
※UVLO の開始電圧 VUVLO(OFF)は 0.985V です。
7.8 過電流保護機能(OCP)
インダクタンスの飽和、短絡等により、出力電流検出抵抗 RCS の両端電圧が、過電流保護閾値電圧 VOCP=2.5V 以
上の電圧になると、パワーMOSFET 駆動信号 VOUT は Low レベルとなり、UVLO 放電スイッチが動作します。
CS 端子電圧が 2.5V(typ)になる(OCP 条件発生)
↓①
UVLO~GND 間の時定数コンデンサ CUVLO を 1kΩ(内部の放電インピーダンス)で放電する。
UVLO 端子電圧が 0.985V(typ)になったら発振停止する。
↓②
発振停止後も CUVLO の放電を継続し、UVLO 端子放電停止しきい電圧 VUVLO(RST)=250mV に達した時点で、
放電は解除される
↓③
UVLO 設定用の分圧抵抗経由で時定数コンデンサ CUVLO が再び充電され、
1V(typ)に上昇したら発振開始する。
↓
過負荷状態が解消されない場合は①~③を繰り返すことで SKIP(ヒカップ動作)になる。
SKIP の時間間隔は分圧抵抗のインピーダンスと、CUVLO の容量値により調整することができます。UVLO 端子の
分圧抵抗は、上側が主回路 VIN に接続しています。主回路 VIN の電圧が頻繁に変動する場合は、SKIP の時間間
隔は安定しない事が有ります。
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また、CS 端子の内部にはリード・エッジ・ブランキング(LEB)が内蔵されていますが、tLEB 期間より長く
RCS の両端の電圧信号に大きなノイズが重畳されている時は図 16 のように RC フィルタを併用してください。
図 16. CS 端子用 RC フィルタ設定例
RC フィルタの定数は、CR の時定数が大きいと制御遅れが大きくなり、動作が不安定になることが有ります。
ノイズ対策のため RC フィルタを追加する場合は、必ず実働で確認調整してください。
SKIP(ヒカップ)動作の間隔については、CUVLO の充放電の特性によります。SKIP 動作に入った状況で過負荷状態
が解消されない場合は SKIP 動作が続く事になりますが、スキップの間隔は UVLO 端子内部の放電抵抗 1kΩと、
RUVLO1 と RUVLO2 の合成抵抗による充電で決まります。
CUVLO の時刻 t における放電時端子電圧=1V×e-(t/CUVLO×1kΩ)
・・・(8)
※VUVLO=1V にて UVLO 解除~スイッチング開始しますが、起動即過電流の場合は CUVLO を放電して SKIP
モードになります。従って、1V からの放電になり、放電解除電圧=0.25V まで継続します。放電終了後、RUVLO1 と
RUVLO2 の合成抵抗により CUVLO は再度 VUVLO=1V まで充電されます。これを繰り返します。
RUVLO1 と RUVLO2 の合成抵抗 RSUM=(RUVLO1×RUVLO2)/(RUVLO1+RUVLO2)
RUVLO1 と RUVLO2 の分圧電圧 VUVLODIV=VIN×RUVLO2/RUVLO1+RUVLO2
CUVLO の時刻 t における充電時端子電圧=VUVLODIV×(1-e-(t/CUVLO×RSUM) )
・・・(9)
図 17 は VIN=110V、RUVLO1=3.6MΩ、RUVLO2=100kΩ、CUVLO=0.011μF 設定時の充放電曲線計算例です。
SKIP の間隔は、(1V→0.25V までの放電時間)+(0.25V→1V までの充電時間) となります。
放電時間
充電時間
(A)放電曲線の計算例
(B)充電曲線の計算例
図 17. CUVLO の放電/充電の計算例
※SKIP 時の各部品の発熱を確認しながら、CUVLO を調整して SKIP 間隔を決定してください。
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7.9 最大オン時間保護機能
出力電流検出抵抗 RCS の短絡や、LED 駆動電源電圧の低下などの要因によりパワー MOSFET 駆動信号 VOUT
が High 状態を継続した場合の保護として、パワーMOSFET 駆動信号に最大オン期間を設けています。
オン期間が最大オン期間 tONMAX=(220μsec Typ)以上になると、即座にパワーMOSFET 駆動信号 VOUT は Low
レベルとなり、UVLO 放電スイッチが動作します。この場合も OCP 条件での SKIP と同じ制御になります。
図 18 の波形は、LED ストリングオープン時の最大オン時間保護機能による SKIP(HICCUP)動作例です。
Ch1:VLED:50V/div
LED ストリングオープン
Ch2:VUVLO:1V/div
← zero of Ch1&Ch2
Ch3:VCS:1V/div
← zero of Ch3
Ch4:Id:0.5A/div
← zero of Ch4
Time div:400μsec
図 18 最大オン時間保護の実働波形例
7.10 過熱保護機能(TSD)
IC の温度が、熱保護動作温度 TJ(TSD)=150℃(typ.)以上になると、即座に発振を停止し、発振停止を維持します。
IC の温度が TJ(TSD)-TJ(TSD)HYS 以下になると、通常の動作に自動復帰します。TJ(TSD)HYS はおよそ 30℃に設定され
ています。
※注意事項
過熱保護は、瞬時短絡等での損失増大による発熱に対して、熱的暴走から IC を遮断するのが目的です。長時
間の短絡状態や発熱が継続する状態において、その信頼性を含めた動作を保証するものではありません。
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8. 設計上の注意点
8.1 外付け部品
各部品は使用条件に適合したものを使用します。
・入力平滑用電界コンデンサ
リップル電流・電圧・寿命に対し、適宜設計マージンを設定します。
電界コンデンサは、スイッチング電源用の許容リップル電流値が高い、低インピーダンスのものを使用します。
・インダクタ
銅損・鉄損による温度上昇に対し、適宜設計マージンを設定します。
磁気飽和に対し、適宜設計マージンを設定します。
・電流検出用抵抗
電流検出抵抗は、高周波スイッチング電流が流れるため、内部インダクタンス値が小さく、許容損失を満足するも
のを使用します。
8.2 インダクタの設計
LC5901S では、設計段階の計算例で、ワースト条件でも連続電流モードになるようなインダクタンス設定を推奨
しています。これは本 IC の制御方式に対応するための条件ですのでご注意ください。
LC5901S は降圧型コンバータとして動作するため、負荷となる LED の VF 以上の電圧を LED 駆動電源として供
給する必要があります。TOFF 固定 PRC 方式のため、設定抵抗 RRT の抵抗値により TOFF 期間は設定されます。TON
期間は LED ストリングへ供給する電圧 VLED により自動的に制御されます。このため LED ストリングの電圧(VF×
n)が変動すると TON が変化するため、周波数が変動します。計算に使う LED の VF はワースト条件値を代入してく
ださい。降圧型コンバータの ON Duty はフライホイールダイオード DS の VF は VLED が十分に高いと仮定して省略
すると、
・スイッチングの 1 周期 T=TON+TOFF ・・・(10)
・Duty=TON/T=VLED/VIN ・・・(11)
・TON=D×T ・・・(12)
・T=TOFF/(1―D) ・・・(13)
・スイッチング周波数 FOSC=1/T ・・・(14)
ここで、周波数を下げた設定・・・TOFF 期間を長く設定した場合は、可聴周波数帯域内へ下がらないようにご注
意ください。たとえば TOFF=10μsec と設定した場合、Duty=0.5 で 1 周期=20μsec により FOSC=50kHz となり、
Duty=0.8 では 1 周期=50μsec になるため、FOSC=20kHz となります。まれに 20kHz の音を聞き取ることが出来る
人がいますので、ワーストでも 30kHz 程度に抑えて設定されることを推奨します。
インダクタンス値は、インダクタ電流が電流連続モード(Continuous Conduction Mode:CCM)になるように設定しま
す。LED に流れる電流とインダクタ電流は概ね等しくなるため、なるべく電流リップルが尐なくなるようにインダク
タンス値は大きな値を選定します。出力電流 ILED の平均値を ILED(AVE)、リップル電流を⊿IL とすると、CCM 動作
の条件は次式になります。
ILED(AVE) - ⊿IL / 2 > 0 ・・・(15)
パワーMOSFET が ON の期間 TON にインダクタに流れる電流の増加分を⊿ION、オフの期間 TOFF の減尐分を⊿
IOFF とすると、リップル電流⊿IL との関係は⊿ION=⊿IOFF=⊿IL となります。
VF は VLED に対して十分に小さいので無視できるものとすると、⊿IOFF は、
⊿IOFF=VLED×TOFF / L ・・・(16)
となります。
ここでは仮に LED ストリングの LED 個数を 14 個直列、LED 一個あたりの VF を 3.5V とすると、必要な VLED は
VLED=3.5V×=14 個=49V、LED ストリングの電流を ILED=0.35A、入力電圧 VIN=110V とします。
推奨インダクタ電流条件:連続電流モードですので、
CCM 条件 :ILED(AVE)-(⊿IL/2)>0 ・・・(15/再掲)
ILED=0.35A , CCM の条件より、式 15 から⊿IL<0.7A ですが、これでは LED ストリングと並列接続する COUT の
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リップル電流が大きいため、一般的な降圧型 DC/DC コンバータの推奨⊿IL/Io=0.2~0.3 より、⊿IL の比率を
ILED の 30% (⊿IL=0.105A )とします。図 6 の計算例から、RRT=100kΩ時の周波数 FOSC を 55.55kHz とすると、
必要なインダクタンス値は
L≧{(VIN-VLED)×VLED}/(⊿IL×VIN×FOSC) ・・・(17)
より、
L≧{(110V-49V)×49V}/(0.105A×110V×55.55kHz)≒4.7[mH]
が求められます。
部品選定の際には、計算で求めたインダクタンス値に基づいて、直流重畳特性を満足し、ご使用の ILED で磁気
飽和を起こさない事が求められます。また、巻線の DCR による発熱がメーカー保証値以下であることが必要です。
8.3 フライホイールダイオード
外付けのパワーMOSFET のスイッチング周期における OFF 期間にエネルギーを回生するフライホイールダ
イオード(図 3 の Flywheel Diode DS)は、必ず逆方向リカバリ時間 Trr の短い高速整流/超高速整流ダイ
オードをご使用ください。
商用電源整流用などのリカバリ時間が遅い一般整流ダイオードは使用しないでください。
なぜなら、リカバリ期間に大きな短絡電流が流れ、ダイオードそのものが発熱するとともに、主回路も正常に動
作しなくなり、最悪の場合破損に至ることが有ります。
尚、使用条件によっては、逆方向耐圧 VR が許容出来ればショットキー・バリア・ダイオードも使用可能です。
フライホイールダイオードの電流は、TOFF 期間に ILED+(⊿IL/2)のピーク電流が流れ、スイッチング周波数
での繰り返しとなります。
8.4 入力平滑電解コンデンサ
入力電圧 VIN 用の電源インピーダンスが限りなくゼロに近ければ、入力平滑電解コンデンサ CIN にはリップ
ル電流は流れませんが、VIN の『インピーダンス=ゼロ』という条件はあくまで理想であり、実際には有りえま
せん。
ここでは最悪 100%入力平滑コンデンサ CIN から電力供給するものとしてワースト条件でのリップル電流計
算方法を述べます。
入力平滑電解コンデンサは、充放電を繰り返しています。計算は以下の手順で行います。
IIN(AVE)=IO×D
・・・(18)
※D:Duty (=VLED/VIN 又は TON/TON+TOFF)、 IO=負荷電流
インダクタリップル電流⊿IL は
⊿IL={(VIN-VLED)×TON}/L
・・・(19)
ILp’={IO+(⊿IL/2)}-IIN(AVE)
・・・(20)
ILb’={IO-(⊿IL/2)}-IIN(AVE)
・・・(21)
1)放電側
図 19.入力平滑電解コンデンサの
・・・(22)
2)充電側
・・・(23)
3)入力平滑電解コンデンサ総合リップル電流
・・・(24)
(計算例)
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リップル電流モデル
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VIN=110VDC、VLED=49V(3.5V×14 個)、ILED=0.35A、Duty=0.445、RRT=100kΩ(TOFF=10μsec)、
TON=8μsec、⊿IL=0.105A の場合、式 18~24 を用いて計算すると、
・IIN(AVE)=0.35A×0.445=0.156A
・ILp’={0.35A+(0.105A/2)}-0.156A=0.246A
・ILb’={0.35A-(0.105A/2)}-0.156A=0.141A
放電側
・ICIN RIPPLE(DIS)=SQRT{8μsec×(0.246A2+0.246A×0.141A+0.141A2)/3×18μsec}=0.131A
充電側
・ICIN RIPPLE(CHG)=SQRT{(1-0.445)×0.156A2}=0.116A
●総合リップル電流
ICIN RIPPLE=SQRT{0.131A2+0.116A2}=0.175A(RMS)
電解コンデンサの許容リップル電流に対するディレーティングを 90%とすると、部品の定格としては
ICIN RIPPLE/0.9=0.194A 以上流せる部品を選定する必要が有ります。
8.5 電流検出抵抗
電流検出抵抗は巻線型などの誘導性抵抗器は使用しないでください。寄生インダクタンス成分による
サージ電圧などで、思わぬ誤動作を起こすことが有ります。金属板抵抗/金属皮膜抵抗/炭素皮膜抵抗等
の非誘導性抵抗をお使いください。アキシャル・ラジアルリード部品はリードが極力短くなるよう実装願いま
す。
※損失の計算
RCS=2.2Ω、RRT=100kΩ、RREF=64.16kΩで VREF=0.77V(ILED=0.35A)時、
検出抵抗 RCS の平均損失は、RCS に流れる電流を IRCS とすると、
IRCS=ILED×D
PRCS=IRCS2×RCS
・・・(25)
・・・(26)
IRCS=0.35A×0.445=0.156A
PRCS=0.156A2×2.2Ω=53.5mW
これだけを考えると、通常動作中は 1/4W か 1/8W の 2.2Ωでよさそうです。
しかし何らかの要因で、たとえばアブノーマル状態で、VCS=2.5V、IRCS=1.136A 連続になった場合、
こういったワースト条件で 2.2Ωの RCS が焼損しないようにするには、
PRCS’=1.136A2×2.2Ω=2.839W より、2.839W/50%として、5.678W に耐える検出抵抗が必要です。
尚、保護ヒューズなどとの保護協調が別にある場合は、この限りでは有りません。
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8.6 外付けパワーMOSFET
選定条件
1)ドレイン~ソース間耐圧(VDS)
パワーMOSFET のドレイン~ソース間は TOFF 期間に VIN-VF(フライホイールダイオード)の電圧がか
かります。ただしターンオフ時などのサージを考慮すると、安全を見て VIN の 2 倍以上を目安に選定する
と良いでしょう。
2)ゲート~ソース間耐圧(VGS)
LC5901S のゲート駆動電圧は一定ではなく、VCC 電圧に比例して変動します。この点にご注意いただき
VCC 電圧が仮に推奨範囲の上限 17V まで振れる時は、ゲート~ソース間耐圧 VGS が 20V~30V のものを
選定してください。基本的に安定化された 12V を VCC 端子へ入力している場合は、VOUT のパルス波形
における波高値は約 12V です。
3)その他
パワーMOSFET では、大きなパッケージで内蔵チップの大きな品種が低オン抵抗の傾向には有ります。
ただし背反事項としては接合間の容量、たとえば Ciss などが大きくなり、大きな駆動電流が必要になりま
す。LC5901S のドライブ能力を考慮すると、TO-220 クラス以下のパワーMOSFET が組み合わせとしては良
いでしょう。
8.7 出力平滑コンデンサ
LED ストリングのリップル電流仕様により、COUT 有無や、容量を決めます。
リップル電流を大きく設定できる場合は、インダクタの L 値を小さくしたり、COUT 容量を小さくまたは削除したりで
きます。これにより電源サイズやコストの低減ができます。
リップル電流を小さくする場合は、インダクタの L 値を大きく、または LED ストリングと並列に COUT を接続します。
リップル電流を小さくするとリップル電流変動による LED の発熱分を低減できます。
また、LED ストリングが出力端から離れた位置にある場合は、COUT を LED ストリングの近くに並列接続し、リップ
ル電流、リップル電圧を低減します。
出力コンデンサのリップル電流実効値は(27)式で求めます。
Irms 
⊿IL
-----(27)
2 3
許容リップル電流が 0.14A 以上のコンデンサが必要になります。レギュ
レータの出力リップル電圧 Vrip は、チョークコイル電流の脈流部⊿IL と出
力コンデンサ CO の等価直列抵抗 ESR の積によって定まります。
⊿IL を 0.5A とした場合、
Irms 
0.5
2 3
≒ 0.14A
Vrip  ⊿IL  CoESR -----(28)
従って出力リップル電圧を小さくするには、等価直列抵抗 ESR の低いコンデンサを選ぶ必要があります。一般
的に電解コンデンサでは同一シリーズの製品ならば、同一耐圧で容量が大きい程、又は同一容量で耐圧が高
い程(≒外形が大きくなる程)ESR は低くなります。
⊿IL = 0.5A
Vrip = 40mV とした場合、
CoESR  40  0.5  80m
ESR が 80mΩ 以下のコンデンサを選べば良いことになります。ESR は、一般に温度によって変化し低温になると増
加します。使用温度における ESR を確認する必要があります。ESR 値はコンデンサ固有のものですので、コンデン
サの製造元に問い合わせ下さい。尚、セラミックコンデンサを使用する場合、印加電圧により容量が減尐する特性
を持っていますので、選定の際はご注意ください。
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8.8 参考パターンレイアウト
8.8.1 配線レイアウトパターン例
以下に LC5901S のデモボード基板のパターン図を示します。
※デモ基板(For Evaluation board :t=1.6mm Single sided PCB,Thickness of Cupper foil=35μm)
図 20(A). 基板表面(シルク図)
図 20(B). 基板裏面
※上記基板は、改良のため修正されることが有ります。
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注記 SOP8 用
1)寸法表記 mm (inch)
2)図は一定の縮尺で描かれていません
図 21. フットプリント図
8.8.2 デモボード回路図
P_IN:DC110V, VCC=13V, L01=2.2mH, C1=1nF, C2=C3=22nF, C4=Open, C5=0.22μF, C6=220pF,
C7=Open, C8=0.33μF/250V, C9=22μF/25V, C10=10μF/250V, D01=SF28G, D02=1N414WS, IC04=欠番,
Q1=KF9N25D, R1=Open, R2=欠番, R3=欠番, R4=欠番, R5=6.8kΩ, R6=R7=R8=1MΩ, R9=100kΩ,
R10=200kΩ, R11=100Ω, R12=10Ω, R13=10kΩ, R14=1kΩ, R15=1Ω/2W, R16=2Ω/2W, R17=Open,
※実験評価を行う基板であるため、オプション部品も含んでいます。
図 22. デモボード回路図
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8.8.3 基板設計上のご注意
パターン配線および実装条件によって、誤動作・ノイズ・損失などに大きな影響が現れます。このため、配線の引回し
や部品配置には十分な注意が必要です。
図のように高周波電流がループを作る部分は、ラインパターンを“太く”、部品間の配線を“短く”、ループ内面積
が極力小さくなるようにして、ラインインピーダンスを下げたパターン設計を行います。
また、アースラインは輻射ノイズに大きな影響を与えるため、極力“太く”、“短く”配線します。
スイッチング電源は、高周波、高電圧の電流経路が存在するため、安全規格面を考慮した部品配置、パターン距離
が必要です。(安全低電圧・SELV を超える様な入出力条件の場合)
IC 内蔵パワーMOSFET の ON 抵抗 RDS(ON)は、正の温度係数のため、損失に注意してください。
図 23. 高周波ループ(斜線部分)
(1) 主回路パターン
主回路パターンはスイッチング電流が流れるため、極力“太く”、“短く”配線します。
入力部の高周波電流インピーダンスを下げるため、入力コンデンサ CIN 、VIN 端子、GND 端子で作る
ループは小さくなるように配線します。
(2) GND 端子周り
主回路のスイッチング電流が制御回路へ影響を与えないようにするため、主回路系と制御系のグランドは
GND 端子近傍から専用パターンで配線します。
(3) 電流検出用抵抗 RCS 周り
電流検出時のノイズを低減するため、CS 端子、および CS 端子につながる RCS のパターンは、専用パターン
により RCS の近傍に配線します。
(4) IC 周辺部品
COMP 端子に接続した位相補償用部品は、COMP 端子と GND 端子近くに接続します。TOFF 設定抵抗
RRT、基準電圧設定用 RREF も同様に GND 端子の近くに接続します。主回路電流がながれているパターンと
共通インピーダンスにならない様にご注意ください。
(5) 出力平滑コンデンサ COUT は、LED ストリングの近くに接続します。
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9. 設計フローチャート
インダクタ設定
VLED:(VF×n)
VIN
ILED
条件設定
パワーMOSFET
Flywheel ダイオード選定
Duty 計算
COUT 設定
RRT
TOFF 設定
CIN 設定
TON
FOSC 計算
外部 UVLO 設定
RUVLO1
RUVLO2
SKIP 間隔調整
CUVLO
このフローチャートは定数の選定のみ
の机上設計検討用です。
RREF→VREF
RCS→VCS
RREF vs. ILED 設定
実働におけるノイズ対策や放熱対策は
含まれていません。別途これらは
実働実験により、調整してしてください。
⊿IL 設定
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10. 梱包仕様
φ1.55
部品装着くぼみ角穴
5.55
12.0
送り丸穴
5.5
0.3
1.75
10.1 テーピング&リール外観
φ2.05
2.47
6.7
8.0
4.0
EIAJ No.TE1208
2.0
図 24. テーピング外観
注記
1)寸法表記 : mm
2)表面抵抗 : 109Ω以下
3)図は一定の縮尺で描かれていません
注記:
1)寸法表記 : mm
2) 図は一定の縮尺で
描かれていません
φ13
図 25. リール外観
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EIAJ No.RRM-12DC
±0.2
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φ330±2
±0.8
φ80±1
φ21
13.5
17.5
±0.5
±1.0
梱包数量
4000 個/リール
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11. 代表特性例
条件:VCC=12V,RRT=10kΩ,RREF=5kΩ,Ta=25℃
8.1 VCC vs. ICC(ON)
8.2 VCC vs. ICC(OFF)
図 26
図 27
8.3 VPWM vs. VOUT
8.4 VUVLO vs. VREF
図 28
図 29
8.5 VUVLO vs. IUVLO
8.6 VCS vs. IUVLO (VCS=2.5V→OCP/HICCUP)
図 30
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図 31
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8.8 Ta vs.Ton(Min)
←Activate
Recovery→
8.7 Ta vs. VOUT (Thermal Shut-down Activation)
図 32
図 33
8.9 Ta vs. Ton(Max)
8.10 Ta vs. T OFF (RRT=10kΩ)
図 34
図 35
8.11 Ta vs. TOFF(RRT=80kΩ)
8.12 Ta vs.VREF(RREF=5kΩ)
図 36
図 37
8.13 Ta vs. PWM Pin Pull-down Resistance
図 38
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使用上の注意
弊社の製品を使用、またはこれを使用した各種装置を設計する場合、定格値に対するディレーティングをどの
程度行うかにより、信頼性に大きく影響します。ディレーティングとは信頼性を確保または向上するため、各定格
値 から負 荷 を軽 減 した 動 作 範 囲 を設 定 した り 、サ ー ジや ノ イズ などに つ い て 考 慮 した り す る こと で す 。
ディレーティングを行う要素には、一般的に電圧、電流、電力などの電気的ストレス、周囲温度、湿度などの環境
ストレス、半導体製品の自己発熱による熱ストレスがあります。これらのストレスは、瞬間的数値、あるいは最大値、
最小値についても考慮する必要があります。
なお、パワーデバイスやパワーデバイス内蔵 IC は、自己発熱が大きく接合部温度のディレーティングの程度
が、信頼性を大きく変える要素となるので十分に配慮してください。
保管環境、特性検査上の取り扱い方法によっては信頼度を損なう要因となるので、注意事項に留意してくださ
い。
保管上の注意事項
 保管環境は、常温 (5~35°C)、常湿 (40~75%)中が望ましく、高温多湿の場所、温度や湿度の変化が
大きな場所を避けてください
 腐食性ガスなどの有毒ガスが発生しない、塵埃の尐ない場所で、直射日光を避けて保管してください
 長期保管したものは、使用前にはんだ付け性やリードの錆などについて再点検してください
特性検査、取り扱い上の注意事項
受入検査などで特性検査を行う場合は、測定器からのサージ電圧の印加、端子間ショートや誤接続などに
十分注意してください。また定格以上の測定は避けてください
放熱用シリコーングリースを使用する場合の注意事項
 放熱用シリコーングリースを使用する場合は、均一に薄く塗布してください。必要以上に塗布すると、無理な
応力を加えます。
 長時間放置した放熱用シリコーングリースは、ひび割れによる放熱効果の悪化や、ビス止め時にモールド
樹脂クラックの原因となります。
 放熱用シリコーングリースの中には異物が入らないよう十分ご注意ください。異物が入ると放熱性を損ねたり、
絶縁板を使用する場合は絶縁板が傷つき絶縁不良を起こしたりする場合があります。
 放熱用シリコーングリースは樹脂封止型半導体への使用を推奨するものを使用してください。弊社では下
記の放熱用シリコーングリースおよびその同等品を推奨しております。
品名
メーカー名
G746
信越化学工業(株)
YG6260
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
SC102
東レ・ダウコーニング(株)
はんだ付け方法
 はんだ付けをする場合は、下記条件以内で、できるだけ短時間で作業してください
・260 ± 5 °C 10 ± 1 s (フロー、2 回)
・380 ± 10 °C 3.5 ± 0.5 s (はんだごて、1 回)
 はんだ付けは製品本体より 1.5 mm のところまでとします。
はんだ付けをする場合は、下記条件以内で、できるだけ短時間で作業してください
・リフロー
: 予備加熱 180 °C/90 ± 30 s
加熱処理 250 °C/10 ± 1 s(260 °C peak、2 回)
・はんだごて
: 380 ± 10 °C/3.5 ± 0.5 s(1 回)
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静電気破壊防止のための取扱注意
 製品を取り扱う場合は、人体アースを取ってください。人体アースはリストストラップなどを用い、感電防止の
ため、1MΩ の抵抗を人体に近い所へ入れてください
 製品を取り扱う作業台は、導電性のテーブルマットやフロアマットなどを敷き、アースを取ってください
 カーブトレーサーなどの測定器を使う場合、測定器もアースを取ってください
 はんだ付けをする場合、はんだごてやディップ槽のリーク電圧が、製品に印加するのを防ぐため、はんだご
ての先やディップ槽のアースを取ってください。
 製品を入れる容器は、弊社出荷時の容器を用いるか、導電性容器やアルミ箔などで、静電対策をしてくだ
さい。
注意書き
 本書に記載している内容は、改良などにより予告なく変更することがあります。
ご使用の際には、最新の情報であることを確認してください。
 本書に記載している動作例、回路例および推奨例は、使用上の参考として示したもので、これらに起因
する弊社もしくは第三者の工業所有権、知的所有権、生命権、身体権、財産権、その他一切の権利の侵
害問題について弊社は一切責任を負いません。
 弊社の合意がない限り、弊社は、本書に含まれる本製品(商品適性および特定目的または特別環境に
対する適合性を含む)ならびに情報(正確性、有用性、信頼性を含む)について、明示的か黙示的かを
問わず、いかなる保証もしておりません。
 弊社は品質、信頼性の向上に努めていますが、半導体製品では、ある確率での欠陥、故障の発生は避
けられません。製品の故障により結果として、人身事故、火災事故、社会的な損害などが発生しないよう、
使用者の責任において、装置やシステム上で十分な安全設計および確認を行ってください。
 本書に記載している製品は、一般電子機器(家電製品、事務機器、通信端末機器、計測機器など)に使
用することを意図しております。
高い信頼性を要求する装置(輸送機器とその制御装置、交通信号制御装置、防災・防火装置、各種安
全装置など)への使用を検討、および一般電子機器であっても長寿命を要求する場合は、必ず弊社販
売窓口へ相談してください。
極めて高い信頼性を要求する装置(航空宇宙機器、原子力制御、生命維持のための医療機器など)に
は、弊社の文書による合意がない限り使用しないでください。
 本書に記載している製品の使用にあたり、本書に記載している製品に他の製品・部材を組み合わせる場
合、あるいはこれらの製品に物理的、化学的、その他何らかの加工・処理を施す場合には、使用者の責
任においてそのリスクを検討の上行ってください。
 本書に記載している製品は耐放射線設計をしておりません。
 弊社物流網以外での輸送、製品落下などによるトラブルについて、弊社は一切責任を負いません。
 本書に記載している内容を、文書による弊社の承諾なしに転記・複製することを禁じます。
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