第11章 モジュール

モジュール
1 ミニ分光器
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
当社の技術
構造
特性
動作モード
評価用ソフトウェア
新たな取り組み
応用例
2 MPPCモジュール
2-1
2-2
2-3
2-4
2-5
特長
使い方
特性
新たな取り組み
応用例
3 APDモジュール
特長
特性
使い方
新たな取り組み
応用例
7 フォトセンサアンプ、
フォトダイオードモジュール
7-1
7-2
7-3
フォトセンサアンプ
フォトダイオードモジュール
応用例
8 オプティクスモジュール
8-1
8-2
8-3
特長
構造
新たな取り組み
9 バランス検出器
9-1
9-2
9-3
9-4
9-5
特長
当社の技術
使い方
新たな取り組み
応用例
10 PSD信号処理回路、
PSDモジュール
PSD信号処理回路
PSDモジュール
応用例
11
モジュール
10-1
10-2
10-3
章
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
第 11
章
4 放射線検出モジュール
4-1
4-2
4-3
4-4
4-5
特長
構造、特性
使い方
新たな取り組み
応用例
5 距離センサ
5-1
5-2
5-3
5-4
特長
構造
特性
応用例
6 CO2センサ
6-1
6-2
6-3
特長
構成
応用例
11 カラーセンサモジュール/評価回路
11-1
11-2
カラーセンサモジュール
カラーセンサ評価回路
12 イメージセンサ応用製品
12-1
12-2
12-3
12-4
特長
構成
使い方
新たな取り組み
13 特定機器モジュール
13-1
13-2
13-3
フレームアイ
日射センサ
Siフォトダイオードアレイ用駆動回路
259
モジュール
当社は、豊富なラインアップの光半導体素子の性能を最大限に引き出すさまざまなモジュールを用意しています。
カスタム品
にも対応しておりますので、
お気軽にご用命ください。
モジュールを実現するための技術
章
11
モジュール
KACCC0730JA
260
浜松ホトニクスのモジュール
製品
特長
当社製イメージセンサ・光学素子・駆動回路をコンパクトにまとめた小型分光器です。
MPPCモジュール
フォトンカウンティング領域から nW領域までの広い光量範囲(10桁)において計測が可能なラインアッ
プを用意しています。MPPCの動作に必要なアンプ・高圧電源回路などを搭載しており、電源 (±5 V
など)を供給するのみで使用可能です。
APDモジュール
APDを用いた高速・高感度の光検出器です。APD・低ノイズ増幅器・バイアス電源をコンパクトな外
形にまとめており、低電圧直流電源を接続するだけで、PINフォトダイオードに比べて、数十倍も高S/N
の光検出が可能になります。
放射線検出モジュール
シンチレータとMPPCを内蔵したγ線検出用のモジュールです。
距離センサ
対象物に貼った反射シートまでの距離を計測するモジュールです。660 nmの半導体レーザをパルス発
光させ、
レーザ光が反射シートに当たって戻ってくるまでの飛翔時間を計測することによって距離を計測
します。
CO2センサ
非分散型赤外線 (NDIR)検出方式のCO2センサです。
フォトセンサアンプ
光電流を低ノイズで増幅する電流−電圧変換アンプです。
フォトダイオードモジュール
SiフォトダイオードまたはInGaAsフォトダイオードと電流−電圧変換アンプを一体化した高精度な光検
出器です。専用のコントローラも用意しています (別売)。
オプティクスモジュール
受光素子、光学部品(レンズ、
フィルタなど)、回路(アナログ、
デジタル)などを一体化したカスタム品の
光半導体モジュールです。
バランス検出器
2つのフォトダイオードを内蔵した差動増幅型の光−電気変換モジュールです。2つのフォトダイオード
の入射光量の差を変位信号としてとらえ、電気信号に変換して出力します。
PSD信号処理回路
PSD (位置検出素子)の評価用の基板回路です。
PSDモジュール
PSD (または4分割フォトダイオード)とI/V変換回路を一体化した高精度な位置検出器です。専用のコント
ローラも用意しています (別売)。
カラーセンサモジュール/
評価回路
カラーセンサを内蔵したモジュール、
カラーセンサを実装できる評価回路です。
プリアンプ付赤外検出モジュール
赤外線検出素子とプリアンプを一体化したモジュールで、
さまざまな波長域に対応した製品を取りそろ
えています。
マルチチャンネル検出器ヘッド
当社の主要なイメージセンサに対応した駆動回路を放熱性に配慮した筐体に内蔵した製品です。
イメージセンサ用駆動回路
当社のイメージセンサを簡単に評価・試用できるように、主要なイメージセンサ用の駆動回路を用意し
ています。
特定機器モジュール
炎検知用のフレームアイ、車載のオートエアコン用などに使用する日射センサ、Siフォトダイオードアレ
イ用駆動回路があります。
11
モジュール
MPPCモジュール
章
ミニ分光器
フォトセンサアンプ、
フォトダイオードモジュール
261
1.
ミニ分光器
[図1-2] グレーティングのSEM写真
ミニ分光器は、
グレーティングなどの光学系・イメージセ
ンサ・駆動回路をコンパクトにまとめたポリクロメータです。
測定光を光ファイバ経由で入光し、
センサの出力をUSB接
続でPCに取り込むことにより、
分光スペクトルを収集するこ
とができます。
また、お客様の要望に応じてU S B以外の通信接続
(イーサネット、
シリアルインターフェースなど)についてもカ
スタム対応が可能です。
[図1-1] ミニ分光器をPCとUSB接続
イメージセンサ技術
ミニ分光器の心臓部となる検出器には、分析・計測業
界で長年実績のある当社製イメージセンサ (裏面入射型
CCDイメージセンサ、
CMOSリニアイメージセンサ、
InGaAsリ
ニアイメージセンサ)を使用しています。
今後、
ミニ分光器の用途に適した新規のイメージセンサ
が開発され次第、
搭載を進めていく予定です。
[図1-3] ミニ分光器に内蔵されているイメージセンサの例
高性能の分光分析器は、化学分析など幅広い分野で
利用されていますが、一般にそれらは大型で高価であり、
その上、分光分析器の設置された室内に測定対象を持ち
込む必要がありました。
当社は、長年にわたって培った独自のイメージセンサ技
章
11
術と、
回折格子のナノインプリントなどのMEMS技術を融合
し、
小型で低価格のミニ分光器を製品化しています。
モジュール
ミニ分光器は、化学分析、色測定、環境計測、生産ライ
ンにおけるプロセスコントロールなどの幅広い測定に応用
できます。
また、
モバイル測定機器への組み込みを想定し
たモデルも用意しています。
1-2
構造
波長分散型分光器は、
その使用目的によってモノクロ
メータ (単色計)とポリクロメータ (多色計)に大別されま
す。
モノクロメータは、
入射光を波長分散素子であるグレー
1-1
当社の技術
ティングにより単一のスペクトルに分別します。
ポリクロメー
タは、
モノクロメータの原理を応用して同時に複数のスペク
MEMS技術
トルの検出を可能にしたもので、
ミニ分光器はポリクロメー
タに当たります。
モノクロメータは、通常はフォーカスレンズ
ミニ分光器 (TM/TGシリーズ)には、波長分散素子とし
の焦点面に出射スリットが配置されますが、
ポリクロメータ
てナノインプリントによる透過型グレーティングを採用して
の場合は、
フォーカスミラー/レンズの焦点面にアレイ型
います。
ナノインプリントは量産性に優れた技術で、
レプリ
の検出器 (イメージセンサ)が配置されます。
ミニ分光器
カでなく直接母体に加工できるため高精度な分光が可能
は、
コンパクトなサイズにするために、
コリメートレンズおよ
となります。分光技術において核となるグレーティングを当
びフォーカスミラー/レンズの焦点距離はモノクロメータに
社は独自で開発しており、
さまざまな仕様 (高分解能、広
比べて短焦点のものを採用しています。
波長範囲、
紫外域高回折用など)のグレーティングをミニ分
ミニ分光器の構成要素の機能について以下に説明します。
光器に搭載することが可能です。
262
1. ミニ分光器
(b) TGシリーズ
入射スリット
入射スリットは、
測定光を導入するための開口部で、
ミニ
分光器に取り込む測定光の空間的広がりを制限する機
能をもち、入射スリット像がイメージセンサ上に結像されま
す。入射スリットが狭いほど、波長分解能が向上しますが
スループットは低下します。
なお、
ミニ分光器の入射スリット
KACCC0256JA
には光ファイバが接続されます。
(c) RCシリーズ
コリメートミラー/レンズ
入射スリットを透過した光は、
一定の広がり角をもってい
ます。
コリメートミラー/レンズは、
このスリット透過光を平
行にしてグレーティングに導きます。
なお、
アパーチャ (開
口マスク)を併用することにより、装置内に取り込む光束の
KACCC0348JB
NA (開口数)を制限しています。
(d) MSシリーズ
グレーティング
コリメートミラー/レンズを介して入射した光を、波長ご
とに異なる回折角度に分けて出射します。
なおミニ分光器
のグレーティングには、
透過型と反射型があります。
フォーカスミラー/レンズ
KACCC00501JA
フォーカスミラー/レンズは、
グレーティングを介した光
[図1-5] MSシリーズ C10988MA-01
をイメージセンサ上において波長の順に結像させます。
章
11
モジュール
イメージセンサ
イメージセンサは、
フォーカスミラー/レンズにより集光
され波長ごとに分かれた光を電気的信号に変換して出力
します。
なお、冷却型のミニ分光器には、
イメージセンサの
ノイズを抑えるため、電子冷却素子を内蔵したイメージセ
ンサが搭載されています。
[図1-4] 光学系配置図
ミニ分光器 MSシリーズは、
イメージセンサ技術とMEMS
(a) TMシリーズ
技術を融合し、
親指大の超小型サイズ (27.6 × 16.8 × 13
mm)を実現したモバイル測定機器組み込み用の分光器
ヘッドです。
入射スリットと一体のCMOSリニアイメージセン
サを使用し、光学系として凸面レンズにナノインプリントで
反射型グレーティングを形成することで従来のRCシリーズ
に比べて1/3以下の体積を実現しています。
KACCC0287JA
263
[表1-1] 浜松ホトニクスのミニ分光器
型名
感度波長範囲
(nm)
タイプ
200
C10082CA
TM-UV/VIS-CCD
高分解能
TMシリーズ
C10083CA
C10083CAH
TG-UV-CCD
3
200 ∼ 400
1 typ.
高分解能
TG-SWNIR-CCD-Ⅱ
高感度
TG-RAMAN-Ⅰ
5
(550∼900 nm)
500 ∼ 1100
500 ∼ 600
0.3 typ.
790 ∼ 920
0.3 typ.
7
非冷却型
900 ∼ 1700
TG-cooled NIR-Ⅰ
7
低ノイズ (冷却型)
TG-cooled NIR-Ⅱ
1100 ∼ 2200
低ノイズ (冷却型)
TG-cooled NIR-Ⅲ
900 ∼ 2550
低ノイズ (冷却型)
RC-VIS-MOS
分光器モジュール
RC-SWNIR-MOS
分光器モジュール
RC-VIS-MOS
分光器ヘッド
RC-SWNIR-MOS
分光器ヘッド
MS-VIS-MOS
分光器ヘッド
MS-SWNIR-MOS
分光器ヘッド
[図1-6] ミニ分光器の例
264
8
TG2-NIR
MSシリーズ
C11708MA
8
高分解能
C11010MA
C10988MA-01
1 typ.
(320∼900 nm)
320 ∼ 1000
TG-RAMAN-Ⅱ
RCシリーズ
モジュール
C11009MA
TM-VIS/NIR-CCD
高分解能
TGシリーズ
C11008MA
8
(320∼900 nm)
高感度
高感度
TGシリーズ
章
11
TM-VIS/NIR-CCD
TG-UV-CCD
C11118GA
C11007MA
6
広ダイナミックレンジ
トリガ対応
C11714CA
C9914GB
1 typ.
TM-VIS/NIR-MOS-Ⅱ
C11713CA
C9913GC
200 ∼ 800
広ダイナミックレンジ
C9404CA
C11482GA
6
TM-UV/VIS-MOS
TM-VIS/NIR-MOS
C11697MA
C9405CB
800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 2600
高分解能
C10083MD
C9404CAH
600
高感度
C10082CAH
C10082MD
400
TM-UV/VIS-CCD
波長分解能
max.
(nm)
340 ∼ 780
640 ∼ 1050
340 ∼ 780
640 ∼ 1050
340 ∼ 750
640 ∼ 1050
8
20
9
8
9
8
14
20
1. ミニ分光器
1-3
(2) 波長分解能の変更
特性
ミニ分光器の波長分解能は、
スリット幅とNAによって変わ
ります。
C10082CAの場合、
スリット幅は70 µm、
NAは0.22で
波長分解能
す。
NAを0.11とし、
スリット幅も変更した場合の波長分解能
の測定例を図1-9に示します。
条件によっては、
波長分解能
(1) 波長分解能の定義
を1 nm程度にすることが可能であることが分かります。
ミニ分光器の波長分解能は、半値幅 (FWHM)に基づ
スリット幅を狭くすることとNAを小さくすることは、
ミニ分
いて定義されています。図1-7のように、半値幅はピーク値
光器に入射する光を制限することにつながり、
その結果イ
の50%におけるスペクトルの広がりとして定義します。図
メージセンサに到達する光量は小さくなります。
1-8に、
ミニ分光器の波長分解能の測定例を示します。
たとえばC10082CAとC10082CAHを比較した場合、
[図1-7] 半値幅の定義
C10082CAのスリット幅 70 µmに対して、
C10082CAHのス
リット幅は10 µmと1/7であるため、C10082CAHのスリット
を通過する光量はC10082CAの1/7になります。一方、分
光器内部のNAの違いによりC10082CAHのイメージセン
サへ到達する光量はC10082CAの約1/4になります。
しか
しC10082CAHの波長分解能はC10082CAの約1/4のた
め、C10082CAHのA/Dカウントは約4倍になります。
これら
を統合すると光ファイバに入射する光量が同じ場合には、
C10082C A HのA/DカウントはC10082C Aの約1/7にな
ります。
KACCC0320JB
[図1-8] 波長分解能−波長 (代表例)
章
11
モジュール
KACCB0139JI
265
[図1-9] 波長分解能−波長
(C10082CAのスリット幅とNAを変更, 代表例)
[図1-10] 近似による輝線の中心波長の確定
KACCB0147JB
KACCC0335JB
(3) イメージセンサの1画素当たりの検出波長幅
ミニ分光器に内蔵されたイメージセンサの1画素当たり
迷光
が受けもつ検出波長幅について説明します。検出波長幅
は波長分解能とは別のものです。1画素当たりが受けもつ
迷光は、本来測定すべき光以外の光が検出器 (イメー
検出波長幅は、感度波長範囲をイメージセンサの画素数
ジセンサ)に入射した結果、発生するものです。迷光の要
で割り算をすれば、
概略の値を求めることができます。
因としては以下のものがあります。
・例: C10082CA (感度波長範囲: 200∼800 nm, 2048画素)
1画素当たりが受けもつ検出波長幅 = (800 - 200)/2048 ≒ 0.3 nm ... (1)
任 意 の 画 素 にお ける検 出 波 長 は 、
ミニ分 光 器 の
章
11
・外乱光
・グレーティングの不完全性
・レンズ表面、
検出器の窓材、
検出器の受光面からの反射
迷光の定義
EEPROMに書き込まれている波長換算係数を用いて式
迷光の定義の方法には、
ロングパスフィルタを利用する
(2)から算出することができます。
これによって任意の画素
方法と狭い波長帯域の参照光 (モノクロメータ出射光や
が受けもつ波長を求めることができます。
輝線ランプのスペクトルなど)を利用する方法があります。
モジュール
任意の画素における検出波長 [nm] = a0 + a1pix + a2pix2 + a3pix3 + a4pix4 + a5pix5 ... (2)
a0∼a5: 波長換算係数
pix : イメージセンサの任意の画素No. (1∼)
ロングパスフィルタを利用する方法では、
白色光が特定
波長用のロングパスフィルタを透過した光を用います。
こ
の場合の迷光は、透過波長域とブロック波長域の透過率
の比で定義されます。
この迷光 (SL: Stray Light)レベル
当社のミニ分光器は、波長分解能に対してイメージセン
は、
式 (3)のように定義できます (Tl、
Thの定義については
サの1画素当たりが受けもつ波長幅を小さくしてあります。
図1-11参照)。
したがって、
ミニ分光器で輝線を測定すると図1-10のよう
に複数の画素に出力が分割されることになります。
この測
定結果をガウス曲線に近似することにより、輝線の中心波
長を求めることができます。
SL = 10 × log (Tl/Th) ............ (3)
この定義の場合、広い波長範囲における迷光の影響を
測定できるため、蛍光測定などの実際の用途に合った評
価方法となります。
ただし、
参照光として用いる白色光の強
度プロファイルが、測定値に影響を与えることを考慮する
必要があります。
266
1. ミニ分光器
[図1-11] Tl、Thの定義
[図1-12] 輝線による迷光の測定例 (G11482GA)
KACCC0255JA
一方、狭い波長帯域の参照光を利用する方法では、迷
光レベル (SL)は式 (4)で定義されます。
SL = 10 × log (IM/IR) ............ (4)
IM: 参照光の波長から、
ずれた位置において出力される不必要な光量
IR : 参照光の光量
この定義では、
測定条件が単純なため参照光の影響を
受けません。
2つの定義における迷光の状態は検出波長によって異
KACCB0275JA
感度
ミニ分光器に内蔵されているイメージセンサの出力電荷
量は式 (5)で表されます。
Q(λ) = k(λ) × P(λ) × Texp ............ (5)
Q(λ) : イメージセンサの出力電荷量 [C]
k(λ) : ミニ分光器への入射光量からイメージセンサの出力電荷量への変換係数
(=光学系の効率、グレーティングの回折効率、イメージセンサの感度の積)
P(λ) : 各波長におけるミニ分光器への入射光量 [W]
Texp: 蓄積時間 [s]
なるため、
迷光を測定する場合、
複数の波長で行う必要が
あります。
イメージセンサの出力電荷量 Q(λ)は電荷−電圧変換回
路により電圧に変換され、
さらにA/D変換器でデジタル値
に変換され、
最終的にミニ分光器の出力値となります。
ミニ
分光器の出力値は式 (6)で表されます。
章
11
[図1-13] 分光感度特性
モジュール
KACCB0137JH
267
I(λ) = ε × Q(λ) = ε × k(λ) × P(λ) × Texp ............. (6)
I(λ): ミニ分光器の出力値 [counts]
ε : イメージセンサの出力電荷量からミニ分光器の出力値への変換係数
(=電荷ー電圧変換回路の回路定数、A/D変換器の分解能の積)
C9404CA, C9404CAH, C9405CB
C10082CA, C10082CAH, C10082MD
C10083CA, C10083CAH, C10083MD
C11713CA, C11714CA
ミニ分光器の感度は式 (7)で表されます。
外部トリガ機能はDLLでは対応していますが、
付属の評
E(λ) = I(λ)/{P(λ) Texp} ............ (7)
価用ソフトウェア上では機能しません。
したがって、
外部トリ
E(λ): ミニ分光器の感度 [counts/(W・s)]
ガ機能を使用する場合は、
ユーザサイドで構築するソフト
ウェア上で対応する必要があります。
式 (7)に式 (6)を代入すると式 (8)になります。
上記のミニ分光器を0 V∼5 Vレベルのデジタル信号を
出力する機器と外部トリガ用同軸ケーブル A10670 (別
E(λ) = ε × k(λ) ............ (8)
売)によって接続します。
[表1-2] 変換係数を決める要素の波長依存性
[図1-15] ミニ分光器のコネクタ (C10082CA)
変換係数を決める要素
波長依存性
光学系の効率
あり
グレーティングの回折効率
あり
イメージセンサの感度
あり
電荷−電圧変換回路の回路定数
なし
A/D変換器の分解能
なし
1-4
動作モード
KACCC0377JB
フリーラン動作 (通常の動作モード)
以下に外部トリガ入力時の動作モードを示します。
イメージセンサの各画素では入射光に応じた電荷が発
(1) 外部トリガ入力時のデータ保持
生します。蓄積時間において、電荷は各画素に蓄積され、
その電荷を読み出すことにより各画素の電荷はゼロになり
章
11
ます。新たな電荷の蓄積を開始する前に、電荷の読み出
しが必要になるわけです。
ミニ分光器では、
「電荷蓄積→
モジュール
電荷読み出し (A/D変換)→デジタルデータの保持」
を周
期的に繰り返します。
デジタルデータは、常に最新の蓄積
時間によるデータに更新されます。
PCからのデータ要求が
あると、
ミニ分光器はその時点の最新データを送ります。
図
このモードは、保持されるデータがトリガ入力により制御
される点がフリーラン動作と異なります。
トリガ入力エッジ
(立ち上がり/立ち下がりは設定可能)の次に開始される
蓄積時間に対応するデジタルデータがミニ分光器内部に
保持されます。保持されたデータは、PCから読み出される
とリセットされます。
また、
データが保持された状態で次のト
リガ入力があった場合は、新しいデジタルデータに更新さ
れます。
1-14にフリーラン動作の動作モードを示します。
たとえば直流点灯光源にシャッタが設置されていてミ
[図1-14] フリーラン動作
ニ分光器で検出する場合、
シャッタのオープン動作をトリ
ガ入力としてミニ分光器に与えることにより、
あらかじめ設
定された蓄積時間によるデータの保持が可能になります。
シャッタのオープン時間を蓄積時間よりも十分に長く設定
することにより、再現性の高い計測条件のもとで測定を行
うことができます。
[図1-16] 外部トリガ入力に対応したデータ保持
KACCC0378JA
外部トリガ入力時の動作モード
次のミニ分光器は、
外部トリガの入力によって、
動作モー
KACCC0379JB
ドを変更することができます。
268
1. ミニ分光器
(2) 外部トリガ入力時のデータにラベリング
(3) 外部トリガ入力時のデータ計測 (非同期)
外部トリガ入力時のゲート期間に応じて、
デジタルデー
トリガコネクタに入力した外部トリガのエッジ (立ち上が
タに対してラベリングが行われるモードです。
トリガ入力
り/立ち下がりは設定可能)の後に最初に変換されるデジ
(Highレベル/Lowレベルは設定可能)があったときのデジ
タルデータを取得します。
タルデータにラベルが付与されます。
また、PCからデジタ
ルデータを読み出す際に、
ラベル情報も同時に取得するこ
[図1-20] 外部トリガ入力時のデータ計測 (非同期)
とが可能です。
このモードは、異なった測定条件にてデータ取得を行う
際、
どちらの測定条件に基づく測定データかを識別する
場合に適しています。以下の条件Aと条件Bにて測定をす
ることができます。条件Aはトリガ入力なしで測定を行い、
KACCC0568JB
取得データにはラベリングを行いません。条件Bはトリガ入
力を行い、取得データにはラベリングします。
このようにトリ
ガ入力時に取得データにラベリングを行うことにより、取得
データの測定条件が識別可能になります。
(4) 外部トリガ入力時のデータ計測 (同期)
トリガコネクタに入力した外部トリガのエッジ (立ち上が
り/立ち下がりは設定可能)により蓄積を開始し、
デジタル
データを取得します。
[図1-17] 外部トリガ入力時のデータにラベリング
[図1-21] 外部トリガ入力時のデータ計測 (同期)
KACCC0380JB
トリガの動作モード
(C11118GA, C11697MA, C11482GA)
C11118GA・C11697MA・C11482GAにおいては、
以下
KACCC0569JB
(5) 外部トリガ入力時のレベルによる計測 (非同期)
トリガコネクタに入力した外部トリガ (Highレベル/Low
レベルは設定可能)があったときのデジタルデータを取得
することができます。
します。
(1) ソフトウェアトリガ入力時のデータ計測 (非同期)
[図1-22] 外部トリガ入力時のレベルによる計測 (非同期)
章
に示すトリガの動作モードがあります。
これらの動作モード
はミニ分光器に付属されている評価ソフトウェア上で選択
11
モジュール
PCからのソフトウェアトリガの入力の後に最初に変換さ
れるデジタルデータを取得します。
[図1-18] ソフトウェアトリガ入力時のデータ計測 (非同期)
KACCC0504JC
(6) 外部トリガ入力時のレベルによる計測 (同期)
KACCC0503JC
トリガコネクタに入力したトリガ (Highレベル/Lowレベ
ルは設定可能)により蓄積を開始し、
デジタルデータを取
(2) ソフトウェアトリガ入力時のデータ計測 (同期)
PCからのソフトウェアトリガの入力により蓄積を開始します。
得します。
[図1-23] 外部トリガ入力時のレベルによる計測 (同期)
[図1-19] ソフトウェアトリガ入力時のデータ計測 (同期)
KACCC0506JC
KACCC0505JB
269
上記の (1)∼(6)のいずれのモードでも、
トリガ入力間隔
[図1-25] 評価用ソフトウェアを用いた画面の例
がミニ分光器の計測周期より短い場合には、入力されたト
リガは無視されます。
(7) 外部トリガ信号出力
トリガコネクタから蓄積開始タイミング (パルス幅: 10 µs)を
出力することができます (トリガ出力エッジ: 立ち上がり/
立ち下がりは設定可能)。
[図1-24] 外部トリガ信号出力
KACCC0507JD
1-5
評価用ソフトウェア
ミニ分光器には、
評価用ソフトウェアが付属されています。
評価用ソフトウェアの機能
評価用ソフトウェアをPCにインストールすることにより、
以下の基本的な操作を行うことができます。
・測定データの取得・保存
評価用ソフトウェアはMonitorモード、Measureモード、
Darkモード、
Referenceモードなどの測定モードを用意して
います。
表1-3に各測定モードの特徴を示します。
Measure
モード、
Darkモード*2、
Referenceモード*2で計測したデー
タはcsv形式 (Microsoft® Excel®で読み込み可能)で保存
が可能です。
また、評価用ソフトウェアのもつ演算機能を表1-4に示
し、
計測時の設定パラメータの制限を表1-5に示します。
注) Microsoft、Excelは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の
国における登録商標です。
・測定条件の設定
章
11
・モジュール情報 (波長変換係数*1、
分光器タイプなど)の
モジュール
・グラフ表示
評価用ソフトウェアには、次の4種類があります。対応す
・演算機能
るシリーズ以外のミニ分光器を駆動することはできません。
画素No.から波長への変換、参照データとの比較演算
(透過率、反射率)、
ダーク減算、
ガウス近似 (ピークの位
置とカウント、
半値幅)
*1: イメージセンサの画素No.を波長に変換する係数。
ただし、A/D変換後のカウント値を入射光量に比例する値に変換す
る係数は用意していません。
270
評価用ソフトウェアの種類
取得
・TM/TGシリーズ (インターフェース USB 1.1)用 ・TM/TGシリーズ (インターフェース USB 2.0)用
・RCシリーズ用
・MSシリーズ用
1. ミニ分光器
[表1-3] 評価用ソフトウェアの測定モード
測定モード
概要
特長
画素No.−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
波長−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
選択波長の時系列表示グラフ描画可能*3
Monitorモード
取得データの保存を目的としない計測モード
計測データ保存不可能
Dark減算可能
Referenceデータ表示可能
計測スキャン数設定不可能、
スキャン数制限なし
画素No.−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
波長−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
選択波長の時系列表示グラフ描画可能*3
Measureモード
取得データの保存を目的とした計測モード
計測データ保存可能
Dark減算可能
Referenceデータ表示可能
計測スキャン数設定可能
ダークデータ (ダーク減算を行う際に使用)を取得する
ための計測モード
Darkモード*2
画素No.−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
波長−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
計測データ保存可能
画素No.−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
Referenceモード*2
レファレンスデータを取得するための計測モード
波長−A/D出力値のリアルタイムグラフ描画可能
計測データ保存可能
ソフトウェアトリガ非同期計測
ソフトウェアトリガ同期計測
Triggerモード*3
トリガ信号によりデータを取得するための計測モード
外部トリガ非同期エッジ
外部トリガ非同期レベル
外部トリガ同期エッジ
外部トリガ同期レベル
画素No.−A/D出力値の転送完了時、
グラフ描画可能
連続計測モード*3
データをまとめて転送することにより連続データを取得
波長−A/D出力値の転送完了時、
グラフ描画可能
計測データ保存可能
*2:
*3:
C11118GA、C11697MA、C11482GA、C11351にはDarkモード、Referenceモードはありません。Measureモードにて同様の機能をもちます。
C11118GA、C11697MA、C11482GAのみ対応
章
11
演算機能
モジュール
[表1-4] 評価用ソフトウェアの演算機能
特長
ダーク減算
測定データからダークデータを減算して表示することが可能
レファレンス測定・表示
レファレンスデータの測定およびグラフ表示が可能
ガウスフィッティング
指定した範囲のデータに対するガウス関数への近似が可能
[表1-5] 設定パラメータの制限
項目
制限
4 µs∼100 msの範囲内
*4
C11697MA
6 µs∼40 msの範囲内*4
C11118GA
5 ms∼1 sの範囲内
C9914GB
5 ms∼10 sの範囲内
C10082MD, C10083MD, C9913GC, C11007MA, C11008MA
C11351
6 µs∼10 sの範囲内*4
C11482GA
10 ms∼10 sの範囲内
C10082CA, C10082CAH, C10083CA, C10083CAH, C9404CA
C9404CAH, C9405CB, C11713CA, C11714CA
ゲイン
High/Low
C10082MD, C10083MD, C11482GA, C9913GC, C9914GB
C11007MA, C11008MA, C11118GA
スキャン回数
連続計測モードにおいて連続計測が可能な回数は、PC搭載のメモリサイズおよび動作状況に依存 (Monitorモードは制限なし)
蓄積時間
*4:
1 µs単位で変更可能
271
[表1-6] ソフトウェア対応表
TM/TGシリーズ
項目
対応OS
MSシリーズ
評価用ボード
○
○
○
○
○
○
○
○
Windows®
7 Professional (32ビット)
○
○
○
○
Windows® 7 Professional (64ビット)
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
×
×
Visual Basic®
○
○
○
×
Visual C++®
○
○
○
×
インターフェース
1-6
ミニ分光器には、DLLが付属しています。
ユーザサイド
でDLLを利用して、
Microsoft® Visual C++®、
Microsoft
Visual Basic®*1などの開発環境において、
Windows対応の
ミニ分光器制御用アプリケーションソフトウェアを構築する
ことができます*2。Windows対応のアプリケーションソフト
ウェアは、直接USBホストコントローラにアクセスできない
ため、
DLLから必要な関数を呼び出して、
デバイスドライバ
とUSBドライバを介してUSBホストコントローラにアクセス
し、
ミニ分光器の制御を行うことになります (図1-26参照)。
なおDLLには、USBポートのオープン/クローズ、測定条
件設定、
測定データ、
モジュール情報の取得などの関数が
用意されています。
章
*1:
.NET Framework 2.0および3.0 (Microsoft Windows® XP/Vista/7)
上でのMicrosoft Visual Studio® 2008 (SP1) Visual C++、Microsoft
Visual Studio 2008 (SP1) Visual Basicにて動作確認しています。
*2:
MSシリーズ評価用ボード C11351にはDLLは付属していますが、評価用
ボードのためその関数仕様は公開していません。
モジュール
注) Microsoft、Windows、Visual C++、Visual Basic、Visual Studioは米
国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標
です。
[図1-26] ソフトウェア構成例
KACCC0658JA
272
RCシリーズ
Windows® XP Professional SP3 (32ビット)
1台のPCへ複数のミニ分光器を接続して駆動
11
USB 2.0
Windows® Vista Business SP2 (32ビット)
DLL関数仕様の公開
開発環境の
対応
USB 1.1
新たな取り組み
ミニ分光器の波長分解能を向上させるために新たな
光学系とファインピッチグレーティングの開発を進めてい
ます。
また、
ファインピッチグレーティングを並列に配置す
るタンデムグレーティング光学レイアウトの採用を予定し
ています。新たな光学系を採用することにより、0.1 nm以
下の波長分解能を実現する技術が確立されつつありま
す。
なお、0.1 nm以下の波長分解能が要求される用途と
しては、
表面増強ラマン分光 (SERS: Surface Enhanced
Raman Spectroscopy)、
眼科用OCT (Optical Coherence
Tomography)、LIBS (Laser Induced Breakdown
Spectroscopy)などがあります。
1-7
応用例
1. ミニ分光器
[図1-27] 接続例 (液体の吸光度の測定)
(2) 白色LEDと3色LED
白色LEDと3色LEDの発光を測定した例です。
白色LED
は、青色をはじめとしたさまざまな色の波長成分をもち、
そ
れらが統合されて白色に見えます。
[図1-30] 白色LEDと3色LEDの測定例 (C11007MA)
KACCC0288JF
蛍光測定
1000 p p mのキニーネ溶液を測定した例です (バッ
KACCB0100JA
ファー溶液は希硫酸)。
[図1-28] 蛍光測定例 (C10083CA)
透過率の測定
[図1-31] 透過率 (厚さ 1 mm光学窓板)の測定例 (C11482GA)
(a) 測定値
章
11
モジュール
KACCB0145JA
LEDの発光の測定
KACCB0276JA
(1) 可視LED
(b) 演算結果
[図1-29] 可視LEDの測定例 (C10082MD)
KACCB0126JA
KACCB0277JA
273
輝線スペクトルの測定
膜厚の測定
[図1-32] 低圧水銀灯の輝線スペクトルの測定例 (C11714CA)
厚さ 10 µmの食品用ラップ (ポリ塩化ビニリデン)の膜厚
を測定した例を紹介します。
白色干渉法による膜厚測定
を行ったもので、膜の表面と裏面における反射光が互い
に干渉し合い波打ったスペクトルを検出します。
スペクトル
のピークの数、波長範囲、膜の屈折率、光の入射角より計
算して膜厚を求めます。
[図1-34] 膜厚の測定例 (C11482GA)
KACCB0280JA
反射率の測定
[図1-33] 反射ミラーの分光反射率の測定例 (C9405CB)
(a) 測定値
KACCB0095JB
章
11
モジュール
KACCB0278JA
(b) 演算結果
KACCB0279JA
274
1. ミニ分光器 2. MPPCモジュール
2.
MPPCモジュール
によって、
周囲温度が変わってもMPPCの増倍率を一定に
制御します。
当社は、
フォトンカウンティング領域からnW領域までの
・MPPCに最適な信号読み出し回路を搭載
広い光量範囲 (10桁)において計測が可能なMPPCモ
・低ノイズの高圧電源を搭載
ジュールのラインアップを用意しています。MPPCの動作
に必要なアンプ・高圧電源回路などを搭載しており、電源
・小型、軽量
(±5 Vなど)を供給するのみで使用可能です。
低ダークカウントを実現した冷却型モジュールから、温
[図2-1] ブロック図 (C11205シリーズ)
度補償機能を搭載し、
安定した計測が可能な非冷却型モ
ジュールまで幅広いラインアップがあります。
MPPCの初期
評価を目的としたスターターキットや、MPPC駆動用として
高精度の温度補償機能を内蔵した高圧電源モジュールも
用意しています。
2-1
特長
・用途や入射光量 (フォトン数)に応じた広いラインアップ
KACCC0675JA
[図2-2] 測定可能な入射光量範囲
アナログ信号が必要で比較的入射光量が多い用途向
けのアナログ出力タイプ、
フォトンカウンティング用のデジタ
ル出力タイプ、
MPPCの初期評価用のスターターキットを用
意しています。
・高精度の温度補償回路または温度制御回路を搭載
MPPCは、
ガイガーモードと呼ばれる増倍率が非常に高
い状態で使用します。
周囲温度が変化すると、
同じ逆電圧
を印加していても増倍率が変化します。MPPCモジュール
KACCC0687JA
じてMPPCの逆電圧を変化させる温度補償回路、
または
制御回路を搭載しています。
温度補償回路では、MPPCの素子の間近に高精度の
温度センサを配置して、MPPCの温度を正確に検出しま
す。増倍率が一定となるように周囲温度に応じた逆電圧
をMPPCに印加することにより、高精度・高安定に増倍率
を維持します。一方、温度制御回路では、電子冷却素子
上にMPPCチップと温度センサを搭載し、温度センサから
2-2
11
モジュール
電子冷却素子を用いて素子温度を一定に制御する温度
章
には、
MPPCの増倍率を一定に保つために、
周囲温度に応
使い方
MPPCモジュールに付属している電源ケーブルを用い
て、外部電源に接続します。
出力信号は同軸コネクタから
出力されます。
アナログ出力タイプは、
オシロスコープなど
に接続することによって波形をモニタすることができます。
デジタル出力タイプは、周波数カウンタなどに接続すること
によってパルス数をカウントすることができます。
の情報を元にMPPCチップの温度を一定に制御すること
[図2-3] 接続例 (アナログ出力タイプ)
KACCC0686JB
275
[図2-4] 出力波形
(2) 検出効率 (デジタル出力タイプ)
(a) アナログ出力タイプ
デジタル出力タイプの場合の検出効率は、M P P Cモ
ジュールの検出フォトン数を入射フォトン数で割った値で、
パーセントで表されます。
[図2-6] 検出効率−波長 (C12661シリーズ)
(b) デジタル出力タイプ (TTLコンパチブル)
KACCB0302JA
2-3
特性
ダイナミックレンジ
(1) アナログ出力タイプ
感度
図2-7は、
アナログ出力タイプ (非冷却型)のダイナミッ
(1) 光電変換感度 (アナログ出力タイプ)
クレンジを示します。受光面サイズ 1 × 1 mmのタイプ
アナログ出力タイプの場合の光電変換感度は、
ある波
長における入射光量をワット (W)で示し、
そのときのMPPC
モジュールからの出力電圧を入射光量で割った値 (単位:
章
11
(C11205-150)と3 × 3 mmのタイプ(C11205-350)を比較す
ると、
ピクセル数の多い3 × 3 mmタイプの方が優れた直線
性を示します [図2-7 (a)]。
入射光量が多くなると、
チップの発熱の影響が無視でき
V/W)で表されます。
モジュール
なくなります。
このような場合は、入射光のデューティ比を
[図2-5] 光電変換感度−波長 (C11205シリーズ)
下げることを推奨します [図2-7 (b)]。
なお電子冷却型で
は、
素子温度を一定に制御するため、
チップの発熱の影響
はほとんど無視できます。
[図2-7] 出力電圧−入射光量
(a) C11205-150 (受光面サイズ: 1
C11205-350 (受光面サイズ: 3
(パルス光を入射した場合)
1 mm)
3 mm)
KACCB0298JA
KACCB0300JA
276
2. MPPCモジュール
(b) C11205-150 (パルス光またはDC光を入射した場合)
[図2-9] MPPCアレイモジュール
小型電源モジュール
MPPCを動作させるためには70 V程度の電圧が必要で
あるとともに、周囲温度が変わると増倍率が変わるため、
温度変化に対して温度補償機能が必要となります。
当社
KACCB0336JA
は、
それらの機能をもった高圧電源モジュールを開発しま
した。MPPCは増倍率のユニフォミティ特性が優れている
(2) デジタル出力タイプ
ため、PET用などにおいて同時に大量に使用される場合
図2-8は、
デジタル出力タイプのダイナミックレンジを示し
があり、電源モジュール自体に小型化が求められていま
ます。検出下限はダークカウントで決まるため、受光面サイ
す。
そのために、基板の積層化技術やウエハレベルのアッ
ズがC12661-350 (3 × 3 mm)よりも小さいC12661-150 (1
センブリ技術を用いて、
さらなる小型化を目指しています。
× 1 mm)の方が有利です。
検出上限は出力パルス幅で決
まり、
出力パルス幅はピクセルピッチで決まります。
そのた
[図2-10] 電源モジュール
め同じピクセルピッチのC12661-150とC12661-350の検出
上限は、
ほとんど同じです。
なお入射フォトン数が多くなる
と、
出力パルスの重なりによって直線性が理想直線から外
れてきて、
最終的にはパルスが出力されなくなります。
[図2-8] 検出フォトン数−入射フォトン数 (C12661シリーズ)
章
11
モジュール
2-5
応用例
フローサイトメトリ
細胞の種類・数・核酸 (DNA, RNA)などを検出するため
に、細胞を含んだ溶液を高速に流して、
レーザ光を照射し
ます。
それにより発生する微弱な蛍光をとらえます。
KACCB0303JA
2-4
新たな取り組み
MPPCアレイモジュール
MPPCの大幅な特性改善 (低アフターパルス、
低ダーク
カウントなど)に合わせ、
医療・分析・産業用に1次元・2次元
KACCC0668JA
のMPPCアレイを搭載したモジュールの開発を進めます。
277
粒径計測
3.
APDモジュール
気体あるいは液体に粒子が入っているチャンバーに
レーザを透過させ、
粒子からの散乱光を検出することで粒
APDモジュールは、APD (アバランシェ・フォトダイオー
子の数量と粒径の分布が得られます。
ド)、温度補償バイアス回路 (または温度制御回路)、I/V
変換回路を一体化した高感度の光検出器です。取り扱い
が容易で、外部からDC電圧を供給するのみで動作しま
す。I/V変換回路は、
高速・低ノイズのバイポーラトランジス
タやオペアンプを使用した回路構成で、APDの信号読み
出しに適しています。APDモジュールは低リップルノイズの
電圧制御部を搭載しており、高感度の光検出が可能で
す。
なおAPDモジュールには、短波長タイプまたは近赤外
KACCC0667JA
タイプのSi APDを内蔵しています。
増倍率を安定させた温度補償型と電子冷却型を用意
蛍光計測
しています。温度補償型APDモジュール (標準タイプ、高
感度タイプ、高速タイプ)は、高精度の温度補償回路にて
試薬の微弱な蛍光発光をMPPCモジュールで検出す
APDの増倍率をほぼ一定に保ちます。
電子冷却型APDモ
ることができます。
ジュールでは、APDの温度を一定に制御することにより増
倍率を高安定に保ち、
高精度の計測を可能としています。
[図3-1] 感度−応答速度
KACCC0664JA
シンチレーション計測
章
11
360°
に配置されたMPPCモジュールが対消滅γ線を検
モジュール
出し、
癌などのターゲットの位置をとらえます。
KACCB0115JD
3-1
特長
・温度変動に対して安定した動作
APDは高い逆電圧を印加することにより、一般的なSi
フォトダイオードと比べて感度を高くすることができます。
KACCC0745JA
しかし、周囲温度が変化すると、
同じ逆電圧を印加しても
感度が変化します。APDの感度を一定に保つ方法として
は、周囲温度に応じてAPDへ印加する逆電圧を変化させ
る温度補償型と、APDの温度自体を強制的に一定に保つ
電子冷却型があります。
温度補償型APDモジュールの場合、
APDの間近に高精
度の温度センサを配置してAPDの温度を正確にとらえ、
温
度に応じた適切な逆電圧を加えて増倍率を高安定に保ち
ます。
また、マイコンを用いてAPDの温度補償をさらに高
精度に行うデジタル温度補償型APDモジュールも用意し
278
2. MPPCモジュール 3. APDモジュール
ています。
デジタル温度補償型APDモジュールは、広い温
[図3-4] 周波数特性 (C12703シリーズ)
度範囲で高い増倍率 (250倍)を高安定に維持します。
電子冷却型APDモジュールは、
電子冷却素子上にAPD
チップをマウントして、電子冷却素子の温度を維持するた
めの温度制御回路を採用しており、高安定な増倍率を実
現しています。
・低ノイズ
・小型、軽量
[図3-2] ブロック図 (C12702シリーズ)
KACCB0030JC
[図3-5] 増倍率の温度特性 (C12703シリーズ)
KACCC0013JB
3-2
特性
[図3-3] ステップ光に対する応答 (C12703)
章
KACCB0020JB
11
モジュール
3-3
使い方
APDモジュールに付属している専用ケーブルを用いて、
モジュール本体とDC電源を接続します (C5658を除く)。
出
力は同軸コネクタになっているため、
オシロスコープなど計
測装置に接続するだけで測定することができます。
C5658
KACCC0128EA
には、
電源コネクタ (D-sub)が付属されています。
この電源
コネクタにケーブルをはんだ付けします (ケーブルは付属
していません)。
なお、
C5658の出力はSMAコネクタです。
[図3-6] 接続例 (C12703シリーズ)
KACCC0408JA
279
3-4
距離計測
新たな取り組み
APDモジュールは医療・分析・産業など、
さまざまな微弱
光計測用に使用されていますが、
さらなるS/N向上、小型
化の要求が高まっています。
当社は、読み出し回路の低ノ
レーザ光を対象物に照射して、反射光をAPDモジュー
ルがとらえ、
TOF (Time-of-Flight)方式で対象物までの距
離を計測します。
イズ化により、
さらなる高S/N化を進めます。
また、高圧電
源回路・温度補償回路・温度制御回路の小型化を行い、
モジュールの小型化を目指します。
3-5
応用例
KACCC0735JA
光トポグラフィ
大脳皮質の血液量の変化を観察するために、
近赤外線を
頭皮上から照射してAPDモジュールが散乱光を検出するこ
とによって、
血液中のヘモグロビン濃度の変化をとらえます。
KACCC0732JA
章
11
走査型レーザ検眼鏡
(SLO: Scanning Laser Ophthalmoscope)
モジュール
眼底検査においては、眼球に入射させるレーザ光は安
全面から制限されるため低光量になります。APDモジュー
ルは、眼球からの微弱な反射光を優れた解像度・コントラ
ストで検出するために利用されます。
KACCC0733JA
280
3. APDモジュール 4. 放射線検出モジュール
4.
放射線検出モジュール
ズでは、
30 keV程度の低エネルギー領域から2 MeV程度
までの広範囲にわたるγ線検出が可能です。高増倍率で
あるMPPCの微弱光検出能力は、測定時間を短縮する際
シンチレータとMPPC (Multi-Pixel Photon Counter)を
にも威力を発揮します。測定時間を短縮するには、検出効
内蔵した、137Cs (セシウム137)などからのγ線検出用のモ
率を上げるためにシンチレータを大容量化する必要があ
ジュールです。入射したγ線をシンチレータにて可視光に
ります。一方、
シンチレータを大容量化するほど、受光素子
変換し、MPPCで極微弱な光まで検出して、低エネルギー
へ到達する光がシンチレータ内で減衰するため、
その分、
γ線を高精度に計測することが可能です。信号処理回路
検出下限は悪化します。
これは低エネルギーγ線の検出が
やA/D変換器をコンパクトな筐体に収めており、USBイン
難しくなることを示します。
MPPCは、
PINフォトダイオードや
ターフェースに対応しています。本製品には、測定条件の
APDに比べて高増倍率のため微弱光検出が可能であり、
設定、
データ取得および保存、
グラフ表示などの機能をも
大容量のシンチレータと組み合わせても低エネルギーγ線
つサンプルソフトウェアが付属されています。
の計測が可能です。
[図4-1] 放射線測定例 (C12137)
4-1
特長
・超高感度の半導体検出器MPPCを搭載
・CsI(Tl)シンチレータを搭載
・γ線のエネルギー弁別が可能
・装置への組み込みが容易
・小型、軽量
・温度補償回路を内蔵
4-2
構造、特性
KACCB0337JA
放射線検出モジュール C12137シリーズは、
エネルギー
[図4-2] ブロック図
137Csが壊変するときには662
す。
章
スペクトルが取得できるためエネルギー弁別が可能で
11
keVと32 keV付近にエネ
モジュール
ルギーをもつγ線が放出されることが知られています。30
keV程度の低エネルギーγ線からエネルギースペクトルを
KACCC0632JA
取得することで、
そのγ線が137Cs由来かどうかが分かりま
す。低エネルギーγ線になるほど、
シンチレータの発光量が
微弱になりますが、
高感度のMPPCを用いたC12137シリー
[表4-1] 浜松ホトニクスの放射線検出モジュール
項目
条件
外形寸法 (W × D × H)
C12137
C12137-01
単位
110 × 55 × 27
71 × 55 × 60.5
mm
CsI(Tl) 13 × 13 × 20
CsI(Tl) 38 × 38 × 25
mm
40
400
cpm
検出素子
MPPC
シンチレータ
計数効率 min.
137Cs,
0.01 µSv/h
エネルギー範囲
エネルギー分解能
30 ∼ 2000
137Cs,
662 keV
137Cs,
測定範囲
662 keV
下限は環境放射線による
測定誤差
遮蔽物による減衰、計数揺らぎを除く
インターフェース
keV
8
8.5
%
0.01∼100
0.001∼10
µSv/h
±20
%
USB 2.0 (Full Speed)
-
USBバスパワー
-
電源
動作温度
-
-10∼+50
0∼+40
°
C
281
[図4-4] 断面模式図 (C12137-01)
優れた温度安定性
γ線入射によるシンチレータの発光量や受光素子の感
度には温度依存性があります。
この温度依存性は同じエ
ネルギーのγ線が入射した場合でも、周囲温度の変化に
伴い検出エネルギーをシフトさせる要因となり、測定誤差
や放射性核種同定の妨げとなります。C12137シリーズのγ
線検出部は高い温度安定度をもつ構造を採用するととも
KACCC0646JA
に、
温度補償回路も搭載し図4-3に示す通り急激な温度変
化に対しても優れた温度安定性を示します。放射線検出
モジュールは、
周囲温度 0∼+50 ℃において±5% max.の
4-3
使い方
温度安定度を実現しています。
[図4-3] 周囲温度と検出エネルギーシフトの推移 (代表例)
C12137シリーズ付属のデバイスドライバおよびサンプル
ソフトウェアをPCにインストールして、
ソフトウェア起動後
にC12137シリーズをPCにUSB接続します。C12137シリー
ズの電源は、
USBバスパワーから供給されます。
サンプルソフトウェアは、
放射線検出モジュールの基本的
な動作を簡単に行えるように設計されたものです。
サンプル
ソフトウェアは、
測定条件の設定、
データ取得および保存、
グ
ラフ表示などの機能をもっています。C12137シリーズは、設
定した閾値を超えたパルス数を計数し、
同時にパルス波高
値も取得します。
取得したデータは、
PC上で表示されます。
[図4-5] サンプルソフトウェアの画面例
(a) カウント − エネルギー
KACCB0273JA
装置への組み込みが容易
章
11
モジュール
図4-4に放射線検出モジュール C12137-01の断面模式
図を示します。
放射線検出モジュールは、小型の筺体にシンチレータ、
受光素子 (MPPC)、
信号処理回路、
I/F回路などを内蔵し
ているため、携帯型測定器やインライン測定器に組み込
むことが容易です。
C12137シリーズは、
受光素子であるMPPCが小型・薄型
のため全体に占める容積の割合は小さく、
シンチレータ容
積が支配的になっています。
このことは、小型な放射線検
出モジュールであっても、高い検出効率を実現しているこ
とを意味します。
放射線検出モジュールは小型であるため、食品・飲料・
海産物検査など、
被測定物からの線量が非常に微弱な用
途で有利です。
このような用途においては、検出器の周囲
を鉛で覆い、環境放射線の影響を排除する必要がありま
す。
放射線検出モジュールは小型のため、
鉛の使用量を削
減して装置全体の体積・重量を軽減することができます。
282
(b) 測定値−時間
4. 放射線検出モジュール 5. 距離センサ
4-4
新たな取り組み
放射線検出においては高感度・高速・高安定の計測が
求められています。
これらの要望に対応するとともに、
シン
チレータの体積・形状、通信インターフェースなどについて
カスタム対応をしていきます。
[図4-6] 放射線検出モジュールの例
5.
距離センサ
距離センサは、
検出対象に貼った反射シートまでの距離
を計測するモジュールです。
660 nmの半導体レーザをパル
ス発光させ、
レーザ光が反射シートに当たって戻ってくるま
での飛翔時間を測定することによって距離を計測します。
[図5-1] 反射シートまでの距離を計測
KACCC0427JA
5-1
4-5
応用例
・環境モニタリング、マッピング
・製造現場における受入/出荷検査などのスクリーニング
・ポータブル高感度検出器への組み込み
特長
・パルス方式の採用による高速応答
計測回数: 160回/s以上
高速に移動する対象物も検出することができます。
・高精度
1 ps以下のレベルの時間計測精度と広い動作温度範
囲を実現するため、
計測用レーザと自己校正レーザを高速
に点灯を切り替えることにより、光学的な自己校正を行い
章
ます。
これによって、計測中に変化する電子回路の特性を
11
モジュール
リアルタイムで補正します。
[図5-2] 距離センサとユーザオプション
KACCC0387JA
283
・距離が異なる場合に検出する光量変化を低減
[図5-4] 距離センサの内部構造 (C9417-10)
検出対象で反射して戻ってくる信号光は、距離の2乗に
比例して減少します。遠距離側に合わせて光学系を構成
すると、
近距離側での焦点ズレや、信号量の過大による誤
差が大きくなることがあります。
当社の距離センサには、遠
距離・中距離・近距離の3種類の焦点をもつ大型非球面プ
ラスチックレンズを用いて、距離が異なる場合に検出する
光量変化を最小に抑えています。
3種類の焦点のレンズに
よる信号量は、
合計すると30 m程度までほぼ一定になるよ
うにレンズの面積比を設定してあります。
近距離を検出する場合は信号量が多いため、
近距離用
レンズは面積が小さくても十分な信号が得られます。遠距
離用レンズは、
ほぼレンズ全面で無限遠の焦点距離をも
[図5-5] 信号量−距離 (距離センサの受光レンズ)
ち、
信号量を確保するために大面積化しています。
・赤色 (660 nm)半導体レーザを内蔵
光源が赤色のため、
光軸確認が容易です。
・安全: レーザクラス1 IEC JIS FDA
・長寿命 (MTTF: 90000 h)
レーザをパルス駆動するため、素子温度の上昇が抑え
られ寿命が長くなっています。
・インターフェース: 要望に応じて柔軟な対応が可能
・低消費電力
KACCB0190JA
・小型、軽量
5-3
・高信頼性
章
11
一般的な光学距離計測器にある機械的稼動部がない
モジュール
ため、振動や衝撃、長期間の連続動作に対して高い信頼
性を確保しています。
なお、信号光が遮られた場合でも、
信号光が戻るとすぐに計測を始めることができます。
5-2
特性
距離センサによる距離データと実際の距離の差 (距離
誤差)の測定例を図5-6に示します。
[図5-6] 距離誤差−距離 (C9417-10, 代表例)
構造
[図5-3] 距離センサの構成
KACCB0191JA
KACCC0428JA
284
5. 距離センサ
5-4
応用例
章
11
モジュール
285
6.
大きくなることを利用して、光の減衰の度合いからガスの
CO2センサ
濃度を求めます。CO2センサはCO2濃度測定に用いられま
すが、波長を変えることで他のガスも同様に検出すること
非分散型赤外線 (NDIR: Non Dispersive Infrared)検出
ができます (特注品)。
方式のCO2センサです。
シンプルな構造を採用しており、小
波長 7 µm∼15 µmの赤外域には、
分子固有の光吸収
型・低価格を実現しています。
その上、
高精度で確度 (真値
帯があり、
分子を識別できることから
「指紋領域」
と呼ばれ
との誤差)が小さく、周囲温度の変化による影響が少ない
ています。
この波長域において、
さまざまなガスの濃度測
測定を行うことができます。
周囲温度 0∼35 ̊CでCO2濃度
定が可能です。
1000 ppm未満の場合、
確度 ±50 ppmを達成します。
また、
約30秒ごとの連続測定機能によって精度 (繰り返し再現
性)は±20 ppmを達成しています。
PCとシリアル接続をして、
6-3
応用例
PCにてデータ取り込みや計測結果の表示が可能です。
オフィスのCO2濃度測定
[図6-1] CO2センサ
当社オフィスにおける日曜日∼火曜日のCO2濃度の測定
例を図6-3を示します。休日や夜間は無人のため、
ほぼ外
気と同じレベルに安定します。
始業時から在室人数が増え
るに従ってピークを迎え、昼休みに減少します。午後は増
加して、
17時以降は退社人数が増えると減少し、
深夜は外
気レベルになります。CO2濃度の測定データから、在室者
の有無の把握も可能です。
[図6-3] 当社オフィスのCO2濃度 (測定例)
(a) 日曜日∼火曜日
6-1
特長
・NDIR検出方式CO2センサ
章
11
・高精度で安定した測定 (温度変化による影響が少ない)
モジュール
・CO2以外のガスセンサにも対応が可能 (特注品)
6-2
構成
[図6-2] 構成
KACCB0294JB
(b) 約70日間
KACCC0662JA
当社のCO2センサは、非分散型赤外線検出方式を採用
しています。非分散型赤外線検出方式は、
ガスが固有の
波長の赤外線を吸収する性質を利用して、光を分光する
ことなくガスの濃度を測定する方式です。
セルを流れるガ
スが低濃度の場合、入射光の減衰が小さく、高濃度では
KACCB0295JA
286
6. CO 2センサ 7. フォトセンサアンプ、フォトダイオードモジュール
ビニールハウスのCO2濃度測定
7.
フォトセンサアンプ、
フォトダイオードモジュール
CO2センサによってビニールハウス (例:メロン)内のCO2
濃度を測定して、
メロンの植え込みから収穫までの数ヵ月
間、生育へのCO2の影響を把握することに貢献できます。
フォトセンサアンプ、
フォトダイオードモジュールは、
フォ
図6-4は、1日間にビニールハウス内のCO2濃度を測定した
トダイオードを容易に使うための電流−電圧変換アンプを
例です。
CO2濃度は午前中のCO2の投入で上昇し、
投入停
内蔵したモジュールです。変換インピーダンス、周波数特
止後は光合成効果により急激に下がり、
その後、
日照・温
性について、
図7-2のタイプを用意しています。
度の低下により呼吸分が支配的になって増加しています。
[図7-1] フォトセンサアンプ、
フォトダイオードモジュール
[図6-4] ビニールハウス (メロン)のCO2濃度 (1日間の測定例)
[図7-2] 変換インピーダンス−遮断周波数
KACCB0335JA
章
11
モジュール
KACCB0189JB
[表7-1] 浜松ホトニクスのフォトセンサアンプ
型名
特徴
C6386-01
光ファイバ
(1 m)付き
フォトダイオード
内蔵
遮断周波数
変換インピーダンス
(V/A)
10 MHz
103
3 MHz
104
1 MHz
105
電源
出力
ゼロ調整
つまみ
外部電源 (±15 V)
/乾電池 (9 V × 2個)
アナログ
あり
C8366
広帯域
別売
(高速Si PINフォトダイオード)
100 MHz
103
外部電源 (±15 V)
アナログ
なし
C9051
小型基板
タイプ
別売
(端子間容量: 15 nF以下)
16 Hz
108
ACアダプタ (12 V)
アナログ
なし
C9329
微弱光用
別売
(端子間容量: 5 nF以下)
1600 Hz
105, 107
16 Hz
109
ACアダプタ (12 V)
/乾電池 (9 V)
アナログ
デジタル
あり
287
[図7-3] ブロック図
[図7-4] アナログ信号のオシロスコープ出力例 (C9329)
KACCC0409JA
7-1
フォトセンサアンプ
フォトセンサアンプは、
フォトダイオードの微弱な光電流
縦軸: 1 V/div., 横軸: 400 μs/div.
BNC端子付フォトダイオード S2281-01 (Ct=3300 pF typ.), Mレンジ
光源: 赤外LED (L1915-01), パルス幅: 2 ms
測定器: TEKTRONIX TDS3034B (BW 20 MHz)
周囲温度: 25 ˚C, オーバーシュート: 約3%
使い方 (C9329)
を低ノイズで増幅する電流−電圧変換アンプです。
フォトセンサアンプ C9329の入力部はBNCコネクタに
特長
なっているため、BNCプラグ付同軸ケーブルを利用して
フォトダイオードを接続します。
・高精度、低ノイズ
高精度・低ノイズの部品を使用して、
ノイズの影響を受
けにくい部品配置をしています。
なおC6386-01・C9329は、
ゼロ調整機能によりオフセットの除去が可能です。
・乾電池で動作 (C6386-01, C9329)
・検出感度の切り替えが可能 (C6386-01, C9329)
電源は乾電池または付属のACアダプタを使用します。
データ出力は、
アナログまたはデジタルの動作モードか
ら選択できます。
アナログの場合、BNCプラグ付同軸ケー
ブルにてオシロスコープなどの計測装置に接続して測定
します。
デジタルの場合は、
シリアル接続 (RS-232C)するこ
とでデジタル信号 (16ビット)を得ることができます。
[図7-5] 接続例 (C9329, デジタル動作モード)
・広帯域タイプを用意 (C8366)
章
11
広帯域タイプ C8366は、
接続するPINフォトダイオードに
モジュール
合わせて、
帰還容量をボリュームで微調整することで高速
応答を実現できます。
・光ファイバ付タイプを用意 (C6386-01)
光ファイバ付タイプ C6386-01は、光ファイバを使って
フォトダイオードへ光を導きます。測光箇所の周囲環境に
ノイズ源がある場合でも、
フォトダイオードと回路部へのノ
イズの影響を軽減できます。
・データロガー機能付き (C9329)
288
KACCC0222JB
7. フォトセンサアンプ、フォトダイオードモジュール
7-2
[図7-6] サンプルソフトウェアのPC画面例
フォトダイオードモジュール
フォトダイオードモジュールは、Siフォトダイオードまたは
InGaAsフォトダイオードを内蔵し、電流−電圧変換アンプ
を一体化した高精度な光検出器です。
アナログ電圧出力
のため、
電圧計などを使って簡単に信号を観測することが
できます。
フォトダイオードモジュールには、
High/Lowレンジ切り替
え機能が付いています。
検出する光量に応じて適切なレン
ジ選択を行うことで、
高精度な出力を得ることができます。
フォトダイオードモジュールの出力をデジタル信号に変
換するフォトダイオードモジュールコントローラ (別売)も用
[図7-7] 接続例 (C10439シリーズ)
意しています。
PCとシリアル接続 (RS-232C)することによっ
(a) 直流電圧計、オシロスコープと接続
て、
高分解能のデジタル信号 (16ビット)を取得することが
できます。
コントローラに付属したサンプルソフトウェアを
使用することにより、測定データをPCに簡単に取り込むこ
とができます。
なお、測定データを内蔵メモリに記録するこ
とも可能です (データロガー機能)。
コントローラは乾電池
での動作も可能なため、
手軽に使用できます。
特長
KACCC0365JA
・フォトダイオードを内蔵
(b) フォトダイオードモジュールコントローラと接続
Siフォトダイオード 6種、
InGaAsフォトダイオード 2種のタ
イプをラインアップしています。
章
・電圧出力のため取り扱いが簡単
・High/Lowレンジ切り替え機能付き
11
モジュール
・小型 (名刺の1/2サイズ)
・光学マウント用ロッド (M4)に固定可能
・フォトダイオードモジュールコントローラ (別売)を用意
コントローラ付属のサンプルソフトウェアを使用することに
より、
測定データをPCに簡単に取り込むことが可能です。
KACCC0366JA
[表7-2] 浜松ホトニクスのフォトダイオードモジュール
型名
フォトダイオード
受光面サイズ
(mm)
C10439-01
2.4 × 2.4
C10439-02
5.8 × 5.8
C10439-03
C10439-07
10 × 10
Si
5.8 × 5.8
C10439-09
10 × 10
C10439-10
変換インピーダンス
(V/A)
遮断周波数
Highゲイン: 109
Lowゲイン: 107
Highゲイン:
10 Hz
Lowゲイン:
1 kHz
2.4 × 2.4
C10439-08
φ1
InGaAs
C10439-11
出力
電源電圧
外部電源
(±5∼±12 V)
アナログ
Highゲイン: 106
Lowゲイン: 104
Highゲイン:
1 kHz
Lowゲイン:
100 kHz
φ3
289
7-3
応用例
8.
[図7-8] フォトダイオードモジュールの応用例
(a) 光パワーモニタ、
レーザ/LEDの光量モニタ、照度計
オプティクスモジュール
オプティクスモジュールは、
フォトダイオード (またはフォ
トダイオードアレイ)、
光学系、
信号処理回路(アナログ、
デ
ジタル)、筐体などを一体化したカスタム品の光半導体モ
ジュールです。
当社の半導体プロセス技術・アッセンブリ技術・モジュー
ル技術の複合化により、
お客様の要望に応じた仕様のオプ
KACCC0410JA
ティクスモジュールに対応することが可能です。血液分析
装置においては、
血液の吸光度を測定したり、
血液と試薬
(b) 水質汚染測定
を反応させて光を当てたときの蛍光発光を測定し、
血中の
さまざまな物質の量を検出するために使用されています。
[図8-1] 血液分析装置に用いられるオプティクスモジュール
KACCC0411JA
(c) 糖度計
KACCC0412JA
KACCC0751JA
(d) 漏れ光検知
8-1
特長
・特注品に対応
章
お客様の要望に応じた仕様に対応可能です。
なお、干
11
モジュール
渉フィルタの高精度実装や、基板にフォトダイオードを高
KACCC0413JA
精度に実装するCOB (Chip on Board)技術にも対応して
います。
(e) 印刷物の蛍光検知
・高精度、低ノイズ
・広ダイナミックレンジ
・低クロストーク
KACCC0414JA
・高速応答
(f) ガス/煙検知
8-2
構造
オプティクスモジュールは、主に以下の要素から構成さ
れています。
KACCC0415JA
フォトダイオード
オプティクスモジュールに内蔵するフォトダイオードに
は、高感度・低クロストーク・高速応答といった特長があ
ります。
290
7. フォトセンサアンプ、フォトダイオードモジュール 8. オプティクスモジュール
光学系
蛍光検出用オプティクスモジュール
光学系は、
ビームスプリッタ、バンドパスフィルタ、
レンズ
LEDを励起光源に用いた蛍光検出用オプティクスモ
から構成されます。
試料を透過した光をビームスプリッタで
ジュールの検討を行っています。蛍光検出用オプティクス
分割し、バンドパスフィルタを通して特定波長の光のみを
モジュールは、
励起光源のLED、
励起光と蛍光とを分離す
取り出してフォトダイオードへ入射させます。
るダイクロイックミラー、
特定波長を透過するバンドパスフィ
ルタで構成されます。
信号処理回路
フォトダイオードからの微小光電流を電流−電圧変換ア
ンプにて電圧に変換します。
その後、
アナログ信号を出力
します。
高精度・低ノイズで高速の信号処理が可能です。
[図8-2] ブロック図の例
KACCC0726JA
信号処理回路の多様化
A/D変換器、
マイコンなどを搭載して、信号処理回路の
選択肢を増やすことを検討しています。
KACCC0724JA
8-3
新たな取り組み
特定波長検出用分散型オプティクスモジュール
章
グレーティングを用いて10∼16 ch程度の分光を行う特
11
定波長検出用分散型オプティクスモジュールの検討を進
モジュール
めています。
グレーティングにより分光した光を、
フォトダイ
オードアレイを用いて検出します。
フォトダイオードアレイは
特定波長検出用に最適化されており、不要な光を除去す
るためのカラーフィルタが付いています。
KACCC0725JA
291
9.
[表9-1] 仕様
バランス検出器
項目
受光素子
仕様
InGaAs PINフォトダイオード
2つのフォトダイオードを内蔵した差動増幅型の光−電
受光面サイズ
φ0.1 mm
気変換モジュールです。
それぞれのフォトダイオードの光
感度波長範囲
800∼1700 nm
電流を相殺する向きにフォトダイオードを接続しており、2
周波数帯域
つの入射光のコモンモードノイズを相殺し、微小な光量の
同相信号除去比
差を変位信号としてとらえ、電気信号に変換して出力しま
トランスインピーダンスゲイン
す。
InGaAs PINフォトダイオードを内蔵した感度波長範囲
出力インピーダンス
800∼1700 nmのタイプを用意しています。
9-1
特長
・ 入射光の波長
DC∼200 MHz
25 dB min.
3 × 104 V/A
50 Ω
入力部
FCレセプタクル (APC研磨)
出力部
SMAレセプタクル
電源電圧
±12 V (200 mA)
外形寸法
65 × 75 × 25 mm
1064 nmまたは1310 nmにおい
て多重反射を軽減する構造を採用
9-3
・遮断周波数: 200 MHz
使い方
光の入力については、
2つのFCコネクタ (APC研磨)付シ
・同相信号除去比(CMRR: Common-Mode
ングルモードファイバを使用して、参照光と信号光を入力
Rejection Ratio)
: 25 dB以上
します。
このとき2つの光の光量・位相が均一であれば、
出
・入力部にFCレセプタクルを採用
力はゼロになります。
参照光と信号光に光量の差がある場
FCコネクタ[APC (Angled Physical Contact)研磨]付
合、
その差が変位信号となり、
電気信号に変換されSMAレ
シングルモードファイバを接続可能です。
セプタクルから出力されます。
なお、
出力インピーダンスが
・出力部にSMAレセプタクルを採用
・小型
50 Ωのため、
接続する測定装置の入力インピーダンスを50
Ωにしてください。
[図9-2] バランス検出器の入出力
9-2
章
11
当社の技術
モジュール
特性のそろった2つの当社製フォトダイオードを内蔵して
おり、2つのフォトダイオードの光量の微小な差を検出する
KACCC0722JA
ことが可能です。
また、入射光の多重反射を軽減する構
造を採用しており、多重反射による光の干渉を軽減できま
す。
なお特注対応として、指定された波長における反射を
9-4
新たな取り組み
軽減させることが可能です。
高速タイプ (遮断周波数: 500 MHz)を用意する予定で
[図9-1] ブロック図
す。
また、
Siフォトダイオードを内蔵した感度波長範囲 300
∼1000 nmのタイプを検討しています。
9-5
応用例
医用機器・分析機器などの高精度測定器における
OCT: (Optical Coherence Tomography)に使用される予
定です。
KACCC0721JA
292
9. バランス検出器 10. PSD信号処理回路、PSDモジュール
[図9-3] OCT
10. PSD信号処理回路、
PSDモジュール
当社製PSD (位置検出素子)に適合した設計を採用し
た使いやすい回路・モジュールです。PSD信号処理回路
はPSD (別売)を取り付けて使う基板タイプであり、
PSDモ
KACCC0723JA
ジュールにはPSDが内蔵されています。
10 - 1
PSD信号処理回路
PSD信号処理回路は、PSDからの光電流をI/V変換回
路で電圧に変換します。
その後、信号処理を行いアナログ
電圧を出力するタイプ (アナログ出力タイプ)とA/D変換器
でデジタルデータに変換して出力するタイプ (デジタル出
力タイプ)があります。
構造 (C3683-02)
DC (直流)信号用のPSD信号処理回路 C3683-02は、
図
10-1のように構成されています。PSDからの光電流をI/V
変換回路にて電圧変換し信号処理回路で位置換算して、
アナログ電圧を出力します。
[図10-1] ブロック図 (C3683-02)
章
11
モジュール
KACCC0423JA
[表10-1] 浜松ホトニクスのPSD信号処理回路
型名
適合PSD
C3683-02
1次元
C4674-01
2次元
C9068
1次元
C9069
2次元
対応する信号
出力
変換インピーダンス
(V/A)
応答速度
電源電圧
(V)
アナログ
1 × 104
1 × 105
1 × 106
16 kHz
(遮断周波数)
±15
デジタル
1 × 105
5 ms min.
(信号変換時間)
+12
DC
注) 出力電圧 (単位: V)の値が、受光部の中心からのスポット光の位置 (単位: mm)を表します。
293
使い方 (C3683-02)
構造
C3683-02には、D-subコネクタに接続するための配線用
PSDモジュール C10443シリーズは、
当社製PSD (または
コネクタが付属されています。
オシロスコープ (または電圧
4分割フォトダイオード)とI/V変換回路などをケースに収め
計)・電源と接続するケーブルを配線用コネクタにはんだ
たものです。
付けします (ケーブルは付属していません)。
[図10-3] ブロック図 (C10443-01/-02/-03/-04)
[図10-2] 接続例 (C3683-02)
KACCC0424JB
KACCC0345JB
10 - 2
PSDモジュール
使い方 (C10443-01/-02/-03/-04)
PSDモジュールはPSD (または4分割フォトダイオード)と
I/V変換回路をコンパクトなケースにまとめた位置検出モ
PSDモジュールをPSDモジュールコントローラに接続し
ジュールです。
PSDモジュールコントローラ (別売)とともに
ます。
コントローラから位置信号がアナログとデジタルの
使用することによって、
位置信号をアナログ出力とデジタル
2系統で出力されます。
アナログ出力を利用する場合は、
出力の2系統で取得することができます。
コントローラのコネクタにオシロスコープまたは電圧計を
接続します。
出力電圧 (単位: V)の値が、
受光面の中心か
[表10-2] 浜松ホトニクスのPSDモジュール
型名
受光素子
C10443-01
章
11
C10443-02
受光面サイズ
(mm)
対応する信号
出力
遮断周波数
(kHz)
4×4
2次元PSD
16
9×9
モジュール
AC, DC
C10443-03
外部電源
(±5∼±12 V)
アナログ
12 × 12
C10443-04
C10443-06
電源電圧
160
4分割フォトダイオード
10 × 10
160
注) PSDモジュールとPSDモジュールコントローラ (別売)を組み合わせた場合
・デジタル出力にすることもできます。
・出力電圧 (単位: V)の値が、受光部の中心からのスポット光の位置 (単位: mm)を表すことができます (C10443-06を除く)。
[図10-4] 接続例 (PSDモジュール)
KACCC0349JC
294
10. PSD信号処理回路、PSDモジュール 11. カラーセンサモジュール/評価回路
らのスポット光の位置 (単位: mm)を表します。
デジタル
出力を利用する場合は、PCとコントローラをシリアル接続
11. カラーセンサモジュール
/評価回路
(RS-232C)します。
コントローラに付属されたサンプルソフ
トウェアを使用することによって、簡単に位置情報をPCに
取り込むことができます。
11 - 1
[図10-5] サンプルソフトウェアのPC画面例
カラーセンサモジュール
液晶バックライト (RGB-LED型)の
ホワイトバランス検出用 (C9303シリーズ)
TFT液晶バックライトのRGB-LEDの温度特性や劣化に
よる色の変化の対策として、液晶バックライト導光板のホ
ワイトバランスをカラーセンサモジュール C9303シリーズは
検出します。
その検出結果からRGBそれぞれのLEDの光
量をフィードバック制御して、液晶バックライトの色を安定
化させます。
10 - 3
応用例
C9303シリーズは、液晶バックライト導光板の側面に実
装しやすい小型サイズです。
なお、形状やRGBゲインにつ
・レーザ光軸合わせ
いてカスタム対応が可能です。
・距離センサ
[図11-1] 接続例 (C9303シリーズ)
・液面センサ
・歪み測定
KACCC0420JA
章
[図11-2] RGB-LEDを用いたTFT液晶バックライトの色調整
(C9303シリーズの応用例)
11
モジュール
KACCC0212JE
物体色のRGBデジタル情報の測定用 (C9315)
物体の色を忠実に伝えたい場合、
カメラでは背景光や
感度で色が変わってしまいますが、
カラーセンサモジュー
ル C9315を用いると簡単に物体色を数値化することができ
ます。
C9315は、
光源を一定にして検出する刺激値直読法
に類似した方式を用い、
簡易的な物体色管理が可能です。
「分光反射率が近い不透明物体」同士の色差を相対的
に比較して監視をする用途では、
十分に実用が可能です。
295
[図11-3] 接続例 (C9315)
C9315は対物ファイバ付きで、
白色LEDからの光の反射
光をRGBカラーセンサが検出してRGBのデジタル出力を
行います。
なお、対物ファイバによって、微小エリアを測定
することができます。
C9315はPCを用いて簡易的に色の管理をしたり、
相対的
に分光反射率の異なる色の差を検出するのに適していま
す。
なお、
絶対色の検出用としては使うことはできません。
出力はRS-232C準拠の12ビットデジタル出力です。付属
のサンプルソフトウェアによって、PCにデータを取り込むこ
KACCC0421JA
とができます。
RGBの色情報を数値化して、
リアルタイムで
Microsoft® Excel®に直接に転送することが可能です。
[図11-4] サンプルソフトウェアのPC画面例 (C9315)
注) Microsoft、Excelは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の
国における登録商標です。
[表11-1] 浜松ホトニクスのカラーセンサモジュール/評価回路
製品名
型名
章
11
カラーセンサ評価回路
C9303-03
C9303-04
C9315
C9331
標準タイプ
高ゲインタイプ
液晶バックライト (RGB-LED型)の
ホワイトバランス検出用
液晶バックライト導光板の側面に
付く小型設計
物体色のRGB情報の測定用
白色LEDの光源をもち、反射光を
RGBデータに変換してPCに出力
対物ファイバで微小エリアを測定
12ビットデジタル出力 (RS-232C準拠)
当社製カラーセンサ (S7505-01,
S9032-02)を実装できる電流ー
電圧変換アンプ
光源を搭載
×
○ (白色LED)
×
カラーセンサ
を搭載
○
○
×
−
可変 (1 × 105 Ω∼5.1 × 105 Ω)
デジタル出力周期: 0.2 s
DC∼14 kHz (-3 dB)
写真
モジュール
特長
変換インピー
ダンス
帯域
R: 680 kΩ
G: 680 kΩ
B: 680 kΩ
R: 91 kΩ
G: 91 kΩ
B: 100 kΩ
DC∼16 kHz
(-3 dB)
DC∼2.4 kHz
(-3 dB)
用途
液晶バックライト (RGB-LED型)の
ホワイトバランス検出
RGBカラーセンサ S9032-02の評価
物体色の測定
×
(光源と光学系を別途用意する必要がある)
光源色の測定
○
付属品
296
カラーセンサモジュール
コネクタ付専用ケーブル
物体色の測定
不透明体 (成型品、塗装、印刷、
化粧品など)の色監視
簡易的に色差を検知
光源色の測定
S7505-01・S9032-02の評価
○
×
(光源と光学系を別途用意する必要がある)
×
○
専用ACアダプタ
サンプルソフトウェア
(データ取り込み、記録、
CIE非準拠の相対色度 Yxy表示)
白基準カード
−
11. カラーセンサモジュール/評価回路 12. イメージセンサ応用製品
[図11-5] 不透明物体同士の色差を比較して監視 (C9315の応用例)
12. イメージセンサ応用製品
当社のイメージセンサを簡単に評価・試用できるように、
主要なイメージセンサに対応した駆動回路やマルチチャ
ンネル検出器ヘッドを用意しています。駆動回路はボード
タイプで、
イメージセンサの評価を安価に行うことができ、
装置への内蔵も可能です。
マルチチャンネル検出器ヘッド
KACCC0422JA
は、駆動回路を放熱性に配慮した筐体に内蔵した製品で
す。筐体は光学系との接続が容易で、製品によってはレン
11 - 2
ズマウントアダプタを含んでいます。
駆動回路とマルチチャ
カラーセンサ評価回路
ンネル検出器ヘッドは、以下から構成され、
イメージセンサ
C9331は当社製カラーセンサ (S7505-01, S9032-02)の
の特性を最適に評価できる仕様となっています。
評価回路です。
RGBそれぞれの光電流を同時に電圧変換
・電源部
して出力する電流−電圧変換アンプを搭載しています。光
・イメージセンサ駆動用タイミング発生器
電流のゲインをRGBの色別に3個のトリマでそれぞれ調整
・ビデオ信号処理回路
することができます。
・A/D変換器
・コントローラ
[図11-6] 接続例 (C9331)
・各種PC用デジタルインターフェース
付属のアプリケーションソフトウェアを使うことによって、
PCと接続して各種パラメータの設定、
データ取得・解析な
どを簡単に行うことができ、
センサの特性評価を短時間に
効率よく行うことが可能です。
なお、形状・サイズ・インター
フェースのタイプなどについて駆動回路・マルチチャンネ
KACCC0419JA
ル検出器ヘッドのカスタム対応も可能です。
各種イメージセンサ (CCDリニア/エリアイメージセン
サ、CMOSリニアイメージセンサ、InGaAsリニア/エリア
章
イメージセンサ)に対応した製品を豊富に用意していま
11
す。
また、
USBやCamera Link、
Ethernetなど汎用インター
モジュール
フェースに対応しています。USBタイプは、PCのUSBポー
トに接続して使用できます。
Camera Linkタイプは、
高速大
容量の画像データを扱う用途に使われており、
当社製品
はフレームグラバボードメーカーから販売されている汎用
のCamera Linkフレームグラバボードに対応しています。
Ethernetタイプは、
産業用など、
制御用PCとデバイス間が
離れていてケーブル長が長くなり、高速性も要求される用
途を想定しています。
[図12-1] CCDリニアイメージセンサ用駆動回路 C11165-01
297
[図12-2] InGaAsマルチチャンネル検出器ヘッド C11512
12 - 3
使い方
付属のアプリケーションソフトウェアとドライバをPCに
インストールするだけで、すぐにデータ収集が可能です。
関数ライブラリ (DLL)も付属しているため、
ユーザサイド
で、
Microsoft® Visual C++®、
Microsoft Visual Basic®、
LabVIEW®などの開発環境において、
ソフトウェア開発を
効率よく行うことができます。
Camera Linkタイプについては、市販のフレームグラバ
ボードとCamera Link規格準拠のケーブルを用い、
フレー
ムグラバボード付属のアプリケーションソフトウェアおよび
DLLを使用してユーザサイドで独自のソフトウェアの開発
特長
12 - 1
を行うことができます。
・16ビット (または14ビット)高精度A/D変換器内蔵
・オフセット、ゲイン調整機能を内蔵
・さまざまな外部トリガモードによるデータ取得が可能
注) Microsoft、Visual C++、Visual Basicは、米国Microsoft Corporationの
米国およびその他の国における登録商標です。LabVIEWは、National
Instruments社の登録商標です。
[図12-4] アプリケーションソフトウェア画面例
・USBやCamera Linkなど汎用インターフェースを搭載
・小型: 装置への組み込みが可能
構成
12 - 2
[図12-3] ブロック図 (代表例: C11287)
章
11
モジュール
KACCC0728JA
[表12-1] 浜松ホトニクスのイメージセンサ応用製品
型名
C11287
C11288
C11160
C11165-01
C12564
C10854
C11512シリーズ
C11513
C11514
298
製品名
インターフェース
S10420-01シリーズ, S11510シリーズ
CCDエリアイメージセンサ用駆動回路
CCDリニアイメージセンサ用駆動回路
S11071シリーズ
USB
InGaAsエリアイメージセンサ用駆動回路
S11151-2048
S11155-2048-01, S11156-2048-01
CMOSリニアイメージセンサ用駆動回路
InGaAsマルチチャンネル検出器ヘッド
適合イメージセンサ
S12198シリーズ
Camera Link
G10768シリーズ
G11097シリーズ
USB
G11135-512D, G11477-256D
G11478-256D
Camera Link
G11135-32S/-64S
12. イメージセンサ応用製品 13. 特定機器モジュール
[図12-5] 接続例 (C11287)
13. 特定機器モジュール
13 - 1
フレームアイ
フレームアイは、石油給湯器や暖房機器における炎検
知用のセンサです。炎から放射される光を検出し、燃焼状
態を観察します。
フレームアイには、
従来品CdSセルの代わりにフォトICダ
イオードを内蔵しています。CdSセルを用いたタイプに比
べ、
安定した検出が可能です。
センサをケーブルアッセンブリに一体化しており、実装
を簡単に行うことができます。
光入射方向の異なる2タイプ
KACCC0729JA
(ヘッドオンタイプ、
サイドオンタイプ)を用意しています。
特長
12 - 4
新たな取り組み
・フォトICダイオードを内蔵
多角化・高速化が進む新規イメージセンサに対応する製
フォトダイオードから発生する光電流を約13000倍に増
品を充実させる一方、
自社製信号処理ASICの開発を進めま
幅して出力するフォトICダイオードを内蔵しています。
電流
す。
また、
新規PC用インターフェースや産業用インターフェー
出力であり、
逆電圧を印加したフォトダイオードと同等に使
スの規格に対応した製品を迅速に開発していきます。
用することができます。
・オイルバーナー光の検出に適した分光感度特性
・ケーブル付きのため機器への取り付けが容易
・出力電流のバラツキが小さく、良好な出力直線性
章
[図13-1] フレームアイ
11
モジュール
使い方
CdSセルと異なり、
フォトICダイオードには極性 (アノー
ド、
カソード)があるため、接続時は必ずカソード側に+電
位が加わるようにバイアスして使用してください。
また、
後段の回路を考慮して負荷抵抗 (RL)の設定をす
る必要があります。
高周波成分を除去したい場合は、
負荷
抵抗と並列にローパスフィルタ用負荷容量 (C L)を挿入し
て使用することを推奨します。
ローパスフィルタ用負荷容量
の挿入時の遮断周波数 (fc)は式 (1)で表されます。
299
fc ≒ 1/(2π × CL × RL) ............ (1)
・オートライトセンサ
必要に応じてケーブルのシールド、
コンデンサの追加
(フォトICダイオードのアノード/カソード間に0.1 µF程度
周囲光量を検出し、
トンネルなどでヘッドライトを自動的
に点灯させます。
・ヘッドアップディスプレイ調光センサ
のもの)などのノイズ対策を実施してください。
周囲の明るさを検出してヘッドアップディスプレイの明る
[図13-2] 接続例
さを自動調光します。
・簡易的な日射測定
13 - 3
Siフォトダイオードアレイ用駆動回路
当社製16素子Siフォトダイオードアレイ用の駆動回路で
す。16素子の各信号を同時に読み取ることによって高精
度/高速測定が可能です。
出力は信号処理をしやすい電
KPICC0125JB
圧出力です。
基板には、
はんだ付け用スルーホールがあるため、16素
応用例
子Siフォトダイオードアレイを直接実装することができます。
なお、
市販のサブ基板を利用すれば、
当社製16素子InGaAs
・石油給湯器
・暖房機器
・熱機器の安全装置
PINフォトダイオードアレイの評価用にも使用できます。
特長
・16素子を同時に測定、シリアル出力
・警報機
16素子の信号を同時に読み取ることによって高精度/
13 - 2
章
11
日射センサ
日射センサは、
日射量や周囲光量を検出します。
入射光
量に対して優れた直線性をもったフォトダイオードが、
小型
モジュール
のコネクタ付ケースに内蔵されています。高信頼性を実現
しており、車載のオートエアコン用日射センサなどに使用
することができます。
高速測定が可能です。
・パルスジェネレータを搭載
発振周波数は、
スイッチによって8段階に切り替える
ことができます。
・ゲイン: 2段階に設定可能
(1 × 106 V/A, 1 × 107 V/A)
・ノイズ: 5 mVp-p (1 × 106 V/A)
特長
・高信頼性 (車載用に対応)
・カバーの光学設計により、用途に合わせて指向性の
調整が可能
・用途に応じた受光素子 (可視光センサ、近赤外光セ
ンサ)の選択が可能
・ダッシュボードへの取り付けに適したカバー形状
応用例
・日射量センサ
日射量を検出し、
車載オートエアコンの温度や風量を制
御します。
300
・基板サイズ: 70 × 95 mm
使い方
当社製16素子Siフォトダイオードアレイを基板上に実装
します。
電源はACアダプタ (付属品)から供給します。
13. 特定機器モジュール
[図13-3] 接続例
KACCC0426JB
応用例
・色測定 (印刷、紙、火炎、インキ、液体など)
・膜厚測定 (SiO2膜、光レジスト膜、フィルム、油膜など)
・発光測定 (プラズマモニタ、太陽光、光源やファイバ
の品質管理)
・非破壊測定 (果実、穀物、土壌、プラスチック、血液、
油など)
・濃度測定 (薬液、メッキ液、エッチング液など)
・簡易位置計測
章
11
モジュール
301