2009 C S R 報 告 書 P D F 版 日立金属 経営理念 日立金属グループ企業行動指針 1 わが社は 社会的責任と社会倫理の自覚 “法を守り正道を歩む” を行動の基本とし、企業活動の社会に与える影響と責任を自 100年に及ぶ歴史をもち 覚し、高い倫理観のもと誠実な企業活動を行います。国際的な事業活動においては、 国際ルールと各国の法律を遵守するとともに、現地の宗教、文化、習慣を理解し、そ 主製品は質量ともに業界の首位を占めて の発展に貢献します。 つねに技術に精進し 2 わが社を愛する人々の和の上に ビジネスパートナーと共に成長 独自の基盤技術と新しい技術に挑戦し、お客様に喜ばれる高品質で安全な製品・ サービスを提供し、お取引先と公正かつ適正な取引を行います。これらのビジネス 『最良の会社』を具現して パートナーと社会的責任意識を共有し、共に成長する企業活動を行います。 社会に貢献することを念願しております 3 社会とのコミュニケーションの促進 株主をはじめ広く社会に対し、公正かつ透明性の高い企業情報を適時・適切に開示 するとともに、社会との双方向のコミュニケーションを促進し、信頼関係を築きます。 4 次世代に引き継ぐ環境に配慮 地球環境を守り、次世代に引き継ぐという自覚を持ち、環境に配慮し限りある資源を 有効に利用します。また、新たな価値を生み出す新製品・新事業の創出を通じ、高品 位の環境親和製品を提供し持続的な成長を目指します。 5 働きやすい職場づくりと社会への貢献 従業員の個性を尊重し多様な人材が能力を発揮できる、安全で働きやすい職場づ くりをするとともに、仕事を通じた自己啓発を促します。また、社会の人々との相互 信頼を確保し、誠実で差別のない企業活動を行います。そして“良き企業市民”とし て継続して社会に貢献します。 2006年7月26日制定 2009 CSR報告書 ダイジェストの編集について 編集方針 1 ●参考にしたガイドライン ●発行目的 ●対象範囲 本報告書は、日立金属グループが考えるCSR(企業の社会 本報告書の対象範囲は日立金属株式会社および日立金属 「環境報告書ガイドライン」 (2007年度版) (環境省) 「事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン」 (2002 的責任)について、従業員が日常業務の中で実践している グループ会社(連結対象子会社75社、持分法適用会社11 事例を交えてわかりやすく情報を提供し、社会とのコミュ 社)の86社としています。 ニケーションを図ることを目的に発行しています。 また、環境データの集計範囲は、環境負荷が基準以上の60 コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス体制などの 社とし、 日立金属グループの環境負荷の約88%を占めてい 経営の仕組みや事業を通じて循環型社会の形成に深く貢 ます。なお、社名などの名称は2009年3月31日現在のも 献している製品開発・モノづくりなどについて、 日立金属グ のです。 ループの姿を、さまざまなステークホルダーの皆様に知っ ●対象期間 年度版) (環境省) 「ステークホルダー重視による環境レポーティングガイド ライン2001」 (経済産業省) 「 G R I サ ステ ナビリティ・リポ ー ティング・ガイドライン 2006」 (GRI:Global Reporting Initiative) ていただき、 コミュニケーションをさらに深めていくことで、 2009年度(原則として2008年4月1日から2009年3 さらに活動領域を広げていきます。 http://www.hitachi-metals.co.jp/corp/corp14.html 月31日まで) およびダイジェスト版もあわせてご覧ください。 C O N T E N T S トップメッセージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 コーポレートガバナンス コーポレート・ガバナンス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 日立金属グループのCSR 日立金属グループのCSR ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 コンプライアンスへの取り組み コンプライアンスへの取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 グループミーティングから1年 ∼社員が語るコンプライアンス研修の成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 個人情報保護/情報セキュリティへの取り組み 個人情報保護/情報セキュリティへの取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 社会性報告 【地域社会とともに】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 【地域との共生】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 つなごう!地域とのコミュニケーション ∼配管機器カンパニー 桑名工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 桑名工場ブラスバンド部が養護老人ホームで演奏 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 【史跡・伝統文化保全】 たたら操業を体験 ∼特殊鋼カンパニー 安来工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 「第13回やすぎ刃物まつり」に出展 ∼歴史あるハガネの街で、伝統と革新の技をアピール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 【ビジネスパートナーと共に成長】 お客様とともに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 お取引先とともに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 【働きやすい職場づくりと社会への貢献】 従業員に対して ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 PT. NX INDONESIAが無災害2000日を達成 ∼「自分の身は自分で守る。ちょっと待ての心構え」をスローガンに∼ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 いつも元気にスマイル! ∼株式会社 桑名クリエイト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 株式会社ハローが埼玉県雇用開発協会の会長表彰を受賞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 いいとこ発見隊 ∼特殊鋼カンパニー安来工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 【社会とのコミュニケーションの促進】 株主・投資家をはじめとした社会に対して ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 環境性報告 環境行動計画とその実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 エコマネジメント&エコマインド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 日立金属グループ環境保全基本方針/環境経営推進体制/統合環境マネジメントシステム(統合EMS)/環境会計 エコプロダクツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 製品・サービスの環境配慮ビジョン/環境適合製品の拡大/展示会への参加/ネオジム(Nd)系焼結磁石 ® ® NEOMAX /アモルファス金属材料- Metglas SA1/排気系部品用耐熱鋳鋼ハーキュナイトR-S/CVTベルト用リング材 エコファクトリー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 マテリアルバランス/地球温暖化防止/廃棄物の削減/環境負荷物質の低減/サイトデータ 第三者意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 2009年3月期 財務ハイライト(連結) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・50 コーポレートデータ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 2 トップメッセージ 環 境 に 配 慮 し 、社 会 へ の 貢 献 を 進 め ま す 。 日立金属株式会社 代表執行役 執行役社長 持田 農夫男 日立金属グループ 『2009 CSR報告書』 をご覧くださり、ありがとうございます。 この場をお借りし、日立金属グループのCSR(企業の社会的責任)活動の考え方についてご説明し、 社会の一員として責務の一端を果たしていきたいと思います。 バルに展開している企業活動にとって、必要なものと考えて 「高い倫理観」と「自己規律」に基づく企業活動 います。 残念ながら、先年、 コンプライアンス上の問題を起こし、ス 日立金属グループは、創業当初から『最良の会社』の具現 テークホルダーの皆様には大変なご迷惑をおかけいたしま 化を経営理念に掲げてきました。それは、単純に利益のみを した。その後、社内の意識改革や古い商慣行の見直しなどを 求め、規模を大きくすることに奔走する企業であってはなら 進め、世の中から求められる倫理観を根付かせることを努め ないという意味です。 てきました。 これは避けて通れませんし、違反行為があった 『最良の会社』の具現化を支えているのが、 「 日立金属グ ループ企業行動指針」にも明記した「高い倫理観」、そして 事実を直視することも必要であり、 今後も時間をかけて継続 的に行っていきます。 「自己規律」に基づいた企業活動です。日本の経済発展は喜 ばしいことですが、近年に顕著となったように、経済的に成功 「次世代に引き継ぐ環境に配慮」がキーワード すればするほど、合理的な価値観に基づく判断が優先されが 3 ちな傾向があります。そうした場合であっても、根本では常 昨今、世界経済の環境は、急激な危機に見舞われていま に「高い倫理観」と「自己規律」を備えなければならない す。日立金属グループも、2008年度の下半期には、米国 ―それが当社グループの願いであり、休むことなくグロー の金融危機に端を発した世界的な不況によって、大きな影 響を受けました。しかし、競合他社に対する、当社グループ 自治体も、協力会社も含まれます。 製品の優位性が揺らいだわけではありません。むしろ、材 企業の得る利益とは本来、 こうしたステークホルダーの皆 料・素材分野における開発型企業として、この優位性をいか 様からのご協力があってこそ得られるものであり、 得られた利 に具体性をもって伸ばせるかが、 こうした状況下における事 益は少しでも還元していかなければなりません。特に地域社 業継続のポイントとなります。 会への貢献は、地域住民の方々に理解され、安定した操業を そのための具体策が、行動指針にある 「次世代に引き継ぐ 持続させるためにも重要です。また、当社グループは日本刀 環境に配慮」 というキーワードに込められています。たとえ の材料である玉鋼(たまはがね)をつくる伝統技術である「た 不況や経済危機のた たら製鉄」を復活させ、文化・技術の伝承に協力しています。 だなかにあっても、地 これは鋼(はがね)を造るメーカーとしてのこだわりでもある 球に優しい「 環 境 親 と同時に、 広い意味での社会貢献の一環と考えています。 和 製 品 」の開発と環 現在の経済危機にあっては、身の丈に合った社会貢献が中 境に配慮したモノづ 心とならざるを得ませんが、本業はもちろん、さまざまな方 くりを 進 めていくこ 法でさらなる社会貢献に取り組み、企業価値の向上を図って とによって、優位性を いきます。 獲得できると考えています。 したがって、 どのような製品が世界の市場で主流となり、 CSR活動のエッセンスをCSR報告書で発信 しかも、より環境に優しいかという点を慎重に見極め、それ に合わせた技術開発を行うことが材料メーカーにとって大 切です。従来のビジネスモデルは精査し、見直していかなけ 得るための努力を日常的に続けています。 ればなりません。また、日本における産業構造も大きく変わ 現代社会は、以前とは比べものにならないほどの高い倫理 ると考えています。このように、さまざまな変化が求められ 観を企業に求めています。当社グループは、それに積極的に る状況では、業界および技術動向などを分析して伸びていく 応じるためにも、今後ともCSR報告書の制作・発行によって、 製品分野を見定めることに加え、 さらなるグローバル化を進 ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを円滑化し、 めることは避けて通れません。 率直なメッセージを発信していきたいと考えています。社会 例えば、世界の自動車業界では現在、経済危機の影響と環 境への配慮によって、高級車から中小型車へ、 ガソリン車か ら次世代車へのシフトが急速に進んでいます。このうち次世 代車では必ずモーターを必要とするため、モーター用のマ グネットのマーケットは拡大が望めます。そのほかの分野で は、中国・インドなど新興国を中心に、世界中で産業インフラ 用として需要増加が期待できるアモルファス金属材料や、 リ チウム電池・太陽光発電分野におけるエレクトロニクス材料 なども拡大を見込んでいます。 社会への利益還元は企業の責務 日立金属グループが考えるステークホルダーとは、 ビジネ スパートナーや株主の皆様、社員だけにはとどまらず、お客 様はもちろんのこと、各事業所が置かれている地域社会も、 4 日立金属グループは、 ステークホルダーの皆様から信頼を 全体の発展と成長のために、引き続きご支援・ご指導を賜り たく、 よろしくお願い申し上げます。 コ ー ポ レ ー ト ガ バ ナ ン ス C o r p o r a t e G o v e r n a n c e コーポレート・ガバナンス 基本的な考え方 日立金属は、経営の透明性および効率性を確保し、ステークホ 株主総会 ルダーの期待に応え、企業価値を増大させることがコーポレー 取締役の選解任議案 選解任 ト・ガバナンスの基本であり、経営の最重要課題の一つであると 執行役 (社長) 認識しています。このために、経営の監督機能と業務執行機能 が、各々有効に機能し、かつ両者のバランスのとれた組織体制 指名委員会 執行役の選解任 職務執行の監督 会計監査人 会計 監査 を構築することが必要であると考え委員会設置会社の形態を 経営会議 〈 内部統制 機能 〉 採用しています。また、 タイムリーで質の高い情報開示を行うこ とがコーポレート・ガバナンスの充実に資するものと考え、決算 会計監査人の 選解任議案 取締役の 選解任 監査委員会 職務執行の監査 取締役会 報酬委員会 報酬の決定 補助に 関する 指揮・命令 指揮・命令 内容にとどまらず、定期的に個別事業の内容や中期経営計画の 〈内部統制機能〉 内部統制 システムの整備 コンプライアンスの推進 ポレート・ガバナンスの根幹であるとの認識のもと、単に法令や 社内ルールの遵守にとどまらず、社会倫理・道徳を尊び、社会の カンパニー 一員であることを自覚した企業行動をとります。当社は、 この内 容を反映させた「日立金属グループ企業行動指針」を制定し、 連携 〈リスク 管理 〉 取締役会 事務局 CSR推進室 業務担当部門 開示を行うこととしています。コンプライアンスについては、 コー 補助に関する 指揮・命令 コーポ レート 監査室 業務監査 〈内部統制機能〉 コーポレート・ガバナンス体制の模式図 役員および従業員がとるべき行動の具体的基準としています。 取締役および執行役の報酬については、取締役および執行役が中長期的視点で経営方針、中期経営計画および年度事業予算を立案、決 定および実行することで当社の企業価値を増大させ、ステークホルダーに資する経営を行うことの対価と位置付け、短期および中長期 的な会社の業績を反映した報酬体系とすることを方針としています。 内部統制システムの整備状況 日立金属における内部統制システムの整備の状況は、以下の通りです。 ①執行役の職務の執行が法令および定款に適合し、かつ、効率的に行われることを確保するために、執行役全員で構成する経営会議を 組織し、全社的に影響を及ぼす一定の重要な経営事項については、同会議で審議したうえで、権限を有する執行役が決定することとし ています。 ②コンプライアンス担当部門を所管し、全社的なコンプライアンス体制を統括する責任者を置いています。 ③CSR推進室を設置して、 コンプライアンスおよび社会貢献など、企業の社会的責任に関する取り組みの全社的な推進を図っています。 ④当社およびグループ会社の従業員などが、業務における法令などに対する違反行為にかかる事実を発見したときに、不利益を受ける ことなく専用窓口を通じてその事実を報告できるよう、 コンプライアンス・ホットラインを設けています。これにより、違法行為などの早 期発見と是正を図っています。 ⑤社長直轄の監査室を設置して、法令および社内規則の遵守状況ならびに業務の効率性などについて、当社各部門および各グループ会 社に対して内部監査を実施しています。内部監査の結果については執行役社長および監査委員会に報告するとともに、指摘事項の是 正状況の確認を行っています。 * ⑥米国における企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)の要請に基づき、標準的なフレームワーク(COSOフレームワーク )に基づいた 内部統制システムの整備を進めてきており、財務報告に係る内部統制について文書化ならびに有効性の評価を行っています。併せて 平成20年度からわが国でも金融商品取引法の要請に基づき導入されている内部統制報告制度にあわせ、 さらにそのレベルの向上を めざしています。 *COSOフレームワーク:米国で最も一般的に適用されている内部統制の基本的枠組み。日立グループでも採用した。 5 コ ー ポ レ ー ト ガ バ ナ ン ス C o r p o r a t e G o v e r n a n c e コンプライアンス体制 日立金属グループのコンプライアンス体制は、代表執行役を統括責任者とするコンプライアンス委員会を設置し、推進事務局はCSR推 進室が担当しています。専門的知見をもとに、推進事務局を支援するコンプライアンス推進委員は、各コーポレート部門長が担当し、推進 責任者は各カンパニーや事業所の責任者が担当するという体制をとっています。 コンプライアンス特命監査 日立金属の全事業所、商社事業および独立業務を営む連結子会社を対象とした、特命監査 を実施いたしました。対象事業所の書類(課金、加入団体書類)などの閲覧および営業担当 部長全員から、独占禁止法に触れる違反行為がないか聞き取り調査を行いました。また、業 * 界団体などの会合に出席した際の記録簿(コンプライアンス情報記録ノート )の記載状況 も閲覧し、違法行為が行われていないことを確認いたしました。 2008年12月∼2009年3月 23事業所 営業部長以上117名 *コンプライアンス情報記録ノート:業界団体などの会合で、やむを得ず競合他社の社員と会ってしまった時などに、法に 触れるような行為はしていないという記録を残しておくノート。 新任副参事研修 コンプライアンス・ホットライン 2005年4月に「日立金属コンプライアンス・ホットライン規則」を制定し、当 社およびグループ会社における違法、 または不適切な行為を防止し、早期に 是正するための内部通報制度をスタートさせました。これは、当社およびグ ループ会社で働くすべての従業員が電子メールや封書で職場の問題を相談 できる仕組みです。上司に相談できない、あるいは相談しても聞いてもらえ ない場合に直接、当制度を利用して問題解決を図ることが出来る制度です。 匿名での通報や、 コンプライアンス・ホットライン専用窓口だけでなく、監査役 会へ直接通報なども行うことが可能です。 全社コンプライアンス研修時にも、必ずコンプライアンス・ホットライン制度に ついて説明を行い、 すべての従業員に制度の存在を浸透させています。 リスク管理 リスク管理については、 コンプライアンス、財務、調達、環境、災害、品質、情報管理および輸出管理などにかかるリスクについてコーポレー トの各業務担当部門において、社内規則およびガイドラインなどを制定して、教育・啓発活動および業務監査などを実施し、 カンパニーの 関係業務担当部門と連携してリスクを回避・予防および管理しています。 6 日 立 金 属 グ ル ー プ の C S R CSR at Hitachi Metals Group 日立金属グループのCSR 日立金属グループは「『最良の会社』を具現して社会に貢献する」という経営理念のもと、CSRの視点を盛り込み2006年7月に「日立 金属グループ企業行動指針」を新たに制定しました。この行動指針には、 “ 法を守り正道を歩む”を行動の基本として掲げています。 これは単なる法令遵守にとどまらず、企業および従業員が取るべき行動の基準を、高い自己規律で具体的に示した指針と言えます。 さらに、CSRへの取り組みも具体的に示し、社会の持続的成長を企業としての立場から積極的に果たして行くことをうたっています。 日々の企業活動では法規範・社内規範に則した法令遵守の行動が重要ですが、これは企業市民として最低限守らなければならない規範 です。そのうえで社員一人ひとりが、法規範・社内規範を超えて現代社会の良識に従うとともに、社会の企業に対する要請を感じ取って 日々の企業活動を行うことが重要で、 これが当社のコンプライアンスの基本と考えています。 2008年度 CSR活動報告 ■「日立金属グループのCSRってなんだろう?」の制作 日立金属グループ内におけるCSR意識の浸透のためのツールとして26分の映像教材「日立金属グループのCSRってなんだろう?」 を作成。 ■日立金属グループ企業行動指針研修 ガイドブックなどをテキストに行動指針研修を、独占禁止法研修と並行して実施した。 対 象:日立金属 本社、支店および営業所・・・・・営業に関わる従業員、製造事業所および研究所 管理職以上 国内 グループ会社本社および営業拠点・・・・・・幹部および営業に関わる従業員 2008年10月∼2009年1月 開催回数:153事業所42ヵ所83回(一部、合同および複数回開催) 本社 対 象:海外事業所(15事業所)管理職以上 海外 2009年1月∼3月 開催回数:11拠点11回(一部合同開催) 海外拠点 7 製造事業所 日 立 金 属 グ ル ー プ の C S R CSR at Hitachi Metals Group 日立金属グループサスティナブルビジネスモデル:資源循環について 日立金属グループは、創業時から資源循環の仕組みに 資源循環図 *1 おいて、 なくてはならない存在でした。 我々は動脈産業 物削減 廃棄 の中では上流に位置付けられる素材メーカーです。 工程内リユース・ リサイクル 同時に、各産業から排出される排出物に新たな価値を 与え、資源として蘇らせる役割も果たしており、静脈産 バージン材の使用 減 害物質 ネ・有 の エ 削 省 日立金属グループは、 循環型社会という言葉が存在しな リサイクル業者により 原材料化 製品循環 ●●●●● ●● お客様 使用時の環境 負荷の低減 ● 収集・運搬業者 ● ● 築に向けた日立金属グループの使命であり、 ビジネスを 回収・リサイクル 静脈産業 ●● 低減することが、 サスティナブル(持続可能)な社会の構 廃棄物を 適正処理 動脈産業 社会的循環 ●●● 料の調達からお客様の使用時および廃棄時にいたるま でのライフサイクル全体を通して、環境に与える負荷を 環境親和製品 高機能製品 高度生産技術に よる高性能材料 への変換 かった時代から、資源循環という仕組みづくりの先頭を 日立金属グループは製造時の環境負荷のみならず、原 廃棄物を 適正処理 動脈産業 *2 業 の中では、最下流に位置付けられます。このように 走り続けています。 排出物 資源化処理 製造循環 ● ●● ● ● ● ● *1:動脈産業:主に天然資源を使用して、私たちの生活に有用な製品を 生産する産業のこと。 ● ● ● 使用済み 製品 排出物 ●●●●● ● 展開するうえでの基本としています。 動脈ルート ●●●●●● *2:静脈産業:使用済み製品や工場・家庭などからの排出物を回収、分 別、処理して再資源化する産業のこと。 静脈ルート 材料ルート CSR活動の主な取り組み計画 日立金属グループでは、2006年7月に“企業が、事業活動とステークホルダーの関わりの中で、社会や環境に関する問題意識を持ち、 責任ある行動を取ることが、企業や社会の持続的成長を可能にする”というCSRの考え方を基本とし「日立金属グループ企業行動指針」 を新たに制定いたしました。日立金属グループは、経営理念に掲げている「『最良の会社』を具現して社会に貢献する」ため、企業行動指 針を日立金属グループの「CSR活動取り組み方針」と位置付け、2010年度までの「日立金属グループCSRロードマップ」を策定し、具 体的な取り組みを行います。 2008年度は、 「 日立金属グループ企業行動指針」と「CSR活動取り組み方針」の展開状況とCSR意識の浸透状況を確認するため、 日立グループのセルフアセスメントツールを用いて、自己評価を行い、進捗状況を確認しました。 日立金属グループCSRロードマップ 「最良の会社」 の具現 2010年 CSR活動取り組み 教育・浸透 CSR活動の 検証・評価 CSR活動の 最適化と 戦略的CSRの実践 グループ一体の 社会的課題への 取り組み CSR活動取り組み CSR活動取り組み 方針に基づく 方針制定および 現状把握 教育・浸透 06年4月 8 07年4月 08年4月 09年4月 10年4月 コンプライアンスへの取り組み C o m p l i a n c e M e a s u r e s 日立金属では2006年7月に日立金属グループ企業行動指針を制定し、 「法を守り正道を歩む」を企業活動の基盤におきCSR活動を進めてまいりました。 しかし、 その後、 2006年11月および2007年3月に残念ながら独占禁止法違反の事例が発覚し、 公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受ける事態となり、 特命監査、 社内研修などの施策を行ってまいりました。 事件を風化させることなく、 二度と同様の事件を起こさないため2008年度も引き続き同様の施策を実施いたしました。 社内研修 1 営業管掌役員およびコンプライアンス部門による 独占禁止法遵守および行動指針巡回研修 2008年10月∼2009年1月 対 象:日立金属・・・・・・・・・・・・・・本社、支店および営業所の営業に関わる従業員 製造事業所および研究所の管理職以上 グループ会社本社 および営業拠点 ・・・幹部および営業に関わる従業員 本社 開催回数:153事業所42箇所83回(一部、合同および複数回開催) 2 コンプライアンス部門による行動指針および コンプライアンス海外巡回研修 2009年1月∼3月 対 象:海外事業所(15事業所)管理職以上 グループ会社 開催回数:11拠点11回(一部合同開催) 3 階層別コンプライアンス研修 2008年 4月: 新入社員導入研修 7月: 新任副参事研修 8月: 営業収計研修 グループ会社 9月: 新任係長研修 10月: 管理者QC研修 2009年 1月: グループ会社 管理者研修 新任副参事研修 9 コンプライアンスへの取り組み C o m p l i a n c e M e a s u r e s グループミーティングから1年 ∼社員が語るコンプライアンス研修の成果 2008年7月に発行した「2008 CSR報告書」では、4名の若手・中堅社員が「コンプライアンスおよびCSRを意識した日常の業務の 現状」をテーマに開いたグループミーティングについてご報告しています。その後も継続して実施したコンプライアンス研修の成果や、 今後のコンプライアンス活動のあり方などについて、同じ出席者にインタビューしました。 質問項目 Q1 グループミーティングから1年が経ちました。その間もコンプライアンス社内研修や特命監査などが実施されましたが、 日立金属のコンプライアンス意識に変化はあったと考えますか? Q2 この1年、世の中では独占禁止法違反をはじめとした企業の不祥事が相次いでいますが、 どう感じましたか? Q3 日立金属グループのコンプライアンスへの取り組みとして、今後、力を入れていかなければならないと思うことは何でしょうか? Q4 ご自身が、コンプライアンスあるいは社会貢献について、 いま実施している行動と、 これから実施しようと考えている行動について、教えてください。 コンプライアンス活動は会社の 法令違反がもたらす損害の 繁栄と社会貢献につながります。 大きさを認識しています。 配管機器カンパニー 企画部 特殊鋼カンパニー 工具鋼統括部 市橋 健司 高野 慎也 この2年ほどで、職場のコンプライアンス意識は、社内研修や特 以前は社内のコンプライアンス意識は薄かったと聞いています 命監査を通して非常に高くなりました。社員同士の会話でも が、研修への参加などで、輸出関連法規・独占禁止法の遵守や 「コンプライアンスの観点からは…」という言葉を聞くことが多 情報漏洩の防止がいかに大切か、 また、それを守れなかった場 く、全社員が以前よりもコンプライアンスを強く意識している雰 合にどのような損害をもたらすか、などを認識できるようにな 囲気を感じます。 ったと感じています。 一方、現在でもいろいろな会社で不祥事が相次いでいることは 独占禁止法などに違反すれば、 会社とともに個人も罪に問われ、 非常に残念に思います。不祥事を二度と起こさないためには、 罰が科せられます。会社の利益のため、よかれと思って不祥事 コンプライアンス活動が最終的には会社の繁栄、そして社会貢 を起こした人が大半であるとは思いますが、法令違反が実は会 献につながることをしっかり認識していなければなりません。 社に大きな損害を与え、本人や家族の人生をも狂わせてしまう そのためには、 コンプライアンスに関する定期的な社内研修や ことをしっかりと認識する必要があります。 特命監査の継続などに加え、 まず身近なところでは社員一人ひ 過去の二度にわたる立入検査を反省し、日立金属の社員として とりが、環境問題やリサイクル活動(リサイクル材を使用した製 何としても再発防止に努めなければなりません。 「日立」の名 品の表示方法など)を意識して日常業務に取り組むことも重要 が付く会社が不祥事を起こせば、日立グループ全体のイメージ ではないでしょうか。 ダウンにもつながることを考えながら、責任感をもって行動し 私の所属している配管機器カンパニーの「 ® 印 」ブランド製 品は、国内はもとより海外でも「Gourd Brand」の名で親しま 私の職場では、新聞やニュースで独占禁止法違反などの不祥 れ高い評価を得ています。その評価を傷つけないように、 どの 事が取り上げられると、朝礼で全員に注意を喚起しています。 ような場合でも同業他社と接触があった際は、必ず「コンプラ また、日頃の業務や、同業他社が参加する会合への出席などで イアンス情報記録ノート」に疑わしい行為が無かったことを記 は、法令違反と疑われる行動は取らないように注意しています。 録に残すなど、日頃から細心の注意を払っています。 10 なければならないと思います。 コンプライアンスへの取り組み C o m p l i a n c e M e a s u r e s コンプライアンス意識の浸透には、 日立グループ全社を挙げての 社員の逆提案も必要です。 コンプライアンス研修が必要です。 NEOMAXカンパニー 東京営業部 Hitachi Metals America, Ltd. 新谷 嘉成 社内研修により、 コンプライアンスが企業活動と密接につなが 営業幹部による社内研修を通じて、企業人として犯してはなら っているという意識は芽生えてきています。ただし、カルテル ない決まり事の再確認を行い、 コンプライアンス意識を継続で の禁止などの法令遵守については、かなり意識が広まっている きるようになったと思います。個人的には、2008年のグルー ものの、社会貢献に関しては、現段階では、ほとんど議論されて プミーティングのおかげで、かなり高い意識を持って社内研修 いないと思います。 や特命監査などを受けることができました。 現在、いろいろな会社で法令違反が発生していることは非常に 一方、 いろいろな不祥事のニュースを見るたびに、正直“またか 残念です。社会全体に、 コンプライアンスの考え方が浸透して …”の気分になり、未来永劫無くならないのではないかという いないという印象を受けます。日々の業務では善悪までは考え 思いもあります。また、当社の不祥事の後にも日立グループ内 ず、最終的に誤った判断を下すなど、組織での判断力が劣って でコンプライアンスに反する行為がありましたが、同じグループ いると感じます。 の不祥事から何も学んでいないのではないか、 という気持ちで 当社内でも経営理念・企業行動指針について、もっと社員同士 非常な憤りを覚えました。 で議論をすべきでしょう。場合によっては、CSRガイドブックの 不祥事を二度と起こさないために、日立グループ全社を挙げた 内容の見直しなどが必要かもしれません。会社からの一方的な コンプライアンス社内研修の実施や、特命監査での指摘事項の 指示や研修の実施だけでなく、社員からも逆に提案する双方向 改善の徹底を進めることが必要ではないでしょうか。それと同 のやり方にしないと、 コンプライアンス意識は社員一人ひとりに 時に、社員一人ひとりが社会奉仕などに積極的に参加したり、エ は浸透しないと思います。 コ活動を推進させて、社会に貢献していくことも大切だと思っ 私個人としては、お客様が求める製品の実現をめざすため、ひ ています。 いては社会貢献のため、 と常に最終目標を意識しながら仕事を しています。また、あるお客様に別のお客様の情報を漏らさな いようにするなど、お客様に関するさまざまな情報の取り扱い に常に気を配っています。 11 小林 宣明 個 人 情 報 保 護 / 情 報セ キュリティへ の 取り組 み Personal Information Protection/Information Security Initiative 個人情報保護/情報セキュリティへの取り組み インターネットに代表されるITの進化普及は、 セキュリティリスクを増大させており、 個人情報をはじめ、企業情報を適切に管理、保護することは、企業の社会的責任として益々重要となってきています。 日立金属グループでは2004年4月に「情報セキュリティ基本方針」を、次いで2005年1月には「個人情報保護方針」を制定し、 これらの方針に基づき個人情報保護/情報セキュリティ体制を確立し、情報セキュリティ対策に継続的に取り組んでいます。 個人情報保護/情報セキュリティ関連規則の制定 個人情報をはじめとする会社情報の取り扱いや情報機器利用、情報システムのセキュリティ対策に関するルールを定め徹底を図ってい ます。また法制度や環境変化に応じて毎年、規則の見直し改定を実施しています。 2008年度は情報セキュリティ機器の機密向上のために、パスワードの定期的更新等に付きルールを改定しています。 情報システムのセキュリティ対策 不正アクセスやコンピュータウィルスなど外部からの脅威や社内からの情報持ち出しや紛失など内部からの脅威、自然災害などさまざま な脅威に対する対策を計画的に実施しています。また、2006年より継続的に実施している日立金属グループ全従業員の個人所有パソ コンの、業務情報の有無点検および削除を本年も行いました。さらに2007年からはお取引先に対しても、同様の施策をお願いし、 ファ イル共有ソフトによる個人所有パソコンからの業務情報の漏えいを防止しております。 2008年度は業務情報の社外持ち出し防止対策としてメールフィルタリングシステムの導入および、高機能化が進む携帯電話の紛失に 対する対策として携帯電話の管理に付き見直しのほか、情報漏えい防止対策の強化を図っています。 従業員教育 毎年、情報機器を利用する全従業員(含む派遣者 ■国内事業所巡回研修 ・・・・・・・・・ 2008年10月∼2009年1月 等)に対して、情報セキュリティ教育を実施し個人 対 象:日立金属グループのメールアドレスを所持する者全員 情報をはじめとする情報の取り扱いや個人所有 開催回数:153事業所42箇所83回(一部、合同および複数回開催) PCでの業務利用厳禁など情報機器利用ルール ■海外事業所巡回研修 ・・・・・・・・・ 2009年1月∼3月 の徹底を図っています。2008年度は日立金属グ 対 象:海外事業所(15事業所)管理職以上 ループ拠点巡回教育 (コンプライアンス研修と同 開催回数:11拠点11回(一部合同開催) 時開催) やe-ラーニング教育を実施し従業員一人 ■e-ラーニング ひとりのセキュリティ意識向上を図っています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 2009年2月∼3月 対 象:日立金属グループのメールアドレスを所持する者全員 自己監査 毎年、個人情報保護/情報セキュリティ自己監査を実施し規則の遵守状況をチェックして不備に対して改善を図っております。 情報セキュリティ体制図 社 長 個人情報保護/情報セキュリティ委員会 事務局 個人情報保護/情報セキュリティ全体を統括 諸施策の実行 事業所体制 個人情報保護/情報セキュリティ責任者(事業所長) 事業所全体の個人情報保護/情報セキュリティを統括 部署 12 実行責任者(事務局) 諸施策の実行 情報システム管理者 情報システムの管理運用 セキュリティ対策 情報資産管理者・個人情報取扱管理者 部署 情報資産管理者・個人情報取扱管理者 グループ会社 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [ 社 会・地 域 社 会 と と も に ] 日立金属グループは、経営理念に「最良の会社を具現して社会に貢献することを念願しております」と掲げ、グループ企業行動指針に 「良き企業市民として継続して社会に貢献します」と定めています。この方針のもと、様々な社会貢献活動を実施しています。 1 地域との共生 各事業所において、市民の方が多数参加するマラソン大会、地域の小学生、中学生、高校生が参加する各種スポーツ大会の運営に 人的・物的支援を行っています。そのほか、地域の清掃活動への参加、保有する施設(体育館、 グランド、 テニスコートなど)の開放 など地域とのコミュニケーションを積極的に図っています。 2 財団を通じた支援 わが国の材料科学技術の研究に寄与することを目的として、宮下格之助博士(当社元副社長)から遺贈された基金等で設立され た(財)材料科学研究助成基金に対して、人的・物的支援を設立当初より継続して行っています。 (写真:第23回研究助成対象者) また、日立グループの財団「(財)日立環境財団、 ( 財)日立国際奨学財団、 ( 材)日立みらい財団、日立ファンデーション(米国)」の 行う環境保全事業、アジア諸国との教育・学術・文化交流、青少年の健全な育成に対する支援事業、米国における教育活動などに 賛同して寄付を行っています。 3 史跡・伝統文化保全 当社は、 (財)日本美術刀剣保存協会が行う日本古来の製鉄法である「たたら製鉄」の操業に協力しています。 「たたら製鉄」は、戦 後その生産が途絶えていましたが、 「たたら製鉄」から生み出される「玉鋼(たまはがね)」が日本刃製作に欠かせないものである ことから、 (財)日本美術刀剣保存協会は、日本の伝統文化を守るため、 「たたら製鉄」を国の支援のもと1977年に復活させまし た。当社は、復活から現在にいたるまでその操業に協力しています。 4 災害被災地支援 地震等により大規模な被害が発生した場合には、関係団体と連携して被災地への支援を行っています。 (平成21年:岩手・宮城内 陸地震に伴う義援金) 5 社会福祉 本店および社宅所在地の社会福祉団体に対して、車椅子などを寄贈しています。また、地域でのボランティア活動推進のための団 体(地域ネットワーク)づくりを推進している「(財)さわやか福祉団体」の活動に賛同して寄付を行っています。 13 社 会 性 S o c i a l [ 地 報 告 R e p o r t 域 と の 共 生 ] 清掃活動 真岡工場 地域清掃活動 桑名工場 地域清掃活動 鳥取工場 鳥取駅前、公園など市内清掃活動 安来工場 地域清掃活動 株式会社日立金属若松 若松区岩屋海岸清掃活動 14 社 会 性 S o c i a l [ 地 報 告 R e p o r t 域 と の 共 生 ] スポーツ大会などの主催・共催 真岡工場 和彊杯バレーボール 桑名工場 西部地区少年野球大会 鳥取工場 中学校バレーボール男女選抜大会 安来工場 中学校親善スポーツ大会 15 社 会 性 S o c i a l [ 地 報 告 R e p o r t 域 と の 共 生 ] 九州工場 苅田町ふれあいマラソン大会 株式会社日立金属若松 若松区中学生野球大会 16 社 会 S o c i a l [ 地 性 報 告 R e p o r t 域 と の 共 生 ] つ な ご う! 地 域 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 配管機器カンパニー 桑名工場 みなさん、 こんにちは。配管機器カンパニー桑名工場では、私たちLifaという、職場横断による女性メンバーからなるプロジェクトチーム を通じて、地域社会とのコミュニケーションを試みています。 Lifaとは 「Lady Idea Factory Activate」の略称で、現在4名。2004年6月に桑名工場長の 提案によって結成されました。以来、近くの小学校からの工場見学の対応など、地域とのコミュ ニケーションを進めています。 小学生たちが見学時に使用する備品なども、 メンバーの発案によるものです。 もともとは大人 の見学者を対象にしたヘルメットやゴーグルも、 メンバーの視点で見直しました。桑名工場で * 作っている製品は、日立金属の中でも歴史のある 「 (ひょうたん)印®の管継手 」。 そこで、地域の子供たちに日立金属や管継手に親しんでいただけるように、 印®を イメージした「ひょう子ちゃん」 「ひょう太くん」などのキャラクターも自分たちで考案、 キーホルダーなども記念品にと、私たちLifaで考えました。 この記念品は、 工場独自色を出すことのできる継手を使ったものが良いだろうと、 Lifaメンバーが考えた本物の鋳物継手と、本物と同じ材料・設計で製作したエレクト ロフュージョン継手で作られたキーホルダーです。 子供たちの見学では、直接製品に触れるようにしていることもあり、キーホルダーを 渡すと 「さっき触った材料で作っているの?」 「本物だ∼!」といった声がすぐに聞こえ、 中にはさっそく鞄に取り付け嬉しそうに帰って行く子供たちもいます。今では年間約 300人(3∼4校)の子供たちと、来場されたお客様にもお渡ししています。 日立金属ファン、桑名工場ファンが増えてくれるよう、 これからもがんばりたいと思います。 では、 ひょう子ちゃんとひょう太くんに実際に桑名工場を案内してもらいましょう。 ひょう子ちゃん、 ひょう太くん、 よろしく! ふたり は∼い! ひょう子 こんにちは。ひょう子です。日立金属桑名工場へようこそ。ここでは配管材料をいろいろ作っているけれど、今日は鋳物の管継 手についてご案内いたします。さあ、 ひょう太くんもご挨拶、 ご挨拶。 ひょう太 こんにちは。ひょう太です。みんなヘルメットはちゃんとかぶってくれたかな?では出発! 17 社 会 性 S o c i a l 告 R e p o r t 域 と の 共 生 ] ょう子 ょう ひ & の 誌上工場見学 ART ST 太 ひ [ 地 報 STEP1 溶解 うわ∼っ! 真っ赤などろどろに 溶けた鉄!これが継手のいち ばん最初の姿だね。 STEP 2 ∼っ! うわ 溶けた鉄が 鋳造 溶解といって、 継手の元になる 材料を溶かしているところね。 ここでキチンと材料の検査もするのよ。 真っ黒な砂の固まりに 流し込まれているよ。 鋳造といって、継手の大元 の形を作るところよ。砂型 という砂で作られた型の中に溶けた 鉄を流し込んで継手の形にするの。 うわ∼っ! もう継手の形になっているぞ。 でも、大きな鉄の箱に入れてどうするんだろう? STEP 3 STEP 4 焼鈍 焼鈍といって、熱処理を するところよ。溶けた鉄 を固めただけでは落とし ても割れちゃうの。そこで約1日か けてゆっくり熱を加えて粘っこい 可鍛鋳鉄に変えるところなの。 加工 うわ∼っ! 今度は機械がいっぱい。 継手がガリガリ削られているよ。 ここでは継手にネジを 切っているところなのよ。 ここでやっと継手の出来上がり。 うわ∼っ! 今度は継手を 水につけて遊んでいる? 検査 うわ∼っ! うるさいわね。 F STEP 5 うわ∼っ! IS IN H ここでは気圧検査といって継手に 穴があいて漏れがないか調べてい るのよ。これでやっとお客様に届 けられる製品になるのよ。 STEP 6 出荷 きれいに箱に詰められて、 これからお客様のところへ出発で∼す! いってらっしゃ∼い! ひょう子 いかがでしたか。日立金属では明治43年 (1910年) からこの 印 ®の管継手を作っ ているんです。ひょう太くん、なぜ、日立金属の管継手が 印 ®なのか皆さんに教えて 差し上げてくださる? ひょう太 まかしといて!え∼と、 え∼と…あれ∼、何だったっけ? ひょう子 しょうがないわね。明治43年に日立金属の前身、戸畑鋳物がはじめて製品を世に送 り出したとき、鮎川義介氏が「より強く、より滑らかに、より美しい曲線に」との願い を込めて「 」の印にしたのよ。 今日は、 桑名工場の見学に来てくださってありがとうございました。 記念品を用意しましたので、 ぜひお持ちください。 ひょう太 わ∼い、 お土産だ。 ひょう子 何言ってるのよ、 これはお客様の分よ! ではみなさん、 また来てくださいね。 ふ た り さようなら∼! ※管継手(継手)とは、 ガスや水道水などの流体を流すパイプとパイプを 繋ぐ配管部材のことです。単にパイプを繋ぐものや、90度に曲げるも の、 さらに分岐させるものなど数多くの種類があります。 詳しくは日立金属ホームページをご覧ください。 http://www.hitachi-metals.co.jp/prod/prod08/p08_15.html 子供たちからの感想文 18 社 会 性 S o c i a l [ 地 報 告 R e p o r t 域 と の 共 生 ] 桑名工場ブラスバンド部が養護老人ホームで演奏 2008年9月1日、配管機器カンパニー桑名工場(三重県)のブラスバンド部が、桑名市内の養護老人ホーム「清風園」にて記念演奏を 行いました。これは、清風園より同園開催の「敬老会」式典において演奏してほしいというご依頼を受け、ボランティア活動の一環として 訪問演奏したものです。 演奏会には、 この日を心待ちにしていた30数名の入所者の方々や、近隣の幼稚園からも25名を超える子供たちが参加しました。日頃 の練習で鍛えた迫力ある生演奏の音色に合わせ、リズムを取ったり歌ったりと皆様に楽しんでいただき、盛大な柏手のなか、好評のうち に式典は終了しました。 桑名工場ブラスバンド部リーダー 河路大祐 私たち桑名工場吹奏楽団は、2008年に4名の新入団員を迎え、総勢 22名で活動を行っています。今回、桑名市より演奏依頼をいただき、 久しぶりのイベント出演ということで団員一丸となって練習に励んで きました。前日には合宿して団員のコミュニケーションをさらに深め、 充実した練習を行いました。 当日は演奏が進むにつれ、団員と入所者の方々・子供たちが一体となり楽しい演奏会でした。演 奏終了後には米寿の女性から「今日はありがとう、 また来てね」とお声がけいただき、団員一同、 本当に演奏して良かったと思いました。 今後も微力ではありますが桑名工場の音楽の灯を絶やすことなく精進し、地域にも貢献してい きたいと思います。 19 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [史 跡 ・ 伝 統 文 化 保 全 ] 古 代 た た ら 操 業 を 体 験 ∼ 日本古来の技と精神を学びました 特殊鋼カンパニー 安来工場 2008年10月1日(水)∼4日(土)の4日間にわたり、 安来市和鋼博物館駐車場にて、産学官民一体となっての 古代たたら操業を実施いたしました。 (和鋼博物館、島根大学、日立金属の共催) 安来工場養成員を中心に、島根大学の学生や 各地のたたらファン、和鋼博物館職員も参加し、 3日目、4日目には木原明村下※の指導もありました。 まず、 たたら製鉄の簡単な説明をいたしましょう。 たたら製鉄とは たたら製鉄とは、日本独自の製鉄法で千年以上の歴史を持つ日本古来の製鉄方法のこ とです。鉄原料として砂鉄を用い、木炭の燃焼熱によって砂鉄を還元し鉄を得る方法で す。明治時代までは盛んに行われていましたが、八幡製鉄所をはじめとした国産の洋式 製鉄法に押され、たたら製鉄は一度廃絶しました。 しかし、日本刀の原料としての玉鋼が払拭するにおよび、文化庁後援のもとに、日本美 術刀剣保存協会が日刀保たたらを復活させました。復活およびその後の操業にあたっ ては日立金属安来工場が全面的に協力しております。 たたら製鉄の流れ たたら製鉄では下準備が大切になります。 炉床づくり 実際のたたらでは炉の下に深さ3mにも及ぶ地下構造が築かれ、高温維持と防湿のため綿密な工夫が施されています。 今回の操業は駐車場での復元操業のため複雑な構造は無理ですが、少しでも良い条件を維持するため炉床づくりは慎重に行われました。 下灰作業 炉を構築する場所に薪を積み上げて燃やします。その後、 長い木の棒で何度も繰り返し叩き締め(床締め) 、 カーボンベッドを作ります。 築炉 たたら製鉄の秘訣は「一釜、二土、三村下」というように、築炉はたたら操業の成否の鍵を握ります。 操業 砂鉄を装入する前に、 炉にいっぱいの木炭がくべられ鞴(ふいご)から風が送られます。実際の操業では三昼夜、約70時間にわたり (今回は 7時間) 砂鉄と木炭の装入と送風が続きます。この操業を技術責任者として一切を文字通り司るのが村下です。 (けら)出し 炉底いっぱいに と呼ばれる鋼の塊が出来ると、 炉壁が侵食され薄くなると村下の判断で送風を止 め操業を終了し、 炉を壊します。真っ赤な この 20 塊を引き出します。 これが の良質な部分が玉鋼と呼ばれ、日本刀の材料になります。 出しと呼ばれるものです。 ※村下 (むらげ) とはたたら作業の技 術責任者です。木原村下は、 文部科 学大臣認定の玉鋼製造「たたら吹 き」の選定保存技術保持者です。 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [ 史 跡 ・ 伝 統 文 化 保 全 ] では、4日間にわたる、今回の復元操業をレポートいたします。 1 日目(10月1日) 何事も準備が肝心!炉床づくり z 2 x z x 炉床づくり c 炉床中央で火を燃やし 乾燥させます 炉床をつくり、叩き締める 日目(10月2日) 準備はまだまだ続きます! 下灰 炭切り 砂鉄乾燥 c 炉壁づくり 3 v v これが炉壁になります! 日目(10月3日) 炉壁を積み炉を築く。 ほど穴を開け送風管を 取り付ける。 いよいよ操業準備! 4 b 木原村下の指導のもと、 築炉作業 b n n 送風管の取り付け , m , 炎を上げる炉に注目 m 日目(10月4日) いよいよ操業です。 7時間後に が誕生! なお、 「たたら」についてもっと詳しく知りたい方は日立金属ホームページ「たたらの話」をご覧下さい。 http://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/index.htm 21 の誕生 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [ 史 跡 ・ 伝 統 文 化 保 全 ] 「 第 1 3 回 や す ぎ 刃 物 まつり」に 出 展 ∼歴史あるハガネの街で、伝統と革新の技をアピール 2008年5月3∼4日の2日間にわたり、島根県安来市において「第13回やすぎ刃物まつり」が開催されました。日立金属グループから ※1 は地元の特殊鋼カンパニー安来工場も出展し、和鋼 のふるさとを訪ねる多くの来場者で賑わいました。 ® 安来工場がある安来市は、日立金属が世界に誇るブランド「YSSヤスキハガネ 」を生み出すなど、古くから製鉄が栄えてきたハガネの街 です。まつりでは、日本古来の「たたら製鉄」により育まれた新旧の技術が、安来市内に設けられた各会場で紹介されました。 市民体育館では、安来弁で地元おこしを意味する「じげおこし」をタイトルにした「じげおこしIN やすぎ∼やすぎ産業祭∼」が開かれ、100社近いブースの出展や抽選会、スタンプラリーなど が行われました。日立金属グループからは6社が出展し、安来工場のブースでは、日刊工業新聞 ® 社が選定する「2007年 (第50回) 十大新製品賞」を受賞したプラスチック金型材「CENA1 α」 ® をPR。説明パネルのほか、 「 CENA1 α」を使用して製造されたプラズマテレビも展示し、多く の注目を集めました。また、抽選会でプレゼントした、当社の金型材を使用したプラモデルも子 供たちの人気を博しました。金型材などの工具鋼は、最終製品として目にする機会は少ないのですが、今回の出展を活用することで、安 来工場の新しい一面を紹介する良い機会となりました。 ※2 安来公園では、安来工場の木原明(きはら あきら)村下 監修の下、たたら操業の実演も行わ れ、日本最古の歴史をもつ製鉄技術が披露されました。 ※3 和鋼博物館では、 「 刃物・鋼シンポジウム」が開催され、「たたら製鉄」で生み出された玉鋼 を 用いた貴重な古刀名品の数々が展示されました。 また、市の中心部では全国各地の刃物・砥石業者による包丁研ぎコーナーや、ストリートパフォー マンス、安来市の特産品が販売されるなど、多くの人々を集め賑わいました。 今回のまつりは、2007年を大幅に超える43,000人を迎えました。安来市民をはじめとする来場者の方々へハガネのすばらしさをアピー ® ふれあいの場となりました。 ルするとともに、当社「YSSヤスキハガネ 」の魅力を直接感じていただく、 特殊鋼カンパニー安来工場 製品企画センター 石倉洋二 マネージャー ※2:村下(むらげ)たたら製鉄作業の技師長 今回は地元・安来市のイベント出展ということで、幅広い年齢層の ※3:玉鋼(たまはがね)和鋼のうち、主に日本刀に 用いられる素材を指す 方々に、安来工場の製品がどのようなところで使われているのかを分 かりやすく、楽しく紹介することを目標に取り組みました。日立金属 (株)関西支店および日立金属工具鋼(株)の社員と協力して、当社の プラスチック金型材を使って成形されるプラモデルを徹夜で組み立 ててもらい、併せてその金型を展示、さらに抽選会でのプレゼントも実施しました。来場された 方々に、安来工場の製品を身近に感じていただけたものと自負しています。今回の出展にご協 力いただいた関係者の皆様に、心からお礼申し上げます。 22 ※1:和鋼(わこう)日本古来の製鉄法である「た たら製鉄法」により、砂鉄を原料、木炭を燃料 としてつくられた鋼(はがね) 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [ビジネスパートナーと共に成長] お客様とともに お客様に喜ばれる製品づくりをめざす 日立金属グループは、 「品質最優先と顧客第一主義」の品質保証活動理念のもと、 これまで構築してきた品質保証技術に磨きをかけ、 お 客様とお客様の先に存在する消費者の皆様に喜ばれる製品を提供することで、社会に貢献していきたいと考えています。 品質保証体制 社 長 全社PS/PL委員会 〈委員長〉 技術担当役員 日立金属グループの製品は素材・部品が中心で、 お客様も鉄鋼、自動車、エレクトロニクス業界と多 岐にわたるため、製造拠点ごとにお客様のご要望に応じた品質保証を実施しています。国内製造 本社品質保証 グループ 〈事務局〉 拠点はすべてISO9001またはISO/TS16949の認証を取得して品質保証体制を整えていま ・ ・ ・ カンパニー PS委員会 ・ ・ ・ 〈委 員〉 各コーポレート部門 す。また、日立金属グループは、北米、アジアなどに製造拠点を設け、適地適産を展開しています。 カンパニー プレジデント 品質保証責任者 (技術担当部長) 〈委 員〉 営業・企画・ 関連営業部門 ・ ・ ・ 工場PS 委員会 ・ ・ ・ 〈事務局〉 〈事務局〉 カンパニー プレジデント 国内の製造拠点は海外製造拠点のマザー工場として、製造技術と品質の面から密接に連携し、指 導を行っています。そして、海外製造拠点についても、そのほとんどがISO9001の認証を取得し ています。コーポレートの品質保証部門はこれらの拠点での 工場長 〈委員〉 品質保証部門 工場長 〈委員〉 技術部門 〈委員〉 製造部門 活動が円滑に進むよう、品質保証体制監査や品質管理技術講 座の実施などで側面からサポートしています。 管理部門 安全な製品の提供体制 昭和63年7月1日 社長 コーポレートの各部門と各カンパニーの品質保証責任者は全社の *1 PS/PL 委員会を構成し、製品安全(PS)活動を展開しています。新 品質保証活動理念 製品や開発品は徹底したPSレビューを通じて安全な製品に仕上げら 1. 『品質保証活動理念』 制定の趣旨 れます。また、全社のPS活動は工場のPS活動と連携して製品安全を 当社は、つねに技術に精進し、特色ある高品質製品を製造販売し めざします。日立グループ全体で取り組み中の環境負荷物質管理につ て社会に貢献することを社是としている。 いても一段と強力に推進しています。 品質保証活動は当社の『もの作り』の立脚点であり、日常業務の 基本として実践してきたところであるが、 さらに徹底を期するた *1 PS/PL PS:Product Safety(製品安全) PL :Product Liability(製品責任) め、 ここに当社の品質活動理念を明確にし、全社共通の規範とし て制定する。 品質問題の対応体制 すべての製品事故は、 定められた情報ルートに従い、 コーポレートやカン パニーに伝えられます。製品事故の対策には、事故の直接原因と、 事故 2 .. 品質保証活動理念 当社の品質保証活動は、日立伝統の『落穂拾い精神』に基づ くもので、その活動理念は次のとおりである。 (1)品質最優先と顧客第一主義 の背景となった間接原因の2つの原因追究が必要です。 日立金属グルー 顧客に対する数ある責任の中でも『品質は全てに優先』す プでは後者を「動機的原因の追究」として特に重視し、再発防止に努め る。 ています。事故などの失敗から学ぶ活動として、日立グループ伝統の 「落穂拾い」 会議があり、各カンパニーの国内外の製造拠点やグループ 会社などで毎年開催しています。 顧客に喜ばれ、信頼され、社会のために役立つことを第一義 とする。 (2)品質の作り込みと顧客の立場に立った検査 品質は企業活動の原点である。開発、製造、販売をはじめ全 部門がつねに品質に留意し、その向上に一致協力して、はじ めて『品質を製品に作り込む』ことが出来る。 製品含有化学物質の管理 製造と検査は品質保証活動の両輪である、完全なる製造技 環境CSR対応モノづくり 術と設備、生産管理、常に顧客の立場に立った検査が当社製 日立金属グループでは、有害物質を含まないグローバルな視点でのモ (3)事故に対する誠意ある対応と再発防止 ノづくりを実現するため、 「 環境CSR対応モノづくり」活動を推進して 品質上の不具合で顧客に迷惑をかけた場合は、誠心誠意問 います。主な内容は、次ページの図に示すように各段階での有害物質 題を解決しなければならない。また、 これを教訓としてその を含まない仕組みと、万一、有害物質を含んだ製品が流出した場合、 48時間以内に影響範囲を把握する仕組みです。 23 品の品質を保証する。 原因を十分に吟味し、再び過ちを起こしてはならない。 社 会 S o c i a l 性 報 告 R e p o r t [ビジネスパートナーと共に成長] REACH規則への対応 日立金属グループは、2007年6月1日に ■製品環境規制の世界的広がり ● 欧州:RoHS指令、 ELV指令、REACH規則 *1 発効したREACH規則 に対し、予備登録 ● 中国:電子情報製品汚染予防管理方法 ● 有害物質を含んで出荷してしまった ● 日本:J-Moss*2、 各種リサイクル法 etc. 製品の回収責任 やSIEF活動などの登録に向けた対応、 含有 ● 日立グループとしての管理状況、 影響範囲、対策の説明責任 基本方針・体制 化学物質の特定などを推進しています。 また、サプライチェーン全体の課題として、 円滑に情報伝達ができるよう、 お客様・お取 引先と協力していきたいと考えています。 開発 有害物質を含まない 製品の開発 + 管理基準・運用規則 調達 有害物質を含まない 資材の購入 製造・QA お客様 有害物質を含む 製品を出荷しない 回収業者 製品リサイクル、廃棄、 回収時の指示、管理 成分表示 保証・保守 *1 REACH規則:Registration, Evaluation, Authorisation of Chemicals *2 J-Moss:EUの「RoHS指令」と同等の特定化学物質の含有表示の規定として、2005年12月の「資源循環利 用促進法」の改正とともに制定されたJIS規格(JIS C 0950: 2005)のこと お取引先とともに 調達方針 ●法令・社会規範の遵守 CSR調達 ●公平・公正な取引 当社の調達方針には、法令・社会規範の遵守、機密情報の保持、環境の保全といった、 ●オープン・グローバルな調達 CSR実現に必要不可欠な項目を掲げています。これは、当社の重要なパートナーであ ●パートナーシップの構築 る調達お取引先に、調達方針を広く伝えて社会的責任意識を日立金属グループと共有 ●機密情報の保持 し、調達活動を通じたCSR実現にご協力いただくためです。 ●環境の保全 一昨年度より情報漏洩事故防止のために、 お取引先にご協力いただいている個人所有パ ソコンの業務使用とりやめと、パソコン内の業務情報の点検も、 CSR調達の一環です。 グリーン調達率〈金額ベース〉 (日立金属単独) グリーン調達 当社は素材メーカーであり、その製品はお 指数 比率 300 客様の最終製品となって広く社会に貢献し 86% ています。そのため当社が材料・部品など 250 72% を調達する段階での、環境負荷低減の取り 80% 75% 238 71% 232 70% 200 組みが重要です。 当社の求める環境面での品質を満たす製 90% 82% REACH対応説明会(写真は鳥取工場) 150 57% 100 100 また、2008年度はREACH規則への対応も開始しました。社内の説明会を通じて理解を 145 60% 157 50% 品を優先的に購入するグリーン調達を推進し、2008年度はグリーンサプライヤー率とグ リーン調達率を前年度よりさらに高めました(数値は日立金属単体)。 191 40% 50 30% 深め、調達品の含有物質調査を進めています。2009年度は、REACH規則の対応を織り込 んだ「グリーン調達ガイドライン」の改訂を予定しています。 0 03年度 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 20% (注)指数:03年度=100 グリーン購入 用紙類、文具、事務用品から着手したオフィスのグリーン購入は、現在、OA機器などに対象 未認定 15% を拡大しています。 間接材の購入は、 グリーン購入法適合品等の環境配慮製品を選定できるネット調達の導入 を全工場で行っており、2007年度から2008年度にかけては日立金属グループ会社への グリーンサプライヤー 85% 拡大を積極的に図りました。新たにグループ会社7社で導入し、主要な調達拠点の7割をカ バーしました。国内グループ各社での導入は、今後も順次拡大していきます。 グリーンサプライヤー率(社数ベース) 24 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] 従業員に対して 人材育成 めざすところは、高機能で、オリジナリティに溢れ、 「世界一」を実現する環境親和製品を、継続的に開発し、世に送り出すのに不可欠な人 材の育成です。 当社の「人」に対する考え方は、創業以来の基本精神である「和則彊(和すれば強し)」に凝縮されています。これを基盤とし、 「個性と自 立心が発揮できる組織風土づくり」をめざした活動を続けています。 コミュニケーションシンボル“Materials Magic”に込められた「私たち一人ひとりが“成長への原動力”となる」という決意を、 「磨け、 輝け、そして挑戦。」というスローガンとして掲げ、専門力はもちろんのこと、自ら課題を発見し、行動・解決できる「実行力ある人材」とな るよう、従業員が活性化し、行動することを、会社として支援しています。 経営ビジョン実現に必要な 「個の自立」 の支援 目 的 具 体 的 施 策 ( キャリア形成の重要性を自覚し、 自己責任で成長する風土をつくる ●革新型戦略人材の育成 ) ●キャリア開発システム(キャリア登録、自己 申告、FA制度、公募制度) ●「目標管理制度」を活用しPDCAを回す、 上司・部下の関係をベースにした人材育成 ●キャリアデザイン研修、キャリア面談の実施 ●高い組織経営力を持った人材の育成 ●技術専門性を極め、 「世界一」を実現する人 材の育成 ●人材育成会議を通じたキャリアパス、アセ スメントの定期的な実施 ●専門性を重視し、能力発揮に重点を置いた キャリア展開支援 ●経営管理技術を含めた独自の職能研修、経 営者人材育成研修 研修・教育制度 企業の規模から来る資源の限界は受容しつつ、 “ 個人の力量の集束+組織力”が企業の力であるとの認識のもと、個人レベルでも、組織 レベルでも、他社との差別化を図れるよう、当社独自の研修プログラム、研修内容の開発に努力を重ねています。 労使関係 「相互信頼の基盤」に立った労使関係のもと、 お互いがそれぞれの基本的権利と義務を尊重し、労使共通の課題に誠意をもって取り組ん でいます。経営方針や事業計画、経営施策などは各種審議会を通じて十分な説明を行うとともに、労働組合の声も聞きながら各種施策 の迅速な実現をめざしています。また、日立金属グループ各社の労働組合は日立金属関連労働組合協議会を形成し、定期的にグループ の経営方針や計画などを説明し意見交換する場を設定し相互理解を深めています。 人権の尊重 当社がめざす「最良の会社」を具現する上で、一人ひとりの人格・人権を尊重し、差別的な取り扱いのないお互いが信頼しあえる職場環 境は不可欠です。各種ハラスメントの相談窓口など、 これらを担保する会社の制度の設置はもちろんのこと、階層別研修などの機会を通 じて人権意識を高める視点からの啓発活動についても力を入れております。 25 社 会 S o c i a l 性 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] 障がい者雇用・次世代育成支援 障がい者雇用の分野では1998年に特例 障がい者雇用率推移 雇用者数 雇用率(%) 子会社である (株) ハローを設置、2006年 2.2 に(株)桑名クリエイトが特例認定を受ける 2.0 など、障がい者雇用に関しては早くから取 雇用者数(人) 126 123 1.94 1.86 1.84 1.8 130 120 1.6 育児休職 取得状況 1.52 育児休職取得者 25 19 20 15 100 96 出産者数 (人) 110 1.67 組を強化しております。上記2つの会社で は知的障がい者を積極的に受け入れ、地域 障がい者雇用率 16 15 14 13 11 10 からも表彰を受けるなど、その取り組みに 1.4 高い評価を得ております。 1.2 90 83 78 80 5 次世代育成支援施策としては、2008年度 1.0 より子供手当を創設し、子育てする従業員 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 70 0 06年度 07年度 08年度 *障がい者雇用促進法に基づきカウント へのサポートを強化しました。また当社は出 産・介護を機に退職された方の再雇用制度を1992年よりいち早く導入するなど先進的な取り組みを行っております。育児・介護休職制度 も定着しており、 2007年度より本人または配偶者の父母、 配偶者、 子の介護および看護について1休暇年度において家族看護休暇と合わ せて20日まで取得できる特別積立休暇の充実を図るなど制度整備をしており、今後これらの制度の運用面でも力を入れていきます。 労働災害撲滅の取り組み 2009年度 安全衛生重点目標 ∼一人ひとりが当事者としてこころ通わせたコミュニケーションを∼ 2008年度は、 「職場内相互のコミュニケーションを通じ基本の徹底」を軸として安全衛生活動に取り組んできました。しかしながら、労 働災害件数は昨年比横ばいで推移し、特に作業経験年数が短い方の単独作業時における災害が半数以上を占めるという、不本意な結果 に終わりました。 労働災害 休業度数率の推移 労働災害を撲滅していくためにも、安全感度の 1.2 高い人づくりに努めるとともに、職場にいる一人 1 ひとりが職場共同体の当事者として「自らの職 場は自ら守る」ことを強く意識し、 こころを通わ せたコニュニケーションの活性化を図りながら、 1.4 0.8 当社 当社グループ 鉄鋼業 製造業 0.6 0.4 日立金属グループの新しい安全文化を創造して いきます。 26 休業度数率 労働時間100万時間 に発生した休業災害 の発生件数の指数 0.2 0 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 歴年 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] PT. NX INDONESIAが無災害2000日を達成 ∼「自分の身は自分で守る。ちょっと待ての心構え」をスローガンに∼ 2008年6月5日、日立金属グループの海外製造拠点の 一つであるPT. NX INDONESIAが無災害2000日を達 成しました。2002年12月から5年以上の長期にわたり 無災害を続けており、現在も記録を更新中です。代々、受 け継がれてきた安全指導と安全活動の成果です。 PT. NX INDONESIAは、東南アジアにおける電装用フェ ライトマグネット事業の拠点として、2005年にインドネシ ア・ジャワ島のチレゴンに設立されました。前身のPT. Sumimagne Utamaから通算すると2008年で操業 18年を迎えます。 当社では「自分の身は自分で守る。 ちょっと待ての心構え (インドネシア語で は Lindungilah diri sendiri ... Berpikir sejenak sebelum bertindak!)」をスローガン に掲げ、長年にわたり従業員一人ひとりの安全に対する意識を高めてきました。各工程のグ ループごとに全員が毎月「KYK(危険予知訓練) 」を実施し、毎朝の朝礼でもスーパーバイザー による各人への安全指示など、個人・グループでの地道な安全活動を続けています。 モノづくりの現場は、日々、危険と隣り合わせです。その中での無災害2000日達成は、従業 員一人ひとりの安全意識の向上と、日々の安全活動への取り組みにより生み出されたもので あり、大きな価値を持つ記録となりました。 PT. NX INDONESIA 代表取締役 野田徳幸 現地従業員に対して、作業に必要な安全意識を持たせるこ とからスタートして全員の意識を変え、 さらにこの意識を高 めていくことにより無災害2000日という実績にいたって います。これは、先人の指導と努力のたまものであるととも に、従業員の努力の結果であり、無災害を全員で祝うことが できて光栄です。今後は、3000日達成を目標に、 さらに安全な工場をめざしていき ます。 27 社 会 S o c i a l 性 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] いつも元気にスマイル!∼今日も笑顔が満開です 株式会社 桑名クリエイト 配管機器カンパニー桑名工場のグループ会社、株式会社桑名クリエイトで さまざまな業務を担当するスマイルサークルをご紹介します。 桑名クリエイトは日立金属桑名工場内の協力会社です。 その桑名クリエイトにおいて、2004年12月から知的障がい者雇用が始まりました。 当初、2名で始まったスマイルサークルは一人も欠けることなく、今年で10名の所帯となり仕事の幅を広げてきました。 今日はそのスマイルサークルを、指導員の皆さんから紹介します。 仕事場では自覚をもって スマイルサークルの雰囲気はいかがですか。 「スマイルサークルはみんな明るいですよ。職場には家庭的な雰囲気もあるし、はじめはうまく自分の 感情を伝えられなかったメンバーも、喜怒哀楽を表すことが出来るようになりました。私たちもスマイ ルサークルのメンバーが、安心して仕事に取り組めるように、常に声を掛け、状況を把握するようにし ています。しかし、それが時には甘えに繋がることがある。会社に来るのが楽しいのは良いが、仕事が そっちのけでは困ります。時にはきびしく注意することもあります。甘やかしても彼らのためにもなりません。社会人としてのしつけは必 要です。しつけは重要ですが、一番難しい。まず、 『社会に出て仕事をする』という意味をよく理解してもらわなければなりません。」 具体的にはどのように仕事の大切さを伝えるようにしていますか。 「スマイルサークルの仕事は直接桑名工場の生産に影響を及ぼすものもあります。毎日目標を立て、 仕事の段取りを行っていますが、同じことでもうまくいく日もあれば、 うまくいかない日もあります。 メンバーは性格も違えば、言葉の受け止め方も違う。でも、 『私こんなことできるようになったよ!』な どと言ってくれると本当にうれしい。」 メンバーの成長はみんなの喜び メンバーの成長が目に見えることは指導員の皆さんにとってはうれしいことですね。 「そうですね、採用から4年経ったこともあり、現場のラインの中に入って一般の社員と同じ仕事が出 来るようなったメンバーや、場内の資格テストにも合格したメンバーもおり、 スマイルサークルとして も仕事の幅も広がってきています。また、 メンバーの間でも良い意味でのライバル意識も芽生えて、 お互いの作業をチェックして、間違っているところ、 もっと丁寧にした方が良いところなどをアドバイスし合っています。適度に刺激し合い ながら、高め合っていくことができれば良いと考えています。」 指導するうえで特に気をつけていることはどのような点ですか。 「目的は自立支援であり、任せるということが大切と考えています。何でも手助けするということではなく、出来るための支援をする。も ちろん、少しでも仕事にミスや手抜きがあれば、それはすぐにお客様からのクレームに繋がります。仕事を任せ、自信を深めてもらいなが ら、その一方で過信に陥らないような指導を心掛けています。」 周囲に支えられた満開の笑顔 指導員以外にも周囲の支援に支えられていると伺いましたが。 「社内をはじめ桑名工場のいろいろな職場の方の支援もあり、 スマイルサークルの仕事の幅も広がり、みんな生き生きと仕事に取り組ん でいます。また、 スマイルサークルのメンバーが問題なく仕事を取り組むことが出来るように、自分たちの仕事が目で見て判るように、専 用の取付具を制作してもらうなど技術面でも生産現場の協力をいただいています。このように周囲の支援があってこそのスマイルサー クルです。これからもメンバー一人ひとりが満開の笑顔で仕事に取り組むことが出来るように、一緒に頑張っていきたいと思います。」 28 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] (株)桑名クリエイト 平成20年度 障がい者雇用優良事業所表彰を受賞 2008年10月、社団法人三重県雇用開発協会 より会長表彰を受賞いたしました。 毎年、積極的に障がい者の採用を行っており、 職場定着に向けて公私にわたり指導しているこ となどが、他社の模範となるとして表彰された ものです。 株式会社ハローが埼玉県雇用開発協会の会長表彰を受賞 2008年9月19日、日立金属グループの株式会社ハロー(特例子会社)が、平成20年度 「障がい者雇用優良事業所」として社団法人埼玉県雇用開発協会より会長表彰を受けまし た。これは、障がい者の雇用促進に向け積極的な活動を展開してきた功績を称えるもので す。また、個人表彰として、同社マグネットグループおよび総務グループ所属の計2名の社員 が優秀勤労障がい者表彰を受賞しました。 株式会社ハロー 代表取締役 柳 強 2008年は、創立10周年となる記念すべき年であり、節目にふさわし い意義ある受賞となりました。すべての社員にとって名誉であり、大 きな喜びです。 現在、弊社では36名の障がい者の方が自立して生きがいのある人生 に挑戦し、明るく元気に一生懸命、働いています。このたびの表彰を 新たな励みとし、 「 友愛・自立・貢献」の理念のもと、日立金属グループの特例子会社として誇り を持ち、障がい者の未来に貢献できる会社をめざしていきます。 29 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] 特殊鋼カンパニー安来工場 いいとこ発見隊 ® ヤスキハガネ を生み出す特殊鋼カンパニー安来工場(島根県安来市) では、 「いいとこ発見隊」という職場の枠を越えた有志によって、みんな が笑顔で働ける安全な職場づくりをめざす活動が行われています。 従業員のアイデアから生まれた、工場活動をご紹介いたします。 「いいとこ発見隊」とは、安来工場の「いいとこ」をどんどん伝えていこ う!つくっていこう!という自主的に集まり、 より良い会社づくりのために、 今何が必要かを自主的に考え実行していくグループです。 モノづくりを支える『人のつながり』を深め、働きやすい環境をつくることを目的に ①仲間意識を深める ②コミュニケーションを深める ③やる気の向上 の3つの目標を持って活動中です。 事例紹介 1 心に花を! ∼職場ごとの花づくりのいいとこ紹介します∼ 「花も鋼(はがね)も掌(たなごころ)で育つ」として安来工場内の帯鋼工場から始まった花づくりも、 安来工場の各職場に広 がり、 花いっぱいの工場になりました。 「花ガラを摘み、土の状態を確認しながらの水やり・ ・ ・など、手を掛けないと、花はきれいに咲いてくれませんし、育ってく れません。工場見学に来られたお客様からも好評です。」 2009年5月28日現在、花鉢800個、花壇は80箇所となり、従業員自ら が 積 み 上 げ た 花 壇 用 のレ ン ガ は 10,000個にのぼりました。殺伐と した鋳物工場いっぱいに花が咲きほ ころび、来場されたお客様に感動を 与えています。 事例紹介 2 心に安全な職場は食事から ∼工場食のいいとこ紹介します∼ 栄養たっぷりな食事は身体の調子を整え、暮らしや仕事への活力を与えてくれます。 「 健康でなければ、良い仕事もでき ません。工場食は、 まさに『モノづくりの源』であり、 これを改善していこうと考えました」 。いいとこ発見隊では、 1日2,000 食もの工場食を届けていただいている株式会社安来製作所フーズセンターの皆さんと一緒に、昼食時に場内の休憩室 を訪問することにしました。そして、 フーズセンターの取り組みを紹介 するとともに工場食への意見やアイデアをモニターして、 メニューの 見直しなどに活かしています。つくる側の工夫や情熱を伝え、食べる 側の意見を得ることで、 『工 場食向上』に取り組んでい ます。 30 社 会 性 S o c i a l 報 告 R e p o r t [働きやすい職場づくりと社会への貢献] 事例紹介 3 心にゆとりを!笑顔で挨拶 ∼スマイル・ラリーでいいとこ発見します∼ 挨拶から始まるコミュニケーション。一人ひとりが大切な仲間。 「笑顔の挨拶の周りには、 安全・安心な活力ある職場が育つ」 をスローガンに2008年6月から朝の出勤時に工場の中央門にいいとこ発見隊のメンバーが立ち、笑顔で挨拶を始めま した。 「大切なことは活動を継続していくこと」。単なるイベントで終わらせたくないので、無理のない様に、朝の挨拶は子 育てが一段落したメンバーや近隣 通勤のメンバーが行うように柔軟 な対応をしています。 それでは「いいとこ発見隊」のメンバーの声をお聞きください。 きっかけ 「いいとこ発見隊は、行動を起こすことで、工場内の人と人との結びつきを深め、働 きやすい環境に変えていこうという、職場横断的に有志が集まったグループです。活 動の視点は元気や感動が生まれる職場作り。直接、業務改善を目的とするのではな く、それを実現するための風土をつくっていこうというものです。」 「そうですね、なんとなく希薄になった、人と人のつながりに危機感を持ったり、自分の置かれている状況や職場の持つ雰囲気に前向きな 疑問を持つメンバーが集まり『とにかく行動を起そう』と活動を決意しました。」 「当時、現在の担当業務も含め、 いろいろな仕事を経験する中で持った悩みをメンバーに相談すると、前向きな考え方と行動に元気をも らいました。またそれまでは人の前に立って何かやるという経験は無かったのですが、尊敬するメンバーの中で自分を変えることができ たらいいなと思い、いいとこ発見隊に参加しました。まだ子育て真っ最中なので、時間のやりくりが難しい面もありますが、継続すること が大事と考え、無理をしない範囲で活動に参加しています。」 いいとこ発見隊に参加して 「いいとこ発見隊の『いいとこ』はすべて自分たちで考え、自ら行動しているところ。一度に大それた行動は出来ませんが、粘れるだけ粘 り、変えたいというパワーと行動で感動を生み出していきたいと思います。帯鋼工場のガーデニング教室から始まった花づくりは、安来 工場長にも参加いただき全安来工場内に広がりました。75個のプランターに植えた300本を越える朝顔の花が咲いた時には、感動し てしまいました。」 「私は、 いいとこ発見隊に参加してから、自分の仕事について深く考えるようになりました。職場に花を飾るようになって2年経ちますが、 小さなことでも続けることにより、自分でもやれば出来るという自信が生まれ、継続することの大切さを実感しています。今はスマイル・ ラリーで中央門に立って挨拶しています。返事が返ってこないのでは・ ・ ・という不安もありましたが、笑顔で応えてくれる方が多く安心し ました。」 「私もいいとこ発見隊に参加したお陰で、多くの方に出会えるようになりました。安来工場は日立金属の中でも大きな工場で、顔も名前 も知らない人が多かったのですが、今では顔見知りも増え、自然に挨拶もできるようになりました。継続していくことで生まれるパワーの 大きさ、強さを実感しています。会社が置かれている経営環境は大変厳しくなっていますが、元気良く挨拶し合える職場でありたい。そし て、 もっともっと安来工場の『いいとこ』を見つけて一人でも多くの人に伝えたいと思っています。」 わずか5名のメンバーですが、 「いいとこ発見隊」はまだまだ安来工場に新しい風を吹き込んでいく意欲に溢れています。 31 社 会 S o c i a l 性 報 告 R e p o r t [社会とのコミュニケーションの促進] 株主・投資家をはじめとした社会に対して タイムリーに情報を発信 日立金属グループは、透明性の高い「開かれた企業」として信頼を得るため、迅速・正確か つ公平な会社情報の開示を適切に進めるべく、社内体制の充実に努め、 タイムリーな情報 発信を行っています。 コミュニケーション室を中心として各部門が連携し、四半期ごとの決算情報開示を行い、機 関投資家・アナリストを対象とした決算説明会なども開催しています。また、決算情報にと どまらず、個別事業のトピックスや中期経営計画の開示なども、展示会やホームページを通 じ積極的に行っています。 より詳しく経営方針などをご説明するために、株主通信、アニュアルレポート(英語版)、 Webサイトをはじめとした情報発信ツールを充実させるとともに、個人投資家の皆様に向 けては、四半期ごとの決算発表後に決算IR広告を新聞に掲載して業績の概要をご報告する など、当社グループの価値をご理解いただくための情報発信を行っています。 2006年には、日本経済新聞社が主催する日経広告賞の「IR広告賞」 、2007年から2年連 続で同賞優秀賞を受賞し、情報開示に対する姿勢を高く評価していただきました。 株主・投資家との双方向コミュニケーション 日立金属グループでは、株主・投資家の皆様に対して広告や Webサイト、 イベントなどさまざまなツールを通して情報発信 を行いながら、双方向コミュニケーションを図っています。 個人投資家向けIRフェア 展示会 展示会も、幅広い層の皆様と直接コミュニケーションができる機会と位置付けています。また、株 主・投資家の皆様に事業内容を紹介し、当社グループに対する理解を深めていただく場として、個 人投資家向けIRイベントにも出展しています。 CEATEC JAPAN 2008 日立金属グループIRサイトのご紹介 株主・投資家の皆様と当社グループをつなぐツールとして、株主・投資家向けおよび個人投資家向けWebサイトを開設し、適時開示資料 やアニュアルレポート、決算スライド資料などを掲載して、業績に関する情報発信を行っています。 そのほかにIR専用のメールアドレスも設置し、株主・ 投資家の皆様の声を聞くコミュニケーションツール のひとつとして活用しています。 個人投資家向けサイト http://www.hitachi-metals.co.jp/mms/index.html 株主・投資家情報サイト http://www.hitachi-metals.co.jp/ir/indx_ir.html 32 環 境 性 報 告 Environmental Report 2008年度環境行動計画とその実績 2008年度は、2006年1月に2010年度を見据えて策定した環境08中期計画の最終年度でした。 2008年後半の世界経済の危機的状況の影響を受け、環境活動の一部において未達があったものの、 おおむね目標を達成することができました。 2009年度も2010年度目標を見据え、 グローバルに環境経営を推進していきます。 :目標達成 :目標90%達成 :目標未達 2008年度 カテゴリー 項 目 評価 行動目標 環境経営の推進 エ コ マ ネ ジ メ ン ト & エ コ マ イ ン ド 「GREEN21」ver.3 グローバル環境連結経営の推進 ヨーロッパ地区環境会議開催 日立金属グループ環境委員会開催 ヨーロッパ地区環境会議開催 中国地区環境会議開催 35 「GREEN21 ver.3」グリーンポイント:1,024 「GREEN21 ver.3」グリーンポイント:1,086 36 カンパニー統合EMSの構築 環境マネジメントシステム (EMS)z 環境監査の充実 情報部品カンパニー、 ロールカンパニー、 NEOMAXカンパニーにて統合EMSを構築、 ISO14001認証取得 計23サイトの環境監査を実施 (7サイトの海外環境調査を含む) 社 会 貢 献 33 「GREEN21 ver.3」グリーンポイント:1,152 全カンパニーの統合EMSの認証取得 グループ会社の統合EMSの構築 36 37 マテリアルフローコスト会計の活用推進 エコマインド教育e-ラーニング受講率:80%(国内) エコマインド教育e-ラーニング受講率:98.0%(国内) 36 エコマインド教育e-ラーニング受講率:85%(国内) ISO一般教育の充実 監査員養成研修などの開催 内部監査員教育研修:40名修了 内部監査員フォローアップ研修:19名修了 環境管理担当者研修:21名受講 36 監査員養成研修などの開催 環境適合製品売上高比率:72%(国内) 環境適合製品売上高比率 : 81.5%(国内) 39 環境適合製品売上高比率:80%(グローバル) スーパー環境適合製品 : 9件登録済み ― スーパー環境適合製品の拡充 環境効率、 ファクターの評価推進 グリーン調達率 : 80%(日立金属単独) グリーン調達率 : 84.7%(日立金属単独) 24 グリーン調達率 : 80%(日立金属単独) 「環境CSR対応モノづくり」運用 化学物質入出荷量の定期報告継続的実施 禁止物質含有などの事故なし 23, 24 欧州REACH規則xへの対応 予備登録完了、SIEFc活動中 顧客への高懸念物質の情報伝達を実施中 24 法的対応、顧客対応の確実な推進 製品輸送時の環境負荷 改正省エネ法への対応 輸送負荷低減計画の検討 輸送手段ごとの輸送負荷把握、法的届出済み 輸送によるCO2排出量:18.0%削減(2007年度比) 45 モーダルシフト、積載率の向上等による輸送負荷低減 計画の継続的推進 法令遵守 法令遵守 新たな法規制への対応 法を遵守し、事故なし ― 法令遵守 新たな法規制への対応 再資源化率:98% 再資源化率:96.6%(国内) 46 再資源化率:98.5% ゼロエミッションへの挑戦 ゼロエミッション達成事業所 : 21事業所 売上高エネルギー原単位:1.112 売上高エネルギー原単位:1.061 v 44 売上高エネルギー原単位:1.126 環境適合製品 廃棄物の削減 コ環 ミ境 ュ ニ ケ ー シ ョ ン グローバル環境連結経営の推進 熊谷工場、 安来工場、 (株) 日立金属若松のモデル製品にて マテリアルフローコスト会計(MFCA)を試行 スーパー環境適合製品の拡充 (業界トップ製品、社外評価製品など) エ コ フ ァ ク ト リ ー 36 地球温暖化防止 (2006年度から電力会社の CO2換算係数を運用) CO2排出量:10%減(1990年度対比) 環境適合製品売上高比率:85%(グローバル) 製品輸送時の環境負荷(CO2排出量)10%低減(2006年度基準) 再資源化率:99% ゼロエミッションの達成 売上高エネルギー原単位:1.126 (2011年度で2007年度対比10%削減) 44 CO2排出量 : 10%減(1990年度対比) CO2排出量 : 10%減(1990年度対比) VOC排出量削減:30%(2000年度対比) 化学物質リスクの低減 47 VOC排出量削減:28.5%(2000年度対比) PCB使用機器管理 処理計画の実践(∼2016年) 処理完了または推進中の事業所:3 ― 処理計画の実践(∼2016年) 用水管理 用水の使用量:5%削減(2005年度対比、売上高原単位) 用水使用量:8.4%削減(2005年度対比、売上高原単位) 43 用水の使用量:8%削減(2005年度対比、売上高原単位) 環境情報開示 日立金属グループCSR報告書の発行 ― 日立金属グループCSR報告書の発行 40 展示会などでの環境適合製品のPR ― 環境ミーティングの推進 日立金属グループCSR報告書の発行 「エコプロダクツ2008」および 「エコプロダクツ国際展」:NEOMAX®を出展 z EMS:Environmental Management System x 欧州REACH規則 (Registration, CO2排出量:14.6%減(1990年度対比)v 〔ただし、従来の電力CO2換算では28.9%減〕 VOC排出量削減:27.4%(2000年度対比) VOC代替化の技術検討・設備対応完了済み 展示会への積極的参画 展示会などで環境適合製品のPR ステークホルダーとの情報交換 環境ミーティングの推進 自治会との環境懇談会開催、工場見学会の受け入れ 地域環境保全活動・事業への参画 エコリサイクル(官学産プロジェクト)への参画 鳥取県環境推進企業協議会へ参画 ― 地域の緑化・清掃活動実施 ― 地域の緑化・清掃活動の継続 日立金属グループ統合EMSの運用にて 効率的環境負荷低減の継続的実施 「環境CSR対応モノづくり」運用 VOCb排出量の削減:27%(2000年度対比) 緑化・清掃活動 「GREEN21 ver.3」グリーンポイント:1,280 階層・部門ごとの環境教育体制充実 化学物質管理 地域への環境意識啓発 2010年度目標 2009年度目標 環境会計の活用推進 環境教育・研修 エ コ プ ロ ダ ク ツ 掲載ページ 実 績 用水の使用量:10%削減(2005年度対比、売上高原単位) タウンミーティング展開 (社会との共生をめざす説明責任の実施) Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals): EU(欧州連合)域内にて、 化学品 (Chemicals)を製造、 輸入する場合に 登録(Registration)、 評価 (Evaluation)を義務付け、 高懸念物 質については、 認可(Authorisation)、 さらにリスクの高い物質には、 禁止等の 制限(Restriction)を設けるEUの規 則のこと。 c SIEF:Substance Information Exchange Forum (物質情報交換フォーラム) v 目標の対象サイト:国内生産拠点 地域環境保全活動・事業への参画 地域の緑化・清掃活動の継続 地域コミュニケーションの継続・拡大 (ただし第1種エネルギー管理指定工場) b VOC(Volatile Organic Compounds) : 揮発性有機化合物のこと。 環 境 性 報 告 Environmental Report エコマネジメント・エコマインド 日立金属グループは、 「最良の会社」を具現して社会に貢献することを経営の基本理念とし、 この基本理念に基づき、人類共通の財産を後 世へ健全な状態で承継するために、環境配慮を経営上の最重要課題と位置付け、地球環境、地域社会環境の保全に取り組んでいます。 2005年4月には日立金属グループ一体となって環境経営に取り組んでいく姿勢を明確に示すために、 「日立金属 環境基本方針」を「日 立金属グループ 環境保全基本方針」と改訂しました。 従来は、工場、 グループ会社ごとに環境管理を推進してきましたが、 これからはカンパニーを主軸とした連結環境管理体制を強化していき ます。特に、 グローバルに事業を展開する企業にふさわしい環境経営を推進するために、それぞれの国や地域の特性を考慮しながら、日 立金属グループとして同じ環境基本理念をしっかりと共有し、環境負荷低減の活動や環境リスクへの対応をしていきます。 日立金属グループ環境保全基本方針 理念 日立金属グループは「最良の会社」を具現して社会に貢献することを経営の基本理念としている。この基本理念に基づき、人類 共通の財産を後世へ健全な状態で承継するために、環境配慮を経営上の重要課題として位置付け、地球環境、地域社会環境の 保全を積極的に推進する。 スローガン ●地球環境保全は人類共通の重要課題であることを認識し、環境と調和した持続可能な社会の実現を経営の最優先課題の一つ として取り組み、社会的責任を果たす。 ●地球環境保全および資源有限性への配慮に関するニーズを的確に把握し、 これに対応する高度で信頼性の高い技術および製 品を開発することにより社会に貢献する。 行動指針 1. 環境関連法令の遵守と汚染の予防 4. 海外拠点での環境配慮 国際的環境規制ならびに国、地方自治体および協定などの環 グローバルなモノづくりに際しては、当該地域の環境に与え 境法令を遵守する。遵守を確実にするために、必要に応じて る影響に配慮し、地域社会の要請に応えられる対策を実施す 自主基準を設定する。 るよう努める。 また、環境問題の可能性を評価し、汚染の予防に努める。万 一、環境問題が生じた場合には、環境負荷を最小化するよう 適切な措置を講ずる。 5. 教育訓練と意識の向上 広く社会に目を向け、幅広い観点から、従業員に環境関連法 令の遵守の重要性および環境への意識向上のために環境保 2. 環境管理組織の機能整備と監督機能の充実 環境担当役員を頂点としたグループ環境管理組織、運営制度 を整備し、環境関連規定の整備、環境負荷削減目標の設定な どにより環境保全活動を推進する。 全について教育する。 6. 情報開示 環境保全活動についてステークホルダー(利害関係者)への 情報開示と積極的なコミュニケーションに努め、相互理解と また、環境保全活動が適切で妥当で有効に行われていること 協力関係の強化に努める。 を確認し、環境管理の継続的改善に努める。 * 3. LCA(ライフサイクルアセスメント)を配慮した グローバルなモノづくりの推進 製品の研究開発・設計、生産、流通・販売、使用、廃棄などの各 2001年4月1日 制定 2006年6月22日 改定 段階における環境負荷の低減を目指し、以下を重点としたグ ローバルなモノづくりを推進する。 ①エコ製品 ②地球温暖化防止 ③省資源・リサイクル資源 循環 ④化学物質管理 *LCA(ライフサイクルアセスメント) :その製品の原料採取から製造、使用、廃棄・リサイクルに至る過程でどれほどの環境影響を与えたかを定量的に評価する手法のこと。 34 環 境 性 報 告 Environmental Report 環境経営推進体制 日立金属の環境経営は日立金属 (株) の環境担 ※グループ環境委員会出席者は◎記号の 環境担当役員、各カンパニー技術/企画 部門環境責任者、 事業所環境管理責任者、 コーポレート関連部門長、グループ会社 環境担当役員、技術センター 日立金属グループ環境経営推進体制 当役員(執行役専務)を頂点として、技術セン 代表執行役執行役社長 ターがカンパニー環境管理責任者と連携して ◎環境担当役員(執行役専務) 推進する体制となっています。環境活動に関 する方針、 目標などは年1回の日立金属グルー プ環境委員会、 および、海外拠点会議において グループ環境委員会※ [3R*1部会] 全社専門部会 [省エネルギー部会] [EMS*2 研究会] ◎技術センター 審議決定しています。 各カンパニー コーポレート ( ) ただし、 カンパニー 管轄グループ会社 ◎関連部門長 ◎技術/企画部門 環境責任者 事業所長 内部環境監査チーム 環境委員会 ◎環境管理責任者 *1 3R:Reduce(排出物の発生抑制・減容化)、Reuse(再使用)、 Recycle(再利用)を通じて資源循環利用を促進すること。 *2 EMS:Environmental Management System 海外拠点会議 (北米、 欧州、 アジア) 国内グループ会社 海外グループ会社 ◎環境担当役員 環境担当役員 左の と同等 左の と同等 事務局 専門部会 各部門 則に限らず、 EUの環境政策は世界を先行しており、 中国、 米国、 日本などの世界各国の環境政策はこれに追随する動きを見 Hitachi Metals Europe GmbH 井深 麻理 せています。 このような動向に対応するために、各々の規制の共通点と差 異を見極めたうえで、設計・開発、製造、販売の各部門が連携 REACH規則は企業に化学物質の登録、 リスク評価を義務付 を強化し、統合的な化学物質管理の仕組みを確立、運用する ける先例がない規制であり、高懸念物質の詳細など未確定の ことが重要と思います。それには、法令遵守のためだけでは 要素が多く含まれています。そのため、欧州に駐在し、情報収 なく、世界の製品環境規制をクリアし、環境性能を向上させた 集、各主要アクターとのコミュニケーション、法的対応などを 「環境適合製品」につなげるチャンス、 と考える発想の転換が 行っています。 必要です。 欧州企業は「新しい規制をビジネスチャンスに」との姿勢で対 環境政策の先端を行く欧州で研鑽を積み、柔軟な俯瞰的視野 応しており、日本企業の「規制に違反しないように」対応する を身に付け、日立金属グループの環境経営の一翼を担えれば 受動的な姿勢とは差があるように感じます。また、REACH規 と考えています。 非常に大きな位置を占めるようになりました。 中国において日立金属グループの統括機能を有している日立 日立金属投資 (中国)有限公司 金属投資(中国)有限公司は、各グループ会社を統括的に管理 する仕組みを検討している段階にあります。各グループ会社 の規模は決して大きいものではなく、次々と制定される環境 35 中国でも環境問題が著しく悪化し、深刻な社会問題となって 規制をはじめ、急激な社会変化に対応できるだけの人的余裕 います。加えて地球温暖化対策などの国際社会からの要請も がないのが実情です。今後、日立金属本社や日立グループか あり、中国政府は「経済第一」から「調和社会構築」に政策を らの支援を受けながら、法令遵守、環境リスクへの対応、環境 転換してきました。持続可能な社会の構築に向けて、新しい規 管理システムの構築など、各グループ会社を支援、指導、監督 制が次々と制定され、法律の取締りもますます厳しくなってき する仕組みを構築し、環境面から日立金属グループのグロー ています。このように、企業運営のリスクとして、環境問題は バル環境戦略に貢献したいと考えています。 環 境 性 報 告 Environmental Report 統合環境マネジメントシステム(統合EMS) 情報部品カンパニーの統合EMSの審査状況 日立金属グループでは、1998年よりISO14001の認証取得を開始し、現在、ISO 14001の認証取得率は約89%となりました(従業員ベース)。 工場単位での認証取得からスタートしましたが、製品環境規制への対応や、環境適合製品 の拡販など、技術、企画、営業などの部門と密接に連携する必要性が増してきたため、カン パニー統合型の環境マネジメントシステム(統合EMS)の構築を進めています。 2008年度は情報部品カンパニー、 ロールカンパニー、NEOMAXカンパニーの統合EMS を構築し、ISO14001の認証を取得しました。2009 年度中には、全てのカンパニーにおいて統合EMSの構 環境教育体系 新入社員教育 環境問題と環境保全活動 中堅者研修 環境問題と職場の任務 環境監査 管理者研修 環境問題と企業の役割 技術センターでは、環境関連法令の遵守、EMS運用の 環境相互監査員養成研修 環境法令、EMS知識と監査技能 適切性、環境リスクなどについて全社的に環境監査を実 環境相互監査員フォローアップ研修 監査の企画から実践まで 施しています。 リスクコミュニケーション研修 ステークホルダーへの実践的対応 築をめざしています。 階層別研修 専門教育 2008年度は、海外グループ会社に対する環境調査も 含め、23サイトの環境監査を実施し、いずれのサイトに も重大な不適合はないことを確認しました。 環境教育・啓発 資格取得教育 法定資格受験への対応 環境管理担当者研修 サイト環境管理実務者の育成 サイト内環境教育 一般社員の環境管理実務 カンパニー営業教育 製品と環境の関わり eラーニング 日立グループのエコマインド教育 職場独自の教育およびEMS関連教育を含む教育体系 を構築すること、 また、 グループ全体の視点で実施する 安来工場にて首相の「地球温暖 教育と、工場ごとに実施する教育の役割を明確にするこ 化問題に関する懇談会」メンバ とで、全従業員の環境意識のさらなる向上と職場ごと ーの枝廣淳子さんにご講演いた の知識・技術のレベルアップを図っています。 だきました。 「複雑化社会の中で 企業が勝ち残るには! !」と題し、 「GREEN21」ver.3の活動 地球温暖化問題のリスクとそれにかかるコストについてや、自分た 環境活動の継続的改善と活動レベルの向上を図ってい ちが今できることは何か、などいろいろお話しいただきました。 くために、目標に対する達成度を8カテゴリーに分けて 定量的に評価する仕組み「GREEN21」を推進してき No. ました。 1 日立金属グループとして、2008年度は1,086グリー ンポイント(以下GP)となり、目標レベル(1,024GP) を達成しました。 2009年度も継続的に活動レベルの向上を図っていき ます。 日立金属グループの実績と目標 カテゴリー(評価表) 主な評価内容 エコマネジメント:環境経営 リスクマネジメント、行動計画、環境会計 2 エコマインド 従業員への教育 3 エコプロダクツ:環境適合製品 環境適合製品、製品含有化学物質管理 4 エコプロダクツ:グリーン調達 グリーン調達、 グリーン購入 5 ネクスト製品・サービス戦略 サスティナブルビジネスの開発・拡大 6 エコファクトリー:地球温暖化防止 事業所の省エネルギー、物流における環境対応 7 エコファクトリー:資源循環 廃棄物削減、化学物質管理 8 ステークホルダーとの環境協働 情報開示、 コミュニケーション活動、地球市民活動 目標レベル グリーンポイント(GP) 1,400 エコマネジメント(環境経営) ステークホルダーとの 環境協働 200 150 100 エコファクトリー (資源循環) 50 0 2008年度実績 1,000 1,086GP 800 エコプロダクツ (環境適合製品) 2008年度目標 1,024GP 目標 1,200 エコマインド エコプロダクツ エコファクトリー (グリーン調達) (地球温暖化防止) ネクスト製品・サービス戦略 944 821 643 533 600 400 200 1,086 実績 353 320 0 02年度 640 426 383 03年度 896 768 509 ver. 2 04年度 05年度 1,152 1,280 1,024 08年度目標 1,024GP ver. 3 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 ※02年度は推測値を記載 36 環 境 性 報 告 Environmental Report 環境会計 日立金属では、環境保全活動の促進と環境パフォーマンスの向上を目的に2001年度より環境会計を導入し、 この情報を環境戦略へ反 映ならびに開示することにより、環境に対する当社の姿勢をご理解いただくために活用してきました。また、2002年度より集計範囲を連 結対象グループ会社に拡大し、 グループ全体の環境活動の向上と持続可能な発展をめざしています。 環境コストは、2008年度に投下した設備投資額と、設備運転費や研究開発費を含む環境保全活動費に分けて集計しています。環境効果 は、確実に把握できる経済効果と、環境負荷削減施策で得た物量効果を集計しています。 さらに、環境会計の内部機能の一つであるマテリアルフローコスト会計についても試行し、企業の経営管理ツールとして検討しています。 環境会計の活用 地球・地域の環境問題が深刻化するなか、環境負荷に対する企業の社会的責任が増大しています。 環境会計は、これらに効率的に対応すべく、 より適切に環境保全活動の向上をめざすツールの一つと捉え、以下の活用を推進しています。 ●内部機能:環境保全に要したコストとその効果を把握し、環境負荷低減と収益性を分析することで、環境経営への意思決定を適切化 ●外部機能:ステークホルダーに対して、環境保全活動の結果を、経済的側面も含め定期的に情報公開 集計結果 ■環境コスト (単位:億円) 費用分類 事業所エリア内 コスト 公害防止 2006年度 経費 投資 14.4 1.0 2007年度 経費 投資 14.6 2.7 2008年度 経費 定義 投資 13.8 1.0 大気汚染、水質汚濁などの公害防止コスト 地球環境 2.6 1.4 2.7 4.1 2.4 1.8 地球温暖化防止、省エネルギーなどに関わるコスト 資源循環 16.9 0.6 20.9 0.5 19.6 0.6 廃棄物削減・リサイクル化、節水などに関わるコスト 小計 33.9 3.0 38.2 7.3 35.9 3.4 上・下流コスト 1.4 0.0 1.4 0.0 1.2 0 グリーン購入差額、容器包装リサイクルなどに関わるコスト 管理活動コスト 7.4 0.0 9.0 0.0 8.4 0 EMS構築運用、環境担当部門などの経費 研究開発コスト 33.9 5.9 36.8 7.8 33.6 6.2 社会的取り組み 0.8 0.0 0.6 0.0 0.2 0 その他 計 1.8 0.0 0.7 0.0 0.9 0 79.2 8.9 86.7 15.1 80.1 9.6 ■環境効果 (単位:億円) 項目 経済 効果 廃棄物処理、 リサイクル化 2006年度 2007年度 2008年度 25.3 25.5 21.6 1.6 2.1 1.1 省エネルギー その他 2.1 3.0 2.4 29.0 30.7 25.1 項目 2006年度 2007年度 2008年度 物量 エネルギー削減(原油換算) 5,030kr 5,684kr 5,449kr 2,158t 1,027t 計 効果 製品・製造工程の環境負荷低減の研究開発費 自然保護、地域住民への環境支援、情報公開などのコスト 廃棄物削減 ●報告範囲:日立金属 国内グループ ●集計期間:2008年4月1日∼2009年3月31日 1,283t 環境コストの推移 2008年度集計結果の分析 億円 90 2008年度の環境コストは、経費80.1億円、設備投資額9.6億円で合計89.7億 円となり、 2007年度に比べ環境コストが12.1億円減となりました。これはサブプ ライムローンを発端とした世界同時不況により、日立金属グループも生産量減少 86.7 81.5 80 80.1 79.2 公害防止コスト 70 地球環境保全コスト を強いられ、そのことにより事業所エリア内活動や研究開発活動などへ経費面で 60 資源循環コスト の影響を及ぼしたと考えています。 しかしながら、費用分類ごとの割合では、廃棄物処理費などの事業所エリア内経 費の割合が全体の44.8%と半分以下を維持しており、循環型社会に向けた活動 50 上・下流コスト 40 管理活動コスト へのシフトを維持していると捉えます。研究開発経費は、2007年度比減額とな りましたが全経費の42%を占めており、中期指針の一つ「環境適合製品を基軸 に持続的成長」や新製品開発の着眼点「地球環境保護をキーワードとした新素 30 20 研究開発コスト 材・新製品」を実行するためにも、今後も研究開発経費の割合は維持・増加する 10 社会的取り組みコスト 見込みです。また、さらにはグリーン調達や物流負荷低減などの上・下流の活動 も推進し、一層環境活動の向上と持続可能な社会への貢献をめざします。 37 その他 0 05年度 06年度 07年度 08年度 環 境 性 報 告 Environmental Report マテリアルフローコスト会計の試行 日立金属グループでは、投入された原材料(マテリアル)を物量で把握し、良品にならないロス(排出物)に経済価値を付加することで、 資源効率と経済効率の両立を図ることを目的としたマテリアルフローコスト会計(MFCA)を試行しています。 2008年度は、熊谷工場、安来工場、 ( 株)日立金属若松の3事業所で試行しました。 その結果、 標準原価計算では見えないロスコストが可視化でき、 また、改善のシミュレー ションを行なうことで改善効果の可視化も検証できました。今後は具体的改善テーマに おけるMFCAの改善効果を考察しつつ、 MFCAの運用ガイドラインを作成します。 インプット 原材料 補助材料 エネルギー システムコスト 物量センター アウトプット (ある製造工程) 良品(製品) 正の製品 正の製品と、 負の製品を製造 アウトプット 負の製品 不良品 (排出物) 廃棄物 リサイクル物等 同等の価値 MFCAのコスト概念 38 環 境 性 報 告 Environmental Report エコプロダクツ 日立金属グループは、省エネルギー・省資源、地球温暖化防止、有害物質の削減など、環境負荷を低減する製品を社会に提供し、 循環型社会の構築へ貢献することをめざしています。 製品・サービスの環境配慮ビジョン 日立金属グループは企業行動指針にもうたっているとおり、新たな価値を生み出す新製品・新事業の創出を通じ、高品位の環境親和製品 を提供し、持続的な成長をめざしています。2010年へ向けた成長ビジョンに新製品売上高比率30%を掲げ、 「自動車」 「エレクトロニク ス」 「エネルギー」の3分野に重点をおいて新製品の創出を進めています。 研究開発分野事例 分野 自動車 環境キーワード 排気ガス規制 エレクトロニクス エネルギー 研究開発分野 排気ガス浄化部材 軽量化 軽合金材料、薄肉鋳造技術 by wire化 小型高性能アクチュエーター用磁石 燃料電池自動車 燃料電池用材料・部品 ハイブリッド・電気自動車 モーター用磁石、実装材料、パワーマグネティックス 高効率化・小型軽量化 通信モジュール EMC*1 EMC用部品、磁気シールド材 環境負荷物質 環境負荷物質フリー部材 温室効果ガス 電力損失低減変圧器アモルファス金属材料、CO2フリ−発電に貢献する材料開発 燃料電池 燃料電池用金属部材 コジェネレーション 耐熱金属材料、パワーマグネティックス *1 EMC:Electro-Magnetic Compatibility、電磁環境両立性 環境適合製品の拡大 日立金属グループでは、製品の環境負荷を小さくするために、 「環境適合設計アセスメン ト」を導入して製品の設計・開発を行っています。製品の全ライフサイクルを考慮した8 つの項目を評価し、 評価点が基準を満たした製品を環境適合製品として認定しています。 2008年度の環境適合製品売上高比率は81.5%となり、2010年度の目標80%を前 環境適合製品拡大計画 日立金属グループ (国内) 売上高比率 % 100.0 日立金属グループ (グローバル) 倒しで達成しました。海外グループ会社も含めた新たな目標値、2010年度の環境適合 81.5% 製品売上高比率85%を設定し、活動を加速していきます。 80.0 73.6% 69.1% 環境適合設計アセスメント 評価項目 61.6% 評価ポイント 製造段階での環境配慮(化学物質) グリーン調達、化学物質管理の徹底、化学物質リスクの低減 製造段階での環境配慮(省エネルギー) 生産性向上、省エネ設備の導入、エネルギー転換 製造段階での環境配慮(省資源) 再生資源の利用、排出物の再資源化、排出物の発生量低減 製造段階での環境配慮(公害対策) 工場近隣に対する環境負荷の低減 製品における環境配慮(化学物質) 有害物質の不含有、化学物質リスクの低減 製品における環境配慮(省エネルギーなど) 高効率化、低エミッション性、高付加価値化 製品における環境配慮(省資源) 軽量・小型化などの単位資源あたりの機能性 販売・流通および製品廃棄の段階における環境配慮 環境情報の提供、梱包材、輸送負荷、処理分解性 39 計画 60.0 51.6% 計画 85% 80% 40.0 20.0 0.0 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 実績 実績 実績 実績 実績 計画 計画 環 境 性 報 告 Environmental Report 展示会への参加 各種の展示会へ参画し、日立金属グループの環境配慮に優れた技術や製品の紹介を行っています。 日立金属グループの製品が社会の環境負荷低減に貢献していることを理解していただけるよう努めています。 2008年 4月16日∼18日 TECHNO-FRONTIER 2008 第21回EMC・ノイズ対策技術展(幕張) 2008年 4月16日∼18日 TECHNO-FRONTIER 2008 第26回モータ技術展(幕張) 2008年 4月17日∼20日 INTERMOLD 2008 金型展2008(大阪) 2008年 4月23日∼25日 センサエキスポ ジャパン2008(東京) 2008年 5月29日∼30日 環境・エネルギー材料研究展(東京) 2008年 6月11日∼13日 Display Taiwan 2008 第10回Flat Panel Display Exposition(台湾、台北) 2008年 7月30日∼8月1日 第19回マイクロマシン/MEMS展(東京) 2008年 7月30日∼8月1日 PV Japan 2008(東京) 2008年 8月8日∼8月9日 みらい市2008(東京) 2008年 9月30日∼10月4日 CEATEC JAPAN 2008(幕張) 2008年 10月2日∼4日 第27回管工機材・設備総合展(名古屋) 2008年 10月14日∼17日 国際情報ディスプレイ展2008(韓国、 コヤン) 2008年 10月22日∼23日 Advanced Manufacturing and Technology Show(アメリカ、 オハイオ) 2008年 10月22日∼24日 第40回管工機材・設備総合展(東京) 2008年 10月29日∼31日 FPDインターナショナル2008(横浜) 2008年 10月30日∼11月4日 JIMTOF2008 第24回日本国際工作機械見本市(東京) 2008年 11月6日∼8日 2008 日本ダイカスト会議・展示会(横浜) 2008年 11月7日∼11日 国際プラスチックフェア 2008(幕張) 2008年 12月3日∼5日 セミコン・ジャパン2008(幕張) 2008年 12月11日∼13日 エコプロダクツ2008(東京) 2009年 3月19日∼22日 エコプロダクツ国際展(フィリピン、マニラ) エコプロダクツ2008 40 エコプロダクツ国際展 環 境 性 報 告 Environmental Report 日立金属グループは、省エネルギー・省資源、地球温暖化防止、有害物質の削減など、 環境負荷を低減する製品を社会に提供し、循環型社会の構築へ貢献することをめざしています。 ネオジム(Nd)系焼結磁石 NEOMAX® 日立金属が世界に先駆けて開発量産した、高性能Nd系焼結磁石です。*1 *2 ニーズに応じた幅広い製品ラインアップ モーターの小型化・高効率化に寄与 エアコンのコンプレッサーモーター、 ハイブリッド自動車の駆動用モーター、 ハードディスクのヘッド駆動用モーターなどに採用され、モーターの小型 化・高効率化に貢献。 多方面で省エネに貢献 コストパフォーマンスに優れた通常材、超高性能のHILOP®、 ラジアル異方 性リング磁石、極異方性リング磁石など、幅広い製品ラインアップと用途に 応じた表面処理技術により、 さまざまな分野に採用。 *1:開発当時は住友特殊金属(株)2007年4月、日立金属(株)に事業統合 *2:実験室レベルで最大エネルギー積474KJ/m3(59.5NGOe)の世界記録を達成 (2008年8月、日立金属(株)調査による) アモルファス金属材料 - Metglas®*1 SA1 CO2排出量削減に寄与するアモルファス金属材料 DC B-H Loop の比較 主な特長 *2 ●変圧器における無負荷損が、方向性電磁鋼板に比べ約1/3。 Metglas® 2605SA1 M-3 Grain Oriented Si Steel ●優れた溶解・鋳造技術により、高信頼性アモファス広幅薄帯の量産を実現。 アモルファス金属材料とは何か? Metglas®はアモルファス(非晶質)であり、 規則性のないランダムな原子配列を有する。 ●結晶磁気異方性がない ⇒スムーズに磁化できる ⇒ 優れた軟磁性 (磁化した時=磁区の動きが容易) ●熱処理で磁気特性の方向性を制御できる *1:Metglas®はMetglas社の登録商標です。 *2:中部電力 技術開発ニュース No.129/2008-1による http://www.chuden.co.jp/torikumi/study/library/news/pdf/list129/N12913.pdf 41 アモルファス金属材料 環 境 性 報 告 Environmental Report 排気系部品用 耐熱鋳鋼 ハーキュナイト *1-S ® 自動車用エンジンの燃費改善のため、排出ガス温度は上昇しています。 ® ハーキュナイト -Sは、最高1050℃まで適応でき、地球環境に貢献します。 高排出ガス温度対応の耐熱材料 HERCUNITE®-S HERCUNITE®-A3N ハーキュナイト®−Sは、自動車排気系部品材であるハーキュナ 価 格 指 標 イト®シリーズの中で、最高の耐熱性を持つ耐熱鋳鋼です。優れ た耐酸化性、耐熱変形性および耐熱き裂性を有します。 HERCUNITE®-5S (Niresist D5S) HERCUNITE®-A4N ® HERCUNITE®-A3N HERCUNITE -A3K HERCUNITE®-F5N HERCUNITE®-2 (Niresist D2) HERCUNITE®-MX HiSiNo-DCI cast iron) エンジンの小型軽量化に貢献 (Ductile 600 独自開発した減圧薄肉鋳造技術により、当社従来品比約30%の 700 ガソリン 排出ガス温度 ≦1,050 ℃ ディーゼル 排出ガス温度 ≦850 ℃ 価格指標はNi等レアメタルの 価格にリンクします。 800 900 メタル表面温度(℃) ハーキュナイト®製品 1,000 1,100 排気系部品耐熱材料 軽量化を実現させ、高品位なエキゾーストマニホールドやターボ チャージャー用ハウジングなどを提供しています。 製品設計から評価まで対応 エンジンの設計要件に対して、材料・形状提案、試作、実体評価 まで、最適設計を短納期でお手伝いします。 *1:ハーキュナイト®:HERCUNITE®(Heat Resistant Cast Materials for Unit of Exhaust parts) 製品モデル設計 実体熱疲労試験(排気シミュレータ) CVTベルト用リング材 低燃費でCO2削減に貢献するCVT用に開発された、 CVTベルトの構造図 繰り返し曲げ疲労強度 疲労強度の優れた金属製ベルト材です。 疲労特性向上により、 リング ベルトの枚数低減可能性あり エレメント *2 約7%の燃費向上を実現するCVT 本開発材 負 荷 応 力 ギヤを使わず、無段階に自動変速が可能なCVT。結果、自動車 従来材 の低燃費化を進め、CO2の排出を抑制。 介在物による破断 リングベルト 高信頼性で、CVTの普及に貢献 卓越した溶解技術と冷間圧延技術により、 破断の原因となる非金 属介在物や表面欠陥を無害化。国内製造のCVTベルト用リング 材において圧倒的シェア。 (2009年3月時点) 107 Fig. Schematic view of CVT belt 繰り返し回数 Fig. Schematic S-N curves of fatigue strength 微細化された 非金属介在物 (窒化物) Fig. Refined *2:CVT(Continuously Variable Transmission)無段変速機 nonmetallic inclusion(Nitride) 本開発材 Developed material 通常材(同倍率)Conventional material ●精錬技術により、1桁小さいTiNサイズを実現 ●リングベルトの枚数低減により、 コスト削減 42 環 境 性 報 告 Environmental Report エコファクトリー 日立金属グループ(海外を含む) 2008年度 マテリアルバランス INPUT マテリアルバランス 主原料の投入 2008年度の日立金属グループの生産 559千t 段階におけるマテリアルバランスを図示 します。日立金属グループは、 資源を効率 的に最大限活用することをめざし、主原 料やエネルギーのインプット量の削減、 エネルギーの投入 および、排水や有害物質、廃棄物などの 環境への排出・移動量の削減に取り組ん 579,311kr原油 水資源の投入 13,088千m3 でいます。 製品 日立金属 グループ リ サ イ ク ル 高級金属製品 電子・情報部品 高級機能部品 リ ユ ー ス 再資源化量 排出物の移動(廃棄物など) 272千t *3 環境負荷物質 の 排出・移動 最終処分量 大気への排出 水域への排出 CO2 1,209千t SOx 109t NOx 236t 総排水量 12,601千m3 315千t 排出 285t 移動 489t BOD*1 COD*2 39千t OUTPUT *1:生物化学的酸素要求量のこと。 *2:化学的酸素要求量のこと。 *3:PRTR対象物質としています。 (P.43 「環境負荷物質の低減」をご覧ください。) (P.46「環境負荷物質の低減」をご覧ください。) 43 135t 140t 環 境 性 報 告 Environmental Report エコファクトリー 日立金属グループでは、すべての製造事業所が環境に配慮した「エコファクトリー」をめざして、 地球温暖化防止や廃棄物の削減、化学物質の適正な管理などに取り組んでいます。 当社グループは素材メーカーであり、大量のエネルギー消費、資源の投入、化学物質の使用は避けられるものではありません。 このように事業活動による環境への影響が小さくない当社グループにとって、 「エコファクトリー」の取り組みを継続的に推進することは企業の社会的責任と考えています。 地球温暖化防止 地球温暖化防止ビジョン 日立金属グループは、素材メーカーであり製造段階で多くのエネルギーを使用します。このため、地球温暖化防止を経営上の重要課題 として位置付け 、中長期目標を掲げ、 プロジェクト活動等を中心に省エネルギー施策の推進およびCO2排出量の削減に努めています。 日立金属グループでは、2010年度の目標を下記のように設定しています。 この目標を達成するため、 「省エネルギーロードマップ」を策定し、CO2削減活動を展開しています。 展開のポイント ●省エネルギー設備の導入・改善 ●工程改善、生産効率の向上 ●熱の有効利用(溶解炉・熱処理炉等) ●製造現場における設備管理の強化 ●製品歩留りの向上 また、再生可能エネルギー(太陽光発電)の導入や物流の省エネルギーにも取り組み、地球温暖化防止を積極的に推進しています。 環境中期行動計画での2010年度目標 * 2008年度の実績 ① CO2排出量を10%削減(1990年度基準) (1990実績1,000千t-CO2、2010目標900千t-CO2以下) (1990比−14.6%) ① CO2排出量 854千t-CO2(1990比−15.6%) ② 売上高エネルギー原単位:1.061(1990比−15.3%) (1990年度対比 16.6%削減) ② 売上高エネルギー原単位を10%削減(1990年度基準) (1990実績1.252、2010目標1.126以下) *目標の対象サイト:国内の第一種エネルギー管理指定工場(国内CO2排出量の約97%) CO2排出量、売上高エネルギー原単位の推移 日立金属グループのCO2排出量は2008年度実績で国内対象サイト * で854千t-CO2、海外グループ他で403千t-CO2 でした。 国内グループでは1990年度比14.6%削減しています。この排出量 国内グループ会社CO2排出量 海外グループ会社他CO2排出量 日立金属単独CO2排出量 CO2排出量 CO2排出量目標 (千t-CO2/年) (国内グループ) 1.4 1.252 また、売上高エネルギー原単位は2008年度実績1.061であり、 中長期目標 1.242 1,200 1.145 374 産業構造審議会での予測値(0.36t-CO2/MWh)を使用した場合の 削減量は、1990年度比28.9%削減となります。 売上高エネルギー原単位 1,400 は2006年4月に改正された地球温暖化対策法に基づき、電力会社 ごとのCO2排出係数を用いて算出したものです。従来の経済産業省 売上高エネルギー原単位(国内) 361 1,000 1.126 1.126 1.2 1.044 1.061 412 1.0 403 179 175 800 171 170 124 177 174 0.8 1990年度比で15.3%低減しました。 2008年度の主な省エネ施策は、溶解効率向上、生産性向上、アモル 0.6 600 ファストランスの導入などです。 *海外グループと国内第一種エネルギー管理指定工場以外のCO2排出量の合計。 400 821 749 759 767 730 727 0.4 725 0.2 200 0 44 90年度 05年度 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 0 環 境 性 報 告 Environmental Report 日立金属グループ省エネルギー部会構成図 CO2削減の推進体制 CO2削減事前検討プロジェクト 2008年度よりCO2排出量削減を経営の重要課題として、新中期経営計 経営企画室、技術センター 画の1つの柱に盛り込み、経営企画室、技術センターと第一種エネルギー 省エネルギー部会委員 管理指定工場で「CO2削減事前検討プロジェクト」を組織しています。こ のプロジェクトを中心に各工場の省エネルギー技術の水平展開および省 エネルギー中期計画目標の達成に向けた具体的行動計画の策定と実施 【第一種エネルギー管理指定工場】 日立金属(株)の各工場、 (株)日立金属若松、 (株)日立メタルプレシジョン、 (株)安来製作所、 日立ツール(株)、 (株)セイタン、東洋精箔・ (株)、 (株)NEOMAXマテリアル、 (株)NEOMAX近畿、 (株)NEOMAX九州 を、経営的判断を交じえながら推進中です。 九州工場 平成20年度省エネルギー優良工場 九州経済産業局長表彰 九州工場が平成20年度エネルギー管理優良工場として九州経済産業局長賞を受賞しました。この賞は、 「エネルギーの使用の合理化を図り燃料資源の有効な利用の確保に資するため、エネルギー管理の推進 に不断の努力を重ね、その成果が大であり、ほかの模範となる工場及び事業所に対し贈られる賞」というも のです。今回、九州地区では、九州工場を含め5工場が受賞しました。 九州工場の省エネルギー活動として成果があったものは、ヒート ポンプ式空調機導入、インバータ式コンプレッサーの導入、高効率の真空式給湯器の導入、送水ポンプ のインバータ化、 焼成炉の運転条件見直しと改善による燃料削減などで、これらの施策により年間約 1,100トンのCO2削減ができました。 輸送の環境負荷低減 原単位 CO2排出量 日立金属グループでは輸送における環境負荷も重要な環境項目と位置づけ、モーダルシフトや積 (t-CO2) (kg-CO2/トンキロ) 0.2 50,000 載率の向上など、輸送の環境負荷低減にも取り組んでいます。 2006年度の省エネ法の改正より、荷主に対する輸送の環境負荷低減として、製品の出荷および 半製品や廃棄物の移動に伴う環境負荷を把握し、その削減に取り組んでいます。 (日立金属(株) は特定荷主として法的な適用を受けています)2008年度の日立金属グループの国内の輸送負 荷量は196,429千トンキロと昨年度より17%減少しました。これは主に生産量減による減少で す。輸送に伴うCO2排出量は28千t-CO2と昨年度より18%削減し、原単位でも1.1%改善しまし た。主な輸送負荷の削減施策は、積載率の向上と出荷便数の削減、モーダルシフト(トラックを鉄 道便に変更)、輸送距離の短縮などでした。今後とも、輸送負荷のデータ把握をより精度よく取る とともに、削減計画を立案し、輸送の環境負荷低減についてよりいっそう進めていきます。 40,000 0.15 輸 送 に 30,000 よ る 2 CO の 排 20,000 出 量 0.1 CO2 排 出 量 原 単 位 0.05 10,000 0 06年度 07年度 08年度 0 輸送によるCO2排出量と CO2排出量原単位の推移(国内) 廃棄物の削減 廃棄物削減のビジョン 廃棄物の不法投棄、不正処理が絶えない今日、適正な処理・処分がより強く求められています。また、本年3月に閣議決定された第2次循 環型社会形成推進基本計画では 「資源生産性」 「 、循環利用率」 「 、最終処分量」の数値目標の強化が掲げられました。 日立金属グループでは、 事業活動により、 多くの排出物を発生していますが、 排出物を単に廃棄物として処分するのではなく、 循環型社会の 形成へ向け、 3R (リデュース [減容化・発生抑制] 、 リユース [再使用] 、 リサイクル[再利用] ) を推進することにより、 最終処分量を削減し、 ゼロ * 2003年 目 標 2004年 2005年 2006年 再資源化率 95% 2007年 2008年 再資源化率 98% ∼2010年度 再資源化活動に取り組んでいます。 再資源化率 99% 日立金属グループでは、 『ゼロエミッ ・鉱さい(スラグ、鋳物砂など)、陶磁器くずの分別による路盤材化、 セメント原料化、土木材料化 ・鋳物砂の社内再使用およびセメント原料化 施 策 ・再生砂安定化、設備改善、工程変更などによる鋳物砂排出量の削減 ・再資源化阻害物質の廃止、除去による再資源化 ・乾燥などによる汚泥の減容化 ・汚泥の乾燥などによる再資源化 ・長寿命化、減容処理などによる廃油排出量の削減 ・調達品の梱包形態見直しによる排出量削減 ・溶融化による資源回収 ・再資源化阻害物質の廃止、除去による資源回収 ・製品回収 リデュース、 リユース、 リサイクルによる排出・処分量削減と(3R)質の向上 3R部会 45 エミッション をめざした廃棄物削減・ ションを2010年度に達成する』 ことを ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン 達 成 目標に掲げ、 中期計画として、2010年 度までに再資源化率を99%以上を めざし、廃棄物の削減・再資源化の活 動を推進しています。 *ゼロエミッション:最終処分量が総排出量の 1%以下としています。 環 境 性 報 告 Environmental Report t/年 再資源化率 % 96.6 97.3 400,000 94.3 94.2 最終処分量 海外グループ会社 国内グループ会社 100 日立金属単独 再資源化量 物 の 総 排 出 量は約 2 4 0 千トンで、再 資 源 化 量は約 日立金属単独 75 総排出量 日立金属グループ(国内)の2008年度における廃棄 海外グループ会社 国内グループ会社 300,000 廃棄物の実績 海外グループ会社 229千トン、最終処分量は約8千トンであり、再資源化 率は96.6%となりました。また、21の事業所がゼロエ ミッションを達成しました。 国内グループ会社 日立金属単独 200,000 50 再資源化率 日立金属グループ (国内) 2008年度は目標未達となりましたが、路盤材などの 需要低下に伴い最終処分量が増加したためです。今後 はこうした再資源化用途に変わる施策を検討し、安定 的な資源化への取り組みが必要と考えています。 25 100,000 再資源化の用途としては、スラグの路盤材やコンクリート骨材への利用、鋳 物砂の自社内再使用などがあります。コバルト、 クロム、 タングステンなどを 0 2005 2006 2007 2008 年度 年度 年度 年度 含むダスト類は、再度、社内で特殊鋼原料として再利用しています。また、ニ 0 ッケルなどを含むダスト類は、 社外で特殊鋼原料として再利用されています。 総排出量・最終処分量の内訳(日立金属グループ) 3.1% 2.8% 2.2% 1.9% 0.1% 1.0 % ゼロエミッションをめざした取り組み 日立金属は1979年度から全社プロジェクトとして、鋳物砂の再生、鋳物ダ スト・廃砂の道路用材への再利用を開始するなど、早くから廃棄物の削減・ 再資源化に取り組んできました。現在は、環境委員会のもとに設置された 38.0% 43.0% 総排出量 240千t 「3R部会」を中心に、 ゼロエミッションをめざした活動へと拡大しています。 24.1% 最終処分量 8千t 42.7% 2008年度以降も、ゼロエミッション達成のために、最終処分量の多い「鉱 さい」 「ばいじん」 「汚泥」の再資源化に注力します。 1.4% 6.5% 25.2% 4.9% 2.0% 鉱さい ばいじん 汚泥 ガラス・陶磁器 PRTR対象物質の取扱状況(国内グループ) 1.1% 廃プラスチック 廃油 金属屑 その他 消費量と排出・移動量 取扱量の内訳 取扱量:40,617t 排出量:278t 消費量:39,947t 移動量:392t ※消費量には副産物の有価売却量を含む 排出 0.7% 移動 1.0% 環境負荷物質の低減 PRTR*1 のうち、98.9%が製品の主原料であるクロム、ニッケ ほう素およびその化合物 0.2% その他 1.1% モリブデン および その化合物 4.8% マンガン および その化合物 5.8% 取扱量 40,617t 国内グループにおいては、PRTR対象物質の取扱量 コバルトおよびその化合物 2.3% クロムおよび 3価クロム 化合物 33.6% 消費 ニッケル、 ニッケル化合物 52.2% 98.3% ル、 コバルト、マンガン、モリブデン、ほう素の6物質か ら成り、移動量の85.8%もこれら6物質で占められて います。それに対し、排出量の85.6%を占める大気 への放出のうち、 98.1%がVOC(揮発性有機化合物) であるトルエン、キシレン、エチルベンゼンの3物質で 占められています。 *1:PRTR(Pollutant Release and Transfer Register) 特定有害化学物質について、環境中への排出量および廃棄物など への移動量を集計・報告・公表する制度のこと。 排出・移動量の内訳 廃棄物 その他 16.1% エチルベンゼン コバルトおよび その化合物 2.8% モリブデンおよび その化合物 54.6% その他 1.9% マンガン および その化合物 31.3% 排出量 移動量 278t 392t 4.0% 5.8% 下水道 0.0% 6.3% トルエン 0.6% ほう素および その化合物 ニッケル、 ニッケル化合物 46 大気 85.6% 100% キシレン 37.3% 公共水域 1.0% 土壌 クロムおよび 3価クロム化合物 40.1% 0.0% 場内埋立処分 13.4% 環 境 性 報 告 Environmental Report PRTRデータ 政令 番号 (単位:kg/年) 化学物質名 CAS番号 大気への 排出 取扱量 当該事業所 当該事業所 当該事業所 公共用水域 下水道への における における 排出量合計 の外への 移動量合計 への排出 移動 土壌への排出 埋立処分 移動 30 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 25068-38-6 37,225 0 0 0 0 0 0 1,046 1,046 40 エチルベンゼン 100-41-4 20,150 14,902 0 0 0 14,902 0 1,919 1,919 63 キシレン − 137,669 88,880 0 0 0 88,880 0 23,684 23,684 64 − 38,945 3 0 0 0 3 0 1 1 − 13,627,180 7 21 0 11,819 11,847 0 157,288 157,288 1,314 銀およびその水溶性化合物 68 クロムおよび3価クロム化合物 − 949,918 3 2 0 0 5 0 1,314 108 100 コバルトおよびその化合物 無機シアン化合物(錯塩およびシアン酸塩を除く) − 3,190 0 0 0 0 0 0 0 0 198 ヘキサメチレンテトラミン 100-97-0 6,608 0 0 0 0 0 0 0 0 224 1,3,5-トリメチルベンゼン 108-67-8 227 トルエン 108-88-3 230 − 鉛およびその化合物 2,734 165,085 2,199 0 0 0 2,199 0 534 534 129,988 0 0 0 129,988 0 19,672 19,672 1,1310 0 0 0 0 0 0 7 7 21,112,853 132 0 0 0 132 1 15,445 15,446 − 109,180 26 545 0 5,067 5,639 15 8,452 8,466 − 7,202 0 0 0 0 0 0 7,202 7,202 266 フェノール 108-95-2 3,876 112 0 0 0 112 0 0 0 299 71-43-2 1,499 1 0 0 0 1 0 0 0 76,386 0 1,657 0 1,559 3,216 10 8,685 8,695 1,027 231 ニッケル 7440-02-0 232 ニッケル化合物 243 バリウムおよびその水溶性化合物 ベンゼン 304 ほう素およびその化合物 − 308 ポリ (オキシエチレン) =オクチルフェニルエーテル 9036-19-5 1,036 0 0 0 0 0 0 1,027 310 ホルムアルデヒド 50-00-0 3,133 1,977 0 0 0 1,977 0 768 768 311 マンガンおよびその化合物 − 2,338,122 54 508 0 18,112 18,674 19 122,610 122,629 346 モリブデンおよびその化合物 − 1,963,719 3 0 0 780 783 0 22,586 22,586 40,617,021 238,288 2,733 0 37,337 278,358 45 392,241 392,286 *取扱量が1t/年以上の物質(群)を掲載しています。 VOC(揮発性有機化合物)排出量の削減 VOC(揮発性有機化合物)排出量の削減 日立金属グループでは2010年度に2000年度対比30%削減 VOC排出量(t) 00年度対比削減率(%) 1,200 を目標とし、VOC排出量の削減対策に取り組んでいます。 20.1 日立金属グループのVOC排出のうち約65%は製品塗装用の 溶剤成分です。 これまでに塗料代替に向け、技術検討および設備 対応に取り組んできました。2008年度のVOCの大気への排出 量は、2000年度対比27.4%削減されています。 1,000 27.4 30.0 30 20 800 10 600 0 VOC排出量 (海外) VOC排出量 (国内) 00年度対比 削減率 400 200 0 00年度 実績 05年度 06年度 07年度 08年度 実績 実績 実績 実績 10年度 計画 *2008年度に集計 範囲の見直しを実 施しました。 有害大気汚染物質の対策 安来工場では有害大気汚染物質のニッケル化合物排出量削減について取り組んでいます。 * 平成15年にニッケル化合物の指針値「年平均25ng/m3」)が制定されたことを受け、行政と「安来地域有害大気汚染物質対策合同検 討会」を定期に開催し、ニッケル化合物排出抑制のための施策などについて情報交換および指導を受けながら既設施設の改善、新規設 備導入などの有効な施策を検討し計画を着実に進めています。 平成20年度は溶解棟の建屋集塵機を増設しました。今後、その有効性を定期測定により検証していきます。 *指針値について:環境中の有害大気汚染物質による健康リスク低減を図るための指針となる数値であり、環境基準とは異なり、評価にあたってたての指標や事業者による排出抑制 努力目標となる。 47 環 境 性 報 告 Environmental Report サイトデータ 2008年度 日立金属グループ 主要製造拠点における マテリアルフロー INPUT 鉄 九州工場(含む(株)九州テクノメタル) 酸化鉄 アルミ材 樹脂類 その他 補助材料 エネルギー使用量 用水 排出物 CO2 SOx z NOx z COD z BOD z [t/年] [原油kr/年] [千m3/年] [t/年] [t/年] [t/年] [t/年] [t/年] [t/年] 排水 [千m3/年] 3,288 0 0 0 1,615 10,511 15,794 102 14,970 25,493 0.0 0.1 0.3 − 102 真岡工場(含む(株)真岡テクノス) 43,550 0 3,240 0 613 10,481 34,057 588 27,168 60,014 − 8.4 − 0.4 588 桑名工場 11,225 0 0 4,521 944 3,163 18,013 711 13,165 42,603 1.4 7.8 − − 711 安来工場 122,799 0 366 0 28,254 39,362 166,517 6,170 68,393 397,671 91.7 149.6 14.7 − 6,170 熊谷工場 0 0 23,891 0 1,033 767 21,538 268 19,166 39,584 0.6 11.7 − 6.3 768 鳥取工場 0 192 0 0 76 1,135 7,475 87 298 16,477 − − − 0.1 87 OEデバイスセンター 0 0 2 1 10 580 3,168 94 147 5,414 − − − 0.1 94 熊谷製作所 0 8,240 0 0 2,942 1,149 26,631 574 8,734 46,964 2.8 − − − 0 和歌山製作所 0 0 0 0 1,069 1,936 3,962 35 83 5,874 0.2 1.3 − − 35 佐賀製作所 2,319 3 0 0 0 1,612 3,946 37 369 6,075 − − − − 37 山崎管理部 0 820 0 0 54 966 4,820 70 510 7,360 − 1.7 − 0.4 42 日立ツール(株)成田工場 15 0 0 0 259 790 3,908 26 1,333 6,641 − − − − 26 日立ツール(株)野洲工場 118 0 0 0 47 170 4,054 24 499 5,887 − − − 90.7 24 日立ツール(株)魚津工場 12 0 0 0 6 23 1,069 23 20 2,286 − − 0.0 − 23 15,810 0 1,601 0 888 53 1,479 1 258 2,441 − − − − 0 0 0 0 0 0 4,587 11,720 19 2,310 26,621 0.7 1.9 6.2 − 19 1,593 0 17 0 1,184 4,831 7,110 11 4,687 16,005 − − 0.0 − 26,263 0 0 0 0 35 6,669 1,426 6,182 13,572 4.2 3.8 − 2.7 日立機材(株) (株)安来製作所 (株)日立メタルプレシジョン (株)セイタン 日立バルブ(株) (株)日立金属若松 (株)NEOMAXマテリアル 4,942 0 17 0 29 77 787 5 498 1,479 36,201 0 0 0 1,765 5,857 34,453 197 60,492 59,803 11 − − − − 0.0 12.0 − 0.0 1,426 5 197 1,071 0 20 0 3,920 1,752 7,883 171 5,1429 11,638 − 0.4 − 1.0 171 (株)NEOMAX近畿 0 0 0 0 2,419 7,158 14,662 253 2,223 21,399 0.1 0.3 − 0.6 253 (株)NEOMAX鹿児島 0 0 0 0 120 1,093 1,795 70 257 2,804 − − − 1.6 70 (株)NEOMAX九州 0 4,507 0 0 1,817 378 8,531 45 1,403 14,164 − 4.7 − − 45 東洋精箔・ (株)秋田工場 2,554 0 0 0 56 664 3,486 51 904 8,280 0.7 14.2 − 0.0 51 東洋精箔・ (株)新潟工場 285 0 0 0 55 188 451 41 141 824 − − − 2.0 40 実績 規制値 実績 − 2008年度 日立金属グループ 主要製造拠点における 大気・水質データ 大気 x 区 分 設備名 SOx[Nm3/h] 水質 ばいじん[g/Nm3] NOx[ppm] 規制値 実績 規制値 実績 規制値 SS[mg/r] pH 実績 規制値 実績 規制値 COD[mg/r] 実績 規制値 BOD[mg/r] 九州工場 焼成炉 − − 180 23 0.1 0.001 5.8∼8.6 7.8 50 2.0 15 3.7 − 真岡工場 溶解炉 − − 180 69 0.2 0.0125 5.8∼8.6 6.4 25 2.9 − − 25 0.6 桑名工場 c 焼鈍炉 2.27 0.10 180 67 0.25 ND v 5.8∼8.6 7.8 25 25 4.0 − − 安来工場 加熱炉 4.9 0.093 180 68 0.2 0.0029 5.8∼8.6 7.7 150 1.8 120 7.8 − − 熊谷工場 溶解炉 2.5 0.0045 180 52 0.2 0.0047 5.8∼8.6 7.6 60 6.0 − − 25 8.7 鳥取工場 − − − − − − − 5.8∼8.6 7.2 200 1.7 − − 160 4.1 OEデバイスセンター − − − − − − − 5.8∼8.6 7.5 50 1.6 − − 25 4.1 − − 0.4 0.025 − − − − − − − − 150 91.5 0.1 0.001 6.0∼8.5 7.4 − − − − − − 熊谷製作所 和歌山製作所 c 佐賀製作所 c 山崎管理部 焼成炉 小型ボイラー 3.73 0.0075 0.1 0.015 − − − − ボイラー − − 150 − − 29 0.1 .− 0.0052 6.1∼8.3 8.0 40 5.7∼8.7 7.1 300 ND 1.3 ND − − 15 0.6 − − 300 4.8 日立ツール(株)成田工場 c − − − − − − − 5.8∼8.6 7.6 70 1.8 − − 25 7.6 日立ツール(株)野洲工場 − − − − − − − 5.0∼9.0 7.3 600 32.9 − − 600 90.7 6.9 200 − 日立ツール(株)魚津工場 − − − − − − − 5.8∼8.6 日立機材(株) − − − − − − − − (株)安来製作所 加熱炉 0.001 180 60 0.2 0.0013 5.8∼8.6 (株)日立メタルプレシジョン (株)セイタン 日立バルブ(株)c (株)日立金属若松 (株)NEOMAXマテリアル (株)NEOMAX近畿 (株)NEOMAX鹿児島 (株)NEOMAX九州 c 19.06 − − − − 加熱炉 − − 180 − − − − 熱処理炉 − − 200 真空溶解炉 − − − 焼結炉 1.75 ND 180 − − − − − 36 − 29 − 0.8 − − − − 1.0 − − − − 7.3 30 4.1 20 8.3 − − 2.7 160 − − 5.8∼8.6 7.2 150 0.01 5.8∼8.6 6.8 90 − − 5.8∼8.6 7.6 100 5.0 0.20 ND 160 3.7 − − − 25 1.9 100 17.0 − − 0.25 0.004 5.0∼9.0 7.0 600 18.0 − − 600 26.0 − 0.1 0.0088 5.7∼8.7 7.3 300 2.3 − − 300 5.1 ND 0.2 0.001 5.8∼8.6 7.3 60 0.8 − − 25 2.1 − − − 5.0∼9.0 7.4 300 18.2 − − 600 23.0 14.0 焼結炉 9.68 0.098 220 74 0.15 0.013 6.4∼7.7 7.4 150 3.0 − − 130 東洋精箔・ (株)秋田工場 自家発電機 1.87 0.01 950 650 0.1 0.022 5.8∼8.6 7.5 120 1.0 − − 60 1.0 東洋精箔・ (株)新潟工場 − − − − − 5.8∼8.6 7.0 90 − − 60 2.0 z 大気汚染防止法、水質汚濁防止法、下水道法の対象施設の実測値により算出しています。 x 代表的な特定施設における規制値および実績値を記載しています。 48 OUTPUT 主原料[t/年] 区 分 − − c 排水の規制値がないため、自主基準値を記載しています。 v ND:not detected(定量下限未満) ND 第三者意見 法政大学 人間環境学部・同大学院 環境マネジメント研究科 教授 堀内 行蔵(ほりうち・こうぞう) 現在、日本の産業は大きなトレンド変化の渦中にあります。2008 ます。営利追求の傾向が強まり、そのバランスが崩れると、持続的 年後半の金融危機に端を発した世界同時不況は、100年に1度の な経営はむずかしくなります。この問題は、組織文化と関連します 出来事といわれており、産業界に大きな打撃を与えています。さら が、今回のコンプライアンス問題を通して、バランスの維持が図ら に、地球温暖化などの環境問題は、産業革命がもたらした石油文明 れることを期待します。コンプライアンス問題はCSR経営の基礎 の終焉を告げるものであり、先進国の産業に300年に1度の大転 であり、その上に、参加、 ワークライフ・バランス、創造性などの視点 換を迫っています。日本の産業は、100年に1度の問題を300年 に配慮して、従業員の生きがいの向上をめざすように一層努力して に1度の大転換によって乗り越えなければならないのです。これが いただきたいと考えます。 現在直面する最大の課題であり、先進国の企業にとって持続可能 日立金属は、経営理念にあるように、 「 技術に精進する」モノづくり な経営が問われています。 の会社です。この点で、300年に1度の大転換に対し、環境技術の 持続可能な経営とは、収益を確保することに加え、地球環境問題の 開発によって業界をリードしているといえます。CSR報告書にも省 解決に役立つこと、社会的に正しいことを行うことを意味していま 資源・省エネ、温暖化防止、有害物資の削減などの分野で、 イノベー す。この観点から、CSR(企業の社会的責任)が大きな課題となっ ションを進めている事例が報告されています。自動車、エレクトロ ています。企業では、競争戦略としてCSR経営を行っているケース ニクス、エネルギー向けのエコプロダクツが開発されています。社 がありますが、 さらに一歩進めて、理念を重視してCSR経営を行っ 会のニーズに企業活動のベクトルが一致すると、モノづくりの精神 ているケースがあります。日立金属のCSR報告書では、 トップメッ は一層高揚されるでしょう。 セージに、 「 高い倫理観」と「自己規律」が明記されていて、理念重 地球環境問題は、相互依存の関係にあります。工学的にある問題を 視の姿勢が明確に表現されています。 解決しても、それが新しい環境問題を引き起こすことが考えられま 日本企業のCSRは、法令遵守に重点が置かれています。日立金属 す。物質循環の視点から考えて、動脈産業と静脈産業を結びつける は、独占禁止法違反の問題が発覚して以降、再発防止のため全社的 リサイクルのシステムを構築することが重要になるでしょう。この にコンプライアンスへの取り組みを進めています。企業行動指針を 循環の輪が完成すると、生物多様性の保全にも貢献することになり もとに、国内外の巡回研修を行い、特命監査を実施し、 ホットライン ます。これは1社の活動範囲を超えていますので、関連する業界で を設けるなど、 コンプライアンス制度を充実させ、従業員の意識啓 協調することが必要になるでしょう。日本の先端技術が、世界経済 発に努め、効果を挙げていると評価できます。 の持続可能性に役立つことを期待しています。 企業活動には、 「モノづくり」と「営利追求」という2つの動機があり 当社の回答 代表執行役 執行役専務 吉岡博美 当社では、 ご指摘いただきましたように過去の問題を教訓として、再 品への対応もその一部です。この環境適合製品は究極的には環境 発防止のためのコンプライアンスへの取り組みを継続的に行ってお 問題の重要課題である循環型社会の構築に不可欠であり、当社もそ ります。さらに、 これらの取り組みを再発防止策だけでは終わらせず、 の役割を果たしていくことができると考えています。また、その役割 従業員啓発の機会と捉えて 「日立金属グループ企業行動指針」 を は結果として社会への貢献に繋がるものだと考えています。そのよ ベースとした、 「高い倫理観」と「自己規律」の醸成に努めています。 うな、経営理念を基本にした良き企業文化の承継そのものが「日立 一方、当社は経営理念にある「『最良の会社』を具現して社会に貢献 金属のCSR活動」につながると考え、今後もステークホルダーの皆 する」ため、時代の要請に沿った取り組みを行ってまいりました。社 様と社会の期待に応えていきたいと考えております。 会のニーズに応え、当社グループのモノづくりを通じた環境適合製 49 日立金属株式会社 2009年3月期 財務ハイライト(連結) 売上高 営業利益 当期純利益 設備投資額 研究開発費 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 800,000 70,000 30,000 60,000 14,000 701,075 700,000 646,311 590,678 590,704 600,000 559,540 27,034 59,698 54,722 60,000 50,000 500,000 40,000 25,000 20,000 47,502 40,401 15,000 10,000 17,165 15,218 40,000 10,000 13,283 12,965 13,083 12,054 10,000 100,000 05年 06年 07年 08年 09年 3月 3月 3月 3月 3月 0 05年 06年 07年 08年 09年 3月 3月 3月 3月 3月 -5,000 05年 06年 07年 08年 09年 3月 3月 3月 3月 3月 0 9.7 10.0 6.0 4.0 10,000 △3,016 10.0 6,000 4,000 0 12.0 8.0 5,000 15,058 13.1 8,000 20,000 20,000 200,000 % 14.0 11.7 9,897 36,787 29,640 30,000 25,614 300,000 0 12,000 43,768 400,000 30,000 49,327 50,000 22,062 自己資本利益率(ROE) 2.0 2,000 05年 06年 07年 08年 09年 3月 3月 3月 3月 3月 0 0 05年 06年 07年 08年 09年 3月 3月 3月 3月 3月 -2.0 △1.5 05年 06年 07年 08年 09年 3月 3月 3月 3月 3月 コーポレートデータ 日立金属グループ主要製造拠点(2009年3月末現在) 高級金属製品 高級機能部品 安来工場 九州工場 〒692-8601 島根県安来市安来町2107番地2 TEL (0854) : 22-3501 〒800-0393 福岡県京都郡苅田町長浜町35番地 TEL (093) : 436-2700 (株)日立金属若松 真岡工場 〒808-8558 福岡県北九州市若松区北浜一丁目9番1号 TEL (093) : 761-5131 〒321-4367 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘13番地 TEL (0285) : 80-3111 熊谷工場 電子・情報部品 〒360-8577 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 TEL (048) : 531-1111 鳥取工場 〒689-1121 鳥取県鳥取市南栄町70番地2 TEL (0857) : 53-6000 桑名工場 〒511-8511 三重県桑名市大福2番地 TEL (0594) : 24-2000 OEデバイスセンター/開発センター 〒321-4346 栃木県真岡市松山町18番地 TEL (0285) : 80-0230 熊谷製作所 会社概要 〒360-8577 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 TEL (048) : 531-1200 設 立 1956年(昭和31年)4月10日 資 本 金 26,284百万円(2009年3月末現在) 代 表 者 代表執行役 執行役社長 持田 農夫男 佐賀製作所 〒849-2102 佐賀県杵島郡大町町大字福母282番地 TEL (0952) : 82-2581 従業員数 日立金属グループ連結:18,740名 (2009年3月末現在) 和歌山製作所 〒640-8404 和歌山県和歌山市湊1850番地 TEL (073) : 456-4821 50 事業内容 高級金属製品、電子・情報部品、 高級機能部品の製造と販売、サービス他 グループ会社 75の子会社、11の関連会社 本 社 〒105-8614 東京都港区芝浦一丁目2番1号 シーバンスN館 フリーコール :0800-500-5055 FAX: (03)5765-8311 日立金属グループは、温室ガス排出量6%削減を実現するための 国民的プロジェクト「チームマイナス6%」に参加し、 積極的に取り組んでいます。 日立金属株式会社は、 グリーン購入ネットワーク会員です。 日立金属のCSRへの取り組みに関するご意見・ご感想に対するお問い合わせ先 CSR推進室 〒105-8614 東京都港区芝浦一丁目2番1号 シーバンスN館 TEL: (03)5765-4591 FAX: (03)5765-4597 http://www.hitachi-metals.co.jp/