2012年度 社会・環境報告書 (6.9M)

社会・環境報告書
2012
Social and Environmental Report
ニチコン株式会社
編集にあたって
当社では、2001年から
「環境報告書」を発行
し、2006年から
「社会・環境報告書」
と名称を改め
継続発行しています。
「CSRマネジメント」
「 社会とニチコン」
「 環境と
ニチコン」のパートでは、これまで同様に、基本
姿勢、推進体制を示すとともに、テーマごとの目
標と活動実績・成果、今後の方針について報告し
ています。
本年度は2つの特集を設け、当社の環境先進
技術を活かした取り組みを具体的に紹介してい
ます。
参考にしたガイドライン
「環境報告ガイドライン
(2007年版)
(
」環境省)
「ISO26000」
(社会的責任に関する手引)
対象期間
本報告書は2011年度
(2011年4月1日∼2012
年3月31日)
の活動とその実績を報告するもので
す。ただし、一部、2012年4月以降の活動・実績に
も言及しています。
対象範囲
本報告書では、ニチコン株式会社およびグルー
プ会社のうち、国内でISO14001を認証取得して
いる事業所の環境側面および社会的側面を報告
しています。
<将来に関する予測・予想・計画について>
本報告書には、当社グループの過去と現在の事実だけでなく、将来
に関する予測・予想・計画なども記載しています。これらは、記述した
時点で入手できた情報に基づいた仮定ないし判断であり、不確実性
が含まれています。したがって、将来の事業活動の結果や将来に惹
起する事象が本報告書に記載した予測・予想・計画とは異なったも
のとなる恐れがあります。読者の皆様には、以上をご承知おきくださ
いますようお願い申し上げます。
1
社会・環境報告書
2012
CONTENTS
ごあいさつ
報告組織の概要
3
5
特集
ニチコンの先進技術①
EVパワーステーション
7
ニチコンの先進技術②
ホーム・パワー・ステーション
9
CSR マネジメント
CSR 推進体制と活動計画
コーポレート・ガバナンス
コンプライアンス
リスクマネジメント
11
13
14
15
社会とニチコン
お客様への責任と行動
株主・投資家への責任と行動
取引先様への責任と行動
社会とのコミュニケーション/社会貢献活動
従業員への責任と行動
17
18
19
20
21
環境とニチコン
製品・技術による環境負荷低減
24
25
26
27
28
29
地球との共生を目指した
ニチコンの環境配慮製品
30
環境マネジメントの推進
事業活動に伴う環境負荷データ、環境会計
低炭素社会実現への貢献
廃棄物削減と資源の有効活用
化学物質の適正管理とリスクマネジメント
社会・環境 報 告 書
2012
2
ごあいさつ
社会のニーズに応える高機能なコンデンサの開発と
「創エネ・蓄エネ・省エネ」
製品づくりに努めています。
“真のグローバルプレーヤー”に向けて
グループ一丸となって
「考働」
します
現在、長期化する円高や欧州の財政・金融危機に端を
発した経済環境の悪化によって、世界経済の減速感が
強まっています。その一方で、中国をはじめとする新興国の
経済成長とも相俟って企業間競争の舞台は新興国市場へと
シフトしており、とりわけコスト競争は激化の一途をたどっ
ています。その結果、日本の製造業の競争優位は大きく揺
らぎ、私たち部品メーカーにもその波が押し寄せています。
こうした厳しい状況のなかを勝ち抜いていくためには、
国や地域ごとの生活文化や市場ニーズ、競争相手、生産・
販売方法などのさまざまな相違点を的確に捉え、戦略や
対応をスピーディに最適化することができる“真のグロー
バルプレーヤー”
でなければなりません。
ニチコングループでは“真のグローバルプレーヤー”と
なるべく、従業員一人ひとりが知恵と情熱を結集して
「考働※」
しており、海外での生産体制・販売網の強化をはじめ、国・
地域ごとのコンプライアンスの徹底を図り、
「不良ゼロ」を
方針とする品質管理やグローバル人材の育成などの施策
に強い意志と実行力をもって取り組んでいます。
代表取締役会長
(CEO) 武田 一平(右)
※ 考働:
「しっかり考えて成果のでるように働くこと」
を意味する当社造語
代表取締役社長
(COO)荒木 幸彦(左)
社会からの要請がますます高まる
「創エネ・蓄エネ・省エネ」
技術に
注力しています
一方、世界では持続可能な低炭素社会の実現に向けて、
CO 2 排出量削減や再生可能エネルギーの活用など環境
負荷低減への取り組みが進んでいます。
ニチコングループは、
「地球との共生」
「人と環境に優しい
社会」を目指すという環境理念のもと、従来から積極的に
環境保全活動を推進しており、焼却時にダイオキシンが発
生する恐れのあるポリ塩化ビニル(PVC)の使用中止や
タンタル固体電解コンデンサやフィルムコンデンサの鉛
(Pb)
フリー化、臭素系難燃剤を含まないタンタル固体電解
3
社会・環境報 告 書
2012
コンデンサ外装樹脂への切り替えなどをいち早く実践して
道の駅や金融機関などに導入されており、災害発生時など
きました。
の非常用電源としても活用可能です。
また、地球温暖化の一因といわれる石油・石炭など化石
また 2012 年 7 月には、同様の技術を活用した、山梨県
燃料の消費を抑えるため、化石燃料に代わる新たなエネル
米倉山メガソーラーPR 施設「ゆめソーラー館やまなし」
に納
ギーの開発や導入促進の動きが加速しているなか、
「創エ
入した「創エネ」
&
「蓄エネ」型エネルギーマネジメントシス
ネ・蓄エネ・省エネ」技術・製品への社会的要請がこれまで
テムが、
「一般社団法人日本電設工業協会 再生可能エネル
以上に高まってきています。
ギー促進賞」を受賞しました。これは、系統電力を使うこと
ニチコングループでは、創業以来コンデンサを核に培っ
なく、太陽光発電や水力発電など再生可能エネルギーのみ
てきた技術をベースとして、エネルギー・環境に関する多様
を電力源とする自立運転を実現したシステムです。通常時
な技術を磨き、この分野における事業基盤を着々と固めて
の使用電力を再生可能エネルギーで賄えるのはもちろん、
きました。いまや「創エネ・蓄エネ・省エネ」は私たちの得意
停電時の電力供給や EV への急速充電も可能であることか
分野であると自負しています。たとえば 2009 年に電気自
ら、災害発生時などの非常用電源としても活用できる理想
動車(EV)向け充電器一体型 DC-DCコンバータの供給を
的なシステムです。
開始したほか、産官学連携による低炭素・ゼロエミッション
このほか、世界最小・最軽量の EV 向け超小型急速充
社会構築の実証実験にも参加するなど、業界内でも先駆的
電器や世界初の V2H(Vehicle to Home)
システム
「EVパ
な取り組みを積極的に進めてきました。
ワーステーション」
(P7-8 参照)、家庭用蓄電システム「ホー
さらに2010 年 3 月には、こうした動きを一層活性化させ
ム・パワー・ステーション」
(P9-10参照)の開発・商品化にも
ていくため、環境関連のパワーエレクトロニクスビジネスを
成功しました。なお、EV 向け製品の技術の高さは納入先の
統括する「NECST(Nichicon Energy Control System
自動車メーカー様からも評価され、数々の表彰をいただい
Technology)プロジェクト」を発足させました。併せて、東
ています。
京・名古屋・西日本の各支店にも環境関連ビジネスの専門
今後もニチコングループは、めまぐるしく移り変わる世界
部署を設置し、
「創エネ・蓄エネ・省エネ」関連事業の強化を
市場の動きにグローバルな視点で迅速かつ柔軟に対応し
図っています。2011 年度からスタートした中期 3ヵ年経営
ながら、中核であるコンデンサの高機能・高品質化を目指
計画「DASH2200※」のなかでも NECST プロジェクトの推
すことはもとより、
「創エネ・蓄エネ・省エネ」を指向する製
進を掲げており、再生可能エネルギーの発電システムや電
品づくりに引き続き邁進いたします。このような企業活動を
気自動車(EV)用の急速充電器、ハイブリッド車(HV)、産業
通じて、持続的かつ健全な成長・発展を目指すとともに、
機器や家電用製品に幅広く用いられ省エネに寄与するイン
より豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。
バータの関連分野をターゲットとして、製品開発や事業化
そして、お客様をはじめ取引先様、従業員、株主・投資家、
に力を注いでいます。
地域社会など、あらゆるステークホルダーの皆様に対する
※ DASH2200:
「Do your best」
「Active mind」
「Speed & flexibility」
「High level challenge」
の頭文字をとり、
社内目標として2014年度に
連結売上高2,000億円、営業利益200億円を目指している
社会的責任を果たし、皆様からの信頼と満足が得られる
よう健全で透明性の高い CSR 経営に全力をあげてまい
ります。
電気自動車向け急速充電システムをはじめ
技術開発の成果が着実に現れています
本報告書では、ニチコングループの環境保全および CSR
に対する考え方や活動を報告しています。ご一読いただき、
皆様からのご意見をお寄せいただければ幸いに存じます。
2011 年度からは、これらの取り組みを着実に進めてき
た成果が形となって現れつつあります。2011 年 7 月には、
2012 年 10月
ニチコンが納入した名神高速道路吹田サービスエリア(上
り)の「創エネ」
&
「蓄エネ」型急速充電システムが「2011 年
度電設工業展製品コンクール」で「環境大臣賞」を受賞しま
ニチコン株式会社
代表取締役会長
(CEO)
した。このシステムは、独自の電力変換技術によって太陽光
発電で得た電気を蓄電し、電力会社から供給される電力(系
統電力)と合わせて EV に充電するというものです。すでに
代表取締役社長
(COO)
社会・環境報告書
2012
4
報告組織の概要
プロフィール
会社概要
事業拠点
社 名 ニチコン株式会社
国内販売拠点
英 文 名 NICHICON CORPORATION
東京支店/東北営業所、北関東営業所、長野営業所
本 社 所 在 地 〒604−0845 京都市中京区烏丸通御池上る
名古屋支店
設 立 1950 年(昭和 25年)
8月1日
西日本支店/岡山営業所、福岡営業所
資 本 金 14,286百万円
(2012年3月31日現在)
連 結 売 上 高 107,658百万円
(2012年3月期)
国内製造拠点
従 業 員 数 連結6,901名
(2012年3月31日現在)
電源センター
ニチコン製箔株式会社
連結子会社数 24社
(国内10社、海外14社)
ニチコン草津株式会社
ニチコン亀岡株式会社
ニチコン長野株式会社
ニチコン大野株式会社
ニチコンタンタル株式会社 ニチコン岩手株式会社
事業内容
ニチコンワカサ株式会社
エレクトロニクス機器に不可欠な電子部品
「コンデンサ」
を開発・製造・販売しています。
日本リニアックス株式会社
海外拠点
コンデンサは電気を蓄え、蓄えた電気を放出する部品で、あ
NICHICON(AMERICA)CORP.
らゆるエレクトロニクス機器に使われています。
NICHICON(AUSTRIA)GmbH
ニチコンは「デジタル家電機器」
「自動車・車両関連機器」
NICHICON(HONG KONG)LTD.
「エコ関連機器」
「情報通信機器」を重点市場に、機能・バリエー
ションともに多彩な製品を提供するコンデンサメーカーとし
NICHICON(SINGAPORE)PTE. LTD.
て、業界をリードしています。
NICHICON(TAIWAN)CO., LTD.
NICHICON(THAILAND)CO., LTD.
製品一覧
NICHICON ELECTRONICS TRADING(SHANGHAI)CO., LTD.
導電性
アルミ
高分子アルミ固体
電解
電解コンデンサ
コンデンサ
タンタル
コンデンサ
固体電解
応用関連
コンデンサ
機器
プラスチック
フィルム
コンデンサ
NICHICON(MALAYSIA)SDN. BHD.
NICHICON ELECTRONICS(WUXI)CO., LTD.
NICHICON ELECTRONICS(TIANJIN)CO., LTD.
FPCAP ELECTRONICS(SUZHOU)CO., LTD.
NICHICON ELECTRONICS(SUQIAN)CO., LTD.
電力・
機能
機器用
コンデンサ モジュール
WUXI NICHICON ELECTRONICS R&D CENTER CO., LTD.
売上高
地域別売上高比率
製品部門別売上高比率
電子機器用コンデンサ 71.5%
119,567
105,914 107,658
90,000
NICHICON ELECTRONICS(INDIA)PVT. LTD.
スイッチング
電源
(百万円)
120,000
NICHICON ELECTRONICS TRADING(SHENZHEN)CO., LTD.
正特性
サーミスタ
電気
二重層
コンデンサ
91,456
84,484
アルミ電解コンデンサ
タンタル固体電解コンデンサ
フィルムコンデンサ、正特性サーミスタ
“ポジアール ”
電力・機器用
コンデンサおよび
応用関連機器/
その他 11.6%
30,000
0
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
社会・環境報 告 書
2012
フィルムコンデンサ
コンデンサ応用関連機器
コンデンサ主要原材料
日本 46.1%
欧州 6.2%
イギリス、
フランス、
オーストリア等
回路製品 16.9%
スイッチング電源
機能モジュール
60,000
5
株式会社酉島電機製作所
2012 年 3月
米州 5.8%
アメリカ、
ブラジル、
メキシコ等
アジア 41.9%
中華圏、韓国および
ASEAN諸国
2012 年 3月
代表製品
アルミ電解コンデンサ
搭載される商品例
酸化アルミニウムを誘電体とするコンデンサで、多くの電気
を蓄えることができる一般的なコンデンサです。
ニチコンは高容量・高品質の電極箔と信頼性の高い電解液
を材料に、長年蓄積した生産技術を駆使し、世界トップクラス
のシェアを獲得しています。
タンタル固体電解コンデンサ
希少金属であるタンタルの酸化物を誘電体とするコンデン
搭載される商品例
サです。
小形で多くの電気を蓄えることができるのが特長で、身近な
ものでは、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラな
どに使用されています。
回路製品
交流電流を直流に変換して回路に送り込むスイッチング電源
や、基板上に電子部品を実装した電子回路である機能モジュー
コンではコンデンサに次ぐ新市場・新ビジネスとしてこれらの
環境・エネルギー分野に注力しています。
ルを製造しています。
搭載される商品例
スイッチング電源は、情報通信機器・事務機器などに使用さ
れ、機能モジュールは携帯電話用バッテリーモジュールや自動車
用センサーモジュールとして使用されています。
近年はEVの普及に貢献する車載用充電器や超小型急速充電
器、またV2Hシステムや家庭用蓄電システムなどを開発。ニチ
電力・機器用コンデンサ
ビルや工場などの受変電設備に用いられ、電力ロスを低減さ
設置される施設例
せる進相コンデンサや、パワーエレクトロニクスと呼ばれる半
導体電力変換装置を支える各種コンデンサを製造しています。
ニチコンの製品は、環境対応、安全性と信頼性の高さに定評
があります。
総資産
当期純利益
(百万円)
(百万円)
5,000
180,000
2,500
2,660
1,277
1,157
150,000
0
120,000
-2,500
90,000
-5,000
60,000
-6,040
-12,500
-15,000
-14,565
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
従業員数
(人)
8,219
8,000
153,989
139,150
125,546 128,153 130,789
6,000
7,315
5,437
6,901
4,998
4,000
2,000
30,000
0
0
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3(年月)
社会・環境報告書
2012
6
特集
暮らしを、地球環境の未来を変えるニチコンの環境先進技術
1
EVパワーステーション
Vehicle to Home !
自動車を暮らしの電源にするという新たな可能性。
環境負荷低減に貢献する電気自動車
(EV)
は、小型・軽量の
いコンセプトで生み出されたこのシステムは、日産自動車販売
車載用充電器が開発されたことで、家庭での充電も容易とな
株式会社様のショールームに順次設置され、日産「リーフ」の
り、一般ユーザにもより身近な存在となってきました。
ユーザー様に新しい価値を提供しています。
ニチコンは、高度なパワーエレクトロニクス技術を駆使した
EVパワーステーションは
「EV用充電器」
と
「家庭用蓄電器」
EV向けの車載用充電器を開発しており、現在、量産されている
の機能を兼ね備えた双方向の充電・給電システムであり、本体
EVのほとんどに採用されています。さらには、
この技術を応用
を住宅の分電盤とEVの急速充電ポートにつなぐことで、EVの
し、
ガソリンスタンドや高速道路のサービスエリア、商業施設な
蓄電池に貯めた電気を家庭内で使えるようになります。EVに
どに設置される超小型EV用急速充電器も開発するなど、EVの
貯めた電気を有効活用することでピークシフトに貢献できるほ
普及とインフラ整備に貢献しています。
か、停電時のバックアップ電源としても利用できます。
こうした経験と実績をベースに、ニチコンは世界初となる
ニチコンは、EVパワーステーションを通じてEVの新たな可
V2H
(Vehicle to Home)
システム
「EVパワーステーション」
を
能性を提案し、
より豊かで快適な暮らしの実現を目指します。
開発しました。
“電気自動車を暮らしの電源へ”
という全く新し
2
特長
1
特長
EVへの倍速充電
E Vパワーステーションは、普 通 充 電( 2 0 0 V
15A)
の約半分の充電時間、つまり最短4時間で
電気自動車で蓄電
のフル充電が可能です。また、EVへの充電中に
E V パ ワ ー ステ ー ション は 、世 界 初 の V 2 H
能も搭載しています。
(Vehicle to Home)
システムです。その名が示す
通り、
EVの大容量バッテリーから電力を取り出し、
家庭で使用することができます。本体のサイズは
コンパクトで、
充電開始・停止や充電率の設定など
各種操作も簡単です。
EVパワーステーションの
特長:日産リーフの例
7
社会・環 境報告書
2012
家庭のブレーカーが落ちるのを防ぐ自動制御機
Voice
さまざまな場面で活躍する
“世界初のV2Hシステム”
です。
ニチコングループの環境関連事業のなかで、EVのインバーター、
困難もともないましたが、一日でも早く市場に出せるよう、ニチコン
充電器、DC-DCコンバーターなどに携わってきました。そのなかで
グループの総力を結集して取り組みました。とくに操作性については
培われた経験やノウハウを活かし、新たにEVへの充電と家庭への給
家庭でも簡単に使えるよう配慮し、使いやすい製品にすることができ
電の機能を併せ持ったEVパワーステーションを開発しました。
たと自負しています。
EVパワーステーションは世界初のV2Hシステムであり、電力の
今後も、ニチコングループのもつ環境
ピークシフトや災害時の停電対応など、さまざまな場面で電力を有
関連技術を活かして、社会に貢献できる
効活用することができる優れた製品です。
製品を開発していきます。
開発にあたっては、電力系統とのスムーズな切り替えや充電電力
ニチコン亀岡株式会社 技術部 主任技師
と屋内電力の振り分けなど、初めての技術開発が必要な部分もあり
新居 敏彦
3
特長
4
特長
太陽光発電の
有効活用
停電や非常時にも安心
住宅用太陽光発電システムを設置してい
万一の停電時にもEVパワーステーションに蓄電
る場合、
夜間にEVパワーステーションに貯
した電力を家庭用のバックアップ電源として使用
めた電力を昼間に家庭内で使うことで、
太
することができます。
陽光で発電した電気のうち使わない余剰
分を電力会社に売ることができ、
再生可能
エネルギーの利用促進につながります。
特長
5
電力の
ピークシフトに貢献
EVパワーステーションを使って夜間に
EV蓄電し、
貯めた電気を昼間に使うこ
とによって、
電力需要がもっとも高まる
昼間の時間帯の電力消費を抑えるこ
とができ、
ピークシフトに貢献します。
社会・環境報告書
2012
8
特集
暮らしを、地球環境の未来を変えるニチコンの環境先進技術
2
ホーム・パワー・ステーション
太陽光発電も活用しながら家庭でかしこく蓄電・節電。
東日本大震災による原発事故を契機として、電力不足に対
電気を昼間に使うことができ、電力需要ピーク時の電力消費を
する不安が高まる一方、太陽光や風力などのクリーンな再生可
抑える
“ピークシフト”に貢献します。また、太陽光発電で昼間
能エネルギーへの期待が大きく高まっています。
に発電した電気のうち、使わない分を蓄電池に貯めて夜間に利
ただし、太陽光発電などで作られた電気を一般家庭で無駄
用することが可能になるため、
“電力の地産地消”
にもつながり
なく使うためには、電気を貯めておく
「蓄電池」
が必要です。そ
ます。さらに、
大容量のリチウムイオン蓄電池を搭載することで、
こでニチコンは、暮らしに必要な電気を供給する家庭用蓄電シ
万一の停電時に備えた電力の自動バックアップも実現します。
ステム
「ホーム・パワー・ステーション」
を開発。
“家庭でかしこく
なお、ホーム・パワー・ステーションは、家庭用エネルギー管
蓄電・節電”
を可能にし、低炭素社会の実現に寄与するシステム
理システム
(HEMS)
に対応しており、
これらのHEMSと連携す
として、発売後1年間で1万台の販売を目指しています。
ることによって発電量や電力使用量を
「見える化」
し、家庭内で
ホーム・パワー・ステーションを導入すれば、深夜に蓄電した
のより高効率なエネルギー制御を実現することができます。
特長
1
特長
長寿命・大容量の
リチウム電池
屋外設置できる大容量のリチウムイオン蓄電池を
搭載。7.2kwhの蓄電システムと増設ユニットを併
設した14.4kwhの大容量蓄電システムの2種類
を用意しています。いずれも10年間の長期保証
付きの長寿命リチウムイオン蓄電池内蔵です。
9
社会・環 境報告書
2012
2
室内リモコンで
簡単操作
5インチカラー液晶タッチパネルの室内リ
モコンで充電量と放電量が一目でわかる
ほか、運転モードの切り換えや設定、運転
エラーやメンテナンスも画面メッセージで
伝えてくれるため、
簡単に操作できます。
Voice
蓄電システムの“規格クリア第1号”
を取得できました。
開発当時、ホーム・パワー・ステーションは世の中に前例のない製
翌日に改良して納入するなど慌しい日々が続きましたが、
このたび無
品であり、蓄電システムの規格が存在していなかったため、多くの
事に製品として世に送り出すことができました。
方々のアドバイスや太陽光発電の規格を参考に、試行錯誤しながら
今後も、さらに世の中の皆様に喜ばれ、
仕様変更を繰り返しました。こうしたなか、電気安全環境研究所
( J E T )から蓄 電システムの 規 格を検 討 するため の 製 品 募 集 が
地球環境に貢献できる製品を次々と開発
していきたいと考えています。
あり、応募したところ
“適合第1号”
として選んでいただくことができ
電源センター 蓄電技術統括部
主任技師
ました。
岡本 直久
その後も、納入先様からの改善要求を受けて、製品を持ち帰った
3
特長
昼も夜もエコ節電
電気料金が割安な深夜の間に電力を蓄電池
に貯め、朝や夕方に使用することができま
す。また、昼間に太陽光発電で作った電気を
蓄電しておき、夜に使用することはもちろ
ん、余った分を売電することも可能です。
ピーク時に利用
ピーク時に利用
蓄電システムの
あるくらし
通常時には、電力会社
からの供給電力と太陽
光発電による電力を効
率 的 に 利 用 す ること
で、節 電だけでなく経
済的なメリットも提供。
一方で、停電時にも電
気を使えるという安心
を確保しています。
電力会社
停電
太陽光発電
エアコン
分電盤
リビング用
照明
一般コンセント
掃除機
電子レンジ
冷蔵庫
非常時兼用
コンセント
パソコン
リモコン
テレビ
蓄電システム
安い
深夜料金で
余剰分は
たっぷり
充電
しっかり
充電
太陽光発電量
電力購入
深夜
朝
電力
使用量
電気を買わなくて済む時間帯 電力購入
昼
夕
深夜
4
特長
停電時も
自動切り替えで安心
万一の停電時には、蓄電システムから家
庭の非常時兼用コンセントに自動で電力
をバックアップ。冷蔵庫、TV、照明、携帯
電話の充電など、
標準的な家電組み合わ
せで最大12時間の使用が可能です。
社会・環境報告書
2012
10
CSRマネジメント
CSR推進体制と活動計画
CSRの基盤─ニチコングループCSR憲章
取り組み項目
2011 年度の計画
コンプライアンス
●行動規範の見直しと改訂版の作成
●前年度に引き続き、
「コンプライ
アンス通信」の周知とコンプライ
アンス理解度強化に向けた教育
の実施
リスクマネジメント
●事業継続計画(BCP)の策定と事
業継続管理(BCM)の推進
情報セキュリティ
●内部統制システムを通じた IT 統
制の実施
環境マネジメント
●CO2 削減目標達成に向けた中・
長期計画の見直し
ニチコンでは、グループの全従業員が共有すべきCSR(企業
の社会に対する責任)
の指針として、2005年12月に
「ニチコン
グループ CSR 憲章」
を制定しました。
企業と社会のつながりは欠くことのできないものであり、
企業が存続していくためには、CSRに積極的かつ真剣に取り組
むことが重要です。
「ニチコングループCSR憲章」
は、
「ニチコン
グループ環境憲章」
(1997 年 12 月制定、2001 年 7 月改訂)
と
ともに、ニチコングループ全員の重要な行動指針として、周知
徹底を図っています。
CSR 推進体制
低炭素社
会実現へ
の貢献
●CO2 削減
●2010 年度比1%削減
製品・技術
による環境
負荷低減
●コア技術を活用し
た環境配慮型製品
の拡大
●創エネ・蓄エネ・省
エネ製品の拡大
●デジタル家電、情報通信、環境、
エネルギー、自動車、EV・HV、
鉄道、車両、医療、インバータ関
連事業の展開
●廃棄物削減
●再資源化率99.8%を達成する
●環境汚染物質削減
●国内外で施行される環境法規制
の遵守に向け、情報収集と対応
品の技術確立と管理体制の確立
を行う
●事業所周辺美化
推進
●地域市民活動など
への参加・推進
●事業所周辺美化活動推進・地域
市民活動などへの積極的な参
加、事業所見学の受け入れなど
●製品含有禁止物質
の不使用の徹底
●グリーン調 達 調 査 の 継 続とグ
リーン調達ガイドライン適合品
の調達維持
●各国の化学物質関係法規のすみ
やかな対応
●懸念物質の削減、代替材料への
変更取り組み
取締役会
監査役会
環
CSR 室
境
代表取締役
会長・社長
監査・法務室
保
全
CSR 推進委員会
(社長・取締役・執行役員)
計
コンプライアンス
ホットライン
(内部通報制度)
事業活動
による環境
負荷低減
画
社会貢献
活動
各事業所・関係会社
グリーン
調達
コンプライアンス
ホットライン
(各事業所・関係会社)
CSR 委員会
( 各事業所・関係会社)
グループ一丸となってCSR活動を推進しています
コンプライアンス
リスクマネジメント
環境マネジメント
情報セキュリティ
執行役員常務
CSR室長
岩佐 譽
ニチコングループでは 2003 年 6
月の CSR 室設置以来、グループをあ
げてCSR活動を推進してきました。
CSR の対象は広範囲に及びます。CSRを着実に果たしていく
ために、当社では本社の取締役・執行役員・本部長を委員とす
る
「CSR推進委員会」
を組織し、その中に
「コンプライアンス」
「リ
スクマネジメント」
「情報セキュリティ」
「環境マネジメント」の 4
11
社会・環境報告書
2012
2011 年度の成果
2012 年度の計画
2013 年度末までの計画
ページ数
●行動規範の見直しと改訂版作成に向けた
準備
●「コンプライアンス通信」の発行を通じて、
従業員教育を実施
●行動規範の改訂版の作成
●コンプライアンスに関わる事 例を教 材に
コンプライアンス理解度強化に向けた研修
の実施
─
P14
●事業継続計画(BCP)と事業継続マネジメン
ト(BCM)を包括した事業継続規程と事業継
続計画(BCP)
策定ガイドラインの策定
●事業継続計画(BCP)の継続的改善と事業
継続マネジメント(BCM)の定着を目指した
活動
●重要リスクの洗い出しと管理
─
P15
●内部統制システムを通じたIT統制の実施
●事業継続計画(BCP)
関連対策の展開
─
P15
●全事業所におけるCO2 排出量の実績調査と
削減計画の進捗確認を実施
●環境エネルギー関連製品の拡充
─
P24
P26
P29-30
●2010 年度比 4.1% 削減
●2011 年度比1%削減
●低炭素化に向けた高機能・高効率設備の導入
●改正省エネ法への対応
●2010 年度を基準として 2013 年度末までに
CO2 排出量を売上高原単位で3%削減する
●EV パワーステーション、ホーム・パワー・ス
テーションの開発
●EV パワーステーション、ホーム・パワー・ス
テーションの製品化
●創エネ・蓄エネ・省エネ製品の拡大
●省資源化高機能製品の開発
●太陽光発電・蓄電機能付 EV 用充電設備の
拡充
●再資源化率 99.7%
●再資源化率99.8%を達成する
●再資源化率99.8%を達成する
●改正 RoHS、REACH-SVHC 他、各国法最新
版入手と社内管理システムに従い対応
●国内外で施行される環境法規制の遵守に向
け、情報収集と対応品の技術確立と管理体
制の確立を行う
●国内外法規制への対応
●セット部品のアンチモンおよび臭素系難燃剤
の代替調査と技術対応
●事業所周辺美化活動の実施
●事業所見学の受け入れ実施
●事業所周辺美化推進
●地域市民活動などへの参加・推進
●事業所周辺美化推進
●地域市民活動などへの参加・推進
P20
●各国法に対応するためガイドラインを改正
●管理システムに従い滞りなく適合品を調達
●グリーン調達調査の継続とグリーン調達ガ
イドライン適合品の調達維持
●各国の化学物質関係法規のすみやかな対応
●懸念物質の削減、代替材料への変更取り
組み
●グリーン調達調査の継続とグリーン調達ガ
イドライン適合品の調達維持
●各国の化学物質関係法規のすみやかな対応
●懸念物質の削減、代替材料への変更取り
組み
P29
P27-29
つの小委員会を設置しています。小委員会はそれぞれの課題
る反省を踏まえ、事業継続計画(BCP)の継続的改善と事業継
や問題事項を毎年の事業計画に落とし込み、各事業所からの月
続マネジメント(BCM)を早期に確立し、かつ定着するようグ
次報告で進捗を確認し、指導しています。
ループ全体で取り組んでいます。
近年、CSRに関連する企業活動の内容や行動に関して、顧客
一方で、当社が永年蓄積してきた各種技術を融合させ、住宅
からの要求が高まってきています。当社では CSRに取り組むに
用 EV パワーステーションをはじめ、家庭用蓄電システムやス
あたり経団連の「企業行動憲章実行の手引き」( 第6版 ) や電子
マートグリッド実現の要素となる分散電源など、創エネ・蓄エネ
情報技術産業協会 (JEITA) の「サプライチェーンCSR 推進ガイ
の先進技術を駆使して開発した環境・エネルギー関連商品の拡
ドブック」、そして 2010 年 11 月に発行された ISO26000(社
販などを通じ、社会・環境問題にさらに取り組んでまいります。
会的責任に関する手引)や米国の大手 IT 企業が中心になって
また、業務を適正に行うための内部統制を有効的かつ効率
策定された EICC(電子業界行動規範)などの考え方を尊重し、
的に構築・維持していくことも CSR マネジメントの一環である
実践に努めています。
との認識のもと、引き続きこれらのスパイラル展開を図ってま
また、東日本大震災で被災した岩手県のグループ会社の被
いります。
災経験や、それに伴う資材・物流でのサプライチェーンにおけ
社会・環 境 報 告 書
2012
12
CSRマネジメント
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの強化
内部統制システムの整備とPDCAサイクル
当社は経営の効率性、健全性、透明性を確保し、企業価値の
内部統制システムについては、CSR 室・総務部・経理部・
継続的な向上と社会的責任を果たすため、コーポレート・ガバ
システム部・経営企画部・監査/法務室が中心となって運用
ナンスの強化を最重要課題のひとつと位置付け、下図のよう
しています。
な組織体制を構築してきました。
また、企業経営に損失を与えるリスクを回避し、社会からの
企業経営における重要事項の意思決定は主に取締役会が担
信頼を維持するために、当社では取締役社長を委員長とする
い、その具体的な業務執行は主に取締役が担います。取締役会
「CSR 推進委員会」を設け、その事務局であるCSR 室と総務部
を監査する役割として監査役による監査役会を設けています。
が総合的なリスク管理業務を行っています。具体的には社内の
当社では取締役会を構成する取締役は、意思決定を迅速に
諸規則や規程類の整備をはじめ、コンプライアンス、自然災害、
行うために少数に絞り、取締役会は必要に応じて随時開催し、
労働安全衛生、品質保証、情報セキュリティ、与信管理など、
十分な協議のうえ方針を決定しています。取締役会は各取締
企業経営に重大な影響を及ぼすさまざまなリスクに対処する
役が担当する業務の進行状況などを監督しています。
体制を整えています。
2003 年 6 月からは経営環境の変化に迅速に対応するため、
これらの問題が発生した場合には、重要・緊急度合いに応じ
執行役員制度を導入し、執行役員と取締役は連携を密にし、
て災害対策本部を設置するとともに、取締役会を随時開催し、
事業運営を円滑に進めるための組織体制を構築するとともに、
十分な協議のうえ、迅速かつ的確に対策を講じています。
業務執行上必要が生じたときは個別に協議しています。
内部監査機能としては、代表取締役直轄の監査/法務室が
一方、監査役は取締役会などに出席して意見を述べるほか、
グループの会計、業務、制度および内部統制などの監査を定期
取締役の業務執行や業務内容などが適法であるかを監査する
的に実施し、具体的な指摘や助言を行っています。
とともに、事業所やグループ企業の監査を通じて経営状況を
また、監査役会は、代表取締役や各取締役と緊密に連絡を
把握しています。なお、監査役が法定の人数に満たない場合に
取り合うとともに、監査/法務室や会計監査人とも連携し、効率
備え補欠監査役制度を設けています。
的で実効性のある監査を行っています。監査での指摘事項に
ついては、担当部門が具体的な対策を立案し、PDCAを回すこ
とによって継続的改善を図っています。
コーポレート・ガバナンス体制図
株 主 総 会
監査役会
取締役会
CSR 室
代表取締役
会長・社長
監査・法務室
CSR 推進委員会
執行部門
取締役・執行役員
内部統制推進委員会
事業所・関係会社
内部統制委員会
CSR 委員会
13
社会・環境報告書
2012
会計監査人
CSRマネジメント
コンプライアンス
「ニチコングループ行動規範」
の改訂
社内・社外相談窓口の設置
(内部通報制度)
ニチコングループでは「社訓」に加え、従業員が一丸となって
法令、社内規程・方針等を遵守し健全な企業活動を推進する
目指すべき方向性や社会的責任を「経営理念」として定めて
うえで
「コンプライアンス」
は重要な役割をもっています。
います。 さらに、取締役や従業員が法令を遵守し、共通の倫
ニチコングループは「コンプライアンス」を高めるしくみの
理観・価値観を持つための指針として、2002 年 10 月に「ニチ
ひとつとして内部通報規程を制定し、この規程に基づきコンプ
コングループ行動規範」
を制定しています。
ライアンス・ホットライン
(内部通報制度)
を設けています。
当社が「ニチコングループ行動規範」を制定した 2002 年
具体的には、相談窓口や相談方法を設け、通報があった場合
以後、EICC(電子業界行動規範)が制定され、何度か改訂され
には必要に応じて調査を実施します。また、通報者の個人情報
ました。また、2010 年 11 月にISO26000(社会的責任に関す
の保護を徹底しています。
る手引)が発行されました。
「ニチコングループ行動規範」の内
このように、コンプライアンス・ホットラインの活用により
容をさらに充実させるため、EICCや ISO26000 が求めている
不祥事の未然防止および早期発見に努めています。
企業のあり方について参照しながら、引き続き改訂版の発行
準備を進めていきます。
安全保障貿易管理の状況
コンプライアンス理解度強化に向けた
教育の実施
安全保障貿易管理とは、国際社会における平和と安全を維
持するため、武器そのものだけでなく、軍事転用可能な民生用
の製品・技術などが核兵器や生物・化学兵器などの大量破壊
コンプライアンス教育は、全体集会や各階層別・各職種別の
兵器の開発を行っている国家(懸念国)
やテロリストの手に渡ら
研修を通じて定期的に行っています。
ないよう輸出規制を行うことです。万一日本から規制貨物や
CSR 推進委員会のコンプライアンス小委員会がコンプライ
技術が流出すれば、国際社会の平和と安全に危機をもたらす
アンスに関わる事例学習の教材を「コンプライアンス通信」と
ことになるため、安全保障貿易管理は極めて重要な課題に
して社内報に掲載し定期配布することで啓発に努めています。
なっており、具体的な規制対象貨物・技術が「外国為替及び
また、コンプライアンス小委員会にて
「コンプライアンス理解度
外国貿易法(外為法)」の政省令などに定められています。
チェックシート」を作成し、新入社員配属時など機会あるごと
2010 年 4 月1 日に施行された改正外為法では、輸出などを
に活用することで、各事業所で理解度強化に努めています。
業として行う者が遵守すべき基準が新たに定められ、
「輸出
管理の責任者を明確にすること」
「関係法令の遵守を指導する
こと」
「規制貨物・技術の輸出を業として行う者は、適切な輸出
管理を実施すること」が求められています。
当社では、上記改正外為法施行以前から、代表取締役社長
を最高責任者、CSR 室長を総括管理責任者とし、技術・設計
コンプライアンス通信を
読んで
部門、営業部門の輸出管理の役割・体制を社内規程で定めて
ニチコン草津株式会社
管理部 購買課 購買一係
ティ面のコンプライアンスに優れた輸出者に与えられるAEO
坂本 知代
います。ちなみに、当社は2008年12月1日に、貨物のセキュリ
(Authorized Economic Operator:認定事業者)制度上の
特定輸出者としての認証を大阪税関より取得しています。また
ニュースでは企業が法令違反を
毎年改正される関係法令については、イントラネットに安全
したために大きな社会問題となって
保障貿易管理に関するサイトを開設し、関係者に周知を図って
いる事例を多く見受けます。市場競
います。上記社内体制によって、2011 年度に発生した懸念国
争は激化していますが、利益を確保するために法を侵すよう
やテロリストなどへの輸出事故は0件でした。
な企業は、やがて社会から認められなくなり、今後発展する
ことも存続することもないと感じています。社会に認められ
る企業であるために、当たり前のことを当たり前にやってい
きたいと思います。コンプライアンス通信を読んで、その重
要性と意義を学ぶことができたとともに、ニチコンで働いて
いることを誇りに感じています。
社会・環境報告書
2012
14
CSRマネジメント
リスクマネジメント
事業継続計画
(BCP)
の策定と
事業継続マネジメント
(BCM)
の推進
企業活動に大きな影響を及ぼす
「自然災害・事故」
「経営リスク」
情報セキュリティの強化
コンピュータのネットワーク化が進み、利便性は飛躍的に
向上していますが、情報漏えいや改ざんが起きてしまった場合
「政治・経済・社会リスク」などの想定できるリスクへの対応策と
には、事業上の損失が生じるだけでなく社会的信用も失墜し
その体制などについて、従業員、顧客や地域住民など、ステーク
かねません。ニチコングループでは、情報セキュリティ対策と
ホルダーの皆様の視点に立ち、リスクの未然防止や被害を
して全従業員が情報資産保護の重要性を認識し、日々の業務
最小限にとどめるために適切な対応を取るよう努めています。
のなかで徹底するために、2007 年 2 月に「情報セキュリティ
また安全かつ安定的な企業経営の維持に努め、
「リスクマネジ
基本方針」を定め、情報資産の取り扱いのルールなどについて
メント規程」
に則り、その運用および周知・徹底を図っています。
は、
「情報セキュリティハンドブック」
「ニチコン従業員『考働』の
企業活動の中で自然災害や事故などによる被害を受けた時、
手引き」
を配布して徹底を図っています。
早期に事業を再開・継続するために、事業継続マネジメントの
一方、情報資産は全社員が必要な時に、いつでも正しく取り
構築が重要であるとされています。
出し業務を遂行できることはもちろん、戦略的に活用すること
2011 年 3 月 11 日の東日本大震災をきっかけに、それまで
によって新しい事業を生み出せる財産であると考えています。
策定準備中だった事業継続計画と事業継続マネジメントを包
今後も情報資産を安全・正確に活用することによって、ニチ
括したニチコングループの「事業継続規程」と「事業継続計画
コングループの持続的・安定的な発展のための基礎を築いて
(BCP)策定ガイドライン」を制定し、大枠を整備しました。これ
いきます。
らに基づいて、事業継続計画のさらなる充実および継続的改
善(PDCA サイクル)を取り込んだ仕組みとしての事業継続
マネジメントの定着化を進めていきます。
非常時の事業継続を
支えるために
リスク発生時の全社連絡体制
第一発見者
所属長・事業所長
取締役執行役員常務 生産本部長
CSR推進委員会
リスクマネジメント小委員会
(緊急の場合)
吉田 茂雄
本社 総務部長
当該リスクの本社総括責任部署長
関連責任部署長
事業継続計画と事業継続マネジ
メントの内容を充実させるために、
管理本部長
CSR室長
まずニチコングループとして大枠と
CSR推進委員会
なる
「事業継続規程」
と
「事業継続計画(BCP)策定ガイド
ライン」
を制定しました。
(重大・重要な場合)
災害が発生した際には、生命の安全を確保したうえで供給
企画本部長
生産本部長
営業本部長
技術本部長
品質保証本部長
会長・社長
(大規模リスクの場合など)
常勤監査役
責任を果たすことを第一に考え、二次災害の防止や、地域住
民、周辺自治体と協調を図りながら迅速な復旧を目指すこと
を計画の骨子としています。さまざまな形で何度もPDCAを
回すことによって継続的改善が図られるものと考えます。
対策本部設置
ニチコングループ 情報管理体系
ニチコングループ CSR 憲章
CSR推進委員会
情報セキュリティ基本方針
個人情報保護方針
経営理念
関連規則等
就業規則
情報管理規程
15
個人情報管理
他社機密情報管理
情報システム管理
情報システム
セキュリティ管理
システム管理者向け
運用管理
パソコンおよび
ネットワーク利用管理
社会・環境報 告 書
2012
行動規範
文書管理
情報セキュリティハンドブック
守秘管理
産業財産権管理
内部者取引防止に
関する取扱管理
産業財産権管理
運用管理
社会とニチコン
お客様
企業活動の継続と健全な発展のためには、
社会とのよりよい関係を築くことが重要です。
ニチコングループは、
「誠心誠意」
をモットーに
多様なステークホルダーへの責任を
果たしていきます。
株主・
投資家
行政
環境的側面
経済的側面
国際社会
取引先
社会的側面
従業員
市民社会
地域社会
社会・環 境 報 告 書
2012
16
社会とニチコン
お客様への責任と行動
製品安全の確保と安全のための情報提供
当社ではこれまで、独自の技術を活かして先進的な創エネ・
合が発生した場合は、本社品質保証本部/営業部門/生産事業
所が一体となって対応し、迅速に問題を解決するよう努めてい
ます。
蓄エネ・省エネビジネスに注力してきました。
近年、
より大きなエネルギーを創り蓄え、自動車や家庭に供
給するという新たな状況が生まれています。また2010年11月
に発行されたISO26000では
「消費者の安全衛生の保護」
が課
品質向上・顧客満足向上に向けた教育
2011年7月より、全アイテムの品質を底上げするため、要求
題に挙がっており、製品安全の確保はますます重要であると認
品質が高いお客様の代表である車載メーカー様からこれまで
識しています。大きなエネルギーを一般のお客様にも安全に
に指導いただいた内容(例えば、
「 車載メーカーは、サプライ
お使いいただくために、情報入手の媒体となるカタログを全関
ヤーのラインを自分たちのラインの一部と考えています」
な
連部門が細心の注意を払って作成しています。具体的には、一
ど)
を抽出し、社内教育に使用しています。このようなお客様の
般のお客様に見立てた多数の事務系従業員がカタログの内容
生の声を社内に伝えることは、顧客満足の向上に直結すると考
を確認し、
わかりにくい説明文を改善するとともに、
カタログ内
えています。
で写真や絵を多用するなどの工夫をしています。
顧客満足の実現と品質問題発生時の対応
当社では、お客様との折衝機会が一番多い営業担当者に顧
客満足度調査を実施するよう呼びかけています。調査結果は
本社各本部へフィードバックし、評価の低い項目について是正
対応を行うことでお客様の評価向上につなげています。2011
年は延べ58社のお客様から評価いただきました。
あってはならないことですが、万が一お客様先において不具
VOICE
安全で使いやすい製品の
供給に努めています
本社 NECSTプロジェクト
リーダー
杉下 豊
当社では、インフラとして使われ
る電 気 自 動 車 用“ 急 速 充 電 器 ”、
V 2 H と 言 わ れ る“ V e h i c l e t o
ISO9001:2008シリーズ認定事業所一覧
認証取得事業所名
ニチコン
(株)
本社
東京支店
・北関東営業所 ・東北営業所
・長野営業所
名古屋支店
西日本支店
・岡山営業所 ・福岡営業所
電源センター
ニチコン製箔
(株)
ニチコン草津
(株)
ニチコン亀岡
(株)
ニチコン長野
(株)
ニチコン大野
(株)
ニチコンタンタル
(株)
ニチコン岩手
(株)
ニチコンワカサ
(株)
NICHICON ELECTRONICS (WUXI) CO., LTD.
NICHICON ELECTRONICS (TIANJIN) CO., LTD.
NICHICON (MALAYSIA) SDN. BHD.
FPCAP ELECTRONICS (SUZHOU) CO., LTD.
(株)
酉島電機製作所
日本リニアックス
(株)
登録年月
審査登
録機関
登録証番号
1991年9月 JQA
JMI-0007
2003年6月
2005年5月
2006年5月
2009年9月
15/12Q5612R30
WIT
BV
SIRIM
WIT
320037-UK
AR4005
15/09Q0429R00
2000年11月 日本海 00-245
事協会
2005年12月
MOODY
INTER
NATIONAL
03237
Home”
“
、家庭用蓄電システム”
など、一般ユーザーの方が
直接触れられる製品群の供給を開始しました。いずれも新し
い製品ですので、ベンチマークとなる製品もありません。
急速充電器においては、
インフラとしてご購入いただき所
有される方と、実際にご利用される方が異なります。私たち
はユーザーの安全を第一に考え、
また使いやすさも念頭に
入れて製品化をする必要があります。安全で使いやすい製
品づくりを肝に銘じて、社会にとって価値ある製品を供給す
ることで、明るい未来社会づくりに貢献していきます。
17
社会・環境報告書
2012
ISO/TS16949認証取得事業所一覧
認証取得事業所名
登録年月
審査登
録機関
登録証番号
ニチコン長野
(株)
2004年1月 JQA
JQA-AU0013
ニチコン大野
(株)
2004年4月 JQA
JQA-AU0031
ニチコン大野
(株)
第二工場
2010年2月 JQA
JQA-AU0216
ニチコンタンタル
(株)
2004年3月 JQA
JQA-AU0018
ニチコン岩手
(株)
2004年5月 JQA
JQA-AU0037
NICHICON (MALAYSIA) SDN. BHD.
2005年5月 SIRIM
AR 3641
社会とニチコン
株主・投資家への責任と行動
堅実・健全な財務体質の維持
積極的なIR活動
さらなる成長を目指した積極的な事業戦略を展開していく
ニチコングループは、
「適時」
「適切」
「公平」
をIRの基本に掲げ
には、強靭な財務体質が欠かせません。ニチコングループは安
ています。IRツールも充実させ、四半期ごとの決算情報の開示
定した財務体質を維持しており、
自己資本比率に関しては上場
や半期ごとの決算説明会では、株主・投資家の皆様にニチコン
企業の平均が約30%とされるなか、66.7%
(2012年3月末時
グループの財務情報や戦略などを詳細かつ分かりやすく説明
点)
と高い健全性を確保しています。
しています。
株主・投資家の皆様からの貴重なご意見やご指摘は、可能な
自己資本比率
(単位:%)
2008/3
2009/3
2010/3
2011/3
2012/3
77.2
78.3
73.1
71.0
66.7
限り経営に反映させ、企業価値の向上につなげたいと考えて
います。
利益配分に関する基本方針
ニチコングループでは、株主の皆様への利益還元を経営の
重要課題と認識し、企業価値の拡大と企業体質の強化を図り、
利益を増加させることにより配当の安定的増加に努めることと
しています。
一株当たりの配当金
(円)
20.00
アニュアルレポート2012年版
21.00
17.00
15.00
13.00
14.00
15.00
株主総会での工夫
2011年度の定時株主総会
(2012年6月28日開催)
には、
10.00
84名の株主の皆様にご出席いただきました。
株主総会の開催にあたっては多数の株主の皆様にご出席い
5.00
ただけるよう会場設営をはじめ、さまざまな部分に工夫をして
います。また、
インターネットで議決権の行使もしていただけま
0
2008/3
2009/3
2010/3
2011/3
2012/3 (年月)
す。さらに、決算内容の報告は映像やグラフなどでビジュアル
化し、
見やすく、
わかりやすい報告に努めています。
株主総会当日は、今話題のEVパワーステーション、
ホーム・
株主構成
パワー・ステーションの製品展示をご覧いただいたほか、開会
ニチコンの株主構成は下記の通りです。金融機関、法人・外
までの間に当社のコンデンサを搭載したアンプやオーディオ機
国法人で約75%を占めています。
器でBGMを流すなど、当社製品への理解を深めていただける
よう準備しました。
所有者別分布(株式数)
自己株式
金融機関
8.4%
52.8%
個人等
9.3%
金融機関
8.4%
50.1%
個人等
16.0%
外国法人等
自己株式
15.8%
2012 年
3月
外国法人等
12.9%
2011 年
3月
製品展示
その他法人
12.4%
証券会社
1.1%
その他法人
11.9%
証券会社
0.9%
社会・環境 報 告 書
2012
18
社会とニチコン
取引先様への責任と行動
購買基本方針
ニチコングループの購買基本方針は ①公開 ②公平 ③社会
サプライチェーン全体における
コンプライアンスの徹底
性。
「ニチコングループとサプライヤーは、共により良い製品を
ニチコングループではサプライチェーン全体におけるコン
作るためのパートナー」
という考えのもとに、
取引先様との公正
プライアンスの徹底に努めています。
でオープンな取引と相互信頼に基づいた持続的パートナー
特に取引先様との取引を公正に進めていくうえで基本とな
シップを築き、
共存共栄を目指していくことを目的としています。
る下請法を遵守するため、
「 4つの義務と11の禁止事項」
に関
1
2
3
して内部監査や従業員教育を実施することで徹底を図ってい
公開
ます。
ニチコンの資材調達は企業規模、国籍を問わず
自由競争の原理に基づいた取引を推進します。
4つの
義務
公平
取引先様との『相互信頼』
に基づき、
公正・公明・公平な取引を行います。
社会性
資材調達活動を通じ、社会に貢献し、法令を遵守するとともに、
地球環境に配慮した取引を行います。
11の
禁止事項
持続可能なCSR調達
ニチコングループでは、CSRの考え方をグループ内にとどま
らず、調達取引先様にもご理解いただき、社会的責任を果たし
1 書面の交付義務
2 書類の作成、保存義務
3 支払期日を定める義務
4 遅延利息の支払義務
1 受領拒否の禁止
2 下請代金の支払遅延の禁止
3 下請代金の減額の禁止
4 返品の禁止
5 買いたたきの禁止
6 購入、利用強制の禁止
7 報復措置の禁止
8 有償支給原材料の対価の早期決済の禁止
9 割引困難な手形の交付の禁止
10 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
11 不当な給付内容の変更および不当なやり直しの禁止
ていきます。ニチコングループはさまざまな地域・国から材料
調達をしており、調達取引先様においても、業務の遂行にあ
たって各国の適用法令を遵守し社会倫理に従った行動をお願
サプライヤーとの公正で良好な関係づくり
いしています。ダイバーシティ
(多様性)
の確保、不法労働の禁
ニチコングループでは、毎年春と秋の年2回、主要取引先様
止を含め、人権の尊重を強く求められているとの認識に立ち、
をお招きしてサプライヤーミーティングを開催し、業界動向や
本内容を深く理解し実践されている取引先様以外からの調達
ニチコングループを取り巻く環境、経営方針、戦略などを説明
は行いません。また、紛争鉱物の調達については、
米国ドッド・フ
することで情報共有、相互理解を図るとともにパートナーシッ
ランク法や米国証券取引委員会(SEC)の規則の主旨を踏ま
プ、すなわち
「チームニチコン」
としての活動を強化するよう努
え、社会的責任を果たすべく取り組んでまいります。
めています。また、環境負荷低減については
「ニチコングルー
プ調達ガイドライン」
に則して改善していただくよう依頼し、密
VOICE
サプライチェーン全体での
成長を目指していきます
生産本部
購買部 副部長
なコミュニケーションを図っています。
2011年10月は159社300名、2012年5月は155社300名
の主要な取引先様の代表者をお招きしサプライヤーミーティ
ングを開催しました。
岸 義和
当社は取引先様との関係におい
て、児童労働・強制労働禁止などの
人権・労働面、地球環境に配慮した
事業活動や製品開発、
コンプライアンスなどの社会的責任
(CSR)
をサプライチェーンの中で実行しています。
今後も安定した経営基盤のもとに取引先様と相互信頼に
基づくパートナーシップを築き、サプライチェーン全体が成
長していけるよう積極的に取り組んでまいります。
サプライヤーミーティング
19
社会・環境報告書
2012
社会とニチコン
社会とのコミュニケーション/社会貢献活動
地域の教育、文化への貢献
コミュニティへの参画
ニチコングループでは、小学校の社会見学、中学・高等学校
ニチコン大野
(株)
第二工場では、隣接する公園と周辺道路
の体験学習や企業見学などを受け入れており、毎年多くの児
の土手に従来から雑草が生い茂っていました。そこで、景観向
童・生徒が当社の各事業所を訪れています。来場された児童・
上の一環として、大野市とタイアップし、
『 平成24年度華の
生徒に会社概要や環境活動に
ジュータン形成事業補助金』を活用し、防草シートの設置とタ
ついて説明するほか、工程内
イム・ロンギカリウスの苗の植栽を実施することにしました。
の見学を実施するなど、さま
2012年6月に公園の斜面の除草を行い、7月には防草シー
ざまな形でコミュニケーショ
トを設置しました。2012年秋には苗の定植を行う予定です。
ンを図っています。
ニチコン製箔
(株)
大町工場 大町高校の体験学習
事業所周辺美化の推進
サイエンスフェスタに参加
ニチコン亀岡
(株)
では、2011年11月に亀岡市と亀岡市教
育委員会主催の
「地域ふれあいサイエンスフェスタ2011」
に
ニチコングループの各事業所では毎年、清掃キャンペーン、
参加しました。当フェスタは、理科離れの子どもを減らすことや
クリーンアップ活動、花壇の手入れなどに取り組んでいます。
親子・地域のふれあいをテーマに毎年開催しており、約50の
2011年度は延べ190回、約1,000名の従業員が参加し、事業
地元企業や小中学校、高校、大学などが集まって開催されて
所周辺の美化を行いました。
います。
当社は、子どもたちが科学・電気に親しむ機会を設けるため、
フランクリンのライデン瓶や手回し発電機の実験装置をはじ
め、いろいろな実験装置を用意しました。フェスタには多数の方
に来場いただき、装置を使った科学実験を体験していただきま
した。
工場周辺の美化活動
ニチコンワカサ(株)
花壇の手入れ
ニチコン亀岡(株)
社会・環境報告書
2012
20
社会とニチコン
従業員への責任と行動
雇用に関する基本方針
ワークライフバランスの実現
雇用の確保を基本方針とし、
さらなる事業拡大・成長を遂げ
従業員が安心して働くことができる制度のひとつとして、仕
るため、
人材面の基盤強化を図っています。
事と生活を両立させ能力を十分発揮できることを目指して
「育
採用においては、性別・年齢・国籍などを問わず
「チャレンジ
児休業制度」
「介護休業制度」
を導入しています。
精神旺盛でバイタリティがあふれ、
『 誠心誠意』ベストを尽くす
また、出産・育児・介護のための休暇・休業・短時間勤務・時間
人」
「 明朗で責任感があり何事にも情熱を持って、高い目標を
外労働免除制度の内容や利用者の感想を、社内報を通じて紹
掲げチャレンジできる人」
を求めています。何ごとにもベストを
介しており、
グループ全事業所で安心して制度が利用できる風
尽くし、高い目標に向かってチャレンジする人には活躍の場が
土づくりに取り組み、育児休業取得率の向上、育児休業複数回
与えられ、従業員がいきいきと働ける職場づくりを実践して
取得者の増加につなげています。
います。
さらに、次世代育成支援対策法に基づく行動計画を策定し、
より働きやすい環境づくりに向けた制度導入・整備を図って
人権の尊重と人権教育
正しい人権意識を持つことは、社会生活を送るうえで最も基
本となる事項です。ニチコングループで最も大切にしているこ
います。
働きやすく、
やり甲斐の持てる職場環境づくり
とのひとつであり、
「ニチコングループ行動規範」
の中でも、
「全
従業員が安心して、
また快適に仕事に取り組めるようにする
ての人の基本的人権の尊重」
を掲げています。
ため、ニチコングループでは福利厚生制度を充実させていま
人権教育については、
毎週行う職場ごとの朝礼時に行動規範
す。社会保険や労働保険といった法定福利はもちろん、
「 健康
の読み合わせを行っています。
づくり」
「財産づくり」
「生活の安心づくり」
「生きがいづくり」
「老
後生活の安心づくり」
という5つの分野における法定外福利を
設け、
従業員のライフプランをサポートしています。
教育研修制度
ニチコングループでは、
「人」
こそ最大の経営資源であり、企
業のエネルギーであるとの観点に立ち、
「新入社員研修」
「営業
朝礼時に行動規範の読み合わせ
研修」
「 階層別研修」
「 大学との連携によるMOT
(技術経営)
教
育」
「エチケット・マナー研修」
を通じて、人の質の向上に注力し
ダイバーシティ
(多様性)
の推進
ています。EQ
(こころの知能指数)
とIQ
(知能指数)
を両立させ
るものから高度・専門的な内容まで多様な人材育成プログラム
ニチコングループでは、ダイバーシティの推進に取り組んで
によって、
能力開発を支援しています。
います。
また、多彩なコースの通信教育講座も用意し、従業員一人ひ
障害者雇用については、法定雇用率の達成とこれを維持す
とりが研修や自己啓発を通じて能力を向上させることができる
るため、
継続的な求人活動を展開しています。
ようにしています。
高齢者雇用においては、
これまでに積み上げた経験とスキル
を会社の発展に活かすことができる制度として、定年到達後の
再雇用制度を導入しています。
表彰制度・発明考案報奨制度
仕事で功績のあったグループ・従業員や成績優秀で模範と
なる従業員を表彰する制度を設けています。表彰は毎年1回、
創立記念日に行っており、表彰された従業員は社内報に氏名や
内容が公表され、
賞品または賞金が授与されます。
また、研究開発に携わる従業員の意欲を高めるため、ニチコ
ングループでは、業務上の特許・実用新案・意匠について報奨
金を支給する
「発明考案報奨」
制度を設けています。2011年度
の報奨実績は147件でした。
21
社会・環境報告書
2012
度数率(100万時間当りの休業災害件数)
労働安全衛生の確保
(件)
ニチコングループの各事業所では、作業者の安全衛生意識
を高揚するために、作業前の安全唱和やKYT
(危険予知訓練)
2.0
1.0
安全衛生教育を実施しています。特に、新入社員に対する安全
0.5
各作業における安全作業を徹底して教育しています。
1.750
1.090
1.120
1.5
で潜在する
「危険」
を洗い出し注意喚起しているほか、定期的に
衛生教育では、
「安全第一」
をスローガンにOJTをはじめとした
1.830
0.333
2007
2011年度のグループ全体での取り組みとして
「労働災害の
完全撲滅と作業手順の遵守」
を重点テーマとして掲げました。
特に年4回実施するクロスチェックでは、本社をはじめ他事業所
から環境安全衛生委員会に参加し、労働安全衛生に関する他
ニチコン
2008
全産業
1.610
1.620
0.990
0.980
1.050
0.186
0.000
0
1.620
2009
0.371
2010
業所へ配信し活動の温度差やばらつきを軽減するよう努めて
います。
(年度)
強度率(1,000労働時間当りの労働損失日数)
(日)
0.2
0.1
自事業所の活動に反映させています。また、各事業所の活動状
況として指摘を受けた点や改善状況を全社的にとりまとめ、事
2011
製造業
事業所の問題点について相互確認を行いました。指摘を受け
た点は対策を講じて改善するとともに、優れた点にも目を向け
0.551
0
0.110
0.100
0.100
0.100
0.001
0.000
2007
ニチコン
0.090
0.080 0.090
0.008
0.001
2009
2008
全産業
0.090
2010
0.110
0.080
0.021
2011
(年度)
製造業
事例紹介
ニチコン草津(株)
消火器取扱訓練
交通安全啓発活動
電気取扱主任者講習会
救命講習会
環境安全衛生委員会
初期消火放水訓練
ニチコン岩手(株)
VOICE
「安全第一」
を主眼とした活動を継続しています
ニチコン長野株式会社 総務課長
笠原 常男
ニチコン長野
(株)
では、労働災害の
発生を防止するため、2010年6月、各
職場単位で
「職場安全推進委員
(任期:
6カ月)
」
を選任し、組織的な運営を開始
しました。
上司や安全管理者が報告内容についてアドバイスを行うこと
で、PDCAを回しています。
労働災害ゼロを目指すにあたって、
「主人公は従業員一人ひ
とり」
であり、
キーポイントは
「人」
です。ヒューマンエラーは一歩
間違えば大事故につながるからです。重要なのは、過去の労働
安全推進委員は、自身の目で見た危険な箇所や改善すべき
災害を教訓に、小さな危険の芽を摘んでいくことです。重篤災
事項についてチェックシートを用いて週単位で確認し、その結
害を未然に防ぐため、
「安全第一」
を常に主眼とした取り組みを
果を上司や安全管理者に報告します。報告内容をもとに各職場
トップダウンとボトムアップの両面から継続しています。
社会・環 境 報 告 書
2012
22
環境とニチコン
かけがえのない地球環境を守り、次世代に受け継いでいくために、
ニチコングループは、環境憲章に基づいて、
企業活動のあらゆる面で環境保全に取り組みます。
ニチコングループ環境憲章 (1997年12月制定、2001 年7月改訂)
ネ!
シク
ヨロ
環境理念
ニチコングループは、
「地球との共生」
「人と環境に優しい社会」
を目指し、
企業活動のあらゆる面において、
環境保全に配慮して行動します。
活動指針
ニチコン株式会社では、
全社・全グループの環境保全活動を進めるために、
ニチコンの環境マスコット 環太郎
資源の有効活用、
環境汚染防止を最優先とした下記の全社共通の活動指針を掲げます。
また、
これ以外にも、
事業所ごとに事業内容、
地域の特徴を踏まえた独自のテーマが設定されており、
企業活動のあらゆる側面において環境負荷の低減に向けた取り組みを進めます。
1.環境への影響を配慮した製品の提供に努める。
2.関連する法律、規制などを遵守するとともに、自主管理基準を導入し、運用を図る。
3.資源・エネルギーの使用量の削減を図る。
4.廃棄物の削減とリサイクル化に努める。
5.オゾン層破壊物質、地球温暖化物質、有害物質の使用・排出は、代替物質の使用、回収、リサイクルにより削減を図る。
6.環境教育を実施し、環境理念・事業所環境方針の理解と、環境に関する意識向上を図る。
7.地域社会の環境保全活動に参画し、社会に貢献する。
8.環境監査等を通じて自主管理活動の継続的改善を図る。
23
社会・環境報告書
2012
環境とニチコン
環境マネジメントの推進
環境保全組織
環境監査
ニチコングループは、CSR室長を環境管理総括責任者とし、
各事業所の取り組み状況については、事業所ごとの内部環
環境管理委員会で環境保全活動に関する戦略・方針・目標・施
境監査(マネジメントシステム監査、遵法監査、環境パフォー
策などを審議・決定し、
環境保全活動を推進しています。
マンス監査)と認証機関による外部監査、また、全グループを
決定した内容は各工場・事業所に周知され、
PDCAサイクル−
視野に入れた各事業所に対する本社監査を毎年実施し、環境
Plan
(計画)
、Do
(実行)
、Check
(監視)
、Action
(改善)
−を回し
マネジメントシステムが有効に機能し、成果を上げているか否
ながら環境経営の質と環境改善パフォーマンスを向上させて
かを確認しています。
います。
また国内の各製造事業所では、事業所長が環境管理総括責
任者として、EMS管理責任者を任命するとともに、事業所ごと
2011年度の外部審査結果
認証取得事業所
指摘事項
改善の機会
ストロングポイント
グッドポイント
の環境影響に適した環境方針を定め、
それに沿った環境保全活
ニチコン製箔
(株)
大町工場
0
9
2
動を実施しています。
ニチコン製箔
(株)
富田工場
0
5
0
また、環境に関する事業所の活動計画などは工場環境管理
ニチコン草津
(株)
0
4
3
委員会で審議・決定されます。
ニチコン亀岡
(株)
0
5
1
ニチコン長野
(株)
0
3
1
ニチコン大野
(株)
0
6
1
ニチコンタンタル
(株)
0
9
1
ニチコン岩手
(株)
0
6
1
ニチコングループは地球との共存を目指して、1996 年 8 月
ニチコンワカサ
(株)
0
2
1
にグローバルスタンダードに準拠した環境マネジメントシステ
合 計
0
49
11
ISO14001認証取得状況
ム確立のため、国際規格 ISO14001 の認証取得方針を決定し
ました。
この方針に基づいて、国内外の全製造事業所
(国内9事業所、
海外4 事業所)
において認証を取得しています。
環境教育・啓発活動
環境教育としては、事業所ごとに
「環境マネジメントシステム
に基づく教育
(EMS教育)
「
」新入社員に対する教育」
「内部環境
VOICE
監査員の養成」
「階層、専門別教育」
などを年間延べ190回実施
質の高い内部監査を
実施していくために
しました。
ニチコン岩手株式会社
管理部長
ELV指令などで使用が禁止されている有害物質についての教
滝川 伸也
育にも力を注いでいます。環境に配慮した企業経営には、従業
特に近年は設計・開発などの技術部門を対象に、RoHS指令、
員の一人ひとりが環境問題を意識することが大切です。従業員
内部監査はどのように機能し、
ど
れだけ役に立っているのでしょうか。
内部監査に不適合の指摘がない
からと言って、必ずしも問題なく機能し、役立つ内部監査に
なっているとは言えません。たとえ内部監査を実施していて
も、内容がマンネリ化・ワンパターン化したり、監査の結果が
マネジメントシステムの改善につながっていなければ、経営
資源の無駄遣いにしかならないと思います。
内部監査の質向上のため、今後も内部監査員として努力
していきます。
への環境教育の重要性を認識し、今後も継続的に取り組んで
いきます。
環境関連資格の保有状況については、環境保全活動の充実・
強化のためにも、
また、環境に関する意識向上のためにも、
より
多くの従業員の資格取得を推進しています。そのため、業務を
通じての教育に加え、資格取得に役立つ通信教育の受講を推
奨しています。
また、2011年度は、資格所有者のさらなる増員に向け、技術
者講習会などに参加して自己啓発を図る機会を増やしました。
その結果、2011年度の環境関連資格の新規取得者は、
グルー
プ全体で延べ46名となりました。
社会・環境報告書
2012
24
環境とニチコン
事業活動に伴う環境負荷データ
ニチコングループでは、事業活動と環境とのかかわりを数値
19,062kℓ
(3.9%減)となりました。アウトプットでは、CO2 排
として把握し、環境負荷低減に活かしています。
出量が 474,878t-CO2 から455,363t-CO2(4.1%減)となり
2010 年度と2011 年度を比較すると、インプットでは主な
ました。
エネルギー使用量として電気使用量が 1,000,662 千 kwh か
また、廃棄物再資源化率は 99.7%であり、廃棄物処分量は
ら959,141 千 kwh(4.1%減)、重油使用量が 19,837kℓから
231tから212t
(8.2%減)
となりました。
INPUT
電 気
化学物質
ガ ス
重 油
紙
上 水
地下水
5,217,758 枚
15 万 t
953 万 t
(PRTR対象)
化学
物質
959,141 千 kwh
19,062k
285,333 kg
316 t
OUTPUT
化学物質
CO2 排出量
NOx 排出量
SOx 排出量
(PRTR対象)
CO2
NOx
SOx
化学
物質
455,363t-CO2
60 t
57t
18 t
排水量
BOD
COD
BOD
COD
16 t
9t
783 万 t
廃棄物
処分量
廃棄物
再資源化量
212 t
70,030 t
今後の取り組みとしては、効率的な生産活動を推進し、生産
活動についても再資源化率 99%を維持し、今後も埋め立て廃
高原単位でのエネルギー使用量とCO 2 排出量の削減に努め
棄物ゼロと省資源を目指した活動を継続していきます。
ます。また、廃棄物対策として取り組んできたゼロエミッション
環境会計
環境会計についての考え方
2011年度の結果
ニチコングループでは、2000 年度から、環境パフォーマン
2 0 1 1 年 度 の 環 境 会 計では、環 境 保 全コストの 合 計 が
スの向上と、その情報公開を目的に、環境保全コストとその効
1,416 百万円であったのに対し経済効果の合計金額は 159 百
果を計るための環境会計を導入しています。下記データは、環
万円でした。環境保全に関する投資として、省エネ化を推進す
境省から公表された「環境会計ガイドライン 2005 年度版」に
るため、工場棟の遮熱塗装、コンプレッサーのインバータ化な
準じて集計したものです。
どを行うとともに老朽化設備を更新しました。
対象期間
集計範囲
2011年4月1日∼2012年3月31日
国内でISO14001認証取得している9事業所
環境保全コスト
(投資)
環境保全コスト
(費用)
(百万円)
300
1,500
232
200
1,000
212
124 15
100
5
15
0
2009
公害防止
研究開発
25
環境会計経済効果
(百万円)
22
2010
10
12
61
48
社会・環境報告書
2012
2009
771
15
312
226
96
4
207
253
82
2010
300
1,292
823
800
0
公害防止
研究開発
1,472
1,346
500
2011 (年度)
地球環境
資源循環
その他
(管理活動、
社会活動、
環境損傷)
(百万円)
200
16
229
178
98
2011 (年度)
地球環境
資源循環
その他
(管理活動、
社会活動、
環境損傷)
100
0
191
106
215
14
119
71
70
2009
2010
26
159
44
95
20
2011 (年度)
使用薬品、
材料等の削減
省エネルギー
廃棄物のリサイクル売却益
環境とニチコン
低炭素社会実現への貢献
CO2排出量削減への取り組み
2011年度の節電への取り組みと結果
ニチコングループでは地球温暖化の原因となるCO2の排出
ニチコングループでは、国内全事業所で
「使用最大電力量
量削減に向け、全グループをあげて取り組んでいます。大量の
15%削減」
を目標に取り組みました。
エネルギーを消費する製造工程では、生産効率の改善と不良
各事業所では、エアコン設定温度の変更、照明の間引き、照
率削減に積極的に取り組み、エネルギーの原単位使用量の削
明エリアの細分化、LED照明への切り替え、自家発電機の活
減に努めているほか、省エネにつながる設備の改善や効率的
用、
ビル照明の消灯など、身近なところから活動を開始し、工場
な稼働を推進しています。
棟屋根の遮熱塗装や勤務シフトの変更・調整など、徐々に活動
また、CO2削減は全従業員参加の活動として捉え、身近なと
の規模を拡大していきました。
ころでは空調温度の適正管理や、不必要な照明・機器の停止、
例えば東北電力管内にあるニチコン岩手(株)では、工場内
通勤車両
(マイカー通勤者)
のアイドリングストップなどを継続
蛍光灯のLED化推進、コンプレッサーのインバータ化、重油
して実施し省エネ化を進めています。また、納入業者の車両に
炊き吸収冷温水機の設置などに加え、エアコン室外機の清掃
も、エコドライブ
(急発進、急加速はやめる)
や、アイドリングス
と散水により冷房効率を上げるなど省エネ化を推進しまし
トップキャンペーンへの協力を求めています。
た。また、工程内に「現在の使用電力」「節電啓蒙ポスター」を
一方、製品の発送にあたっては、分納していたものは、その
掲示するなど徹底した節電に取り組みました。ニチコング
回数を削減したり、発送便を混載便に変更するなど、物流面に
ループでは、こうした取り組みが功を奏し、生産に支障をき
おいてもCO2削減に取り組んでいます。
たすことなく乗り切ることができました。
こうしたCO2削減活動の輪が、事業所からサプライヤー、地
域へと広がっていくことを期待しています。
事例紹介
使用エネルギーの変遷
LPG 0.67%
LPG 0.14%
A重油 20.55%
A重油 7.23%
コンプレッサーのインバータ化
ニチコン岩手
(株)
では、工程内で使用電力の多いコンプ
レッサーの電力量の削減を目的に、
インバータ式コンプレッ
サーに更新しました。その結果、使用電力量を755千kwh/
年、
CO2を246.2t-CO2/年削減することができました。
2011年度
1992年度
インバータ式コンプレッサー
電気 78.78%
電気 92.63%
CO2排出量
(t-CO2)
(t-CO2/億円)
1000,000
800,000
385.15
429.64
455.37
448.42
400,000
ニチコン岩手株式会社
製造部 設備課長
422.81
400
300
392,688
474,878
384,328
従業員のベクトルを合わせて
節電目標を達成しました
500
600,000
460,257
VOICE
455,363
200
200,000
100
0
0
丸山 久雄
ニチコン岩手
(株)
では、節電にあ
たって無駄の
「見える化」
を徹底し、
従業員の節電意識を高め、ベクトル
を合わせていきました。環境活動においては人の動きや考
え方が重要であり、従業員の意識が変われば、対策もスムー
2007
CO2排出量
2008
2009
2010
2011
(年度)
ズに進みます。会社側の考えを明確にし、従業員が共感でき
る形で節電を呼びかけたことで大きな成果があがりました。
売上高原単位
社会・環境報告書
2012
26
環境とニチコン
廃棄物削減と資源の有効活用
廃棄物削減、
リサイクルへの取り組み
廃棄物の適正管理
ニチコングループでは、循環型社会の構築を目指し、廃棄物
ニチコングループでは外部の業者に産業廃棄物の処理を委
の削減とリサイクルの推進を図っています。ゼロエミッションの
託しています。産業廃棄物は排出者の責任で処理しなければ
定義を
「廃棄物総発生量の98%以上を再資源化する」
ことと
ならないため、その責任は重く、不法投棄や汚染事故を防止す
し、2002年度以降、達成してきました。
るための管理に努めています。廃棄物処理を委託する際には、
2011年度は、紙、金属屑、廃プラスチックなどの有価物化を
委託先の事前監査を実施する
さらに推進したことで、再資源化率は99.7%を維持することが
ほか、委託後も自ら最終処分
できました。
の現地確認を実施し、定期的
な監査を継続することで委託
廃棄物総排出量、再資源化量、再資源化率
(t)
100,000
80,000
99.6
99.7
86,478 85,714
100
84,285 83,619
70,598 70,030
61,986
60,341
62,576
60,884
60,000
(%)
99.7
99.7
99.7
80
60
先の廃棄物処理の状況を評価
しています。
また、日々の管理として、廃
棄物置場の巡回点検、産業廃
棄物管理票(マニフェスト)
に
40,000
40
よる管理を徹底し、廃棄物の
20,000
20
適正管理に努めています。
0
0
2007
総排出量
2008
再資源化量
2009
2010
2011
廃棄物処理フロー
(年度)
廃棄物・有価物発生量
再資源化率
廃棄物発生量内訳
産業廃棄物処理委託業者監査
70,598 t
最終処分量
金属屑 2%
廃プラ 1%
廃油 1%
汚泥 22%
その他 2%
陶磁器屑 11%
その他 1%
廃プラ 24%
直接再資源化
68,414t
中間処理委託
2011 年度
71t
再資源化量
処分量
中間処理後
再資源化
中間処理後
最終処分
70,030t
2011 年度
直接最終処分
2,114t
1,616t
212t
142t
再資源化品目
総排出量内訳
廃酸 73%
汚泥
30%
紙屑 33%
汚 泥:凝集剤、金属回収(ニッケル)
廃プラ:燃料、セメント材料
廃 油:助燃剤、再生回収
金 属:再生金属(アルミ、タンタル)
事例紹介
廃棄物削減およびリサイクルの推進
資源の有効活用
ニチコン亀岡
(株)
の磁器部門では、
製造工程から発生する原
ニチコン大野
(株)
第二工場では、2009年8月から、従業員一
料スラッジをセメント材料に、
また、各職場で発生する紙くず類
人ひとりが身近に取り組める環境活動の一環として
「エコポイン
や廃プラスチックを固形燃料に、業者を通じて再資源化を推進
トカード」
を用いた環境負荷低減活動を実施しています。
し、
資源の有効活用に努めています。
この活動は、食事時のマイ箸持参や通勤車両のガソリン積載
量削減による燃費向上など、個人レベルでの貢献度を見える化
するとともに、環境活動への意識向上に役立てています。継続
的に参加を呼びかけた結果、
2011年度の従業員参加率は80%
強となりました。今後もさらに参加率向上に努めます。
廃棄物から再生した固形燃料
27
社会・環境報告書
2012
環境とニチコン
化学物質の適正管理とリスクマネジメント
化学物質の排出・移動量の削減
ニチコングループでは、PRTR法※に基づき、対象となる化学
質のうち取扱物質が20物質、届出対象物質は13物質で6月
物質について取扱量、排出量、移動量を把握し、行政に対して
30日までに行政への報告を完了しました。
報告するとともに、有害化学物質
(PRTR対象の第一種指定化
※ PRTR法:PRTRはPollutant Release and Transfer Register
(環境汚
染物質排出移動登録)
の略で、有害性のある化学物質がどのような発生
源から、
どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事
業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計・公表する仕組
み。PRTR法は、
「特定化学物質の環境への排出量の把握および管理の改
善の促進に関する法律」
のこと。
学物質)
の排出量
(大気、水域、土壌などの環境への排出)
の削
減に取り組んでいます。
2011年度のPRTR調査結果は、第一種指定化学物質462物
PRTR 調査結果(2011年度:国内)
(t)
排出量
取扱量
大気への
排出
公共用水域
への排出
土壌への
排出
移動量
埋立処分
排出量
合計
下水道への
移動量
その他
(廃棄物)
移動量
合計
2011年度
316.59
7.22
10.79
0.00
0.00
18.01
0.00
16.42
2010年度
299.27
5.44
10.86
0.00
0.00
16.26
0.00
16.71
16.74
2009 年度
1,377.39
5.24
10.69
0.00
0.00
15.93
0.00
134.14
134.14
2008 年度
1,530.88
5.88
10.18
0.00
0.00
16.06
0.00
153.43
153.43
2007 年度
2,105.85
7.17
10.77
0.00
0.00
17.94
0.00
262.33
262.33
2006 年度
2,110.19
7.87
10.28
0.00
0.00
18.15
0.00
271.68
271.68
16.42
大気・水質汚染防止
緊急事態に備えた訓練の実施と改善
ニチコングループでは、大気・水質汚染防止について、法や
各事業所では、環境影響評価によって潜在的危険要因を分
条例の排出基準を上回る厳しい自主基準を設定しています。
析・登録するとともに、油や化学物質の万一の漏洩を想定した
環境マネジメントシステムをベースに汚染物質を厳重に管理
緊急事態に対応するための訓練を実施しています。また緊急
し、汚染防止を図っています。
処理対策備品を配備するなど、緊急事態が起こった際の外部
への漏洩事故防止を図るとともに、
訓練結果に基づき想定され
る改善点を見出し、
改善を重ねています。
排水分析のためのサンプリング
ニチコン大野
(株)
第二工場
ボイラーばい煙測定
ニチコン草津
(株)
漏れ受けの新規取り付け
VOICE
塩酸漏れを想定した訓練を実施しました
ニチコン長野株式会社
製造一課 素子係 班長
古田 智幸
耐薬品用の手袋、長靴、塩酸ガス用
保しつつ迅速な作業ができるよう作業手順を確認・理解して訓
練を重ねていかなくてはいけないと感じました。
の防毒マスクを着用して訓練に臨みま
した。塩酸漏れを経験したことはない
塩酸の漏洩はあってはならないことですが、万一の時に素早
のですが、
このような装備を身に着け
く的確な行動が取れることが大切です。訓練を重ねることで緊
ると塩酸がいかに危険な薬品かを改めて実感しました。対処が
急時にも確実に環境への影響を最小限に留める体制ができる
遅れただけ周辺環境への影響が大きくなりますので、安全を確
ものと考えています。 (EMS事務局)
社会・環境報告書
2012
28
環境とニチコン
製品・技術による環境負荷低減
製品開発における基本姿勢
REACH規則への対応
ニチコングループは
「地球との共生」
を目指し、環境保全に寄
最終製品が消費者の手に渡るまでには、原材料から素材、部
与する製品づくりを各事業所で進めています。
品、
モジュール品、最終製品までのモノの流れがあり、非常に長
フ
ポリ塩化ビニル
(PVC)
レス、鉛フリー、六フッ化硫黄
(SF6)
いサプライチェーンを通ることになります。
リー製品として
「Geo
(ジオ)
○○○」
の名称をつけた製品のほ
(化学物質の登録・評価・認可および制限に関
REACH規則※
か、省電力・省資源でエネルギーの有効利用に貢献する製品や
する規則)
では、
高懸念物質
(SVHC:Substances of Very High
廃棄時に有害物質による環境汚染を防止する
「環境に優しい製
Concern)
が製品中に0.1%以上含まれる場合、消費者や製品
品」
を開発しています。中でも、
ハイブリッドカー
(HV)
や電気自
の供給者にその含有情報を伝達する義務があります。SVHCと
動車
(EV)
向けには、電気エネルギーを経済的に創り、効率よく
は、許容できないリスクを人や環境に与える物質を指し、欧州
蓄え、使用するためのEV用小型急速充電器、車載用充電器、
化学品庁
(ECHA)
が年2回の頻度で新しいSVHCを公表してお
EVパワーステーション、
ホーム・パワー・ステーションなどの製品
り、2012年7月現在84物質あります。当社ではサプライチェー
を提供しその普及に貢献しています。
ンを通じSVHCを含む含有化学物質の情報を収集し、提供して
います。
RoHS指令への対応
ニチコングループは、RoHS指令※
(特定有害物質の使用制
※ REACH規則:Registration, Evaluation & Authorization of Chemicals
の略。2007年6月より施行されているEUの新たな化学物質規則で、化
学物質の安全性評価を製造・輸入する企業に義務づけ、化学物質を登録
制として危険性の高い物質の使用を制限するもの。
限に関するEU指令)
への対応として、鉛フリー製品を標準品と
して販売しています。EUのRoHS指令は、2011年7月1日に改
正法が公示され、2013年1月2日までにEU各国で国内法とし
製品の環境性能を確保するグリーン調達
て発効されます。今回更新された項目についても、確実に対応
ニチコングループでは、
2005年に初版を制定した
「ニチコン
していきます。
グループグリーン調達ガイドライン」
を法規制の動向にあわせ
また、中国でも電気・電子機器に対し
「電子情報製品汚染制
て改訂し、
2012年2月より第7版を運用しています。
御管理弁法」
(中国版RoHS)
が2007年3月に施行されるなど、
当社の製品をお客様に安心してご使用いただけるよう、現在
化学物質の規制は今や世界各国で実施されています。同じ物
の第7版では44種の禁止物質、
5種の削減物質、
8種の管理物質
質の規制でも異なる除外項目が設けられていたり、
段階的に規
を定め、
取引先様に当社のグリーン調達の考え方を理解・実践い
制したりと、規制の内容は一様ではありませんが、いずれの法
ただいた結果、
厳しい管理のもとで生産された部材・部品を供給
規制にも正しく対応することが求められます。ニチコングルー
していただけるサプライチェーンを構築することができました。
プは最新の法規制情報を入手し、環境に配慮した設計思想で
製品を開発し、
お客様のニーズに応えています。
※ RoHS指令:Restriction of the use of certain Hazardous Substances
in electrical and electronic equipmentの略。
(2006年7月からEU
各国にて施行)
VOICE
製品をお客様に安心して
ご使用いただくために
技術本部
技術部 係長
田村 浩一
ELV指令への対応
ニチコングループでは、ELV指令※
(使用済み自動車に関す
当社では、環境に配慮した製品設
る欧州議会および理事会指令)
への対応はもとより、自動車特
計から量産後検査の実施まで懸念
物質が工場に持ち込まれないため
有の熱や振動の加わる過酷な使用条件を満たす車載用高機能
品を提供しています。
の維持管理などを徹底しています。また、規制動向にも注意
※ ELV指令:End of Life Vehiclesの略。自動車への特定有害物質の使用
を制限し、廃車時のリサイクルを円滑にすることを目的とする指令で、
2003年7月1日以降に登録される新車について、一部の代替技術の確
立が困難な部品を除き重金属
(鉛、
カドミウム、水銀、六価クロム)
の使用
禁止を要求するもの。
を払い、懸念物質が新たに追加されていないかを定期的に
調査しています。追加があった場合には、使用部材中に含有
されていないかを調査し、含有していた場合は削減・排除に
向けて取り組みます。
今後も経営理念にある
“より良い地球環境の実現”
に向
け、当社が長年培った技術を最大限活用し、環境にやさしく、
かつ顧客ニーズを先取りした製品開発に努めていきます。
29
社会・環境報告書
2012
環境とニチコン
地球との共生を目指したニチコンの環境配慮製品
世界最小、最軽量の
「超小型急速充電器」
を
開発
テムの稼動により再生可能エネルギー利用の拡大と促進が可
能となることが評価され、本システムはJECA FAIR2012∼第
60回電設工業展∼製品コンクールにおいて、
「一般社団法人日
近年、社会インフラとして充電設備の整備が急速に進んでい
本電設工業協会 再生可能エネルギー促進賞」
を受賞しました。
ます。安全で設置コストの負担が少なく、短時間で充電できる
2011年には名神高速道路吹田SAに設置した
「太陽電池・蓄
設備へのニーズに応えるために、当社は従来品よりも小型化を
電池併設の低圧受電型EV用急速充電システム」
が同コンクー
図ったEV用急速充電器
(CHAdeMO方式)
を開発しました。
ルにて
「環境大臣賞」
を受賞しており、2年連続の受賞となりま
EV用車載充電器の技術を応用し、主要部材を共通化すること
した。また、名神高速道路吹田SAのシステムは、日刊工業新聞
で世界最小・最軽量のEV用急速充電器を実現しました。また、
社様から
「わが国産業の発展と技術の向上に寄与するもので
装置をユニット構成とすることで、高信頼性と高生産性の達成
ある」
と認めていただき、2012年1月26日に
「十大新製品日本
に加え、優れたメンテナンス性を実現しました。さらに、小型・軽
力
(にっぽんぶらんど)
賞」
を受賞しました。
量化の実現により、搬入・設置に伴う基礎工事のコストを低減
こうした受賞を励みに、
さらに研鑽を積み、
お客様のご期待に
できる点は大きな利点であり、急速充電器を導入されるお客様
お応えできる製品の提供に全力を挙げて取り組んでいきます。
のご負担を総合的に軽減できます。
出力容量は、お客様のニーズに合わせ、10kw、20kw、
30kw、50kw出力品をラインアップし、市場から高い評価を
いただいています。ラインアップを拡充することで、地方公共
スマートメータ用低抵抗電気二重層
コンデンサを開発
団体や大企業だけでなく、中小企業や個人企業のお客様にも
リード線形電気二重層コンデンサは、
ゲーム機の電源バック
EV用急速充電器の設置をご検討いただきやすくなり、充電イ
アップ用やプリンタ、プロジェクタの補助電源用などに使用さ
ンフラの整備に貢献するものと考えています。
れるほか、近年世界的に普及が進むスマートメータの電源バッ
クアップ用として注目されています。スマートメータは無線通
「創エネ」
&
「蓄エネ」
型エネルギー
マネジメントシステム
信を行う際に瞬間的な出力を要するため、抵抗の低い電源デ
バイスが求められます。また、
スマートメータは屋外に設置され
るため、電源デバイスには幅広い温度領域での使用が求めら
当 社は、本 社ビ ル 屋 上に自社 製 電 気 二 重 層コンデンサ
れ、特に低温時の抵抗特性の改善が求められていました。こう
(EDLC)
を用いた蓄電型太陽光発電システムを設置していま
した要望に応え、
リード線形電気二重層コンデンサの低抵抗品
す。また、風力発電の大きく変動する発電量をリチウムイオン
として
「UKシリーズ」
を新たにラインアップしました。
電池に蓄電することによって平準化する系統連系円滑化蓄電
「UKシリーズ」
では、安全性や環境に配慮した電解液を採用
システムなどの開発に取り組んでいます。
こういったバッテリー
し、抵抗特性を最大限引き出せる液組成とした結果、現行品の
マネジメント技術や電気二重層コンデンサ技術、系統連系パ
「UMシリーズ」
と同サイズ比で最大1/3の低抵抗化を実現し、
ワーエレクトロニクス技術などを融合することにより、
太陽光発
同時に低温特性も大幅に改善しました。
電、
リチウムイオン電池、急速充電器をオールインワンでまと
電源バックアップ用としては、他にもドライブレコーダやスト
めた
「創エネ」
&
「蓄エネ」
型エネルギーマネジメントシステムを
レージサーバなどにも適しており、二次電池からの置き換えに
製品化し、
お客様のご利用にあわせたシステム構成を提案する
よるメンテナンスフリー化や環境負荷の低減を図ることが可能
ことで納入実績を重ねています。
となります。
山梨県米倉山メガソーラーPR施設『ゆめソーラー館やまな
し』
に設置したシステムは、太陽光発電、水力発電、燃料電池か
らの電力を蓄電ユニットに送るDC-DCコンバータ、予備として
商用電源からの電力を蓄電ユニットに送るAC-DCコンバータ、
大容量のリチウムイオン電池
と電気二重層コンデンサから
なる蓄電ユニットおよびEV用
スマートメータ用低抵抗電気二重層コンデンサ
急速充電器などで構成されて
おり、独自の技術で系統電力
「創エネ」
&
「蓄エネ」
型
エネルギーマネジメントシステム
を必要としない自立による運
転を可能にしています。本シス
社会・環境報告書
2012
30
ニチコン株式会社
〒604−0845
京都市中京区烏丸通御池上る
TEL.075−231−8461 FAX.075−256−4158
http://www.nichicon.co.jp/
この報告書の内容に関するお問い合わせ先
総務部/環境管理室
TEL.075−241−5319 FAX.075−256−4158
[email protected]
発行:2012年10月
次回発行予定:2013年9月
これまでの発行:2001年9月、2002年10月、
2003年9月、2004年10月、
2005年9月、2006年10月、
2007年9月、2008年9月、
2009年9月、2010年9月、
2011年9月
地球環境保護のため、この印刷物はFSC®認証紙および植物油インキを使用しています。
また、有害物質を使用しない水なし印刷方式で印刷しています。