特 集 2年目を迎えた中期経営計画2016 OKIの 「中期経営計画2016」 は2年目を迎えました。2016年度営業利益340億円の達成を 見据え、 さらにその先の成長につながる基盤固めを行っていきます。 1 2014年度の振り返り: 大きく改善した財務基盤 2014年度は、消防デジタル無線システムや中国向けATM をはじめ、各事業において堅調な業績を上げることができた 自己資本および自己資本比率 (億円) (%) 1,196 1,200 40 ことから、売上高5,402億円、営業利益324億円となりまし た。当期純利益は、331億円と過去最高を計上し、配当を実施 900 した一方で、利益剰余金を積み上げたことにより自己資本は 600 1,196億円、自己資本比率は27.2%まで改善しました。前中 30 887 27.2 561 411 300 20 21.5 16.1 10 11.2 期経営計画のスタートからの4年間で、 自己資本は金額、比率 0 0 とも約3倍となり、有利子負債は約30%減少しました。その結 果、DEレシオは同期間で4分の1以下の0.9倍となり、中期経 (3月末) 2012 2013 2014 2015 自己資本(左軸) 自己資本比率(右軸) 営計画2016の目標を先取りしての達成となりました。 また、優先株式の普通株式への転換が完了した結果、財 務基盤は質的にも強固に安定したものになりました。 有利子負債およびDEレシオ (億円) (倍) 2,000 8 1,500 6 1,365 中期経営計画2016の目標 1,205 1,190 1,000 営業利益率: 自己資本比率: DEレシオ: 2 6%(340億円) 30.0% 以上 1.0倍 以下 4 2.1 500 2 1.3 0.9 0 (3月末) 2012 2013 2014 2015 有利子負債(左軸) DEレシオ (右軸) 2年目となる2015年度の取り組み 中期経営計画2016では、成長を海外市場に求めていま 2015年度計画 す。競争力のある紙幣還流型ATMやLEDプリンタで具体的 な成果が出ていますが、2015年度はこれをさらに加速する ための取り組みを行います。 中国でのATMは、普及が進むにつれて出荷台数の伸びは 売上高: 営業利益: 当期純利益: 5,450億円 300億円 220億円 緩やかになりつつありますが、今後もしばらく高水準で推移 することが期待できます。 またブラジルでは、 マクロの経済環 境は厳しいものの、 さまざまな取り組みを行うことでATMの 早期普及を目指しています。ATM以外でも銀行窓口内で使 2015年度の主要施策 • 成長領域での売上拡大 用する現金処理機 (TCR) へのニーズが高く、OKIへの引き合 • 国内市場対応の充実 いも出てきており、 ビジネスチャンスが拡大しています。 • 事業拡大へ向けた成長投資 LEDプリンタは、A3カラー複合機の新商品を投入します。 6 1,076 3.3 アニュアルレポート 2015 0 特集: 2年目を迎えた中期経営計画2016 オフィスでのA3対応ハイエンド品へのニーズは高いことか ら、業績に貢献してくれるものと期待できます。 国内市場では、 金融・通信・社会システムは今年度やや踊り場と なるものの、 交通関連などの社会インフラを中心とした、 今後の ビジネスチャンスが期待できる領域に対応する準備を整えます。 EMS事業では、 プリント基板工場の買収などを通じて着実 に成長に向けての準備ができており、 これからも積極的な投 資で事業を拡大していきます。 このように、 2015年度は2016 年度の目標達成に向けた足固めを確実に行っていきます。 3 中国深圳市の工場で、中国各地への出荷を待つATM。 将来の成長に向けた取り組み 国内では、既存インフラの老朽化、労働力不足、自然災害、 えます。特に、 インドやインドネシアなどを中心とした、今後 少子高齢化、加えて地方創生などの社会課題解決、 さらには の経済発展が期待できるアジアの新興国では、紙幣流通量 2020年の東京五輪に向けて今後も社会インフラ整備需要 も増加しています。従って、銀行の業務効率化や顧客サービ が見込まれます。 スの観点からも、ATMに対する需要はますます高まってくる OKIは、次世代の交通システム、 トンネル点検業務の効率 と考えられます。OKIは 化を図るシステム、無線ネットワークを利用した河川・沿岸の これらの状 況に対 応す 監視システムなど、OKIが得意とする情報通信やセンサーを るため 、販 売 会 社 の 設 はじめとする技術を活用し、今後の社会インフラ整備需要に 立や、信頼できるパート 向けて、グループをあげて事業開発を進めています。人々の ナー企業との提携など 安全・安心を支えるだけでなく、 コスト削減やリソース不足の を新 興 国で行っていま 克服などを実現するビジネスとして、OKIの将来の成長を支 す。既にいくつかの国々 えていくものと期待できます。 で販売実績もあり、今後 海外ではATM事業が実績を上げていますが、世界的に見 の本格的な事業拡大に ればまだ海外ベンダーの出金専用機 (CD) の方が稼働台数 ついて準備を進めてい ATMブースの前に行列を作るインドの は大きく、ATM事業を拡大する余地は大きく残っていると言 ます。 人々。今後の需要の高まりが期待できる。 4 フリー・キャッシュ・フローおよび資金の使途 業績が順調なことと運転資金効率化を目指したプロジェク で目標とした自己資本の充実と有利子負債の圧縮をまず実 トの取り組みの成果などにより、 フリー・キャッシュ・フローは 現し、ブラジルでのATM事業やEMS事業で実施したM&A 安定的に創出できています。資金の使途については、財務基 のような、成長に向けた投資も積極的に行います。配当につ 盤の強化、成長のための投資、 そして株主のみなさまへの還 いても、安定的、継続的に行うことを前提としながら、利益水 元の3つのバランスを取りながら決定します。中期経営計画 準に応じて実施していきます。 アニュアルレポート 2015 7