NJU39612 D/Aコンバータ内蔵 マイクロステッピングモータコントローラ ■ 概要 ■ 外形 NJU39612は、デュアルステッピングモータドライバと ペアで使用する、デュアル7ビット+ 符号のD / A 変換内 蔵マイクロステッピングモータコントローラです。 NJU39612E2 ■ 特徴 ●3Vから0.0Vまでのアナログ制御電圧 ●高速マイクロプロセッサインタフェース ●フルスケール・エラー ±1LSB ●高速変換速度 3μs ●デュアルステッピングモータドライバとペアでの使用に最適 ●外形 EMP20 ■ ブロック図 V DD V Ref NJU39612 Sign WR 1 DA- Data 1 E1 E CS C D D/A DA 1 R E2 A0 DA- Data 2 DA D/A 2 E C D7 - D0 D R Sign 2 POR RESET R V ss 図1 ブロック図 NJU39612 ■ 端子配列 Vref 1 20 Reset DA1 2 19 DA2 18 Sign2 Sign1 3 17 Vss VDD 4 WR 5 NJU39612E2 16 CS D7 6 15 NC D6 7 14 A0 D5 8 13 D0 D4 9 12 D1 D3 10 11 D2 図2 端子配列 ■ 端子説明 図2を参照 EMP 1 記号 説明 VRef 基準電圧供給ピン 2 DA1 デジタル-アナログ1、電圧出力。0.0VとVRef-1LSBの間の出力。 3 Sign1 サイン1、TTL/CMOSレベル。NJM377xフェーズ入力に直接接続されます。データビットD7は、 NJU39612データ入力から反転されずに転送されます。 4 VDD 電源電圧、ロジック部電源電圧。 5 WR 書き込み、TTL/CMOSレベル、内部レジスタへの書き込み用入力。データは、ポジティブ・エッジで 6 D7 データ7、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット7を設定する入力。 7 D6 データ6、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット6を設定する入力。 8 D5 データ5、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット5を設定する入力。 9 D4 データ4、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット4を設定する入力。 10 D3 データ3、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット3を設定する入力。 11 D2 データ2、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット2を設定する入力。 12 D1 データ1、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット1を設定する入力。 13 D0 データ0、TTL/CMOSレベル、データ・ワードのデータ・ビット0を設定する入力。 14 A0 アドレス0、TTL/CMOSレベル、データ転送を選択する入力。A0はチャンネル1(A0=LOW)とチャン ネル2(A0=HIGH)の間を選択します。 15 NC 接続されません。 16 CS チップ選択、TTL/CMOSレベル、データ入力部からチップとアクティブなデータ転送を選択する入力。 Lレベル=チップが選択されています。 17 VSS GND電圧。特に断りがないかぎり、すべての信号と測定に対する接地ピン、0V基準。 18 Sign2 サイン2、TTL/CMOSレベル。NJM377xフェーズ入力に直接接続されます。データビットD7は、 NJU39612データ入力から反転されずに転送されます。 19 DA2 デジタル-アナログ2、電圧出力。0.0VとV Ref-1LSBの間の出力。 20 Reset リセット、デジタル入力リセット内部レジスタ。Hレベル=リセット、VRes≧3.5V=Hレベル。内部的に フリップ・フロップにクロックされます。 Lにプルダウンされています。 NJU39612 ■ 用語定義 分解能 分解能は、DACステップ数の逆数として定義されます。これは、DACのスイッチ数またはビット数と直接関係し ています。たとえばNJU39612には27または128個の出力レベルがあるため、7ビット分解能をもちます。これは、 利用可能なマイクロステップ数とは同じではありません。 直線性エラー 直線性エラーは、DAC転送特性の終点を通る直線からの最大のずれです。これは、ゼロおよびフルスケールを調 整した後に測定されます。直線性エラーは、デバイスに固有のパラメータであるため、外部調整できません。 電源感度 電源感度は、DACフルスケール出力に対する電源変化の影響の尺度です。 セトリングタイム フルスケール電流セトリングタイムには、ゼロからフルスケール、またはフルスケールからゼロの出力変化が必要 です。セトリングタイムは、コード移行から、DAC出力が最終出力値の±1/2LSB内に達するまでに必要な時間で す。 フルスケール・エラー フルスケール・エラーは、理想のDACと実際のデバイス出力との間の出力エラーの尺度です。 微分非直線性 理論的1LSBからの、転送曲線の任意の2つの連続したコード間の差が微分非直線性です。 単調性 単調に増加するデジタル入力コードに対して、DAC出力が比例した増加を示す場合、DACは、単調性があるとい います。7bitDACに単調な7bit入力を行った場合は、デジタル入力コードによるアナログ出力の増加を意味しま す。NJU39612は7ビットに対し単調です。 ■ 機能説明 各DACチャンネルには、1つのレジスタ、およびD/A変換器が含まれています。最初のページにブロック図を示し ます。 符号出力はフェーズシフトを発生させます。すなわち、フェーズ巻線の電流の方向を逆転します。 データバス・インタフェース NJU39612は、6800、6801、6803、6808、6809、8051、8085、Z80、およびその他の一般的な種類の8ビット・ マイクロプロセッサ、およびそれらに対応する16/32ビット・マイクロプロセッサの8ビット・データ・モードと 互換性があるように設計されています。データバス・インタフェースは、8つのデータビット、書込み信号、チッ プ選択、および2つのアドレス・ピンで構成されています。すべての入力はTTL互換です(リセットを除く)。2つ のアドレス・ピンは、2つの内部Dタイプ・レジスタへのデータ転送を制御します。データは、図7に従って、書込 み信号のポジティブ・エッジで転送されます。 Output Output Output Gain error Actual More than 2 bits Less than 2 bits Correct Endpoint non-linearity Negative difference Positive difference Offset error Input Input 図3 D/A変換でのエラー。1ビット 図4 D/A変換でのエラー。1ビット 以上の微分非直線性、出力は非単調。 未満の微分非直線性、出力は単調。 Full scale Input 図5 D/A変換でのエラー。非直線性、 ゲインおよびオフセット・エラー。 NJU39612 電流方向 -Sign1とSign2 電流方向-Sign これらのビットは、それぞれのDAレジスタの書き込み時にD7から転送されます。A0は、図7のデータ転送表に 従って設定する必要があります。 DA1とDA2 これらは、DAC1とDAC2の2つの出力です。DACへの入力は、内部データバス(Q61-Q01)と(Q62-Q 02)です。 基準電圧 VRef 基準電圧V VRefは、2つのDACへのアナログ入力です。レイアウトでは、ピンから抵抗への電圧降下が非常に低くなるように 特別な注意が払われています。0.0VからVDDまでの任意のVRefが可能ですが、3.0Vより上では出力が非直線になる ことがあります。 パワーオン・リセット この機能は、電源投入時にすべての内部フリップ・フロップを自動的にリセットします。この結果、両方のDAC 出力部、およびすべてのデジタル出力部で、VSS電圧が発生します。 Reset Resetを使用しない場合は、切断したままにしてください。 I2 [mA] T2 [mNm] T max Tnom Tmin I T1 I1 [mA] [mNm] 図6a トルクが対応する巻線内の電流に 図6b 任意のトルクずれ/ フルステップ 比例すると仮定すると、図8bのようにな のアクセス可能な位置の例。1番目のマ ります。 イクロステップによって、最大の分解能 が得られることに注意してください。 データ・ポイントは、説明のため誇張し てあります。 TNom = 7FHを入力 CS 0 0 1 A0 0 1 X Data Transfer D7 —> Sign1, (D6—D0) —> (Q61—Q01) D7 —> Sign2, (D6—D0) —> (Q62—Q02) No Transfer 図7 NJU39612内でデータが転送される方法を示す表 NJU39612 ■ 絶対最大定格 (Ta=+25 ℃) 項目 電圧 ロジック電源電圧 ロジック入力 基準入力電圧 電流 ロジック入力電流 温度 保存温度 動作温度 ピン番号 記号 最小 最大 単位 4 5-14,16 1 VDD VI VRef -0.3 -0.3 6 VDD+0.3 VDD+0.3 V V V 5-14,16 II -0.4 +0.4 mA Tstg Topr -55 -20 +150 +85 ℃ ℃ 最小 4.75 0 - 標準 5 2.5 - 最大 5.25 3.8 1 ■ 推奨条件 項目 ロジック電源電圧 基準電圧 ライズ/フォールタイム (WR) 記号 VDD VRef t r ,t f 単位 V V μs NJU39612 ■ 電 気 的 特 性 (Ta=+25 ℃, VDD=5V) 項目 記号 ロジック入力部 Hレベルリセット入力電圧 Lレベルリセット入力電圧 Hレベル入力電圧 Lレベル入力電圧 入力電流(リセット) 入力電流(その他入力端子) 入力容量 内部タイミング特性 アドレスセットアップタイム データセットアップタイム チップセレクトセットアップタイム アドレスホールドタイム データホールドタイム チップセレクトホールドタイム 書き込みサイクル長 リセットサイクル長 基準入力部 入力抵抗 ロジック出力部 Hレベル出力電流 Lレベル出力電流 書き込み遅延時間 リセット遅延時間 D/A出 力 部 公称出力電圧 最小 標準 最大 単位 3.5 2.0 -0.01 -1 - 3 0.1 0.8 1 1 - V V V V mA μA pF 60 60 70 50 80 - 20 20 20 - ns ns ns ns ns ns ns ns Rref 6 9 - kΩ IOH IOL tpwr VO =2.4V VO =0.4V 2 WR端子の立ち上がりから出力が確定する までの時間, Cload=120pF RESET端子の立ち上がりから出力が確定 するまでの時間, Cload=120pF RESET端子オープン,VREF=2.5V 0 -13 5 -5 mA mA 30 100 ns 60 150 ns - VREF -1LSB 0.5 0.5 0.5 0.5 VIHR VILR VIH VIL IIR II tas tds tcs tah tdh tch tWR tres tpres VDA 分解能 オフセットエラー ゲインエラー 積分非直線性 微分非直線性 ロードエラー(Hレベル) 電源感度 変換速度 tDAC 条件 VSS<VIR< VDD VSS<VI< VDD A0に適用 D0-D7に適用 (VDA,無負荷-VDA,負荷時) Rload=2.5kΩ,DACに7FHを入力 DACに7FHを入力,4.75V<VDD<5.25V フルスケールから最終値の ±0.5 LSBに確定するまでの時間, Rload=2.5 kΩ, Cload=50pF. V Bits LSB LSB LSB LSB - 7 0.2 0.1 0.2 0.2 - 0.1 0.1 0.5 0.3 LSB LSB - 3 8 μs NJU39612 t cs t ch CS t as t ah A0 t dh t ds D0-D7 t WR WR t DAC DA t pwr Sign 図8 タイミングチャート t res Reset t pres Sign 図9 リセットのタイミングチャート NJU39612 ■ 応用例 マイクロステップの数 NJU39612で実現できるマイクロステップの数は、デジタル-アナログ変換器のデータビット数、変換器でのエ ラー、許容可能なトルク・リップル、シングルパルスまたはダブルパルス・プログラミング、モータの電気的、機 械的、および磁気的特性など、多様な変数に依存します。また正常動作するモータの能力、摩擦、反復性、トルク 直線性などにも限界があります。電流レベルの数(128、27は、利用できるステップ数ではないことを理解する必 要があります。128はあくまで、各ドライバ部から利用できる電流レベル基準電圧レベルの数です。 一方の巻線の電流レベルを、もう一方の巻線のその他128の電流レベルのどれかと組み合わせることで、128個の 電流レベルが生じます。したがって、これを拡張すると、2つの巻線で、電流レベルの16,384(128*128)種類の 異なる組合せが得られます。忘れてはならないのは、16384の(マイクロ)位置の全てが有効なわけではなく、トル クが100%から0%に変化しても同じ位置を取るオプションもあります。たとえば、一方の巻線の電流レベルがOFF (0%)ならば、もう一方の巻線の電流を128レベルで変化させることができます。この組み合わせでは同じ(位置)の ままトルクが変化します。 典型的な応用例 マイクロステッピング(ソリューション)は、マイクロプロセッサを使用するシステムでも、使用しないシステムで も使用できます。 マイクロプロセッサを使用しない場合は、カウンタで適切なステップ・データが格納されるROMのアドレスを指 定します。ステップと方向はクロック、およびカウンタのアップダウンで作られた入力信号となります。これは、 マイクロプロセッサが存在しないシステム、または他のタスクの負荷が非常に大きいシステムに理想的なソリュー ションです。 マイクロプロセッサを使用する場合は、データがROM/RAM領域に格納されるか、各ステップが連続的に計算さ れます。NJU39612は、任意のアドレッシング可能な周辺デバイスと同様に接続されます。すべてのステップは、 特定のダンピング・ニーズに対して調整できます。これは、余裕をもつマイクロプロセッサが利用でき、単純性よ りも低コストが重要なシステムに理想的なソリューションです。図13の典型的な用途を参照してください。 ■ 使用上のヒント 電源が供給されているときは、ICまたはPCBを取り外さないでください。 所定のトルクを得るのに必要な定格電流のモータを選択してください。高電源電圧では、モータがVMM電圧の定格 でない場合でも、より優れたステッピング性能が得られます。ドライバの電流電流制御機能で対応可能です。通常 のステッピング・モータでは、十分な結果が得られないことがあります。マイクロステッピングでは、「マイクロ ステッピング適応」モータを推奨します。すなわち、動作をスムーズにするために、ロータ/ ステータの歯が異 ピッチで、静止トルクが低めのものです。 NJU39612は、クォーター・ステッピング、ハーフステッピング、フルステッピング、および波動ドライブと同様 に望みの分解能でマイクロステップを生成するプログラムを扱えます。 ランピング すべてのドライブ・システムには、考慮するべき慣性があります。高速では、ロータと負荷慣性が大きな働きをし ます。DCモータとは異なり、ステッピング・モータは同期モータであり、負荷の変動によって速度が変化しませ ん。一般的なステッピング・モータのトルク対速度特性の曲線を調べると、「起動トルク(引き込みトルク)」曲線 での鋭いトルク激減が示されます。この理由は、所要トルクは速度変化の3乗で増加するからです。マイクロス テッピングは全体的な性能を向上させますが、すぐれたモータ性能を得るには、制御された加速または減速を考慮 する必要があります。 NJU39612 Time when motor is in a compromise position. Time when micro position is correct. Write signal. Motor position. Writing to channel 1. Writing to channel 2. Double pulse write signal Actual data = true position Normal resolution Ideal data = desired position Write time = incorrect position Time Useful time = correct position 図10 ダブルパルス・プログラミング、入力および出力信号タイミングチャート Time when motor is in an intermediate position. Time when micro position is almost correct. Write signal. Motor position. Note that position is always a compromise. Writing to channel 1. Writing to channel 2. Single pulse write signal Actual data = true position Note increased resolution "Ideal data" = desired position Useful time = compromise position with equally spaced angles Time Useful time = almost correct position 図11 シングルパルス・プログラミング、入力および出力信号タイミングチャート NJU39612 のプログラミング ■ NJU39612 NJU39612のプログラミング NJU39612をプログラミングする方法は、基本的に「シングルパルス・プログラミング」と「ダブルパルス・プロ グラミング」の2種類があります。デバイスへの書き込みは、一度に1つのレジスタにアドレスすることでのみ達 成されます。1つのステップを実行するとき、通常は少なくとも2つのレジスタが更新されます。それに従って、1 番目と2番目のレジスタに書き込む間に一定の時間の遅延が必要です。このプログラミングの必要性によって、特 別なステッピングの長所が得られます。 ダブルパルス・プログラミング 通常の方法は、正しいアドレッシングを挟んで、デバイスに2つの書き込みパルスを送り、パルス間の遅延をでき るだけ短く保つことです。書き込み信号は、図10で示されるとおりです。長所には次のものがあります。 ・トルク・リップルが低い ・ダブルパルスの各セット間で正しいステップ角度が得られる ・通常のマイクロステップ分解能 シングルパルスプログラミング 別のアプローチは、等しい間隔のデューティーで、一度に1つのパルスを送ることです。これは簡単に実行できま す。任意の2つの隣接するデータで、1つのマイクロステップ位置を構成します。書き込み信号は、図11で示され るとおりです。長所には次のものがあります。 ・高いマイクロステップ分解能 ・円滑な動作 短所には次のものがあります。 ・トルク・リップルが大きい ・ほぼ正しいステップ角度での妥協位置 NJU39612 D0-D7 Counter NJU39612 PROM NJM3777 A0 WR CE CS Clock Up/Dn Vref Step Voltage Reference Control Logic Direction 図12 マイクロプロセッサを使用しない一般的なブロック図 V MM V CC (+5 V) + 0.1 F 0.1 F 13 4 13 V DD D0 V Sign1 3 10 11 6 To P +2.5V D7 NJU39612 14 A0 5 WR 16 CS 20 RESET 1 V Ref DA1 Sign2 2 18 8 15 14 VSS DA2 19 17 CC 20 V MM1 Phase1 Dis1 V R1 MM2 MA1 4 MB1 2 NJM3777 Phase MA2 2 Dis2 V R2 RC GND 12 17 5 V +5 V 12 k 6, 7, 18, 19 MB2 C1 E1 3 9 C2 16 21 23 E2 STEPPER MOTOR 22 Pin numbers refer to EMP package. 4700 pF GND (VCC ) 10 F 0.47 0.47 RS RS GND (V MM) 図13 マイクロプロセッサ・ベースのシステム応用回路例 このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。ま た、工業所有権その他の権利の実施権の許諾 を伴うものではなく、第三者の権利を侵害し ないことを保証するものでもありません。