LTC4150 クーロン・カウンタ/ バッテリ・ガス・ゲージ 特長 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 概要 電荷の量と極性を表示 センス電圧範囲: 50mV 精密タイマ用のコンデンサと水晶が不要 2.7V~8.5Vで動作 ハイサイド・センス 電荷カウント周波数:32.55Hz/V シャットダウン電流:1.5μA 10ピンMSOPパッケージ LTC®4150はハンドヘルドPCや携帯用機器のバッテリの充放 電状態を測定します。 バッテリの正端子とバッテリの負荷また はチャージャの間に置かれた外部センス抵抗を通して電流を モニタします。電圧から周波数へのコンバータが電流検出電 圧を一連のパルスに変換し、 インタラプト・ピンに出力します。 これらのパルスはバッテリに流れ込む、 またはバッテリから流 れ出す固定量の電荷に対応しています。 このデバイスはさらに バッテリが放電または充電するときの電荷の極性も示します。 アプリケーション LTC4150は1セルまたは2セルのリチウムイオンおよび3セル∼6 セルのNiCdまたはNiMHのアプリケーション向けです。 バッテリ・チャージャ パームトップ・コンピュータおよびPDA ■ 携帯電話およびワイヤレス・モデム ■ L、LT、LTC、LTM、Linear Technology、LinearのロゴおよびBurst Modeはリニアテクノロジー社の 登録商標です。ThinSOTおよびPowerPathはリニアテクノロジー社の商標です。他の全ての商標 はそれぞれの所有者に所有権があります。 ■ 標準的応用例 積分非直線性、 フルスケールの百分比 0.5 + 0.4 LOAD 0.3 4.7µF 4.7µF SENSE– SENSE+ CF+ CF– LTC4150 RL VDD INT CLR POL GND RL CHG DISCHG µP ERROR (% FULL SCALE) RSENSE CHARGER 0.2 0.1 0 –0.1 –0.2 –0.3 SHDN –0.4 4150 TA01a –0.5 –50 –25 0 25 CURRENT SENSE VOLTAGE (mV) 50 4150 TA01b 4150fc 1 LTC4150 絶対最大定格 ピン配置 (Note 1) 電源電圧 (VDD)...................................................... −0.3V~9V 入力電圧範囲 デジタル入力 (CLR、SHDN).................. −0.3V~(VDD+0.3) − SENSE 、SENSE+、CF−、CF+.................. −0.3V~(VDD+0.3) 出力電圧範囲: デジタル出力 (INT、POL).................................... −0.3V~9V 動作温度範囲 LTC4150CMS ........................................................0℃~70℃ LTC4150IMS .................................................... −40℃~85℃ 保存温度範囲................................................... −65℃~150℃ リード温度(半田付け、10秒)..........................................300℃ TOP VIEW SENSE+ SENSE– CF+ CF– SHDN 10 9 8 7 6 1 2 3 4 5 INT CLR VDD GND POL MS PACKAGE 10-LEAD PLASTIC MSOP TJMAX = 125°C, θJA = 160°C/W 発注情報 鉛フリー仕様 テープアンドリール 製品マーキング* パッケージ 温度範囲 LTC4150CMS#PBF LTC4150CMS#TRPBF LTQW 10-Lead Plastic MSOP 0°C to 70°C LTC4150IMS#PBF LTC4150IMS#TRPBF LTQW 10-Lead Plastic MSOP –40°C to 85°C さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 *温度グレードは出荷時のコンテナのラベルで識別されます。 非標準の鉛ベース仕様の製品の詳細については、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 鉛フリー仕様の製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。 テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。 電気的特性 ●は全動作温度範囲の規格値を意味する。 それ以外はTA = 25℃での値。 注記がない限り、 VDD = 2.7Vおよび8.5V。 SYMBOL PARAMETER VIL Digital Input Low Voltage, CLR, SHDN CONDITIONS MIN VIH Digital Input High Voltage, CLR, SHDN VOL Digital Output Low Voltage, INT, POL IOL = 1.6mA, VDD = 2.7V l ILEAK Digital Output Leakage Current, INT, POL VINT = VPOL = 8.5V l VOS Differential Offset Voltage (Note 4) VDD = 4.0V TYP MAX UNITS 0.7 V 0.5 V 1 µA l ±100 ±150 µV µV VDD = 8.0V l ±100 ±150 µV µV VDD = 2.7V to 8.5V l ±150 ±200 µV µV VDD + 0.06 V l l VSENSE(CM) Sense Voltage Common Mode Input Range VSENSE Sense Voltage Differential Input Range SENSE+ – SENSE– RIDR Average Differential Input Resistance, Across SENSE+ and SENSE– VDD = 4.1V (Note 3) VUVLO Undervoltage Lockout Threshold VDD Rising 1.9 0.01 l VDD – 0.06 l –0.05 155 l V 0.05 V 270 390 kΩ 2.5 2.7 V 4150fc 2 LTC4150 電気的特性 ●は全動作温度範囲の規格値を意味する。 それ以外はTA = 25℃での値。 注記がない限り、 VDD = 2.7Vおよび8.5V。 SYMBOL PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS Power Supply Current IDD Supply Current, Operating VDD = 8.5V VDD = 2.7V l l 115 80 140 100 µA µA IDD(SD) Supply Current, Shutdown VDD = 8.5V VDD = 5.5V VDD = 2.7V l l l 10 22 10 1.5 µA µA µA l 32.55 33.1 33.3 Hz/V Hz/V AC Characteristics GVF Voltage to Frequency Gain VSENSE = 50mV to –50mV, 2.7V ≤ VDD ≤ 8.5V ∆GVF(VDD) Gain Variation with Supply 2.7V ≤ VDD ≤ 8.5V ∆GVF(TEMP) Gain Variation with Temperature (Note 2) INL Integral Nonlinearity tCLR CLR Pulse Width to Reset INT, INT and CLR Not Connected Figure 2 tINT INT Low Time, INT Connected to CLR Figure 3, CL = 15pF Note 1:絶対最大定格に記載された値を超えるストレスはデバイスに永続的損傷を与える可 能性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、 デバイスの信頼性と寿命に悪影響 を与える可能性がある。 32.0 31.8 0 0.5 %/V l –0.03 0.03 %/ºC l –0.4 –0.5 0.4 0.5 % % l 20 µs 1 µs Note 2:設計によって保証されているが、 製造時にはテストされない。 Note 3:電源投入後少なくとも20ms経過後に測定する。 Note 4:SENSE+とSENSE−への帰還ループでテストされる。 4150fc 3 LTC4150 標準的性能特性 注記がない限り、TA = 25 ℃。 電圧から周波数への利得と温度 +1.00 +0.50 +0.25 VSENSE = 25mV 0 VSENSE = 50mV –0.25 –0.50 –0.75 –1.00 VSENSE = 50mV +0.75 GVF ERROR (% OF TYPICAL) GVF ERROR (% OF TYPICAL) +0.75 120 +0.50 VDD = 2.7V +0.25 0 VDD = 8.5V 80 –0.50 –0.75 2 3 4 5 6 VDD (V) 7 8 –1.00 -50 9 -25 0 25 50 75 TEMPERATURE (°C) 100 400 VOL (mV) 4 2 1 3 4 5 6 7 8 9 10 VDD (V) 4150 G04 3 4 5 6 7 VDD (V) 8 2.60 IOL = 1.6mA 350 2.59 300 2.58 POL PIN 250 INT PIN 200 150 2.55 50 2.53 3 4 5 6 VDD (V) 7 8 9 4150 G05 RISING EDGE 2.56 2.54 2 10 2.57 100 0 9 低電圧ロックアウト・ スレッショルドと温度 UVLO (V) 5 3 2 4150 G03 デジタル出力の L の電圧とVDD 6 2 60 125 4150 G02 シャットダウンIDDとVDD IDD (µA) 100 –0.25 4150 G01 0 動作IDDとVDD 140 IDD (µA) +1.00 電圧から周波数への利得と 電源電圧 2.52 -50 -25 0 25 50 75 TEMPERATURE (°C) 100 125 4150 G06 4150fc 4 LTC4150 ピン機能 SENSE+ (ピン1) :正のセンス入力。 これは非反転電流センス + 入力です。SENSE は負荷とセンス抵抗のチャージャ側に接 続します。 フルスケールの電流センス入力は50mVです。適正 に動作するには、SENSE+はVDDの60mV以内になければなり ません。 SENSE (ピン2) :負のセンス入力。 これは、反転電流センス入 力です。SENSE はセンス抵抗の正バッテリ端子側に接続し ます。 フルスケールの電流センス入力は50mVです。適正に動 作するには、SENSEはVDDの60mV以内になければなりませ ん。 CF+ (ピン3) :フィルタ・コンデンサの正入力。CF+とCFの間に 接続されたコンデンサにより、 ノイズとバッテリ電流の高速変 動がフィルタ処理され、 平均化されます。 4.7μFの値を推奨しま + す。 フィルタ処理が望ましくない場合、CF とCFは未接続のま まにします。 CF (ピン4) :フィルタ・コンデンサの負入力。CF+とCFの間に 接続されたコンデンサにより、 ノイズとバッテリ電流の高速変 動がフィルタ処理され、 平均化されます。 4.7μFの値を推奨しま + す。 フィルタ処理が望ましくない場合、CF とCFは未接続のま まにします。 SHDN (ピン5) :シャットダウン用デジタル入力。 このピンを L にすると、LTC4150は低電流消費のパワーダウン・モードにな り、 デバイスをリセットします。 ロジック用電源V CCがV DDより 高いアプリケーションでは、SHDNとそれをドライブするロジッ クとの間に抵抗分割器を使用する必要があります。 「アプリ ケーション情報」 のセクションを参照してください。 POL (ピン6) :バッテリ電流の極性を示すオープン・ドレイン出 力。POLはINTが H のとき、最新のバッテリ電流の極性を示 します。 L 状態は電流がバッテリから流れ出していることを 示し、高インピーダンス状態は電流がバッテリに流れ込んで いることを意味します。INTが L になると、POLはその状態を ラッチします。POLはオープン・ドレインの出力で、9Vまでの任 意のロジック電源にプルアップすることができます。 シャットダ ウン時、POLは高インピーダンスになります。 GND (ピン7) :グランド。 バッテリの負端子に直接接続します。 VDD (ピン8) :正電源。負荷とセンス抵抗のチャージャ側に接 続します。SENSE+もVDDに接続されます。VDDの動作範囲は 2.7V∼8.5Vです。4.7μFのコンデンサでVDDにバイパスします。 CLR(ピン9 ) :クリア・インタラプト・デジタル入力。20μs以上 L にすると、CLRはINTを H にリセットします。電荷の算定 は影響されません。INTはCLRに直接接続することができま す。 この場合、 LTC4150はINTの各アサーションを捕捉し、 少な くとも1μs待ってからINTをリセットします。 これにより、INTパル スは少なくとも1μsの間 L に保たれますが、 自動的にINTはリ セットされます。 ロジック用電源VCCがVDDより高いアプリケー ションでは、INTとCLRの間に抵抗分割器を使用する必要が あります。 「アプリケーション情報」 のセクションを参照してくだ さい。 INT(ピン10 ) :電荷算定インタラプトのオープン・ドレイン出 力。INTは1/(VSENSE • GVF)秒ごとに L にラッチし、CLRの L パルスによってリセットされます。INTはオープン・ドレイン の出力で、9Vまでの任意のロジック電源にプルアップすること ができます。 シャットダウン時、INTは高インピーダンスになり ます。 4150fc 5 LTC4150 ブロック図 CHARGER LOAD VDD 8 SENSE+ 1 200k 200k CF– IBAT SENSE– – + 200k 2k S Q R COUNTER CONTROL LOGIC + 4 2 OFLOW/ UFLOW – AMPLIFIER 3 CF 10 INT + 100pF S1 2k CF+ RSENSE REFHI 1.7V S3 9 CLR UP/DN CHARGE 6 POL POLARITY DETECTION DISCHARGE – S2 REFLO 0.95V 5 SHDN GND 7 4150 F01 図1. ブロック図 タイミング図 CLR 50% 50% tCLR INT INT 4150 F02 50% 50% tINT 4150 F03 図2.INTをリセットするCLRパルスの 幅、CLRとINTは結線されていない 図3.INTの最小パルス幅、CLRとINTは結線されている 4150fc 6 LTC4150 動作 電荷は電流の時間積分です。LTC4150はセンス抵抗の両端 に生じる電圧を測定してバッテリ電流を測定し、 この値を数 段階にわたって積分して電荷を推定します。以下に説明する 諸段階をブロック図に示します。電荷の各ユニットがバッテ リに流れ込むたびに、 またはバッテリから流れ出すたびに、 LTC4150のINTピンは外部のマイクロコントローラにインタラ プトをかけ、POLピンはその電荷ユニットの極性を知らせま す。外部のマイクロコントローラは、LTC4150によって出される 次のインタラプトに備えるため、CLR入力を使ってINTをリセッ トします。各電荷ユニットの値は、センス抵抗の値およびセン ス電圧からインタラプト周波数への利得(LTC4150のGVF) に よって決まります。 パワーオンと起動時の初期化 LTC4150に対して最初に電源が投入されると、 内部回路はす べてリセットされます。初期化の期間が経過後、LTC4150は電 荷の算定を始めます。 この時間はVDDおよびセンス抵抗両端 の電圧に依存しますが、最低5msかかります。LTC4150がセン ス電圧を正確にトラッキングするにはさらに80msかかることが あります。 内部の低電圧ロックアウト回路がVDDをモニタして、 VDDが2.5Vより下に下がるとすべての回路をリセットします。 SHDNを L にアサートしても、LTC4150の内部回路がリセッ トされ、電源電流が1.5μAに減少します。 この状態では、POL 出力とINT出力は高インピーダンスになります。LTC4150は新 たな初期期間経過後に算定を再開します。 シャットダウンによ り、 チャージャと負荷の両方がオフのとき、 バッテリからの流出 が最小に抑えられます。 電荷算定 まず、電流測定はCF+ピンとCFピンの間に接続されたコンデ ンサCFによってフィルタ処理されます。 これにより、 負荷電流や 充電電流のリップル、 ノイズ、 スパイクなどによって生じる電流 の高速変動が平均化されます。 次に、 フィルタの出力はアンプと100pFのコンデンサを基本要 素とする積分器に与えられます。積分器の出力がREFHIまた はREFLOのレベルまでランプ(一定の率で増加)すると、ス イッチS1とS2がランプの方向を反転させます。S1とS2の状態、 およびランプの方向を検知して、極性が判定されます。積分時 間は50mVのフルスケール・センス電圧で600μsに調整されて います。 カウンタは1 さらに、積分器がランプの方向を変えるたびに、 だけ増加または減少します。 カウンタは実効的に積分時間を 1024倍に拡大し、LTC4150からのインタラプトを処理するのに 要するマイクロコントローラのオーバーヘッドを大幅に減らし ます。 カウンタがアンダーフローまたはオーバーフローを生じるたび に、INT出力が L にラッチして、 マイクロコントローラに合図を 出します。 同時に、POL出力がラッチして、検知された電荷の極 性を示します。 この情報に基づいて、 マイクロコントローラは長 時間にわたる電荷を累積し、 バッテリの状態を正確に推定す ることができます。 インタラプトが検知されると、 マイクロコント ローラはCLRに L に下がるパルスを与えてINTをリセットし、 次のインタラプトを待ちます。代りに、INTでCLRをドライブす ることもできます。 4150fc 7 LTC4150 アプリケーション情報 センス電圧入力とフィルタ 全体の積分時間は内部調整されたLTC4150によって設定さ れるので、外部のタイミング・コンデンサや調整は不要です。1 クーロン当たりのインタラプト数の伝達関数に影響を与える 唯一の外付け部品はセンス抵抗R SENSEです。SENSE+ピン と SENSEピンの同相範囲はVDD 60mVで、最大差動電圧 範囲は 50mVです。SENSE+は通常VDDに接続されるので、 SENSEがSENSE+に対して50mVの差動リミット内で動作す るかぎり、 同相範囲の問題は生じません。 RSENSEを選択して、最大充電電流または最大放電電流のど ちらか大きな方で50mVの電圧降下を生じるようにします。 RSENSEを次式を使って計算します。 RSENSE = 50mV IMAX (1) センス入力の範囲は小さく ( 50mV)、RSENSEによる損失は最 小に抑えられます。 精度を保つため、 RSENSEにはケルビン接続 を使います。 外付けのフィルタ・コンデンサC Fは4kの全オンチップ抵抗に 対して動作し、 ローパス・フィルタを形成します。 このフィルタ はバッテリ電流を平均化し、 ノイズ、 スパイク、 リップルなどが 存在しても精度を改善します。一般のアプリケーションには 4.7μFを推奨しますが、 コンデンサのリークが小さいかぎり、 もっと大きな値にすることができます。10nAのリークが積分 器の入力オフセット誤差にほぼ相当します。 この用途にはセラ ミック・コンデンサが適しています。 スイッチング・レギュレータはバッテリを流れるおそれのある高 レベルの電流リップルを生じるので、 とくに重要な問題です。 ス イッチング・レギュレータが使用される場合、 チャージャと負荷 へのV DDとSENSE+の接続をLTC4150のところで少なくとも 4.7μFでバイパスします。 たとえBurst Mode®スイッチング・レギュレータが使用されてい る場合でも、LTC4150は高い精度を保ちます。バースト・パル スの 「オン」 レベルはCF+とCFで測定したとき50mVの規定差 動入力電圧範囲に入っていなければなりません。正確な電荷 情報を維持するには、LTC4150はバースト・モード動作中もイ ネーブルされている必要があります。LTC4150がシャットダウ ンするか、 またはV DDが2.5Vより下に下がると、 デバイスはリ セットして電荷情報は失われます。 クーロン算定 LTC4150の伝達関数は電圧から周波数への利得GVFとして 数値化されます。 このとき出力周波数は1秒当たりのインタラプ トの回数で、入力電圧はSENSE+とSENSE両端の差動ドラ イブVSENSEです。1秒当たりのインタラプトの回数は次のよう になります。 (2) f = GVF • VSENSE ここで、 (3) VSENSE = IBATTERY • RSENSE したがって、 (4) f = GVF • IBATTERY • RSENSE I • t = Qなので、INTパルス当たりのバッテリ電荷のクーロンは 式4から得ることができます。 One INT = GVF 1 Coulombs • RSENSE (5) バッテリ容量はほとんどの場合アンペア時で表されます。 (6) 1Ah = 3600 Coulombs 式5と式6を組み合わせると次のようになります。 1 [Ah] (7) 1Ah = 3600 • GVF • RSENSE Interrupts (8) One INT = 3600 • GVF • RSENSE または、 電荷の測定はマイクロコントローラ内部でさらにスケーリング することができます。 ただし、 インタラプトの回数、 クーロン、 あ るいはAhはすべてバッテリの電荷を表します。 LTC4150の伝達関数はセンス抵抗と利得GVFだけによって設 定されます。式1を使ってRSENSEを選択すると、1回のインタラ プト当たりの電荷は式5または式7から求めることができます。 バッテリ電荷のアンペア時とLTC4150によって出力されるイン タラプトの回数の関係を設定するためにRSENSEが選択される のではないことに注意してください。 むしろ、RSENSEは最大セ ンス電圧をLTC4150の50mVフルスケール・センス入力以下に 保つようにRSENSEは選択されます。 4150fc 8 LTC4150 アプリケーション情報 INT、 POLおよびCLR INTはLTC4150が1ユニットの電荷を測定するたびに L に なります。 同時に、POLがラッチして、電荷ユニットの極性を示 します。積分器とカウンタは動作を続けるので、 マイクロコント ローラは、電荷の次のユニットが累積する前にインタラプトを 処理し、 クリアする必要があります。 そうしないと、1回分の測定 が失われます。 インタラプトとインタラプトの間隔は式2の逆数 です。 1回のINT当たりの時間 = GVF 1 •⏐VSENSE⏐ (9) 50mVのフルスケールでは、最小時間は596msになります。 50mVのセンス電圧リミットを超える小さな予期せぬ変動に対 処するためにゆとりを持たせて、 マイクロコントローラは500ms 以内にインタラプトと極性情報を処理してINTをクリアする必 要があります。 CLRを少なくとも20μsのあいだ L にトグルすると、INTは H にリセットされ、POLはラッチを解除されます。LTC4150の積 分器とカウンタはINTとPOLのラッチ状態とは無関係に動作す るので、 ラッチ期間またはCLRが L のあいだも電荷情報は失 われません。充電/放電情報はこれらの期間にも引き続き累計 されるので、精度は影響を受けません。 一旦クリアされると、INTは H 状態で待機し、POLはバッテリ 電流の極性をリアルタイムで示します。POLの H はバッテリ に流れ込む電荷を示し、L は流れ出す電荷を示します。極性 の変化を示すには少なくとも次の時間を要します。 tPOL = 2 GVF • 1024 •⏐VSENSE⏐ (10) ここで、VSENSEは極性の変化の前と後の最小センス電圧の大 きさです。 INT、 POL、 CLRおよびSHDNへのインタフェース LTC4150は直接バッテリで動作しますが、ほとんどの場合、 マイクロコントローラの電力は別の安定化電源から得られま す。 このことはINTとPOLにとって何ら問題ではありません。 な ぜなら、 これらはオープン・ドレインの出力であり、LTC4150の VDDに加えられる電圧には関係なく、9V以下の任意の電圧に プルアップすることができるからです。 CLRとSHDNの入力には特に注意が必要です。 それらをドライ ブするには、 マイクロコントローラまたは外部ロジックでロジッ ク H の最小レベル1.9Vを発生する必要があります。 これらの ピンの最大入力レベルはV DD+0.3Vです。 マイクロコントロー ラの電源がこれを超す場合、CLRとSHDNには抵抗分割器 を使う必要があります。図6の回路は、INTがCLRをドライブし ており、 マイクロコントローラのVCCがVDDより高いアプリケー ションを示しています。CLRとSHDNに接続された抵抗分割器 は、 これらのピンの電圧をLTC4150のVDDの範囲内に保ちま す。R2とR1を次のように選びます。 (R1+R2)≥ 50RL 1.9 V ≤ R1 VCC ≤ VDD (Minimum) R1 + R2 (11) ここで、VCCはロジック電源の電圧です。速度は問題ではない ので、10k以上のプルアップ抵抗が適しています。 (13) 式 1 3はR 3とR 4の選 択にも適 用されます。最 小 V D D は、 LTC4150に電力を供給しているバッテリが最低放電電圧状態 のときの、LTC4150への最低電源電圧です。 どんなアプリケーションでもバッテリが外されると、CLR入力 とSHDN入力は不確定になります。INT出力とPOL出力は不安 定になる可能性があり、バッテリが再度装着されるまで無視 すべきです。 必要なら、図4の簡単なロジックを使って、INTとPOLからの充 電と放電のパルス列を別々に得ることができます。 オープン・ドレインの出力POLとINTはV OL = 0.5VでI OL =1.6mAをシンクすることができます。 これらのピンのプルアッ プ抵抗の最小値は次のようにします。 RL >(VCC−0.5)/1.6mA (12) INT CHARGE CLR LTC4150 DISCHARGE POL 4150 F04 図4.極性によって分離された 充電出力と放電出力 4150fc 9 LTC4150 アプリケーション情報 自動電荷算定インタラプトとクリア 図5と図6に示されているように、CLRパルスが得られないアプ リケーションで、LTC4150が自立して動作するようにするのは 簡単です。 マイクロコントローラのVCCがバッテリVDD以下な らば、図5のようにINTをCLRに直接接続することができます。 唯一必要な条件は、 マイクロコントローラが1.9Vの H ロジッ ク・レベルをSHDNに与えることができることです。 マイクロコン トローラのVCCがバッテリ電圧VDDより高ければ、図6を使い ます。CLRとSHDNに接続された抵抗分割器は、 これらのピン の電圧をLTC4150のVDDの範囲内に保ちます。式11を使って RLの値を選択し、式13を使ってR1∼R4の値を選択します。 ど ちらのアプリケーションでも、LTC4150はINTの最初のアサー ションを捕捉し、少なくとも1μs待ってからINTをリセットしま す。 これにより、INTパルスは少なくとも1μsの間 L に保たれま すが、 自動的にINTはリセットされます。 POWER-DOWN SWITCH PROCESSOR VCC 1 SENSE+ 2 2.7V TO 8.5V BATTERY INT LTC4150 CLR RSENSE + 3 CF 4.7µF 4 5 SENSE– VDD CF+ GND CF– SHDN POL RL RL 10 LOAD CL 47µF 9 8 7 C2 4.7µF µP 6 4150 F05 図5.INTがCLRを直接ドライブし、VCC ≤ VDDのマイクロプロセッサ用の別電源を使うアプリケーション POWER-DOWN SWITCH PROCESSOR VCC 1 SENSE+ 2 BATTERY VBATTERY < VCC INT LTC4150 CLR RSENSE + 3 CF 4.7µF 4 5 SENSE– VDD CF+ GND CF– SHDN POL RL 10 9 CL 47µF LOAD RL R2 8 C2 4.7µF 7 R1 µP 6 SHUTDOWN R4 R3 4150 F06 図6.INTがCLRをドライブし、VCC > VDDのマイクロプロセッサ用の別電源を使うアプリケーション 4150fc 10 LTC4150 アプリケーション情報 PCボードのレイアウトに関する推奨事項 すべてのトレースをできるだけ短くして、 ノイズと精度の低下を 最小に抑えます。電源バイパス・コンデンサC2はLTC4150の近 くに配置します。4.7μFのフィルタ・コンデンサC FはCF+ピンと CFピンの近くに配置し、低リークで無極性の種類にします。 センス抵抗はLTC4150の近くに配置して4線のケルビン検出 接続を使い、SENSE+ピンとSENSEピンへのセンス・トレー スは短くし、 バッテリ・パックと電力を供給する負荷へのフォー ス・ラインは長くします (図7を参照)。 TO CHARGER PIN 1 RSENSE LTC4150 4150 F07 TO BATTERY 図7.SENSE抵抗のケルビン接続 標準的応用例 1セル・リチウムイオン・バッテリと500mAの最大負荷電流用に 設計された標準的アプリケーションを図8に示します。式1を 使って計算するとRSENSE = 0.05V/0.5A = 0.1Ωとなります。 RSENSE = 0.1Ωでは、式7から各インタラプトは0.085mAhに相 当します。式2から得られる式14は、t秒のあいだに平均バッテ リ電流IBATTに対してアサートされるINTの回数を与えます。 (14) INT Assertions = GVF • IBATT • RSENSE • t バッテリから51.5mAを600秒のあいだ引き出すようにバッ テリに負荷をかけると100回のINTアサーションになります。 800mAhのバッテリの場合、 これはバッテリ容量の (51.5mA • 1/6h)/800mAh = 11%にあたります。 マイクロコントローラの電源が5Vのとき、 式11からRL > 2.875k となります。最も近い標準値は3kです。 式12から、RL = 3kのときR1+R2は150.5kとなります。1セル・リ チウムイオン・バッテリは2.7Vに下がるまで放電可能です。 式13から、R1 = 75kを選択します。R2の最も近い標準値は 76.8kです。 さらに式13から、R3 = 75kおよびR4 = 76.8kを選択します。 POWER-DOWN SWITCH 5.0V 1 RSENSE 0.1Ω SINGLE-CELL Li-Ion 3.0V ~ 4.2V SENSE+ INT LTC4150 CLR 2 3 + CF 4.7µF 4 5 SENSE– VDD CF+ GND CF– SHDN POL RL 3k 10 9 CL 47µF LOAD RL 3k R2 76.8k 8 C2 4.7µF 7 R1 75k µP 6 SHUTDOWN R4 76.8k R3 75k 4150 F08 図8.1セル・リチウムイオン・バッテリ用の標準的アプリケーション 4150fc 11 LTC4150 パッケージ MSパッケージ 10ピン・プラスチックMSOP (Reference LTC DWG # 05-08-1661 Rev E) 0.889 ± 0.127 (.035 ± .005) 5.23 (.206) MIN 0.305 ± 0.038 (.0120 ± .0015) TYP 3.20 – 3.45 (.126 – .136) 3.00 ± 0.102 (.118 ± .004) (NOTE 3) 0.50 (.0197) BSC 10 9 8 7 6 推奨半田パッド・レイアウト 0.254 (.010) 3.00 ± 0.102 (.118 ± .004) (NOTE 4) 4.90 ± 0.152 (.193 ± .006) DETAIL “A” 0.497 ± 0.076 (.0196 ± .003) REF 0° – 6° TYP ゲージ・プレーン 1 2 3 4 5 0.53 ± 0.152 (.021 ± .006) DETAIL “A” 0.18 (.007) シーティング・ プレーン 0.86 (.034) REF 1.10 (.043) MAX 0.17 – 0.27 (.007 – .011) TYP 0.50 (.0197) BSC NOTE: 1. 寸法はミリメートル/(インチ) 2. 図は実寸とは異なる 3. 寸法にはモールドのバリ、突出部、 またはゲートのバリを含まない モールドのバリ、突出部、 またはゲートのバリは、各サイドで0.152mm (0.006") を超えないこと 4. 寸法には、 リード間のバリまたは突出部を含まない リード間のバリまたは突出部は、各サイドで0.152mm (0.006") を超えないこと 5. リードの平坦度(整形後のリードの底面) は最大0.102mm (.004") であること 0.1016 ± 0.0508 (.004 ± .002) MSOP (MS) 0307 REV E 4150fc 12 LTC4150 改訂履歴 (Rev Cよりスタート) REV 日付 概要 ページ番号 C 2/10 「電気的特性」 にPuwer Supply Currentの条件を追加 3 4150fc リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負い ません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまでも参考資 料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。 13 LTC4150 標準的応用例 CHARGER LOAD SENSE+ 1.2Ω 1.1Ω INT 100mΩ SENSE– + CD40110B LTC4150 CLR CD40110B CD40110B SENSE RESISTANCE = 0.0852Ω IMAX = 588mA 10,000 PULSES = 1Ah CD40110B CD40110B 4150 F09 図9. アンペア時ゲージ 関連製品 製品番号 LTC1732 説明 リチウムイオン・リニア・バッテリ・チャージャ・ コントローラ LTC1733 モノリシックのリチウムイオン・リニア・バッテリ・ チャージャ LTC1734 ThinSOT™のリチウムイオン・リニア・バッテリ・ チャージャ LTC1734L ThinSOTのリチウムイオン・リニア・バッテリ・ チャージャ 注釈 簡単なチャージャで、外部FETを使用、 プリセット電圧、C/10チャージャ検知、 およびプログラム可能なタイマを搭載、入力パワーグッド表示 プログラム可能なタイマ付き、 最大充電電流1.5Aのスタンドアローン・チャージャ 簡単なThinSOTチャージャ、 ブロッキング・ダイオード不要、 センス抵抗不要 LTC1734の低電流バージョン LTC1998 リチウムイオン低バッテリ・ディテクタ LTC4006 小型、高効率、固定電圧、 リチウムイオン・バッテリ・ 終了タイマ、ACアダプタ電流制限、 およびサーミスタ・センサ付き チャージャ 定電流/定電圧スイッチング・レギュレータ、小型16ピン・パッケージ LTC4050 リチウムイオン・リニア・バッテリ・チャージャ・ コントローラ LTC4052 モノリシック・リチウムイオン・バッテリ・パルス・ チャージャ LTC4053 LTC4054 精度:1%、消費電流:2.5μA、SOT-23 簡単なチャージャで、外部FETを使用、 プリセット電圧、C/10チャージャ検知、 およびプログラム可能なタイマを搭載、入力パワーグッド表示、 サーミスタ・インタフェース ブロッキング・ダイオードも外部パワーFETも不要、安全電流制限 USB互換のモノリシック・リチウムイオン・バッテリ・ プログラム可能なタイマ付きスタンドアローン・チャージャ、 チャージャ 最大充電電流1.25A サーマル・レギュレーション付き800mA 外部MOSFET、 センス抵抗、 およびブロッキング・ダイオードが不要、 スタンドアローン・リニア・リチウムイオン・バッテリ・ ガス・ゲージ用充電電流モニタ、C/10充電終了 チャージャ (ThinSOTパッケージ) LTC4410 USBパワー・マネージャ LTC4412 ThinSOT入りのPowerPath™コントローラ USB周辺機器とUSBポートからのバッテリ充電の同時運用時にUSBポート から引き出される電流を一定に保ち、バッテリを充電された状態に保持、 LTC4053、LTC1733、LTC4054とともに使用 効率の高いダイオードOR結合、DCソース間の自動切り替え、負荷分担、 3V ≤ VIN ≤ 28V 4150fc 14 リニアテクノロジー株式会社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F TEL 03-5226-7291 FAX 03-5226-0268 www.linear-tech.co.jp ● ● LT 0210 REV C • 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