日本語版

10ビット、65/80/105MSPS
3V A /Dコンバータ
AD9214
特長
S/N比57dB@39MHzアナログ入力(−0.5dBFS)
低消費電力
65MSPSで190mW
105MSPSで285mW
30mWパワー・ダウン・モード
300MHzのアナログ帯域幅
リファレンスおよびトラック/ホールド内蔵
1Vp-pまたは2Vp-pのアナログ入力範囲オプション
2の補数またはオフセット・バイナリのデータ・フォーマット・
オプション
機能ブロック図
AV DD
DrV DD
PWRDWN
AD9214
A IN
パイプライン
ADCコア
T/H
A IN
ENCODE
リファレンス
タイミング
AGND
アプリケーション
DFS/GAIN
10
OR
出
力
レ
ジ
ス
タ
REF REFSENSE
10
D 9–D 0
DGND
バッテリ駆動機器
ハンドヘルド・スコープメーター
ローコスト・デジタル・オシロスコープ
超音波機器
ケーブル・リバース・パス
広帯域ワイヤレス
住宅用電源ライン・ネットワーク
概要
製品のハイライト
AD9214は、10ビット、モノリシックの、トラック/ホール
高
性
能
ド回路を内蔵したA/Dコンバータ(ADC)です。ロー・コ
65∼105MSPSの範囲で優れたAC特性を示
します。S/N比は、代表値の55dBから
スト化のための最適化され、低消費電力で小型、使い勝手
58dBに達します。
の良い構成となっています。製品は、105MSPSまでの変換
低 消 費 電 力
レートで動作でき、全動作範囲にわたって優れたダイナミ
285mWのAD9214は、従来の高速モノリシ
ック・ソリューションで利用可能な電力
ック動作が可能です。
のごく一部しか消費しません。スリー
AD9214 ADCは、3.3V(2.7∼3.6V)の単電源、およびエン
プ・モードでは、消費電力は30mWまで
コード・クロックのみで、最高の動作特性を実現します。
低減されます。
殆どのアプリケーションでは、外部リファレンスやドライ
バ部品が不要です。デジタル出力はTTL/CMOSコンパチブ
単
電
源
ルであり、独立した出力電源供給ピンによって、3.3Vまた
独立したデジタル出力ドライバ電源ライ
は2.5Vのロジックとインターフェースできます。
ンにより、2.5Vのロジック・ファミリー
クロック入力は、TTL/CMOSコンパチブルです、パワー・
ダウン状態では、消費電力は30mWに低減されます。ゲイ
ン・オプションにより、1Vp-pまたは2Vp-pの両方のアナロ
グ入力信号振幅に対応します。AD9214は先進的CMOSプロ
セスにより製造され、28ピン表面実装型プラスチック・パ
AD9214は、3Vの単電源を使用し、システ
ムの電源設計が簡略化できます。さらに、
への対応が可能です。
小型パッケージ
小型の28ピン表面実装型プラスチック・
パッケージ(28ピンSSOP)に収納されて
います。
ッケージ(28ピンSSOP)で供給され、工業用温度範囲
(−40∼+85℃)で仕様規定されています。
アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、そ
の情報の利用または利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害
に関して、当社はいっさいの責任を負いません。さらに、アナログ・デバイセズ社の特
許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。
REV.0
アナログ・デバイセズ株式会社
本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03
(5402)8400 〒105-6891
ニューピア竹芝サウスタワービル
大阪営業所/大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868(代) 〒532-0003
新大阪第二森ビル
AD9214―仕様
DC特性(特に指示のない限り、AVDD=3V、DrVDD=3V、TMIN=−40℃、TMAX=+85℃、1.25Vの外部リファレンスおよび
定格エンコード周波数を使用)
パラメータ
温度
テスト・
AD9214-65
レベル Min
Typ
Max
分解能
精度
ノー・ミスコード
Min
AD9214-80
Typ
Max
10
10
10
保証
保証
0
保証
保証
0
保証
オフセット誤差
ゲイン誤差 1
微分非直線性 2
(DNL)
積分非直線性 2
(INL)
25℃
全範囲
全範囲
25℃
25℃
全範囲
25℃
全範囲
VI
VI
VI
I
I
V
I
V
温度ドリフト
オフセット誤差
ゲイン誤差 1
リファレンス
全範囲
全範囲
全範囲
V
V
V
リファレンス(REF)
内部リファレンス
出力電流 3
入力電流 4
入力抵抗
25℃
全範囲
全範囲
全範囲
VI
V
V
V
アナログ入力(AIN、AIN)
差動入力範囲
コモン・モード電圧
差動入力抵抗 5
差動入力容量
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
V
V
V
V
全範囲
全範囲
IV
IV
全範囲
VI
64
75
90
105
全範囲
全範囲
25℃
全範囲
VI
VI
I
V
10
190
±0.5
±2
15
220
±6.5
10
250
±1
±2
15
300
±6.5
電源
電源電圧
AVDD
DrVDD
消費電流
IAVDD(AVDD=3.0V)6
パワーダウン電流 7
IAVDD(AVDD=3.0V)
消費電力 8
PSRR(電源除去比)
−18
−2
−1.0
−1.0
−1.3
−1.9
±0.5
±0.75
+18
+6
+1.0
+1.2
+1.3
+1.9
−18
−2
−1.0
−1.0
−1.5
−1.8
16
150
80
1.18
AD9214-105
Min
Typ
Max
1.23
200
123
10
±0.75
−18
−2
1.28
1.18
1.23
200
123
10
2.7
2.7
+18
+6
±1.25
16
150
80
1.28
1.18
1または2
AVDD/3
20
5
3.6
3.6
0
ビット
±0.9
16
150
80
1または2
AVDD/3
20
5
2.7
2.7
±0.5
+18
+6
+1.2
+1.4
+1.5
+1.8
1.23
200
123
10
2.7
2.7
LSB
%FS
LSB
LSB
LSB
LSB
ppm/℃
ppm/℃
ppm/℃
1.28
1または2
AVDD/3
20
5
3.6
3.6
単位
V
μA
μA
kΩ
Vp-p
V
kΩ
pF
+3.6
+3.6
V
V
95
110
mA
10
285
±1
±2
15
mA
mW
LSB/V
mV/V
±6.5
注
1
2
3
4
5
6
ゲイン誤差および温度係数は、ADCのみに依存します。
(固定1.25Vの外部リファレンス)
AD9214-80およびAD9214-105については1V AIN範囲で測定しました。AD9214-65については2V AIN範囲で測定しました。
リファレンスは外部からAGNDに接続し、REFは内部リファレンス電圧のための出力として設定しました。
リファレンスは外部からAVDDに接続し、REFは外部リファレンス電圧のための入力として設定しました。
各入力のAVDD/3に10kΩを接続しました。
IAVDDは10.3MHz、0.5dBFSのアナログ入力について、サイン波、定格の変換レートでPWRDN=0として測定しました。IDrVDDについては代表的な動作特性およびアプリケーションのセクションを参照
してください。
7 パワーダウンにおける消費電流はPWRDN=1として、定格の変換レートで、AINをフルスケールDC入力として測定しました。
8 消費電力はAINをフルスケールDC入力として測定しました。
仕様は予告なく変更されることがあります。
2
REV.0
AD9214
デジタル特性 (AVDD=3V、DrVDD=3V、TMIN=−40℃、TMAX=+85℃)
温度
テスト・
AD9214-65
レベル Min
Typ
Max
デジタル入力
ロジック“1”電圧
ロジック“0”電圧
入力容量
全範囲
全範囲
全範囲
IV
IV
V
デジタル出力 2
ロジック互換性
ロジック“1”電圧
ロジック“0”電圧
全範囲
全範囲
VI
VI
パラメータ
Min
AD9214-80
Typ
Max
AD9214-105
Min
Typ
Max
単位
1
2.0
2.0
2.0
0.8
2.0
2.0
CMOS/TTL
DrVDD-50mV
2.0
V
V
pF
CMOS/TTL
DrVDD-50mV
50
V
V
mV
0.8
CMOS/TTL
DrVDD-50mV
50
50
0.8
注
1 デジタル入力にはENCODEおよびPWRDNが含まれます。
2 デジタル出力にはD0∼D9およびORが含まれます。
仕様は予告なく変更されることがあります。
AC特性1(特に指示のない限り、AVDD=3V、DrVDD=3V、ENCODE=最大変換レート、TMIN=−40℃、TMAX=+85℃、
外部リファレンスとして1.25Vを使用)
温度
テスト・
AD9214-65
レベル Min
Typ
Max
10MHz
39MHz
51MHz
70MHz
25℃
25℃
25℃
25℃
I
I
V
V
56.0
58.3
57.1
56.0
55.0
58.1
57.1
55.0
54.0
55.0
54.5
53.0
52.6
dB
dB
dB
dB
10MHz
39MHz
51MHz
70MHz
25℃
25℃
25℃
25℃
I
I
V
V
55.5
57.8
56.7
55.5
54.5
57.6
56.7
54.5
54.0
53.7
52.6
52.0
dB
dB
dB
dB
有効ビット数
アナログ入力
10MHz
@−0.5 dBFS 39MHz
51MHz
70MHz
25℃
25℃
25℃
25℃
I
I
V
V
9.0
9.3
9.2
9.0
8.8
9.3
9.2
8.8
8.5
8.8
8.6
8.5
8.4
ビット
ビット
ビット
ビット
10MHz
39MHz
51MHz
70MHz
25℃
25℃
25℃
25℃
I
I
V
V
−68
−79
−75
−64
−63
−74
−76
−72
−65
−71
−76
−66
−62
dBc
dBc
dBc
dBc
3次高調波歪み
アナログ入力
10MHz
@−0.5 dBFS 39MHz
51MHz
70MHz
25℃
25℃
25℃
25℃
I
I
V
V
−63
−71
−70
−63
−63
−72
−74
−78
−67
−69
−72
−65
dBc
dBc
dBc
dBc
25℃
25℃
25℃
25℃
I
I
V
V
63
71
70
63
63
71
71
67
64
64
64
64
62
dBc
dBc
dBc
dBc
2トーン相互変調歪み 2
アナログ入力 @−0.5dBFS 25℃
V
76
74
72
dBFS
アナログ入力帯域幅
V
300
300
300
MHz
パラメータ
S/N比
アナログ入力
@−0.5dBFS
SINAD
アナログ入力
@−0.5dBFS
2次高調波歪み
アナログ入力
@−0.5dBFS
SFDR
アナログ入力
@−0.5dBFS
10MHz
39MHz
51MHz
70MHz
25℃
Min
AD9214-80
Typ
Max
AD9214-105
Min
Typ
Max
注
1 AC特性は、AD9214-80およびAD9214-105については1Vp-pのフルスケール入力範囲に基づき、AD9214-65では2.0Vp-pのフルスケール範囲に基づいています。外部リファレンスを使用。
2 F1=29.3MHz、F2=30.3MHzです。
仕様は予告なく変更されることがあります。
REV.0
3
単位
AD9214―仕様
スイッチング特性 (特に指示のない限り、AVDD=3V、DrVDD=3V、ENCODE=最大変換レート、TMIN=−40℃、
TMAX=+85℃、外部リファレンスを使用)
温度
テスト・
AD9214-65
レベル Min
Typ
Max
エンコード入力パラメータ
最大変換レート
最小変換レート
エンコード・パルス幅ハイ
(tEH)
エンコード・パルス幅ロー
(tEL)
アパーチャ遅延
(tA)
アパーチャ不確定性
(ジッター)
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
25℃
25℃
VI
IV
IV
IV
V
V
データ出力パラメータ
パイプライン遅延
出力有効期間
(tV)1
出力伝播遅延 1(tPD)
全範囲
全範囲
全範囲
IV
V
V
過渡応答時間
25℃
V
5
5
5
ns
範囲外リカバリ時間
25℃
V
5
5
5
ns
パラメータ
Min
AD9214-80
Typ
Max
AD9214-105
Min
Typ
Max
単位
1
65
80
105
20
6.0
6.0
2.0
3
クロック周期
ns
ns
3.8
3.8
2.0
3
5
4.5
4.5
5
4.5
4.5
20
5.0
5.0
3.0
2.0
3
MSPS
MSPS
ns
ns
ns
ps rms
20
3.0
6.0
5
4.5
4.5
3.0
6.0
6.0
注
1 tVおよびtPDはENCODE入力の1.5Vレベルがデジタル出力振幅の50%となるまでの時間です。テストではデジタル出力の負荷はACの負荷が5pFを超えず、DC電流が±40μAの範囲内に制限されました。
仕様は予告なく変更されることがあります。
サンプル N
サンプル N+5
サンプル N+1
A IN
tA
ENCODE
サンプル N+2
t EH
t EL
サンプル N+3
サンプル N+4
1/FS
V
t PD
D9 – D0
データ N–5
データ N–4
データ N–3
図1
データ N–2
tV
データ N–1
データ N
タイミング図
4
REV.0
AD9214
絶対最大定格1
電気的定格
テスト・レベルの説明
I
100%の製造テスト。
II
AVDD電圧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4V max
25℃での100%の製造テストで、設計および特性により、
特定の温度について保証。
DrVDD電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4V max
アナログ入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・−0.5V∼AVDD+0.5V
III
アナログ入力電流 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.4mA
IV パラメータは設計と特性テストにより保証。
デジタル入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・−0.5V∼AVDD+0.5V
V
デジタル出力電流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20mA max
VI 25℃での100%の製造テストを行い、設計および特性に
パラメータは代表値のみ。
より、工業用温度範囲について保証。
REF入力電圧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・−0.5V∼AVDD+0.5V
環境的定格
サンプル・テストのみ。
2
動作温度範囲(周辺温度)・・・・・・・・・・・・・・・−40∼+125℃
最大接合温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・175℃
ピン温度(ハンダ付け、10秒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150℃
保管温度範囲(周辺温度)・・・・・・・・・・・・・・・−65∼+150℃
注
1 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに永久的な損傷を与えることが
あります。この定格はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セ
クションに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを
長期間絶対最大定格条件に置くと、デバイスの信頼度に影響を与えることがあります。
2 代表的な熱抵抗(28ピンSSOP)は、θJA=49℃/Wです。これらの測定は、しっかりしたグ
ラウンド・プレーンを持った6層基板を用いて静止した空気の中で行われました。
オーダー・ガイド
パッケージ・
オプション*
モデル
温度範囲
パッケージ
AD9214BRS-65
AD9214BRS-80
AD9214BRS-105
AD9214-65PCB
AD9214-105PCB
−40∼+85℃(周辺温度)
−40∼+85℃(周辺温度)
−40∼+85℃(周辺温度)
25℃
25℃
28ピン・シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ
28ピン・シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ
28ピン・シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ
AD9214-65搭載の評価用ボード
AD9214-105搭載の評価用ボード
注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、
検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネル
ギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や機能喪
失を回避するために、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。
REV.0
5
RS-28
RS-28
RS-28
WARNING!
ESD SENSITIVE DEVICE
AD9214
ピン機能説明
ピン番号
記号
機能
1
OR
CMOS出力で、入力範囲外のインジケータ。ロジック・ハイはアナログ入力電圧が、出力中のデータの
コンバータ範囲外にあることを示します。
2
DFS/GAIN
データ・フォーマット・セレクトおよびゲイン・モード・セレクト。外部的にAV DDの2の補数のデー
タ・フォーマットおよび1Vp-pのアナログ入力範囲に接続します。オフセット・バイナリのデータ・フ
ォーマットおよび1Vp-pのアナログ入力範囲では外部的にAGNDに接続します。このピンを開放状態と
すると、デバイスはオフセット・バイナリのデータ・フォーマットおよび2Vp-pのアナログ入力範囲に
設定されます。
3
REFSENSE
ADCのリファレンス・モードのセレクト・ピン。通常、外部的にAGNDに接続して内部1.25Vのリファ
レンスをイネーブルにして、REF(4ピン)をアナログ・リファレンス出力ピンに設定します。REFERENCEを外部的にAVDDに接続することにより内部リファレンスがディスエーブルになり、REF(4ピン)
が外部リファレンス入力に設定されます。この場合には、クリーンで正確な1.25V(±5%)でREFをド
ライブしてください。
4
REF
5, 8, 11
AGND
アナログ・グラウンド。
6, 7, 12
AVDD
アナログ電源であり、公称値は3Vです。
9
AIN
ADCの差動アナログ入力の正極性の端子。
10
AIN
ADCの差動アナログ入力の負極性の端子。シングル・エンド・モードで動作させる場合には開放にでき
ますが、正極性の端子(アナログ入力ドライブの項参照)のインピーダンスにマッチさせると理想的です。
13
ENCODE
ADCのエンコード・クロック。AD9214は、ENCODEの立ち上がりエッジでアナログ信号をサンプルし
ます。
14
PWRDN
CMOSコンパチブルのパワーダウン・モード・セレクトで、ロジック・ローが通常動作、ロジック・ハ
イがパワーダウン・モードに対応します(デジタル出力はハイ・インピーダンス状態)。PWRDNは、
10kΩのプルダウン抵抗で内部的にグラウンドに接続されています。
15, 23
DGND
デジタル出力のグラウンド。
16, 24
DrVDD
デジタル出力ドライバの電源。通常2.5∼3.6Vです。
17-22, 25-28
D0 (LSB)-D5,
D6-D9 (MSB)
ADCのCMOSデジタル出力。
REFERENCE(3ピン)により、リファレンス入/出力に設定されます。出力として設定された場合
(REFERENCE=AGND)には、内部リファレンス(公称値1.25V)がイネーブルになり、このピンでそ
のリファレンスを使用できます。入力として設定された場合(REFERENCE=AVDD)には、REFをクリ
ーンで正確な1.25V(±5%)でドライブしてください。このピンを入/出力として設定するためには
0.1μFの外部コンデンサでAGNDにバイパスしてください。
AD9214ピン配置
OR 1
28
DFS/GAIN 2
27
D8
REFSENSE 3
26
D7
REF 4
25
D6
AGND 5
24
DrV DD
AV DD 6
23
DGND
AD9214
AV DD 7
22
D5
上面図
AGND 8 (縮尺は異なります)21 D4
A IN 9
20
D3
A IN 10
19
D2
AGND 11
18
D1
AV DD 12
17
D0 (LSB)
ENCODE 13
16
DrV DD
PWRDN 14
15
DGND
6
REV.0
AD9214
用語集
高調波歪み、3次
rms信号振幅の第3高調波のrms値に対する比で、dBc単位で表さ
れます。
アナログ帯域幅
基本周波数
(FFT解析によって決定される)
のスペクトル電力が3dB
減衰するアナログ入力周波数。
積分非直線性
適応する最小2乗曲線によって決定される
「最良の直線」
から1LSB単
位で決定される、基準線からの伝達関数の偏差を示したものです。
アパーチャ遅延
ENCODEコマンドの立ち上がりエッジの50%のレベルから、アナログ
入力がサンプルされるまでの遅延。
最小変換レート
最も低いアナログ信号のS/N比が、保証された限界から3dB以上減
少しないエンコード・レート。
アパーチャ不確定性
(アパーチャ遅延)
アパーチャ遅延の各サンプルでの変化。
最大変換レート
パラメータのテストで得られたエンコード・レート。
差動アナログ入力抵抗、差動アナログ入力容量、
差動アナログ入力インピーダンス
各アナログ入力ポートにおいて測定された実数および複素数のイン
ピーダンス。抵抗はスタティックに測定され、容量および差動入力イ
ンピーダンスはネットワーク・アナライザによって測定されます。
出力伝播遅延
ENCODEの差動交線とENCODE間の遅延であり、すべての出力
ビットが有効なロジック範囲にある時間です。
ノイズ(ADCの任意の範囲について)
差動アナログ入力電圧範囲
コンバータにフルスケール応答を生じさせるために印加する必要があ
る、ピークtoピークの差動電圧。ピークの差動電圧は、あるピンの電
圧を観察し、180度位相の異なる他のピンの電圧を減算して算出さ
れます。ピークtoピークの差異は、入力の位相を180度回転させて、
再びピークの測定を行って算出されます。次に、両方のピークの測定
結果から差異が算出されます。
VNOISE = Z × 0 . 001 × 10
ここでZは入力インピーダンス、FSは周波数が問題となるデバイスの
フルスケール、S/N比
(SNR)
は特定の入力レベルに対する値、Signal
はADCのフルスケールを下回る信号レベルをdB単位で表したもので
す。この値は、熱ノイズと量子化ノイズの両方を含みます。
微分非直線性
任意のコード幅の理想的な1LSBのステップからの偏差。
電源除去比
(PSRR)
入力オフセット電圧の変化の電源電圧の変化に対する比。
有効ビット数
有効ビット数
(ENOB)
は、測定されたS/N比から以下の式によって算
出されます。
SINAD MEASURED − 1 .7 6 dB + 20 log
ENOB =
S/N+歪み
(SINAD)
rms信号振幅
(フルスケールの0.5dB下に設定)
の高調波を含み、
DC成分を含まない他のすべてのスペクトル成分の合計の、rms値に
対する比。
フルスケール
実測値
S/N比
(高調波を含まない)
rms信号振幅
(フルスケールの0.5dB下に設定)
の始めの5つの高調
波、
およびDC成分を含まない他のすべてのスペクトル成分の合計の、
rms値に対する比。
6 .0 2
エンコード・パルス幅/デューティ・サイクル
パルス幅ハイは、定格の性能を有効にするためにENCODEパルス
がロジック
“1”
レベルに留まるべき最小の時間であり、パルス幅ロー
は、ENCODEパルスがローに留まるべき最小の時間です。テキスト
のtENCHを変更するタイミングの意味を参照してください。任意のクロッ
ク・レートでは、これらの仕様により取扱い可能なエンコードのデュー
ティ
・サイクルが決定されます。
スプリアス・フリー・ダイナミックレンジ
(SFDR)
rms信号振幅のピーク・スプリアス・スペクトル成分のrms値に対する
比です。ピークのスプリアス成分は、高調波であるか否かを問いま
せん。dBc単位で表されたり
(信号レベルが低くなるほど劣化する
ため)
、またはdBFS単位で表されたり
(常にコンバータのフルスケー
ルと対比させるため)
します。
フルスケール入力電力
dBmで表され、以下の式により算出されます。
Power FULL SCALE
V 2 FULL SCALE
Z INPUT
= 10 log
0 . 001
FS dBm – SNR dBc – Signal dBFS
10
2トーン・相互変調歪み
rms値で表したいずれかの入力トーンの、最悪第3次相互変調成分
に対する比。dBc単位で表されます。
rms
ゲイン誤差
ゲイン誤差は、ADCの理想的なフルスケール入力電圧と測定値の
差異です。
2トーン・SFDR
rms値で表したいずれかの入力信号のピーク・スプリアス成分の、
rms値に対する比。ピーク・スプリアス成分は、相互変調成分である
か否かを問いません。dBc単位で表されたり
(信号レベルが低くなる
ほど劣化するため)
、またはdBFSで表されたり
(常にコンバータのフル
スケールと対比させるため)
します。
高調波歪み、2次
rms信号振幅の第2高調波のrms値に対する比で、dBc単位で表さ
れます。
他の最悪スプリアス
rms信号振幅の最悪のスプリアス成分に対する比
(2次および3次高
調波を除いたもの)
。dBc単位で表されます。
REV.0
7
AD9214
過渡応答時間
過渡応答は、ADCがアナログ入力を負極フルスケールの
10%上から正極フルスケールの10%下に遷移するのに必要な
時間です。
帯域外リカバリ時間
帯域外リカバリ時間は、ADCがアナログ入力を正極フルス
ケールの10%上から負極フルスケールの10%上まで、または、
負極フルスケールの10%下から正極フルスケールの10%下に
遷移するのに必要な時間です。
等価回路
AV DD
30k Ω
AV DD
30k Ω
VREF
REF
A IN
40Ω
40Ω
15k Ω
図2
10k Ω
A IN
15k Ω
10k Ω
アナログ入力段
図5
出力に設定されたREF
AV DD
2.6k Ω
ENCODE
600 Ω
REF
10k Ω
2.6kΩ
図3
エンコード入力
図6
入力に設定されたREF
DVDD
40 Ω
図4
DX
デジタル出力段
8
REV.0
代表的な性能特性―AD9214
0
0
ENCODE: 105MSPS
A IN: 50.3MHz @ –0.5dBFS
SNR: 53.0dB
ENOB: 8.5 BITS
SRDR: 64dBFS
–10
–20
–30
–30
–40
–40
dB
dB
–20
ENCODE: 65MSPS
A IN: 15.3MHz @ –0.5dBFS
SNR: 56.9dB
ENOB: 9.2 BITS
SFDR: 70dB
–10
–50
–50
–60
–60
–70
–70
–80
–80
–90
–90
–100
–100
52.5
0
52.5
0
周波数 – MHz
周波数 – MHz
特性1 FFT:fS=105MSPS、fIN=∼50.3MHz、AIN=−0.5dBFS、
差動、1Vp-pアナログ入力範囲
特性4 FFT:fS=65MSPS、fIN=15.3MHz(2Vp-p)、
AD8138でAINをドライブ
100
0
ENCODE: 80MSPS
A IN: 70.3MHz @ –0.5dBFS
SNR: 54.0dB
ENOB: 8.5 BITS
SRDR: 64dBFS
–10
–20
3次
90
–30
2次
80
dB
dB
–40
–50
70
–60
SFDR
60
–70
–80
50
–90
40
–100
0
40
0
特性2 FFT:fS=80MSPS、fIN=70MHz、AIN=−0.5dBFS、
1Vp-pアナログ入力範囲
20
30
40
A IN 周波数 – MHz
50
60
70
特性5 高調波歪み(2次および3次)およびSFDR 対
AIN 周波数(1Vp-p、fS=105MSPS)
85
0
ENCODE: 105MSPS
A IN: 70.3MHz @ –0.5dBFS
SNR: 52.6dB
ENOB: 8.4 BITS
SFDR: 62.6dBFS
–10
–20
3次
80
2次
75
–30
70
–40
SFDR
65
dB
dB
10
周波数 – MHz
–50
60
–60
55
–70
50
–80
45
–90
40
–100
0
52.5
0
周波数 – MHz
特性3
REV.0
FFT:fS=105MSPS、fIN=70MHz(1Vp-p)
25
50
A IN 周波数 – MHz
75
特性6 高調波歪み(2次および3次)およびSFDR 対
AIN周波数(2Vp-p、fS=80MSPS)
9
AD9214
75
100
SFDR – 1V p–p
70
90
2次
65
3次
70
SFDR
60
60
SINAD – 1V p–p
55
SINAD – 2V p–p
50
50
45
40
20
40
0
20
40
周波数 – MHz
60
80
120
特性10 SINADおよびSFDR 対 エンコード・レート
(fIN=10.3MHz、1Vp-pおよび2Vp-p)
75
0
ENCODE: 80MSPS
A IN: 29.3MHz @ –6dBFS
30.3MHz @ –6dBFS
SFDR: 74dBFS
–10
–20
SFDR – 80MSPS
70
65
SFDR – 105MSPS
信号レベル – dB
–30
–40
–50
–60
60
55
50
SINAD – 80MSPS
45
–70
SINAD – 105MSPS
–80
40
–90
35
30
–100
40
0
2
4
6
バルス幅ハイ– ns
周波数 – MHz
8
10
特性11 SINADおよびSFDR 対 エンコード・
パルス幅ハイ(1Vp-p)
特性8 2トーン相互変調歪み(29.3MHz、30.3MHz、
1Vp-p、fS=80MSPS)
120
0
ENCODE: 105MSPS
A IN: 30MHz @ –6dBFS
31MHz @ –6dBFS
SFDR: 73dBFS
–10
–20
12
100
10
IAVDD
–30
IAVDD – mA
80
–40
dB
100
80
60
エンコーディング・レート – MSPS
特性7 高調波歪み(2次および3次)およびSFDR 対
AIN周波数(1Vp-pおよび2Vp-p、fS=65MSPS)
dB
40
–50
–60
–70
–80
8
6
60
IDrVDD
40
4
20
2
IDrVDD – mA
dB
SFDR – 2V p–p
信号レベル – dB
80
–90
0
–100
52.5
0
0
20
40
60
80
100
0
120
エンコード・レート MSPS
周波数 – MHz
特性12 IAVDDおよびIDrV 対 エンコード・レート
(fAIN=10.3MHz、−0.5 dBFS、および−3dBFS)
デジタル出力におけるCLOAD∼7pF
特性9 2トーン相互変調歪み(30MHzおよび
31MHz、1Vp-p、fS=105MSPS)
DD
10
REV.0
AD9214
58
1.40
56
SNR 10.3MHz/105MSPS
1.35
信号レベル – dB
54
1.30
VREF – V
SINAD 10.3MHz/105MSPS
52
50
1.25
1.20
48
1.15
46
44
–40
0
。
温度 – C
40
1.10
–500 –400 –300 –200 –100
0
100
IREF – µ A
80
特性16
4.0
1.00
3.5
0.75
3.0
0.50
2.5
0.25
INL – LSB
% フルスケール
特性13 SINAD/S/N比 対 温度(fAIN=10.3MHz、
fENCODE=105MSPS、1Vp-p)
2.0
1.5
300
400
500
ADCリファレンス 対 電流負荷
0.00
–0.25
1.0
–0.50
0.5
–0.75
0.0
–40
200
–1.00
0
40
80
0
温度 – °C
128
特性14 ADCゲイン 対 温度(外部1.25Vリファレンス)
256
384
特性17
1.40
512
コード
640
768
896
1024
896
1024
INL@80MSPS
1.00
0.75
1.35
0.50
DNL – LSB
VREF – V
1.30
1.25
0.25
0.00
–0.25
1.20
–0.50
1.15
–0.75
1.10
0
100
–500 –400 –300 –200 –100
IREF – µ A
特性15
REV.0
–1.00
200
300
400
500
0
ADCリファレンス 対 温度(200μA負荷)
128
256
384
特性18
11
512
コード
640
768
DNL@80MSPS
AD9214
ます。
いずれの設定においても、アナログ入力電圧範囲
(DFS/GAINで決定する1Vp-pまたは2Vp-p)はリファレンス
電圧の直線性をトラックするので、リファレンスのノイズ
を低減するためには、REFとAGNDの間に外部バイパス・コ
ンデンサの接続が必要です。実際には、外部リファレンス
が±5%に調節されている限り、性能の目立った低下は生じ
ません。
動作原理
AD9214のアーキテクチャは、スイッチド・キャパシタの技
法を用いている、ステージあたり1ビットのパイプライン・
コンバータです。これらのステージでは、7個のMSBを決定
して3ビットのフラッシュをドライブします、各ステージは、
十分なオーバーラップとエラー補正により、コンパレータ
の精度を最適化しています、入力バッファは差動で両入力
は内部的にバイアスされます。これにより、ACとDC、差
動とシングル・エンドの入力モードを柔軟に使い分けられ
ます。出力ステージのブロックでは、データの同期化とエ
ラー訂正を行い、データを出力バッファに書き込みます。
出力バッファは、別々の電源を用いて、異なるロジック・
ファミリーに対応可能です。パワーダウンの間、出力はハ
イ・インピーダンス状態となります。
DFS/GAIN
DFS/GAIN(データ・フォーマット・セレクト/ゲイン)入
力(2ピン)は、ADCの出力データ・フォーマットとゲイン
(アナログ入力電圧範囲)の両方を制御します。下記の表に
その動作を解説します。
表I
AD9214の適用
AD9214のエンコード
あらゆる高速型A/Dコンバータは、ユーザーの供給するサン
プリング・クロックの品質に敏感です。トラック/ホール
ド回路は本質的にミキサーです。クロックのすべてのノイ
ズ、歪み、タイミングのジッターはA/Dの出力において目的
の信号と混ざってしまいます。このため、AD9214の
ENCODE入力は細心の注意を払って設計されており、ユー
ザー側でもクロック・ソースに関して相応の注意を払う必
要があります。ENCODE入力は、TTL/CMOSと完全な互換
性を持っており、通常はジッターの少ない水晶制御の
TTL/CMOS発振器を使って直接駆動してください。
ENCODE入力は内部的にバイアスされており、ユーザーに
よってクロック信号とAC結合可能です。最もクリーンなク
ロック・ソースとして、純粋なサイン波を生成するクリス
タル・オシレータがよく使われます。図7にこのようなソー
スをENCODE入力にAC結合する方法を示します。
データ・フォーマットおよびゲインの設定
外部のDFS/
差動アナログ
出力データ・
GAINの接続
入力範囲
フォーマット
AGND
AVDD
REF
開放
1Vp-p
1Vp-p
2Vp-p
2Vp-p
オフセット・バイナリ
2の補数
2の補数
オフセット・バイナリ
アナログ入力のドライブ
AD9214のアナログ入力は差動バッファです。等価回路に示
すように、各差動入力は内部的にDC∼AVDD/3にバイアスさ
れ、アナログ入力信号のAC結合が可能です。また、アナロ
グ信号は、DC結合もできます。この場合、AVDD/3に対する
負荷は∼10kΩと等価であり、アナログ信号のコモン・モー
ドのレベルはAVDD/3±200mVの範囲になければなりません。
最高のダイナミック性能を得るためには、AINおよびAINのイ
ンピーダンスを整合させる必要があります。
アナログ入力を差動動作させることによりAC特性が最適化
され、偶数次の高調波が最小化され、コモン・モードのノ
イズが除去できる利点があります。差動信号は、図8に示す
トランス結合、または図9に示すAD8138のような高性能差
AD9214
低ジッターのクリスタル・
オシレータによるサイン波
または1Vp-pのパルス・ソース
動アンプで駆動できます。
ENCODE
A IN
図7
50Ω
アナログ
信号ソース
AC結合したエンコード回路
25Ω
0.1µ F
AD9214
1:1
25Ω
A IN
リファレンス回路
AD9214のリファレンス回路は、REFERENCE(3ピン)によ
って設定されます。REFERENCEを外部的にAVDDに接続す
ることにより、ADCは内部リファレンス(∼1.25V)を使用
するように設定され、REFピン(4ピン)の接続は、内部の
リファレンス電圧を出力するよう設定されます。
REFERENCEが外部的にAV DDに接続されている場合には、
ADCは外部リファレンスを使用するよう設定されます。こ
のモードでは、REFピンはリファレンス入力として設定さ
れ、外部の1.25Vのリファレンスでドライブする必要があり
図8
トランスを用いたシングル・エンドから差動への変換
AD9214のアナログ入力部の設計においては、データがオ
ーバー・ドライブ状態となったときの損傷とデータの改変
を防止するために、特別な配慮がなされています。最適な
入力範囲は1.0Vp-pですが、AD9214である程度の性能低下
と引き替えに2.0Vp-p入力範囲にも対応できます(上記
DFS/GAINピンの解説を参照)
。
12
REV.0
AD9214
500Ω
50Ω
アナログ
信号ソース
AD8138
+ –
VOCM
– +
500Ω
AV DD
ウンド(DGND)
とDrVDDの間に閉じ込められます。スタンダード
なTTLのゲートは、AD9214のダイナミックなスイッチング電流
を際だって増加させるため、使用を避けてください。容量性
負荷が増加すると出力タイミングが遅延し、タイミング特性が満
たされなくなるので注意が必要です。デジタル出力タイミング
は、10pFの負荷について保証されています。
AD9214
50Ω
A IN
15pF
50Ω
A IN
10kΩ
図9
500Ω
500Ω
5kΩ
0.1µ F
レイアウトに関する情報
評価ボードの概略図(図10)
に、AD9214の代表的な構成例を
示します。最良の結果を得るためには多層基板の使用を推奨
します。デバイスの各ピンを直接にグラウンドからデカップリ
ングするために、高品質のセラミック・チップ・コンデンサの使
用を特に推奨します。AD9214のピン出力は、高周波数の高分
解能での設計において使いやすい構造です。すべてのデジタ
ル出力、およびそれらの電源とグラウンド・ピンの接続はチッ
プの片側に分離され、入力は絶縁のため反対側に配置されて
います。
デジタル出力経路の配線には注意が必要です。デジタル出力
とAD9214のアナログ部との結合を防止するため、これらの出
力における容量性負荷を最小に抑えてください。AD9214のデ
ジタル出力の各ゲートからのファンアウトを1にすることを推奨
します。
同様に、エンコード回路のレイアウトも重要です。この回路に
よって受けるすべてのノイズはデジタル化プロセスを劣化さ
せ、全体的な特性を低下させるためです。エンコード・クロッ
クは、デジタル出力およびアナログ入力から絶縁する必要が
あります。
DC結合によるアナログ入力回路
電源
AD9214はAVDDとDrVDDの2つの電源を備えています。AVDDお
よびAGNDは、すべてのアナログ回路、入力、内部タイミング、
デジタル・エラー補正の回路に電源を供給します。AVDDの消
費電流は、代表的な性能特性の項に示すようにエンコード・レ
ートにより多少変動します。
DrVDDの電流は、電圧レベル、外部負荷容量、エンコード周波
数に応じて変動します。外部容量を最小化する設計により消
費電力が低減でき、ADCの性能に影響を与える電源ノイズが
削減されます。DrVDDの最大電流は以下の式で算出できます。
IDrV =VDrV ×CLOAD×fENCODE×N
DD
DD
ここでNは出力ビットの数であり、AD9214の場合には10となり
ます。この最大電流は、各クロック・サイクルの各出力ビットの
スイッチングの状態に対応し、これは、ナイキスト周波数であ
るfENCODE/2のフルスケールの矩形波の場合にのみ発生します。
実際には、IDrVDDは出力ビットのスイッチングの平均的な数とな
り、これはエンコードのレートとアナログ入力信号の特性によ
って決定されます。特性曲線の項では、10.3MHzサイン波によ
ってアナログ入力を駆動する場合のIDrVDDとエンコード・レート
の参照を示します。
両方の電源接続は、パッケージ接続の位置またはその近くで、
高品質なセラミック・チップ・コンデンサを用いて、グラウンド
とデカップリングしてください。すべてのグラウンド(AGNDお
よびDGND)の接続に単一のグラウンド・プレーンを用いること
を推奨します。
PWRDN制御ピンのロジック・レベルをハイにすると、AD9214
がスリープ・モードに設定されます。PWRDNは通常動作では
ロジック・レベルがローの状態で開放となります。スリープ・モ
ードでは、ADCはアクティブ状態ではなくなり、消費電力が低
減されます。スリープ・モードから通常動作に切り替える場合
には、ADCが有効な出力データに復帰するために∼15クロッ
ク・サイクルを必要とします。
評価ボード
AD9214の評価ボードを使って、ユーザーはデバイスの性能を
簡単な手法で評価できます。ユーザーはアナログ入力信号、エ
ンコード・クロック・リファレンス、
電源を供給する必要があります。
AD9214のデジタル出力は、評価ボードによってラッチされ、40
ピンのコネクタによってレディ信号とともに得られます。評価ボー
ドの概略図、レイアウト、部品の一覧表を参照してください。
電源接続
ボードへの電源は、着脱可能な4ピンの電源ストリップ(U4、
U9、U10)
により供給されます。これらの12ピンは、表IIに示す
ようにドライブしてください。
表 II
デジタル出力
AD9214のデータ・レシーバの設計には注意が必要です。デジ
タル出力によってシリーズ抵抗(例:100Ω)
をドライブし、その
次に74LCX821のようなゲートを付加することを推奨します。容
量性負荷を最小化するために、各出力ピンには1つのゲートだ
けを接続してください。このような例として、図10に示す評価
ボード概略図があります。このシリーズ抵抗は、出力段に流れ
込む電流の量を制限するために、できる限りAD9214の近くに
設置する必要があります。これらのスイッチング電流は、グラ
REV.0
AD9214評価ボードの電源接続
ピン
記号
1
3
LVC
5V
5
−5V
7
9
11
2,4,6,
8,10,12
VCC
VDD
DAC
GND
必要な外部電源
3V
5V
(オプションのZ1電源)
−5V
(オプションのZ1電源)
3V
3V
5V
グラウンド
A+5Vおよび−5Vの電源はオプションであり、差動式オペ
アンプZ1をボードに装着する場合にのみ必要です。
13
AD9214
リファレンス回路
評価ボードは、AD9214がボード上のリファレンスを使用す
るように、組み立ての時点で設定されています。外部リフ
ァレンスを供給する場合には、ユーザーがE25とE26を接続
するジャンパを取り除いてE19とE24の間に接続して、REFERENCEピンをVCCに接続してください。この設定では、
外部の1.25Vリファレンスをジャンパ接続のE23に接続する
必要があります。ジャンパ接続のE19∼E21、E24および抵
抗R13∼R14は組み立て時に省略されており、AD9214の評
価には使用されません。
アナログ入力
アナログ入力信号は、SMBコネクタJ1によって評価ボード
に接続されます。組み立て時の設定により、信号はコンデ
ンサC10によってトランスT1にAC結合します。この1:1の
トランスは25Ωの抵抗R1およびR4を介して、コネクタJ1を
50Ωで終端します。また、T1はJ1の信号を差動信号に変換
してAD9214のアナログ入力とします。通常省略されるR3を
用いると、トランスが除去された場合にJ1を終端するのに
使えます。
ユーザーは、E1とE3のジャンパ・ブロックを取り除いて、
これをE3とE2の間に設置することにより、AD9214をボード
においてシングル・エンドでドライブするように再設定で
きます。この設定では、コンデンサC2がAINの自己バイアス
を安定化させ、抵抗R2がJ1の50Ωソースに整合したインピ
ーダンスを与えます。
トランスT1は、通常時にE40とE38の間にあるジャンパを
E40とE37の間に設置し、さらに通常時にE39とE10の間にあ
るジャンパをE7とE10の間に設置することにより、バイパス
できます。この設定では、AD9214のアナログ入力は、J1か
ら直接にシングル・エンドでドライブされ、R3(通常は省
略される)を、J1に対する全ケーブルを終端するように装
着してください。
ゲイン/データ・フォーマット
評価ボードはDFS/GAINピンをグラウンドに接続した状態で
組み立てられ、これによりAD9214はアナログ入力範囲1Vp-p、
データ・フォーマットはオフセット・バイナリに設定され
ます。ユーザーはこのジャンパを取り除き、接続を表IIIに
中の1つに切り替えて、AD9214を異なるゲインと出力フォ
ーマットのオプションに設定できます。
表III
評価ボードのデータ・フォーマットおよびゲインの設定
DFS/GAIN
ジャンパの配置
DFS/GAIN
接続
差動AIN
範囲
出力データ・
フォーマット
E18∼E12
E16∼E11
E15∼E14
E17∼E13
AGND
AVDD
REF
フローティング
1Vp-p
1Vp-p
2Vp-p
2Vp-p
オフセット・バイナリ
2の補数
2の補数
オフセット・バイナリ
AD8138の使用
AD9214の評価ボードのレイアウトには、AD8138差動アン
プ・ベースのアナログ入力に対するオプションのドライバ
回路が含まれています。評価ボードのこの部分は、ボード
が製造された時点では空きスペースのままですが、ユーザ
ーによって簡単に加えられます。抵抗R5、R16、R18、R25
はフィードバック・ネットワークであり、AD8138のゲイン
を設定します。抵抗R23とR24はオペアンプの出力における
コモン・モード電圧を設定します。抵抗R27とR28、および
コンデンサC15はAD8138の出力のローパス・フィルタを構
成し、AD9214へのノイズの寄与を制限します。
ドライブ回路を加えると、ユーザーは通常E40とE38の間に
あるジャンパ・ブロックを取り除いて、これをE40とE41の
間に設置しなければなりません。これにより、SMBコネク
タJ1からのアナログ信号がAD8138ドライブ回路にAC結合さ
れます。ユーザーは、トランスT1を回路から取り除くため
に、通常E39とE10の間およびE1とE3の間に接続されている
ジャンパを取り除く必要があります。
パワー・ダウン
評価ボードは、PWRDN入力がローの開放状態、つまり通常
動作の状態となるように組み立て時点で設定されています。
ユーザーは、オプション・ホールのE5とE6の間にジャンパ
を設置してPWRDNをAVCCに接続し、AD9214をパワー・
ダウン・モードに設定できます。
信号のエンコードおよび分配
エンコード入力信号はSMBコネクタJ5をドライブする必要
があり、これはボード上で50Ωで終端されています。スタ
ンダードのCMOSコンパチブルのパルス・ソースを推奨し
ます。または、通常は省略される抵抗R11をユーザーが付加
して、AC結合されたクロック・ソースのDCレベルを調節
できます。J5はAD9214のENCODE入力とU12の1つのゲート
をドライブし、これによりクロック信号がバッファされボ
ード上のラッチ(U3)、再構成DAC(U11)、データ・コネ
クタ(U2)に分配されます。ボードはタイミング・オプシ
ョンをDACおよびラッチに最適化された状態で組み立てら
れるため、ユーザーはE34とE35の間のジャンパを取り除い
て、これをE35とE36の間に装着することにより、エッジ・
コネクタU2の37ピンでDR信号を反転させることができま
す。
DAC再構成回路
出力コネクタU2によって得られるデータは、またDAC U11、
AD9752によって再構成できます。この12ビットの高速D/A
コンバータは、評価ボードを設定してデバッグするための
ツールとして含まれています。これを使ったAD9214の性能
測定はできません。なぜなら、この性能はADCの性能を正
確に反映しないからです。J2のDAC出力は50Ωをドライブ
します。ユーザーがE8とE9の間にジャンパ・ブロックを設
置すれば、DACのSLEEP機能を有効にできます。
14
REV.0
AD9214
AD9214/PCB部品内容
#
数量
リファレンス記号
デバイス
1
1
PCB
2
19
コンデンサ
パッケージ
値
603
0.1 µF
3
4
N/A
C 1– C3, C5 – C14, C16 – C20, C25 – C28
C21 – C24
CAPTAJD
10 µF
4
1
C4
コンデンサ
603
0.01 µF
5
4
R1, R2, R4, R8
抵抗
1206
25 Ω
6
4
R7, R10, R12, R17
U 5 –U8
抵抗
1206
50 Ω
抵抗
RPAK_742
100 Ω
R21
抵抗
1206
0Ω
R6, R9
E1 – E6, E8 – E9, E11 – E27, E29, E31 – E41
抵抗
1206
2000 Ω
7
8
4
1
9
2
10
37
コンデンサ
テスト・ポイント
TSW-120-07-G-S
SMT-100-BK-G
ジャンパ接続
11
3
J1, J2, J5
コネクタ
SMB
51-52-220
12
1
U12
クロック・チップ
SOIC
SN74LVC86
13
1
U11
DAC
SOIC
AD9752
14
1
U3
ラッチ
SOIC
74LCX821
15
1
U1
ADC/DUT
SOIC
AD9214
16
1
U2
40ピン・ヘッダー
Samtec Tsw-120-07-G-D
17
1
T1
トランス
18
3
U 4, U9, U10
電源ストリップ
Mini Circuits ADT1-1WT
Newark 95F5966
25.602.5453.0
電源コネクタ
以下の部品はプリント基板の設計に含まれていますが、組み立て時には省略されています。
19
3
C 1, C20, C28
コンデンサ
603
0.1 µ F
20
2
C 30, C29
コンデンサ
CAPTAJD
10 µ F
21
1
C15
コンデンサ
603
15 pF
22
4
R5, R18, R25, R26
抵抗
1206
500 Ω
23
1
R23
抵抗
1206
1 kΩ
24
1
R24
抵抗
1206
4 kΩ
25
3
R11, R15, R16
抵抗
1206
ユーザー選択
26
2
R13, R14
抵抗
1206
N/A
27
3
R27, R28, R3
抵抗
1206
50 Ω
28
1
R19
抵抗
1206
29
1
Z1
オペアンプ
SOIC
0Ω
AD8138
REV.0
15
J1
図10
オプション
R3
50Ω
3
5
16
J5
R12
50Ω
R11
50Ω
LVC
オプション
GND
+ 5V
LVC
GND
E36
E34
R21
0Ω
−
3
+ 5V
8
R25
500Ω
+
C1
0.1µ F
R14
2kΩ
DR
R17
50Ω
GND
3
4
R27
50Ω
R28
50Ω
CLKDAC
E27
GND
E32
R10
50Ω
E33
C16
0.1µ F
E28
E31
LVC
GND
AMP
AMP
CLKLAT
C15
15pF
1
LVC
LVC
GND
2
3
U4
4
27
26
18
17
16
15
25
24
23
22
21
20
19
VDD
C8
0.1µ F
GND
GND
GND
D2
D1
D9 MSB
D8
D7
D6
D5
D4
D3
1
2
3
U10
4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
U7
U8
DB11
DB10
DB9
DB8
DB7
DB6
DB5
DB4
DB3
DB2
DB1
DB0
NC1
NC2
CLK
DVDD
DCOM
NC3
AVDD
ICOMP
IOUTA
IOUTB
ACOM
NC4
FSADJ
REFIO
REFLO
SLEEP
16
15
14
13
12
11
10
9
16
15
14
13
12
11
10
9
AD9752
U11
APAK_742
5
6
7
8
1
2
3
4
APAK_742
1
2
3
4
5
6
7
8
VDD GND DAC GND
3V
GND
D0 LSB
C9
0.1µ F
GND
VDD
–5V GND VCC GND
3V
AD9214A
1
U1 D9 MSB 28
OR
E30
DTR
GND VCC
C27
0.1µ F
5N74LVC86
U12
14
1
1A
VCC
2
13
4B
1B
3
12
1Y
4A
4
11
2A
4Y
5
10
2B
3B
6
9
3A
2Y
8
7
3Y
GND
オプション
GND
R19
0Ω
V−
5
6 C20
0.1µ F
– 5Ω
Z1
VCOM
2
LVC GND +5V GND
3V
1
U9
2
DFS/GAIN
D8
3
REFSENSE
D7
4
REF
D6
5
AGND1
DrV DD
VCC 6
C3 0.1µ F
AV DD
DGND
C7 0.1µ F VCC
7
AV DD
D5
8
AGND
D4
AMP
9
AIN
D3
E3
10
AIN
D2
AMP
GND 11
E2
AGND
D1
0.1µ F VCC 12
GND
AV DD
D0 LSB
13
ENC
DrV DD1
CLK
E5 14
PWRDN
DGND1
E6
E4
GND
R13
GND
2kΩ
オプション
C17
0.1µ F
AD8138 V+ 4
2
1
ENC
E35
R18
500Ω
E41
ENC
C28
0.1µ F
R23
1kΩ
R25
4kΩ
R5
500Ω
R26
500Ω
C2
0.1µ F
C6
E1
0.1µ F
GND
C25
0.1µ F
GND
GND
R2
25Ω
E21
E20
GND
E25
E26
VCC
E19
E24
E17
E13
GND GND
E18
E12
VCC
E16
E11
C4
0.1µ F
GND
GND
R1
25Ω
E22
E23
E7
E10
R4
25Ω
E39
C26
0.1µ F
オプション
4
2
1 T1 6
C18
0.1µ F
E29
E38
E40
C10
0.1µ F E37
GND
GND
E15
E14
C29
10µ F
+5V
28
27
26
25
24
23
22
21
20
19
18
17
16
15
E9
GND
R6
2kΩ
GND
GND
C11
GND
CLKDAC
GND
VDD
GND
U7
U8
R7
50Ω
J2
APAK_742
1
2
3
4
5
6
7
8
DAC
C13
0.1µ F
C14
0.1µ F
4QPHA
U2
DAC
39
39
37
37
35
35
33
33
31
31
29
29
27
27
25
25
23
23
21
21
19
19
17
17
15
15
13
13
11
11
9
9
7
7
5
5
3
3
1
1
GND
GND
D4
D3
D2
D1
D0
GND
DR
GND
CLKLAT
オプション
D9 MSB
D8
D7
D6
D5
GND
16
15
14
13
12
11
10
9
10
9
16
15
14
13
12
11
GND
R15
50Ω
R16
50Ω
VDD
APAK_742
7
8
1
2
3
4
5
6
C24
10µ-F
DAC
R8 GND
25Ω
C23
10µ F
R9
2kΩ
GND
C12
0.1µ F
GND
DAC GND
E8
0.1µ F
14
13
23
22
21
20
19
18
17
16
15
VDD
C19
0.1µ F
GND
C22
10µ F
VCC
24
GND
C21
10µ F
LVC
74LCXB21
1
GND
DE U3 VCC
2
D9
D9
3
D8
D8
4
D7
D7
5
D6
D6
6
D5
D5
7
D4
D4
8
D3
D3
9
D2
D2
10
D1
D1
11
D0
D0
12
GND
CLK
GND
C30
10µ F
–5V
10
8
6
4
2
24
22
20
18
16
14
12
40
38
36
34
32
30
28
26
10
8
6
4
2
24
22
20
18
16
14
12
26
40
38
36
34
32
30
28
GND
AD9214
プリント基板概略図
REV.0
AD9214
図11
プリント基板上面シルク・スクリーン
図12
図13
REV.0
図14
プリント基板上面銅配線面
図15
プリント基板底面シルク・スクリーン
図16
17
プリント基板底面銅配線面
プリント基板グラウンド層(TBD層)
プリント基板電源層(第3層および第4層)
AD9214
外形寸法
サイズはインチと(mm)で示します。
0.407 (10.34)
0.397 (10.08)
15
1
14
0.212 (5.38)
0.205 (5.21)
0.311 (7.9)
0.301 (7.64)
28
0.07 (1.79)
0.066 (1.67)
0.078 (1.98) ピン1
0.068 (1.73)
0.008 (0.203) 0.0256
(0.65)
0.002 (0.050) BSC
0.015 (0.38)
0.010 (0.25)
18
実装面
0.009 (0.229)
0.005 (0.127)
8°
0°
0.03 (0.762)
0.022 (0.558)
REV.0
AD9214
REV.0
19
PRINTED IN JAPAN
TDS12/2000/1000
AD9214
このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。
20
REV.0