NJM2340 Application Manual ■概 要 NJM2340 は、高精度、高耐圧、小型化を追求した DC/DC コンバータ IC です。 過電流の検出にローサイド電流検出方式を採用し、最少の外付け部品で高精度の垂下型過電流保護を実現しています。 電圧検出アンプ、電流検出アンプのフィードバック回路を自由に設定できることで、アプリケーション毎にあわせた 最適な設計をすることが出来ます。 また、小型/薄型パッケージである TVSP タイプの採用により、面積、高さに制約のあるアプリケーションにも最適 です。 ■特 徴 ●高精度基準電圧 電圧検出:1V±1.5% 電流検出:150mV±4% ●電源電圧範囲 3.6V∼32V ●広域発振周波数 20kHz∼500kHz ●デューティーサイクル 0%∼100% ●PWM 方式スイッチング電源制御 ●バイポーラ構造 ●小型/薄型パッケージ採用 TVSP8: 2.9×4.0×0.9mm ●全パッケージ フロー実装対応※1 ●外形 NJM2340M :DMP8 NJM2340RB1 :TVSP8 ※1 温度プロファイルについては、弊社営業担当にご相談ください。 ■ブロック図 V+ VREF CT 8 7 6 VREF OUT 5 OSC ERROR AMP 1V PWM CURRENT SENSE AMP 0.15V Ver.2006-02-13 1 2 3 IN1 IN2 F.B 4 GND -1- NJM2340 Application Manual ■各ブロックの機能説明 ●基準電圧部 NJM2340 では、2.0V±1%の高精度基準電圧を内蔵しています。基準電圧部は、NJM2340 の各ブロックに電圧供 給をしているため、入力電圧変動による影響を最低限に抑えています。 基準電圧端子は、発振回路の周波数設定を主な用途としますが、周辺アプリケーションの基準電圧などにも使用可 能です。 ●エラーアンプ部、カレントセンスアンプ部 エラーアンプ部、カレントセンスアンプ部の非反転入力は、最適な高精度基準電圧が接続されています。エラーア ンプ部は、1.0V±1.5%、カレントセンスアンプ部は、150mV±4%の基準電圧です。 エラーアンプの反転入力(2Pin)にコンバータの出力を入力することで、出力電圧 1.0V からのアプリケーション設計 を容易にできます。出力電圧 1.0V 以上のコンバータの場合は、出力電圧を抵抗分割することで、任意に設定するこ とができます。 カレントセンスアンプ部の基準電圧は、エラーアンプ部に比べて低めに設定してあります。入力と出力の GND 間 に電流検出抵抗を挿入することで、定電流制御を実現しつつ、電力損失を最小限に抑えています。発生する電位は、 対 GND レベルで検出され、高精度のアプリケーションが可能になります。 また NJM2340 の過電流検出機能を使用しない場合は、カレントセンスアンプの反転入力(1pin)を GND に落として ください。反転入力(1pin)を 150mV 以下にすることでエラーアンプのみの制御となります。 これらのアンプ部は、高利得のゲインを持たせており、フィードバック出力(3Pin)が外部に出ております。出力と 反転入力端子間にフィードバック用の抵抗とコンデンサを設けることが容易なため、各種アプリケーションにおける 最適なループ補償を設定できます。 ON/OFF 回路 NJM2340 の F.B 端子(3Pin)は、PWM コンパレータに接続されていま す。内部回路は、Low レベル時で、IC の出力端子が OFF するロジック になっています。外部にトランジスタを用いることで意図的に出力を OFF にすることが出来ます。 トランジスタの選定には、コレクタ−エミッタ間の飽和電圧が低い物 を使用されることをお奨めいたします。 (図1参照) VOUT IN2 F.B 2 3 R2 CNF RNF 出力 ON/OFF R1 Tr 図 1 ON/OFF 回路 過電圧保護回路 また、本端子を利用して過電圧保護機能として使うこともできます。 (図 2 参照) シャットダウン電圧(VSHUT)は、 VSHUT =ツェナー電圧(VZ)+0.7V で決まります。 IN2 F.B 2 3 VSHUT RNF VZ Tr 図 2 過電圧保護回路 -2- Ver.2006-02-13 NJM2340 Application Manual ■各ブロックの機能説明(続き) ●発振回路部、PWM コンパレータ部 NJM2340 の発振周波数は、CT 端子(6Pin)に、VREF からの抵抗と GND 間のコンデンサで発振周波数が設定されま す。データ−シートに「タイミング抵抗対発振周波数」 「タイミングキャパシタ対発振周波数」の特性例があります ので、20kHz∼500kHz の間で設定してください。 発振波形は PWM コンパレータにおいて、フィードバック出力と比較された結果、出力電力に必要なデューティー でスイッチングされます。 NJM2340 は、最大デューティー比が 100%に設定されています。入出力間電位差の少ない状況下でも、常にスイ ッチング素子を ON し続けることで、出力のレギュレーションを改善しています。 ●タイミングチャート V+ 電源電圧 0V F.B 端子 発振波形 ① 負荷短絡による 出力制限 出力端子 ② ③ 図3 NJM2340 タイミングチャート ①CT 端子にて三角波が作られます。PWM コンパレータにて、三角波とエラーアンプ出力が比較され、PWM 信号に変 換されます。 ②スイッチングにおける duty 比は最大 100%まで動作します。 ③過電流が流れると、カレントセンスアンプによってスイッチングの出力パルスを絞ります。 このとき出力は垂下特性となり、負荷の復帰に伴い過電流保護機能も解除されます。 Ver.2006-02-13 -3- NJM2340 Application Manual ■アプリケーション情報 NJM2340 を使用した降圧型アプリケーションにおける部品選定について記します。 各条件下において、アプリケーションの最適化ができるよう示します。 ●発振周波数 発振周波数の高速化により、インダクタンス、コンデンサ等の部品を小型化にすることが出来ます。 しかし高速化に伴い、変換効率は低下する為、発熱量は増加する方向になります。その結果、放熱面積を確保する 問題が起きるため、一概に高速化が有効な手段には結びつきません。 アプリケーションの環境、外付け部品の性能、コスト等を考慮しながら設定する必要があります。 ●インダクタ インダクタンスには大電流が流れるため、飽和しない電流能力を持たせる必要があります。 インダクタンス値を小さくするとインダクタンスのサイズも小さくなります。しかし、ピーク電流が大きくなり効 率が悪化します。 インダクタンス値が大きくなると、スイッチング時のピーク電流は低下します。よって、変換効率の改善、出力リ ップル電圧の低下につながります。あるレベル以上では、インダクタンスの巻数増加により、抵抗成分による損失(銅 損)が大きくなります。 以上の条件を考慮すると、最大負荷時のインダクタ・リップル電流は、出力電流の 20%∼30%に抑えるのが望まし くなります。 またインダクタンスを最小にしたい場合は、インダクタ・リップル電流を出力電流の 2 倍に設定します。この場合、 出力電流が大きく減少しますが、アプリケーション部品を小さくできます。 ●キャッチ・ダイオード スイッチングトランジスタが OFF サイクルの時は、インダクタンスに電力が蓄えられた状態になります。蓄えら れた電力をトランジスタ出力と GND 間に接続されたダイオードを通して放出します。キャッチ・ダイオードにはサ イクル毎に、負荷電流に応じた電流が流れます。ダイオードの順方向飽和電圧と電流の積が電力損失となるため、順 方向飽和電圧の低い SBD (Schottky Barrier Diode)が最適です。 キャッチ・ダイオードの逆回復時間は短いのをご使用ください。逆回復時間が長いとスイッチングトランジスタが OFF から ON サイクルに移行した時、ダイオードが応答しきれず貫通電流が流れてしまいます。この電流によって、 効率の低下、ノイズの発生等に影響を及ぼす可能性が有ります。 スイッチングトランジスタが ON サイクルの時は、ダイオードに逆電圧が印可された状態になります。ダイオード の耐圧には、最大入力電圧以上の余裕を持たせてください。 ●スイッチング素子 NJM2340 は、パワートランジスタ/MOSFET を外付けとしたアプリケーション構成になっています。 スイッチング素子には、スイッチング用に指定されたものをお奨めいたします。特に低周波増幅用ですと、スイッ チングの立ち上がり/立ち下がり時間が遅い為に、変換効率が低下してしまいます。 トランジスタを選定には、スイッチングのピーク電流、飽和電圧、直流電流増幅率、パッケージの許容損失、安全 動作領域等を考慮し決めてください。 NJM2340 の電流能力は 15mA の為、大電流アプリケーションの場合はバッファを追加する事もご検討ください。 特に MOSFET の場合は、ゲート容量の影響により、立ち上がり/立ち下がり時間が遅くなる可能性があります。バ ッファの追加により、スイッチング素子の駆動は最適化され、大電流回路や高効率回路にすることが出来ます。詳し くは後に示す、大電力アプリケーション回路例をご参考ください。 -4- Ver.2006-02-13 NJM2340 Application Manual ■アプリケーション情報(続き) ●入力コンデンサ スイッチングレギュレータの入力部には、周波数に応じた過渡的な電流が流れます。電源回路に供給される電源イ ンピーダンスが大きいと入力電圧の変動につながり、NJM2340 の性能を十分に引き出せません。 よって入力コンデンサは、パワートランジスタの近くに挿入してください。 配線や部品のインダクタンス成分によって、高周波ノイズ等が発生する場合があります。その際は、セラミックコ ンデンサを入力容量に並列して追加するのも効果的です。 入力コンデンサは、耐圧、リップル電流条件を満たす必要があります。 ●出力コンデンサ 出力コンデンサは、インダクタンスからの電力を蓄え、出力への供給電圧を安定させる役割をします。 出力コンデンサの選定には、ESR(等価直列抵抗:Equivalent Series Resistance)の特性、リップル電流、耐圧を考 慮に入れる必要が有ります。 特にリップル電流、耐圧は、入力コンデンサ同様、コンデンサの定格以下で使用しなければいけません。 また周囲温度によっては、コンデンサの容量低下、ESR の増加(低温時) 、寿命(高温時)へ影響を与えます。出 力コンデンサの定格には、十分なディレーティングを持たせるのが望ましい使い方です。 出力コンデンサの ESR 特性は、出力リップルノイズへ大きな影響を与えます。低 ESR タイプのコンデンサであれ ば、更にリップル電圧を下げることが出来ます。また、コンデンサの ESR を下げる方法として、出力コンデンサを 並列接続する方法が有ります。この場合、1個の大容量コンデンサよりも高周波インピーダンスを下げられる場合が 有ります。ただし同じ特性のコンデンサを使用しないと、温度特性、ばらつきによっては、リップル電流の流れる割 合が大きくずれてしまう可能性があります。 ●基板レイアウト 大電流のスイッチングにより、GND ラインの不安定化、輻射ノイズの発生を抑えるため、基板のレイアウトは重 要な項目です。大電流の流れるラインは太く、短くし、ループ面積を最小限にしてください。 また GND ラインは、1点でアース出来るのが望ましい接続です。 (図 4 参照) TON 時 VIN VOUT L SBD CIN NJM2340 TOFF 時 COUT 図 4 基板配線例 Ver.2006-02-13 -5- NJM2340 Application Manual ■アプリケーション設計 小電力アプリケーション回路例 ●設計条件 入力電圧 出力電圧 出力電流 :VIN=12V :VOUT=5.5V (typ.) :IOUT=680mA (typ.) 出力リップル電圧 変換効率 周囲温度 ●発振周波数の設定 小電力のアプリケーションの為、NJM2340 でスイッチング トランジスタを駆動する回路とします。アプリケーション回路 では、発振周波数を 160kHz に設定します。 発振周波数の特性例より、 RT=47 [kΩ]、CT=330 [pF]、fosc=160 [kHz]、T=6.25 [µs] :Vripple(P-P)=20mV 以下 :η=80%以上 :Ta=25℃ ピーク電流 Ipk インダクタ電流 ΔIL 出力電流 IOUT スイッチングの ON/OFF (TON/TOFF)時間は、 VOUT = TON TON × VIN TON + TOFF VOUT 5.5 = = = 2.86 [µs] VIN × f OSC 12 × 160k 0 T ON T OFF 周波数 fOSC スイッチ出力 TON=2.86 [µs], TOFF=3.39 [µs] 0 図 5 インダクタ電流波形 ●インダクタンスの決定 本アプリケーションでは、インダクタ・リップル電流を、出力電流の 20%として設計します。 リップル電流をΔIL とすると、 ∆IL = 0.2 × IOUT = 0.2 × 0.7 = 0.14 [ A ] インダクタンス L は、 L= VIN − VSAT − VOUT 12 − 0.3 − 5.5 × TON = × 2.86µ = 127µ ⇒ 100 [µH] ∆IL 0.14 VSAT は、スイッチングトランジスタの飽和電圧。ここでは、VSAT=0.3 [V]とします。 インダクタンス L は、理論上の値であり、アプリケーションの仕様、部品等によって最適な値は異なりますので、 最終的には実機で微調整を行います。 定常動作時のスイッチング時ピーク電流 Ipk を求めます。 Ipk = IOUT + ∆IL 0.14 = 0 .7 + = 0.77 [ A ] 2 2 インダクタンスに流せる電流は、スイッチング時のピーク電流に対して十分な余裕を持たせます。 アプリケーション回路では、L=100µH/1.35A CDRH104R(スミダ電機株式会社)を使用します。 -6- Ver.2006-02-13 NJM2340 Application Manual ■アプリケーション設計例(続き) ●入力コンデンサの決定 入力コンデンサは、電源の入力に当たる部分であり、電源のインピーダンスを十分に下げる必要があります。コン デンサの選定には、容量よりも入力リップル電流とコンデンサ耐圧に重点をおいて決定します。 入力実効電流は、下記計算式で表せます。 IRMS = IOUT × VOUT × (VIN − VOUT ) VIN [A] 上記計算式は、VIN=2×VOUT 時が最大になり、その時の結果は、IRMS=IOUT(MAX)÷2 です。 入力実効電流は、電源回路が引き込む電流であるため、入力コンデンサが必要とするリップル電流では有りません。 実際には、入力電圧を供給する電源の応答性、配線インピーダンス等によって、入力電源が補えない過渡的な電流分 を、入力コンデンサで補佐しています。 入力コンデンサの選定は、アプリケーションで評価の上、十分なマージンを持った物をご使用ください。 ●出力コンデンサの決定 出力コンデンサは、出力のリップルノイズを決める重要な部品です。入力コンデンサに比べてリップル電流が少な いため、ESR を重視する事が出来ます。出力コンデンサは、ESR、リップル電流、コンデンサ耐圧に重点をおいて決 定します。 出力リップル電圧 Vripple(pp) は、下記式にて近似値を求めることが出来ます。 1 Vripple(p−p ) = ∆IL × 2 × π × f OSC × C OUT 2 + (ESR )2 ≈ ∆IL × ESR [ V ] 但し、ESR:出力容量の等価直列抵抗。 出力リップル電圧を Vripple(P-P)=20mV 以下としたいため、 ESR = Vripple(p −p ) ∆ IL = 20m = 167 [mΩ ] 0.12 また出力容量の選定には、十分なリップル電流を許容できる物を選びます。 コンデンサに流れるリップル電流の実効値(Irms)は、 Irms = ∆IL 2 3 = 0.12 2 3 = 34 .6 [mArms ] ここでは十分なマージンをふまえて、上記スペックを満たせるコンデンサを使用します。アプリケーション回路で は、機能性高分子タイプの超低ESRコンデンサCOUT=100µF/6.3V PXAシリーズ(日本ケミコン株式会社)を使用し ます。 Ver.2006-02-13 -7- NJM2340 Application Manual ■アプリケーション設計例(続き) ●スイッチング素子におけるバイアス抵抗の決定 本アプリケーションでは、スイッチング素子にトランジスタを使用します。 バイアス抵抗 RBE の決定 バイアス抵抗 RBE は、スイッチングトランジスタを素早くターンオフさせるために接続します。 この抵抗値が大きすぎるとターンオフが遅くなり、スイッチングによる電力損失が大きくなります。また、小さす ぎると RBE による電力損失が大きくなりいずれも効率低下の原因となります。 バイアス抵抗 RBE を流れる電流はベース電流の 1/10 程度になるように設計します。 R BE = VBE × 10 [ Ω] Ipk hFE(MIN) 但し、VBE:スイッチングトランジスタのベース・エミッタ間電圧、hFE(MIN):スイッチングトランジスタの最小 電流増幅率。 バイアス抵抗 RBC の決定 バイアス抵抗 RBC は、内部パワートランジスタが ON したときの外付けスイッチングトランジスタの動作電位確保 と、大電流を流さないように動作します。 R BC = VIN − VBE − VOL Ipk hFE(MIN) × 1 + 1 10 [ Ω] 但し、VOL:NJM2340 内蔵トランジスタの飽和電圧。 トランジスタのバイアス抵抗は、スイッチング損失と駆動電流損失の兼ね合いで決まります。 実際のアプリケーションにおきましては、カットアンドトライで調整されることをお奨めいたします。 ●電圧検出回路部の決定 出力電圧 VOUT は、R1,R2 の抵抗比で決まります。R1,R2 に流れる電流は、ER・AMP に流れるバイアス電流を無視 できるような値とします。 一般的に R1,R2 に流れる電流は、IB(MAX)に対して 100 倍以上になるように抵抗を選定します。 NJM2340 は、エラーアンプの基準電圧が 1V のため、出力電圧 1V 以上のアプリケーションにおいて抵抗 R1,R2 を使用します。 R2 68k VOUT = + 1 × VREF = + 1 × 1 = 5.5 [ V ] R1 15k 本アプリケーションでは、R1=15kΩ、R2=68kΩで出力電圧=5.5V に設定します。 -8- Ver.2006-02-13 NJM2340 Application Manual ■アプリケーション設計例(続き) ●電圧検出回路部の決定(続き) NJM2340 のエラーアンプ出力は、3Pin に接続されているため、フィードバックを容易にかけることが出来ます。 エラーアンプにおける電圧検出は、DC 成分を重視します。AC 成分は、スイッチングノイズ、商用リップルノイズ等 の成分が多いため、ゲインを大きくするとスイッチングレギュレータの安定性に影響を与えます。 エラーアンプ出力の帰還方法は、抵抗とコンデンサの並列接続や、直列接続など様々な方法があります。 フィルタを構成し、DC 成分のゲインを十分に上げ、AC 成分のゲインを下げる接続方法をとります。 本アプリケーションでは、帰還抵抗 RFV=10kΩとコンデンサ CFV=1nF を直列接続します。 ただし AC 成分のゲインを下げ過ぎますと、急激な負荷変動に追従できなくなる可能性があります。最適なゲイン は、一般的に 20dB∼40dB と言われておりますが、アプリケーションの部品、レイアウト、環境などによって異なる 為、カットアンドトライで最適化することをお奨めします。 また、帰還抵抗がエラーアンプの入出力に直結される場合、フィードバック電流も考慮する必要があります。帰還 抵抗値が小さいとエラーアンプの電流能力や、電圧検出抵抗 R1 に電流が流れ込み、出力電圧誤差が大きくなります。 帰還抵抗を 100kΩ以上に設定することで、これらの影響は最小限に抑えられます。 ●電流検出回路部の決定 カレントセンスアンプによる、電流検出は出力 GND に挿入された電流検出抵抗の電位差で決まります。 IC の検出電圧は、VB1=150mV のため、 ILIMIT = VB1 0.15 = = 0.22 [Ω] IOUT 0.68 で求まります。 また、電流検出抵抗には出力電流が流れる為、許容電力を考慮する必要があります。 2 PD = IOUT × R SC = 0.7 2 × 0.22 = 0.1 [ W ] アプリケーション回路では、十分なマージンを考慮し RSC=0.22Ω / 1/2W RL3720S-R22-F(進工業株式会社)を 使用します。 RCIN は、カレントセンスアンプの保護抵抗として挿入します。 本アプリケーションでは、1kΩの抵抗を使用します。 カレントセンスアンプは、エラーアンプと制御動作が異なります。 エラーアンプが細かいデューティー制御を必要とするのに対し、カレントセンスアンプは、過電流発生時のみリミ ット動作をさせる点です。 よってカレントセンスアンプのノイズの耐性を考え、本アプリケーションでは、10nF のコンデンサのみでフィー ドバックを構成します。 Ver.2006-02-13 -9- NJM2340 Application Manual ■アプリケーション回路例 降圧コンバータ回路例 VIN 12V 2SA1020 RT 47kΩ CIN 330µF/ 25V 8 GNDIN + V 7 REB 1.5kΩ CT 330pF RBC 1.8kΩ 5 CT R2 68kΩ SBD 6 VREF COUT 100µF/6.3V R1 15kΩ GNDOU T OUT NJM2340 IN1 IN2 1 VOUT 5.5V/680mA L 100µH F.B 2 RSC 0.22Ω GND 3 4 RNF 2 10kΩ CNF 2 1nF CNF 1 10nF L SBD RSC CIN COUT RCIN 10kΩ : CDRH104R (スミダ電機株式会社) : EC21QS03L (日本インター株式会社) : RL3720S-R22-F (進工業株式会社) : MVZ シリーズ (日本ケミコン株式会社) : PXA シリーズ (日本ケミコン株式会社) ■アプリケーション特性例 Output Voltage vs. Output Current Efficiency vs. Output Current o (V =12V / 24V, Ta=25 C) IN - 10 - =5.5V, Ta=25oC) OUT V =12V IN 5 90 4 3 2 678mA 1 0 (V 100 Efficiency η (%) Output Voltage VOUT (V) 6 0 200 400 600 Output Current IOUT (mA) 800 VIN=24V 80 70 60 50 0 200 400 600 Output Current IOUT (mA) 800 Ver.2006-02-13 NJM2340 Application Manual ■大電力アプリケーション回路例 基本的な回路設計は、小電力アプリケーション回路と変わりありません。スイッチング素子のドライブを最適化する ことで、大電流や高効率のアプリケーションにすることが可能です。 スイッチング素子の Pch-MOS FET のゲート・ソース間には、入力電圧分の耐圧が必要となります。 そのため入力電圧が高いアプリケーションにおいては、スイッチング素子にトランジスタを使用してください。 VIN 12V Pch-MOS FET VOUT 3.3V/2A L REB 6.8kΩ R2 51kΩ SBD CIN RT 47kΩ COUT CT 330pF RGC 1kΩ GNDIN 8 V+ 7 6 VREF CT OUT NJM2340 IN1 IN2 CNF2 1nF 1 R1 22kΩ 5 RSC 75mΩ GND F.B 2 GNDOUT 3 4 RNF2 10kΩ CNF1 10nF Ver.2006-02-13 RCIN 10kΩ - 11 - NJM2340 Application Manual MEMO <注意事項> このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。また、 工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴 うものではなく、第三者の権利を侵害しない ことを保証するものでもありません。 - 12 - Ver.2006-02-13