本当の電力密度とは - Linear Technology

2012 年 10 月
こ の 号 の 内 容
入力電圧範囲が 1.8V ∼ 5.5V の
1A 低ノイズ降圧コンバータ 9
理想ダイオード付きサージ・
ストッパーによる入力および
出力の保護 12
第 22 期第 3 号
本当の電力密度とは:
26A のマイクロモジュール電源は
狭い基板スペースでも低温を維持
Eddie Beville
VOUT 精度が±0.5% のアナログ制御
ループによるデジタル電源システム
管理 17
簡素化された LED PWM 調光
34
新しい高性能プロセッサ、FPGA、ASIC は、世代を追うごとに電力消費が大き
くなってきていますが、そのような重い負荷を支える電源回路に用意されるス
ペースは逆に狭くなっていく傾向にあります。1V 以下で数十アンペアを超える
ような電源を複数チャネル、それも負荷の近くに置かなければならない状況が
当たり前のようになってきているのが現状です。
狭いスペースで大きな負荷電流を供給する必要がある電源回
路を比較する際には、ワット/cm2 で示される電力密度が使わ
れます。実際のところ、最近のモジュール電源やディスクリート
回路は、驚くほど高い電力密度を持っているかのように宣伝さ
れます。電源メーカーは小さなパッケージに大きな電力を詰め
込むことに成功したかのように思われるほどです。残念ながら
これらでうたわれている驚くほど高い電力密度が実際に実現さ
れるためには、隠れている大きな問題を解決する必要がありま
す。それは熱の問題です。
(4 ページの補足記事を参照)。
放熱の問題は、高い電流と低い電圧の電源を実現するうえで
大きな問題です。多くのシステムでは電力密度を上げることで
問題が更に複雑化します。なぜなら、狭いスペースに多くの電
力を詰め込むということは狭いスペースに多くの熱を詰め込む
ということと同じだからです。必要な電力を基板に詰め込むだ
けでは不十分で、電力損失と熱抵抗についても他の項目と同
様に十分な検討が必要になります。高い電力密度を持ってい
るという宣伝は魅力的に見えますが、電源が発生する熱の取
り扱いがしっかりとされなければこれらの宣伝は空しい約束に
LTM®4620 µModule® レギュレータを使用すると、大電流の電源を狭いスペースに収容できます。
POL 電源で一般的な問題である基板上でのホット・スポットの発生を防止するため、熱管理機能が
パッケージに組み込まれています。
www.linear-tech.co.jp
なってしまいます。
(4 ページに続く)
リニアテクノロジーのニュース
この号の内容
COVER STORY
真の電力密度: 26A の µModule レギュレータが
狭いスペースで冷却状態を維持
Eddie Beville
1
リニアが火星に
DESIGN FEATURES
幅広い電力源に対応する、入力電圧範囲が
1.8V∼5.5V の 1A 低ノイズ昇降圧コンバータ
Genesia Bertelle
理想ダイオード付きサージ・ストッパーによる
入力および出力の保護
Zhizhong Hou
パワー・システム・マネージメント機能と
アナログ制御ループを組み合わせて±0.5% の
VOUT 精度を実現する DC/DC コントローラ
Hellmuth Witte
広い入力電圧範囲から電圧を安定化し、
98.5% の効率で 100W 以上のバッテリを
充電する 60V、4 スイッチ同期整流式昇降圧
コントローラ
Keith Szolusha
光アイソレータ不要の 100V マイクロパワー
絶縁型フライバック・コンバータ
(5 ピン TSOT-23)
Min Chen
NASA のジェット推進研究所(JPL) が最近立ち上げた画期的な火星探査プログラムには、リ
ニアテクノロジーの製品が採用されています。リニアテクノロジーの高性能アナログ半導体が
火星科学研究探査車(キュリオシティ)に搭載され、火星の地形の詳細な映像や膨大な量に
9
過去について知ることが出来るようになりました。NASA の目標は、過去に火星に生物が住
むのに必要な環境があったかどうか、更には過去に火星に生物が存在したのかどうかについ
12
Gabino Alonso
300V のトランジェントから部品を保護する
100V サージ・ストッパー
Hamza Salman Afzal
外部の信号発生器、クロック、またはマイクロ
コントローラを使用しない高精度 PWM LED 調光
Keith Szolusha
に耐えられるかどうかを検討した結果、火星探査計画に選ばれました。リニアテクノロジーの
17
Heath Stewart
製品は火星探査車(キュリオシティ)と、それを火星に送り届けた宇宙船の両方に使われてい
ます。例えば、探査車の計器に電力を供給するスイッチング電源や、探査車が周囲を「見る」
ために必要なカメラの制御用 AD コンバータ、火星の組成に関するデータを正確に測定する
ためのオペアンプ等です。
22
リニアテクノロジー CEO の Lothar Maier は、次のように述べています。
「NASA の宇宙プ
ログラムと私どもの協力関係は既に 20 年に及びますが、今回の火星探査計画にこれまでと
同様に参加させて頂けることを誇りに思っています。今回の計画には 200 以上のリニアテクノ
ロジー製品が使われています。これからも動作環境や用途を問わず、最高の性能、信頼性を
27
持つアナログ製品を提供していきます。火星からの息をのむような映像や貴重なデータが送
られてくるのを見るにつけ、この歴史的な事業に参画させて頂いていることを本当に光栄に
感じています。」
30
リニアテクノロジー製品は、今回の火星探査車キュリオシティに多数搭載されているだけでは
なく、 2004 年に火星に着陸した「スピリット」や「オポチュニティ」といった探査車にも採用さ
れていましたし、さらには「マーズ・グローバル・サーベイヤ」、
「マーズ・パスファインダー」、
32
「カッシーニ」、
「ディープ・スペース 1 号」、
「マーズ・オデッセイ」等の多数のプログラムに採
用されています。リニアテクノロジーは NASA/JPL に非常に小さなパッケージに収められた
最高の性能、精度、信頼性を持つアナログ IC を、放射線耐量を高めて納入しています。リニ
34
PoE(Power over Ethernet)給電装置からの
光アイソレータおよび絶縁型電源の排除
て調べることです。
リニアテクノロジーの製品は性能、精度、信頼性、さらには飛行中や火星表面の過酷な環境
DESIGN IDEAS
LTspice IV の最新情報
のぼる正確な測定値を収集するために使われています。これにより、科学者は火星の地質と
アテクノロジーの高精度アナログ回路技術は、火星探査車や宇宙船内の高度な科学計測装
置や通信システムを実現するために不可欠の技術となっています。
ワイヤレス・センサー・ネットワーク製品を発表
36
昨年 10 月、リニアテクノロジーは当社が買収した低消費電力ワイヤレス・センサー・ネット
ワーク(WSN) 技術のパイオニアである Dust Networks 社の製品の初めての公式発表を行
新製品の概要
back page circuits
38
40
いました。Dust Networks 社の開発したSmartMeshネットワーク技術は、
メッシュ構造のネッ
トワークを自動的に形成してデータを中継する Mote と呼ばれるノード群と、Mote から成る
ネットワークを管理して集められたデータをホストアプリケーションに送る Manager からな
ります。このネットワーク技術は産業用の高信頼性通信規格の基盤として採用されています。
2 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
リニアテクノロジーのニュース
Dust Networks 社の技術の特徴は時間、周波
数、空間の 3 つの冗長性を組み合わせることに
より、高い信頼性とスケーラビリティを持つ超低
消費電力の WSN を簡単に実現するところにあ
ります。SmartMesh のネットワークにある全て
の Mote は、ルーター機能を持っておりながら、
電池だけで何年間も動作させることが可能です。
従って、本当に置きたい場所に自由自在に置い
たり、必要があればコストを掛けずに自由に場
リニアテクノロジーのデバイスが火星を探査
所を移動することができる究極の柔軟性をもっ
リニアテクノロジーの製品は火星探査車(キュリオシティ)と、それを火星に送り届けた宇宙船の両方に使われています。例えば、探査
たネットワークを構築することができます。
車の計器に電力を供給するスイッチング電源や、探査車が周囲を「見る」ために必要なカメラの制御用 AD コンバータ、火星の組成
に関するデータを正確に測定するためのオペアンプ等です。
Dust Networks の既存顧客は GE や Emerson
等、世界最大級の産業プロセス制御メーカー
線センサ・ネットワーク製品ならびに環境発電
Networks(無線センサ・ネットワーク)」で『Low
や、 Vigilent、Streetline などの革 新 的な環 境
(エネルギー・ハーベスティング)製品を展示し
Power Wireless Sensing(低消費電力の無線検
保全型企業まで、多岐にわたっています。Dust
ます。リニアテクノロジーの Joy Weiss は、
『Low
出)』について講演いたします。詳細については、
Networks の技術はデータセンターの空調管理、
(低消費電力の
Power WSN Made Practical』
www.wireless-congress.comをご覧ください。
再生可能エネルギー、遠隔監視、輸送機器など
無線センサ・ネットワークの実用化)を発表し、
広範囲のモニタリング用途に使われています。
『Untapped Potential: Energy
Jim Noon は、
リニアテクノロジーで Dust Networks 製 品グ
ループのプレジデントを務める Joy Weiss は次
のように述べています。
「私たちの第一の目標
は、お客様がデータを収集したいところであれ
ば、それがどこであれ、無線技術の詳細に煩わ
(未開拓の潜在市場:エ
Harvesting Solutions』
ネルギー・ハーベスティング・ソリューション)と
いう話題で講演します。詳細については、www.
idtechex.com/energy-harvesting-usa/eh.asp
をご覧ください。
The Battery Show 2012、会場:Suburban Collection
Showplace(ミシガン州ノビ)、 日程:2012 年 11 月 13
日∼15 日、 小 間 番 号 B664̶ リニ アテクノロジ ー
は、自社のバッテリ・スタック・モニタ製品およ
びパワー・マネージメント製品を展示します。
『The
Mike Kultgen によるプレゼンテーション、
Key Battery Management Electronics for
されることなく、費用対効果の高いセンサシステ
Electronica 2012、 会 場:Messe München( ド イ
( 最 大 の パッ
Maximum Pack Performance』
ムを、自信を持って構築して頂けるようにするこ
ツ、ミュンヘン)、日程:2012 年 11 月 13 日∼16 日、ホー
ケージ性能を得るための鍵となるバッテリ管理
とです。Eterna を採 用した SmartMesh システ
ル A4、 小間番号 538̶リニアテクノロジーはさま
電子機器)、会場: Sapphire/Ruby Ballroom、
ムと、IP 対応のワイヤレス・センサ・ネットワー
ざまな種類の自社アナログ製品を幅広く出展し
日時:11月14日午後3時30分。詳細については、
クを追加することによって、この目標に向けて更
ますが、特に産業用および自動車用アプリケー
www.thebatteryshow.com をご覧ください。n
に前進することができました。」
ションに重点を置いています。詳細については、
www.electronica.de/en/homeをご覧ください。
会議及びイベント
Energy Harvesting & Storage Conference(環境発
電(エネルギー・ハーベスティング)と蓄積に関する会議)、
会場:ハイアット・リージェンシー・クリスタル・シティ(ワシ
ントン D.C.、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空
港)、日程:2012 年 11 月 7 日∼8 日、小間番号 4 および 9̶
リニアテクノロジーは、Dust Networks 社の無
Wireless Congress Systems & Applications(無線
会議システムとアプリケーション)、会場:International
Congress Center(ドイツ、ミュンヘン)、2012 年 11
月 14 日∼15 日 ̶11 月 15 日 午 前 11 時 15 分 に、
Dust Networks 製 品グ ル ープ の 社 長 で ある
Joy Weiss がセッション 7a の「Wireless Sensor
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 3
高い電力密度を持っているという宣伝は魅力的に見えますが、電源が発生する熱の取り扱いがしっかりと
されなければ高い電力密度は意味を持ちません。LTM4620 は放熱を簡単にするために特別に設計された
パッケージに 2 出力のレギュレータを搭載することにより「本当の」電力密度に関する問題を解決します。
(LTM4620、1 ページからの続き)
15mm
LTM4620 は、熱抵抗を最小限に抑え、それ
4.41mm
によって熱管理を簡単にするために独自に設
計されたデュアル出力のレギュレータをすべて
15mm × 15mm × 4.41mm の LGA パッケ ー
ジに集積することにより、電力密度の真の問題
を解決します。パッケージには、上面および底
面を効果的に放熱できる内部ヒートシンクなど
の最先端機能が組み込まれており、高温環境で
15mm
図 1.LTM4620 の LGA パッケージには、
独自の内部ヒートシンクに接続する熱的接点が
上面および底面に設けられているので、内部の
熱抵抗を最小に抑えることにより、内部の部品は
冷却状態が維持されます。
も最大負荷電流でデバイスを動作することが可
能です。
で 13A(図 4)、または 1 つの出力で 26A(図 5)
LTM4620 の 15mm × 15mm × 4.41mm
で す。複 数 の LTM4620 を 組 み 合 わ せると、
LGA パッケージを図 1 に示します。1 つのデバ
50A から 100A を超える電流(図 7)を発生させ
イスで供給できる電流は、2 つの独立した出力
ることができます。
電力密度の実際のコスト
発熱にご注意を!
ます。問題は、小さくまとめすぎた電源ソリューション
この例を続けると、このレギュレータには興味を引く
不要な熱は、高性能電子機器システムの設計者が直面
の中には、電力損失が大きすぎるか、熱抵抗が高すぎ
別の特質があります。レギュレータは 90% という高い
する大きな課題です。最近のプロセッサ、FPGA、およ
るものが含まれていることです。このような電源は、発
効率で動作します。このような高効率であっても、出力
びカスタム ASIC は、処理能力の向上につれて増え続
生する熱を効果的に取り除けない限り、出力電流の大
に 54W を供給すると同時に、接合部 - 外気間熱抵抗
ける消費電力に伴って大量の熱を発生します。こうし
幅なディレーティングが必要となることになります。
た電力消費をまかなうため、電源の出力を大きくする
必要がありますが、その結果、電源での電力損失も増
加し、既に高温になっているシステムをさらに加熱する
ことになります。すみやかに外に熱を逃がさない限り、
システム全体の温度は、大半の部品の使用可能な温度
範囲を超えて上昇する可能性があります。
システムと熱の担当技術者は、複雑な電子システムの
モデル化と評価を行ってシステムから不要な熱を取り
除くために相当な時間とエネルギーを費やします。ファ
ン、冷却プレート、ヒートシンク、さらには冷却槽での
浸漬などの対策が、発熱を克服するために必要になっ
てきます。これらの対策により、冷却に使われる部品の
サイズ、重量が増え、さらに保守に要するコストが増え
てきます。このコストは製造上の予算の大きな割合を
占めてきています。
システムの機能と性能が上がるにしたがって、発生する
熱は増える一方です。ほとんどのプロセッサおよび電源
は可能な限り効率的に動作するように設計されており、
冷却システムが原価に占める割合が増え続けています。
このため、部品レベルでの電力損失を改善することに
よって簡素化と費用節減の方策を見つける必要があり
4 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
見た目ほど高くない実際の電力密度
高電力密度の DC/DC レギュレータという用語は誤解
されやすい用語です。レギュレータそれ自体の動作を
温度に関して規定していないからです。システム設計
者は、W/cm2(単位面積当たりの電力)で表される電
力密度を最も重要視するので、それに対応する形で電
源メーカはデータシートにみごとな数値を掲げていま
す。それにも関わらず、電力密度よりも重要な変換効
率と熱抵抗の数値は、どのデバイスのデータシートに
も後ろの方に隠れています。
たとえ ば、 負 荷 に 54W を 供 給 する 2cm × 1cm の
が 20 ℃ /W のパッケージ内で 6W を損失します。6W
に 20℃ /W を掛けると、結果は周囲温度に対する温度
上昇が 120 ℃となります。周囲温度が 45 ℃のとき、こ
の DC/DC レギュレータのパッケージの接合部温度は
165℃まで上昇します。この値は、ほとんどのシリコン
IC に対して規定されている標準的な最大温度(およそ
120℃)よりはるかに高い値です。この電源をその最大
定格で使用するには、接合部温度を 120℃より低い値
に保つために大掛かりな冷却が必要です。
DC/DC レギュレータがシステムに関するすべての電気
的要件および電源要件を満たしていたとしても、熱に
関する基本的な基準を満たすことができない場合や、
放熱に必要な対策を考慮すると費用がかかりすぎる
DC/DC レギュレータを考えます。これにより、電力密
度の定格は 27W/cm2 という立派な数値となります。こ
ことが判明した場合には、素晴らしい電気的仕様はす
の数値は、これだけを見ると設計者の要件を満たして
的性能を評価することは、レギュレータを電圧、電流、
いるかもしれません。しかし、忘れられがちなのは、基
板温度の上昇をもたらす電力損失です。データシート
には、重要な情報が DC/DC レギュレータの熱抵抗とし
て記載されています。これには、パッケージの接合部 ケース間、接合部 - 外気間、および接合部 -PCB 間の
熱抵抗の値があります。
べて机上の空論となります。DC/DC レギュレータの熱
サイズの値で判断する場合と同じくらい重要であると
言っても過言ではありません。
設計特集
内蔵のパワー MOSFET は独自のリード・フレームに積み重ねられており、
デバイスの上面および底面の両方に対して、高い電力密度、低い相互配線抵抗、
および高い熱伝導率が得られるようになっています。独自の内部ヒートシンクの
採用により高性能を実現しました。
EFFECTIVE TOPSIDE HEAT SINKING
POWER INDUCTORS
EFFECTIVE BOTTOM HEAT SINKING
POWER MOSFET STACK
図 2.LTM4620 の側面図と、上面のヒートシンクを示すモールドされていない状態の LTM4620 の写真
独自のパッケージ設計による
高電力密度を実現
モ ー ルド( 成 型 )さ れ て い な い 状 態 で の
LTM4620 は、現実的に放熱可能な高い電力
します。パッケージは、高い電流を流すのに適
密度を持つデュアル出力またはシングル出力電
源を実現できるように設計されています。他の高
電力密度を謳うソリューションとは異なり、この
デバイスは真に自己完結型のソリューションで
あり、最大負荷電流で動作させるために巨大な
ヒートシンクや液体冷却は必要ありません。
LTM4620 の側面図および上面写真を図 2 に示
した低い抵抗の銅層を持ち、システム基板に対
する熱抵抗が低く熱伝導率の高い BT 基板で構
動作状態の確認
LTM4620 の素晴らしい性能を見るには、video.
linear-tech.co.jp/126 にアクセスしてください。
ここで見られるビデオでは、実際のラボ・ベンチ
の準備 / 調整と短絡保護の測定、 26A 時および
100A 時の熱的挙動と温度上昇、ヒートシンクの
成されています。内蔵のパワー MOSFET は独
取り付け、起動時、安定状態、およびシャットダ
自のリード・フレーム内に積み重ねられており、
ウン時での高精度電流分担が示されます。
デバイスの上面および底面の両方に対して、低
い接続抵抗および高い熱伝導率が得られるよう
になっています。独自の内部ヒートシンクが、パ
ワー MOSFET スタックとパワー・インダクタの
両方に接する形で取り付けられており、パッケー
ジ上面からの放熱を効率よく行えるようになって
図 3.LTM4620 の熱画像とディレーティング曲線
LOAD CURRENT (A)
います。
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
パッケージ上面全体への強制空気流という単純
な熱管理方式でも、ヒートシンクとモールド封止
の構造によってデバイスを冷却状態で動作させ
ることができます。より堅牢な解決策にするには、
上面の金属部分にヒートシンクを外付けすれば、
さらに優れた熱管理を行うことができます。
12V 入 力 から 1V/26A 出 力 を 得 る 回 路 で の
400LFM
200LFM
0LFM
0
80
20
40
60
100
AMBIENT TEMPERATURE (°C)
LTM4620 の熱画像とディレーティング曲線を
図 3 に示します。ヒートシンクなしで空気流が
120
200LFM のとき、周囲雰囲気からの温度上昇は
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 5
PGOOD1
LTspice IV
TRACK1
circuits.linear-tech.co.jp/586
VIN
CSS1
VIN
VIN
= 100µA
RT
RT
VIN
CIN2
22µF
25V
×2
1µF
GND
TEMP
MTOP1
SW1
CLKOUT
0.33µH
RUN1
MODE_PLLIN
VOUT1
2.2µF
MBOT1
PHASMD
+
GND
VOUT1
1.5V/13A
COUT1
VOUTS1
COMP1
60.4k
VFB1
INTERNAL
COMP
SGND
RFB1
40.2k
POWER
CONTROL
PGOOD2
TRACK2
CSS2
VIN
INTVCC
CIN4
22µF
25V
×2
1µF
4.7µF
GND
EXTVCC
MTOP2
SW2
0.33µH
RUN2
VOUT2
2.2µF
MBOT2
GND
+
VOUT2
1.2V/13A
COUT2
VOUTS2
60.4k
COMP2
fSET
+ –
VFB2
RFB2
60.4k
INTERNAL
COMP
Rf(SET)
121k
SGND
INTERNAL
FILTER
DIFFOUT
DIFFN
図 4.デュアル出力(1.5V/13A および 1.2V/13A)
DIFFP
アプリケーションでの LTM4620 のブロック図
わずか 35 ℃です。ディレーティング曲線は周囲
したりしない限り実現できないことが多いのが
温度 80 ℃まで最大負荷を出力から供給可能で
実情でしょう。
あることを示しており、全面動作時のデバイスの
熱画像が示す 65℃を十分に超えています。
デュアル 13A レギュレータ
デュアル出力設計の LTM4620µModuleレギュ
この結果は、熱特性が改善された高密度パワー・
レータの簡略ブロック図を図 4 に示します。内部
レギュレータ・ソリューションの真価を明らかに
にある 2 つの高性能同期整流式降圧レギュレー
しています。独自のパッケージ設計により、この
タにより、それぞれが 13A の負荷電流能力を持
デバイスは限られたスペースで大電力を発生で
つ 1.2V と 1.5V のレールが生成されます。入力
きるだけでなく、熱の問題に苦しんだりディレー
電圧範囲は 4.5V ∼ 16V です。
ティングを必要とすることなく大電力を発生でき
ます。他のいわゆる高電力密度ソリューションで
は、多くのコストをかけて放熱用の部品を追加
6 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
LTM4620 の出力電圧範囲は 0.6V ∼ 2.5V で
あり、LTM4620A の場合は 0.6V ∼ 5.5V です。
全出力精度は±1.5% で、工場で全数検査済み
の正確な電流分担、高速トランジェント応答、ク
ロック自己生成機能とプログラム可能な位相シ
フト機能を備えたマルチフェーズ並列動作、周
波数同期、および高精度リモート・センス・アン
プが特長です。保護機能には、帰還電圧を参照
する出力過電圧保護、フォールドバック過電流
保護、および内部温度検出ダイオードのモニタ
があります。
設計特集
INTVCC
0.1µF
VCC
D+
470pF
VREF
LTC2997
D–
GND
VPTAT
µC
1.8V
4mV/K
A/D
4.7µF
MODE_PLLIN
VIN
5V TO 16V
INTERMEDIATE BUS
INTVCC PGOOD1
VOUT1
TEMP
COUT1
100µF
6.3V
VOUTS1
SW1
RUN1
RUN2
D1*
5.1V ZENER
EXTVCC
VIN
22µF
25V
×4
10k*
CLKOUT
5k
TRACK
VFB2
LTM4620
+
COUT2
470µF
6.3V
40.2k
COMP1
TRACK2
COMP2
VOUTS2
fSET
VOUT2
COUT1
100µF
6.3V
SW2
PHASMD
PGOOD2
121k
SGND
COUT2
470µF
6.3V
VFB1
TRACK1
0.1µF
+
GND
DIFFP
DIFFN
VOUT
1.5V AT 26A
DIFFOUT
* PULL-UP RESISTOR AND ZENER ARE OPTIONAL
図 5.LTM4620 の 2 つの出力を互いに接続して、1.5V/26A を供給する 2 相、2 並列チャネルの回路を設計できます。内部ダイオードによる温度モニタ機能を LTC2997 を介して実現しています。
放熱設計が容易な 1.5V/26A 出力の電源を
15mm2 に収容
LTM4620 の 2 つの出 力チャネルを並 列にし
てデュアルフェーズ で 動 作 する 1.5V/26A 出
力のソリューションを図 5 に示します。RUN、
図6は VOUT1 と VOUT2 の電流分担のバランスが
良好であることを示したものです。LTM4620 の
内部コントローラは、出力電流を正確に分担す
るためにトリミングされ、テストされています。
TRACK、COMP、VFB、PGOOD および VOUT
の各ピンは、並列動作を実現するために互いに
接続されています。この回路例は、LTM4620
図 6.図 5 に示す 2 相単一出力 26A 設計の効率および電流分担特性
LTCR2997 温度センサも備えています。
デュアルフェーズの場合の 1.5V 出力の効率と、
86%という効率は、このような高密度、高降圧
比のソリューションにとっては非常に良好な値
であり、熱特性の結果は、図 3 に示した 1V ソ
リューション以上です。基板搭載後の熱抵抗 θJA
が低いので、温度上昇は十分に制御されます。
上面および底面を効果的に放熱することにより、
LTM4620 はフルパワーで動作しても温度上昇
が少なくて済みます。
EFFICIENCY (%)
2 つのチャネルの電流分担を図 6 に示します。
90
14
85
12
PER CHANNEL CURRENT (A)
の 内 部 温 度 検 出 ダ イ オ ード を モ ニ タ す る
80
75
70
65
60
VOUT = 1.5V
fSW = 550kHz
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26
OUTPUT CURRENT (A)
10
8
6
4
2
0
IOUT1
IOUT2
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26
TOTAL OUTPUT CURRENT (A)
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 7
LTM4620 µModule レギュレータは、本当の意味での高密度電源
ソリューションです。このデバイスは、高い電力密度を謳う他のソリュー
ションの持ちがちな欠陥である熱の問題を解決しているので、電力密度
の高いレギュレータがひしめき合う分野で、差別化を実現しています。
30
PER µModule CURRENT (A)
25
20
15
10
IOUT(µModule1)
IOUT(µModule2)
IOUT(µModule3)
IOUT(µModule4)
5
0
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
TOTAL OUTPUT CURRENT (A)
図 8.図 7 に示す 4 つの LTM4620 と 100A の設計との
図 7.4 つの µModule レギュレータを 8 相並列設計と組み合わせて 100A をサポート
組み合わせでの電流分担特性
2
まとめ
LTM4620 の電流モード・アーキテクチャによ
真の電力密度:空冷状態、面積 50mm 以内で
り、高い効率と高速トランジェント応答が得られ
100A
4 つの µModule レギュレータを並列に接続して
LTM4620 µModule レギュレータは、本当の
8 相、100A を出力する回路例を図 7 に示します。
バイスは、高い電力密度を謳う他のソリューショ
4 つすべてのレギュレータのバランスの取れた
ンの持ちがちな欠陥である熱の問題を解決して
電流分担特性を図 8 に示します。図 7 に示すよう
いるので、電力密度の高いレギュレータの分野
に、全体で 100A 出力のソリューションが占める
で、差別化を実現しています。優れた放熱性を
基板面積は、約 1.95 平方インチに過ぎません。
持つパッケージに 2 つの高性能レギュレータを
この大電流であっても、4 つすべてのモジュール
LTM4620 のパッケージの低い熱抵抗と、高精
搭載しており、狭いスペースに収まる大電力設
の上面全体にシンプルなヒートシンクを取り付
度の電流分担機能により、100A 以上の出力電
計が可能で、外部からの冷却は最小限で済みま
けて空気流を流すことにより、電力損失を十分
流を得ることが容易に可能です(図 7 参照)。マ
す。組み込みのマルチフェーズ・クロック同期機
に取り除いてディレーティングを不要にすること
ルチフェーズ動作を設定するのに外部クロック
能と工場で検査済みの正確な電流分担により、
ができます。上面からの放熱は、システム基板を
は必要ありません。CLKIN ピンと CLKOUT ピ
出力電流を 25A、50A、および 100A 以上に簡
冷却して他の部品の加熱効果を最小限に抑える
ンにより、並列化された他のチャネルに対してプ
単に拡張できます。LTM4620 の低い熱抵抗に
のに役立ちます。
より、高い周囲温度の中でもフルパワーでの動
ます。これらは、高性能プロセッサ、FPGA、お
よびカスタム ASIC の低電圧コア電源を実現す
る上で最も重要な性能です。もともとの出力電
圧精度が良く、さらにリモート・センス機能を持っ
ているので、負荷側での電圧の安定化が正確に
行えます。
ログラム可能な位相シフトを持つ内部クロック
を生成することができます。LTM4620 は、外部
クロックへの同期と内部クロックの両方をサポー
トしています。
8 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
意味での高密度電源ソリューションです。このデ
作が可能です。n
設計特集
幅広い電力源に対応する、入力電圧範囲が
1.8V∼5.5V の 1A 低ノイズ昇降圧コンバータ
Genesia Bertelle
ユーザは、所有している携帯機器が USB、AC アダプタ、各種の電池(アルカリ、リチウムイオン、LiFePO4)
など、さまざまな電源で動作することを期待しています。モノリシックの同期整流式昇降圧コンバータである
LTC®3536 は、1.8V∼5.5V の入力電圧範囲において降圧と昇圧の両方のモードで効率的に動作することに
より、さまざまな電源に容易に順応します。電源の入力電圧が出力電圧と比べて高い、低い、同じのいずれ
の場合でも、順応するのに複雑な回路構成は必要ありません。
LTC3536 は、降圧モードと昇圧モードとの間
の継ぎ目のない遷移を実現する一方、それに
15
並行して効率を最適化し、すべての動作条件に
5
わたってノイズを最小限に抑える独自のスイッ
進の制御アルゴリズムで使用されるのは 1 個の
インダクタのみなので、これによって電源の設
Mode® 動作と PWM 動作で、専用のピンによっ
COMPETITIVE BUCK-BOOST
fSW = 1.3MHz
てイネーブルすることができます。
–5
NOISE (dBm)
チング・アルゴリズムを採用しています。この先
最小限に抑えることができます。それは Burst
25
Burst Mode 動作は、低電流状態では効率の良
–15
い解決策です。この動作では、負荷をサポートす
–25
るのに必要な最小レベルまでスイッチングの回
–35
数が減少するので、電源のスイッチング損失が
計が大幅に簡素化され、プリント回路基板の総
–45
占有面積が最小限に抑えられます。その結果、
–55
最小になります。時としてノイズの抑制が重要に
–65
なることがあるので、その場合には PWM 動作
LTC3536 はリチウムイオン / ポリマー電池、2∼
3 本のアルカリ /NiMH 電池、リン酸リチウム電
–75
LTC3536
fSW = 1MHz
0
0.2
池などのアプリケーションに容易に適合します。
これらはバッテリ電圧範囲の中央付近の電源電
0.4
0.6 0.8 1 1.2
FREQUENCY (MHz)
1.4
1.6
図 1.LTC3536 と標準的な競合製品のワーストケースでの
圧が必要になることが多いアプリケーションで
スペクトル比較。LTC3536 が示すノイズフロアの方がかなり
す。こうした場合には、 LTC3536 の高い効率と
低いことと、積算低調波ノイズが低いことに注意。
幅広い入力動作範囲により、バッテリの動作時
間と設計の汎用性が大幅に向上します。
波数は、 MODE/SYNC ピンに入力されている
外部クロックに同期させることもできます。同期
3.3V 出力では、リチウムイオン電池の入力電
させる場合、発振器の自走周波数は、外部クロッ
圧 範 囲 全体にわたって 1A までの負荷電流を
クの周波数より低く設定しても高く設定してもか
サポートできます。入力電圧が 1.8V のときは
まいません。
けの抵抗分割器により、1.8V∼5.5V の範囲で
1% 精度の出力電圧を設定できます。
率的ではないものの)、安定した周波数が維持
されてノイズと RF 干渉を簡単に低減できます。
Burst Mode 動 作での出 力 電 流 能 力は PWM
モードの場合より低くなります。したがって、負
荷電流の多いアプリケーションでは、 MODE/
SYNC ピンを外部から駆動して PWM モード動
設計の汎用性
300mA の負荷電流がサポートされます。外付
にすると(軽負荷時の Burst Mode 動作ほど効
作に入ることが必要です。
LTC3536 は、堅牢な VOUT 短絡保護回路を内蔵
しています。VOUT がグランドに短絡すると、イン
ダクタ電流は 1 回のスイッチング・サイクルの間
にきわめて緩やかに減衰します。短絡状態の間、
外付けの抵抗とコンデンサによって帰還ループ
LTC3536 はそのピーク電 流 制 限 値を安 全 な
の補償機能が得られるので、周波数応答を調整
レベルまで減少させ、デバイス自体を強制的に
して、広範囲の外付け部品に適合させることが
PWM モードに移行して、出力短絡状態が解放
LTC3536 のスイッチング周波数は、1 本の外付
できます。この柔軟性により、インダクタの値や
されたときに円滑に回復することを保証します。
け抵抗によって 300kHz∼2MHz の範囲で設定
出力コンデンサのサイズに関係なく、急速な出
できるので、LTC3536 は、特定の各アプリケー
力電圧トランジェント応答が可能です。
ションのスペースおよび効率の要件を満たすよ
うに最適化することができます。デフォルトの周
波数は、 RT ピンを VIN に接続することにより、
1.2MHz に設定されます。このスイッチング周
アプリケーションの要件によっては、次の 2 つ
の動作モードから選択することにより、設計者
が軽負荷時の効率を優先するか、電源ノイズを
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 9
LTC3536 は、降圧モードと昇圧モードとの間の継ぎ目のない遷移を実現する一方、
それに並行して効率を最適化し、すべての動作条件にわたってノイズを最小限に抑える
独自のスイッチング・アルゴリズムを採用しています。この先進の制御アルゴリズムで
使用されるのは 1 個のインダクタのみなので、これによって電源の設計が大幅に簡素化
され、プリント回路基板の総占有面積が最小限に抑えられます。
ノイズ性能
ワーストケースの状態は、出力に 1A 固定負荷を
スーパーキャパシタによるバックアップ電源
多くのアプリケーションは、スイッチング・コン
配置し、コンバータのスペクトルに最も高い高調
LTC3536 は、起動時の突入電流トランジェント
バータから発生するノイズの影響を受けやすく
波成分が観測されるまで入力電圧を緩やかに増
を最小限に抑えるためのソフトスタート回路を
なっています。LTC3536 は低ノイズのスイッチ
加または減少させることによって作り出します。
内蔵しています。起動時に出力電圧が事前充電
ング・アーキテクチャを採用して、不要な低調波
周波数を低減しています。低調波ノイズやジッ
タはフィルタで除去するのが困難で、影響を受
けやすい他の回路に干渉することがあり、VINと
VOUT の値がほぼ等しいときに最も顕著です。こ
の領域で動作する競合他社の昇降圧コンバー
タは、パルス幅および周波数のジッタを発生し
ます。LTC3536 は、リニアテクノロジーの最新
世代の昇降圧 PWM 変調回路を採用していま
すが、この回路によってジッタが飛躍的に小さく
抑えられ、ノイズの影響を受けやすい RF アプリ
ケーションの厳しい要求を満たしています。
LTC3536 は、そのスイッチング周波数である
1MHz で、予想どおり大きさの大きいトーンが
1つありますが、全積算ノイズは競合製品と比
較すると非常に低くなっています。
LTC3536(スイッチング周波数:1MHz)と、
ていない)競合製品の昇降圧コンバータ(スイッ
チング周波数:1.3MHz)のワーストケースでの
このテストは、LTC3536 の絶対的なワースト
MODE ピンが H に接 続されて Burst Mode
までスムーズに安定化され、出力が放電される
ことはありません。
していることを忘れないでください。入力周波数
この機能により、LTC3536 は、図 2 に示すよう
がわずかに高いか低い場合、低調波の大きさは
相当に小さくなります。対照的に、競合他社の昇
降圧コンバータでは、大幅に広い入力周波数範
ています。また、競合品は LTC3536 よりかなり
高いノイズフロア特性も示しており、大きなパル
ス幅ジッタと潜在的なノイズ干渉の問題がある
ことを示唆しています。
にスーパーキャパシタを電源とするバックアップ
電源システムに最適です。このアプリケーション
では、一次電源が故障した場合に必要なバック
アップ・エネルギーを供給するために、直列に
接続された 2 つのスーパーキャパシタが通常動
作時に 5V まで充電されます。一次電源が存在
する限り、LTC3536 は静止電流の非常に少な
い Burst Mode 動作を維持し、バックアップ蓄
積コンデンサからの放電を最小限に抑えます。
4.7µH*
図 2.スーパーキャパシタ・ベースのバックアップ電源
VSUPERCAP
1.8V TO 5.5V
10µF
SW1
VIN
SW2
VOUT
300mA FOR VIN ≥ 1.8V
1A FOR VIN ≥ 3V
VSYS
3.3V
6.49k
LTC3536
MODE/SYNC FB
RT
VC
100k
circuits.linear-tech.co.jp/587
49.9k
DC/DC
22µF
845k
0.1µF
R2
*COILCRAFT XFL4020
VH
VL
330pF
GND
PWM BURST
MAIN POWER
12V
47pF
SHDN
10 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
設定されている動作モードに即座に移行します。
ケースの低調波ピークを作り出すことを目的に
スペクトルを比較した結果を図 1 に示します。
LTspice IV
作はスキップされ、LTC3536 は MODE ピンで
動作が選択されると、出力電圧は目標の電圧値
囲にわたって低調波成分の減少量が少なくなっ
(LTC3536 の低ノイズ・アーキテクチャを備え
されている場合、内部のソフトスタート回路動
182k
10pF
6.04k
866k
UV
OV
LTC2912-2
R1
DIS
GND
20k
20k
VCC
TMR
CRT
設計特集
LTC3536 は、出力電圧より高いまたは低い入力電圧で正確な出力電圧を
維持します。その設定可能なスイッチング周波数と低 RDS(ON) の内蔵パワー・
スイッチを低ノイズ・アーキテクチャと組み合わせることにより、LTC3536
は高性能で小型の高効率ソリューションを実現できます。
LTspice IV
図 3.太陽電池パネル・アプリケーション
circuits.linear-tech.co.jp/588
図 4.図 3 の太陽電池パネル・アプリケーションの効率
100
4.7µH*
98
PHOTOVOLTAIC
CELL
10µF
+
–
221k
60F
60F
221k
OFF ON
SW1
VIN
SW2
VOUT
6.49k
LTC3536
SHDN
MODE/SYNC FB
RT
2.9V
VC
1020k
47pF
49.9k
22µF
LED
220pF
GND
96
EFFICIENCY (%)
1.8V TO 5.5V
158k
10pF
100k
VOUT = 2.9V
94
92
90
88
86
ILED = 200mA
ILED = 150mA
ILED = 105mA
ILED = 70mA
84
2Ω
*COILCRAFT XFL4020
82
80
1.5
2
2.5
3
3.5
VIN (V)
4
4.5
5
るとかなり小さいですが、スーパーキャパシタは
LED 電灯が点灯すると、LTC3536 は SHDN
Burst Mode 動作から PWM モード動作に変更
保守の必要性がきわめて少なく、充電が容易で
ピンによってオンになり、105mA の固定負荷電
するために使用されます。
あり、そのサイクル寿命はバッテリより数桁長い
流を LED に供給します。この電源の高い効率
MODE ピンは、一次電源が遮断されたときに
バックアップ・モードでの LTC3536 は、入力電
ことが分かっています。
圧が 3V より高く負荷が 1A 一定の場合は安定化
この蓄電デバイスは昇降圧 DC/DC コンバータ
した 3.3V を供給できます。さらに、300mA 一
である LTC3536 と組み合わせることができま
定の場合は、 VIN が 1.8V になるまで動作できる
す。LTC3536 は、光電池などの低い入力電圧
と上に、 VOUT を 3.3V に維持します。スーパー
からエネルギーを取り込んで管理する作業を簡
キャパシタの電圧範囲をカバーすることにより、
素化する目的で設計されています。LTC3536
電源の動作時間は最大限まで延長されるので、
は最低 1.8V の入力電圧まで動作し、出力電圧
シャットダウンする前にハウスキーピング・タス
より高いまたは低い広範な入力電圧にわたって
クを実行するかシステムが回復するのに十分な
高い効率を実現します。
時間がシステムに与えられます。
太陽電池式の LEDドライバ
非 常 用 LED 電 灯 向 けで太 陽 電 池に接 続して
使 用される LEDドライバ のアプリケーション
太陽電池によって発電される電力は、照光条件
を図 3 に示します。電 灯 が 消 灯しているとき、
によって大きく変動します。このため、太陽電池
LTC3536 はシャットダウン状態です。静止電流
への照光量が不十分な場合に連続した電力を
が 1µA より少ないので、周辺光がなくなったと
供給するには、スーパーキャパシタなどの再充
きにスーパーキャパシタの放電を最小限に抑え
電可能な蓄電デバイスが必要です。スーパー
ることができます。
を図 4 に示します。これにより、 2 つの直列コン
デンサ(容量:60F)が 1.8V まで緩やかに放電
できることが分かります。LTC3536 は出力電圧
と LED 電流を安定化し、スーパーキャパシタが
5V まで充電されている場合、14 分間の点灯を
保証します。スーパーキャパシタの値を大きくす
るか、適切な充電回路を持ったバッテリを使用
すれば、この時間を長くすることができます。
まとめ
LTC3536 は、出力電圧より高いまたは低い入
力電圧で正確な出力電圧を維持します。その設
定可能なスイッチング周波数と低 RDS(ON) の内蔵
パワー・スイッチを低ノイズ・アーキテクチャと
組み合わせることにより、LTC3536 は高性能で
小型の高効率ソリューションを実現できます。n
キャパシタの電荷蓄積容量はバッテリと比較す
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 11
理想ダイオード付きサージ・ストッパーによる
入力および出力の保護
Zhizhong Hou
自動車や産業用機器のアプリケーションでの電源システムは、短時間の高電圧サージに対処し、負荷におけ
る電圧を維持すると同時に、損傷を受けやすい回路を危険なトランジェントから保護する必要があります。
ある一般的な保護方式では、鉄芯のインダクタと容量値の大きい電解バイパス・コンデンサの直列回路を
過電圧サプレッサ(TVS)とヒューズで補強した回路が必要です。この古くからある手法では、かなり広い基
板占有面積が必要です。また、大型のインダクタやコンデンサは、多くの場合、システム内での高さが最も
高い部品です。たとえこの保護方式であっても、
(自動車環境で考えられるシナリオである)逆入力電位や電
源電圧の低下に対して保護することはできません。これらの事象から出力を保護して出力電圧を維持するた
め、設計者は逆流防止ダイオードを追加しますが、ダイオード内部に生じる新たな電圧降下によって電力損
失が増加します。
LTC4364 は、少ない設置面積で負荷を保護し
て出力を保持するための包括的な制御ソリュー
M1
INPUT
RSENSE
M2
OUTPUT
ションで、場所をとる部品や望ましくない電圧
降下を排除できます。LTC4364 の機能ブロッ
LTC4364
VCC
SOURCE
HGATE
DGATE
SENSE
OUT
ク図を図 1 に示します。このデバイスは、 back
10µA
to back 接続された 2 つの N チャネルパストラ
ンジスタを駆動します。一方は電圧サージから
CHARGE
PUMP
保護して出力に対する安定化電圧を維持しま
12V
12V
20µA
す(図 1 の M1)。もう一方は逆入力保護および
出力保持用の理想ダイオードとして機能します
(図 1 の M2)。
DA
+
また、 LTC4364 は、過負荷および短絡から保
護し、出力電圧の反転に耐え、入力低電圧状態
で MOSFET をオフに保ち、入力過電圧状態で
のターンオンまたは自動再試行を阻止します。
シャットダウン・モードでは、電源電流が 10µA
程度まで減少します。
VA
–
SHDN
UV
1.25V
–
1.25V
–
IA
+
–
+
–
+
+
–
30mV
50mV/
25mV
+
FB
+
TIMER
OV
FLT
TMR
図 1.LTC4364 の簡略ブロック図
12 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
ENOUT
–
GND
設計特集
LTC4364 は、少ない回路面積で負荷を保護して出力を保持するための
完全な制御ソリューションで、場所をとる部品や望ましくない電圧降下を
排除できます。
図2.逆電流制限保護機能を備えたサージ・
ストッパーは、VIN での 200V/–24Vトラン
ジェントに耐えます。
MAX DC:
100V/–24V VIN
MAX 1ms 12V
TRANSIENT:
200V
M1
FDB33N25
D4
SMAJ24A
D3
1.5KE200A
R1
383k
1%
R2
90.9k
1%
R3
10k
1%
高い電圧に耐えて安全な動作を確保する先進の
サージ・ストッパー
LTC4364 の標準的応用例を図 2 に示します。
通常の動作状態では、LTC4364 は入力電源
から負 荷 回 路までの 電 圧 降 下を 最 小 限 に抑
えるように、サージ・ストッパーの N チャネル
MOSFET(M1)を完全に導通させ、理想ダイ
オ ード N チャネ ル MOSFET(M2)の VDS を
30mV に安定化します。VOUT が上昇して、VIN よ
R4
2.2k
0.5W
M2
FDB3682
+
R5
10Ω
R6
100Ω
C1
0.1µF
D5
1N4148W
D1
CMZ5945B
68V
UV = 6V
OV = 60V
RSNS
10mΩ
CHG
0.1µF
VCC HGATE
SHDN
SOURCE DGATE SENSE
UV
OUT
FB
LTC4364
R7
102k
1%
R8
4.99k
1%
ENOUT
OV
GND
FLT
TMR
VOUT
4A
CLAMPED
AT 27V
COUT
22µF
ENABLE
FAULT
CTMR
47nF
ために電流制限検出電圧が 25mV に再設定さ
す。1.35V になると、タイマによって MOSFET
れます(図 4)。
がオフになり、冷却時間が経過するのを待って
タイマ・コンデンサの電圧は、出力制限(図 5 に
から再起動を試行します。
示す過電圧または過電流による制限)が行われ
LTC4364 は MOSFET の両端にかかる電圧を
ると必ず上昇します。TMR ピンの電圧が 1.25V
モニタし、VCC – VOUT の値が増加するのに比例
に達 するの に十 分 な ほどこの 状 態 が 続くと、
してターンオフ・タイマの間隔を短くします。こ
FAULT ピンは L になり、電力損失の危険が
のように、非常にストレスの大きい短絡状態が
迫っているという早期警告をユーザに知らせま
続く時間は、短時間で軽度の過負荷状態よりも
図 3.LTC4364 は出力を 27V で安定化するのに対して、負荷
図 4.電流制限の 2:1 のフォールドバックにより、重度の出力
回路は 92V の入力スパイクを受けても引き続き動作します。
短絡時に MOSFET のストレスを軽減します。
り0.7V 低い電圧になると、ENOUT ピンは H
になり、負荷回路が起動します。
入 力 電 圧 サ ー ジ が 印 加 さ れ て い る 間、
LTC4364 は HGATEピンの電圧を安定化して、
出力電圧を MOSFET M1 と抵抗分割器を介し
てクランプし、FB ピンの電圧が 1.25V に維持さ
れるようにします。図 3 に示すように、電源電圧
引き続き動作します。
VIN
20V/DIV
電流が過負荷になった場合、 LTC4364 は M1
12V
を 流 れる出 力 電 流 を 制 限して、SENSE ピン
27V CLAMP (ADJUSTABLE)
と OUT ピン の 間 の 電 圧 を 50mV に維 持しま
す(OUT ピンの 電 圧 が 2.5V より高 い 場 合 )。
OUT ピンの電圧が 1.5V より低くなる重度の出
力短絡の場合は、MOSFET をさらに保護する
VOUT
20V/DIV
50
ΔVSNS (mV)
が設定値よりやや大きく増加しても負荷回路は
92V INPUT SURGE
60
CTMR = 6.8µF
ILOAD = 0.5A
40
30
20
12V
50ms/DIV
10
0
0.5
1.0
1.5 2.0 2.5
VOUT (V)
3.0
3.5 4.0
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 13
LTC4364 の重要な特長は、抵抗などの電流制限素子を入力電源と VCC ピンの間に配置できることです。
これにより、VCC ピンに生じた電源トランジェントは、コンデンサを使用して除去するか、ツェナー・
ダイオードでクランプすることができます。適切な MOSFET を選択した場合は、この方法により、
100V よりはるかに高い過電圧に耐えることができます。
1.25V
<1.25V
FB
TMR
OV < 1.25V CHECKED
1.35V
1.25V
0.15V
1st
2nd
31st
32nd
FLT
図 5.LTC4364-2 の過電圧フォルト後の自動再試行タイマ・シーケ
ンスにより、非常に長い冷却期間(デューティ・サイクル 0.1%)が
∆VHGATE
実現されます。
COOLDOWN PERIOD
短い時間で済むので、 MOSFET がその安全動
過電圧フォルト後の LTC4364-2 の自動再試行
MOSFET M1 を選択した場合は、この方法に
作領域内で動作することを保証するのに役立ち
タイマ・シーケンスを示しています。
より、 100V よりはるかに高い過電圧に耐えるこ
ます。
LTC4364 の重要な特長は、抵抗(図 2 の R4)
LTC4364 は、過電圧と過電流のいずれの状態
などの電流制限素子を入力電源と VCC ピンの間
の場合でも再起動時のデューティ・サイクルが
に配置できることです。これにより、 VCC ピンに
約 0.1% と非常に低いことを特長としているの
生じた過電圧は、コンデンサ(図 2 の C1)を使
とができます。図 2 の回路では、 200V までの過
電圧に耐えることができます。
で、フォルトに起因するターンオフ後の再起動ま
用して除去するか、ツェナー・ダイオード(図 2
でに、MOSFET を確実に冷却できます。図 5 は、
の D1)でクランプすることができます。適切な
図 6.入力の UV モニタと OV モニタを構成すると、
図 7.LTC4364 の入力保護:
a.入力短絡または入力電圧の低下が発生すると、DGATE ピ
ンは L になり、理想ダイオードの MOSFET をシャットダウン
b.逆入力状態では、DGATE ピンの電圧が SOURCE ピンの
電圧まで低下し、理想ダイオードの MOSFET はオフに維持さ
過電圧状態での起動を阻止できます。
して出力電圧を保持します。
れて逆給電が遮断されます。
VIN
12V
383k
UV = 6V
10nF
UV
100k
LTC4364
0V = 60V
1nF
INPUT SHORTED TO GND
0V
475k
OV
VIN
10V/DIV
DGATE
10V/DIV
τUV = (383k||100k) • 10nF
τOV = (475k||10k) •1nF
DGATE PULLS LOW
0V
INPUT FORCED TO –24V
–24V
DGATE
20V/DIV
0V
DGATE PULLS LOW
–24V
12V
OUTPUT HELD UP
CLOAD = 6300µF
ILOAD = 0.5A
14 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
0V
16.5V
10k
VOUT
10V/DIV
VIN
20V/DIV
1ms/DIV
VOUT
20V/DIV
0V
CLOAD = 6300µF
ILOAD = 0.5A
OUTPUT HELD UP
1ms/DIV
0V
設計特集
また、LTC4364 は、過負荷および短絡から保護し、出力電圧の反転に
耐え、入力低電圧状態で MOSFET をオフに保ち、入力過電圧状態で
のターンオンまたは自動再試行を阻止します。シャットダウン・モード
では、電源電流が 10µA 程度まで減少します。
M1
FDB3632
VIN
12V
UV
6V
OV
60V
図 8.LTC4364 は、過電圧、短絡、または逆電圧に
CIN
10µF
R1
383k
1%
R2
90.9k
1%
R3
10k
1%
CHG
6.8nF
VCC
SHDN
RSNS
0.2Ω
M2
FDMS86101
R7
49.9k
1%
R5
10Ω
HGATE SOURCE DGATE SENSE
UV
OUT
FB
LTC4364
R9
16.9k
1%
10µF
50V
CER
D2
DDZ9702T
15V
10µF
50V
CER
VOUT*
CLAMPED
AT 18V
RESR
100mΩ
R8
4.99k
1%
ENOUT
OV
GND
FLT
TMR
0.1µF
対する出力ポート保護回路を内蔵しています。
*PROTECTED AGAINST BACKFEEDING
OR FORWARD CONDUCTING
FROM –20V TO 50V
不必要なターンオンを防止する入力電圧モニタ
り高くなる前に OV ピンの電圧が 1.25V より高
起動後、通常の状態になった後で入力過電圧状
LTC4364 は、低電圧バッテリなどの入力低電
くなっている場合は、OV ピンの電圧が 1.25V
態になっても MOSFET はオフしませんが、出力
圧状態を UV ピンを使用して検出し、UV ピンの
より低くなるまで MOSFET はオフのままです。
フォルト後の自動再試行は阻止されます。OV ピ
電圧が 1.25V より低い場合は MOSFET をオフ
この機能により、 OV ピンと UV ピンに 2 つの異
ンの電圧が 1.25V より高い場合にフォルト後の
に保ちます。また、LTC4364 は入力過電圧状
なる抵抗分割器および適切なフィルタリング・コ
冷却タイマ・サイクルが終了すると、MOSFET
態もモニタし、出力フォルト状態後の起動または
ンデンサを使用することで、過電圧の電源に基
は入力過電圧状態が解消されるまでオフのまま
板が差し込まれた場合に起動を阻止することが
です。
再起動に備えて MOSFET をオフに保ちます。
電源投入時、100µs のパワーオンリセットディレ
できます(図 6)。
理想ダイオードによるわずかな電圧降下による逆入
力保護および低電圧保護
イが経過する前か、 UV ピンの電圧が 1.25V よ
逆入力から保護するため、電子システムの電力
経路には逆流防止用ショットキ・ダイオードが
組み込まれることがよくあります。このダイオー
図 9.LTC4364 の出力ポート保護:
a.出力電圧が入力電圧より高い状態を強制されると、
DGATE ピンは L になり、逆給電は遮断されます。
b.出力を GND 電位より強制的に低くすると、HGATE ピンの
電圧は SOURCE ピンの電圧まで低下し、順方向の導通が遮
断されて、入力でのバッテリの電力が節減されます。
ドは電力を消費するだけでなく、負荷回路に供
給できる動作電圧も低下させます。特に、自動
車のコールド・クランク状態時など、低入力電圧
VOUT
20V/DIV
24V
12V
VOUT
20V/DIV
12V
OUTPUT FORCED TO –12V
–12V
OUTPUT FORCED TO 24V
MOSFET(図 2 の M2)を駆動することにより、
24V
DGATE
20V/DIV
VIN
20V/DIV
23V
DGATE PULLS LOW
HGATE
20V/DIV
12V
INPUT DISCONNECTED
FROM OUTPUT
1ms/DIV
従来の逆流防止用ショットキ・ダイオードとその
電圧損失および電力損失を回避します。
HGATE PULLS LOW
12V
–12V
VIN
20V/DIV
の場合に顕著です。LTC4364 では、 DGATE
ピンを組み込んで、逆方向に接続された第 2 の
通常の動作状態では、LTC4364 は順方向の電
圧降下(M2 の VDS)をわずか 30mV に安定化し
12V
INPUT DISCONNECTED
FROM OUTPUT
1ms/DIV
ます。負荷電流が十分に大きく、30mV の順方
向電圧降下より大きくなると、M2 は完全な導通
状態に駆動され、その VDS は RDS(ON) • ILOAD に
等しくなります。
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 15
(100V を
LTC4364 は、電圧および電流を制限して安定化し、
超えるものを含む)危険な電源トランジェントから、損傷を受けやすい
負荷回路を保護する小型で包括的なソリューションです。
入力短絡または電源の故障が発生した場合は、
• 出力ポートがグランドに短絡すると、HGATE
まとめ
逆電流が一時的に M2 に流れます。LTC4364
ピンの制御により、まず順方向電流が電流制
LTC4364 は、電圧および電流を制限して安定
は逆電圧降下を検出し、 M2 を直ちにオフにし
限値に安定化され、その後フォルト状態がタ
化し、
(100V を超えるものを含む)危険な過電
て出力平滑コンデンサの放電を最小限に抑え、
イムアウトになると MOSFET M1 がオフにな
圧から、損傷を受けやすい負荷回路を保護する
出力電圧を保持します。12V の入力電源をグラ
ります。
ンドに短絡した場合の結果を図 7a に示します。
LTC4364 は、DGATE ピンを L にして逆電流
の経路を遮断し、出力電圧が保持されるように
• 出 力ポートに逆 電 源 が 印 加された場 合は、
OUTピンの電圧が GND 電位より低くなると、
LTC4364 はパス MOSFET M1 をオフにし
小型で包括的なソリューションです。このデバイ
スは、自動車用システムや産業用システムで使
用される従来からの大掛かりな保護回路に代わ
る、実装が容易で高性能の代替製品です。
することで、この状況に対応します。
て、順方向の導通電流経路を遮断し、入力で
LTC4364 の一体化された理想ダイオード・ドラ
逆 バッテリ接 続 の 場 合、 LTC4364 は 外 付 け
バッテリが消耗しないようにします。
イバは、入力短絡時、電源電圧低下時、または
部 品 不 要 で DGATE ピン を( 入 力 に 追 従 す
る)SOURCE ピンに短 絡し、 M2 をオフ状 態
に維持して、図 7b に示すように負荷回路を入
力から切り離します。VCC、SHDN、UV、OV、
HGATE、SOURCE、DGATE のすべてのピ
ンは、GND 電位より最大で 100V 高い電位と
40V 低い電位に耐えることができます。
内蔵の出力ポート保護回路
図 8 に示すように出力をコネクタに接続している
場合は、過電圧、短絡、または逆電圧が生じる
可能性があります。LTC4364 は、以下に示すよ
うに、いくつかの機能によってこれらの状態から
負荷回路と入力電源を保護します。
• 入力より電圧が高い電源に出力ポートが差し
込まれた場合は、図 9a に示すように理想ダイ
オードである MOSFET M2 がオフになり、逆
給電経路が遮断されます。
16 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
–12V の電源を出力に印加した場合の結果を
図 9b に示します。LTC4364 は、HGATEピンを
(出力に追従する)SOURCE ピンに直ちに短絡
し、MOSFET M1 をオフにして、入力電源が障
害状態の出力から切り離されるようにします。
LTC4364 の OUT ピンと SENSE ピンは、GND
電位より最大で 100V 高い電圧と 20V 低い電圧
に耐えることができます。出力ポートの電位が強
制的にグランドより低くなる可能性があるアプリ
ケーションでは、適正な電圧定格を持つセラミッ
クのバイパス・コンデンサを出力に使用して、電
圧および電流制限ループを安定化し、入力トラ
ンジェントの容量性の貫通を最小限に抑えるよ
うにします(図 8 参照)。漏れ電流の少ないダイ
オード(図 8 の D2)を使用して、 FB ピンを保護
してください。
逆入力印加時に出力電圧を保持すると同時に、
逆流防止用ダイオードに伴う電圧損失を低減し
ます。出力がコネクタ側に接続されている場合
は、内蔵の出力ポート保護が役立ちます。この
機能セットは、入力の UV モニタと OV モニタお
よび低電流シャットダウン・モードによって完了
します。n
設計特集
パワー・システム・マネージメント機能と
アナログ制御ループを組み合わせて±0.5% の
VOUT 精度を実現する DC/DC コントローラ
Hellmuth Witte
LTC3883/-1 は、PolyPhase® に対応する多機能のシングル出力の降圧コントローラで、パワー・システム・
マネージメント機能、高性能アナログ制御ループ、内蔵ドライバ、出力電圧のリモート・センス機能、インダ
クタ温度検出機能を備えています。ソリューション・サイズとコストを最小限に抑えるため、LTC3883/-1 は
リニアテクノロジー特許出願中の自動校正ルーチンを備えており、インダクタ両端での電流をサイクルごと
に測定する場合(損失のない DCR 検出)、インダクタの DC 抵抗を測定して正確な出力電流測定結果を得る
ことができます。LTC3883/-1 は、2012 年 1 月発行の LT Journal に掲載されている、好評のデュアル・チャ
ネル製品 LTC3880/-1 がベースになっています。
パワー・システム・マネージメント
近年のデータ・センタ・システムでは、ポイント
オブロード・レベル、基板レベル、ラック・レベル、
さらには設置レベルなど、システムのすべての
レベルで可能な限り効率化することにより、
「環
境への配慮を深める」
ことが課題です。たとえば、
システム全体の電力消費量は、できるだけサー
バー数が少ない経路でワークフローを送り、そ
の時点で必要のないサーバーをシャットダウン
すれば削減できます。これを実現してシステム性
能の目標(計算速度、データ転送速度など)を
達成するための唯一の方法は、すべてのレベル
でリアルタイムでの電力消費データをモニタす
る包括的なデジタル・パワー・マネージメント・
システムを搭載することです。
以前、設計者は、スーパーバイザ、シーケンサ、
D/A コンバータ、A/D コンバータなどの種々雑
多な IC を使用して、パワー・システム・マネージ
図 1.LTC3883 を使用するデジタル・パワー・システム・マネージメント
メントを何とか構築していました。こうした解決
策には複雑さがつきまとう上に、拡張するのが
容易ではなく、将来のシステム性能向上のため
に大掛かりな先行計画を立てることが必要です。
LTC3883/-1 は、すべてのパワー・システム・マ
ネージメント機能を DC/DC コントローラ内で一
体化することにより、こうした複雑さを取り除き
ます。その結果、使いやすく堅牢で柔軟なポイン
トオブロード(POL)パワー・マネージメント・ソ
リューションが得られます。
LTC3883/-1 は、自律式に動作することも、コマ
することにより、電源の障害を予測し、予防措置
ンド、制御、さらに遠隔測定の報告について、業
や調整を行うことができます。
界標準の I C シリアル・バスを介してシステム・
2
ホスト・プロセッサと通信することもできます。こ
れにより、リアルタイムでの電圧、電流、温度な
どの重要な動作情報を LTC3883/-1 からモニ
タすることが可能となります。また、これらの情
報を使用することにより、システムの性能と信頼
性を動的に最適化できます。このデータを入手
出力電圧、出力電流制限値、マージニング電圧、
過電圧と低電圧の監視限度、起動特性、タイミ
ング応答、フォルト応答などの重要なレギュレー
タ・パラメータも、抵抗、シーケンサ、モニタ IC
などの外付け部品を使用せずに、シリアル・バ
スを介してすべて直接設定できます。
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 17
LTC3883/-1 は、自律式に動作することも、コマンド、制御、さらに
遠隔測定の報告について、業界標準の I2C シリアル・バスを介して
システム・ホスト・プロセッサと通信することもできます。
パワー・システム・マネージメントにより、複雑
なマルチレール・システムを迅速かつ効率的に
5mΩ
VIN
6V TO 24V
10µF
開発することができます。LTpowerPlay™ ソフ
トウェアにより、設計はさらに簡単になります。こ
100Ω
1µF
100Ω
のソフトウェアを使用すると、 PC ベースの基板
モニタおよびパラメータ調整が可能になります。
これにより、設計者は回路基板の再配線や部品
変更を行わずにインサーキット・テスト(ICT)
をデバッグして実行することができます。
機能の概要
10nF
3Ω
VIN
10k
10k
PMBus
INTERFACE
10k
DC/DC コントローラで、パワー FET ゲート・ド
10k
ライバを内蔵し、最大 6 相の PolyPhase に対応
10k
するアナログ電流モード制御ループを備えてい
10k
5k
VDD33
ALERT
RUN
SYNC
VDD25
範囲内の任意の周波数に同期させることができ
VDD33
LTC3883/-1 は、ゲート・ドライバのデッドタイ
ムを最適化して、スイッチング損失とボディ・ダ
1µF
20k
24.9k
10k
20k
12.7k
9.09k
23.2k
17.8k
FREQ_CFG
VOUT_CFG
1.4k
VTRIM_CFG
0.22µF
SHARE_CLK ASEL
GPIO
WP
1.0µF
1.4k
VDD25
SCL
部位相同期ループにより、 LTC3883/-1 を同じ
ます。
M2
PGOOD
SDA
M1
0.56µH
BG
PGND
10µF
0.1µF
22µF
50V
1µF
SW
10nF
10k
可能であり、外部発振器を使用する場合は、内
TG
LTC3883
BOOST
IIN_SNS
VIN_SNS
LTC3883/-1 は、単一出力の同期整流式降圧
ます。周波数は 250kHz∼1MHz の範囲で設定
D1
INTVCC
ISENSE+
ISENSE–
VSENSE+
VSENSE–
+
TSNS
GND
ITH
1.0µF
2200pF
100pF
VOUT
1.8V
20A
COUT
530µF
MMBT3906
4.99k
D1: CENTRAL CMDSH-3TR
M1: INFINEON BSC050N03LSG COUT: 330μH SANYO 4TPF330ML,
2× 100µF AVX 12106D107KAT2A
L: VISHAY IHLP-4040DZ-11 0.56µH M2: INFINEON BSC011N03LSI
イオードの導通時間を最小限に抑えるので、す
べての動作条件で高い効率を維持することがで
図 2.DCR 検出回路付きの高効率 500kHz/1.8V 降圧コンバータ
きます。サポートしている VIN の範囲は 4.5V∼
24V と広く、VOUT の範囲は 0.5V∼5.5V です。
高精度リファレンス、12 ビット D/A コンバータ、
および温度補償されたアナログ電流モード制御
重要な測定結果のピーク値をユーザが読み取る
を高めるために外部の 5V バイアス電圧から電
ループにより、±0.5% の DC 出力電圧精度が
ことができます。重要なコントローラ・パラメー
力を供給しています。どちらのデバイスも熱特
得られ、内蔵のハイサイド入力電流検出アンプ
タは、PMBus を介してプログラムできます。フォ
性が改善された 5mm × 5mm の 32 ピン QFN
により、正確な入力電流検出とインダクタ DCR
ルト・ログ機能には、中断フラグの他に、フォル
パッケージで供給され、動作接合部温度範囲
の自動校正が可能です。
ト発生直前の動作状態を不揮発性メモリに保存
は –40 ℃∼105 ℃(E グレード)または –40 ℃∼
するブラック・ボックス・レコーダがあります。
125℃(I グレード)です。
16 ビットのデータ収集システムにより、入力と出
力の電圧および電流、デューティ・サイクル、お
LTC3883 は、LDO を内蔵して集積度を高め
よび温度のデジタル読み取りを実現できます。
ていることが特長ですが、LTC3883-1 は効率
18 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
設計特集
今日の高度な回路基板に対する厳格なデジタル・パワー・マネージメント要件を満たすために、
LTC3883/-1 や LTC2978 などでは、高性能の PMBus コントローラを使用して
効率的にシームレスに動作します。
• 高速の過電圧および低電圧モニタリング
• ピーク出力電流
• 出力電圧のオン / オフ時間遅延
• ピーク出力電圧
や重要なリアルタイム状態の読み取りが可能で
• 出力電圧の立ち上がり/ 立ち下がり時間
• 内部 / 外部のピーク温度
す。パラメータ設定データは、
リニアテクノロジー
• 入力電圧のオン / オフしきい値
• フォルト・ログの状態
の開発用ソフトウェア LTpowerPlay を使用し
• 出力レールのオン / オフ
PMBus 制御
LTC3883/-1 の PMBus インタフェースでは、重
要な電源パラメータのデジタル・プログラミング
て、内蔵の EEPROM にダウンロードすることが
アナログ制御ループ
• 出力レールのマージン・ハイ / マージン・ロー
LTC3883/-1 は、出力電圧、電流制限設定値、
で接 続されている PC ベースの LTpowerPlay
• 内部 / 外部フォルトに対する応答
シーケンシングなど、多くの機能をデジタル方式
開発用プラットフォームを図 5 に示します。デバ
• フォルトの伝播
できます。I C/SMBus/PMBus アダプタに USB
2
イスを一度目的どおりに設定すると、デバイスは
でプログラム可能です。しかし、制御ループは純
粋にアナログのままであり、リニアなランプ曲線
PMBus を使用して、ユーザは以下の電源状態
の制御を行うことで、最適なループ安定性とトラ
これ以上のファームウェアまたはマイクロコント
をモニタできます。
ンジェント応答を実現します。
ローラは必要ありません。
• 出力電圧 / 入力電圧
図 4 では、アナログ帰還制御ループを持つコント
PMBus は、以下の電源パラメータのプログラミ
• 出力電流 / 入力電流
ローラ IC のランプ曲線とデジタル帰還制御ルー
ングを可能にします。
• 内部のダイ温度
• 出力電圧とマージニング
• 外付けのインダクタ温度
• インダクタ温度に基づく、温度補償された電
• デバイスの状態
ステップで、一部のアプリケーションでは安定性
• フォルト状態
の問題、低速トランジェント応答、必要な出力容
ホストからの制御なしで自律的に動作するので、
流制限しきい値
• スイッチング周波数
プを持つコントローラ IC のランプ曲線を比較し
ています。アナログ・ループのランプ曲線は滑ら
かですが、デジタル・ループの曲線は不連続の
量の増加が発生し、量子化効果が原因で、出力
• システムの状態
リップルと PWM 制御信号のジッタが大きくなる
ことがあります。
図 3.LTpowerPlay ソフトウェアを備えた
電流モード制御ループは、最高のループ安定
包括的な開発プラットフォーム
性、サイクルごとの電流制限、入力トランジェン
トおよび負荷トランジェントに対する高速で正確
な応答をもたらします。この簡素なループ補償
USB
は、動作状態およびコンバータ構成に依存しま
せん。連続モード、不連続モード、および Burst
DC1613A
USB to PMBus
Controller
されています。
DC1890
Socketed
Programming Board
DC1778A
LTC3883
Demo Board
Demonstration
Kit
Mode® のインダクタ電流制御がすべてサポート
or
Socketed
Programming
Customer Board
with
LTC3883/LTC3883-1
or
In-Circuit Serial
Programming
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 19
パワー・システム・マネージメントにより、複雑なマルチレール・システムを迅速かつ
効率的に開発することができます。LTpowerPlay ソフトウェアにより、設計はさらに簡単になります。
このソフトウェアを使用すると、PC ベースの基板モニタおよびパラメータ調整が可能になります。
インダクタ DCR の自動較正
ANALOG CONTROL LOOP
DC/DC コンバータの出力電流を検出するのに
検出抵抗の代わりにインダクタの DC 抵抗を使
用すると、電力損失の減少、回路の複雑さとコ
システム・マネージメント要件を満たすために、
ANALOG
CURRENT
WAVEFORM
ストの低下など、いくつかの利点があります。た
LTC3883/-1 や LTC2978 などでは、高性能の
PMBus コントローラを使用して効率的にシーム
FIXED fSW
だし、規定の公称インダクタ DCRと実際のイン
ニング、監視制御、およびフォルト制御が含ま
力電流、およびピーク電流制限値に誤差が発生
DIGITAL CONTROL LOOP
します。
ニアテクノロジーの特許出願中のアルゴリズム
間ベースのアルゴリズムを使用することにより、
FIXED fSW
補償されます。コンバータが十分に大きい負荷
以上の双方向汎用入出力(GPIO)ピンを使用
図 4.LTC3883 のアナログ制御ループとデジタル制御ループ。
することにより、複数のデバイスにまたがるシー
アナログ・ループのランプ曲線は滑らかですが、デジタル・ルー
ケンシングが可能になります。
に測定できます。
プの曲線は不連続のステップで、一部のアプリケーションでは
動 作 温 度 範 囲 全 体 にわたって正 確 な 電 流 の
加が発生し、量子化効果が原因で、出力リップルと PWM 制御
安定性の問題、低速トランジェント応答、必要な出力容量の増
読 み 取りを維持するため、インダクタの温度
信号のジッタが大きくなることがあります。
に制御してモニタすることが簡単にできます。
LTC3883 は、外付けの温度センサからインダク
タのコアまでの温度上昇を動的にモデル化して、
複数の IC システム
インダクタの自己発熱の影響を考慮します。特
大型のマルチレール電源基板は、通常は絶縁さ
許出願中のアルゴリズムにより、外付けの温度
れた中間バス・コンバータで構成されています。
センサの配置に関する要件が単純になり、イン
このコンバータは、バックプレーンから得られ
ダクタのコアから主要なヒートシンクまでの有意
る –48V を、プリント回路カードの周辺に分散し
の定常状態誤差およびトランジェント温度誤差
ている低い中間バス電圧(IBV:標準 12V)に
が補償されます。
変換します。個々のポイントオブロード(POL)
DC/DC コンバータは、IBV を必要なレール電
圧に降圧します。このレール電圧の範囲は通常
0.5V∼5V で、出力電流の範囲は 0.5A∼120A
です。これらの基板は実装密度が高いので、デ
ジタル・パワー・システム・マネージメント回路
LTpowerPlay ソフトウェアは
www.linear-tech.co.jp/ltpowerplay で
無償で入手できます。
20 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
LTpowerPlay ソフトウェア
LTpowerPlay ソ フトウェア は、PMBus 対 応
の複数のリニアテクノロジー・デバイスを同時
は LTC3883/-1 によって正確に測定されます。
LTpowerPlay
ユーザはレールのオンとオフを任意の順序で、
プログラム可能な単純な遅延を設けて動的に実
行できます。1 線式の SHARE_CLK バスと 1 つ
電流で安定状態になっているときに 180ms の
単純な較正手順を PMBus コマンドを介して実
れます。これらのデバイスを自由に組み合わせ
ることにより、電源の数がいくつであってもシー
ケンシングの設計は簡単な処理になります。時
DIGITAL
RAMP
を使 用して、LTC3883/-1 によって測 定され、
行するだけで、入力電流および出力電流を正確
レスに動作します。この要件には、シーケンシン
グ、電圧精度、過電流と過電圧の制限、マージ
ダクタ DCR の間に差があると、測定された出
インダクタ DCR の公称値からの許容誤差は、リ
今日の高度な回路基板に対する厳格なパワー・
に対してプリント回路基板の実装面積を広く確
保できる余裕はありません。
LTC3883/-1 の内蔵 EEPROM にシステム・パ
ラメータをダウンロードすることにより、DC/DC
コントローラの設定をリアルタイムで変更しま
す。こうすると、部品を交換して基板を手作業で
再配線するという面倒な作業を行わずに、シス
テム構成をソフトウェア内で調整できるようにす
ることで、設計開発の時間が削減されます。出
力電圧、OV/UV の保護制限値、およびオン / オ
フのランプ速度をどのように制御するかを図 5
に示します。波形は出力電圧のソフトスタートと
ソフトストップを表示しています。また、警告と
フォルトの状態も示しています。
設計特集
LTpowerPlay ソフトウェアでは、PMBus 対応の複数のリニアテクノロジー・デバイスを同時に制御して
モニタすることが簡単にできます。LTC3883/-1 の内蔵 EEPROM にシステム・パラメータを
ダウンロードすることにより、DC/DC コントローラの設定をリアルタイムで変更します。
図 5.簡略化された電源システム。LTpowerPlay を使用すると、包括的な電源制御を自由自在に操作できます。
まとめ
リニアテクノロジーのすべての PMBus 製品は、
きます。量産時のマージニングテストは、数種類
LTC3883/-1 は、高性能のアナログ・スイッチン
LTpowerPlay ソフトウェア開発システムによっ
の標準 PMBus コマンドを使用して容易に実行
グ・レギュレーション機能、高精度のデータ変換
てサポートされています。このソフトウェアは基
されます。LTC3883/-1 とリニアテクノロジーの
機能、および柔軟なデジタル・インタフェース機
板設計者がシステムを素早くデバッグするのに
他の PMBus 製品を組み合わせるのが、デジタ
能を兼ね備えています。複数の LTC3883 を他
役立ちます。LTpowerPlay を使用することによ
ル式に制御された電源を迅速に市場へ投入する
のデバイスと並列に使用すると、最適化された
り、電源電圧、電源の制限値、および電源シー
最高の方法です。n
マルチレールのデジタル電源システムを簡単に
ケンシングのモニタ、制御、調整を行うことがで
作成できます。
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 21
広い入力電圧範囲から電圧を安定化し、
98.5% の効率で 100W 以上のバッテリを充電する
60V、4 スイッチ同期整流式昇降圧コントローラ
Keith Szolusha
LT®3791-1 は、1 つのインダクタを使用して最大 98.5% の効率で定電圧および定電流の両方を安定化する
4 スイッチの同期整流式昇降圧 DC/DC コンバータです。このデバイスは 100W を十分に超える電力を供給
可能で、60V の入力電圧定格および出力電圧定格を備えているので、昇圧と降圧の両方の変換が必要なと
きに最適な DC/DC 電圧レギュレータおよびバッテリ・チャージャです。このデバイスは、電圧、電力、およ
び効率が高い以外に、短絡保護、外部クロックに同期するための SYNC ピン、外部の SYNC ピンを駆動す
るか、並列動作を行うための CLKOUT ピン、OVLO(過電圧ロックアウト)、SHORT 出力フラグ、バッテリ・
チャージャ用の C/10 検出と出力フラグ、不連続導通モードと連続導通モードを切り替えるための CCM ピン
を備えています。DCM(不連続導通モード)を内蔵しているので、軽負荷での効率が向上し、逆電流が好ま
しくない場合は防止できます。
120W、24V/5A 出力の昇降圧電圧レギュレータ
図 1 に示す昇降圧コンバータは、負荷の範囲が
り、回路を保護します。このデバイスは、短絡保
荷のいずれの状況でも出力電流を制限し、この
護回路と、出力に短絡が生じていることを示す
アプリケーションを堅牢なものにします。
0A∼5A で は 最 大 98.5% の 効 率 で 24V を 安
SHORT 出力フラグを備えています。軽負荷時
定化します(図 2)。このデバイスは 12V∼58V
に消費電力が最小となる DCM 動作と、逆電流
の入力電圧範囲で動作します。調整可能な低
保護機能も備えています。ROUT は、短絡と過負
電圧ロックアウトおよび過電圧ロックアウトによ
VIN
12V TO
58V
干異なる手法を採用しています。このレギュレー
タは軽負荷時の EMI を最小にするため、0A∼
0.003Ω
VIN
1µF
51Ω
499k
INTVCC
0.1µF
IVINP
BST1
499k
TG1
EN/UVLO
27.4k
100k
LT3791-1
0.1µF
SS SYNC
33nF
L1
10µH
M4
COUT
220µF
35V ROUT
×2 7.5mΩ
4.7µF
50V
×2
図 1.120W、24V/5A 出力の昇降圧電圧
C1
47µF
80V
レギュレータは、12V∼58V の入力電圧で
動作します。
VOUT
24V
5A
715k
M3
13.7k
0.004Ω
BG2
VC
1000pF
RT
15k
10nF
22 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
SW2
TG2
ISP
ISN
FB
SGND
147k
200kHz
LTspice IV
38.3k
SNSN
PGND
PWM
100k
M2
0.1µF
+
SNSP
SHORT
C/10
CCM
IVINMON
ISMON
CLKOUT
CTRL
VREF
33nF
18.7k
BG1
INTVCC
200k
M1
SWI
OVLO
56.2k
+
BST2
IVINN
4.7µF
100V
4.7µF
D1 D2
470nF
10k
図 3 に示す 14V/10A の電圧レギュレータは、若
D1, D2: NXP BAT46WJ
L1: COILCRAFT SER2915L-103KL 10µH
M1, M2: RENESAS RJK0651DPB 60Vds
M3, M4: RENESAS RJK0451DPB 40Vds
C1: NIPPON CHEMICON EMZA800ADA470MJAOG
COUT: SUNCON 35HVT220M 35V 220µF ×2
circuits.linear-tech.co.jp/589
設計特集
LT3791-1 は、定電圧と定電流の両方を制御できます。スーパーキャパシタやバッテリなど、
大型の容量性負荷は、その終端電圧(一定の電圧レギュレーションが必要になる電圧点)に達するまで、
定電流での充電が必要です。LT3791-1 はこの要件を容易に満たします。
100
VIN = 14V
IIN = 8.87A
VOUT = 24V
IOUT = 5A
95
EFFICIENCY (%)
90
85
80
75
70
VIN = 12V
VIN = 24V
VIN = 54V
65
図 2.図 1 の 24V コンバータの効率
60
およびワーストケースの熱特性結果
0
1
2
3
LOAD CURRENT (A)
4
5
10A の負荷電流範囲全体を通じて CCM で動作
します。それでもなお非常に効率的です。ROUT
を短絡に置き換えた場合でも、この回路は短絡
保護機能を維持します。メイン・スイッチの検出
VIN
9V TO
36V
抵抗 RSW は、ROUT よりも高い電流レベルで短
絡電流を制限しますが、短絡時は一時中断モー
0.002Ω
470nF
499k
51Ω
CIN1
4.7µF
50V
1µF
+
CIN2
100µF
63V
×2
ドによってデバイスの消費電力が制限されるの
IVINP
EN/UVLO
で、短絡時の部品の温度上昇が低く維持されま
す。DCM が必要ない場合は ROUT が不要にな
IVINN VIN INTVCC
CCM
76.8k
4.7µF
10V
D1 D2
BST2
ることがあり、 ROUT を除去すると回路の効率は
0.1µF
わずかに増加します。10A から 0A への遷移時
BST1
C/10
IVINMON
CLKOUT
ISMON
に発生する出力電圧トランジェントを制限する
ため、 OVLO ピンは出力に接続します。これに
TG1
BG1
INTVCC
より、 2 つの出力コンデンサとスイッチ M3 およ
び M4 は過電圧から保護されます。
LT3791-1
200k
SHORT
100k
22nF
SNSN
PGND
VC
5.1k
10nF
図 3.入力電圧が 9V∼36V の 140W(14V/10A)の CCM 昇降圧
電圧レギュレータは、トランジェント保護のため出力 OVLO を備えています。
M3
COUT1
4.7µF
50V
×2 +
COUT2
270µF
35V
×2
VOUT
14V
10A
100k
9.31k
BG2
CTRL
SS
SYNC
100pF
L1
3.3µH
0.0025Ω
PWM
M5
M2
M4
SNSP
SHORT
VREF
0.1µF
M1
SWI
0.1µF
RT
SGND
147k
200kHz
SW2
TG2
FB
ISP
ISN
OVLO
499k
D1, D2: NXP BAT46WJ
L1: COILCRAFT SER2915H-332L 3.3µH 48A
M1: RENESAS RJK0652DPB 60Vds
M2: RENESAS RJK0651DPB 60Vds
M3, M4: INFINEON BSC0904NSI 30Vds
M5: NXP NX7002AK
COUT2: SUNCON 35HVT270M
CIN2: NIPPON CHEMICON EMZA630ADA101MJAOG
88.7k
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 23
0.003Ω
VIN
12V TO
58V
499k
51Ω
470nF
499k
IVINP
EN/UVLO
1µF
27.4k
CCM
C/10
BST1
M1
TG1
SWI
SHORT
VREF
M2
BG1
LT3791-1
PWM
0.1µF
L1
10µH
図 4.240W アプリケーションでの並列接続の LT3791-1
4.7µF
50V
×2
0.015Ω
VOUT
24V
10A
M4
51Ω
M3
+
COUT1
220µF
35V
×2
0.47µF
SNSP
CTRL
方のコンバータの SYNC 入力ピンに接続するこ
SW2
VC
SGND
RT
とにより、最大出力電力は 2 倍になる上に出力
715k
TG2
ISP
ISN
FB
リップルは減少します。
13.7k
2 つの LT3791-1 を並列に動作させることによっ
38.3k
て形成される 24V/10A のレギュレータを図 4
147k
200kHz
3.3k
33nF
に示します。2 つの並列回路を使用することによ
り、VIN が最も低いときの MOSFET M3 および
INTVCC1
+
LTC6240
M7 の場合、いずれか一方のディスクリート部品
で観測される最大温度上昇はわずか 28℃です。
–
45k
10k
LT3791-1 には CLKOUT 出力があり、これを
ます。一方のコンバータの CLKOUT ピンを他
BG2
IVINMON
CLKOUT
ISMON
SYNC
並列コンバータ
バータを自身のクロックに同期させることができ
SNSN
PGND
SS
CLKOUT と SYNC を使用して大電力を得る
使用すると、位相が 180°
ずれた状態で他のコン
0.004Ω
100k
33nF
4.7µF
10V
D1 D2
0.1µF
200k
0.1µF
C1
47µF
80V
BST2
INTVCC1
SHORT
+
INTVCC1
IVINN VIN INTVCC
OVLO
56.2k
4.7µF
100V
図 4 の上側のコンバータ(マスタ)は、下側のコ
10k
ンバータ(スレーブ)によって供給される電流レ
499k
470nF
499k
10k
IVINP
EN/UVLO
51Ω
56.2k
27.4k
4.7µF
100V
1µF
IVINN VIN INTVCC
200k
0.1µF
M5
SWI
SHORT
VREF
PWM
BG1
LT3791-1
M6
0.1µF
L2
10µH
制されます。CTRL の入力レベルを ISMON の
出力レベルに整合させるために必要な単純な
4.7µF
50V
×2
0.015Ω
200mV のレベル・シフトを得るため、オペアン
プが 1 つ必要です。マスタ・コンバータは定電圧
M8
M7
51Ω
+
0.22µF
SNSP
10k
1000pF
2.2k
RT
22nF
24 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
態で動作しています。スレーブの出力電圧はわ
ません。
SW2
TG2
ISP
ISN
FB
SGND
147k
200kHz
レーブ・コンバータは定電流レギュレーション状
帰還ループはレギュレーション状態になってい
BG2
CTRL
IVINMON
ISMON
CLKOUT
SYNC
VC
レギュレーション状態で動作するのに対して、ス
ブがマスタに追従できるように、スレーブの電圧
SNSN
PGND
SS
COUT2
220µF
35V
×2
ずかに高く(28V)設定されているので、スレー
0.004Ω
100k
33nF
D3 D4
BST1
TG1
ピンをスレーブの CTRL 入力ピンに接続する
ことにより、スレーブはマスタに追従するよう強
0.1µF
C/10
マスタが供給している電流量を示し、ISMON
C2
47µF
80V
4.7µF
10V
BST2
INTVCC2
SHORT
+
INTVCC2
CCM
OVLO
45k
ベルを要求します。マスタの ISMON 出力は、
0.003Ω
VIN
715k
13.7k
38.3k
D1–D4: NXP BAT46WJ
L1, L2: COILCRAFT SER2915L-103KL 10µH
M1, M2, M5, M6: RENESAS RJK0651DPB 60Vds
M3, M4, M7, M8: RENESAS RJK0451DPB 40Vds
COUT1, COUT2: SUNCON 35HVT220M ×2
C1, C2: NIPPON CHEMICON EMZA800ADA470MJAOG
設計特集
LT3791-1 は、連続導通モード(CCM)と不連続導通モード(DCM)の両方を備えています。
CCM では、軽負荷時にスイッチングが連続し、インダクタ電流は正負いずれの方向にも流れます。
LT3791-1 が軽負荷で DCM 動作に入ると、逆方向の動作電流(負のインダクタ電流)が防止され、
軽負荷時の電力損失が最小限に抑えられます。
100W 超 /2.5A 昇降圧型の
36V SLA バッテリ・チャージャ
LT3791-1 は、定電圧と定電流の両方を制御で
すると、充電電圧とは異なるスタンバイ電圧また
よび電流制御ピンである CTRL ピンにより、大
はフロート電圧レギュレーション・レベルが必要
電力太陽電池パネル・バッテリ・チャージャを簡
きます。スーパーキャパシタやバッテリなど、大
になります。LT3791-1 の C/10 検出レベルがこ
単に作成できます。
の機能を提供します。図 3 の回路では、バッテリ
型の容量性負荷は、その終端電圧(一定の電圧
が満充電に近づくと、C/10 機能により、バッテ
レギュレーションが必要になる電圧点)に達する
リ電圧は充電中(44V)からフロート(41V)に
まで、定電流での充電が必要です。LT3791-1
低下します。その後、負荷の増加によってバッテ
はこの要件を容易に満たします。一例として、
リ電圧が低下すると、チャージャは電圧帰還ルー
図 5 に示す昇降圧コンバータは、9V∼58V の
プによって充電状態である 44V に戻ります。
入 力 電 圧 から生 成した 44V/2.5A DC の出 力
DCM による効率の向上と逆電流の防止
LT3791-1 は、連続導通モード(CCM)と不連
続導通モード(DCM)の両方を備えています。
CCM と DCM の違いを図 6 に示します。モード
を選択するには、CCM ピンを INTVCC ピンまた
は C/10ピンに接続すれば済みます。CCM では、
で 36V/12Ah の SLA バッテリを 充 電します。
LT3791-1 は、 広範な組成と容量を持つバッ
軽負荷時にスイッチングが連続し、インダクタ電
DCM 動作は、出力負荷が過充電された場合に
テリを、さまざまな入力電源から、それらの電
流は正負いずれの方向にも流れます。CCM で
バッテリ電流が逆方向に流れないようにして、大
圧関係に関 係なく充 電するように調 整できま
負荷がない場合のインダクタ電流は正負両方向
量の負方向電流から回路を保護します。
す。さらに、マイクロコントローラを使用して、太
となるので、 DCM の場合より消費電力は大きく
陽電池パネルから充電する最大出力追従制御
一部のバッテリ・チャージャ・アプリケーション
(MPPT)チャージャを作成できます。出力診断
では、終端電圧に達して充電電流が次第に減少
図 5.SLA バッテリ・チャージャ
なりますが、DCM に伴うスイッチ・ノードのリン
ギングは取り除かれます。
ピンである ISMON ピンと IVINMON ピン、お
PVIN
9V TO 57V
RIN
0.003Ω
1µF
50Ω
VIN
INTVCC
D1
IVINN
TG1
BG1
OVLO
LT3791-1
19.6k
M1
0.1µF
M4
M2
L1
10µH
M3
SWI
EN/UVLO
RBAT
0.04Ω
SNSN
SHORT
+
PGND
IVINMON
ISMON
CTRL
BG2
SW2
TG2
ISP
CLKOUT
SGND
100k
VREF
PWM
ISN
FB
CCM
SS
C/10
RT
SYNC VC
D1, D2: BAT46WJ
33nF
L1: COILCRAFT SER2915L-103K
M1-M4: RENESAS RJK0651DPB
M5: NXP NX7002AK
CIN2: ×2 NIPPON CHEMI-CON EMZA630ADA101MJA0G
COUT2: ×3 NIPPON CHEMI-CON EMZA630ADA101MJA0G
CIN2
100µF
63V
×2
COUT1
4.7µF
50V
×2
RSENSE
0.004Ω
200k
0.1µF
+
+
COUT2
100µF
63V
×3
SNSP
INTVCC
CHARGE CURRENT CONTROL
CIN1
4.7µF
100V
×2
0.1µF
BST1
IVINP
24.3k
D2
BST2
470nF
332k
4.7µF
3k
84.5k
300kHz
0.1µF
36V
SLA BATTERY
AGM TYPE
41V FLOAT
44V CHARGE
AT 25°C
50Ω
1.00M
INTVCC
10k
0.47µF
2.5A
CHARGE
10k
402k
30.1k
M5
22nF
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 25
(DCM)の概要
100
CCM
軽負荷時の効率を向上するための不連続導通モード
90
1000
CCM RISING THRESHOLD
600
EFFICIENCY (%)
ILOAD (mA)
FOR CCM OPERATION
OVER ALL IOUT
DCM FALLING THRESHOLD
400
INTVCC
LT3791-1
LT3791-1
100k
CCM
CCM
CCCM
OPTIONAL
0
70
1.2
1
40
0.8
30
18
12
24
30
36
VIN (V)
42
48
0
0.001
54
0.6
DCM
DCM
CCM
CCM
10
DCM (TG2 FOR M4 STAYS LOW)
1.4
50
b.DCM/CCM の遷移しきい値は、LT3791-1 が昇圧、昇降圧、
a.DCM と CCM の設定
EFFICIENCY
60
1.6
POWER
LOSS
20
200
INTVCC
C/10
1.8
80
800
FOR DCM OPERATION
AT IOUT < 10mV/ROUT
2
VIN = 24V
VOUT = 24V
0.01
0.1
IOUT (A)
1
POWER LOSS (W)
5000
図 6.低ノイズ化するための連続導通モード(CCM)と
0.4
0.2
10
0
c.DCM では軽負荷での効率が改善されます。
降圧の各動作モードに移動するとき安定に推移します。
DCM を選択した場合、設定された最大出力電
まとめ
する場合や軽負荷時にノイズが最も少ない動作
流の約 10% より負荷が減少するまでコンバー
LT3791-1 同期整流式昇降圧コントローラは、
にする場合に役立ちます。制御ループが複数あ
タは CCM のままです。LT3791-1 が軽負荷で
さまざまな負荷に対して、最大 98.5% の効率
るので、定電圧、定電流、またはその両方を制
DCM 動作に入ると、M4 の TG2ドライバは L
で 100W を超える電力を供給します。このデバ
御するのに最適です。この機能豊富なデバイス
のまま推移するので、 M4 はスイッチとしてでは
イスは入力電圧範囲が 4.7V∼60V、出力電圧
は、他の回路構成ではうまくいかない昇降圧要
なくキャッチ・ダイオードとして動作するようにな
範囲が 0V∼60V と広いので、強力で多用途で
件を容易に満たします。n
ります。これにより、逆方向の動作電流(負のイ
あり、短絡保護機能を内蔵しているので、潜在
ンダクタ電流)が防止され、軽負荷時の電力損
的に危険な環境での堅牢な解決策となります。
失が最小限に抑えられます。
CCM 動作および DCM 動作は、効率を最高に
VIN
18V TO 55V
0.004Ω
VIN
1µF
51Ω
BST2
IVINN
TG1
OVLO
0.1µF
18.7k
100k
BG1
LT3791-1
200k
M2
0.1µF
0.0125Ω
L1
22µH
M4
M3
COUT1
4.7µF
100V
×2 +
COUT2
330µF
63V
×3
図 7.48V アプリケーション
VOUT
48V
3A
0.005Ω
SNSN
PGND
BG2
SW2
TG2
ISP
ISN
FB
SGND
PWM
10k
CIN2
100µF
80V
×2
SNSP
SHORT
C/10
CCM
IVINMON
ISMON
CLKOUT
VREF
0.1µF
M1
SWI
INTVCC
100k
+
BST1
499k
28.7k
CIN1
4.7µF
100V
0.1µF
IVINP
EN/UVLO
34.8k
4.7µF
10V
D1 D2
470nF
499k
INTVCC
CTRL SS SYNC V
C
RT
40k
1µF
22nF
26 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
105k
250kHz
1000pF
95.3k
2.15k
D1, D2: NXP BAT46WJ
L1: WÜRTH ELECTRONICS 74435572200 22µH 11A
M1, M2, M4: RENESAS RJK0651DPB 60Vds
M3: RENESAS RJK0652DPB 60Vds
COUT2: YAGEO ST 330µF 63V ×3
CIN2: NIPPON CHEMICON EMZA630ADA101MJAOG 100µF 63V ×2
2.49k
設計特集
光アイソレータ不要の 100V マイクロパワー絶縁型
フライバック・コンバータ(5 ピン TSOT-23)
Min Chen
非同期のフライバック方式は、絶縁型電源では 1W 未満から数十 W ま
での電力レベルにわたって広く使用されています。リニアテクノロジー
の光アイソレータ不要の絶縁型フライバック・ファミリは、出力のレギュ
レーションのためにオプトカプラーおよびトランスの 3 次巻線を必要
としない独自の 1 次側検出により、絶縁型電源の設計を大幅に簡素化
します。このファミリの最初のマイクロパワー・デバイスである新しい
LT8300 は、軽負荷での効率が大幅に向上し、無負荷時の入力スタン
バイ電流が約 200µA まで減少しています。
LT8300 は 6V∼100V の入力電圧範囲で動作
内部のループ補償回路とソフトスタート回路に
し、最大 2W の絶縁された出力電力を供給しま
より、外付けの部品点数がさらに削減されます。
す。150Vの内蔵DMOSパワー・スイッチにより、
重負荷でのバウンダリーモード動作により、小
ほとんどのアプリケーションではスナバ回路が必
型の磁気部品を使用できるので、優れた負荷レ
要ありません。絶縁された出力電圧を 1 次側フ
ギュレーション特性を実現できます。リップルの
ライバック波形から直接サンプリングすることに
小さい Burst Mode 動作により、軽負荷時に高
より、LT8300 では、レギュレーションのために
い効率を維持できると同時に、出力電圧リップ
オプトカプラーとトランスの 3 次巻線を必要とし
ルを最小限に抑えることができます。これらすべ
ません。出力電圧は 1 本の外付け抵抗で設定し
ての機能は、 IPC-2221 の要件に適合する高電
ます。
圧対応のピン間隔を備えた 5ピン TSOT-23 パッ
ケージ(図 1)に収められます。
図 1.LT8300 は、4 ピンと 5 ピンの間が高電圧対応のピン間隔
になっている 5 ピン TSOT-23 パッケージで供給されます。
性能と簡素性
図 2 に示すように、完全な絶縁型フライバック・
ソリューションが 1 × ½ インチより小さい領域に
収まっています。36V∼72V の入力から絶縁さ
れた 5V の出力を発生する LT8300 の標準的な
アプリケーションを図 3 に示します。このソリュー
ションが必要とするのは、 5 つの外付け部品(入
力コンデンサ、出力コンデンサ、トランス、帰還
抵抗、出力ダイオード)と 2 つの低電圧ロックア
ウト用抵抗(オプション)だけです。
図 2.LT8300 絶縁型フライバック・
コンバータのソリューション・サイズは、
LT8300 を使用すると、絶縁型のフライバック・
標準のデモ基板 DC1825A 内で 1 インチ
コンバータの設計が簡単になりますが、 同時
× ½ インチを下回ります。
に優れた性能を発揮する回路を実現できます。
図 3 の 5V アプリケーションでの電力効率(ピー
ク値:85%)を図 4 に示します。図 3 の 5V アプ
リケーションでの負荷レギュレーションおよび入
力レギュレーション(±0.5%)
を図 5 に示します。
50mA から 250mA までの負荷ステップが生じ
た場合のトランジェント波形と、 1mA の抵抗性
負荷がある場合の起動波形をそれぞれ図 6 およ
び図 7 に示します。
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 27
絶縁された出力電圧を 1 次側フライバック波形から直接サンプリング
することにより、LT8300 では、
レギュレーションのためにオプトカプラー
とトランスの 3 次巻線を必要としません。出力電圧は 1 本の外付け抵抗
で設定します。
VIN
36V TO 72V
VOUT+
5V
1mA TO 300mA
4:1
2.2µF
1M
•
300µH
VIN
LT8300
EN/UVLO
19µH
•
47µF
40.2k
R 
VOUT = 100µA •  FB  − VF
 NPS 
210k
図 3.入力が 36V∼72V で出力が
RFB
5V/300mA のマイクロパワー絶縁型
LT8300 の標準的なアプリケーションでの出力
電圧は、次式で表すことができます。
VOUT–
SW
ポスト・レギュレータによる出力電圧の温度による
ばらつきの解消
VOUT の式の最初の項には温度依存性はありま
GND
フライバック・コンバータ
せんが、出力ダイオードの順方向電圧 VF には
大きな負の温度係数(–1mV/℃∼–2mV/℃)が
あります。こうした負の温度係数により、温度範
囲全体では出力電圧のばらつきが約 200mV∼
100
5.20
90
VIN = 36V
5.15
VIN = 72V
60
OUTPUT VOLTAGE (V)
EFFICIENCY (%)
80
70
VIN = 48V
50
40
30
20
比較的高い出力電圧(たとえば 12V や 24V)の
5.10
場合は、出力電圧レギュレーションに対する出
5.05
力ダイオードの温度係数の影響を無視できます。
5.00
しかし、 3.3V や 5V など低めの電圧出力では、
出力ダイオードの温度係数により、出力電圧レ
4.95
ギュレーションに対して 2%∼5% の変動が加わ
4.90
VIN = 36V
VIN = 48V
VIN = 72V
4.85
10
0
300mV 発生します。
0
50
100
150
200
LOAD CURRENT (mA)
250
300
図 4.図 3 の 5V アプリケーションの電力効率
4.80
0
50
100
150
200
LOAD CURRENT (mA)
250
300
図 5.図 3 の 5V アプリケーションでの出力負荷レギュレーション
および入力レギュレーション
ります。
温度範囲全体にわたって厳しい出力電圧レギュ
レーションが要求される設計では、マイクロパ
ワーの低ドロップアウト・リニア・レギュレータを
追加して LT8300 出力の後段を安定化すること
ができます。LT8300 は、レギュレーション電圧
と LDO のドロップアウト電圧の合計よりもわず
かに高い値に設定する必要があります。
IOUT
100mA/DIV
ILPRI
100mA/DIV
VSW
50V/DIV
VSW
50V/DIV
LT3009-3.3 ポスト・レギュレータと組み合わ
せ て、 18V∼32V の 入 力 から 3.3V/20mA の
絶縁型出力を発生する LT8300 を図 8 に示し
ます。無負荷時の入力スタンバイ電流は、図 9
に示すように 250µA 未満ですが、これは DEF-
STAN61-5 に準拠しています。
VOUT
500mV/DIV
VOUT
5V/DIV
500µs/DIV
500µs/DIV
図 6.図 3 の 5V アプリケーションで 50mA から 250mA までの
図 7.図 3 の 5V アプリケーションで 1mA の抵抗性負荷がある
負荷ステップが生じた場合のトランジェント波形
場合の起動波形
28 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
設計特集
LT8300 では、従来の方式と比較した場合、絶縁型フライバック・
コンバータの設計が大幅に簡素化され、軽負荷時の効率が向上し、
無負荷時の入力スタンバイ電流が減少しています。
400
VIN
18V TO 32V
1µF
VOUT+
3.3V
0mA TO 20mA
OUT
LT3009-3.3
150µH
•
LT8300
EN/UVLO
IN
•
150µH
VIN
1M
D1
Z1
1µF
SHDN
300
1µF
GND
IVIN (µA)
L1
1:1
VOUT–
SW
42.2k D1: DIODES INC. SBR0560S1-7
L1: DRQ73-151-R
Z1: CENTRAL CMDZ4L7
93.1k
RFB
GND
200
100
0
図 8.入力が 18V∼32V で出力が 3.3V/20mA の DEF-STAN61-5 に準拠したマイクロパワー絶縁型コンバータ
18
20
22
24
26
VIN (V)
28
30
32
図 9.図 8 の 3.3V アプリケーションの無負荷時入力スタンバイ
電流
さまざまな入力参照電源
ンバータでは、両方とも LT8300 固有の帰還検
水準の集積化と、バウンダリーモードおよび低
絶縁型電源の他に、 LT8300 はさまざまな非絶
出方式を使用して、 VIN に追従する出力電圧を
リップルのバースト・モードの使用により、絶縁
縁型アプリケーションで使用できます。興味深い
簡単に発生させています。
型電源ならびに各種の特殊な非絶縁型電源向
2 つのアプリケーションは、特殊なゲート・ドライ
けに、使い方が簡単で部品点数が少なく、高効
まとめ
バによく使用される入力参照型の正電源および
率のソリューションが得られます。n
LT8300 では、従来の方式と比較した場合、絶
負電源です。入力が VIN で出力が(VIN +10V)
縁型フライバック・コンバータの設計が大幅に
の簡単なマイクロパワー・コンバータを図 10 に、
簡素化され、軽負荷時の効率が向上し、無負荷
入力が VIN で出力が(VIN – 10V)のマイクロパ
時の入力スタンバイ電流が減少しています。高
ワー・コンバータを図 11 に示します。これらのコ
図 10.入力が VIN で出力が(VIN + 10V)のマイクロパワー・
図 11.入力が VIN で出力が(VIN – 10V)のマイクロパワー・
コンバータ
コンバータ
VOUT+
10V
50mA
VIN
15V TO 80V
4.7µF
VOUT–
VIN
15V TO 80V
Z1
4.7µF
L1
330µH
VIN
LT8300
EN/UVLO
D1
1M
SW
L1
330µH
VIN
LT8300
EN/UVLO
102k
118k
D1
SW
102k
118k
RFB
RFB
GND
L1: COILTRONICS DR73-331-R
D1: DIODES INC. SBR1U150SA
Z1: CENTRAL CMDZ12L
Z1
VOUT–
1µF
1M
VOUT+
10V
100mA
1µF
GND
L1: COILTRONICS DR73-331-R
D1: DIODES INC. SBR1U150SA
Z1: CENTRAL CMDZ12L
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 29
LTspice IV の最新情報
Gabino Alonso
モデル、デモ回路、イベント、およびユーザのヒントに
関する最新情報については、以下の Twitter サイトで @LTspice を
フォローしてください。www.twitter.com/LTspice
新しいデモ回路
新しいモデル
過電圧保護およびプッシュボタン・コントローラ
バッテリ・チャージャ、両極性電源、
高速アンプおよび抵抗ネットワーク
• LT4363-2:250V サージ保護機能を備えた
過電圧レギュレータ(入力:5.5V∼250V、
クランプ出力:16V)
www.linear-tech.co.jp/LT4363
および LEDドライバ
• LT5400:整合したクワッド抵抗ネットワーク
www.linear-tech.co.jp/LT5400
• LTC2955:12V での自動電源投入機能を
備えたプッシュボタン・オン / オフ制御
(入力:12V またはバッテリ・バックアップ、
出力:3.3V/20mA)
www.linear-tech.co.jp/LTC2955
降圧レギュレータ
(入力:
• LT3988:デュアル60V降圧レギュレータ
7V∼60V、出力:5V/1A および 3.3V/1A)
www.linear-tech.co.jp/LT3988
• LT3992:FMEA 耐故障型デュアル・コンバータ
(入力:7V∼60V、出力:5V/2A および
3.3V/2A)www.linear-tech.co.jp/LT3992
• LT8611:電流検出機能を備えたマイクロ
パワー同期整流式降圧レギュレータ
(入力:3.8V∼42V、出力:3.3V/2.5A)
www.linear-tech.co.jp/LT8611
• LTM4620:効率の高い 8 相 100A 降圧
レギュレータ(入力:4.5V∼16V、
出力:1V/100A)
www.linear-tech.co.jp/LTM4620
• LT3796:短絡保護機能と電流モニタ機能を
備えた昇圧 LEDドライバ(入力:9V∼60V、
出力:LED 列に 85V/400mA)
www.linear-tech.co.jp/LT3796
• LTC3260:15V 単電源入力から生成する
低ノイズの±12V 電源(入力:15V、
出力:±12V/50mA)
www.linear-tech.co.jp/LTC3260
• LTM8062A:2A、4 セルのリチウムイオン・
バッテリ・チャージャ(入力:18V∼32V、
出力:16.4V/2A)
www.linear-tech.co.jp/LTM8062
電流検出アンプ
• LT1787:オフセット両極性出力を備えた
双方向電流検出アンプ
www.linear-tech.co.jp/LT1787
• LT6105:負電源用の片方向電流検出アンプ
www.linear-tech.co.jp/LT6105
• LT6106:単電源、片方向電流検出アンプ
www.linear-tech.co.jp/LT6106
• LTM8026:2 つの 2.5V 直列スーパーキャパシ
タ・チャージャ(入力:7V∼36V、
出力:5V/5.6A)
www.linear-tech.co.jp/LTM8026
LTspice IV とは
®
LTspice IV は、電源設計の作業を迅速化するための高性能 SPICE シミュレータ、回路図入力プログラム、お
よび波形ビューワです。LTspice IV では、SPICE を拡張してモデルを加えたことにより、標準的な SPICE シミュ
レータと比較してシミュレーション時間が大幅に短縮されており、他の SPICE シミュレータでは数時間を要する
ほとんどのスイッチング・レギュレータの波形を数分以内に表示できます。
LTspice IV は、www.linear-tech.co.jp/LTspice で、リニアテクノロジーから無償で入手できます。このダウン
ロードには、LTspice IV の完全機能版、リニアテクノロジーのパワー製品のマクロ・モデル、200 種類を超える
オペアンプ・モデル、ならびに抵抗、トランジスタ、MOSFET のモデルが含まれています。
30 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
• LTC6417:1.6GHz 低ノイズ高直線性差動
バッファ /16 ビット A/D コンバータ・ドライバ
www.linear-tech.co.jp/LTC6417
環境発電(エネルギー・ハーベスティング)
• LTC3109:Auto-polarity、超低電圧昇圧
コンバータ & パワーマネージャ
www.linear-tech.co.jp/LTC3109
• LTC3588-2:最小 VIN が 14V の圧電環境発電
(エネルギー・ハーベスティング)電源
www.linear-tech.co.jp/LTC3588-2
降圧レギュレータ
• LT3975:静止電流が 2.7µA の 42V、2.5A、
2MHz 降圧スイッチング・レギュレータ
www.linear-tech.co.jp/LT3975
• LT3976:静止電流が 3.3µA の 40V、5A、
2MHz 降圧スイッチング・レギュレータ
www.linear-tech.co.jp/LT3976
• LTC3605A:20V、5A 同期整流式降圧レギュ
レータ www.linear-tech.co.jp/LTC3605A
• LTC3626:電流および温度モニタ機能を備え
た 20V、2.5A 同期整流式モノリシック降圧レ
ギュレータ
www.linear-tech.co.jp/LTC3626
• LTM4620:デュアル 13A またはシングル 26A
DC/DC µModule レギュレータ
www.linear-tech.co.jp/LTC4260
複数の回路構成があるレギュレータ
• LT3758A:トランジェント特性が改善された
高入力電圧の昇圧、フライバック、SEPIC
および反転コントローラ
www.linear-tech.co.jp/LT3758
設計上のアイデア
パワー・ユーザのヒント
電圧源または電流源用の区分線形関数
区分線形(PWL)関数は、ユーザが定義した複数の点を結ぶ一連の直線線分を基に
して波形を作成するときに使用します。PWL 関数はカスタム波形の作成に便利なの
で、通常は電圧源や電流源を定義するときに使用します。
その他の形式の PWL 文
LTspice IV は、他にも多数の形式の PWL 文をサポートしています。これらの形式を
調べるには、回路図エディタで、
(部品のシンボルではなく)PWL 文があるテキスト
PWL 関数を電圧源または電流源に追加する方法:
行を右クリックして、作成した文を直接編集する必要があります。代替 PWL 形式の例
1. 回路図エディタのシンボルを右クリックします。
を以下にいくつか示します。
2.「Advanced」をクリックします。
• データ対を指定のサイクル数だけ、または際限なく繰り返す場合:
3.「PWL(t1, v1, t2, v2…)」または「PWL File:」を選択します。
4. 手順 3 での選択内容に応じて、PWL の値を入力するか、ファイルを選択します。
値を直接入力することにした場合は、入力した値に基づいて PWL 文が作成されます。
PWL 文の構文は、次に示すように時間と値のデータ対を表す 2 次元の点のリストで、
時間の値は昇順に並んでいます。
PWL (0 0 1m 1 2m 1 3m 0)
次に示すように時間の値の前に + 記号を付けることにより、時間の値を直前の時間
の値を基準にして定義することもできます。
PWL REPEAT FOR 5 (0 0 1m 1 2m 1 3m 0) ENDREPEAT
PWL REPEAT FOREVER (0 0 1m 1 2m 1 3m 0) ENDREPEAT
• 式が真である限り電圧源または電流源をオンにするトリガ式:
PWL (0 0 1m 1 2m 1 3m 0) TRIGGER V(n003)>1
• 時間または電圧 / 電流源の値の変倍:
PWL TIME_SCALE_FACTOR=0.5 VALUE_SCALE_FACTOR=2 (0 0 1m 1 2m 1 3m 0)
これらのいずれかの形式の PWL 式を次回のシミュレーションで試してみてください。
シミュレーションを楽しんでください!
PWL (0 0 +1m 1 +1m 1 +1m 0)
ダイアログ内での非相対的な値の対の例を以下に示します。
PWL 関数は、カスタム波形を作成する簡単な方法で、通常は電圧源または電流源の値を
定義するときに使用します。
PWL 文によって生成された波形
時間と値のデータ対を表す 2 次元の点のリストをファイル内にカプセル化して、次の
ように PWL 文で使用することができます。
PWL (file=data.txt)
回路図エディタには部品と
PWL データ付きファイル
付記された PWL 文が表示される
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 31
300V のトランジェントから部品を保護する
100V サージ・ストッパー
Hamza Salman Afzal
高電圧トランジェントは自動車システムや産業用システム
では一般的で、数マイクロ秒から数百ミリ秒まで続くこと
があり、かなりのエネルギーが負荷側へ送られます。トラ
ンジェントの原因は、自動車の負荷遮断や、負荷ステップ
と寄生インダクタンスによって生じるスパイクがあります。
故障のリスクを回避するため、これらのシステムに搭載
されているすべての電子機器は、トランジェントのエネル
ギー・スパイクにそのまま耐えられるほど十分頑強にする
か、スパイクから保護する必要があります。
VIN
12V
10mΩ
VOUT
IRLR2908
10Ω
383k
VCC
SNS
GATE
SHDN
IN+
OUT
VCC
FB
4.99k
100k
UNDERVOLTAGE
102k
LT4356DE-1
EN
AOUT
GND
TMR
FLT
DC-DC
CONVERTER
SHDN GND
FAULT
0.1µF
図 1.12V の過電圧レギュレータ
LT4356 サージ・ストッパーは、従来の受動的
図 3 に示すように、第 2 のプリ・レギュレイト用
方の MOSFET が 完 全に導 通して、 電 力 が 出
なクランプ保護技術と比較して性能が飛躍的に
MOSFET Q2 を縦続接続することにより、この
力まで送られます。したがって、R3 と D1 は起
向上したデバイスです。このデバイスは、パス
制約を乗り越えることができます。Q2 は VCC ピ
動にとって不可欠です。通常の動作状態では、
MOSFET のゲートを安定化することで負荷側
ンと SNS ピンの電圧を安全なレベルにクランプ
GATE ピンの電圧は GATE ピン自体によって出
の部品を過電圧から能動的に保護し、標準的な
し、電流制限機能を復活させるだけでなく、追
力より約 12.5V 高い値に制限されるので、入力
センス抵抗を使用することで電流を制限します。
加の利点として、SOA(安全動作領域)ストレス
は12Vで、Q1のゲートは24.5Vにバイアスされ、
標準的な 12V のアプリケーションを図 1 に示し
を Q1と分担します。
ます。
Q2 のゲートはわずかに低い約 24V にバイアス
電源が最初に投入されると、R3 と D1 によって
されます。
LT4356 の最大定格は 100V で、動作電圧範囲
Q2 のゲート電位が上昇し、その結果、電力が
入力が高い電圧トランジェントにさらされると、
は 4V∼80V なので、産業用および自動車の幅
LT4356 に伝達されます。次に、GATE ピンに
R3と D1 によって Q2 のゲート電位が上昇し、そ
広いアプリケーションで負荷側の電子機器を保
よって Q1 および Q2 のゲート電位が上昇し、両
護するのに最適です。それにもかかわらず、一
部の回路では、最大で 200V∼300V のトラン
ジェントから保護する必要があります。
Q2 のソースは約 75V よりは高くならず、 VCC ピ
図 2.150V に耐えられる 24V のアプリケーション回路
この方法では電流制限機能が使用できなくなり
VIN
24V
Q1
IRF640
1k
1W
118k
圧から抵抗とツェナーダイオードによりクランプ
SNS GATE
されており、100V 未満の安全な値まで制限さ
然的に切り離されるので、電流検出は不可能で
D2*
SMAT70A
FB
4.99k
LT4356DE-1
あり、この回路は電圧クランプとしてのみ機能し
ます。
EN
FLT
*DIODES INC.
GND
TMR
CTMR
0.1µF
トクランプ・アプリケーションとは異なり、図 3 の
直列クランプ回路構成では、LT4356 の電流制
限機能を全面的に使用できます。Q1 は、 R1 と
R2 によって規定されるとおりに、通常の方法で
出力電圧を調整し、制限します。
OUT
VCC
SHDN
32 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
VOUT
CLAMPED
AT 32V
10Ω
ます。図 2 では、VCC ピンと SNS ピンが入力電
れます。VCC ピンと SNS ピンは入力経路から必
ンと SNS ピンの電圧は最大定格の 100V より低
い状態が安全に維持されます。図 2 に示すシャッ
このような高電圧を阻止するように LT4356 を
構成する 1 つの方法を図 2 に示します。ただし、
の結果、 D2 によってクランプされる 80V に至り
ます。Q2 はソース・フォロワとして機能するので、
図 3 に 示 す 回 路 構 成 の 追 加 の 利 点 は、 Q2
が SOA ストレ ス を Q1 と 分 担 することで す。
設計上のアイデア
LT4356 の最大定格は 100V で動作電圧範囲は 4V∼80V ですが、
回路をわずかに追加することにより、最大で 300V のトランジェント
から保護できます。
VIN
12V
図 3.レギュレータを前置きする回路構成により、
LT4356 の保護範囲が広がります。回路全体を
図 4 に示します。
RSNS
Q2
Q1
VOUT
R3
D1
D3
D2
80V
Q2 を適切に選択すれば、さらに高い入力電圧
に耐えることもできます。
こうした高い入力電圧に耐える回路を設計する
VCC
GATE
SNS
LT4356
GND
場合は、入力に高い dV/dt が生じる可能性とそ
OUT
R1
れがもたらす結果を認識しておくことが重要で
R2
された高い入力電圧によって生じる電流を制限
す。回路が応答できるまでの間、瞬間的に印加
FB
TMR
するのは、寄生インダクタンスと出力コンデンサ
CTMR
までの配線抵抗のみです。ほとんどのテスト波
形では、許容できる一定の立ち上がり時間が規
定されていますが、無限大の入力スルーレート
も考えられないわけではありません(ベンチ・テ
150V∼200V の入力電圧範囲では、SOA スト
新しい回路構成に基づ いた回路全体を図 4 に
スト時などに発生する場合があります)。こうし
レスは Q1 と Q2 の間で等しく分担されます。あ
示します。この回路は、最大 300V のピーク入
た条件下で LT4356 の電流制限ループが優先
る特定のアプリケーションでは、このことにより、
力電圧に耐えるよう設計されています。前述した
的に起動できるように、Q3が追加されています。
非常に高価で特殊な 1 つの高 SOA デバイスを
ように、 Q2 のゲートは 80V でクランプされるの
2 つの安価な MOSFET で置き換えることができ
で、入力電圧が 300V の場合、 Q2 では 225V
ます。ピーク入力電圧の要件が 200V より高くな
降下するのに対して、 Q1 にかかる電圧が合計
ると、SOA はますます Q2 に集中するようになり、
で75Vを超えることはありません。
この理由から、
直列接続は実質的にストレス軽減の役目を果た
Q2 には 250V 耐圧のデバイスが採用されるの
さなくなります。
で、 Q1 には 100V 耐圧のデバイスで十分です。
300V のスパイクにさらされた場合の回路の結
果を図 5 に示します。CTMR の大きさは、こうした
過電圧状態を乗り切れるように設定しますが、
持続時間の長いサージは中断されるので、その
結果 MOSFET は破壊から保護されます。n
図 4.300V のトランジェントを阻止できる 16V の過電圧レギュレータ
RSNUB
51Ω
VIN
MAX RANGE: 0V–300V
OPERATING RANGE: 9V–16V
図 5.図 4 の回路の入力での 300V のスパイクとその結果
CSNUB
0.01µF
RSNS
33mΩ
Q2
FDB33N25
R3
10k
D1
1N4148
10Ω
D4
1N756A
100Ω
+
10Ω
Q3
2N3904
D3
1N4148
D2
SMAJ70A*
0.039µF
VCC
GATE
SNS
OUT
100µF
R1
178k
FB
SHDN
R2
15k
LT4356
AOUT
IN+
*DIODES INC.
VOUT
1.5A LOAD CURRENT
16V REGULATION
INPUT
50V/DIV
10k
0.1µF
Q1
FQB55N10
FLT
GND
OUTPUT
20V/DIV
2ms/DIV
EN
TMR
CTMR
0.1µF
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 33
外部の信号発生器、クロック、またはマイクロ
コントローラを使用しない高精度 PWM LED 調光
Keith Szolusha
LED は、アナログ調光とパルス幅変調(PWM)調光の 2 つの方法で調光できます。アナログ調光では、LED
列の DC 電流を単純に調整することによって LED 照明出力を変化させますが、PWM 調光では、LED 列の
定電流のデューティ・サイクルを変化させ、LED 列の平均電流を実質的に変更することによって同じ効果を
得ています。アナログ調光は簡単であることが魅力であるにもかかわらず、多くのアプリケーションでは不適
当です。わずか 10:1 の輝度レベルで約 25% 以上も調光精度が低下し、LED の色に偏りが生じるからです。
対照的に、PWM 調光は 3000:1 以上の調光比(100Hz 時)を実現できますが、精度を大幅に損なうことも、
LED の色が変化することもありません。
LT3761 は、独自の PWM 信号を発生すること
PWM 調 光 機 能 を 備 え、 効 率 が 94% と高 い
により、アナログ調光の簡素性と PWM 調光の
60V、1A(60W)、350kHz の 自 動 車 用 ヘッ
他の大電力 LEDドライバとは異なり、 LT3761
内部 PWM 調光信号発生器
精度を兼ね備えています。デバイスの調光入力
ドランプ・アプリケーションを図 1 に示します。
は独自の PWM 調光信号を発生して、最大 25:1
として単純な DC 信号を設定することにより、高
LT3761 は、LT3755/LT3756 ファミリと同じ高
の調光比を実現できます。これにより、PWM 信
い調光比が可能です。PWM 信号発生用のマイ
性能の PWM 調光方式を採用していますが、内
号を発生する部品を外付けする必要なく、正確
クロコントローラ、発振器、または信号発生器
部で発生する PWM 調光信号という追加の機能
な PWM 調光信号を発生することができます。
を追加する必要はありません。LT3761 の内部
を備えているにも関わらず、ピンの追加はありま
選択した周波数で高性能 PWM 調光を実現する
PWM 信 号で得られる調 光 比は 25:1 ですが、
せん。
ために LT3761 が必要なのは、外部 DC 電圧の
外部の PWM 信号を使用することにより、最大
3000:1 の調光比を実現できます。
図 1.内部 PWM 調光比が 25:1 で効率が 94% の自動車用ヘッドランプ向け昇圧型 LEDドライバ
大電力の LEDドライバ
LT3761 は、LT3755-2 ファミリや LT3756-2
ファミリと同様に大電力の LEDドライバです。こ
のデバイスは入力範囲が 4.5V∼60V で出力範
L1
10µH
VIN
8V TO
60V
CIN
2.2µF
×2
100V
囲が 0V∼80V の単一スイッチ・コントローラで、
昇圧モード、SEPIC モード、昇降圧モード、また
499k
90.9k
は降圧モードの LEDドライバとして構成できま
INTVCC
チング周波数範囲、開放 LED 保護、短絡保護
ジャまたはスーパーキャパシタ・チャージャとし
て動作することもできます。
GATE
140k
DIM
RSENSE
10mΩ
1M
RLED
0.25Ω
1A
16.9k
GND
FB
CPWM
47nF
300Hz
RC
5.1k
CC
4.7nF
RT
28.7k
350kHz
M1: INFINEON BSC123N08NS3-G
D1: DIODES INC PDS5100
L1: COILTRONICS HC9-100-R
M2: VISHAY SILICONIX Si2328DS
COUT, CIN: MURATA GRM42-2X7R225K100R
34 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
COUT
2.2µF
×4
60W
LED
STRING
ISP
OPENLED
ISN
DIM/SS
PWM
PWMOUT
VC
RT INTVCC
RDIM
124k
CSS
0.01µF
M1
SENSE
LT3761
100k
を実現するための追加の内部ロジックを備えて
おり、電流制限機能付きの定電圧レギュレータ
1M
VIN
CTRL
す。このデバイスは、100kHz∼1MHz のスイッ
として動作することも、定電流鉛バッテリ・チャー
EN/UVLO
VREF
D1
INTVCC
CVCC
1µF
M2
(CURRENT DERATED FOR VIN < 10V)
設計上のアイデア
LT3761 は、独自の PWM 信号を発生して正確な PWM 調光を実現しますが、アナログ調光の単純な制御を
備えています。デバイスの調光入力で単純な DC 信号を調整することにより、高い調光比が可能です。
PWM 信号発生用のマイクロコントローラ、発振器、または信号発生器を追加する必要はありません。
図 2.内部で発生させた PWM 信号と図 1 のアプリケーションの
VDIM = 7.7V
DCPWM = 96%
LED 電流
VDIM = 4V
DCPWM = 50%
ILED
1A/DIV
VDIM = 1.5V
DCPWM = 10%
VDIM = 0.4V
DCPWM = 4.3%
0.5ms/DIV
みであり、アナログ調光制御とよく似ています。
ように DIM/SS ピンに流れ込む µA レベルの電
ティ・サイクルが 100% の動作では、PWM ピン
それにもかかわらず、このデバイスは PWM 入
流で設定されます。内部で生成される、PWM ピ
を INTVCC に接続することができます。
力信号を受け取り、この信号を使用して標準の
ンでのプルアップ電流およびプルダウン電流は、
方式で LED 列を駆動することができます。
H および L のしきい値の間でコンデンサを充
内部 PWM 調光信号発生器は、プログラム可能
な周波数およびデューティ・サイクルを特長とし
ています。PWMOUT ピンでの矩形波信号の周
波数は、PWM ピンと GND の間に接続したコン
デンサ CPWM により、 fPWM = 14kHz • nF/CPWM
という式に従って設定されます。PWMOUT ピ
ンの信号のデューティ・サイクルは、図 3 に示す
放電して、デューティ・サイクル信号を発生する
ために使用されます。PWM ピンでのこれらの電
流信号は十分に小さいので、非常に高い調光性
まとめ
大電力で高性能の LEDドライバである LT3761
は、高精度かつ使いやすい独自の PWM 調光
信号発生器を内蔵しています。n
能を得るために、マイクロコントローラからのデ
ジタル信号によって容易にオーバードライブす
ることができます。DIM/SS ピンを使用して調光
比を調整する場合、内部信号発生器を使用した
最小デューティ・サイクルは、約 4% です。デュー
図 3.DIM/SS ピンでのデューティ・サイクルの設定には、µA
図 4.高速 PWM 信号が入力された場合も、LT3761 はやはり
レベルの信号が使用されます。このピンを外部の PWM 信号と
高速 PWMOUT 信号を供給します。
組み合わせて使用すると、非常に高い調光比を実現できます。
PWMOUT DUTY RATIO (%)
100
CPWMOUT = 2.2nF
80
PWM
INPUT
60
PWMOUT
5V/DIV
40
20
0
–10
0
10
20
30
DIM/SS CURRENT (µA)
40
50
200ns/DIV
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 35
PoE(Power over Ethernet)給電装置からの
光アイソレータおよび絶縁型電源の排除
Heath Stewart
PoE(Power over Ethernet)は、既存のイーサネット・ケーブル配線を介してアプリケーションの電力を安
全に供給するための IEEE 802.3at 規格で規定されています。PoE を実装するには、アーキテクチャと部品
を慎重に選択してシステム・コストを最小限に抑えると同時に、性能と信頼性を最大限に高めることが必要
です。適切に設計するには、IEEE の絶縁要件に適合し、短絡や過電流の発生時に Hot Swap™ FET を保護
して、それ以外の場合には IEEE 規格に準拠する必要があります。
IEEE 標準規格では PoE の用語を規定していま
り、PSE アーキテクチャを根底から変革します。
動作をサポートする上に、RDS(ON) の小さい外付
す。ネットワークに電力を供給する装置は給電
このチップセットは、従来の絶縁回路の代わり
け MOSFET と 0.25Ω の検出抵抗を使用するこ
装置(PSE)と呼ばれ、ネットワークから電力が
に低コストのイーサネット・トランスを使用した
とにより、熱損失を最小限に抑えます。
供給される装置は受電装置(PD)と呼ばれます。
独自の絶縁プロトコルを採用しているので、部
品コストの大幅な削減につながります。
LTC4290/LTC4271 PSE コントローラ・チップ
セットは、従来必要だったデジタル絶縁回路を
第 4 世代の PSE コントローラである LTC4290/
削除して絶縁型電源を完全に除去することによ
LTC4271 は、IEEE 802.3at に完全に準拠した
図 1.従来の PSE 絶縁方式では、
多数の光アイソレータと面倒で費用
1500V ISOLATION
PSE
PD
のかかる絶縁型 DC/DC コンバータ
が必要です。図 2 に示す LT4271/
LT4290 ソリューションでは、これらの
部品を排除できます。
PHY
HOST
PHY
+
PD
CONTROLLER
PSE
CONTROLLER
ISOLATED
DC/DC
CONVERTER
36 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
ISOLATED
DC/DC
CONVERTER
設計上のアイデア
1500V ISOLATION
PSE
PD
PHY
図 2.図 1 に示す従来方式とは対照的
に、LTC4290/LTC4271 チップセット
PHY
HOST
はすっきりとした PSE アーキテクチャ
に組み込まれており、光アイソレータ
なしでの絶縁を実現し、専用の絶縁型
DC/DC コンバータが不要になります。
LT4271
PD
CONTROLLER
LT4290
ISOLATED
DC/DC
CONVERTER
システムの絶縁要件
現するために設計されたプロトコルで符号化さ
先進のパワー・マネージメント機能には、優先順
PoE 規格では、絶縁要件が明確に規定されてお
れます。
位の付いた高速シャットダウン、 1 ポートにつき
先進の第 4 世代機能
のプログラム可能な電流制限、7 ビットのプログ
り、グランド・ループの遮断が保証されており、
イーサネットのデータ完全性が維持され、PD ア
プリケーション回路内でのノイズが最小限に抑
リニアテクノロジーの PSE ファミリは、1 億をは
12 ビットの電圧および電流の読み取り、8 ビット
ラム可能な過負荷電流しきい値などがあります。
えられます。
るかに超えるポート出荷実績によって裏付けら
従来の PSE 絶縁アーキテクチャでは、デジタル・
す。PSE の最新世代では、市場実績の豊かな製
ントローラがデバイスをデジタルで設定するこ
インタフェースと電力をホスト /PSE コントローラ
品に更なる新機能が追加されます。LTC4290/
とや、ポートの読み取り値を照会することがで
のインタフェースで絶縁します。光結合素子など
LTC4271 を採用したプラットフォームが将来
きます。C 言語のライブラリを使用して、工数を
のデジタル絶縁素子は、高価で信頼性が低いも
にわたって最 新であり続 けるためにファーム
削減し、市場投入までの期間を短縮することも
のです。絶縁機能を備える IC は法外に高価で
ウェアのフィールド・アップデート機能を追加し
できます。
あるか、高速の I2C 転送速度をサポートしてい
ました。オプションの 1 秒間の電流平均化によ
ません。さらに、 PSE ロジックに電力を供給する
り、ホストのパワー・マネージメントが簡素化さ
ために必要な絶縁型 DC/DC コンバータにより、
れます。最高グレードのアナログ・コントローラ
基板面積とシステム・コストが増大します。
LTC4290A では、LTPoE++™ の新しいクラシ
絶縁を容易に実現
LTC4290/LTC4271 チップセットは、すべての
デジタル機能を絶縁境界のホスト側に移すこと
れた PoE の豊富な経験と専門技術を有していま
フィケーションを使用して、最大 90W の PD 電
力供給が可能です。
1MHz の I2C インタフェースにより、ホスト・コ
まとめ
LTC4290/LTC4271 は、リニアテクノロジーの
実績のある堅牢な PSEソリューションに部品コス
トの削減とこの分野で最善の機能を加えた製品
です。n
これ まで の 世 代 の 場 合と 同 様、 LTC4290/
により、 PSE 絶縁方式とは異なるアプローチを
LTC4271 チップセット・アーキテクチャの鍵と
採っています(図 2)。これにより、必要な部品
なる利点は業界で最も低い電力損失であり、脆
のコストと回路の複雑さを大幅に削減できます。
弱で RDS(ON) の大きい MOSFET を組み込んだ
LTC4271 デジタル・コントローラはホストのロ
PSE を使用して設計するよりも熱設計がはるか
ジック電源を使用できるため、独立した絶縁型
に容易になります。システム設計者の方々には、
DC/DC 電 源 は 不 要 になりました。LTC4271
80V に耐えられるポート・ピンによって実現され
は、トランスで絶縁された通信方式を使用して
る堅牢性を高く評価していただけると考えます。
LTC4290 を制御します。安価で広く普及してい
PD の検出は、PD の誤検出を確実に防止する独
るイーサネット用のトランスにより、 6 つの光結
自のデュアル・モード 4 点検出機構を使用して
合素子を置き換えます。ポート管理、リセット、
行われます。
高速シャットダウンなどの IC 内通信は、放射エ
ネルギーを最小限に抑えて 1500V の絶縁を実
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 37
新製品の概要
10V でゲートを駆動し、コールド・クランクを
乗り切るマルチフェーズ昇圧 DC/DC コントローラ
LTC3862-2 は、大電力、マルチフェーズの電
18 ビット A/D コンバータを駆動可能な、
消費電力がわずか 5mW の完全差動アンプ
リニアテクノロジーは、16 ビットおよび 18 ビット
レベルの高電圧モニタです。静止電流が小さく
流モード昇圧 DC/DC コントローラです。先行デ
の高精度 SAR(逐次比較型)A/D コンバータを
(0.85µA)動作電圧範囲が 2.5V∼36V と広い
バイスである LTC3862 および LTC3862-1 と
わずか 1mA の電源電流で駆動する低消費電力
ので、LTC2960 はマルチセル・バッテリのアプ
同様、 LTC3862-2 は、固定周波数のピーク電
の差動アンプ、LTC6362 を発表しました。最大
リケーションで役立ちます。ステータス・インジ
流モード・アーキテクチャを採用しており、 2 つ
入力オフセット電圧が 200µV で入力換算ノイズ
ナノ電流レベルの高電圧モニタ
LTC2960 は、監視リセット出力を生成して低
電圧検出または過電圧検出を実現するナノ電流
ケータの RST と OUT は、 36V のオープンドレ
のチャネルが 180°
位相のずれた状態で動作し
が 3.9nV/ √Hz なので、このデバイスは高精度の
イン出力または低電圧のアクティブ・プルアップ
ます。このデバイスは、調整可能なスロープ補
産業用アプリケーションやデータ収集アプリケー
償利得、最大デューティ・サイクルおよびリーディ
ションに適しています。
回路として利用できます。
2 つのコンパレータ入力のそれぞれのモニタし
きい値は、外付けの抵抗分割器で設定します。
LTC2960 は ADJ 入力をモニタしており、コン
パレータの入力電圧がコンパレータのしきい
値より低くなると、 RST 出力は L になります。
RST 出力は、ADJ 入力の電圧がしきい値より
2.5% 高くなるまで L のままです。リセット・タ
ングエッジ・ブランキング、外付け抵抗による設
定可能な周波数(75kHz∼500kHz)または位
相同期可能な固定周波数(50kHz∼650kHz)
を持つ外部クロックへの同期など、よくある機能
を備えています。PHASEMODE 制御ピンによ
り、2 相、3 相、4 相、6 相または 12 相動作が可
能です。
LTC6362 は、電圧範囲が 0.5V∼4.5V の出力
同相ピンを備え、出力ステップが 8VP–P の場合
の 18 ビット・セトリング時間が 550ns なので、
多重化された入力や制御ループのアプリケー
ションで LTC2379-18 などの A/D コンバータを
駆動するのに最適です。この 18 ビット SAR A/D
コンバータは、そのフルスケール入力範囲をリ
イムアウト期間は、RST 出力が H 状態に戻る
LTC3861-1 と 同 様 に、LTC3862-2 の 内 部
ファレンス電圧の 10%∼90% に設定するデジ
のを遅らせて、電圧のセトリング、初期化時間、
LDO は 10V に安 定 化され、 ほとんどの自動
タル利得圧縮機能を備えています。この機能を
あるいはマイクロプロセッサのリセット機能を可
車用グレードおよび産業用グレードのパワー
LTC6362 のレール・トゥ・レール出力段と組み
能にする役割を果たします。反転入力または非
MOSFET の ゲ ート 駆 動 電 圧 に 最 適 化 され
合わせることにより、負電源レールが不要になっ
反転入力の追加のコンパレータには 5% のヒス
て い ます。し かし、 LTC3861-1 とは 異 なり、
て回路が簡単になるので、消費電力を最小限に
テリシスがあり、OUT ピンに表示されます。
LTC3862-2 の低電圧ロックアウト(UVLO)立
抑えることができます。
手動リセット(MR)入力により、 RST 出力を外
部から作動させることができます。その他のオプ
ションとして、 15ms または 200ms が選択でき
るリセット・タイムアウト期間があります。ロジッ
ク電源ピン(DVCC)は、アクティブなプルアッ
プ 回 路の電 源 入 力になります。LTC2960 は、
2mm × 2mm の 8 ピン DFN パッケージおよび
TSOT-23 パッケージで供給されます。電気的
仕様は –45℃∼125℃の範囲で保証されます。
ち下がりしきい値は元の 7V から 4V に低下しま
す。ゲート駆動電圧が不十分な場合は、 UVLO
によって回路の電源が遮断されます。UVLO の
しきい値を下げることにより、ゲート駆動電圧が
10V の最も効率的な MOSFETとの互換性が得
られる上に、
(エンジンの始動時のように)入力
電圧が 10V より低くなった場合でも、デバイス
がレギュレーション動作を行うことができます。
LTC3862-2 では、チャネル間およびデバイス
間での電流検出のマッチングも向上しました。こ
れにより、位相間での熱損失をより均等に分担
できます。
LTC6362 の柔軟なアーキテクチャにより、グラ
ンドを基準にしたシングルエンドの DC 結合信
号を差動入力信号か、または DC レベルをシフ
トした差動入力信号に変換できます。LTC6362
は入力バイアス電流およびオフセット電圧が小
さく、入力がレール・トゥ・レール対応なので、
高インピーダンス構成で使用して、シグナル・
チェーンの前段にあるセンサと直接インタフェー
スをとることができます。
LTC6362 は MSOP-8 パッケージおよび 3mm
× 3mm の DFN パッケージで供給され、0℃∼
70℃、–40℃∼85℃、および –40℃∼125℃の
各温度範囲で仕様が完全に保証されています。
38 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
新製品の概要
LTC2960 は、監視リセット出力を生成して低電圧検出または
過電圧検出を実現するナノ電流レベルの高電圧モニタです。
静止電流が小さく
(0.85µA)動作電圧範囲が 2.5V∼36V と
広いので、LTC2960 はマルチセル・バッテリのアプリケーショ
ンで役立ちます。
デバイス・オプション
出力タイプ
入力
リセット・タイムアウト期間
LTC2960-1
36V オープンドレイン
ADJ/IN+
15ms/200ms
LTC2960-2
36V オープンドレイン
ADJ/IN-
15ms/200ms
LTC2960-3
アクティブ・プルアップ
ADJ/IN+
200ms
LTC2960-4
アクティブ・プルアップ
ADJ/IN-
200ms
100W を超える LED 電力を供給する
60V 同期整流式昇降圧 LEDドライバ
LT3791 は同期整流式の昇降圧 DC/DC LED
IIP2 の最適化と DC オフセットの補正により
ゼロ IF レシーバの性能が向上した 30MHz∼
1.4GHz 広帯域 I/Q 復調器
ドライバおよび電圧コントローラで、100W を超
LTC5584 は、IIP3 が 31dBm で IIP2 が 70dBm
える LED 電力を供給できます。入力電圧範囲が
という非常に優れた直線性を備えた超広帯域
4.7V∼60V なので、自動車用、産業用、および
幅の直接変換型 I/Q 復調器です。このデバイス
建築用照明など、広範なアプリケーションに最
は、530MHz を超えるクラス最高の復調帯域
適です。同様に、 LT3791 の出力電圧は 0V∼
幅を備え、最新世代の LTE マルチモード・レ
60V の範囲で設定できるので、1 列に接続され
シーバ、LTE Advanced レシーバ、 ならびに
た各種の LED を駆動できます。内部の 4 スイッ
デジタル・プリディストーション(DPD)レシー
チ昇降圧コントローラは、入力電圧が出力電圧
バをサポートします。I/Q 復 調 器は 30MHz∼
より高い、低い、または等しい条件で動作する
1.4GHz の広い周波数範囲にわたって動作す
ので、停止 / 始動、コールド・クランク、および負
るので、VHF および UHF の無 線 周 波 数 帯と
荷遮断の状況で入力電圧が急激に変化する可
450MHz/700MHz の LTE 周 波 数 帯という幅
LTC5584 は、その広い帯域幅特性により、マ
ルチモード LTE レシーバ、CDMA DPD レシー
バ、さらにはその他の広帯域レシーバ・アプリ
ケーションに最適です。とりわけ、300MHz を
超える復調帯域幅を必要とする、これら最新の
基地局のデジタル・プリディストーションに最適
です。LTC5584 はこれらの帯域幅要求基準を
超えている上に、変換利得の平坦度が±0.5dB
より優れています。LTC5584 は、無線インフラ・
アプリケーションの枠を超えて、軍用レシーバ、
広帯域通信、2 地点間マイクロ波データ・リンク、
イメージ除去レシーバ、および長距離 RFIDリー
ダにも適しています。
能性がある自動車などのアプリケーションに最
広い範囲をカバーします。LTC5584 に固有の
LTC5584 は、4mm × 4mm の 24ピン QFN パッ
適です。降圧 / 通過 / 昇圧の各動作モード間を
機能として、 2 つの較正機能が内蔵されていま
ケージで供給されます。このデバイスは –40℃∼
切れ目なく移行するので、電源電圧が大幅に変
す。1 つは、システム設計者がレシーバの IIP2
105 ℃のケース動作温度範囲で動作することが
動しても十分に安定化された出力が供給されま
性能を最適化して、公称の 70dBm から前例の
保証されています。5V 単電源で動作する場合、
す。LT3791 独自の設計回路は 3 つの制御ルー
ない 80dBm 以上に向上できる先進の回路です。
LTC5584 に 流 れる全 電 源 電 流 は 200mA で
プを使用して、入力電流、LED 電流、および出
もう1 つは、I 出力および Q 出力での DC オフセッ
す。このデバイスは、デバイスをイネーブルまた
力電圧をモニタし、最適な性能と信頼性を実現
ト電圧をゼロにする内蔵回路です。これらの機
はディスエーブルするためのデジタル入力を備
します。
能と 9.9dB ノイズフィギュアを兼ね備えているこ
えています。ディスエーブルした場合、デバイス
LT3791 は、4 つ の 外 付 け ス イ ッ チ ン グ
MOSFET を使用して、5W から 100W 超まで
の連続した LED 電力を最大 98.5% の効率で供
給します。LED 電流精度が±6% なので一定の
照度を確保できる一方、出力電圧精度は±2%
なのでコンバータを定電圧源として動作させる
とにより、レシーバでのダイナミックレンジ性能
には標準 11µA の漏れ電流が流れます。復調器
が向上します。さらにこのデバイスは、12.6dBm
はターンオン時間が 200ns でターンオフ時間が
の P1dB を 達 成しており、 帯 域 内ブロッカが
800nsと高速なので、バースト・モード・レシー
0dBm のときのノイズ・フィギュアが 13.6dB で
バに使用することができます。n
あることと合わせて、干渉が存在する場合でも
堅牢なレシーバ性能が確保されます。
ことができます。LT3791 は、アプリケーション
IF の低いレシーバ・アプリケーションで使用する
の必要に応じて、アナログ調光と PWM 調光の
場合の柔軟性を高めるため、LTC5584 は I/Q
いずれかを使用します。さらに、スイッチング周
振幅と位相の不整合が非常に小さくなっていま
波数は 200kHz∼700kHz の範囲内で設定する
す。振幅の不整合は標準で 0.02dB、位相の誤
ことも、外部クロックに同期させることもできま
差は標準で 0.25 度であり、どちらも 450MHz
す。その他に、出力切断、入力電流および出力
で規定されています。この組み合わせにより、レ
電流のモニタ、 LED の開放および短絡の検出、
シーバのイメージ除去比は 52dB になります。
組み込みのフォルト保護などの機能があります。
LT3791EFE は、熱特性が改善された 38 ピン
TSSOP パッケージで供給されます。
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 39
circuits.linear-tech.co.jp からのハイライト
出力電流制限値が 1A の -3.3V 負電圧コンバータ
LT8611 は、小型、高効率、高速の同期整流式モノリシック降圧スイッチング・
レギュレータで、消費する静止電流はわずか 2.5 μ A です。必要な外付け部品
VIN
3.8V TO 38V
4.7µF
VIN
0.1µF
BST
SW
SYNC
が最小限で済むように、上側と下側のパワー・スイッチは、必要なすべての回路
と一緒に内蔵されています。モニタ・ピンおよび制御ピンを備えた内蔵の電流
ISP
LT8611
60.4k
4.7µF
検出アンプにより、高精度の入力 / 出力電流レギュレーションおよび電流制限が
IMON
®
可能です。低リップルの Burst Mode 動作により、非常に小さい出力電流まで
TR/SS
0.1µF
LTspice IV
1µF
10pF
PG
INTVCC
circuits.linear-tech.co.jp/585
1µF
ISN
BIAS
ICTRL
高い効率が可能であると同時に、出力リップルを 10mVP–P 未満に維持します。
circuits.linear-tech.co.jp/585
0.1µF
4.7µH
EN/UV
RT
PGND GND
60.4k
1M
FB
412k
47µF
VOUT
–3.3V
1A
0.05Ω
f = 700kHz
C/10 終端検出機能を備えた 2A、4 セル・リチウムイオン・バッテリ・チャージャ
LTM8062/LTM8062A は、入力電圧 32V、出力電流 2A の完全な µModule
パワー・トラッキング・バッテリ・チャージャです。LTM8062/ LTM8062A は
定電流 / 定電圧充電特性を備え、最大 2A の充電電流を供給し、3.3V のフロー
ト電圧帰還リファレンスを採用しているので、LTM8062 では最大 14.4V まで、
LTM8062A では最大 18.8V までの任意のバッテリ・フロート電圧を抵抗分割
VIN
22V TO 32VDC
LTM8062A
VINA
4.7µF
器で設定できます。
circuits.linear-tech.co.jp/584
BAT
VIN
VINREG
CHRG
RUN
FAULT
TMR
ADJ
NTC
BIAS
GND
LTspice IV
+
(OPTIONAL
ELECTROLYTIC
CAPACITOR)
0.47µF
3.3µH
1.24M
4-CELL
Li-Ion
(4 × 4.1V)
BATTERY
PACK
312k
circuits.linear-tech.co.jp/584
EXTERNAL 3.3V
4.3V∼42V 入力、3.3V/5A 出力の降圧コンバータ
LT3976 は、40V までの広い入力電圧範囲で使用できる可変周波数モノリシッ
ク降圧スイッチング・レギュレータです。低静止電流の設計により、無負荷での
安定化動作時に消費する電源電流はわずか 3.3 μ A に過ぎません。低リップ
VIN
4.3V TO 42V
OFF ON
VIN
BOOST
PG
ルの Burst Mode 動作により、標準的なアプリケーションでは出力リップルを
15mV 未満に保ちつつ、低出力電流で高効率を維持します。
circuits.linear-tech.co.jp/583
EN
10µF
SW
SS
LTspice IV
circuits.linear-tech.co.jp/583
10nF
PDS540
LT3976
RT
SYNC
130k
2Ω
470pF
OUT
FB
GND
1M
10pF
576k
VOUT
3.3V
5A
47µF
2
f = 400kHz
L、LT、LTC、LTM、Linear Technology、Linear のロゴ、LTspice、Burst Mode、Dust Networks、PolyPhase および µModule はリニアテクノロジー社の登録商標です。Eterna、Hot Swap、LTpowerPlay、LTPoE++ および SmartMesh はリニアテクノロジー社の商標です。
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本
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