本ドキュメントはCypress (サイプレス) 製品に関する情報が記載されております。 富士通マイクロエレクトロニクス DS04–27216–4a DATA SHEET ASSP 電源用 BIPOLAR スイッチングレギュレータコントローラ MB3817 ■ 概 要 MB 3817 は , 低電圧対応で高速動作可能なパルス幅変調方式 (PWM 方式 ) のスイッチングレギュレータコントローラ用 IC で , ダウンコンバージョン , アップ / ダウンコンバージョン (Zeta 方式 ) に適しています。 外付け部品が少なく高速動作による電源ユニットの小型化が図れ , 小型高性能ポータブル機器の内蔵電源に最適です。 ■ 特 長 ・ 動作電源電圧が広い :2.5 V ∼ 18 V ・ 高精度基準電圧内蔵 :1.5 V ± 2 % ・ 高速動作可能 :最大 500 kHz ・ 誤差増幅器の入力電圧範囲が広い:0 V ∼ VCC − 0.9 V ・ ソフトスタート機能内蔵 ・ タイマラッチ式短絡保護回路内蔵 ・ 出力はトーテムポール形式でオン電流値を調整可能 (PNP トランジスタ対応 ) ・ スタンバイ機能内蔵 ・ 小型パッケージ :SSOP-16 P (FPT-16 P-M05) ■ パッケージ プラスチック・SSOP, 16 ピン (FPT-16P-M05) Copyright©2003-2008 FUJITSU MICROELECTRONICS LIMITED All rights reserved 2003.8 MB3817 ■ 端子配列図 (TOP VIEW) CT 1 16 VREF RT 2 15 CTL +IN 3 14 CSCP −IN 4 13 CS FB 5 12 GND DTC 6 11 VE CB1 7 10 OUT CB2 8 9 VCC (FPT-16P-M05) 2 MB3817 ■ 端子機能説明 端子番号 端子記号 I/O 1 CT ⎯ 三角波周波数設定用容量接続端子です。 2 RT ⎯ 三角波周波数設定用抵抗接続端子です。 3 + IN I 誤差増幅器 非反転入力端子です。 4 − IN I 誤差増幅器 反転入力端子です。 5 FB O 誤差増幅器 出力端子です。 6 DTC I 休止期間設定端子です。 7 CB1 ⎯ ブート容量接続端子です。 8 CB2 ⎯ ブート容量接続端子です。 9 VCC ⎯ 電源端子です。 10 OUT O トーテムポール形式出力端子です。 11 VE ⎯ 出力電流 設定端子です。 12 GND ⎯ 接地端子です。 13 CS ⎯ ソフトスタート時間設定用容量接続端子です。 14 CSCP ⎯ ショート検知時間設定用容量接続端子です。 15 CTL I 電源制御端子です。 “H” レベル:IC が動作状態 “L” レベル:スタンバイ状態 16 VREF O 基準電圧出力端子です。 端子名称および機能説明 3 MB3817 ■ ブロックダイヤグラム CB1 OUT 7 FB 8 5 −IN +IN DTC CB2 Error − Amp. + 4 3 PWM + Comp. + + − 9 OFF 電流 設定 VCC Q4 10 6 OUT CS CS 13 Q6 1 µA Soft Start − Comp. + Q1 (0.9 V) − + D1 (0.5 V) Q5 SCP Comp. 11 VE 1.5 V SCP 1 µA −1.4 V −1.0 V RS Latch OSC 1 2 CT 4 bias RT bias UVLO Q2 Q3 VCC Power Ref (1.5 V) ON/OFF 14 16 CSCP VREF 12 GND 15 CTL MB3817 ■ 絶対最大定格 項 目 記 号 条 件 電源電圧 VCC 許容損失 保存温度 定 格 値 単 位 最 小 最 大 ⎯ ⎯ 20 V PD Ta ≦+ 25 °C ⎯ 440* mW Tstg ⎯ − 55 + 125 °C *:10 cm 角の両面エポキシ基板に実装時 <注意事項> 絶対最大定格を超えるストレス ( 電圧 , 電流 , 温度など ) の印加は , 半導体デバイスを破壊する可能性があ ります。したがって , 定格を一項目でも超えることのないようご注意ください。 ■ 推奨動作条件 項 目 記 号 条 件 電源電圧 VCC 基準電圧出力電流 規 格 値 単 位 最 小 標 準 最 大 ⎯ 2.5 6.0 18 V IOR ⎯ −1 ⎯ 0 mA 誤差増幅器入力電圧 VIN ⎯ 0 ⎯ VCC − 0.9 V コントロール入力電圧 VCTL ⎯ 0 ⎯ 18 V 出力電流 IO ⎯ 3 ⎯ 30 mA タイミング容量 CT ⎯ 150 ⎯ 1500 pF タイミング抵抗 RT ⎯ 5.1 ⎯ 100 kΩ 発振周波数 fOSC ⎯ 10 200 500 kHz ソフトスタート容量 CS ⎯ ⎯ 0.1 1.0 µF CSCP ⎯ ⎯ 0.1 1.0 µF ブート容量 CB ⎯ ⎯ ⎯ 0.1 µF 動作温度 Ta ⎯ − 40 + 25 + 85 °C ショート検出容量 <注意事項> 推奨動作条件は , 半導体デバイスの正常な動作を保証する条件です。電気的特性の規格値は , すべてこの条 件の範囲内で保証されます。常に推奨動作条件下で使用してください。この条件を超えて使用すると , 信頼 性に悪影響を及ぼすことがあります。 データシートに記載されていない項目 , 使用条件 , 論理の組合せでの使用は , 保証していません。記載され ている以外の条件での使用をお考えの場合は , 必ず事前に当社営業担当部門までご相談ください。 5 MB3817 ■ 電気的特性 (VCC = 6 V, Ta =+ 25 °C) 端子 番号 条 件 VREF 16 ⎯ 1.47 1.50 1.53 V ∆VREF/ VREF 16 Ta =− 40 °C ∼ 85 °C ⎯ 0.5* ⎯ % 入力安定度 Line 16 VCC = 2.5 V ∼ 18 V ⎯ 2 10 mV 負荷安定度 Load 16 IOR = 0 mA ∼ − 1 mA ⎯ 2 10 mV IOS 16 VREF = 1 V − 10 −5 −2 mA VTH 13 VCC = ⎯ 2.0 2.3 V VTL 13 VCC = 1.5 1.8 ⎯ V ヒステリシス幅 VH 13 ⎯ 0.1 0.2 ⎯ V リセット電圧 VR 13 ⎯ 0.6 1.0 ⎯ V VT0 10 デューティサイクル= 0% 0.9 1.0 ⎯ V VT100 10 デューティサイクル= 100% ⎯ 1.4 1.5 V 入力スタンバイ電圧 VSTB 13 ⎯ ⎯ 50 100 mV 充電電流 ICHG 13 ⎯ − 1.4 − 1.0 − 0.6 µA スレッショルド電圧 VTH 14 ⎯ 0.60 0.65 0.70 V 入力スタンバイ電圧 VSTB 14 ⎯ ⎯ 50 100 mV 入力ラッチ電圧 VI 14 ⎯ ⎯ 50 100 mV 入力ソース電流 II 14 ⎯ − 1.4 − 1.0 − 0.6 µA 発振周波数 fOSC 10 CT = 330 pF RT = 6.2 kΩ 450 500 550 kHz 周波数電圧変動率 ∆f/fdv 10 VCC = 3.6 V ∼ 16 V ⎯ 1 10 % 周波数温度変動率 ∆f/fdt 10 Ta =− 40 °C ∼ 85 °C ⎯ 1* ⎯ % 入力オフセット電圧 VIO 3, 4 VFB = 1.2 V ⎯ ⎯ 10 mV 入力オフセット電流 IIO 3, 4 VFB = 1.2 V ⎯ ⎯ 100 nA 入力バイアス電流 II 3, 4 VFB = 1.2 V − 200 − 100 ⎯ nA 同相入力電圧範囲 VCM 3, 4 ⎯ 0 ⎯ VCC − 0.9 V CMRR 5 DC 60 100 ⎯ dB 電圧利得 AV 5 DC 60 100 ⎯ dB 周波数帯域幅 BW 5 AV = 0 dB ⎯ 800* ⎯ kHz VOM + 5 ⎯ 1.8 2.0 ⎯ V VOM − 5 ⎯ ⎯ 50 500 mV 出力シンク電流 IO + 5 VFB = 1.2 V 60 120 ⎯ µA 出力ソース電流 IO − 5 VFB = 1.2 V ⎯ − 2.0 − 0.6 mA 出力電圧 出力電圧温度変動率 基準電圧部 (Ref) 短絡時出力電流 入力時誤動作 防止回路部 (UVLO) ソフト スタート部 (CS) ショート検知 比較器部 (SCP) 三角波 発振器部 (OSC) 誤差増幅器 (Error Amp.) 規 格 値 記 号 項 目 スレッショルド電圧 スレッショルド電圧 同相入力信号除去比 最大出力電圧幅 最 小 標 準 最 大 単位 (続く) 6 MB3817 (続き) (VCC = 6 V, Ta =+ 25 °C) 規 格 値 記 号 端子 番号 VT0 10 デューティサイクル = 0% 0.9 1.0 ⎯ V VT100 10 デューティサイクル = 100% ⎯ 1.4 1.5 V ON デューティサイクル Dtr 10 VDTC = VREF × 0.88 CT = 330 pF, RT = 6.2 kΩ 70 80 90 % 入力電流 IDTC 6 VDTC = 0 V − 500 − 250 ⎯ nA VT0 10 デューティサイクル =0% 0.9 1.0 ⎯ V VT100 10 デューティサイクル = 100 % ⎯ 1.4 1.5 V 入力シンク電流 II + 5 ⎯ 60 120 ⎯ µA 入力ソース電流 II − 5 ⎯ ⎯ − 2.0 − 0.6 mA 出力シンク電流 IO + 10 RE = 15 Ω 18 30 42 mA 出力ソース電流 IO − 10 Duty ≦ 5 % ⎯ − 100 − 50 mA スタンバイ時 リーク電流 ILO 10 VCC = 18 V, VO = 18 V ⎯ ⎯ 10 µA 入力オン条件 VON 11 ⎯ 2.1 ⎯ 18 V 入力オフ条件 VOFF 11 ⎯ 0 ⎯ 0.7 V II 15 VCTL = 5 V ⎯ 100 200 µA スタンバイ電流 ICCS 9 VCTL = 0 V ⎯ ⎯ 10 µA 電源電流 ICC 9 出力 “Hi” 時 ⎯ 2.7 4.0 mA 項 目 スレッショルド電圧 休止期間調整部 (DTC) スレッショルド電圧 PWM 比較器部 (PWM Comp.) 出力部 (OUT) コントロール部 (CTL) 入力電流 条 件 最 小 標 準 最 大 単位 7 MB3817 ■ 標準特性曲線 電源電流−電源電圧特性 基準電圧−電源電圧特性 2.0 5 Ta = +25 °C IOR = 0 mA Ta = +25 °C 基準電圧 VREF (V) 電源電流 ICC (mA) 4 3 2 1.5 1.0 0.5 1 0.0 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 20 2 4 電源電圧 VCC (V) 6 8 10 12 14 16 18 20 電源電圧 VCC (V) 基準電圧−周囲温度特性 1.55 VCC = 6 V IOR = 0 mA 1.54 基準電圧 VREF (V) 1.53 1.52 1.51 1.50 1.49 1.48 1.47 1.46 1.45 −60 −40 −20 0 20 40 60 80 100 周囲温度 Ta ( °C) 基準電圧−コントロール電圧特性 コントロール電流−コントロール電圧特性 500 基準電圧 VREF (V) コントロール電流 ICTL (µA) VCC = 6 V Ta = +25 °C IOR = 0 mA 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 VCC = 6 V Ta = +25 °C 400 300 200 100 0 0 1 2 3 コントロール電圧 VCTL (V) 4 5 0 4 8 12 16 20 コントロール電圧 VCTL (V) (続く) 8 MB3817 三角波周波数−タイミング抵抗特性 三角波最大振幅電圧−タイミング容量特性 1.8 VCC = 6 V Ta = +25 °C 1M 100 k CT = 150 pF CT = 1500 pF 10 k CT = 15000 pF 1k 1k 10 k 100 k 三角波最大振幅電圧 vCT (V) 三角波周波数 fOSC (Hz) 10 M 1.2 1.0 0.8 102 103 105 104 タイミング抵抗 RT (Ω) タイミング容量 CT (pF) デューティ−三角波周波数特性 三角波周期−タイミング容量特性 1000 VCC = 6 V Ta = +25 °C RT = 6.2 kΩ VDTC = VREF × 0.88 60 40 20 三角波周期 tOSC (µs) 80 100 VCC = 6 V Ta = +25 °C RT = 6.2 kΩ 10 1 0.1 1k 10 k 100 k 1M 102 10 10 M 三角波周波数 fOSC (Hz) 103 104 105 タイミング容量 CT (pF) 周波数変動率−周囲温度特性 10.00 周波数変動率 (%) デューティDtr (%) 1.4 0.6 10 1M 100 0 VCC = 6 V Ta = +25 °C RT = 6.2 kΩ 1.6 VCC = 6 V fOSC = 500 kHz (CT = 330 pF, RT = 6.2 kΩ) 5.00 0.00 −5.00 −10.00 −60 −40 −20 0 20 40 60 80 100 周囲温度 Ta ( °C) (続く) 9 MB3817 (続き) 誤差アンプ周波数特性 50 Ta = +25 °C 40 180 30 VCC = 6 V 135 φ 10 11 kΩ 90 45 AV 0 φ (deg) 20 AV (dB) ・測定回路 225 0 240 kΩ 2.4 kΩ − + 4 − 3 + 10 µF 5 −10 −45 −20 −90 −30 −135 Error Amp. −40 −180 ( 誤差増幅器 ) −50 1k 10 k 100 k VREF 11 kΩ −225 10 M 1M 周波数 fOSC (Hz) 許容損失−周囲温度特性 500 1.0 VCC = 6 V Ta = +25 °C 0.9 0.8 許容損失 PD (mW) 出力電流設定端子電圧 VE (V) 出力電流設定端子電圧−出力電流設定端子電流特性 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 300 200 100 0.1 0.0 0 −10 −20 −30 −40 出力電流設定端子電流 IE (mA) 10 440 400 −50 0 −40 −20 0 20 40 60 周囲温度 Ta ( °C) 80 100 120 MB3817 ■ 機能説明 1. スイッチング・レギュレータ機能 (1) 基準電圧回路 (Ref) 基準電圧回路は , 温度補償された安定な電圧 ( ≒ 1.50 V) を発生します。この基準電圧は , 電源制御部の基準電圧やバイ アス用に使用しています。 (2) 三角波発振器回路 (OSC) CT 端子 (1 ピン ) , RT 端子 (2 ピン ) にそれぞれタイミング用のコンデンサ CT および抵抗 RT を接続することにより , 三 角波発振波形を発生します。 (3) 誤差アンプ (Error Amp.) 誤差アンプは , スイッチングレギュレータの出力電圧を検出し , PWM 制御信号を出力するアンプです。同相入力電圧範 囲が 0 V ∼ VCC − 0.9 V と広く , 外部電源からの設定が容易で , DC モータスピードコントロールシステムなどへの応用が 可能です。 また , 誤差アンプの出力端子 (FB 端子 (5 ピン ) ) から反転入力端子 ( − IN 端子 (4 ピン ) ) への帰還抵抗およびコンデン サの接続により , 任意のループゲインが設定できるため , システムに対して安定した位相補償ができます。 (4) PWM コンパレータ (PWM Comp.) 一つの反転入力と三つの非反転入力を持つ電圧比較器で , 入力電圧に応じて出力デューティをコントロールする電圧− パルス幅変換器です。 三角波が誤差アンプ出力電圧 (FB 端子 (5 ピン ) の電圧 ) , ソフトスタート設定電圧 (CS 端子 (13 ピン ) の電圧 ) , 休止期 間設定電圧 (DTC 端子 (6 ピン ) の電圧 ) のいずれかより低い期間に出力トランジスタをオンさせます。 (5) 出力回路 (OUT) 出力回路は , トーテムポール形式で構成しており , 外付け PNP トランジスタを駆動することができます。 オン電流値は VE 端子 (11 ピン ) に接続する抵抗 (RE) により最大 30 mA まで設定可能です。 オフ電流は , CB1 端子 (7 ピン ) − CB2 端子 (8 ピン ) 間にブートストラップ用コンデンサ CB を接続することにより設定 します。 2. 電源コントロール機能 CTL 端子 (15 ピン ) の電圧レベルにより , 出力のオン , オフを設定します。 CTL 端子の電圧レベル チャネルのオン , オフ状態 L ( ≦ 0.7 V) スタンバイ状態* H ( ≧ 2.1 V) 動作状態 *:スタンバイ状態の電源電流値は 10 µA 以下 3. 保護回路機能 (1) ソフトスタート・短絡保護回路 (CS, SCP) CS 端子 (13 ピン ) にコンデンサ CS を接続することにより , 起動時の突入電流防止のためのソフトスタート動作が設定 可能です。 ソフトスタート動作終了後 , CSCP 端子 (14 ピン ) は “L” ( スタンバイ電圧 VSTB) に保持され短絡検出待ち状態となり , 出 力短絡時に誤差アンプの出力が 1.5 V 以上になるとコンデンサ CSCP に充電を開始し , スレッショルド電圧 VTH:0.65 V ま で充電されると OUT 端子 (10 ピン ) を “H” に固定するとともに休止期間を 100 %にし , CSCP 端子 (14 ピン ) を “L” に保持 します。 保護回路が作動したとき電源をリセットすれば復帰します。 (2) 低入力時誤動作防止回路 (UVLO) 電源投入時の過渡状態や電源電圧の瞬時低下は , コントロール IC の誤動作を誘起し , システムの破壊 , もしくは劣化を 生じさせます。低入力電圧誤動作防止回路は電源電圧を内部基準電圧と比較し , 電源電圧低下時に OUT 端子 (10 ピン ) を “H” に固定します。 電源電圧が低入力誤動作防止回路のスレッショルド電圧以上になれば復帰します。 11 MB3817 ■ 出力電圧の設定方法 ・出力電圧 (VO) が正の場合 VO+ R1 Error Amp. −IN 4 − 3 + +IN R2 VO+ = VREF R2 (R1 + R2) VREF ・出力電圧 (VO) が負の場合 VREF R2 R Error Amp. −IN 4 +IN 3 R1 − + VO− = − VREF 2 × R2 (R1 + R2) + VREF R VO− ■ 発振周波数設定方法 発振周波数は CT 端子 (1 ピン ) にタイミング容量 (CT) , RT 端子 (2 ピン ) にタイミング抵抗 (RT) を接続することにより 設定できます。 発振周波数:fOSC fOSC (kHz) ≒ 12 1023000 CT (pF) ・RT (kΩ) MB3817 ■ 出力電流の設定方法 出力回路はトーテムポール形式で構成されており , オン電流値は定電流設定 , オフ電流値は時定数設定となっています。 なお , それぞれの出力電流値は次式で求められます。 オン電流値:IO +[mA]≒ 500 ( 出力電流設定端子電圧:VE ≒ 0.5 V) RE[Ω] オフ電流値:オフ電流 (IO − ) の時定数は CB に比例 ・出力回路図 CB1 CB 7 8 CB2 外付け PNP トランジスタ OFF 電源 設定 9 VCC Q4 オフ電流 10 Q6 Q5 11 D1 (0.5 V) OUT オン電流 RE VE ・出力電流波形 オン電流 出 力 電 流 0 オフ電流 t 13 MB3817 ・出力端子の電圧・電流波形 VCC = 3 V 4 VO (V) 2 0 −2 −4 20 0 −20 0 2 4 6 8 10 t (µs) ・測定回路図 7 8 9 CB1 CB 1000 pF CB2 VCC VCC 2S81121S U1FWJ44N (5.0 V) 10 11 OUT RE 22 µF VE 16 Ω VO 35 kΩ 22 µF 15 kΩ 4 ピンへ 14 IO (mA) 40 MB3817 ■ ショート検出時間設定方法 誤差アンプの出力は , ショート検知比較器 (SCP Comp.) の反転入力に接続され , 非反転入力に接続した約 1.5 V の基準 電圧と常に比較動作を行っています。 スイッチングレギュレータの負荷条件が安定している場合には , ショート検知比較器の出力は “H” レベルとなりトラン ジスタ Q3 がオンし , CSCP 端子 (14 ピン ) は入力スタンバイ電圧:VSTB ≒ 50 mV に保持されます。 負荷条件が負荷短絡などで急激に変化し出力電圧が低下した場合, ショート検知比較器の出力が“L”レベルとなります。 すると , トランジスタ Q3 がオフとなり CSCP 端子に外付けされたショート検出容量 CSCP が入力ソース電流:II ≒− 1.0 µA で充電され始めます。 ショート検出時間 (tPE) tPE [s]≒ 0.65 × CSCP [µF] ショート検出容量 CSCP がスレッショルド電圧:VTH ≒ 0.65 V まで充電されると SR ラッチをセットし , 外付け PNP トラ ンジスタをオフさせます ( 休止時間を 100 %とします ) 。このとき , SR ラッチ入力はクローズされ CSCP 端子を入力ラッ チ電圧:VI ≒ 50 mV にします。 ・短絡保護回路 FB 5 −IN +IN 4 3 − + Error Amp. + + + − 外付け PNP トランジスタ PWM Comp. 9 OFF 電流 設定 VCC Q4 10 OUT Q6 − + Q5 SCP Comp. D1 (0.5V) RE 11 VE 1.5 V 1 µA bias RS Latch UVLO Q2 Q3 14 CSCP 15 MB3817 ■ CSCP 端子を使用しない場合の処理方法 タイマ・ラッチ式短絡保護回路を使用しない場合は , CSCP 端子 (14 ピン ) を接地してください。 ・短絡保護回路を使用しない場合 14 16 CSCP MB3817 ■ ソフトスタート時間設定方法 IC 起動時の突入電流防止のため , CS 端子 (13 ピン ) にソフトスタート容量 (CS) を接続して , ソフトスタートを設定する ことができます。 IC が起動 (CTL 端子 (15 ピン ):“H”, VCC ≧ UVLO のスレッショルド電圧 VTH) するとトランジスタ Q1 がオフとなり CS 端子に外付けされたソフトスタート容量 (CS) が充電電流:ICHG ≒− 1.0 µA で充電され始めます。 このとき , CS 端子電圧 < 0.9 V では , Soft Start Comp. 出力が “H” レベルとなり , トランジスタ Q2 がオンし CSCP 端子 (14 ピン ) を入力スタンバイ電圧:VSTB ≒ 50 mV に保持し短絡保護回路が動作しないようにしています。CS 端子電圧≧ 0.9 V となると Q2 はオフし , PWM Comp. で CS 端子電圧と三角波を比較し , OUT 端子の ON デューティを変化させソフトス タート動作をします。なお , ソフトスタート時間は次式で求められます。 ソフトスタート時間 ( 出力 ON デューティ≒ 50 %までの時間 ) S ts [ms]≒ 1.2 × C[µF] ・ソフトスタート回路 + + + − 外付け PNP トランジスタ PWM Comp. 9 OFF 電流 設定 VCC Q4 10 OUT 1 µA CS Q6 13 Q5 Q1 − + D1 (0.5V) RE 11 VE Soft Start Comp. (0.9 V) 1 µA bias RS Latch UVLO Q2 Q3 14 CSCP 17 MB3817 ■ CS 端子を使用しない場合の処理方法 ソフトスタート機能を使用しない場合は, CS 端子(13 ピン)を開放してください。 ・ソフトスタート時間を設定しない場合 “ 開放 ” 13 CS 18 MB3817 ■ 休止期間の設定方法 フライバック方式による昇圧 , 反転出力を設定する場合 , 電源起動時に出力トランジスタがフルオン (ON Duty = 100 %) 固定の状態になります。これを防止するため図のように VREF 電圧から DTC 端子 (6 ピン ) 電圧を決定し , 出力トランジ スタの休止期間 (ON になる期間の最大値 ) を容易に設定することができます。 DTC 端子 (6 ピン ) 電圧が発振器からの三角波の出力電圧よりも低いとき , 出力トランジスタはオフとなります。休止期 間の計算式は三角波振幅≒ 0.4 V, 三角波最高電圧≒ 1.4 V のとき次のようになります。 Vdt − 1.0 V × 100[%] Duty (ON) max ≒ 0.4 また , DTC 端子を使用しない場合は , VREF 端子に接続してください。 ・休止期間を設定する場合 16 VREF Ra 6 Vdt DTC Rb ・休止期間を設定しない場合 16 VREF 6 DTC 19 20 VIN 13 1000 pF 0.1 µF CS 10 kΩ DTC 15 kΩ 6 5 0.047 µF 4 −IN 3 +IN FB 18 kΩ 1 CT OSC Q1 CS 1 µA + − 2 RT 6.2 kΩ 1.0 V 1.4 V (0.9 V) + + − 1.5 V RS Latch bias Soft Start − Comp. Error Amp1 UVLO SCP Comp. + + + − Q5 Q6 Q4 Power ON/OFF VCC (0.5 V) 1.5 V Ref bias OFF 電流 設定 9 15 11 10 14 16 12 GND CSCP VREF Q3 SCP 1 µA 0.1 µF Q2 PWM Comp. OUT 8 7 22 µH 4.7 µF VO (3.3 V) 15 Ω 2SB1121S:三洋社製 U1FWJ44N:東芝社製 U1FWJ44N 22 µF 2SB1121S 出力 ON/OFF 信号 ON :CTL = 5 V OFF:CTL = 0 V CTL VE 47 Ω OUT 22 µF VCC CB2 CB1 1000 pF MB3817 ■ 応用回路例 1. ステップダウン方式 VIN 15 kΩ 18 kΩ CS 13 6 1000 pF 0.1 µF 10 kΩ DTC 5 0.047 µF 4 −IN 3 +IN FB 1 CT OSC Q1 CS 1 µA + − 2 RT 6.2 kΩ 1.5 V (0.9 V) 1.0 V RS Latch bias + + 1.4 V − Soft Start − Comp. Error Amp1 UVLO SCP Comp. + + + − Q5 Q6 Power ON/OFF VCC (0.5 V) 1.5 V Ref bias OFF 電流 設定 9 15 11 10 14 16 12 GND CSCP VREF Q3 SCP 1 µA 0.1 µF Q2 PWM Comp. OUT 8 7 22 µF 4.7 µF VO (3.3 V) 15 Ω 2SB1121S:三洋社製 U1FWJ44N:東芝社製 U1FWJ44N 22 µH 2SB1121S 4.7 µF 22 µH 出力 ON/OFF 信号 ON :CTL = 5 V OFF:CTL = 0 V CTL VE 47 Ω OUT 22 µF VCC CB2 CB1 1000 pF MB3817 2. Zeta 方式 21 22 VIN 15 kΩ 35 kΩ R2 +IN −IN FB 1 µF 13 CT OSC Q1 1 1000 pF CS CS 1 µA + 3 6 − 4 5 13 kΩ 1.2 kΩ DTC 0.047 µF R1 2 6.2 kΩ RT 1.5 V (0.9 V) −1.0 V RS Latch bias + + −1.4 V − Soft Start − Comp. Error Amp. UVLO SCP Comp. + + + − bias VCC D1 (0.5 V) Q6 Q4 Power Ref (1.5 V) ON/OFF Q5 OFF 電流 設定 9 8 7 15 11 10 14 16 12 CSCP VREF GND Q3 SCP 1 µA 2.2 µF Q2 PWM Comp. OUT 1000 pF 22 µF VO (5.0 V) 2SB1121S:三洋社製 U1FWJ44N:東芝社製 22 µF 2SB1121S U1FWJ44N 出力 ON/OFF 信号 ON :CTL = 5 V OFF:CTL = 0 V CTL VE OUT 22 µF RE 16 Ω VCC CB2 CB1 CB MB3817 3. フライバック方式 MB3817 ■ アプリケーション 平滑コンデンサの等価直列抵抗と安定性について DC/DC コンバータにおいて平滑コンデンサの等価直列抵抗 (ESR) の値は , ループの位相特性に大きな影響を与えます。 ESR により , 位相特性は高周波領域において理想コンデンサに対し位相を進ませるため ( グラフ 1 参照 ) , システムの安 定性を改善します。一方 , 低 ESR の平滑コンデンサの使用はシステムの安定性を減少させますので , 低 ESR 品の半導体電 解コンデンサ (OS-CONTM) , タンタルコンデンサを使用する際には十分注意が必要です。 (注意事項)OS-CON は三洋電機社の商標です。 降圧形 DC/DC コンバータの基本回路 L Tr RC VIN D RL C グラフ 1 位相−周波数特性 ゲイン−位相特性 0 0 −20 −40 −60 10 (2) (1) : RC = 0 Ω (2) : RC = 31 mΩ 100 (1) 1k 周波数 f (Hz) 10 k 位相 φ (deg) 利得 AV (dB) 20 (2) −90 −180 100 k 10 (1) : RC = 0 Ω (2) : RC = 31 mΩ 100 (1) 1k 10 k 100 k 周波数 f (Hz) 23 MB3817 ・参考データ 平滑用のコンデンサをアルミ電解コンデンサ (RC ≒ 1.0 Ω) から ESR の小さい半導体電解コンデンサ (OS-CONTM: RC ≒ 0.2 Ω) に変更することにより位相余裕は半減します ( グラフ 2, 3 参照 ) 。 DC/DC コンバータ AV − φ 特性測定図 VOUT VO+ CNF この間の AV − φ 特性 −IN − FB VIN +IN + R2 R1 VREF/2 誤差増幅器 グラフ 2 DC/DC コンバータ+ 5 V 出力 ゲイン−位相特性 60 利得 (dB) AV φ 20 90 62 ° 0 180 0 −20 位相 (deg) VCC = 10 V RL = 25 Ω CP = 0.1 µF 40 VO+ A 電解コンデンサ 220 + µF (16 V) − RC ≒ 1.0 Ω:fOSC = 1 kHz −90 −40 10 100 1k 10 k GND −180 100 k 周波数 f (Hz) グラフ 3 DC/DC コンバータ+ 5 V 出力 ゲイン−位相特性 60 利得 (dB) 20 90 φ 0 27 ° −20 −40 10 0 −90 100 1k 周波数 f (Hz) 24 180 位相 (deg) VCC = 10 V RL = 25 Ω CP = 0.1 µF AV 40 10 k −180 100 k VO+ OS-CONTM + 22 µF (16 V) − RC ≒ 0.2 Ω:fOSC = 1 kHz GND MB3817 ■ 使用上の注意 ・プリント基板のアースラインは,共通インピーダンスを考慮し設計してください。 ・静電気対策を行ってください。 ・半導体を入れる容器は,静電気対策を施した容器か,導電性の容器をご使用ください。 ・実装後のプリント基板を保管・運搬する場合は,導電性の袋か,容器に収納してください。 ・作業台,工具,測定機器は,アースを取ってください。 ・作業する人は,人体とアースの間に 250 kΩ ∼ 1 MΩ の抵抗を直列にいれたアースを使用してください。 ・負電圧を印加しないでください。 ・− 0.3 V 以下の負電圧を印加した場合, LSI に寄生トランジスタが発生し,誤動作を起こすことがあります。 ■ オーダ型格 型 格 MB3817PFV パッケージ 備 考 プラスチック・SSOP, 16 ピン (FPT-16P-M05) 25 MB3817 ■ 外形寸法図 注 1) * 1 印寸法のレジン残りは片側+ 0.15 (.006) MAX 注 2) * 2 印寸法はレジン残りを含まず。 注 3) 端子幅および端子厚さはメッキ厚を含む。 注 4) 端子幅はタイバ切断残りを含まず。 プラスチック・SSOP, 16 ピン (FPT-16P-M05) *1 5.00±0.10(.197±.004) 0.17±0.03 (.007±.001) 9 16 *2 4.40±0.10 6.40±0.20 (.173±.004) (.252±.008) INDEX Details of "A" part +0.20 1.25 –0.10 +.008 .049 –.004 LEAD No. 1 8 0.65(.026) 0.10(.004) C (Mounting height) "A" 0.24±0.08 (.009±.003) 0.13(.005) M 0~8˚ 0.50±0.20 (.020±.008) 0.60±0.15 (.024±.006) 0.10±0.10 (Stand off) (.004±.004) 0.25(.010) 2003 FUJITSU LIMITED F16013S-c-4-6 単位:mm (inches) 注意:括弧内の値は参考値です。 26 MB3817 MEMO 27 富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 〒 163-0722 東京都新宿区西新宿 2-7-1 新宿第一生命ビル http://jp.fujitsu.com/fml/ お問い合わせ先 富士通エレクトロニクス株式会社 〒 163-0731 東京都新宿区西新宿 2-7-1 新宿第一生命ビル http://jp.fujitsu.com/fei/ 電子デバイス製品に関するお問い合わせは , こちらまで , 0120-198-610 受付時間 : 平日 9 時~ 17 時 ( 土・日・祝日 , 年末年始を除きます ) 携帯電話・PHS からもお問い合わせができます。 ※電話番号はお間違えのないよう , お確かめのうえおかけください。 本資料の記載内容は , 予告なしに変更することがありますので , ご用命の際は営業部門にご確認ください。 本資料に記載された動作概要や応用回路例は , 半導体デバイスの標準的な動作や使い方を示したもので , 実際に使用する機器での動作を保証するも のではありません。従いまして , これらを使用するにあたってはお客様の責任において機器の設計を行ってください。これらの使用に起因する損害な どについては , 当社はその責任を負いません。 本資料に記載された動作概要・回路図を含む技術情報は , 当社もしくは第三者の特許権 , 著作権等の知的財産権やその他の権利の使用権または実施 権の許諾を意味するものではありません。また , これらの使用について , 第三者の知的財産権やその他の権利の実施ができることの保証を行うもので はありません。したがって , これらの使用に起因する第三者の知的財産権やその他の権利の侵害について , 当社はその責任を負いません。 本資料に記載された製品は , 通常の産業用 , 一般事務用 , パーソナル用 , 家庭用などの一般的用途に使用されることを意図して設計・製造されてい ます。極めて高度な安全性が要求され , 仮に当該安全性が確保されない場合 , 社会的に重大な影響を与えかつ直接生命・身体に対する重大な危険性を 伴う用途(原子力施設における核反応制御 , 航空機自動飛行制御 , 航空交通管制 , 大量輸送システムにおける運行制御 , 生命維持のための医療機器 , 兵 器システムにおけるミサイル発射制御をいう), ならびに極めて高い信頼性が要求される用途(海底中継器 , 宇宙衛星をいう)に使用されるよう設計・ 製造されたものではありません。したがって , これらの用途にご使用をお考えのお客様は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。ご相談なく使用 されたことにより発生した損害などについては , 責任を負いかねますのでご了承ください。 半導体デバイスはある確率で故障が発生します。当社半導体デバイスが故障しても , 結果的に人身事故 , 火災事故 , 社会的な損害を生じさせないよ う , お客様は , 装置の冗長設計 , 延焼対策設計 , 過電流防止対策設計 , 誤動作防止設計などの安全設計をお願いします。 本資料に記載された製品を輸出または提供する場合は , 外国為替及び外国貿易法および米国輸出管理関連法規等の規制をご確認の上 , 必要な手続き をおとりください。 本書に記載されている社名および製品名などの固有名詞は , 各社の商標または登録商標です。 編集 販売戦略部