環境とニチコン - Nichicon

環境とニチコン
環境マネジメントの推進
ニチコングループ環境憲章
環境監査
(1997年12月制定、2001年7月改訂)
各事業所の取り組み状況については、
事業所ごとの内部環境
環境理念 ニチコングループは、
「地球との共生」
「人と環境に優し
い社会」
を目指し、企業活動のあらゆる面において、環境保全に配
慮して行動します。
活動指針 ニチコン株式会社では、全社・全グループの環境保全
監査
(マネジメントシステム監査、
遵法監査、
環境パフォーマンス監
査)
と認証機関による外部監査、
また、
全グループを視野に入れた
各事業所に対する本社監査を毎年実施し、
環境マネジメントシス
テムが有効に機能し、
成果を上げているか否かを確認しています。
活動を進めるために、資源の有効活用、環境汚染防止を最優先とし
た下記の全社共通の活動指針を掲げます。
また、
これ以外にも、事
■ 2012年度の認証機関による外部審査結果
業所ごとに事業内容、地域の特徴を踏まえた独自のテーマが設定さ
れており、企業活動のあらゆる側面において環境負荷の低減に向
けた取り組みを進めます。
1.環境への影響を配慮した製品の提供に努める。
2.関連する法律、規制などを遵守するとともに、自主管理基準を導入し、
運用を図る。
3.資源・エネルギーの使用量の削減を図る。
4.廃棄物の削減とリサイクル化に努める。
5.オゾン層破壊物質、地球温暖化物質、有害物質の使用・排出は、代替
物質の使用、回収、リサイクルにより削減を図る。
6.環境教育を実施し、環境理念・事業所環境方針の理解と、環境に関す
る意識向上を図る。
7.地域社会の環境保全活動に参画し、社会に貢献する。
8.環境監査等を通じて自主管理活動の継続的改善を図る。
認証取得事業所
指摘事項
改善の機会
ストロングポイント
グッドポイント
ニチコン製箔
(株)
大町工場
0
9
2
ニチコン製箔
(株)
富田工場
0
7
0
ニチコン草津
(株)
0
6
1
ニチコン亀岡
(株)
0
5
1
ニチコン大野
(株)
0
11
1
ニチコン大野
(株)
第三工場
0
5
1
ニチコン岩手
(株)
0
4
1
ニチコンワカサ
(株)
0
4
1
合 計
0
51
8
環境教育・啓発活動
環境保全組織
環境教育としては、
事業所ごとに
「環境マネジメントシステムに基
づく教育
(EMS教育)
「
」新入社員に対する教育」
「内部環境監査員
ニチコングループは、
CSR室長を環境管理総括責任者とし、
環境
の養成」
「階層、
専門別教育」
などを年間延べ205回実施しました。
管理委員会で環境保全活動に関する戦略・方針・目標・施策などを
特に近年は設計・開発などの技術部門を対象に、RoHS指
審議・決定し、
その内容は各事業所に周知され、
PDCAサイクル−
令、ELV指令などで使用が禁止されている有害物質について
Plan
(計画)
、
Do
(実行)
、
Check
(監視)
、
Action
(改善)
−を回しながら
の教育にも力を注いでいます。環境に配慮した企業経営には、
環境経営の質と環境改善パフォーマンスを向上させています。
従業員の一人ひとりが環境問題を意識することが大切です。
また、
国内の各製造事業所では、
事業所長が環境管理総括責任
従業員への環境教育の重要性を認識し、今後も継続的に取り
者として、
EMS管理責任者を任命するとともに、
事業所ごとの環境影
組んでまいります。
響に基づく環境方針に沿った環境保全活動を実施しています。
環境関連資格の保有状況については、環境保全活動の充
実・強化のためにも、
また、環境に関する意識向上のためにも、
よ
ISO14001認証取得状況
り多くの従業員の資格取得を推進しています。
そのため、業務を
通じての教育に加え、資格取得に役立つ通信教育の受講を推
ニチコングループは地球との共存を目指して、1996年8月にグ
奨しています。
ローバルスタンダードに準拠した環境マネジメントシステム確立に
また、2012年度は、資格所有者のさらなる増員に向け、技術者
向け、国際規格ISO14001の認証取得方針を決定しました。
講習会などに参加して自己啓発を図る機会を増やしました。
この方針に基づいて、国内外の全製造事業所(国内8事業
その結果、2012年度の環境関連資格の新規取得者は、
グ
所、海外3事業所)
において認証を取得してきました。
ループ全体で延べ20名となりました。
統合報告書 2 0 1 3
26
環境とニチコン
事業活動に伴う環境負荷データ
ニチコングループでは、事業活動と環境とのかかわりを数値と
使用量が19,062kℓから12,596kℓ
(33.9%減)
となりました。
アウト
して把握し、環境負荷低減に活かしています。
プットでは、CO 2 排出量が455,363t-CO 2 から259,997t-CO 2
(42.9%減)
となりました。
2011年度と2012年度を比較すると、景気低迷に伴う生産規
模の縮小により、
インプットでは主なエネルギー使用量として電気
また、廃棄物再資源化率は99.8%であり、廃棄物処分量は
使用量が959,141千kwhから531,117千kwh(44.6%減)、重油
212tから96t(54.7%減)
となりました。
INPUT
電 気
LNG
都市ガス
LNG
531,117 千 kwh
679t
153 千 m³
12,596k
CO2 排出量
NOx 排出量
SOx 排出量
(PRTR対象)
CO2
NOx
SOx
化学
物質
259,997t-CO2
49t
35t
17t
化学物質
紙
上 水
地下水
315t
4,073,748 枚
15 万 t
1,064 万 t
BOD
COD
廃棄物
処分量
廃棄物
再資源化量
BOD
COD
19t
9t
96t
44,740t
LPG
(PRTR対象)
LPG
化学
物質
205t
排水量
重 油
OUTPUT
化学物質
821 万 t
今後の取り組みとしては、
さらに効率的な生産活動を推進し、
動についても再資源化率99%を維持し、今後も埋め立て廃棄物
生産高原単位でのエネルギー使用量とCO2排出量の削減に努
ゼロと省資源を目指した活動を継続していきます。
めます。
また、廃棄物対策として取り組んできたゼロエミッション活
環境会計
環境会計についての考え方
2012年度の結果
ニチコングループでは、2000年度から、環境パフォーマンスの
2012年度の環境会計では、環境保全コストの合計が1,867百
向上とその情報公開を目的に、環境保全コストとその効果を計る
万円であったのに対し経済効果の合計金額は368百万円でし
ための環境会計を導入しています。下記データは、環境省から
た。環境保全に関する投資として、省エネ化を推進するため、工
公表された
「環境会計ガイドライン2005年度版」
に準じて集計し
場棟の遮熱塗装、
コンプレッサーのインバータ化などを行うととも
たものです。
に老朽化設備を更新しました。
対象期間 2012年4月1日∼2013年3月31日
■ 環境保全コスト
(投資)
(百万円)
■ 環境保全コスト
(費用)
1,500
432
0
27
1,472
22
10
12
124 15
61
48
2011
23
11
2012 (年度)
地球環境
資源循環
その他
(管理活動、
社会活動、
環境損傷)
統 合報告書 2 0 1 3
0
2010
公害防止
研究開発
611
771
15
312
226
96
500
16
229
178
98
2011
450
1,401
1,292
1,000
2010
公害防止
研究開発
(百万円)
823
300
150
■ 環境会計経済効果
(百万円)
466
450
集計範囲 ISO14001認証取得している国内8事業所
368
260
300
5
451
150
237
97
0
2012 (年度)
地球環境
資源循環
その他
(管理活動、
社会活動、
環境損傷)
215
119
70
2010
26
159 20
95
2011
44
81
27
2012 (年度)
使用薬品、
材料等の削減
省エネルギー
廃棄物のリサイクル売却益
環境とニチコン
低炭素社会実現への貢献
CO2排出量削減への取り組み
事例紹介
ニチコングループでは地球温暖化の原因となるCO2の排出量
削減に向け、
全グループをあげて取り組んでいます。
大量のエネル
ギーを消費する製造工程では、
生産効率の改善と不良率削減に
重油からの燃料転換の取り組みと効果
ニチコン製箔
(株)
大町工場とニチコン草津
(株)
では、
環境対
策の一環として熱処理用熱源として使用されるボイラの燃料を
重油から転換し、
CO2や有害物質の削減を図りました。
積極的に取り組み、
エネルギーの原単位使用量の削減に努めて
いるほか、省エネにつながる設備の改善や効率的な稼働を推進
しています。
■ 液化天然ガス
(LNG)への転換 ニチコン製箔
(株) 大町工場
工場の生産設備の熱源として使
排出量の少
また、
CO2削減は全従業員参加の活動として捉え、
用している蒸気ボイラの燃料を、
従
ない設備への代替や身近なところでは空調温度の適正管理や、
来の重油から液化天然ガス
(LNG)
不必要な照明・機器の停止、
通勤車両
(マイカー通勤者)
のアイド
へ転換しました。液化天然ガスは重
リングストップなどを継続して実施し省エネ化を進めています。
ま
油に比べ燃焼効率が高いことから
高効率ボイラと組み合わせること
た、
納入業者の車両にもエコドライブ
(急発進、
急加速はやめる)
や、
で大きな省エネルギー効果を得る
アイドリングストップキャンペーンへの協力を求めています。
ことができます。大町工場では、燃
一方、
製品の発送にあたっては、
分納していたものは、
その回数
料転換に合わせてLNG用の高効
を削減したり、
発送便を混載便に変更するなど、
物流面においても
CO2削減に取り組んでいます。
LNGサテライト
率ボイラへ更新することにより、燃
料転換の効果を最大限引き出すこ
とが可能となり、従来比で燃料費を
こうしたCO2削減活動の輪が、事業所からサプライヤー、地域
約2割削減することができました。
また、CO2排出量は2013年5月の
へと広がっていくことを期待しています。
1ヶ月間で、重油を使用していた前
年同月比約3割減となる443トンを
■ 使用エネルギーの変遷
LPG 0.67%
LPG・LNG 0.93%
A重油 20.55%
A重油 8.45%
削減することができました。
LNG用高効率ボイラ
■ 都市ガスへの転換 ニチコン草津
(株)
主に含浸処理タンクの加熱用として、24時間運転で使用し
ているボイラの燃料を、
これまでの重油から環境負荷の少な
2012年度
1992年度
い 都 市ガス( 液 化 天 然ガス
(LNG)
が主原料)
に転換しま
した。CO2を含むさまざまな
有害物質の排出量を削減す
電気 78.78%
電気 90.62%
することができました。
■ CO2排出量
(t-CO2)
429.64
455.37
448.42
800,000
500
422.81
400
286.34
600,000
392,688
384,328
474,878
455,363
2008
CO2排出量
2009
2010
2011
300
200
259,997
200,000
0
高効率ガス焚きボイラ
(t-CO2/億円)
1,000,000
400,000
ることができ、燃料費も削減
2012
100
CO2削減効果(2012年12月からの6ヵ月間の実績)
(t-CO2)
800
600
400
200
0
(年度)
0
A 重油換算
661t-CO2
※都市ガス使用量
からA重油量へ
換算
208t-CO2
(31.5%)
削減
都市ガス実績
453t-CO2
売上高原単位
統合報告書 2 0 1 3
28
環境とニチコン
廃棄物削減と資源の有効活用
廃棄物削減、
リサイクルへの取り組み
廃棄物の適正管理
ニチコングループでは、循環型社会の構築を目指し廃棄物の
ニチコングループでは外部の業者に産業廃棄物の処理を委託
削減とリサイクルの推進を図っています。
ゼロエミッションの定義
しています。
産業廃棄物は排出者の責任で処理しなければならな
を
「廃棄物総発生量の98%以上を再資源化する」
こととし、2002
いため、
その責任は重く、
不法投棄や汚染事故を防止するための
年度以降、達成してきました。
管理に努めています。
廃棄物処理を委託する際には、
委託先の事
2012年度は、
紙、
金属屑、
廃プラスチックなどの有価物化をさらに
前監査を実施するほか、
委託後も自ら最終処分の現地確認を実
推進したことで、
再資源化率は99.8%を達成することができました。
施し、定期的な監査を継続することで委託先の廃棄物処理の状
況を評価しています。
■ 廃棄物総排出量、
再資源化量、
再資源化率
(t)
99.6
100,000
80,000
60,000
99.7
99.7
(%)
99.8
99.7
100
84,285 83,619
61,986
70,598 70,030
60,341
62,576
60,884
80
努めています。
40
20
20,000
0
0
2008
総排出量
管理票
(マニフェスト)
による管理を徹底し、
廃棄物の適正管理に
60
45,075 44,740
40,000
また、
日々の管理として、廃棄物置場の巡回点検、産業廃棄物
2009
再資源化量
2010
2011
2012
(年度)
産業廃棄物処理委託業者監査
再資源化率
■ 廃棄物処理フロー
■ 廃棄物発生量内訳
廃棄物・有価物発生量
■ 最終処分量内訳
金属屑 2%
廃プラ 1%
廃油 2%
汚泥 24%
その他 1%
陶磁器屑 18%
45,075t
その他 2%
廃プラ 46%
直接再資源化
43,952t
中間処理委託
直接最終処分
37t
1,085t
再資源化量
処分量
中間処理後
再資源化
中間処理後
最終処分
44,740t
2012 年度
総排出量内訳
廃酸 72%
2012 年度
汚泥
30%
787t
58t
再資源化品目
紙屑 2%
事例紹介
29
96t
汚 泥:凝集剤、金属回収(ニッケル)
廃 油:助燃剤、再生回収
廃プラ:燃料、セメント材料
金 属:再生金属(アルミ)
ル効果は、
CO2削減216t/年、
最終処分地削減16m3/年となりました。
廃プラスチックの処分方法改善と費用の低減
①亜鉛付廃プラスチック
ニチコン草津
(株)
では、製造工程から多種のプラスチックを廃
焼却→燃料化、
処分単価低減
棄物として排出しています。
②軟質廃プラスチック
従来、廃プラスチックは一部を燃料化し、大半は焼却、埋立処理
処分単価低減及び収集運搬の低減
をしていましたが、
2012年4月から処分業者、
処分方法、
処分費用
③素子
(エレメント)
を見直しました。
埋立→燃料化、
処分単価低減及び収集運搬の低減
焼却、
埋立処分をしていたものを、
分別により再利用および燃料
④硬質廃プラスチック
化に順次切り替え、
2013年1月に全ての切り替えを完了しました。
埋立→再生化、
有価物及び収集運搬の低減
廃プラスチックの種別
(下記①∼⑤)
ごとの取り組みにより、
トータ
⑤製品及びメタル付エレメント
(処分単価低減)
統 合報告書 2 0 1 3
環境とニチコン
化学物質の適正管理とリスクマネジメント
化学物質の排出・移動量の削減
ニチコングループでは、PRTR法※に基づき、対象となる化学
質のうち取扱物質が20物質、届出対象物質は9物質で6月30日
物質について取扱量、排出量、移動量を把握し、行政に対して
までに行政への報告を完了しました。
報告するとともに、有害化学物質(PRTR対象の第一種指定化
学物質)
の排出量(大気、水域、土壌などの環境への排出)
の削
減に取り組んでいます。
2012年度のPRTR調査結果は、
第一種指定化学物質462物
※ PRTR法:PRTRはPollutant Release and Transfer Register
(環境汚染
物質排出移動登録)
の略で、有害性のある化学物質がどのような発生源か
ら、
どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所
の外に運び出されたかというデータを把握し、集計・公表する仕組み。
PRTR法は、
「特定化学物質の環境への排出量の把握および管理の改善の
促進に関する法律」
のこと。
■ PRTR調査結果
(2012年度:国内)
(t)
排出量
取扱量
大気への
排出
移動量
公共用水域
への排出
土壌への
排出
埋立処分
排出量
合計
下水道への
移動量
その他
(廃棄物)
移動量
合計
2012 年度
315.63
6.72
10.58
0.00
0.00
17.30
0.00
50.16
50.16
2011 年度
316.59
7.22
10.79
0.00
0.00
18.01
0.00
16.42
16.42
2010 年度
299.27
5.44
10.86
0.00
0.00
16.30
0.00
16.71
16.71
2009 年度
1,377.39
5.24
10.69
0.00
0.00
15.93
0.00
134.14
134.14
2008 年度
1,530.88
5.88
10.18
0.00
0.00
16.06
0.00
153.43
153.43
2007 年度
2,105.85
7.17
10.77
0.00
0.00
17.94
0.00
262.33
262.33
大気・水質汚染防止
ニチコングループでは、大気・水質汚染防止について、法や条
例の排出基準を上回る厳しい自主基準を設定しています。環境
マネジメントシステムをベースに、定期的にサンプリングを行い、汚
染物質を厳重に管理し、汚染防止を図っています。
排水分析のためのサンプリング
ニチコン大野
(株)
第二工場
ボイラーばい煙測定
ニチコン草津
(株)
緊急事態に備えた訓練の実施
各事業所では、環境影響評価によって潜在的危険要因を分
理対策備品を配備するなど、緊急事態が起こった際の外部へ
析・登録するとともに、油や化学物質の万一の漏洩を想定した
の漏洩事故防止を図るとともに、訓練結果に基づき想定される
緊急事態に対応するための訓練を実施しています。
また緊急処
改善点を見出し、改善を重ねています。
■ 廃液漏洩防止訓練
(ニチコン大野(株)第三工場)
遮蔽板の設置
廃液退避用水中ポンプ設置
退避用タンク設置
(回収開始)
漏洩した廃液を退避
統合報告書 2 0 1 3
30
環境とニチコン
製品・技術による環境負荷低減
製品開発における基本姿勢
製品の環境性能を確保するグリーン調達
ニチコングループは
「地球との共生」
を目指し、環境保全に寄
ニチコングループでは、2005年に初版を制定した
「ニチコング
与する製品づくりを各事業所で進めています。
ループグリーン調達ガイドライン」
を法規制の動向にあわせて改
フ
ポリ塩化ビニル
(PVC)
レス、鉛フリー、六フッ化硫黄(SF 6 )
訂し、2012年2月より第7版を運用しています。
リー製品として
「Geo(ジオ)○○○」の名称をつけた製品のほ
当社の製品をお客さまに安心してご使用いただけるよう、現在
か、省電力・省資源でエネルギーの有効利用に貢献する製品
の第7版では44種の禁止物質、
5種の削減物質、
8種の管理物質
や、廃棄時に有害物質による環境汚染を防止する
「環境に優し
を定め、取引先様に当社のグリーン調達の考え方を理解・実践
い製品」
を開発しています。
中でも、電気エネルギーを経済的に
いただいた結果、厳しい管理の基で生産された部材・部品を供
創り、効率よく蓄えて使用するために電気自動車(EV)向けの
給していただけるサプライチェーンを構築することができました。
EV用小型急速充電器、車載用充電器、EVのバッテリーに蓄え
た電力を家庭の電力として使用するV2Hシステム
「EVパワース
テーション」、家庭用蓄電システム
「ホーム・パワー・ステーション」
ELV指令への対応
などの製品を提供し、低炭素社会の実現に向けた社会環境の
ニチコングループでは、ELV指令※(使用済み自動車に関する
整備にも積極的に貢献しています。
欧州議会および理事会指令)への対応はもとより、
自動車特有の
熱や振動の加わる過酷な使用条件を満たす車載用高機能品を
RoHS指令への対応
ニチコングループは、RoHS指令 ※(特定有害物質の使用制
限に関するEU指令)への対応として、鉛フリー製品を標準品とし
提供しています。
※ ELV指令:End of Life Vehiclesの略。自動車への特定有害物質の使用を
制限し、廃車時のリサイクルを円滑にすることを目的とする指令で、2003
年7月1日以降に登録される新車について、一部の代替技術の確立が困難
な部品を除き重金属
(鉛、
カドミウム、水銀、六価クロム)
の使用禁止を要求
するもの。
て販売しています。EUのRoHS指令は、2011年7月1日に改正法
が公示され、2013年1月から施行されています。今回更新された
項目についても、確実な対応を行っています。
REACH規則への対応
また、
中国でも電気・電子機器に対し
「電子情報製品汚染制
最終製品が消費者の手に渡るまでには、原材料から素材、部
御管理方法」
(中国版RoHS)
が2007年3月に施行されるなど、化
品、
モジュール品、
最終製品までのモノの流れがあり、
非常に長い
学物質の規制は今や世界各国で実施されています。同じ物質
サプライチェーンを通ることになります。
の規制でも異なる除外項目が設けられていたり、段階的に規制
(化学物質の登録・評価・認可および制限に関
REACH規則※
したりと、規制の内容は一様ではありませんが、
いずれの法規制
する規則)
では、
高懸念物質
(SVHC:Substances of Very High
にも正しく対応することが求められます。
ニチコングループは最新
Concern)
が製品中に0.1%以上含まれる場合、消費者や製品の
の法規制情報を入手し、環境に配慮した設計思想で製品を開
供給者にその含有情報を伝達する義務があります。SVHCとは、
発し、
お客さまのニーズに応えています。
許容できないリスクを人や環境に与える物質を指し、欧州化学品
※ RoHS指令:Restriction of the use of certain Hazardous Substances
in electrical and electronic equipmentの略。
(2006年7月からEU各
国にて施行)
庁
(ECHA)
が年2回の頻度で新しいSVHCを公表しており、
2013
年6月現在144物質あります。当社ではサプライチェーンを通じ
SVHCを含む含有化学物質の情報を収集し、
提供しています。
※ REACH規則:Registration, Evaluation & Authorization of Chemicals
の略。2007年6月より施行されているEUの新たな化学物質規則で、化学
物質の安全性評価を製造・輸入する企業に義務づけ、化学物質を登録制と
して危険性の高い物質の使用を制限するもの。
31
統 合報告書 2 0 1 3
環境とニチコン
地球との共生を目指したニチコンの環境配慮製品
ネジ端子形アルミ電解コンデンサ
105℃保証高電圧小形品「NUシリーズ」
「創エネ」
&
「蓄エネ」
型EV用充電システム
太陽光発電によるカーボンフリーエネルギーを蓄電し、
系統電力
産業機器分野の高効率化・省エネルギー化に伴い、
システム
と合わせて、
EVへの急速充電やLED外灯への電力利用を可能
の高電圧化が進められている中、
インバータ電源等の制御回路
にする
「創エネ」
&
「蓄エネ」
型EV用充電システムは、
EVの普及と
に使用するネジ端子形コンデンサにおいても、定格電圧として
ともに高速道路、
民間企業、
公園や地方自治体などへの導入実績
500V以上の高耐電圧化・長寿命化の需要が拡大しています。
を重ねています。
このシステムは、
環境に優しいEV用充電システム
上記制御回路の高耐電圧化や、小形化・長寿命化のニーズに
の機能だけでなく、
災害発生の避難時に
「非常用電源」
として電力
応え、
パワーエレクトロニクス用高電圧インバータ回路等の各種
の安定供給の機能も果たすことができます。
産業機器用を主用途とするネジ端子型105℃保証 高耐電圧小
国土交通省は、
全国に
自然災害に備えた防災意識が高まる中、
形化品アルミ電解コンデンサ
「NUシリーズ」
を開発しました。
ある
「道の駅」
を、
災害時の
「一時避難所」
として本格的に活用する
本シリーズは、高耐電圧酸化皮膜を形成した高信頼電極箔
方針で、
自家発電の設備や簡易トイレの設置を進め、地域の避難
の他、長期安定性があり、高電圧での皮膜修復能力を高めた電
拠点として整備が進められています。
また、
福井県では、
平成20年
解液、および低密度高耐電圧電解紙を採用するとともに、放熱
11月に新たに策定した
「福井県環境基本計画」
で
「次世代(省エ
性を高めた構造とすることで、現行品に対して、高耐電圧・長寿
ネ)
自動車導入推進プロジェクト」
を重要な施策の一つとして位置
命化を実現しており、
また、当社独自の高速充放電対応技術も
づけています。
このような環境保全に対する取り組みの中で、福井
採用し、
ACサーボモータ用など短時間で急激な充放電を繰り返
県高浜町とおおい町の意向と当社の技術が結実し、
福井県の
「道
す用途にも対応する高信頼化を実現しています。
の駅・シーサイド高浜」
と
「道の駅・名田庄
(なたしょう)
」
に
「創エネ」
高耐電圧品の要求は、特に太陽光発電や風力発電などの再
&
「蓄エネ」
型EV用充電システムを納入しました。
あわせて県内の
生可能エネルギー関連分野での電源用途が多いことから、本シ
公園「きのこの森」
および「情報交差点ぽーたる」へも同システムを
リーズは、
これらの分野にも最適な仕様として提案していきます。
納入しました。
当社にとって初の
「道の駅」
への納入となりました。
災害時における避難所や
VOICE
独立した電力系統に頼る離
製品をお客さまに安心して
ご使用いただくために
島などに太陽光発電と蓄電
品質保証本部
品質保証部 係長
システムを提案することで明
小島 一高
機能を併用したEV用充電
るい未来社会づくりに貢献し
「創エネ」
&
「蓄エネ」
型防災対応
EV用充電システム
̶道の駅・若狭おばまに設置̶
ていきます。
当社では特定物質の使用禁止や
制限に関して適用される法規制、顧
客要求等を遵守するため、製品設計から量産後の検査まで
■「創エネ」
&
「蓄エネ」型防災対応EV用充電システム
環境負荷物質が工場に持ち込まれないよう管理システムを
維持管理しています。
また、最新の規制動向に注意を払い、当社製品に求められ
るコンプライアンスを確実にするため、全ての部材の化学物
質含有情報を調査しています。環境負荷物質の含有が確認
「道の駅」
休憩所電気設備
太陽光発電
パワーコンディショナー
太陽光発電
システム
「道の駅」
駐車場
LED照明
された場合は、削減および排除に向けて取り組んでいます。
今後も経営理念にある
“より良い地球環境の実現”
に向
け、当社が長年培った技術を最大限活用し、環境に優しく、
か
急速充電器
普通充電器
リチウムイオン
蓄電システム
つ顧客ニーズを先取りした製品開発に努めてまいります。
商用電源
統合報告書 2 0 1 3
32