用語の説明 14. 端子間容量: Ct 1. 暗抵抗: Rd 光導電素子 (PbS, PbSe, MCTなど)の暗中での素子抵抗。 2. 暗電流: ID 光起電力素子 (InGaAs, InAs, InSbなど)に逆電圧を印加する と、暗中でも微少な電流が流れます。これを暗電流と呼び、検出 限界を決める要因となります。 3. NEP (Noise Equivalent Power) 雑音量に等しい入射光量、 つまり信号対雑音比 (S/N)が1とな る入射光量。弊社は最大感度波長 (λp)での値を規定しています。 雑音量は、周波数帯域幅の平方根に比例するため、 バンド幅を1 Hzで正規化します。 NEP [W/Hz1/2 ] = 雑音電流 [A/Hz1/2 ] 受光感度 [A/W] at λp 4. FOV (Field Of View) 視野角。視野は背景放射による雑音と関係があり、D*に大きな 影響を及ぼします。 5. オフセット電圧 入力がゼロのときのアンプ出力直流電圧。 6. 感度 1) 受光感度: S ある波長における入射光量1 W時の出力、つまり光電感度を 示す値。 通常、 光導電素子の場合の単位はV/W、 光起電素子はA/Wです。 ただし、 フォトンドラック検出素子は、CO 2レーザのパルス入射エネ ルギー1 kWに対する出力電圧として表します。 2) 感度 黒体炉などを光源とし、一定条件下で光導電素子を動作させ たときの出力電圧。 7. 光起電力素子 (フォトダイオード) 半導体のPN接合部に光を照射すると、電流や電圧を発生す る受光素子。InGaAs, InAs, InSb, MCTなどがあります。 8. 光導電素子 光が入射すると導電率が大きくなる受光素子。PbS, PbSe, MCT などがあります。 9. 最大感度波長: λp 受光感度が最大となる波長。 10. (最大)逆電圧: VR (Max.), (最大)印加電圧 光起電力素子に逆電圧、 あるいは光導電素子に電圧を印加し ていくと、 ある電圧でブレークダウンを起こし、素子の特性が著しく 劣化します。そのため、 この電圧値より少し低目のところに絶対最 大定格を定めています。定格値以上の電圧は印加しないでください。 11. (最大)許容電流 光導電素子の動作時に流すことができる電流の上限の値。電 流を最大許容電流以上に流すと、 素子の特性を劣化させるため、 絶対に避けてください。 光起電力素子は、PN接合により1つのコンデンサが形成されて いると考えることができます。この容量を接合容量といい、応答速 度を決める大切な値になります。オペアンプを用いたI-V変換回 路では、 ゲインピーキング現象の要因になる場合があります。弊社 では、接合容量にパッケージの浮遊容量を含めた端子間容量と して規定しています。 15. 短絡電流: Isc 短絡電流は、負荷抵抗0のときの出力電流を示し、 おおむね素 子の面積に比例します。分光感度に対して白色光感度と呼ばれ、 光源に分布温度 (色温度)2856 Kの標準タングステンランプ (照 度100 lx)を使用します。 16. 長波長側カットオフ: λc 分光感度特性の長波長側の限界を示す値。データシートでは、 最大感度の10 %になる波長を記載しています。 17. チョッピング周波数 赤外線検出素子の感度測定時、チョッパを使って入射光を ON-OFFさせる方法があります。そのときのチョッパの周波数をチ ョッピング周波数といいます。 18. D* (ディ・スター: 比検出能力) 1 Wの光入力があったときに、検出素子の交流的なS/Nがどれ だけあるかを示すもので、検出素子面積によらずに材料の特性そ のものを比べられるように検出素子面積1 cm2、雑音帯域 1 Hzで 規格化されています。D*の表示は一般にD* (A, B, C)のように 表し、Aは光源の温度 [K]または波長 [µm]、Bはチョッピング周 波数 [Hz]、Cは雑音帯域幅 [Hz] を意味します。単位はcm・ Hz 1/2 /Wで、D*が高いほど、 よい検出素子といえます。 なおD*は以下の式から求められます。 1 D* = tr [s] = 0.35 fc [Hz] 13. 上昇時間: tr 上昇時間は、 ステップ関数の光入力に対する立ち上がりの時間 で規定し、 出力が最高値 (定常値)の10 %から90 % (または0 %か ら63 %)になるまでの時間。光源には、 検出素子に応じてGaAs LED (0.92 µm)やレーザダイオード (1.3 µm)などが使われます。 1 P・A 2 Sは信号、Nは雑音、Pは入射エネルギー [W/cm2]、Aは受光面積 [cm 2]、 Δfは雑音帯域幅 [Hz]を表します。また、D*とNEPの間に は以下の関係が成り立ちます。 1 D* = A2 NEP 19. ノイズ: N 300 K背景放射の下における光導電素子の出力電圧。 20. 並列抵抗: Rsh 並列抵抗は、光起電力素子における0 V付近での電圧―電流 比で、弊社カタログでは以下の式で規定しています。このときの暗 電流は、逆電圧が10 mVのときの値です。 Rsh [Ω] = 12. 遮断周波数: fc 出力に変化のない周波数領域から3 dB減衰する周波数。遮 断周波数 (fc)と上昇時間 (tr)の関係は、 おおよそ次の式で表され ます。 S/N・∆f 2 10 [mV] ID [A] 光起電力素子に逆電圧を印加しない用途では、並列抵抗で 発生する雑音が支配的となります。 21. 量子効率: QE 光電流として取り出される電子あるいは正孔の数を入射フォト ン (光子)数で割った値。通常、 パーセントで表されます。量子効 率 QEと受光感度 S [A/W]は、 ある波長 λ [nm]において以下の 関係にあります。 QE = S × 1240 × 100 [%] λ