日本語参考資料 最新版英語回路ノートはこちら 回路ノート CN-0257 使用したリファレンス・デバイス テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共 通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム 統合のために製作されました。さらに詳しい情報 又は支援は http://www.analog.com/jp/CN0257 をご覧 ください。 AD5790 真の 20 ビット電圧出力 D/A コンバータ AD8675 超高精度、36 V、2.8 nV/√Hz レール to レール出力オペアンプ AD8676 超高精度、36 V、2.8 nV/√Hz レール to レール出力デュアル・オペア ンプ 20 ビット、リニア、低ノイズ、高精度ユニポーラ+10V DC 電圧源 は 5 V~VDD − 2.5 V で、負リファレンスの入力範囲は VSS + 2.5 V~0 V です。両方のリファレンス入力は内部でバッファ されているので、外部バッファは不要です。AD5790 の相対 精度仕様は最大±2 LSB で、最大−1~+2 LSB の DNL 仕様でモ ノトニシティ(単調増加性)動作が保証されています。 評価および設計サポート環境 回路評価ボード AD5790 評価ボード(EVAL-AD5790SDZ) システム・デモンストレーション・プラットフォーム (EVAL-SDP-CB1Z) 高精度オプアンプ AD8675 はオフセット電圧が低く(最大 75 µV)、低ノイズ(標準 2.8 nV/√Hz)で AD5790 の出力バッファと して最適です。AD5790 は整合した 6.8 kΩ のフィードフォワ ード抵抗とフィードバック抵抗を内蔵していますが、これら の抵抗をオペアンプ AD8675 に接続して±10 V の出力振幅のた 設計と統合ファイル 回路図、レイアウト・ファイル、部品表 回路の機能とその利点 図 1 に示す回路は外付け部品数が最少の 20 ビット、リニア、 低ノイズ、高精度ユニポーラ(+10 V)電圧源です。AD5790 DAC はバッファなしの 20 ビット電圧出力 DAC で、33 V まで の両電源で動作します。AD5790 の正リファレンスの入力範囲 TO HIGH PRECISION +5V REFERENCE R1 1.5kΩ +15V AD8675 + C1 +10V A1 10µF +3.3V +15V R2 R3 1kΩ 10µF + 1kΩ 0.1µF –15V 9 6 CLR 10µF + 0.1µF 8 IOVCC VCC 3 2 VDD VREFP 7 LDAC SPI INTERFACE AND DIGITAL COTNROL 20 6.8kΩ 24 INV 6.8kΩ 11 SDO 14 SYNC +15V RFB AD8675 0V TO +10V OUTPUT VOLTAGE A2 VOUT 1 AD5790 13 SCLK 12 SDIN –15V 4 RESET DGND VSS VREFN AGND 15 17 16 19 0V TO +10V 0.1µF –15V 10394-001 + 10µF 図 1.20 ビット精度の 0 V~+10 V 電圧源(簡略回路図:全接続の一部およびデカップリングは省略されています) アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利 の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標 は、各社の所有に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 Rev. 0 ©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 CN-0257 回路ノート 1.5 めの 10 V のオフセット電圧を供給します。あるいは並列接続 してバイアス電流をキャンセルすることもできます。この例 では、ユニポーラ+10 V 出力の実装例を示しており、抵抗は バイアス電流のキャンセルに使用されています。内部抵抗の 接続は、AD5790 の制御レジスタ内の 1 ビットを設定すること により制御されます(AD5790 のデータシート参照)。 DNL (LSB) 1.0 この回路へのデジタル入力はシリアルで、標準 SPI、QSPI、 MICROWIRE®、DSP の各インターフェース規格と互換性があ ります。コンパクトなこの回路は、高精度アプリケーション 向けに高精度と低ノイズの両方を実現します。これは、 AD5790 と AD8675 の高精度部品の組み合わせによって可能に なります。 0.5 0 –0.5 図 1 に示す D/A コンバータ(DAC)は、AD5790(SPI インター フェースを備えた高電圧 20 ビットコンバータ)で、INL は±2 LSB、DNL は−1~+2 LSB、ノイズ・スペクトル密度は 8 nV/√Hz です。また、AD5790 は直線性誤差の長期安定性が 0.1 LSB と非常に優れています。 –1.0 0 図 3 は、DAC コードの関数としての微分非直線性が、−1 LSB ~+2 LSB の仕様内であることを示しています。 2.0 1.5 1.0 0.5 INL (LSB) 600000 800000 1000000 ノイズ・ドリフトの測定 高精度を実現するには、回路出力でのピーク to ピーク・ノイ ズを 1 LSB 未満に抑える必要があります。1 LSB は 20 ビット の分解能で+10 V のユニポーラ電圧範囲の場合 9.5 µV 未満に 相当します。 リアルタイム・ノイズのアプリケーションには、周波数が 0.1 Hz 以下の 1/f ノイズ成分を減衰させるための、カットオフ周 波数が 0.1 Hz(DC までの周波数を含む)のハイパス・フィルタ 特性がありません。これを考慮に入れて、測定されたピーク to ピーク・ノイズを図 4 に示します。この場合、回路の出力 でノイズを 100 秒間測定しているので、実効的に 0.01 Hz ま での低い周波数が測定に含まれています。 ノイズ性能が大きく影響されないように、温度制御された超 低ノイズ・リファレンスがこの測定には必要でした。 図 1 に示す回路の精度に関する性能は、Agilent 3458A マルチ メータを使用した評価用ボード EVAL-AD5790SDZ で実証さ れています。図 2 は、DAC コードの関数としての積分非直線 性が、0°C~105°C で± 2 LSB の仕様内に十分収まることを示 しています。 0 –0.5 –1.0 10394-002 –1.5 –2.0 400000 600000 800000 1000000 DAC CODE 図 2.DAC コード 対 積分非直線性 Rev. 0 400000 図 3.DAC コード 対 微分非直線性 直線性の測定 200000 200000 DAC CODE バッファ付きユニポーラ構成の AD5790 を図 1 に示します。 出力バッファには低ノイズ、低ドリフトの AD8675 が使用さ れています。このアンプは、低ノイズの高精度リファレンス (この場合は Krohn Hite Model 523 高精度リファレンス)の +5 V リファレンス電圧を増幅するのにも使われています(A1)。 この利得回路の抵抗 R2 と R3 は許容誤差が 0.01%、温度係数 が 0.6 ppm/°C の高精度金属皮膜抵抗です。全温度範囲で最適 性能を得るために、R2 と R3 は Vishay 300144 や VSR144 シリ ーズのように単一パッケージに収納されている必要がありま す。システム内のノイズを低く抑えるため、R2 と R3 を 1 kΩ にします。R1 と C1 はカットオフ周波数が約 10 Hz のローパ ス・フィルタを形成します。このフィルタは電圧リファレン スのノイズを減衰させるためのものです。 0 10394-003 回路説明 -2/6 - CN-0257 回路ノート ノイズはゼロスケールの出力電圧で最小となっています。こ れは DAC のコアからのノイズのみを表しているからです。ゼ ロスケールのコードを選択したとき、各電圧リファレンス経 路から生じるノイズは DAC によって減衰されます。 回路の評価とテスト 必要な装置 • 4 3 • • • • • FULL SCALE HALF SCALE NOISE (µV) 2 1 • システム・デモンストレーション・プラットフォー ム(EVAL-SDP-CB1Z) EVAL-AD5790SDZ 評価ボードとソフトウェア Krohn-Hite Model 523 高精度リファレンス Agilent 3458A マルチメータ PC (Windows 32 ビットまたは 64 ビット OS) National Instruments GPIB-USB-B インターフェー ス・ケーブル SMB ケーブル(2) ソフトウェアのインストール 0 –1 ZERO SCALE 10394-004 –2 –3 0 20 40 60 80 AD5790評価用キットのCDには自己インストール型ソフトウ ェアが含まれています。このソフトウェアはWindows XP (SP2) とVista (32ビットと64ビット)で使用できます。セットアッ プ・ファイルが自動的に起動しない場合は、CDからsetup.exe ファイルを実行することができます。 PCに接続したときに評価システムが正しく認識されるように、 評価ボードとSDPボードをPCのUSBポートに接続する前に評 価用ソフトウェアをインストールしてください。 100 TIME (Seconds) 図 4.フルスケール(緑)、ハーフスケール(赤)ゼロスケ ール(青)で高精度リファレンスを使って 100 秒間測定した DAC 出力電圧ノイズ 1. 測定時間を長くすると低い周波数が含まれ、ピーク to ピーク 値が大きくなります。低周波数では、温度ドリフトと熱電対 効果がノイズに影響するようになります。これらの影響は熱 係数の低い部品を選択することによって減らすことができま す。 2. CD からのインストールが完了した後、「電源」の セクションで説明されているように、AD5790 評価 用ボードの電源を投入します。SDP ボードを(コネ クタ A またはコネクタ B 経由で)AD5790 評価用ボ ードに接続してから、付属のケーブルを使って PC の USB ポートに接続します。 評価用システムが検出されたら、順次表示されるダ イアログボックスに従って最後まで進みます。これ でインストールが完了します。 プリント回路基板の全回路図とレイアウトは、CN-0257 デザイ ン・サポート・パッケージ(www.analog.com/jp/CN0257DesignSupport)に含まれています。 機能図 バリエーション回路 電源 AD5790 は 0 V~+5 V から±10 V までの広い出力範囲をサポー トします。バイポーラ構成が必要な場合、反転させた高精度 リファレンス電圧を VREFN ピンに印加する必要があります。 この場合も、高精度アンプ技術と温度に対して安定した高精 度抵抗が必要です。 以下の外部電源を接続する必要があります。 図 6 にテスト・セットアップの機能図を示します。 • • AD8676 は AD8675 オペアンプのデュアル・バージョンで、必 要に応じてこの回路に使用することができます。 • • Rev. 0 -3/6 - AD5790 のデジタル電源用にコネクタ J1 の VCC と DGND 間に 3.3 V。あるいは、Link 1 をポジション A に配置して、SDP ボード経由で USB ポートからデ ジタル回路に給電する(デフォルト設定)。 AD5790 の正アナログ電源用に J2 の VDD 入力と AGND 入力の間に+12 V~+16.5 V。 AD5790 の負アナログ電源用に J2 の VSS 入力と AGND 入力の間に−12 V~−16.5 V。 VREF と表示された SMB コネクタに接続された+5 V 高精度リファレンス。 CN-0257 10394-005 回路ノート 図 5.評価用ソフトウェアのメイン・ウィンドウ GPIB DUAL POWER SUPPLY KROHN HITE 523 PRECISION REFERENCE +15V COM AGILENT 3458A MULTIMETER USB PC USB −15V +VDD AGND −VSS J2-3 J2-2 J2-1 USB SMB SMB VREF VOUT_BUF SDP CON A OR CON B 10394-006 J4 120-PIN SDP EVAL-AD5790SDZ 図 6.テスト・セットアップの機能ブロック図 Rev. 0 -4/6 - CN-0257 回路ノート デフォルトのリンク・オプションのセットアップ さらに詳しい資料 デフォルトのリンク・オプションを表 1 に示します。デフォ ルトでは、ボードは±10 V の出力範囲の場合 VREFP = +10 V および VREFN = −10 V に設定されています。 CN0257 Design Support Package: www.analog.com/CN0257-DesignSupport アナログ・ダイアログ 44:20 ビット DAC は最も使いやすい 1ppm 高精度電圧源です 表 1.デフォルト・リンク・オプション リンク No. オプション LK1 A LK2 B LK3 A LK4 Removed LK5 Removed LK6 Removed LK7 Removed LK8 C LK9 Inserted LK11 Inserted Kester, Walt. 2005. The Data Conversion Handbook. Analog Devices. Chapters 3, 5, and 7. MT-015 Tutorial:Basic DAC Architectures II: Binary DACs MT-016 Tutorial:Basic DAC Architectures III: Segmented DACs MT-031 Tutorial:Grounding Data Converters and Solving the Mystery of AGND and DGND MT-035 Tutorial:Op Amp Inputs, Outputs, Single-Supply, and Rail-to-Rail Issues MT-101 Tutorial:Decoupling Techniques. Analog Devices. Voltage Reference Wizard Design Tool. CN-0177 Circuit Note:18-Bit, Linear, Low Noise, Precision Bipolar ±10 V DC Voltage Source. 図 1 に示す回路のようにボードを設定するには、表 1 のデフ ォルトのリンク設定に以下の変更を行う必要があります。 1. 2. 3. 4. CN-0191 Circuit Note:20-Bit, Linear, Low Noise, Precision, Bipolar ±10V DC Voltage Source. LK3 をポジション A に配置します。 LK4 を外します。 LK8 をポジション B に配置します。 LK9 を外します。 CN-0200 Circuit Note:18 ビット、リニア、低ノイズ、高精度 バイポーラ±10 V DC 電圧源 これらの変更により、出力バッファ・アンプは利得が 1 に設 定され、AD5790 の VREFN ピンはグラウンドに接続されます。 さらに、ボードは VREF と表示された SMB コネクタの高精度 +5 V リファレンスを受け入れるように設定されます。 EVAL-AD5790SDZ のテスト・セットアップの詳細に関しては、 ユーザーガイド UG-342 を参照してください。 テスト VOUT_BUF SMB コネクタは Agilent 3458A マルチメータに接 続されています。AD5790 GUI の Measure DAC Output(DAC 出力の測定)タブを使って直線性を測定します。 ノイズ・ドリフトも VOUT_BUF SMB コネクタを使って測定 します。出力電圧は AD5790 GUI の Program Voltage(電圧設 定)タブを使って設定します。ピーク to ピーク・ノイズ・ド リフトは 100 秒間測定します。 INL、DNL、およびノイズの定義および測定値を使った計算 方法に関しては、AD5790データシートの"TERMINOLOGY"の セクションおよび Data Conversion Handbook, "Testing Data Converters," Chapter 5, Analog Devicesを参照してください。 Rev. 0 -5/6 - User Guide:UG-342, Evaluation Board for a 20-Bit Serial Input, Voltage Output DAC with Integrated Precision Reference Buffer Amplifiers. データシートと評価ボード AD5790 データシート/評価ボード AD8675 データシート AD8676 データシート CN-0257 回路ノート 改訂履歴 12/11—Revision 0: 初版 「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さまは 製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のもとでの暗示 的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを期しています。し かし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかなる種類の明示的、暗示 的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはその他の権利の侵害に関して一 切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、それを行う義務はありません。 商標お よび登録商標は各社の所有に属します。 ©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved. Rev. 0 商標および登録商標は各社の所有に属します。 -6/6 -