71-08表1/4 08.3.3 1:48 PM ページ1 昭和 40 年 6 月 3 日 第三種郵便物認可 平成 10 年 8 月 10 日発行(毎月 1 回 10 日発行)富士時報 第 71 巻 第 8 号(通巻第 761 号) 昭和 40 年 6 月 3 日 第三種郵便物認可 平成 10 年 8 月 10 日発行(毎月 1 回 10 日発行)富士時報 第 71 巻 第 8 号(通巻第 761 号) 富 士 時 報 I C 特 集 IC特集 聞こえてきますか、技術の鼓動。 本誌はエコマーク認定の再生紙を使用しています。 定価525円(本体500円) ISSN 0367-3332 71-08-表2/3 08.3.3 1:55 PM ページ1 富士電機の電源用パワー IC 本 社 〃 マルチな要求に,マルチでおこたえする 電源用パワー I Cです。 1(011)261-7231 1(022)225-5351 1(0764)41-1231 1(052)204-0290 1(06) 455-3800 1(082)247-4231 1(087)851-9101 1(092)731-7111 〒060-0042 〒980-0811 〒930-0004 〒460-0003 〒553-0002 〒730-0021 〒760-0017 〒810-0001 札幌市中央区大通西四丁目1番地(道銀ビル) 仙台市青葉区一番町一丁目2番25号(仙台NSビル) 富山市桜橋通3番1号(富山電気ビル) 名古屋市中区錦一丁目19番24号(名古屋第一ビル) 大阪市福島区鷺洲一丁目11番19号(富士電機大阪ビル) 広島市中区胡町4番21号(朝日生命広島胡町ビル) 高松市番町一丁目6番8号(高松興銀ビル) 福岡市中央区天神二丁目12番1号(天神ビル) 北 関 東 支 店 首 都 圏 北 部 支 店 首 都 圏 東 部 支 店 神 奈 川 支 店 新 潟 支 店 長 野 シ ス テ ム 支 店 長 野 支 店 岡 山 支 店 松 山 支 店 1(0485)26-2200 1(048)657-1231 1(043)223-0701 1(045)325-5611 1(025)284-5314 1(026)228-6731 1(0263)36-6740 1(086)227-7500 1(089)933-9100 〒360-0037 〒330-0802 〒260-0015 〒220-0004 〒950-0965 〒380-0836 〒390-0811 〒700-0826 〒790-0878 熊谷市筑波一丁目195番地(能見ビル) 大宮市宮町一丁目38番1号(野村不動産大宮共同ビル) 千葉市中央区富士見二丁目15番11号(日本生命千葉富士見ビル) 横浜市西区北幸二丁目8番4号(横浜西口KNビル) 新潟市新光町16番地4(荏原新潟ビル) 長野市南県町1002番地(陽光エースビル) 松本市中央四丁目5番35号(長野鋳物会館) 岡山市磨屋町3番10号(住友生命岡山ニューシティビル) 松山市勝山町一丁目19番地3(青木第一ビル) 北 釧 道 青 盛 秋 山 福 金 福 山 松 岐 静 浜 豊 和 山 山 徳 高 小 長 熊 南 沖 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 1(0157)22-5225 1(0154)22-4295 1(0155)24-2416 1(0177)77-7802 1(019)654-1741 1(0188)24-3401 1(0236)41-2371 1(0249)32-0879 1(076)221-9228 1(0776)21-0605 1(0552)22-4421 1(0263)33-9141 1(058)251-7110 1(054)251-9532 1(053)458-0380 1(0565)29-5771 1(0734)72-6445 1(0852)21-9666 1(0836)21-3177 1(0886)55-3533 1(0888)24-8122 1(093)521-8084 1(095)827-4657 1(096)387-7351 1(099)224-8522 1(098)862-8625 〒090-0831 〒085-0032 〒080-0803 〒030-0861 〒020-0034 〒010-0962 〒990-0057 〒963-8004 〒920-0031 〒910-0005 〒400-0858 〒390-0811 〒500-8868 〒420-0011 〒430-0935 〒471-0835 〒640-8341 〒690-0007 〒755-0043 〒770-0832 〒780-0870 〒802-0014 〒850-0037 〒862-0954 〒892-0846 〒900-0005 北見市西富町163番地の30 釧路市新栄町8番13号 帯広市東三条南十丁目15番地 青森市長島二丁目25番3号(ニッセイ青森センタービル) 盛岡市盛岡駅前通16番21号(住友生命盛岡駅前ビル) 秋田市八橋大畑一丁目5番16号 山形市宮町一丁目10番12号 郡山市中町1番22号(郡山大同生命ビル) 金沢市広岡一丁目1番18号(伊藤忠金沢ビル) 福井市大手二丁目7番15号(安田生命福井ビル) 甲府市相生一丁目1番21号(清田ビル) 松本市中央四丁目5番35号(長野鋳物会館) 岐阜市光明町三丁目1番地(太陽ビル) 静岡市安西二丁目21番地(静岡木材会館) 浜松市伝馬町312番地32(住友生命浜松伝馬町ビル) 豊田市曙町三丁目25番地1 和歌山市黒田94番地24(鍋島ビル) 松江市御手船場町549-1(安田火災松江ビル) 宇部市相生町8番1号(宇部興産ビル) 徳島市寺島本町東二丁目5番地1(元木ビル) 高知市本町四丁目1番16号(高知電気ビル別館) 北九州市小倉北区砂津二丁目1番40号(富士電機小倉ビル) 長崎市金屋町7番12号 熊本市神水一丁目24番1号(城見ビル) 鹿児島市加治屋町12番7号(日本生命鹿児島加治屋町ビル) 那覇市天久1131番地11(ダイオキビル) エ ネ ル ギ ー 製 作 所 変電システム製作所 東京システム製作所 神 戸 工 場 鈴 鹿 工 場 松 本 工 場 山 梨 工 場 吹 上 工 場 大 田 原 工 場 三 重 工 場 1(044)333-7111 1(0436)42-8111 1(042)583-6111 1(078)991-2111 1(0593)83-8100 1(0263)25-7111 1(0552)85-6111 1(0485)48-1111 1(0287)22-7111 1(0593)30-1511 〒210-0856 〒290-8511 〒191-8502 〒651-2271 〒513-8633 〒390-0821 〒400-0222 〒369-0122 〒324-8510 〒510-8631 川崎市川崎区田辺新田1番1号 市原市八幡海岸通7番地 日野市富士町1番地 神戸市西区高塚台四丁目1番地の1 鈴鹿市南玉垣町5520番地 松本市筑摩四丁目18番1号 山梨県中巨摩郡白根町飯野221番地の1 埼玉県北足立郡吹上町南一丁目5番45号 大田原市中田原1043番地 四日市市富士町1番27号 海 道 支 北 支 陸 支 部 支 西 支 国 支 国 支 州 支 見 営 路 営 東 営 森 営 岡 営 田 営 形 営 島 営 沢 営 井 営 梨 営 本 営 阜 営 岡 営 松 営 田 営 歌 山 営 陰 営 口 営 島 営 知 営 倉 営 崎 営 本 営 九 州 営 縄 営 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 PGND1 OUT6 PGND2 GND 28 48 37 OUT6S 45 OUT5 OUT5S 44 47 46 OUT4 40 OUT3 OUT2S 41 OUT2 43 42 OUT1S VCC1 VCC2 OUT1 38 39 Pch ドラ イバ Nch ドラ イバ 三角波 発振器 制御 電源 UVLO fosc UVLO オ ン オ フ 制 御 30 31 33 32 34 27 タイマ ラッチ CP IN6− 19 20 −+ FB6 16 17 IN5− IN5+ 18 −+ FB5 24 IN4− IN4+ 25 26 −+ FB4 21 22 IN3− IN3+ 23 −+ FB3 12 −+ IN2− 14 13 FB2 FB1 15 誤差 増幅器 −+ IN1− VREF 9 バッ ファ 5 6 4 8 7 29 −+ 基準 電源 2 3 ソ フ ト ス タ ー ト TLSEL −+ 10 PWM比較器 −+ CRFF 内 部 制 御 電 源 −+ VREG −+ お問合せ先:電子事業本部 IC事業部 電話(03)5388-7621 Pch ドラ イバ −+ TSSOP-16,SSOP-28,LQFP-48 Pch ドラ イバ 11 ● 低消費電力・小形・高効率 ● 小形パッケージ Pch ドラ イバ ドライバ用 制御電源 特 長:● 低オン抵抗DMOS出力トランジスタを内蔵可能なC/DMOS 過電流,過熱などに対する保護機能が充実 Pch ドラ イバ 各ドライバへ ビデオカメラ・ディジタルカメラ用マルチ出力電源など 低入力電圧に対応可能(2.5 Vまで) 36 1 35 6チャネルFA3621F,6チャネルFA3675F 用 途:TFTパネル用マルチ出力電源, プロセスによりパワー段と制御部を1チップ化 VDRV ブロックダイヤグラム FA3675Fの例 製品例:2チャネルFA3630V,3チャネルFA3629V, RT CT CS5 CS4 CS3 CS2 CS1 1(03)3211-7111 〒100-8410 東京都千代田区有楽町一丁目12番1号(新有楽町ビル) 1(03)3375-7111 〒151-8520 東京都渋谷区代々木四丁目30番3号(新宿コヤマビル) 社 社 社 社 社 社 社 社 北 東 北 中 関 中 四 九 低消費電力のパワーマネジメントを1チップで実現 事 務 所 新 宿 別 館 CNT5 CNT4 CNT3 CNT2 CNT1 (株) 富士電機総合研究所 (株) エフ・エフ・シー 1(0468)56-1191 〒240-0194 横須賀市長坂二丁目2番1号 1(03)5351-0200 〒151-0053 東京都渋谷区代々木四丁目30番3号(新宿コヤマビル) IC特集 目 次 集積回路は部品か? 426( 2 ) 関根慶太郎 富士電機の IC の現状と展望 目 黒 427( 3 ) 謙 カレントモード電源用 CMOSIC 430( 6 ) 丸山 宏志 3 チャネル DC---DC コンバータ用 IC 434(10) 山田谷政幸 6 チャネル DC---DC コンバータ用 IC 438(14) 遠藤 和弥 小形オートフォーカスモジュールの高性能化 森 表紙写真 442(18) 賢 一 MOS アナログセンサを適用したオートフォーカスモジュール 田 中 445(21) 誠 ・ 小松 幸哲 ・ 榎本 良成 誘電体分離プロセスを用いたカラー PDP ドライバ IC 澄田 仁志 ・ 平林 温夫 ・ 島 袋 448(24) 浩 小形 LCD コントローラ 452(28) 加茂 宏明 高耐圧 CMOS プロセス技術 熊田恵志郎 ・ 横 山 456(32) 聡 最近のマルチメディア機器の発展には,目 をみはるものがある。特に携帯電話機やディ ジタルカメラなど,電池駆動の携帯機器の需 要の増大は著しい。これらには,より一層の システム IC 設計技術 吉 田 豊 ・ 中 原 459(35) 健 軽量化,高効率化,低消費電力化が要求され る。 富士電機はこれらの要求にこたえて,低消 ディーゼルエンジン用圧力センサ 462(38) 村上 忠義 費電力・高精度 CMOS アナログ技術を用い た電源用 IC を,パワーマネジメント用のキ ーパーツとして数多く供給している。 表紙写真は,出力 MOSFET を内蔵した電 IC の品質保証 465(41) 片岡 孝三 源用パワー IC を中央に配し,そのチップ写 真を背景に,ビデオカメラ,携帯電話機など 技術論文社外公表一覧 447(23),468(44) 最近登録になった富士出願 455(31),469(45) の応用製品のイメージを重ね,広範囲なアプ リケーションに対応している状況を示したも のである。 集積回路は部品か? 関根 慶太郎(せきね けいたろう) 東京理科大学理工学部教授 工学博士 現在,我が国の大手メーカーにおける集積回路の製造は, アラウンド(子豚の成長)が早いといった特徴がある。こ 多くの場合, 「電子部品」部門で行われている。歴史的に のため,品不足→価格の高騰→生産者の増加→生産過剰→ 見 れば, 初期 の 集積回路 は 機能的 にも「 部品 レベル」で 価格の暴落→生産者の減少→品不足といったサイクルを絶 あったことは間違いがない。しかしながら,この結果とし えず繰り返すことになる。現在の豚肉の市場価格は安定し て,我が国においては,集積回路の製品としての一般的な ているようであるが,メモリ市場のほうは,相変わらず, 評価基準は,信頼性,コスト,歩留まり,といった,部品 盛衰を繰り返している。その結果,ある人の言うように, に対するそれと全く同一になっている。部品は規格が重要 「メモリがだめになる毎に,今度こそはメモリから脱却し であり,製造側の都合で形状や性能を勝手に変えられると, て,システムものに転換しなければ,ということでプロジェ セットメーカーは混乱しよう。たしかに,集積度が高くな クトを組むけれど,体質改善は容易ではなく,そうこうし い MSI の 時代 は,この 方策 は 誤 りではなかったであろう。 ているうちに市況が回復してしまい,またメモリ一辺倒に しかし, 問題 はこのような 経緯 により, 現在 の 技術者 に なるのです」ということになるのである。 「集積回路にどんな内容を盛り込むか」という視点をもつ 「一定の需要」が不況で期待できなくなり,生産者の数 という伝統が全くといってよいくらい育たず,製造側が, も国際的に増えているので,今回の落ち込みは回復に時間 受け身の姿勢となってしまったことである。受け身とは, がかかることが予測される。そこで,今度こそは意識改革 設計が,客筋の注文,あるいは流行の品,という観点で開 を行って,設計主導型のシステム化 LSI に本腰をいれて取 始されることを意味しており,従って, 「何を作るか」,よ り組むべきという結論に,多くの人が到達したものと思わ りは「どう作るか」のほうにより多くの関心を払うことと れる。 なる。たとえば,建築では,誰が設計したかで価値(価格) が 異 なるのに 対 し, 集積回路 は 誰 が 設計 しようと, 単 に しかしながら,全体的に,①市場がどんなシステムを要 求しているかが めない(顧客と設計をつなぐ筈の営業が, 「部品」にあっ 「工数」として原価に加算されるだけである。 この意味で機能していない)。②長年の受け身姿勢が染み ては,製品の価値は,設計技術ではなく製造技術で決まっ ついてしまい,注文されたものしか作れない。③設計者が てしまう。現在の集積回路の多くはこのような視点から評 多忙すぎて,担当の仕事以外の世界に関心を持つ余裕がな 価が行われている,ということはすなわち,マネージャー い(教養をつける暇がない)。④受験勉強の影響か,答え をはじめとする殆どの技術者が,「集積回路は一種の(高 のない問題に取り組む方法を知らない。⑤回路のパラメー 機能の)部品である」と考えていることを意味している。 タを決めることがすなわち設計であるという考えから脱却 このような風土における当然の帰着として,我が国におけ できず,システム 思考 ができない。 等々 といった 問題 が る集積回路の主流は「メモリ」となったのである。 あって,これらを一つずつ解決していかないと,いつまで 話は少し変わるが経済用語に「ピッグ・サイクル」とい 経っても,我が国の半導体業界は,米国のベンチャーの単 うものがある。養豚では,①常に一定の需要があって,② なるファブ(要するに下請け)から脱却できないのではな 設備投資(子豚の仕入れ)が比較的容易であり,③ターン いかと憂えている。 426( 2 ) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 富士電機の IC の現状と展望 目黒 謙(めぐろ けん) まえがき (30 V,60 V,120 V)の紹介をする。 (3) C/DMOSIC 富士電機の IC は,特定用途向け分野に特化し,特徴あ Si ゲート CMOS の高耐圧構造として,DMOS を共存さ る技術を基に製品開発を実施している。具体的には,高耐 せたプロセスとして電源用 IC やプラズマディスプレイド 圧 技 術 [ C/DMOS( Complementary/Double Diffused ライバ IC に 適用 されているが, 内蔵 するパワー MOS MOS) 技術 ]やセンサ 内蔵技術 (ホトダイオード,ピエ FET( Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transis- ゾ抵抗センサ)により電源用 IC,フラットパネルディス tor)の 小形化 に 有効 な 技術 である。オン 抵抗 と 面積効率 プレイドライバ IC(プラズマディスプレイ,液晶),カメ について,図2に示す。なお本特集号では誘電体分離技術 ラ用オートフォーカス IC,自動車用圧力センサ,ハイブ (SOI)を用いたプラズマディスプレイドライバ IC の例を リッド IC などで製品展開をしてきた。 紹介する。 半導体市場は好不況の波が激しく,かつ競争がますます その他,Bi-CMOSIC やベアチップ実装に適したバンプ 激化している。こうした背景下で生き残るためには,特長 (はんだ,金)プロセスも保有しており,多様な顧客要求 ある技術に磨きをかけるとともに,さらにコアとなる技術 に対応している。 を開発し,他社にはないユニークな製品を提供することが 重要である。以下に,その技術の概要,製品例,今後の展 望を述べる。 2.2 実装技術 プラスチックモールドパッケージは,DIP(Dual Inline ,SOP(Small Outline Package),QFP(Quad Package) 富士電機の IC の現状 Flat Package)をはじめ TSSOP(Thin Shrink SOP)と 2.1 プロセス・デバイス技術 CSP(Chip Size Package)の検討も実施中だが,前述し いった 狭 ピッチ, 薄形 パッケージも 準備 している。また 富士電機のプロセス・デバイス技術の特長は,高耐圧と アナログ・ディジタル共存技術である。微細加工と高耐圧 図1 富士電機の IC のプロセス技術 を共存させるためのプロセスの工夫や,アナログ精度を上 げるための工夫を行っている。代表的なプロセスは次に記 すとおりである(図1)。 (1) バイポーラ IC 低 コスト, 高精度 を 生 かして 自動車用 イグナイタ IC, 圧力センサや電源用 IC に製品展開されている。 1995 1996 デザインルールでは 現在 0.6 μm 級 CMOSIC まで 量産化 IC として幅広く用いられており,電源用 IC,携帯電話機 用 IC,オートフォーカス用 IC,液晶ディスプレイドライ 1999 2000 Bi-CMOSIC:2μm 20V CMOSIC:1μm 5V 30V 60V 120V CMOSIC:0.8μm 5V 0.6μm 5V プロセスを開発し,次に高耐圧 IC の開発を実施している。 している。製品展開としては,アナログ・ディジタル共存 1998 バイポーラIC:8μm 20∼40V 2μm 20V (2 ) Si ゲート CMOSIC 微細加工 のリード 役 であり, 標準 ロジック 用 ( 5 V 級 ) 1997 <0.5μm 5V C/DMOSIC:2μm 700V 1μm 150V 1μm 30V/60V 1μm 250V(SOI) バンプ:Au Pb-Sn 鉛レス バ IC などがある。 本 特 集 号 では 高 耐 圧 CMOSIC 技 術 目黒 謙 半導体デバイス,特に集積回路の 開発に従事。現在,松本工場半導 体開発センター IC 開発部長。 427( 3 ) 富士時報 富士電機の IC の現状と展望 Vol.71 No.8 1998 図2 富士電機の DMOSIC のオン抵抗の面積効率 図3 プラスチックパッケージ IC の例 面積抵抗率(Ω・mm2) 1 他社品 60V DMOSIC 0.1 30V DMOSIC 0.01 10 100 50 S/D耐圧(V) 図4 富士電機の電源用 IC と応用回路例 力率改善 DC-DC AC-DC + + C/DMOSIC FA3629V FA3621 バイポーラIC + + FA5331 FA5332 バイポーラIC FA53シリーズ バイポーラIC FA76シリーズ FA13842/44 CMOSIC たとおり富士電機ではベアチップ実装に適したバンププロ FA3630V FA13843/45 CMOSIC 図5 富士電機のオートフォーカス IC モジュール セスを保有しており,製品の小形化に適した実装技術をそ ろえている(図3参照)。 一方,オートフォーカス IC ではレンズ付きモジュール やクリアモールド樹脂パッケージ技術があり,圧力センサ では高信頼性用途の金属パッケージから樹脂封止パッケー ジまで用途に応じて系列化している。 1cm 2.3 富士電機の IC 富士電機の IC は,フルカスタムから出発して特定用途 向け標準 IC(ASSP)に狙いを絞った製品展開をしている。 代表的な製品として,電源用 IC がある。地球環境保護 カラープラズマディスプレイドライバ IC は,大画面テ の観点から省資源,省エネルギーが求められている背景下, レビやモニタ用途に製品化されている。また本特集号では マッチした製品として低消費電力形 CMOS や力率改善 IC 系列化が進んだ小形液晶コントローラの紹介をする。また, などの系列をそろえている(図4,表1参照)。 圧力センサではディーゼルエンジン用の紹介をする。 カメラ用オートフォーカス IC はレンズ付きモジュール の 系列化 が 進 み, 薄形 カメラ( APS 用途 )に 適 した 小形 今後の展望 モジュールや,従来のディジタル方式に加えて低価格アナ ログ 方式 センサの 開発 を 終了 させている( 図5 , 表2 参 。 照) 428( 4 ) 富士電機の IC が,今後生き残るためには,市場ニーズ にマッチした製品を供給していくことは当然だが,他社に 富士時報 富士電機の IC の現状と展望 Vol.71 No.8 1998 表1 富士電機の電源用 IC (a)AC-DCコンバータ 適用回路 項目 形 式 D max フライ バック 分類 バ イ ポ ー ラ I C 制 御 専 用 M I O CS フォ ワード 動作モード MOSIC 駆動 力率改善 FA5301 100% FA5304 46% ⃝ FA5305 46% ⃝ FA5310 46% ⃝ FA5311 70% FA5314 46% FA5315 70% FA5316 46% FA5317 70% FA5321 50% FA5331 92% ⃝ FA5332 92% ⃝ FA13842 96% FA13844 48% ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ カレント ⃝ ⃝ OVP OTP 16ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 16ピン ⃝ ⃝ ⃝ 16ピン ⃝ ⃝ OCP ⃝ ⃝ ⃝ 保護回路 外 形 ボル テージ ⃝ 16ピン ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ 8ピン (b)DC-DCコンバータ 電圧範囲 項目 チャネル 数 形 式 分類 制 御 専 用 パ ワ ー 内 蔵 2.5∼22V 系 3.6∼22V 系 適用回路 1.4∼12V 系 10∼50V 系 ステップ ダウン FA7610 1 ⃝ FA7611 2 ⃝ ⃝ FA7612 1 ⃝ ⃝ FA7613 1 FA7615 2 FA7616 2 FA7617 1 ⃝ FA7622 2 ⃝ ⃝ FA7630 2 ⃝ ⃝ M O S I C FA3630 2 FA13843 1 FA13845 1 M O S I C FA3621 6 FA3629 3 FA36XX 1 バ イ ポ ー ラ I C 8ピン ⃝ 16ピン ⃝ 16ピン ⃝ ⃝ 16ピン ⃝ ⃝ 16ピン 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ 20ピン ⃝ ⃝ 20ピン ⃝ ⃝ ⃝ 16ピン ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ 8ピン ⃝ ⃝ ⃝ 16ピン 8ピン ている。本特集号では,システム IC 設計技術として紹介 ディジタル方式/ 21 mピッチ センサ アナログ方式/ 21 mピッチ センサ アナログ方式/ 12 mピッチ センサ 3倍以下のズーム FM6234T FM6254T FM6255T 3倍以上のズーム FM6232T FM6252T (FM6256T) 適用カメラ ⃝ ⃝ ⃝ 表2 富士電機のオートフォーカス IC センサ方式 ⃝ ⃝ ⃝ 外 形 アップ・ ダウン ⃝ ⃝ MOS 駆動 ステップ アップ 〈注〉 ( )付きは開発中 する。 あとがき 富士電機の IC 技術の現状と展望について述べた。今後 も特長ある技術により,お客さまに喜ばれる製品を開発し 供給していく所存である。 ないユニークな技術を有することと同時に,多様化する要 望に短期にこたえられる設計技術が必要である。そのため IP(Intellectual Property)コアの導入や自動設計化に向 けた CAD(Computer Aided Design)技術開発に注力し 参考文献 (1) 目黒謙:富士電機 の IC の 現状 と 展望 , 富士時報 , Vol.69, No.8,p.407-409(1996) 429( 5 ) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 カレントモード電源用 CMOSIC 丸山 宏志(まるやま ひろし) まえがき 特に海外ではよく採用されている方式である。 表2 に FA1384x 近年,環境問題の改善策として省エネルギー化が重要視 シリーズの 主要特性 を 示 す。また, 図 1 にチップ写真を示す。 されるなか,電気・電子機器に広く使用されるスイッチン グ電源の高効率化・低消費電力化がクローズアップされて 2.1 特 長 いる。このため,リモートコントローラやタイマ付きの製 今回開発 した FA1384x シリーズは, 8 ピンのカレント 品や AC アダプタなど常時電源を投入したまま使用される モード電源用制御 IC としては,業界標準といえる他社の 製品では,待機時消費電力の低減を目的として,スタンバ 384x シリーズと同じピン配置を採用し,同じ機能を CMOS イ(低消費電力)モードを持つなどの工夫をした電源回路 回路で構成している。また,パッケージ外形は DIP(Dual も増えてきている。 Inline Package)と SOP( Small Outline Package)の2 商用交流電源 ( 100 V, 230 V など)を 直流電源 に 変換 する AC-DC 電源用制御 IC として,バイポーラプロセス 種類を用意している。 IC の特長は以下のとおりである。 を使用したものが従来から主として開発されてきたが,ス (1) CMOS プロセスの採用により低消費電流化 タンバイモードなどの最小負荷時には電源用制御 IC 自体 (2 ) サイクル 単位 で 電流制限 を 行 う,ラッチング PWM の消費電力も,低消費電力化の対象となるレベルに達して (Pulse Width Modulation)制御 (3) ヒステリシス特性をもつ低電圧ロックアウト いる。 富士電機では,液晶パネルやプリンタのサーマルヘッド などで使用される高耐圧ドライバ IC の開発で蓄積してき た 高耐圧 CMOS( Complementary MOS)プロセス 技術 FA13842/44 : 16.5 V オン/9 V オフ FA13843/45 : 9.6 V オン/9 V オフ (4 ) フライバック 回路 またはフォワード 回路向 けに 最大 を,スイッチング電源用制御 IC にも適用し,消費電流の デューティの異なる品種を用意 低減 を 行 った CMOS タイプの IC を 開発 していく 方針 を FA13842/43 : 96 % 固め,その関連製品として,8 ピンのカレントモード電源 FA13844/45 : 48 % 用制御 CMOSIC「FA1384x シリーズ」を開発したので, (RT = 10 kΩ,CT = 3,300 pF のとき) その概要を紹介する。 2.2 回路構成・デバイス 製品の概要 今回開発した FA1384x シリーズの回路ブロック図を図 2 に 示 す。 VCC 端子 から 接続 された 基準電圧発生回路 , 富士電機ではすでに,バイポーラプロセスを用いた AC- 低電圧保護(UVLO)回路,出力ドライバ回路などから構 DC 電源用制御 IC として, 表 1 の 製品 を 系列化 している。 成される高耐圧部と,基準電圧発生回路から接続された発 今回の開発では,製品系列を強化するため 8 ピンのカレン ,電流比較器(カレン 振器,誤差増幅器(エラーアンプ) トモード電源用制御 IC を,CMOS プロセスを用いて製品 トコンパレータ)などの低耐圧制御部から構成されている。 化した。 2.2.1 デバイス こ の 制 御 方 式 は , パ ワ ー MOSFET ( Metal-Oxide- 使用したプロセスは,30 V 耐圧の高耐圧 MOS デバイス Semiconductor Field-Effect Transistor)のピーク 電流 を と 5 V 耐圧の MOS デバイスで,2 種類のゲート酸化膜厚 一定に保つように制御する方式で,位相遅れ要素の影響が を使い分ける構成をとっており,高耐圧・低耐圧どちらで 少なく,安定動作する電源を設計しやすいなどの理由で, も CMOS 回路を構成することができる。 丸山 宏志 スイッチング電源用制御 IC の開 発に従事。現在,松本工場半導体 開発センター IC 開発部主任。 430( 6 ) 富士時報 カレントモード電源用 CMOSIC Vol.71 No.8 1998 表1 AC-DC電源用 IC の製品系列 動作電圧 最大動作周波数 最大デューティ FA5301BP/BN (16ピン) 7∼22V 200kHz 任意 20mA (DC) FA5304AP/AS (8ピン) 10∼30V 600kHz 46% ±1.5A (ピーク) FA5305AP/AS (8ピン) 10∼30V 600kHz 46% ±1.5A (ピーク) FA5310BP/BS (8ピン) 10∼30V 600kHz 46% FA5311BP/BS (8ピン) 10∼30V FA5314P/S (8ピン) エラー アンプ 基準電圧 機 能 あり 5V ±5% 外部同期 過負荷・過電流 CRT モニタ 2.0V ±5% 過負荷・過電圧 過電流(+検出) 汎用電源 2.0V ±5% 過負荷・過電圧 過電流(−検出) 汎用電源 ±1.5A (ピーク) 過負荷・過電圧 過電流(+検出) 汎用電源 フォワード回路 600kHz 70% ±1.5A (ピーク) 過負荷・過電圧 過電流(+検出) 汎用電源 フライバック回路 10∼30V 600kHz 46% ±1.5A (ピーク) 過負荷・過電圧 過電流(−検出) 汎用電源 フォワード回路 FA5315P/S (8ピン) 10∼30V 600kHz 70% ±1.5A (ピーク) 過負荷・過電圧 過電流(−検出) 汎用電源 フライバック回路 FA5316P/S (8ピン) 10∼30V 600kHz 46% ±1.0A (ピーク) 過負荷・過電圧 過電流(+検出) 汎用電源 フォワード回路 FA5317P/S (8ピン) 10∼30V 600kHz 70% ±1.0A (ピーク) 過負荷・過電圧 過電流(+検出) 汎用電源 フライバック回路 FA5321P/M (16ピン) 12∼27V 500kHz 50% ±1.5A (ピーク) 2.4V ±8% カレントモード 外部同期 過負荷・過電圧 過電流(+検出) 汎用電源 FA5331P/M (16ピン) 10∼28V 220kHz 92% ±1.5A (ピーク) 1.54V ±4% 外部同期 過電圧・過電流 力率改善 形式(端子数) 出力電流 表2 FA1384xシリーズの主要特性 5V ±4% 用 途 図1 チップ写真(FA13842) (a)絶対最大定格 項 目 特 性 電源電圧 10∼28V ソース電流 400mA シンク電流 1.0A 出力ピーク電流 動作周波数 10∼500kHz 動作周囲温度 −25∼+85℃ 動作接合温度 150℃ (b)電気的特性 項 目 スタートアップ電流 特 性 12 A(標準) スタンバイ電流(V CC =14V) 2 A(最大) 動作時消費電流(C L =1,000pF) 3mA(標準) 基準電圧 5V±5% エラーアンプ帰還入力電圧 2.5V±4% 電流センス最大入力しきい電圧 1V±0.1V 出力立上り時間(C L =1,000pF) 40ns(標準) 出力立下り時間(C L =1,000pF) 20ns(標準) 2.2.2 UVLO 回路 CMOS 化 のメリットを 生 かし, 起動前 の 消費電流 を 徹 底的に低減するため,図3に示す回路構成とした。 動作は,VCC 電圧がツェナー電圧を超えるまでは MN1 がオフしているので 電流 はほぼゼロになり, 出力 される H/L のロジック 信号 によって 他 の 回路 ブロックのバイア また,通常の CMOS プロセスで使用するソース,ドレー ス電流をオフに固定できるため IC 全体の消費電流もほぼ ンを作る濃い濃度の領域と,高耐圧用に使用する濃度の薄 ゼロとなる。図4に起動直前までの消費電流特性を示す。 い領域を組み合わせることによって,npn トランジスタ, 14 V までのスタンバイ電流はほぼゼロ,起動直前のスター pnp トランジスタ,ツェナーダイオードのバイポーラデバ トアップ電流は10μA 強である。 イスを 構成 することができ, 基準電圧発生回路 は,この VCC 電圧 がさらに 上 がれば MN1 はオン 状態 になり, npn トランジスタを使ったバンドギャップ基準電圧回路を 出力されるロジックは反転し,各部のバイアス電流が流れ 採用している。 出し動作が始まる。また,MP1 がオンすることで UVLO 431( 7 ) 富士時報 カレントモード電源用 CMOSIC Vol.71 No.8 1998 図2 回路ブロック VCC (7) 図5 出力ドライバ回路 EnbL1 UVLO 30V VREF (8) VCC 5V 5V REF ENB 2.5V + − EnbL2 pチャネル UVLO + 出力 ENB − VCC pチャネル pチャネル OUT (6) OUT RT/CT (4) FB (2) COMP (1) GND (5) OSC ER_AMP + − nチャネル OnH nチャネル 2R 1R S 1V FF QB − + ISNS (3) Q R TFF Q CLK QB nチャネル OnL 5V制御ブロック 〈注〉FA13844とFA13845ではトグルフリップフロップを使用 図6 出力端子動作波形(C L = 2,200pF) 図3 UVLO 回路 INV2 MP3 MP2 VCC MP1 立上り時間 68.5ns ZD1 EnbH INV1 立下り時間 35.0ns R2 MN2 EnbL ZD2 MN1 R1 50ns/div 図4 スタートアップ電流 VCCスタートアップ電流(μA) 12 Ta=25℃ FA13842/44 10 て VCC 電圧までの信号に拡張したあと,UVLO 回路部か らのイネーブル信号と AND をとって最終段を駆動する。 VCC 電圧 が 起動電圧 に 満 たない 場合 はイネーブル 信号 が 8 H レベルで入力されその結果,制御信号の状態にかかわら 6 ず出力ドライバを L レベル(ゲートオフ)に固定する。 図6に,出力端子に負荷として 2,200 pF 4 の容量をつけた 場合の動作波形を示す。立上り時間70 ns/立下り時間35 ns 2 0 となっており,n チャネルパワー MOSFET を駆動する場 合,ゲートオン時の立上りに比べよりスピードの要求され 0 5 10 15 20 VCC供給電圧(V) るゲートオフ時の立下りを重視して設計されている。また, VCC 電圧15 V のときのオン抵抗は p チャネルソース電流 側が15 Ω,n チャネルシンク電流側は 7.5 Ωである。 回路のヒステリシスが設定されている。 2.2.3 出力ドライバ回路 応用回路例 CMOS インバータ 構成 の 出力 ドライバ 回路 を 内蔵 し, スイッチング用 MOSFET のゲートを VCC 電圧までフル 図7にホトカプラを使用した二次巻線電圧検出方式の応 スイングさせることができる。また H レベル/L レベルの 用回路例を示す。AC 入力された電圧は,起動抵抗 R1 を 切換時には,VCC 側の p チャネル MOS と GND 側の n チャ 通り,電解コンデンサ C2 を充電する。この電圧がオンし ネル MOS の 両方 がオフする 数十 ns の 期間 を 設定 するこ きい電圧に達すると,IC が動作を開始しその後変圧器の とで,貫通電流を低減している。 補助巻線から電力を供給する。今回開発した FA1384x で 図5にドライバ回路の概略構成を示す。制御部からの5 は,スタートアップ電流が小さいため,起動抵抗値を大き V 振幅のロジック信号(OnH/OnL)をレベルシフタを使っ く設定することができる。電源が動作を開始し,補助巻線 432( 8 ) 富士時報 カレントモード電源用 CMOSIC Vol.71 No.8 1998 図7 応用回路例 ヒューズ TR YG902C AC80∼ 264V + + + 4,700μF 4,700μF 4,700μF + 100kΩ 400V/220μF R1 33mH 0.022μF 16V 0∼4A GND 220kΩ ERA22-10 2SK2101 1.2kΩ 470pF 33Ω 4.7 kΩ ERA 91-02 ERA 22 10 PC 2.2kΩ 1kΩ 0.33Ω 10kΩ 560Ω 100Ω 0.1μF FA13842x 0.1μF COMP VREF 10kΩ 1,000pF FB VCC ISNS OUT RT/CT GND PC 22μF VR 5kΩ D1 ERA91-02 2,200pF 1kΩ + C2 1kΩ 100pF 図8 起動時間と R1,C2 の関係 図9 起動時間の短い補助巻線回路 AC100V入力 4 起動時間(s) C2=47μF R1 D2 C2=22μF D1 3 VCC + + C3 C2 FA13842 2 C2=10μF 1 0 200 400 600 800 1,000 1,200 間を早め,起動後は C2 から電力を供給する。 起動抵抗 R1(kΩ) あとがき から VCC 電流が供給される通常動作状態でも起動抵抗に カレントモードの AC-DC 電源用 CMOSIC の 概要につ は 電流 が 流 れ 続 けるため, 抵抗値 を 大 きくすることでこ いて紹介した。バイポーラ構成の制御 IC に比べ,CMOS の 抵抗損失 を 低減 することができる。ただし, 電流 を 小 構成の IC は,低消費電力化に有利であり,またロジック さくするとコンデンサ C2 の充電が遅くなり起動時間が長 回路 を 内蔵 しやすいなどの 点 でも 優 れている。 富士電機 くなるので実使用に合わせて定数を選ぶ必要がある。図 8 では,今回開発した IC 以外にもスイッチング電源用制御 に C2 容量と起動抵抗値および起動時間の関係を示す。 IC の CMOS 化を進め,市場要求にこたえ,ユニークな製 また, 起動抵抗値 を 大 きくしても, 起動時間 を 短 くす 品を開発していく所存である。 る方法として図9がある。C3 の容量を小さくして起動時 433( 9 ) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 3 チャネル DC---DC コンバータ用 IC 山田谷 政幸(やまだや まさゆき) まえがき DC-DC コンバータの小形化,薄形化が実現できる。 表1に FA3629V の定格を示す。 ノート形パーソナルコンピュータ(パソコン)を代表と した携帯形の電子機器の普及に伴い,これらの製品は持ち 内部回路 運びやすさと搭載されるバッテリーの長寿命化が従来にも まして重要なポイントとなってきている。 そのため電源として用いられる DC-DC コンバータも小 形化,軽量化,高効率化が必要不可欠になっている。 図1のチップ写真に示される FA3629V の回路構成は図 2のとおりである。基本回路ブロックは CMOS(Comple- mentary MOS)を, 内 蔵 MOSFET などの 高 電 圧 部 は またこれら携帯形電子機器は近年,低動作電圧化が著し DMOS(Double Diffused MOS)を用いている。 く, DC-DC コンバータを 制御 する 低電圧対応 の IC が 必 ここでは主な回路ブロックについて説明する。 要とされてきている。 そこで富士電機では,このような市場要求にこたえ,な 3.1 内蔵 MOSFET かでもノート形パソコンなどに用いられる液晶ディスプレ この IC は第 1 チャネルにスイッチング素子である n チャ イ用電源を主用途とした,小形・軽量・薄形の 3 チャネル ネル MOSFET を内蔵しており,昇圧回路を構成できる。 DC-DC コンバータ用 IC「FA3629V」を開発したので,こ オン抵抗は最大 0.3 Ωで最大 1.8 A の電流の駆動が可能で こにその概要を紹介する。 ある。そのため DC-DC コンバータを構成する際,外付け スイッチング素子を削減することができ,また大きな出力 製品の概要 表1 FA3629Vの定格 今回開発 した DC-DC コンバータ 用 IC FA3629V は3 項 目 チャネルの PWM(Pulse Width Modulation)方式スイッ 電源電圧範囲(V) チング電源を駆動,制御するもので,以下の特長を持つ。 OUT1印加電圧(V) 条 件 最 小 標 準 2.5 最 大 6.5 40 (1) TSSOP 16 ピンパッケージを採用 基準電圧(V) (2 ) 昇圧回路× 2,極性反転回路× 1 の計 3 チャネルが同 三角波発振周波数(kHz) 480 550 620 CS充電ソース電流( A) −1.2 −1.0 −0.8 0.8 1.0 1.2 時に駆動可能 (3) スイッチング 素子 として, n チャネルの MOSFET ( Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor) を 1 個内蔵 (4 ) 動作電圧範囲: 2.5 ∼ 6.5 V (5) 発振周波数: 100 kHz ∼ 1 MHz 0.98 CS3充電シンク電流( A) 1.00 1.02 過電流検知電流(A) 1.6 2.0 2.2 過熱保護動作温度(℃) 125 135 145 低電圧誤動作防止動作 電圧(V) 1.95 2.05 2.15 0.275 0.3 (6 ) 全チャネルに最大デューティ制限内蔵 OUT1オン抵抗(Ω) I OUT1=200mA (7) タイマ・ラッチ方式出力短絡保護回路を内蔵 OUT2,3Hレベルオン 抵抗(Ω) I OUT =150mA 2.6 4.0 5.5 OUT2,3Lレベルオン 抵抗(Ω) I OUT =−150mA 2.0 3.5 5.0 平均消費電流(mA) f OSC =500kHz 3.0 3.8 (8) ソフトスタート 回路 , 過電流制限回路 , 過熱保護回 路,低電圧誤動作防止回路を内蔵 FA3629V は16ピンに 3 チャネルおよび各種保護機能を 組み込んでおり,さらに MOSFET を内蔵しているため, 山田谷 政幸 電源用 IC の開発に従事。現在, 松本工場半導体開発センター IC 開発部。 434(10) 〈注〉特に条件のない限り,電源電圧3.0V,常温(25℃)における定格 富士時報 3 チャネル DC--DC コンバータ用 IC Vol.71 No.8 1998 も得られる。 MOSFET のドレーンが OUT1 端子 ,ソースが PGND 3.3 基本動作部(誤差増幅器,PWM コンパレータ) 端子になっている。OUT1 端子耐圧は40 V である。 PWM 方式スイッチング電源であるため,基本構成は各 チャネルにより駆動された出力電圧を誤差増幅器に帰還し, その出力を PWM コンパレータにてパルス信号に変換,こ 3.2 駆動段出力(OUT2,OUT3 端子) れをスイッチング素子の駆動信号としている。 第 2 チャネル( OUT2)は n チャネル MOSFET, 第 3 チャネル(OUT3)は p チャネル MOSFET を駆動する端 全 チャネルとも 誤差増幅器 の 反転入力端子 ( IN1−, 子でプッシュプル構造になっている。それぞれ昇圧回路お IN2−,IN3−)および出力端子(FB1,FB2,FB3)を備 よび極性反転回路を構成することができる。 えている。 このほか,スイッチング素子としてバイポーラトランジ 第 1,第 2 チャネルは昇圧回路,第 3 チャネルは極性反 スタの駆動も可能である。 転回路が構成でき,この組合せは液晶ディスプレイの電源 として最適である。 なお,第 3 チャネルは他チャネルに対して逆相スイッチ ングを採用している。これにより 3 チャネル同時駆動時の 図1 FA3629V のチップ写真 電源負荷の集中を回避できる。 3.4 三角波発振器 この IC は三角波発振器の発振周波数を基本周波数とし ている。温度補償された内蔵電流源から,CT 端子に接続 されたタイミングコンデンサへの充放電を行うことで動作 し, 容量 により 100 kHz から 1 MHz まで 発振 することが できる。周波数は 150 pF にて 550 kHz である。 3.5 ソフトスタート回路 DC-DC コンバータ起動時に電源回路の貫通電流を防ぐ 図2 FA3629V の回路構成 (15)CS3 (16)CS (11)VCC クロック 基準電源 三角波 発振器 (13)REG 2.20V 内部制御系 の電源へ (216回) FB1 CS FB2 CS FB3 CS3 タ イ マ ・ ラ ッ チ 最大デューティ 制限 低電圧 誤動作防止 ソフトスタート・ デューティ制限 (14)CT sftst3 REF 1.00V (4)GND 誤差増幅器 + (2)IN1− <第1チャネル>昇圧 過熱保護 sftst (12) OUT1 VCC PWM コンパレータ + − 過電流 保護 nチャネル 駆動段 − (1)FB1 VCC + (3)IN2− <第2チャネル>昇圧 + − 内蔵NMOS nチャネル 駆動段 (10) OUT2 − (6)FB2 VCC + + (7)IN3− <第3チャネル>極性反転 pチャネル 駆動段 (9) OUT3 − − (8)FB3 (5) PGND 435(11) 富士時報 3 チャネル DC--DC コンバータ用 IC Vol.71 No.8 1998 ためにソフトスタート回路を内蔵している。 機能である。 ソフトスタート 用 コンデンサ( CS, CS3 端子 に 接続 ) スイッチングごとに内蔵 MOSFET のオン電圧から過電 への充電電圧に比例した幅のパルス信号により,起動時の 流状態を検出し,過電流状態時はオフする機能で,検出点 スイッチング幅を徐々に広げることで,起動時の貫通電流 は 電源電圧 3.0 V の 場合 , 2.0 A である。この 機能 ではス イッチングは停止しないが,過電流状態が長い時間継続さ を制限する。 CS 端子は第 1,第 2 チャネル共用,CS3 端子は第 3 チャ れた場合は,タイマ・ラッチ回路(後述)により停止され ネル用で,それぞれ単独で制御できる。 る。 3.6 最大デューティ制限 3.9 過熱保護回路 昇圧回路ならびに極性反転回路ではスイッチングがオン この IC は MOSFET を内蔵し,また外付けスイッチン 状態のままになると大電流が流れ,回路の破壊に至る場合 グ素子の駆動段を備えているため,大電流が流れると発熱 がある。それを防ぐためにスイッチングの周期ごとに強制 する場合がある。この発熱を検出して IC の動作を停止さ 的にオフ期間を設ける,すなわちオン期間の最大デューティ せるのが過熱保護回路である。 制限を行っている。 検出にはダイオードのオン電圧の温度変化を用い,チッ 各チャネルとも発振周波数 500 kHz にて86∼87%の最大 デューティ制限を行っている。内蔵機能のため特に外付け プ温度が 135 ℃にてスイッチングを停止させ,温度低下に より 85 ℃にて停止状態を解除させる。 部品は必要ない。 3.10 タイマ・ラッチ回路 出力短絡などが原因で,電源回路の出力電圧が規定値に 3.7 低電圧誤動作防止回路 IC の 電源投入時 , 内部制御系電源 が 確立 するまでの 間 スイッチングを停止させ,不正な動作を回避している。 達しない異常状態が続いた場合,これを検知してスイッチ ングを停止させる機能である。 また,この回路の動作中はソフトスタート用コンデンサ この異常を検知し,スイッチングを停止させるまでの時 は放電され,動作復帰時はソフトスタートにより起動する 間(以下,タイマ・ラッチ時間)は一般に外付けコンデン ことができる。 サの充電時間を用いることが多いが,この IC では端子数 および外付け部品削減のため,内部にてカウンタを用いて 時間を定める方式を新たに採用した。 3.8 過電流制限回路 何 らかの 原因 で 内蔵 MOSFET の 電流 が 増加 した 際 , カウンタのクロックは三角波発振器からの周波数を利用 素子や回路の破壊を防ぐため,スイッチングの幅を狭める し,2 16 回カウントしたところでラッチモードに入り,ス 図3 スイッチング動作の概略 FB1 2 電 圧 CS3 FB2 1 CS FB3 0 時 間 (タイマ・ラッチ カウント中) A B C D E A :CSタイマ・ラッチ起動 C :FB2タイマ・ラッチ解除 B :CS3タイマ・ラッチ起動 D :FB1タイマ・ラッチ解除 E :FB3タイマ・ラッチ解除 第1チャネル MOSFETゲート波形 第2チャネル 駆動段出力波形 (OUT2) 第3チャネル 駆動段出力波形 (OUT3) 436(12) 富士時報 3 チャネル DC--DC コンバータ用 IC Vol.71 No.8 1998 図4 FA3629V の応用回路例 入力3.0∼4.5V FA3629V 第1チャネル:5V/200mA FB1 CS IN1− CS3 IN2− CT GND REG 第2チャネル:20V/10mA PGND OUT1 FB2 VCC IN3− OUT2 FB3 OUT3 第3チャネル: −20V/10mA イッチング停止信号を送出する。 異常状態の検出には各チャネルの誤差増幅器の出力電圧 を利用している。この出力電圧は電源回路の出力電圧が不 ここでは第 1,第 2 チャネルで昇圧回路,第 3 チャネル で極性反転回路を構成しており,一般的な液晶ディスプレ イの電源仕様に適している。 足の場合,FB1 および FB2 は電源側へ,FB3 は接地側へ n チャネル MOSFET を 内蔵 し,カウンタ 方式 のタイ 振り切れて,スイッチングのオン幅を最大にするためであ マ・ラッチ回路を採用しているため,部品点数と実装面積 る。 の削減を図ることができる。 図3にスイッチング動作の概略を示す。 なお起動時や未使用チャネルがある場合は,誤差増幅器 あとがき の出力電圧は異常時と同じ状態にある。そこでソフトスター ト端子(CS,CS3)の端子電圧を検出することで電圧をタ イマ・ラッチ回路へ入力することにしている。 小形・軽量・薄形を特徴とした 3 チャネル DC-DC コン バータ用 IC FA3629V の概要を紹介した。 現在,富士電機では CMOS アナログ技術により電源用 応用回路例 IC の 開発 を 進 めており,なかでもさまざまな 要求 が 多 い DC-DC コンバータ 制御用 IC は 市場 のニーズを 見極 めな FA3629V を用いた応用回路の一例を図4に示す。 がら今後さらなる展開を図っていく所存である。 437(13) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 6 チャネル DC---DC コンバータ用 IC 遠藤 和弥(えんどう かずや) まえがき 制御機能が入っており,この IC を用いることで電源装置 の小形化・軽量化・高密度実装に大きな効果がある。 携帯電話機,ノート形パーソナルコンピュータ,ビデオ カメラなどの携帯形電子機器には,搭載される内部電源装 置の小形・軽量化と,バッテリーによる長時間動作が求め られている。これに伴い,バッテリーを入力電源とするス (a) FA3621F の 絶対最大定格 を 表1 に, 主 な 電気的特性 (b) を表1 に示す。 この IC の主な特長は次のとおりである。 (1) 6 チャネル出力 イッチング電源装置(DC-DC コンバータ)も,小形・軽 降圧形コンバータを構成: 5 チャネル 量・低消費電力化がますます要求されてきている。 昇圧形コンバータを構成: 1 チャネル 特に,ビデオカメラにおいては,高機能化に伴い電源系 統が,主制御系電源,テープ走行用と録画・再生ヘッド回 転用などのモータ制御系電源, CCD カメラ用電源, 液晶 パネル用電源など,電源電圧の異なる多系統電源が要求さ 第 3 ・第 4 チャネルは DC モータ制御に対応 (2 ) 広い動作電源電圧範囲 4.5 ∼18 V (3) CMOS アナログ技術による低消費電流 動作時: 4 mA(標準値) れている。 富士電機では,このようなビデオカメラ用の電源装置に スタンバイ時: 3 μA(標準値) 適 した, 6 チャネル 制御回路 を 1 チップに 納 め,さらに (4 ) CMOS(Complementary MOS)プロセスを用いて低消費 (5) 外部信号によるチャネルごとのオンオフ制御機能 電流化を図った,パルス幅変調(PWM)式スイッチング 電源用制御 IC「FA3621F」を開発したので,ここにその 概要を紹介する。 スタンバイ機能付き (第 3 チャネルと第 4 チャネルは共通) (6 ) チャネルごとのソフトスタート設定端子付き (第 3 チャネルと第 4 チャネルは共通) 制御 IC の概要 表1 FA3621Fの定格 (a)絶対最大定格 図 1 に FA3621F 項 目 定 格 電 源 電 圧 20V の 外 観 を 示 す。 LQFP( Low Profile Quad Flat Package)48ピンパッケージに 6 チャネル分の 出 力 電 流 全 図1 IC の外観 損 失 ±0.2A 550mW 動作温度範囲 −20∼+85℃ 保存温度範囲 −40∼+125℃ (b)電気的特性 項 目 遠藤 和弥 パワーエレクトロニクス製品の開 発を経て,スイッチング電源用制 御 I C の開発に従事。現在,松本 工場半導体開発センター IC 開発 部主任。 438(14) 定 格(標準値) 電源電圧範囲 4.5∼18V 発 振 周 波 数 50kHz∼1MHz タイミング容量 68∼1,000pF タイミング抵抗 6.8∼100kΩ 基 準 電 圧 1.0V 消 費 電 流 4mA/3 A(スタンバイ時) 富士時報 6 チャネル DC--DC コンバータ用 IC Vol.71 No.8 1998 第1チャネル 第2チャネル 第4チャネル 第3チャネル OUT6b OUT6a OUT5 OUT4 OUT3 OUT2 OUT1 VCC2 VDRV 図2 FA3621F の内部回路ブロック図 第5チャネル 第6チャネル ドライバへ pチャネル ドライバ ドライバ 用電源 pチャネル ドライバ pチャネル ドライバ pチャネル ドライバ pチャネル ドライバ nチャネル ドライバ Q1 pチャネル ドライバ VCC1 制御 電源 UVLO VREG コンパレータ 制御電源 UVLO 基準 電源 オ ン オ フ 制 御 ソ フ ト ス タ ー ト CNT1 CNT2 CNT3 CNT4 CNT5 CS1 CS2 CS3 CS4 CS5 タイマ ラッチ CREF 誤差増幅器 (7) タイマ・ラッチ式短絡保護機能付き (8) 過熱保護機能付き 内部回路 図2に FA3621F 過熱 保護 RT CP CT IN6− FB6 IN5+ IN5− FB5 IN4+ IN4− FB4 IN3+ FB3 IN3− FB2 IN2− FB1 発振器 IN1− VREF バッファ 表2 チャネル制御仕様 項目 出力仕様 チャ ネル 駆動 MOS 端子記号 オン 抵抗 構成 可能な コン バータ オンオフ 制御端子 ソフト スタート 設定端子 第1 OUT1 pチャネル 6Ω 降圧形 CNT1 CS1 CNT2 CS2 CNT3 CS3 の内部回路ブロック図を示す。制御電 第2 OUT2 pチャネル 10Ω 降圧形 源回路,基準電源回路,三角波発振回路,低電圧誤動作防 第3 OUT3 pチャネル 10Ω 降圧形 ,過熱保護回路などの共通部分と,チャ 止回路(UVLO) 第4 OUT4 pチャネル 10Ω 降圧形 第5 OUT5 pチャネル 10Ω 降圧/ 反転形 CNT4 CS4 OUT6a nチャネル 10Ω 昇圧形 CNT5 CS5 ネルごとの誤差増幅器(エラーアンプ) ,PWM コンパレー タ,ソフトスタート回路,出力ドライバ回路などで構成さ れている。 表2にチャネル制御仕様を示す。この表を基に出力制御 第6 OUT6b VCC2端子との間に1Ωのpチャネルパワー MOSFETを内蔵 について説明する。 3.1 出力回路 6 チャネル出力すべて,外部のパワー MOSFET( MetalOxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を 直接高 チャネルの MOSFET の 代 わりに pnp トランジスタを, また n チャネル MOSFET の 代 わりに npn トランジスタ を外部スイッチング素子として使用することができる。 速スイッチング駆動できるように考慮してあり,スイッチ ング MOS のゲート蓄積キャリヤを高速に充放電するため に大きな瞬時電流を流すことのできるプッシュプル形のド ライバ回路となっている。 3.2 出力制御 6 チャネルの 出力 はそれぞれ 専用 のオンオフ 制御端子 (CNT 端子)と,ソフトスタート制御端子(CS 端子)を 各チャネルのオン抵抗は,プッシュプル出力段の p チャ 備えており,独立してコンバータ出力の起動・停止を機器 ネル 側・ n チャネル 側 ともに, 第 1 チャネルは 6 Ω ,そ の使用状態に応じてきめ細かく制御することができ,省電 の 他 のチャネルは 10 Ω となっており, 出力電流 は 最大 + − 0. 2 A まで流せる。 力化に対応している。 これらの出力端子に電流制限抵抗を接続することで,p 5 個のオンオフ制御端子(図2の CNT1 ∼ 5)をすべて オフ設定(0 V 設定)にすると,IC はスタンバイモードに 439(15) 富士時報 6 チャネル DC--DC コンバータ用 IC Vol.71 No.8 1998 図3 デューティ制限回路 図4 昇圧コンバータ回路 FA3621F VCC L VREG Q RS1 RS2 CS + G 制御 IC CS4 (CS5) D D C VOUT S (a)昇圧コンバータの基本回路 FA3621F なり,内部制御電源を遮断するとともに,第 1 チャネルか ら第 5 チャネルまでの出力端子は入力電源電圧レベル,第 6チャネル出力は GND レベルになり,外部 MOSFET を pチャネル ドライバ と第 4 チャネルは共通にそれぞれ 1 端子となっている。ビ デオカメラにおいては,テープ走行系とヘッド駆動系のモー VCC OUT6b L6 nチャネルドライバ OUT6a オフ状態にする。 オンオフ制御とソフトスタート制御とも,第 3 チャネル VCC2 Q61 D G D6 + VOUT C62 PWMパルス チャネル6オンオフ信号 S (b)電源スルー防止を行った昇圧コンバータ回路 タ制御電源は同時に起動・停止するので,第 3 チャネルと 第4チャネルはこれらの DC モータの速度制御に対応させ て制御端子を共通にしてある。また,両チャネルの誤差増 が遮断状態になった場合,電源からリアクトル(L)とダ 幅器は反転入力端子のほかに,非反転入力端子も外部に出 イオード(D)を通してコンバータ出力端子(VOUT)に 力してあり,非反転入力端子に DC モータの速度設定信号 電源電圧 VCC が出力され,コンバータ出力が 0 V になら を入力することでモータ制御系を構成できる。 ない,いわゆる電源スルー現象がある。FA3621F では外 第 1 チャネルと第 2 チャネルは降圧形コンバータ専用の 部部品なしでこれを防止できる。図2のブロック図に示す 制御回路であり,誤差増幅器の非反転入力端子は IC 内部 ように, IC 内部 の VCC2 端子 と OUT6 b 端子間 に 低 オン で 1.0 V の基準電源に接続してある。 抵抗の p チャネルパワー MOSFET(Q1)を備え,このパ 第 5 チャネルは降圧形または極性反転形コンバータを構 ワー MOSFET を第 6 チャネルの起動・停止制御に合わせ 成できるように,誤差増幅器の非反転入力端子を外部に出 てオンオフさせて,第 6 チャネルがスイッチング制御して してある。 いるとき, OUT6 b 端子 に VCC2 端子 の 電圧 が MOSFET 第 6 チャネルは 2 個の出力端子 OUT6 a と OUT6 b を備 を通して出力されるようにしている。 えている。6 チャネルのうち OUT6 a 端子のみ n チャネル 昇圧コンバータ回路の電源をこの OUT6 b 端子出力を用 MOSFET 駆動用出力であり,昇圧形コンバータを構成で いることで,オフ時の電源スルー現象を防止できる。この きる。OUT6 b 端子については別途述べる。 (b) 機能 を 用 いた 昇圧回路構成 を 図4 に 示 す。なお,この OUT6b 出力端子は最大連続 0.25 A の電流が流せる。 3.3 オンデューティ制限 極性反転形および昇圧形コンバータ回路では外部スイッ 3.5 三角波発振器 チング素子がフルオン状態になるとリアクトルを通して電 三角波発振器の発振周波数は,タイミングコンデンサ接 源短絡となり,機器の破壊に至る可能性がある。FA3621F 続端子 CT とタイミング抵抗接続端子 RT に外付けのコン では,第 5 チャネルと第 6 チャネルのソフトスタート設定 デンサと抵抗を接続することで任意に設定できる。 端子 CS4 と CS5 の端子電圧に制限を掛けることで,これ 三角波信号の振幅は 0.8 V から 1.3 V に設定されている。 を防止できる。図3に示すように二つの外部抵抗 RS1,RS2 この信号は各チャネルの PWM コンパレータに供給され, でコンデンサ CS の充電完了電圧を設定することで,外部 全チャネルが一つの三角波信号で同期運転される。 スイッチング素子の最大オンデューティを設定することが できる。 応用回路例 なお他のソフトスタート設定端子 CS1,CS2,CS3 は, デューティ制限が不要であるので,外付けコンデンサだけ で構成できるように定電流出力特性となっている。 図5に FA3621F の応用回路例を示す。この例では外部 スイッチング素子に MOSFET を使用している。第 1 チャ ネルから第 4 チャネルまでは,p チャネル MOS を用いて 3.4 昇圧回路の電源スルー防止 降圧形コンバータを構成し,第 5 チャネルは極性反転回路 図4 (a) に示すように,昇圧形コンバータでは,オンオフ を構成している。第 3 チャネルと第 4 チャネルの誤差増幅 制御またはスタンバイモードにより外部スイッチング素子 器の非反転入力端子には IC 内の基準電圧(VREF 端子出 440(16) 富士時報 6 チャネル DC--DC コンバータ用 IC Vol.71 No.8 1998 図5 FA3621F の応用回路例 Q11 VCC S L1 D + C12 G C11 + D1 CH1 R12 C1 Q21 S VCC1 IN1− OUT4 FB5 D3 CH3 R32 CNT2 CNT3 CS1 L4 D + C42 G C41 D4 R41 CH4 R42 OUT5 VDRV SYN Q51 CDRV CS1 CS2 CS3 CS5 Q41 S S D5 D + C52 G C51 CH5 L5 RS51 CS5 RS52 CS4 RS41 RS42 CS2 OUT6a CS3 GND1 VCC2 OUT1b CNT4 OUT1a IN6− FB6 CS4 + C32 R31 C31 GND2 IN5− OUT6b C60 L3 D G OUT2 FA3621F IN5+ R52 S CH2 R22 OUT3 FB1 C50 CNT5 R54 R51 Q31 RT DT1 FB2 CNT1 C10 R53 D2 DT2 IN2− C20 + C22 R21 C21 RT CT1 CT1 CT2 CP CREF VREF CP CREF FB4 IN4+ IN4− IN3+ VREG FB3 C40 IN3− C30 L2 D G CREG GND オンオフ制御入力 オン:3V オフ:0V R11 L6 CNT5 CNT4 CNT3 CNT2 CNT1 力)を印加している。また第 6 チャネルは電源スルー防止 を実現した昇圧回路構成となっている。 Q61 D D6 + C62 R61 G S CH6 R62 概要を紹介した。 富士電機では,今後この FA3621F をベースに,動作電 このように, 6 回路 のスイッチング 電源 を 1 チップ IC 源電圧のさらなる低電圧化や,コンバータ出力電圧の 3.3 で構成することができる。また各チャネルのリアクトルの V 化に伴って高効率化に有利な同期整流方式に対応した制 代わりに多巻線の変圧器を用いることで,6 回路以上の多 御 IC を開発し,市場要求にこたえていく所存である。 出力電源を構成することも可能である。 あとがき ビデオカメラなどの多出力を要する電源装置に適した6 チャネル出力の DC-DC コンバータ用制御 IC FA3621F の 441(17) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 小形オートフォーカスモジュールの高性能化 森 賢一(もり けんいち) まえがき AT33 は量産開始以来,カメラ業界で好評を得てきたが, 近年一層の高性能化,特に逆光時などの性能の向上と低輝 コンパクトカメラ業界では,高倍ズーム化による高性能 化ならびに小形軽量化競争が続いている。コンパクトカメ ラの性能は,オートフォーカス(AF)システムの優劣に 大きく左右される。 当初 , 富士電機 では AFIC 単体 を 供給 し,カメラメー カーが光学系と組み合わせていた。しかし,この方法では, カメラメーカーにおいて組立・調整に高度な専門技術を要 度で高コントラストの被写体に対する測距時間の短縮が望 まれてきた。 今回,このようなカメラ業界の要望にこたえ,上記撮影 状況に対応できる性能を備えた AF モジュールを開発し, 新機種 FM6234T34 として製品化したので紹介する。 図1に FM6234T34 の外観を,また,現在量産中の機種 系列を表1に示す。端子に複数の機能を持たせ,制御端子 したり,光学システムが大きくなりやすいなどの課題があっ 数を従来の10から 6 本とし,マイクロコンピュータの I/O た。 削減に対応したことも FM6234T34 の特長となっている。 そこで,AFIC と光学系とを一体化することにより上記 の課題を解消した AF モジュールを開発し,1992年から量 構成および測距原理 産している。 AF モジュールの特長は次のとおりである。 (1) パッシブ方式のため測距範囲に制約なし 図1 に 示 すように FM6234T34 は,レンズ,ケース, AFIC から構成されている。 AF モジュールは外光三角測距方式を適用している。外 (2 ) 小形・軽量 (2 ) AFIC と光学系の調整が不要 (4 ) 機械的動作 や 部品点数 を 増 やすことなしに, 正面以 表1 AFモジュールの機種系列 外の方向を測距できる。測距方向は,概略+ − 5 度の範囲 分 類 なら,任意の方向を外部から指定可能(多点測距) 項 目 1994年には,2 倍ズーム以上のカメラをターゲットにし 適用AFIC た小形 AF モジュール FM6224AT33 を開発した。FM6224 図1 FM6234T34 の外観 FM6232 T20 FM6232 T21 FB6232T 赤外線(IR) カットフィルタ 内蔵 センサデータ 補正用PROM 端子数(ピン) 制御端子数(ピン) OR選択機能 FM6224 AT31 FM6234 T34 FB6224 AT FB6234 T 内蔵 内蔵 16 16 24 24 9 9 10 6 内蔵 内蔵 内蔵 AND選択機能 基線長 B(mm) 焦点距離 f(mm) センサ数 森 賢一 オートフォーカス IC,オートフ ォーカスモジュールの開発に従事。 現在,松本工場半導体開発センタ ー IC 開発部。 442(18) 内蔵 7.118 7.118 5.556 5.556 16.4 16.4 10.7 10.7 2×178 2×178 2×128 2×128 センサピッチ( m) 21 21 21 21 測距視野角(度) 1.7 1.7 2.6 2.6 最大視野角(度) 10.0 10.0 10.1 10.1 富士時報 小形オートフォーカスモジュールの高性能化 Vol.71 No.8 1998 図2 外光三角測距方式の構成・原理 図4 ホトセンサの基本回路のタイミングチャート R1 測距系 x = x 1+ x 2 R2 被写体像1 1a x1 1b ホトセンサ アレイ1 B V0 A,B点の 電位 レンズ1 ホトセンサ アレイ2 ts 2b レンズ2 x2 V ref 被 写 体 図5 量子化部の構成 2a 被写体像2 fe d ホトセンサアレイ S127 S0 T AND ストローブ 量 子 化 部 出 力 図3 ホトセンサの基本回路 R1 V DD TOR T1 量子化データ 光信号L V ref ホト ダイオード カウンタ C1 C2 − i + ストローブ ラ ッ チ ラ ッ チ A オペアンプ クロック 発生終了 + B − φ クロック ジェネレータ クロック 発生開始 コンパレータ R2 T2 V0 V0 全センサのなかで障害となる高輝度部分を除外して,測距 したい被写体像部分のコントラストデータを得ることがで 光三角測距方式の構成および測距原理を図2に示す。 きる OR 選択回路を AFIC に内蔵した。その動作を,被写 被写体までの距離 d は次の式で求められる。 体検出の中心的な役割を果たすホトセンサおよび量子化回 d = B・fe /( x1 + x2 )= B・fe /x ………………………(1) 路の構造・動作と合わせて説明する。 ここで B と fe は 光 学 系 で 決 まる 定 数 , x は AFIC で 3.1.1 ホトセンサ A-D 変換された被写体像データから算出される値である。 被写体像の光信号は,ホトセンサ部でアナログの電気信 AF モジュールでは,上述のように,被写体像データを 号に変換される。図3にホトセンサの基本回路を,図4に 用 いて 測距 を 行 うため, A-D 変換 のダイナミックレンジ そのタイミングチャートを示す。光電変換素子として用い や,ホトセンサアレイ上に結像された被写体像の状態が測 られているホトダイオードには,光信号 L(被写体像の画 距性能を決めるポイントとなり,従来の AF モジュールで 素)の強度に比例した光電流 i が流れる。動作の初期に信 は,以下の問題があった。 号 R1,R2 によりトランジスタ T1,T2 を導通させ,A,B (1) 逆光時など背景に強い光源があると A-D 変換のダイ 点の電位を V0 にする。その後,光電流 i を容量 C1 に積分 ナミックレンジが不足し被写体像データを得られない。 していくことにより,A,B 点の電位は下降し,基準電位 (2 ) 低輝度で高コントラストの被写体の場合には測距時間 Vref に達する。A,B 点の電位が Vref に達するまでの時間 がかかりすぎる。 t s は次式で与えられ,これをセンサ応答時間と定義してい 今回開発した AF モジュールは,上記の問題に対応でき る。 る技術を備えており,以下にその内容を紹介する。 t s = C1・(V0−Vref)/i …………………………………(2 ) 3.1.2 量子化部 逆光・測距時間短縮対策技術 ホトセンサ部で変換されたアナログ信号をディジタル化 するのが量子化部である。図5に量子化部の構成を示す。 3.1 逆光対策技術 ここでクロックφは,全センサのなかで最も明るいセンサ 従来機種には被写体の背後に太陽や夜間の照明などの非 が応答した時点,すなわち最初のセンサの応答時間から動 常に明るい点光源がある場合,いわゆる逆光時に正確な測 作を開始する。この開始時間は,これを検出するのに全セ 距が困難となる場合があった。今回この逆光対策として, ンサ 出力 を 入力 とする OR ゲートを 用 いていることから 443(19) 富士時報 小形オートフォーカスモジュールの高性能化 Vol.71 No.8 1998 図6 OR,AND 選択回路の構成 3.2 測距時間短縮対策技術 OR AND 選択信号 選択信号 D シフトレジスタ Q127 Q126 AFIC の測距(積分)の終了は,全センサが応答した時 間,言い換えれば図5に示すように全センサの信号の論理 D シフトレジスタ Q1 Q0 Q127 Q126 Q1 Q0 ホ ト S0 セ ン サ ア レ S127 イ AND信号 (T AND) AND選択回路 積で決まる。全センサ出力の AND 信号を用いていること OR信号 (T OR) から,この積分時間を TAND と呼んでいる。 低輝度 では 応答時間 TOR が 大 きくなる。さらに 高 コン トラストの被写体になるほど積分時間 TAND も大きくなる ので,実際の測定には使いにくくなるという問題があった。 OR選択回路 3.2.1 AND 選択回路 従来は,低輝度で高コントラストの被写体を測距する場 合には,外部信号で強制的に測距を終了させていた。新機 種 の FM6234T34 では, IC 内部 で 自動的 に 測距 を 終了 さ TOR と呼ばれている。 各センサ(S 0,・・・,S n−1)には 8 ビットのラッチ(メ せる AND 選択機能 を 追加 した。その 構成 を 図6 に 示 す。 構成は基本的に OR 選択回路と同じで,AND ゲートにつ モリ)が接続されており,各センサが応答した時点のカウ ながっている各センサ出力にトランジスタが接続されてい ンタ値を記憶する。記憶されたカウンタ値は,TOR から各 る。AND 選択信号が入力されているシフトレジスタの各 センサが応答するまでの時間を計数した結果であり,これ 段の出力によってトランジスタのオンオフが決定され,ど が量子化データとなる。 のセンサの応答時間を検出するかが決定される。 3.1.3 OR 選択回路 逆光状態の被写体などにおいて非常に明るいセンサがあ また,OR 選択回路と AND 選択回路を組み合わせるこ とによって,有効センサと無効センサの分離が完全にでき ると,その応答時間が極端に短くなり,クロックφの発生 るため, 基線長 の 異 なる 光学系 を 本 AFIC に 組 み 合 わせ 時期が早くなる。このため,被写体像の投影されるセンサ て 使 うことができる。これにより, 本 AFIC の 適用範囲 領域の量子化データが大きくなり,ラッチからオーバフロー が一層広がることが期待できる。 してしまう。このように,本来の被写体のセンサデータが 検出できないために,正確な測距ができなくなっている。 あとがき 上述の課題を解決するには,量子化データのラッチのビッ ト数を増やし,ダイナミックレンジを大きくする方法も考 えられるが,これはチップサイズ増加につながる。そこで 以上,富士電機の逆光・測距時間短縮対策技術を適用し た AF モジュールの概要を紹介した。 量子化回路のクロックφの発生時期を,逆光源から投影さ 富士電機では,今後,より多機能,高性能の AF モジュー れる非常に明るいセンサ以外の領域から決定するのが OR ルを開発し,さらにコストダウンなど顧客ニーズに対応し 選択回路である。OR 選択回路は,図5の OR ゲートの入 た独創性の高い製品を開発していく所存である。 力部分に,図6に示すようにシフトレジスタとトランジス タを挿入するものである。外部端子から選択信号がレジス タへ入力され,レジスタの各段の出力は,図6に示す OR ゲートの入力前段にある個々のトランジスタのゲートに接 続されている。選択信号によりトランジスタのオンオフが 決定され,どのセンサからの応答信号を検出するかが決定 される。 444(20) 参考文献 (1) 泉晶雄・西部隆:オートフォーカスモジュール,富士時報, Vol.68,No.7,p.415-420(1995) (2 ) 田中誠ほか:高機能オートフォーカスモジュール,富士時 報,Vol.69,No.8,p.430-433(1996) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 MOS アナログセンサを適用したオートフォーカス モジュール 田中 誠(たなか まこと) 小松 幸哲(こまつ さちあき) 榎本 良成(えのもと まえがき よしなり) ている。 (1) センサ回路の構成の違いにより,センサピッチの縮小 コンパクトカメラ業界では,ズーム機能搭載による高性 能化および小形軽量化が競われている。特にオートフォー カス(AF)システムの優劣がコンパクトカメラの性能を 左右する大きなポイントとなっている。 が可能となり,それに伴いモジュールの小形化が実現で きる。 (2 ) A-D 変換回路,AF 演算回路を省くことにより,チッ プサイズの縮小が可能となり,コストダウンが実現でき 従来 , 富士電機 では,センサデータの A-D 変換 と AF 演算回路を 1 チップ化した AFIC に光学系を組み合わせ, る。 表1にアナログタイプ AF モジュールの機種系列を示す。 高性能で小形軽量な AF モジュールを開発し,1992年から 量産を続け好評を得ている。 しかし, APS カメラ( 新規格 フィルム 採用 カメラ)の 登場により,カメラの小形軽量化は画期的に進み,富士電 機の AF モジュールに対しても,今まで以上の小形軽量化 図1 アナログタイプ AFIC の回路ブロック図 が要求されてきた。 そこで,今回このカメラ業界のニーズにこたえるため, バイアス回路 アナログセンサデータ出力タイプの AF モジュールを開発 したので,その構成および構造を紹介する。 ×n アナログタイプの AF モジュールは,従来のディジタル 表1 アナログタイプ AF モジュールの機種系列 機 種 適用AFIC 端子数(ピン) FM6252 T20 FM6256 T34 FM6254 T34 FM6255 T40 FB6252 T FB6256 T FB6254 T FB6255 T 16 24 24 16 3倍以上のズーム コンパクトカメラ 適用対象 基線長 B(mm) 5.566 5.566 5.566 16.4 10.7 10.7 6.1 2×180 2×234 2×130 2×130 21 12 21 12 センサ感度(V/s) (A光源 5EV) 220 180 220 180 最大視野角(度) 10.0 10.0 10.0 10.0 4.0∼6.5 3.0∼6.5 4.0∼6.5 4.0∼6.5 開発中 開発中 量産中 開発中 焦点距離 f(mm) センサ数 センサピッチ( m) 電源電圧(V) 状 況 センサリセット モード選択 レジスタ 2倍以上のズーム コンパクトカメラ 7.118 増幅回路 サンプル ホールド + ピーク 検出回路 シフト レジスタ 感度・ピーク 検出選択 AD/ EXTEND 右センサ アレイ ×n 増幅回路 サンプル ホールド + ピーク 検出回路 シフト レジスタ データ出力タイプの AF モジュールに対して次の特長を持っ 項 目 TEST VREF/2 ほか 左センサ アレイ リセット 回路 RESET WRITE-CLK END READ -CLK センサデータ 積分終了回路 出力制御回路 内部 リセット END READ/ WRITE -CLK 自動積分 終了検出回路 VREF/2 モニタ データ MON センサ データ モニタデータ 出力回路 ×2 AFDATA ×2 MDATA モニタ データ 田中 誠 小松 幸哲 オートフォーカス IC,オートフ ォーカスモジュールの開発に従事。 現在,松本工場半導体開発センタ ー I C 開発部主任。 CMOSIC,オートフォーカスモジ ュールの開発に従事。現在,松本 工場半導体開発センター IC 開発 部主任。 榎本 良成 CMOSIC プロセス,デバイス 技 術の開発に従事。現在,松本工場 半導体開発センター IC 開発部主 任。 445(21) 富士時報 MOS アナログセンサを適用したオートフォーカスモジュール Vol.71 No.8 1998 図2 センサデータの出力例 図4 分光感度特性 1 0.9 アナログ タイプ 0.8 右レンズ 左レンズ 0.7 0.6 相対感度 セ ン 電サ 圧出 (V) 力 左センサ アレイ V ref (2.7V) 0.5 0.4 0.3 右センサ アレイ ディジタル タイプ 0.2 0.1 0 400 600 800 波 長(nm) 積分終了 電圧 左センサ ポジション 右センサ ポジション 図5 センサピッチ縮小によるモジュールの小形化 図3 ホトダイオード構造 ポリシリコン ゲート Al ポリシリコン ゲート SiO2 SiN f1 f2 n+ソース・ドレーン pウェル-1 nウェル ホトダイオード p+ソース・ドレーン pウェル-2 n 基板 p 1(センサピッチ)× n (a)アナログタイプ ポリシリコン ゲート Al p 2(センサピッチ)× n p 1/p 2= f 1/ f 2 ならば, ポリシリコン ゲート SiO2 SiN 同じセンサ信号,測距精度が得られる。 図6 AF モジュールの外観 nウェル n+ソース・ドレーン pウェル p+ソース・ドレーン ホトダイオード n 基板 (b)ディジタルタイプ アナログタイプ AFIC の回路構成 (a)FM6234T34 図1にアナログタイプ AFIC (b)FM6255T40 の回路ブロック図を示す。 詳細な説明は省略するが,本 IC は,左右センサアレイの 各ホトダイオードの光電流を,MOS トランジスタからな る積分回路および増幅回路で電圧に変換,増幅し,センサ ホトダイオードの構造および特性 データとしてサンプルホールドする構成になっている。 積分は基準電圧 Vref からスタートし,積分時間に応じて MOS アナログセンサでは,アンプ回路の変更に伴いホ 出力電圧が下降していく回路構成となっている。そして, トダイオード部の構造も変更した。図3にその断面構造を 積分終了の信号を受けてそのときの電圧がサンプルホール トランジスタとともに示す。従来のディジタルタイプとは ドされる。各画素のセンサデータは外部クロックに同期し 異なり,ホトダイオードを基板から電気的に分離する構造 て選択・出力され,そのデータは図2に示すように,被写 とした。これにより,基板内で発生するキャリヤの影響を 体像の明るい部分が結像した画素は出力電圧が低く,暗い 受けなくなり映像データへのノイズが低減している。 部分に対応する画素は出力電圧が Vref に近い値となる。 446(22) また,このホトダイオード部の構造の変更により,分光 富士時報 MOS アナログセンサを適用したオートフォーカスモジュール Vol.71 No.8 1998 長帯域が狭まったためレンズ色収差の影響が小さくなり, 図7 AF モジュールの外形寸法の比較 よりシャープな映像信号を得ることができるようになった。 13.6 6.1 モジュールの小形化 13.3 従来 のディジタルデータ 出力 タイプの AFIC ではセン サピッチ21μm で構成されていたが,今回開発したアナロ グタイプでは,センサ回路の構成が異なるため,12 μm へ のセンサピッチ縮小が可能になった。AF モジュールは左 12.8 右のレンズにより被写体像を左右のセンサアレイに結像す 6.7 9.5 る構成になっていることから,図5に示すように,センサ (a)FM6234T34(センサピッチ:21 m) μ 12.8 ピッチを縮小し,その比に応じてレンズの焦点距離 f を縮 小すれば,センサピッチに対する被写体像の大きさの比は 6.0 変わらず,同等の測距精度が得られる。 8.5 FM6255T40 は 12 μm センサピッチを 採用 した AF モ ジュールで,体積はディジタルデータ出力タイプの AF モ ジュール FM6234T34 の約 1/2 ながら,ほぼ同等の測距精 11.4 度を実現できる。図6に FM6255T40 と FM6234T34 の外 6.4 8.4 観を示す。また,図7にその外形寸法の比較を示す。 (b)FM6255T40(センサピッチ:12 m) μ あとがき 感度特性も図4のように変化する。すなわち,基板の深い 富士電機の MOS アナログセンサを適用した AF モジュー 部分で発生するキャリヤを基板と p ウェル - 2 の間の接合 ルを紹介した。今後も,顧客のニーズにマッチした,AF で吸収してしまうため,ディジタルタイプに比べ長波長側 モジュールの開発に取り組み,より独創性の高い製品を供 の光の感度が低下している。これにより分光感度特性の波 給していく所存である。 技術論文社外公表一覧 標 題 所 属 氏 名 発 表 機 関 3. 配電線に関連する雷しゃへい 富士電機総合研究所 電気学会配電線雷撃応答特性調 彦坂 知行 査委員会技術報告,No.678 (1998-6) 冷蔵ショーケース・トータル制御システム 富士電機総合研究所 中山 伸一 日本冷凍空調学会,73,848 (1998) 電気学会 日本冷凍空調学 会 吹 上 工 場 八ツ田 豊 省配線システム 吹 上 工 場 高橋 貢 JEMA ネット認証取得機器 吹 上 工 場 無効電力補償方式について 富士電機総合研究所 〃 〃 中沢 親志 クリーンエネルギー,No.7 深井 裕幸 (1998) 千原 勲 富士電機のオゾン処理への取組み 公共システム事業部 酒井 英治 地球環境,No.7(1998) 日本工業新聞社 富士電機原子力エンジニアリング 今野 雅行 笠川 勇介 大久保堅司 保川 幸雄 能瀬 眞一 Cryogenics,38,2(1998) Elsevier Science Ltd. JPCN-1 富士電機株式会社 Development of a 500kVA-class oxidesuperconducting power transformer operated at liquid-nitrogen temperature 〃 変電システム製作所 富士電機総合研究所 〃 八ツ田 豊 電子制御,66,7(1998) 高木商会 電気,No.6,7(1998) 日本電機工業会 日本工業出版 447(23) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 誘電体分離プロセスを用いたカラー PDP ドライバ IC 澄田 仁志(すみだ ひとし) 平林 温夫(ひらばやし あつお) 島袋 浩(しまぶくろ ひろし) まえがき I 基板上 に 形成 した 横形 IGBT( Insulated Gate Bipolar Transistor)および 横形 p チャネル 形 MOSFET( Metal- カラープラズマディスプレイパネル(カラー PDP)は, 大形化が可能であること,また視野角が広いことなどから, Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)の 高耐圧 化技術について説明する。 大画面表示用ディスプレイの本命として注目されている。 特に,壁掛テレビの実現に向けて大きな期待が寄せられて いる。 2.1 DI プロセスを用いた誘電体分離基板 図1 に, DI プロセスを 用 いた 誘電体分離基板 の 断面図 近年,40インチを超えるカラー PDP の量産が開始され を示す。この誘電体分離基板では,素子が酸化膜で完全に た。しかし現状のカラー PDP は,消費電力や価格の面な 覆われること,また分離領域がトレンチによって形成され どから本格的な普及までには至っていない。そのため,パ ることから,下記の特長を備えたパワー IC の形成が可能 ネル技術だけでなくその周辺技術に対して,より一層の性 となる。 能向上と低コスト化が求められている。そのなかで,パネ (1) 素子間の完全分離 ルを駆動するドライバ IC には,低消費電力化,高耐圧・ (2 ) 適用素子および構成回路の自由度大 大電流化,高ノイズ耐量などといった性能とともに低コス (3) 高密度集積 ト化が強く要求されている。 従来,カラー PDP のドライバ IC には pn 接合分離プロ 2.2 高耐圧化技術 (1) セス(JI プロセス)が主に適用されてきた 。しかし JI プ ロセスでは,寄生素子の存在や分離基板の製造面から,上 2.2.1 横形 IGBT 誘電体分離基板は素子間の完全分離を達成できることか 記の要求を満足するドライバ IC の実現は困難である。そ ら,多出力を有するパワー IC においても大電流駆動が可 こで,富士電機では分離性能および素子の集積度に優れた 能な IGBT の搭載が可能である。ただし,基板表面にすべ 誘電体分離プロセス(DI プロセス)に着目し,DI プロセ ての端子を形成することから,図1のような横形構造にす スを用いたドライバ IC の検討を進めてきた。その結果, る必要がある。 性能面だけでなくコスト面からも有利なドライバ IC を実 SOI 基板上に高耐圧横形デバイスを形成するためには, (2) 現できることが明らかになり,その開発に着手した。 張合せ酸化膜への電圧分担と表面電界の緩和が必要である。 本稿ではまず,張合せ基板(SOI 基板)を用いた DI プ さらに,横形 IGBT ではバイポーラ動作による耐圧劣化も ロセスによる 高耐圧化技術 を 紹介 する。 次 に,カラー 防止しなければならない。富士電機では下記の二つの手法 PDP ドライバ IC における DI プロセス適用の利点と,DI により高耐圧化を達成している。 (3) プロセスを用いて開発したカラー PDP スキャンドライバ (1) n 形バッファ層のイオン注入ドース量の最適化 (4) IC の概要について説明する。 (2 ) コレクタショート層(CS 層)の導入 10μm 厚の SOI 層上に形成した横形 IGBT において,CS DI プロセスを用いた高耐圧化技術 層導入による素子耐圧の変化を図 2に示す。この図から, CS 層導入による素子耐圧の向上を確認することができる。 富士電機では,SOI 基板とトレンチ技術を組み合わせた DI プロセスを 250 V クラスまでの 高耐圧 プロセスとして 確立している。 図 1 に, SOI 基 板 上 に 形 成 した 高 耐 圧 p チャネル 形 MOSFET ( SOI - pMOS ) の 素 子 断 面 図 を 示 す 。 SOI - 以下,この DI プロセスを用いた誘電体分離基板と,SO 448(24) 2.2.2 横形 p チャネル形 MOSFET pMOS を 形成 する 場合 , 電源電圧 がソース 端子 に 印加 さ 澄田 仁志 平林 温夫 島袋 浩 高耐圧横形デバイス,高耐圧パワ ー IC の研究開発に従事。現在, 松本工場半導体開発センター IC 開発部。 高耐圧 SOI デバイスのプロセス 半導体デバイスおよびプロセスの 開発に従事。現在,松本工場半導 研究・開発に従事。現在,松本工 体開発センター IC 開発部。 場半導体開発センター IC 開発部。 富士時報 誘電体分離プロセスを用いたカラー PDP ドライバ IC Vol.71 No.8 1998 図1 SOI 基板とトレンチ技術を用いた誘電体分離基板 横形IGBT G E 横形pチャネル形MOSFET S G D 側壁酸化膜 C 分離領域 p+ n+ p+ p形ベース n形 バッファ CMOS回路 D S G G D ポリシリコン n+ p+ p+ n+ p+ p形 オフセット n形ウェル SOI層(n) S n+ n+ p+ p+ p形ウェル SOI層(n) SOI層(n) 張合せ酸化膜 支持基板 図2 横形 IGBT の素子耐圧における CS 層導入効果 図3 横形 p チャネル形 MOSFET の素子耐圧とドレーン電流 における LSG 依存性 400 ポリシリコンゲート L SG 300 200 p+ CS層なし p形オフセット n形ウェル 100 n 350 0 0 1 1.5 2 クゲート効果を考慮する必要がある。また一般的な高耐圧 MOSFET と同様に,素子耐圧上昇に伴う電流駆動能力の 素子耐圧(V) れるため,素子特性に対して支持基板との電位差によるバッ 素子耐圧 300 張合せ酸化膜の厚さ( m) μ 1.4 実測値 250 計算値 1.3 実測値 200 ドレーン電流(Vd=10V,Vg=5V) 1.2 150 ドレーン電流(mA) 素子耐圧(V) ソース電極 CS層あり 低下を抑える必要もある。 実使用を考慮した電圧印加状態での高耐圧化には,バッ クゲート効果による素子表面での電界集中を緩和する必要 100 0 2 L SG( m) μ 1.1 4 (5) がある。この課題に対して富士電機では,SOI 層の比抵抗 およびオフセット層の全電荷量を最適化することによって 解決した。また 図3 に示すように,ソース電極をフィール 徴は,100 V から 200 V の耐圧を必要とする出力回路を64 ドプレートとして使用し,その長さ(LSG)を調整するこ 回路や96回路など多数搭載しているとろこにある。特に, とによっても表面電界の緩和を図った。この手法により, スキャンドライバ IC の出力特性には,高耐圧特性以外に 電流駆動能力を低下させることなく素子耐圧の向上を達成 200 mA から 400 mA 程度 の 大電流駆動能力 が 要求 されて している。 いる。そのため,スキャンドライバ IC の出力回路には電 流駆動能力の大きい素子を搭載する必要がある。 カラー PDP ドライバ IC における DI プロセス 適用の利点 3.2 DI プロセス適用の利点 耐圧が 200 V,定格電流が 200 mA の素子を形成するた めに必要な面積を,DI プロセスを用いた場合と JI プロセ 3.1 カラー PDP の駆動システム 42インチ AC 形 カラー PDP のパネル 駆動 システムを 図 スを 用 いた 場合 で 比較 した 結果 を 図5 に 示 す。 DI プロセ (6) 4に示す 。パネルはアドレスドライバ IC とスキャンドラ スでは横形 IGBT を採用することができること,また分離 イバ IC の二つの IC で駆動されている。これらの IC の特 面積 が 少 ないことから, JI プロセスを 用 いた 素子 に 対 し 449(25) 富士時報 誘電体分離プロセスを用いたカラー PDP ドライバ IC Vol.71 No.8 1998 図4 42 インチ AC 形カラー PDP のパネル駆動システム 図6 DI プロセスを用いて開発したカラー PDP スキャンドラ イバ IC のチップ写真 スキャンドライバ IC 1 2 パネル 852(×3) × 480 n 1 2 m 3 アドレスドライバ IC 図7 1 出力あたりの回路構成 図5 素子形成面積のプロセスによる比較 VL VH レ ベ ル シ フ タ 素子形成領域 分離領域 1 1.0 活性領域 分離 領域 Vin1 Vin2 0.5 0.5 活性 領域 MOSFET シ フ ト レ ジ ス タ P1 N2 R1 ZD Vout N3 IGBT R2 バッファ 回路 D1 N1 Vss 0 JI DI サイズで 達 成 している。また HDTV ( High-Definition て半分の面積で素子の形成が可能となる。 この素子面積低減効果を上記のスキャンドライバ IC に 適用すると,JI プロセスを用いた IC よりも大幅なチップ サイズの縮小が期待できる。例えば,64出力のスキャンド Television)対応を目的に,出力特性には高速スイッチン グ化を図っている。 これらの点を含め,本 IC は JI プロセスを用いた従来の IC と比較して下記の特長を備えている。 ライバ IC に適用した場合のチップサイズを見積もると, (1) チップサイズの縮小によるチップコストの低減 JI プロセスを用いた IC のチップサイズに対して約70%の (2 ) HDTV 対応可能な出力の高速スイッチング 大きさに縮小できる。 (3) SOI 基板の仕様変更による耐圧変更が容易 上記 のように,スキャンドライバ IC に DI プロセスを 適用することにより,完全分離による技術的な性能面だけ でなくチップサイズ縮小効果によるチップコストの面から もメリットが得られる。 4.2 出力回路の構成および出力特性 本 IC の 1 出力あたりの回路構成を 図7に 示 す。 出力回 路 を 構成 する 高耐圧素子 は, N1 の 横形 IGBT および N2 と N3 の 横形 n チャネル 形 MOSFET,ならびに P1 の 横 カラー PDP ドライバ IC への適用 形 p チャネル形 MOSFET と D1 の横形ダイオードである。 各素子の耐圧は 250 V 以上ある。1 出力あたりの出力特性 図6に,DI プロセスを用いて開発したカラー PDP スキャ を表1に示す。 ンドライバ IC のチップ 写真 を 示 す。 本 IC には, 保証耐 図8に,電源電圧(VH)を 180 V,負荷容量を 50 pF 圧が 200 V,定格電流が 200 mA の出力回路を64出力分搭 したときの出力波形を示す。出力電圧(Vout)の立上り速 載している。本 IC はプラスチックのフラット形 100 ピン 度の高速化は,P1 のゲート容量を最適化することによっ パッケージ( QFP-100)および COB( Chip On Board) て達成している。 実装に対応できる。 以下,本 IC の概要について述べる。 と 本 IC では N1 に IGBT を 採用 していることから, 出力 電圧 が 高速 に 立 ち 下 がる。この 高速 スイッチングにより VH−Vss 間 を 直接流 れる 貫通電流 が 発生 する。そのため 4.1 特 長 本 IC は,DI プロセスおよび横形 IGBT の採用により, JI プロセスを用いた同一仕様の IC に対して70%のチップ 450(26) 本 IC には下記の貫通電流防止対策を施し,貫通電流を抑 えている。 (1) P1 のゲート容量の最適化 富士時報 誘電体分離プロセスを用いたカラー PDP ドライバ IC Vol.71 No.8 1998 ス適用の利点と DI プロセスを用いて開発したカラー PDP 表1 1出力あたりの出力特性 項 目 特性値 耐 圧 235V したドライバ IC は,DI プロセスの特長を生かすことによ N1 4.0V/200mA り,既存の JI プロセスを用いた IC と比較して性能面だけ N2 6.0V/10mA D1 1.5V/400mA 立上り 210ns 順方向電圧 スイッチング時間 VH =180V C L =50pF V H :電源電圧 スキャンドライバ IC の概要について説明した。今回開発 でなくコスト面においても優位性を備えている。 今後 は,この DI プロセスを 用 いたカラー PDP ドライ バ IC の 系列化 を 図 るとともに,モータ 用 ドライバ IC や 静電プロッタ用ドライバ IC など PDP ドライバ IC 以外の 立下り 110ns 高耐圧 IC へ DI プロセスを展開していく予定である。 C L :負荷容量 参考文献 (1) 重田善弘・多田元:カラープラズマディスプレイドライバ 図8 出力波形 IC,富士時報,Vol.69,No.8,p.426-429(1996) (2 ) Nakagawa, A. et al. : New 500 V output device structures Vin1 (5V/div) 0V for thin silicon layer on silicon dioxide film. Proceedings of ISPSD ’ 90. p.97-101(1990) (3) Sumida, H. ; Hirabayashi, A. : Measurements of the break- Vout (50V/div) down voltage of the lateral insulated gate bipolar transistor on the silicon-on-insulator film with varying implantation doses for the n-buffer layer. Jpn. J. Appl. Phys. Vol.34, No.1, p.85-86(1995) 0V (4 ) Sumida, H. ; Hirabayashi, A. : Lateral IGBT structure on 1 s/div the SOI film with the collector-short region for improving blocking capability. IEICE Trans. Electron. Vol.E79 - C, No.4, p.593-596(1996) (2 ) N3 およびバッファ回路の配置 (5) Sumida, H. ; Hirabayashi, A. : Substrate bias effect on blocking capability of a lateral P-channel MOSFET on SOI, あとがき Solid-State Electronics. Vol.41, No.11, p.1773-1779(1997) (6 ) 篠田傳 ほか :大型 プラズマディスプレイ 開発 の 現状− − − − − 本稿では,DI プロセスを用いた高耐圧化技術を紹介す るとともに,カラー PDP ドライバ IC における DI プロセ 大画面壁掛けテレビを目指して− − − − −,応用物理,Vol.65,No.7, p.723-727(1996) 451(27) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 小形 LCD コントローラ 加茂 宏明(かも ひろあき) まえがき の仕様となっている。 他 の 機種 は 携帯電話機 , PHS( Personal Handyphone 現代の高度情報化社会において電子ディスプレイは民生 ,ポケットベルなどの 携帯形情報端末用 の 液晶 System ) 用から産業用に至るまで多くの分野で情報伝達の手段,マ ディスプレイパネル用 IC として製品化した機種であり, ンマシンインタフェースとして 日常生活 に 深 く 浸透 し, 電源電圧はバッテリー駆動を意識した 3 V 系の低電圧対応 日々の生活に不可欠な存在となっている。 となっている。また,液晶駆動に必要な電圧を発生するた 数ある表示装置のなかでも液晶ディスプレイは小形,軽 めの昇圧回路を内蔵し,外付け電源回路の削減を図ってい 量,薄形,低消費電力といった特長を生かし広い分野で利 る。なかでも,「 FCS2326K」「 FCS2327K」は 以下 に 述 べ 用され,LED ディスプレイや CRT ディスプレイに取って る低消費電力化と高機能化を実現している。 代わる次世代の汎用デバイスとしてその地位を揺るぎない 2.1.1 低消費電力化 ものとしている。 携帯形情報端末向けの機種は,非表示時には液晶駆動電 富士電機では,このような市場ニーズに合ったディスプ レイ用半導体デバイスとして液晶ディスプレイ用 IC(以 図1 FC2306K のチップ写真 下,LCD-IC)の製品化,系列化を行ってきた。 本稿では,特に据置形電話機,携帯電話機,ファクシミ リ,ポケットベル,プリンタ,複写機などの表示装置とし て使用されている小形液晶ディスプレイ用キャラクタ表示 コントローラドライバ IC( 以下 , 小形 LCD-IC と 略 す) の製品系列について紹介する。 図2 FCS2314AK のチップ写真 製品の概要 富士電機ではすでに外付け部品を必要としない 1 チップ でいろいろな液晶ディスプレイを駆動することのできる小 形 LCD-IC を 量産 してきたが, 表示容量 の 多様化 や 低消 費電力への市場ニーズに対応して製品の系列化を図ったの でここに概要を紹介する。 図3 FCS2326K のチップ写真 2.1 特 徴 小形 LCD-IC として, 現在量産中 の 6 機種 の 主要特性 比較を表1に示す。また,これらの機種のチップ写真を図 1∼4に示す。 このなかで,「 FCS2314AK」は 据置形 の 電話機 ,プリ ンタ,ファクシミリ,複写機などの電子機器用の液晶ディ スプレイパネル用 IC として製品化された機種であり,1 行あたりの表示文字数が20文字と多く,電源電圧も 5 V 系 加茂 宏明 CMOSIC の開発・設計に従事。現 在,松本工場半導体開発センター IC 開発部。 452(28) 図4 FCS2327K のチップ写真 富士時報 小形 LCD コントローラ Vol.71 No.8 1998 源への電流を遮断し,低消費電力化を図るスタンバイモー 御でき,携帯情報端末の電池残容量などの表示に使用でき ドを備えているが,「FCS2326K」や「FCS2327K」では以 るアイコン表示機能を持つが,「FCS2326K」「FCS2327K」 下に示すようなさらに低消費電力化を推進した設計を行っ ではさらに多くのアイコン表示(116 ビット)を実現する ている。 とともに,縦倍角表示機能(図5)を持たせることで表示 (1) 発振周波数の低周波化 容量の増大と見やすさを実現した。 さらに MPU とのアクセスには非同期方式(図6)を採 (2 ) 低消費電流形液晶駆動電源回路内蔵 (3) 待機時に発振動作を停止するスリープモードを追加 これらの機能は携帯用機器の電池寿命を延ばすために大 用し,高速インタフェースを実現している。また,インタ フェースの種類を多数選択可能にすることで外付け部品の きく役立っている。 削減と使いやすさを図っている。 2.1.2 高機能化 2.1.3 実装設計の容易さ 携帯用機器向け LCD-IC はキャラクタ表示と独立して制 (1) コモン,セグメントドライバ回路を双方向シフト回路 表1 小形LCD-ICの主要特性比較 機種名 項 目 表示容量 FC2306K FCS2314AK FC2316K FCS2326K FCS2327K 16文字×2行 20文字×2行 16文字×4行 12文字×2行 12文字×3行 1/18 1/8,1/16 1/34 1/18 1/26 液晶駆動出力本数 COM:18 SEG:80 COM:16 SEG:100 COM:34 SEG:80 COM:18 SEG:62 COM:26 SEG:60 電源電圧 2.7∼5.5V 4.5∼5.5V 2.7∼5.5V 2.4∼3.6V 2.4∼3.6V デューティ 液晶駆動電圧 3.0∼11.0V 3.0∼5.5V 3.0∼11.0V 3.0∼7.0V 3.0∼11.0V DDRAM 64×8ビット 最大64文字 80×8ビット 最大80文字 64×8ビット 最大64文字 24×8ビット 最大24文字 36×8ビット 最大36文字 CGROM 240文字 240文字 240文字 240文字 240文字 CGRAM 512ビット 512ビット 512ビット 160ビット 160ビット PGRAM 10ビット 20ビット 112ビット 72ビット インタフェース 4/8ビット 4/8ビット 4/8ビット 1/4/8ビット 1/4/8ビット 12種 11種 12種 15種 15種 命令数 RVLCD 発振周波数 内蔵 内蔵 内蔵 内蔵 内蔵 250kHz 270kHz 250kHz 33kHz 50kHz 内蔵 内蔵 内蔵 内蔵 内蔵 内蔵 内蔵 あり あり 内蔵 昇圧回路 電子ボリューム 低電流形液晶電源 あり スタンバイモード スリープモード 消費電流 チップサイズ縦横比率 なし あり なし なし なし あり あり 450 A(標準) 1.5mA(標準) 500 A(標準) 100 A(最大) 140 A(最大) 1:3.14 1:2.42 1:3.25 1:4.64 1:5.00 図5 縦倍角表示例 図6 非同期アクセス概念図 全角表示 縦倍角表示 インタフェース デュアルポートRAM COM電極 出力回路 表示制御回路 内部クロック SEG電極 453(29) 富士時報 小形 LCD コントローラ Vol.71 No.8 1998 とし,図7に示すように IC と液晶ディスプレイの配置 (3) チップサイズの縦横比率を大きくし,液晶ディスプレ を変えても正規の表示が可能なようにして基板実装自由 イ部以外の実装面積を小形化するのに有利なチップ形状 度の向上を図っている。 とした。 (2 ) COG(Chip On Glass)および TAB(Tape Automat- ed Bonding) 実装可能 な 金 バンプ 電極構造 で 高密度実 2.2 回路構成 装化 を 図 っている。 特 に COG 実装 では ITO( Indium 液晶ディスプレイ用コントローラドライバ IC の代表的 Tin Oxide) 配線 を 利用 して 効率的 に IC の 動作 を 決定 できる方式(図8)を採用することで,使いやすさと高 図8 ITO による動作の決定例 密度実装を実現した。 V1 V2 V3 V4 V5 C1− C1+ C2−C2+ 図7 IC と表示装置の配置例 VDD VSS VEE VR C2+ C2− 入力端子 裏側 PCOMO COM12 SEGO SEG59 am Func pm 圏外 公衆 PCOM25 COM13 Menu 短縮 秘 PCOMO COM12 SEGO SEG59 表側 PCOMO COM12 SEGO SEG59 C1− V5 V4 V3 V2 V1 Bref2 Bref1 am Func pm 圏外 公衆 Menu 短縮 C1+ 入力端子 秘 PCOM25 COM13 表側 入力端子 TEST 4/8 RESET SCP EXTCP am Func pm 圏外 公衆 PCOM25 COM13 ITO配線による 動作の決定 DB7-4 am Func pm 圏外公衆 DB3-0 Menu 短縮 PCOMO COM12 SEGO SEG59 Menu 短縮 E/SCL RW/SDA CS RS PCOM25 COM13 裏側 秘 入力端子 DUMM Y 秘 80/68 S/P ITO配線による 動作の決定 VEE VSS VDD 図9 FCS2327K の回路構成 VDD VSS EXTCP SCP CS P/S 68/80 4/8 RS RW/SDA E/SCL DB4-DB7 DB0-DB3 TEST C1+ C1− C2+ 6 インストラクション デコーダ インストラクション 6 レジスタ 発振回路 8 入イ 出ン 力タ バフ ッェ フー ァス ビジィフラグ アドレス カウンタ 6 表示データ RAM (DDRAM) 288ビット アドレス カウンタ 5 6 データ セレクタ ピクトグラフ RAM (PGRAM) 72ビット 8 テスト回路 昇圧回路 5 C2− VEE Bref1 Bref2 VR V1-V5 電圧分割+増幅回路 RESET リセット回路 3 キャラクタジェネレータ ROM (CGROM) 9,600ビット 5 12×5ビットラッチ回路 60ビットラッチ回路 セグメント信号ドライバ SEG0-SEG59 454(30) 表示走査 カウンタ キャラクタジェネレータ RAM (CGRAM) 160ビット 5 8 タイミング レジスタ カーソルブリンク 反転制御回路 26ビット シフトレジスタ コモン信号 ドライバ PCOM0 COM1-COM24 PCOM25 富士時報 小形 LCD コントローラ Vol.71 No.8 1998 ドあるいは表示データを制御するコントロール回路部,表 図10 液晶駆動電源回路 示 データを 格納 する ROM, RAM 部 ,および 液晶 パネル VDD を駆動するドライバ回路部から構成されている。 液晶駆動電源回路は図10に示すように低消費電流を実現 V1 するために高抵抗により分割された電圧をインピーダンス V2 変換するボルテージフォロワ回路と,表示コントラストを 調整するための 5 ビットの電子ボリューム回路で構成され V3 ている。 V4 抵抗 2.3 応用例 V5 「FCS2327K」を使用し,12文字× 3 行表示が可能な液 電子ボリューム 晶パネルを構成した応用例を図11に示す。 VEE 液晶駆動電源分割抵抗回路,表示コントラスト調整用電 VR 子ボリュームの内蔵により,外部から供給される 3 V 単一 電源で,本 IC に内蔵された昇圧回路と外付けコンデンサ により,所要の駆動電圧を発生させ,液晶ディスプレイパ 図11 FCS2327K を使用したモジュール ネルを表示動作させる。 コネクタ部 FCS2327K あとがき 富士電機の液晶ディスプレイ用の IC のうちキャラクタ 表示 タイプの 小形液晶 パネル 用 コントローラドライバ IC LCD 6機種について概要を紹介した。 液晶ディスプレイは,多様化する使用環境やマルチメディ アに対応し,今後さらに応用市場が拡大していくと予想さ れているが,それに伴い一層の低消費電力化,高機能化, 低価格化が要求される。 富士電機では,このような市場ニーズに合った特徴ある な例として「FCS2327K」の回路構成を図9に示す。 本 IC は MPU とのインタフェース回路部,各種表示モー 液晶ディスプレイ用 IC の製品化を今後とも推進していく 所存である。 最近登録になった富士出願 〔実用新案〕 登録番号 名 称 考案者 登録番号 名 称 考案者 2565689 便所の消臭装置 清水 郁男 2562741 自動販売機 岩本 昌三 垣内 弘行 2563135 回路遮断器 朝日 信夫 尾崎正志朗 2566274 インバータ装置 石田 一郎 2563627 家畜用歩行通過型体重測定装置 中村 雄有 井上 富生 2567788 回転電機のファンガイド取付け構造 鈴木 健 2563746 情報読取装置 辻 伸彦 池田 文幸 2568163 アップダウンカウンタ回路 祖父江 勝 455(31) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 高耐圧 CMOS プロセス技術 熊田 恵志郎(くまだ けいしろう) 横山 聡(よこやま さとし) まえがき 表1 CMOSプロセスの一覧 プロセス技術 液晶ディスプレイ(LCD) ,プラズマディスプレイパネ ル(PDP),蛍光表示管(VFD)などの,100 V 程度以下 の出力電圧が必要なディスプレイ駆動用の IC や,40 V 程 シリコン ゲート CMOS 度以下までの高耐圧と高出力,アナログ量の制御が必要な デザイン ルール 絶対最大 定格電圧 CMOSⅠ CMOSⅡ 1 m CMOSⅢ ポリ シリコン 金属配線 30V 2層 2層 60V 2層 2層 120V 1層 1層 電源制御用途の IC に,富士電機ではこれまでそれらの製 品に要求される特性を満足し得るプロセスを開発し,LCD 駆動用途 に CMOS( Complementary MOS) 自己分離 プ 表2 プロセスフローとデバイス形成工程 ロセス, PDP 駆動用途 に 接合分離 プロセス, 電源用途 に CMOSⅠ CMOSⅡ CMOSⅢ nウェル拡散 ⃝ ⃝ ⃝ pウェル拡散 ⃝ ⃝ ⃝ 電子機器の小形化,軽量化は宿命であり,特に携帯機器 pオフセット拡散 ⃝ ⃝ ⃝ では,さらにバッテリーによる駆動時間を伸ばすための低 nオフセット拡散 ⃝ ⃝ ⃝ 消費電力化も求められている。使用される IC にも,微細 pガード拡散 ⃝ ⃝ 化による IC の小形化,軽量化,高機能化による部品点数 nガード拡散 の削減,低消費電力化,低価格化が求められている。自己 フィールド酸化膜形成 ⃝ ⃝ ⃝ 分離技術を用いる CMOS プロセスは,接合分離技術を用 第1ゲート電極形成 ⃝ ⃝ ⃝ いる DMOS(Double Diffused MOS)プロセス,バイポー 第2ゲート電極形成 ⃝ ⃝ ラプロセスに比べてプロセスコストの面からすると安価で ソース ドレーン拡散 − ⃝ ⃝ ⃝ あり,また,微細化に適していることから,高集積化の点 コンタクト形成 ⃝ ⃝ ⃝ からも 有利 であるといえる。 富士電機 では, 今回 , LCD, 第1金属配線形成 ⃝ ⃝ ⃝ PDP 駆動用 IC,電源用制御 IC に適用し得る CMOS 自己 第2金属配線形成 ⃝ ⃝ 分離プロセスを用いたデバイスの開発を行った。 パッシベーション形成 ⃝ ⃝ はバイポーラプロセスを適用して IC の製品展開を行って きた。 プロセスフロー ⃝ ⃝ 本稿 では, CMOS 自己分離 プロセスを 用 いた 30 V, 60 V,120 V の高耐圧デバイス,バイポーラデバイス,ロジッ クデバイスを 1 チップに搭載可能とするプロセスの概要と, にしていることにある。高耐圧デバイスの絶対最大定格電 そのデバイスの特性について紹介する。 圧は,30 V,60 V,120 V の 3 種類を用意している。 プロセスフローを表2に示す。ロジックデバイス形成用 プロセスの概要 の工程は,すべて同一で,使用する高耐圧デバイス,バイ ポーラデバイス形成用のオプション工程を自由に追加,削 今回,紹介する 3 種類のプロセスの概要を 表1 に示す。 除できるのでプロセスの最適化が図れる。 特長 は, 1μm ルールのロジックプロセスを 基本 としてい 要素デバイス るためプロセスがシンプルであり,製品に要求される使用 電圧に応じて,プロセス,デバイスを選択できるようにし ロジックデバイスと高耐圧デバイスを 1 チップに搭載可能 456(32) それぞれのデバイスの特性を表3に示す。 熊田 恵志郎 横山 聡 CMOSIC のプロセス,デバイス CMOSIC のプロセス,デバイス 開発に従事。現在,松本工場半導 開発に従事。現在,松本工場半導 体開発センター IC 開発部。 体開発センター IC 開発部。 富士時報 高耐圧 CMOS プロセス技術 Vol.71 No.8 1998 図1 要素デバイスの断面構造 低耐圧CMOS部 高耐圧CMOS部 n+ n+ n− nチャネルMOS pチャネルMOS S G D S G D HV-pチャネルMOS S G D HV-nチャネルMOS S G D p+ n− n+ p+ p− n+ p+ p+ p− pウェル pウェル nウェル nウェル p 基板 バイポーラ部 npnトランジスタ C E B n+ n+ n− pnpトランジスタ C E B p+ p+ p− p− n+ p+ n− pウェル nウェル p 基板 表3 要素デバイス特性 図2 30V 級デバイスの内部電位分布 1 mルールCMOSプロセス 要素デバイス 特 性 CMOSⅠ C M O S (V) BVdss 低耐圧pチャネル MOSFET (V) BVdss 高耐圧nチャネル MOSFET 高耐圧pチャネル MOSFET npn トランジスタ バ イ ポ ー ラ V th(V) 低耐圧nチャネル MOSFET pnp トランジスタ ツェナー ダイオード CMOSⅢ 1.0 12.0 V th(V) V th(V) CMOSⅡ −1.0 −12.0 1.5 2.5 1.0 (V) BVdss 65.0 80.0 160.0 V th(V) −2.0 −3.5 −1.0 −55.0 −75.0 −160.0 (V) BVdss h FE (V) BVceo h FE (V) BVceo V z(V) 90.0 18.0 35.0 80.0 7.5 要求されるデバイスの耐圧に応じて,チャネル長,低濃 度拡散層の濃度,拡散深さ,ゲート酸化膜厚の最適化を行 うことにより,耐圧を十分確保しつつ,電流値が最大にな 3.1 高耐圧 CMOS デバイス 図1 に 高耐圧 CMOS デバイスの 断面図 を 示 す。ソー るよう設計した。 図3∼8に高耐圧デバイスの電流電圧特性を示す。 ス - ドレーン間に高電圧が印加された場合,ドレーン電界 がソース領域まで影響を及ぼして耐圧が低下するパンチス ルー現象や,ドレーン付近の高電界領域が原因で発生する 3.2 バイポーラデバイス 30 V 級 CMOS プロセスには,高精度のアナログ回路に 衝突電離現象,ホットキャリヤに伴う耐圧,信頼性の低下 適用できるよう,npn トランジスタ,pnp トランジスタ, が起きる。 ツェナーダイオードもオプションで形成できるようにして そこで,この高電界を緩和する方法として,従来から用 いられているように,ソース,ドレーンの高濃度拡散層と いる。これらのデバイスは,高耐圧デバイスと工程を共有 させており,プロセスコストの削減を図っている。 ゲート電極を低濃度の拡散層によってつなぐ構造としてい る。この低濃度拡散層によって,ドレーンからゲート電極 間の電界を緩和しデバイス耐圧の向上と,ホットキャリヤ 3.3 ロジックデバイス ロジックデバイスは,どのプロセスでも共通のデザイン の発生を低減している。図2に二次元デバイスシミュレー ルール,共通のデバイスである。デザインルールは 1μm タ(ATLAS)を用いて,30 V 級デバイスのドレーン近傍 を採用して微細化を図り,高集積化と高速化を実現してい での電界をシミュレートした結果について示す。 る。 457(33) 富士時報 高耐圧 CMOS プロセス技術 Vol.71 No.8 1998 図3 30V 級 n チャネル MOSFET 電流電圧特性 図7 120V 級 n チャネル MOSFET 電流電圧特性 図4 30V 級 p チャネル MOSFET 電流電圧特性 図8 120V 級 p チャネル MOSFET 電流電圧特性 図5 60V 級 n チャネル MOSFET 電流電圧特性 図9 30V 級 CMOS プロセス製品適用例 図6 60V 級 p チャネル MOSFET 電流電圧特性 IC のチップ写真を示す。 あとがき 1μm の CMOS プロセスを基本とした 120 V 以下までの 高耐圧 CMOS デバイス,バイポーラデバイス,ロジック デバイスを 1 チップに搭載可能とするプロセス,デバイス の紹介をした。 今後は,高耐圧デバイス技術を生かしつつ,微細化を進 製品適用例 めたプロセス,デバイスの開発を行い,システム化,小形 化,低消費電力化,といった市場のニーズにこたえ得る製 図9 に 30 V 級 CMOS 458(34) プロセスを 適用 した 電源用制御 品を提供し,社会に貢献していく所存である。 富士時報 Vol.71 No.8 1998 システム IC 設計技術 吉田 豊(よしだ ゆたか) 中原 健(なかはら けん) まえがき 2.1 機能設計 LSI が大規模化するにつれて,設計の最上位段階である 半導体製造技術の急速な進歩により,LSI(Large Scale 機能レベルでの論理設計を正確に早く行うことが重要であ Integrated circuit )の 大規模化 が 進 み, 複数 の LSI を る。 機能 レベル 設計 では,まず 機能記述言語 ( HDL : ボード 上 に 載 せて 構成 していたシステムをシステムオン Hardware Description Language)を使用して LSI の各ブ チップとして 一 つの LSI で 実現 することができるように ロックの機能・動作を記述する。HDL による設計には次 なった。システムオンチップの中に取り込まれる機能マク の利点がある。 ロはマイクロコンピュータ(マイコン)コア,マイコン周 (1) 大規模・複雑化した IC を効率的に開発できる。 辺インタフェース回路から最新のパーソナルコンピュータ (2 ) 図1 に示すように,デバイスのパラメータに関連しな (パソコン)周辺用通信インタフェース制御回路までさま ざまである。これらのコアとユーザー固有の回路を組み合 わせ ASIC(Application Specific IC)化したシステム IC は,新たな高付加価値製品として注目されている。 いため,異なるプロセスで設計された過去の設計データ, あるいは富士電機のデバイスパラメータを意識せずに社 外で設計したデータを使用できる。 (3) 過去の設計データをもとに仕様変更を容易にできる。 一方 , 最終製品 の 寿命 が 短 くなるにつれ LSI の 開発期 間短縮が強く求められ,自動化による設計の合理化が必須 (ひっす)である。また 搭載 するコア 回路 をシステム IC 2.2 セルライブラリ設計 富士電機では論理回路の設計自動化をスタンダードセル の開発ごとにすべて新規設計することは困難であり,これ までに設計・評価を完了した回路ブロックの再利用が必要 図1 システム IC 開発フロー である。 プロセス 富士電機ではこれまでに,自動設計技術,自動検証技術, 仕様 デバイスパラメータ 各種シミュレーション技術などの開発を行ってきた。そし てこれらの技術開発により,システム IC を短期間で開発 機能設計 セルライブラリ設計 できる設計環境の構築を進めてきた。本稿では富士電機の 論理合成用ライブラリ システム IC の開発における設計技術とその適用例につい て概要を紹介する。 論理(ディジ タル)回路設計 アナログ 回路設計 論理シミュレーション 用ライブラリ 配置配線用ライブラリ システム IC の設計技術 マスクレイアウト設計 デザインルール 本章では,システム IC の各設計段階における設計手法 およびそれに対応する富士電機の CAD(Computer Aided レイアウト検証 Design)技術について紹介する。 図1 にシステム IC の 開発 フローを 示 す。 図1に 示 した 開発 フローの 各設計段階 を 支援 するためのさまざまな マスク製作 ウェーハプロセス CAD 技術 が 開発 されている。 表1に 各設計段階 における 富士電機の CAD 技術を示す。 テスト 吉田 豊 中原 健 LSI の研究・開発に従事。現在, LSI の CAD システムの研究開発 (株) 富士電機総合研究所先端デバ に従事。現在, (株) 富士電機総合 研究所先端デバイス研究所 LSI グ ループ。 イス 研究所 LSI グループ 主任研 究員。 459(35) 富士時報 システム IC 設計技術 Vol.71 No.8 1998 ランジスタ自体の遅延時間が短くなるにつれ,各セルを結 表1 システムICの設計段階と富士電機のCAD技術 設計段階 CAD技術 機能シミュレーション技術 ディジタル 回路 機能設計 HDL作成容易化技術 HDL解析技術 アナログ 回路 ディジタル 回路 機能シミュレーション技術 配線容量による遅延時間を算出し,論理シミュレーション 開発中 にこの値を付加して再度タイミング検証を行っている。ま ⃝ た,事前検証として実際の配置配線を行う前に仮配線モデ 開発中 ルを使用して遅延時間を予想し,その値を用いてタイミン ⃝ 論理シミュレーション技術 ⃝ * AHDLアナログ合成技術 回路シミュレーション技術 開発中 ⃝ 自動配置配線技術(論理セル用) ⃝ マスク レイアウト 設計 自動配置配線技術(アナログ用) 開発中 レイアウト 検証 DRC ⃝ LVS ⃝ セルベース設計用ライブラリ作成技術 ⃝ セルライブ ラリ設計 バックアノテーション技術 対的に大きくなってきている。このため,配置配線後の各 ⃝ 論理合成技術 回路設計 アナログ 回路 富士電機の 取組み ぶ配線とシリコン基板の間の容量に対する充放電時間が相 ⃝ (配線容量 のみ可) グの違反がないかを調べている。 2.5 マスクレイアウト検証 マスクデータに誤りがないかを調べるマスクレイアウト 検 証 で は DRC( Design Rule Check) と LVS( Layout Versus Schematic)を行う。DRC ではレイアウトしたマ スクデータの 寸法 に 関 する 検証 を 行 い, LVS では 回路図 との一致に関する検証を行う。 これらの検証で参照される規則は,LSI の各製造プロセ スに 依存 するが, 富士電機 で 保有 しているすべての LSI 製造プロセスに対しこのようなマスクレイアウト検証を行 うことが可能である。 * AHDL:Analog HDL 適用例 をベースにしたセルベース方式を用いて進めている。一つ の論理ゲートに対し,論理合成,論理シミュレーション, 本章では,システム IC の設計事例として USB(Universal 自動配置配線のそれぞれに必要な特性データを作成しセル Serial Bus)ハブコントローラについて紹介する。この IC ライブラリとして登録している。各ライブラリはデバイス は機能マクロとして USB 規格に準拠した USB ハブコアと のパラメータに依存したタイミングとジオメトリーの情報 マイコンとのシリアル 通信 インタフェースの I 2 C( Inter- を持っている。 Integrated Circuit)コアを 搭載 している。 論理回路 の 設 計 においてコア 回路 を 社外 から 導入 し 開発期間 の 短縮 を 2.3 論理回路設計 図った。 機能設計レベルから論理ゲートで構成した論理回路を設 計 する段階である。HDL は 論理合成ツールにより前節で 説明したセルライブラリに登録されている論理ゲートを用 3.1 USB ハブコントローラの概要 USB はパソコンとキーボード,プリンタ,スキャナな いた論理回路に変換される。この工程では設計であらかじ どの周辺機器を接続する標準インタフェースとして今後広 め定めたタイミング仕様を満たすようにゲート回路に変換 く普及すると予想されている。この USB ハブコントロー される。一般的にタイミング仕様を厳しくするとゲート数 ラはバスの分岐・中継を行うハブ機能として動作し,パソ が 増加 し 面積 が 大 きくなるため,タイミングと 面積 のト コンと 4 台までの周辺機器を接続することができる。さら レードオフの関係を調整して合成を行う必要がある。内部 にハブを搭載するモニタなどの機器とパソコンが通信でき クロックが違いタイミング仕様の異なる機能ブロックから るようシリアルポートとして I 2 C インタフェース回路を内 構成されるシステム IC の設計ではブロックごとに適切な 蔵している。この USB ハブコントローラの概略仕様は次 条件の設定を行っている。 合成されたゲート回路に対して,論理シミュレーション のとおりである。 (1) USB ハブ機能(USB 規格 Chapter 11,Rev1.1 準拠) を行い,正常な論理動作の確認とタイミング検証を行う。 (2 ) 4 ポートダウンポート,1 ポートダウンポート HDL を 用 いたトップダウン設計と 論理合成によるゲート (3) USB 通信速度: 12 M ビット/秒,1.5 M ビット/秒 回路の自動生成により,大規模な論理回路の設計期間が大 (4 ) ポートごとの過電流検出入力,電流制限信号出力 幅に短縮された。 (5) USB 複合 デバイス 機能 (2エンドポイント : コント 2.4 マスクレイアウト設計 (6 ) I 2 C ロール,割込み) バスインタフェース内蔵 マスクレイアウト設計段階では,LSI 製造用マスクデー タの作成を行う。セルベース設計では各セルの配置や各セ ル間の配線を自動配置配線システムを用いて行うことが可 能で,設計期間の短縮に貢献している。微細加工が進みト 460(36) 3.2 内部回路 図2 に USB ハブコントローラの内部ブロック図を示す。 USB ハブコアは USB 信号の符号・複合化,エラーチェッ 富士時報 システム IC 設計技術 Vol.71 No.8 1998 図2 USB ハブコントローラのブロック図 USBハブコア 3.3V レギュ レータ パ ソ コ ン シリアル インタ フェース 回路 ポート 制御 回路 アナログ トラン シーバ 埋込デバイス 機能制御 ステータス レジスタ 図3 チップレイアウト図 外部 マイコン ハブ制御・ ステータス レジスタ リピータ USB デバイス ポート 制御 回路 アナログ トラン シーバ 電源制御 インタフェース オンオフ μC I2C 過電流検出 USB電源制御回路 クを行う専用シリアルインタフェース回路,ルートポート 証を FPGA(Field Programmable Gate Array)を利用 からダウンポートあるいはその逆の向きのデータ転送を制 して行った。USB の環境のなかで設計した USB ハブ機 御するリピータ,トランシーバを制御するポート制御回路, パソコンからの命令を受けたりハブの内部情報を保存して 能が問題なく動作することを確認した。 3.3.2 論理回路設計 いるハブ制御・ステータスレジスタから構成されている。 USB ハブコントローラに必要な内部クロック 48 MHz 動 パソコンと外部マイコンは I 2 C インタフェースを介して 作 を 保証 するため, 0.6 μm ルールのセルライブラリを 適 通信を行う。埋込デバイス機能制御・ステータスレジスタ 用した。論理合成の結果,約 2 万ゲート規模の論理ゲート の構成を工夫し,マイコンから USB 接続のオンオフ切換 回路を得た。論理合成・論理シミュレーションともにタイ を行ったり,USB ハブや電源の情報を読めるようにした。 ミング的な問題がないことを確認した。 さらに, 遅延時間 や 出力波形 , 電位特性 について USB 3.3.3 マスクレイアウト設計 規格に準拠した USB トランシーバ回路とこのトランシー 論理 ゲート 回路 を 自動配置配線 した 結果 , 約 3 mm□ の バに 3.3 V の電源電圧を供給するレギュレータなどのアナ レイアウトデータが得られた。配置配線後の各配線長から ログ回路を搭載する。 容量値を算出し,論理シミュレーションにフィードバック をかけて問題がないことを確認した。このコア部の周辺に 3.3 設計事例 設計事例として,IP(Intellectual Property)コアの導 入や自動化設計の適用など具体的に説明を行う。 3.3.1 機能設計 マニュアルでレイアウトしたトランシーバ回路,レギュレー タ回路などを配置した。図3にチップレイアウト図を示す。 3.3.4 レイアウト検証 本 IC はレギュレータ機能などアナログ回路を搭載する 今回の設計は,これまで設計経験がない複雑で新しい通 ため通常の MOS デバイス以外にバンドギャップレファレ 信規格の論理設計が必要であったため,社外から IP コア ンス用のバイポーラ素子をはじめ,抵抗,容量などが含ま を導入することにより開発の加速推進を行うこととした。 れている。レイアウトデータからこれらの素子すべてを認 導入の手順は次のとおりである。 識し抽出を行い,寸法に関する検証と回路図との照合を行 (1) IP コアの 開発 を 請 け 負 うコアベンダは,これまでの い問題がないことを確認した。 開発実績や設計仕様のカスタマイズ要求に対応できるか などの点を重視して選定した。 あとがき (2 ) コアベンダの所有する USB ハブコアと I 2 C インタフェー スコアをもとに 構成 と 仕様 を 詰 め, 電源制御用 インタ 富士電機のシステム IC 設計技術について述べた。今後 フェース,内部レジスタ構成については富士電機からの は,さらに大規模・複雑なシステム IC を短い設計期間で 提案をカスタマイズ項目として盛り込んだ。 効率的に開発できる技術を構築していく所存である。 (3) コアベンダは HDL で機能設計を行い,その機能検証 を双方で機能シミュレーションを用いて判定した。USB 規格,I C 規格,電源インタフェース,埋込デバイス機 2 能制御・ステータスレジスタなどの仕様をカバーする約 60種類のシミュレーションパターンを用いて仕様どおり の機能設計がされたと判断した。 参考文献 (1) 鹿島雅人ほか: CAD システム技術,富士時報,Vol.64,No.2, p.139 -141(1991) (2 ) 松田昭憲・笠谷充男:セルベース設計自動化技術,富士時 報,Vol.61,No.7,p.456-458(1988) (4 ) 機能シミュレーションと同時に実機評価による動作検 461(37) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 ディーゼルエンジン用圧力センサ 村上 忠義(むらかみ ただよし) 表1 トラック生産台数 まえがき 分類 国内のトラック生産台数は,普通トラックでのガソリン エンジン車の比率が低下し,ディーゼルエンジン車の比率 年度 (単位:台) 普通トラック 小型トラック ガソリン ディーゼル ガソリン ディーゼル 1992 509,694 546,478 410,058 745,268 が増加している(表1 )。また,乗用車においても近年の 1993 410,934 510,531 326,475 628,892 RV(Recreational Vehicle) ,MPV(Multipurpose Vehicle) 1994 431,153 538,307 298,457 606,275 市場の拡大に合わせてディーゼルエンジン化が進んでいる。 1995 232,514 573,206 304,495 604,825 ガソリンエンジンの直噴化で燃費の低減が図られている 1996 213,774 568,556 329,500 564,855 (1) が,ディーゼルエンジンも同様に直噴化が主流になりつつ ある。ディーゼルエンジンの最大の特長は熱効率が高く燃 費の点で優位なことである。燃費が良いということは CO2 いるが,本稿ではディーゼルエンジン用半導体式圧力セン の発生を少なくできることであり,地球環境の面から温暖 サの概要を紹介する。 化の防止につながるものである。 ディーゼルエンジン車は排出ガスの面でガソリンエンジ 圧力センサの特長 ン車に劣り,触媒システム改善と電子制御式燃料噴射シス テムによる燃焼改善が進められている。より理想的な燃焼 を行うことで NOx だけでなく,粒子状物質の発生を大幅 に抑えようとしている。 2.1 1 チップ形 IC の使用 圧力センサは,数 mm 角のチップ上にモノリシック IC 技術でセンシング抵抗,増幅回路,温度補償回路をすべて ディーゼルエンジンの制御では燃料噴射量,燃料噴射開 1チップに集積した IC を使用している。ダイアフラム部 始時期などの最適制御を行うことで,燃費向上・排出ガス は微細加工技術により数十μm の薄さにエッチングされ, 低減を図る。制御が不十分であると,燃費・エンジン性能 圧力によるダイアフラムの機械的な変位(ひずみ)を半導 は向上しても排出ガスが多くなる。両方同時に最適化する 体のピエゾ抵抗から成るホイートストーンブリッジにより ために,マイクロコンピュータ(マイコン)を使用して最 電気信号 に 変換 する。この 信号 は 数十 mV と 小 さいこと 適な点火時期制御,空気と燃料の混合比の精密な制御など と温度特性があるため,増幅回路と温度補償回路で制御が を行っている。このためあらゆる条件下でエンジン状態を しやすく,リニアリティのある電圧に変換している。富士 検出する各種センサ情報が非常に重要な役割を担っている。 電機では,自動車の電子制御式燃料噴射装置に使用される センサからの 信号 は ECU( Electronic Control Unit : エ 圧力 センサの 量産 をこの 1 チップ 形 センサで 行 っている ンジン制御用電子回路ユニット)に入力され,最適制御が (図1)。1チップ形センサはバイポーラ IC プロセスとダ イアフラムエッチングプロセスにより製造されるため,量 行われる。 燃料噴射システムの最適制御のために,エンジンの吸入 産性・再現性が高く,コストパフォーマンスが高い。エッ 空気量を精密に測定することが必要となり,吸気管内圧力 チング量を変えてダイアフラムの厚みを変えることで広範 を圧力センサを使用して測定し ECU へ信号を出力する。 囲の圧力レンジをカバーすることができる。 ECU は 圧力信号,エンジン回転数信号などから精密な吸 入空気量を求めている。 2.2 機能調整 富士電機では,ガソリンエンジン用燃料噴射システムの 1 チップ上に 6 個の機能調整用薄膜抵抗があり,専用の 吸気側エア圧力を測定する半導体式圧力センサを量産して レーザオンチップトリミング装置を使用してセンシング部 村上 忠義 ハイブリッド IC の開発,圧力セ ンサの開発に従事。現在,松本工 場 IC 部主査。 462(38) 富士時報 ディーゼルエンジン用圧力センサ Vol.71 No.8 1998 で発生した出力電圧の増幅調整,零点調整,温度特性(零 EPX084 は大型ディーゼルエンジン車用,EPX068 は乗用 点・感度)の補正を高精度に行う。零点調整,零点温度特 車用,EPX059 はトラック用に開発したものである。外装 性調整は正負両方向の調整が可能である。電源を接続する 樹脂ケースタイプはエンジンルームに直接搭載されるもの だけですぐに高精度のセンサとして使用できる。 である。金属パッケージタイプはユーザーにてプリント基 板搭載・ケース組立工程後エンジンルームに設置される。 2.3 パッケージ ガソリンエンジン車で実績のある信頼性の高い小形金属 3.1 圧力範囲 パッケージタイプは標準パッケージである。また,これを 使用する最大圧力値が 250 ∼ 400 kPa の範囲にあるので, 内蔵した外装樹脂ケースはカスタム用でさまざまな外形に 300 kPa までと 400 kPa 用でダイアフラムの厚みを変えて 対応が可能であり,エンジンルーム内の厳しい環境条件に 目標感度付近の設定を行い,チップ上の感度調整用薄膜抵 適合できる構造になっている。 抗をレーザトリミングして最終感度調整を行っている。 特性仕様 3.2 使用温度 エンジンルーム内使用で温度環境が厳しい用途に適して 表2はディーゼルエンジン用圧力センサの代表機種の特 いる金属パッケージを使用しているため,−40∼+125 ℃ 性仕様である。EPX083 は小型ディーゼルエンジン車用, の使用温度範囲に対しても信頼性上まったく問題がなく, 量産中のガソリンエンジン車で十分実績がある。 図1 1 チップ集積形圧力センサのチップ表面写真 3.3 誤 差 圧力誤差に対する仕様はさまざまであるが,地球的規模 での環境問題から,一層の燃費向上と排出ガスの低減が求 められ,燃料噴射制御システムの高精度化に合わせて要求 される圧力誤差も高精度仕様のものが多くなってきている。 外装ケースタイプの圧力誤差は+1 − % FS 以下と高精度仕 様となっている。要求に対しては,すべての機能が 1 チッ プ上に集積化されているセンサを使用しているので,均一 な特性が得られることと,高精度のファンクショントリミ ングにより高精度仕様を達成している。 3.4 パッケージ 図2は金属パッケージタイプで,ガソリンエンジン車に 表2 ディーゼルエンジン用圧力センサの特性 分 類 項 目 圧力範囲(kPa) EPX083 EPX084 EPX068 EPX059 20∼250 50∼300 20∼250 50∼400 500 500 500 600 0.40∼4.65 0.78∼4.75 0.5∼4.5 0.5∼4.5 保存温度(℃) −40∼+130 −40∼+130 −40∼+125 −40∼+140 使用温度(℃) −40∼+125 −40∼+125 −40∼+125 −40∼+120 ±1.48%FS:50∼220 ±1.83%FS:20,250 ±1.89%FS:70∼270 ±2.39%FS:50,300 ±0.87%FS:100∼200 ±1.74%FS:20,250 ±1.00%FS:70∼360 ±1.80%FS:50,400 倍率1.00: 10∼85 倍率2.00:−30/125 倍率3.00: −40 倍率1.00:20∼110 倍率1.60: 125 倍率3.00: −40 倍率1.00: 10∼85 倍率2.00:−40/125 倍率1.00:20∼110 倍率1.60: 120 倍率3.00: −40 4.75∼5.25 4.5∼5.5 最大許容圧力(kPa) 出力電圧範囲(V) 圧力(kPa) 誤差 温度(℃) 電源電圧範囲(V) 4.5∼5.5 消費電流(mA max) 10 シンク電流(mA min) 1 ソース電流(mA min) 0.1 出力インピーダンス(Ω max) 10 応答性(ms max) パッケージ 5 図2 図3 463(39) 富士時報 ディーゼルエンジン用圧力センサ Vol.71 No.8 1998 図2 金属パッケージタイプの外観と断面図 アルミワイヤ 図3 外装ケースタイプ(EPX059)の外観と断面図 チップ 金属キャップ ガラス 台座 ケース(PBT) センサ 端子 Au-Sn はんだ ガラス エポキシ 樹脂 ステム 端子 端子 フレーム Oリング パイプ プルアップ 抵抗 Oリング キャップ (PBT) (a)外 観 (a)外 観 (b)断面図 (b)断面図 図4 EPX059 の熱衝撃試験による出力変動 る。チップは外部からの熱応力を緩和するためにガラス台 (温度条件:− 50 ∼+ 150 ℃) Fe-Ni 合金のステムに高温はんだにより固定される。高温 はんだには Au-Sn はんだを使用しているので,耐食性の 高いセンサとなっている。チップ上の空間は金属キャップ にて真空密封されて絶対圧検出仕様となる。金属パッケー ジの外形はφ 15. 2 × 19.6(mm)である。 図3は外装ケースタイプで,エンジンルーム内に搭載さ れる。ディーゼルエンジン特有の振動に耐えるための構造 として,センサ本体の金属パッケージ端子部とケースの端 子部とを接続するにあたり,端子フレームを介して溶接に 1.0 70kPa 0.5 0 −0.5 −1.0 250 0 500 1,000 500 1,000 (サイクル) 変動値(%FS) 座上 に 陽極接合 により 固定 される。さらにガラス 台座 は 変動値(%FS) 量産供給して実績があり使用環境が厳しい用途に適してい 1.0 360kPa 0.5 0 −0.5 −1.0 0 250 (サイクル) て接続する方法を採用している。プリント基板にはんだ付 けして接続する方法と比較して接続部の信頼性が高い。ま た,ダイアグノーシス( Diagnosis)のためのプルアップ 抵抗の接続にあたっては,はんだ接続部の熱疲労の小さい 燃焼に必要な空気量は圧力センサの出力電圧に関連して計 温度サイクル性の良い低融点のはんだを使用して信頼性を 算されるので,出力電圧異常が発生すると最適制御からは 確保している。 ずれることになり,排出ガスに影響がでる。 3.5 ダイアグノーシス 3.6 信頼性 診断装置 のことで, ECU のマイコンがエンジン 制御 シ 信頼性試験結果は良好で,一例として 図4 に熱衝撃試験 ステムのセンサ,アクチュエータ,ワイヤハーネスの状態 の結果を示す。ケース内部の溶接接続部および抵抗のはん を診断して正常動作なのか異常かを判断する。 だ付け部はいずれも良好で断線は見られない。 圧力センサの場合にもこの機能を内蔵した仕様の製品が 求 められている。 EPX059, EPX068 の 外装 ケースタイプ あとがき の製品は,要求のダイアグノーシス機能が内蔵されている。 要求仕様 は,グラウンド( GND) 系統 のオープンモード ガソリンエンジン車の系列にディーゼルエンジン車の系 (ワイヤハーネスを含む)時に出力電圧が決められた規格 列が加わったことで,圧力センサの圧力範囲が拡大し,新 値以上 の 電圧 になることで, ECU が 異常診断 の 判断 を 行 規用途への対応が可能になり一層の拡大が期待される。今 う。また,電源,出力電圧部のオープン時,ショート時な 後は燃料噴射用途だけでなく,タンク用微圧センサ,オイ どの 異常 に 対 しても 規格値 の 範囲外 となることで, ECU ル用高圧センサなど自動車関連の新規用途拡大を進めてい は診断を行うことができる。 く所存である。 ダイアグノーシスが必要な理由の一つに,法律規制が挙 げられる。アメリカのカリフォルニア州では大気汚染防止 参考文献 のために排出ガス関連装置の故障診断が法律で定められて (1) 日本自動車工業会:日本の自動車工業(1997年度版) いる。 (2 ) 加藤和之・酒井利明:ワンチップ集積形圧力センサ,富士 自動車のあらゆる運転状態において燃料を理想的な状態 で完全燃焼させることで排出ガスの影響を低減できるが, 464(40) 時報,Vol.68,No.7,p.421- 424(1995) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 技術論文社外公表一覧 標 題 所 属 氏 名 発 表 機 関 ガス遮断器の絶縁回復特性の検討 富士電機総合研究所 変電システム製作所 〃 富士電機総合研究所 〃 杉山 修一 佐藤 賢 堤 睦生 恩地 俊行 岩井 弘美 電気学会開閉保護・高電圧合同研究会(1998-6) 交流チョッパによる多機能電源を用いた直 列形電圧補償装置 富士電機総合研究所 〃 東京システム製作所 社会システム事業部 大熊 康浩 黒木 一男 山本 弘 定由 征次 回生スナバ回路を適用したフォワードコン バータの変圧器リセット動作について 富士電機総合研究所 〃 富士電機ハイテック 〃 鷁頭 政和 黒木 一男 渡辺 正雄 関 義正 ホットプレス法による水素製造技術の開発 (サブタスク 4) 富士電機総合研究所 山口 幹昌 エンジニアリング振興協会研究成果発表会’ 98 (1998-7) Space Charge Behaviour in the Insulation Layer of a Metal-Base Printed Wiring Board 富士電機総合研究所 岡本 健次 98(International Conference on ConIEEE ICSD’ duction and Breakdown in Solid Dielectrics) (1998 6) Development of 2,500 cm2 Solid Polymer Electrolyte Water Electrolyzer in WENET 富士電機総合研究所 〃 〃 〃 〃 山口 幹昌 篠原 泰三 7th World Hydrogen Energy Conference 谷口 春隆 (1998-6) 中野利孝博 沖沢加代子 Electronic Characterization of Single Grain Boundary in ZnO : Pr Varistors 富士電機総合研究所 〃 向江 和郎 田中 顕紀 Study on Voltage Oscillation Phenomenon in High Power P-i-N Diode 富士電機総合研究所 〃 〃 〃 〃 根本 道生 高橋 良和 藤井 岳志 岩室 憲幸 関 康和 松 場 〃 〃 〃 〃 澄田 仁志 平林 温夫 島袋 浩 高澤 靖昌 重田 善弘 Bi-directional switching devices without p-n junctions 富士電機総合研究所 〃 〃 〃 松 本 工 場 〃 上野 勝典 関 康和 坂井 一喜 小西 義則 了戒 洋一 藤沢 尚登 Control Methods of Current Balancing for Parallel Connected IGBTs 富士電機総合研究所 〃 〃 田畑 壮章 五十嵐征輝 黒木 一男 松 本 A High Performance Plasma Display Panel Driver IC Using SOI 本 工 場 吉田 和彦 工藤 基 藤平 龍彦 竹内 茂行 古畑 昌一 工 場 〃 藤平 龍彦 宮坂 靖 富士電機総合研究所 〃 〃 〃 〃 岩穴 忠義 岩室 憲幸 原田 祐一 小野沢勇一 関 康和 〃 〃 〃 〃 A Self-Isolated Intelligent IGBT for Driving Ignition Coils Simulated Superior Performance of Semiconductor Super Junction Devices Analysis of MCCT’ s Turn-on and Short Circuit Operation 468(44) 工 松 本 電子情報通信学会・電子通信エネルギー技術研究 会(1998-7) 9th International Conference Modern Materials & Technology(1998-6) International Symposium on Power Semiconductor Devices and IC ’ 98(ISPSD ’ 98) (1998-6) 富士時報 Vol.71 No.8 1998 最近登録になった富士出願 〔特 許〕 登録番号 名 称 発明者 登録番号 名 称 発明者 2755297 ショーケースの集中制御装置 栗田 正哉 2762724 外観検査装置 山村 辰男 2755810 物品識別用マーカ 山下 満男 勝山 昭史 2762726 電子写真プロセス 北川 清三 2757230 母線保護継電装置 2763014 沸騰冷却装置の気密容器 藤原 宏和 2757232 ロボットハンド 津田喜一郎 仲村 秀世 2765157 軸受の異常監視装置 吉井 清 2765204 永久電流スイッチのトレーニング 方法 能瀬 眞一 回路遮断器 内田 直司 三浦 正夫 大澤 誠 小山 淳 淺川 浩司 2765209 インクジェット記録ヘッド 自動販売機データ収集システムの 交信方法 田中 幸博 海野 覚 田尻 伸介 稲波 勝彦 瀧川 亜樹 深澤 直人 永山 利枝 松本 浩造 高浜 禎造 2765280 発電機モデルによる発電所内負荷 模擬装置 鈴木 智宏 2758128 半導体加速度センサおよびその製 造方法 上柳 勝道 西河 睦雄 2765333 圧力測定装置 中村 公弘 2758715 被検体断面画像の背景ノイズ除去 装置 清水 晃 福田 和彦 中峠 史朗 2765637 蒸気タービン設備 鳥越 正道 西島 捷二 上野 幸男 2758981 遠方監視制御システムの制御指令 確認方法およびその装置 木村 照道 2765704 スイッチングレギュレータの過負 荷保護回路 吉田 正仁 植木 浩一 電動機の群運転制御装置 保志東洋一 燃料電池発電装置 茂木 浩 柳谷 好男 八田 恭典 江口 達広 2765728 2760053 2765753 デジタル FSK 復調回路 新井 健司 佐藤 克法 黒田 昌美 天野 雅世 古庄 昇 2766042 プログラム転送装置 丸山 吉晴 上釜 和人 2766413 車両駆動装置の制御回路 吉川 春樹 岩堀 道雄 義則 直人 田村 浩明 2757341 2757906 2760130 電子写真用感光体 伊原木永二郎 千原 勲 2760147 りん酸型燃料電池排ガス系の洗浄 方法および洗浄装置 後藤平四郎 2760149 アウタロータ式モータ 中原 雄三 2767981 減速制御方法 伊藤 博之 小田 孝一 2760150 乾式薄膜加工装置 吉田 誠 2768011 自動販売機の商品リフタ制御装置 前川 智津 大森 明 2760365 固体識別装置における交信方法 吉田 和雄 2768361 画像フレームメモリのデータ入出 力方式 高谷 松彦 2760376 冷凍冷蔵ショーケース 平田 賢二 2768362 MOS 型半導体装置 田上 三郎 2760488 送電線用避雷装置 志賀 悟 小池 浩継 2769325 直流アーク炉の電極位置制御方法 岡崎 金造 2761788 プログラム転送装置 和田 宏行 2769326 直流アーク炉の電極昇降制御方式 岡崎 金造 2762651 電力変換装置の駆動回路 望月 昌人 吉田 雅和 2769327 直流アーク炉の電極昇降制御方式 岡崎 金造 2762665 プログラマブルコントローラのプ ログラミング装置 望月 伸昭 2769328 直流アーク炉の電力制御方法 加藤 清 2770539 電子写真用感光体 回路遮断器 小山 淳 内田 直司 大澤 誠 高橋 龍典 篠原 久次 神達 健之 淺川 浩司 服部 芳正 菅田 好信 黒田 昌美 古庄 昇 2770548 回路遮断器の遠隔操作装置 尾崎正志朗 2762704 2762709 自動販売機のスパイラル式商品収 納ラック 西 正博 469(45) 主要営業品目 電 機 電動機,可変速装置,誘導加熱装置,誘導炉,産業用電源装置,クリーンルームシステム,非常用電源装置,コンピュー タ用電源装置,舶用電気品,車両用電気品,変圧器,遮断器,ガス絶縁開閉装置,電力変換装置,原子力機器,火力機器, 水力機器,発電機,新エネルギー発電システム,発電設備用保護・監視・制御装置,発電設備用コンピュータ制御装置, 誘導電動機,ギヤードモータ,ブレーキモータ,ファン,ポンプ,ブロワ,電磁開閉器,操作・表示機器,制御リレー, タイマ,ガス関連機器,配線用遮断器,漏電遮断器,限流ヒューズ,高圧受配電機器,汎用モールド変圧器,電力制御機 器,プログラマブルコントローラ,プログラマブル操作表示器,多重伝送システム,汎用インバータ,サーボシステム, 加熱用インバータ,可変速電動機 制御・情報・電子デバイス コンピュータ制御装置,運転訓練・系統解析シミュレータ,電力量計,放射線モニタリングシステム,保護・監視・制御 装置,マイクロコントローラ,水処理装置,遠隔制御装置,オゾン処理システム,電気集じん機,FA システム,電話自動 選択着信装置,レーザ応用装置,ビデオセンサ応用装置,工業計測制御機器,分析機器,放射線計測機器,OCR,磁気記 録媒体,複写機・プリンタ用感光体,パワートランジスタ,サイリスタ,シリコン整流素子,集積回路,パワーハイブ リッド IC,サージアブソーバ,半導体センサ,スイッチング電源 業務用民生機器ほか 自動販売機,コインメカニズム,紙幣識別装置,貨幣処理システム,飲料ディスペンサ,自動給茶機,冷凍冷蔵ショー ケース,ホテルベンダシステム,カードシステム 富 士 時 報 第 71 巻 第 8 号 平 成 10 平 成 10 年 7 年 8 月 31 月 10 日 印 刷 日 発 行 定価 525 円(本体 500 円・送料別) 編集兼発行人 谷 恭 夫 発 行 所 富 士 電 機 株 式 会 社 内 「富士時報」編集部 〒100 -8410 東京都千代田区有楽町一丁目 12 番 1号 (新有楽町ビル) 電話 東京(03)3211 − 7111 (大代表) 〔編集室 :電話 東京(03)3211−1168〕 印 刷 所 富士電機情報サービス株式会社 〒151 -8520 東京都渋谷区代々木四丁目 30 番 3 号 (新宿コヤマビル) 電話 東京(03)5388 − 8241 発 売 元 株式会社 オ ー ム 社 〒101 -8460 東京都千代田区神田錦町三丁目 1 番地 電話 東京(03)3233− 0641(代表) 振替口座 東京 6− 20018 © 1998 Fuji Electric Co., Ltd., Printed in Japan (禁無断転載) 470(46) 富士時報論文抄録 富士電機の IC の現状と展望 カレントモード電源用 CMOSIC 目黒 謙 丸山 宏志 富士時報 Vol.71 No.8 p.427-429(1998) 富士時報 Vol.71 No.8 p.430-433(1998) 富士電機の IC は,特定用途向け分野に特化し,特徴ある技術を 近年 , 環境問題 の 改善策 として 省 エネルギー 化 が 重視 され, 電 基に製品開発を行っている。具体的には高耐圧技術(C/DMOS 技 気・電子機器に広く使用されるスイッチング電源の高効率化・低消 術)やセンサ内蔵技術により,電源用 IC,フラットパネルディス 費電力化がクローズアップされている。このため,待機時消費電力 , プレイドライバ IC(プラズマディスプレイ,液晶ディスプレイ) カメラ用オートフォーカス IC,自動車用圧力センサ,カスタムハ イブリッド IC などがあげられる。本稿では,デバイス・プロセス 技術と主な製品の特徴について述べる。 3 チャネル DC---DC コンバータ用 IC 山田谷 政幸 富士時報 の低減を目的として,スタンバイモードを持つなどの工夫をした電 源回路も増えてきている。富士電機では,制御 IC の消費電流低減 のため,高耐圧 CMOS プロセス技術を,スイッチング電源用 IC に 適用 し, CMOS タイプの 8 ピンのカレントモード 電源用制御 IC 「FA1384x シリーズ」を開発したので,その概要を紹介する。 6 チャネル DC---DC コンバータ用 IC 遠藤 和弥 Vol.71 No.8 p.434-437(1998) 携帯形電子機器の電源として用いられる DC-DC コンバータは小 富士時報 Vol.71 No.8 p.438-441(1998) イ用電源を主用途とした,小形・薄形 16 ピン TSSOP パッケージ, スイッチング用 MOSFET 内蔵の 3 チャネル DC-DC コンバータ用 IC「FA3629V」を開発したので,その概要を紹介する。 ビデオカメラなどの携帯形電子機器には小形・軽量化と,バッテ リーによる長時間動作が求められている。これに伴い,これらの機 器に内蔵されるスイッチング電源装置にも,小形・軽量・低消費電 力化が要求されている。富士電機では,これら市場要求に対応して, 多出力電源装置の構成に適した,6 チャネルスイッチング電源用制 御 IC「 FA3621F」を 開発 した。 本稿 では 開発 した 制御 IC の 定格 , 特長,応用例を紹介する。 小形オートフォーカスモジュールの高性能化 MOS アナログセンサを適用したオートフォーカスモジュール 森 賢一 田中 誠 形化,軽量化,高効率化が必要不可欠になってきている。また,低 動作電圧化も著しく,DC-DC コンバータを制御する低電圧対応の IC が必要とされてきている。そこで富士電機では液晶ディスプレ 富士時報 Vol.71 No.8 p.442-444(1998) 富士時報 小松 幸哲 榎本 良成 Vol.71 No.8 p.445-447(1998) カメラの自動焦点に用いられるオートフォーカス(AF)モジュー ルに適用した逆光対策技術,測距時間短縮技術について紹介する。 逆光対策技術は,AFIC 内部で逆光部分の高輝度データを除外する ことにより,被写体像データを得られるようにしたものである。ま た,測距時間短縮技術は,コントラストの高い領域のセンサ応答を 除外して,ダイナミックレンジの幅を小さくすることにより,AF モジュールの測距時間を自動的に短縮するものである。 カメラの自動焦点に用いられるオートフォーカス(AF)モジュー ルに適用した MOS アナログセンサ技術,モジュールの小形化技術 について 紹介 する。 従来 のディジタルデータ 出力 タイプの AF モ ジュールに対して,アナログタイプの AF モジュールはセンサピッ チの縮小が可能となり,モジュールの体積が約 1/2 ながらほぼ同等 の測距精度を実現できた。 誘電体分離プロセスを用いたカラー PDP ドライバ IC 小形 LCD コントローラ 澄田 仁志 加茂 宏明 富士時報 平林 温夫 島袋 浩 Vol.71 No.8 p.448-451(1998) 張合せ基板とトレンチ技術を用いた誘電体分離プロセス(DI プ ロセス)による高耐圧化技術を紹介するとともに,カラープラズマ ディスプレイパネル(カラー PDP)ドライバ IC における DI プロ セス適用の利点と,DI プロセスを用いて開発したカラー PDP スキャ ンドライバ IC の概要について説明する。本 IC は DI プロセスによ る高密度集積を達成するとともに,高耐圧横形 IGBT を搭載してい る。これにより,pn 接合分離プロセスを用いた従来の IC と比較し て高性能化だけでなく,低コスト化をも達成している。 富士時報 Vol.71 No.8 p.452-455(1998) 情報・通信関連機器の表示部に使用されている液晶ディスプレイ は情報伝達の手段,マンマシンインタフェースとして広く利用され ている。本稿ではキャラクタ表示タイプの小形液晶パネル表示用コ ントローラドライバ IC を取り上げた。表示容量の多様化に対応し た製品の系列について,その特徴,主要特性,応用例を挙げ概要を 紹介する。 Abstracts (Fuji Electric Journal) CMOSIC for Current-Mode PWM Power Supply Present Status and Prospects for Fuji Electric’s IC Technology Hiroshi Maruyama Ken Meguro Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.430-433 (1998) Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.427-429 (1998) Recently, importance has been attached to energy saving as a means to solve environmental problems, and improvement in the efficiency and power consumption of switching power supply widely used for electric and electronic equipment has come to the fore. To reduce consumption for waiting, power supply circuits with a standby mode also have come into use. To reduce control-IC (integrated circuit) current consumption, Fuji Electric has applied high-voltage CMOS (complementary metaloxide-semiconductor) process technology to ICs for switching power supply and has developed the 8-pin CMOSIC “FA1384x series” for current mode PWM (pulse-width modulation) power supply. Fuji Electric’s IC (integrated circuit) technology specializes in application specific standard products and the products based on its distinguished technology has been rated high. To be concrete, they are power supply controller ICs, flat panel driver ICs (in plasma and liquid crystal displays), autofocus ICs for cameras, pressure sensors for automobiles, and custom hybrid ICs, based on the high-voltage technology (C/DMOS, complementary/double diffused metal-oxide-semiconductors) and sensor technology. This paper describes the device and process technologies and the features of main products. Control IC for 6-Channel Switching DC--DC Converters Control IC for 3-Channel Switching DC--DC Converters Kazuya Endo Masayuki Yamadaya Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.438-441 (1998) Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.434-437 (1998) Portable electronic appliances, including video cameras, require small size, light weight and long operation. The switching power supply built in these appliances accordingly require small size, light weight and low power consumption. To meet these market needs, Fuji Electric has developed the control IC (integrated circuit) “FA3621F” for a 6-channel switching power supply suitable to structure a multiple-output power supply system. This paper describes the rating, features, and application examples of this control IC. It has been indispensable for DC-DC converters used as power supply for portable electronic appliances to reduce in size and weight and raise efficiency. Low operating voltage has come into wide use, and lowvoltage control ICs (integrated circuits) for the DC-DC converters have been in demand. Fuji Electric has developed the control IC “FA3629V” for 3-channel switching DC-DC converters mainly used for liquid crystal display power supply, which is packed in a small, thin, 16-pin TSSOP package with a built-in switching MOSFET (metaloxide-semiconductor field-effect transistor). Autofocus Modules with MOS analog sensors Advanced Miniature Autofocus Modules Makoto Tanaka Ken’ichi Mori Sachiaki Komatsu Yoshinari Enomoto Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.445-447 (1998) Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.442-444 (1998) This paper describes MOS (metal-oxide-semiconductor) analog sensor and module downsizing technologies applied to autofocus (AF) modules used in AF cameras. When compared with conventional digital data output type AF modules, analog type AF modules can reduce sensor-pitch and have realized nearly equal range finding accuracy with half the module volume. This paper describes technologies developed for backlit shooting and for reduction in range finding time applied to autofocus (AF) modules for autofocus cameras. The former is to obtain distinct subject image data by removing the high luminance data of the backlit part inside the AFIC (AF integrated circuit). The latter is to automatically shorten range finding time of the AF module by removing a sensor range in the high-contrast area and reducing the dynamic range width. Character Display LCD Controller Driver ICs Advanced Color PDP Driver IC Using Dielectric Isolation Technology Hiroaki Kamo Hitoshi Sumida Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.452-455 (1998) Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.448-451 (1998) The LCD (liquid crystal display) for the display panel of information and communications equipment is widely used as means of information transmission and man-machine interfaces. This paper takes up the controller driver IC (integrated circuit) for small, character display LCDs. The features, main characteristics, and application examples of the IC series to meet diversified displays are outlined. This paper describes dielectric isolation (DI) technology using the lamination and trenching process, the advantages of a PDP (plasma display panel) driver IC (integrated circuit) using DI, and an outline of a fabricated color PDP scan driver IC utilizing DI and a lateral IGBT (insulated-gate bipolar transistor). The IC has accomplished high packing density with the DI process and high drivability with the lateral IGBT. These have resulted in a large reduction in chip size, high performance, and low cost compared to ICs using pn junction isolation. In addition, techniques to improve the blocking capability of high-voltage devices on a DI wafer is described. Atsuo Hirabayashi Hiroshi Shimabukuro 高耐圧 CMOS プロセス技術 システム IC 設計技術 熊田 恵志郎 吉田 豊 富士時報 横山 聡 Vol.71 No.8 p.456-458(1998) 富士時報 中原 健 Vol.71 No.8 p.459-461(1998) 液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ駆動用,電源制御用な どの IC に必要とされる高電圧,高出力,アナログ制御といった特 性と小形化,低消費電力化といった要求を満足し得るプロセスとし て,高耐圧デバイス,バイポーラデバイス,ロジックデバイスを1 チップに集積可能とする CMOS プロセスの開発を行った。本稿で は,この CMOS プロセスの概要と要素デバイスについて紹介する。 半導体技術の発達により,複数の機能マクロから構成されるシス テムを 1 チップに搭載するシステム IC が実現可能となり注目され ている。一方,複雑・大規模化したシステム IC の開発期間短縮へ の要求は強まり,設計の自動化や実績のあるコア回路の再利用など, より一層の合理化が必要である。本稿では富士電機における設計の 自動化への取組みについて説明し,実際の適用例として USB ハブ コントローラの開発を紹介する。 ディーゼルエンジン用圧力センサ IC の品質保証 村上 忠義 片岡 孝三 富士時報 Vol.71 No.8 p.462-464(1998) 富士時報 Vol.71 No.8 p.465-467(1998) RV( Recreational Vehicle) , MPV( Multipurpose Vehicle)の IC の品質保証に関して,基本的な考え方を新製品開発,生産準 拡大でディーゼルエンジン車市場が好調ななか,地球環境の面から 備,生産,納品までの 4 段階に分けて説明する。そのなかで,解析 燃費の向上による CO2 の削減,NOx および粒子状物質の排出削減 データを源流へフィードバックすることにより,製品の品質・信頼 性の維持向上を図っている。重要なデータとなる IC の故障解析デー タについて解析方法と解析例,故障モードと原因を一覧表にして紹 介する。 が課題で,燃料噴射システムの最適制御がますます重要になってき ている。燃料との混合ガスを作る空気量を精密に測定するために半 導体式圧力センサが使用されるが,今回,ガソリンエンジン車用に 続いてディーゼルエンジン車用を製品化したのでその概要を紹介す る。 Design Technology for System ICs High-Voltage CMOS Process Technology Yutaka Yoshida Keishirou Kumada Ken Nakahara Satoshi Yokoyama Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.459-461 (1998) Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.456-458 (1998) The system IC (integrated circuit) that implements a system composed of multiple functional macro-blocks on a chip has been realized by the progress in semiconductor technology and is attracting attention. Meanwhile strong demands for short turnaround time for developing complicated, large-scale system ICs require more rationalization with automated design methodology and reuse of proven cores. This paper describes Fuji Electric’s efforts for design automation and application in developing the USB (universal serial bus) hub controller IC. ICs (integrated circuits) for liquid crystal display and plasma display drive and power supply control require high-voltage, high-power, analog control characteristics as well as small size and low power consumption. To satisfy these characteristics and requirements, Fuji Electric has developed a CMOS (complementary metal-oxide-semiconductor) process which can on a chip integrate high-voltage, bipolar, and logic devices. This paper describes an outline of this CMOS process and the component devices. IC Quality Assurance On-A-Chip Integrated Pressure Sensors for Diesel Engines Kozo Kataoka Tadayoshi Murakami Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.465-467 (1998) Fuji Electric Journal Vol.71 No.8 p.462-464 (1998) This paper describes basic thought about IC (integrated circuit) quality assurance at the four stages of new product development, preparation for production, production, and delivery. At each stage, analysis data is fed back to the source to maintain or improve the product quality and reliability. Lists of analysis methods and analysis examples, and failure modes and causes derived from the valuable IC failure analysis data are quoted. The increase in recreational and multipurpose vehicle sales has brought a bright market of diesel engine vehicles. Meanwhile this poses a problem that exhaust CO2, NOx and particles must be reduced by improving fuel consumption from the viewpoint of the global environment, and the optimum control of fuel injection systems becomes more and more important. A semiconductor pressure sensor is used to precisely measure air volume for the air-fuel mixture. This paper describes an outline of the pressure sensor that Fuji Electric has developed for diesel engines following the one for gasoline engines. 71-08-表2/3 08.3.3 1:55 PM ページ1 富士電機の電源用パワー IC 本 社 〃 マルチな要求に,マルチでおこたえする 電源用パワー I Cです。 1(011)261-7231 1(022)225-5351 1(0764)41-1231 1(052)204-0290 1(06) 455-3800 1(082)247-4231 1(087)851-9101 1(092)731-7111 〒060-0042 〒980-0811 〒930-0004 〒460-0003 〒553-0002 〒730-0021 〒760-0017 〒810-0001 札幌市中央区大通西四丁目1番地(道銀ビル) 仙台市青葉区一番町一丁目2番25号(仙台NSビル) 富山市桜橋通3番1号(富山電気ビル) 名古屋市中区錦一丁目19番24号(名古屋第一ビル) 大阪市福島区鷺洲一丁目11番19号(富士電機大阪ビル) 広島市中区胡町4番21号(朝日生命広島胡町ビル) 高松市番町一丁目6番8号(高松興銀ビル) 福岡市中央区天神二丁目12番1号(天神ビル) 北 関 東 支 店 首 都 圏 北 部 支 店 首 都 圏 東 部 支 店 神 奈 川 支 店 新 潟 支 店 長 野 シ ス テ ム 支 店 長 野 支 店 岡 山 支 店 松 山 支 店 1(0485)26-2200 1(048)657-1231 1(043)223-0701 1(045)325-5611 1(025)284-5314 1(026)228-6731 1(0263)36-6740 1(086)227-7500 1(089)933-9100 〒360-0037 〒330-0802 〒260-0015 〒220-0004 〒950-0965 〒380-0836 〒390-0811 〒700-0826 〒790-0878 熊谷市筑波一丁目195番地(能見ビル) 大宮市宮町一丁目38番1号(野村不動産大宮共同ビル) 千葉市中央区富士見二丁目15番11号(日本生命千葉富士見ビル) 横浜市西区北幸二丁目8番4号(横浜西口KNビル) 新潟市新光町16番地4(荏原新潟ビル) 長野市南県町1002番地(陽光エースビル) 松本市中央四丁目5番35号(長野鋳物会館) 岡山市磨屋町3番10号(住友生命岡山ニューシティビル) 松山市勝山町一丁目19番地3(青木第一ビル) 北 釧 道 青 盛 秋 山 福 金 福 山 松 岐 静 浜 豊 和 山 山 徳 高 小 長 熊 南 沖 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 所 1(0157)22-5225 1(0154)22-4295 1(0155)24-2416 1(0177)77-7802 1(019)654-1741 1(0188)24-3401 1(0236)41-2371 1(0249)32-0879 1(076)221-9228 1(0776)21-0605 1(0552)22-4421 1(0263)33-9141 1(058)251-7110 1(054)251-9532 1(053)458-0380 1(0565)29-5771 1(0734)72-6445 1(0852)21-9666 1(0836)21-3177 1(0886)55-3533 1(0888)24-8122 1(093)521-8084 1(095)827-4657 1(096)387-7351 1(099)224-8522 1(098)862-8625 〒090-0831 〒085-0032 〒080-0803 〒030-0861 〒020-0034 〒010-0962 〒990-0057 〒963-8004 〒920-0031 〒910-0005 〒400-0858 〒390-0811 〒500-8868 〒420-0011 〒430-0935 〒471-0835 〒640-8341 〒690-0007 〒755-0043 〒770-0832 〒780-0870 〒802-0014 〒850-0037 〒862-0954 〒892-0846 〒900-0005 北見市西富町163番地の30 釧路市新栄町8番13号 帯広市東三条南十丁目15番地 青森市長島二丁目25番3号(ニッセイ青森センタービル) 盛岡市盛岡駅前通16番21号(住友生命盛岡駅前ビル) 秋田市八橋大畑一丁目5番16号 山形市宮町一丁目10番12号 郡山市中町1番22号(郡山大同生命ビル) 金沢市広岡一丁目1番18号(伊藤忠金沢ビル) 福井市大手二丁目7番15号(安田生命福井ビル) 甲府市相生一丁目1番21号(清田ビル) 松本市中央四丁目5番35号(長野鋳物会館) 岐阜市光明町三丁目1番地(太陽ビル) 静岡市安西二丁目21番地(静岡木材会館) 浜松市伝馬町312番地32(住友生命浜松伝馬町ビル) 豊田市曙町三丁目25番地1 和歌山市黒田94番地24(鍋島ビル) 松江市御手船場町549-1(安田火災松江ビル) 宇部市相生町8番1号(宇部興産ビル) 徳島市寺島本町東二丁目5番地1(元木ビル) 高知市本町四丁目1番16号(高知電気ビル別館) 北九州市小倉北区砂津二丁目1番40号(富士電機小倉ビル) 長崎市金屋町7番12号 熊本市神水一丁目24番1号(城見ビル) 鹿児島市加治屋町12番7号(日本生命鹿児島加治屋町ビル) 那覇市天久1131番地11(ダイオキビル) エ ネ ル ギ ー 製 作 所 変電システム製作所 東京システム製作所 神 戸 工 場 鈴 鹿 工 場 松 本 工 場 山 梨 工 場 吹 上 工 場 大 田 原 工 場 三 重 工 場 1(044)333-7111 1(0436)42-8111 1(042)583-6111 1(078)991-2111 1(0593)83-8100 1(0263)25-7111 1(0552)85-6111 1(0485)48-1111 1(0287)22-7111 1(0593)30-1511 〒210-0856 〒290-8511 〒191-8502 〒651-2271 〒513-8633 〒390-0821 〒400-0222 〒369-0122 〒324-8510 〒510-8631 川崎市川崎区田辺新田1番1号 市原市八幡海岸通7番地 日野市富士町1番地 神戸市西区高塚台四丁目1番地の1 鈴鹿市南玉垣町5520番地 松本市筑摩四丁目18番1号 山梨県中巨摩郡白根町飯野221番地の1 埼玉県北足立郡吹上町南一丁目5番45号 大田原市中田原1043番地 四日市市富士町1番27号 海 道 支 北 支 陸 支 部 支 西 支 国 支 国 支 州 支 見 営 路 営 東 営 森 営 岡 営 田 営 形 営 島 営 沢 営 井 営 梨 営 本 営 阜 営 岡 営 松 営 田 営 歌 山 営 陰 営 口 営 島 営 知 営 倉 営 崎 営 本 営 九 州 営 縄 営 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 業 PGND1 OUT6 PGND2 GND 28 48 37 OUT6S 45 OUT5 OUT5S 44 47 46 OUT4 40 OUT3 OUT2S 41 OUT2 43 42 OUT1S VCC1 VCC2 OUT1 38 39 Pch ドラ イバ Nch ドラ イバ 三角波 発振器 制御 電源 UVLO fosc UVLO オ ン オ フ 制 御 30 31 33 32 34 27 タイマ ラッチ CP IN6− 19 20 −+ FB6 16 17 IN5− IN5+ 18 −+ FB5 24 IN4− IN4+ 25 26 −+ FB4 21 22 IN3− IN3+ 23 −+ FB3 12 −+ IN2− 14 13 FB2 FB1 15 誤差 増幅器 −+ IN1− VREF 9 バッ ファ 5 6 4 8 7 29 −+ 基準 電源 2 3 ソ フ ト ス タ ー ト TLSEL −+ 10 PWM比較器 −+ CRFF 内 部 制 御 電 源 −+ VREG −+ お問合せ先:電子事業本部 IC事業部 電話(03)5388-7621 Pch ドラ イバ −+ TSSOP-16,SSOP-28,LQFP-48 Pch ドラ イバ 11 ● 低消費電力・小形・高効率 ● 小形パッケージ Pch ドラ イバ ドライバ用 制御電源 特 長:● 低オン抵抗DMOS出力トランジスタを内蔵可能なC/DMOS 過電流,過熱などに対する保護機能が充実 Pch ドラ イバ 各ドライバへ ビデオカメラ・ディジタルカメラ用マルチ出力電源など 低入力電圧に対応可能(2.5 Vまで) 36 1 35 6チャネルFA3621F,6チャネルFA3675F 用 途:TFTパネル用マルチ出力電源, プロセスによりパワー段と制御部を1チップ化 VDRV ブロックダイヤグラム FA3675Fの例 製品例:2チャネルFA3630V,3チャネルFA3629V, RT CT CS5 CS4 CS3 CS2 CS1 1(03)3211-7111 〒100-8410 東京都千代田区有楽町一丁目12番1号(新有楽町ビル) 1(03)3375-7111 〒151-8520 東京都渋谷区代々木四丁目30番3号(新宿コヤマビル) 社 社 社 社 社 社 社 社 北 東 北 中 関 中 四 九 低消費電力のパワーマネジメントを1チップで実現 事 務 所 新 宿 別 館 CNT5 CNT4 CNT3 CNT2 CNT1 (株) 富士電機総合研究所 (株) エフ・エフ・シー 1(0468)56-1191 〒240-0194 横須賀市長坂二丁目2番1号 1(03)5351-0200 〒151-0053 東京都渋谷区代々木四丁目30番3号(新宿コヤマビル) 71-08表1/4 08.3.3 1:48 PM ページ1 昭和 40 年 6 月 3 日 第三種郵便物認可 平成 10 年 8 月 10 日発行(毎月 1 回 10 日発行)富士時報 第 71 巻 第 8 号(通巻第 761 号) 昭和 40 年 6 月 3 日 第三種郵便物認可 平成 10 年 8 月 10 日発行(毎月 1 回 10 日発行)富士時報 第 71 巻 第 8 号(通巻第 761 号) 富 士 時 報 I C 特 集 IC特集 聞こえてきますか、技術の鼓動。 本誌はエコマーク認定の再生紙を使用しています。 定価525円(本体500円) ISSN 0367-3332