2014 年 7 月 こ の 号 の 内 容 自分専用の高性能ポータブル DC ベンチ電源の構築 12 太陽電池アプリケーションで真の 最大電力点を能動的に検出する バッテリ充電コントローラ 21 自己給電し、専用ネットワークを 形成する高精度ワイヤレス温度 第 24 期第 2 号 分数分周方式の利点を生かしつつ、 複雑さや性能面での欠点を解消 する、6GHz 超の VCO を内蔵した 分数分周方式 PLL Michel Azarian センサ 26 分数分周方式シンセサイザには、周波数の高さや全体的な位相ノイズ性能 など、整数分周方式シンセサイザより有利な点がいくつもあり、それが魅力 となっています。こうした利点を踏まえても、PLL システムの設計者が分数分 周方式の採用に踏み切ることはめったにありません。複雑な設計、不十分な スプリアス性能、さらに ΔΣ 変調器のノイズは、分数分周方式シンセサイザを 使用した場合の欠点としてよく知られています。しかし、LTC6948 を使えば、 システム設計者は分数分周方式 PLL の利点が得られ、欠点は回避できます。 一般的な分数分周方式シンセサ イザとは異なり、このデバイスは、 使いやすく、整数分周方式シンセ サイザと同等のスプリアス性能と ノイズ性能を発揮します。 LTC6948 は 6GHz を 超 え る ハ イ エ ン ド の VCO を 4mm×5mm の パ ッケ ー ジ に 内 蔵し ており、PLL システムを小型化します。さらに、 LTC6948 を使用した PLL システム設計は、無 償の高性能分数分周方式 PLL 設計 / シミュレー ション・ツールである FracNWizard™ を使えば 簡単です。 (4 ページへ続く) LTC®3350 スーパーキャパシタ・チャージャ / バックアップ・コントローラは、主電源が故障した場合に電力を中断せずに 供給します(2 ページ参照)。 www.linear-tech.co.jp リニアテクノロジーの ニュース この号の内容 COVER STORY 分数分周方式の利点を生かしつつ、複雑さや性 能面での欠点を解消する、6GHz 超の VCO を 内蔵した分数分周方式 PLL Michel Azarian 1 2 つの重要なパワー・マネージメント新製品である、スーパーキャパシタ・チャージャ / DESIGN FEATURES 高性能ポータブル DC ベンチ電源: 専用電源 の構築により、コストを削減し、卓上スペース を確保 Keith Szolusha パワーの新製品を市場に投入 バックアップ・コントローラ LTC3350、および 2A、65V 同期整流式降圧レギュレータ LT®8620 が 5 月に世界各地で記者発表されました。 12 LTC3350:スーパーキャパシタ・チャージャ / バックアップ・コントローラ LTC3350 は、完全なコンデンサ・ベースの独立型バックアップ電源ソリューションを実現 太陽電池アプリケーションで真の最大電力点を 能動的に検出する鉛蓄電池およびリチウム電池 充電用の 80V 昇降圧コントローラ Tage Bjorklund するのに必要なすべての機能を備えています。このデバイスは、主電源の故障時に信頼で きる短時間の無停電電源を必要とするアプリケーションに最適です。例として、半導体ドラ 21 らびにその他の回復不能(Dying Gasp)電源異常インジケータなどがあります。 DESIGN IDEAS LTspice IV の最新情報 Gabino Alonso 自己給電し、専用ネットワークを形成して、産業 環境での容易な展開を可能にする高精度ワイヤ レス温度センサ Kris Lokere LTC3350 は、 総 合 的 な 高 信 頼 性 バックアップ・システムを 実 現 するの に 必 要 な 24 Mike Shriver 直 線 性 誤 差 2ppm を 実 現 する 20 ビット SAR A/D コンバータの DC 精度の高いドライバ Guy Hoover 48V 電源対応の完全な単一 IC パワー・マネー ジメント・バッテリ保守 / バックアップ・システム PowerPath™ 制御回路、コンデンサ・スタック充電およびバランス調整回路、コンデンサ 健全性モニタ回路をすべて内蔵しています。このデバイスは、1∼4 個のスーパーキャパシ タの直列スタックを充電してモニタすることができます。このデバイスの同期整流式降圧コ ントローラは、N チャネル MOSFET を駆動して定電流 / 定電圧充電に対応します。また、 26 1mΩ 未満の DCR による検出機能を備えた、高 密度 1.2V/60A 電源を駆動する 2 相降圧コント ローラ イブのデータ・バックアップ、医療用や産業用アプリケーションでの電源異常アラーム、な 昇圧コンバータとして逆方向に動作し、スーパーキャパシタ・スタックからバックアップ電 源レールに電力を供給できます。内蔵のバランサにより、外付けのバランス抵抗が不要で あり、各スーパーキャパシタには過電圧保護用のシャント・レギュレータが接続されてい ます。システムの電流および電圧、さらにスタック容量と ESR もすべて、内部の 14 ビット 32 A/D コンバータを使用して正確に測定され、I2C インタフェースを介して読み取ることがで きます。コンデンサ充電電圧などの動作パラメータを I2C を介して設定することにより、シ ステムの寿命と性能を最適化することができます。 34 LT8620:入力電圧範囲の広い同期整流式降圧レギュレータ LT8620 は、入力電圧範囲が 3.4V∼65V の最初の同期整流式高電圧降圧レギュレータ Jay Celani 36 new product briefs 39 back page circuits 40 で、0.97V の低電圧まで最大 2A を供給します。自動車や商用車のアプリケーションでは、 ますます高性能なパワー・マネージメント IC が要求されています。たとえば、入力電圧の 振幅は、コールド・クランクまたは停止 / 始動シナリオでの 3.5V から負荷遮断状態シナリオ での最大 65V までの可能性があるので、バッテリ・バスで動作する自動車(VNOM:12V) アプリケーションや商用車(VNOM:24V)アプリケーションは、3.3V のような十分な安定 化出力電圧が必要です。高効率は優先事項であり、熱設計に関する考慮事項を最小限に 抑えつつ、ハイブリッド車や電気自動車でのバッテリ駆動時間を最大限まで延ばすことに 重点を置きます。セキュリティ、ナビゲーション、安全性、環境管理などの常時オン状態の 自動車アプリケーションでは、車両がアイドリング状態のとき静止電流を最小限に抑えて バッテリを放電しないようにすることが肝要です。 LTC8620 に内蔵の同期整流回路により、最大効率 94% を実現してヒートシンクが不要 になります。また、Burst Mode® 動作により、必要な静止電流はわずか 2.5µA で済むので、 2 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation リニアテクノロジーのニュース 常時稼働システムに伴うバッテリの放電を低減 場合でも 96% の高い効率を実現する一方で、 TECHNO-FRONTIER 2014、電源システム展、会 します。LT8620 の最小オン時間は 30ns なの Burst Mode 動作により、無負荷のスタンバイ 場:東京ビッグサイト、日程:7 月 23 日∼25 日、小間 で、2MHz のスイッチング周波数で 32V から 状態での静止電流を2.5µA未満に維持します。 番号 1F-301̶リニアテクノロジーは、パワーシ 2V への降圧が可能です。このデバイスは、あ このため、自動車の「常時稼働」システムのよ ステム・マネージメント、バッテリ・マネージメ らゆる条件でわずか 250mV(1A)のドロップ うなアプリケーションによく適しています。動作 ント・システム、および LTspice IV を展示しま アウトで動作するので、コールド・クランクやソ 時のバッテリ寿命を長くする必要があるからで す。詳細については、www.jma.or.jp/tf/en を フトスタートの動作条件に耐える必要があるア す。3.4V∼42V の入力電圧範囲により、自動 ご覧ください。 プリケーションに最適です。 車や産業用のアプリケーションに最適です。 受賞情報 会議およびイベント Boeing Performance Excellence Award LTspice® World Circuit̶LTspice の 上 級 (ボーイング社の優秀性能賞) ボ ー イング 社 は 昨 年 の 優 れ た サプ ライヤ 成 績 に 対してリニ ア テクノロジ ー に Gold Performance Excellence Award(成 績 優 秀 賞:金賞)を贈りました。 ユーザーと新規ユーザーの両方を対象とし た Arrow Electronics とリニアテクノロジ ー の Mike Engelhardt に よ る 無 料 半 日 セ ミ ナー にご 参 加ください。回 路 設 計をを 上 手 目指してください。米国、ヨーロッパ、および オリンパス・メディカルシステムズ株式会社は、 に最優秀アナログ IC サプライヤ賞を授与しま した。 Showcase、開催地:ミシガン州ノバイ、日程:9 月 16 日∼18 日、 小間番号 920̶リニアテクノロ ジーのバッテリ・マネージメント・システム製 品群を紹介します。詳細については、 www. thebatteryshow.com をご覧ください。 の知 識を得て、より高速で効 率 的な設 計を アジアの複数の場所で 7 月∼9 月に開催しま 貢献をした」ことに対して、 リニアテクノロジー Tech Expo 、会 場: Suburban Collection にシミュレートして回路動作を予測するため オリンパス最優秀アナログ IC サプライヤ賞 「数年間にわたり製品開発に対する多大な The Battery Show/Electric & Hybrid Vehicle す。日 程と詳 細 に つ いては、 secure.effreg. com/r/ltspice2014 をご覧ください。LTspice IV は、 www.linear-tech.co.jp/solutions/ LTspice で無償ダウンロードできます。 ECN Impact Awards(ECN 影響力賞) 受 賞、Best Integrated Circuit( 最 優 秀 集 積 回 路 ):LTC2378-20̶LTC2378-20 は、 積 分 非直線性誤差(INL)が 0.5ppm で待ち時間 のない 20 ビット、1Msps SAR A/D コンバー タです。真の 20 ビット A/D コンバータである LTC2378-20 は、5V の差動入力範囲で 5µV の分解能まで分解できます。このデバイスは、 きわめて安定した ±0.5ppm(標準)の INL 誤 差特性を備えた最初の 20 ビット SAR A/D コ ンバータで、全温度範囲で 2ppm(最大)の規 格値を保証するので、業界で最も精度の高い A/D コンバータです。アプリケーションは、地 震の監視、エネルギー探査、気流の検出、シリ コン・ウェハの製造、医療機器、データ収集シ ステム、自動試験装置、小型計測機器、産業 用プロセス制御システムなどです。 最 終 候 補、 Power Sources Category( 電 源 部 門) :LT8614̶LT8614 Silent Switcher™ は、 4A、42V 入力対応の同期整流式降圧スイッ チング ・レギュレータで、 EMI/EMC 放射を 20dB 以上低減し、CISPR 25 クラス 5 の制限 LTC2378-20 20 ビット、 シリアル SAR A/D コン バータは、ECN 誌によって Best Integrated Circuit (最優秀集積回路)の称号 を与えられました。真の 20 ビット A/D コンバータ 値より十分に低い値になります。同期整流回路 は、1Msps のスループット により、スイッチング周波数が 2MHz を超える と 0.5ppm の INL を備えて います。 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 3 LTC6948 は高性能の位相 / 周波数検出器と VCO を LTC6946 から 流用し、18 ビットの ΔΣ 変調器を加えて混載し、世界最高レベルの分 数分周方式 PLL を作り出しています。 fPFD(INT _N) = fSTEP(INT _N) • O −60 分数分周方式 PLL の需要 多くの場合、こうした状況では fPFD が低すぎ 整数分周方式 PLL の LTC6946(LT Journal て実際には実現できませんが、これがたとえ リファ of Analog Innovation、2012 年 1 月)は、 可能だったとしても、帯域内位相ノイズフロア レンス周波数(fREF)に関連した PLL 出力周波 数(fLO(INT_N))を次式に従って生成します。 fLO(INT _N) = fREF N • R O ここで、 R はリファレンス入力の分周比の値、 N は VCO 帰還分周比の値であり、O は出力 (LM(OUT))が極端に高くなります。 L M(OUT) = f L M(NORM) + 10 • log10 ( fPFD ) + 20 • log10 LO fPFD ここで、LM(NORM) は PLL の 正 規 化され た の分周比の値です。 帯域内位相ノイズフロアです。 LTC6946 の簡略ブロック図とともに、ループ 2 つの fPFD 項を結合すると、次のようになり を安定化するのに必要なループ・フィルタおよ ます。 びデバイスのリファレンスを駆動する OCXO L M(OUT) = を図 1 に示します。 LTC6946 は総合的に優れた性能を発揮しま すが、アプリケーションによっては、 fLO を小 幅 な 周 波 数ステップ(fSTEP(INT_N))で動 か すか、分解能の高い特定の周波数を追跡する よう微調整することが必要です。整数分周方 式 PLL をそのようなアプリケーションに適合 させようとすると、位相 / 周波数検出器のレート (fPFD(INT_N))を非常に小さくすることが必要 になります。ただし、 IN-BAND PHASE NOISE FLOOR (dBc/Hz) (LTC6948、1 ページからの続き) −70 −80 −90 −100 −110 LM(NORM) = −225dBc/Hz −120 100k 1M 10k fPFD (Hz) 10M 100M 図 2.固定の fLO での PLL の帯域内位相ノイズフロアと fPFD L M(NORM) + 20 • log10 ( fLO ) − 10 • log10 ( fPFD ) LM(NORM) は PLL に対して固定されるので、 この式の意味は、目的とする fLO が同じ場合、 LTC6948 に対する標準的な正規化定数)を 仮定しています。 帯域内位相ノイズは− 10 • log10(fPFD) だけ 図 2 が示しているのは、fPFD をできるだけ高く 悪化するということです。言い換えれば、fPFD する必要があることですが、それは fSTEP(INT_ の周波数を低くすると、帯域内位相ノイズフ N)( 整数分周方式 PLL での周波数ステップ・ ロアは悪化します。図 2 は、 fPFD を 10kHz か サイズ)によって強く制限されています。 ら 100MHz まで変化させたとき、6.236GHz の fLO の 最 後 の 式 を プ ロットして い ま す。 LM(NORM) = –225dBc/Hz(分数モードでの 分 数 分 周 方 式 PLL は、 fSTEP と fPFD の 間 の この強い関係を断ち切ります。分数分周方式 PLL は、整数分周方式 PLL よりもはるかに小 幅の fSTEP が可能でありながら、より高速の fPFD で動作します。 図 1.外部参照クロックおよび LTC6946 ループ・フィルタを接続した LTC6946 の簡略ブロック図 OCXO fREF 通 信 チャネル に対 する fLO のノイズ 寄 与 分 CHARGE PUMP fPFD ÷R PFD ICP(UP) ICP(DN) ÷N に対する fPFD の影響をさらに調査するため、 定 を 使 用して、 fLO = 6.236GHz の 両 側 の CP fLO 4 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation RZ CI 100Hz から 100MHz までのオフセット範囲で 位相ノイズを積分します。この結果をまとめた ものを図 3 に示します。 VCO ÷O FracNWizard で LTC6948 の 実 用 的 な 設 LOOP FILTER V_TUNE 設計特集 DOUBLE-SIDEBAND 100Hz TO 100MHz INTEGRATED NOISE (dBc) LTC6948 は、高度なノイズ波形整形技術を使用して、変調器からの帯域内ノイズ寄与分を最小限に 抑えます。このデバイスは、正規化された帯域内位相ノイズフロア (LM(NORM))が –225dBc/Hz であり、 その整数分周モードでの性能である –226dBc/Hz と比較して十分な値であることを誇っています。 これらの数値により、LTC6948 は一流の PLL デバイスとして位置付けられます。 −25 F は分数値で、次式で与えられます。 数分解能を持つ抜群の帯域内位相ノイズフ −30 F= −35 ここで、 NUM は、LTC6948 内部の ΔΣ 変調 ロアが得られます。このことは、±(190.7/2 NUM = 95.4Hz)の最 大 誤 差を持つ VCO 範 囲 内 218 器に設定されている分子の値です。この値は 1と 218 – 1(つまり262143)の間の任意の整 −40 数なので、0<F<1 であることを意味します。 −45 −50 5 55 30 80 fPFD (MHz) 図 3.fLO = 6.236GHz での両側波帯、100Hz∼100MHz 現代の通信チャネルは、データのスループット を最大限に高めるために複雑な変調方式を使 用しており、そこでは 40dB 以上の SNR が一 般的です。図 3 は、fPFD が高いほどこうした要 件を満たすのに役立つことを示しています。 LTC6948 の内部動作 LTC6948 は高性能の位相 / 周波数検出器と 億分の 1)なので、リファレンス・クロックの精 前述したように、fSTEP(FRAC_N)はfSTEP(INT_N) と比較すると小さく、通常は fPFD(FRAC_N) が プ・サイズはさらに小さくなります。 fPFD(INT_N) より大きいのと対照的です。これ により、設計者は与えられた fREF に対してでき 図 2 に示すように値の低下した帯域内位相ノイ 的の周波数分解能を実現するのに十分なほど 号対ノイズ比(SNR)に直接関係があります。 0.015ppm(100 万分の 1)すなわち15ppb(10 度の影響は事実上なくなります。出力分周比 ズフロアを利用し、その後、fLO(FRAC_N) で目 図 3 に示す積分ノイズは、通信チャネルの信 す。95.4Hzという最大誤差は、 6.236GHz の の大きい方の値 O を使用すると、絶対ステッ るだけ高い fPFD(FRAC_N) を選択できるので、 の積分ノイズ のどの周波数にも設定できることを意味しま fSTEP(FRAC_N) が小さいことを確認できます。 次の式は、ステップ・サイズを位相 / 周波数検 出器のレートに関連付けています。 O•2 プのような)高い分解能を実現しつつ、量子化 ノイズを自動制御で整形するので、ΔΣ 変調器 を使用して細分化機能を PLL で実行するのが 推奨の方法です。言い換えると、帯域内量子 化ノイズは減少しますが、代償として帯域外ノ イズが増加します。帯域外ノイズは図 4 に示す 受動素子を使用して簡単に除去できます。後 述の「設計例:ドップラー・レーダー」に示す fPFD(FRAC _N ) fSTEP(FRAC _N) = ΔΣ 変調器は(LTC6948 で可能な 218 ステッ ように、これらの部品の値を決定することは、 18 FracNWizard ソフトウェアを使用することで fPFD が 同 じ 場 合、fSTEP(FRAC_N) は、 fSTEP(INT_N) の 218 分の 1 の大きさです。たと えば、6.236GHz の fLO は、 fPFD が 50MHz の LTC6948 によって生成できるので、結果 とし て 190.7Hz(= fSTEP(FRAC_N))の 周 波 簡単にできます。 LTC6948 は、内部の ΔΣ 変調器を停止して、 整数分周方式 PLLとして動作させることができ ます。 VCO を LTC6946 から流用し、18 ビットの ΔΣ 変調器を加えて混載し、世界最高レベルの分 数分周方式 PLL を作り出しています。図 4 は、 LTC6948 のブロック図のほかに、ループ・フィ LTC6948 CHARGE PUMP ルタと、リファレンスとして機能する OCXO を OCXO 示します。 fREF fPFD ÷R LOOP FILTER PFD ICP(UP) LTC6948 では、fLO(FRAC_N) と fREF が 次の ように関連しています。 fLO(FRAC _N) = fREF N + F • R O ICP(DN) 図 4.外部参照クロック ∆∑ ÷ (N + F) L1 R1 C2 CP RZ CI VCO およびループ・フィルタ ÷O を接続した LTC6948 の 簡略ブロック図 V_TUNE fLO 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 5 分数分周方式 PLL には、出力に 3 種類のスプリアス積が生じます。それはリファレンス・ スプリアス、整数値境界スプリアス、および分数化スプリアスであり、予測できない面倒な スプリアスです。LTC6948 には分数化(つまりΔΣ)スプリアスは絶対にありません。 分数化の欠点は回避可能 図 5.fLO = 2.378GHz での LTC6948 の fPFD スプリアス PLL に ΔΣ 変調器を追加すると、不十分なス 0 プリアス性能(最も顕著)、ΔΣ 変調器ノイズ、 −20 設計の複雑さなど、重大な欠点が生じる可能 −40 LTC6948 には当てはまりません。 スプリアス性能の概要 POUT (dBm) 性があります。以下に説明するように、これは fLO = 2377.73MHz fREF = 61.44MHz fPFD = 61.44MHz LOOP BW = 180kHz −80 −100 リアス積が生じます。 −120 1. リファレンス・スプリアス −140 −91dBc −78dBc −78dBc −96dBc す。スプリアスの発生箇所と大きさが分かって いる場合、システム設計者はそれを回避する か、またはそれがシステムの完全性を損なわ ないことを保証できます。スプリアスの発生箇 所と大きさがランダムの場合、設計者には取る べき手段はほとんどありません。 LTC6948 の低リファレンス・スプリアス リファレンス(または PFD)スプリアスは予測 可能であり、 整数分周方式 PLL にも同様に 存在します。このスプリアスが存在する周波 数は、ちょうど fPFD とその高調波で、高調波 は fLO を 中 心として fLO から離 れています。 LTC6948 は優れたリファレンス・スプリアス 性能を備えています。およそ 2.3GHz の出力 での LTC6948 の標準的な性能を図 5 に示し ます。 図 5 は、 LTC6948 を分数分周モードに設定 して、2.378GHz の fLO を生成している場合、 出力スペクトルにはリファレンス・スプリアス 6 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation F が 0 または 1 から遠ざかるにつれて、整数値 境界スプリアスはループ・フィルタによって減 つれて同様の仕組みが働きますが、範囲は指 数関数的に狭くなるので、fPFD • F < BW また は fPFD • (1-F) < BW のときに主な整数値境 界スプリアスが生じます。 ほとんどの状況では、fREF を慎重に選択し、場 −246 −184 −123−61.4 0 61.4 123 184 246 FREQUENCY OFFSET (MHz IN 10kHz SEGMENTS) 3. 分数化スプリアス 面倒なスプリアスは予測不能のスプリアスで 使用して測定した結果を図 6 に示します。 衰されます。F が 1/2、1/3、1/4 などに近づくに −60 分数分周方式 PLL には、出力に 3 種類のスプ 2. 整数値境界スプリアス RBW = 100Hz VBW = 100Hz INTN = 0 CPLE = 1 O=2 の範囲内に現われます。これを LTC6948 を 合によっては複数の fPFD あるいは fREF を使用 することにより、システム設計者はこれらのスプ リアスを回避することができます。これらのスプ リアスの位置は事前に分かっているからです。 が含まれており、その fLO からのオフセットは 61.44MHz(fPFD)および fPFD の高調波であ ることを示しています。LTC6948 のリファレン ス・スプリアスの大きさは、他のデバイスと比 較するとやや低めです。最も顕著なスプリアス であっても、fLOからの121.88MHzのオフセッ トは問題になりません。このスプリアスは、エ ネルギーの面では低すぎ、 fLO からは遠すぎ て、実際のほとんどのアプリケーションでは何 の不都合もありません。 値が低く予測可能な整数値境界スプリアス 整数値境界スプリアスは、分数分周方式 PLL に固有の物理現象です。VCO 出力は fPFD の 高調波を相互変調して、うなり周波数を生成し ます。これらのうなり周波数は、 PLL のループ 帯域幅(BW)の通過帯域内またはその通過帯 域に近い場合に限り、 fLO の前後にスプリアス として現われます。言い換えると、F が 0 また は 1 にきわめて近い場合、これらのスプリアス はループ・フィルタでは減衰されず、PLL 出力 さらに良いことには、アプリケーションの良好 な部分では、LTC6948 の整数値境界スプリア ス・レベル(図 6 に示す例では最大 –60dBc) が非常に低く、システムでのチャネル積分ノ イズより低くなる可能性が高いと考えられま す。両側波帯積分ノイズが通信チャネル内で –40∼–50dBc であれば、通常は高性能とみな されるので、最大 –60dBc のスプリアスはチャ ネルのノイズより少なくとも 10dB 低く、システ ム全体の性能に支障をきたすことはないこと を意味します。 LTC6948 では整数値境界スプリアス・レベル が低くなっており、さらにループ帯域幅の内側 ではスプリアスが除去されないことから、整数 値境界スプリアスがチャネルのエネルギーの 中心となることが多い他の分数分周方式 PLL よりも競争面で優位に立つことができます。 設計特集 図 6.fLO = 2.365GHz(F = 0.00043)∼fLO = 2.378GHz (F = 0.4)での LTC6948 の整数値境界スプリアス 分数化スプリアスなし LTC6948 には予測不能な分数化スプリアス PHASE NOISE (dBc/Hz) –50 がありません。このスプリアスは、市販されて –75 –100 –125 いる他の分数分周方式デバイスのほとんどが F = 0.00043 –150 かかえている問題です。予測不能なスプリアス に対処するときの問題は、LTC6948 の場合に はありません。 1k 10k 100k fOFFSET FROM fLO (Hz) 1M 10M 10k 100k fOFFSET FROM fLO (Hz) 1M 10M 10k 100k fOFFSET FROM fLO (Hz) 1M 10M 10k 100k fOFFSET FROM fLO (Hz) 1M 10M –50 LTC6948 は、高度なノイズ波形整形技術を 使用して、変調器からの帯域内ノイズ寄与分 を最小限に抑えます。このデバイスは、正規化 された帯域内位相ノイズフロア(LM(NORM)) が –225dBc/Hz であり、その整数分周モード PHASE NOISE (dBc/Hz) ΔΣノイズ での性能である –226dBc/Hz と比較して十分 –75 –100 –125 な値であることを誇っています。これらの数値 F = 0.0084 は、LTC6948 は素晴らしい PLL デバイスであ –150 ることを示しています。 1k –50 簡単な設計 レーダー・アプリケーションは、FracNWizard ソフトウェアを使用して LTC6948 を設計に組 み込む方法がいかに簡単であるかを示してい ます。LTC6948 は複雑な設計方法は使用せ ず、代わりに簡単明瞭な設計プロセスを使用し ます。LTC6948 のすべての仕様は容易に達 PHASE NOISE (dBc/Hz) 「設計例:ドップラー・レーダー」で後述する –75 –100 –125 成可能です。 F = 0.024 –150 1k PHASE NOISE (dBc/Hz) –50 –75 –100 –125 F = 0.4 –150 1k 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 7 リファレンス・クロックは、システム内で最も高価な部品になる可能性があります。 PLL IC を適切かつ慎重に選択することにより、理論的にはリファレンス・クロックが 支配的な近接位相ノイズの悪化を防止します。多くの場合は見落とされていますが、 PLL IC の 1/f ノイズ(またはフリッカ・ノイズ)は、近接位相ノイズを悪化させる可能 性があり、帯域内位相ノイズに悪影響を及ぼす可能性がある重要な性能指標です。 VCO の較正時間 使用して、その出力周波数範囲全体を対象範 2.8 波数を変更したら、そのことはその都度デバイ スに伝達する必要があります。これにより、デ バイスは内部検索アルゴリズムを実行して正し い VCO サブ帯域を適用できます。 VCO 較正時間は最小限に抑えて、PLL ロック 時間を制限してください。たとえば、周波数ホッ CALIBRATION TIME 2.7 2.6 2.5 126MHz STEP fPFD = 61.44MHz fCAL = 1.28MHz LOOP BW = 180kHz MTCAL = 0 2.4 2.3 2.2 –5 ピング・アプリケーションは、全ロック時間が短 くなるとメリットがあります。LTC6948 は、図 7 −70 PHASE NOISE (dBc/Hz) 2.9 FREQUENCY (GHz) LTC6948 は、複数の内部 VCO サブ帯域を 囲にします。LTC6948 を起動するか、その周 −60 3.0 0 5 10 15 TIME (µs) 20 −80 −90 −100 −110 −120 −130 −140 100 25 図 7.LTC6948 VCO の標準の較正時間 1/f NORM = −274 1/f NORM = −264 1/f NORM = −254 1/f NORM = −244 1k 10k 100k 1M fOFFSET FROM 6.236GHz LO (Hz) 10M 図 8.近接および帯域内位相ノイズ性能に対する異なる 正規化帯域内 1/f 位相ノイズ規格の影響 に示すように 10µs よりわずかに長 い 時 間で VCO の較正を完了できます。この時間は、ほ とんどの代替デバイスより丸 1 桁分高速です。 隠れていることが多いがきわめて重要な 1/f ノイズ リファレンス・クロックは、システム内で最も高 価な部品になる可能性があります。PLL IC を 適切かつ慎重に選択することにより、理論的に はリファレンス・クロックが支配的な近接位相 ノイズの悪化を防止します。多くの場合は見落 とされていますが、 PLL IC の 1/f ノイズ(また はフリッカ・ノイズ)は、近接位相ノイズを悪化 させる可能性があり、帯域内位相ノイズに悪 次 の 式 は、 正 規 化され た 1/f ノイズ の 数 値 能が不十分である場合には、帯域内位相ノイ (L1/f)を、オフセット位相ノイズの値 LOUT(1/f) ズの良さは隠れてしまいます。 (1Hz の fLO からの 1Hz のオフ LTC6948 は、 (fOFFSET)に変換する方法を示しています。こ セットを基準にして正規化された)–274dBc/ Hz の 素 晴らし い 正 規 化 1/f ノイズ 規 格 が こで、 fOFFSET は、ある一定の fLO からのオフ セットです。 特 長です が、これ は 100Hz のオフセットで L OUT(1/f) ( fOFFSET ) = 100MHz のリファレンス・クロックの 場 合、 L 1/f + 20 • log10 ( fLO ) − 10 • log10 ( fOFFSET ) –134dBc/Hz の位相ノイズ・レベルと同等であ り、市場で入手できる最高級の 100MHz 水晶 発振器と同等の性能です。 影響を及ぼす可能性がある重要な性能指標で す。たとえば、1/f ノイズ・コーナーが上昇した 場合、 1/f ノイズによって帯域内位相ノイズが どのように悪化するかを図 8 に示します。図 8 表 1.LTC6948 の出力周波数オプション VCO 出力 周波数範囲(GHz) 分周器 LTC6948-1 LTC6948-2 LTC6948-3 LTC6948-4 O_DIV = 1 2.240∼3.740 3.080∼4.910 3.840∼5.790 4.200∼6.390 O_DIV = 2 1.120∼1.870 1.540∼2.455 1.920∼2.895 2.100∼3.195 O_DIV = 3 0.747∼1.247 1.027∼1.637 1.280∼1.930 1.400∼2.130 ズの強い影響を示しています。ある PLL IC の O_DIV = 4 0.560∼0.935 0.770∼1.228 0.960∼1.448 1.050∼1.598 正規化帯域内位相ノイズフロア(別名:最小感 O_DIV = 5 0.448∼0.748 0.616∼0.982 0.768∼1.158 0.840∼1.278 O_DIV = 6 0.373∼0.623 0.513∼0.818 0.640∼0.965 0.700∼1.065 では、正規化された帯域内位相ノイズフロア が –225dBc/Hz であると想定しています。 図 8 は、ほとんどのベンダが隠すことにしてい る PLL の現実を明らかにしています。この図 は、帯域内位相ノイズフロアに対する 1/f ノイ 度)が良くても、そのデバイスの 1/f ノイズの性 8 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 設計特集 ドップラー・レーダー・アプリケーションは、1/f ノイズ性能がなぜ肝要であるかを示す好例です。ドップ ラー・レーダーは、入射波が移動物体によって反射したときに入射周波数に加わった少量の周波数偏移 を検出することに依存しています。LTC6948 の 1/f ノイズ性能により、186Hz のオフセットで必要なダイ ナミックレンジを確保できるので、10mph の移動物体を検出する確率が高くなります。反射信号は大幅 に減衰するので、信号を正しく解読するには、レーダー受信機のダイナミックレンジが十分であることが 重要になります。 設計例:ドップラー・レーダー ドップラー・レーダーの最新の用途には、ゆっ 信機のダイナミックレンジが十分であることが ドップラー・レーダー・アプリケーションは、1/f くりと移動する物体を監視するアプリケーショ 重要になります。 ノイズ性能がなぜ肝要であるかを示す好例 です。ドップラー・レーダーは、入射波が移動 物体によって反射したときに入射周波数に加 わったわずかな周波数偏移を検出することに 依存しています。入射周波数 fLO に対する反 射電磁波の周波数偏移(ドップラー偏移)fD は、次式に示すように、移動物体の速度 v およ び光速 cと関係があります。 f fD = 2 • v • LO c ンも含まれます。10mph で 移 動している中 程度の速度の物体から発生する fD は、fLO = 6.236GHz の場合、わずか 186Hz です(c = 671 • 106mph と仮定)。図 8 に示すように、 LTC6948 の 1/f ノイズ性能により、 186Hz の オフセットで必要なダイナミックレンジを確保 できるので、 10mph の移動物体を検出する確 率が高くなります。反射信号は大幅に減衰する ので、信号を正しく解読するには、レーダー受 か なり高 速 の 物 体 を 検 出 す る 場 合 で も、 LTC6948 の 低 1/f ノイズ 性 能とその 優 れた 帯域内位相ノイズフロアによるメリットがあり ます。たとえば、 fLO = 6.236GHz の 場 合、 200mph で移動する物体の fD は 3.72kHz で す。図 8 は、LTC6948 を搭載したレーダー・ システムが 3.72kHz のオフセットで最高のダ イナミックレンジに対応していることを示して います。 図 9.FracNWizard ツールは、LTC6948 を使用する fLO = 6.236GHz の場合の設計パラメータを決定します。 1.「Loop Design」を選択する 2.「LTC6948-4」を選択する 3. リファレンス周波数を入力する 4. 目的のfLO を入力する 5.「Compute Params」をクリックする 6.「Filter 3」を選択する 7.「Design Filter」をクリックする 8. 表示された「Component Values」の 実用版を回路に取り込む 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 9 かなり高速の物体を検出する場合でも、LTC6948 の低 1/f ノイズ性能とその優れた帯 域内位相ノイズフロアによるメリットがあります。たとえば、fLO = 6.236GHz の場合、 200mphで移動する物体のfDは3.72kHzです。LTC6948を搭載したレーダー・システムは、 3.72kHz のオフセットで最高のダイナミックレンジに対応しています。 1.6nF 10µH 76.8Ω 76.8Ω 2.4nF 1µF 図 10.計算済みのループ・フィルタ部品を接続した LTC6948-4 回路 1µF 56nF 0.01µF 0.01µF 1µF 3.3V GND VVCO+ CP VCP+ VREF+ 68nH BB 3.3V 0.1µF VRF+ 3.3V RF+ 0.1µF LTC6948-4 RF– SPI BUS GND 51.1Ω GND REF– 1µF REF+ STAT CS SCLK SDI SDO LDO VD+ MUTE 100MHz 5V 15Ω 0.1µF 3.3V CMB CMC GND TB TUNE 2.2µF 1µF 3.3V R = 2, fPFD = 50MHz N = 84 TO 127.8 LOOP BW = 169kHz O=1 0.01µF 68nH 100pF 0.1µF BVCO GND CMA 100pF fLO = 4200MHz TO 6390MHz IN 190.7Hz STEPS これで、LTC6948 の性能がドップラー・レー PLL の設計 ダー・アプリケーションの要件を満たすことが www.linear-tech.co.jp/FracNWizard で 分かったので、設計プロセスのポイントを見て みましょう。 PLL の選択 ドップラー・レーダー・アプリケーション用の PLL を設計するには、fLO が 6.236GHz であ る場合、その周波数で動作する LTC6948 の バージョンを選択します。入手可能な 4 種類の LTC6948 オプションを表 1 に示します。 LTC6948-4 は、目的の fLOとして 6.236GHz を供給する VCO を内蔵しています。 FracNWizard をダウンロードしてインストー ルします。ここで示す設計回路では、100MHz のリファレンス・クロックを仮定しています。リ ニアテクノロジ ー の デ モ 回 路 DC1216A-D はこの機能を実現しています。FracNWizard (図 9 参照)を使用し、LTC6948-4 を選び、 設計目標を入力して、設計を完了するのに必 な受動部品の値に更新します。図 11 に示すよ うに、目的の 6.236GHz での LTC6948-4 の 位相ノイズ性能が FracNWizard によって予 測されます。この図は、リファレンスの位相ノイ ズが全出力ノイズにどのように影響するかを示 し、リファレンス・クロックを選択するのに役立 ちます。また、FracNWizard は、整形された ΔΣ 変調器ノイズが、受動フィルタの使用によっ 要な部品を決定します。 てどのように除去できるかも示します。 PLL のシミュレーションおよび構築 PLL の評価 デモ回路 DC1959A-D は妥当な出発点となり DC1959 の電源を投入し、デモ回路 DC590 ます。FracNWizard(サイドバー)によって求 めたとおりにフィルタ部品の値を採用し、必要 に応じて DC1959A-D の部品を実用的な値の 部品に置き換えます。実用的なフィルタ部品の 値を持つ 6.236GHz 回路の回路図を図 10 に 示します。 10 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation FracNWizard のフィルタ部品の値を実用的 (リニアテクノロジーから入手可能な USB シリ アル・コントローラ)を介して PC に接続します。 100MHz のリファレンス・クロック信号源を DC1959 に入力して、www.linear-tech.co.jp にある DC1959 デモ回路マニュアルに記載さ れている操作手順に従ってください。 設計特集 分数分周方式 PLL である LTC6948 は、周波数の高さや帯域内位相ノイズ全体の低減など、 分数化のメリットがあり、通常の分数分周方式 PLL に付き物のマイナス面はありません。設計 は無償の FracNWizard ソフトウェアによって簡素化されており、公開されている仕様は、素晴 らしい内容ではあるものの控え目な値であり、容易に達成可能です。 −90 PHASE NOISE (dBc/Hz) −100 −110 −120 −130 −140 −150 RMS Noise = 0.412° RMS Jitter = 183fs fPFD = 50MHz O=1 Loop BW = 169kHz −160 100 1k 10k 100k fOFFSET (Hz) 1M 10M 40M 図 12.LTC6948-4 の出力での fLO = 6.236GHz の 測定結果 図 11.fLO = 6.236GHz での FracNWizard シミュレーション結果 DC1959 の出力を信号源アナライザ(この場 まとめ 合は Agilent 社製 E5052A)に接続することに 分数分周方式 PLL である LTC6948 は、周波 より、今回の例の fLO の位相ノイズを確認しま す。図 12 に結果を示しますが、図 11 に示す FracNWizard の計算結果と厳密に整合して います。 これで終わりです。分数分周方式 PLL システム の設計は完了しました。 数の高さや帯域内位相ノイズ全体の低減など、 分数化のメリットがあり、通常の分数分周方式 PLL に付き物の欠点はありません。設計は無 償の FracNWizard ソフトウェアによって簡素 化されており、公開されている仕様は、素晴ら しい内容ではあるものの無理をしたものでは なく、容易に達成可能です。n 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 11 高性能ポータブル DC ベンチ電源: 専用電源の構築により、コストを削減し、 卓上スペースを確保 Keith Szolusha ベンチ電源は、はんだごておよび携帯型ハンドヘルド・マルチメー タとともに、電子工学実験室の工具箱には必須のアイテムです。プロ ジェクトによっては必要な定電圧電源が 1 つだけで済みますが、た いていの場合は、プロジェクトの適切なテストやデバッグのため、さ まざまな電圧および電流が要求されます。高性能な可変ベンチ電源 を使用して電圧と電流を自由自在に調整することにより、デバッグ時 間を大幅に節約できます。残念ながら、標準的な汎用可変ベンチ電 源は大型で(少なくとも高性能版は)高価であり、制限がいくつかあ ります。必要な放熱構造のため、本当に持ち運び可能(ハンドヘルド) なものはありません。さらに、高額電源であってもゼロ電流またはゼ ロ電圧はサポートしておらず、ここに示す電源によって発揮されるト ランジェント性能や短絡性能に匹敵するものはありません。 自分専用の高品質ベンチ電源を構築すること により、コストを削減し、卓上スペースを確保 してください。この電源で重要となる部品は、 入手が容易な一連の部品の候補に囲まれた LT3081リニア・レギュレータです(図 1 参照)。 LT3081 独自の電流源リファレンスおよび電圧 フォロワ出力アンプにより、2つのリニア・レギュ レータを並列に接続して、最大 3A の可変電 流制御および 24V 超の可変電圧出力制御に 対応できます。出力のリニア・レギュレータは、 大容量の出力コンデンサを必要とせずに出力 リップルを抑えられるので、真に平坦な DC 出 力と小型化を実現します。 ここに示す電源では、並列接続の LT3081 の 前段に、高性能、同期整流式降圧コンバータ(こ リニアテクノロジーのデモ回路 DC2132A は、 高性能、小型で効率の高い DC ベンチ電源です。 IMON 全電流モニタ出力 0V ∼ 24V 定電圧 0A ∼ 3A 定電流 出力電圧および出力電流調整用の 1 回転式(または10 回転式) ポテンショメータ 温度 モニタ 出力 LTC3632 出力電圧を最大に調整するためのジャンパ。 0V 動作対応の 入力電圧が 12V、24V、または36Vの場合、 5V、 8mA 電源 抵抗とジャンパの組み合わせにより、 ポテンショメータの回転数を最大化 オン/オフ LEDによるオン状態 インジケータ 12 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 10V ∼ 40V 入力 設計特集 電源で重要となる部品は、入手が容易な部品の候補リストに囲まれた LT3081 リニア・レギュレータです。LT3081 独自の電流源リファレンスおよび電圧フォロ ワ出力アンプにより、2 つのリニア・レギュレータを並列に接続して、最大 3A の 可変電流制御および24V超の可変電圧出力制御に対応できます。出力のリニア・ レギュレータは、大容量の出力コンデンサを必要とせずに出力リップルを抑えら れるので、真に平坦な DC 出力と小型化を実現します。 の場合には 40V/6A の LT8612)があります。 バイスの入出力間での電力損失を最小限に抑 十分に熱を放散するためにヒートシンクと強制 えるには、ドロップアウト状態になるよりわず 図 1 および 2 に示す並列の LT3081リニア・レ 的な空気流(ファン)が必要なパワー・トランジ かに高い電圧に入力電圧を維持します。この ギュレータは、LT8612 の出力リップルを低減 スタを特長とするリニア・ベンチ電源とは異な ベンチ電源は、電圧と電流の両方の限界値を し、電源の定電圧出力と定電流出力を的確に り、ヒートシンクもファンも必要ありません。 ゼロまで調整できるめったにない能力を持っ 制御します。LT3081 は(リニア・レギュレータ LT8612 は、 大 電 流 時 ま た は 小 電 流 時 に 10V∼40V の電圧を動的な適応出力電圧に 効率的に降圧します。この電圧は、ベンチ電源 に、降圧コンバータの出力でよく使用されます。 ています。この混合モード DC ベンチ電源の全 向けの)独自の機能を備えており、並列に接続 回路図を図 2 に示します。 して簡単に出力電流を増加できます。 並列接続した 2 つの LT3081 により、 1 つの 並列リニア・レギュレータの安定出力、制御電 の出力電圧(LT3081リニア・レギュレータの LT3081 のサポート対象電流(1.5A)を 2 倍 圧および電流 出力)よりわずかに高い電圧に維持されます。 リニア・レギュレータは、効率が最小値に達し LT8612 の出力は低リップルであり、変換はベ (3A)にする方法を図 1 および図 2 に示します。 出力電圧精度を低下させずに 2 つのデバイス たスイッチング電源のリップルを抑えるため ンチ電源の全範囲で効率的です。LT3081 デ 間で電流を正確に分担するには、数箇所の並 −5V OUTPUT CONTROLLER PULLS 8mA, ALLOWING LT3081s TO REGULATE TO ZERO VOLTS VIN LTC3632 SWITCHING REGULATOR EFFICIENTLY STEPS-DOWN ANY 10V–40V INPUT TO VOUT + 1.7V −5V VOUT + 1.7V VIN VIN BST 0.1µF EN/UV LT8612 INTVCC TR/SS L1 5.5µH IN SW BIAS SET FB RT 1nF 1k 100k 700kHz ISET 50µA + – 100k VOUT 200Ω VIN LT3092 10mΩ OUT ILIM LT3081 PNP 4.99k 8mA CURRENT LIMITED VOUT ILIM ADJUST ILIM IN SET 2.4mA 47.5k ISET 50µA + – OUT 10mΩ LT3081 図 1.混合モード DC ベンチ電源のブロック図。 中心となる部品は並列接続の LT3081 で、 低リップルの出力を生成し、電圧および電流の 制限値を設定します。 CURRENT SOURCE INSERTS 2.4mA INTO SET PIN OF LT3081 TO SET ACCURATE VOUT REGARDLESS OF ISET TEMPERATURE COEFFICIENT VOUT ADJUST PARALLEL LINEAR REGULATORS STEP-DOWN OUTPUT OF SWITCHING REGULATOR (VOUT + 1.7V) TO A NOISE-FREE VOUT 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 13 ベンチ電源の最小電流制限値は 0A です。ILIM 抵抗を 200Ω 未満に抑えている 限り、LT3081 は 0A の出力電流を保証します。ベンチ電源の最小出力電圧は 0V です。出力から 4mA の電流が流れている限り、LT3081 は 0V 出力を保証します。 列接続と 2 つの小さな 10mΩ 安定抵抗があれ ベン チ 電 源 の 最 小 電 流 制 限 値 は 0A で す。 ベンチ電源の最小出力電圧は 0V です。出力 ば十分です。簡単に入手できる高品質のポテ ILIM 抵 抗を 200Ω 未 満 に抑えている限り、 から 4mA の電流が流れている限り、LT3081 ンショメータ(10k および 5k)を SET ピンおよ LT3081 は 0A の出力電流を保証します。回転 は 0V 出力を保証します。このための最善の び ILIM ピンに接続することにより、0V∼24V 範囲を最大限に広げ、かつ 2 つのレギュレー 方法は、負電源を使用して 2 つの LT3081 の および 0A∼3A の範囲で制御できます。回転 タを並列に使用する場合は、引き続きゼロ電 8mA を引き込むことです。LTC3632(–5V レ 数が多く精度が高いポテンショメータを確実に 流を保証するため、小さな 100Ω 抵抗を ILIM ギュレータ)は、この負の負荷を簡単に発生し 使用すれば、ベンチ電源をより高級なものにす のポテンショメータと直列に配置します。 ますが、電力をほとんど消費せず、占有する基 ることができます。 板スペースはほんのわずかです。 図 2.0V∼24V、0A∼3A の総合的な DC ベンチ電源 L2 470µH VIN 10µF 50V ON VIN 10V–40V 22µF 63V + 10µF 50V VIN 0.1µF EN/UV LT8612 54.9k SW SYNC INTVCC + 1nF 60.4k 700kHz 0.1µF Q2 100k 1% 100k 1% 2.7k LT3092 IN 10µA + – SET OUT 200Ω 1% 47.5k 11.3k 73.2k JP1 COUT: EMZA350ADA101MF80G D4: GREEN LED L1: WÜRTH 744325550 L2: MURATA LQH32CN471K23L Q1: SI2309CDS Q2: CMST3904TR Q3, Q4: MMBT3906 Q5: FMMT493 RI(LIM): BOURNS INC. 91A1A‐B28‐A13L RV(OUT): BOURNS INC. 91A1A‐B28‐A15L S1: PHILMORE 30‐10002B VOUT(MAX) 5V 15V 24V 14 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 280k 1% 0.01µF 8mA Q5 10µF 50V ×3 + – LT3081 ILIM TEMP 10k 1% 100Ω IN 10k 3.92k TEMP1 IMON 10mΩ 1% OUT 10µF 50V IMON 1k 1% 549Ω ISET 50µA SET 4.99k 1µF 50V 806k IN IMON Q3 549Ω ISET 10µF 50V 10µF 50V ×3 1k 1% 1k 1% 10µF 6.3V −5V COUT 100µF 35V 5.1k FB TR/SS PGND GND RT 1µF GND 10k 1.47M VFB VOUT + 1.7V INTVCC D4 Q1 L1 5.5µH BIAS PG RUN 1k BST 499k 5.1k Q4 INTVCC S1 OFF SW LTC3632 ILIM ADJUST RI(LIM) 5k ILIM ISET 50µA SET + – 0.01µF LT3081 VOUT ADJUST RV(OUT) 10k 10mΩ 1% OUT 10µF 50V ×3 TEMP TEMP2 10k 1% B140 10k VOUT 0V TO 24V ILIMIT 0A TO 3A 1µF 50V 設計特集 目的の電圧を正確に調整したら、負荷が加わるのに応じてベンチ電源の電圧 ドリフトが増減するのは避けたいものです。電流制限値までの負荷電流の全 範囲にわたって平坦なレギュレーション・プロファイルを維持するのが理想的 です。ここに示す電源はこの要件を満たします。 平坦な状態を維持します。デバイスの発熱を 平坦な負荷レギュレーション特性と 電流制限調整つまみの設定は電圧調整つまみ 急勾配の VI 曲線 最小に抑えると、図 3 に示すように、ベンチ電 の場合とまったく同じように決定する必要があ 目的の電圧を正確に調整したら、負荷が加わ 源の負荷レギュレーションをどの出力電圧に対 ります。電流制限値を 3.0A に設定した場合は、 るのに応じてベンチ電源の電圧ドリフトが増減 しても 50mV 未満に維持するのに役立ちます。 ベンチ電源が正確に 3.0A で電流制限領域に するのは避けたいものです。電流制限値まで 10mΩ の安定抵抗が原因で 15mV が発生し 入り、供給電流がそれより多くならないことが の負荷電流の全範囲にわたって平坦なレギュ た場合でも同様です。図 5 に示すように、1.5A 必要です。高性能ベンチ電源は、電流制限値 レーション・プロファイルを維持するのが理想 を駆動しているときに発生するリニア・レギュ に達したときに 0V に低下するまで平坦な状態 的です(図 3 および図 4)。 レータの入出力間電圧降下が 1.7V の場合、 を維持する電圧対電流のレギュレーション曲 DD パッケージで発生する温度上昇はわずか 線を実証しなければなりません。図 4 は、電流 ここに 示 す 電 源 はこの 要 件 を 満 たします。 LT3081 の出力は 0A から 1.5A まで実質的に 制限の設定値に関係なく、ベンチ電源が希望 30℃です。 どおりに動作する様子を示します。 図 3.DC ベンチ電源の V-I 曲線は、0A から 3A までの負荷レギュレーションが 50mV 未満であり、3.1A を超えると電圧が下がる 図 4.調整可能な電流制限値により、図 3 の変曲点は 3.1A ことを示します。 から 0.0A まで任意の値に移動します。 25 25 25 24.8 24.6 20 20 ILIMIT FUNCTIONS DOWN TO 0A 10 24.2 VOUT (V) 15 VOUT (V) VOUT (V) 24.4 24 23.8 15 0.5A 1.5A ILIMIT = 3.15A (FULL LIMIT) 10 23.6 5 0 23.4 VIN = 36V VOUT = 24V FULL ILIMIT 0 0.5 1 1.5 2 IOUT (A) 2.5 3 23 3.5 5.5 5.5 5 5.4 4.5 5.3 4 VOUT (V) VOUT (V) 0 0.5 1 1.5 2 IOUT (A) 2.5 3 3.5 1 1.5 2 IOUT (A) 2.5 3 3.5 0 VIN = 36V VOUT = 24V 0 0.5 1 1.5 2 IOUT (A) 2.5 3 3.5 5.2 3.5 3 2.5 2 5.1 5 4.9 4.8 1.5 4.7 VIN = 12V VOUT = 5V FULL ILIMIT 1 0.5 0 5 VIN = 36V VOUT = 24V FULL ILIMIT 23.2 0 0.5 VIN = 12V VOUT = 5V FULL ILIMIT 4.6 1 1.5 2 IOUT (A) 2.5 3 3.5 4.5 0 0.5 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 15 ポータブル DC ベンチ電源は、入力電圧を目的の出力電圧より 5V 以上高くした場合、 10V および 40V の入力電圧から、0V∼24V の間の任意の電圧で 0A∼3A を出力できます。 入力はフロントエンドの AC/DC コンバータから供給可能で、19V、28V、および 36V は すぐに供給できます。また、入力は単純な AC24Vトランス、整流器ブリッジ、および 10mF コンデンサでもかまいません。この場合は約 34V でリップルが 1V∼2V あります。 同期整流式降圧コンバータによる全体的な 40V)を、0V からその入力電圧よりわずかに いときに効率が高いので、大電力時でも発熱 高い効率の維持 低い電圧までの任意の電圧まで低下させます。 を抑えられるコンバータと少量の小型部品の ポータブル DC ベンチ電源は、入力電圧を目 LT8612 ベースのコンバータの低リップル出力 組み合わせを実現できます。 的の出力電圧より5V 以上高くした場合、10V は、並列の LT3081リニア・レギュレータの入 および 40V の入力電圧から、 0V∼24V の間 出力間でさらに 1.7V 低下して最終的な安定化 差動帰還 の任意の電圧で 0A∼3A を出力できます。入 電圧になり、出力にはリップルがほぼ存在しな LT8612 は、図 1 および 2 に示す差動帰還方 力は容易に入手可能な 19V、 28V、および い状態になります。 式を使用して、その出力 (LT3081 ペアの入 36V の AC/DC コンバータから供給可能です。 また、入力は単純な AC24Vトランス、整流器 ブリッジ、および 10mF コンデンサでもかまい ません。この場合は約 34V でリップルが 1V∼ 2V あります。 電源の LT8612 降圧スイッチング・コンバータ 部分は、 AC/DC フロントエンド電圧(10V∼ 力 ) をベンチ電源出力(LT3081 ペアの出力) 高効率により低温を維持 より1.7V 高い電圧に安定化します。LT3081 LT8612 同 期 整 流 式 降 圧コン バ ータは 3A の動作が最適になるのは、その入力が出力よ を容易にサポートし、 最小オン時間が 40ns り1.5V 以上高い場合であり、ここではトラン と短いので、比較的高いスイッチング周波数 ジェント時に余裕を持たせて 1.7V を使用して (700kHz)であっても、最大 40V の入力から います。 出力を最小 1.7V まで効率的に降圧します。効 率を図 6 に示します。スイッチング周波数が高 図 5.大電力状態および短絡状態でのベンチ 電源のサーモスキャン結果は、ヒートシンクや ファンを使用せずに DC ベンチ電源の部品が 発熱を抑えられていることを示します。 LT3081 FMMT493 LT3081 L1 LT8612 VIN = 36V, VOUT = 24V, ILOAD = 3A VIN = 36V, VOUT = 3.3V, ILOAD = 3A VIN = 12V, VOUT = 5V, ILOAD = 3A SHORT AT OUTPUT, VIN = 36V, ILIMIT = 3A 16 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 設計特集 電流ドリフトを抑える 1 つの方法は、電流量の多い電流源を使用して SET ピンのポテンショ メータを駆動することです。LT3092 は、最大 40V で動作する高精度の電流源で、24V 出力に 10k の抵抗を接続した場合に高精度の 2.4mA を流す目的で使用されます。その出力電流は、 異なる最大出力電圧が必要な場合に、設定抵抗値を変更して簡単に調整できます。 図 7 および 8 に示すように、差動帰還は出力ト 高精度電流源による ISET 温度係数の抑制 ランジェント時や短絡時にも動作し続けます。 ベンチ 電 源 の 出 力 電 圧 は、LT3081 ペアの 出力が GND に短絡すると、LT8612 の出力 イッチをオフにしたときに LT3092 への電力 SET ピンに接続するポテンショメータにより、 は追従して GND 電位になります。短絡の解消 手で簡単に調整できます。それぞれの SET ピ またはポテンショメータの変更によって出力電 ンから 50µA が流れ出し、その合計電流に可 圧が急激に上昇すると、 LT8612 は LT3081 変抵抗を掛けると、追加部品なしで適切な出 の上昇出力に追従して、急速に変化する出力 力電圧を生成できるというのは十分に簡単に より1.7V 高い電圧にとどまろうとします。広範 見えます。しかしながら、その電流は LT3081 囲の条件で LT8612 を安定化しつつ、比較的 の温度によってわずかにドリフトすることがあ 高速のトランジェント応答を維持するには、適 るので、堅牢なベンチ電源ソリューションにとっ 度な大きさの 100µF 出力コンデンサで十分で ては十分でない場合があります。 すが、 LT8612 はリニア・レギュレータほど高 供給を遮断するため、入力スイッチを回路内 に使用します。スイッチをオフにしたときにこ のデバイスを VIN から切り離すと、負荷が軽減 されたベンチ電源出力がこのデバイスの定電 流によって充電されることがなくなり、技術者 は損傷を与える可能性のある状況から守られ ます。 操作が簡単な電圧 / 電流設定用のポテンショ メータ回転つまみ LT3081 の SET ピンと ILIM ピンの機能によ 速に動作することはできません。 電流ドリフトを抑える 1 つの方法は、電流量の り、ポテンショメータを単純に回して出力電圧 この構成は、3 つの並列 LT3081リニア・レギュ 多い電流源を使用して SET ピンのポテンショ と出力電流を任意のレベルに簡単に設定でき メータを駆動することです。LT3092 は、最大 ます。並列の LT3081 は、同じ SET ピンの接 40V で動作する高精度の電流源で、 24V 出 続と電圧だけでなく、同じ ILIM+ ピンと ILIM– 力に 10k の抵抗を接続した場合に高精度の ピンの接続も同様に共有します。0V∼24V お 2.4mA を流す目的で使用されます。その出力 よび 0A∼3A の出力範囲(あるいは多少の余 レータを使用して拡張し、 4.5A の出力電流を サポートすることができます。LT8612 は 6A のピーク・スイッチ電流機能を備えているので、 スイッチング・レギュレータを変更する必要は ありません。 電流は、異なる最大出力電圧が必要な場合に、 裕を持たせるためにわずかに高い値)を得る 設定抵抗値を変更して簡単に調整できます。 ため、10k および 5k のポテンショメータが選 最大出力電圧は、 12V 電源を使用する場合は ばれます。ポテンショメータは調達するのが簡 5.5V、24V 電源を使用する場合は 15V、36V 単であり、性能と価格のさまざまなパラメータ 電源を使用する場合は 24V にします。電源ス から選ぶことができます。 図 6.さまざまな入力条件および出力条件での DC ベンチ電源の効率および電力損失 90 EFFICIENCY 100 8 7 90 7 6 80 5 60 4 50 3 40 POWER LOSS 30 20 VIN = 36V 0 0.5 1 1.5 2 ILOAD (A) VOUT = 24V VOUT = 18V VOUT = 12V VOUT = 5V VOUT = 3.3V 2.5 3 3.5 70 5 60 4 50 3 2 40 1 30 0 6 EFFICIENCY 20 POWER LOSS VIN = 12V 0 0.5 1 1.5 2 ILOAD (A) VOUT = 5V VOUT = 3.3V VOUT = 1.8V 2.5 3 3.5 POWER LOSS (W) 70 POWER LOSS (W) EFFICIENCY (%) 80 8 EFFICIENCY (%) 100 2 1 0 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 17 ベンチ電源は、簡単に回せる軸がありPCB と直角に接続されている 1 回転式のポテンショメータを備え ています。サーメット素子は 150ppm/ ℃の定格で時間ドリフトおよび温度ドリフトを抑えるのに対して、 類似のプラスチック素子バージョンのドリフト定格は 1000ppm/℃です。それほど高価でないプラスチッ ク・ポテンショメータは、標準的なベンチ電源で使用する場合は依然優れています。また、10 回転式の高 精度ポテンショメータは、電圧および電流の両方の制限値を非常に細かく調整する場合に使用できます。 15µs 3A IOUT 1A/DIV 3A IOUT 1A/DIV 1A VOUT AC COUPLED 100mV/DIV 320mV 1A LT8612 VOUT(DC) 2V/DIV VOUT(DC) 2V/DIV 1.7V 図 7.5V、1A から 3A へのステップに対する 出力トランジェント応答: (a)低出力リップル (b)LT8612 の出力はトランジェントの間 LT3081 の出力に追従 12 ペ ージ の 写 真 に示 す ベン チ 電 源 は、 簡 50µs/DIV 50µs/DIV (a) (b) 素子バージョンのドリフト定格は 1000ppm/℃ ISET の温度係数に起因する VOUT のドリフト 単に回せる軸がありPCB と直角に接続されて です。それほど高価でないプラスチック・ポテ が問題にならない場合は、 LT3092 電流源を いる 1 回転式のポテンショメータを備えてい ンショメータは、標準的なベンチ電源で使用す 取り除き、 10k のポテンショメータを同様の品 ます。PCB を保護ケースで密閉することにし る場合は依然優れています。また、10 回転式 質を持つ 250k のポテンショメータに置き換え た場合は、ポテンショメータを筐体の側孔に の高精度ポテンショメータは、電圧および電流 ることができます。 取り付けることができます。サーメット素子は の両方の制限値を非常に細かく調整する場合 150ppm/℃の定格で時間ドリフトおよび温度ド に使用できます。 リフトを抑えるのに対して、類似のプラスチック 10µs 400µs 3A SPIKE IOUT 1A/DIV 図 8.5V 出力の(a)過負荷トランジェント および(b)短絡トランジェントは、DC ベンチ 電源によって十分に許容されます。 40A SPIKE = COUT DISCHARGING INTO SHORT 1.5A 1A ISHORT 1A/DIV LT8612 LT8612 VOUT(DC) 2V/DIV VOUT(DC) 2V/DIV 1.7V 1.5A VOUT(DC) 2V/DIV VOUT(DC) 2V/DIV 1.7V 200µs/DIV (a) 18 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 200µs/DIV (b) 設計特集 最も極端な過負荷状態は短絡であり、このときには出力が特性曲線の変曲点を超えるだけでなく、 グランドまで低下します。ベンチ電源は、短絡時にその電流制限値を安定的に維持し、 LT8612 の 出力を 1.7V に安定化して、LT3081 を通って短絡箇所に流れ込む制限電流を供給します。 負のコンバータによる 0V レギュレーション 短絡と 0A 制御 トランジェント短絡の結果を図 8 に示します。こ SET ピンのポテンショメータを回して GND に LT3081 は、出力電圧の設定値に関係なく、 こでは、IC の短絡時レギュレーションと存続時 短絡することで 0V まで下げるのは簡単にで 0A の電流制限制御も実現します。ベンチ電源 きることですが、 LT3081 が 0V まで動作する の電流つまみを最後まで回していくと、ベンチ にはデバイスから 4mA の電流を引き出す必 電源はちょうど 3.1A でしっかりと電流制限を 要 があります。VOUT と GND の 間 に抵 抗 性 行います。負荷がこの点を超えて増加すると、 の負荷を事前に加えても、電流が流れるのは 電圧の特性曲線は崖から落ちるような下がり VOUT が 0V ではない場合だけなので、代わり 方を示します。図 4 に示すように、つまみを単 に負電源を使用して 0V 出力から電流を流しま 純に回すと、その急激な電流制限曲線に沿っ す。LTC3632 負電圧レギュレータは、小さな て他の値に低下し、 0A に達するまでずっと変 抵抗に –8mA を流す –5V 小型電源であり、こ 化し続けます。 の抵抗の両端の電圧はグランドより VBE だけ 低い電圧(–0.6V)と –5V です。電源スイッチ を切ると LTC3632 はオフしますが、出力電 圧が 0V より高い場合でも、電源が入っている ときは動作し続けます。トランジスタの熱イン ピーダンスが 250 ℃ /W より大きいか負電流 が –10mA を超えて増 加する場 合、 –8mA • 24.6V の電圧降下は顕著な発熱源になること 最も極端な過負荷状態は短絡であり、このと 間の短い出力コンデンサ放電スパイクを示し ています。10µs 未満の短絡スパイクは、図 9 に示すように、よく使用される(同様の設定値 の)大電力混合モード実験室ベンチ電源の期 間の 1/500 です。図 9 に示す長時間にわたる 放電スパイクは、パワー・トランジスタが低速 であるか、出力容量が高いことが原因でテスト 装置を損傷する可能性があります。これは、高 価で、よく使用される汎用のベンチ電源の欠点 です。 きには出力が特性曲線の変曲点を超えるだけ 出力のモニタ でなく、グランドまで低下します。ベンチ電源 出力にマルチメータまたは簡素なアナログ表 は、短絡時にその電流制限値を安定的に維 示装置を接続して、正確な電圧測定値を表示 持し、 LT8612 の出力を 1.7V に安定化して、 します。別のマルチメータまたは表示装置を出 LT3081 を通って短絡箇所に流れ込む制限電 力と直列に追加して、正確な電流測定値を表 流を供給します。 示します。追加の検出装置を出力と直列に接 続しないようにする場合は、 IMON 端子を電 があるので、負電流が流れるトランジスタを選 圧電流変換器として使用することもできます。 ぶ場合は注意が必要です。 図 9. 高価な XH100-10 混合モード・ベンチ電源のトランジェント応答の結果。この記事で説明した同様の設定の DC ベンチ電源 (図 8)と比較して、トランジェント応答も短絡応答も低速です。 Sorenson XHR100-10 実験室ベンチ電源 (短絡状態、電流制限値 1.5A) 6ms > 4ms 3A SPIKE 1.5A IOUT 1A/DIV VOUT(DC) 5V/DIV 40A SPIKE = COUT DISCHARGING INTO SHORT VOUT(DC) 2V/DIV ISHORT 10A/DIV TO 1.5A 1ms/DIV 500µs/DIV (a) (b) 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 19 この DC 電源は、実験室内で定電圧か電流の電源を生成するための手軽なツールです。 DC10V∼40V を使用して単純に電源を投入し、スイッチを入れてつまみを回します。この DC 電源は小型で安価なので、回路出力および電流が複数必要な場合は、これらのポータ ブル・ベンチ電源のいくつかを同じ DC 入力電源から給電できます。 図 10.小型の 60µF COUT を取り付けた混合 モード電源の場合、DC ベンチ電源は低出力 リップルです。 VOUT AC COUPLED 10mV/DIV < 20mV LT8612 VSW 20V/DIV 2µs/DIV 整流器ブリッジには定格が 3A 以上のショット AC/DC 入力 この DC 電源は、実験室内で定電圧か電流を 生成するための手軽なツールです。DC10V∼ 40V を使用して単純に電源を投入し、スイッ チを入れてつまみを回します。この DC 電源は 小型で安価なので、回路出力および電流が複 数必要な場合は、これらのポータブル・ベンチ の最大出力電圧が入力電圧源の最小定格より キ・ダイオードが必要です。ショットキ・ダイオー 約 5V 低い状態を維持する必要があるというこ ドの動作中の発熱量が多すぎる場合は、ショッ とです。 トキ・ダイオードを LT4320 理想ダイオード・ ブリッジ・コントローラと 4 つの MOSFET に まとめ 置き換えてブリッジの発熱を抑えることにより、 2 つの並列 LT3081リニア・レギュレータ、同 ヒートシンクを取り付けずに済ますことができ 期整流式降圧コンバータ LT8612、LT3092 ます。10mF 出力コンデンサの大きさは、出力 電流源、および LTC3632 小型負電源を使用 できます。 リップルに合わせて調節するために変更でき して、0V∼24V および 0A∼3A の定電圧 / 定 フロント・エンドに簡単な AC/DC コンバータ ます。最大出力時には、10mF コンデンサの場 電流制御に対応する自分専用の高性能 DC ベ 合、 DC 入力が 34V のとき約 ±1V のリップル ンチ電源を構築します。このベンチ電源は、小 が発生します。 出力容量で低出力リップル、優れたトランジェ 電源のいくつかを同じ DC 入力電源から給電 を追加することにより、完全に自立型のベンチ 電源を作成するのは実に簡単です。120VAC から 24VAC に変圧する(5:1)の単純なトラン ス、整流ブリッジ、および 10mF 出力コンデン サを図 11 に示します。これらを組み合わせる ことにより、ほとんどリップルのない 34VDC が 発生します。この簡単な AC/DC コンバータを 使用して、ベンチ電源の最大出力である 22V を生成することができます。 また、12V∼36V、定格 3A の任意の汎用 AC/ DC ブラック・ボックス・コンバータを接続する ことにより、汎用のベンチ電源を組み合わせる こともできます。AC/DC コンバータであれば、 古いラップトップから取り外したものでも、電 子回路の小売り業者から購入したものでも動 作するはずです。唯一の制約は、ベンチ電源 ント応答を特長とし、0V および 0A まで制御し、 短絡時もレギュレーション状態を維持して、大 型のヒートシンクを取り付けずに発熱を抑えま す。AC/DC コンバータと簡単に結合可能で、 DC 電源から給電することもできます。この総 合的なベンチ電源ソリューションは、トップクラ スの性能を備えているにもかかわらず、低コス ト、小型で簡単に作成できます。n + ON/OFF 図 11.24VAC(RMS)トランス、整流器 ブリッジ、およびコンデンサの簡単な 組み合わせにより、完全なソリューショ ンの AC/DC 34V フロントエンドが 得られます。 20 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 120VAC(RMS) 120:24 VAC(RMS) 4x 3A SCHOTTKY DIODES 10mF 50V 34V DC 設計特集 太陽電池アプリケーションで真の最大電力点を 能動的に検出する鉛蓄電池およびリチウム電池 充電用の 80V 昇降圧コントローラ Tage Bjorklund 太陽電池システムでは、経費の 大 部 分 を占 めるの は パ ネ ルと バッテリです。費用対効果の高 い太陽電池ソリューションでは、 これらの部品の稼働率と寿命を 最大限まで高めています。たと えば、高品質の充電器は、バッ テリ駆動時間を延ばして容量要 件を低減し、バッテリ寿命を延 ばして保守と交換の費用を最小 限に抑えます。同様に、太陽電 池パネルから最大限の有効エネ ルギーを抽出する DC/DC コント ローラを使用することにより、必 要なパネルのサイズとコストが 減少します。 LT8490 は、太陽電池パネルまたは DC 電圧 または等しいパネル電圧で充電器が効率的に 源から電力を供給できる鉛蓄電池およびリチ 動作できます。最小のパネル電圧は 6V です。 ウム電池用の充電コントローラです。このデバ イスは、太陽電池パネル向けに真の最大電力 点追従(MPPT)機能と、 さまざまな種類のバッ テリ向けに組み込みの最適化バッテリ充電ア ルゴリズムを内蔵しており、ファームウェア開 発は必要ありません。LT8490 の入力と出力の 定格は 80V なので、最大 96 個のセルを直列 に収容するパネルと組み合わせて使用できま す。パワー段には外付け N チャネル MOSFET 4 個とインダクタ 1 個を昇降圧構成で使用して います。ほとんどの充電コントローラと異なり、 昇降圧構成では、バッテリ電圧より高い、低い、 充電アルゴリズムがバッテリの種類に合わせ て最適化される場合は、バッテリの寿命と駆動 時間が長くなります。同様に、一部が日陰にな る条件のときに太陽電池パネルの最大電力点 を追跡する高性能の MPPT チャージャを使用 すると、小型で低コストの太陽電池パネルを 使用できます。これらの役目をすべて果たすた めにディスクリート部品のチャージャ・ソリュー ションを作成するのでは費用と時間がかかり、 通常はマイクロコントローラ、高性能スイッチ ング・レギュレータ、および長期間のファーム ウェア開発サイクルが必要になります。 GATEVCC´ GATEVCC´ SOLAR PANEL LOAD TG1 BOOST1 SW1 BG1 CSP CSN BG2 SW2 BOOST2 TG2 VBAT CSPOUT CSNOUT EXTVCC CSNIN CSPIN VIN LT8490 GATEVCC´ AVDD TEMPSENSE + – RECHARGABLE BATTERY THERMISTOR GATEVCC INTVCC STATUS AVDD FAULT GND AVDD 図 1.太陽電池式バッテリ・チャージャの 簡略回路図 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 21 2 重極大点は、多くのコントローラで見つかった従来の MPPT の欠点です。 対照的に、LT8490 は真の MPP を検出し、充電電力の 2 倍の電力を発生 させます。あるいは、他の日陰条件ではさらに高い電力が得られます。 6V から最大(低温時)開路電圧である 80V ま 250 FULL ILLUMINATION 200 でのパネル入力に対応します。これは、直列に 接続した 16 個∼96 個の太陽電池に対応する PPANEL (W) 範囲です。 150 TRUE MPP パワー段は外部なので、アプリケーションに応 LOCAL MPP 100 じて最適化できます。充電電流の制限値(およ び DC 電圧源を使用する場合は入力電流制限 50 0 値)は、必要に応じて設定できます。 PARTIAL SHADE 0 10 20 30 40 VPANEL (V) 真の最大電力点追従機能 太陽電池パネルから動作する場合、LT8490 はパネルの最大電力点でパネル電圧を維持し 図 2.60 セル 250W の太陽電池パネルの電力曲線。パネル 全体が照らされた場合と、小さな日陰部分が 1 個のセルを部 分的に覆っている場合(図 3) ます。一部が日陰になる条件のときでも、複 数の極大電力点が現われる場合(太陽電池 パネル内部のバイパス・ダイオードの影響)、 LT8490 は真の最大電力点を検出して追従し 総合的な単一 IC 太陽電池式 ます。 バッテリ・チャージャ・ソリューション 図 2 は、一般的な 60 セルの 250W パネルの LT8490 は、以下に示す一連の豊富な機能を P-V 曲線を 2 つの異なる照度条件で示します。 備えた MPPT バッテリ・チャージャ・コントロー パネルが完全に照らされる場合は、 25V で最 ラです。 大電力点(200W)に達します。一部が日陰に • 内蔵の MPPT アルゴリズム(ファームウェア なっている場合(図 3 参照)、 25V のパネルで 開発不要)により、市場投入までの時間を大 の有効電力は 50W まで減少し、新しい真の最 幅に短縮 大電力点(128W)は 16V で現われます。元の • 内蔵の昇降圧コントローラにより、VIN の値 を VBAT より高い、低い、または等しい値に することが可能 • 鉛 蓄 電 池およびリチウムイオン電 池をサ ポート • 6V∼80V の VIN 範 囲 と 1.3V∼80V の VBAT 範囲 電力ピークである 25V/200W は、実際には極 大点である約 32V/63W に移ることに注意して 図 3.右上隅が日陰になっている太陽電池パネル 条件で可能な利得よりさらに大きな利得が得 られるので、2 倍を超える充電電力が抽出され ます。 充電制御機能 ください。 充電アルゴリズムは、2 つの構成ピンの電圧 この 2 重極大点現象は、 多くのコントローラ を調整すれば各アプリケーションの要件に応 で 見 つ かった 従 来 の MPPT 機 能 の 欠 点 で す。というの は、 従 来 の MPPT 機 能では 最 初 の ピ ークの 25V/200W に 追 従 して 極 大 点 は 32V/63W に移るからです。対 照 的 に、 じて設定できます。AGM 電池、ゲル電池、お よび湿電池技術を利用して作られた鉛蓄電池 は、最長の寿命を得るためわずかに異なる充 電電圧が必要であり、リチウムイオン電池と LiFePO4 電池には、鉛蓄電池とは異なる充電 LT8490 は、太陽電池パネルまたは DC 電圧 LT8490 は 16V/128W で真の MPP を検出し、 源から電源を供給できます。特定のバッテリ電 パネルからさらに 65W を発生させます。これ 圧では、パネル電圧がバッテリ電圧より低くて は、パネルの全電力曲線を一定間隔で測定し、 制御機能の一部を以下に示します。 も高くてもかまわないので、広範囲の太陽電池 動作時に真の最大電力ピークを検出すること • NTCセンサを使用した充電電圧の温度補償 パネル・タイプを使用できます。LT8490 は、 によって実現します。この場合には、他の日陰 22 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 要件があります。組み込みで設定可能な充電 (通常は鉛蓄電池用) 設計特集 ½W 7mΩ + CIN3 2.2µF ×2 CIN2 2.2µF ×2 SOLAR PANEL VOC < 53V – 10Ω 8.06k 110k GATEVCC ´ 4Ω 3.24k 1µF 2Ω CSN EXTVCC CSPOUT CSNOUT 3.01k 21k 100nF LT8490 4.7nF SYNC 8.45k 4.7µF 100nF CLKDET CLKOUT CHARGECFG2 STATUS FAULT CHARGECFG1 68nF 470pF AVDD 1.3k 13k DS AVDD 14.27V STAGE 2 (ABSORPTION) CHARGE VOLTAGE (VS2) AT 25°C 13.87V STAGE 3 (FLOAT) CHARGE VOLTAGE (VS3) AT 25°C 10A CHARGING CURRENT LIMIT 2.5A TRICKLE CURRENT LIMIT 7.2A INPUT CURRENT LIMIT 53V MAXIMUM PANEL VOLTAGE (VMAX) NO TIMER LIMITS TEMPERATURE COMPENSATION ENABLED –20°C TO 50°C BATTERY TEMPERATURE RANGE 175kHz SWITCHING FREQUENCY EXAMPLE SOLAR PANEL: SHARP NT-175UC1 175W • 深く放電したバッテリの調整可能なトリクル 充電により、損傷の危険を低減 • バッテリ電圧がその最終値に近づくにつれ て定電圧充電に変わる定電流充電 • バッテリが満充電になると充電電圧はより低 いフロート電圧レベルに低下 200k 90.9k DF 549Ω し、危険を回避 FLOODED LEAD ACID 10k AT 25°C ß = 3380 NTC SWEN SWENO 10nF • 消耗したバッテリの検出によって充電を停止 + – 3.32k 電電流を停止してバッテリを保護 1µF 11.5k ECON 53.6k • バッテリ温度が超過または不足した場合、充 124k 23.2k VDD LDO33 SRVO_IIN SRVO_FBIN SRVO_FBOUT SRVO_IOUT IOR IMON_OUT VC LOAD 0.082µF 26.1k TEMPSENSE AVDD IOW 97.6k 8.2nF 274k FBOR FBOUT FBOW RT SS IIR IMON_IN 32.4k 470nF BOOST2 TG2 1.05k 249k COUT4 1µF 220nF GND BG2 SW2 COUT1 150µF 10Ω DB2 MODE 93.1k 5.49k 5mΩ INTVCC SHDN VINR FBIR FBIN FBIW COUT2 10µF ×2 GATEVCC ´ 3.3nF TG1 BOOST1 SW1 BG1 CSP CSNIN CSPIN VIN GATEVCC 4.7µF ×2 35.7k 220nF 2Ω CIN4 2.2µF M3 10Ω 3.3nF VBAT COUT3 10µF ×2 10Ω DB1 1W 5mΩ M4 M2 GATEVCC ´ CIN1 33µF ×3 470nF 196k L1 15µH M1 549Ω M1, M2: INFINEON BSC028N06NS M3, M4: INFINEON BSC042N03LSG L1: 15µH COILCRAFT SER2915H-153KL DB1, DB2: CENTRAL SEMI CMMR1U-02 CIN1: 33µF, 63V, SUNCON 63HVH33M CIN2, CIN3, CIN4: 2.2µF, 100V, AVX 12101C225KAT2A COUT1: 150µF, 35V NICHICON UPJ151MPD6TD COUT2, COUT3: 10µF, 35V, MURATA GRM32ER7YA106KA12 COUT4: 1µF, 25V AVX 12063C105KAT2A • DC 電圧源で動作している場合は、充電時 間の制限値を設定できる まとめ LT8490 は、太陽電池パネルまたは DC 電圧 図 4.鉛蓄電池の充電 / 制御機能を備えた完全な 太陽電池システム 電圧より高い、低い、または等しい VIN で動 作できます。組み込みのバッテリ充電アルゴリ ズムおよび MPPT 制御と共に、必要な機能を すべて内蔵しており、ファームウェア開発は不 要です。n 源により、6V∼80V の電圧範囲で動作できる フル機能の真の MPPT 充電コントローラで、 1.3V から 80V までの鉛蓄電池またはリチウ ム電池を充電します。4 つの MOSFET とイン ダクタ 1 つを選択することにより、パワー段を 容易に設定できるので、チャージャはバッテリ 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 23 LTspice IV の最新情報 Gabino Alonso 新着ビデオ: 「SAR ADC Driver Interface」 www.linear-tech.co.jp/solutions/4679 ̶www.twitter.com/LTspice で @LTspice をフォロー ̶facebook.com/LTspice で「いいね !」をクリック ブログ 厳選デモ回路 LTspice に関する技術ニュース、内部関係者 リニアテクノロジーのデバイスを使用している のヒント、および興味深い視点については、 シミュレーション例を網羅する一覧表について LTspice の ブ ログ(www.linear-tech.co.jp/ は、 www.linear-tech.co.jp/democircuits に solutions/LTspice)を参照してください。 アクセスしてください。 ブ ロ グ 上 の 新 し い ビ デ オ:「SAR ADC リニア・レギュレータ Driver Interface」www.linear-tech.co.jp/ • LT3081:レギュレータを並列に使用する solutions/4679 安全動作領域の広い電源(入力:2.7∼ 高性能の SAR A/D コンバータは、ますます 40V、 出力:1.5V、3A) www.linear-tech.co.jp/LT3081 高速化するサンプル・レートで驚異的なダイ ナミックレンジと直線性を示しますが、最高性 能を達成するには、アナログ入力でのアンプと インタフェースに細心の注意が必要です。この ビデオは、 LTspice を使用して、高性能 SAR • LT3086:ケーブル電圧降下補償機能を備え た USB 電源(入力:1.55∼40V、出力: 5V/2.1A)www.linear-tech.co.jp/LT3086 A/D コンバータのアナログ入力インタフェース 降圧スイッチング・レギュレータ をシミュレートする方法を示しています。リニ • LT8614:超低 EMI、µPower 降圧コンバータ アテクノロジーのシグナルチェーン・アプリケー ションの専門家である Kris Lokere は、電荷 キックバック、セトリング時間、ノイズ、さらに 場合によっては相反する性能目標を達成する ときにつきもののトレードオフを上手に処理す る方法について説明します。 (入力:5.8∼42V、出力:5V/4A) www.linear-tech.co.jp/LT8614 • LTC3624:超低静止電流の高効率降圧レ ギュレータ(入力:5.6∼17V、出力: 5V/2A)www.linear-tech.co.jp/LTC3624 • LTC3875:超低 DCR による検出と高速トラ ンジェント機能を備えた高効率デュアル出力 降圧コンバータ(入力:4.5∼14V、出力: LTspice IV とは LTspice® IV は、電源設計の作業を迅速化す るための高性能 SPICE シミュレータ、回路図 入力プログラム、 および波形ビューワです。 LTspice IV では、SPICE を拡張してモデルを 加えたことにより、標準的な SPICE シミュレー タと比較してシミュレーション時間が大幅に短 縮されており、他の SPICE シミュレータでは 数時間を要するほとんどのスイッチング ・レ ギュレータの波形を数分以内に表示できます。 LTspice IV は、 www.linear-tech.co.jp/ LTspice で、リニアテクノロジーから無償で入 手できます。このダウンロードには、LTspice IV の完全機能版、リニアテクノロジーのパワー 製品のマクロ・モデル、200 種類を超えるオペ アンプ・モデル、ならびに抵抗、トランジスタ、 MOSFET のモデルが含まれています。 24 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 1V/30A および 1.5V/30A) www.linear-tech.co.jp/LTC3875 • LTM®4633:トリプル 10A 降圧 µModule® レギュレータ(入力:4.5∼16V、出力:1.0V、 1.2V、および 3.3V/10A) www.linear-tech.co.jp/LTM4633 • LTM4676:制御およびモニタ用のデジタル・ インタフェースを備えたシングル 26A µModule 降圧レギュレータ(入力:4.5∼ 16V、出力:1V/26A) www.linear-tech.co.jp/LTM4676 昇圧および反転スイッチング ・レギュレータ • LT8710:出力電流制御回路を内蔵した同期 整流式昇圧コンバータ(入力:4.5∼28V、 出力:5V/6A) www.linear-tech.co.jp/LT8710 • LT8710:出力電流制御回路を内蔵した同期 整流式反転コンバータ(入力:4.5∼28V、 出力:–5V/6A) www.linear-tech.co.jp/LT8710 フライバック、フォワード、および絶縁型 コントローラ • LT8301:µPower 絶縁型フライバック・コン バータ(入力:10∼32V、出力:5V/0.7A) www.linear-tech.co.jp/LT8301 • LT8309 および LT3748:60W、12V 出力、 絶縁型通信機器用電源(入力:36∼72V、 出力:12V/ 5A) www.linear-tech.co.jp/LT8309 過電圧および過電流保護 • LTC4364:逆電流保護を備えた 4A、 12V 過電圧出力レギュレータ www.linear-tech.co.jp/LTC4364-1 A/D コンバータ・ドライバ • LT1637/LT1468/LT5400:整合した抵抗を 使用した LTC2378-20 向け ±10V シング ルエンド入力、±5V 完全差動出力の A/D コ ンバータ・ドライバ www.linear-tech.co.jp/LT1637 厳選モデル 特定のリニアテクノロジー・デバイス・モデル の LTspice ライブラリを検索するには、 「Edit」 >「Component」を選択して(または F2 を押 して)、 検索ボックスにデバイス番号を入力 するか、必要なデバイス / 部品を参照します。 LTspice は新機能や新モデルによってしばし ば更新されるので、メニュー・コマンド「Tools」 >「Sync Release」によって 現 行 バ ージョン に 更 新しておくとよいでしょう。LTspice の changelog.txt ファイル(ルート・インストール・ ディレクトリ内)には、 LTspice の改訂履歴が 列挙されています。 設計上のアイデア リニア・レギュレータ • LT3065:プログラム可能な電流制限とパワー グッドを備えた 45V 入力、500mA 低ノイズ、 リニア・レギュレータ www.linear-tech.co.jp/LT3065 降圧スイッチング・レギュレータ • LT3874:1mΩ 未満の DCR による検出機能 を備えた、LTC3866/LTC3875/LTC3774 向けの PolyPhase® 同期整流式降圧スレー ブ・コントローラ www.linear-tech.co.jp/LTC3874 • LTC3624:静止電流が 3.5µA の 17V、2A 同期整流式降圧レギュレータ www.linear-tech.co.jp/LTC3624 • LTC3870:デジタル・パワーシステム・マネー ジメント機能を備えた LTC3880/LTC3883 向けの PolyPhase 降圧スレーブ・コントローラ www.linear-tech.co.jp/LTC3870 • LTM8058:LDO ポスト・レギュレータ内蔵 フライバック、フォワード、および で入力電圧範囲が 3.1V∼31V の絶縁型 絶縁型コントローラ µModule DC/DC コンバータ www.linear-tech.co.jp/LTM8058 • LT3752:ハウスキーピング・コントローラを 昇圧スイッチング ・レギュレータ • LT3048-15:低ノイズ・バイアス・ジェネレー タ www.linear-tech.co.jp/LT3048-15 • LTC3784:60V PolyPhase 同期整流式昇圧 コントローラ www.linear-tech.co.jp/LTC3784 マルチトポロジー・スイッチング・レギュレータ • LT8471:2A スイッチと同期機能を備えた 内蔵したアクティブ・クランプ同期整流式フォ ワード・コントローラ www.linear-tech.co.jp/LT3752 • LT8301:65V/1.2A のスイッチを内蔵した オプトカプラ不要の 42V 入力マイクロパワー 絶縁型フライバック・コンバータ www.linear-tech.co.jp/LT8301 • LT8309:2 次側同期整流器ドライバ www.linear-tech.co.jp/LT8309 • LT8311:フォワード・コンバータ用オプトカプ デュアル・マルチトポロジー DC/DC コン ラ・ドライバ内蔵の同期整流器コントローラ バータ www.linear-tech.co.jp/LT8471 www.linear-tech.co.jp/LT8311 n • LT8710:出力電流制御回路を内蔵した同期 整流式 SEPIC/ 反転 / 昇圧コントローラ www.linear-tech.co.jp/LT8710 パワー・ユーザーのヒント LTspice の固有シンボルをサードパーティ・モデルに使用 LTspice はサードパーティ・モデルのシンボルを自動的に作成できます。あるい は、サードパーティの .SUBCKT モデルと LTspice 固有のシンボルが同一のピ ン / ポート・ネットリスト順序を共有している限り、サードパーティのサブ回路を LTspice 固有のシンボルに関連付けることができます。 3. 接頭部「MN」を「X」に変更します。これで、シンボルが固有の NMOSトランジ スタの代わりにサブ回路としてネットリスト化されました。 4.「NMOS」を「IRF_7401」に変更します。これは .SUBCKT 行での名前に対応し ています。 たとえば、 N チャネル MOSFETトランジスタ・シンボルを回路図に追加して IRF_7401.SUBCKT 文で定義するには、以下のようにします。 1. N チャネル MOSFETトランジスタ・シンボルのインスタンスを回路図に追加し ます。 5.「OK」をクリックします。 2. MOSFET シンボルの本体の上にカーソルを移動して、Ctrl キーを押しながら右 6. .SUBCKT IRF_7401 行を回 路 図 に 追 加 するか、この 行を含 むライブラリ (.INCLUDE third_party.lib)を SPICE 指令として参照します。 クリックします。ダイアログボックスが表示されます。 ここでも、追加するサードパーティ・モデルは、よくあるピン配列の規則に従うと 仮定します。疑わしい場合は、自動シンボル生成機能を使用します。ピンとポー トのネットリスト順序に関する不一致に対応するからです。自動シンボル生成の 詳細については、 「Help」>「Schematic Capture」>「Creating New Symbols」> 「Automatic Symbol Generation」を参照してください。 シミュレーションを楽しんでください ! 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 25 自己給電し、専用ネットワークを形成して、 産業環境での容易な展開を可能にする 高精度ワイヤレス温度センサ Kris Lokere インターネットは世界中のコンピュータ・ネットワークを介して人々を結びつけていますが、モノのイン ターネット(IoT)とは、コンピュータや人間の介在なく相互接続してデータを共有する比較的簡単なデバ イスが増えていく傾向を指しています。IoT には、生活や産業のあらゆる側面について、効率を高め、安 全性を向上し、まったく新しいビジネス・モデルを実現できる可能性があります。たとえば、工場を確実 かつ効率的に稼働する場合、IoT はできるだけ多くのモニタリング点(または制御点)を確保するのに役 立ちます。センサが多いほどモニタリングの質も向上するからです。IoT のデバイス間ネットワーキング により、分散およびネットワーキングが単純化され、センサの数と有効範囲が工場全体に簡単に広がり ます。 センサの数を指数関数的に増大するには、小 する低消費電力の無線モジュールも含まれて A/D コンバータ LTC2484 の SPI ポートを読み 型バッテリで何 年も動 作する堅 牢な無 線を います。 取ります。 ブルの敷設を無くすことが必要です。できれ 設計の概要 LTC3330 は、光量を確保できるときは太陽電 ば、バッテリの交換や再充電の必要性もなくし 自己給電型ワイヤレス温度センサのブロック図 ます。代わりに、センサは設置場所の環境から を図 1 に示します。温度センサは、低ノイズの エネルギーを収集し、光、振動、温度勾配など 電圧リファレンス LT6654 によってバイアスさ の現地で得られるエネルギー源を利用します。 れているサーミスタが基本になっています。24 使ったマイクロパワー・センサを使用して、ケー この記事は、光エネルギーが得られる場合は 光エネルギーで動作し、光エネルギーが少な い場合は小型のバッテリ・バックアップで動作 する高分解能温度センサを容易に構築する方 法を示します。設計回路には、信頼性の高い メッシュ・ネットワークを自動的に形成して、セ ンサを中央のアクセス・ポイントに無線で接続 ビットの ΔΣA/D コンバータ LTC2484 は、サー ミスタの電圧を読み取り、 SPI インタフェース を介して結果を報告します。LTP™ 5901-IPM 無線モジュールは、以下に示すいくつかのタス クを引き受けます。このデバイスは、IP ベース のメッシュ・ネットワークを自動的に形成し、シ グナルチェーン部品の電源シーケンシングを 管理し、その組み込みのマイクロプロセッサは 図 1.ワイヤレス温度センサは、ワイヤレス無線機モジュールを A/D コン バータ、リファレンス、およびサーミスタに接続することにより構成されます。 BATTERY 池パネルから電源を得て、出力電圧の安定化 を維持するために必要な場合はバッテリ・バッ クアップに戻る低消費電力のデュアル・スイッ チ・モード電源です。また、 LTC3330 は、温 度センサの電源をデューティ・サイクルで制御 する目的で使用する LDO を内蔵しています。 設計回路全体は、リニアテクノロジーのデモ回 路 DC2126A として実装されました。バッテリ と太陽電池パネルを含むソリューション一式 は、図 2 に示すように 7 立方インチ未満の小型 プラスチック・ケースの中に収まります。 SOLAR PANEL この回路の電源は、バッテリまたは太陽電池パネルからの電力を変換でき る環境発電装置から供給されます。 LTC3330 EH_ON LDO_EN GPIO WIRELESS NETWORK 26 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation LTC5901-IPM LDO OUT 3V (DUTY CYCLED) VOUT 3.6V LTC6654-2.5 VSUPPLY SPI LTC2484 THERMISTOR BRIDGE 設計上のアイデア センサが多いほど工場設備モニタリングの質も向上します。産業用センサの 設置個数を増やすためには、小型バッテリで何年も動作する堅牢な無線に よるマイクロパワー・センサを使用して、ケーブルの敷設を不要にするべき です。できれば、バッテリの交換や再充電の必要性もなくします。代わりに、 センサは設置場所の環境からエネルギーを収集し、光、振動、温度勾配など の現地で得られるエネルギー源を利用します。 (a) (b) (c) 図2.自立型で自己給電型の温度センサ・システム全体が体積7立方インチ未満の筐体内に収まります。バッテリ、太陽電池パネル、およびワイヤレス・ ネットワーク・コントローラが含まれています。外部配線や外部接続は不要です。設置は簡単です。どこか適当な場所に置いてください。 (a)シグナ ルチェーン回路、電源回路、制御回路、およびワイヤレス・メッシュ・ネットワーク・モジュールを示す基板正面(b)バッテリを装着した基板裏面(c) 筐体内に収容し、太陽電池パネルを取り付けたソリューション全体 A/D コンバータと高精度電圧リファレンス は 0.1℃と規定されているので、その精度まで チェーン サ ーミスタは 2 本 の 高 精 度 49.9k 抵 抗と直 の温度を較正なしで測定できます。 図 3 は、 サ ーミスタ や A/D コン バ ー タ(と 列 に接 続されており、 LT6654 高 精 度 電 圧 LT6654 高精度電圧リファレンス)を含む設計 リファレンスによってバイアスされています。 回路のシグナルチェーン(温度測定)部品を示 LTC2484ΔΣA/D コンバータは、抵抗分割器 します。 の比を 24 ビットの分解能で測定します。A/D 高精度で消費電力が最小の温度測定シグナル サーミスタ サーミスタは広範囲にわたって温度を読み取 コンバータの全未調整誤差は 15ppm で、この サーミスタの勾配の場合は 0.05℃未満の温度 不確実性に相当します。このサーミスタの精度 A/D コンバータのノイズは 4µVP–P 未満であ り、これは温度に換算すると 0.005℃未満の変 動に相当します。したがって、較正手順を踏む ことにより、このシステムを使用して、きわめて 高い分解能まで温度を測定できる場合があり ます。 ることができます。サーミスタは大きな負の温 度係数を持つ抵抗にすぎません。たとえば、 US Sensor 社の KS502J2 の抵抗値は 25 ℃で 5k ですが、–30℃∼70℃の温度範囲では 88k から 875Ω の範囲に広がります。 2.5V FROM LT6654 図 3.24 ビット A/D コンバータ LTC2484 は 1µF サーミスタ電圧を読み取ります。入力同相 電圧は中心電圧のままなので、この Easy 49.9k Drive™ A/D コンバータには入力電流が流れ IIN+ = 0 ません。これにより、レシオメトリック測定値が 容易かつ正確に得られます。 0.1µF 1k–100k IIN– = 0 0.1µF 49.9k IN+ IN– REF VCC CS SCK LTC2484 SDO SDI GND GND fO 3-WIRE SPI INTERFACE 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 27 LTC3330 は、このアプリケーションのすべての電源を管理します。このデバイスには、モノ リシック・パッケージにスイッチ・モード電源 2 つとリニア・レギュレータ 1 つが収容されてい ます。ここで、昇降圧コンバータはバッテリから電源をとっています。降圧コンバータは太陽 電池パネルから電源をとっています。LTC3330 内部のプライオリタイザは、利用可能な場合 は太陽電池を使用し、バッテリの電荷をできる限り残します。LTC3330 は、圧電結晶など、 振動エネルギーに比例した AC 電圧を生成する AC 環境発電電源も直接使用できます。 A/D コンバータはサーミスタ電圧とリファレン この電力損失が発生しないようにするには、リ 温度測定値のサイクルごとの更新 ス電圧との比を測定するので、厳密に言えば、 ファレンスへの電源が測定中にのみオンするよ 高精度のリファレンスは必要ありません。とは うデューティ・サイクルを制御します。 LTC2484 は、変換結果を SPI ポートを介して 言っても、A/D コンバータの変換期間中にリ ファレンス電圧が変動すると誤差が発生するこ 必要なデューティ・サイクルの決定 とがあるので、基準電源は低ノイズでなけれ A/D コンバ ータの 入 力での RC 時 定 数 は 約 5ms です。測定開始前に電源を 80ms オンす ばなりません。 A/D コンバータ LTC2484 は Easy Drive™ 入 力構造を特長としており、これは変換期間中の 差動サンプリング電流がほぼゼロであることを 意味します。その結果、抵抗性のサーミスタ回 路網を流れる入力サンプリング電流によって 測定誤差が生じることはなくなります。このこと は、外付けのオペアンプ・バッファが不要であ ることを意味します。バイパス・コンデンサは、 高周波での低インピーダンス経路となります。 シグナルチェーンへの供給電力の ることにより、 A/D コンバータ入力での十分な セトリングが確保されます。実際には、 2 つの 入力ノードが同じ勾配でオンするので、測定 値は理論的なセトリング時間に達する前に十 出力後、新しい変換を自動的に開始し、その 変換結果を内部レジスタに蓄積して、結果を 再度読み取るよう要求されるまで保持します。 これにより、温度を頻繁に読み取るシステム での迅速なデータ処理手順が単純化されます が、測定間隔が著しく長い超低消費電力アプ リケーションでは、長時間経過した温度測定値 を発生させる可能性があります。 分に正確な値になります。LT6654 の電源は、 伝達した温度測定値が常に最新のものになる LTC3330 の 3V の LDO 出力から供給されま ようにするため、このアプリケーションは、まず す。LTP5901-IPM の 内 蔵マイクロプロセッ CS ピンと SCK ピンの状態を切り替え、古くなっ サは、 温度測定を行う前後の正しい時間に た温度測定値を A/D コンバータのレジスタか LTC3330 の LDO イネーブル・ピンを H お ら消去して、新しい温度測定値の変換を自動 よび L に駆動します。 的に開始します。マイクロプロセッサは、変換 LTC2484 は、変換しないときは自動的にス じて結果を読み取ります。電力を節約するた デューティ・サイクル制御による節電 リープ・モードに入ります。1µA のスリープ電 温度モニタリングが常時必要なアプリケーショ 流は、既に低消費電力であるワイヤレス受信 ンは、ほとんどありません。測定頻度が 1 秒に 機と比較しても低電流です。したがって、A/D 1 回または 1 分に 1 回で十分な場合、このマイ コンバータの電源をデューティ・サイクルで制 クロパワー・アプリケーションでは、使用され 御する必要はありません。A/D コンバータの電 ていないほとんどの時間に消費される電力を 源を LTP5901-IPM と同じ電源電圧で常時供 最小限に抑えることが理にかなっています。抵 給することにより、SPIインタフェースでのロジッ 抗回路網には、 2.5V のリファレンスから最大 ク・レベルが同じになることが保証されます。 が終了するまで待機し、その後 SPI ポートを通 め、 A/D コンバータが次の温度測定を自動的 に開始しようとする間に、システムは(LDO を オフにすることにより)ただちにサーミスタ回路 網を遮断し始めます。この次の温度測定値の 結果は、マイクロプロセッサが次に測定を要求 するときに消去されるので関係ありません。 25µA の電流が流れます。測定と測定の間に 表 2.読み取り頻度に基づくシグナルチェーンの平均消費電流 表 1.シグナルチェーンの消費電流 回路素子 動作時に流れる電流 温度の読み取り頻度 平均電流 LT6654 リファレンス 350µA 1 秒に 1 回 170µA サーミスタ回路網 25µA 10 秒に 1 回 17µA LTC2484 A/D コンバータ 160µA 1 分に 1 回 2.9µA 合計 535µA 28 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 設計上のアイデア LTP5901-IPM がこのアプリケーションで実行する 2 つの機能は、ワイヤレス・ネットワーキングとハウス キーピングです。このデバイスは、無線トランシーバ、組み込みのマイクロプロセッサ、およびネットワー ク・ソフトウェアを内蔵しています。LTP5901-IPM の複数のノードがネットワーク・マネージャの近くで 電力を供給される場合、ノードは互いを自動的に認識し、信頼性の高い低消費電力ワイヤレス・メッシュ・ ネットワークを形成し始めます。各ノードは、センサの情報源としてだけでなく、他のノードからマネー ジャ宛てのデータを中継するルーティング・ノードとしても機能することができます。 AC2 AC1 図 4.LTC3330 は太陽電池パネルまたはバッテリから電源をと + りますが、この 2 つの電源に自動的に優先順位を付けて安定化 SOLAR PANEL 出力電圧を維持します。追加の LDO 出力はロジック入力ピンに – よって制御されます。このピンは温度センサの電源をデューティ・ VIN 800µF 1µF 1µF とバッテリ電源のどちらが使用されているかを示す出力フラグ SWA 22µH 22µH SWB CAP 4.7µF サイクルで制御する目的で使用します。LTC3330 は、太陽電池 SW LTC3330 VOUT VIN2 3.6V LDO_IN 100µF を生成します。 + EH_ON BAT BATTERY 22µF LDO_EN LDO_OUT GND シグナルチェーンの消費電力の計算 温度センサ回路全体の消費電力を概算するに は、以下のように、消費した全電荷を算出して 温度測定の時間で割ります。 1. リファレンスの電流(350µA) 、サーミスタ回 路網の電流(25µA)、および A/D コンバー タの電 流(変 換 時は 160µA)を合 計して、 535µA(表 1)になります。 4.7µF 3. 温度測定の割合を 10 秒に 1 回にすると、平 圧電結晶など、振動エネルギーに比例した AC 均電流消費量は 17µA という結果になりま 電圧を生成する AC 環境発電電源もサポート す。平均電源電流のその他の例を表 2 に示 します。 します。 ソリューション全体のパワー・マネージメント 向けのシングル・パワー IC 図 4 に示すように、LTC3330 はこのアプリケー ションに関するすべての電源を管理します。こ 2. この電流がどれくらいの時間流れるか検討 のデバイスには、小型のモノリシック・パッケー することにより、 消費される全電荷を求め ジにスイッチ・モード電源 2 つとリニア・レギュ ます。A/D コンバータの変換所要時間は約 レータ 1 つが収容されています。 140ms で、リファレンスとサーミスタを安 定化するための事前準備に 80ms かかりま 3V バッテリ入力と太陽電池入力に対応する LTC3330 に流れる静止電流は 1µA 未満なの で、このほとんど使用されない低消費電力ワイ ヤレス・アプリケーションにぴったりです。動作 中の電源での電力損失は、全電力のごく一部 であり、ほとんどの電力は温度センサとワイヤ レス・ネットワークの動作に利用できます。 シグナルチェーンに対する給電と デューティ・サイクル制御を行うLDO 2 つのスイッチ・モード電源の他に、LTC3330 す。SPI の読み取りにある程度の時間を見 2 つのスイッチ・モード・コンバータ は LDO を 1 つ内蔵しており、独立した LDO 込むと、オン時間は約 300ms になります。 昇降圧コンバータは、バッテリから電源をとっ イネーブル・ピンを備えています。このイネー 535µA の電流を 300ms の間に消費するの て安定化出力電圧(このアプリケーションでは は、 160µC の電荷に相当します。このノー 3.6V に設定)を維持できます。独立した降圧 ドは測定ごとに 0V から 3V まで再充電され コンバータは、太陽電池パネルから電源をとっ るので、4.7µF 電源バイパス・コンデンサを て、出力電圧を同じレベルに安定化することが 電圧リファレンスまで充電するのに必要な できます。内蔵のプライオリタイザにより、可 電荷をこれに追加する必要があります。この 能な場合は太陽電池を使用し、必要な場合に 14µC の電荷により、温度測定ごとの全電荷 のみバッテリから給電することが保証されま は 174µC になります。 す。他のアプリケーションでは、 LTC3330 は ブル機能は、この低デューティ・サイクル・ア プリケーションに役立ちます。ここでは、電圧リ ファレンスとサーミスタ回路網の電力が LDO から供給され、スイッチング・ノイズが最小限 に抑えられます。LDO のイネーブル機能によ り、ワイヤレス受信機に対してスイッチ・モー ド電源が常時投入されている場合でも、アプリ ケーションがシグナルチェーンの電源のオンと オフを単純に切り替えることができます。 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 29 LTP5901-IPM は ARM Cortex-M3 マイクロプロセッサ・コアを内蔵し ており、これが SmartMesh IP ネットワーク・ソフトウェアを実行します。 このコアはユーザー指定のアプリケーション・ファームウェアを介して高 度にプログラム可能なので、マイクロプロセッサを追加せずに多種多 様なソリューションを構築することが可能です。 図 5.LTP5901-IPM がアプリケーションのネットワーキング・ タスクとハウスキーピング・タスクを管理するのに必要なのは、 LTP5901-IPM 数箇所の単純な接続だけです。ファームウェアおよび RF 回路 を含むすべてのワイヤレス・ネットワーク機能は組み込まれて います。3 線式の SPI マスタは LTC2484 の SPI ポートと通信 LTC3330 します。GPIO ピン(DP2)は、センサの電源シーケンシング の制御ピンです。内蔵の A/D コンバータは便利なレベル変換 3.6V LDO_EN EH_ON 3.3M 1.1M 器として動作し、環境発電状態フラグ EH_ON を LTC3330 か SPIM_SS_0 SPIM_SCK SPIM_MISO CS SCK SDO CS SCK SDO LTC2484 GND 0.1µF ら読み取ります。 ワイヤレス受信機が伝送と伝送の間にあまり ロセッサの一部)に入力します。この場合は、 センサ情報を送るだけでなく、他のノードから 電力を消費しない場合でも、常にバイアスが LTC3330 がどの電源を使用しているかを示 マネージャ宛てのデータを中継するルーティン かかった状態を維持してタイマを正確に動作 すコンパレータとしてこの A/D コンバータを使 グ・ノードとしても機能することができます。こ させ続け、ネットワーク全体が時刻同期状態 用します。 れにより、信頼性の高い低消費電力メッシュ・ 単一モジュールによる完全なワイヤレス・ ティング・ノードを含むすべてのノードが非常 を保つようにすることは非常に重要です。ワイ ヤレス受信機内部のマイクロプロセッサは、 ネットワークが構築されます。ここでは、ルー LDO イネーブル・ピンを正しいタイミングで ネットワーク シーケンス制御して、温度測定用のシグナル LTP5901-IPM は、無線トランシーバ、組み込 チェーンを準備します。 みのマイクロプロセッサ、ネットワーク・ソフト できます。この無線技術の標準的な範囲はノー ウェアを含む包括的なワイヤレス無線モジュー 電力供給源がバッテリか太陽電池パネルかを ド間で 100m ですが、屋外の良好な条件では ルです。このモジュールを使用して自己形成ワ 出力フラグで表示 さらに範囲が広がる可能性があります。 イヤレス・ネットワークおよびデータ収集 / 通信 LTC3330 は出力フラグ(EH_ON)を備えて システムを構築するために必要なのは、図 5 に おり、電源がバッテリと太陽電池パネルのどち 示すように、数箇所の接続だけです。 らから供給されているかをこのフラグによって システムに伝達します。エンド・ユーザーがこ の情報にリアルタイムにアクセスできることが 役に立つ場合があります。したがって、弊社で はワイヤレス受信機内部のマイクロプロセッサ 実行します。このコアはユーザー指定のアプリ ジメント部品を実装しているメイン基板上に容 グラム可能なので、マイクロプロセッサを追加 易に半田付けすることができます。 せずに多種多様なソリューションを構築するこ 行する 2 つの機能は、ワイヤレス・ネットワー ました。 キングと、マイクロプロセッサを介したハウス より高くなることがあります。その出力ピンを ワイヤレス受信機の低電圧ロジック入力に直 接接続するのではなく、出力電圧を分割して、 内蔵の 10 ビット A/D コンバータ(マイクロプ 30 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation SmartMesh IP™ ネットワーク・ソフトウェアを ケーション・ファームウェアを介して高度にプロ 一緒にネットワークを介して送信することにし このレベルは動作モードに応じて変化し、4V ロプロセッサ・コアを内蔵しており、これが あり、シグナルチェーン部品とパワー・マネー LTP5901-IPM がこのアプリケーションで実 LTC3330 の内部バイアス電圧を表しますが、 LTP5901-IPM は ARM Cortex-M3 マ イ ク その物理的構成は小型のプリント回路基板で にこの出力フラグを読み取らせ、温度データと こ の EH_on 出 力 の ロ ジ ッ ク・ レ ベ ル は に低い消費電力で動作している場合でも、各 ノードからマネージャまでの複数の経路を利用 キーピングです。LTP5901-IPM の複数のノー ドがネットワーク・マネージャの近くで電力を 供給される場合、ノードは互いを自動的に認 識し、ワイヤレス・メッシュ・ネットワークを形 成し始めます。ネットワーク全体の時刻は自動 的に同期されます。これは、各無線機への電力 供給が、一定周期の非常に短い時間のみ行わ れることを意味します。その結果、各ノードは、 とが可能です。この例では、LTP5901-IPM の マイクロプロセッサが LTC3330 の LDO をオ ン / オフすることにより、温度センサに対する電 源シーケンシングを管理して、消費電力を節約 します。LTP5901-IPM は、24 ビット A/D コン バータの SPI ポートと直接通信します。最後に、 LTP5901-IPM は LTC3330 からの電力状態 出力フラグ(EH_on)を読み取ります。このフ ラグは、太陽光とバッテリのどちらを使用して 回路に電源を供給しているかを示しています。 設計上のアイデア 使いやすい高性能パワー・マネージメント・デバイスとワイヤレス・ネットワーク・デバイスを 組み合わせると、自立型で完全にワイヤレスのセンサ製品を設計できます。時刻同期式のワイ ヤレス・メッシュ・ネットワークは、最小限の電力を使用してデータをノード間で確実に送信 することを保証します。また、内蔵のマイクロプロセッサは、センサ回路への電力をデューティ・ サイクル制御することにより、消費電力をさらに節減できます。 できます。大光量の場合は、はるかに大きい ワイ ヤ レ ス 無 線 機 の 消 費 電 力 は、 www. を約半分に低減できます。いったん通知機能 linear-tech.co.jp/products/smartmesh_ip に をオフにすると、ネットワークはネットワークに 電力を発生可能です。このアプリケーションは、 ある「SmartMesh® Power and Performance 加入したい新しいノードを認識しなくなります。 さまざまな環境で太陽電池(太陽光発電)だけ Estimator」スプレッドシートを使用して概算で ネットワーク動作に対するそれ以外の影響はあ で完全に動作できます。 きます。20 モートの標準的なネットワーク(10 りません。 モートがマネージャに直接ワイヤレス接続(1 ホップ)し、その他の 10 モートはマネージャに 全体の消費電力 間接接続(2 ホップ)するネットワーク)の場合、 全体の消費電力は、各センサがどの程度の頻 平均消費電力は 2 ホップ・ノードでは約 20µA 度で温度を測定するか、あるいはノードがネッ であり、 1 ホップ・ノードでは約 40µA です。こ トワーク内でどのように構成されているかな れらの数値は、10 秒に 1 回温度を報告するノー ど、いくつかの要因により異なります。報告頻 ドごとの数値です。 度が 10 秒に 1 回のセンサ・ノードの標準的な 1 ホップ・ノードはノード自体のセンサ・データ を送信するだけでなく、ルーティング・ノードと して動作して一部の 2 ホップ・ノードのセンサ・ 消費電力は、センサ部分は 20µA 未満なので、 全体の平均負荷電流が約 40µA の場合、ワイ ヤレス受信機部分は 20µAとみなせます。 データを転送するので、1ホップ・ノードは2ホッ 2 インチ ×2 インチ の 小 型 太 陽 電 池 パ ネル プ・ノードの約 2 倍の電力を消費します。通知 (Amorton シリーズなど)は、比較的中程度 機能をオフにした場合は、前述の電力レベル の室内照明状態(200 ルクス)で 40µA を生成 そうではなく、バッテリ電源だけで回路を動 作させる必要がある場合、 2.4Ah の単三電池 (Tadiran XOL シリーズなど)を使用すれば、 ほぼ 7 年間このアプリケーションに電力を供給 できます。 低光量状態または光量が変わりやすい状態で は、回路は太陽電池とバッテリ電源の間を自 動的に往復するので、使用可能な太陽電池は、 すべてバッテリの寿命を延ばすために使用さ れます。 まとめ 使いやすい高性能パワー・マネージメント・デ バイスとワイヤレス・ネットワーク・デバイスを 組み合わせると、自立型で完全にワイヤレスの センサ製品を設計できます。時刻同期式のワ HOST APPLICATION 図 6.高精度温度センサは、堅牢な SmartMesh IP ワイヤレス・メッシュ・ネットワークに容易に加入します。 イヤレス・メッシュ・ネットワークは、最小限の 電力を使用してデータをノード間で確実に送 信することを保証します。また、内蔵のマイク ロプロセッサは、センサ回路への電力をデュー ティ・サイクル制御することにより、消費電力 NETWORK MANAGER をさらに節減できます。効率と集積度の高いパ ワー・マネージメント IC は、小型の太陽電池パ ネルまたは小型バッテリから長年にわたってア 802.15.4 MOTES プリケーション全体に電力を供給できます。n DC2126 WIRELESS TEMPERATURE SENSOR 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 31 1mΩ 未満の DCR による検出機能を備えた、 高密度 1.2V/60A 電源を駆動する 2 相降圧コントローラ Mike Shriver 通信、ネットワーキング、サーバ、産業用の各システム向けの低出力電圧レールの設計者は、基板面 積を縮小するときに、負荷電流の増加と効率の向上を達成するよう努力しています。LTC3774 デュア ル出力降圧コントローラは、DrMOS デバイスとのインタフェースを容易にすることでこの負担を軽減 し、 MOSFET とゲート・ドライバを同じパッケージに内蔵することで高効率および小型化を実現します。 (値が0.2mΩ程度と低い)インダクタのDCRの両端間を流れる電流を検出できるので、ディ LTC3774は、 スクリートの検出抵抗が不要になり、効率が向上します。LTC3774 のピーク電流モード・アーキテクチャ は、サイクルごとの電流制限、固有のサイクルごとの電流分担、および設計が容易なタイプ II 補償を実現 します。 実装面積が小さい高効率コンバータ DCR による検出 定化帰還電圧の総合的な精度は全温度範囲 400kHz のスイッチング周波数で動作する 2 相 きわめて低い DCR による検出機能は、電流検 で ±0.75% です。LTC3774 の出力電圧範囲 1.2V/60A の LTC3774 コンバータを図 1 に示 出信号の信号対ノイズ比を向上する革新的な します。各位相のパワー段は、 FDMF6820A 電流検出技術の成果です。DCR で検出した電 DrMOS(6mm の ×6mm QFN パッケージに 流の AC 部分は、 SNSA+ ピンに接続した外付 収容)と、標準の DCR が 0.325mΩ の 0.3µH けフィルタによって増幅されます。一方、DC 電 単一巻線フェライト・インダクタです。図 2 に示 流は SNSD+ ピンを介して検出され、内部で増 すように、得られる全負荷効率は 89.8% です。 幅されて AC 部分と加算されます。LTC3774 コンバータのコアの電流密度は50A/in 2です。 の電流コンパレータによって検出されるこの再 構成電流検出信号は、実質的に 5 倍に増幅さ は 0.6V∼3.5V です。 PolyPhase 動作と堅牢性の向上 LTC3774 は、最大 12 相の PolyPhase 動作に 対応するため、 CLKIN ピンと CLKOUT のピ ンを備えています。PolyPhase 動作により、入 力コンデンサのリップル電流が減少し、位相を 結合した場合には出力リップル電圧が減少し DrMOS インタフェース れるので、コンバータを安定状態に維持するこ て負荷ステップ応答が高速化します。 LTC3774 の PWM 出力は、スリーステートの とと、インダクタの DCR 値の電流制限精度を PWM 入力を備えた DrMOS デバイスを駆動 最小で 0.2mΩ に保持できます。 シングル出力、 (N + 1)冗長 PolyPhase コン するよう設計されています。PWM 信号が H の場合は上側の FET がオンになり、PWM 信 号が L の場合は下側の FET がオンになりま す。PWM 信号がフロート状態の場合、上側の FET と下側の FET は両方ともオフです。この 状態を使用するのは、LTC3774 をパルス・ス キップ・モードまたは Burst Mode 動作のいず れかに設定しているときに、インダクタの逆電 流を阻止して、プリバイアスされた出力まで滑 らかに起動する場合です。LTC3774 の PWM 出力は、パワー・ブロック・デバイスや外付け MOSFET を備えたゲート・ドライバとも接続 できます。 32 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation LTC3774 は、10mV∼30mV の 範 囲 内 に 5 つの電流制限設定値があり、全温度範囲での ワーストケースの誤差は ±1.25mV です。図 3 の熱画像に示すように、電流モード制御により、 位相間の電流分担はバランスが厳密に調整さ れます。全負荷で動作する 1.2V/60A コンバー バータの信頼性をさらに向上するには、各位 相の入力に Hot Swap™ 回路を配置し、各位 相の出力に理想ダイオード回路を配置します。 MOSFET が故障した場合、フォルトは検出さ れ、出力は保護されて、レギュレーション状態 が維持されます。LTC3774 の HIZBピンでは、 フォルトが検出されると PWM 出力がフロート タでは、2 つの位相間の温度差は 1℃未満です。 状態になるので、このピンを使用すると信頼性 LTC3774 は、高精度の出力電圧レギュレー 予測可能性を高めることができます。 ションを実現します。各位相の出力は、帰還分 割器の後段に配置した差動アンプによって検 出され、 PCB の IR 電圧降下を補償します。安 がさらに向上し、 DrMOS のシャットダウンの 設計上のアイデア 10k 22pF VCIN 10k INTVCC 330pF 931Ω 180µF 2.2Ω + COUT1 100µF 4× ITEMP1 ITH1 VOSNS1– VOSNS1+ TK/SS1 HIZB1 PWMEN1 PWM1 RUN1 GND 0.22µF 0.22µF 10k 1µF 10k 2.2µF VIN 図 1.fSW = 400kHz、7V ≤ VIN ≤ 14V で動作する 2 相、 1.2V/60A の LTC3774 コンバータ 10k L2 0.33µH L1, L2: WÜRTH 744301033 COUT1: MURATA GRM31CR60J107ME39L COUT2: SANYO 2R5TPE330M9 10k その他の機能としては、出力過負荷からの穏 COUT2 330µF 6× 931Ω 0.22µF PHASE VSWH SMOD 22µF PGND 22µF CGND VIN 1.2V/60A VOUT 2.2Ω PWM BOOT FDMF6820A VIN 4.64k 2.2µF VCIN INTVCC 5V BIAS 1Ω VDRV VIN 0.22µF ITEMP2 ITH2 VOSNS2– VOSNS2+ TK/SS2 HIZB2 PWMEN2 PWM2 RUN2 GND 4.7µF 0.22µF SNSD1+ SNS1– SNSA1+ PGOOD1 PGOOD2 SNSA2+ SNS2– SNSD2+ LTC3774 10k DISB INTVCC ILIM1 PHSMD FREQ MODE/PLLIN CLKOUT INTVCC VIN ILIM2 L1 0.33µH 4.64k 10k 10k 37.4k 0.22µF PHASE VSWH DISB 22µF PGND 22µF CGND VIN 3.01k 3.3nF 2.2Ω PWM BOOT FDMF6820A VIN 7V TO 14V RUN1 2.2µF VDRV 2.2µF 0.01µF VIN 5V BIAS 1Ω SMOD 10k 95 20 90 15 やかな回復、オプションの NTC 補償 DCR 検 圧範囲があります。 まとめ LTC3774 は、DrMOS と超低 DCR のインダ クタを使用した、低出力電圧、大出力電流の 電源を目的とする高性能デュアル出力降圧コ ントローラです。このデバイスは、高効率、高 精度の電流制限、 0.6V±0.75% の高精度帰 還電圧、およびフォルト分離を実現します。n POWER STAGE: DrMOS = FDMF6820A RBOOST = 2.2Ω L = WÜRTH 744301033 (0.33µH, 0.32mΩ) 85 80 12 8 75 70 POWER LOSS (W) イッチング周波数範囲、 4.5V∼38V の入力電 EFFICIENCY (%) 出、位相同期可能な 200kHz∼1.2MHz のス 4 0 10 20 30 40 50 LOAD CURRENT (A) 60 図 2.図 1 に示す回路での効率と電力損失の曲線。 VIN = 12V、VOUT = 1.2V 70 0 図 3.図 1 に示す回路の熱画像。fSW = 400kHz、VIN = 12V、 VOUT = 1.2V、IOUT = 60A、空気流なし、周囲温度 21℃ 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 33 直線性誤差 2ppm を実現する 20 ビット SAR A/D コンバータの DC 精度の高いドライバ Guy Hoover アナログ / デジタル(A/D)コンバータ(ADC)の分解能とサンプル・ レートが増加し続けるにつれて、次第に ADC 自体ではなく、ADC ア ナログ入力のドライバ回路が回路全体の精度を決定する制限要因に なってきました。まず、ドライバ回路は入力信号をバッファすること と、利得が必要です。さらに、シングルエンド信号から完全差動信号 へのレベル・シフトまたは変換を行って、A/D コンバータの入力電圧 範囲および同相電圧の要件を満たす必要があります。すべての処理 を、元の信号に歪みを加えることなく実行しなければなりません。 します。 この記事では、±10V のシングルエンド入力 回路の概要 フルスケール誤差の両方に影響するからです。 信号を、 LTC2377-20 20 ビット SAR A/D コ 図 1 の回路は、±10V のシングルエンド信号 ファされ、さらには U5 抵抗列を駆動して高精 度の分割器として機能します。U3 は –1/2 の 利得で動作し、 U5 抵抗列の中心を駆動して、 A/D コンバータの同相電圧を VREF/2 に維持 U3 および U4 は、LT1468A 低オフセット高直 線性オペアンプです。U5 は、保証最大不一致 率が 0.01% の LT5400A クワッド整合抵抗回 路網です。U5 内部の整合抵抗値は重要です。 不一致があるとこの回路内のオフセット誤差と ンバータを駆動できる完全差動信号に変換 こうした理由と、LT5400A は電圧係数がきわ めて小さいことから、LT5400A の代わりにディ を、LTC2377-20(U1)が必要とする±5V の し、総合直線性誤差がわずか 2ppm の簡素な スクリート抵抗を使用しないでください。R4 は 完全差動信号に変換します。LTC2377-20 は、 ADCドライバを紹介します。入力インピーダ U3 の出力にフルスケールの 4 分の 1 の変化 標準的な積分非直線性(INL)が ±0.5ppm ンスが高くなり、全電源電流が少なくなるオプ を与えます。R1と R2 は、U3 の非反転入力に の 20 ビット、500ksps、低消費電力 SAR A/D ションについても検討します。 VREF/2 のバイアスをかける分割器を形成し コンバータです。AINの電圧はU4によってバッ ています。 U2 LTC6655AHMS8-5 10V OUTS GND GND C6 10µF 34 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 1k 8 2 1k 7 V+ OUT –IN V– R2 10k 3 –15V C2 10µF R5 10k 500ksps データ収集システム 1 C4 10nF C0G 4 1k 1k 9 6 5 C9 10µF C10 220pF C0G IN+ C12 220pF C0G REF +IN C1 10µF U1 LTC2377-20 IN– CHAIN C3 10µF R6 20k R4 20k U3 LT1468A REF/DGCL R1 10k C7 2.5V 0.1µF U5 LT5400A-4 15V GND –15V C5 10µF 図 1.入力電圧範囲が±10V、INL が 2ppm の 20 ビット、 C13 47µF 10V X7R 1210 3.3V V+ OUT V– GND –IN GND VDD +IN VREF OVDD C8 3300pF C0G C11 0.1µF OUTF GND R3 49.9Ω 15V GND VIN GND J1 AIN ±10V U4 LT1468A SHDN C14 0.1µF CNV CNV SCK SCK SDO SDO BUSY BUSY RDL/SDI 設計上のアイデア ここ に 示 す ADC ド ラ イ バ は、 シ ン グ ル エ ンド の ±10V 信 号 を LTC2377-20 500ksps SAR A/D コン バ ータの ±5V 完 全 差 動 信 号 に変換します。複合回路の性能は、50µV のオフセット、2ppm の INL、 102.7dBFS の SNR、および –123.5dB の THD を達成しています。 設定しています。C10 と C12 は、U5 の抵抗と –20 の組み合わせにより、ADC 入力で 1.4MHz の –40 フィルタを形成します。さらに、 U5 のピン 1 と –60 8 の間の抵抗は、A/D コンバータがホールド・ モードからサンプル・モードに切り替わると生 じる充電スパイクから U4 の出力を分離するの –80 –100 –140 路のリファレンスとして選ばれた理由は、変換 –160 速に安定化する能力と低ノイズです。 回路の性能 この回路の標準的なAC性能は、サンプル・レー 4 3 2 –120 に役立ちます。LTC6655A-5(U2)がこの回 の間に REF ピンに生じるトランジェントから迅 5 fS = 500ksps fIN = 99.182Hz SNR = 102.7dBFS THD = –123.5dB INL (ppm) 0 AMPLITUDE (dB) R5 と R6 は、反転アンプ U3 の利得を –0.5 に –180 1 0 –1 –2 –3 –4 0 50 150 100 FREQUENCY (kHz) 200 –5 –10 250 図 2.複合回路の FFT –5 0 AIN (V) 5 10 図 3.直線性と入力電圧 トが 500ksps で 100Hz の 入 力 信 号 のとき、 THD が –123.5dBで SNR が 102.7dBFSです。 図 2 の FFT にその性能を示します。THD およ び SNR の性能は、LTC2377-20 のデータシー トに記載の標準値に近い数値であり、この分 割器を使用した場合の性能低下が最小限に抑 えられていることを示しています。 ±10V の 入 力 信 号 範 囲 全 体 で の 複 合 回 路 の標 準 的な直 線 性 性 能は、 図 3 に示すよう に、 500ksps のサンプル・レートで +2ppm、 –1.3ppm です。直線性は、A/D コンバータの INL とオペアンプ U4 の CMRR によって制限 されます。 VOS(MAX) = BZE(MAX)U1+ 1 のオペアンプ性能比較で示すように、INL は VOS(MAX)U4 VREF V REF + − ΔR 2 2 2 + R(MAX)U5 LTC2377-20 A/D コンバータの標準的な電 VOS(MAX) = 13ppm • 10µV/ppm + 75µV/2 + (5/2 – 5/(2.0001)) • 1E6µV VOS(MAX) = 292µV = 29.2ppm LT1468Aの最大入力バイアス電流は±40nA です。入力インピーダンスをさらに高くする ことが必要なアプリケーションの場合は、U4 を LT1122A に 置 き 換 えることが できます。 LT1122A は高速セトリングの JFET 入力オペ U4、U5、および U1 の影響を含む ADC 入力 アンプで、最大入力バイアス電流は 75pA で での全オフセットは、 +50µV で測定されます。 す。この回路に LT1122A を使用した場合、表 U3 のオフセットはこのドライバのオフセットに +6ppm、–1.1ppm です。 源電流は、500ksps の最大サンプル・レート のとき 4.2mA です。LTC2377-20 は変換後に (主要回路の)電源を自動的に遮断し、次の 変換が開始されるまでは起動しません。この 自動パワー・ダウン機能により、サンプル・レー トが低下するにつれて A/D コンバータの電力 損失が減少し、サンプル・レートが非常に低 いアプリケーションでは 1µA 程度まで減少し ます。 電源電流が重要な低サンプル・レート・アプ リケーションでは、 LT1468A の 5.2mA とい う最 大 電 源 電 流 が 大きすぎる場 合 がありま は影響しません。ADC 入力でのオフセットの (38 ページへ続く) ワーストケースの解析は、U1、U4、および U5 の最大オフセットを加算することにより、次の ように計算します。 表 1.オペアンプの性能比較 VOS 最大値 (µV) IB 最大値 (pA) ISY 標準値 (mA) fS 最大値 (ksps) INL 標準値 (ppm) LT1468A 75 40,000 5.2 500 +2、–1.3 LT1122A 600 75 10 500 +6、–1.1 LT1012A 90 150 0.6 125 +0.9、–0.5 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 35 48V 電源対応の完全な単一 IC パワー・マネージメント・ バッテリ保守 / バックアップ・システム Jay Celani 電子機器に対する一般的な傾向は、携帯性の向上です。誰かが「コンセントを抜いた」という理由だけで 機器の電源が切れることは、もはや万人に受け入れられることではなくなりました。携帯可能な機能を実 装するため、先進のパワー・マネージメント・システムを機器に組み込む必要があります。このシステム が可能なのは、使用可能な電源から該当のシステム出力までの経路を制御し、バックアップ素子を充電 してすぐに使用できる状態を保ち、常に適切な電源を別のシステムに確保することです。 洗練された単一 IC パワー・マネージメント・ソ リューションは、スマートフォンやタブレットな VIN 36V TO 55V D1, D2: PMEG6010AED D3: BZX84C6V2L L1: COILCRAFT XAL1010 M1, M2, M3, M4: SiS862DN RSENSEA 0.006Ω (CSNL2512) 33µF ど、低電圧および低消費電力レベルで動作す る多くの携帯機器ですぐに使用できます。多 L1 15µH M1 くの産業用機器や医療機器に必要なシステム などの大電力および高電圧のシステム向けの M4 68µF M3 M2 パワー・マネージメント・ソリューションは、一 RSENSEB 0.006Ω (CSNL2512) 般に面倒で複雑な専用のディスクリート部品ソ リューションが必要です。LTC4020 は、高電 (CORE LIMIT = 8.3A) 圧および大電力の単一 IC ソリューションに高 2.2µF 度なパワー・マネージメント機能を組み込むこ D1 INTVCC とにより、こうした環境でのパワー・マネージメ PGND ントを簡略化します。 PVIN BG2 BG1 SW2 LTC4020 は、 先 進 の 4 ス イ ッ チ 昇 降 圧 SW1 TG2 D2 TG1 DC/DC パワー・コンバータを特長としてお SGND ワー・マネージメント機能をサポートします。 電要件、および入力電源の制限に応じて、シス テム入力電源、バックアップ・バッテリ、および RT, 100k コンバータ出力間の電力配分を管理します。 電圧より低い、高い、または同じ電圧を生成す RSHDN1 536k (35V) RSHDN2 20k ることができます。内蔵のバッテリ・チャージャ は、リチウム・ベースのバッテリに合わせて最 適化された定電流 / 定電圧(CC/CV)充電プロ VC SENSBOT ITH SENSTOP VFBMAX SENSVIN RT 出力:265W、充電電流:5A、システム / 330pF 43k 51k 1nF ILIMIT CSOUT 100Ω CSP VIN_REG 0.33µF CSN SHDN BGATE MODE STAT1 BAT STAT2 VFBMIN FBG RNG_SS VFB (48V)フロート・チャージャ(コンバータ フロート充電電圧出力:53.75V) 36 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation SENSGND TIMER 図 1.36V∼55V 入力の 24 セル鉛蓄電池 BST2 SGND 0.047µF LTC4020 は、負荷のばらつき、バッテリの充 単一インダクタの DC/DC 昇降圧コントローラ LTC4020 BST1 独自の PowerPath™ システム / バッテリ・パ 1µF D3 1µF り、最適なバッテリ充電と、リニアテクノロジー は、最大 55V の入力電圧を受け付けて、入力 VOUT 53.75V 5A SGNDBACK NTC 100Ω RCS 0.01Ω (CSNL2512) 5A MAX 100pF RFB1 205k RFB2 10k 24-CELL LEAD-ACID (48V SYSTEM BATTERY) 設計上のアイデア LTC4020 は、先進の 4 スイッチ昇降圧 DC/DC パワー・コンバータを特長としており、最適なバッテリ充 電と、リニアテクノロジー独自の PowerPath システム / バッテリ・パワー・マネージメント機能をサポー トします。LTC4020 は、負荷のばらつき、バッテリの充電要件、および入力電源の制限に応じて、システ ム入力電源、バックアップ・バッテリ、およびコンバータ出力間の電力配分を管理します。 9 AVAILABLE TOTAL OUTPUT CURRENT (A) 6 5 ICHARGE (A) 4 3 2 1 0 48 49 50 51 52 53 54 VBATTERY (V) 図 2.図 1 に示す回路での最大充電電流 8 7 6 5 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 VIN (V) 図 3.供給可能なコンバータ出力電流(システム負荷電流 + バッテリ充電電流)と入力電圧 ファイル、3 段階の鉛蓄電池充電プロファイル、 電流フロート・チャージャを実装することによ 鉛蓄電池バックアップを備えた 48V システム または修正版のタイマ終了定電流アルゴリズム り、容易に対処できます。 電源 (CC)を実現するよう設定できます。最後のア ルゴリズムはリチウム用のプロファイルと同様 ですが、低電圧プリコンディショニング機能お よび充電サイクル再開機能は組み込まれてい ません。 CC モード充電を使用した 48V 鉛蓄電池 CC 充 電 ア ル ゴ リ ズ ム は、LTC4020 の MODEピンを未接続のままにしておくことによ り有効になります。帰還抵抗分割器は、VFB = 2.5V に対応する目的のバッテリ・フロート充 電電圧を設定します。CC 充電アルゴリズムに より、フロート・レギュレーション電圧に達する バックアップ・バッテリ・フロート・チャージャ を内蔵した 48V システム電源として構成され ている LTC4020 を図 1 に示します。この電源 の中心的な部品は平均電流モードの昇降圧 DC/DC コントローラで、スイッチング素子と して 4 つの外付け N チャネル FET を使用し、 265W の出力システム電力を供給できます。 チャージャへの適用 まで、最大限の設定充電電流が可能になりま 鉛蓄電池に合わせて最適化された充電モード す。フロート・レギュレーション電圧を維持して コンバータは 36V∼55V の入力電源電圧範囲 いる間、鉛蓄電池フロート・チャージャはバッ で動作し、コンバータの平均インダクタ電流は テリに絶え間なく電流を供給できる必要があ 8.3A に制限されます。コンバータの電流制限 るので、充電機能は終了できません。CC 充電 値は、SiS862DN スイッチング FET(M1 およ で LTC4020 を構成した場合、吸収充電中の レギュレーション電圧は、 「12V」の鉛蓄電池で は標準バッテリ・システム電圧の 120%、つま り 14.4V です。吸収充電電圧が LTC4020 の 最大動作電圧を超えるので、残念ながら組み 込みの鉛蓄電池充電アルゴリズムは 48V のシ ステム・バッテリに使用できません。これには、 定電流(CC)充電アルゴリズムを使用して大 モードでは、 TIMER = 0V に設定することに び M2) と直列に配置した 2 つの 6mΩ検出抵抗 よってこれに対応できますが、この設定によっ (RSENSE1 および RSENSE2)により設定されま てタイマ機能が無効になるので、充電終了も す。DC/DC コンバータの出力では、動作電圧 無効になり、したがって充電サイクルは無期限 範囲全体にわたって少なくとも 5A がサポート に継続されます。 されます。 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 37 LTC4020 は、システム負荷およびバッテリ充電機能に優先的に電力を供給します(システム負荷は、 常に充電電源より優先されます)。したがって、重負荷の期間には、必要に応じて充電電流が減少し ます。万一、システム負荷が LTC4020 DC/DC コンバータの能力を超えた場合は、バッテリ電流の 方向が変わり、負荷電流はバッテリから供給されてコンバータ出力を補足します。 器は、 FBG ピンを介して参照されます。このピ 流れ込む全バッテリ電流は 10µA 未満に減少 を形成します。これにより、入力シャットダウン ンは、LTC4020 が動作している場合はグラン し、バッテリ寿命を最大限に延長します。 電圧が VIN = 35V で設定され、入力電圧が ドに短絡されていますが、LTC4020 がディス 35V より低い場合は DC/DC コンバータ機能 エーブル状態のときは高インピーダンスにな とバッテリ・チャージャ機能がディスエーブル り、バッテリの寄生負荷を軽減します。 RSHDN1と RSHDN2 は、SHDN ピンで分割器 されるので、電源が有効な場合には、常に全 負荷電流を供給可能です。ここで使用される SiS862DN スイッチ FET の標準の QG はそれ ぞれ約 10nC なので、抵抗 RT によって動作周 波数を 250kHz に設定することにより、VIN = 55V で の QG(TOTAL) • fO は、LTC4020 の 規定の INTVCC 直列素子 SOA ガイドライン の範囲内に入ります。 このデバイスは、 前 述したように、 定 電 流 / 定電圧充電プロファイルを使用して、 24 セル (48V)の鉛蓄電池バックアップ・バッテリを 充電して維持します。バッテリ充電電流の最大 値は、RCS により 5A に設定されます。この値 は、満充電フロート電圧である 53.75V に達す るまで供給可能です。バッテリ電圧は抵抗分割 器(RFB1 および RFB2)によりモニタされます。 これにより、満充電フロート電圧の 53.75V(つ LTC4020 は、システム負荷およびバッテリ充 電機能に優先的に電力を供給します(システム 負荷は、常に充電電源より優先されます)。し たがって、重負荷の期間には、必要に応じて 充電電流が減少します。万一、システム負荷が LTC4020 DC/DC コンバータの能力を超え た場合は、バッテリ電流の方向が変わり、負荷 電流はバッテリから供給されてコンバータ出力 を補足します。 VIN 電源が切断された場合は、LTC4020 の すべての機能が停止して、必要な電力はバッ テリから出力に供給されます。バッテリからコ ンバータを介した逆導通はスイッチ FET M4 によって遮断され、バッテリ電圧モニタの抵抗 まとめ LTC4020 は、バッテリ・バックアップやバッ テリ駆動の遠隔動作が必要なあらゆる大電力 デバイスに対応する単一 IC パワー・マネー ジメント・ソリューションです。内蔵の昇降圧 DC/DC コントローラは、入力電圧より高い、 低い、または等しい電圧レールに電力を供給 できます。この IC は高度な PowerPath 構成を 使用して、コントローラ出力をフル機能のマル チケミストリ・バッテリ・チャージャと結合しま す。このチャージャは、充電サイクル制御用の 内部タイマと、 2 進コード化状態ピンを使用す るリアルタイム充電サイクル・モニタリング回 路を内蔵しています。ピンで選択可能な 3 つの 充電プロファイルにより、最も一般的なバッテ リ・タイプに適合する汎用性と、最適化された 充電特性が得られます。n 分割器は FBG ピンを介して切断されます。もし も無負荷での蓄電条件が必要な場合は、IC に まり、2.24V/ セル)が設定されます。この分割 (LT1468A、35 ページからの続き) す。±15V 時 に 最 大 電 源 電 流 が 500µA の ど十分に高速な安定化ができないので、 INL ドライバは、主として 2 つの LT1468A オペア LT1012A ピコアンペア入力電流、マイクロボ 性能は低下し始めます。 ンプと LT5400A 整合抵抗アレイで構成されま ルト・オフセット、低ノイズ・オペアンプは、こ す。この回路の別バージョンでは、 LT1122A れらのアプリケーションで LT1468A を置き まとめ オペアンプを使用して 75pA の最大入力電流 換えることができます。表 1 のオペアンプ 性 ここに示す ADCドライバは、シングルエンドの を実現するか、低サンプリング・レート時に 能比較に示すように、サンプル・レートが最 ±10V 信 号 を LTC2377-20 500ksps SAR LT1012A オペアンプを使用して電源電流を 大 125ksps の場 合、 LT1012A は +0.9ppm、 A/D コンバータの ±5V 完全差動信号に変換 低減します。DC2135(この回路のデモボード・ –0.5ppm の直線性を達成しています。サンプ します。複合回路の性能は、 50µV のオフセッ バージョン)はリニアテクノロジーから入手でき ル・レートが 125ksps を超えると、このオペア ト、2ppm の INL、102.7dBFS の SNR、およ ます。n ンプは A/D コンバータを正確に駆動できるほ び –123.5dB の THD を達成しています。この 38 | 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation 新製品の概要 新製品の概要 1mΩ 未満の DCR による検出機能を備えた 最大 300A 対応のスレーブ電流モード降圧 2A を供給し、必要な静止電流はわずか 3.5μA の 17V、2.25MHz、同期整流式 マルチトポロジー DC/DCコンバータ 位相拡張器 降圧レギュレータ LT8471 は、2A、50V の内蔵スイッチ 2 個と LTC3874 は 2 相同期整流式降圧スレーブ・ LTC3624 は、 効 率 が 高く、17V 入 力 に 対 補助の 500mA スイッチ 1 個を使用して降圧 コントローラで、姉妹デバイスのマスタ・コン 応するリニアテクノロジー製の同期整流式降 変換、昇圧変換、および反転変換を容易に行 トローラと対にすると、マルチフェーズ・アプ 圧レギュレータで、最大 2A の連続出力電流 うデュアル DC/DC コンバータです。2A の各 リケーションで位相数を増やすことによって を最小 0.6V の出力に供給します。同期整流 チャネルは、降圧、昇圧、SEPIC、フライバッ 最大 300A の電流を生成します。互換のマス により、最大 95% の高い効率を実現する一 ク、 ZETA、または反転 DC/DC コンバータと タ・コントローラは、LTC3866、LTC3875、 方で、 Burst Mode 動作により、必要な無負 して個別に構成できます。この多様な回路構成 LTC3774 などです。どれも真の電流モード制 荷 時 静 止 電 流 は わず か 3.5μA で 済 みます。 と出力構成により、LT8471 は幅広い産業用 御を行い、検出抵抗なしで DC 抵抗(DCR)の LTC3624 は 1MHz の固定周波数でスイッチ および自動車用アプリケーションに最適です。 小さい(0.2mΩ)パワー・インダクタを使用で ングしますが、 LTC3624-2 のスイッチング周 LT8471 は 2.6V∼50V の入力電圧範囲で動 きるので、コンバータの効率を最大にして、電 波数は 2.25MHz です。 力密度を高めることができます。 固定周波数の電流モード・アーキテクチャによ 50V、2A の内部スイッチを備えたデュアル・ 作するので、 1 セルのリチウムイオン電池から 自動車用バッテリまで、さまざまな入力電源を 使用するアプリケーションに適しています。 LTC3874はリニアテクノロジーの低 DCRピー り、スイッチング・ノイズを最小限に抑えつつ、 ク電流モード・コントローラを補完するもので、 非常に高速な入力および負荷トランジェント応 LT8471 の 50V 内部スイッチは、入力電圧と 動的な負荷の場合でも高精度の位相間電流分 答 を 実 現しま す。LTC3624/LTC3624-2 は 出力電圧が最大 45V のアプリケーションに対 担など、マルチフェーズのスレーブ設計に必要 2.7V∼17V の入力電圧範囲で動作するので、 応できます。このデバイスは 1 つのコンバータ なすべての機能を提供します。このデバイスは 1 セルまたは複数セルのリチウムイオン・スタッ から正負両方の出力を生成できるので、幅広 4.5V∼38V の入力電圧範囲で動作し、最大 ク入力のほかに、 12V の中間バス駆動システ いバイアス印加アプリケーションに最適です。 5.5V の固定出力電圧を生成します。最大 12 ムにも最適です。3mm×3mm DFN パッケー 内蔵の小型 500mA 昇圧コンバータは、降圧 相を並列に接続し、位相をずらして同期するこ ジ、高いスイッチング周波数、小型、低コスト アプリケーションにも、1 本のインダクタによ とにより、フィルタリングを最小限に抑えること のコンデンサおよびインダクタの組み合わせに る反転アプリケーションにも最適な効率で役 ができます。アプリケーションには、電力配分 より、実装面積が非常に小さいソリューション 立ちます。LT8471 のスイッチング周波数は 装置、 (n+1)冗長電源、産業用システム、DSP が保証されます。 および ASIC の電源などがあります。 LTC3624EDD および LTC3624EDD-2 は、 LTC3874 は 250kHz∼1MHz の範囲の固定 3mm×3mm DFN-8 パ ッ ケ ー ジ で 供 給 動作周波数で動作しますが、外部クロックと同 されます。産 業 用グレ ード・ バ ージョン の 期させることもできます。強力な 1.1Ω の内蔵 LTC3624IDD お よ び LTC3624IDD-2 は、 ゲート・ドライバにより、MOSFET のスイッチ –40 ℃∼125 ℃の動作接合部温度範囲で動作 ング損失を最小限に抑えます。電流検出しき することが保証されます。 100kHz∼2MHz の範囲で設定および同期が 可能なので、外付け部品を非常に小型化でき ます。TSSOP パッケージと小型の外付け部品 の組み合わせにより、非常に小規模な実装面 積を保証しつつ、ソリューション・コストを最小 限に抑えます。 LT8471 の高効率 50V スイッチは、降圧アプ い値を 16mV∼72mV の範囲に正確に設定で リケーションと反転アプリケーションに対して最 きるので、電力損失を最小限に抑え、過電流 大 85% の総合効率を実現します。LT8471 は、 保護の作動点を正確に設定できます。 6V∼32V の入力から 5V 出力時に最大 1.5A、 –5V 出力時に最大 650mA を供給します。n 2014年7月: LT Journal of Analog Innovation | 39 circuits.linear-tech.co.jp からのハイライト VIN VIN 4.3V TO 29V VOUT VOUT 5V • RUN • LTM8057 AC 2kV 絶縁型 5V µModule レギュレータ LTM®8057は、AC2kV絶縁型フライバックμModule®(マイクロモジュール)DC/DCコンバータです。 スイッチング・コントローラ、パワー・スイッチ、トランス、およびすべての支持部品がパッケージに搭載 22µF 2.2µF VOUT GND されています。LTM8057 は、3.1V∼31V の入力電圧範囲で動作し、2.5V∼12V の出力電圧範囲を サポートしており、出力電圧は 1 本の抵抗で設定されます。設計を完了するために必要なのは、入力と – 出力のコンデンサだけです。また、他の部品を使用して、ソフトスタートやバイアスの制御も可能です。 www.linear-tech.co.jp/solutions/5104 BIAS 4.7µF 6.98k SS ADJ LTM8057 2kV AC ISOLATION LT8620 1.8V/2MHz 降圧コンバータ LT8620 は、65V までの広い入力電圧範囲で使用でき、静止電流がわずか 2.5μ A で、小型、高効率、高速の同期整流式モノリシック降圧スイッチング・レギュレー タです。外付け部品の必要性を最小限に抑えるため、必要なすべての回路ととも VIN 3.4V TO 22V (65V TRANSIENT) VIN 4.7µF に上側と下側のパワー・スイッチを内蔵しています。低リップルの Burst Mode PG 動作により、非常に少量の出力電流まで高い効率が可能であると同時に、出力リッ 可能です。ピーク電流モード方式を採用した内部補償により、小型のインダクタ 10µF 10µF VIN 1µF SW1 BIAS TR/SS 1µF EN/UV ピンのしきい値は高精度の 1V であり、EN/UV ピンを使用して入力電圧 の低電圧ロックアウトを設定することや、LT8620 をシャットダウンして入力電源 電流を 1µA まで減らすことができます。TR/SS ピンに接続するコンデンサにより、 起動時の出力電圧上昇速度を設定できます。VOUT が出力電圧設定値の ±9% 以内に入るか、フォルト状態になると、PG フラグで通知します。LT8620 は、熱抵 抗を低く抑えるための露出パッドを備えた小型の 16 ピン MSOP パッケージおよ び 3mm×5mm の QFN パッケージで供給されます。 http://www.linear-tech.co.jp/solutions/5108 0.091Ω SW 10nF を使用できるので、高速トランジェント応答と優れたループ安定性が得られます。 0.1µF 1µH LT8620 SYNC プルを 10mVP-P 未満に維持します。SYNC ピンにより、外部クロックへの同期が VIN 12V BST EN/UV INTVCC RT FB EXTERNAL SOURCE >3.1V OR GND 1µF 100µF VOUT 1.8V 2A 866k 10pF GND 18.2k 1M fSW = 2MHz L: XFL4020 LTC3355 スーパーキャパシタ・チャージャおよび 6.8µH ライドスルー電源 LTC3355 は、完全な入力電源中断時ライドスルー DC/DC VINM5 VINS PFO 2.49M BUCK VOUT 4.7pF 1A PFI 200k LTC3355 PFOB FB CPGOOD ながら VOUT に負荷電流を供給し、 VIN 電源が失われたとき は、スーパーキャパシタからのエネルギーを使用して VOUT 定周波数電流モードの非同期モノリシック 1A 降圧スイッチン グ ・レギュレータを内蔵しており、最大 20V の入力電源から VCAP 3.3µH BOOST EN_CHG システムです。このデバイスは、スーパーキャパシタを充電し の継続的なバックアップ電源を供給します。LTC3355 は、固 100k SW2 RSTB 402k VOUT 4V 47µF 1A (MAX) 665k 2.4V SCAP 1F TO 50F 2.7V∼5V の安定化出力電圧を供給します。 www.linear-tech.co.jp/solutions/5112 CFB MODE INTVCC ICHG VCBST IBSTPK 332k 154k 220pF 1µF 60.4k 200k L、LT、LTC、LTM、Linear Technology、Linear のロゴ、Burst Mode、LTspice、µModule、PolyPhase、および SmartMesh はリニアテクノロジー社の登録商標です。 Easy Drive、FracNWizard、Hot Swap、LTP、PowerPath、Silent Switcher、および SmartMesh IP はリニアテクノロジー社の商標です。その他すべての商標の所有権は、それぞれの所有者に帰属します。 © 2014 Linear Technology Corporation リニアテクノロジー株式会社 本 社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル8F TEL. 03(5226)7291 FAX. 03(5226)0268 大 阪 支 社 〒550-0011 大阪市西区阿波座1-6-13 カーニープレイス本町10F TEL. 06(6533)5880 FAX. 06(6543)2588 名古屋支社 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-20-22 桜通大津KTビル7F TEL. 052(955)0056 FAX. 052(955)0058 www.linear-tech.co.jp