7MHz、レール toレール 低電圧オペアンプ AD8517/AD8527 特長 単電源動作:+1.8∼+6V 省スペースSOT-23、μSOICパッケージ 広帯域:7MHz@5V 低オフセット電圧:3.5mV Max レールtoレール出力スイングおよびレールtoレール入力 スルーレート8V/μs わずか900μAの消費電流(+1.8∼+5V) ピン配置 5ピン SOT-23 (末尾RT) OUT A 1 AD8517 5 V+ V– 2 +IN A 4 –IN A 3 アプリケーション ポータブル通信機器 携帯電話 センサー・インターフェース アクティブ・フィルタ PCMCIAカード ASIC入力ドライバ ウェアラブル・コンピュータ バッテリ駆動デバイス 新世代電話 PDA 8ピン SOIC (末尾R) OUT A 1 8 V+ –IN A 2 7 OUT B +IN A 3 AD8527 V– 4 6 –IN B 5 +IN B 8ピン MSOP (末尾RM) 概要 AD8517は、5ピンSOT-23パッケージの、1.8Vという低い単電 源の電圧から高精度・広帯域の動作が可能なオペアンプで す。小型パッケージなのでセンサーに隣接して設置でき、外 OUT A –IN A +IN A V– 1 8 AD8527 4 5 V+ OUT B –IN B +IN B 部 ノイズ の 拾 い 込 みを 低 減 できます。デュアル・アンプ の AD8527は、省スペースのMSOPパッケージで供給されます。 AD8517/AD8527は、レールtoレール入/出力のバイポー ラ・アンプであり、ゲイン帯域は7MHz、1.8V電源での電圧 オフセットは1.3mV(typ)です。消費電流が小さいので、 バッテリ駆動のアプリケーションに理想的です。8V/μsの 高速スルーレートのAD8517/AD8527は、ボイス・コーデッ クなどのASIC入力のドライバに適しています。 AD8517/AD8527は、拡張工業温度範囲(−40∼+125℃)で 仕様規定されています。シングル・アンプAD8517は5ピン SOT-23表面実装型パッケージ、デュアルのAD8527は8ピン SOICおよびMSOPパッケージで供給されます。 アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、そ の情報の利用または利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害 に関して、当社はいっさいの責任を負いません。さらに、アナログ・デバイセズ社の特 許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.A アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03 (5402)8400 〒105-6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868(代) 〒532-0003 新大阪第二森ビル AD8517/AD8527−仕様 電気的特性(特に指定のない限り、VS=5.0V、V−=0V、VCM=2.5V、TA=25℃) パラメータ 記号 条件 Min Typ Max 単位 1.3 3.5 mV 5 mV 3.5 mV 5 mV 450 nA 900 nA ±225 nA ±750 nA 5 V 入力特性 オフセット電圧 AD8517ART(5ピンSOT-23) VOS −40℃≦TA≦+125℃ 1.3 VOS −40℃≦TA≦+125℃ AD8527 入力バイアス電流 IB −40℃≦TA≦+125℃ 入力オフセット電流 IOS −40℃≦TA≦+125℃ 入力電圧範囲 VCM コモン・モード除去比 CMRR 0 0V≦VCM≦5.0V, −40℃≦TA≦+125℃ 大信号電圧ゲイン AVO 60 RL=2kΩ,0.5V<VOUT<4.5V RL=10kΩ,0.5V<VOUT<4.5V 50 RL=10kΩ,−40℃≦TA≦+125℃ 30 70 dB 20 V/mV 100 V/mV V/mV オフセット電圧ドリフト ΔVOS/ΔT 2 μV/℃ バイアス電流ドリフト ΔIB/ΔT 500 pA/℃ 出力特性 出力電圧スイング・ハイ 出力電圧スイング・ロー VOH VOL IL=250μA, −40℃≦TA≦+125℃ 4.965 V IL=5mA 4.70 V IL=250μA, −40℃≦TA≦+125℃ 35 mV IL=5mA 200 mV ISC グラウンドへ短絡、瞬時値 ±10 mA 電源除去比 PSRR VS=2.2∼6V 90 dB 電源電流/アンプ ISY 短絡電流 電源 −40℃≦TA≦+125℃ 65 VOUT=2.5V 900 −40℃≦TA≦+125℃ dB 1,200 μA 1,400 μA ダイナミック性能 スルーレート SR GB積 GBP セトリング・タイム TS 位相マージン φm 1V<VOUT<4V, RL=10kΩ 4Vステップ, 0.1% 8 V/μs 7 MHz 400 ns 50 度 ノイズ性能 電圧ノイズ en p-p 0.1∼10Hz 0.5 μV p-p 電圧ノイズ密度 en f=1kHz 15 nV/√Hz 電流ノイズ密度 in f=1kHz 1.2 pA/√Hz ※仕様は予告なく変更されることがあります。 2 REV.A AD8517/AD8527 電気的特性(特に指定のない限り、VS=2.2V、V−=0V、VCM=1.1V、TA=25℃) パラメータ 記号 条件 Min Typ Max 単位 1.3 3.5 mV 5 mV 入力特性 オフセット電圧 AD8517ART(5ピンSOT-23) VOS −40℃≦TA≦+125℃ AD8527 VOS 1.3 −40℃≦TA≦+125℃ 3.5 mV 5 mV 入力バイアス電流 IB 450 nA 入力オフセット電流 IOS ±225 nA 2.2 V 入力電圧範囲 VCM コモン・モード除去比 CMRR 大信号電圧ゲイン AVO 0 0V≦VCM≦2.2V, −40℃≦TA≦+125℃ 55 RL=2kΩ, 0.5V<VOUT<1.7V 70 dB 20 V/mV 50 V/mV RL=10kΩ 20 IL=250μA 2.165 V IL=2.5mA 1.9 V 出力特性 出力電圧スイング・ハイ 出力電圧スイング・ロー VOH VOL IL=250μA 35 mV IL=2.5mA 200 mV 1,100 μA 1,300 μA 電源 電源電流/アンプ ISY VOUT=1.1V 750 −40℃≦TA≦+125℃ ダイナミック性能 スルーレート SR GB積 位相マージン RL=10kΩ 8 V/μs GBP 7 MHz φm 50 度 ノイズ性能 電圧ノイズ密度 en f=1kHz 15 nV√Hz 電流ノイズ密度 in f=1kHz 1.2 pA√Hz ※仕様は予告なく変更されることがあります。 REV.A 3 AD8517/AD8527−仕様 電気的特性(特に指定のない限り、VS=1.8V、V−=0V、VCM=0.9V、TA=25℃) パラメータ 記号 条件 Min Typ Max 単位 1.3 3.5 mV 5 mV 3.5 mV 5 mV 入力特性 オフセット電圧 AD8517ART(5ピンSOT-23) VOS 0℃≦TA≦+125℃ AD8527 VOS 1.3 0℃≦TA≦+125℃ 入力バイアス電流 IB 450 nA 入力オフセット電流 IOS ±225 nA 1.8 V 入力電圧範囲 VCM コモン・モード除去比 CMRR 大信号電圧ゲイン AVO 0 0V≦VCM≦1.8V, 0℃≦TA≦+125℃ 50 RL=2kΩ,0.5V<VOUT<1.3V 70 dB 20 V/mV 50 V/mV RL=10kΩ 20 IL=250μA 1.765 V IL=2.5mA 1.5 V 出力特性 出力電圧スイング・ハイ 出力電圧スイング・ロー VOH VOL IL=250μA 35 mV IL=2.5mA 200 mV 電源 電源除去比 PSRR VS=1.7∼2.2V, 0℃≦TA≦+125℃ 電源電流/アンプ ISY VOUT=0.9V 50 65 650 0℃≦TA≦+125℃ dB 1,100 μA 1,300 μA ダイナミック性能 スルーレート SR 7 V/μs GB積 GBP RL=10kΩ 7 MHz 位相マージン φm 50 度 ノイズ性能 電圧ノイズ密度 en f=1kHz 15 nV/√Hz 電流ノイズ密度 in f=1kHz 1.2 pA/√Hz ※仕様は予告なく変更されることがあります。 4 REV.A AD8517/AD8527 注 絶対最大定格1 電源電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6V 1 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに永久的な損傷を与えることがあ ります。この定格はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セクシ ョンに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを長期間 絶対最大定格条件に置くと、デバイスの信頼度に影響を与えることがあります。 2 電源電圧が6Vを下回る場合には、入力電圧は電源電圧以下に制限されます。 2 入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ GND∼VS 差動入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ±0.6V 内部消費電力 SOT-23(RT)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熱抵抗のチャート参照 パッケージ形式 θJA1 θJC 単位 SOIC(R)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熱抵抗のチャート参照 5ピンSOT-23(RT) 230 146 ℃/W μSOIC(RM)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 熱抵抗のチャート参照 出力短絡期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ TA<+40℃において不定 保管温度範囲 8ピンSOIC(R) 158 43 ℃/W 8ピンμSOIC(RM) 210 45 ℃/W 注 R, RM, RTパッケージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −65∼+150℃ θJAは最悪の条件についての仕様です。即ち、θJAは、SOT-23およびSOICパッケージが回路基板 動作温度範囲 上にハンダ付けされた場合の仕様です。 AD8517, AD8527・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −40∼+125℃ 接合温度範囲 R, RM, RTパッケージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −65∼+150℃ ピン温度範囲(ハンダ付け、60秒)・・・・・・・・・・・・・・・・ 300℃ 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、 検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネル ギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や機能喪 失を回避するために、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。 WARNING! ESD SENSITIVE DEVICE オーダー・ガイド モデル 温度範囲 パッケージ パッケージ・ オプション ブランド情報 AD8517ART-REEL −40∼+125℃ 5ピンSOT-23 RT-5 ADA AD8527AR −40∼+125℃ 8ピンSOIC SO-8 AD8527ARM-REEL −40∼+125℃ 8ピンμSOIC RM-8 120 90 AFA 950 VS = 5V VCM = 2.5V TA = 25℃ COUNT = 935 OP AMPS 900 消費電源 –μA アンプ数 850 60 800 750 700 30 650 0 −4 −3 図1 REV.A −2 −1 0 1 入力オフセット電圧−mV 2 3 600 4 入力オフセット電圧の分布 1 2 図2 5 3 4 電源電圧 – V 5 アンプあたりの電源電流 対 電源電圧 6 AD8517/AD8527−代表的な性能特性 1,200 60 オープン・ループ・ゲイン – dB 1,100 1,000 消費電流 –μA VS = 5V TA = 25℃ 50 900 800 700 40 ゲイン 30 20 90 位相 10 45 0 0 −10 − 45 −20 − 90 位相シフト―度 VS = 5V −30 600 −50 0 −25 図3 25 50 温度 – ℃ 75 100 125 −40 100k 150 1M 10M 図6 アンプ当たりの消費電流 対 温度 600 オープン・ループ・ゲイン 対 周波数 60 VS = 5V TA = 25℃ CL ≦ 10pF VS = ±2.5V TA = 25 ℃ クローズド・ループ・ゲイン – dB 400 入力バイアス電圧 – nA 100M 周波数 – Hz 200 0 −200 40 20 0 −20 −400 −600 −3 図4 −2 0 −1 1 コモンモード電圧 – V 2 − 40 3 100 10 図7 入力バイアス電流 対 コモン・モード電圧 140 10k 100k 周波数 – Hz 1k 1M 10M 100M クローズド・ループ・ゲイン 対 周波数 0 VS = ± 2.5V TA = 25℃ 120 20 シンク − CMRR – dB 出力電圧 – mV 100 80 60 ソース+ 40 60 40 80 20 0 10 1k 100 100 10k 10 100 1k 負荷電流 – μA 図5 図8 電源レールへの出力電圧 対 負荷電流 6 10k 周波数 – Hz 100k 1M 10M CMRR 対 周波数 REV.A AD8517/AD8527 0 100 VS = ± 2.5V TA = 25℃ 80 出力インピーダンス – Ω − PSRR 40 PSRR – dB VS = 5V TA = 25℃ 90 20 60 + PSRR 80 70 60 50 40 30 AV CC = 1 20 100 10 120 10 1k 100 図9 10k 周波数 – Hz 100k 1M 0 10M 10 100 1k 図12 PSRR 対 周波数 10k 100k 周波数 – Hz 1M 10M 100M 出力インピーダンス 対 周波数 50 60 VS = 5V TA = 25℃ VS = 5V VCM = 2.5V RL = 10kΩ TA = 25 ℃ VIN = ± 50mV 40 Hz 40 電圧ノイズ密度 – nV/ 50 オーバーシュート – % AV CC = 10 −OS 30 20 +OS 30 20 10 10 0 10 100 容量 – pF 図10 0 10 1k 10k 1k 周波数 – Hz 図13 オーバーシュート 対 容量負荷 電圧ノイズ密度 対 周波数 12 6 VS = 5V AV CC = 1 RL = 10kΩ TA = 25℃ CL = 15pF 5 VS = 5V TA = 25℃ Hz 歪み = 3% 4 電圧ノイズ密度 – pA/ 最大出力振幅 – V p-p 100 3 2 8 4 1 0 10k 1M 100k 0 10 10M 100 図11 REV.A 1k 周波数 – Hz 周波数 – Hz 図14 出力スイング 対 周波数 7 電流ノイズ密度 対 周波数 10k AD8517/AD8527 0 VS = ± 2.5V AV CC = 1 TA = 25 ℃ CL = 100pF RL = 10kΩ 電圧− 20mV/Div 電圧− 20mV/Div VS = ± 2.5V A V = 120k 0 時間−1s/Div 図15 時間−500ns/Div 0.1∼10Hzにおけるノイズ 図17 小信号過渡応答 VS = ± 2.5V AV CC = 1 TA = 25℃ CL = 100pF RL = 10kΩ 電圧ー 1V/Div 電圧− 500mV/Div VS = ± 2.5V AV = 1 VIN = 6V p-p 時間− 500ns/Div 時間− 200μs/Div 図16 位相反転なし 図18 大信号過渡応答 動作理論 AD85x7は、1.8Vの低電圧から動作可能な、レールtoレール スタへ電流を供給します。 のオペアンプです。このファミリーは、アナログ・デバイ ているため、出力段でも負荷抵抗に従ったゲインが与えら セズの高速コンプリメンタリ・バイポーラ・プロセス れます。各レールにおける250μAのシンクまたはソースに 出力トランジスタでは共通のエミッタを用いる構造となっ よる出力の振幅はレールから35mVです。 (XFCB)を用いて製造されています。このプロセスによる トレンチは、各トランジスタを絶縁して寄生容量を最小化 入力バイアス電流の特性は、コモン・モード電圧に依存し することにより、高速動作を可能としています。図19に ます。図10をご覧ください。入力電圧がVCCの約1V下に達す AD85x7ファミリーの概略図を示します。 ると、PNPペア(Q3とQ4)がオフとなります。 入力段は、2つの並列コンプリメンタリ差動ペアであるNPN 1kΩの入力抵抗R1、R2は、ダイオードD7、D8とともにア ペア(Q1とQ2)およびPNPペア(Q3とQ4)により構成され バランシェによる損傷から入力ペアを保護します。 ています。レールtoレール動作のため、R7、R8、R9、R10 AD85x7ファミリーは、入力信号が電源を0.6V以上超えた場 における電圧降下は低く抑えられています。オペアンプの 合でも、位相の反転が生じません。過剰な電流はESDを介 主要な増幅段は、トランジスタ(Q5、Q6、Q8、Q9)によ して入力ピンから流出されます。 り構成されるダブル・フォールドのカスコードです。出力 段もレールtoレールで動作し、Q14によってドライブされま 低電圧動作 す。トランジスタQ13、Q10はレベル・シフタとして動作し、 1.8V動作でも電圧的な余裕を与えます。 バッテリ電圧放電 AD8517は、1.8Vの低電源電圧で動作します。一般的なバッ Q13のベースにおける電圧が増加すると、Q18のVBEが増加 テリのほとんどで、放電電圧の最終値での動作が可能であ して、電流を減少させ始めます。Q20へのソースでは反対の るため、バッテリ駆動のアプリケーションに理想的なアン 現象が発生し、Q13のベースにおける電圧が減少し、電流ソ プです。表Iに、いくつかの代表的なバッテリの放電電圧の ースI8がQ16、Q17、Q19、R13、R14を介して出力トランジ 公称値と最終値を示します。 8 REV.A AD8517/AD8527 VCC VCC R8 R7 D2 R14 R3 Q19 Q6 I1 ESD Q7 Q5 R4 Q20 I8 I7 D3 ESD C4 D9 I3 Q1 Q3 R1 −IN Q2 Q4 R2 +IN Q14 D7 Q11 VOUT R5 D8 Q10 R6 Q13 C1 D4 ESD D2 Q8 Q9 C3 C2 Q18 ESD Q17 R11 I2 I4 R9 I5 D16 D6 R13 VEE Q15 I6 R10 R12 VEE 図19 表I 簡略化された概略図 入力バイアスにおける考慮点 入力バイアス電流(IB)は、理想値ではない現実のパラメー 代表的なバッテリの全寿命における電圧範囲 バッテリ 公称電圧(V) 鉛蓄電池 リチウム NiMH NiCd 炭素/亜鉛 2 2.6∼3.6 1.2 1.2 1.5 放電後の電圧(V) タであり、すべてのオペアンプに影響を与えます。IBは、無 1.8 1.7∼2.4 1 1 1.1 視できない大きさのオフセット電圧を発生させることがあ ります。このオフセット電圧は、IBが負帰還の抵抗RFを流れ るときに生成されます。IBが500nA(最悪値)でRFが100kΩ の場合には、これに対応して生成されるオフセット電圧は レールtoレール入/出力 AD8517は、1.8Vという低い電源電圧ながら、レールtoレール 50mV(VOS=IB×RF)となります。 R Fの値が小さいほど、生成される電圧のオフセットが小さ 入/出力という際立った特性を持っています。アンプの電源 くなることは明らかです。図21に示すように補償抵抗RBを 電圧範囲を1.8Vに設定するとコモン・モード電圧は1.8Vp-pに 用いることによって、その影響を完全に抑えることができ 設定でき、出力はクリップせずに2つのレールの間を振幅でき ます。入力バイアス電流をキャンセルしても、わずかなオ ます。図20に、周波数1kHz、VS=1.8V、VIN=1.8Vp-pにおけ フセット誤差を生じさせる入力オフセット電流(IOS)に留 るユニティ・ゲインの入/出力のオシロスコープ出力を示しま 意する必要があります。図21に、IBが起こすオフセット誤差 す。AD8517のレールtoレールの特性は、仕様が規定されてい を打ち消すための3つの構成を示します。 る1.8∼5Vの電源電圧の全範囲にわたって発揮されます。 RF RI VI VS = ± 0.9V VIN = 1.8 V p-p AD8517 VOUT 反転構成 RF RB = RI RF VIN RI AD8517 VOUT VI RB = R I RF RF AD8517 時間 – 200ms/Div 図20 REV.A VOUT 非反転構成 VI VOUT ユニティ・ゲイン・バッファ RB = RF レールtoレール入/出力 図21 9 入力バイアス・キャンセル回路 AD8517/AD8527 容量性負荷の駆動 ゲイン対容量性負荷 容量性負荷を駆動するためには出力段で多くの電流が必要 F = 250kHz ゲイン = 1 C = 680pF となるため、ほとんどのアンプで困難とされます。出力に 電圧 – 200mV/Div 大きな容量が接続されると、アンプのステップ応答におけ るオーバーシュートとリンギングが増大して、デバイスの 安定性にまで影響を与えることもあります。アンプが発振 せずに駆動できる容量の大きさは、ゲイン、電源電圧、入 力信号、温度、周波数その他の要素に影響されます。ユニ ティ・ゲインは、容量性の負荷をドライブする上で最も困 難な構成です。しかし、AD8517は、比較的良好な容量性負 荷のドライブ能力を備えています。表IIに、AD8517が安定 性を損なうことなく容量性の負荷をドライブできる能力を 時間 – 1μs/Div ゲイン別に示します。この表は、すべてのVSYについて当て 図23 リンギングを生じた矩形波 はまります。 表II ゲイン 対 容量性負荷 直列のR-Cをデバイスの出力からグラウンドに接続して、い ゲイン 最大容量値 わゆる「スナバー」ネットワークを構成することにより、 1 2 2.5 3 400pF 1.5nF 8nF 無条件に安定 リンギングとオーバーシュートを大きく減少させることが できます。図24に、ネットワークの設定を、図25に、「スナ バー」ネットワークにより改善された出力応答を示します。 容量性負荷を駆動するためのループ内補償テクニック ユニティの構成で容量性負荷を駆動する場合には、図22に 5V 示すような、発振を防止するためのループ内における補償 テクニックを推奨します。 AD8517 VIN VIN RF 図24 容量性負荷に対するスナバー・ネットワーク補償 RX AD8517 VOUT F = 250kHz ゲイン = 1 C = 680pF RF ここで、RO=オープン・ループ出力抵抗 CF = 図22 電圧 – 200mV/Div CL RO RG CL CX RG CF RX = VOUT RX 1+ 1 RF + RG A CL RF CL RO 容量性負荷を駆動するためのループ内補償テクニック 容量性負荷を駆動するためのスナバー・ネットワーク補償 負荷容量が増加すると、オーバーシュートとセトリング・ 時間 – 1μs/Div タイムが増加し、デバイスのユニティ・ゲイン帯域幅が減 少します。図23に、AD8517をユニティ・ゲインの構成とし、 図25 スナバー・ネットワーク補償による矩形波 10kΩの抵抗と680pFのコンデンサを並列に接続し、周波数 250kHzでユニティ・ゲインに設定された矩形波を入力した このネットワークは負荷のコンデンサC Lと並列に動作し、 場合の例を示します。 付加された位相遅延を補償します。ネットワークの抵抗と コンデンサの実際の値は、経験的に決定する必要がありま す。表IIIに大きな容量性負荷についてのスナバー・ネット ワークの値を示します。 REV.A 10 AD8517/AD8527 マイクロフォン・プリアンプ AD8517は、マイクロフォンのプリアンプとして理想的です。 表III 大きな容量性負荷についてのスナバー・ネットワークの値 CLOAD Rx Cx 680pF 1nF 10nF 300Ω 100Ω 400Ω 3nF 10nF 30nF 図28に構成例を示します。 R3 100kΩ VCC 全高調波歪み+ノイズ AD85x7ファミリーは、全高調波歪みが低く、オーディオ・アプ VCC R1 2.2kΩ リケーションに理想的です。図26はTHD+Nのグラフを示しま C1 0.1μF R2 10kΩ す。ゲイン1の非反転構成においてVS>3VではTHD+Nは約 VOUT AD8517 0.001%、VS≧1.8Vにおいては約0.03%となっています。 電子マイク VREF 1 図28 0.1 マイクロフォンのプリアンプ アンプのゲインはR3/R2に設定されます。R1は電子マイク VS = 1.8V THD + N – % ロフォンをバイアスするために用いられ、C1はアンプから のDC電圧を阻止します。 0.01 電話回線インターフェースへの直接アクセス配置 図28に、600Ω伝送システムに対する1.8V送/受信電話回線イ VS > 3∼5V 0.001 ンターフェースを示します。この回線で、差動構成のトランス 結合600Ω回線において全二重の信号伝送が可能です。アン 0.0001 10 100 10k 20k 1k プA1は、モデム出力ドライブの要求に応じてゲインを調整でき 周波数 – Hz 図26 ます。A1とA2の双方は、単電源で可能な最大の信号をトラン THD+N 対 周波数のグラフ スに加えます。アンプA3は、次の2つの理由から差動アンプと なっています。 (1)送信信号が受信信号の妨害となることを防 マイクロパワー・リファレンス電圧生成器 多くの単電源回路は、回路に電源電圧の半分のバイアスをか 止する。 (2)伝送回線から受信信号を抽出してA4により増幅す る。A4のゲインはA1と同様に調整でき、モデムの入力信号へ ける形で構成されています。これらの場合では、アンプでバッ の 要 求 に 応 えられ ます。標 準 的 な 抵 抗 の 値 によって S I P ファされた分圧器を用いて偽のグラウンド・リファレンスを生成 (Single In-line Package) フォーマットの抵抗アレイが使用可能で できます。図27に、このような回路の概略図を示します。 す。この構成にAD8517/AD8527の5ピンSOT-23、8ピンMSOP、 2つの1MΩの抵抗は、1.8Vの電源からわずか 0.9μAの電流 8ピンSOICパッケージと組み合わせることにより、コンパクトな を引き出してリファレンス電圧を生成します。オペアンプ 回路が実現できます。 の反転端子から出力に接続されたコンデンサは、バイパ ス・コンデンサをリファレンス出力に接続できるように補 P1 Txゲイン調整 償します。このバイパス・コンデンサは、リファレンス出力に ついてのACグラウンドを確立するために役立ちます。 1.8 ∼ 5V 1 A1 C1 R1 10kΩ 0.1μF +1.8V DC R6 10kΩ 6 7 A2 R7 10kΩ 5 R8 10kΩ 10μF 2 1MΩ AD8517 3 4 6 100Ω 1μF VREF 0.9∼2.5V 1μF REV.A 2 R11 10kΩ 1MΩ 図27 R10 10kΩ R9 10kΩ 7 A1, A2 = 1/2 AD8517 A3, A4 = 1/2 AD8527 図28 マイクロパワー・リファレンス電圧生成器 11 送信 TxA 3 6.2V T1 MIDCOM 671-8005 0.022μF 2 R5 10kΩ 6.2V ZO 600Ω 10kΩ 2kΩ R3 360Ω 電話回線へ 1:1 R2 9.09kΩ 3 R12 10kΩ A3 1 R13 R14 10kΩ 14.3kΩ 2kΩ 6 5 P2 Rx ゲイン 調整 A4 7 マイクロフォンのプリアンプ C2 0.1μF 受信 RxA AD8517/AD8527 SPICEモデル AD8517アンプのSPICEモデルは、アナログ・デバイセズの 出力電流は、マクロ・モデルとAD8517の実際の動作で同じ Webサイト http://www.analog.com からダウンロードでき ます。このマクロ・モデルはAD8517のオフセット電圧、入 ン、入力電圧ノイズ、CMRRとPSRR対周波数、過渡応答な 力コモン・モード、およびレールtoレール出力スイングな モデルの高い精度によって、AD8517のマクロ・モデルはあ ど、多くのパラメータを正確にシミュレートしたものです。 らゆるアンプ用モデルの中でも、最も信頼性が高く現実に レールtoレールのアンプでは重要な特性である出力電圧対 近いものとなっています。 になっています。また、このモデルは、GB積、位相マージ TDS4/2000/2000 どの多くのAC効率を正確にシミュレートしています。この 外形寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 8ピン狭体SOIC 8ピンMSOP (SO-8) (RM-8) 0.1968 (5.00) 0.1890 (4.80) 0.1574 (4.00) 0.1497 (3.80) 8 5 1 4 ピン1 0.0098 (0.25) 0.0040 (0.10) 0.122 (3.10) 0.114 (2.90) 0.2440 (6.20) 0.2284 (5.80) 8 5 0.122 (3.10) 0.114 (2.90) 0.199 (5.05) 0.187 (4.75) 1 0.0688 (1.75) 0.0532 (1.35) 0.0196 (0.50) × 458 0.0099 (0.25) 0.0500 0.0192 (0.49) 実装面 (1.27) 0.0098 (0.25) 0.0138 (0.35) 0.0075 (0.19) BSC 4 ピン1 0.0256 (0.65) BSC 0.120 (3.05) 0.112 (2.84) 8° 0° 0.0500 (1.27) 0.006 (0.15) 0.002 (0.05) 0.0160 (0.41) 0.120 (3.05) 0.112 (2.84) 0.043 (1.09) 0.037 (0.94) 0.018 (0.46) 実装面 0.008 (0.20) 0.011 (0.28) 0.003 (0.08) 33° 27° 0.028 (0.71) 0.016 (0.41) 5ピンSOT-23 (RT-5) 0.1181 (3.00) 0.1102 (2.80) 0.0669 (1.70) 0.0590 (1.50) 5 1 4 2 0.1181 (3.00) 0.1024 (2.60) 3 ピン1 0.0374 (0.95) BSC 0.0748 (1.90) BSC 0.0059 (0.15) 0.0019 (0.05) 0.0079 (0.20) 0.0031 (0.08) 0.0571 (1.45) 0.0374 (0.95) 0.0197 (0.50) 0.0138 (0.35) このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。 12 実装面 10° 0° 0.0217 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