1.8V、5MHz、レールtoレール ローパワー・オペアンプ AD8631/AD8632 特長 単電源動作:1.8∼6V 省スペースSOT-23、μSOICパッケージ ピン配置 5ピンSOT-23 (記号RT) 広帯域幅:5Vにおいて5MHz、1.8Vにおいて4MHz 低オフセット電圧:4mV Max、0.8mV typ レールtoレール入/出力スイング 2V/μsのスルーレート(1.8V) わずか225μAの供給電流(1.8V) アプリケーション 8ピンSOIC (記号R) 携帯通信 携帯電話 センサー・インターフェース アクティブ・フィルタ PCMCIAカード ASIC入力ドライバ ウェアラブル・コンピュータ バッテリ駆動デバイス 8ピンμSOIC (記号RM) 新世代電話 PDA(Personal Digital Assistant) 概要 AD8631は、1.8Vの低電圧単電源と低い供給電流、5ピン SOT-23パッケージで、高精度と広帯域を実現するオペアン プです。小型パッケージなのでセンサーの隣に設置するこ とができ、外部ノイズの混入を低減できます。 AD8631/AD8632は、ゲイン帯域幅4MHz、1.8V電源で代表値 0.8mVの電圧オフセット特性を備えた、レールtoレール入/ 出力のバイポーラ・アンプです。低い供給電流と低い電源 電圧によって、バッテリ駆動のアプリケーションに理想的 です。3V/μsのスルーレートを備えているので、ボイス・ コーデックなどのASIC入力の駆動に好適です。 AD8631/AD8632は、拡張工業温度範囲(−40∼+125℃)で 仕様規定されています。シングル・アンプAD8631は、 5ピンSOT-23表面実装型パッケージで供給されます。デュア ル・アンプAD8632は、8ピンSOICおよびμSOICパッケージ で供給されます。 アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、そ の情報の利用または利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害 に関して、当社はいっさいの責任を負いません。さらに、アナログ・デバイセズ社の特 許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03 (5402)8400 〒105-6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868(代) 〒532-0003 新大阪第二森ビル AD8631/AD8632−仕様 電気的特性(特に指示のないかぎり、VS=5V、V−=0V、VCM=2.5V、TA=25℃) パラメータ 記号 入力特性 オフセット電圧 VOS 条件 Min Typ Max 単位 0.8 4.0 6 250 500 ±150 550 5 mV mV nA nA nA nA V dB dB V/mV V/mV V/mV μV/℃ pA/℃ −40℃≦TA≦+125℃ 入力バイアス電流 IB 入力オフセット電流 IOS 入力電圧範囲 コモン・モード除去比 VCM CMRR 大信号電圧ゲイン AVO −40℃≦TA≦+125℃ −40℃≦TA≦+125℃ オフセット電圧ドリフト バイアス電流ドリフト 出力特性 出力電圧スイング・ハイ 出力電圧スイング・ロー 短絡電流 電源 電源除去比 供給電流/アンプ 0≦VCM≦5V, −40℃≦TA≦+125℃ RL=10kΩ,0.5V<VOUT<4.5V RL=100kΩ,0.5V<VOUT<4.5V RL=100kΩ,−40℃≦TA≦+125℃ 0 63 56 100 100 ΔVOS/ΔT ΔIB/ΔT VOH VOL ISC PSRR ISY 70 25 400 3.5 400 IL=100μA −40℃≦TA≦+125℃ IL=1mA IL=100μA −40℃≦TA≦+125℃ IL=1mA グラウンドに短絡、瞬時 VS=2.2∼6V −40℃≦TA≦+125℃ VOUT=2.5V −40℃≦TA≦+125℃ ダイナミック特性 スルーレート GB積 セトリング・タイム 位相マージン SR GBP TS φm 1V<VOUT<4V,RL=10kΩ ノイズ特性 電圧ノイズ 電圧ノイズ密度 電流ノイズ密度 enp-p en in 0.1∼10Hz f=1kHz f=1kHz 0.1% 4.965 4.7 V V 35 200 ±10 75 72 90 300 450 650 mV mV mA dB dB μA μA 3 5 860 53 V/μs MHz ns 度 0.8 23 1.7 μVp-p nV/ Hz pA/ Hz 仕様は予告なく変更されることがあります。 2 REV.0 AD8631/AD8632 電気的特性(特に指示のないかぎり、VS=2.2V、V−=0V、VCM=1.1V、TA=25℃) パラメータ 記号 入力特性 オフセット電圧 VOS 条件 Min Typ Max 単位 0.8 4.0 6 250 ±150 2.2 mV mV nA nA V dB dB V/mV V/mV −40℃≦TA≦+125℃ 入力バイアス電流 入力オフセット電流 入力電圧範囲 コモン・モード除去比 IB IOS VCM CMRR 大信号電圧ゲイン AVO 出力特性 出力電圧スイング・ハイ VOH 出力電圧スイング・ロー VOL 0≦VCM≦2.2V, −40℃≦TA≦+125℃ RL=10kΩ、0.5<VOUT<1.7V RL=100kΩ IL=100μA IL=750μA IL=100μA IL=750μA 0 54 47 50 70 25 200 2.165 1.9 35 200 V V mV mV 350 500 μA μA 電源 供給電流/アンプ ISY VOUT=1.1V −40℃≦TA<≦+125℃ 250 ダイナミック特性 スルーレート GB積 位相マージン SR GBP φm RL=10kΩ 2.5 4.3 50 V/μs MHz 度 ノイズ特性 電圧ノイズ密度 電流ノイズ密度 en in f=1kHz f=1kHz 23 1.7 nV/ Hz pA/ Hz 仕様は予告なく変更されることがあります。 REV.0 3 AD8631/AD8632−仕様 電気的特性(特に指示のないかぎり、VS=1.8V、V−=0V、VCM=0.9V、TA=25℃) パラメータ 記号 条件 Min Typ Max 単位 0.8 4.0 mV 6 mV nA 入力特性 オフセット電圧 VOS 0℃≦TA≦25℃ 入力バイアス電流 IB 250 入力オフセット電流 IOS ±150 nA 入力電圧範囲 VCM 1.8 V コモン・モード除去比 CMRR 0 0V≦VCM≦1.8V, 0℃≦TA≦125℃ 大信号電圧ゲイン AVO 49 RL=10kΩ,0.5≦VOUT≦1.3V 65 dB 20 V/mV 200 V/mV RL=100kΩ,0.5≦VOUT≦1.3V 40 IL=100μA 1.765 V IL=750μA 1.5 V 出力特性 出力電圧スイング・ハイ 出力電圧スイング・ロー VOH VOL IL=100μA 35 mV IL=750μA 200 mV 電源 電源除去比 供給電流/アンプ PSRR ISY VS=1.7∼2.2V, 68 0℃<≦TA≦125℃ 65 VOUT=0.9V 86 dB dB 225 0℃≦TA≦125℃ 325 μA 450 μA ダイナミック特性 スルーレート SR 2 V/μs GB積 GBP RL=10kΩ 4 MHz 位相マージン φm 49 度 ノイズ特性 電圧ノイズ密度 en f=1kHz 23 nV/ Hz 電流ノイズ密度 in f=1kHz 1.7 pA/ Hz 仕様は予告なく変更されることがあります。 4 REV.0 AD8631/AD8632 絶対最大定格1 電源電圧 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6V 入力電圧2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥GND∼VS 差動入力電圧 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥±0.6V 内部ワット損 SOT-23(RT) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥熱抵抗のグラフ参照 SOIC(R) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥熱抵抗のグラフ参照 μSOIC(RM) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥熱抵抗のグラフ参照 出力短絡時間 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥不定 保管温度範囲 R,RM,RTパッケージ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥−65∼+150℃ 動作温度範囲 AD8631/AD8632 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥−40∼+125℃ 接合温度範囲 R,RM,RTパッケージ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥−65∼+150℃ ピン温度範囲(ハンダ付け、60秒) ‥‥‥‥‥‥‥‥300℃ パッケージ・タイプ θJA1 θJC 5ピンSOT-23(RT) 230 146 ℃/W 8ピンSOIC(R) 158 43 ℃/W 8ピンμSOIC(RM) 210 45 ℃/W 単位 注 1 θJAは最悪の条件について、すなわちSOT-23およびSOICパッケージを基板にハンダ付けした場 合のものです。 注 1 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに永久的な損傷を与えることがあ ります。この定格はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セクシ ョンに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを長期間 絶対最大定格条件に置くと、デバイスの信頼度に影響を与えることがあります。 2 6V未満の電源電圧では、入力電圧は電源電圧に限定されます。 オーダー・ガイド モデル パッケージ・ オプション ブランド 5ピンSOT-23 RT-5 AEA 8ピンSOIC SO-8 8ピンμSOIC RM-8 温度範囲 パッケージ AD8631ART −40∼+125℃ AD8632AR −40∼+125℃ AD8632ARM2 −40∼+125℃ 1 AGA 注 1 3,000ピースのリールによってのみ供給可能。 2 2,500ピースのリールによってのみ供給可能。 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、 検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネル ギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や機能喪 失を回避するために、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。 WARNING! ESD SENSITIVE DEVICE アンプ数 供給電流−μA カウント=1,133オペアンプ 入力オフセット電圧−mV 図1 REV.0 電源電圧−V 入力オフセット電圧の分布 図2 5 アンプあたりの供給電流 対 電源電圧 AD8631/AD8632−代表的な性能特性 位相 温度−℃ 周波数−Hz アンプあたりの供給電流 対 温度 図6 オープン・ループ・ゲイン 対 周波数 入力バイアス電流−nA クローズド・ループ・ゲイン−dB 図3 位相シフト−度 供給電流−μA オープン・ループ・ゲイン−dB ゲイン コモン・モード電圧−V 入力バイアス電流 対 コモン・モード電圧 図7 クローズド・ループ・ゲイン 対 周波数 CMRR−dB 出力電圧−mV 図4 周波数−Hz ソース 負荷電流−μA 図5 周波数−Hz 電源レールまでの出力電圧 対 負荷電流 図8 6 CMRR 対 周波数 REV.0 PSRR−dB 出力インピーダンス−Ω AD8631/AD8632 周波数−Hz 図9 周波数−Hz PSRR 対 周波数 図12 出力インピーダンス 対 周波数 オーバーシュート−% 電圧ノイズ密度−nV/√Hz Ω 容量−pF 図10 周波数−Hz オーバーシュート 対 容量性負荷 図13 電圧ノイズ密度 対 周波数 歪み 電流ノイズ密度−pA√Hz 最大出力スイング−Vp-p Ω 周波数−Hz 周波数−Hz 図11 REV.0 出力スイング 対 周波数 図14 7 電流ノイズ密度 対 周波数 AD8631/AD8632 ± ± 電圧−20mV/DIV 電圧−200mV/DIV Ω 時間−1s/DIV 図15 時間−200ns/DIV 0.1∼10Hzノイズ 図17 小信号過渡応答 ± ± サイン波 電圧−1V/DIV 電圧−500mV/DIV Ω 時間−500ns/DIV 時間−200μs/DIV 図16 位相反転なし 図18 大信号過渡応答 をソース/シンクするときの出力スイングは、各レールに つき35mVです。 入力バイアス電流特性は、コモン・モード電圧に依存しま す(図4)。入力電圧がV CCの1V下となるとPNPペア(Q3と Q4)がオフとなります。 1kΩの入力抵抗R1とR2はダイオードD7とD8とともに入力 ペアをアバランシェによる損傷から保護します。 AD863xファミリーは、入力信号が電源を0.6V以上上回るま で位相反転を生じません。0.6Vまでのスレショルドを超え た場合には、余分な電流はESDダイオードD1-D2またはD3D4を介して入力ピンを流れます。このような異常な電流は、 外部直列抵抗によって5mA以下に抑える必要があります。 動作原理 AD863xは、1.8Vという低い電圧で動作可能なレールtoレー ルのオペアンプです。このファミリーは、XFCBと呼ばれる アナログ・デバイセズの高速コンプリメンタリ・バイポー ラ・プロセスによって製造されています。プロセスのトレ ンチは、各トランジスタを絶縁して寄生容量を最小に抑え、 高速動作を実現しています。図19に、AD863xファミリーの 概略図を示します。 入力段は、2つの並列コンプリメンタリ差動ペアにより構成 されます。その1つはNPNペア(Q1とQ2)で、もう1つはPNP ペア(Q3とQ4)です。R7、R8、R9、R10における電圧降下 はレールtoレール動作によって低く抑えられています。オペ アンプの大きなゲイン段は、トランジスタQ5、Q6、Q8、Q9 により構成されるダブル・フォールデッド・カスコードで す。出力段は、レールtoレールとしても動作し、Q14によっ てドライブされます。トランジスタQ13、Q10はレベル・シフ タとして動作し、1.8Vでの動作時にも余裕が得られます。 Q13のベースの電圧が上昇すると、Q18は電流のシンクを開 始します。Q13のベースの電圧が降下すると、D16とQ15を 流れるI8が減少し、Q17のVBEが増加し、続いてQ20のソー ス電流が増加します。 また、出力段では、出力抵抗がエミッタ結合の構成となって いるため、負荷抵抗に依存するゲインを与えます。100μA 低電圧動作 バッテリ電圧放電 AD8631は、1.8Vという低電圧で動作します。一般的なバッ テリでの放電終了時の電圧でも動作可能なので、バッテリ 駆動アプリケーションに理想的です。表Iに、いくつかの代 表的なバッテリの定格および放電終了時の電圧を示します。 8 REV.0 AD8631/AD8632 図19 表I 簡略な概略図 代表的なバッテリの寿命電圧範囲 バッテリ 定格電圧(V) 放電終了時の電圧(V) 鉛蓄電池 リチウム NiMH NiCd 炭素-亜鉛 2 2.6∼3.6 1.2 1.2 1.5 1.8 1.7∼2.4 1 1 1.1 入力バイアスにおける配慮 入力バイアス電流(IB)は、理論値と異なる現実のパラメー タであり、すべてのアンプに影響を与えます。IBはある程度 影響を与えるオフセットを生成します。このオフセット電 圧は、IBが負のフィードバック抵抗RFを通るときに生成され ます。IBが250nA(最悪の場合)であり、RFが100kΩである 場合には、これに対応して生成されるオフセット電圧は 25mV(VOS=IB×RF)となります。 R Fが小さくなるほど生成されるオフセット電圧が小さくな ることは明らかです。図21に示すような補償抵抗RBを用い ることにより、この降下を最小限に抑えられます。入力バ イアス電流が最小化された場合にも、わずかなオフセット 誤差を生じさせる入力オフセット電流(IOS)に留意する必 要があります。図21に、IBによって起こるオフセット誤差を 最小化するための3つの異なる構成を示します。 レールtoレール入/出力 AD8631は、1.8Vという低い電源電圧からのレールtoレール の入/出力が可能であるという、際立った性能を特長とし てします。アンプの電源を1.8Vに設定して、入力を1.8Vp-p に設定でき、クリップを発生させずに出力を両側のレール までスイングさせることができます。図20に、ユニティ・ ゲインにおいて周波数を1kHz、VS=1.8V、VIN=1.8Vp-pとし た場合の入/出力のオシロスコープによる波形を示します。 反転構成 非反転構成 時間−200μs/Div 図20 ユニティ・ゲイン・バッファ レールtoレール入/出力 図21 REV.0 9 入力バイアス・キャンセル回路 AD8631/AD8632 容量性負荷のドライブ 容量性負荷 対 ゲイン ほとんどのアンプでは、容量性の負荷による位相の遅れが 加わって位相余裕が劣化するため、容量をドライブするこ とが困難です。出力における大きな容量はオーバーシュー トを増大させ、アンプのステップ応答におけるリンギング を増大させて、デバイスの安定性にまで影響を及ぼすこと があります。アンプが発振を生じずにドライブできる容量 性負荷の値は、ゲイン、電源電圧、入力信号、温度その他 の要因により異なります。ユニティ・ゲインは、容量性の 負荷をドライブする場合に最も困難な構成です。しかし、 AD8631は、比較的優れた容量ドライブ能力を持っています。 図22に、AD8631がさまざまなゲインにおいて不安定となら ずに容量性負荷をドライブできる範囲を示します。このグ ラフは、すべてのVSYについて当てはまります。 電圧−200mV/DIV 入力信号 時間−2μs/DIV 図24 補償なしで容量性負荷をドライブ 直列に接続されたR-C回路をデバイスの出力からグラウンド に接続する「スナッバー・ネットワーク」により、このリ ンギングとオーバーシュートは大きく低減できます。図25 は、ネットワークの設定を示し、図26は「スナッバー」ネ ットワークが付加された場合での出力応答が改善される様 子を示します。 容量性負荷−pF 不安定 安定 ゲイン−V/V 図22 容量性負荷 対 ゲイン 容量性負荷をドライブするためのループ内補償テクニック 低いゲインの構成で容量をドライブするときには、発振を 防止するために図23に示すようなループ内補償のテクニッ クを推奨します。 図25 容量性負荷に対するスナッバー・ネットワークによる補償 電圧−200mV/DIV 入力信号 RO=オープン・ループ出力抵抗 図23 時間−2μs/DIV 容量性負荷をドライブするためのループ内補償手法 図26 容量性負荷をドライブするためのスナッバー・ネットワー ク補償 負荷容量が大きくなると、オーバーシュートおよびセトリ ング・タイムが増大し、デバイスのユニティ・ゲイン帯域 幅が減少します。図24に、10kΩの抵抗と600pFのコンデン サを並列に接続した負荷を、周波数90kHzに設定された入力 とユニティ・ゲインでドライブする場合の、非反転構成に おけるAD8631の例を示します。 スナッバー・ネットワークによる矩形波の波形 ネットワークは負荷コンデンサCLと並列に動作し、付加さ れる位相の遅れを補償します。ネットワークの実際の抵抗 およびコンデンサの値は経験的に決定する必要があります。 表IIに、大きな容量性負荷に対するスナッバー・ネットワー クの値を示します。 10 REV.0 AD8631/AD8632 表II 大容量性負荷に対するスナッバー・ネットワークの値 CLOAD RX CX 600pF 1nF 10nF 300Ω 300Ω 90Ω 1nF 1nF 8nF マイクロパワー・リファレンス電圧ジェネレータ 多くの単電源の回路は、電源電圧の半分のバイアスをかけ た回路により構成されます。これらの場合では、仮想のグ ラウンド・リファレンスがアンプによりバッファされた分 圧器によって生成されます。図28に、このような回路の概 略図を示します。2つの1MΩの抵抗がリファレンス電圧を 生成し、1.8Vの電源からの引き込み電流はわずか0.9μAで す。反転端子からオペアンプの出力に接続されたコンデン サは、バイパス・コンデンサをリファレンス出力に接続で きるよう補償します。このバイパス・コンデンサにより、 リファレンス・グラウンドに対するACグラウンドが確立で きます。 全高調波歪み+ノイズ AD863xファミリーは、全高調波歪みが低く、オーディオ・ アプリケーションに理想的なアンプです。図27は、THD+N のグラフを示したものですが、1.8V電源に対し1kHzで最大 0.02%です。全高調波歪み+ノイズは、すべての電源範囲に わたって低く抑えられています。 ∼ 反転 Ω THD + N % μ Ω Ω ∼ μ Ω 図29 マイクロパワー・リファレンス電圧ジェネレータ マイクロフォン・プリアンプ AD8631は、マイクロフォン・アンプに理想的です。図30に、 この例を示します。 周波数−Hz 図27 μ THD+N 対 周波数 AD8632ターンオン・タイム 低電圧で低消費電力のAD8632は、今までにないターンオ ン・タイムを実現します。これは、VSY=5Vについて500ns であり、供給電流の低さ(アンプあたり300μA typ)を考え ると際立っています。図28は、AD8632の双方のチャンネル を以下のように構成した場合のオシロスコープ波形です。 チャンネルAの入力信号は2.5V、チャンネルBの入力信号は グラウンドです。上側の波形は電源電圧であり、下側の波 形はアンプのチャンネルAの応答を反映したものです。 Ω Ω μ エレクトレット マイク 図30 電圧−1V/DIV 電話回線インターフェースへの直接アクセスのための配置 図31に、600Ω通信システムにおける1.8Vの送/受信電話の インターフェースを示します。これにより、トランス結合 された600Ωの回線で全二重通信を異なる形で実行できま す。アンプA1はモデム出力ドライブの要求あわせて調整で きるゲインを供給します。A1およびA2の双方は、トランス への信号供給において可能な最大の信号を供給できるよう に構成されます。アンプA3は、以下の2つの理由から差動ア ンプとして構成されます。(1)送信信号が受信信号と干渉 しないようにし、また、(2)A4による増幅のために通信ラ 時間−200ns/DIV REV.0 マイクロフォン・アンプ R1はエレクトレット・マイクをバイアスするのに用いられ、 C1はアンプからの電圧をブロックします。アンプのゲイン の大きさは、R2≧10×R1のときにおおよそR3/R2となりま す。電圧のスイングを最大とするためにはVREFを1/2×1.8V とする必要があります。 ステップ 図28 Ω AD8632ターンオン・タイム 11 AD8631/AD8632 インから受信信号を抽出します。A4のゲインは、A1をモデ ムの入力信号の要求に合わせるのと同様の方法で調整でき ます。標準的な抵抗の値によりSIP(Single In-line Package) フォーマットの抵抗アレイが使用できます。AD8631/AD8632 の、省スペースな5ピンSOT-23、8ピンμSOIC、8ピンSOIC パッケージをこの回路と組み合わせて、コンパクトなソリュー ションが実現します。 SPICEモデル AD8631のSPICEモデルが供給されており、当社のwebサイ トhttp//www.analog.comからダウンロードできます。マク レールtoレール出力スイングなどのAD8631のさまざまなパ ラメータを正確にシミュレートします。マクロ・モデルの、 レールtoレールのアンプにおいて重要な機能である出力電 圧対出力電流の特性は、AD8631の実際の動作と同様です。 P1 Txゲイン調節 2kΩ R3 360Ω 電話線へ 1:1 1 また、モデルは、GB積、位相余裕、入力電圧ノイズ、 C1 R1 10kΩ 0.1μF 2 A1 R5 10kΩ 6.2V ZO 600Ω R2 9.09kΩ ミュレートします。この高精度なモデルにより、AD8631の マクロ・モデルは、あらゆるアンプの中で最も信頼性があ り現実の振る舞いを正確に反映したモデルの一つになって +1.8V DC T1 MIDCOM 671-8005 R6 10kΩ 6 7 A2 R10 10kΩ R9 10kΩ 2 R11 10kΩ 3 A3 1 R8 10kΩ P2 R13 R14 Rxゲイン調節 10kΩ 14.3kΩ 2kΩ 6 R12 10kΩ います。 R7 10kΩ 5 10μF 図31 CMRRとPSRR対周波数、過渡応答などのAC特性を正確にシ 3 6.2V A1, A2 = 1/2 AD8632 A3, A4 = 1/2 AD8632 トランス TxA TDS10/2000/1000 ロ・モデルは、オフセット電圧、入力コモン・モード電圧、 A4 5 7 受信 RxA C2 0.1μF モデムに対する単電源ダイレクト・アクセス配置 外形寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 8ピン狭体 SOIC 8ピン μSOIC (SO-8) (RM-8) 0.1968 (5.00) 0.1890 (4.80) 0.1574 (4.00) 0.1497 (3.80) 8 5 1 4 ピン1 0.0098 (0.25) 0.0040 (0.10) 0.122 (3.10) 0.114 (2.90) 0.2440 (6.20) 0.2284 (5.80) 8 5 0.122 (3.10) 0.114 (2.90) 0.199 (5.05) 0.187 (4.75) 1 0.0688 (1.75) 0.0532 (1.35) 0.0196 (0.50) × 45° 0.0099 (0.25) 0.0500 0.0192 (0.49) 実装面 (1.27) 0.0098 (0.25) 0.0138 (0.35) 0.0075 (0.19) BSC 8° 0° 4 ピン1 0.0256 (0.65) BSC 0.120 (3.05) 0.112 (2.84) 0.0500 (1.27) 0.0160 (0.41) 0.120 (3.05) 0.112 (2.84) 0.043 (1.09) 0.037 (0.94) 0.006 (0.15) 0.002 (0.05) 実装面 0.018 (0.46) 0.008 (0.20) 0.011 (0.28) 0.003 (0.08) 33° 27° 0.028 (0.71) 0.016 (0.41) 5ピン SOT-23 PRINTED IN JAPAN (RT-5) 0.1181 (3.00) 0.1102 (2.80) 0.0669 (1.70) 0.0590 (1.50) 5 1 4 2 0.1181 (3.00) 0.1024 (2.60) 3 ピン1 0.0374 (0.95) BSC 0.0748 (1.90) BSC 0.0512 (1.30) 0.0354 (0.90) 0.0059 (0.15) 0.0019 (0.05) 0.0079 (0.20) 0.0031 (0.08) 0.0571 (1.45) 0.0374 (0.95) 0.0197 (0.50) 0.0138 (0.35) このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。 実装面 12 10° 0° 0.0217 (0.55) 0.0138 (0.35) REV.0