デュアル160 MHz レール to レール・オペアンプ AD8042 特長 接続図 シングル・タイプのAD8041とクワッド・タイプのAD8044も供給中 8ピン・プラスチック・ミニDIPおよびSOIC +3 V、+5 Vおよび±5 V電源で仕様を規定 両電源電位の30 mV内まで信号を出力可能 入力電圧範囲がGNDから200 mV下まで拡張 入力が電源より0.5 V以上になっても位相反転無し 低消費電力(5.2 mA/アンプ) +5 Vでも高速動作および高速セトリング −3 dB帯域幅が160 MHz(G=+1) 200 V/μsのスルーレート 0.1%まで39 nsのセトリング時間 優れたビデオ特性(RL=150Ω、G=+2) 14 MHzまで0.1 dBのゲイン平坦性 0.02%の微分ゲイン誤差 0.04°の微分位相誤差 低歪み 最悪値−64 dBc(高調波:@10 MHz) 電源から0.5 Vまで50 mAで駆動 アプリケーション 出力電圧振幅は、両電源から50 mV以内まで拡張されています。 これにより、大きな出力ダイナミック範囲を得ています。さらに 14 MHzまで0.1 dBのゲイン平坦性を備え、 +5 V単電源で0.04%と0.06 °の微分ゲイン誤差と微分位相誤差も備えています。したがって、 AD8042はカメラ、ビデオ・スイッチ等の放送局用のビデオ機器、ま たは高速携帯装置に理想的な製品です。またAD8042の低歪み特性 と高速セトリング特性は、高速A/Dコンバータのバッファ処理に 最適です。 AD8042の消費電流は、12 mA(max)です。また+3.3 V単電源で ビデオ・スイッチ 動作できます。したがって、実装面積と消費電力が非常に重要な携 分配用のアンプ 帯型の電池駆動装置に理想的な製品といえます。 A/Dコンバータ・ドライバ さらにAD8042は、+5 V単電源で160 MHzの広い帯域幅と200 V/ 放送局用カメラ μsのスルーレートを備えていますので、 最高±6 Vのデュアル電源 CCD画像システム および+3 Vから+12 Vまでの単電源を使用する高速システムに最 超音波装置(マルチチャンネル) 適です。AD8042のパッケージは、8ピン・プラスチックDIPおよび SOICです。 概要 AD8042は、 +3 V、 +5 Vおよび±5 Vで動作するように設計された 低消費電力電圧帰還型の高速オペアンプです。単電源で動作し、入 力電圧範囲は負電源電位より200 mV下から正電源の1 V下まで拡張 されています。 図2. 周波数応答 図1. 出力振幅:ゲイン=−1、VS=+5 V アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、 当社はその情報の利用、また利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権 利の侵害に関して一切の責任を負いません。さらにアナログ・デバイセズ社の特許また は特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1 - 1 6 - 1 電話03(5402)8200 〒105−6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3 - 5 - 3 6 電話06(6350)6868㈹ 〒532−0003 新大阪第2森ビル AD8042―仕様 (特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+5 V;RL=2 kΩに対して2.5 V) AD8042 パラメータ 条件 Min 125 Typ Max 単位 ダイナミック性能 −3dB小信号帯域幅、VO<0.5Vp−p G=+1 0.1dB平坦性の帯域幅 G=+2、RL=150Ω、RF=200Ω 160 MHz 14 MHz スルーレート G=−1、VO=2 Vステップ 200 V/μs フルパワー応答 VO=2 Vp−p 30 MHz 1%までのセトリング時間 G=−1、VO=2 Vステップ 26 ns 39 ns 130 0.1%までのセトリング時間 ノイズ/高調波性能 全高調波歪み fC=5 MHz、VO=2 Vp−p、G=+2、RL=1 kΩ −73 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 15 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz 700 微分ゲイン誤差(NTSC、100 IRE) G=+2、RL=150Ωに対して2.5 V 0.04 G=+2、RL=75Ωに対して2.5 V 0.04 微分位相誤差(NTSC、100 IRE) クロストーク(最悪値) fA/√Hz 0.06 % % G=+2、RL=150Ωに対して2.5 V 0.06 G=+2、RL=75Ωに対して2.5 V 0.24 0.12 Degrees Degrees f=5 MHz、RL=150Ωに対して2.5 V −63 dB DC性能 入力オフセット電圧 3 TMIN−TMAX オフセット・ドリフト mV 12 mV 12 入力バイアス電流 1.2 TMIN−TMAX 入力オフセット電流 オープンループ・ゲイン 9 0.2 RL=1 kΩ 90 μV/℃ 3.2 μA 4.8 μA 0.5 μA 100 dB 90 dB 入力抵抗 300 kΩ 入力容量 1.5 pF 入力同相電圧範囲 −0.2 ∼ 4 V 74 dB 0.03 ∼ 4.97 V TMIN−TMAX 入力特性 同相除去比 VCM=0 V ∼ 3.5 V 68 出力特性 出力電圧振幅 出力電流 短絡回路電流 容量負荷ドライブ RL=10 kΩに対して2.5 V RL=1 kΩに対して2.5 V 0.10 ∼ 4.9 0.05 ∼ 4.95 V RL=50Ωに対して2.5 V 0.4 ∼ 4.4 0.36 ∼ 4.45 V 50 mA TMIN ∼ TMAX、VOUT=0.5 V ∼ 4.5 V ソース 90 mA シンク 100 mA G=+1 20 pF 電源 動作範囲 3 無負荷時電源電流(アンプ毎に) 電源変動除去比 12 5.2 VS−=0 V ∼ −1 V、またはVS+=+5 V ∼ +6 V 動作温度範囲 72 −40 6 80 V mA dB +85 ℃ 仕様は予告なしに変更する場合があります。 −2− REV.0 AD8042 仕様(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+3 V;RL=2 kΩに対して1.5 V) AD8042 パラメータ 条件 Min 120 Typ Max 単位 ダイナミック性能 −3dB小信号帯域幅、 VO<0.5Vp−p G=+1 0.1dB平坦性の帯域幅 G=+2、RL=150Ω、RF=200Ω スルーレート G=−1、VO=2 Vステップ フルパワー応答 VO=2 Vp−p 1%までのセトリング時間 G=−1、 VO=1 Vステップ 120 0.1%までのセトリング時間 140 MHz 11 MHz 170 V/μs 25 MHz 30 ns 45 ns ノイズ/高調波性能 全高調波歪み fC=5 MHz、VO=2 Vp−p、G=−1、RL=100Ω −56 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 16 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz 500 fA/√Hz 微分ゲイン誤差(NTSC、100 IRE) G=+2、RL=150 Ωに対して1.5 V、入力VCM=1 V 0.10 % RL=75Ωに対して1.5 V、入力VCM=1 V 0.10 % 微分位相誤差(NTSC、100 IRE) クロストーク(最悪値) G=+2、RL=150Ωに対して1.5 V、入力VCM =1 V 0.12 Degrees RL=75Ωに対して1.5 V、入力VCM=1 V 0.27 Degrees f=5 MHz、RL=1 kΩに対して1.5 V −68 dB DC性能 入力オフセット電圧 3 TMIN−TMAX オフセット・ドリフト mV 12 mV 12 入力バイアス電流 1.2 TMIN−TMAX 入力オフセット電流 オープンループ・ゲイン 9 0.2 RL=1 kΩ 90 μV/℃ 3.2 μA 4.8 μA 0.6 μA 100 dB 90 dB 入力抵抗 300 kΩ 入力容量 1.5 pF 入力同相電圧範囲 −0.2 ∼ 2 V 74 dB 0.03 ∼ 2.97 V TMIN−TMAX 入力特性 同相除去比 VCM=0 V ∼ 1.5 V 66 出力特性 出力電圧振幅 RL=10 kΩに対して1.5 V RL=1 kΩに対して1.5 V 0.1 ∼ 2.9 0.05 ∼ 2.95 V RL=50Ωに対して1.5 V 0.3 ∼ 2.6 0.25 ∼ 2.65 V 出力電流 TMIN ∼ TMAX、VOUT=0.5 V ∼ 2.5 V 50 mA 短絡回路電流 ソース 50 mA シンク 70 mA G=+1 17 pF 容量負荷ドライブ 電源 動作範囲 3 無負荷時電源電流(アンプ毎に) 電源変動除去比 5.0 VS−=0 V ∼ −1 V、またはVS+=+3 V ∼ +4 V 動作温度範囲 68 0 仕様は予告なしに変更する場合があります。 REV.0 12 −3− 6 80 V mA dB +70 ℃ AD8042―仕様 (特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=±5 V;RL=2 kΩに対して0 V) AD8042 パラメータ 条件 Min 125 Typ Max 単位 ダイナミック性能 −3dB小信号帯域幅、VO<0.5Vp−p G=+1 0.1dB平坦性の帯域幅 G=+2、RL=150Ω、RF=200Ω スルーレート G=−1、VO=2 Vステップ フルパワー応答 VO=2 Vp−p 1%までのセトリング時間 G=−1、VO=2 Vステップ 145 0.1%までのセトリング時間 170 MHz 18 MHz 225 V/μs 35 MHz 22 ns 32 ns ノイズ/高調波性能 全高調波歪み fC=5 MHz、VO=2 Vp−p、G=+2、RL=1 kΩ −78 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 15 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz 700 微分ゲイン誤差(NTSC、100 IRE) G=+2、RL=150Ω 0.02 G=+2、RL=75Ω 0.02 微分位相誤差(NTSC、100 IRE) クロストーク(最悪値) fA/√Hz 0.05 % % G=+2、RL=150Ω 0.04 G=+2、RL=75Ω 0.12 0.10 Degrees Degrees f=5 MHz、RL=150Ω −63 dB DC性能 入力オフセット電圧 3 TMIN−TMAX オフセット・ドリフト mV 14 mV 12 入力バイアス電流 1.2 TMIN−TMAX 入力オフセット電流 オープンループ・ゲイン 9.8 0.2 RL=1 kΩ 90 μV/℃ 3.2 μA 4.8 μA 0.6 μA 94 dB 86 dB 入力抵抗 300 kΩ 入力容量 1.5 pF 入力同相電圧範囲 −5.2 ∼ 4 V 74 dB −4.97 ∼ +4.97 V TMIN−TMAX 入力特性 同相除去比 VCM=−5 V ∼ 3.5 V 66 出力特性 出力電圧振幅 RL=10 kΩ RL=1 kΩ −4.8 ∼ +4.8 −4.9 ∼ +4.9 V RL=50Ω −4 ∼ +3.2 −4.2 ∼ +3.5 V 出力電流 TMIN∼TMAX、VOUT=−4.5 V ∼ 4.5 V 50 mA 短絡回路電流 ソース 100 mA シンク 100 mA G=+1 25 pF 容量負荷ドライブ 電源 動作範囲 3 無負荷時電源電流(アンプ毎に) 電源変動除去比 12 6 VS−=−5 V ∼ −6 V、またはVS+=+5 V ∼ +6 V 動作温度範囲 68 −40 7 80 V mA dB +85 ℃ 仕様は予告なしに変更する場合があります。 −4− REV.0 AD8042 絶対最大定格1 最大消費電力 電源電圧 …………………………………………………… +12.6 V AD8042が安全に消費できる最大電力は、 接合温度の制約を受けま 内部消費電力2 す。プラスチックに実装されたデバイスの最大安全接合温度は、プ プラスチック・パッケージ(N) ………………………… 1.3 W ラスチックの融点温度によって決まります。 これは約+150℃てす。 SOパッケージ(R) ………………………………………… 0.9 W この限度を一時的に超えた場合、 パッケージ内のチップ上に掛かる 入力電圧(同相) ……………………………………… ストレスの変動によってパラメトリック性能が変化します。 またか 差動入力電圧 ±VS±0.5 V ……………………………………………… 出力短絡回路期間 ………… ±3.4 V 電力ディレーティング曲線を参照 なり長い時間接合温度が+175℃を超えた場合、デバイスの機能が 損なわれます。 保管温度範囲(N,R) …………………………… −65℃ ∼ +125℃ AD8042は、 内部で短絡回路保護を施していますが、これだけでは リード温度範囲(ハンダ付け、10秒) …………………… +300℃ すべての条件下で最大接合温度 (+150℃) を超えない保証となりま 注 1 “絶対最大定格”を超えるストレスはデバイスに永久破壊をもたらすことがあります。こ の定格はデバイスの単なるストレスの度合いであり、基本的な動作あるいは動作の項に示 す他の条件においてこの定格は考慮されていません。デバイスをある項目についての絶 対最大定格の状態に長時間さらすとデバイスの信頼性に影響を与えます。 2 仕様は空冷の無い状態; 8ピン・プラスチック・パッケーシ:θJA=90℃/W 8ピンSOICパッケージ:θJA=160℃/W せん。適切に動作させるために、最大電力ディレーティング曲線を 参照する必要があります。 オーダー・ガイド モデル 電源電圧 温度範囲 AD8042AN +5 V、±5 V −40℃ ∼ +85℃ 8ピン・プラスチックDIP AD8042AN +3 V AD8042AR +5 V、±5 V −40℃ ∼ +85℃ 8ピン・プラスチックSOIC AD8042AR +3 V AD8042AR-REEL 0℃ ∼ +70℃ 0℃ ∼ +70℃ パッケージ・オプション 8ピン・プラスチックDIP 8ピン・プラスチックSOIC SOICリール 図3. 最大消費電力の温度特性 (電力ディレーティング曲線) 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000 Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、検知さ れることなく放電されることもあります。このAD8042には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネルギーの静 電放電にさらされたデバイスには回復不能な損傷が残ることもあります。したがって、性能低下や機能喪失を避けるため に、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。 REV.0 −5− WARNING! ESD SENSITIVE DEVICE AD8042―代表的特性 図4. VOSの代表的分布 図7. オープンループ・ゲインとRL(+2.5 Vに対して) 図5. −40℃から+85℃の範囲のVOSドリフト 図8. オープンループ・ゲインの温度特性 図6. IBの温度特性 図9. オープンループ・ゲインと出力電圧 −6− REV.0 AD8042 REV.0 図10. 入力電圧ノイズの周波数特性 図13. 微分ゲイン誤差と微分位相誤差 図11. 全高調波歪み 図14. 0.1 dBゲイン平坦性 図12. 高調波(最悪値)と出力電圧 図15. オープンループ・ゲインと位相の周波数特性 −7− AD8042―代表的特性 図16. クローズドループ周波数特性と温度 図19. セトリング時間 図17. クローズドループ周波数特性と電源 図20. CMRRの周波数特性 図18. 出力抵抗の周波数特性 図21. 出力飽和電圧と負荷電流 −8− REV.0 AD8042 REV.0 図22. 電源電流の温度特性 図25. オーバーシュート(%)と容量負荷 図23. PSRRの周波数特性 図26. 周波数特性とクローズドループ・ゲイン 図24. 出力電圧振幅の周波数特性 図27. クロストーク(出力間)の周波数特性 −9− AD8042 図28a. 電源電圧の中間点に対する出力振幅と負荷リファレンス電圧 図30. 100 mVステップ・パルス応答、VS=+5 V 図28b. 負の電源電圧に対する出力振幅と負荷リファレンス電圧 図31. レールtoレール出力振幅特性、VS=+3 V 図29. 1Vステップ・パルス応答、VS=+5 V 図32. 100 mVステップ・パルス応答、VS=+3 V − 10 − REV.0 AD8042 オーバードライブからの回復 ドバック・ループ(図示していません)と共に、I8とI5によってQ8と 出力範囲または入力範囲が限度を超えたときに、オペアンプは オーバードライブ状態になります。オペアンプは、このオーバード Q36 のバイアス処理を行っています。AD8042のこの回路で、出力は 電源の0.5 V以内まで50 mAの電流を駆動できます。 またこのデバイスの入力段は、 負電源の0.2 V下から正電源の+1.2 ライブ状態から回復しなければなりません。図33に示すように、 AD8042は負のオーバードライブから30 ns未満で回復します。また V下までの電圧を扱うことができます。この値を超えても位相反転 正のオーバードライブから25 ns未満で回復します。 は起こりません。しかし入力電圧が電源より0.5 V以上になると、入 力ESD回路が動作し始めます。 容量負荷を駆動 負荷と直列に小さな値の抵抗を付け加えることによって、 AD8042の容量負荷駆動能力を高めることができます。図35は、直列 抵抗による容量負荷駆動能力の変化を示したものです。 この負荷駆 動能力は、電圧ゲインによっても変化します。クローズドループ・ ゲインを大きくした場合、大きな容量負荷を駆動できますし、また より位相余裕度も高くなりますので、 オーバーシュートも小さくな ります。クローズドループ・ゲインが小さい場合、直列抵抗を付け 加えることによってより大きな容量負荷を駆動できます。 さらに大 きな容量負荷を駆動する場合、 このアンプの周波数特性は直列抵抗 と容量負荷によるロールオフで決まります。 図33. オーバードライブからの回復 回路の説明 AD8042は、アナログ・デバイセズ社独自のXFCBプロセスで製造 されました。このプロセスによって、PNPトランジスタとNPNトラ ンジスタのfTを同じ2 GHz∼4 GHz領域にできます。またこのプロセ スは、 寄生容量と接合面の絶縁によって生じるラッチアップの問題 を抑えるために電気的に絶縁されています。この特性により、低消 費電流ながら低歪みの性能を持つ高周波数アンプを作成できまし た。また帯域幅を高め、余裕度を上げるために、入力段を差動出力 にしています(図34を参照)。この1段目の出力(ノードS1P、S1N)上 での信号振幅を小さくすることによって、 接合容量による非直線的 な特性を持つ電流の影響を抑え、 歪みに対する性能も改善していま す。これによって、高調波歪み性能は−85 dBを超えます(5 V単電 図35. 容量負荷駆動能力とクローズドループ・ゲイン 源、@1MHz、VOUT=2 Vp−p、ゲイン=+2、負荷100Ω) 。 単電源コンポジット・ビデオ・ライン・ドライバ AD8402の2個のオペアンプを使用して、コンポジット・ビデオ信 号の単電源デュアル・ライン・ドライバを構成できます。AD8402 は幅広い信号出力機能を備えていますので、 信号を歪ませるクラン プ回路やDC再生回路を使わずにこのライン・ドライバ機能を実現 できます。 図36は、このライン・ドライバの回路図です。コンポジット・ビ デオ入力信号はACカップリングされ、 またレベル・シフトされてい ます。そして2個のアンプの+入力に接続しています。アンプはそ れぞれ75Ωで終端され、コンポジット・ビデオ信号を出力していま す。 また単電源で動作させるために、 ACカップリング処理をしてい ます。ビデオ信号の持つ低い周波数成分の信号(30 Hz)を歪ませな いために、大きな値のコンデンサを使用しなければなりません。そ してこの図の回路の微分ゲインと微分位相性能は、それぞれ0.06% 図34. AD8042の簡略化した回路図 と0.06°です。 入力は75Ωで終端され、入力にDCバイアス点を提供する電圧分 コンプリメンタリ・コモン・エミッタ構造の出力段によって、 AD8042のレイルtoレイル出力特性が可能になります。 また出力デバ 周回路に対してCINを通じてACカップリングされます。最適なバイ イスQ8とQ36のベースにすべての出力段ドライバ電流を流し込んで アス点を設定するには、 コンポジット・ビデオ信号とAD8041のビデ いますので、大きな出力駆動性能を得ています。さらに同相フィー オ信号について理解する必要があります。 REV.0 − 11 − AD8042 このことをチェックするために、 電源を変化させて、AD8042の微 分ゲインと微分位相を測定します。 低い方の電源電圧をビデオ信号 に近づけるように上げると、 微分ゲインと微分位相が影響を受ける 前に、sync部が圧縮されることが分かります。つまりsync部が圧縮 されないために、 負の方向の領域は適切な振幅を持たなければなり ません。 また高い方の電源電圧をビデオ信号に近づけるように下げる場 合、ピーク・ビデオ出力と電源の差が0.6 V未満になると、微分ゲイ ンと微分位相が大きな影響を受けます。つまりビデオ・レベルの最 大値は、正電源電位の0.6 V未満になるようにします。 上記のことを考慮すると、 非反転入力にバイアスをかける最適な ポイントは2.2 V DCということが分かります。このポイントで動作 させた場合、微分ゲインの最悪値は0.06%です。また微分位相の最 悪値は、0.06°です。 この回路で使用するACカップリング用のコンデンサの値は大き なものです。またコンポジット・ビデオ信号は、30 Hzの周波数帯域 エッジ(低い方)があります。このACカップリング点の抵抗成分 (特に出力上)は、非常に小さなものです。位相シフトを抑えるため に、大きな値のコンデンサが必要です。最高の品質を要求されない 図36. AD8042を使用した単電源コンポジット・ビデオ・ライン・ドライバ ビデオ・システムでは、このコンデンサの値を1/5にすることがで デューティ比が変化し、 ピークからピークまで制限されている信 きます。値を換えても、画質に大きな影響は現れません。 号は、 ACカップリング後の最大振幅より大きなダイナミック振幅駆 動能力が必要です。最悪の場合で、最大振幅の2倍のダイナミック シングルエンド−差動ドライバ AD8042を使用してクロス・カップリング方式のシングルエンド 振幅駆動能力が必要となります。 これらはデューティ比が小さなと −差動変換回路を構成すると、優れた汎用差動ライン・ドライバに きと逆に大きいとき重要です。 コンポジット・ビデオ信号の場合、上記の2点に関しては余り大 なります。これを建築物内のデータ通信によく利用されるように きな問題となりません。1番目の問題は、フレーム信号のほとんど なっているカテゴリ5のツイスト線を駆動する応用に使用できます。 がブラックで、1点がホワイト(最大輝度)のときに生じるものだか 図37は、この機能を実行する回路を示しています。この回路と差動 らです。 ラインを使用して、 ビデオ通信や多種多様なデータ通信を行うこと 2番目の問題も、 すべてホワイトのときに生じるものだからです。 ができます。 このような信号のブランク間とsync部は、コンポジット・ビデオ信 号に応じて、負の部分を持ちます。水平ブランク部と垂直ブランク 部の間隔によって、信号の最大レベル(ホワイト)は最高75%しか なりません。 したがって、 オペアンプが歪み無しで任意のデューティ比のコン ポジット・ビデオ信号をパスさせるには、ゲイン2で乗じた1 Vp−p のコンポジット・ビデオ信号の場合で約3.2 Vp−pのダイナミック電 圧振幅能力が必要です。 ダイナミック信号振幅を小さくするために、ACカップリングと sync部のクランプを使用してsync部を比較的一定なレベルにしてい る回路もあります。しかしこのような回路では、非常に小さな出力 インピーダンスのソースで駆動しない限り、 sync部が圧縮される等 の影響があります。 AD8042は、sync部のクランプ回路を使用しなくとも、優れたダイ ナミック信号振幅駆動能力を発揮します。さらにACカップリング 構成で信号をバッファしたときの微分ゲイン特性や微分位相特性の ように、優れたビデオ性能を示します。 − 12 − 図37. シングルエンド−差動ツイスト・ライン・ドライバ REV.0 AD8042 AD8042の各々のオペアンプは、フィードバック抵抗(RA)を使用 してユニティ・ゲインのフォロワに構成しています。さらにオペア ンプの出力はもう1つのオペアンプを駆動しています。これにより 2個のR Bでユニティ・ゲインの反転器を構成し、対称的な回路に なっています。 アンプ2の+入力をグランドに接続し、 またアンプ1の+入力に小 さな正電圧の信号を入力した場合、アンプ1の出力は正の方向に飽 和します。この動作は、フィードバックの無い従来のオペアンプの 動作と同じです。 アンプ2の出力とアンプ1の入力の間に抵抗 (RF) を接続した場合、 負帰還のフィードバック・ループになります。また入力抵抗(RI)に よって、 この回路は通常の差動出力を備えたオペアンプ反転構成の ようになります。入力から出力までのこの回路のゲインは、±RF/ RIです。あるいはシングルエンド−差動ゲインは、2×RF/RIです。 つまりこの回路は、1個の抵抗を変えることでゲインを調整できま す。 ケーブルは、約120Ωのインピーダンスを備えています。した がって信号源が120Ωであるように、 ドライバ出力を一対の60.4Ωの 抵抗で終端します。また受信側も121Ωの抵抗で終端します。そし て差動信号をオシロスコープの一対のプローブで計測します。 オシ ロスコープ上の1チャンネルを反転し、そして信号を加算します。 図38のオシロスコープ写真は、10 MHz、2 Vp−pの信号を回路に 入力し、50 mのツイスト線を駆動した際の出力です。 図39. 12ビット、10 MSPSのA/Dコンバータ AD9220用のAD8042差動ドライバ この回路を、 10 MHzのクロックと1 MHzの信号を入力してテスト を行いました。図40は、ディジタル出力のFFT特性です。電圧分周 回路によって、ピン5は2.5 Vにバイアスされています。またバイパ スされています。これにより、出力は2.5 Vバイアスされます。さら にVINを、VINが正の方向に向かったときにVINAが正の方向に、また VINBが負の方向に向かうようにACカップリングします。VINが負の 方向に向かうときは、逆の動作をします。 図38. 差動ドライバの周波数特性 単電源差動A/Dドライバ シングルエンド−差動変換回路は、 ビデオ信号等のシングルエン ド高速信号を差動入力型のA/Dコンバータに入力する際の差動ド ライバにも適しています。図39の回路は、12ビット、10 MSPSのA/ Dコンバータ、AD9220を差動に駆動するものです。 図40. AD8042でドライブした際のAD9220の出力FFT特性 REV.0 − 13 − AD8042 HDSLライン・ドライバ レイアウト上の考察 HDSL(高ビット−レート・ディジタル・サブスクライバー)ラ AD8042の高速特性を使用する上で、 基板レイアウトと部品選択に インは、ある程度の距離を電話回線を通じてDS1レート(1.544 注意を払うことが重要です。適切なRF設計技術と低い寄生容量の MBPS)でのデータ通信に用いられるようになってきています。こ 部品を選択することが基本です。 のような電話回線システムの利用者の受話器は、 概ね電話局の電源 プリント回路基板は、 低インピーダンスのグラウンド面を実現す から電話回線を通じて電流が供給されています。 したがって長い回 るために基板の部品側の使用しない部分はすべてグラウンド面で覆 線ラインあるいは細いゲージ・ラインの電圧降下を補償するため うべきです。また浮遊容量を減らすために、グラウンド面は入力端 に、電源のDC電圧を高める必要がある場合があります。 子から離して下さい。 このため利用者の受話器の消費電力をできる限り少なく抑える 電源バイパス処理用にチップ・コンデンサを使用して下さい。一 ことが重要です。この消費電力を抑える手段の1つとして、従来の 方の端子はグラウンド面に接続し、 もう一方を各電源端子に接続 (3 ±12 V電源の代わりに±5 V電源で受話器を動作させることがあり mm以内)して下さい。また大きな値(4.7μF∼10μF)のタンタル電 ます。 解コンデンサを並列に接続して下さい。 しかし出力上で大きな信号 AD8042は大きな出力振幅特性と大きな電流駆動能力を持ちます ので、この応用に最適な製品です。図41は、AD8042をライン・ドラ が高速に変動する場合、 電流を供給しなければならないために余り 近づけないで下さい。 イバとして使用したHDSL受話器のアナログ部の回路です。 フィードバック抵抗は、 反転入力端子上のストレイ容量を抑える ためにこの端子の近くに配置して下さい。 反転入力上での容量変動 を1 pF内に抑えれば、優れた高速性能を維持できます。 信号ラインが長い時(2.5 cm以上)は、ストリップ・ライン設計技 術を使用します。 この設計では50Ω∼75Ωのインピーダンスを利用 し、また各々終端します。 図41. HDSLライン・ドライバ − 14 − REV.0 AD8042 外径寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 8ピン・プラスチックDIP (N-8) 8ピン・プラスチックSOIC (SO-8) REV.0 − 15 − うにやさ ゅ い し ちき PRINTED IN JAPAN AD7376 み る 「この取扱説明書はエコマーク認定の再生紙を使用しています。」 ど りをまも − 16 − REV.0