2013 年 1 月 こ の 号 の 内 容 コールド・クランクやロード・ダンプに シームレスに対応する入力電圧範囲 2.7V ∼ 40V のモノリシック昇降圧 DC/DC コンバータ 9 第 22 期第 4 号 高精度(±1℃)の温度センサによる システム性能と信頼性の向上 Christoph Schwoerer、Gerd Trampitsch ±4.75V ∼ ±70V で動作する高精度 モノリシック・オペアンプ 14 2 ノイズの多い大規模な I C システム設 計をバス・バッファで簡略化 17 高性能、高密度実装のシステムが増えてくるにつれて、熱の問題をどのように処 理するかがこれまでになく重要になってきました。多くのシステムでは、冷却シス テムの能力が全体の性能の向上を大きく制約するようになってきています。通常 の冷却用部品、たとえば場所を取るヒートシンク、電力を消費し、騒音を発生する (あるいは静かだが高価な ) ファンによって、高密度実装システムのサイズ削減 が思うように進められないことが多くなっています。システ ムの性能を最大限に上げ、必要以上の冷却を避けつつも 電子機器の安全性を確保するための最善の方法は、シス テム全体を通じた正確な温度監視を行うことです。 このことを念頭に置いて、リニアテクノロジーは、システム全体に容易に展開できる 高精度温度モニタ・ファミリを開発しました。このファミリのラインナップは以下の とおりです。 • LTC®2997 は、デバイス自体の温度または外付けダイオードの温度を正確に測 定します。 • LTC2996 は、測定した温度を上限、下限のしきい値と比べ、オープンドレイン のアラート出力を介して異常の発生を伝える機能を追加しています。 • LTC2995 は、LTC2996 と 2 つの電源電圧モニタを組み合わせることにより、 温度の測定、しきい値と温度の比較、さらに 2 つの電源電圧の監視が可能です。 (2 ページへ続く) 『Analog Circuit Design, Volume 2』、現在販売中。3 ページ参照。 www.linear-tech.co.jp この号の内容 COVER STORY 高精度(±1℃)の温度センサによる システム性能と信頼性の向上 Christoph Schwoerer、Gerd Trampitsch (LTC299x、1 ページからの続き) 1 LTC2997:小型の高精度温度センサ 2mm×3mm の 6 ピン DFN パッケージに収められた LTC2997 は、図 1 に示すように FPGA DESIGN FEATURES またはマイクロプロセッサの温度測定に最適です。 コールド・クランクやロード・ダンプにシーム レスに対応する入力電圧範囲 2.7V ∼ 40V の モノリシック昇降圧 DC/DC コンバータ John Canfield ±4.75V∼±70V の範囲で動作し、レール・トゥ・ レールの出力振幅と低入力バイアス電流を特長と するモノリシック・オペアンプ Michael B. Anderson 温度測定のために、 LTC2997 は FPGA またはマイクロプロセッサの温度監視用ダイオー ドに測定用の電流を流し、ダイオードの温度に応じた電圧を VPTAT 端子に出力します。 9 ダイオードを用いた場合の測定誤差は、0℃∼ 100℃および 40℃∼ 125℃という広い温度範 14 2 ノイズの多い大規模な I C システムの設計を バス・バッファで簡略化 Rajesh Venugopal LTC2997 は VREF 端子から 1.8V の基準電圧も出力します。これは、FPGA またはマイクロ プロセッサに内蔵された A/D コンバータの基準電圧として使用できます。外部の温度監視用 囲で、それぞれ ±1 ℃および ±1.5 ℃以下であることが保証されています。標準的な温度測 定誤差は、図 2 に示すように良好です。 また、 D+ ピンを VCC ピンに接続すれば、 LTC2997 に内蔵したダイオードを温度センサとし 17 て使用することができます。VPTAT の電圧には 4mV/K の勾配があり、 3.5ms ごとに更新さ れます。 理想ダイオードおよびホットスワップ・コントロー ラによる電源の二重化と障害状態の切り分け Chew Lye Huat 24 Gabino Alonso 電流および温度モニタ機能を備えた 20V、 2.5A 同期整流式モノリシック降圧レギュレータ K. Bassett 大電流電源における正確なマルチフェーズ 電流分担を実現するサブ・ミリオーム DCR 電流センス Muthu Subramanian Tuan Nguyen Theo Phillips パワーシステムマネージメント機能を備えた 高性能、単相 DC/DC コントローラ LTC2997 は、複数のテスト用電流を流してダイオードの電圧を測定し、それらの結果からプ ロセス依存の誤差や直列抵抗による誤差を取り除くことにより、見事な高精度を実現します。 DESIGN IDEAS LTspice IV の最新情報 動作原理 ダイオードに関する等式は、T について次のように解けます。ここで、T はケルビン温度、IS は 30 10–13A 程度のプロセス依存係数、η はダイオードの理想係数、k はボルツマン定数、q は電 子の電荷です。 32 T= q VD • η • k ln ID I S この等式では、温度と電圧の間に相関があり、プロセス依存変数 IS に依存します。IS の値が同 34 Yi Sun 37 back page circuits 40 じダイオードを 2 つの異なる電流で測定して解くことにより、IS に依存しない式が得られます。 (4 ページへ続く) 図 1.リモート CPU 温度センサ 2.5V TO 5.5V 0.1µF D+ CPU/ FPGA/ ASIC 2 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation VCC VREF 1.8V LTC2997 470pF D– GND VPTAT 4mV/K リニアテクノロジーのニュース リニアテクノロジーの ニュース 書籍『Analog Circuit Design』の続編を刊行 Elsevier Science & Technology Books 社 の Newnes Press か ら 待 望 の『Analog Circuit Design, Volume 2』が 出 版 さ れ まし た。新 刊『 Analog Circuit Design, Volume 2, Immersion in the Black Art of Analog Design』は、業界の権威である Bob Dobkinと 故 Jim Williams によって編集され、第 1 巻より も広い範囲のアナログ回路設計技術を収めた 1250 ページに及ぶ大著です。 本書ではパワー・マネージメントについて重点 的に取り上げており、パワー・マネージメントの 手引き、スイッチング・レギュレータの設計、リ ニア・レギュレータの設計、発光素子への電力 供給、および自動車用電源と産業用電源の設計 などについて論じています。そのほかにも、デー タ変換、シグナル・コンディショニング、および 高周波 /RF といった幅広いテーマについても述 べられています。本書は、豊富な回路集とともに、 さまざまなアプリケーションにおける数多くの実 用例が示されていることも本書の特徴です。 『Analog Circuit Design, Volume 2』の読者は、 Bob Dobkin、 Jim Williams、 Carl Nelson、 Bob Widlar やその他多くの技術者の見識、技 法、そして興味深い設計手法にふれることがで きます。詳 細 につ いては、 www.linear-tech. co.jp/designtools/acd_book.php をご覧くださ い。 『Analog Circuit Design, Volume 2』は、 Elsevier のリンクをクリックすると書籍表示価格 の 30% 引きで購入できます。上記のページの まで直列に接続された 4.2V までの電池セルを、16 ビッ トの分解能で、 0.04% 以上 の高い精度で測定できます。 この精度は、高精度の測定 器で使われる基準電圧源と 同じ埋め込み型ツェナーに より実現されており、長期間 にわたり、全温度範囲、全動作条件で精度が維 Advanced Automotive Battery Conference 持されます。LTC6804 を直列接続することによ ( 最 先 端 の 自 動 車 用 バッテリに 関 する会 議 )、 会 場: り、高電圧システムのすべてのセルの電圧を測 PasadenaConvention Center(カリフォルニア州)、日 定できます。 リニアテクノロジ ー の 設 計 マネージャである 「LTC6804 は、私共の 30 年 Mike Kultgen は、 に及ぶアナログの経験と、自動車用バッテリ管 理分野で得た経験の結晶とも言えるものです。」 と述べています。 リニアテクノロジー独自の 2 線式 isoSPI™ イン 者会見で発表しました。このデバイスは、12 個 定 )」につ いて発 表します。詳 細 につ いては、 www.advancedautobat.com/conferences/ automotive-battery-conference-2013/index. html をご覧ください。 APEC 2013、 Applied Power Electronics ことができます。LTC6804 は姉妹デバイスの 場:Long Beach Convention Center(カリフォルニ LTC6820 isoSPIトランシーバと連携して動作 ア州)、日程:2013 年 3 月 17 日∼ 21 日、小間番号 1111 します。これにより、最長 100 メートルの絶縁 & 1113:リニアテクノロジ ー の 広 範 な 高 性 能 境界間でシリアル・ペリフェラル・インタフェース (SPI)バスの双方向伝送が可能になります。 詳 細 に つ い て は、 www.linear-tech.co.jp/ product/LTC6804 お よ び www.linear-tech. co.jp/product/LTC6820 にアクセスしてくだ さい。 カーエレ JAPAN 2013、第 5 回国際カーエレクトロニクス LTC6804 を、ヨーロッパ、アジア、アメリカの記 Stack(電気自動車のバッテリ・スタックの測 Conference(応用パワー・エレクトロニクス会議)、会 できます。 車用の次世代バッテリ・スタック・モニタである 介 Erik Soule が「Measuring the EV Battery 離にわたって相互に接続し、同時に動作させる 会議およびイベント リニアテクノロジーは、ハイブリッド / 電気自動 テクノロジーのバッテリ管理ソリューションを紹 タフェースを使用して複数の LTC6804 を長距 末尾にある Amazon のリンクから購入することも ハイブリッド / 電気自動車用の次世代バッテリ・ スタック・モニタ 程:2013 年 2 月 4 日∼ 8 日、小間番号 300-301:リニア 技術展、会場:東京ビッグサイト、日程:2013 年 1 月 16 日 ∼ 18 日、東 2 ホール、小間番号:東 11-49:LTC6804 バッテリ管 理システムなどの自動 車 用アプリ ケーション・ソリューションに重点。詳細につい ては、www.linear-tech.jp/car-ele2013 をご覧 ください。 パワー・ソリューション・ラインナップを紹介。 Brian Shaffer が「Advancements in Energy Harvesting Transducers & the Challenges They Present for Power Management Solutions(環境発電用トランスデューサの進歩 とパワー・マネージメント・ソリューションに提 起する課題)」について発表します。詳細につい ては、www.apec-conf.org/ をご覧ください。 Electronica China 2013、 会 場:Shanghai New International Expo Centre(中国、上海)、日程:2013 年 3 月 19 日∼ 21 日、E1 ホール、小間番号 1332:リニア テクノロジーは、自社の高性能アナログおよびパ ワー・マネージメント製品群を展示します。詳細 につ いては、www.electronicachina.com/en/ home をご覧ください。n 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 3 2mm×3mm の 6 ピン DFN パッケージに収められた LTC2997 は、マイクロプロセッサの温度 監視用ダイオードを用いて FPGA またはマイクロプロセッサの温度を測定するのに最適です。 この構成での測定誤差は、0℃∼ 100℃および 40℃∼ 125℃という広い温度範囲で、それぞれ ±1℃および ±1.5℃以下であることが保証されています。 (LTC299x、2 ページからの続き) 自然対数の項の値は 2 つの電流の比率となり、 図 2.温度誤差と温度(リモート・ダイオードと同じ温度の 離れたダイオード・センサの値を読み取るデバ LTC2997) イスとして最適です。実際には、最大距離は配 プロセスには依存しません。 3 q V – VD1 T= • D2 η •k ID2 ln ID1 量が 1nF より大きくなると、検出電流を変えた際 のセンサ電圧のセトリングに時間がかかり、温 テスト電流での測定電圧を増やす方向に働くの で測定誤差の要因になります。合成された電圧 は次のとおりです。 TRMT ERROR (°C) 2 外部のダイオードと直列に入る抵抗成分は、各 VD + VERROR = η 線抵抗よりも配線容量によって制限されます。容 TINTERNAL = TREMOTE 度測定誤差が生じます。たとえば、長さ 10m の 1 CAT 6 ケーブルの容量は約 500pF です。 0 多くのリモート・ダイオード・センサとは異なり、 –1 LTC2997 は更新時間が 3.5ms と短く、測定間 –2 定アルゴリズムを備えているので、急速に変化 隔の間の温度変動にも対応できる堅牢な温度測 kT I • ln D + RS • ID I S q –3 –50 ここで、RS は直列抵抗成分です。 する温度にも正確に追従します。LTC2997 デ –25 0 LTC2997 は、キャンセル電圧を差し引くこと により、センサ信号からこの誤差項を除去しま す( 図 3a を 参 照 )。抵 抗 抽 出 回 路 は、 1 つ の 追 加 測 定 電 流(I3)を使 用して測 定 経 路の直 列抵抗を求めます。抵抗値が正しく決まると、 VCANCEL は VERROR に等しくなります。これで、 温度 / 電圧コンバータの入力信号には抵抗成分 図 3.直列抵抗のキャンセル 25 50 TA (°C) 75 125 100 バイス全体を氷水につけた直後に沸騰水につけ た際の LTC2997 の内部センサのステップ応答 を図 4 に示します。 による誤差がなくなりますので、電流 I1 および I2 を用いてセンサ温度を求めることができます。 温度制御ループに応用した場合、 LTC2997 に はデジタルの相当品より多くの利点があります。 図 3b に示すように、最大 1kΩ の直列抵抗によっ 応答速度が速いアナログ出力により、デジタル・ て通常発生する温度誤差は 1 ℃未満です。この システムで要求される複雑さの多くを取り除くこ ため LTC2997 は、温度管理システムから数 m とができます。たとえば、75℃に安定化するヒー a.簡略ブロック図 b.温度誤差と直列抵抗 6 LTC2997 I1, I2 I3 4 ERROR (°C) 2 D+ RSERIES RESISTANCE EXTRACTION CIRCUIT VERROR VBE D– + – VCANCEL = VERROR 0 –2 VBE TEMPERATURE TO VOLT CONVERTER VPTAT –4 –6 4 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation 0 200 400 600 800 1000 SERIES RESISTANCE (Ω) 1200 設計特集 温度制御ループに応用した場合、LTC2997 にはデジタルの相当品より 多くの利点があります。応答速度が速いアナログ出力により、デジタル・ システムで要求される複雑さの多くを取り除くことができます。 図 4.LTC2997 の内部センサの熱ステップ応答 MEASURE TEMPERATURE AND SET TARGET TEMPERATURE WITH RESISTIVE DIVIDER INTEGRATE TEMPERATURE ERROR PWM OSCILLATOR 5V 125 100µF LTC2997 CONNECTED VIA 5 INCH 30AWG WRAPPING WIRES 100 0.1µF VPTAT (°C) 75 VCC VPTAT D– AIR –50 0 1 GND 4 200k ZXM64PO35 5V – 100k + VREF + 22k BOILING WATER 3 2 TIME (s) – LTC6079 0 ICE –25 WATER 1k LTC2997 470pF 25 100pF 10M D+ 50 10M VTARGET 75k VREF 100k LTC6079 CET 3904 1M 10Ω RHEATER 5 ターに組み込まれた LTC2997 を図 5 に示しま 図 5.75℃のアナログ PWM ヒーター・コントローラ す。この用途では、基準電圧出力と分圧抵抗を 0.1µF 用いて 1.392V (= [75 + 273.15]K • 4mV/K) の目標電圧を生成しています。 150k 2.5V TO 5.5V 0.1µF 初段のマイクロパワー・レール・トゥ・レール・ D+ アンプ(LTC6079)は、LTC2997 の VPTAT 出 VCC 5V VREF 1.8V LTC2997 力と目標電圧の差を積分します。積分誤差信号 D– は PWM 発振器によってパルス幅変調信号に変 VPTAT 4mV/K 100k 1k GND 換され、この信号が PMOS のスイッチを駆動し – (図 7)冷接点補償付きの熱電対温度計(図 8) 7 LTC1150 1 + 4 62k 10mV/°C 0V AT 0°C 1µF 143k –5V て、加熱用抵抗に流れる電流を制御します。 LTC2997 は、摂氏温度計(図 6)、華氏温度計 1.8k 図 6.摂氏温度計 を始め、正確で高速な温度測定が要求される、 0.1µF あらゆるアプリケーションで使用することができ ます。 255k 2.5V TO 5.5V 0.1µF D+ VCC VREF 1.8V LTC2997 D– VPTAT GND 4mV/K 100k 5V 270k – 7 LTC1150 1 + 4 62k 10mV/°F 0V AT 0°F 1µF –5V 図 7.華氏温度計 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 5 多くのリモート・ダイオード・センサとは異なり、LTC2997 は更新時間が 3.5ms と短く、測定間隔の間の温度変動にも対応できる堅牢な温度測定 アルゴリズムを備えているので、急速に変化する温度にも正確に追従します。 LTC2996 温度モニタ 5V LTC2996 では LTC2997 にしきい値入力 VTH + OUT = 4mV/K LTC6078 TYPE K THERMOCOUPLE – 1.3k 127k 5V 10k い値と VPTAT とを常に比較します。図 9 に示す ように、しきい値の電圧は内蔵の基準電圧に分 5.6pF 0.1µF VCC D+ 圧抵抗を接続することにより簡単に設定できま VPTAT す。 LTC2997 D– GND および VTL が追加されており、高温異常(OT) または低温異常(UT)を検出するために、しき 図 9 のリモート・ダイオードの温度が 70℃より高 VREF くなると、 VPTAT ピンの電圧は VTH ピンの高 温しきい値を超えます。LTC2996 はこの温度 超過状態を検出し、OT ピンを L にすることに より、温度制御システムにアラートを通知します。 図 8.冷接点補償付きの熱電対温度計 同様に、温度が -20 ℃より低くなると、 UT ピン を介して通知します。LTC2996 は、温度が対応 するしきい値を超える状況が、 3.5ms ごとの更 2.25V TO 5.5V 0.1µF 1.8V VCC VREF 43k OT LTC2996 UT VTH 36k VPTAT VTL 102k 新間隔換算で連続 5 回に達すると、オープンド OT T > 70°C UT T < –20°C TEMPERATURE CONTROL SYSTEM ので、多くのアプリケーションでは外付け抵抗は 不要です。 470pF 図 9.温度超過しきい値と温度低下しきい値を備えた GND ピンおよび UT ピンには、VCC ピンとの間に弱 い 400k の内部プルアップ抵抗が内蔵されてる 4mV/K D+ リモート温度モニタ レインのアラート出力をプルダウンします。OT MMBT3904 図 10 に示すように、 LTC2996 を使用して、電 D– 池など異常な温度に弱いデバイスを、決められ た範囲内の温度に維持するヒステリシス制御を 実現できます。 5V 1.8V 30.9k 40.2k VREF 1.09V 1.49V VCC このアプリケーションでは、低温側しきい値が 0.1µF 10Ω RHEATER VPTAT LTC2996 VTH OT VTL D+ HIGH IF T < 0°C MMBT3904 B6015L12F 極的に利用したものです。この設定では、温度 470pF が決められた範囲内に収まっている間は、UTと D– UT きい値は 0 ℃に設定されています。この設定は 一見すると上下逆のようですが、しきい値を超え IRF3708 ると OT および UT がプルダウンされることを積 110k GND 100 ℃に設定されているのに対して、高温側し HIGH IF T < 100°C 2N7000 OT の両方が NMOS のゲートをプルダウンする ことにより、加熱用抵抗および冷却ファンはオフ になります。温度が 100℃を超えると、低温側の 図 10.バンバン・コントローラによる 0℃∼100℃の温度の維持 6 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation 設計特集 LTC2996 では LTC2997 にしきい値入力 VTH および VTL が 追加されており、高温異常(OT)または低温異常(UT)を検出 するために、しきい値と VPTAT とを常に比較します。 実際、電池を積み重ねて直列に接続した場合、 いずれかの電池の温度が目的の動作範囲から 外れたかどうかをモニタするのに必要な追加の 2.25V TO 5.5V 0.1µF VCC VREF D+ LTC2996 OT 43.2k VTH UT VTL VPTAT BATTERY SUPERVISOR 10k TALERT INT 力)追加すれば十分です。 D– GND LOW IF TEMPERATURE OF ANY CELL TCELL > 70°C OR TCELL < 0°C 温度モニタとデュアル電圧モニタ / スーパーバイザ を兼ね備えた LTC2995 ほぼすべての電子システムでは、温度モニタに 加えて複数の電源の電圧監視が要求されます。 この要求を満たすため、LTC2995 は LTC2996 とデュアル電圧スーパーバイザを組み合わせ 0.1µF VCC VREF て、図 12 に示すように 2 本の電源ラインの過電 D+ LTC2996 圧状態および低電圧状態をモニタします。 OT 43.2k VTH UT VTL VPTAT LTC2995 にはチャネルごとに 2 つの高電圧入 力および低電圧入力が増設されており、これら 28k 110k 子電圧が 2.25V ∼ 5.5V のバッテリ、たとえばリ チウムイオン電池をモニタする場合は、各電池 の温度を監視するのに配線を 1 本(アラート出 28k 110k 配線はわずか 3 本(VCC、GND、およびアラー ト出力)に過ぎません。電池を並列に接続し、端 GND は 500mV の内部リファレンスと常に比較され D– ます。VH1 または VH2 の い ず れ か の 電 圧 が 500mV より低くなると、LTC2995 は UV 出力 ピンを L にすることにより、低電圧状態を警告 します。同様に、VL1 または VL2 のいずれかの 図 11.バッテリ・スタック内の 電池の温度の監視 電圧が 500mV より高くなると、 OV ピンを L にすることによって過電圧状態を示します。 モニタしている電源電圧のノイズによる不必要 なリセットを防止するため、LTC2995 のロー パス・フィルタは、UV または OV をアサートす オープンドレイン出力 UT が内部プルアップによ する目的にも使用できます。損傷した電池、短 りNMOS のゲートを駆動し、ファンがオンにな 絡した電池、または使い古した電池は発熱する ります。同様に、温度が 0℃より下がるとヒーター 場合があり、最悪の場合は発火することがありま がオンになります。 す。LTC2996 は、図 11 に示すように、追加の バッテリ関連では、LTC2996 はいくつかの異な る電池で構成された大型バッテリの温度を監視 配線を最小限に抑えながら各電池の温度を個 別に監視します。 る前にコンパレータの出力を時間積分していま す。コンパレータが出力ロジックを作動させるた めには、コンパレータに入力されるトランジェン トが十分に大きく、ある程度の時間継続する必 要があります。さらに、LTC2995 には、すべて のフォルトが解消された後、UV および OV のア サート状態を保持するための調整可能なタイム 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 7 モニタしている電源電圧のノイズによる不必要なリセットを防止するため、LTC2995 の ローパス・フィルタは、UV または OV をアサートする前にコンパレータの出力を時間 積分しています。コンパレータが出力ロジックを作動させるためには、コンパレータに 入力されるトランジェントが十分に大きく、ある程度の時間継続する必要があります。 アウト期間(tUOTO)があります。この遅延により、 にすると、LTC2995 は「ピンポン」モードになり、 まとめ 周波数が 1/tUOTO を超えるノイズの影響が最小 内部ダイオードと外付けダイオードの測定を約 リニアテクノロジーの高精度温度センサ / モニタ 限に抑えられます。さまざまなアプリケーション 20ms の周期で交互に行うようになります。 に対応するために TMR ピンとグランドの間にコ ンデンサ(CTMR)を接続することによってタイ ムアウト期間(tUOTO)の調整が可能です。 LTC2995 は、LTC2997 や LTC2996 よりも柔 の新ファミリは、内部ダイオードまたは外付けダ イオードをセンサとして使用して、測定した温度 最後に、LTC2995 は極性選択(PS)ピンを使用 に比例するアナログ出力を発生することができ して、2 つの温度しきい値を両方とも超過温度 ます。このファミリは、小型の温度センサから、 の制限値または両方とも低下温度の制限値に設 範囲外の状態を通知できる複合型の温度およ 定できます。この機能により、システムは温度の 軟性の高い温度測定機能およびモニタ機能を備 変化のレベルに合わせて対応することができま えています。後者のデバイスは、外付けダイオー す。たとえば図 12 に示すように、温度が 75℃よ ドが接続されると必ず外部モードに切り替わる り高くなったら(たとえばファンをオンに切り替え ので、D+ を VCC に接続して内部ダイオードを測 るために)注意の信号を受け取り、 125℃より高 びデュアル電圧スーパーバイザに及んでいます。 これらのデバイスを用いることにより、複雑さを 最小限に抑えつつ、アナログ温度制御ループの 構築や、温度(および電圧)のモニタを簡単に行 定する必要がありますが、LTC2995 にはダイ くなったら(システムをオフに切り替えるために) オード選択(DS)ピンが追加されているので、動 アラートを受け取るようにすることなどが考えら 作中に内部ダイオードと外付けダイオードを切り れます。 うことができます。n 替えることができます。DS ピンをフロートのまま 図 12.±10% のデュアル OV/UV 電源と 75℃ /125℃の OT/OTリモート温度モニタ ASIC/ CPU/ FPGA 2.5V 1.2V D+ 470pF VCC 0.1µF D– PS DS 64.4k VH1 LTC2995 10.2k デジタル出力が必要なら LTC2990 および LTC2991 は、デジタルの I2C 出力および制御だけでなく、電圧および電流 の監視機能も備えています。詳細については、 www.linear-tech.co.jp/2990 または www.linear-tech.co.jp/2991 をご覧ください。 8 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation VPTAT VL1 45.3k TO2 194k TO1 VH2 OV 10.2k UV VL2 45.3k TMR GND 5nF 140k VT1 VT2 20k VREF 20k A/D OT T > 125°C OT T > 75°C +10% –10% 設計特集 コールド・クランクやロード・ダンプにシームレスに 対応する入力電圧範囲 2.7V ∼ 40V のモノリシック 昇降圧 DC/DC コンバータ John Canfield ハンドヘルド機器、産業用計測器、および車載用電子機器では、入力電圧トランジェント、配線抵抗による 電圧降下、および各種の入力電源に対応するために、広い範囲の入力電圧から動作できる電源ソリューショ ンが求められます。多くの場合、入力電圧範囲に含まれてしまう数種類の出力電圧レールをどうやって実現 するのか、が設計上の課題として浮かび上がってきます。昇降圧 DC/DC コンバータ LTC3115-1 は、入力 電圧および出力電圧の範囲が 2.7V ∼ 40V と広く、高効率で実装面積が小さく、昇圧モードと降圧モードの 間をシームレスに遷移できるので、こうしたアプリケーションの要件を容易に満たします。 LTC3115-1 は車載用電子機器におけるロード・ さらに、設計工数を削減する取り組みの一環と ダンプや最も過酷なコールド・クランクにおい して、多くの製品ファミリでは、複数の製品バー ても絶え間なく動作します。プログラム可能なス ジョンにわたって共有される単一電源設計を採 イッチング周波数により、変換効率を最適化す 用しています。このためには、ファミリに含まれ ることができる他、スイッチング・ノイズおよび るすべてのデバイスで生じる可能性がある最大 高調波を AM 放送帯域より高い周波数に設定す の入力電圧範囲を、共通の電源でサポートする るために、2MHz での動作がサポートされます。 ことが要求されます。LTC3115-1 は、入力電圧 LTC3115-1 は、全動作条件および負荷電流の 範囲および出力電圧範囲が 2.7V ∼ 40Vと広く、 全範囲にわたって電磁ノイズを最小限に抑える 独自の低ノイズ PWM 制御アルゴリズムを採用 パワー・スイッチを内蔵して効率が高いので、こ 図 1.入力電圧範囲が 2.7V∼40V と広い 5V レギュレータ うした要求の厳しいアプリケーションで求められ る機能と柔軟性を備えています。 しており、これは、昇圧モードと降圧モードの間 を遷移する際にも有効に機能します。内蔵の位 2MHz の非常に小さな車載用 5V 電源 相同期ループにより、スイッチング周波数を外 LTC3115-1 は、種類が増えつつある各種の入 部クロックに同期させ、ノイズの影響を受けやす 力電源とインタフェースをとる必要のあるハン 車に搭載される電子システムが急増したことに いアプリケーションでのノイズの問題をさらに軽 ドヘルド機器にも適しています。携帯型機器に より、車載環境における厳しい条件で動作する 減することができます。 電源を供給する場合、以前は専用の AC アダプ 小型の高信頼性電源の必要性が生まれました。 タか単一電源で供給するのが一般的でしたが、 コールド・クランクなどが原因で、バッテリ電圧 RUN ピンの正確な電圧により、プログラム可能 な低電圧ロックアウトのしきい値をヒステリシス の制御と独立して設定できます。Burst Mode® 動作で消費する静止電流はわずか 30µA、 シャッ トダ ウン 時 に 消 費 する 電 流 は 3µA な の で、 LTC3115-1 はスタンバイ電流による自動車用 バッテリの消耗を無視できるレベルまで低減し ます。 多くの携帯型機器がさまざまな入力(自動車、 が出力レール電圧より低くなるような場合や、 USB、Firewire、非安定化電源アダプタなど)を ロード・ダンプによる入力トランジェント電圧が 受け入れることが重要になってきました。次世代 かかる場合にも、 LTC3115-1 は自動車の全動 の軍用無線や支援用電子機器は極端な例です 作条件で良好な安定した電圧を供給できる能力 が、非常時に備えて利用可能なすべての電源で を備えているので、こうしたアプリケーションに 動作することと、現場に運ぶバッテリの種類を最 最適です。 小限に抑えることが要求されます。 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 9 一般的に利用されている電源のうち、車載用電源レールは最も難易度の高いものの 1 つです。 その公称電圧は、バッテリの充電状態、周囲温度、およびオルタネータが充電中かアイドル状態 かに応じて 10.6V ∼ 15V の範囲で変動します。コールド・クランク状態になるとレールの電圧が 4V より低くなることがあり、ロード・ダンプによって 40V のスパイクが発生することもあります。 エンジン制御ユニットや、安全装置、燃料供給 圧が 3.3V ∼ 40V の場合、このアプリケーション 装置、駆動系サブシステムなどの重要な機能の 回路の効率を図 3 に示します。 用途に最適な車載用 5V 電源を図 2 に示します。 れ込むので、場合によってはその電圧は危険な レベルまで上昇します。こうしたトランジェント 自動車の負荷遮断および 誘導性入力トランジェントの対処 こうした装置では、最も厳しい入力電圧トラン ジェントが加わっている間でも電源電圧が中断 は、自動車を整備中の整備士がバッテリを取り 一般的に利用されている電源のうち、車載用電 なくプロセッサに供給され続ける必要がありま 源レールは最も難易度の高いものの 1 つです。 す。このアプリケーションでは、 2MHz のスイッ その公称電圧は、バッテリの充電状態、周囲温 チング周波数を使用して実装面積を最小限に抑 え、 AM 放送帯域との干渉が発生しないように の最大充電電流が自動車の電源バスに直接流 外す際に生じる場合もありますが、バッテリ・ケー ブルの接続不良やバッテリ端子の腐食によって 起きる場合もあります。 度、およびオルタネータが充電中かアイドル状 自動車用電子機器は、ダブル・バッテリ接続に 態かに応じて 10.6V ∼ 15V の範囲で変動しま よるジャンプ・スタートに耐えられるよう設計す す。公称電圧の変動以外に、自動車用電源レー ることも必要です。もう一つのバッテリを直列に VCC レールは、パワー・デバイスのゲート・ドラ ルは、エンジン回転数(RPM)の変化、遷移負荷 接続して使用するか、デュアル・バッテリ系統を イバを含む LTC3115-1 の内部回路に電力を供 しています。 (パワー・ウィンドウ、ワイパー、エアコンなど) 備えた商用車を使って自動車をジャンプ・スター 給しますが、このレールには、通常は内部のリニ の変化、および配線用ハーネスでの誘導性トラ トさせるとき、電子機器に 24V が長時間印加さ ア・レギュレータを介して入力レールから電力 ンジェントの変化によって生じる幅広い動的な れます。その他に、オルタネータの電圧レギュ 外乱にさらされます。 レータが故障した場合にも過電圧状態が発生し が供給されます。このアプリケーションでは、ダ イオード D1 によって内部のリニア・レギュレー ただし、最も極端な状態はロード・ダンプ時に生 タがバイパスされ、VCC レールには安定化出力 じ、数百ミリ秒の間に 120V を超える電圧が発 から電力が直接供給されるので、効率および出 生することがあります。ロード・ダンプが起こる 力電流能力が向上します。このことは、スイッチ のは、オルタネータが自動車のバッテリを充電 ング周波数が高い場合に特に効果的です。ゲー 中に、電気的開放によってバッテリがオルタネー ト駆動電流が増えると、内部のリニア・レギュ 図 2.コールドクランク対応機能を備えた 90 SW2 BST2 PVOUT PVIN VIN LTC3115-1 PWM/SYNC VC RUN CO 47µF CFB RFB 1000pF 237k FB RT 17.8k 10 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation PVCC VCC GND PGND CFF 10pF RFF 15k RBOT 249k D1: PANASONIC MA785 L1: COILCRAFT LPS6225 RT RTOP 1M ILOAD = 500mA 85 5V 0.5A EFFICIENCY (%) BST1 SW1 OFF ON て発生します。 CBST2 0.1µF CBST1 0.1µF BURST PWM に流れ込み、約 18V の過電圧が長時間にわたっ 図 3.5V、2MHz の自動車用電源の効率と VIN L1 3.3µH CIN 4.7µF よってオルタネータ充電電流がすべてバッテリ レータが応答できるまでの間は、オルタネータ が高くなるからです。負荷が 500mA で入力電 AUTOMOTIVE 3.3V TO 40V 試験にも組み込まれています。こうした不具合に タから瞬間的に切断された場合です。電圧レギュ レータよりコンバータの出力レールの方が効率 5V、2MHz の自動車用電源 ますが、この状況は車載用機器メーカーが行う 80 75 70 D1 65 C1 4.7µF 60 0 5 10 15 20 25 30 INPUT VOLTAGE (V) 35 40 設計特集 受動保護回路の下流にある車載用電子機器は、通常、最大 40V のトランジェントに耐える必要があります。 さらに重要なシステムは高いレベルのトランジェントに耐えた上で、なおかつ動作を継続する必要が あります。LTC3115-1 は、立ち上がり時間および立ち下がり時間が 1ms で 13.8V から 40V への瞬間的な 入力トランジェントを受けている場合にも、5V 電源レールの安定した出力を維持できます。 車載用電源レールには、急速な負荷変動に起因 自動車のコールド・クランク時の連続的動作 する短時間の過電圧トランジェントによるノイズ 安全装置およびエンジンの重要部品(エンジン 高電圧トランジェントは自動車の電源バスの問 制御ユニットや燃料噴射装置など)は、 コールド・ も重畳されています。この負荷変動は、自動車 題の 1 つですが、より困難な問題は低電圧トラン クランクの間、動作状態を維持することを要求さ の配線用ハーネスに存在する大きなインダクタ ジェントかもしれません。最も厳しい低電圧トラ れます。図 5 に示すように、LTC3115-1 の昇降 ンスを経由した大電力負荷(電動ドア、送風機 ンジェントはコールド・クランクとして知られてお 圧アーキテクチャでは、低電圧状態のときに自 や冷却ファンのモータ)のオン・オフによって発 り、エンジンを最初に起動するときに起こります。 生します。 コールド・クランクの標準的な電圧波形を図 5 に 大半の自動車では、ローパス LC フィルタおよび 示します。電圧の低い最初の平坦な領域が最も トランジェント電圧サプレッサ(TVS)で構成さ 極端であり、始動モータがエンジンを完全停止 れる受動保護回路を、電源バスの電圧ピークを 動的かつ連続的に昇圧モード動作に切り替える ことにより、最も厳しいコールド・クランク時でも 安定した出力を維持できます。 自動車用電子機器のコールド・クランク対応能 状態から回転させ始めるとこの領域が現れます。 力は重要性を増しています。燃費を節約するた クランプするための最初の保護として使用しま この段階では、自動車のバス電圧は 4V より低 めのアイドリング・ストップ機能が組み込まれる す。受動保護回路の下流にある車載用電子機 くなることがあります。エンジン・オイルの粘性 ようになったからです。この機能によって、赤信 器は、通常、最大 40V のトランジェントに耐える が高いと始動モータのトルクを高くすることが必 号や交通の流れの中で車両が一時的に停止し 必要があります。さらに重要なシステムは高いレ 要になるので、温度が低いと状況は悪化します。 ている間、車両のエンジンが停止します。アイド ベルのトランジェントに耐えた上で、なおかつ動 最初の平坦領域の後には、多少電圧の高い第 2 リング・ストップ機能を備えた自動車では、クラ 作を継続する必要があります。LTC3115-1 が、 の平坦領域が現れます。これは始動モータがエ ンキング状態になるケースが増加します。その 立ち上がり時間および立ち下がり時間が 1ms で ンジンの回転を維持しているときで、標準では 結果、従来の自動車で発生頻度が少ないコール 13.8V から 40V への瞬間的な入力トランジェン 公称バッテリ電圧の半分に近い値です。いった ド・クランクの状況で動作する必要がなかった トを受けているときに、5V 電源レールを安定し んエンジンが始動すると、バッテリは公称電圧 補助的な電気部品、たとえばインフォテインメン て出力している様子を図 4 に示します。 に復帰します。 ト・システム、ナビゲーション・システム、ダッシュ ボードの電子機器、および照明装置もコールド・ クランクに対応する必要が出てきました。 図 4.負荷遮断時の入力トランジェント(13.8V から 40V) 図 5.コールドクランク時の入力トランジェント (12V から4.5V) 12V 40V VIN 10V/DIV VIN 2V/DIV 13.8V 6V 4.5V VOUT 200mV/DIV VOUT 200mV/DIV 1ms/DIV 5ms/DIV 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 11 LTC3115-1 の昇降圧アーキテクチャでは、入力電圧が下がった際に、自動的かつ シームレスに昇圧動作に切り替えることにより、最も厳しいコールド・クランク時でも 出力電圧を安定に保ちます。 LTC3115-1 は、すべての負荷に対して両方の スイッチが固定周波数で動作する低ノイズの強 制 PWM モードを特長としており、動作状態に 関係なく、低いノイズ・スペクトラムを保ちます。 予測可能なスペクトラムと低く抑えられた低調波 放射によって、干渉を抑え、厳格な車載用 EMI 規格に準拠するのに役立ちます。 多様な電源に対応 – 安定化されていない 電源アダプタ、車載バッテリ、USB、USB-PD、 および FireWire ユーザが多くの入力電源から最適なものを選べ るようにするため、多くの携帯型電子機器は、各 種の電源で機能するように設計されつつありま す。これらの電源は電圧が幅広く変化することが あり、特にコネクタやケーブルでの電圧降下に 20 0 数をサポートしています。これにより、スイッチン グ周波数の基本波成分(およびそのすべての高 調波) を AM 周波数帯域より高い帯域に置いて、 ラジオ受信の妨害を最小限に抑えることができ ます。無負荷および 500mA の負荷で動作する 図 2 の車載用アプリケーション回路について、 AM 帯域全体にわたる LTC3115-1 のスペクト –10 –20 AM BAND –30 –40 NO LOAD –50 起因する場合があります。 LTC3115-1 は最大 2MHz のスイッチング周波 2MHz FUNDAMENTAL 10 SW AMPLITUDE (dBV) AM 帯域での低 EMI および無放射 500mA LOAD –60 USB 3.0 規格では、公称電源電圧は 5V±5% –70 ですが、規格に完全に対応した受電側デバイス は、ケーブルおよびコネクタの電圧降下を考慮 して、最小 4V で動作する必要があります。さら 0.5 0 1 1.5 FREQUENCY (MHz) 2 2.5 図 6.固定周波数の低ノイズ PWM による AM 帯域全体に わたる放射の最小化 に、下流の USB 電源レールでは、追加のデバイ スをホストまたは受電ハブに差し込んだときな どのトランジェント状態を考慮して、最低 3.67V とにより、USB を介してより大きい電力を供給で きます。Firewire ポートは、給電装置のクラスに ル放射を図 6 に示します。いずれの場合にも、 まで電圧が下がることが許されています。 AM 放送帯域内の全周波数範囲には、大きなス 新たに承認された USB PD(電力供給)仕様で て電圧が変化する安定化されていない電圧を供 は、最大 20V までの電源電圧をサポートするこ 給します。 ペクトル放射がありません。 応じて、標準で 9V ∼ 26V の広い範囲にわたっ 図 7.効率を高めるため、このデュアル入力の 5V 電源では、ショットキ・ダイオードの代わりに低損失の PowerPath™ コントローラ 図 8.PowerPath および LTC3115-1 の全般的な効率 LTC4412とP チャネル MOSFET をバッテリの経路に使用します。電圧降下が重要ではない高電圧側の入力には、安価なショットキ・ ダイオードを使用します。 L1 10µH CBST2 0.1µF D1 UNREGULATED WALL ADAPTER 8V TO 28V LITHIUM CELL 3V–4.2V BST1 SW1 CIN 4.7µF M1 SW2 BST2 PVIN VIN PVOUT LTC3115-1 VC RUN + 100 COUT 47µF ×2 CFB RFB 4700pF 100k FB PVIN GATE SENSE LTC4412HV GND RT 47.5k 12 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation PWM/SYNC PVCC VCC RT GND PGND RTOP 1M CFF 47pF RFF 51k RBOT 249k C1 4.7µF VIN = 4.2V 5V 500mA COUT: GRM43ER60J476 D1: B360A-13-F L1: COILCRAFT LPS6225 M1: Si8487DB 80 EFFICIENCY (%) CBST1 0.1µF 60 VIN = 13.8V 40 20 0.01 0.1 ILOAD (A) 1 2 設計特集 LTC3115-1 は、すべての負荷に対して両方のスイッチが固定周波数で動作する 低ノイズの強制 PWM モードを特長としており、動作状態に関係なく、低いノイズ・ スペクトラムを保ちます。予測可能なスペクトラムと低く抑えられた低調波放射に よって、干渉を抑え、厳格な車載用 EMI 規格に準拠するのに役立ちます。 L1 22µH CBST1 0.1µF 20V TO 30V BST1 SW1 VCAP CIN 4.7µF + CBST2 0.1µF CBULK 1000µF ×2 35V ALUMINUM ELECTROLYTIC SW2 BST2 PVIN VIN RUN PVOUT 1µF LTC3115-1 VC + RFB 25k CO 82µF CFB 3300pF FB COUT: OS-CON 35SVPF82M L1: TOKO 892NBS-220M RT PWM/SYNC PVCC VCC GND PGND RT 47.5k NOISY 24V INPUT RESTORED 24V RAIL RAIL WITH DROPOUT (LTC3115-1 OUTPUT) 24V 1.5A RTOP 1M CFF 47pF RFF 51k 2V/DIV CAPACITOR BANK VOLTAGE (VCAP) RBOT 43.2k ILOAD = 1A C1 4.7µF 10ms/DIV 図 10.入力の電圧低下時に出力レールを安定化する 図 9.電圧低下のライドスルー機能を持つ 24V 産業用レール直流再生回路 LTC3115-1 電源アダプタは、携帯型装置の最も一般的な電 LTC3115-1 は、これらすべての携帯型電源だ はないので、安価なショットキ・ダイオードを使 源として今では広く普及しています。標準的な電 けでなく、さまざまな種類のバッテリで直接動作 用します。コンバータと PowerPath を含めたこ 源アダプタは、トランスの後段にブリッジ整流器 します。これらのバッテリには、一つまたは直列 の電源全体の効率を電源の入力電圧ごとに図 8 が接続された単純な構成で、積極的な電圧安定 接続されたリチウム電池、密閉型鉛蓄電池、3 に示します。 化の機能はありません。電圧の安定化は、ケー 本以上の直列接続アルカリ電池、さらにはバック ブルの電圧降下の影響を回避するため、末端の アップ用のスーパーキャパシタなどがあります。 24V 産業用レールの電圧再生およびバックアップ 装置の方に委ねられています。安定化されてい 複合的な電源はショットキ・ダイオードによるダ 産業用制御および監視システムでは、通常は ない電源アダプタは、規定の標準出力電圧で定 イオード OR 回路を介して結合できます。 格電流を流すことができるように設計されてい ます。安定化されない状態では、出力電圧は負 荷電流によって変動し、軽い負荷では増加し、 重い負荷では減少します。さらに、 AC 電圧は 105V ∼ 125V の範囲で変動することが許容さ れているので、安定化されない電源アダプタ出 力には 10% の変動が追加されます。12V 低格 の電源アダプタが、軽負荷時に 17V 以上の出 力電圧を発生していることは珍しいことではあり ません。 効率を高くするため、 LTC3115-1 と理想ダイ オードの PowerPath コントローラを組 み 合 わ せ、 P チャネル・パワー MOSFET の低い電圧 降下を利用してショットキ・ダイオードを置き換 えて、複数の電源を自動的に切り替えることがで きます。LTC3115-1 を LTC4412HV と組み合 わせてデュアル入力(リチウム電池 1 個および安 定化されない電源アダプタ)の 5V 電源を実現 する方法を図 7 に示します。この場合、低電圧側 のリチウム電池入力には PMOS を直列で使用し ますが、高電圧側の入力では電圧降下が重要で 24V バスを使用して、プログラマブル・ロジッ ク・コントローラ、アクチュエータ、センサなどの DIN 実装計測装置に電力を供給します。このバ スは、大電力のスイッチング負荷やフォルト状 態にさらされるので、トランジェントや瞬時の低 電圧トランジェントによってバスのデータが壊れ ることがあります。極端な場合には、バスの電源 が瞬時停電することもあります。重要なシステム では、重要な機能の制御および監視を確実に行 うため、こうした状況の間ずっと電力供給状態を 維持することが要求されます。 (16 ページへ続く) 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 13 ±4.75V ∼ ±70V の範囲で動作し、レール・トゥ・ レールの出力振幅と低入力バイアス電流を特長とする モノリシック・オペアンプ Michael B. Anderson モノリシック・オペアンプは 1960 年代から存在していますが、このどこ にでもあるデバイスの性能は、今なお着実に向上しています。高精度 モノリシック・オペアンプ LTC6090 は、高精度オペアンプで期待され る機能を損なうことなく、電源電圧を ±70V まで広げることによって大 きく前進しました。LTC6090 は、小型の 8 ピン SO パッケージおよび 16 ピン TSSOP パッケージで供給されています。両パッケージとも放 熱用のパッドを備えており、熱抵抗を低くしてヒートシンクが必要ない ようにしています。低電圧制御ラインとのインタフェースが容易で、熱 に対する安全機能を内蔵しているので、高電圧のアナログ設計が大幅 に単純化されます。 0.3pF 10M 1% IPD 125V 2 – 3 + 7 8 LTC6090 1 PHOTODIODE SFH213 5 200k 1% 100mW VOUT 6 22.1k 1% 4 –3V –3V VOUT = IPD • 1M OUTPUT NOISE = 21µVRMS (1kHz – 40kHz) OUTPUT OFFSET = 150µV MAXIMUM BANDWIDTH = 40kHz (–3dB) OUTPUT SWING = 0V TO 12V 図 1.ダイナミックレンジを拡張した 1M インピーダンス 高電圧と高性能 変換フォトダイオード・アンプ 良いオペアンプの条件とは、入力バイアス電流 イズは 10kHz で 11nV/√Hz です。入力同相範 が低く、オフセット電圧が少なく、さらに低ノイ 囲はどちらのレール電圧からも 3V 内側の範囲、 10MHz の GBW 積、高速スルーレート、および ズであることです。LTC6090 も例外ではありま つまり全体で 140V の電源では範囲は 134V に 最大 200pF を駆動できる ±10mA 定格のレー せん。MOS 入力段を使用した設計により、入 なります。 ル・トゥ・レール出力段があります。図 2 に示す り、85℃のときでも 100pA 未満です。このため、 図 1 に示すようなフォトダイオード・アンプなど の高インピーダンスのアプリケーションに最適で す。入力オフセット電圧は 1.6mV 未満と低く、ノ 図 2.LTC6090 の出力電圧、140VP–P の 10kHz 正弦波 高精度オペアンプは負荷を駆動する際にも精 度を維持することを期待されます。LTC6090 は、ここでも期待を裏切りません。ユニティゲ インでも安定して動作する出力駆動能力には、 図 3.LTC6090 の出力電圧振幅と負荷電流 V+ OUTPUT VOLTAGE SWING (V) V+ – 0.2 VOUT 20V/DIV V+ – 0.8 V+ – 1.0 V+ – 1.2 V – + 0.8 V – + 0.6 V – + 0.2 25µs/DIV 14 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation SOURCE V+ – 0.6 V – + 0.4 V– 0.001 TA = 125°C TA = 25°C TA = –40°C 0.01 SINK 0.1 1 10 LOAD CURRENT (mA) 流が増加しても出力振幅が適切に維持されてい る様子を図 3 に示します。また、図 4 に示すよう に、出力電圧 100VP ー P での低歪率増幅帯域は、 8kHz まで伸びています。 図 4.LTC6090 の全高調波歪み + ノイズと周波数 VS = ±70V V+ – 0.4 例は、 140VP ー P の 10kHz 正弦波です。負荷電 TOTAL HARMONIC DISTORTION + NOISE (%) 力バイアス電流は 25 ℃のとき標準で 3pA であ 100 10 VS = ±70V AV = 5 RL = 10k CF = 30pF 1 0.1 VOUT = 100VP-P 0.01 0.001 VOUT = 50VP-P VOUT = 10VP-P 10 100 1000 10000 FREQUENCY (Hz) 100000 設計特集 良いオペアンプの条件とは、入力バイアス電流が低く、オフセット電圧が少なく、 さらに低ノイズであることです。LTC6090 も例外ではありません。MOS 入力段を使用 した設計により、入力バイアス電流は 25℃のとき標準で 3pA であり、85℃のときでも 100pA 未満です。このためインピーダンスの高いアプリケーションに最適です。 PCB の金属部分を露出させることが大切です。 OD ピンの内部プルアップ抵抗によって電源の 高インピーダンス・アプリケーションのための リーク電流の少ない回路 また PCB は清浄で水分のない状態にしておくこ 中間電圧より高くなり、電源電圧が ±70V のと LTC6090 は入力バイアス電流が低いので、高 とが重要です。基板を溶剤で洗浄して残留物を きは 21V になります。 電圧を必要とする高インピーダンス・アプリケー 水道水で洗い流し、加熱して水分を蒸発させる ションにとって優れた選択肢となります。図 5 に ことをお勧めします。溶剤は使用せずに洗剤と 示すように、入力バイアス電流は対数的な温度 水道水を使って基板を徹底的に洗浄すると良好 依存性があり、 10℃上昇するごとに電流は 2 倍 な結果が得られることも分かりました。 になります。さらに、分離ポケット内に入力保護 過熱保護: OD と TFLAG を使用 全電源電圧が 140V の場合、標準の静止電流 は 2.7mA なので、 LTC6090 が消費する電力 低電圧制御ラインと高電圧オペアンプとの インタフェース は 378mW です。負荷と電力が加わると 1W を LTC6090 の低電圧制御ラインは、負電源レー す。SO パッケージおよび TSSOP パッケージは、 圧の中間に保持されています。 ルの電圧以上で正電源レールより 5V 低い電 どちらもパッケージの底部に放熱用パッドを備 圧以下の電圧とインタフェースをとることがで えています。放熱用パッドは内部で負電源レー 入 力 バイアス電 流を低く維 持 するためには、 きます。COM ピンは低電圧制御ラインとのイ ル(V–)に接続されており、負電源プレーンに接 PCB のレイアウトに注意が必要です。リーク電 ンタフェースをとる共通ピンとして機能します 続する必要があります。十分広い面積の PCB 金 デバイスが配置されており、ここでは、入力ピン の電圧が V- に対して増加すると漏れ電流が増 加します。図 5 では、入力ピンの電圧は電源電 流の特に少ない特殊な基板材料を選ぶ必要が が、低電圧システムのグランドに接続してもフ あるかもしれません。さらにアプリケーションの ロート状態のままにしておいてもかまいません。 要求が厳しい場合には、ガードリングの使用を 出力ディスエーブル(OD)ピンおよび過熱保護 検討してください。放熱用パッド付きの TSSOP (TFLAG)ピンは、低電圧システムのグランド パッケージには、入力ピンをリーク電流から保 を基準にするようになりました。COM、OD、 護するためのガードリング端子がついています。 TFLAG の各ピンは、図 7 に示すようにダイオー 反転アンプの PCB レイアウトの例を図 6 に示し ドと抵抗によって保護されます。COM ピンをフ ます。ガードリングを覆う半田マスクを後退させ、 ロート状態のままにすると、COM ピンの電圧は 超えるので、十分な熱設計を行う必要がありま 図 7.ダイの接合部温度が 145℃に達すると出力段を自動的に ディスエーブルするように構成された低電圧インタフェース LTC6090 V+ 2M 10k OD 図 6.PCB のガードリング・レイアウト例 図 5.LTC6090 の入力バイアス電流と接合部温度 V+ OUT 2M 10k COM 1000 2M INPUT BIAS CURRENT (pA) ±70V 100 V– 10k 500Ω ±5V 10 +IN TFLAG 10k 1 R2 –IN 0.1 0 20 40 60 80 100 120 JUNCTION TEMPERATURE (°C) 140 C1 R1 30k V– 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 15 属部分を放熱用パッドに接続してください。パッ ダイの接合部温度が約 175℃に達すると、最終 絶対最大定格である 150℃より高い温度で動作 ケージの熱抵抗は放熱用パッドに半田付けされ 的な過熱安全機能により、出力段が遮断されま させることは、信頼性の観点からお勧めできま る金属の量(面積)に半比例します。良く設計さ す。ヒステリシスが 7 ℃あるので、図 8 に示すよ せん。 れた PCB では、SO パッケージの熱抵抗(qJA) うに接合部温度が約 168℃に戻ると、出力段は は 33℃ /W です。電力が 1W の場合、ダイの接 イネーブルされます。図 8 に示すのは接合部温 まとめ 合部温度は周囲温度より33℃高くなります。 度であることに注意してください。この機能はデ LTC6090 は低電圧の高精度アンプと同等の LTC6090 の接合部温度が 150℃を超えないよ う保護する目的で設計された保護機能により、 バイスが熱的に破壊されることがないようにす 性能を持っていますが、高電圧アプリケーショ るためのものです。LTC6090 の接合部温度を ン向けに ±70V で動作する能力を持っていま す。これらの機能には、高精度フロントエンド 接合部温度が高くなりすぎると、出力段はシャッ 用の高利得、低入力バイアス電流、低オフセッ トダウンします。この機能は過熱保護ピンを出 図 8.LTC6090 のサーマル・シャットダウン・ヒステリシスの 力ディスエーブル・ピンに接続することで実現で グラフ きます。過熱保護ピン(TFLAG ピン)は、ダイ 力ディスエーブル・ピン(OD ピン)は、COM ピ ンの電位を基準にして L になると、出力段をオ フにしてデバイスの静止電流を 670µA に減少 させるアクティブ L 入力ピンです。これら 2 つの ピンを互いに接続した場合は、ダイの接合部温 度が 145℃に達すると、LTC6090 はディスエー ブルされます。なお、これらのピンはフロート状 2.5 SUPPLY CURRENT (mA) 接合部温度が 140℃まで低くなったときです。出 よび ±10mA の 負 荷 電 流を駆 動できるので、 LTC6090 は高インピーダンス・アンプなどの高 プンドレイン・ピンです。組み込みヒステリシス が 5℃あるので、TFLAGピンが開放されるのは、 レールの出力段は 200pF の負荷コンデンサお 3.0 の接合部温度が145℃に達すると L になるオー トおよび低ノイズが含まれます。レール・トゥ・ 精度高電圧アプリケーションに最適です。インタ 2.0 フェースが容易な制御ラインを備えており、出 1.5 す。小型の 8 ピン SO パッケージおよび 16 ピン 1.0 0.5 力の遮断や、過熱時の遮断も容易に実現できま TSSOP パッケージにはいずれも放熱用のパッド があるので、ヒートシンクを取り付ける必要があ りません。n 0 162 164 166 168 170 172 174 176 178 JUNCTION TEMPERATURE (°C) 態で互いに接続してもかまいません。 (LTC3115-1、13 ページからの続き) さらに、多くの装置はバスの障害発生後、シャッ 要求を満たすことができます。内蔵のパワー・ス フトスタートにより、起動時の突入電流が最小 トダウンを秩 序だって行うために一 定の期 間 イッチとプログラム可能なスイッチング周波数に 限に抑えられ、制御経路に分圧器を内蔵してい 動作を維持する必要があります。図 9 に示す より、電源ソリューションの実装面積を最小限に るので入力電圧の変動の影響が減少し、入力電 LTC3115-1 のアプリケーションは、レギュレー 抑え、携帯型機器や車載用機器における小型化 圧が大幅に変動するアプリケーションでもルー ション目標電圧から上下に変動することがある に対するニーズに応じます。Burst Mode での プを容易に補償することができます。プログラム ノイズの多い入力電源レールを基にして、ノイ 動作電流およびシャットダウン時の低い静止電 可能な入力低電圧ロックアウトにより、デバイス ズのない十分安定化した 24V 出力レールを維 流により、バッテリの寿命が長くなり、常時動作 を起動する入力電圧をユーザが設定することが 持する 24V レール再生の例です。さらに、図 10 の車載用アプリケーションでの使用が可能にな 可能であり、ヒステリシスを独立して制御できま の波形に示すように、バス電源の瞬時停電中、 ります。 す。LTC3115-1 は、シャットダウン時に出力を この電源はその 24V 出力を安定的に維持でき ます。 まとめ LTC3115-1 は柔軟性と高い効率を備えている ので、次世代の車載用電子機器および携帯型 機器、特に複数の電源で動作する機器の厳しい 16 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation LTC3115-1 は 低ノイズ の 固 定 周 波 数 PWM モードを備えているので、ノイズの影響を受け やすいアプリケーションに最適です。この PWM モードでは、システム・クロックに同期可能なス イッチングにより、予測可能で十分に低く抑えら れた EMI スペクトルが生成されます。内蔵のソ 入力から完全に切り離す機能も備えており、出 力短絡保護回路および過熱シャットダウン回路 によって十分に保護されています。n 設計特集 ノイズの多い大規模な I2C システムの設計を バス・バッファで簡略化 Rajesh Venugopal I2C バスとそれから派生した SMBus、PMBus、HDMI の DDC バス、 ATCA の IPMB バスなどは、さまざまな大規模システムで重要なシステ 0.7 • VCC VOLTAGE ム情報を伝送するために使用されます。これらのバス仕様は、使いや すいという理由から幅広く支持されています。I2C バスは、1 本のクロッ ク(SCL)線と 1 本のデータ(SDA)線で構成されている 2 線式のデジ タル・シリアル・バスです。I2C プロトコルは、オープンドレインのプル ダウン回路を使用してバスを L にし、抵抗または電流源を使用して バスを H にします。許容される最大のプルアップ電流およびバス容 量は、それぞれ 4mA および 400pF です。 DRIVER HIGH 0.9 • VCC LOGIC HIGH NOISE MARGIN VOH VIH RECEIVER THRESHOLD BAND 0.3 • VCC 0.4V LOGIC LOW NOISE MARGIN VIL VOL DRIVER LOW 図 1.I2C バスの電圧規格と結果として得られるノイズ・ 当初の I2C 規格では、バスの最大動作周波数 た。初期のバス・バッファは、I2C 規格が定める が 100kHz に制限されていましたが、 現在は 電圧範囲を逸脱するものがあり、ノイズの多い 400kHz になっています。システムが大規模化 大規模なシステムで安心して使用することはで するのに伴って、増大するバスの負荷を十分に きませんでした。バス・バッファのファミリである 駆動し、 I2C に関するその他の共通的な問題を LTC4313 および LTC4315 は、 従来のバス・ 解決するために、バス・バッファが導入されまし バッファの利点を生かしながら、すべての I2C マージン 電圧規格を満たしています。このため、 このバス・ バッファ・ファミリは、ノイズの多い大規模なシ ステムで幅広く採用されています。 表 1.LTC4313 および LTC4315 の機能および利点 機能 利点 I2C バッファ • バス容量の分散。これにより、各セクションの容量を 400pF 未満に保つことで 大規模な I2C 準拠システムを構築できる 高い VIL • ロジック L のノイズ・マージンが最大 0.3 • VCC と広い • I2C に準拠していないデバイスと連携して動作 バッファの自動ターンオフ電圧の調整 • RTA ターンオン電圧が 0.3 • VCC より低いデバイスと互換 • 他の LTC バッファと相互に利用可能 レベル変換 • 電圧範囲が 1.4V∼5.5V のバス間の I2C 通信を実現 立ち上がり時間アクセラレータ(RTA) • 立ち上がり時間の短縮 • バスのプルアップ抵抗を大きくしてロジック L のノイズ・マージンを広くすることが可能 • RTA プルアップ電流強度を選択可能 スタック状態バスの切断および復旧 • マスタの解放による上流の通信の再開 • スタック状態のバスで最大 16 個のクロック・パルスとストップ・ビットを生成することにより バスを H に解放 立ち下がり時間の制御 • システムでの伝送線の影響を最小化 活線挿抜 • 接続の確立までバスのアイドル状態またはストップ・ビットを待機 • バスのプリチャージによる外乱の最小化 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 17 LTC4315 および LTC4313 は、大規模な I2C システムに伴ういくつかの問題を解決する、 ノイズ・マージンの大きいバス・バッファです。これらのデバイスは、容量のバッファリング、 範囲が 1.4V ∼ 5.5V のバス電源のレベル変換、最大 0.3×VCC の広いロジック L ノイズ・ マージンを実現し、バスがロジック H の場合、0.3×VCC を超えるノイズを除去します。 マージンは(0.3×VCC – 0.4V)から 0.2V かそ バスのロジック H 電圧およびロジック L 電圧 てしまうことです。これには次の 3 つの理由があ に関する I2C 規格の要件を図 1 に示します。I2C ります。 れ以下に減少し、バッファが動作しているときは • 第 1 に、バッファには、外部から駆動されるロ バッファの容量性負荷によってバスの立ち上が に準拠するためには、駆動されるロジック L の 信号は出力 L レベル(VOL)である 0.4V より 低くなる必要があります。ロジック H 信号は、 バスの電圧が出力 H レベル(VOH)である 0.9 ×VCC(VCC はバスの電源電圧)より高くなる ことが必要です。I2C 準拠のレシーバは、 0.3× VCCという入力 L レベル(VIL)より低い電圧 をロジック L と解釈し、 0.7×VCC という入力 H レベル(VIH)より高い電圧をロジック H と解釈する必要があります。これらの要件によ り、ロジック L のノイズ・マージンとして 0.3× VCC – 0.4V が、ロジック H のノイズ・マージ ンとして 0.2×VCC が得られます。 ジック L と自分が駆動するロジック L を区 りエッジが低速になります。 別する仕組みが必要です。これは、バスが L システムの規模が拡大するにつれて、 既存の 状態に固定されないようにするためです。結果 0.4V よりも高い VOL を出力する一方で、バス 立ち上がりの遷移時に強力なプルアップ電流を バスに供給することによってバスの立ち上がり 時間を短くします。 スの負荷にならない高速バッファが必要です。 大 規 模システムでのその 他 の 要 件 は、 0.3× • 第 2 に、RTA の動作範囲を最大限に広げる VCC より低い電圧で RTA がオンになるバッファ ため、リニアテクノロジーのバス・バッファは オンします。 レータ(RTA)が組み込まれています。RTA は、 VIL の値(0.3×VCC)を切るまでアクティブでバ ものもあります。 ました。バス・バッファは大規模な I2C バスを小 す。バス・バッファには立ち上がり時間アクセラ ス・バッファが必要です。つまり、バスの電圧が だけ高い電圧を出力 VOLとして設定している い電圧で、プルダウンをオフにして、 RTA を と、信号の立ち上がり時間の削減も要求されま のノイズ・マージンを I2C 規格内に復元するバ 電圧を出力することを要求するものがありま が増加して 400pF をはるかに超えるようになり バス容量の増加に加えて動作周波数が高くなる した。通常、大規模なシステムは、ロジック L す。他のバッファの中には、入力 VOL より少し I2C の規格で定められた VOL より少しだけ高 を駆動する目的で導入されました。 くなり、バスがノイズの影響を受けやすくなりま につながる他のデバイスには 0.4V より低い 時と共にシステムが大規模化すると、バス容量 さな部分に分割して、部分ごと分けられた容量 バッファのロジック L のノイズ・マージンが狭 として、一部のバッファは自分では I2C 規格の 製 品または 0.6V という非 準 拠 の VOL を駆 動 するバッファ製品との互換性です。調整可能な RTA 電流も便利です。特に、複数の RTA を同 時に作動できる大規模システムで好都合です。 • 第 3 に、すべてのバッファは動作時にバスの RTA 電流が大きすぎると、エッジが急峻になり、 容量性負荷になるので、バスの立ち上がり時 誘導性のリンギングや EMI のような望ましくな 間を短くするためにできるだけ低い電圧でオ い副作用をもたらす可能性が高まります。 フにする必要があります。 LTC4315(12 ピン)および LTC4313(8 ピン) その結果、既存のバス・バッファのほとんどは、 は、これらの問題を具体的に解決すると同時に、 バスの電圧が 0.6V より低い場合にのみロジッ リニアテクノロジーの他のバス・バッファ製品が ク L を検出します。ほとんどのバッファは RTA 持つ有用な機能を備えています。表 1 にこれら を 0.8V でオンにします。一部のバッファは、I2C の製品の主要な機能を示します。この記事では の規格である 0.4V より高い電圧で VOL を駆動 さらに、リニアテクノロジーが提供しているバス・ LTC4315 について言及していますが、特にこ します。こうしたことから、ロジック L のノイズ・ とわりのない限り、すべての内容は LTC4313 バッファ製品では、SDA、SCL ホットスワップ、 プリチャージ、スタック状態バスの復旧のような いくつかの追加機能も組み込むことにより、 I2C システムの堅牢性をあげ、異なった電圧のシス テムの間のレベルシフト通信を簡単に行うこと を可能にしています。 双方向の I2C バスにバッファと RTA を挿入する ことで生じる難しい問題は、 2 規格から逸脱し I C 図 2.大規模システム内にある CONTROLLER CARD 5V バックプレーンの寄生容量を BACKPLANE 駆動する LTC4315。 簡単にするため、SCL の経路 だけを示しています。 0.01µF SCL1 5.1k VCC VCC2 LTC4315 SCLIN SCLOUT ACC GND 5.1k SCL2 *CBP 690pF *LARGE PARASITIC BACKPLANE CAPACITANCE 18 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation 設計特集 大規模な I2C システムでは、長い PCB 配線や長いケーブルを持つ大型 のバックプレーンの組み合わせにより、大きなバス容量が生じます。 ノイズ・マージンの大きい LTC4315 のバッファは、信号の品質や動作 周波数を低下させることなく、これらの容量性負荷を駆動できます。 にも同様に当てはまります。LTC4315 の最小 図 3 では、 SCLIN の 電 圧 が 0.33・VMIN より VIL は 0.3・VCC という高い値が保証されてお 低くなると、 SCLOUT の 電 圧 が SCLIN の 電 り、ロジック L のノイズ・マージンを広く確保 圧に追従します。入力電圧が VIL レベルである しています。LTC4315 は、 0.4V より高い VOL を駆動するデバイスや 0.3・VCC より低い電圧 0.33・VMIN を超えても出力にグリッチは発生 SCLIN 2V/DIV しません。バスの電圧が最悪の直流 VOL であ で RTA を起動する製品と相互に利用可能です。 る 0.4Vと仮定すると、LTC4315 のロジック L LTC4315 では、バスの立ち上がり速度を制御 のノイズ・マージンは、0.33・VMIN – 0.4V= するために RTA の電流レベルをユーザが選択 できます。LTC4315 は、容量のバッファリング、 ホットスワップ、プリチャージ、スタック状態バス LTC4315 は、ノイズの多い大規模 I2C システ ムにおける堅実な選択肢となります。理想的に 500ns/DIV の復旧、レベル変換という、リニアテクノロジー の他のバス・バッファが備えている機能を備えて 1.25V です。これらのノイズ 抑 圧 機 能により、 SCLOUT 2V/DIV は、ノイズの多い大規模 I2C システムのシステ ム設計者は、LTC4315 をすべての基板に使用 図 3.ノイズの多い 400kHz の I2C 信号が SCLIN に入力され います。LTC4315 のバッファはバスに対する負 ているときでも、LTC4315 はノイズのないロジック H を して最大限のノイズ耐性を確保することが望ま 荷を増やさないので、 LTC4315 は最大 1MHz SCLOUT で送信。 れます。 で動作可能であり、 2 I C の標準モードと高速モー ド、 SMBus、PMBus の各規格と互換性があり 図 3 では、LTC4315 の入力として、400kHz の ます。要約すると、 LTC4315 は既存のバッファ 矩形波に正弦波のノイズが重畳された波形を の利点をすべて備えており、 2 与えた場合に、 LTC4315 がそれを処理する様 います。 子を示しています。ロジック H の状態に印加 I C 規格を順守して 大規模システムでの容量性バッファリングおよび ノイズ除去 大規模な I2C システムでは、長い PCB 配線や 長いケーブルを持つ大型のバックプレーンの組 み合わせにより、大きなバス容量が生じます。 図 2 に示すように、ノイズ・マージンの大きい LTC4315 のバッファは、信号の品質や動作周 波数を低下させることなく、これらの容量性負荷 非準拠の I2C デバイスとの連携動作 非準拠の VOL(この場合には 0.6V)を駆動する デバイスとの LTC4315 の互換性を図 4 に示し ます。LTC4315 は 0.6V をマイクロプロセッサ に渡しますが、ここでは 0.6V がロジック L と解 されたノイズは、バスの電圧が 0.33・VMIN よ 釈されます。LTC4315 のバッファがオフになる り低くならない限り、反対側には伝搬しません。 電圧が高い(この回路では 1.089V)ので、 ロジッ SCLOUT のロジック H 状態は、SCLIN のノイ ク L のノイズ・マージンは 489mV になります。 ズに影響されません。LTC4315 では、ロジック H のノイズ・マージンは VOH – 0.33・VMIN です。VMIN は、 VCC と VCC2 の低い方の電圧 を表します。LTC4313 のすべてのバージョンで は、VMIN のデフォルト値は VCC です。 を駆動できます。 図 2 のような大規模な I2C システムのもう 1 つ の問題は、ノイズの影響を受けやすいことです。 ケーブル内や PCB 配線間でノイズと信号が結 3.3V 図 4.非準拠の I2C デバイスと 0.01µF 通信する LTC4315 LTC4315 が備えている堅牢なノイズ除去機能 を説明します。 10k 10k VCC VCC2 10k 10k ENABLE データ信号が乱されることによってシステム・レ 端にノイズの多い SCL 波形の例を図 3 に示し、 10k LTC4315 DISCEN 合すると、入力および出力のクロック信号および ベルの障害を引き起こす可能性があります。極 10k 5V FAULT µP READY SCLIN SCLOUT SDAIN SDAOUT ACC GND NON-COMPLIANT I2C DEVICE VOL = 0.6V 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 19 LTC4315 は、他のデバイスからの RTA 電流を検出し、LTC4315 のバッファをオフにして、自バッファと 他の RTA が競合しないようにします。これによりLTC4315 は、0.3・VCC より低い電圧でバッファの RTA を 起動する従来のリニアテクノロジーのバッファと組み合わせた動作が可能になります。 リニアテクノロジーの他のバッファとの相互利用性 I/O CARD #1 I/O CARD #2 TO #4 大規模システムでは、リニアテクノロジーの従来 のバッファが LTC4315 と同じバスに存在する 3.3V 3.3V ことがあります。これらのバッファは、LTC4315 3.3V 0.01µF のバッファがオフする電圧である 0.3・VCC より 低い電圧で起動する RTA を内蔵していることが あります。こうした環境でも、システムはグリッチ 5.1k VCC VCC2 LTC4315 SCLIN SCLOUT SCL1 ACC などの問題を起こすことなく動作することが重要 VCC 2.7k GND SCL2 CB2* 690pF LTC4300A SCLIN SCLOUT GND 2.7k SCL3 CB1 100pF です。LTC4315 は、 0.3・VCC より低いバス電 I/O CARD #5 圧で他のデバイスからの RTA 電流を検出する と、自らのバッファをオフにすることにより、他の 3.3V *PARASITIC BACKPLANE CAPACITANCE RTAとの競合を回避し、スムーズで連係した動 VCC 作を行うことができます。 LTC4307 SCLIN SCLOUT GND バックプレーンへのカードの装着または取り外し 5.1k SCL4 BACKPLANE により動的に変化するシステムでの LTC4315 の動作を図 5 に示します。説明を簡単にするた め、 3.3V の単電源を選択し、SCL の経路のみ 図 5.カスケード接続アプリケーションで複数の LTC4300Aおよび LTC4307 と連携して動作する LTC4315 を示します。カード上の I2C デバイスをバックプ レーンの大容量から防護し、カード容量を互い に分離して、活線挿抜を支援するため、カード の端にはバッファが取り付けられています。ここ に示すアプリケーションのカードの端には、バッ ファとして LTC4300A また は LTC4307 が 取 り付けられています。これらの製品の RTA は、 そ れ ぞ れ 0.6V および 0.8V で 起 動します が、 LTC4315 のバッファがオフするのは 0.3・VCC (約 1V)です。 0.5V/DIV LTC4300A & LTC4307 RTAs TURN ON SCL3 SCL2 SCL1 つ の LTC4300A と 1 つ の LTC4307 が 1 つ の 図 6 ∼ 9 は、このシステムでのバックプレーンと カードの SCL 波形を、構成の変更に応じて追 跡したものです。図 6 に示すのは、図 5 に示す LTC4315 BUFFER TURNS OFF システム構成での SCL 波形です。ここでは、3 LTC4315と連携して動作しています。図 7 では、 LTC4307 が 取り外 され、3 つ の LTC4300A と 1 つ の LTC4315 が 残 った 状 態 で す。図 8 で は、 さらに LTC4300A が 2 つ 取り外され、 LTC4315 BUFFER TURNS OFF 0.5V/DIV LTC4300A RTAs TURN ON SCL3 SCL2 SCL1 500ns/DIV LTC4315 BUFFER TURNS OFF 0.5V/DIV LTC4300A RTA TURNS ON SCL3 SCL2 SCL1 500ns/DIV 500ns/DIV 図 6.3 つの LTC4300A と 1 つの LTC4307 と連携して 図 7.3 つの LTC4300A と連携して動作する 1 つの LTC4315 図 8.1 つの LTC4300A と連携して動作する 1 つの LTC4315 動作する 1 つの LTC4315 の SCL 波形 の SCL 波形 の SCL 波形 20 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation 設計特集 BACKPLANE CARD CONNECTOR CONNECTOR I/O PERIPHERAL CARD 1 5V C1 0.01µF 3.3V VCC R1 10k R2 10k R3 10k R4 10k VCC2 R5 10k DISCEN C2 0.01µF R6 10k ACC LTC4315 READY READY FAULT FAULT SCLOUT CARD 1_SCL SCL SCLIN SDAOUT CARD 1_SDA SDA SDAIN ENABLE ENABLE 1 R7 10k GND ••• I/O PERIPHERAL CARD N ••• C3 0.01µF VCC VCC2 R8 10k DISCEN C4 0.01µF R9 10k ACC LTC4315 READY FAULT SCLOUT CARD N_SCL SCLIN SDAOUT CARD N_SDA SDAIN ENABLE ENABLE N R10 10k GND 図 10.コネクタのピンの長さが異なる I2C ホットスワップ・アプリケーションでの LTC4315 LTC4315 と LTC4300A が 1 つ ずつ 残った状 され、LTC4307、LTC4300A、LTC4315 が と、すべての組み合わせでテストすることは不 態です。最後に図 9 では、 LTC4307 が再接続 それぞれ 1 つずつでシステムを構成します。 可能なので、すべての環境で保証することはで LTC4300A お よ び LTC4307 の RTA 電 流 が 変化するのに応じて LTC4315 のバッファがオ フになる電圧が自動的に調整されるので、SCL LTC4315 BUFFER TURNS OFF 0.5V/DIV LTC4300A & LTC4307 RTAs TURN ON 波形は一連のカード着脱の間、グリッチを発生 せず、正常な状態を維持します。 図 6 ∼ 9 で は、 ある 程 度 複 雑 な シス テムで LTC4300A および LTC4307とのさまざまな組 み合わせを試すことにより、 LTC4315 の連係 SCL3 SCL2 SCL1 動作を説明しています。原則として LTC4315 は、その数や組み合わせに関係なく、リニアテク 500ns/DIV 図 9.1 つの LTC4300A と 1 つの LTC4307 と連携して 動作する 1 つの LTC4315 の SCL 波形 ノロジーの従来のバッファと相互に利用可能で す。しかしながら、互いに影響する可能性があ るバッファの数と種類が変わり得ることを考える きません。大規模システムで相互利用性を確保 するためのカード容量、バスのプルアップ抵抗、 およびバッファの組み合わせに関する有益な指 針は、LTC4315 のデータシートに記載されてい ます。 ホットスワップと容量のバッファリング 端に LTC4315 が取り付けられた I/O カードは、 図 10 に示すように通電状態のバックプレーン に活線挿抜することができます。対応する波形 を図 11 に示します。バックプレーン端での通信 が活線挿入時に中断されることはありません。 LTC4315 は入力容量が小さいので、バックプ レーンに接続したときの外乱は最小限にとどま 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 21 LTC4315 を搭載したカード上の回路が駆動しなければならないのは、LTC4315 の 10pF 未満の入力容量 だけです。LTC4315 は、バックプレーンに装着されたすべてのカードとバックプレーンからなる大きな合成 容量を駆動します。LTC4315 の SDA ピンおよび SCL ピンは、最大 1.2nF までの容量性負荷を駆動できます。 この容量バッファリング機能と RTA を組み合わせることにより、大規模システムでの 400kHz 動作が可能に なります。 るからです。さらに、 LTC4315 はクロック線お よびデータ線を 1V にプリチャージしてからバッ クプレーンに接触するので、バックプレーン・バ スでの電圧ステップが最小限に抑えられます。 LTC4315 は、不完全なメッセージがバッファを 越えて送信されないように、バッファをイネーブ ルするストップ・ビットまたはバスのアイドル状 とはありません。時差接触コネクタを使用しない 場合は、通電状態のシステムにカードを挿入し SCLIN たときに生じるトランジェントがすべて消滅する 2V/DIV PRE-CHARGE ください。 INVALID STOP BIT(IGNORED) SDAOUT LTC4315 を搭載したカード上の回路が駆動し VALID STOP BIT なければならないのは、LTC4315 の 10pF 未 満の入力容量だけです。LTC4315 は、バック 500µs/DIV た ENABLE ピンの配線をカード上で最も短く、 VCC ピンと GND ピンの配線を最も長く、 SCL まで ENABLE ピンは L に保持するようにして SDAIN てください。GND へのプルダウン抵抗を接続し ピンと SDA ピンの配線を中間の長さにします。 メッセージが LTC4315 を越えて伝搬されるこ ENABLE 態を待ち受けます。通電中のバックプレーンに 活線挿入するときは、時差接触コネクタを使用し 入力と出力の間の接続を確立します。不完全な CONNECTOR BOUNCE プレーンに装着されたすべてのカードとバックプ 図 11.時差接触コネクタを使用して、通電中のバックプレーン に LTC4315 を活線挿入したときの波形 LTC4315 の SDA ピンおよび SCL ピンは、最大 こうすることにより、デバイスに電力が供給され、 1.2nF までの容量性負荷を駆動できます。この SDA ピンと SCL ピンは、1V にプリチャージされ てからバックプレーンに接続されるようになりま す。この時間中、ENABLE ピンを L に保持す ることにより、LTC4315 が作動する前に、ストッ プ・ビットとバスのアイドル回路が正常に動作す るようになり、カードの挿入に伴う過渡状態の遷 移を安定に行うことができます。 レーンからなる大きな合成容量を駆動します。 容量バッファリング機能と RTA を組み合わせる に電 力を供 給しています。このとき、 SDAIN ことにより、大規模システムでの 400kHz 動作 ピンおよび SCLIN ピン は LTC4315 によって が可能になります。 1V にプリチャージされます。SDAIN ピンおよ び SCLIN ピンは、バックプレーンに接触する 立ち上がり時間アクセラレータ とバックプレ ーンの 回 路 によって駆 動されま LTC4315 の RTA は、電流源モード(ACC ピン す。入力のストップ・ビットは、 ENABLE ピン を開放)、スルー制限スイッチ・モード(ACC ピ が L なので LTC4315 によって無視されます。 ンを接地)、またはディスエーブル状態(ACC ピ 状態のバックプレーンに活線挿入したときの波 LTC4315 の出力は、ENABLE が H にアサー ンを H )のいずれかに設定できます。電流源 形を図 11 に示します。VCC および VCC2 は最 トされた後に入力でストップ・ビットが検出され モードでは、RTA が 2.5mA の一定電流をバス も配線の長いピンなので、すでにバックプレー るまで、 H のアイドル状態になり、安定状態に に供給します。スルー制御スイッチ・モードでは、 ンに接触しており、LTC4315 および出力バス なります(SCLOUT の波形は示していません)。 RTA は制御された方法でオンし、バスに電流を 時差接触コネクタを使用して LTC4315 を通電 LTC4315 のバッファはこの時点でオンになり、 供給して 40V/µs の標準速度でバスを立ち上げ ます。出力の RTA だけを選択的にディスエー 3.3V 0.01µF 2.7k 2.7k ブルするには、VCC2 を接地し、さらに ACC を 5V VCC VCC2 10k 接地するか、ACC を開放状態にしてください。 1.3k 1.3k LTC4313 には、3 つの異なる RTA のバージョ 10k ンがあります。LTC4313-1 の RTA は、スルー DISCEN 制御スイッチであり、LTC4313-2 の RTA は ENABLE 2.5mA の電流源で、LTC4313-3 には RTA が LTC4315 READY READY SCL1 SCLIN SCLOUT SCL2 SDA1 SDAIN SDAOUT SDA2 FAULT ACC 図 12.レベル変換アプリケーションでの LTC4315. 22 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation GND FAULT ありません。 設計特集 LTC4315 および LTC4313 は、スタック状態のバスを切り離し、通電中の システムに I/Oカードを活線挿抜できます。これらのデバイスは、最小 1.4V まで信号のレベルを変換し、最大 1MHz の周波数で動作できるユーザが 選択可能な RTA 電流を供給します。 レベル変換 図 12 に示す回路は、 LTC4315 のレベル変換 機能を図示しています。LTC4315 の電源の動 作 範 囲 は、VCC が 2.9V ∼ 5.5V で、VCC2 が 力と 2.25V ∼ 5.5V の出力の間でレベル変換を 実行できます。 図 12 に示す例では、3.3V の入力が 5V の出力 に変換されます。許容される最小の VCC および VCC2 の値より低い電圧へのレベル変換には、 別の制約が加わります。2.25V より低い出力電 圧へのレベル変換では、 VCC2 をロジック L に 合は、 DISCEN を L に接続することにより、 LTC4315 ではこの機能をディスエーブルするこ FAULT 5V/DIV 2.25V ∼ 5.5V です。入力バスを VCC に、出力 バスを VCC2 に接続すると、 2.9V ∼ 5.5V の入 スタック状態のバスを自動的に切断しない場 READY 5V/DIV とができます。この場合には、バスがスタック状 態の間、 FAULT フラグが L にアサートされま AUTOMATIC CLOCKING SCLOUT 5V/DIV SDAIN 5V/DIV SDAOUT 5V/DIV STOP BIT GENERATED DISCONNECT AT TIMEOUT RECOVERS HIGH DRIVEN LOW 1ms/DIV 図 13.SDAOUT が L に固定されているときと復旧したとき のバスの波形 が必要です。2.9V より低い入力電圧へのレベ クロックの発生は停止します。最後のクロック・ ル変換では、すべての RTA をディスエーブルす パルス発生後、ストップ・ビットが生成されてバ ることが必要です。このためには、ACC をロジッ スをリセットし、その後の通信に備えます。スタッ ク H に接続する(LTC4315 を使用する場合) ク状態のバスが解放されて H になった場合は、 か、 LTC4313-3 を使用します。こうすることで、 ストップ・ビットまたはバスのアイドル状態が両 RTA による入力バスのオーバードライブを防止 方のバスで検出されると接続が再確立されます。 します。こうした状態では、1.4V のバス電圧に ユーザが介入する必要はありません。 がオフする電圧は 0.3×VCC であり、 ロジック L のノイズ・マージンが広く維持されています。 スタック状態バスの検出および復旧 時には、スレーブ・デバイスが混乱して、 L 状 態でスタック(固定)状態になることがあります。 クロッ LTC4315は出力のI2Cバスをモニタして、 クとデータが 45ms 以内に 1 回以上同時に H になっていなかったかを調べます。この状態が 検出されなかった場合、 LTC4315 は FAULT フラグを L にアサートします。 が行われて、入力側と出力側は接続状態が維持 されます。LTC4313 では、スタック状態バスの 切断および出力クロック・パルスの発生をディス STUCK LOW > 45ms 接続して出力の RTA をディスエーブルすること レベルを変換できます。いずれの場合もバッファ すが、ストップ・ビットの生成やクロックの発生 SDAOUT が L に固定されている間の波形と、 DISCEN が H に接続されて復旧したときの波 形を図 13 に示します。図 13 では、 45ms のタイ ムアウト期間後に FAULT フラグが L にアサー トされており、入力側と出力側が切断されてい ます。これにより、SDAIN は解放されて H に なります。SCLOUT にクロック・パルスが発生し ます。SDAOUT は 16 個のクロック・パルスが 発生する前に解放されて H になります。クロッ エーブルすることはできません。 まとめ LTC4315 および LTC4313 は、大規模な I2C システムに伴ういくつかの問題を解決する、ノ イズ・マージンの大きいバス・バッファです。こ れらのデバイスは、容量のバッファリング、範囲 が 1.4V ∼ 5.5V のバス電源のレベル変換、最 大 0.3・VCC の広いロジック L ノイズ・マージ ンを実現し、バスがロジック H の場合、0.3・ VCC を超えるノイズを除去します。帯域幅の広 いバッファと内蔵の RTA により、最大 1MHz の周波数で動作可能です。これらのバッファは、 最大 1.2nF の寄生容量を持つ非準拠バスを駆 動できます。また、スタック状態のバスを切り離 し、通電中のシステムに I/O カードを活線挿抜で きます。これらのバッファは、高い VOL を駆動し、 低い電圧で RTA がオンする従来型のバッファ が組み込まれた非準拠の I2C デバイスと相互に 利用可能です。LTC4315 および LTC4313 は、 大規模な I2C バス・システムに伴う実用上の設 計問題を軽減します。n ク・パルスの発生が停止してストップ・ビットが 生成されます。SDAOUT が復旧してストップ・ ビットが検出されると、接続が再確立されて入 DISCEN を H に接続すると、LTC4315 は入 力から出力へ信号が伝搬します。SDAOUT が 力側と出力側も切断して、スタック状態のバスを L にとどまると、ENABLE がいったん L に切 解放しようとするときに SCLOUT でクロック・パ り替わってから H に切り替わることにより、入 ルスを発生します。データが開放されて H に 出力間が強制的に接続されます。 なるか 16 個目のクロック・パルスが発生すると、 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 23 理想ダイオードおよびホットスワップ・コントローラに よる電源の二重化と障害状態の切り分け Chew Lye Huat ショットキ・ダイオードは、多重化電源システムを実装す るためにさまざまな方法で使用されます。たとえば、高 信頼性電子システム(µTCA ネットワークやストレージ・ サーバなど)では、冗長電源システムにパワー・ショット キ・ダイオード OR 回路を採用しています。ダイオード OR 回路は、AC アダプタや予備バッテリ給電などの代替 電源を備えたシステムにも使用されます。問題は、ショッ トキ・ダイオードが順方向電圧降下に起因した電力を消 費することです。このために発生する熱を PCB 上の専用 の銅箔領域か、ダイオードにボルトで取り付けたヒート シンクで放熱しなければならず、いずれの場合もかなり のスペースが必要です。 VOUT1 VIN1 IN1 IN2 の電源から負荷までの電圧降下を最小限に抑え SENSE2 DGATE2 HGATE2 OUT2 VIN2 VOUT2 VIN1 VOUT VIN2 IN1 DGATE1 IN2 DGATE2 SENSE+ SENSE– HGATE ることができます。入力電源の電圧が出力の共 VOUT1 IN1 DGATE1 SENSE1+ SENSE1– HGATE1 OUT1 IN2 DGATE2 SENSE2+ SENSE2– HGATE2 OUT2 LTC4228* 図 1.検出抵抗と外付け N チャネル MOSFET の構成が異なるLTC4225、 LTC4227、および LTC4228 の概観 OUT LTC4227* 成される製品ファミリは、パス素子に外付け N を最小限に抑え、MOSFET がオンしているとき HGATE1 OUT1 LTC4225* VIN1 LTC4225、LTC4227、および LTC4228 で構 チャネル MOSFET を使用することで電力損失 SENSE1 DGATE1 VIN2 VOUT2 *ADDITIONAL DETAILS OMITTED FOR CLARITY 通電源電圧より低くなると、対応する MOSFET がオフになるので、理想ダイオードに相当する 機能と性能が得られます。 図 1 に示すように、電流検出抵抗を追加し、ゲー ト制御の異なる 2 つの MOSFET をバック・トゥ・ バック接続で構成することにより、LTC4225 は、 より、LTC4225と比較して、入力の電圧低下か 理想ダイオード制御 らの回復時間を短縮して出力電圧を維持するこ LTC4225 お よ び LTC4228 は、IN ピ ン と とができるようになっています。 OUT ピンの間(LTC4227 の場合は IN ピンと SENSE+ ピンの間)の電圧を、DGATE ピンを 突入電流制限機能や過電流保護機能と合わせ LTC4225-1、LTC4227-1、および LTC4228-1 て理想ダイオードの性能を向上させます。これ はラッチオフ回 路ブレ ーカを備えているのに により、コネクタを損傷することなく、通電状態 対 して、 LTC4225-2、LTC4227-2、 お よ び のバックプレーンに対して基板を安全に抜き差 LTC4228-2 にはフォルト後の自動再試行機能 しすることができます。LTC4227 では、並列接 があります。どちらのオプションも、 LTC4225、 続した理想ダイオード MOSFET の後段に電流 LTC4227、および LTC4228 について、それ 検出抵抗とホットスワップ MOSFET を追加し ぞれ 24 ピン、20 ピン、および 28 ピンの 4mm× CPO ピンと IN ピンの間に接続された外付けコ て、 MOSFET を 1 つ節約することができます。 5mm QFN パッケージおよび SSOP パッケージ ンデンサにより、理想ダイオード MOSFET を急 LTC4228 では、検出抵抗を理想ダイオードと で供給されます。 速にオンするのに必要な電流が供給されます。 ホットスワップ MOSFET の間に配置することに 24 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation 駆動する内蔵のゲート駆動アンプでモニタする ことにより、理想ダイオードとして機能します。こ のアンプは、大きな順方向電圧降下を検出する と、DGATE ピンを直ちにプルアップし、理想ダ イオード制御の MOSFET をオンします(図 2)。 設計特集 LTC4225、LTC4227、および LTC4228 は、パス素子に外付け N チャネル MOSFET を使用することで 電力損失を最小限に抑え、MOSFET がオンしているときの電源から負荷までの電圧降下を最小限に抑える ことができます。入力電源の電圧が出力の共通電源電圧より低くなると、対応する MOSFET がオフになる ので、理想ダイオードに相当する機能と性能が得られます。 負荷電流によって電圧降下が 25mV より大きく IN 10V/DIV ON 5V/DIV CPO 10V/DIV HGATE 10V/DIV OUT 10V/DIV なると、ゲート電圧が上昇して、理想ダイオー ド制御に使用される MOSFET が導通します。 MOSFET が導通しているときに入力電源が短 DGATE 10V/DIV OUT 10V/DIV 絡すると、負荷から入力に向けて大きな逆電流 が流れ始めます。ゲート駆動アンプは、この障害 状態が発生すると直ちに検出して DGATE ピン の電圧を下げて理想ダイオード MOSFET をオ PWRGD 10V/DIV フします。 20ms/DIV ホットスワップ(活線挿抜)制御 50ms/DIV ON ピンを H にして EN ピンを L にすると、 図 2.IN(入力)電源がオンしたときの理想ダイオード・ 図 3.ON が H になってから 100ms 後にホットスワップ・ コントローラの CPO および DGATE の電圧の上昇 コントローラの HGATE が起動し、PWRGD が L になる様子 100ms のデバウンス・タイミング・サイクルが 開始します。このタイミング・サイクルの経過 後、チャージポンプからの 10µA の電流により、 デバイスの電源投入時には、内蔵のチャージポ は DGATE を制 御して、 検 出 抵 抗と 2 つの N HGATE ピンの電圧は次第に上昇します。ホッ ンプがこのコンデンサを充電します。DGATE チャネル MOSFET における順方向電圧降下を トスワップ MOSFET がオンすると、LTC4225 ピン は CPO ピン から充 電され、IN ピン およ 25mV にサーボ制御します。 の場合は IN ピンと SENSE ピンの間(LTC4227 お よ び LTC4228 の 場 合 は SENSE+ ピ ン と び GND ピンに放電します。ゲート駆動アンプ VIN1 12V µTCA アプリケーションでの LTC4225 BULK SUPPLY BYPASS CAPACITOR R2 137k R1 20k CF1 10nF C1 0.1µF R3 20k R4 137k CF2 10nF RH1 10Ω CCP1 0.1µF CPO1 ON1 IN1 SENSE1 DGATE1 LTC4225 ON2 CPO2 IN2 SENSE2 DGATE2 CCP2 0.1µF VIN2 12V HGATE1 INTVCC GND BULK SUPPLY BYPASS CAPACITOR HGATE2 RH2 10Ω RS2 0.004Ω PLUG-IN CARD 1 MH1 MD1 Si7336ADP Si7336ADP MH2 MD2 Si7336ADP Si7336ADP 12V 7.6A RHG1 47Ω CHG1 15nF OUT1 FAULT1 PWRGD1 EN1 TMR1 TMR2 EN2 PWRGD2 FAULT2 OUT2 RHG2 47Ω CHG2 15nF + CL1 1600µF VIN1 R5 100k R6 100k CT1 47nF CT2 47nF R7 100k PLUG-IN CARD 2 R8 100k VIN2 + 図 4.µTCA スロットに 12V 電源を供給する RS1 0.004Ω CL2 1600µF 12V 7.6A BACKPLANE 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 25 メイン電源が停電すると、コントローラは素早く反応してメイン電源の 理想ダイオード MOSFET をオフし、サブ電源の MOSFET をオンして、 負荷に供給する電源を滑らかに切り替えます。ホットスワップ MOSFET はオンのままなので、電源の切り替えには影響しません。 SENSE– ピンの 間 )に接 続されたセンス抵 抗 ムの電源を切断せずにカードを挿抜できます。 安定化された後に、ホットスワップ MOSFET の によって設定されたレベルに突入電流が制限 LTC4225 および LTC4228 は、どちらもデュア ゲート電位は急速に低下します。ホットスワップ されます。アクティブな電流制限アンプは、セ ル理想ダイオードおよびホットスワップ・コント MOSFET はオフになり、FAULT ピンは L に ンス抵抗の両端の電圧が 65mV になるように ローラを内蔵しているので、これらのアプリケー ラッチされてフォルトが示されます。電子回路ブ MOSFET のゲートをサーボ制御します。センス ションに最適です。これらのデバイスは、 2 つの レーカは、ON ピンの電圧を 0.6V より低くする 電圧が 50mV を超えている時間が、 TMR ピン 電源間で電源を円滑に切り替える機能と過電流 ことによってリセットされます。 で設定したフォルト・フィルタ遅延時間より長く 保護機能を備えています。 なると、回路ブレーカが作動して HGATE は L になります。必要に応じて HGATE からGND に コンデンサを追加することにより、突入電流をさ らに減らすことができます。MOSFET のゲート のオーバードライブ電圧(HGATE ピンと OUT ピンの間の電圧)が 4.2V を超えると、PWRGD ピンは L になります(図 3)。 電源の優先順位付け メイン電源が停電すると、コントローラは素早く 反応してメイン電源の理想ダイオード MOSFET をオフし、サブ電源の MOSFET をオンして、出 力負荷に供給する電源を滑らかに切り替えます。 ホットスワップ MOSFET はオンのままなので、 電源の切り替えには影響しません。コントロー ラがホットスワップ MOSFET をオフするのは、 理想ダイオード制御とホットスワップ(活線挿抜) 制御の併用 それぞれの ON ピンが L になるか、 EN ピン 冗長電源を備えた標準的な µTCA アプリケー が検出されると、 TMR ピンのコンデンサによっ が H になる場合です。出力に過電流フォルト ション(図 4 および 9)では、出力はバックプレー て設定されているフォルト・フィルタ遅延時間が ンでダイオード OR 接続されているので、システ タイムアウトになるまで出力が電流制限状態で 図 5.優先順位付け入力として IN1 を備えた 2 チャネル電源プライオリタイザでの LTC4225 5V PRIMARY SUPPLY RS1 0.006Ω INPUT 1 R1 20k C1 R4 0.1µF 41.2k 解決策は、常に電圧の高い方の電源が優先され る方式であり、すべてのアプリケーションでこの 優先順位に従うことが正しい訳ではありません。 5V のメイン電源(INPUT1)を使用可能な場合 はメイン電源が出力に供給され、メイン電源停 電している場合にのみ 12V のバックアップ電源 (INPUT2)が用いられるバックアップ電源シス テムを図 5 に示します。 MH1 SiR466DP RH1 10Ω CCP1 0.1µF OUT1 FAULT1 ON1 PWRGD1 IN1 SENSE1 DGATE1 HGATE1 INTVCC TMR1 TMR2 LTC4225 GND ON2 PWRGD2 FAULT2 EN2 CPO2 + Z2 SMAJ13A BV=14.4V R3 3.92k 26 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation IN2 SENSE2 DGATE2 HGATE2 CCP2 0.1µF INPUT 2 12V BACKUP SUPPLY RHG1 47Ω CHG1 33nF EN1 CPO1 CF1 0.1µF し、低い電圧の方は遮断されます。この単純な + Z1 SMAJ13A BV=14.4V R2 49.9k MD1 SiR466DP 従来のダイオード OR 接続多重電源システムで は、高い電圧の入力電源の方が出力まで通過 RS2 0.006Ω D1 LS4148 MD2 SiR466DP MH2 SiR466DP OUT2 CT2 47nF CL 470µF CT1 47nF VOUT 5A 設計特集 冗長電源を備えた標準的な µTCA アプリケーションでは、出力はバックプレーンで ダイオード OR 接続されているので、システムの電源を切断せずにカードを挿抜できます。 LTC4225 および LTC4228 は、どちらもデュアル理想ダイオードおよびホットスワップ・ コントローラを内蔵しているので、これらのアプリケーションに最適です。これらのデバイス は、2 つの電源間で電源を円滑に切り替える機能と過電流保護機能を備えています。 RS1 0.006Ω BULK SUPPLY BYPASS CAPACITOR RH1 10Ω CPO1 PWREN2 IN1 LTC4225 GND IN2 SENSE2 HGATE2 RH2 10Ω 図 6.電源側にホットスワップ MOSFET、負荷側に 理想ダイオード MOSFET を配置したアプリケーション での LTC4225 OUT1 FAULT1 PWRGD1 EN1 TMR1 TMR2 CT2 47nF CT1 47nF PLUG-IN CARD 2 RHG2 47Ω CHG2 15nF ZH2 ZD2 BULK SUPPLY BYPASS CAPACITOR RS2 0.006Ω MH2 SiR466DP CL1 1000µF EN2 PWRGD2 FAULT2 DGATE2 OUT2 ON2 CCP2 0.1µF ON1 ピンの R1-R2 分圧器によって設定される DGATE1 SENSE1 HGATE1 INTVCC CPO2 VIN2 12V + RHG1 47Ω CHG1 15nF ON1 C1 0.1µF 12V 5A ZH1 ZD1 CCP1 0.1µF PWREN1 PLUG-IN CARD 1 MD1 SiR466DP + VIN1 12V MH1 SiR466DP MD2 SiR466DP CL2 1000µF 12V 5A BACKPLANE ZH1, ZD1, ZH2, ZD2: CMHZ4706, BV=19V 理想ダイオード FET とホットスワップ FET の配置 デュアル理想ダイオード制御および 4.3V の UV しきい値より INPUT1 の電圧が高 LTC4225 では、バック・トゥ・バック接続され シングル・ホットスワップ制御 い限り、 MH1 がオンして INPUT1 を出力に接 た 2 つ の MOSFET の 配 置として、 電 源 側 の 並 列 に接 続されている 2 つ の 理 想ダイオード 続します。MH1 がオンすると、PWRGD1 が L MOSFET を理想ダイオード、負荷側をホットス MOSFET の後段に検出抵抗を配置し、その後 になり、同様に ON2 が L になって、MH2 をオ ワップ(活線挿抜)制御(図 4)として構成する にホットスワップ MOSFET が 1 つ接続されてい フにすることによって IN2 の経路がディスエー か、それとは逆の構成(図 6) が可能です。図 6 る LTC4227 の応用例を図 7 に示します。この例 ブルされます。メイン 電 源 に障 害 が 発 生して では、MOSFET のゲート / ソース間電圧の定格 で過負荷状態が発生した場合、LTC4227 はフォ INPUT1 の電圧が 4.3V より低くなると、ON1 が 20V より低い場合、MOSFET のゲート・ピン ルト・タイムアウトまでの間に電流制限値 ×1 で が MH1 をオフし、 PWRGD1 が H になること とソース・ピンの間にツェナー・ダイオード・ク 制限しますが、LTC4225 のダイオード OR 接続 により、 ON2 が MH2 をオンして INPUT2 を出 ランプを外付けして、MOSFET が降伏電圧に の場合は電流制限値 ×2 で制限します。その結 力に接続することができます。理想ダイオード 達しないようにすることが必要です。いずれの配 果、過負荷状態での電力損失が減少します。 MOSFET の MD1 と MD2 は、いかなる状態で 置でも、IN ピンと OUT ピン間の理想ダイオード も一方の入力から他方の入力への逆給電を阻 OR 接続により、LTC4225 は電源を滑らかに切 止します。 り替えます。 LTC4227 は、IN1 電源を簡単に優先すること ができる D2ON ピンの機能も備えています。た とえば、IN1 を D2ON ピンに接続する簡単な 抵抗分割器を図 8 に示します。これにより、 IN1 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 27 正確な 5% の回路ブレーカしきい値精度と、高速の電流制限動作により、 電源を過電流フォルトから保護します。LTC4228 は入力電圧の低下から 迅速に復旧できるので、そうした状況でも出力電圧を維持します。 図 7.ホットスワップ(活線挿抜) 制御機能を備えたカード常駐 MD1 SiR462DP VIN1 12V Z1 SMAJ13A BV=14.4V ダイオード OR アプリケーション での LTC4227 VIN2 12V CCP1 0.1µF MD2 SiR462DP RS 0.006Ω MH Si7336ADP + Z2 SMAJ13A BV=14.4V RH 10Ω CCP2 0.1µF CL 680µF 12V 7.6A RHG 47Ω CHG 15nF R2 137k R1 20k CF 10nF CPO1 ON SENSE– HGATE OUT INTVCC CT 0.1µF C1 0.1µF CARD CONNECTOR R4 100k TMR GND D2ON R3 100k FAULT PWRGD LTC4227 EN BACKPLANE CONNECTOR IN2 DGATE2 SENSE+ IN1 DGATE1 CPO2 の電圧が 2.8V より高い場合には IN1 電源を優 入力の低下からの急速な出力の復旧 ないときは、入力(IN)電源電圧が低電圧ロック 先しますが、 2.8V を下回った場合には MD2 が 図 4 に示す LTC4225 の µTCA アプリケーショ アウトしきい値より低くなるので、HGATE が L オンし、ダイオード OR 出力が IN1 の 3.3V メイ ンでは、入力電源のいずれかが瞬間的にグラン になってホットスワップ MOSFET がオフになり ン電源から IN2 の 3.3V 補助電源に切り替わり ド電位まで低下した場合、他の電源を使用でき ます。入力電源が復旧すると、HGATE を起動し ます。 て MOSFET をオンにすることができます。しか 図 8.プラグイン・カードの IN1 電源により、LTC4227 の D20N を介して IN2 電源のターンオンを制御 MD1 SiR462DP VMAIN 3.3V Z1 SMAJ7A BV=7.78V VAUX 3.3V CCP1 0.1µF Z2 SMAJ7A BV=7.78V R2 22.1k R1 20k CPO1 CF1 0.1µF CARD CONNECTOR 28 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation R6 28.7k R5 20k MH Si7336ADP + IN1 DGATE1 CPO2 IN2 DGATE2 SENSE+ SENSE– HGATE OUT FAULT PWRGD ON LTC4227 D2ON INTVCC C1 0.1µF CF2 10nF RS 0.008Ω CCP2 0.1µF EN BACKPLANE CONNECTOR MD2 SiR462DP GND TMR CT 0.1µF R3 10k R4 10k CL 100µF 3.3V 5A 設計特集 LTC4225、LTC4227、および LTC4228 は、外付けの N チャネル MOSFET を 制御することにより、2 つの入力電源レールに対する理想ダイオードおよびホット スワップ機能を実現しています。これらのデバイスは、逆給電の高速な遮断、 電源のスムーズな切り替え、過電流保護、および障害の通知機能を備えています。 プ MOSFET はオフしません。ホットスワップ 品の持つ正確な 5% の回路ブレーカしきい値精 サを充電するにはしばらく時間がかかるので、こ MOSFET はオンのままなので、入力電源が復 度と、高速の電流制限動作により、電源を過電 の時間中、出力電圧は低下する場合があります。 旧すると、直ちに出力コンデンサを充電し始め 流フォルトから保護します。LTC4228 は入力電 て負荷に電力の供給を開始します。 圧の低下から迅速に復旧できるので、そうした しながら HGATE および放電した出力コンデン このような 状 況で、LTC4228 は 回 復 動 作 が 速く、出力電圧を維持することができるので、 LTC4225 より優 れています。図 9 に示 すよう 状況でも出力電圧を維持します。n まとめ LTC4225、LTC4227、および LTC4228 は、 に、理想ダイオードとホットスワップ MOSFET 外付けの N チャネル MOSFET を制御すること の間にセンス抵抗を配置しているので、入力電 により、2 つの入力電源レールに対する理想ダイ 源電圧が低下した場合でも出力コンデンサの電 オードおよびホットスワップ機能を実現していま 位によって SENSE+ ピンの電位を維持すること す。これらのデバイスは、逆給電の高速な遮断、 ができます。これにより、 SENSE+ の電圧は低 電源のスムーズな切り替え、過電流保護、およ 電圧ロックアウト状態には入らず、ホットスワッ び障害の通知機能を備えています。これらの製 図 9.µTCA スロットに 12V 電源を供給する µTCA アプリケーションでの LTC4228 MD1 Si7336ADP BULK SUPPLY BYPASS CAPACITOR RH1 10Ω CCP1 0.1µF CPO1 IN1 DGATE1 R1 20k R3 20k R4 137k CF2 10nF INTVCC LTC4228 GND OUT1 VSENSE1+ R5 100k R6 100k CL1 1600µF R7 100k CT1 47nF CT2 47nF + PLUG-IN CARD 2 EN2 PWRGD2 FAULT2 STATUS2 ON2 CPO2 IN2 DGATE2 SENSE2+ SENSE2– HGATE2 RH2 10Ω CCP2 0.1µF VIN2 12V RHG1 47Ω CHG1 15nF STATUS1 FAULT1 PWRGD1 EN1 TMR1 TMR2 ON1 C1 0.1µF 12V 7.6A SENSE1+ SENSE1– HGATE1 R2 137k CF1 10nF PLUG-IN CARD 1 MH1 Si7336ADP BULK SUPPLY BYPASS CAPACITOR MD2 Si7336ADP RS2 0.004Ω MH2 Si7336ADP OUT2 RHG2 47Ω CHG2 15nF R8 100k R9 100k R10 100k + VIN1 12V RS1 0.004Ω VSENSE2+ CL2 1600µF 12V 7.6A BACKPLANE 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 29 LTspice IV の最新情報 Gabino Alonso モデル、デモ回路、イベント、およびユーザの ヒントに関する最新情報については、以下の Twitter サイトで @LTspice をフォローしてください。 www.twitter.com/LTspice デモ回路 降圧レギュレータ ® • LT 3641:PORと WDT を備えたデュアル 高電圧降圧コンバータ(入力:7V∼42V、 出力:5V/1A および 1.8V/0.8A) www.linear-tech.co.jp/LT3641 • LT3976:3.3V 降圧コンバータ(入力:4.3V∼ 42V、出力:3.3V/5A) www.linear-tech.co.jp/LT3976 • LT8300:100V マイクロパワー絶縁型フライ バック・コンバータ(入力:22V∼75V、 出力:5V/0.25A) www.linear-tech.co.jp/LT8300 • LTC3626:平均入力電流の制限機能とモニタ 機能を備えた 2.5V、1MHz 降圧コンバータ (入力:3.6V∼20V、出力:2.5V/2.5A) www.linear-tech.co.jp/LTC3626 • LTC3839:RSENSE による差動検出機能を備え た高速トランジェント応答降圧コンバータ (入力:4.5V∼14V、出力:1.5V/40A) www.linear-tech.co.jp/LTC3839 • LTC3861:DCR による電流検出機能を備えた 大電流、デュアル出力、同期整流式降圧 コンバータ (入力:4V∼14V、出力:1.2V/25A および 1.8V/25A) www.linear-tech.co.jp/LTC3861 • LTM®8029:高電圧降圧 µModule コンバータ (入力:5.6V∼36V、出力:5V/600mA) www.linear-tech.co.jp/LTM8029 LEDドライバ、バッテリ・チャージャ、反転および 非反転レギュレータ • LT3791:効率が 98% の 100W 昇降圧 LED ドライバ(入力:15V∼58V、出力:33V LED/3A)www.linear-tech.co.jp/LT3791 • LT3959:入力電圧範囲の広い昇圧コンバータ (入力:2V∼10V、出力:12V/0.5A∼2A) www.linear-tech.co.jp/LT3959 • LT8611:出力電流制限値が 1A の負電圧 コンバータ(入力:3.8V∼42V、 出力:–3.3V/1A) www.linear-tech.co.jp/LT8611 • LT8611:CCCVリチウムイオン・バッテリ・ チャージャ(入力:3.8V∼42V、 出力:4.1V/1A) www.linear-tech.co.jp/LT8611 新しいモデル スイッチング・レギュレータ • LT3761:PWM 信号発生器内蔵の 60V 入力 LED コントローラ www.linear-tech.co.jp/LT3761 • LT3791-1:60V 入力 4 スイッチ同期整流式 昇降圧コントローラ www.linear-tech.co.jp/LT3791-1 • LT3959:6A、40V スイッチを内蔵した入力 電圧範囲の広い昇圧 /SEPIC/ 反転コンバータ www.linear-tech.co.jp/LT3959 LTspice IV とは LTspice® IV は、電源設計の作業を迅速化するための高性能 SPICE シミュレータ、回路図入力プログラム、 および波形ビューワです。LTspice IV では、SPICE を拡張してモデルを加えたことにより、標準的な SPICE シミュ レータと比較してシミュレーション時間が大幅に短縮されており、他の SPICE シミュレータでは数時間を要する ほとんどのスイッチング ・レギュレータの波形を数分以内に表示できます。 リニアテクノロジーから無償で入手できます。 このダウンロー LTspice IVは、www.linear-tech.co.jp/LTspiceで、 ドには、LTspice IV の完全機能版、リニアテクノロジーのパワー製品のマクロ・モデル、200 種類を超えるオペ アンプ・モデル、ならびに抵抗、トランジスタ、MOSFET のモデルが含まれています。 30 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation • LT8300:150V/260mA スイッチを内蔵した 100V 入力のマイクロパワー絶縁型フライ バック・コンバータ www.linear-tech.co.jp/LT8300 • LTC3122:出力切断機能を備えた 15V、2.5A 同期整流式の昇圧 DC/DC コンバータ www.linear-tech.co.jp/LTC3122 • LTC3633A:デュアル・チャネル、3A、20V モノリシック同期整流式降圧レギュレータ www.linear-tech.co.jp/LTC3633A • LTC3861-1:高精度の電流分担機能を備えた、 マルチフェーズ電圧モードのデュアル降圧 DC/DC コントローラ www.linear-tech.co.jp/LTC3861-1 リニア・レギュレータ • LTC3026-1:1.5A 低入力電圧 VLDO™ リニア・レギュレータ www.linear-tech.co.jp/LTC3026-1 過電圧保護、過電流保護およびタイミング • LT4363-1:電流制限機能を備えた高電圧 サージ・ストッパー www.linear-tech.co.jp/LT4363 • LTC4359:逆入力保護を備えた理想ダイオード・ コントローラ www.linear-tech.co.jp/LTC4359 • LTC6905:抵抗で 17MHz∼170MHz の 周波数を設定可能な SOT-23 発振器 www.linear-tech.co.jp/LTC6905 • LT3957A:5A、40V スイッチ内蔵の、昇圧、 フライバック、SEPIC および反転コンバータ www.linear-tech.co.jp/LT3957A n 設計上のアイデア パワー・ユーザのヒント LTSPICE IV でのデータのインポートとエクスポート LTspice IV の波形ビューワは、基本的な測定を実行するのに便利な方法ですが、回 路をさらに評価するために、 LTspice からデータをエクスポートするか、 LTspice に インポートしたファイルには、時間と値のデータ対を表す 2 次元の点のリストがタブ 区切りまたはコンマ区切り形式で(見出し情報なしで)入っている必要があります。 データをインポートすることが必要な場合があります。 PWL 関数は、データ内の点を結び、テキスト・ファイルに定義されている点間の直 波形データを ASCII テキスト・ファイルにエクスポートする方法: 線部分に基づいて波形を作成します。 1. 波形ビューワをクリックして選択します。 2.「File」メニューの「Export」を選択します。 3. エクスポートする配線を選択します。 4.「Browse」をクリックして、テキスト・ファイルを保存する場所とファイルの名前を 指定します。 このファイルが作成されたら、 Microsoft Excel や MATLAB などのアプリケーション でファイルをさらに解析することができます。MATLABのような一部のアプリケーショ ンは、インポート済みファイルにデータ以外のヘッダ情報などが含まれていないこと テキスト・ファイルを PWL 関数として電圧源または電流源に追加するには、以下のよ うにします。 1. 回路図エディタでシンボルを右クリックします。 を想定していますのでご注意ください。ヘッダを削除する必要がある場合は、テキス 2.「Advance」を選択します。 ト・エディタまたは Excel でテキスト・ファイルを開き削除します。 3.「PWL FILE:」を選択して「Browse」をクリックし、テキスト・ファイルを選択します。 波形データを LTspice IV にインポートするには、テキスト・ファイルを電圧源または 電流源の区分線形(PWL)関数として付加する必要があります。 PWL 文については、本誌の前の号(cds.linear.com/docs/jp/lt-journal/jLTJournalV22N3-2012-10.pdf)で詳しく説明しています。 シミュレーションを楽しんでください ! 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 31 電流および温度モニタ機能を備えた 20V、 2.5A 同期整流式モノリシック降圧レギュレータ K. Bassett CALCULATED OUTPUT CURRENT, IMONOUT • 16000 (A) 2.50 LTC3626 は、3.6V ∼ 20V の入力電圧範囲で でプログラム可能な 500kHz ∼ 3MHz の範囲 2.5A の出力電流供給能力があり、小型(3mm のスイッチング周波数、パワーグッド状態出力、 ×4mm)の 20 ピン QFN パッケージに収めら 出力トラッキング機能、および外部クロック同期 れています。その特許取得済みのオン時間制御 機能も内蔵しています。 アーキテクチャによってきわめて優れたトラン 156 VIN = 12V VOUT = 1.8V fO = 1MHz 2.25 2.00 125 1.75 1.50 94 1.25 1.00 TA = 85°C TA = 25°C TA = –40°C 0.75 63 IMONOUT CURRENT (µA) デジタル IC の集積度向上と、プリント回路基板のレイアウトおよ び組み立て技術の進歩によって、システム性能と電力密度の向上 が絶えまなく進んでいます。これらのシステムの多くは、12V レー ルまたはバッテリ・スタックから電力を供給しており、ポイントオ ブロード・レギュレータを使用して電力チェーンの効率を最大限 に高める一方で、形状を小さく抑えています。LTC3626 同期整流 式モノリシック降圧レギュレータは、柔軟で効率の高い DC/DC 変換機能を備えつつ、占有面積が非常に狭いので、こうした動作 環境に最適です。 0.50 31 0.5 0.75 1.0 1.25 1.5 1.75 2.0 2.25 2.5 OUTPUT CURRENT (A) 図 1.出力電流モニタと出力電流 ます。IMONOUT ピンの出力を適切な電圧に 変換することにより、マイクロコントローラや単 ジェント応答が得られ、高いスイッチング周波数 電流のモニタおよび制限 独の A/D コンバータを用いてデジタル化するこ での降圧比を高くすることができるので、基板の システム全体の性能を測定する 1 つの方法は、 とが簡単にできます。出力電流モニタを作動さ 実装面積が最小限で済みます。 電源の出力側の電流をモニタすることです。電 せて動作するよう構成された LTC3626 の例を 源電流のモニタは、負荷となる IC が期待どおり 図 3 に示します。このケースでは、LTC2460(16 に動作しているかどうかを設計者に伝える機能 ビット A/D コンバータ)を用いて測定結果をデ もあるので、設計時やデバッグ時、さらに通常動 ジタル化しています。 か内蔵していますが、通常はこの機能を実現す るのに他の IC と相当な設計時間が必要になり ます。特に、わずか数個の受動部品を付加する 作時に役立ちます。 だけで、出力電流、入力電流、ダイの温度を正 LTC3626 は、 そ の IMONOUT ピ ン か ら 平 確に測定できるように LTC3626 を設定できま 均 出 力 電 流のごく一 部を流すことによって電 す。また、それらのパラメータについて制限を設 源 電 流を 簡 単 にモニタします。具 体 的 には、 定することも非常に簡単にできます。 IMONOUT ピンから流れる電流は平均出力電 これらの組み込み機能によって、システムの性 流を 16,000 で割った値と等しくなります。 能についてより正確に把握することができ、ほと -40 ℃∼ 85 ℃の周囲温度範囲での出力電流測 んど設計上の苦労なく制御のレベルを高めるこ 定の標準的な性能を図 1 に示します。実際の平 とが可能です。 均出力電流と LTC3626 によって測定された平 さらに、 設計の労力を最小限に抑えるために 均出力電流の間の誤差を図 2 に示します。 オプ ション の 内 部 ル ープ 補 償 回 路 が ありま IMONOUT から流れる電流は、直接測定する す。また、LTC3626 は、ユーザが選択可能な こともできますし、IMONOUT ピンとグランドの BurstMode 動作または強制連続モード、抵抗 間に抵抗を配置して電圧に変換することもでき 32 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation 図 2.出力電流モニタ誤差と出力電流 MEASURED OUTPUT CURRENT ERROR (%) LTC3626 は、使いやすい強力な機能をいくつ 5 VIN = 12V VOUT = 1.8V fO = 1MHz 4 3 2 1 0 –1 –2 –3 TA = 85°C TA = 25°C TA = –40°C –4 –5 1 1.25 1.75 2 2.25 1.5 OUTPUT CURRENT (A) 2.5 設計上のアイデア VIN 12V C1 47µF 0.1µF C4 2.2µF 0.1µF RPGD 200k 0.1µF REFOUT COMP VCC SCK SDO CS IN CIOUT 1µF LTC2460 GND PVIN SVIN RUN C2 1µF RIOUT 5.1k り、放熱パッドの接続状態、したがってデバイス BOOST INTVCC SW ITH TRACK/SS VON TSET TMON FB IMONIN RT PGOOD IMONOUT MODE/SYNC SGND 内部の動作環境を知ることができます。 CBST 0.1µF L1 1.5µH LTC3626 R1 40.2k RT 324k PGND CF 22pF VOUT 1.8V COUT 2.5A 47µF 一例として、2 つのデバイスから取ったデータを 図 5 に示します。一方は放熱パッドと PCBとの接 続が良好なデバイスで、もう一方は放熱パッドの 接続が不十分なデバイスです。両デバイスとも R2 20k 設定された電圧を出力していますが、内部温度 の測定結果から 2 つのデバイスの内部の動作環 境が大きく異なることは明らかです。たとえば周 REF– 図 3.デジタル式の出力電流モニタ機能を備えた、12V 入力で 1.8V 出力の 2.5A レギュレータ 囲動作が 70℃のシステムに組み込んだ場合、放 熱パッドの接続が不十分なデバイスは、許容最 大接合部温度である 125 ℃を明らかに超えるの で、長期信頼性が低下することになります。 LTC3626 は、プログラミングが容易な平均出 を 475mA に制限する一方で 5V の入力電圧か まとめ 力電流制限機能も備えています。具体的には、 ら 2.5V の出力電圧を発生するよう構成された LTC3626 は、 約 1.2V のリファレンスを持 つ LTC3626 の例を図 4 に示します。 今日のシステム設計者が直面する高性能と高 電流制限アンプを内蔵しています。平均出力電 電力密度への絶え間ない要求により、小型で柔 軟性があり、効率的なポイントオブロード・コン 流をプログラムするには、制限回路が作動する 温度のモニタおよび制限 電流によって生じる電圧が 1.2V になるように LTC3626 は、ダイ温度の推定値を TMON ピ IMONOUTとグランドの間の抵抗値を決めるだ ンに発生します。この機能を使用して、組み立 けで済みます。 て時に行った QFN パッケージの放熱パッドとグ ランドの間の接続品質を調べることができます。 平均出力電流の場合と同様に、LTC3626 は、 QFN パッケージの放熱パッドの目的は、基板へ 平均入力電流の推定値を IMONIN ピンで出力 の低インピーダンスの電気的接続ならびに良好 します。言い換えると、IMONIN ピンの電流は、 な熱接触を確保することです。この重要な接続 平均入力電流の推定値を 16,000 で割った値で バータで電力チェーン全体の効率を最大限に高 める必要性が出てきています。LTC3626 は、広 い入力電圧範囲、出力電流供給能力、柔軟な機 能セット、非常に小さいフォーム・ファクタを兼 ね備えているので、多くのポイントオブロード・ レギュレータ・アプリケーションにおいて理想的 な選択肢となります。n の目視検査は難しく、長期間デバイスを動作さ す。平均出力電流の場合と同様、LTC3626 は、 せるにはダイ温度が高すぎる場合でも、安定化 平均入力電流の制限値をプログラムするための 出力電圧を観察しただけでは放熱パッドの接続 簡単な仕組みを備えています。この機能は、入 が十分かどうかを識別できないことがあります。 力電源から流れる平均電流を制限する必要があ しかしながら、 TMON ピンを測定することによ るアプリケーションで便利です。平均入力電流 図 4.入力電流モニタと 475mA の入力電流制限機能を備えた 5V 入力、 図 5.LTC3626 による温度測定によって、放熱パッドの接続の 2.5V 出力(同期周波数 1MHz 時)のレギュレータ 品質の確認は簡単に行えます。 C4 2.2µF RCOMP 13k CCOMP 220pF RIIN 40.2k C1 47µF RPGD 100k CIIN 1µF PVIN SVIN RUN BOOST LTC3626 TRACK/SS INTVCC RT SW TSET IMONOUT VON TMON PGOOD FB ITH IMONIN MODE/SYNC SGND PGND 80 CBST 0.1µF L1 2.2µH R1 127k R2 40.2k EXTERNAL CLOCK CF 22pF COUT 47µF VOUT 2.5V 2.5A MEASURED ON-DIE TEMPERATURE (°C) VIN 5V POOR EXPOSED CONNECTION 60 40 20 0 NORMAL EXPOSED CONNECTION 0 5 10 15 ILOAD (A) 20 25 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 33 大電流電源における正確なマルチフェーズ電流分担を 実現するサブ・ミリオーム DCR 電流センス Muthu Subramanian Tuan Nguyen Theo Phillips 電子デバイスの機能的な複雑さが増大し、マイクロプロセッサの計算速度向上や環境への配慮の必要性が 高まることにより、電源に対する要求もますます厳しくなってきています。とくに大電流の電源に関しては、 最高の効率で動作することが期待されています。導通損失を最小限に抑えるため電源は負荷の近くに配置 する必要があり、同じ基板上に複数の電力段が存在します。さらに個々の電力段は、限られた基板面積に 収まるように小型化する必要があります。基板面積当たりの最高の性能を達成するため、コントローラは、 パワーブロック、DrMOS、MOSFET 使用の外付けゲート・ドライバなど、外部の電力段と連携する必要があ ります。 SS VIN 7V TO 14V 20k 4.22k 40.2k VOUT LTC3861 VSNSOUT1 COMP2 FB2 SS CLKIN 500kHz EXTERNAL SYNC INPUT 1Ω 2.2µF 16V 53.6k RUN1 ILIM1 SGND ISNS1P ISNS1N ISNS2N ISNS2P SGND ILIM2 RUN2 VCC VIN RUN VIN VIN SS VCC VOUT = 0.9V/120A 降圧コンバータ、 fSW = 500kHz RUN1 ILIM1 SGND ISNS1P ISNS1N ISNS2N ISNS2P SGND ILIM2 RUN2 34k 34 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation VIN RUN SS COUT2 : SANYO 2R5TPE330M9 COUT1 : MURATA GRM32ER60J107ME20 L1, L2, L3, L4 : COILCRAFT XAL1010-221ME VCC BOOT PHASE V FDMF6707B IN DISB VSWH PWM VDRV PGND VCIN SMOD CGND 0.22µF 2.87k L2 0.22µH 10k 0.22µF CIN4 22µF × 2 10k 16V 1Ω 2.2µF 16V 53.6k SS2 FREQ CLKIN CLKOUT PHSMD PGOOD2 PWMEN2 PWM2 VCC FB1 COMP1 VSNSP1,2 VSNSN1,2 VSNSOUT1,2 LTC3861 COMP2 FB2 2.87k 0.22µF 2.2µF 16V VCC RUN VCC SS1 VINSNS CONFIG IAVG PGOOD1 PWMEN1 PWM1 図 1.DrMOS を使用した 4 相、VIN =12V、 L1 0.22µH 10k 0.22µF VCC 34k 100pF 1µF IN VSWH DISB PWM PGND VDRV VCIN SMOD CGND 2.2µF 16V CIN3 22µF × 2 10k 16V 1Ω 2.2µF 16V VCC 5V BOOT PHASE V FDMF6707B VOUT 0.9V/ 120A SS2 FREQ CLKIN CLKOUT PHSMD PGOOD2 PWMEN2 PWM2 VCC VCC RUN FB1 COMP1 VSNSP1 VSNSN1 470pF 0.22µF CIN2 22µF × 2 10k 16V 100k 1µF 3.3nF VIN VCC VCC SS1 VINSNS CONFIG IAVG PGOOD1 PWMEN1 PWM1 374Ω 100pF 0.1µF CIN1 180µF VCC 5V 4.7nF IAVG BOOT PHASE FDMF6707B VIN VSWH DISB PWM PGND VDRV VCIN SMOD CGND 0.22µF 0.22µF VCC 1Ω 2.2µF 16V 2.2µF 16V 2.87k 10k 2.2µF 16V CIN5 22µF × 2 10k 16V L3 0.22µH BOOT PHASE V FDMF6707B IN VSWH DISB PWM PGND VDRV VCIN SMOD CGND 10k 0.22µF 2.87k L4 0.22µH COUT1 100µF × 8 6.3V COUT2 330µF × 12 2.5V 設計上のアイデア LTC3861 は、固定周波数電圧モード・アーキテクチャの採用に加え、 非常にオフセットが小さい広帯域エラーアンプと、チャネル毎の リモート出力検出用差動アンプを組み合わせることで、優れた過渡 応答と出力安定化を実現します。 35 CURRENT IN EACH PHASE (A) 30 25 20 15 10 CHANNEL 4 CHANNEL 3 CHANNEL 2 CHANNEL 1 5 0 0 20 80 100 40 60 TOTAL LOAD CURRENT (A) 120 図 2.負荷電流を変化させたときの 4 つの位相間での電流分担 LTC3861 は、パワーブロック、DrMOS、お よび外付けゲート・ドライバと連動できるマル チフェーズ・デュアル出力の同期整流式降圧 DC/DC コントローラです。このデバイスは、デュ アル出力、3+1 出力、または最大 12 相のシング ル出力降圧コンバータとして動作できるだけの 柔軟性を備えています。 図 3.0.9V/120A、400 FPM、fSW = 500kHz での熱画像 電圧モードの制御ループでは、エラーアンプ出 温度範囲で ±1.3% の全出力安定精度が保証 力が鋸歯状のランプ波と比較され、これによって されます。 コンバータのデューティ比を直接制御します。エ ラーアンプの出力電圧は、差動で検出された出 力電圧と基準電圧との間の誤差信号の大きさに 比例します。600mV のリファレンスの精度は、 0 ℃∼ 85 ℃の温度範囲で ±0.75% です。この 基準電圧の精度と、エラーアンプの持つ低いオ フセットの組み合わせにより、-40℃∼ 125℃の もできます。 で、優れた過渡応答と出力安定化を実現しま 補償および過渡応答に影響しません。差動アン EFFICIENCY (%) 90 マルチフェーズの電流分担 このコントローラはセンス抵抗、または低損失の 80 インダクタ直流抵抗(DCR)による電流センス を使用して、位相間の電流バランスを保ち、過 70 検出し、電源グランドとコントローラのグランド 間の電位差とは無関係に、 LTC3861 が実際の 出力電圧を読み取れるようになっています。 60 電流保護を実現します。マルチフェーズ動作時 VIN = 12V VOUT = 0.9V fSW = 500kHz プは、 0.6V ∼ VCC – 0.5V の全出力電圧範囲 にわたって、抵抗分割された帰還電圧を差動で ん。コンバータの最小オン時間は 20ns なので、 内蔵の PLL により外部クロックに同期させること ト出力検出用差動アンプを組み合わせること 目的ですべての出力コンデンサに低 ESR のセラ シュートを大幅に低減しています。この方式によ り、 DC ループの利得が入力電圧に依存しませ ∼ 2.25MHz の範囲にプログラムできますが、 100 い広帯域エラーアンプと、チャネル毎のリモー ミック・コンデンサを使用した場合でも、ループ を実現し、出力のオーバーシュートとアンダー に最適です。動作周波数は抵抗により250kHz テクチャの採用に加え、非常にオフセットが小さ 40MHzと高いため、出力リップルを最小化する ワード補正方式を使用して優れた入力過渡応答 高い周波数で動作する降圧比の高いコンバータ LTC3861 は、固定周波数電圧モード・アーキ す。エラーアンプと差動アンプの利得帯域幅は LTC3861 は、入力電圧の変化を補償するため にデューティ比を瞬時に調整するフィードフォ 0 20 40 60 80 ILOAD (A) 図 4.4 相、0.9V/120A コンバータの効率 100 には、LTC3861 は電流分担の補助ループを組 120 み込みます。このループは、FB ピンに対する設 定と、IAVG ピンへのコンデンサの追加によって 作動します。IAVG ピンの電圧は、マスタ位相の 瞬間的な平均インダクタ電流と一致します。各 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 35 マルチフェーズ動作時には、LTC3861 は電流分担の補助ループを組み込みます。 このループは、FB ピンに対する設定と、IAVG ピンへのコンデンサの追加によって作動します。 –40℃∼ 125℃の温度範囲での位相間での電流検出ミスマッチの最大値は、±1.25mV です。 120A の最大負荷電流では、4 つの位相間での電流分担精度は ±2.15% です。 5mV (±0.28%) VOUT 2mV/DIV VOUT 20mV/DIV 60mV (±3.3%) 120A IOUT 20A/DIV 90A 500ns/DIV 10µs/DIV 図 5.定常状態での電圧リップル 図 6.90A から 120A までの 30A 負荷ステップのトランジェント応答 スレーブ位相は、そのインダクタ電流とマスタの あることを表しています。120A の最大負荷での て配置することができます。出力電圧を差動で インダクタ電流との差を積分します。ILIM ピン 効率は、図 4 に示すように 86% に近い値です。 検出するので、電源グランドと LTC3861 のグラ ンド間の電位差は負荷安定化に影響しません。 に接続されている抵抗は、正と負の過電流フォ 図 5 は、定常状態での電圧リップルが出力電圧 ルト保護コンパレータのしきい値を設定します。 の約 ±0.3% であることを示しています。負荷ス –40℃∼ 125℃の温度範囲での位相間での電流 テップに対するトランジェント解析は、最大負荷 検出ミスマッチの最大値は、±1.25mV です。 の 75% から 100% まで負荷を変化することに 回路の性能 よって行われました。これは、90A から 120A ま で振幅 30A の負荷ステップになります。負荷ス 低 DCR による検出機能を備えた効率の高い テップ時のピーク・トゥ・ピークの電圧オーバー 12V 入力 0.9V/120A 出力の 4 相降圧コンバー シュートおよびアンダーシュートは 60mV で、こ タを図 1 に示します。この設計回路では、 DCR れは出力電圧の約 ±3.3% です。 = 0.45mΩ の インダクタを 使 用して い ます。 LTC3861 は、DrMOS、パワーブロック、およ び LTC4449 ゲート・ドライバと組み合わせた外 付けの MOSFET を制御します。このデバイス は、大電流の分散給電システム、DSP、FPGA、 および ASIC 電源、データ通信システム、電気通 信システム、および産業用電源に使用されます。 LTC3861 は、36ピンの 5mm×6mm QFN パッ ケージで供給されます。さらに、LTC3861-1 は、 120A の最大負荷電流では、4 つの位相間での まとめ LTC3860とピン互換の 32 ピンの 5mm×5mm 電流分担精度は ±2.15% です。図 2 に、負荷電 LTC3861 は、最大 12 相のマルチフェーズ電源 QFN パッケージで供給されます。n 流を変えた場合に位相間の電流分担がどのよう における正確な電流分担機能を備えた電圧モー になるかを示します。 ド・コントローラです。このデバイスはゲート・ド 図 3 に示す 120A 負荷時の熱画像は、最も高温 のスポットがチャネル 2 および 3 の MOSFET で 36 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation ライバ出力のかわりに、トライステートの PWM 出力を備えているので、大電流の経路から離し 設計上のアイデア パワーシステムマネージメント機能を備えた 高性能、単相 DC/DC コントローラ Yi Sun LTC3883 は、パワーシステムマ ネージメント用の PMBus インタ フェースを 備え、 MOSFET ゲ ー ト・ドライバを内蔵した単相の同 期整流式降圧 DC/DC コントロー ラです。このデバイスは、単体で 動作させることも、リニアテクノロ ジーの他のパワーシステムマネー ジメント対応デバイスと組み合わ せて動作させることもできます。 5mΩ VIN 6V TO 24V 10µF 100Ω 1µF 100Ω 10nF 3Ω 10nF VIN 10k 10k PMBus INTERFACE 10k 10k 10k LTC3883 の特長は次のとおりです。 囲が 0.5V ∼ 5.5V 10k 5k VDD33 精度が ±0.5% • 出力電圧値、電流制限値、シーケンス制御、 マージニング制御、OV/UV しきい値、周波数 同期、およびフォルト・ログ機能をプログラム 可能なパワーシステムマネージメント機能を 備えています。 • VIN、IIN、VOUT、IOUT、温度およびフォルト などの計測機能 M2 SDA RUN 1µF 20k 24.9k 10k 20k 12.7k 9.09k 23.2k 17.8k FREQ_CFG SCL ALERT 1.4k VDD25 PGOOD VOUT_CFG 1.4k VTRIM_CFG 0.22µF SHARE_CLK ASEL GPIO SYNC WP • –40℃∼125℃の動作温度範囲での出力電圧 0.56µH BG PGND 10µF M1 0.1µF SW VIN_SNS 10k • 入力電圧範囲が 4.5V ∼ 24V で、出力電圧範 TG LTC3883 BOOST IIN_SNS 22µF 50V 1µF D1 INTVCC VDD25 VDD33 1.0µF ISENSE+ ISENSE– VSENSE+ VSENSE– + TSNS GND ITH 2200pF 1.0µF 100pF D1: CENTRAL CMDSH-3TR L: COILCRAFT XAL7070-551ME VOUT 1.8V 30A COUT 1520µF MMBT3906 4.99k M1: INFINEON BSC050N03LSG COUT: 4× 330µF SANYO 2R5TPE330M9, 2× 100µF AVX 12106D107KAT2A M2: INFINEON BSC011N03LSI 図 1.IIN 検出機能を備えた 1.8V/30A の単相デジタル電源 LTC3883 の制御ループは、高速過渡応答を実 10A の負荷ステップ過渡応答の標準的な波形 現するピーク電流モード制御を採用しています。 を図 2 に示します。 • 外付けの分圧器により、チップ・アドレス、ス イッチング周波数、および出力電圧を設定 • 入力電流測定およびインダクタ直流抵抗に対 する自動較正 IIN 検出機能を備えた 1.8V/30A 単相デジタル電源 図 1 に、インダクタ直流抵抗(DCR)による電流 検出機能を備える、7V ∼ 14V 入力、1.8V/30A 出力の応用例を示します。DCR による電流検出 の精度を向上するため、 LTC3883 ではインダ クタの温度を測定して、DCR の温度係数(TC) を補償します。この方法により、電流の読み取り 精度、および過電流制限の精度を確保します。 図 2.10A 負荷ステップのトランジェント応答 VOUT 100mV/DIV (AC-COUPLED) IOUT 10A/DIV (AC-COUPLED) 120mV 30A 20A IL 10A/DIV (AC-COUPLED) 20µs/DIV 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 37 LTC3883 は、インダクタ直列抵抗 (DCR) の許容誤差に関係なく、 出力電流の読み取り精度を 3% 以内に抑えるために、独自の DCR 自動較正機能を持っています。 ジーのすべてのパワーシステムマネージメント IIN VIN + 製品と互換性のある PC ベースのソフトウェアで CIN す。LTpowerPlay を使用すると、設計者は一連 VIN VIN_SNS IIN_SNS TG LTC3883 図 3.DCR の自動較正 M1 SW BG M2 IOUT DCR + + – COUT VCS ISENSE+ ISENSE– のコードを記述することなく、電源システム全体 + を簡単にプログラムして制御できます。バス上の VOUT デバイスの構成、システムの状態の検証、遠隔 – 測定値の読み取り、フォルト状態の確認、電源 シーケンスの制御が容易です。 まとめ LTC3883 は、降圧コンバータの入力側に直列 に接続した抵抗(図 1 に示す 5mΩ の検出抵抗) を介して入力電流を検出することを特長として います。検出電圧は、LTC3883 に内蔵の 16ビッ ト A/D コンバータによって電力段の入力電流に 変換されます。内部センス抵抗はチップの電源 DCRCALIBRATED = VCS • LTC3883 は、パワーシステムマネージメント機 D IIN 能を備えたクラス最高のアナログ DC/DC コント この自動較正方式により、インダクタ DCR の許 容誤差に関係なく、出力電流の読み取り精度を 3% 以内にすることができます。 ローラと、高精度のデータ・コンバータを組み 合わせており、これまでにない性能と制御性を 実現しています。複数の LTC3883 をリニアテク ノロジーの他の PMBus 対応製品と組み合わせ 電流を VIN で検出するので、LTC3883 はチッ 1.2V/60A の 3 相デジタル電源 て使用することにより、複数レールの電源システ プと電力段の両方の入力電流を測定できます。 LTC3883 はアナログ電流制御ループを内蔵 ムを最適化できます。強力な LTpowerPlay ソフ インダクタ DCR の自動較正 従来のインダクタ DCR による電流検出の問題 は、 DCR の許容誤差が最大で ±10% になる 可能性があり、電流の読み取り精度を大きく制 限していることです。この問題を解決するため、 LTC3883 では独自の DCR 自動較正機能を使 用します。この回路の簡略ブロック図を図 3 に示 します。 LTC3883 は、入力電流(IIN)、デューティ比(D) しており、PolyPhase® 動作に最適です。入力 が 7V ∼ 14V で 出 力 が 1.2V/60A の 用 途 に LTC3883 と LTC3880 を 1 つ ず つ 使 用 し た 3 相シングル出力回路の例を図 4 に示します。 トウェアにより、複雑な電源システムの開発が簡 略化されます。LTC3883 は、電気通信機器、コ ンピュータ処理、データ・ストレージなどの用途 に使用できます。n LTC3880 は、パワーシステムマネージメント機 能を備えた 2 相同期整流式降圧コントローラで す。これら 2 つのデバイス間の相互接続は簡単 です。この例では LTC3883 の入力電流検出抵 抗を使用して 3 相すべての合計入力電 図 5.3 相電源の 30A 負荷ステップの過渡応答性能 流を検出していることに注目してくだ を正確に測定し、次の関係式に基づいて実際の さい。 DCR 値を較正します。 負荷ステップ過渡応答における動的な VOUT 50mV/DIV (AC-COUPLED) 60mV 電流分担を図 5 に示します。3 相すべ てが電流を均等に分担しています。 LTpowerPlay LTpowerPlay™ ソフトウェアは、 www.linear-tech.co.jp/ltpowerplay で 無償で入手できます。 38 | 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation LTpowerPlay の開発 すべてのパワーシステムマネージメン ト機能は LTpowerPlay で制御できま す。LTpowerPlay は、リニアテクノロ IL0 10A/DIV IL0 10A/DIV IL0 10A/DIV 20µs/DIV 設計上のアイデア 5mΩ VIN 6V TO 14V 10µF INTVCC 100Ω 1µF TG LTC3883 BOOST IIN_SNS 100Ω 図 4.IIN 検出機能を備えた 1.0V/60A の 3 相デジタル電源 VIN_SNS 10nF 22µF 50V 1µF D1 M1A 0.1µF M1 L0 0.56µH SW 10nF M1B BG PGND 3Ω 10k 10µF 1k PGOOD 10k PMBus INTERFACE VDD25 VIN 10k 10k SDA VOUT_CFG SCL VTRIM_CFG ALERT 10k GPIO 5k SYNC WP ASEL 0.22µF ISENSE– VSENSE+ TSNS ITH GND D2 VIN TG0 TG1 LTC3880 22µF 1µF M2A 0.1µF M2 L2 0.56µH SW1 BG0 M2B BG1 PGND VDD33 1µF COUT1 530µF 10nF BOOST1 SW0 M3B VOUT 1V 60A MMBT3906 2200pF D3 INTVCC BOOST0 1µF + VSENSE 4.99k 0.1µF 1k 1k ISENSE+ 1.0µF M3A 17.8k – VDD25 VDD33 1.0µF M3 L1 0.56µH 11.3k SHARE_CLK 10k 10µF 20k FREQ_CFG RUN 10k 1µF 24.9k 1k SYNC 1µF SDA SCL VDD25 ALERT VOUT1_CFG GPIO1 SHARE_CLK VTRIM0_CFG RUN0 RUN1 VTRIM1_CFG 0.22µF TSNS0 ISENSE0+ TSNS1 ISENSE1+ ISENSE0– ISENSE1– ITH0 MMBT3906 11.3k 15.8k 17.8k 0.22µF 1k ITH1 GND 100pF 10µF D1-D3: CENTRAL CMDSH-3TR L0-L2: COILCRAFT XAL7070-301ME 1µF VSENSE1 VSENSE0– COUT2 530µF 20k FREQ_CFG VSENSE0+ + 10k ASEL WP 1k 24.9k VOUT0_CFG GPIO0 MMBT3906 10nF + COUT3 530µF M1, M2, M3: FAIRCHILD FDMS3620S COUT1, COUT2, COUT3: 330μH SANYO 4TPF330ML, 2× 100µF AVX 12106D107KAT2A 2013年1月: LT Journal of Analog Innovation | 39 circuits.linear-tech.co.jp からのハイライト 高精度、高電圧のハイサイド負荷電流モニタ 200Ω および両電源で動作し、アンプ当たりに流れる電流はわずか 315µA です。LT6016/LT6017 の Over-The-Top® 入力段は、厳しい環境でも保護できるように設計されています。入力同 0.1Ω 10W 相電圧範囲は、V+ の値に関係なく、V- より最大で 76V 高い入力電圧までカバーしています。 LTspice IV PANEL VOLTAGE UP TO 60V 37V VIN REG POINT 100Ω 1% D1 RFILTA 1k CFILT 1µF IVINP ENABLE Dn 最大電力点レギュレーション機能を備えた 70W 太陽光発電システム LT3763 は、20A までの出力電流を正確に安定化 CREF 2.2µF 1V/A 0V TO 1V OUT ます。電圧設定と過電圧保護は、出力から FB ピン IVINN TG VREF CBOOST 100nF BOOST LT3763 CTRL1 CVCC 22µF RFAULT 47.5kΩ SENSE+ SYNC RT RT 82.5k RFB1 121k FAULT FB SS VC CSS 10nF RC 26.1k CC 4.7nF 2.5V VIN 75Ω M3 150Ω 665Ω 3V 0.1µF 133MHz 差動アンプ 入力インピーダンス 75Ω のシングルエンド入力を差動出力に変換し、2.5V 入力を 1.25V の差動 同相出力へレベル・シフトする、外付け抵抗を使用したシングルエンド入力、差動利得 2 の回路例 circuits.linear-tech.co.jp/607 3V RFB3 182k 1.8pF 1VP-P + – RFB2 12.1k L1: COILCRAFT MSS1278-123 M1, M2: INFINEON BSC100N06LS3 M3: VISHAY VN2222LL RS: VISHAY WSL2512R0100FEA 外部ゲイン設定、75Ω 信号源とのインピーダンス整合、およびレベル・シフト機能を備えた LTspice IV RSB 10Ω PWMOUT ISMON PWM circuits.linear-tech.co.jp/608 RSA 10Ω M2 3.6V CS 33nF SENSE– IVINMON INTVCC VOUT RS 10mΩ 14V MAXIMUM GND FBIN RFBIN2 12.1k L1 12µH + INTVCC VREF M1 SW BG RFBIN1 348k CIN2 100µF CIN1 4.7µF VIN RNTC 470k DC/DC コントローラです。平均電流モード・コント ピンのアナログ電圧と外付けのセンス抵抗で設定し RFILTB 1k CTRL2 ローラは、0V から 55V までの広い出力電圧範囲で インダクタ電流を安定化します。出力電流は CTRL 2k EN/UVLO RHOT 45.3k するために設計された固定周波数の同期整流降圧 circuits.linear-tech.co.jp/607 BSP89 – RSENSE_IN 10mΩ D2 LTspice IV LT6016 LOAD circuits.linear-tech.co.jp/609 circuits.linear-tech.co.jp/608 0.1µF + 200Ω circuits.linear-tech.co.jp/609 への分圧抵抗を用いて設定します。 5V VBAT = 1.5V TO 76V LT6016/LT6017 は、入力オフセット電圧を 50µV 未満にトリミングしたデュアル / クワッドの レール・トゥ・レール入力オペアンプです。これらのアンプは全電圧範囲が 3V ∼ 50V の単電源 102Ω 1.25V VOCM – + + – LT6660-2.5 IN OUT GND 0.1µF 2.5V 0.1µF 43.2Ω 150Ω 10µF 1.25V 1VP-P 1.25V 1VP-P LTC6406 665Ω GAIN = 2 1.8pF L、LT、LTC、LTM、Linear Technology、リニアのロゴ、LTspice、Burst Mode、Over-The-Top および PolyPhase はリニアテクノロジー社の登録商標です。Hot Swap、isoSPI、PowerPath、LTpowerPlay および VLDO はリニアテクノロジー社の商標です。 その他すべての商標の所有権は、それぞれの所有者に帰属します。 © 2013 Linear Technology Corporation/Printed in U.S.A./58K リニアテクノロジー株式会社 本 社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル8F TEL. 03(5226)7291 FAX. 03(5226)0268 大 阪 支 社 〒550-0011 大阪市西区阿波座1-6-13 カーニープレイス本町6F TEL. 06(6533)5880 FAX. 06(6543)2588 名古屋支社 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-20-22 桜通大津KTビル7F TEL. 052(955)0056 FAX. 052(955)0058 www.linear-tech.co.jp